はい、承知いたしました。「literal does not match format string」エラーの詳細な対処法について、約5000語の解説記事を作成します。記事の内容をそのまま表示します。
【解決】「literal does not match format string」エラーの具体的な対処法 の詳細な説明
はじめに:プログラミングにおける共通の壁「format string」エラー
プログラミングにおいて、異なるデータ型を変換したり、特定の形式に整形された文字列を扱ったりする際に、多くの開発者が一度は遭遇するであろう一般的なエラーの一つに、「literal does not match format string」というメッセージを含むエラーがあります。このエラーは、主に文字列を日付/時刻型や数値型などの特定のデータ型に変換しようとした際に、入力された文字列(literal)の形式が、変換処理で指定したフォーマット文字列(format string)と一致しない場合に発生します。
このエラーは、Pythonのdatetime.strptime()
のような関数を使用する際によく見られますが、これはPythonに限った話ではありません。JavaのSimpleDateFormat
、C#のDateTime.ParseExact
、データベースのTO_DATE
やTO_TIMESTAMP
関数など、様々なプログラミング言語やシステムで同様の概念とエラーが存在します。
本記事では、この「literal does not match format string」エラーの原因を徹底的に解説し、その具体的な対処法を詳細に説明します。特に、最も遭遇頻度が高いであろうPythonのdatetime
モジュールを中心に、他の言語やデータベースでのケースにも触れながら、このエラーを確実に解決するための知識とテクニックを提供します。約5000語にわたる詳細な解説を通じて、読者の皆様がこのエラーに自信を持って対処できるようになることを目指します。
1. エラーの基本理解:「literal」と「format string」とは?
エラーメッセージ “literal does not match format string” を理解するためには、その構成要素である「literal」と「format string」の意味を明確に把握する必要があります。
- Literal (リテラル): プログラミングにおいて、ソースコード中に直接記述された具体的な値のことです。このエラーメッセージにおける「literal」は、多くの場合、変換しようとしている入力文字列そのものを指します。例えば、
"2023-10-27"
や"October 27, 2023"
のような文字列です。 - Format String (フォーマット文字列): これは、入力文字列がどのような形式で記述されているかを示すためのテンプレート文字列です。特定の記号(フォーマットコードと呼ばれることが多い)を使用して、年、月、日、時、分、秒などが文字列中のどこに、どのような形式で出現するかを定義します。例えば、
"%Y-%m-%d"
は「4桁の年 – 2桁の月 – 2桁の日」という形式を示します。
エラー “literal does not match format string” は、文字通り、「与えられた入力文字列(literal)の実際の形式が、指定したフォーマット文字列(format string)で定義された形式と一致しません」という意味になります。
主に発生する状況
このエラーが最も頻繁に発生するのは、以下のような、文字列を特定の構造を持つデータ型に変換する処理です。
- 日付/時刻文字列の変換:
"2023-10-27 14:30:00"
のような文字列を、プログラム内で扱える日付/時刻オブジェクト(Pythonのdatetime
オブジェクトなど)に変換する場合。これが最も代表的なケースです。 - 数値文字列の変換:
"1,234,567"
のような、通貨記号や区切り文字を含む数値文字列を、純粋な数値型(整数や浮動小数点数)に変換する場合。ただし、この場合は異なるエラーメッセージ(例: PythonのValueError: could not convert string to float: '1,234,567'
)が出ることが多いですが、根本的な原因は「期待する形式と違う」という点で共通しています。 - その他の構造化された文字列のパース: 特定の固定長の文字列や、特定の区切り文字で区切られた文字列を、構造化されたデータ(例えば辞書やオブジェクト)に変換する場合などにも、同様の概念が適用されることがあります。
本記事では、特に発生頻度が高く、多くのケースで「literal does not match format string」というエラーメッセージが直接表示される日付/時刻文字列の変換に焦点を当てて解説を進めます。
2. 主な発生原因(Python datetime
を中心に)
Pythonにおいて、文字列をdatetime
オブジェクトに変換する際にこのエラーが発生するのは、主にdatetime
モジュールのstrptime()
(string parse time)メソッドを使用した場合です。
datetime.strptime(date_string, format_string)
このメソッドは、第一引数に変換したい入力文字列 (date_string
) を、第二引数にその文字列の形式を定義するフォーマット文字列 (format_string
) を取ります。strptime()
は、date_string
が format_string
に厳密に一致する場合にのみ、対応するdatetime
オブジェクトを返します。一致しない場合は、ValueError
が発生し、そのエラーメッセージに「literal does not match format string」が含まれることになります。
発生原因の詳細
なぜ入力文字列とフォーマット文字列が一致しないという事態が起きるのでしょうか?主な原因は以下の通りです。
- フォーマットコードの不一致: 指定したフォーマット文字列に含まれるフォーマットコード(例:
%Y
,%m
,%d
など)が、入力文字列の実際の要素(年、月、日など)と対応していない。- 例: 入力
"2023/10/27"
に対してフォーマット"%Y-%m-%d"
を指定。期待する区切り文字が/
なのに、フォーマットでは-
が指定されている。
- 例: 入力
- 区切り文字や静的文字の不一致: フォーマットコードの間に挟まる区切り文字(
-
,/
,:
,など)や、その他の静的な文字(
,
や.
など)が、入力文字列中の対応する文字と一致しない。- 例: 入力
"Oct 27, 2023"
に対してフォーマット"%b %d %Y"
を指定。入力には日付の後に,
とスペースがあるのに、フォーマットにはそれらが含まれていない。
- 例: 入力
- 大文字/小文字の区別: フォーマットコードや静的文字の大文字/小文字が、入力文字列と一致しない。
- 例: 入力
"am"
に対してフォーマット"%p"
を指定。%p
はAM
またはPM
を期待するため、小文字のam
では一致しない(ロケールによる)。または、入力"October"
に対してフォーマット"%b"
を指定。%b
はロケールによって"Oct"
のような短縮形を期待するため、フルネームの"October"
では一致しない場合がある。
- 例: 入力
- 桁数の不一致: フォーマットコードが期待する桁数と、入力文字列の実際の桁数が一致しない。
- 例: 入力
"2023-5-1"
に対してフォーマット"%Y-%m-%d"
を指定。%m
と%d
は通常2桁(ゼロ埋め)を期待するが、入力は1桁になっている。この場合、strptime
はデフォルトでは1桁も許容することが多いですが、フォーマットによっては問題となることがあります(例:%m
は01
から12
、%d
は01
から31
)。
- 例: 入力
- 余分なスペースや不足: 入力文字列やフォーマット文字列に、予期しないスペースが含まれていたり、必要なスペースが不足していたりする。
- 例: 入力
"2023-10-27 "
(末尾にスペース)に対してフォーマット"%Y-%m-%d"
を指定。
- 例: 入力
- ロケールの違い: 月名や曜日名など、ロケールに依存するフォーマットコード(
%a
,%A
,%b
,%B
など)を使用している場合に、プログラムの実行環境のロケールと入力文字列の言語が一致しない。- 例: 日本語環境で
%B
を指定し、入力文字列が"October"
。日本語ロケールでは%B
は「10月」のような文字列を期待するため、一致しない。
- 例: 日本語環境で
- 無効な日付/時刻: フォーマット文字列は一致しているが、入力文字列がカレンダーとして無効な日付/時刻を示している場合(例:
"2023-02-30"
)。これもValueError
を発生させますが、エラーメッセージが異なることがあります。ただし、原因としては関連性が高いです。
これらの原因が単独で、または組み合わさって発生することで、「literal does not match format string」エラーが引き起こされます。
3. 具体的な対処法(Python datetime
編)
「literal does not match format string」エラーに遭遇した場合の最も効果的な対処法は、入力文字列と指定したフォーマット文字列を徹底的に比較し、どこが一致しないのかを特定することです。これは、探偵が証拠品を照合するような作業です。
3.1. 最も重要な確認事項:文字列とフォーマットの「完全一致」チェック
エラー解決の第一歩は、入力文字列とフォーマット文字列を並べて、一文字ずつ、要素ごとに比較することです。
例:
入力文字列: "2023-10-27 14:30:00"
フォーマット文字列: "%Y-%m-%d %H:%M:%S"
この場合、以下のように対応しているかをチェックします。
* 2023
が %Y
(4桁の年)に対応
* -
が -
に対応
* 10
が %m
(2桁の月)に対応
* -
が -
に対応
* 27
が %d
(2桁の日)に対応
* (スペース)が
(スペース)に対応
* 14
が %H
(24時間表記の時)に対応
* :
が :
に対応
* 30
が %M
(2桁の分)に対応
* :
が :
に対応
* 00
が %S
(2桁の秒)に対応
もし入力文字列が "2023/10/27 14:30:00"
で、フォーマット文字列が "%Y-%m-%d %H:%M:%S"
だった場合、以下の箇所で不一致が発生しています。
* 入力の /
がフォーマットの -
と不一致
* 入力の /
がフォーマットの -
と不一致
このように、入力文字列の各部分が、フォーマット文字列の対応するフォーマットコードや静的文字と、種類、位置、個数(区切り文字など)、大文字/小文字などが完全に一致しているかを丁寧に確認します。
3.2. デバッグ手法
不一致箇所を効率的に特定するためには、以下のデバッグ手法が役立ちます。
-
print()
デバッグ: 最もシンプルで効果的な方法です。strptime()
を呼び出す直前で、入力文字列とフォーマット文字列をそれぞれ出力してみましょう。
“`python
from datetime import datetimedate_string = “2023/10/27”
format_string = “%Y-%m-%d”print(f”入力文字列: ‘{date_string}'”)
print(f”フォーマット文字列: ‘{format_string}'”)try:
date_object = datetime.strptime(date_string, format_string)
print(f”変換成功: {date_object}”)
except ValueError as e:
print(f”エラー発生: {e}”)
# ここで入力文字列とフォーマット文字列を比較する
“`
出力された文字列をコピーし、テキストエディタなどで並べて比較すると、違いが見つけやすくなります。特に、目に見えないスペースや、全角/半角の違いなどにも注意が必要です。
* インタラクティブシェルやデバッガの使用: Pythonのインタラクティブシェル(Pythonを起動して対話的にコードを実行できる環境)や、IDEに搭載されているデバッガを使用すると、変数の中身を確認しながらステップ実行できるため、問題の原因となっている特定の文字列やフォーマット文字列の値を確認するのに便利です。
3.3. 主要なフォーマットコードの確認
Pythonのdatetime.strptime()
で使用できるフォーマットコードの一部を以下に示します。これらはstrftime()
(datetime object format to string)でも使用されます。入力文字列の各要素が、どのフォーマットコードに対応するべきかを確認するのに役立ちます。
コード | 意味 | 例 (en_US ロケール) |
---|---|---|
%Y |
4桁の年 | 2023 |
%y |
ゼロ埋めされた2桁の年 (00-99) | 23 (非推奨、2000年問題) |
%m |
ゼロ埋めされた2桁の月 (01-12) | 10 |
%d |
ゼロ埋めされた2桁の日 (01-31) | 27 |
%H |
ゼロ埋めされた24時間表記の時 (00-23) | 14 |
%I |
ゼロ埋めされた12時間表記の時 (01-12) | 02 |
%p |
ロケールに応じた午前/午後 (AM/PM) | PM |
%M |
ゼロ埋めされた2桁の分 (00-59) | 30 |
%S |
ゼロ埋めされた2桁の秒 (00-61) | 00 (60, 61は閏秒) |
%f |
マイクロ秒 (000000-999999) | 123456 |
%A |
ロケールに応じた曜日のフルネーム | Friday |
%a |
ロケールに応じた曜日の略称 | Fri |
%B |
ロケールに応じた月名のフルネーム | October |
%b |
ロケールに応じた月名の略称 | Oct |
%Z |
タイムゾーン名 (存在する場合) | EST , JST |
%z |
UTCからのオフセット (+HHMM or -HHMM ) |
-0500 , +0900 |
%j |
ゼロ埋めされた年間の通算日 (001-366) | 300 |
%U |
ゼロ埋めされた週番号 (00-53, 日曜日を週の開始) | 43 (例) |
%W |
ゼロ埋めされた週番号 (00-53, 月曜日を週の開始) | 43 (例) |
%c |
ロケールに応じた日付と時刻の表現 | Fri Oct 27 14:30:00 2023 |
%x |
ロケールに応じた日付の表現 | 10/27/23 (例) |
%X |
ロケールに応じた時刻の表現 | 02:30:00 PM (例) |
%% |
リテラルの ‘%’ 文字 | % |
重要な注意点:
%y
は2桁の年を表しますが、2000年以降かどうかの解釈に曖昧さがあるため、特別な理由がない限り%Y
(4桁の年)を使用することを強く推奨します。%m
は月を数値 (01-12)、%b
は月を略称 (Jan, Feb…)、%B
は月をフルネーム (January, February…) で表します。入力文字列が"Oct"
なら%b
、"October"
なら%B
、"10"
なら%m
を使用する必要があります。%H
は24時間表記、%I
は12時間表記です。12時間表記 (%I
) を使う場合は、必ず%p
(AM/PM) も含める必要があります。%f
はマイクロ秒です。入力文字列にミリ秒(3桁)やナノ秒(9桁)が含まれている場合でも、%f
で受け取れますが、マイクロ秒(6桁)として解釈されます。入力が"2023-10-27 14:30:00.123"
(ミリ秒) の場合、フォーマットは"%Y-%m-%d %H:%M:%S.%f"
となります。- 区切り文字 (
-
,/
,:
,など) や
.
(小数点),,
(カンマ) などは、フォーマット文字列にそのまま記述する必要があります。 %A
,%a
,%B
,%b
,%c
,%x
,%X
,%p
などのコードは、実行環境のロケールに依存します。この点が、エラーの隠れた原因となることがあります(後述)。
3.4. 実例による解説
よくあるエラーパターンを具体的なコード例で見てみましょう。
例1:区切り文字の不一致
入力文字列: "2023/10/27"
誤ったフォーマット: "%Y-%m-%d"
“`python
from datetime import datetime
date_string = “2023/10/27”
format_string = “%Y-%m-%d” # スラッシュではなくハイフンになっている
try:
datetime.strptime(date_string, format_string)
except ValueError as e:
print(f”エラー発生: {e}”)
出力例: エラー発生: time data ‘2023/10/27’ does not match format ‘%Y-%m-%d’ (literal does not match format string)
“`
修正方法: フォーマット文字列を入力文字列に合わせて変更します。
python
format_string_correct = "%Y/%m/%d"
date_object = datetime.strptime(date_string, format_string_correct)
print(f"修正後、成功: {date_object}") # 出力例: 修正後、成功: 2023-10-27 00:00:00
例2:月名とコードの不一致、カンマの不足
入力文字列: "Oct 27 2023"
誤ったフォーマット: "%B %d, %Y"
“`python
from datetime import datetime
date_string = “Oct 27 2023”
format_string = “%B %d, %Y” # 月名が略称なのに%B、カンマがないのに,Y
try:
datetime.strptime(date_string, format_string)
except ValueError as e:
print(f”エラー発生: {e}”)
出力例: エラー発生: time data ‘Oct 27 2023’ does not match format ‘%B %d, %Y’ (literal does not match format string)
“`
修正方法:
1. 月名が略称 (Oct
) なので %B
ではなく %b
を使う。
2. 日付の後にカンマ (,
) がないので、フォーマット文字列からも ,
を削除する。
3. 年 (2023
) の前にスペースがあるので、フォーマット文字列でも %d
と %Y
の間にスペースを入れる。
python
format_string_correct = "%b %d %Y" # %bを使用、カンマを削除
date_object = datetime.strptime(date_string, format_string_correct)
print(f"修正後、成功: {date_object}") # 出力例: 修正後、成功: 2023-10-27 00:00:00
※ %b
が "Oct"
に対応するかはロケールに依存します(通常は対応します)。
例3:時刻フォーマットの不一致(12時間 vs 24時間)
入力文字列: "14:30:00 PM"
誤ったフォーマット: "%Y-%m-%d %I:%M:%S %p"
(日付は省略)
“`python
from datetime import datetime
time_string = “14:30:00 PM”
format_string = “%H:%M:%S %p” # 14時は24時間表記(%H)だが、PM(%p)が付いている
try:
# datetimeオブジェクトには日付も必要なので、適当な日付を付けて試す
full_string = f”2023-10-27 {time_string}”
full_format = “%Y-%m-%d %H:%M:%S %p”
datetime.strptime(full_string, full_format)
except ValueError as e:
print(f”エラー発生: {e}”)
出力例: エラー発生: time data ‘2023-10-27 14:30:00 PM’ does not match format ‘%Y-%m-%d %H:%M:%S %p’ (literal does not match format string)
``
%H
**原因**: 24時間表記の(00-23) と、AM/PMを示す
%pは通常一緒に使用しません。
14時は既に24時間表記であり、それに対して
PM` という指定は矛盾しています。
修正方法: 入力文字列が24時間表記であれば %H
を使い、%p
は含めません。入力文字列が12時間表記(例: "02:30:00 PM"
)であれば %I
と %p
をセットで使います。
“`python
入力が24時間表記 + 無効なPM の場合
time_string_correct = “14:30:00”
format_string_correct = “%H:%M:%S”
full_string_correct = f”2023-10-27 {time_string_correct}”
full_format_correct = “%Y-%m-%d %H:%M:%S”
date_object = datetime.strptime(full_string_correct, full_format_correct)
print(f”修正後(24時間表記), 成功: {date_object}”) # 出力例: 修正後(24時間表記), 成功: 2023-10-27 14:30:00
入力が12時間表記 + PM の場合
time_string_12h = “02:30:00 PM”
format_string_12h = “%I:%M:%S %p”
full_string_12h = f”2023-10-27 {time_string_12h}”
full_format_12h = “%Y-%m-%d %I:%M:%S %p”
date_object_12h = datetime.strptime(full_string_12h, full_format_12h)
print(f”修正後(12時間表記), 成功: {date_object_12h}”) # 出力例: 修正後(12時間表記), 成功: 2023-10-27 14:30:00
“`
例4:ミリ秒/マイクロ秒の扱い
入力文字列: "2023-10-27 14:30:00.123"
(ミリ秒)
誤ったフォーマット: "%Y-%m-%d %H:%M:%S"
(小数部分がない)
“`python
from datetime import datetime
date_string = “2023-10-27 14:30:00.123”
format_string = “%Y-%m-%d %H:%M:%S” # ミリ秒部分が欠けている
try:
datetime.strptime(date_string, format_string)
except ValueError as e:
print(f”エラー発生: {e}”)
出力例: エラー発生: unconverted data remains: .123 (literal does not match format string)
``
%S
**原因**:の後に
.123という未解析のデータが残っています。エラーメッセージが
unconverted data remains` となることもありますが、これも「literal does not match format string」の派生形と考えられます。
修正方法: ミリ秒/マイクロ秒を表す %f
をフォーマット文字列に加えます。%f
は入力が3桁のミリ秒でも、6桁のマイクロ秒でも受け付けます。
python
format_string_correct = "%Y-%m-%d %H:%M:%S.%f"
date_object = datetime.strptime(date_string, format_string_correct)
print(f"修正後、成功: {date_object}") # 出力例: 修正後、成功: 2023-10-27 14:30:00.123000
例5:ISO 8601 フォーマット
Web APIなどでよく使われるISO 8601フォーマット ("YYYY-MM-DDTHH:MM:SS.ffffff+HH:MM"
または "YYYY-MM-DDTHH:MM:SS.ffffffZ"
) は、標準的ですが、タイムゾーン情報 (Z
や +HH:MM
) の扱いに注意が必要です。
入力文字列: "2023-10-27T14:30:00Z"
誤ったフォーマット: "%Y-%m-%dT%H:%M:%SZ"
(タイムゾーンオフセットの %z
ではなく静的な Z
を使用)
“`python
from datetime import datetime
date_string = “2023-10-27T14:30:00Z”
このケースは、多くの環境でたまたま成功することがありますが、厳密には %z を使うべきです。
タイムゾーン部分の扱いによってはエラーになることもあります。
format_string = “%Y-%m-%dT%H:%M:%SZ”
try:
# Python 3.11以降では %Z がタイムゾーン名、%z がオフセットに対応しますが、
# ‘Z’ (UTC) は標準的なタイムゾーン名ではないため、%Zでは直接扱えません。
# ISO 8601の ‘Z’ は UTC+00:00 を示すため、%z コードが適切です。
# ただし、strptimeは %z に ‘+0000’ や ‘-0000′ を期待するため、’Z’ そのものとはマッチしません。
# ISO 8601パーサーを使うのが最も確実です。
# ここでは、strftimeとの対応がずれる可能性を示すため、あえて静的なZで試します。
date_object = datetime.strptime(date_string, format_string)
print(f”成功 (静的Z): {date_object}”) # 多くの場合、成功する
except ValueError as e:
print(f”エラー発生: {e}”)
正しいISO 8601パーシングのためには、Python 3.11+ なら %z を使いたいが、
strptimeは ‘Z’ を %z として解釈しない。
dateutil ライブラリの使用が推奨される。
“`
strptime
でISO 8601の Z
を直接パースするのは少し面倒です。Z
はタイムゾーンオフセット +0000
と等価ですが、strptime
は静的な Z
を %z
とはマッチさせません。タイムゾーン情報を含むISO 8601文字列を確実にパースするには、後述する dateutil
ライブラリを使用するのが最も簡単で堅牢な方法です。
3.5. ロケールの問題と解決策
前述の通り、%a
, %A
, %b
, %B
, %c
, %x
, %X
, %p
といったフォーマットコードは、プログラムが実行されている環境のロケールに依存します。ロケールとは、言語や地域に合わせた書式設定(日付、時刻、通貨、数値の区切りなど)の集合です。
例えば、日本語環境 (ja_JP
) では %B
は “1月”, “2月”, … “12月” となります。英語環境 (en_US
) では “January”, “February”, … “December” となります。
入力文字列が "October 27, 2023"
で、フォーマット文字列が "%B %d, %Y"
の場合、もし実行環境のロケールが日本語 (ja_JP
) に設定されていると、strptime
は %B
に対して「10月」のような文字列を期待します。しかし入力は "October"
なので、ValueError
(literal does not match format string) が発生します。
解決策:
1. 入力文字列の言語と一致するロケールを設定する: Pythonの locale
モジュールを使用して、strptime
を呼び出す前に適切なロケールを設定します。
```python
import locale
from datetime import datetime
date_string = "October 27, 2023"
format_string = "%B %d, %Y"
# 現在のロケールを保存しておく (元の設定に戻すため)
original_locale = locale.getlocale(locale.LC_TIME) # 時刻関連のロケールを取得
try:
# ロケールを英語に設定 (環境にインストールされている必要がある)
# 環境によっては 'en_US.utf8', 'English_United States.1252' などと指定する必要がある
locale.setlocale(locale.LC_TIME, 'en_US.UTF-8')
date_object = datetime.strptime(date_string, format_string)
print(f"ロケール設定後、成功: {date_object}")
except locale.Error as e:
print(f"エラー: ロケール設定に失敗しました - {e}")
print("指定したロケール名が環境に存在するか確認してください。")
except ValueError as e:
print(f"エラー発生: {e}")
finally:
# 処理が終わったら元のロケールに戻す
if original_locale != (None, None):
locale.setlocale(locale.LC_TIME, original_locale)
# もしロケール設定なしで試すとエラーになる場合(日本語環境など)
# try:
# # ロケール設定なしで再度試行(現在のロケールで実行)
# date_object_jp = datetime.strptime(date_string, format_string)
# print(f"ロケール設定なし、成功: {date_object_jp}")
# except ValueError as e:
# print(f"ロケール設定なしでエラー: {e}") # 日本語環境ならここでエラーになる
```
`locale.setlocale()` の第二引数に指定するロケール名は、OSにインストールされている必要があります。利用可能なロケール名はシステムによって異なります。`locale.getlocale()` や `locale.getdefaultlocale()` で確認できます。
- ロケールに依存しないフォーマットコードを使用する: 可能であれば、
%B
や%A
のようなロケール依存のコードを避け、%m
(月番号) や%d
(日番号) のようなロケール非依存のコードを使用するフォーマット形式で入力データを受け取るようにします。 - ロケール問題を自動で吸収するライブラリを使用する: 後述する
dateutil
のようなライブラリは、複数のロケールやフォーマットを自動的に試行してくれるため、ロケール問題を回避するのに有効です。
3.6. 複数のフォーマット形式に対応する必要がある場合
アプリケーションが、複数の異なる日付/時刻フォーマットの文字列を受け取る可能性がある場合、単純に一つのフォーマット文字列を strptime
に指定するだけでは対応できません。このような場合は、以下の方法が考えられます。
-
複数のフォーマットを順番に試す: 考えられるフォーマット文字列のリストを用意し、上から順番に
strptime
を試します。成功した時点で変換を完了し、全てのフォーマットで失敗した場合にエラーとします。“`python
from datetime import datetimedate_string = “2023/10/27” # または “10-27-2023” または “Oct 27, 2023” など
possible_formats = [
“%Y/%m/%d”,
“%m-%d-%Y”,
“%b %d, %Y”,
# 他の可能性のあるフォーマットを追加
]parsed_date = None
for fmt in possible_formats:
try:
parsed_date = datetime.strptime(date_string, fmt)
print(f”‘{date_string}’ をフォーマット ‘{fmt}’ でパース成功: {parsed_date}”)
break # 成功したらループを抜ける
except ValueError:
# このフォーマットでは一致しなかっただけなので、エラーは出力しない
passif parsed_date is None:
print(f”エラー: ‘{date_string}’ はどの既知のフォーマットとも一致しませんでした。”)
``
“01/02/03”
この方法は比較的シンプルですが、試行するフォーマットが増えると効率が低下します。また、曖昧なフォーマット(例:が
MM/DD/YYなのか
DD/MM/YYなのか
YY/MM/DD` なのか)があると、意図しないフォーマットでパースされてしまうリスクがあります。 -
正規表現などで事前にフォーマットを特定する: 入力文字列を正規表現でパターンマッチングし、どのフォーマットに近いかを推測してから
strptime
に渡すフォーマットを決定します。これは非常に複雑になりがちで、メンテナンスも困難です。 -
高機能な日付パースライブラリを使用する (
dateutil
推奨): Python標準ライブラリのdatetime
は厳密なフォーマットマッチングを行いますが、より柔軟なパースを目的とした外部ライブラリが存在します。中でもdateutil
は広く使われており、特にdateutil.parser.parse()
関数は、フォーマット文字列を指定しなくても、様々な形式の日付/時刻文字列を自動的に解析しようとします。“`python
dateutil ライブラリは標準ではないため、インストールが必要です
pip install python-dateutil
from dateutil.parser import parse
date_string1 = “2023/10/27”
date_string2 = “10-27-2023”
date_string3 = “Oct 27, 2023”
date_string4 = “2023-10-27T14:30:00Z” # ISO 8601 も得意try:
print(f”‘{date_string1}’ をパース: {parse(date_string1)}”)
print(f”‘{date_string2}’ をパース: {parse(date_string2)}”)
print(f”‘{date_string3}’ をパース: {parse(date_string3)}”)
print(f”‘{date_string4}’ をパース: {parse(date_string4)}”)
# 出力例:
# ‘2023/10/27′ をパース: 2023-10-27 00:00:00
# ’10-27-2023’ をパース: 2023-10-27 00:00:00
# ‘Oct 27, 2023’ をパース: 2023-10-27 00:00:00
# ‘2023-10-27T14:30:00Z’ をパース: 2023-10-27 14:30:00+00:00# 曖昧な日付のデフォルト順序を指定することも可能 (例: dayfirst=True, yearfirst=True) print(f"'01/02/03' (MDY想定): {parse('01/02/03')}") # デフォルトはMDYが多い print(f"'01/02/03' (DMY想定): {parse('01/02/03', dayfirst=True)}")
except Exception as e:
print(f”パースエラー: {e}”)
``
dateutil.parser.parse()は非常に強力で、多くの一般的な日付/時刻形式を自動的に解釈してくれます。ISO 8601形式やタイムゾーン情報のパースも容易に行えます。ただし、完全に未知の、あるいは非常に特殊な形式には対応できない場合があります。また、曖昧な形式に対しては
dayfirst,
yearfirstなどの引数でデフォルトの解釈順序を指定できます。可能な限り
dateutil` の使用を検討すると良いでしょう。
4. 他のデータ型での発生(Python int
, float
変換など)
「literal does not match format string」という直接的なエラーメッセージは主に日付/時刻の変換で発生しますが、概念としては他のデータ型の変換でも同様の問題が起こり得ます。例えば、文字列を数値に変換する際に、期待する数値形式と異なる文字列が入力された場合です。
Pythonで文字列を整数 (int
) や浮動小数点数 (float
) に変換するには、組み込みの int()
や float()
関数を使用します。
“`python
整数への変換
num_string_int = “123”
num_int = int(num_string_int) # 成功
失敗例: 数値以外の文字が含まれている
num_string_fail_int = “123a”
try:
int(num_string_fail_int)
except ValueError as e:
print(f”int() 変換エラー: {e}”)
出力例: int() 変換エラー: invalid literal for int() with base 10: ‘123a’
失敗例: 小数点が含まれている
num_string_fail_int_float = “123.45”
try:
int(num_string_fail_int_float)
except ValueError as e:
print(f”int() 変換エラー: {e}”)
出力例: int() 変換エラー: invalid literal for int() with base 10: ‘123.45’
浮動小数点数への変換
num_string_float = “123.45”
num_float = float(num_string_float) # 成功
失敗例: 数値や小数点以外の文字が含まれている
num_string_fail_float = “123.45b”
try:
float(num_string_fail_float)
except ValueError as e:
print(f”float() 変換エラー: {e}”)
出力例: float() 変換エラー: could not convert string to float: ‘123.45b’
失敗例: 通貨記号やカンマが含まれている (ロケール設定なしの場合)
num_string_currency = “$1,234.56″
try:
float(num_string_currency)
except ValueError as e:
print(f”float() 変換エラー: {e}”)
出力例: float() 変換エラー: could not convert string to float: ‘$1,234.56’
“`
これらのエラーメッセージは「invalid literal for int()」や「could not convert string to float」となり、「literal does not match format string」とは異なります。しかし、根本原因は「入力文字列(literal)が、変換先のデータ型が期待する形式と一致しない」という点にあります。
対処法
数値変換における同様の問題に対処するには、以下の方法があります。
- 入力文字列の前処理: 変換前に、不要な文字(通貨記号、カンマ、スペースなど)を
str.replace()
などのメソッドで除去します。
python
num_string_cleaned = "$1,234.56".replace('$', '').replace(',', '')
try:
num_float_cleaned = float(num_string_cleaned)
print(f"クリーニング後、成功: {num_float_cleaned}") # 出力例: クリーニング後、成功: 1234.56
except ValueError as e:
print(f"クリーニング後もエラー: {e}") -
locale
モジュールとlocale.atof()
/locale.atoi()
の使用: 通貨記号や数値の区切り文字はロケールによって異なります。locale.atof()
やlocale.atoi()
を使用すると、現在のロケール設定に基づいた形式で数値文字列をパースできます。“`python
import localelocale.setlocale(locale.LC_NUMERIC, ‘en_US.UTF-8’) # 数値関連のロケールを英語に設定
num_string_locale = “$1,234.56″
try:
# atofはロケール設定に従ってパースする
num_float_locale = locale.atof(num_string_locale.replace(‘$’, ”)) # 通貨記号だけ除去
print(f”ロケールatofで成功: {num_float_locale}”) # 出力例: ロケールatofで成功: 1234.56
except ValueError as e:
print(f”ロケールatofでエラー: {e}”)
finally:
# ロケールを元に戻す
locale.setlocale(locale.LC_NUMERIC, ”)
``
try-except
* **ブロックによるエラーハンドリング**: 変換が失敗する可能性がある場合は、必ず
try-except ValueError` ブロックで囲み、エラーが発生した場合の処理(ユーザーへの通知、ログ記録、デフォルト値の使用など)を記述します。
5. データベース(SQL)での発生
データベースシステムでも、文字列から日付/時刻型への変換は頻繁に行われます。この際も、指定したフォーマットと入力文字列が一致しない場合にエラーが発生します。エラーメッセージや関数名はデータベースの種類によって異なりますが、問題の根源は同じです。
主要なデータベースシステムでの例を見てみましょう。
PostgreSQL
PostgreSQLでは TO_DATE()
や TO_TIMESTAMP()
関数を使用します。
TO_DATE(text, format)
TO_TIMESTAMP(text, format)
text
: 変換したい入力文字列format
: 入力文字列の形式を示すフォーマット文字列
PostgreSQLのフォーマットコードはPythonとは異なります(例えば、年は YYYY
、月は MM
、日は DD
、時は HH24
や HH
と AM/PM
など)。
例:
入力文字列: '2023/10/27'
フォーマット文字列: 'YYYY-MM-DD'
“`sql
— PostgreSQL 失敗例
SELECT TO_DATE(‘2023/10/27’, ‘YYYY-MM-DD’);
— エラー例: ERROR: literal does not match format string …
— PostgreSQL 成功例
SELECT TO_DATE(‘2023/10/27’, ‘YYYY/MM/DD’);
— 結果例: “2023-10-27” (date型)
“`
入力文字列: 'Oct 27 2023'
フォーマット文字列: 'Mon DD YYYY'
(Mon
は略称月名)
“`sql
— PostgreSQL 失敗例: カンマがないのにフォーマットにある
SELECT TO_DATE(‘Oct 27 2023’, ‘Mon DD, YYYY’);
— エラー例: ERROR: literal does not match format string …
— PostgreSQL 成功例
SELECT TO_DATE(‘Oct 27 2023’, ‘Mon DD YYYY’);
— 結果例: “2023-10-27” (date型)
“`
MySQL
MySQLでは STR_TO_DATE()
関数を使用します。
STR_TO_DATE(string, format)
string
: 変換したい入力文字列format
: 入力文字列の形式を示すフォーマット文字列
MySQLのフォーマットコードも独自です(例えば、年は %Y
または %y
、月は %m
または %M
または %b
、日は %d
または %e
、時は %H
または %h
と %p
など)。Pythonのフォーマットコードに比較的似ていますが、全く同じではありません。
例:
入力文字列: '2023/10/27'
フォーマット文字列: '%Y-%m-%d'
“`sql
— MySQL 失敗例
SELECT STR_TO_DATE(‘2023/10/27’, ‘%Y-%m-%d’);
— 結果例: NULL (エラーとして返る場合とNULLになる場合がある)
— MySQL 成功例
SELECT STR_TO_DATE(‘2023/10/27’, ‘%Y/%m/%d’);
— 結果例: “2023-10-27” (datetime型またはdate型)
“`
入力文字列: 'Oct 27, 2023'
フォーマット文字列: '%b %d, %Y'
sql
-- MySQL 成功例
SELECT STR_TO_DATE('Oct 27, 2023', '%b %d, %Y');
-- 結果例: "2023-10-27"
Oracle Database
Oracleでは TO_DATE()
や TO_TIMESTAMP()
関数を使用します。
TO_DATE(char, fmt)
TO_TIMESTAMP(char, fmt)
char
: 変換したい入力文字列fmt
: 入力文字列の形式を示すフォーマット文字列
Oracleのフォーマットコードも独自です(例えば、年は YYYY
、月は MM
または MON
または MONTH
、日は DD
、時は HH24
または HH
と AM/PM
など)。PostgreSQLに似ています。
例:
入力文字列: '2023/10/27'
フォーマット文字列: 'YYYY-MM-DD'
“`sql
— Oracle 失敗例
SELECT TO_DATE(‘2023/10/27’, ‘YYYY-MM-DD’) FROM dual;
— エラー例: ORA-01861: literal does not match format string
— Oracle 成功例
SELECT TO_DATE(‘2023/10/27’, ‘YYYY/MM/DD’) FROM dual;
— 結果例: 27-OCT-23 (デフォルト表示形式による)
“`
入力文字列: 'Oct 27, 2023'
フォーマット文字列: 'Mon DD, YYYY'
sql
-- Oracle 成功例
SELECT TO_DATE('Oct 27, 2023', 'Mon DD, YYYY') FROM dual;
-- 結果例: 27-OCT-23
Oracleの MON
は略称月名 (JAN
, FEB
, …, DEC
) に対応します。入力文字列が小文字 (oct
) の場合でも、通常はデフォルト設定で大文字小文字を区別しないため成功しますが、厳密にはロケールや設定に依存します。
対処法(SQL)
データベースにおける「literal does not match format string」エラーへの対処法は、基本的にプログラミング言語の場合と同じです。
- 入力文字列とフォーマット文字列の厳密な比較: SQLクエリを実行する前に、変換しようとしている入力文字列と、
TO_DATE
/STR_TO_DATE
関数などで指定しているフォーマット文字列を並べて、一文字ずつ比較します。 - データベースのドキュメントを確認: 使用しているデータベースシステム(PostgreSQL, MySQL, Oracle, SQL Serverなど)の公式ドキュメントを参照し、日付/時刻フォーマットコードの正確な定義を確認します。データベースごとにコードが異なるため、特に注意が必要です。
- SQLクライアントでのテスト: 実際に本番環境で実行する前に、データベースクライアントツール(psql, mysql, SQL Developerなど)で簡単な
SELECT
文を使って変換テストを行います。 - ロケール/NLS_DATE_FORMAT設定の確認: データベースの言語設定や日付書式設定(Oracleの
NLS_DATE_FORMAT
など)が、フォーマットコードの解釈やデフォルトの入力形式に影響する場合があります。必要に応じてこれらの設定も確認します。 - 入力データのクレンジング: アプリケーション側でSQLを実行する前に、入力文字列の余分なスペースを除去したり、既知のパターンに整形したりする前処理を行うと、SQL側でのエラーを防ぎやすくなります。
6. 他の言語での類似エラー
PythonやSQLだけでなく、日付/時刻文字列をパースする機能を持つ多くのプログラミング言語で、同様の「フォーマット不一致」によるエラーが発生します。エラーメッセージは異なりますが、原因と対処法の考え方は共通です。
Java
Javaでは java.text.SimpleDateFormat
クラスを使用して日付/時刻文字列のフォーマットとパースを行います。
SimpleDateFormat format = new SimpleDateFormat("yyyy-MM-dd");
Date date = format.parse("2023-10-27");
フォーマット文字列はパターン文字(y
for year, M
for month, d
for day, H
for hour (0-23), m
for minute, s
for secondなど)で構成されます。
例:
入力文字列: "2023/10/27"
誤ったフォーマット: "yyyy-MM-dd"
“`java
import java.text.SimpleDateFormat;
import java.text.ParseException;
import java.util.Date;
public class DateParseExample {
public static void main(String[] args) {
String dateString = “2023/10/27”;
String formatString = “yyyy-MM-dd”; // スラッシュではなくハイフン
SimpleDateFormat formatter = new SimpleDateFormat(formatString);
try {
Date date = formatter.parse(dateString);
System.out.println("Parse successful: " + date);
} catch (ParseException e) {
// ParseException が発生し、メッセージに不一致の情報が含まれる
System.err.println("Parse failed: " + e.getMessage());
// エラーメッセージ例: Unparseable date: "2023/10/27"
}
}
}
``
ParseException` がスローされ、「Unparseable date: [入力文字列]」のようなメッセージが表示されます。これは Python の「literal does not match format string」と全く同じ種類の問題です。
Javaでは
C# (.NET)
C#では System.DateTime
構造体の ParseExact()
または TryParseExact()
メソッドを使用します。
DateTime date = DateTime.ParseExact("2023-10-27", "yyyy-MM-dd", CultureInfo.InvariantCulture);
フォーマット文字列はカスタム日付と時刻の書式指定文字列(yyyy
for year, MM
for month, dd
for day, HH
for hour (0-23), mm
for minute, ss
for secondなど)で構成されます。JavaやPythonとまた異なります。
例:
入力文字列: "2023/10/27"
誤ったフォーマット: "yyyy-MM-dd"
“`csharp
using System;
using System.Globalization;
public class DateParseExample
{
public static void Main(string[] args)
{
string dateString = “2023/10/27”;
string formatString = “yyyy-MM-dd”; // スラッシュではなくハイフン
try
{
// ParseExact は失敗すると FormatException をスロー
DateTime date = DateTime.ParseExact(dateString, formatString, CultureInfo.InvariantCulture);
Console.WriteLine("Parse successful: " + date);
}
catch (FormatException e)
{
// FormatException が発生し、メッセージに不一致の情報が含まれる
Console.Error.WriteLine("Parse failed: " + e.Message);
// エラーメッセージ例: String was not recognized as a valid DateTime.
}
// TryParseExact を使うと例外を回避できる
DateTime parsedDate;
if (DateTime.TryParseExact(dateString, formatString, CultureInfo.InvariantCulture, DateTimeStyles.None, out parsedDate))
{
Console.WriteLine("TryParseExact successful: " + parsedDate);
}
else
{
Console.Error.WriteLine("TryParseExact failed: String did not match format.");
}
}
}
``
FormatException
C#ではがスローされ、「String was not recognized as a valid DateTime.」のようなメッセージが表示されます。これもまた、フォーマット不一致を示すエラーです。
TryParseExact` は例外を投げずに bool 値で成否を返すため、エラーハンドリングがしやすいです。
共通点と対処法の考え方
これらの言語における類似エラーは、すべて「入力文字列が、変換関数に指定された形式パターンと完全に一致しない」という根源的な問題に起因します。
対処法の考え方も共通しており、以下のステップで行います。
- エラーメッセージを確認: どのメソッドや関数でエラーが発生しているか、エラーメッセージは具体的に何を伝えているかを確認します。
- 入力文字列とフォーマットパターンの比較: エラーが発生した箇所で使用されている入力文字列と、その変換時に指定されたフォーマットパターン(文字列)を並べて、一文字ずつ、要素ごとに比較します。
- ドキュメントの参照: 使用している言語やライブラリの公式ドキュメントを参照し、フォーマットパターンの定義(使用できる記号やその意味、大文字小文字の区別、エスケープ方法など)を確認します。
- デバッグツールの活用: IDEのデバッガなどを使用して、変換直前の入力文字列とフォーマット文字列の正確な値を確認します。
- ロケール/カルチャ設定の確認: 月名、曜日名、AM/PM、数値の区切り文字などが関係する場合は、プログラムの実行環境のロケールやカルチャ設定が、入力文字列の言語や書式と一致しているかを確認します。一致しない場合は、適切な設定を行うか、ロケールに依存しない変換方法を検討します。
- エラーハンドリング: 予期しないフォーマットの入力があった場合でもプログラムがクラッシュしないように、適切なエラーハンドリング(
try-catch
やTryParseExact
のような安全なパースメソッドの使用)を実装します。
7. 予防策:エラーを未然に防ぐために
「literal does not match format string」エラーは、一度発生すると原因特定と修正に手間がかかることがあります。しかし、いくつかの予防策を講じることで、エラーの発生頻度を大幅に減らすことが可能です。
- 入力データのフォーマット仕様を明確にする:
- ファイル、API、データベース、ユーザー入力など、データの取得元から受け取る日付/時刻文字列がどのようなフォーマットで来るのかを事前に、かつ具体的に把握しておきます。仕様書がある場合はそれを確認し、ない場合はデータ提供者と密に連携して確認します。
- 受け取る可能性のある全てのフォーマットパターンをリストアップします。
- 可能な限り標準的なフォーマットを使用するように依頼する:
- データ提供側に対して、可能な限りISO 8601 (
YYYY-MM-DDTHH:MM:SS.ffffff
やYYYY-MM-DDTHH:MM:SSZ
など) のような国際標準のフォーマットを使用してもらうように依頼します。ISO 8601は機械的なパースに適しており、多くのライブラリが高精度で対応しています(dateutil
など)。
- データ提供側に対して、可能な限りISO 8601 (
-
プログラム内で使用するフォーマット文字列を定数として定義し、一貫性を保つ:
- マジックストリングとしてコード中に散らばらせるのではなく、使用するフォーマット文字列はプログラムの先頭や設定ファイルなどに定数や変数としてまとめて定義します。これにより、 typo や不一致を防ぎやすくなります。
“`python
定義例
DATE_FORMAT_ISO = “%Y-%m-%d”
DATETIME_FORMAT_WITH_SECONDS = “%Y-%m-%d %H:%M:%S”
DATETIME_FORMAT_ISO_Z = “%Y-%m-%dT%H:%M:%SZ” # 静的な’Z’の場合使用例
date_object = datetime.strptime(date_string, DATE_FORMAT_ISO)
``
try-except
4. **入力データのバリデーションを強化する**:
* データを処理する前に、入力文字列が期待するフォーマットのいずれかに合致するかを事前にチェックする機構を設けます。
*ブロックを使用して変換を試み、失敗した場合はエラーとして扱うのではなく、データが無効であると判断し、スキップしたりログに記録したりする処理を行います。
dateutil` など)の導入を検討します。
5. **単体テストを書く**:
* 日付/時刻文字列のパース処理に対して、様々な有効な入力データ(異なるフォーマット、境界値など)と無効な入力データ(誤ったフォーマット、無効な日付など)を用意して単体テストを書きます。これにより、潜在的な問題を開発段階で発見できます。
6. **ロケール依存の処理に注意する**:
* 月名や曜日名を含むフォーマットを扱う場合は、ロケールが問題にならないか常に意識します。実行環境のロケールが制御できない場合や、様々なロケールからの入力が予想される場合は、ロケールに依存しないフォーマットを使用するか、複数のロケールを試せるライブラリ( - マジックストリングとしてコード中に散らばらせるのではなく、使用するフォーマット文字列はプログラムの先頭や設定ファイルなどに定数や変数としてまとめて定義します。これにより、 typo や不一致を防ぎやすくなります。
これらの予防策を実践することで、「literal does not match format string」エラーに遭遇するリスクを大幅に低減し、より堅牢なプログラムを作成することができます。
8. まとめ:焦らず、正確なマッチングを心がける
「literal does not match format string」エラーは、特に日付/時刻の文字列変換において、多くの開発者が遭遇する一般的なエラーです。このエラーの本質は、変換しようとしている入力文字列の形式が、指定したフォーマット文字列のパターンと完全に一致しないことにあります。
このエラーに遭遇した場合、最も重要な対処法は、焦らずに、入力文字列とフォーマット文字列を並べて徹底的に比較することです。一文字の不一致や、目に見えないスペース、大文字小文字の違い、区切り文字の種類と個数などが原因でエラーは発生します。Pythonのstrptime()
、SQLのTO_DATE()
/STR_TO_DATE()
、JavaのSimpleDateFormat
、C#のParseExact()
など、使用している言語やシステムに応じたフォーマットコードやパターン規則を正確に理解することが不可欠です。各プラットフォームの公式ドキュメントを参照し、正しい記号と構文を使用しているか確認しましょう。
具体的なデバッグ手法としては、入力文字列とフォーマット文字列を変換処理の直前で出力して目視確認したり、デバッガを使って変数の値を確認したりすることが有効です。ロケールに依存するフォーマットを使用している場合は、実行環境のロケール設定もエラーの原因となりうるため注意が必要です。複数のフォーマットに対応する必要がある場合は、try-except
による順番試行や、dateutil
のような柔軟なパースライブラリの利用が有効な解決策となります。
また、エラーが発生してから対処するだけでなく、入力データの仕様を明確に把握する、標準的なフォーマットを推奨する、フォーマット文字列を定数化する、入力バリデーションを行う、テストを書くといった予防策を講じることで、そもそもエラーが発生しにくいシステムを構築できます。
このエラーは、決して複雑なアルゴリズムの間違いなどではなく、入力と期待値の単純な(しかし見落としやすい)不一致によるものです。落ち着いて、正確なマッチングを意識して確認作業を行えば、必ず原因を特定し、解決にたどり着くことができるでしょう。
9. 付録:Python datetime
フォーマットコード一覧(再掲)
参考のため、Python datetime.strptime()
および strftime()
でよく使用されるフォーマットコードの一部を再度掲載します。
コード | 意味 | 例 (en_US ロケール) |
---|---|---|
%Y |
4桁の年 | 2023 |
%y |
ゼロ埋めされた2桁の年 (00-99) | 23 (非推奨) |
%m |
ゼロ埋めされた2桁の月 (01-12) | 10 |
%d |
ゼロ埋めされた2桁の日 (01-31) | 27 |
%H |
ゼロ埋めされた24時間表記の時 (00-23) | 14 |
%I |
ゼロ埋めされた12時間表記の時 (01-12) | 02 |
%p |
ロケールに応じた午前/午後 (AM/PM) | PM |
%M |
ゼロ埋めされた2桁の分 (00-59) | 30 |
%S |
ゼロ埋めされた2桁の秒 (00-61) | 00 |
%f |
マイクロ秒 (000000-999999) | 123456 |
%A |
ロケールに応じた曜日のフルネーム | Friday |
%a |
ロケールに応じた曜日の略称 | Fri |
%B |
ロケールに応じた月名のフルネーム | October |
%b |
ロケールに応じた月名の略称 | Oct |
%Z |
タイムゾーン名 (存在する場合) | EST , JST |
%z |
UTCからのオフセット (+HHMM or -HHMM ) |
-0500 , +0900 |
%j |
ゼロ埋めされた年間の通算日 (001-366) | 300 |
%c |
ロケールに応じた日付と時刻の表現 | Fri Oct 27 14:30:00 2023 |
%x |
ロケールに応じた日付の表現 | 10/27/23 (例) |
%X |
ロケールに応じた時刻の表現 | 02:30:00 PM (例) |
%% |
リテラルの ‘%’ 文字 | % |
完全なリストや詳細な説明は、Pythonの公式ドキュメント(datetime
モジュール)を参照してください。
これで、「literal does not match format string」エラーの詳細な対処法に関する約5000語の記事は完成です。