コンタクトレンズの種類と選び方ガイド:初めての方へのおすすめ紹介
初めてのコンタクトレンズ。新しい世界が広がるようでワクワクする一方で、「怖い」「自分に合うものを選べるかな」「手入れが面倒そう」といった不安もきっとあるでしょう。メガネとは違う装用感や、目に直接触れることへの戸惑いは、誰もが最初に経験することです。
この記事は、そんな初めてコンタクトレンズを使おうと考えているあなたが、安心してコンタクトレンズの世界に第一歩を踏み出せるよう、コンタクトレンズの種類から正しい選び方、そして使う上で知っておくべき大切なことまで、網羅的に解説するガイドです。
ただし、コンタクトレンズは高度管理医療機器であり、あなたの目の健康に直接関わるものです。どんなレンズを選ぶにしても、必ず眼科医の診察を受け、適切な処方に基づき購入・使用することが絶対条件です。この記事はあくまで一般的な情報提供であり、個別の目の状態や診断については必ず眼科医にご相談ください。
さあ、一緒にコンタクトレンズについて学び、あなたにぴったりの一枚を見つけましょう。
コンタクトレンズとは? 基本を知ろう
コンタクトレンズは、直接角膜(黒目)の上に装着して視力を矯正したり、目の見た目を変えたりする医療機器です。メガネのようにフレームがないため、見た目が変わらず、スポーツなどで体を動かす際にも邪魔になりにくいというメリットがあります。
メガネとの主な違いとコンタクトレンズのメリット・デメリット
特徴 | コンタクトレンズ | メガネ |
---|---|---|
見た目 | 自然、印象が変わらない | フレームのデザインで印象が変わる |
視界 | 広くて自然な視界、歪みが少ない | フレームやレンズの厚みによる視野制限・歪みがある |
装用感 | 慣れるまで異物感がある、乾燥を感じやすい | 鼻や耳に重み、蒸れや跡がつくことがある |
天候 | 影響を受けにくい(雨や曇りによるレンズの曇りがない) | 雨や曇りでレンズが曇りやすい |
スポーツ | 邪魔になりにくい、視野が広い | ずれる、落ちる、破損のリスクがある |
手入れ | 種類によるが、毎日洗浄・消毒が必要な場合が多い | レンズ拭きなどで手軽に手入れできる |
費用 | レンズ代、ケア用品代、定期検査費用がかかる | フレーム代、レンズ代、買い替え頻度は比較的低い |
目の健康 | 正しい使用・ケア・定期検査が不可欠、目のトラブルリスクあり | 眼鏡による目の直接的なトラブルは少ない |
初めて | 眼科での検査・装用練習・ケア指導が必須 | 店頭で視力測定・フィッティング、比較的簡単 |
コンタクトレンズの大きな魅力は、裸眼に近い自然な見え方と、活動的なシーンでの快適さです。一方で、目に直接触れるため、正しく扱わないと目のトラブルにつながるリスクがあります。このリスクを最小限にするためには、正しい知識と適切なケアが何よりも重要です。
コンタクトレンズの種類:素材による分類
コンタクトレンズは、その素材によって大きく「ソフトコンタクトレンズ」と「ハードコンタクトレンズ」に分けられます。それぞれの特徴を理解することが、自分に合ったレンズ選びの第一歩です。
ソフトコンタクトレンズ
水分を含んで柔らかくなるプラスチック素材(ハイドロゲルまたはシリコーンハイドロゲル)で作られています。形状が柔らかく、角膜の形状に沿うため、初めての人でも比較的早い段階で慣れやすいのが特徴です。
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特徴:
- 水分を含んで柔らかい
- 角膜の形状に馴染みやすい
- 装用感が良い(異物感を感じにくい)
- 直径が大きく、黒目を覆うタイプが多い
- ズレにくく、激しい動きにも対応しやすい
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主な種類:
- ハイドロゲル素材: 従来から使われている素材。含水率が高いほど酸素透過性が高くなる傾向がありますが、乾燥しやすいという側面もあります。
- シリコーンハイドロゲル素材: 近年主流になっている素材。ハイドロゲルに比べて格段に酸素を通しやすく、目の健康に必要な酸素を十分に供給できます。乾燥しにくい特性を持つものもあります。
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メリット:
- 装用感が良い: レンズが柔らかく目に馴染みやすいため、初めての人でも比較的異物感を感じにくく、慣れるまでの期間が短い傾向があります。
- ズレにくい: レンズが角膜にしっかりフィットするため、スポーツなどの激しい動きでもズレたり外れたりしにくいです。
- 種類が豊富: ワンデー、2週間交換、1ヶ月交換など、様々な使用期間の製品があります。乱視用や遠近両用、カラーレンズなど、選択肢が多いのも魅力です。
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デメリット:
- 乾燥しやすい: 特にハイドロゲル素材のレンズは、含水率が高いほど水分が蒸発しやすく、目が乾燥しやすいと感じることがあります(シリコーンハイドロゲル素材は乾燥しにくいものが多いです)。
- 汚れが付着しやすい: 水分を含む素材のため、涙液中のタンパク質や脂質などの汚れが付着しやすい傾向があります。正しいケアを怠ると、汚れが原因で目のトラブルを引き起こす可能性があります。
- 乱視矯正に限界がある場合がある: 強い乱視の場合や、乱視の種類によっては、ハードレンズの方がクリアな視界が得られることがあります。
- 破損に気づきにくい: 柔らかいため、小さな傷や破れに気づきにくいことがあります。
ハードコンタクトレンズ
硬いプラスチック素材(主に酸素透過性の高いポリマー)で作られています。角膜の形状に大きく左右されず、一定の形状を保つのが特徴です。装用感はソフトレンズに比べて劣りますが、視界のクリアさや目の健康面で優れた点が多くあります。
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特徴:
- 硬い素材
- 直径が小さく、黒目より小さい
- 角膜の上でレンズが動き、涙液交換を促進する
- 高い酸素透過性を持つ製品が主流(酸素透過性ハードコンタクトレンズ:RGPレンズ)
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主な種類:
- 酸素透過性ハードコンタクトレンズ(RGPレンズ): 現在主流のハードレンズ。素材自体が酸素を通しやすく、またレンズが動くことで涙液の循環を促し、角膜への酸素供給を助けます。
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メリット:
- クリアな視界: レンズが硬く形状が安定しているため、特に乱視矯正に強く、クリアで安定した視界が得やすいです。不正乱視(角膜の歪みなど)にも対応しやすい場合があります。
- 目の健康に良い: 素材自体の酸素透過性が高く、レンズの動きによって涙液交換が促進されるため、角膜への酸素供給が豊富で、目の健康を維持しやすいとされています。
- 汚れが付着しにくい: 素材が硬く水分をほとんど含まないため、タンパク質などの汚れが付着しにくく、手入れが比較的簡単です。
- 長持ちする: 正しく扱えば、1枚のレンズを数年間(一般的には2年程度)使用できます。ソフトレンズよりもランニングコストが抑えられる可能性があります。
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デメリット:
- 慣れるまで時間がかかる: レンズが硬いため、装用時に異物感や痛みを強く感じやすく、慣れるまでに数日〜数週間かかることがあります。
- ズレやすい、外れやすい: ソフトレンズに比べて直径が小さく、レンズが角膜の上を動くため、激しい動きやホコリ、風などでズレたり外れたりしやすいです。
- 破損しやすい: 落としたり、ぶつけたりすると割れたり欠けたりしやすいです。
- 種類が限られる: ソフトレンズに比べて製品の選択肢は少ないです。カラーレンズなどはほとんどありません。
ソフトコンタクトレンズ vs ハードコンタクトレンズ比較表
特徴 | ソフトコンタクトレンズ | ハードコンタクトレンズ |
---|---|---|
素材 | 水分を含む柔らかいプラスチック | 水分を含まない硬いプラスチック |
装用感 | 良い(慣れやすい) | 異物感を感じやすい(慣れるまで時間がかかる) |
慣れるまでの期間 | 短い傾向がある | 長い傾向がある |
サイズ | 大きい(黒目を覆う) | 小さい(黒目より小さい) |
ズレ・外れ | ズレにくい、外れにくい | ズレやすい、外れやすい |
視界 | 比較的良好、乱視矯正は限界がある場合がある | クリア、特に乱視矯正に強い |
目の健康 | シリコーンハイドロゲルは酸素供給良好、ケアが重要 | 酸素供給良好、涙液交換促進 |
汚れやすさ | 汚れやすい(特にハイドロゲル) | 汚れにくい |
手入れ | 毎日丁寧なケアが必要 | 比較的簡単(ただしこすり洗いは必要) |
耐久性 | 短い(使い捨て~数ヶ月・1年程度) | 長い(数年間使用可能) |
コスト | 使用期間によるが、長期ではハードより高め | 初期費用は高めだが、長期ではソフトより安め |
適性 | 初めての人、スポーツをする人、異物感が苦手な人 | クリアな視界を求める人、乱視がある人、目の健康を重視する人 |
どちらのレンズが自分に合うかは、ライフスタイル、目の状態、矯正したい視力、慣れるまでの期間にかけられる時間などを考慮して、眼科医と相談しながら決めることが大切です。
コンタクトレンズの種類:使用期間による分類
ソフトコンタクトレンズは、使い捨ての期間によっていくつかのタイプに分かれます。この使用期間の選択も、コンタクトレンズを選ぶ上で非常に重要なポイントです。ハードコンタクトレンズは一般的に長期使用タイプ(数年間)です。
1日使い捨てタイプ(ワンデー)
その名の通り、1日使用したら毎日新しいレンズに交換するタイプです。開封したその日に使用し、外したら捨てます。
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特徴:
- 毎日新しいレンズを使う
- レンズケア(洗浄・消毒・保存)が不要
- 最も衛生的
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メリット:
- 衛生的: 毎日新しいレンズを使用するため、汚れが蓄積する心配がなく、目のトラブルのリスクを減らせます。特にアレルギー体質の人に適しています。
- 手入れ不要: 洗浄や消毒といった毎日のケアが一切不要なので、手軽で便利です。ケア用品のコストもかかりません。
- 手軽: 旅行や出張、スポーツなど、必要な時にだけ使いたいという人にも便利です。予備を携帯しておけば、破損や紛失時も安心です。
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デメリット:
- コストが高い: 毎日新しいレンズを使うため、他のタイプに比べて年間にかかる費用が高くなる傾向があります。毎日長時間装用する人にとっては経済的な負担が大きいかもしれません。
- ゴミが増える: 毎日レンズやブリスターパック(レンズが入っている容器)を捨てるため、他のタイプよりゴミが多く出ます。
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どんな人におすすめか:
- コンタクトレンズの手入れが面倒だと感じる人
- アレルギー体質で、レンズの汚れによるトラブルが心配な人
- コンタクトレンズの使用頻度が低い人(週末だけ、スポーツの時だけなど)
- 常に清潔な状態で使いたい人
- 初めてコンタクトレンズを使う人(ケアの負担がないため、慣れやすい)
2週間交換タイプ
同じレンズを最長で2週間繰り返し使用するタイプです。毎日の正しいケア(洗浄・消毒・保存)が必要です。
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特徴:
- 1枚のレンズを最長2週間使用
- 毎日のケアが必須
- ワンデーと1ヶ月の中間のコスト・手軽さ
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メリット:
- ワンデーより経済的: 毎日交換するワンデータイプよりもコストを抑えることができます。
- 衛生的(ケアをしっかり行えば): 毎日ケアを行うことで、清潔な状態を比較的保ちやすいです。2週間で交換するため、長期タイプよりは汚れの蓄積が少ない傾向があります。
- 手軽さのバランス: 毎日のケアは必要ですが、1ヶ月タイプよりは交換頻度が高いため、汚れを気にしすぎずに済みます。
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デメリット:
- 毎日のケアが必要: 正しい洗浄・消毒・保存が必須です。これを怠ると、目のトラブルのリスクが大幅に高まります。
- 交換日を忘れやすい: 2週間ごとに交換する必要があるため、交換日を忘れないように管理する必要があります。
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どんな人におすすめか:
- 毎日コンタクトレンズを使用する人
- コストと衛生面のバランスを重視する人
- 毎日のレンズケアをきちんと行える人
- ワンデーより経済的にしたいが、1ヶ月よりは短いスパンで交換したい人
1ヶ月交換タイプ
同じレンズを最長で1ヶ月繰り返し使用するタイプです。毎日の正しいケア(洗浄・消毒・保存)が必要です。
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特徴:
- 1枚のレンズを最長1ヶ月使用
- 毎日のケアが必須
- 2週間タイプより経済的
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メリット:
- 2週間より経済的: 毎日交換するワンデータイプや2週間交換タイプよりも、年間にかかるコストをさらに抑えることができます。
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デメリット:
- 毎日のケアが必須: 2週間タイプと同様、正しい洗浄・消毒・保存が必須です。使用期間が長いため、より一層丁寧なケアが求められます。
- 交換日を忘れやすい: 1ヶ月ごとに交換する必要があるため、交換日を忘れないように管理する必要があります。
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どんな人におすすめか:
- 毎日コンタクトレンズを長時間装用する人
- コストを最も重視する人(ただし、目の健康を損なわない範囲で)
- 毎日のレンズケアを徹底的に行える人
- レンズの汚れに比較的強い体質の人(ただし個人差が大きいため、眼科医と相談)
それ以上の長期交換タイプ(ハード・一部ソフト)
ハードコンタクトレンズのほとんどがこのタイプで、適切に手入れすれば1年〜数年間使用可能です。ソフトコンタクトレンズにも、かつては1年や2年といった長期使用タイプがありましたが、衛生面や目の健康へのリスクから、現在ではほとんど普及していません。長期使用ソフトレンズは、現在では特殊な目的(治療用など)で処方されるケースに限られます。
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特徴:
- 1枚のレンズを長期間使用する(ハードは数年間)
- 毎日の丁寧なケアと定期的な専門機関での洗浄が必要
- 最も経済的(ただし初期費用は高め)
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メリット:
- 最も経済的: 1枚のレンズを長期間使用できるため、年間コストは最も抑えられます。
- ハードレンズの場合、高い視力矯正力と目の健康維持に優れる: (前述のハードレンズのメリットと同じ)
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デメリット:
- 手入れの徹底が非常に重要: 使用期間が長いため、汚れが蓄積しやすく、雑なケアは目の重大なトラブルに直結します。毎日の丁寧なケアはもちろん、定期的に眼科や専門店で専用の洗浄を受けたり、レンズの状態をチェックしてもらう必要があります。
- 破損・紛失時のリスク: 長期間使用するため、破損したり紛失したりした場合の損失が大きい。
- 目の状態の変化に対応しにくい: 目の形状や度数が変化した場合、レンズを作り直す必要があります。
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どんな人におすすめか:
- ハードコンタクトレンズを希望する人
- 毎日のレンズケアや定期的なメンテナンスを徹底できる人
- 長期的なコストパフォーマンスを重視する人
使用期間タイプ別比較表(ソフトレンズ中心)
特徴 | 1日使い捨て(ワンデー) | 2週間交換タイプ | 1ヶ月交換タイプ |
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交換頻度 | 毎日 | 2週間ごと | 1ヶ月ごと |
ケア | 不要 | 毎日必要 | 毎日必要 |
衛生的 | ◎(最も衛生的) | ○(ケアによる) | △(ケアによる) |
手軽さ | ◎(最も手軽) | △(ケアが必要) | △(ケアが必要) |
コスト | 高い | 中程度 | 低い |
向き不向き | 手入れが面倒な人、たまに使う人、アレルギー体質の人 | 毎日使う人、コストと衛生のバランス重視 | 毎日長時間使う人、コスト重視、ケアを徹底できる人 |
初めてコンタクトレンズを使う人には、ケアが不要で衛生的、かつお試ししやすいワンデータイプをおすすめすることが多いです。ただし、毎日長時間装用する予定であれば、コスト面を考慮して2週間や1ヶ月タイプを検討する価値はあります。最終的な判断は、眼科医と相談して行いましょう。
コンタクトレンズの特殊な種類:機能による分類
視力矯正だけでなく、特定の目の状態に対応したり、見た目を変えたりするための特殊なコンタクトレンズもあります。
乱視用コンタクトレンズ(トーリックレンズ)
乱視がある人のためのコンタクトレンズです。乱視とは、目に入った光が網膜の一点で結像せず、縦と横などで焦点がずれる状態です。これにより、物が二重に見えたり、ぼやけて見えたりします。乱視用コンタクトレンズは、この乱視を矯正するために、レンズに特殊な設計が施されています。
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仕組み:
- レンズに「円柱度数」と「乱視軸」という要素が加わります。これにより、乱視の方向と強さに合わせて光の屈折を調整します。
- ソフトレンズの場合、レンズが目の中で回転しないように、レンズの一部に重りをつけたり(プリズムバラスト)、レンズの形状を工夫したりして安定させます。
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ソフト乱視用とハード乱視用:
- ソフト乱視用: 柔らかい素材で、装用感は良いですが、レンズの安定性がハードに比べてやや劣る場合があります。レンズが回転すると見え方が不安定になります。軽度〜中等度の乱視に適していることが多いです。
- ハード乱視用: 硬い素材のため、レンズ自体が安定しやすく、より強い乱視や不正乱視の矯正にも対応しやすいです。非常にクリアな視界が得られる傾向があります。
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選び方の注意点:
- 乱視用レンズは、通常の近視・遠視用レンズに比べてフィッティングが難しくなります。レンズが適切な位置で安定するか、視界が安定するかなどを眼科医が詳しく確認します。
- トライアルレンズを装用して、見え方や装用感をしっかり確認することが非常に重要です。
遠近両用コンタクトレンズ(マルチフォーカルレンズ)
老眼(加齢による目のピント調節機能の低下)によって、近くも遠くも見えにくくなった人のためのコンタクトレンズです。1枚のレンズで、遠くも近くも、そして中間距離も見えやすいように設計されています。
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仕組み:
- レンズの中に、遠用、中間用、近用など、複数の度数領域が組み込まれています(累進多焦点レンズなど)。
- 脳が自動的に、見たい距離に最適な度数領域を通して見るように調整します。慣れるまでに時間がかかることがあります。
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種類:
- ソフトレンズ、ハードレンズの両方にあります。
- 設計方法(同心円状、非球面など)によっていくつかのタイプがあります。
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選び方の注意点:
- 遠近両用レンズは、全ての人に完璧に合うわけではありません。見え方には個人差があり、慣れるまでに時間がかかることがあります。
- 眼科医と相談しながら、自分の生活(手元作業が多いか、運転が多いかなど)や見え方のニーズに合った設計のレンズを選ぶことが重要です。
- トライアルレンズで、実際に様々な距離のものを見て見え方を確認する必要があります。
カラーコンタクトレンズ(カラコン)
目の色や大きさを変えたり、印象を変えたりするためのコンタクトレンズです。おしゃれ目的で使用されることがほとんどですが、度数が入った視力矯正用のものもあります。
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安全性について:
- カラーコンタクトレンズは、高度管理医療機器です。安全な製品を選ぶことが非常に重要です。
- インターネットや雑貨店などで安価に売られている粗悪品の中には、色素が目に溶け出したり、酸素透過性が極端に低かったり、レンズの形状が悪かったりするものがあります。これらは、目の重大なトラブル(角膜炎、角膜潰瘍、失明など)を引き起こす危険性が高いです。
- 必ず、日本の薬事法に基づいて承認された製品(承認番号が記載されているもの)を選び、眼科医の検査を受けてから購入・使用してください。
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選び方の注意点:
- BC(ベースカーブ)とDIA(レンズ直径): 目のカーブ(BC)やサイズ(DIA)に合わないレンズを使用すると、レンズがズレたり、目に負担がかかったりします。必ず眼科で測定してもらい、適切な数値のレンズを選びましょう。
- 着色部分: 色素がレンズ素材に埋め込まれている「サンドイッチ構造」など、目に直接色素が触れない安全な設計の製品を選びましょう。
- 酸素透過性: おしゃれ目的でも、目の健康のために酸素透過性が高いレンズを選ぶことが望ましいです。
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使用上の注意点:
- 一般的なソフトレンズと同様、毎日の正しいケア(ワンデー以外の場合)が必要です。
- おしゃれ目的でも、装用時間を守ることが大切です。長時間装用や、つけたまま寝ることは絶対にやめましょう。
- 目に異常を感じたら、すぐにレンズを外し、眼科医を受診してください。
その他の特殊レンズ
- 円錐角膜用コンタクトレンズ: 角膜が前方に突き出てくる「円錐角膜」という病気の視力矯正に使われます。主にハードコンタクトレンズが使用され、非常に専門的なフィッティングが必要です。
- 治療用コンタクトレンズ: 角膜の保護や、薬物の持続的な供給などの治療目的で使用されるレンズです。
初めてコンタクトレンズを使う人は、まずは近視・遠視用のシンプルなレンズから始めるのが一般的です。乱視用や遠近両用、カラーコンタクトレンズを希望する場合も、必ず眼科医に相談し、自分の目の状態や必要性に合ったレンズを選んでもらいましょう。
初めてのコンタクトレンズ選び方:5つのステップ完全ガイド
自分に合ったコンタクトレンズを見つけるための具体的なステップを紹介します。初めての人にとっては、この手順を踏むことが最も重要です。
ステップ1:眼科医の受診は絶対条件!
コンタクトレンズは、メガネのように自由に選んで購入できるものではありません。必ず眼科医の検査と診断に基づいた「処方(指示書)」が必要です。これが最も重要なステップです。
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なぜ眼科医の受診が必須なのか?
- 目の健康状態の確認: あなたの目がコンタクトレンズを装用できる健康状態にあるかを確認します。炎症やアレルギー、ドライアイなどの目の病気がないか、コンタクトレンズの使用に適さない状態ではないかなどを詳しく調べます。
- 適切な度数の測定: メガネの度数とコンタクトレンズの度数は異なります。眼科医が精密な視力測定を行い、あなたにとって最も適した度数を見つけます。
- レンズの種類・ベースカーブ(BC)・直径(DIA)の決定: あなたの目のカーブ(BC:Base Curve)やサイズ(DIA:Diameter)を測定し、目に負担をかけず、ズレにくい、かつしっかりフィットするレンズの種類やサイズを決定します。この数値は個人によって大きく異なるため、自己判断は非常に危険です。
- トライアルレンズの試着と確認: 実際に候補となるレンズ(トライアルレンズ)を装用し、装用感(ゴロゴロしないか、痛くないか)、見え方(クリアに見えるか、安定しているか)、そしてレンズが目の中で適切に動いているか、目の状態に合っているかなどを眼科医が詳しくチェックします。
- 正しい装用方法とケア方法の指導: 初めての人にとって、レンズのつけ外しや毎日のケアは不安が多いもの。眼科医やスタッフが、正しい手順を丁寧に指導してくれます。
- 目のトラブルのリスク説明: コンタクトレンズを使用することによるリスクや、異常があった場合の対処法について説明を受けます。
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眼科受診の流れ(一般的な例):
- 受付:保険証を提示し、コンタクトレンズ処方希望であることを伝えます。現在の視力やメガネの使用状況、コンタクトレンズ使用の希望などを問診票に記入します。
- 検査:視力検査、目のカーブ(BC)測定、目の状態(涙の量、アレルギーの有無など)の検査などが行われます。
- 診察:眼科医が目の状態を診察し、コンタクトレンズが装用可能かを判断します。
- レンズ選び・フィッティング:希望するレンズの種類(例:ワンデーソフト)やライフスタイルなどを相談し、眼科医が候補となるトライアルレンズを選んでくれます。
- トライアルレンズの装用:実際にトライアルレンズを目に入れて、数十分〜1時間程度装用します。この間に、装用感や見え方、目の状態などを確認します。
- 再検査・診察:トライアルレンズを装用した状態で視力やレンズの動き、目の状態などを再検査・診察します。
- つけ外し・ケア指導:レンズのつけ方・外し方、そしてワンデー以外のレンズの場合は毎日のケア方法について、スタッフから丁寧な指導を受けます。実際に自分で練習します。
- 処方(指示書)の発行:問題がなければ、眼科医からあなたに合ったレンズの種類、度数、BC、DIA、交換頻度などが記載された処方(指示書)が発行されます。
- 購入:この処方に基づき、眼科に併設された店舗や、処方に対応しているコンタクトレンズ販売店、またはオンラインストアなどでレンズを購入します。
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必要なもの:
- 健康保険証
- (お持ちであれば)現在使用しているメガネやコンタクトレンズ
- 念のため、多少時間に余裕を持って受診しましょう。
ステップ2:自分のライフスタイルとニーズを棚卸しする
眼科医と相談する前に、自分がコンタクトレンズをどのように使いたいか、どんな状況で必要かなどを整理しておくと、スムーズにレンズを選べます。
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コンタクトレンズを使用する頻度は?
- 毎日朝から晩まで?
- 仕事や学校の時だけ?
- 週末や特別な日だけ?
- スポーツの時だけ?
- たまにメガネの代わりに?
- ⇒ これにより、ワンデー、2週間、1ヶ月、長期などの使用期間タイプを選ぶ目安になります。
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どんな活動をする時に使いたい?
- デスクワーク中心?
- 屋外での作業が多い?
- スポーツ(種類は?)をする?
- 旅行や出張が多い?
- パソコンやスマホを見る時間が長い?
- ⇒ 活動内容によって、レンズのズレやすさ、乾燥対策、酸素透過性などが考慮点になります。
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手入れにどれくらい時間をかけられる?
- 毎日のケアは面倒? → ワンデーがおすすめ
- 多少手間がかかってもOK? → 2週間・1ヶ月
- 丁寧にケアできる自信がある? → 1ヶ月・長期・ハード
- ⇒ 使用期間タイプやハード・ソフトの選択に関わります。
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予算は?
- 初期費用とランニングコスト、どちらを重視するか?
- 年間〇〇円以内くらいに抑えたい、などの希望があるか?
- ⇒ 使用期間タイプやメーカーによってコストは大きく異なります。
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目の状態について気になることは?
- 目が乾燥しやすいと感じるか?
- アレルギーがあるか(花粉症など)?
- 長時間装用で目が疲れるか?
- ⇒ ドライアイやアレルギーがある場合は、素材や水分量、交換頻度などを考慮する必要があります。
これらの点を事前に考えておくと、眼科医との相談がより具体的になり、自分に合ったレンズを見つけやすくなります。
ステップ3:眼科医と相談し、トライアルレンズで確認する
ステップ1で眼科医に自分の希望(例:ワンデーを試したい、手入れは面倒)やライフスタイルを伝え、相談しながらレンズの種類や度数を決定します。
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トライアルレンズの重要性:
- 実際に目に装用してみないと分からない「装用感」を確認できます。レンズが目にフィットしているか、ゴロゴロしないかなどを体感します。
- 「見え方」を確認できます。度数が合っているか、視界はクリアか、特に乱視がある場合は見え方が安定しているかなどを確認します。
- あなたの「目の状態」に合っているかを眼科医が確認します。レンズを装用した後の角膜や結膜の状態、涙の量などを詳しく診察します。
- 可能であれば、普段通りの生活に近い環境で数時間〜1日過ごしてみることで、よりリアルな使用感を掴むことができます(ただし、これは眼科医の指示に従ってください)。
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フィッティングの確認:
- 眼科医は、トライアルレンズがあなたの目のカーブ(BC)に合っているか、大きすぎたり小さすぎたりしないか(DIA)、目の中で適切な動きをしているかなどを専用の機器を使って確認します。このフィッティングが合っていないと、見え方が不安定になったり、目に負担がかかったりします。
複数の種類のトライアルレンズを試すことも可能です(ただし、眼科によって対応は異なります)。焦らず、納得いくまで眼科医と相談し、最適なレンズを見つけましょう。
ステップ4:正しいケア方法の指導を受ける(ワンデー以外の場合)
ワンデータイプ以外のレンズ(2週間、1ヶ月、ハードなど)を選ぶ場合は、毎日のレンズケアが必須です。眼科医やスタッフから、正しいケア方法について丁寧に指導を受けます。
- なぜケアが必要か?: コンタクトレンズには、使用している間に涙液中のタンパク質や脂質、外部からのホコリや細菌などが付着します。これらの汚れを放置すると、目のアレルギーや炎症、感染症といった重大なトラブルの原因となります。
- ケアの基本: 洗浄、すすぎ、消毒、保存といった基本的なステップを学びます。特にソフトレンズは、レンズ素材の中に汚れが入り込みやすいため、正しい「こすり洗い」が重要です。
- ケア用品の選択: レンズの種類や素材、そして目の状態に合ったケア用品を選ぶ必要があります。眼科医の指示に基づき、適切なケア用品の使い方を学びます。
- レンズケースのケア: レンズケースも毎日洗浄・乾燥させ、定期的に新しいものに交換する必要があります。
このケア指導は、安全にコンタクトレンズを使い続けるために非常に重要です。分からないことや不安なことは、遠慮せずに質問しましょう。
ステップ5:定期検査の習慣化
コンタクトレンズを使い始めたら、定期的な眼科での検査が非常に重要です。目の健康を維持し、安全にレンズを使い続けるために欠かせません。
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なぜ定期検査が必要か?:
- 目の健康状態のチェック: 自覚症状がなくても、目の状態に異常がないか、コンタクトレンズによる負担がかかっていないかなどを眼科医が専門的にチェックします。初期のトラブルは自覚症状がないことが多いため、定期的な検査で見つけることが重要です。
- レンズの状態チェック: 長期間使用するレンズ(特にハードや1ヶ月タイプなど)の場合、レンズに傷や汚れがないか、劣化していないかなどをチェックします。
- 視力や度数の変化の確認: 目の状態や度数が変化していないかを確認し、必要に応じてレンズの度数や種類を見直します。
- 適切なレンズの維持: あなたの目に合ったレンズを継続して使用できているかを確認します。
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検査頻度: 一般的には、使用開始後1ヶ月後、その後は3ヶ月〜半年に一度程度の定期検査が推奨されますが、目の状態や使用しているレンズの種類によって頻度は異なります。必ず眼科医の指示に従ってください。
定期検査を怠ると、気づかないうちに目の状態が悪化し、コンタクトレンズを続けられなくなったり、視力に影響が出たりする可能性があります。忙しくても、必ず定期検査を受けるようにしましょう。
初めてのコンタクトレンズ装用とケアの基本
初めてのコンタクトレンズ装用は、慣れるまで少し難しく感じるかもしれません。正しい手順を覚え、焦らず練習することが大切です。
正しい装用方法と外し方
眼科医やスタッフから指導を受けた方法を参考に、清潔な環境で練習しましょう。
- 装用する前の準備:
- 石鹸で手をきれいに洗い、清潔なタオルで水分をしっかり拭き取ります。指先に水分が残っているとレンズが張り付いて扱いにくくなります。
- 清潔で明るい場所で行います。洗面台などで行う場合は、レンズを落としても排水溝に流れないように、排水口を塞いでおくと安心です。
- 鏡を見ながら行います。
- 装用方法(一般的なソフトレンズの場合):
- ブリスターパックからレンズを取り出し、指先(利き手の人差し指の腹)に乗せます。
- レンズの裏表を確認します。お椀型になっていれば正しい向きです。フチが反り返っている場合は裏返しです。
- 利き手の中指で下まぶたをしっかり引き下げます。
- もう一方の手の指(人差し指または中指)で上まぶたをしっかり引き上げ、まつげの生え際を押さえて固定します。
- 目線を真っ直ぐか少し下に向けて、黒目(角膜)の上にレンズをそっと乗せます。
- レンズが目の中に入ったら、ゆっくりとまぶたから指を離し、優しく瞬きをします。レンズが正しくフィットしていれば、違和感なく見えるようになります。
- もし違和感がある場合は、一度外してレンズに傷や汚れがないか確認し、裏表も再確認してから再度装用してみてください。それでも違和感が続く場合は、無理せず外して眼科医に相談しましょう。
- 外し方(一般的なソフトレンズの場合:ピンチ法):
- 石鹸で手をきれいに洗い、水分をしっかり拭き取ります。
- 鏡を見ながら行います。
- 利き手の人差し指と親指を使い、レンズの下の方(黒目の下の白目の部分)に指先を当てます。
- レンズを優しくつまむように(ピンチするように)して、目に張り付いている部分を剥がしながら外します。爪で目を傷つけないように注意してください。
- 外しにくい場合は、数回瞬きをしたり、人工涙液を点眼したりして、レンズを少し動かしてから試みてください。
- どうしても外せない場合は、無理せず眼科医に連絡してください。
ハードレンズの場合は、ソフトレンズとはまた違ったつけ外し方になります。必ず眼科医の指導を受けた方法で行ってください。
慣れるまでの期間と初期装用時間
- 慣れるまでの期間:
- ソフトレンズは比較的早く慣れる人が多いです。個人差はありますが、数時間〜数日で異物感は和らぐことが多いでしょう。
- ハードレンズは硬いため、慣れるまでに時間がかかります。数日〜数週間、場合によっては1ヶ月程度かかることもあります。最初のうちは異物感や涙が出やすくなることがあります。
- 初期装用時間:
- 初めてコンタクトレンズを装用する場合、眼科医から「最初の日は2時間、次の日は4時間、その次は6時間…」のように、徐々に装用時間を伸ばしていくよう指示されることが一般的です。
- これは、目がコンタクトレンズの装用環境に少しずつ慣れるための期間です。指示された装用時間を守り、無理せず段階的に慣らしていきましょう。
- 決められた装用時間内でも、痛み、充血、かすみなどの異常を感じたら、すぐにレンズを外してください。
正しいケア方法(ワンデー以外の場合)
ワンデー以外のコンタクトレンズを使用する場合、毎日のケアは目の健康を守る上で最も重要な習慣です。
- なぜケアが必要か?:前述の通り、汚れや細菌の付着を防ぎ、安全に使用するためです。
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基本的なステップ:
- 洗浄: レンズを手のひらに乗せ、ケア用品(洗浄・消毒液:MPSなど)を数滴垂らし、指の腹で優しくこすり洗いします。これにより、レンズ表面の汚れ(タンパク質、脂質、化粧品など)を物理的に落とします。ソフトレンズの場合は、裏表両面を20〜30回程度こすり洗いするのが一般的です。
- すすぎ: こすり洗いしたレンズを、清潔なケア用品で十分にすすぎます。これにより、落とした汚れや残った洗浄液を洗い流します。
- 消毒: すすいだレンズを、消毒液を満たした清潔なレンズケースに入れます。消毒液の種類によって、定められた時間(製品によって異なります)浸け置きすることで、レンズに付着した細菌やカビなどを殺菌します。
- 保存: 消毒液に浸けたまま、次に使用するまで保存します。
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ケア用品の種類:
- MPS(マルチパーパスソリューション): 1本で洗浄、すすぎ、消毒、保存ができるオールインワンタイプのケア用品です。手軽ですが、しっかりこすり洗いを行うことが重要です。
- 過酸化水素タイプ: 過酸化水素の力で強力に消毒します。ただし、消毒後に中和作業が必要です(専用のケースと中和錠を使うタイプや、最初から中和成分が入っているタイプなどがあります)。消毒力は高いですが、中和が不完全だと装用時に強い痛みを感じることがあります。こすり洗いとの併用が推奨されています。
- その他、酵素洗浄剤(タンパク汚れを分解)など、必要に応じて使用するケア用品もあります。
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レンズケースのケア:
- レンズを外してケアを終えたら、使用済みのケア用品を捨て、ケースを水道水 以外 の清潔な水(生理食塩水など、推奨されている液体)で洗い、キャップを開けたまま自然乾燥させます。
- レンズケースは定期的に新しいものに交換しましょう(一般的には1〜3ヶ月に一度)。汚れた古いケースは細菌の温床となり、目のトラブルの原因になります。
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水道水の使用は絶対に避ける!:
- レンズの洗浄、すすぎ、保存、そしてレンズケースの洗浄・保存に水道水を絶対に使用しないでください。水道水には、アカントアメーバという微生物が含まれている可能性があり、これがコンタクトレンズを介して目に感染すると、「アカントアメーバ角膜炎」という非常に重症で治療が難しい病気を引き起こすことがあります。最悪の場合、視力障害や失明につながることもあります。必ずコンタクトレンズ専用のケア用品を使用してください。
装用中の注意点と絶対にやってはいけないこと
安全にコンタクトレンズを使用するために、いくつかの注意点があります。
- 装用時間を守る: 眼科医から指示された装用時間を必ず守りましょう。長時間装用は目に負担をかけ、酸素不足や乾燥の原因となります。
- 乾燥対策: コンタクトレンズ装用中は目が乾燥しやすくなります。長時間パソコンやスマホを使う際は意識的に瞬きをしたり、コンタクトレンズ用の人工涙液(点眼薬)を適切に使用したりするなどの対策が有効です。
- 目に異常を感じたらすぐに外す: 痛み、充血、かすみ、異物感、ゴロゴロ感、光をまぶしく感じるなどの症状が出たら、すぐにレンズを外してください。症状が続く場合は、レンズを装用せず眼科医を受診しましょう。
- 人に貸し借りしない: コンタクトレンズは高度管理医療機器であり、個々の目に合わせて処方されています。他人のレンズを装用することは、目の健康を損なうだけでなく、感染症のリスクもあります。
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処方されたレンズとケア用品を使う: 自己判断でレンズの種類やケア用品を変えたり、インターネットなどで安価な未承認レンズや粗悪品を購入・使用したりすることは非常に危険です。必ず眼科医に処方されたレンズと、推奨されたケア用品を使用してください。
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絶対にやってはいけないこと:
- コンタクトレンズをつけたまま寝る: 指示されたレンズ(連続装用可能なレンズなど)以外は、つけたまま寝てはいけません。寝ている間は涙の量が減り、角膜への酸素供給が不足しやすくなります。これにより、目の負担が増加し、重篤なトラブルにつながるリスクが高まります。
- コンタクトレンズをつけたままお風呂やプールに入る: 水道水やプールの水にはアカントアメーバなどが潜んでいる可能性があります。水に触れる際は必ずレンズを外しましょう。
- 水道水でコンタクトレンズやケースを扱う: 前述の通り、アカントアメーバ感染のリスクがあるため、絶対にやめましょう。
- 期限切れのレンズやケア用品を使用する: 期限が切れた製品は、本来の性能や安全性が保証されません。
- 汚れた手でレンズを扱う: レンズに細菌が付着し、感染症の原因となります。必ず手を洗ってから扱いましょう。
- 目に異常があるのに無理して装用する: 症状が悪化し、取り返しのつかないことになる可能性があります。
これらの注意点を守り、正しい方法でコンタクトレンズを扱うことが、快適で安全なコンタクトライフのために不可欠です。
コンタクトレンズと目の健康リスク:予防と対処
コンタクトレンズは非常に便利な視力矯正手段ですが、適切に使用しないと目の健康を損なうリスクもあります。どのようなリスクがあるのか、どうすれば予防できるのかを知っておきましょう。
主な目のトラブル
- 角膜炎: 角膜(黒目)に炎症が起きる病気です。細菌、真菌(カビ)、ウイルス、アカントアメーバなど、様々な原因菌によって引き起こされます。不適切なケア、汚れたレンズ、長時間装用などが主な原因となります。放置すると角膜潰瘍に進行し、視力低下や失明につながることもあります。
- 結膜炎: 白目の部分を覆う結膜に炎症が起きる病気です。アレルギー性結膜炎(花粉やハウスダストなど)、感染性結膜炎(ウイルスや細菌)、そしてコンタクトレンズの汚れや摩擦による「巨大乳頭性結膜炎」などがあります。
- 角膜潰瘍: 角膜の表面に傷がつき、深くえぐれてしまう重篤な状態です。角膜炎が進行したり、異物が入った状態で装用を続けたりすることで発生します。強い痛みや視力低下を伴い、痕が残ると視力に影響が出ることがあります。
- 角膜内皮障害: 角膜の最も内側にある細胞(角膜内皮細胞)が障害される状態です。角膜内皮細胞は一度失われると再生しないため、数が減少すると角膜の透明性が失われ、視力障害につながります。コンタクトレンズによる酸素不足などが原因の一つとされています。
- ドライアイ: 涙の量が不足したり、質が悪くなったりして、目が乾燥しやすくなる状態です。コンタクトレンズの装用によって、涙の蒸発が促進されたり、涙液の循環が悪くなったりして、ドライアイの症状が悪化したり、ドライアイになったりすることがあります。
トラブルのサイン
以下のような目の症状は、コンタクトレンズによるトラブルのサインかもしれません。見過ごさず、すぐにレンズを外して眼科医に相談しましょう。
- 目の痛み、ゴロゴロ感、異物感
- 目の充血
- 目のかすみ、視力低下
- 光を異常にまぶしく感じる(羞明)
- 涙が止まらない
- 目ヤニが増える
「いつものことだから」「少し休めば治るだろう」と自己判断せず、少しでも気になる症状があれば、必ず眼科医に診てもらうことが大切です。特に、レンズを外しても症状が続く場合は、必ず眼科を受診してください。
予防策
目のトラブルを防ぎ、安全にコンタクトレンズを使用するために、以下の点を必ず守りましょう。
- 眼科医の処方に基づくレンズを使用する: 自分の目に合ったレンズを使うことが基本です。自己判断での購入や、インターネットでの安価な未承認品購入は絶対にやめましょう。
- 正しいケアを徹底する(ワンデー以外): 毎日のレンズケアは、汚れや細菌を取り除く最も効果的な方法です。手順を省略したり、水道水を使用したりしないように注意しましょう。
- 装用時間を守る: 眼科医の指示に従い、決められた装用時間を超えて使用しないようにしましょう。特に長時間装用は目に大きな負担をかけます。
- 定期検査を必ず受ける: 自覚症状がなくても、目の健康状態やレンズの状態を専門家に見てもらうことが、早期発見・早期治療につながります。
- 目に異常を感じたらすぐにレンズを外す: 我慢して装用を続けると、症状が悪化し、重篤な状態になるリスクが高まります。
- 使用期限・交換時期を守る: レンズの種類ごとに定められた使用期間(ワンデーは1日、2週間は2週間など)や、ケア用品の使用期限を守りましょう。
- 清潔な環境でレンズを扱う: 手を洗い、埃っぽい場所などを避けてレンズのつけ外しやケアを行いましょう。
- 水に触れる際はレンズを外す: お風呂、プール、海などに入る際は、必ずレンズを外してください。
- レンズケースも清潔に保ち、定期的に交換する: レンズだけでなく、ケースのケアも重要です。
これらの予防策を実践することで、コンタクトレンズに伴う目のトラブルのリスクを大幅に減らすことができます。
コンタクトレンズに関するFAQ(よくある質問)
初めてコンタクトレンズを使う人が疑問に思うであろう、よくある質問にお答えします。
Q1: コンタクトレンズは何歳から使えますか?
A: 法令で「何歳から」と明確に定められているわけではありません。しかし、一般的には中学生くらいから始める人が多いようです。重要なのは、コンタクトレンズを安全に使用するために必要な「自己管理能力」があるかどうかです。自分で責任を持ってレンズのつけ外し、毎日のケア、装用時間の管理、異常を感じた時の対処などができる年齢であれば、使用可能です。最終的には、眼科医が適性を判断します。
Q2: コンタクトレンズをつけたまま寝ても大丈夫ですか?
A: 基本的に、指示されたレンズ以外は絶対に寝る時は外してください。 通常のコンタクトレンズをつけたまま寝ると、角膜への酸素供給が極端に不足し、感染症や炎症などの重篤な目のトラブルを引き起こすリスクが非常に高まります。「連続装用」が可能なレンズであれば、眼科医の指示のもと、つけたまま眠れるものもありますが、日本では連続装用が認められているレンズの種類は限られており、目の状態によっては推奨されない場合もあります。必ず眼科医の指示に従ってください。
Q3: コンタクトレンズをつけたままお風呂やプールに入っても大丈夫ですか?
A: 絶対にやめてください。 水道水やプールの水、海の水などには、アカントアメーバという目に有害な微生物が含まれている可能性があります。これがコンタクトレンズと目の間に入り込むと、アカントアメーバ角膜炎という非常に重篤な感染症を引き起こすリスクがあります。お風呂、シャワー、プール、海など、水に触れる際は必ずレンズを外しましょう。
Q4: コンタクトレンズが目に張り付いて取れない時はどうすればいいですか?
A: 無理に引っ張ると目を傷つける可能性があります。まずは、コンタクトレンズ用の人工涙液を数滴点眼し、レンズと目の間に水分を行き渡らせてください。数回瞬きをしたり、目を優しくマッサージしたりして、レンズを少し動かしてから、再度指示された方法で外してみてください。それでも外れない場合は、無理せず眼科医に連絡し、受診してください。
Q5: コンタクトレンズを裏表逆につけたらどうなりますか?
A: 裏表逆につけると、レンズが目にフィットせず、強い違和感やゴロゴロ感を感じます。また、レンズがズレやすくなったり、正しい視力矯正が得られず見えにくくなったりします。無理に装用を続けると目に負担がかかります。違和感を感じたらすぐに外し、裏表を確認してつけ直しましょう。レンズの裏表の確認方法は、眼科での指導でしっかり学びましょう。
Q6: ケア用品にはどのような種類がありますか?
A: ソフトレンズ用には、1本で洗浄・すすぎ・消毒・保存ができるMPS(マルチパーパスソリューション)や、強力な消毒力の過酸化水素タイプが主流です。ハードレンズ用には、専用の洗浄液と保存液を組み合わせて使うタイプが多いです。その他、タンパク除去剤などもあります。どのケア用品があなたのレンズや目の状態に合っているかは、眼科医の指示に従ってください。製品によって成分や消毒力が異なるため、自己判断での変更は避けましょう。
Q7: コンタクトレンズの値段はどれくらいですか?
A: レンズの種類(ソフトかハードか、ワンデーか交換タイプかなど)やメーカー、購入する場所(眼科併設、販売店、オンラインストアなど)によって大きく異なります。
* ワンデーソフト: 1箱(30枚入り)あたり3,000円~5,000円程度が目安です。毎日使うと年間10万円以上かかることもあります。
* 2週間交換ソフト: 1箱(6枚入り)あたり3,000円~4,000円程度が目安です。これに毎月のケア用品代(1,500円~2,500円程度)がかかります。年間コストはワンデーより抑えられます。
* 1ヶ月交換ソフト: 1箱(3枚入り)あたり3,000円~4,000円程度が目安です。ケア用品代は2週間タイプと同程度です。年間コストは最も安くなります。
* ハードレンズ: 1枚あたり1万円~3万円程度が目安ですが、数年間使用できるため、年間コストはソフトレンズより安くなる傾向があります。ケア用品代は月々1,000円〜2,000円程度です。
これに加え、眼科での検査費用(初回は3,000円〜5,000円程度、定期検査は1,000円〜3,000円程度)がかかります(保険適用の場合)。
Q8: インターネットでコンタクトレンズを買ってもいいですか?
A: 眼科医の処方(指示書)に基づいて購入する場合であれば問題ありません。しかし、自己判断で勝手に購入したり、処方内容と異なるレンズを購入したりするのは非常に危険です。インターネット販売されている製品の中には、日本の薬事法で承認されていない海外の製品や、粗悪品が紛れている可能性もあります。また、インターネット購入では目の状態の確認ができません。目の健康を守るためには、必ず眼科医の検査と処方に基づき、正規の販売ルートで購入しましょう。特に初めての場合は、まずは眼科併設の店舗などで購入し、慣れてからインターネット購入を検討するのがおすすめです。
まとめ:快適なコンタクトライフのために
コンタクトレンズは、メガネにはない様々なメリットを提供してくれる素晴らしい視力矯正手段です。しかし、目に直接触れるものだからこそ、正しい知識を持ち、適切な方法で使用・ケアすることが何よりも重要です。
初めてコンタクトレンズを始める際には、不安を感じることも当然です。しかし、この記事で解説したように、コンタクトレンズの種類を理解し、ご自身のライフスタイルに合ったレンズを選び、そして何よりも眼科医の専門的な診断と指導を必ず受けることが、安全で快適なコンタクトライフを送るための確実な道です。
最初の一歩は眼科受診から。そこで、あなたの目の状態を詳しく見てもらい、最適なレンズを一緒に選び、正しい使い方を丁寧に教えてもらいましょう。そして、使い始めてからも、毎日のケアと定期的な検査を欠かさず、目の健康を守りながらコンタクトレンズを楽しんでください。
適切なレンズと正しいケアがあれば、コンタクトレンズはあなたの生活をより豊かに、よりアクティブにしてくれるはずです。新しい見え方、新しい自分との出会いを、安全に、そして存分に楽しんでください。
免責事項
本記事は、コンタクトレンズの種類と選び方に関する一般的な情報提供を目的としています。個別の目の状態、疾患、治療法については、必ず専門の眼科医の診断と指導を受けてください。本記事の情報に基づいて生じたいかなる損害についても、当方は一切の責任を負いません。