ゲームのFPS表示はRTSSにお任せ!RivaTuner Statistics Server徹底入門ガイド
ゲームプレイ中に、現在のパフォーマンス状態をリアルタイムで把握することは、多くのPCゲーマーにとって不可欠です。特に、フレームレート(FPS)は、ゲームの滑らかさや応答性に直結するため、常に確認しておきたい情報の一つでしょう。しかし、ゲームによっては標準のFPS表示機能がなかったり、表示されても情報が少なかったりします。
ここで活躍するのが、「RivaTuner Statistics Server」、通称「RTSS」です。RTSSは、ゲーム画面上に様々な情報をオーバーレイ表示させる機能に特化した、非常に軽量かつ高機能なツールです。単にFPSを表示するだけでなく、フレームレートの制限や、詳細なハードウェア情報の表示(MSI Afterburnerなどの連携が必要)など、ゲーミング環境を快適にするための多くの機能を持っています。
この記事では、RTSSをこれから使い始める方に向けて、その導入方法から基本的な設定、OSD(On-Screen Display)を使った情報表示の詳細、そしてRTSSの大きな強みであるフレームレート制限機能の使い方まで、徹底的に解説していきます。RTSSをマスターして、より快適で最適なゲーミング環境を手に入れましょう。
1. なぜゲームにFPS表示が必要なのか?そしてRTSSとは?
1.1. FPS表示の重要性
まず、なぜゲーム中にFPSを表示することがそれほど重要なのでしょうか。
- パフォーマンスの確認: プレイしているゲームが、PCのスペックに対してどの程度快適に動作しているかを知ることができます。目標とするFPS(例えば60fpsや144fpsなど)が安定して出ているかを確認することで、設定の最適化やハードウェアアップグレードの必要性を判断できます。
- 設定変更の効果測定: グラフィック設定(解像度、テクスチャ品質、シャドウ設定など)を変更した際に、FPSがどう変化するかをリアルタイムで確認できます。これにより、画質とパフォーマンスのバランスを取りながら、最適な設定を見つけることができます。
- 異常の検出: 通常よりもFPSが極端に低下している場合、PCの異常(温度上昇によるスロットリング、バックグラウンドで重い処理が動いているなど)を早期に発見できることがあります。
- モニターのリフレッシュレートとの同期: モニターのリフレッシュレート(例:60Hz、144Hz)に近い、またはそれ以上のFPSが出ているかを確認することで、モニターの性能を最大限に活かせているか、あるいはVsyncやG-SYNC/FreeSyncが正しく機能しているかを確認できます。
- ゲームプレイの満足度: 滑らかで安定した高フレームレートは、ゲームの操作性や没入感を大きく向上させます。自分のPCが快適なフレームレートでゲームを動かせていることを確認できるだけでも、安心感や満足感に繋がります。
多くのゲームには簡易的なFPSカウンター機能が搭載されていますが、表示が地味だったり、位置が固定されていたり、他のハードウェア情報(GPU使用率、温度など)を表示できなかったりと、機能が限られていることが少なくありません。また、ゲームによっては全く表示機能がない場合もあります。
1.2. RivaTuner Statistics Server (RTSS) とは?
RivaTuner Statistics Server(RTSS)は、PCゲームのパフォーマンスを監視し、カスタマイズするためのユーティリティソフトウェアです。もともとは、GPUオーバークロックツールの開発で知られるアレクセイ・ニコライチュク氏(Unwinder)によって開発された「RivaTuner」というツールの統計サーバー部分として生まれましたが、現在では独立したアプリケーションとして、特にMSI AfterburnerなどのGPU監視・オーバークロックツールと連携して使用されることが一般的です。
RTSSの主な役割は以下の2つです。
- ゲーム画面へのオーバーレイ表示 (OSD – On-Screen Display): FPSだけでなく、CPU使用率、GPU温度、RAM使用量など、様々なハードウェア情報をゲーム画面上にリアルタイムで表示します。表示項目、位置、サイズ、色などを細かくカスタマイズできます。この機能は、主にMSI AfterburnerやHWiNFOといった他の監視ツールからデータを受け取って表示します。
- フレームレート制限 (Framerate limit): ゲームのフレームレートを特定の数値に制限します。これは、GPUの過負荷を防ぎ、消費電力を抑え、画面のテアリング(画面の上下で描画がずれる現象)を軽減するのに役立ちます。特に、ゲーム内VsyncやNVIDIAコントロールパネル/AMD Radeon Softwareによる制限よりも、RTSSの制限の方が低遅延である場合が多いとされています。
RTSSは、これらの機能を非常に軽量かつ安定して提供することから、多くのPCゲーマーに長年愛用されています。ゲームの種類やAPI(DirectX、OpenGL、Vulkanなど)に関わらず、幅広い互換性を持っているのも強みです。
1.3. なぜRTSSを選ぶのか?
PCゲームのパフォーマンス表示ツールはRTSSだけではありません。Steamクライアントのオーバーレイ、GeForce Experience、AMD Radeon Software、ゲーム内機能など、様々な選択肢があります。しかし、RTSSが多くのゲーマーに選ばれるのには明確な理由があります。
- 軽量さと安定性: RTSSは非常にコンパクトで、システムリソースをほとんど消費しません。ゲームのパフォーマンスに悪影響を与えることなく、バックグラウンドで動作します。また、様々なゲームやAPIに対して高い互換性を持ち、安定した動作を提供します。
- 強力なカスタマイズ性: OSDの表示項目、位置、サイズ、色などを細かく調整できます。必要な情報だけを見やすく配置することで、ゲームプレイの邪魔にならずにパフォーマンスを把握できます。MSI Afterburnerと組み合わせることで、表示できる情報の種類は格段に増えます。
- 高精度なフレームレート制限: RTSSによるフレームレート制限は、多くのゲーム内Vsyncや他のソフトウェアによる制限と比較して、入力遅延を最小限に抑えつつ、効果的にテアリングを軽減できるとされています。これは、特に競技性の高いゲームをプレイする際に大きなメリットとなります。
- プロファイル機能: アプリケーションごとに異なる設定を保存できます。特定のゲームでのみOSDを表示したり、ゲームごとに異なるフレームレート制限を設定したりすることが可能です。
- 幅広い互換性: DirectX (9, 10, 11, 12), OpenGL, Vulkanといった主要なグラフィックスAPIに対応しており、ほとんどのPCゲームで使用できます。
これらの利点から、RTSSは単なるFPS表示ツールにとどまらず、快適なゲーミング環境を構築するための重要なユーティリティとして位置づけられています。
2. RTSSのダウンロードとインストール
RTSSは単体でもダウンロード可能ですが、最も一般的な入手方法は、GPU監視・オーバークロックツールである「MSI Afterburner」にバンドルされているものをインストールすることです。MSI AfterburnerはGPUの監視機能が非常に優れており、RTSSと連携させることで詳細なハードウェア情報をOSDに表示できるようになるため、セットでの使用を強くお勧めします。
2.1. MSI AfterburnerとRTSSのダウンロード
- 公式サイトへアクセス: ウェブブラウザを開き、「MSI Afterburner」の公式サイトを検索してアクセスします。(例: MSIの公式サイト内にあるAfterburnerのページ)
- ダウンロード: サイト内のダウンロードセクションを探し、「Download Afterburner」ボタンをクリックします。ダウンロードされるファイルは通常、ZIP形式の圧縮ファイルです。
2.2. インストール手順
ダウンロードしたZIPファイルを解凍し、セットアップファイル(例: MSIAfterburnerSetup.exe
)をダブルクリックしてインストーラーを起動します。
- 言語選択: インストーラーの最初の画面で、使用する言語を選択します。日本語が利用可能です。
- セットアップウィザード: 「次へ」をクリックして進みます。使用許諾契約書が表示されますので、内容を確認し「同意する」を選択して「次へ」をクリックします。
- コンポーネントの選択: ここが重要なポイントです。MSI Afterburnerと一緒にインストールするコンポーネントを選択する画面が表示されます。デフォルトでは通常、「MSI Afterburner」と「RivaTuner Statistics Server」の両方にチェックが入っています。必ず「RivaTuner Statistics Server」にチェックが入っていることを確認してください。 チェックが入っていれば、そのまま「次へ」をクリックします。
- インストール先の指定: インストール先のフォルダを指定します。デフォルトで問題なければそのまま「次へ」をクリックします。
- インストール開始: 設定内容を確認し、「インストール」をクリックします。ファイルのコピーが開始されます。
- RTSSセットアップの実行: MSI Afterburnerのインストールが完了すると、続けてRivaTuner Statistics Serverのセットアップウィザードが自動的に起動します。
- RTSS言語選択: RTSSのインストール言語を選択します。こちらも日本語が利用可能です。
- RTSSセットアップウィザード: 「次へ」をクリックし、使用許諾契約書に同意して「次へ」をクリックします。
- RTSSインストール先の指定: RTSSのインストール先フォルダを指定します。デフォルトで問題なければそのまま「次へ」をクリックします。
- インストール開始: 設定内容を確認し、「インストール」をクリックします。
- インストール完了: RTSSのインストールが完了すると、「RivaTuner Statistics Server セットアップウィザードの完了」画面が表示されます。「完了」をクリックしてRTSSのインストールを終了します。
- MSI Afterburnerセットアップの完了: MSI Afterburnerのセットアップウィザードに戻り、「完了」をクリックして全体のインストールプロセスを終了します。通常、「MSI Afterburnerを実行する」にチェックが入っているはずですので、そのまま完了するとMSI Afterburnerが起動します。
2.3. インストール後の確認
インストールが完了すると、MSI AfterburnerとRivaTuner Statistics Serverのアイコンがデスクトップやスタートメニューに追加されているはずです。
まず、MSI Afterburnerを起動します。初回起動時や設定変更後に、設定が有効になるまで少し時間がかかることがあります。
次に、RivaTuner Statistics Serverも起動します。通常、MSI Afterburnerを起動すると、RTSSも自動的に起動するように設定されています(後述の設定で変更可能)。システムトレイ(タスクバーの右端にあるアイコンが並んでいる領域)に、RTSSのアイコン(小さなコンピューターモニターのようなアイコン)が表示されていることを確認してください。
RTSSは、特別な理由がない限り、Windows起動時に自動的に起動し、常にバックグラウンドで動作させておくのが便利です。デフォルト設定では自動起動するようになっています。
3. RTSSの基本設定
RTSSを起動すると、シンプルなメインウィンドウが表示されます。ここでは、RTSSの基本的な設定項目とその意味を解説します。
3.1. RTSSメインウィンドウの解説
RTSSのメインウィンドウは以下の要素で構成されています。
- Application list: 現在検出されているアプリケーション(ゲームなど)のリストが表示されます。ここに表示されているアプリケーションに対して、個別の設定(プロファイル)を適用できます。リスト上部の「Global」は、どのアプリケーションにも適用される全体設定です。
- Global/Profile Settings: 選択中のアプリケーション(Globalまたはリスト上の特定アプリ)に対する設定項目が表示されます。
- Addボタン: アプリケーションリストに手動で実行ファイル(.exe)を追加します。自動検出されないゲームやアプリケーションでOSDを表示したい場合に利用します。
- Deleteボタン: アプリケーションリストから選択中の項目を削除します。
- Resetボタン: 選択中のアプリケーションの設定をリセットします。
- Setupボタン: RTSS全体のグローバルな設定ウィンドウを開きます。
- Framerate limit スライダー: 選択中のアプリケーションのフレームレートを制限する値を設定します。「Global」で設定すると、全てのアプリケーションにその制限が適用されます。特定のゲームでのみ制限したい場合は、そのゲームのプロファイルを選択して設定します。値を0にすると制限は無効になります。
- Stealth mode: 有効にすると、RTSSがゲームによって検出されにくくなります。一部のオンラインゲームなどで、オーバーレイツールが不正行為と誤認されるのを避けるために使用します。ただし、有効にするとOSDが表示されなくなる場合もあります。通常は無効のままで構いません。
- Show On-Screen Display: OSD(オーバーレイ表示)を有効にするか無効にするかを切り替えます。
- Application detection level: RTSSがアプリケーションを検出するレベルを設定します。デフォルトの「High」でほとんどのゲームを検出できます。もし特定のゲームで検出されない場合は、「Low」などを試してみてください。
- Custom Direct3D support: 特定のゲームやアプリケーションでDirect3DのOSD表示がうまくいかない場合に調整します。通常はデフォルト設定のままで構いません。
- On-Screen Display support: OSDを有効にするか無効にするかのトグルスイッチです。
Show On-Screen Display
と同じ機能ですが、こちらはより詳細なOSD設定の一部として配置されています。 - On-Screen Display rendering mode: OSDの描画方法を選択します。通常はデフォルトの「Vector 3D」で問題ありませんが、互換性問題がある場合は他のモードを試すことができます。
- On-Screen Display zoom: OSDの表示サイズを調整します。スライダーで細かく調整できます。
- On-Screen Display palette: OSDの色設定を行います。文字の色、背景の色などをカスタマイズできます。
- On-Screen Display fill: OSDの背景の透過度を設定します。
- On-Screen Display shadow: OSDに影をつけるかどうかを設定します。
- On-Screen Display position: OSDを表示する画面上の位置(左上、右上、左下、右下など)を選択します。
- On-Screen Display offset:
On-Screen Display position
で設定した位置から、水平方向(X
)と垂直方向(Y
)に微調整するためのスライダーです。 - On-Screen Display layout: OSDに表示する項目のレイアウトを設定します。この設定は、主にMSI Afterburner側で行ったOSD設定の内容をRTSSに反映させるためのもので、RTSS単体で表示項目を直接設定するわけではありません。
- On-Screen Display framerate: OSDの更新頻度を設定します。値が低いほど更新頻度が高くなりますが、CPU負荷はわずかに増加します。通常はデフォルトのままで問題ありません。
- On-Screen Display hotkey: OSDの表示/非表示を切り替えるためのホットキーを設定します。
3.2. 基本的な設定項目
まずはRTSSの基本的な設定を行います。
- 自動起動の設定: RTSSをWindows起動時に自動で立ち上げるには、タスクトレイのRTSSアイコンを右クリックし、「Startup」にチェックを入れます。
- OSD表示の有効化: メインウィンドウで「Global」または特定のゲームプロファイルを選択し、「Show On-Screen Display」にチェックが入っていることを確認します。チェックが入っていないとOSDは表示されません。
- OSD表示位置とサイズ:
On-Screen Display position
で大まかな位置を決め、On-Screen Display offset
で微調整、On-Screen Display zoom
でサイズを調整します。まずはデフォルト位置(左上)で試してみて、ゲーム画面と干渉しない位置に調整するのが良いでしょう。 - フレームレート制限(任意): フレームレートを制限したい場合は、「Global」または特定のゲームプロファイルを選択し、
Framerate limit
スライダーで目標の値を設定します。例えば、60Hzモニターでテアリングを抑えたい場合は59や60に設定します。高リフレッシュレートモニター(144Hzなど)の場合は、モニターのリフレッシュレートやそれ以下に設定することで、GPUの無駄な処理を減らし、安定したフレームタイム(フレーム間の間隔)を得やすくなります。設定しない場合はスライダーを一番左(0)にしておきます。
これらの設定は「Global」で行うと全てのアプリケーションに適用されます。特定のゲームでのみ異なる設定をしたい場合は、後述のプロファイル機能を使用します。
4. OSD (On-Screen Display) の詳細設定とMSI Afterburnerとの連携
RTSSのOSD機能を最大限に活用するには、MSI Afterburnerとの連携が必須です。RTSS単体ではシンプルなFPSカウンターしか表示できませんが、MSI Afterburnerと組み合わせることで、CPUやGPUの温度、使用率、クロック周波数、メモリ使用量など、様々なハードウェア情報をOSDに表示できるようになります。
4.1. MSI AfterburnerでのOSD表示項目設定
まず、MSI Afterburner側でOSDに表示したい監視項目を設定します。
- MSI Afterburnerを起動: MSI Afterburnerのメインウィンドウを開きます。
- 設定画面を開く: メインウィンドウの左側にある歯車アイコン(Settings)をクリックします。
- 「モニタリング」タブへ移動: 設定ウィンドウが開いたら、上部にある「モニタリング」タブをクリックします。
- 表示したい項目の選択: 「アクティブなハードウェアモニタリンググラフ」というリストが表示されます。ここに、MSI Afterburnerが検出している様々なセンサー情報が並んでいます。OSDに表示したい項目(例: GPU使用率、GPU温度、CPU使用率、RAM使用量など)を見つけ、その項目の左側にあるチェックボックスにチェックを入れます。
- OSD表示の有効化: チェックを入れた項目のリストの下にある「グラフ上のオンスクリーンディスプレイ表示」という項目を探し、チェックを入れます。このチェックを入れることで、その項目がRTSS経由でOSDに表示されるようになります。
- ヒント: 複数の項目を選択し、まとめてチェックを入れることができます。Shiftキーを押しながら範囲選択するか、Ctrlキーを押しながら個別に選択します。
- 項目名の変更: OSDに表示される項目名を変更したい場合は、リスト上の項目を選択し、下部にある「選択したグラフのオーバーライド名をオーバーライドする」にチェックを入れて、任意の名前を入力します。
- 項目の並べ替え: リスト右側にある上下の矢印ボタンを使って、OSD上での項目の表示順を並べ替えることができます。
- グループ表示の設定: OSD上で関連する情報をまとめて表示したい場合(例: GPU情報、CPU情報など)、項目リスト上でグループ化したい最初の項目を選択し、下部にある「グループ名でグラフをグループ化する」にチェックを入れて、グループ名を指定します。同じグループ名を指定した項目は、OSD上でまとめて表示されます。
- 適用して閉じる: 設定が完了したら、「適用」をクリックし、その後「OK」をクリックして設定ウィンドウを閉じます。
これで、MSI Afterburner側でOSDに表示する項目が設定されました。MSI Afterburnerがバックグラウンドで動作している間、選択した項目のデータがRTSSに送信されるようになります。
4.2. RTSSでのOSD表示設定の詳細
次に、RTSS側でOSDの見た目や位置などを調整します。MSI Afterburnerの設定を終えてからRTSSの設定に進みましょう。
- RTSSを起動: システムトレイのアイコンをクリックするなどして、RTSSのメインウィンドウを開きます。
- 「Global」またはゲームプロファイルを選択: 設定したい対象(全体設定なら「Global」、特定のゲームならそのプロファイル)を選択します。
- On-Screen Display support: これが有効(チェックが入っている状態)になっているか確認します。これが無効だとOSDは表示されません。
- On-Screen Display rendering mode: 通常は「Vector 3D (recommended)」で問題ありません。これで表示されないゲームがある場合は「Raster 2D」などを試してみてください。「Vector 3D」はスケーリングや回転などが可能で、より高機能です。
- On-Screen Display zoom: OSDの表示サイズを調整します。スライダーを右に動かすと大きくなります。モニターの解像度やゲーム中の画面の見やすさに合わせて調整しましょう。
- On-Screen Display palette: OSDの文字色や背景色を設定します。
Foreground
: 文字の色です。Background
: 背景の色です。スライダーで透明度も調整できます。完全に透明にすることも可能です。Vector 3D color
:On-Screen Display rendering mode
でVector 3Dを選択した場合の色設定です。通常はForeground
の色が適用されます。Alarm color
: 設定した閾値を超えた場合などに表示される警告色です。(この機能はMSI Afterburner側の設定と連携します)Palette editor
: 詳細な色設定を行うためのエディタを開きます。
ゲーム画面の色合いと被って見えにくくなる場合は、文字色や背景色を変更してみましょう。背景に色を付けると、文字が見やすくなることが多いです。
- On-Screen Display fill: OSDの背景の透過度を再度調整できます。
On-Screen Display palette
のBackground
スライダーと同じ機能です。 - On-Screen Display shadow: OSDに影を付けることで、文字が背景から浮き出て見やすくなります。デフォルトでは無効になっていることが多いので、試してみる価値があります。
- On-Screen Display position: OSDを表示する画面上の位置を選択します。四隅のいずれかをクリックして指定します。
- On-Screen Display offset:
On-Screen Display position
で大まかに決めた位置から、さらにピクセル単位で位置を微調整します。X
は水平方向(右方向がプラス)、Y
は垂直方向(下方向がプラス)のオフセット値です。これでOSDを画面端ギリギリに寄せたり、特定のUI要素を避けて配置したりできます。 - On-Screen Display layout: この項目は、MSI Afterburner側で設定したOSD表示項目のレイアウトをRTSS上で確認・微調整するためのものです。
On-Screen Display layout
の左にあるボタンをクリックすると、OSDのプレビュー画面が表示されます。ここで、MSI Afterburnerで設定した各項目がどのように表示されるかを確認できます。各項目はドラッグして位置を動かすことができますが、通常はこのプレビュー画面でレイアウトを調整するよりも、MSI Afterburner側の「モニタリング」タブでの項目の並べ替えやグループ化でレイアウトを調整する方が効率的です。 - On-Screen Display framerate: OSDの更新頻度です。デフォルトは1000ms (1秒) に一度の更新ですが、より頻繁に更新したい場合は値を小さくします(例: 500msで0.5秒に一度)。頻繁すぎるとわずかにCPU負荷が増加する可能性があります。ゲーム中のFPSなどが頻繁に変動する場合、この値を小さくすると変化をよりリアルタイムに追えます。
- On-Screen Display hotkey: OSDの表示/非表示をキーボードショートカットで切り替えられるように設定します。
None
と表示されているボタンをクリックし、設定したいキーを組み合わせて押します(例:Ctrl + Shift + O
など)。ゲーム中に不要になったらすぐに非表示にできるので便利です。設定したら、同じボタンを再度クリックして保存します。解除したい場合は、ボタンをクリックしてNone
を選択します。
これらの設定を行うことで、ゲーム中に快適にパフォーマンス情報を確認できるようになります。設定を変更したら、実際にゲームを起動して表示を確認し、必要に応じて再調整を行いましょう。
5. OSDに表示できる情報の種類 (MSI Afterburnerとの連携)
MSI Afterburnerと連携することで、RTSSのOSDには非常に多岐にわたるハードウェア情報を表示できます。MSI Afterburnerがシステムから取得できるセンサー情報であれば、ほぼ全てを表示できると言っても過言ではありません。代表的な表示項目を以下に挙げます。
- Frame Rate (FPS): 最も基本的な項目。1秒間に描画されるフレーム数です。ゲームの滑らかさの指標となります。
- Frame Time (ms): フレーム間の描画にかかる時間(ミリ秒)です。FPSが高くてもフレームタイムが不安定だと、カクつきを感じやすくなります。フレームタイムの安定性は、FPSの数値以上に重要視されることもあります。
- GPU Usage (%): グラフィックカードの使用率です。これが常に100%に近い場合は、GPUがボトルネックになっている可能性が高いです。
- GPU Temperature (°C): グラフィックカードの温度です。温度が高すぎると、性能が低下(サーマルスロットリング)したり、ハードウェアの寿命に影響したりする可能性があります。
- GPU Clock (MHz): グラフィックカードのコアクロック周波数です。性能に直結します。
- GPU Memory Usage (MB/GB): グラフィックカードのVRAM(ビデオメモリ)の使用量です。ゲームに必要なVRAMを超えていると、パフォーマンスが大きく低下する原因となります。
- GPU Fan Speed (% or RPM): グラフィックカードのファンの回転速度です。温度管理に関わります。
- GPU Power (W or % TDP): グラフィックカードの消費電力またはTDP(Thermal Design Power)に対する比率です。
- CPU Usage (%): CPU全体または各コアの使用率です。これが高い場合は、CPUがボトルネックになっている可能性があります。
- CPU Temperature (°C): CPUの温度です。高すぎるとCPUもサーマルスロットリングを起こし、性能が低下します。
- CPU Clock (MHz): CPUのコアクロック周波数です。性能に直結します。
- RAM Usage (MB/GB): システムメモリ(RAM)の使用量です。使用量が上限に近い場合、パフォーマンスが低下する可能性があります。
- Pagefile Usage (MB/GB): ページファイル(仮想メモリ)の使用量です。これが高い場合、物理メモリ(RAM)が不足している可能性があります。
- Frametime graph: フレームタイムの推移をグラフで表示します。スパイク(急な上昇)があると、カクつきが発生していることを視覚的に把握できます。
- Framerate graph: FPSの推移をグラフで表示します。
- Low 1% FPS / Low 0.1% FPS: 全体のフレームレートのうち、下位1%や下位0.1%のフレームレートの平均値です。瞬間的なカクつきや最低限の滑らかさを示す重要な指標となります。
- Disk I/O: ストレージ(HDD/SSD)の読み書き速度です。ゲームのロード時間などに影響します。
- Network PING / Usage: ネットワークの遅延(Ping)や帯域使用率です。オンラインゲームで役立ちます。
これらの情報を組み合わせて表示することで、ゲームがどのようなボトルネックを抱えているのか、ハードウェアが健全な状態で動作しているかなどを詳細に分析できます。例えば:
- FPSが低い時:
- GPU Usageが低い: CPUボトルネックの可能性が高い。CPU、またはCPUに関わる設定(ゲーム内のNPC数、描画距離など)が原因かもしれません。
- GPU Usageが高い: GPUボトルネックの可能性が高い。グラフィック設定を下げる必要があるかもしれません。
- GPU TemperatureやCPU Temperatureが高い: 温度によるスロットリングが発生しているかもしれません。冷却を見直す必要があります。
- VRAM UsageがVRAM容量に近い/超えている: テクスチャ設定などを下げる必要があるかもしれません。
- FPSは高いがカクつく時:
- Frame Timeのグラフにスパイクが多い: フレームタイムが不安定です。ゲーム設定、ドライバー設定、あるいはRTSSや他のバックグラウンドプロセスの影響かもしれません。
- Low 1% / 0.1% FPSが極端に低い: 瞬間的な大きなカクつきが発生しています。
このように、RTSSとMSI Afterburnerを連携させたOSD表示は、単なるFPS表示を超え、ゲームのパフォーマンスを最適化するための強力なデバッグツールとなります。
6. フレームレート制限 (Framerate limit) の詳細
RTSSのもう一つの重要な機能がフレームレート制限です。単純に最高フレームレートを抑えるだけでなく、ゲーミング体験を向上させるための多くのメリットがあります。
6.1. なぜフレームレート制限が必要か?
フレームレート制限は、以下のような理由から推奨されます。
- テアリングの抑制: Vsync(垂直同期)を使用せずにモニターのリフレッシュレートを超えるフレームレートが出ている場合、画面の途中で描画がずれる「テアリング」が発生します。RTSSでフレームレートをモニターのリフレッシュレート以下(例: 60Hzモニターなら59fpsや60fps)に制限することで、Vsyncを使わずにテアリングを効果的に軽減できます。
- 入力遅延の改善(Vsyncとの比較): ゲーム内Vsyncを有効にするとテアリングはなくなりますが、入力遅延が増加するという副作用があります。RTSSによるフレームレート制限は、Vsyncを使用せずにテアリングを軽減できるため、Vsyncよりも入力遅延を抑えることができます。ただし、G-SYNCやFreeSyncといった可変リフレッシュレート技術を使用している場合は、これらの技術と組み合わせてフレームレート制限(通常はモニター最大リフレッシュレートの数フレーム下)を行うことで、テアリングも入力遅延も最小限に抑えることができます。
- GPU負荷軽減と消費電力削減: 必要以上の高フレームレートを出さないようにGPUに制限をかけることで、GPUの使用率が下がり、それに伴って温度や消費電力も抑えられます。これは、PCの寿命を延ばしたり、冷却ファンの騒音を減らしたりする効果もあります。
- フレームタイムの安定化: GPUが常に最大負荷で動作するのを避け、余裕を持たせることで、フレームの生成間隔(フレームタイム)がより安定しやすくなります。これは、たとえ平均FPSが高くても、ゲームがより滑らかに感じられることに繋がります。
- 特定のゲームでの動作安定化: 一部のゲームでは、フレームレートが極端に高くなると物理演算やアニメーションなどが異常を起こすことがあります。RTSSでフレームレートを制限することで、こうした問題を回避できる場合があります。
6.2. RTSSによる制限のメリット
RTSSによるフレームレート制限は、他の方法(ゲーム内設定、GPUドライバー設定)と比較して、以下の点で優れている場合があります。
- 低遅延: 前述の通り、Vsyncを使わずにテアリングを軽減できるため、入力遅延を抑えられます。特に、ゲーム内リミッターやGPUドライバーのリミッターよりも低遅延であるとされることが多いです。
- 高い精度: RTSSのフレームレート制限は非常に精度が高いことで知られています。
- 幅広い互換性: ゲームの種類やAPIに関わらず、多くのゲームに適用できます。
6.3. 制限値の設定方法
Framerate limit
スライダーで値を設定します。
- モニターのリフレッシュレートに合わせる場合:
- 60Hzモニターの場合:59または60に設定します。多くの場合は59fpsがテアリングと遅延のバランスが良いとされます。G-SYNC/FreeSyncを使っている場合は、58や59など、リフレッシュレートの数フレーム下に設定するのが推奨されます。
- 144Hzモニターの場合:143または144に設定します。G-SYNC/FreeSyncを使っている場合は、141や143などに設定するのが推奨されます。
- それ以上の高リフレッシュレートモニターの場合も同様に、リフレッシュレート以下に設定します。
- 目標フレームレートに制限する場合: PCの性能的に常時安定した高フレームレートが出せないが、ある程度の滑らかさを維持したい場合、例えば目標を60fpsとしてスライダーを60に設定します。これにより、フレームレートの変動が大きくなるのを抑え、体感的な安定感を向上させることができます。
- GPU負荷や温度を抑えたい場合: 目標とするフレームレートよりも十分に高いFPSが出ている場合、例えば200fps出ているゲームで120fpsもあれば十分だと感じるなら、スライダーを120に設定します。これによりGPUの負荷と消費電力を削減できます。
設定は「Global」で行うと全てのアプリケーションに適用されますが、ゲームによっては特定のフレームレートが推奨されたり、制限すると不具合が出たりする場合もあります。そのため、基本的には特定のゲームのプロファイルを作成し、そのゲームに最適な制限値を設定するのが良い方法です。
7. プロファイル機能の活用
RTSSのプロファイル機能を使うと、アプリケーション(ゲームなど)ごとに異なる設定を適用できます。これは、ゲームによって最適なOSD表示やフレームレート制限が異なる場合に非常に役立ちます。
7.1. アプリケーションプロファイルの作成と設定
RTSSは起動しているアプリケーションを自動的に検出し、リストに追加することが多いですが、手動で追加することも可能です。
- アプリケーションリストへの追加:
- 自動検出: RTSSが起動している状態でゲームを起動すると、RTSSのメインウィンドウのApplication listにゲームの実行ファイル名(例:
game.exe
)が自動的に追加されることがあります。 - 手動追加: もし自動検出されない場合や、リストにないアプリケーションを追加したい場合は、RTSSメインウィンドウ左下の「Add」ボタンをクリックします。ファイル選択ダイアログが表示されるので、ゲームの実行ファイル(通常はゲームのインストールフォルダ内にある.exeファイル)を選択して「開く」をクリックします。アプリケーションリストにその実行ファイル名が追加されます。
- 自動検出: RTSSが起動している状態でゲームを起動すると、RTSSのメインウィンドウのApplication listにゲームの実行ファイル名(例:
- プロファイルの設定: アプリケーションリストに追加された項目(ゲーム名)をクリックして選択します。すると、右側の設定エリアがそのアプリケーション用の設定に切り替わります。
- 「Global」設定の継承: デフォルトでは、新しく追加されたプロファイルは「Global」設定を継承しています。設定項目名の右側に「Global」と表示されているものは、現在Global設定が適用されていることを意味します。
- 個別の設定変更: 特定の設定項目(例:
Show On-Screen Display
、Framerate limit
など)の値を変更すると、その項目は「Global」の表示が消え、そのアプリケーション独自の個別設定となります。例えば、ほとんどのゲームではOSDを表示したいが、特定のゲーム(例: オンライン対戦ゲームなど)ではOSDを非表示にしたい場合、そのゲームのプロファイルを選択し、Show On-Screen Display
のチェックを外します。
- プロファイルの削除: リストからアプリケーションを選択し、「Delete」ボタンをクリックすると、そのプロファイルが削除されます。ただし、アプリケーションの実行ファイル自体が削除されるわけではありません。
7.2. グローバル設定とアプリケーション設定の優先順位
RTSSの設定は、以下の優先順位で適用されます。
- アプリケーション設定: アプリケーションリストに登録され、個別に設定が変更されている項目は、そのアプリケーションが起動している間、グローバル設定よりも優先されます。
- グローバル設定: 特定のアプリケーション設定がされていない項目、またはアプリケーションリストに登録されていないアプリケーションに対して適用されます。
この仕組みを理解しておくと、設定が意図した通りに適用されない場合のトラブルシューティングに役立ちます。例えば、「OSDが表示されない」という場合、グローバル設定でOSDが有効になっていても、そのゲームのプロファイルでOSDが無効になっていないかを確認する必要があります。
7.3. 具体的なプロファイル設定例
- 特定のゲームでだけOSDを表示する:
- 「Global」設定で
Show On-Screen Display
を無効にする。 - OSDを表示したいゲームのプロファイルを作成または選択し、
Show On-Screen Display
を有効にする。
- 「Global」設定で
- 特定のゲームでだけフレームレートを制限する:
- 「Global」設定で
Framerate limit
を0にする。 - 制限したいゲームのプロファイルを選択し、
Framerate limit
スライダーで制限値を設定する。
- 「Global」設定で
- オンラインゲームでStealth modeを有効にする:
- 「Global」設定で
Stealth mode
を無効にする(通常)。 - オンラインゲームのプロファイルを選択し、
Stealth mode
を有効にする。
- 「Global」設定で
- ゲームごとにOSDの位置を変える:
- 各ゲームのプロファイルを選択し、
On-Screen Display position
やOn-Screen Display offset
を設定する。
- 各ゲームのプロファイルを選択し、
このように、プロファイル機能を活用することで、様々なゲームタイトルやアプリケーションに対して、それぞれに最適なパフォーマンス監視・制御設定を行うことができます。
8. その他の便利な機能
RTSSには、OSD表示やフレームレート制限以外にも、便利な機能が搭載されています。
- ベンチマーク機能: ゲーム中のフレームレートを記録し、最小、最大、平均、1% Low、0.1% Lowなどの統計情報を出力できます。これは、PCの性能比較や設定変更による効果測定に非常に役立ちます。
- 使い方: RTSSメインウィンドウ上部の「Setup」ボタンをクリックし、設定ウィンドウを開きます。「Benchmark」タブに移動します。ここでベンチマークの開始/停止ホットキーを設定できます。ベンチマークデータを記録するファイル名や保存場所も設定できます。ゲーム中に設定したホットキーを押すことで記録が開始・停止され、指定した場所にテキストファイルとして結果が出力されます。
- スクリーンショット機能: ゲーム中にスクリーンショットを撮影する機能です。
- 使い方: 「Setup」->「Screenshot」タブでスクリーンショットのホットキー、画像形式、保存場所などを設定します。
- ビデオキャプチャ機能: ゲーム画面を動画としてキャプチャする機能です。ただし、これは基本的な機能であり、高機能なキャプチャソフト(OBS Studioなど)と比較すると機能は見劣りします。
- 使い方: 「Setup」->「Videocapture」タブでビデオキャプチャの開始/停止ホットキー、ビデオ形式、解像度、フレームレート、音声ソース、保存場所などを設定します。
これらの機能は、ゲームのレビューや検証、自分のプレイを記録したい場合などに役立ちます。特にベンチマーク機能は、MSI AfterburnerのOSDと組み合わせることで、リアルタイムのパフォーマンス確認だけでなく、具体的な数値データに基づいた詳細な分析が可能になります。
9. トラブルシューティング
RTSSやOSDが表示されない、ゲームが不安定になるなど、使用中に問題が発生した場合の一般的な原因と対処法を解説します。
9.1. OSDが表示されない
最もよくある問題の一つです。以下の点を確認してください。
- RTSSとMSI Afterburnerが起動しているか?: 両方のアプリケーションがバックグラウンドで動作している必要があります。システムトレイに両方のアイコンが表示されているか確認してください。
- OSDが有効になっているか?:
- RTSSメインウィンドウの「Global」または該当ゲームのプロファイルで、
Show On-Screen Display
にチェックが入っているか確認します。 - RTSSメインウィンドウのOSD設定エリアで、
On-Screen Display support
が有効になっているか確認します。
- RTSSメインウィンドウの「Global」または該当ゲームのプロファイルで、
- MSI Afterburner側でOSD表示項目が設定されているか?:
- MSI Afterburnerの設定画面の「モニタリング」タブで、表示したい項目にチェックが入っているか確認します。
- その項目の下にある「グラフ上のオンスクリーンディスプレイ表示」にチェックが入っているか確認します。
- 管理者権限で実行しているか?: 一部のゲームでは、RTSSやMSI Afterburnerを管理者権限で実行しないと、ゲームへのオーバーレイ表示ができない場合があります。RTSSとMSI Afterburnerの両方を右クリックし、「管理者として実行」で起動してみてください。常に管理者権限で起動したい場合は、実行ファイルやショートカットのプロパティを開き、「互換性」タブで「管理者としてこのプログラムを実行する」にチェックを入れてください。
- ゲーム側の設定との干渉:
- ゲーム内に独自のOSDやパフォーマンス表示機能がある場合、それを無効にしてみてください。RTSSのOSDと競合する可能性があります。
- ゲームのグラフィック設定で、特定のレンダリングモード(例: フルスクリーン最適化、特定のAPI設定など)がRTSSのOSDとうまく連携しない場合があります。設定を変更して試してみてください。特にフルスクリーン排他モードではなく、ボーダーレスウィンドウモードの方がOSDが表示されやすい場合があります。
- RTSSのApplication detection level: デフォルトの「High」で検出されないゲームの場合、「Low」などに変更して試してみてください。
- RTSSのCustom Direct3D support: 特定のAPI(DirectX 9, 10, 11, 12)のサポート設定を調整してみる。例えば、特定のD3Dバージョンだけ無効にしてみるなど。ただし、通常はデフォルトで問題ありません。
- Hooks設定の調整: RTSSのSetup画面の「General」タブにある「Compatibility properties」内のHooks設定(
Detection level
やCustom Direct3D support
,Custom OpenGL support
,Custom Vulkan support
など)を調整します。特定のゲームとの互換性問題は、これらの設定で解決することがあります。ただし、この設定は誤るとゲームが起動しなくなることもあるため、変更する際は慎重に行い、元の設定を覚えておくようにしてください。 - 他のオーバーレイツールとの競合: GeForce Experience、AMD Radeon Software、Steamオーバーレイ、Discordオーバーレイなど、他のオーバーレイ表示機能を持つツールが同時に起動していると競合する場合があります。RTSS/MSI Afterburner以外のオーバーレイを一時的に無効にして試してみてください。
- ゲームのアップデート: ゲームのアップデートによって、RTSSとの互換性が一時的に失われることがあります。RTSSやMSI Afterburnerのアップデートを待つ必要があるかもしれません。
- RTSS/MSI Afterburnerのバージョン: 使用しているRTSSやMSI Afterburnerのバージョンが古い場合、最新のゲームに対応していないことがあります。最新版にアップデートしてみてください。
9.2. ゲームがクラッシュする、不安定になる
RTSSがゲームの動作に悪影響を与えている可能性があります。
- Stealth modeを有効にする: 特にオンラインゲームなどで、RTSSのインジェクションがゲームのチート対策システムに誤検知されてしまう場合があります。該当ゲームのプロファイルで
Stealth mode
を有効にしてみてください。 - Application detection levelを下げる: アプリケーションの検出レベルを下げることで、インジェクションの挙動が変わる場合があります。
- Hooks設定の調整: 上記のOSDが表示されない場合のHooks設定と同様に、問題が発生しているAPI(DirectX, OpenGL, Vulkan)のサポートを一時的に無効にしてみる。
- RTSSのオーバーレイを完全に無効にする: RTSSメインウィンドウで
Show On-Screen Display
のチェックを外すか、該当ゲームのプロファイルでOSDを無効にして、クラッシュが解決するか確認します。 - 他のオーバーレイツールを無効にする: RTSS以外のオーバーレイツールとの競合が原因で不安定になっている可能性があります。
- RTSS/MSI Afterburnerを一時的に終了させる: 問題がRTSSやMSI Afterburnerにあるかを切り分けるために、両方のツールを終了させた状態でゲームを起動し、安定するかどうか確認します。
- ゲームファイルの整合性確認: ゲームのファイルが破損している可能性も考えられます。Steamなどのプラットフォームでゲームファイルの整合性チェックを実行してみてください。
- グラフィックドライバーのクリーンインストール: グラフィックドライバーの問題が原因で、オーバーレイツール使用時に不安定になることもあります。Display Driver Uninstaller (DDU) などのツールを使用してドライバーを完全に削除し、最新版をクリーンインストールしてみてください。
9.3. フレームレート制限が効かない
- RTSSが起動しているか?: RTSSが起動していないと制限は機能しません。
- 該当プロファイルで制限が設定されているか?: 「Global」または該当ゲームのプロファイルを選択し、
Framerate limit
スライダーが0以外の値になっているか確認します。 - ゲーム内のVsyncやフレームレート制限: ゲーム内の設定でVsyncやフレームレート制限が有効になっていると、RTSSの設定と競合する場合があります。ゲーム内の設定を無効(Vsync Off, フレームレート制限解除)にして、RTSSの制限のみを有効にしてみてください。
- GPUドライバーのフレームレート制限: NVIDIAコントロールパネルやAMD Radeon Softwareでフレームレート制限が有効になっている場合、RTSSの制限と競合する可能性があります。GPUドライバー側の制限を無効にしてください。
- Hooks設定: 特定のAPIで制限がうまく機能しない場合、Hooks設定(特に
Framerate limit
の設定)を調整する必要があるかもしれません。
9.4. 特定のゲームでOSDが表示できない/制限が効かない
一部のゲーム、特にオンラインゲームやRootkit対策が厳しいゲームでは、RTSSのようなインジェクションを行うツールが検知され、OSDが表示されなかったり、最悪の場合はゲームから強制終了されたりすることがあります。
- Stealth modeの有効化: これが最も一般的な対処法です。
- Hooks設定の調整: 問題が発生しているAPI(D3D, OpenGL, Vulkan)のHooks設定を、そのゲームのプロファイルでのみ変更してみる。例えば、
Custom Direct3D support
をOn
にして、特定のD3DバージョンのみをHooks対象にするなど。 - フォーラムやコミュニティで情報収集: プレイしている特定のゲームとRTSSの互換性問題が報告されていないか、オンラインのフォーラムやコミュニティ(Reddit、ゲームの公式フォーラムなど)で情報を探してみる。他のユーザーが解決策を見つけている場合があります。
- ゲーム側のアップデートを待つ: ゲーム側のアップデートによってRTSSとの互換性が改善されることもあります。
RTSSは非常に互換性が高いツールですが、全てのゲームで完璧に動作するわけではありません。特に新しいゲームやRootkit対策が強力なゲームでは、一時的に問題が発生することがあります。
10. RTSSと他のツールとの比較
PCゲームのパフォーマンス表示やフレームレート制限は、RTSS以外にも様々な方法で行えます。ここでは、代表的なツールと比較し、RTSSの立ち位置や強みを改めて確認します。
- Steamオーバーレイ:
- メリット: Steamゲームであれば追加インストール不要で手軽に使える。FPSカウンターのみなら非常にシンプル。
- デメリット: 表示できる情報が基本的にFPSのみで限定的(ゲームによっては詳細表示可能)。OSDのカスタマイズ性は低い。フレームレート制限機能はない。Steam以外のゲームでは使えない。
- Geforce Experience (GeForce Overlay):
- メリット: NVIDIA製GPUユーザー向け。FPS表示に加え、GPU使用率、温度、遅延などの詳細な情報を表示可能。カスタマイズ性も比較的高い。録画や配信機能も統合されている。一部ゲームでは低遅延なReflex Latency Analyzerと連携できる。
- デメリット: NVIDIA製GPU限定。RTSSよりシステムリソースを消費する傾向がある。フレームレート制限機能もあるが、RTSSほどの低遅延・高精度ではないとされる場合がある。一部ゲームで競合や不具合が発生することがある。
- AMD Radeon Software:
- メリット: AMD製GPUユーザー向け。GeForce Experienceと同様に詳細なパフォーマンス情報の表示や録画機能を持つ。Radeon Anti-Lagなどで遅延低減も可能。
- デメリット: AMD製GPU限定。GeForce Experienceと同様にRTSSよりリソースを消費する傾向や、フレームレート制限の精度・遅延でRTSSに劣る場合がある。
- ゲーム内機能:
- メリット: そのゲームに最適化されているため、最も互換性が高い。追加ツールのインストールが不要。
- デメリット: 機能がゲームによって大きく異なる(FPSのみ、詳細情報、カスタマイズ性など)。フレームレート制限機能がある場合もあるが、多くはVsyncベースで遅延が大きい。
- HWiNFO:
- メリット: システム中のあらゆるハードウェアの詳細なセンサー情報を取得できる、監視ツールとしては最高峰。
- デメリット: RTSSやMSI Afterburnerのようなオーバーレイ機能は持たない(MSI Afterburner経由で連携させることは可能)。単体ではゲーム中のリアルタイム表示には不向き。
これらのツールと比較して、RTSSの最大の強みは以下の点に集約されます。
- 軽量さ: ゲームパフォーマンスへの影響を最小限に抑えます。
- 高い互換性と安定性: 様々なゲームやAPIに対して、長年の開発実績に裏打ちされた安定した動作を提供します。
- MSI Afterburnerとの強力な連携による詳細な情報表示: ほぼ全てのハードウェア情報を自由に組み合わせて表示できます。
- 高精度で低遅延なフレームレート制限: 特に競争力のあるゲームにおいて、パフォーマンスと応答性のバランスを取るのに優れています。
- カスタマイズ性の高さ: OSDの見た目や位置などを細かく調整し、ゲームプレイの邪魔にならない最適な表示を実現できます。
もちろん、GeForce ExperienceやRadeon SoftwareはGPUドライバーに統合されているため、GPUの最適化や機能との連携がスムーズです。SteamオーバーレイはSteamユーザーにとって最も手軽です。しかし、「どのようなゲームでも、必要なパフォーマンス情報を表示し、高精度なフレームレート制限を行いたい」という目的においては、RTSS(とMSI Afterburner)が最も汎用性が高く、強力な選択肢と言えます。
11. 上級者向け設定(概要)
RTSSには、さらに高度な設定項目も存在します。入門ガイドとしては基本設定が中心となりますが、簡単に触れておきます。
- Scanline sync: Vsyncを使わずにテアリングを完全に除去しつつ、入力遅延も極めて少なく抑えることができる機能です。ただし、設定が難しく、すべてのゲームで効果があるわけではありません。特定のフレームレート(例: モニターのリフレッシュレート)に合わせて画面の特定の走査線でフレーム切り替えを行う技術です。RTSSメインウィンドウ上部の「Setup」ボタン -> 「General」タブ -> 「Compatibility properties」内で設定できます。
- Vector 3D OSD:
On-Screen Display rendering mode
で選択できる描画モードの一つですが、Vector 3Dモードには、OSDを画面に追従させて回転させたり、3D空間に配置したりするなどの応用機能があります。これは非常に高度な設定であり、通常のパフォーマンス監視には不要です。 - Hooks設定の詳細:
Setup
->General
タブ ->Compatibility properties
内のDetection level
,Custom Direct3D support
,Custom OpenGL support
,Custom Vulkan support
といった項目は、RTSSがゲームプロセスにどのようにフック(割り込み)をかけるかを詳細に制御します。特定のゲームでOSDが表示されない、ゲームがクラッシュするといった互換性問題が発生した場合に調整しますが、誤った設定はシステム不安定化の原因にもなるため、変更する際は慎重な調査が必要です。 - Configuration fileの直接編集: RTSSの設定は、インストールフォルダ内の
.cfg
ファイルに保存されています。これらのファイルを直接編集することで、GUIでは設定できない、さらに詳細なパラメータを調整することが可能です。ただし、これも高度な知識が必要であり、バックアップを取ってから行うべきです。
これらの上級者向け設定は、特定の環境で発生する稀な問題に対処する場合や、特殊な表示・制御を行いたい場合に検討するものであり、多くのユーザーにとっては基本設定とMSI Afterburnerとの連携機能で十分です。
12. まとめ
RivaTuner Statistics Server (RTSS) は、単なるゲームのFPS表示ツールではありません。MSI Afterburnerと連携することで、CPU、GPU、RAMなどの詳細なハードウェア情報をゲーム画面上にリアルタイムでオーバーレイ表示させることができる強力な監視ツールです。さらに、その高精度で低遅延なフレームレート制限機能は、テアリングを抑えつつ入力遅延を最小限に抑えるための優れた手段となります。
軽量で安定性が高く、幅広いゲームやAPIに対応しているRTSSは、Steam、GeForce Experience、AMD Radeon Softwareなどの他のツールと比較しても、パフォーマンス監視とフレームレート制御において独自の強みを持っています。
この記事で解説した手順に従えば、RTSSの導入から基本的な設定、MSI Afterburnerとの連携によるOSD表示、そしてフレームレート制限機能まで、一通り使いこなせるようになるはずです。
ゲーム中のパフォーマンスを常に把握し、最適な設定を見つけ、GPUの無駄な稼働を抑えることで、より快適で安定したゲーミング環境を構築することができます。もしあなたがまだRTSSを使ったことがないPCゲーマーなら、ぜひこの機会に導入して、その便利さと効果を実感してみてください。あなたのゲームライフが、RTSSによってさらに快適になることを願っています。