これでわかる!ベトナムEビザのすべて(申請・対象国・期間)

これでわかる!ベトナムEビザのすべて(申請・対象国・期間)

ベトナムへの旅行を計画中の皆さん、こんにちは!美しい自然、美味しい食事、活気あふれる街並みと、ベトナムには訪れるべき魅力が満載です。そんなベトナムへの入国が、以前にも増して便利になっていることをご存知でしょうか?その鍵となるのが「ベトナムEビザ」です。

かつては、ベトナムへの入国には、条件を満たせばビザ免除、または大使館での申請やアライバルビザといった選択肢がありました。しかし、近年導入・拡充されたEビザ制度により、オンラインで手軽にビザを取得し、スムーズに入国できるようになりました。

特に2023年8月15日からは、Eビザの対象国が大幅に拡大され、有効期間も最長90日と長期滞在が可能になるなど、旅行者にとってさらに利用しやすい制度へと進化しています。

「Eビザって何?」「どうやって申請するの?」「私でも使えるの?」といった疑問をお持ちの方も多いはずです。この記事では、そんなベトナムEビザに関する「すべて」を、初心者の方にも分かりやすく、そして詳細に解説していきます。申請方法のステップバイステップガイドから、対象国、有効期間、知っておくべき注意点、さらには最新情報まで、この記事一つでベトナムEビザに関するあらゆる情報を網羅することを目指します。

ベトナム旅行をより快適に、よりスムーズにするために、ぜひこの記事を最後までお読みください。

1. ベトナムEビザとは?導入の背景とメリット

1-1. Eビザの定義:電子ビザとは

ベトナムEビザとは、その名の通り「Electronic Visa(電子ビザ)」の略称です。従来の紙のビザとは異なり、オンライン上で申請手続きを行い、承認されれば電子ファイルとして発行されるビザのことです。パスポートに物理的なスタンプやステッカーが貼られるのではなく、電子的に管理されます。

1-2. Eビザ導入の背景と目的

ベトナム政府がEビザ制度を導入した背景には、主に以下の目的があります。

  • 観光振興: より多くの外国人観光客を誘致するため、ビザ取得手続きの簡素化を図る。
  • 利便性向上: 旅行者が大使館や領事館に出向くことなく、自宅やオフィスから手軽に申請できるようにする。
  • 入国管理の効率化: 電子化により、入国審査のスピードアップと管理体制の強化を図る。
  • 国際標準への適合: 世界的に電子ビザが普及している流れに乗り、利便性の高い入国システムを構築する。

1-3. 従来のビザ制度との比較:何が違うの?

従来のベトナムへの入国方法には、主に以下のものがありました。

  • ビザ免除: 特定の国籍のパスポート保持者は、定められた期間内であればビザなしで滞在可能でした(例:日本国籍は15日以内)。
  • 大使館/領事館でのビザ申請: 各国のベトナム大使館または領事館に出向き、申請書類を提出してビザを取得する方法です。手続きに時間がかかり、遠方の場合には物理的な負担も伴いました。
  • アライバルビザ(到着ビザ): 事前に「ビザ発給許可証(Approval Letter)」を取得しておき、ベトナム到着時の空港でビザを発給してもらう方法です。許可証の事前手配が必要で、空港での手続きにも時間がかかる可能性がありました。

これに対し、Eビザはこれらの方法と比較して以下のメリットがあります。

  • オンライン完結: 申請から取得まで全てオンラインで行えます。
  • 場所を選ばない: インターネット環境があれば、どこからでも申請できます。
  • 時間の節約: 大使館への移動や待ち時間が不要です。アライバルビザのように許可証の手配も不要です。
  • 比較的迅速: 通常、数営業日で結果が出ます(ただし、遅延の可能性もあります)。
  • 透明性の向上: 申請状況をオンラインで確認できます。

Eビザは、特に短期から中期(最長90日)の観光や短期商用目的での渡航を計画している方にとって、最も手軽で便利な選択肢と言えるでしょう。

2. ベトナムEビザの対象国

ベトナムEビザの最大の進化の一つが、対象国の劇的な拡大です。

2-1. 2023年8月15日以降の対象国リスト

2023年8月15日より、ベトナムEビザの対象国は、従来の80ヶ国から世界ほぼ全ての国と地域(259ヶ国・地域)に拡大されました。これにより、多くの国のパスポート保持者がオンラインでのEビザ申請を利用できるようになりました。

主要な対象国(例:日本に関連する国)

  • 日本
  • 韓国
  • 中国 (台湾・香港・マカオを含む)
  • アメリカ
  • カナダ
  • オーストラリア
  • ニュージーランド
  • イギリス
  • EU加盟国 (フランス, ドイツ, イタリア, スペインなど)
  • ASEAN諸国
  • その他、世界中の多くの国々

重要な注意点:
正確な最新の対象国リストは、ベトナム公安省の公式Eビザ申請サイトで確認することをお勧めします。ご自身のパスポート発行国が対象かどうかは、必ず公式情報を参照してください。

2-2. 対象国ではない場合の選択肢

もしご自身のパスポート発行国がEビザの対象外である場合、またはEビザの目的(観光、短期商用など)や滞在期間(90日超)が合わない場合は、以下の選択肢を検討する必要があります。

  • ビザ免除: 対象国かつ規定期間内であればビザ免除が適用されます。日本のパスポート保持者は、現在、特定の条件(※)を満たせば15日以内の滞在についてビザ免除が適用されます。
    • ※ ビザ免除を連続して利用する場合、前回のベトナム出国から30日以上経過している必要があります。ただし、Eビザや他のビザを取得して入国した場合は、この30日の制限はありません。
  • ベトナム大使館/領事館での申請: 観光、商用、留学、就労など、目的に合わせた各種ビザを、お近くのベトナム大使館または領事館で申請します。
  • アライバルビザ(許可証の事前取得が必要): 特殊なケースでの利用となります。事前にベトナムの受入機関などを通じて公安省等から「ビザ発給許可証」を取得し、ベトナム到着空港でビザを申請・受領する方法です。Eビザが導入された現在、多くの場合Eビザの方が手軽です。

ご自身の状況に最適な入国方法を選択するために、事前に大使館や信頼できる情報源で最新のビザ情報を確認することが重要です。

3. ベトナムEビザで可能な滞在期間と種類

Eビザ制度のもう一つの大きな改善点が、滞在期間の延長とエントリータイプ(シングル/マルチプル)の選択肢の追加です。

3-1. 最長90日の滞在が可能に

2023年8月15日より、Eビザの有効期間が最長90日となりました。従来の30日から大幅に延長されたことで、より長期のベトナム滞在を計画しやすくなりました。観光や知人・家族訪問、あるいは長期の語学研修など、様々な目的でEビザを活用できるようになりました。

3-2. シングルエントリーとマルチプルエントリー

Eビザ申請時、以下の2種類から選択できるようになりました。

  • シングルエントリー (Single Entry): 有効期間中に一度だけベトナムに入国できます。一度出国すると、有効期間内であってもそのEビザで再入国することはできません。
  • マルチプルエントリー (Multiple Entry): 有効期間中であれば、何度でもベトナムに入国・出国できます。

どちらを選ぶべきか?

  • シングルエントリー: ベトナムに一度入国し、そのまま最長90日まで滞在して出国する場合に適しています。シンプルで料金もマルチプルエントリーより安価です。
  • マルチプルエントリー: ベトナムを拠点に、周辺国(タイ、カンボジア、ラオスなど)へ一旦旅行し、再びベトナムに戻ってくるような周遊旅行を計画している場合に便利です。有効期間内であれば、何度でも出入り自由になります。ただし、料金はシングルエントリーより高くなります。

ご自身の旅行計画に合わせて、適切なエントリータイプを選択しましょう。申請後の変更は原則としてできないため、慎重に検討が必要です。

3-3. 有効期間と滞在期間の計算

Eビザには「有効期間」と「滞在期間」があります。

  • 有効期間: Eビザが有効な期間です。申請時に開始希望日を指定し、そこから最長90日間となります(シングル/マルチプルに関わらず)。この有効期間内にベトナムに入国する必要があります。
  • 滞在期間: 入国日からカウントされ、Eビザに記載された期間(最長90日)または有効期間の終了日のいずれか早い方まで滞在可能です。

例1:有効期間が90日でシングルエントリーのEビザを取得し、有効期間の開始日にベトナムに入国した場合
→ 入国日から90日間滞在可能です。

例2:有効期間が90日でシングルエントリーのEビザを取得し、有効期間の開始日から60日後にベトナムに入国した場合
→ Eビザの有効期間終了日まで滞在可能です。この場合、滞在できるのは残り30日間となります。

例3:有効期間が90日でマルチプルエントリーのEビザを取得し、有効期間の開始日に一度入国し、30日後に一度出国。その後、有効期間終了の10日前に再入国した場合
→ 初回入国は30日間滞在可能でした。再入国後は、有効期間終了までの10日間滞在可能です。有効期間内であれば何度でも出入国できますが、一度の滞在は有効期間終了まで、またはEビザで許可された最大滞在期間(90日)の範囲内となります。

重要なのは、Eビザに記載された有効期間(Validity date)と許可された滞在日数(Duration of stay)を確認し、その範囲内で入国・滞在することです。有効期間が終了する前に必ず出国する必要があります。

4. ベトナムEビザの申請方法:ステップバイステップ徹底解説

ここからは、実際にベトナムEビザをオンラインで申請する具体的な手順を、公式サイトの画面遷移をイメージしながら詳細に解説します。

4-1. 公式ウェブサイトへのアクセス

ベトナムEビザの申請は、必ずベトナム公安省入国管理局の公式ウェブサイトで行ってください。非公式サイトや代行業者による偽サイトには十分注意が必要です。

公式ウェブサイトのURL例:
https://evisa.xuatnhapcanh.gov.vn/ (ベトナム語・英語対応)
申請画面へ直接進む場合は、サイト内の “E-visa” セクションを探してください。

サイトを開いたら、まずは言語を選択します(英語が一般的です)。

4-2. 申請開始前の準備

申請をスムーズに進めるために、以下のものを手元に準備しておきましょう。

  1. パスポート:
    • ベトナム入国希望日から6ヶ月以上の残存有効期間があること。
    • 未使用の査証欄が2ページ以上あることが望ましい。
    • 個人情報ページ(顔写真、氏名、パスポート番号、生年月日、有効期限などが記載されているページ)の鮮明なデジタル画像ファイル(JPEG形式など)。ファイルサイズや形式に指定がある場合があるので、事前に確認しておきましょう(例: .jpgまたは.png, ファイルサイズ2MB以内など)。
  2. 顔写真:
    • 過去6ヶ月以内に撮影されたもの。
    • 無背景(白または薄い色)、正面向き、帽子なし、影なし。
    • 眼鏡は外すか、光の反射がないように注意。
    • 高品質なデジタル画像ファイル(JPEG形式など)。ファイルサイズや形式、縦横比に指定がある場合があるので、事前に確認しておきましょう(例: 4x6cmサイズ、.jpgまたは.png, ファイルサイズ2MB以内など)。
  3. クレジットカード: 申請料金の支払いに必要です(Visa, MasterCard, American Expressなど)。
  4. メールアドレス: 申請の受付通知、申請コード、承認通知が送られてくるため、正確で日常的に確認できるメールアドレスが必要です。迷惑メールフォルダに振り分けられないように設定を確認してください。
  5. 滞在予定情報: 滞在先の住所(ホテル名、住所など)、入国・出国予定日、入国・出国予定の国境検問所(空港名、陸路国境名など)を把握しておくとスムーズです。

4-3. オンライン申請フォームの入力手順

公式ウェブサイトのE-visa申請ページに進み、以下のステップで入力を行います。

  1. 写真とパスポート画像のアップロード:

    • まず、準備しておいた顔写真とパスポートの個人情報ページのデジタル画像をアップロードします。
    • システムの指示に従い、ファイルを選択してアップロードボタンをクリックします。
    • 画像が正しく読み込まれているかプレビューで確認しましょう。特に顔写真は、規定のサイズや背景になっているか、顔がはっきりと写っているかを確認してください。パスポート画像は、パスポート番号や氏名などの情報が鮮明に読み取れるか確認が必要です。
  2. 個人情報の入力:

    • 画面の指示に従って、パスポート情報を基に正確に個人情報を入力します。
      • Full name (氏名): パスポートに記載されている通りに、姓と名の順で入力します。ミドルネームがあれば含めます。
      • Gender (性別): Male (男性) または Female (女性) を選択します。
      • Date of birth (生年月日): 日/月/年の形式で入力します。
      • Passport number (パスポート番号): パスポートの番号を正確に入力します。
      • Passport type (パスポートの種類): Ordinary (一般) を選択することがほとんどです。
      • Passport expiry date (パスポート有効期限): 日/月/年の形式で入力します。
      • Religion (宗教): 任意入力の場合が多いですが、必須であれば入力します。
      • Ethnic group (民族): 任意入力の場合が多いですが、必須であれば入力します。
      • Occupation (職業): 任意入力の場合が多いですが、必須であれば入力します。
      • Current address (現住所): 現在お住まいの住所を入力します。
      • Phone number (電話番号): 国際電話番号形式(日本の場合は+81-xx-xxxx-xxxxなど)で入力します。
      • Email address (メールアドレス): 正確なメールアドレスを再入力します。申請結果など重要な情報が届きます。
      • City/Province (市/省): 現住所の市/省を選択または入力します。
      • Country (国): パスポート発行国を選択します。
  3. 旅行情報の入力:

    • 旅行に関する情報を入力します。
      • Proposed date of entry (入国希望日): ベトナムに入国したい日付を入力します。Eビザの有効期間はこの日から開始されることになります。
      • Proposed date of exit (出国予定日): ベトナムを出国する予定の日付を入力します。
      • Duration of stay (滞在期間): 最大90日までで、希望する滞在期間を入力します。
      • Purpose of visit (訪問目的): Tourism (観光) または Business (商用) など、該当する目的を選択または入力します。
      • Proposed port of entry (入国予定の国境検問所): 入国する空港、陸路国境、または海港を選択します(後述の「入国・出国できる国境検問所」リストを参照)。
      • Proposed port of exit (出国予定の国境検問所): 出国する空港、陸路国境、または海港を選択します。
      • Address in Vietnam (ベトナムでの滞在先住所): 滞在するホテルの名前と住所、または知人宅などの住所を入力します。具体的な住所が分からなくても、都市名やホテルの名前だけでも入力できる場合もありますが、詳細な情報の方が望ましいです。
  4. エントリータイプ(シングル/マルチプル)の選択:

    • Single entry (シングルエントリー) または Multiple entry (マルチプルエントリー) のどちらかを選択します。
  5. 情報の確認と提出:

    • 入力した全ての情報に間違いがないか、再三確認します。特に氏名、パスポート番号、生年月日、パスポート有効期限、入国希望日、入国/出国予定場所は、一つでも間違えるとビザが無効になる可能性があるため、厳重にチェックしてください。
    • 利用規約や注意事項を読み、同意のチェックボックスにチェックを入れます。
    • 画面の指示に従い、次のステップ(支払い)に進みます。

4-4. 申請料金の支払い

入力内容を確認後、申請料金の支払い画面に進みます。

  • クレジットカード情報(カード番号、有効期限、CVV/CVCコード、カード名義人名など)を入力します。
  • 表示される料金を確認し、支払い手続きを完了させます。
  • 支払いが成功すると、通常は支払完了通知が表示され、登録したメールアドレスにも通知が届きます。

注意点:
* 支払いエラーが発生する場合もあります。カード情報の入力ミス、カードの限度額超過、またはブラウザやネットワークの問題などが考えられます。別のカードを使ってみる、ブラウザを変更してみる、時間をおいて再度試すなどの対処法があります。
* 不正サイトに注意し、必ず公式ウェブサイトから支払いを行ってください。公式ウェブサイト以外でクレジットカード情報を入力することは絶対に避けてください。

4-5. 申請コードの保管

申請が正常に完了し、支払いも確認されると、画面上に申請コード(Registration Code / Application Code)が表示されます。

この申請コードは、申請状況の確認やEビザのダウンロードに必要となる非常に重要なコードです。必ず画面をスクリーンショットで保存するか、メモを取るなどして、安全な場所に保管してください。同時に、登録したメールアドレスにも申請受付通知と申請コードが記載されたメールが届くはずです。メールも大切に保管しましょう。

4-6. 申請後の流れと進捗確認

申請完了後、ベトナム公安省入国管理局による審査が行われます。

  • 審査期間: 公式には通常3営業日とされていますが、申請状況や時期によってはそれ以上かかる場合があります。年末年始やベトナムの祝日前後、観光シーズンのピーク時には遅れる傾向があります。余裕を持って申請することが非常に重要です。
  • 進捗確認: 公式ウェブサイトの「E-visa search」(または類似の名称)ページから、取得した申請コード、登録メールアドレス、生年月日を入力することで、現在の申請状況を確認できます。ステータスは「In process (審査中)」「Granted (承認済)」「Rejected (拒否)」などと表示されます。

4-7. 承認通知の受け取りとEビザのダウンロード

審査が完了し、申請が承認されると、登録したメールアドレスに承認通知(E-visa Granting Notice)が届きます。

通知メールには、Eビザがダウンロードできるリンクや手順が記載されています。再度公式ウェブサイトの「E-visa search」ページにアクセスし、申請コード、メールアドレス、生年月日を入力してログインすると、Eビザ(通常はPDFファイル)をダウンロードできるようになります。

ダウンロードしたEビザは、必ず内容を確認してください。

  • 氏名、パスポート番号、生年月日などの個人情報が正確か。
  • 顔写真が正しく表示されているか。
  • 有効期間(Validity date)と許可された滞在期間(Duration of stay)が希望通りか。
  • 入国/出国予定の国境検問所が合っているか。

もし誤りがある場合は、修正や再申請が必要になる可能性がありますので、速やかに当局または関連窓口に問い合わせてください。

4-8. Eビザの印刷

ダウンロードしたEビザ(PDFファイル)は、入国審査時に提示を求められる場合があります。スマートフォンの画面提示でも良い場合もありますが、念のため印刷して持参することを強くお勧めします。白黒印刷でも問題ありませんが、鮮明に印字されていることを確認してください。入国審査官に提示しやすいように、パスポートと一緒にまとめておくと良いでしょう。

以上が、ベトナムEビザのオンライン申請の基本的なステップです。手順通りに進めれば、それほど難しくはありませんが、入力情報の正確性と公式ウェブサイトの利用が何よりも重要です。

5. 申請時の注意点とよくある失敗

Eビザ申請は便利ですが、いくつかの注意点や陥りやすい失敗があります。スムーズな申請のために、以下の点に気をつけましょう。

5-1. パスポートの残存有効期間

ベトナム入国希望日から6ヶ月以上のパスポート残存有効期間が必要です。これに満たない場合、申請は受理されません。パスポートの有効期限を必ず確認し、必要であれば更新手続きを済ませてから申請してください。

5-2. 写真の規格と品質

申請に使用する顔写真とパスポート画像の規格は非常に重要です。規格外の写真を使用すると、申請が却下される可能性があります。

  • 顔写真:
    • 背景は白または薄い色で無背景であること。
    • 正面を向き、肩から上全体が写っていること。
    • 顔の輪郭がはっきりしていること。
    • 影がないこと。
    • 帽子やアクセサリーなどで顔が隠れていないこと。
    • 眼鏡は反射がなく、目がはっきり見える状態であれば可(可能な限り外すことを推奨)。
    • 画質が鮮明で、ファイルサイズが規定内であること。
  • パスポート画像:
    • パスポートの個人情報ページ全体が写っていること。
    • 全ての情報(氏名、パスポート番号、生年月日、有効期限など)が鮮明に読み取れること。
    • 光の反射や影がないこと。
    • 端が切れていないこと。
    • ファイルサイズが規定内であること。

撮影はスマートフォンのカメラでも可能ですが、上記の規格を満たすように注意して撮影するか、証明写真サービスを利用するのも良いでしょう。スキャンする場合も、歪みなく鮮明にスキャンしてください。

5-3. 入力情報の正確性

氏名、パスポート番号、生年月日、パスポート有効期限など、パスポートに記載されている情報は一文字一句間違えずに正確に入力してください。特に、名前のスペルミスや生年月日の入力ミスは、Eビザとパスポートの情報が一致しない原因となり、入国拒否につながる最も多い失敗例です。

  • 氏名はパスポートの機械読取部分(MRZ)に記載されている通りに入力するのが最も確実です。
  • 生年月日は日/月/年の形式指定が多いので注意してください。
  • パスポート番号も正確に入力します。数字の「0」とアルファベットの「O」、数字の「1」とアルファベットの「I」などが混同しやすいので注意が必要です。

5-4. メールアドレスの正確性

登録するメールアドレスは、申請状況の通知やEビザそのものが送られてくる生命線です。正確に入力し、迷惑メールフォルダの設定も確認してください。フリーメールの場合、迷惑メールと判断されてしまう可能性もゼロではありません。重要な通知を見逃さないように、こまめにチェックしましょう。

5-5. 使用ブラウザ・環境の推奨

公式ウェブサイトは特定のブラウザや環境で最適に動作する場合があります。推奨されるブラウザ(Chrome, Firefoxなど)やOSが記載されている場合は、それに従う方が無難です。古いブラウザや互換性の低い環境では、正しく表示されなかったり、エラーが発生したりする可能性があります。

5-6. 申請コードの紛失

申請コードは、申請状況確認やEビザダウンロードに必須です。紛失すると、ステータス確認やEビザの再ダウンロードができなくなる可能性があります。申請完了画面に表示されたコード、およびメールで送られてくるコードは必ず複数箇所に控えておきましょう。

5-7. 支払いエラー

クレジットカードの支払いエラーが発生した場合、申請は完了していません。カード情報の再確認、別のカードでの支払い、ブラウザの変更、時間をおいて再試行などを試みてください。それでも解決しない場合は、カード会社に問い合わせるか、公式ウェブサイトの問い合わせ窓口に連絡する必要があります。

5-8. 偽サイトへの注意喚起

ベトナムEビザの公式申請サイトを装った偽サイトが存在します。これらのサイトは、法外な料金を請求したり、個人情報を不正に取得したりする危険があります。必ずベトナム公安省入国管理局の公式ウェブサイト(URLは通常、evisa.xuatnhapcanh.gov.vn または類似のドメイン)であることを確認してから申請してください。検索エンジンの広告枠に偽サイトが表示されることもあるため、安易にリンクをクリックせず、URLを慎重に確認することが重要です。

5-9. 余裕を持った申請時期

公式には3営業日程度で発給とされていますが、遅延の可能性を考慮し、少なくとも渡航予定日の2週間前、できれば1ヶ月前には申請を完了させることをお勧めします。特に観光シーズンや大型連休前は申請が集中し、審査に時間がかかる傾向があります。直前の申請は、出発までにEビザが発給されないリスクを高めます。

これらの注意点を踏まえて慎重に申請を進めることで、Eビザ取得の失敗リスクを大幅に減らすことができます。

6. Eビザで入国・出国できる国境検問所

Eビザを取得した場合、入国および出国が可能な国境検問所は指定されています。Eビザ申請時に入国/出国予定の場所を選択する必要がありますが、そのリストにない場所からはEビザでの入国/出国はできません。

6-1. 対象となる国境検問所リスト

Eビザで利用可能な国境検問所は、主要な国際空港、国際陸路国境、国際海港が含まれます。2023年8月15日以降、リストは拡大されています。

主要な空港:

  • ノイバイ国際空港 (ハノイ)
  • タンソンニャット国際空港 (ホーチミン市)
  • ダナン国際空港 (ダナン)
  • カムラン国際空港 (ニャチャン)
  • フーコック国際空港 (フーコック島)
  • カットビ国際空港 (ハイフォン)
  • ドンホイ空港 (クアンビン省)
  • チューライ空港 (クアンナム省)
  • コントゥム空港 (コントゥム省)
  • リエンクオン空港 (ラムドン省 – ダラット)
  • プーバイ空港 (フエ)
  • バンメトート空港 (ダクラク省)
  • トラノック国際空港 (カントー)
  • プレイク空港 (ザライ省)
  • ヴィン空港 (ゲアン省)
  • トースアン空港 (タインホア省)

主要な陸路国境:

  • モンカイ (クアンニン省)
  • フールー (ラオカイ省)
  • ドンタン (ランソン省)
  • モックバイ (タイニン省)
  • ティンビエン (アンザン省)
  • シャマット (タイニン省)
  • ラオバオ (クアンチ省)
  • ハウジャン (キエンザン省)
  • カウザン (ハティン省)
  • ナムカン (ゲアン省)
  • プレイク (ザライ省)
  • ボーイ (コントゥム省)
  • タイチャン (ディエンビエン省)
  • ソンティン (クアンガイ省)
  • ハティエン (キエンザン省)
  • チャミャ (クアンガイ省)
  • アライ (ザライ省)
  • チンミン (タインホア省)
  • ナメオ (タインホア省)
  • ラレ (クアンチ省)
  • カオマ (ランソン省)
  • カウチェオ (ハティン省)
  • ジャンタイン (タイニン省)

主要な海港:

  • ハイフォン海港 (ハイフォン)
  • カムファ海港 (クアンニン省)
  • ホンガイ海港 (クアンニン省)
  • チャンメイ海港 (フエ)
  • ダナン海港 (ダナン)
  • ニャチャン海港 (ニャチャン)
  • クイニョン海港 (ビンディン省)
  • ヴンタウ海港 (バリア・ブンタウ省)
  • ホーチミン市海港 (ホーチミン市)
  • ドゥオン・ドン海港 (フーコック島)
  • サムソン海港 (タインホア省)
  • ホンラ海港 (クアンビン省)
  • キーハー海港 (クアンナム省)
  • ドゥックロイ海港 (クアンガイ省)
  • チャヴィン海港 (チャヴィン省)
  • カントー海港 (カントー)
  • チャパ海港 (アンザン省)

注意点:
このリストは変更される可能性があります。申請時には必ず公式ウェブサイトで最新のリストを確認し、ご自身の旅行計画に合致する国境検問所を選択してください。選択した国境検問所以外からは、原則としてEビザでの入国は認められません。旅行計画(特に陸路や海路での移動)が決まってから申請することをお勧めします。

7. Eビザ取得後の確認事項と準備

Eビザが無事承認・ダウンロードできたら、安心して出発の準備を進めましょう。しかし、いくつか最終確認しておくべき点があります。

7-1. Eビザの印刷・保管

前述の通り、ダウンロードしたEビザ(PDF)は必ず印刷しておきましょう。スマートフォンの画面提示で問題なく入国できる場合もありますが、念のため紙媒体のビザを携行する方が安心です。複数部印刷しておくと、万が一の場合にも対応できます。印刷したEビザは、パスポートや航空券など、他の重要な書類と一緒にまとめておきましょう。

7-2. 入国・出国予定情報の再確認

取得したEビザに記載されている入国希望日(有効期間開始日)、有効期間終了日、許可された滞在日数、そして選択した入国・出国予定の国境検問所が、ご自身の旅行計画と一致しているか最終確認してください。特に、有効期間内に入国できるか、また有効期間終了日までに確実に出国できるかは非常に重要です。

7-3. フライト情報の確認

ベトナムへのフライト情報(予約番号、便名、出発/到着時刻など)を確認しておきましょう。これらの情報はEビザ申請時には必須ではありませんが、入国カード(必要な場合)への記入や、空港での手続きに必要となります。

7-4. 宿泊先の確保

Eビザ申請時にベトナムでの滞在先住所を入力しました。これは必須項目であり、滞在先が決まっていないと申請ができません。事前にホテルや宿泊施設を予約し、その情報を正確に入力しましょう。入国審査で滞在先について質問される可能性もあります。

7-5. 海外旅行保険への加入推奨

ベトナムへの渡航に際し、海外旅行保険への加入を強く推奨します。予期せぬ病気や怪我、盗難、フライト遅延など、様々なトラブルに対応できます。特に医療費は高額になる場合があるため、安心して旅行を楽しむためにも保険は不可欠です。Eビザの取得要件ではありませんが、必ず加入しておきましょう。

7-6. 現金(ベトナムドン)の準備

ベトナムに到着後、空港から市内への移動や、両替所に着くまでの間の支払いのために、少額のベトナムドン(VND)を用意しておくと便利です。日本の空港やベトナムの空港で両替が可能です。

7-7. スマートフォンのローミングまたはSIMカード/eSIMの手配

ベトナム到着後すぐにインターネットを使えるように、契約キャリアの海外ローミングサービスを利用するか、現地のSIMカードまたはeSIMを事前に手配しておくと便利です。空港や市内でSIMカードを購入することも可能ですが、事前に準備しておくと安心です。

これらの準備をしっかりと行うことで、ベトナム入国から滞在、出国までをスムーズに進めることができます。

8. よくある質問(FAQ)

ベトナムEビザに関して、旅行者からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

Q1. 申請から承認まで、どれくらい時間がかかりますか?

公式には通常3営業日とされています。ただし、申請状況や時期(休日、祝日、観光シーズンなど)によってはそれ以上かかる場合があります。遅延のリスクを考慮し、余裕を持って申請することを強くお勧めします。

Q2. 申請内容に間違いがあった場合、修正は可能ですか?

基本的に、申請が完了し、支払いまで済んでしまうと、オンライン上での申請内容の修正はできません。もし重要な情報(氏名、パスポート番号、生年月日など)に間違いがあった場合は、Eビザが無効になる可能性があります。この場合、改めて正しい情報で新規にEビザを申請し直す必要が出てきます。申請前に内容を複数回確認することが非常に重要です。誤りに気付いた場合は、公式ウェブサイトの問い合わせ窓口に連絡し、指示を仰いでください。

Q3. 申請が拒否されることはありますか?その場合、理由は分かりますか?

申請が拒否される可能性はゼロではありません。拒否される主な理由としては、

  • 申請情報の入力ミス(パスポート情報との不一致など)
  • アップロードした写真やパスポート画像が不鮮明、または規格を満たしていない
  • パスポートの残存有効期間が不足している
  • 過去にベトナムで入国拒否や違法行為などの問題を起こしたことがある
  • セキュリティ上の懸念がある

などがあります。申請が拒否された場合、通常、拒否された旨の通知は来ますが、具体的な理由は明示されないことが多いです。拒否された場合は、改めて全ての入力情報やアップロード画像、パスポート有効期限などを確認し、間違いがなければ再度申請してみるか、ベトナム大使館/領事館に問い合わせて状況を確認する必要があります。

Q4. Eビザで滞在期間を延長することは可能ですか?

原則として、Eビザの滞在期間(最長90日)をベトナム国内で延長することはできません。Eビザに記載された有効期間および許可された滞在期間を超えて滞在する場合、不法滞在となり罰則の対象となります。もし90日を超えてベトナムに滞在したい場合は、一度ベトナムを出国し、再度Eビザ(または別の適切なビザ)を取得して入国するか、他の種類のビザ(長期商用、就労、留学など)への切り替え手続きについて、ベトナム国内の入国管理局に問い合わせる必要があります。ただし、ビザの種類切り替えは複雑な手続きが必要となる場合が多く、確実ではありません。長期滞在を計画している場合は、最初から目的に合った長期ビザをベトナム大使館/領事館で申請することを検討すべきです。

Q5. Eビザで観光以外の目的(ビジネス、留学など)での入国は可能ですか?

Eビザは主に観光(Tourism)と短期商用(Business)目的での利用が想定されています。申請フォームで「Purpose of visit」を選択または入力する項目があります。ビジネス目的でも利用可能ですが、留学や就労など、長期滞在や特定の活動を伴う目的の場合は、Eビザでは不十分であり、目的に合った別の種類のビザを事前に取得する必要があります。ご自身の渡航目的がEビザで認められるかどうか不明な場合は、事前にベトナム大使館/領事館に確認することをお勧めします。

Q6. 子供のEビザ申請はどうすれば良いですか?

子供(未成年者)のEビザ申請も、大人と同様にオンラインで行います。

  • 子供自身のパスポートが必要です。
  • 申請フォームは子供自身の情報(氏名、生年月日、パスポート情報など)を入力します。
  • 顔写真も子供本人のものを使用します。
  • 保護者の方が代理で申請手続きを行うことになりますが、フォーム入力はあくまで子供本人の情報に基づきます。
  • 申請時に、親または保護者との関係を示す書類(戸籍謄本など)の提出を求められる場合がありますが、Eビザのシステム上、現時点では必須ではないようです。ただし、入国時に提示を求められる可能性もゼロではないため、念のため子供との関係を証明できる書類(原本またはコピー)を携行すると安心です。
  • 複数人で旅行する場合、個別に申請が必要です。後述の「複数人の同時申請」も参照してください。

Q7. 複数人のEビザをまとめて申請できますか?

はい、公式ウェブサイトでは、複数人のEビザ申請をまとめて行うための機能が提供されています。代表者の方が、同行者の情報を追加して一度に申請・支払いを行うことができます。これにより、個別に申請する手間が省けます。

申請フォーム内で「Add new person」などのボタンを探し、同行者の情報入力と写真・パスポート画像のアップロードを行います。ただし、申請者一人ひとりの情報入力、写真・画像のアップロードは個別に行う必要があります。まとめて申請した場合でも、取得されるEビザは一人につき一枚となります。

Q8. 申請時に指定した入国日や入国場所を変更できますか?

基本的に、申請が完了し、Eビザが発行された後で、Eビザに記載された入国日や入国場所、出国場所を変更することはできません。もし計画が変更になった場合は、取得済みのEビザは使用できなくなる可能性が高く、改めて新しい情報でEビザを申請し直すか、別の方法(大使館でのビザ申請など)を検討する必要が出てきます。旅行計画が確定してから申請することが重要です。ただし、多少のフライト時間の変更などで入国日が変わる程度であれば、有効期間内であれば問題なく入国できる場合がほとんどです。重要なのは、Eビザの有効期間開始日以降に入国し、有効期間終了日または許可された滞在日数を超過しないことです。

Q9. Eビザでベトナムに一度入国後、タイなど周辺国へ行き、再びベトナムに戻ってくることは可能ですか?

  • シングルエントリーのEビザの場合: ベトナムを出国した時点でそのEビザは失効するため、再びベトナムに戻ってくることはできません。再入国するためには、改めてEビザを取得するか、別のビザが必要になります。
  • マルチプルエントリーのEビザの場合: 有効期間内であれば、何度でもベトナムへの入国・出国が可能です。周辺国への旅行後、ベトナムに戻ってくることもできます。周遊旅行を計画している場合は、マルチプルエントリーを選択する必要があります。

Q10. Eビザ申請代行業者を利用しても良いですか?

ベトナムEビザの申請代行業者は多数存在します。これらの業者を利用するメリットは、申請手続きを代行してもらえるため手間が省けること、入力ミスなどのリスクを減らせることなどが挙げられます。しかし、以下の点に注意が必要です。

  • 公式よりも料金が高い: 代行手数料が加算されるため、公式申請サイトから自分で申請するより料金が高くなります。
  • 信頼性の確認: 悪質な業者も存在します。個人情報やクレジットカード情報を渡すことになるため、信頼できる業者かどうか慎重に見極める必要があります。口コミや評判、実績などを確認しましょう。
  • 情報提供は必須: 結局のところ、パスポート情報や写真、旅行情報などは代行業者に提供する必要があります。完全に手放しで申請できるわけではありません。
  • 公式サイトが最も確実: 自分で公式ウェブサイトから申請するのが、最も安価で、情報漏洩のリスクも少なく、手続きの流れも自身で把握できるため、最も推奨される方法です。

どうしても自分で申請するのが不安な場合や、時間がない場合に限り、信頼できる代行業者を検討しても良いでしょう。

9. Eビザと他のビザオプション:どれを選ぶべき?

ベトナムへの入国方法には、Eビザ以外にもいくつかの選択肢があります。ご自身の国籍、滞在期間、渡航目的に合わせて最適な方法を選ぶことが重要です。

9-1. ベトナムのビザ免除プログラム

ベトナムは、特定の国籍のパスポート保持者に対して、短期間の滞在であればビザを免除する制度を設けています。

  • 日本国籍: 現在、15日以内の滞在であればビザ免除が適用されます。ただし、以下の条件に注意が必要です。
    • ベトナム入国日からパスポートの残存有効期間が6ヶ月以上あること。
    • ベトナムからの出国チケットを持っていること。
    • 前回のベトナム出国から30日以上経過していること。(ただし、Eビザや他のビザで入国した場合、この30日の制限は適用されません。つまり、ビザ免除で出国後すぐにEビザ等で再入国は可能です。)

もし日本のパスポート保持者で、15日以内の観光旅行であれば、原則としてEビザは不要でビザ免除で入国できます。ただし、15日を超える滞在、またはビザ免除の30日制限を気にせず頻繁にベトナムを出入国したい場合は、Eビザを取得する方が便利です。

その他の国のビザ免除条件や対象国は、ベトナム外務省やベトナム大使館/領事館の公式サイトで最新情報を確認してください。

9-2. 免除期間を超える場合

ビザ免除が適用される国籍であっても、定められた免除期間(例:日本は15日)を超えて滞在したい場合は、必ずビザが必要です。その場合に最も一般的な選択肢がEビザ(最長90日)です。

9-3. アライバルビザ(到着ビザ)

以前はベトナムへの入国方法として比較的よく利用されていましたが、事前に公安省などから発行される「ビザ発給許可証 (Approval Letter)」を取得しておく必要があり、さらにベトナム到着空港でビザ発給手続きに時間がかかる場合がありました。Eビザが導入され、手続きがオンラインで完結するようになった現在では、Eビザの方が圧倒的に手軽でスムーズです。アライバルビザは、Eビザが利用できない特殊なケース(例:緊急渡航、Eビザ対象外の渡航目的や国籍など)でのみ検討される方法となりつつあります。

9-4. 大使館・領事館での通常ビザ申請

以下の場合は、ベトナム大使館または領事館で通常のビザ申請が必要となります。

  • ご自身の国籍がEビザの対象外である場合。
  • 滞在期間がEビザで許可される最長90日を超える場合。
  • 渡航目的が観光や短期商用以外(留学、就労、長期滞在など)である場合。
  • Eビザの申請条件を満たせない場合(例:パスポートの残存有効期間が短い、写真が用意できないなど)。

大使館でのビザ申請は、必要書類が多く、手続きに時間がかかる場合があります。事前に大使館のウェブサイトを確認し、必要な書類や申請方法、手数料などを確認した上で手続きを進めてください。

9-5. どのビザが良いか?状況に応じた選択ガイド

あなたの状況 最適な入国方法 備考
日本国籍で、15日以内の観光・短期滞在 ビザ免除 Eビザは不要。ただし、30日以内の再入国にはEビザ等が必要な場合あり。パスポート残存期間6ヶ月以上必要。
日本国籍で、16日〜90日以内の観光・短期滞在 Eビザ (シングルまたはマルチプル) 最も手軽な方法。オンラインで申請。
日本国籍で、頻繁にベトナムを出入国したい Eビザ (マルチプル) または、必要に応じ大使館でマルチプルビザ Eビザマルチプルで90日以内ならOK。90日超える場合は大使館。
日本国籍以外で、Eビザ対象国のパスポート保持 Eビザ (シングルまたはマルチプル) 最長90日滞在可能。オンラインで申請。
Eビザ対象外の国籍 ベトナム大使館/領事館での通常ビザ申請 または、限られたケースでアライバルビザ(許可証必須)。
90日を超える滞在を希望 ベトナム大使館/領事館での通常ビザ申請 Eビザでは不可。目的に合った長期ビザを取得。
観光・短期商用以外の目的(留学、就労など) ベトナム大使館/領事館での通常ビザ申請 目的に合ったビザを取得。ベトナム国内の受入機関からの招聘状などが必要な場合が多い。
緊急でとにかく早く入国したい(Eビザ審査が間に合わない) (限定的)アライバルビザ(事前の許可証取得必須)または大使館での緊急ビザ アライバルビザは許可証取得のハードル高。大使館に相談が必要。Eビザが間に合わないリスクは自分で負う。

ご自身の状況を正確に把握し、最適な入国方法を選択してください。不明な点は、ベトナム大使館/領事館または公式Eビザ申請サイトの問い合わせ窓口に確認することが最も確実です。

10. 2023年8月15日以降の変更点(重要!)

ベトナムのビザ制度は、2023年8月15日をもって大きく変更されました。これらの変更は、特に外国人旅行者にとって非常にメリットの大きいものです。

10-1. 対象国の劇的な拡大

最も大きな変更点の一つが、Eビザの対象国が80ヶ国から259ヶ国・地域へと大幅に拡大されたことです。これにより、事実上、世界中のほとんど全ての国籍のパスポート保持者がベトナムEビザをオンラインで申請できるようになりました。これは、より多くの人々がベトナムへの旅行を気軽に計画できるようになったことを意味します。

10-2. 滞在期間の延長(30日から90日へ)

もう一つの画期的な変更が、Eビザで可能な最長滞在期間が30日から90日へと3倍に延長されたことです。これにより、短期の観光だけでなく、比較的長期の旅行や、ベトナムに腰を据えて文化を体験したいといったニーズにも対応できるようになりました。最大90日間の滞在が可能になったことで、ベトナム国内をじっくりと巡ったり、複数の都市を訪れたりするプランも立てやすくなりました。

10-3. シングルエントリーに加えてマルチプルエントリーの選択肢追加

従来のEビザはシングルエントリーのみでしたが、変更後はシングルエントリーとマルチプルエントリーを選択可能となりました。これにより、ベトナムと周辺国を何度も行き来するような周遊旅行がEビザだけで可能になり、旅行の自由度が格段に向上しました。

10-4. ビザ免除期間の延長(一部国籍のみ、日本は変更なし)

Eビザ制度の変更とは別に、一部のビザ免除対象国についても、免除される滞在期間が15日から45日へ延長されました。ただし、日本国籍については、引き続き15日以内のビザ免除が適用されており、この点は変更ありません。

これらの変更は、ベトナム政府が観光立国として、より多くの外国人観光客を呼び込もうという強い意志の表れと言えます。手続きの簡素化と滞在期間の延長は、ベトナムを訪れる旅行者にとって非常に喜ばしい改善です。

11. まとめ:スムーズなベトナム旅行のために

この記事では、ベトナムEビザの概要から、申請方法、対象国、期間、注意点、そして2023年8月15日の重要な変更点まで、網羅的に解説してきました。

ベトナムEビザは、オンラインで手軽に申請でき、最長90日間の滞在が可能、そしてシングル/マルチプルエントリーも選択できる、非常に便利な制度です。多くの国籍の方が利用できるようになり、ベトナムへの旅行計画のハードルを大きく下げました。

ベトナムEビザをスムーズに取得し、快適なベトナム旅行を実現するためには、以下の点が特に重要です。

  • 公式ウェブサイトを利用する: 偽サイトに注意し、必ずベトナム公安省入国管理局の公式ウェブサイトから申請してください。
  • 必要書類・画像を正確に準備する: パスポートと顔写真は、規定のフォーマットと品質を満たすものが必須です。
  • 申請情報を正確に入力する: 氏名、パスポート番号、生年月日など、パスポート情報との不一致は入国拒否につながります。入力後は必ず複数回確認してください。
  • 申請コードを大切に保管する: 申請状況の確認やEビザダウンロードに必須です。
  • 余裕を持って申請する: 公式の審査期間は目安であり、遅延の可能性を考慮し、早めに申請することをお勧めします。
  • 取得したEビザの内容を確認し、印刷して持参する: 入国審査で提示を求められる場合があります。

また、ご自身の国籍や滞在期間、旅行目的によっては、ビザ免除や大使館での申請が適切な場合もあります。この記事の「Eビザと他のビザオプション」のセクションを参考に、ご自身の状況に合った最適な入国方法を選択してください。

Eビザ制度の拡充により、ますますアクセスしやすくなった魅力あふれる国、ベトナム。この記事が、皆さんのベトナム旅行計画の一助となり、スムーズなEビザ取得、そして素晴らしい旅の実現に繋がれば幸いです。

安全に気をつけて、ベトナムでの滞在を楽しんできてください!

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