GitHubの料金プランを徹底解説!無料版と有料版の違いは?
開発者やエンジニアであれば、GitHubの名を知らない人はいないでしょう。バージョン管理システムGitをベースとした、世界最大のソフトウェア開発プラットフォームです。個人開発から大企業のプロジェクトまで、あらゆる規模の開発に利用されています。
GitHubは単なるコード置き場ではなく、コードレビュー、Issueトラッキング、CI/CD(継続的インテグレーション・継続的デリバリー)、プロジェクト管理、セキュリティ分析、コミュニティ機能など、開発ライフサイクル全体をサポートする多機能なサービスを提供しています。
これらの豊富な機能を利用するために、GitHubは複数の料金プランを提供しています。無料版から有料版まで存在し、それぞれ利用できる機能やリソース、サポートレベルが異なります。
「自分やチームにはどのプランが最適なのか?」
「無料版でどこまでできるのか?」
「有料版に切り替えるメリットは何?」
といった疑問を持つ方も多いでしょう。GitHubのプランはしばしば変更されるため、最新の情報を把握しておくことが重要です。
この記事では、GitHubの各料金プラン(無料版と有料版)について、それぞれの特徴、利用できる機能、制限、そしてどのようなユーザーに適しているのかを徹底的に解説します。約5000語のボリュームで、GitHubのプランに関するあらゆる疑問を解消することを目指します。
この記事を読むことで、あなたは以下の点を理解できるでしょう。
- GitHubの無料版(GitHub Free)で利用できる機能とその限界
- GitHubの有料版プラン(Pro, Team, Enterprise)の種類とそれぞれの特徴
- 各プランで提供される主要な機能(プライベートリポジトリ、GitHub Actions, GitHub Packages, セキュリティ機能など)の違い
- チームの規模や必要な機能、予算に応じて最適なプランを選ぶ方法
- GitHub ActionsやGitHub Packagesの従量課金について
GitHubをこれから使い始める方、現在無料版を利用していて有料版への移行を検討している方、あるいは有料版の機能を最大限に活用したいと考えている方にとって、この記事が最適なプラン選びの一助となれば幸いです。
さあ、GitHubの料金プランの世界へ深く潜り込んでいきましょう。
1. GitHubとは? なぜ料金プランを理解する必要があるのか
1.1 GitHubの基本的な役割
GitHubは、分散型バージョン管理システムであるGitを利用した、ウェブベースのホスティングサービスです。開発者はGitを使ってローカルでコードのバージョン管理を行いますが、GitHubのようなホスティングサービスを利用することで、コードをリモートリポジトリとして共有し、チームでの共同開発を効率的に行うことができます。
GitHubの主な機能は以下の通りです。
- リポジトリホスティング: ソースコードやプロジェクトファイルを保存し、バージョン管理を行う場所を提供します。
- バージョン管理: Gitの強力な機能(コミット、ブランチ、マージ、プルリクエストなど)をウェブインターフェース上で操作・管理できます。
- 共同開発: 複数の開発者が同じプロジェクトで協力してコードを記述し、レビューし、統合するプロセスをサポートします。
- Issueトラッキング: バグ報告、機能要望、タスク管理など、プロジェクトの進捗や課題を記録・追跡できます。
- プルリクエストとコードレビュー: コードの変更提案(プルリクエスト)を行い、チームメンバーがコードを確認し、フィードバックを与えるプロセスを提供します。
- CI/CD (GitHub Actions): コードの変更をトリガーとして、自動テスト、ビルド、デプロイなどのワークフローを実行できます。
- パッケージ管理 (GitHub Packages): コンテナイメージ、ライブラリなどのソフトウェアパッケージを公開・管理できます。
- セキュリティ機能: コードの脆弱性検出、秘密情報のスキャン、依存関係の管理など、セキュリティリスクを低減する機能を提供します。
- コミュニティ機能: スター、ウォッチ、フォーク、Issueやプルリクエストでのディスカッションなどを通じて、オープンソースプロジェクトにおける開発者間の交流や貢献を促進します。
これらの機能は、ソフトウェア開発の効率性、品質、透明性を大幅に向上させます。個人開発者から世界中の開発者が協力する大規模なオープンソースプロジェクト、そして企業の製品開発まで、GitHubは現代のソフトウェア開発に不可欠なプラットフォームとなっています。
1.2 料金プランを理解する重要性
GitHubの料金プランを理解することは、以下の理由から非常に重要です。
- コスト管理: 無料版で十分なのか、有料版が必要なのか、有料版であればどのプランが最適なのかを判断することで、無駄なコストを避け、予算内でGitHubを利用できます。特に企業にとっては、ユーザー数に応じたコスト計算は必須です。
- 機能の把握: 各プランで利用できる機能が異なるため、自分が本当に必要な機能がどのプランで提供されているのかを把握できます。これにより、プランの選択を間違えたり、必要な機能が使えなかったりといった問題を回避できます。
- 制限の理解: 無料版や各有料プランには、利用できるリソース(Actionsの実行時間、Packagesのストレージなど)に制限があります。これらの制限を知っておくことで、予期せぬ追加料金の発生を防いだり、リソースが足りなくなる前にプランアップグレードを検討したりできます。
- セキュリティと管理: 有料プラン、特にEnterprise版では、高度なセキュリティ機能や組織管理機能が提供されます。これらの機能がビジネスにとって必須であるかを評価するために、各プランの詳細な機能を理解する必要があります。
- 将来的な拡張性: 現在は無料版で十分でも、チームの拡大やプロジェクトの複雑化に伴い、より高度な機能やリソースが必要になる可能性があります。将来的なプラン変更を見越して、各プランの特徴を知っておくことは、計画的な開発体制構築に役立ちます。
GitHubは非常に多くの機能を提供しており、それがどのプランに含まれるのかは複雑に感じられるかもしれません。しかし、この記事を読み進めることで、きっとあなたの状況に最適なプランが見つかるはずです。
2. GitHubの無料版(GitHub Free)
まず、多くのユーザーが最初に利用することになるGitHubの無料版について詳しく見ていきましょう。「GitHub Free」と呼ばれるこのプランは、個人開発者や小規模なプロジェクト、そしてオープンソースプロジェクトにとって非常に魅力的な選択肢です。
2.1 GitHub Freeは誰向けか?
GitHub Freeは、主に以下のユーザーを対象としています。
- 個人開発者: 自身のポートフォリオサイトをGitHub Pagesで公開したり、個人プロジェクトのコードを管理したりするのに最適です。
- 学習者: プログラミングやGitの使い方を学ぶために、GitHubを利用する学生や独学者。
- オープンソースプロジェクト: 世界中の開発者と協力して公開リポジトリでプロジェクトを進める場合。オープンソースプロジェクトに対するGitHubのサポートは非常に手厚いです。
- 小規模チーム: プライベートリポジトリで共同開発を行いたいが、まだ有料機能がほとんど必要ないチーム。
かつてGitHub Freeは、プライベートリポジトリの共同編集者数に制限がありましたが、現在はその制限が撤廃され、プライベートリポジトリも共同編集者が無制限になりました。これはGitHub Freeの利用範囲を大きく広げる変更であり、多くの小規模チームにとって非常に重要なポイントです。
2.2 GitHub Freeでできること(詳細)
GitHub Freeでは、無料とは思えないほど多くの強力な機能を利用できます。
- 公開リポジトリ(Public Repositories):
- 数: 無制限に作成できます。
- 共同編集者数: 無制限です。世界中の誰でもプロジェクトに貢献できます。
- 機能: Issueトラッキング、プルリクエスト、コードレビュー、プロジェクトボードなど、GitHubの基本的なコラボレーション機能がフルに使えます。
- 用途: オープンソースプロジェクト、個人プロジェクトの公開、ポートフォリオ、学習用のコード公開などに利用されます。
- プライベートリポジトリ(Private Repositories):
- 数: 無制限に作成できます。
- 共同編集者数: 無制限です。これが無料版の大きな強化点です。かつては3人までという制限がありました。
- 機能: 公開リポジトリと同様に、Issue、プルリクエスト、コードレビュー、プロジェクトボードなどの基本的なコラボレーション機能が利用できます。
- 用途: 個人やチーム内での非公開プロジェクト開発、企業のクローズドなプロジェクト(ただし、高度なセキュリティや管理機能が不要な場合)などに利用できます。
- Issue、Pull Request、Code Review:
- これらのGitHubのコア機能は、公開・プライベート問わず、すべてのリポジトリで利用できます。開発プロセスにおけるコミュニケーションと品質向上に不可欠な機能です。
- GitHub Actions:
- コードの自動テスト、ビルド、デプロイなどを実行できるCI/CDサービスです。
- 無料枠: GitHub Freeには、毎月一定量の無料枠があります。この無料枠は、パブリックリポジトリの場合は無制限、プライベートリポジトリの場合は分数の制限があります。また、ストレージとデータ転送量にも制限があります。無料枠を超過した場合は、従量課金が発生します(詳細は後述)。
- 用途: 小規模な自動テスト実行、静的サイトのデプロイなど、シンプルなCI/CDパイプラインを構築できます。
- GitHub Packages:
- コンテナイメージ、ライブラリなどのソフトウェアパッケージをホスト・管理できるサービスです。
- 無料枠: GitHub Freeには、毎月一定量の無料枠があります。Actionsと同様、パブリックリポジトリは無制限、プライベートリポジトリはストレージとデータ転送量に制限があります。
- 用途: 自身の作成したライブラリの配布、Dockerイメージの管理などに利用できます。
- GitHub Pages:
- リポジトリのコードから静的なウェブサイトを無料でホストできるサービスです。
- 用途: プロジェクトのドキュメントサイト、個人のポートフォリオサイト、ブログなどを手軽に公開できます。カスタムドメインの設定も可能です(HTTPS対応は有料プランの一部機能が必要)。
- GitHub Community Support:
- GitHubの公式コミュニティフォーラムを通じて、他のユーザーやGitHubスタッフからサポートを受けることができます。ただし、迅速な個別対応やSLA保証はありません。
- セキュリティ機能(基本的なもの):
- Dependabot alerts: リポジトリの依存関係に既知の脆弱性が見つかった場合に通知してくれます。
- Code scanning alerts (basic): コード内の基本的なセキュリティ問題を検出します(高度な機能は有料)。
- Secret scanning (for public repositories): 公開リポジトリにコミットされたコードから秘密情報(APIキーなど)を検出します。
2.3 GitHub Freeの限界・制限事項
GitHub Freeは非常に多くの機能を提供しますが、ビジネス利用や大規模開発においてはいくつかの制限があります。
- GitHub Actionsの利用制限:
- プライベートリポジトリでの実行時間には無料枠(例: 月2000分 for Linux)。無料枠を超過すると従量課金が発生します。
- ストレージ(ビルド成果物など)とデータ転送量にも無料枠があり、超過分は従量課金です。
- 実行環境の種類や同時実行数に制限がある場合があります。
- GitHub Packagesの利用制限:
- プライベートリポジトリでのストレージ容量とデータ転送量に無料枠(例: 月500MBストレージ, 1GB転送量)。超過分は従量課金です。
- セキュリティ機能の制限:
- 高度なCode scanning機能、Secret scanningのプライベートリポジトリ対応などは、有料プラン(特にEnterprise)が必要です。
- 依存関係グラフの詳細な分析やセキュリティポリシーの強制などは利用できません。
- 管理・組織機能の制限:
- チームのアクセス制御、ブランチ保護規則の詳細な設定、監査ログの確認、SAML SSOなどのエンタープライズ向けの管理・セキュリティ機能は提供されません。
- サポートレベル:
- コミュニティサポートが基本であり、優先的な個別サポートやSLA保証はありません。
- プライベートリポジトリに対する詳細な機能制限:
- Insights(貢献度グラフ、コミット頻度などの統計情報)は、公開リポジトリでは見られますが、プライベートリポジトリでは限定的です(有料プランで強化)。
- Required Reviewers(特定のレビュアーによる承認を必須にする)やCode Owners(特定のコードパスの変更に承認を必須にする)などの高度なブランチ保護機能は利用できません。
これらの制限は、個人利用や小規模な実験的プロジェクトには影響が少ないことが多いですが、ビジネスとしてGitHubを本格的に利用したり、チームでの開発を効率化・セキュア化したりする際には、有料プランを検討する必要が出てきます。
3. GitHubの有料版プラン概要
GitHubの有料版プランは、無料版の機能に加えて、より高度な機能、高いリソース制限(または無制限)、そして充実したサポートを提供します。主に以下の3つのプランがあります。
- GitHub Pro: 個人開発者向けの最上位プラン、または非常に小規模なチーム向け。
- GitHub Team: チームや組織での共同開発に特化したプラン。
- GitHub Enterprise: 大規模な組織や企業向け。高度なセキュリティ、管理、コンプライアンス機能を重視。
これらのプランは、提供される機能と価格によって差別化されています。チームの規模、必要なセキュリティレベル、管理要件、そしてGitHub ActionsやPackagesの利用量に応じて最適なプランを選択することになります。
次の章から、各有料プランの詳細を解説していきます。
4. GitHub Pro
GitHub Proは、個人開発者がより高度なGitHub機能を必要とする場合や、非常に小規模なチーム(実質的に個人と同等の使い方をする場合)に適したプランです。
4.1 GitHub Proは誰向けか?
- 真剣な個人開発者: 個人プロジェクトでプライベートリポジトリを多数利用し、より詳細なインサイトを得たい、ActionsやPackagesをより多く使いたい、といったニーズを持つ個人。
- フリーランス: クライアント向けのプライベートなプロジェクトを管理し、ある程度のセキュリティや効率化ツールが必要な場合。
- 非常に小規模なチーム: 2~3人のチームで、まだTeamプランの組織機能が不要だが、無料版の制限(特にActions/Packagesのリソース)を超えがちな場合。
4.2 料金体系
GitHub Proは、ユーザー単位での月額または年額課金です。
(価格は変更される可能性があるため、公式サイトで最新情報を確認してください。)
年払いを選択すると、月払いよりも若干割引されるのが一般的です。
4.3 GitHub Proでできること(無料版との違い・追加機能)
GitHub Proは、GitHub Freeの全ての機能を含みつつ、以下の点で強化されています。
- GitHub Actionsの利用枠増加:
- プライベートリポジトリでの無料枠が、GitHub Freeよりも大幅に増加します(例: 月3000分 for Linux)。
- ストレージとデータ転送量の無料枠も増加します(例: 月2GBストレージ, 4GB転送量)。
- 無料枠を超過した場合の従量課金は発生しますが、多くの個人プロジェクトや小規模利用であればProプランの無料枠で十分収まることが多いでしょう。
- GitHub Packagesの利用枠増加:
- プライベートリポジトリでのストレージとデータ転送量の無料枠が、GitHub Freeよりも大幅に増加します(Actionsと同様の増加量)。
- 高度なコードレビュー機能:
- Required Reviewers: プルリクエストをマージするために、特定の個人またはチームからのレビュー承認を必須に設定できます。コード品質の維持やセキュリティ対策に役立ちます。
- Code Owners: リポジトリ内の特定のファイルやディレクトリ(例:
/src/backend
)の変更に対して、特定の個人またはチームをCode Ownerとして指定し、そのOwnerの承認を必須にできます。責任範囲を明確化し、専門家によるレビューを強制できます。
- Private repository insights:
- プライベートリポジトリに関する詳細な統計情報(貢献度グラフ、コミットアクティビティ、プルリクエストの状況など)を閲覧できます。プロジェクトの健全性やチームの活動状況を把握するのに役立ちます。無料版では公開リポジトリでのみ利用可能な機能です。
- GitHub PagesのカスタムドメインとHTTPS:
- カスタムドメインを設定したGitHub Pagesサイトに対して、HTTPS接続を無料で利用できます。セキュリティと信頼性の向上に重要です。無料版でもカスタムドメインは可能ですが、HTTPS対応は限定的です。
- Better support (Priority Support):
- コミュニティサポートに加えて、GitHubのサポートチームからのメールによる個別サポートを受けられます。重要な問題が発生した場合に、コミュニティよりも迅速な対応が期待できます。
4.4 Proプランのメリット・デメリット
メリット:
- 個人開発者やフリーランスにとって、無料版の制限を解消し、よりプロフェッショナルな開発環境を構築できる。
- プライベートリポジトリでのActions/Packagesの利用枠が大きく増えるため、多くのケースで従量課金を回避できる。
- Required ReviewersやCode Ownersなど、小規模チームでも役立つコード品質向上・管理機能が利用できる。
- プライベートリポジトリの活動状況を詳細に把握できる。
デメリット:
- Teamプランのような本格的な組織管理機能(チームのアクセス権限管理、監査ログなど)は提供されないため、複数のチームで開発を行う組織には向かない。
- Enterprise版にあるような高度なセキュリティ(SAML SSO、IP制限など)や大規模管理機能は利用できない。
- サポートは優先されるが、SLA保証付きの専用サポートではない。
GitHub Proは、個人やごく少数の共同作業者が、よりスムーズでプロフェッショナルな開発を目指す場合に、手頃な価格で多くのメリットをもたらすプランと言えます。
5. GitHub Team
GitHub Teamプランは、その名の通り、チームや組織でGitHubを本格的に利用する場合に最適なプランです。複数の開発者が協力して、プライベートリポジトリを中心に開発を進める組織を対象としています。
5. GitHub Teamは誰向けか?
- スタートアップ企業: 小規模ながらも組織として開発を進め、チーム単位での管理機能やセキュリティ機能が必要な場合。
- 中規模開発チーム: 複数のプロジェクトが並行して走り、チームごとにアクセス権限を管理したい場合。
- 教育機関の特定のプロジェクトチーム: 学生同士や教員と学生が共同でプロジェクトを進める場合(ただし教育機関向けプランも別途存在します)。
GitHub Teamプランは、GitHub FreeやProでは不十分な「組織的な開発に必要な機能」を提供します。
5.2 料金体系
GitHub Teamは、ユーザー単位での月額または年額課金です。組織に所属するユーザー数に応じて料金が発生します。ユーザーを追加・削除することで、料金も変動します。
(価格は変更される可能性があるため、公式サイトで最新情報を確認してください。)
Proプランと同様、年払いの方が月払いよりも割安になるのが一般的です。
5.3 GitHub Teamでできること(Pro版との違い・追加機能)
GitHub Teamは、GitHub Proの全ての機能を含みつつ、組織での開発を効率化し、管理・セキュリティを強化するための機能を追加します。
- Team access controls (Organization features):
- チームの作成と管理: 組織内に複数のチームを作成し、チームごとにリポジトリへのアクセス権限(読み取り専用、書き込み、管理者など)をきめ細かく設定できます。これにより、大規模な組織でも権限管理が容易になります。
- リポジトリへのチーム割り当て: リポジトリごとに、どのチームにアクセスを許可するかを簡単に設定できます。
- ユーザーの組織への招待・管理: 組織のメンバーを管理し、特定のチームに所属させることができます。
- Protected branches (強化):
- ブランチ保護規則をさらに強力に設定できます。
- Required Reviews: プルリクエストをマージするのに必要なレビュー担当者数や、特定のチームからのレビューを必須にできます。
- Code Owners: 特定のコードパスの変更に対して、そのCode Ownerの承認を必須にできます(Proにもありますが、Teamでは組織内のチームをOwnerに指定できるなど、より組織的な運用が可能)。
- Required status checks: プルリクエストをマージする前に、特定のCI/CDジョブ(GitHub Actionsなど)が成功することを必須にできます。テストが通らないコードのマージを防ぎ、コード品質を維持できます。
- Signed commits: コミットが検証済みの署名を持っていることをマージの条件にできます。コードの真正性を保証します。
- Linear history: マージ戦略を限定し、Gitの履歴を常に線形に保つことができます。
- Audited actions logs:
- 組織内のユーザーが行った重要なアクション(リポジトリの作成・削除、権限変更など)の履歴を詳細に確認できます。セキュリティインシデント発生時の追跡や、組織内の活動の監視に役立ちます。
- Team Insights:
- 組織全体の活動状況や、チームごとの貢献度などを集計した詳細なインサイトを閲覧できます。複数のリポジトリにまたがる活動状況を把握し、開発プロセスの改善に役立てられます。
- GitHub Actionsのさらなる利用枠増加:
- プライベートリポジトリでの無料枠が、Proプランよりもさらに増加します(例: 月3000分 for Linux)。
- ストレージとデータ転送量の無料枠も増加します(例: 月2GBストレージ, 4GB転送量)。
- GitHub Packagesのさらなる利用枠増加:
- プライベートリポジトリでのストレージとデータ転送量の無料枠が、Proプランよりもさらに増加します(Actionsと同様の増加量)。
5.4 Teamプランのメリット・デメリット
メリット:
- 組織単位での開発に必要な強力な管理機能(チーム管理、詳細な権限設定)が利用できる。
- Protected branches機能が充実しており、コード品質、セキュリティ、開発ワークフローの規律を厳格に保てる。
- 組織全体の活動状況を把握し、開発プロセスの改善に役立てられる。
- 無料版やPro版に比べて、Actions/Packagesの無料枠が増えるため、多くのチームで追加コストなしでCI/CDやパッケージ管理を活用できる。
デメリット:
- ユーザー数に応じた課金のため、チーム規模が大きくなるとProプランよりコストがかかる。
- Enterprise版にあるような、大規模組織向けの高度なセキュリティ(SAML SSO、IP制限、Audit Log Streamingなど)や、コンプライアンス、ポリシー強制機能は提供されない。
- サポートレベルはProと同様のPriority Supportが基本となる。
5.5 無料版からTeam版への移行を検討するケース
以下のような状況になったら、GitHub Teamへのアップグレードを検討すべき時期と言えます。
- チームメンバーが増えてきた: プライベートリポジトリの共同編集者数に制限はなくなりましたが、チームとして複数のリポジトリを管理し、メンバーごとにアクセス権限を細かく設定したい場合。
- コード品質や開発ワークフローを統一・強化したい: Protected branchesのRequired Status Checksを使ってCIの成功を必須にしたり、Required Reviewsでレビュープロセスを強制したりしたい場合。
- 組織内の活動状況を把握したい: Team Insightsでチーム全体のコミット状況やプルリクエストのマージ状況などを一元的に確認したい場合。
- ActionsやPackagesの無料枠を超えがち: CI/CDの利用が増えたり、パッケージを多数ホストするようになったりして、GitHub Free/Proの無料枠を超過し、従量課金が発生している場合。
- 監査ログで重要なアクションを確認したい: セキュリティやコンプライアンスのために、誰がいつどのような操作を行ったかの記録を確認する必要がある場合。
GitHub Teamは、組織として成熟した開発プロセスを構築するための基盤となるプランです。
6. GitHub Enterprise (Cloud / Server)
GitHub Enterpriseは、GitHubの提供する最上位プランです。大規模な組織、企業、そして厳しいセキュリティやコンプライアンス要件を持つ組織を対象としています。Enterpriseプランは、GitHub.com上でホストされるEnterprise Cloudと、自社のインフラストラクチャにデプロイするEnterprise Serverの2つの形態があります。
6.1 GitHub Enterpriseは誰向けか?
- 大企業: 数百人、数千人規模の開発者がGitHubを利用する場合。
- 高度なセキュリティ要件を持つ組織: 金融機関、政府機関など、厳格なアクセス制御、監査、コンプライアンスが求められる場合。
- 厳格なコンプライアンス要件を持つ組織: 業界固有の規制や社内ポリシーへの準拠が必要な場合。
- オンプレミスでの運用を希望する組織: クラウドサービスではなく、自社データセンター内でGitHubを運用したい場合(Enterprise Server)。
6.2 料金体系
GitHub Enterpriseの料金は、ユーザー数に応じて決定されますが、Teamプランよりも高価になります。また、Enterprise CloudとEnterprise Serverで料金体系や含まれるサービスが異なる場合があります。通常、GitHubの営業担当者との交渉を通じて契約が決定されます。
(価格は公開されていませんが、ユーザー数が多くなるほど単価が抑えられる傾向があります。)
6.3 GitHub Enterpriseでできること(Team版との違い・追加機能)
GitHub Enterpriseは、GitHub Teamの全ての機能を含みつつ、エンタープライズレベルの管理、セキュリティ、拡張性を提供します。機能が非常に多岐にわたるため、主要なものを抜粋して説明します。
- Enhanced security:
- SAML single sign-on (SSO): 企業のIdP (Identity Provider) と連携し、一元的な認証・認可を実現します。ユーザーは組織の認証情報でGitHubにログインできるようになります。
- LDAP sync: 企業のLDAP/Active Directoryと連携し、ユーザーやグループ情報を同期できます(主にEnterprise Server)。
- SCIM (System for Cross-domain Identity Management): ユーザープロビジョニングを自動化し、IdP側でのユーザー追加・削除・グループ変更がGitHubに自動的に反映されるようにします。
- IP allow lists: 特定のIPアドレス範囲からのアクセスのみを許可し、不正アクセスを防止します。
- Audit Log Streaming: 監査ログを外部のログ管理システム(Splunk, Sumo Logicなど)にストリーミングできます。より高度なセキュリティ監視や分析が可能になります。
- Advanced administration and control:
- Enterprise Account: 複数のOrganizationをまとめて管理できる上位の管理単位です。組織全体のポリシー設定やユーザー管理を一元的に行えます。
- Policy enforcement: 組織全体や特定のOrganization、リポジトリに対して、ブランチ保護規則、セキュリティ設定、Actionsの利用制限など、詳細なポリシーを強制できます。
- Organization management at enterprise level: Enterprise Accountの下で、複数のOrganizationを柔軟に作成・管理できます。部門ごとやプロジェクトごとにOrganizationを分けつつ、一元的な管理を適用できます。
- GitHub Connect:
- Enterprise CloudとEnterprise Serverを連携させ、一部の機能(例: CodespacesやAdvanced Security)を両方の環境で利用できるようにします。ハイブリッド環境での運用をサポートします。
- GitHub Actions / Packages の大規模な利用枠 または オンプレミス実行:
- Enterprise Cloud: Teamプランよりもさらに大きな無料枠、または柔軟な従量課金オプションが提供されます。
- Enterprise Server: Actions RunnerやPackage Registryを自社インフラ上で実行できます。リソース制限は自社のインフラ能力に依存します。従量課金ではなく、サーバーのライセンス費用に含まれる形になります。
- Self-hosted runners: GitHub Actionsの実行環境として、GitHubが提供するVMだけでなく、自社で管理するサーバー(オンプレミス、他のクラウドなど)を利用できます。特定の環境でのテストや、ネットワークポリシー上外部にアクセスできない環境でのビルドなどに役立ちます。
- GitHub Advanced Security (GHAS):
- コードのセキュリティをさらに強化するためのツール群です。Enterpriseプランに含まれる場合が多いですが、別途購入が必要なケースもあります。
- Code Scanning: コード内の潜在的なセキュリティ脆弱性を詳細に検出します。複数の静的解析ツール(CodeQLなど)を利用できます。
- Secret Scanning (for private repositories): プライベートリポジトリに誤ってコミットされた秘密情報(APIキー、パスワードなど)を検出します。
- Dependency Review: プルリクエストで依存関係が追加・変更された際に、その依存関係に既知の脆弱性がないかを確認できます。
- Premium Support:
- SLA(サービスレベル契約)保証付きの、迅速かつ専門的なサポートを受けられます。重大な問題発生時には、専任のサポートエンジニアが対応するなど、ビジネスの継続性を保証するためのサポートが提供されます。
- Audit logs API:
- 監査ログをAPI経由で取得できます。カスタムのログ分析ツールやセキュリティ情報イベント管理 (SIEM) システムと連携できます。
- Internal Repositories:
- 組織内のメンバー全員が閲覧できるが、外部には非公開となる「内部リポジトリ」を作成できます。社内共有ライブラリやドキュメントなどに便利です。
6.4 Enterpriseプランのメリット・デメリット
メリット:
- 大規模組織や企業に必要な高度なセキュリティ、管理、コンプライアンス機能が全て揃っている。
- SAML SSOやSCIMなどにより、既存の社内システムとの連携がスムーズに行える。
- 厳格なポリシー強制機能により、組織全体でセキュリティや開発規約を徹底できる。
- GitHub Advanced Securityにより、コードレベルでのセキュリティリスクを大幅に低減できる。
- Premium Supportにより、安心してビジネスで利用できるサポート体制が整っている。
- Self-hosted runnersにより、柔軟な開発環境を構築できる。
- Enterprise Serverを選択すれば、データの保管場所や運用環境を完全に制御できる。
デメリット:
- 他のプランに比べて非常に高価。ユーザー数が多くなるとコストは増大する。
- 機能が多岐にわたるため、導入や運用に専門知識が必要になる場合がある。
- Enterprise Serverの場合、自社でのインフラ構築、運用、メンテナンスのコストと負担が発生する。
- 機能が豊富すぎて、小規模な組織や単一のチームにとってはオーバースペックとなることが多い。
6.5 Enterprise CloudとServerの選択基準
GitHub Enterpriseを導入する場合、CloudとServerのどちらを選ぶかは重要な決定です。
- Enterprise Cloudを選択すべきケース:
- クラウドサービスを利用することに抵抗がない、または積極的に利用したい。
- インフラの運用・メンテナンスの負担を避けたい。
- 迅速な導入や常に最新の機能を利用したい。
- GitHub.comの他のユーザーとの連携(フォーク、プルリクエストなど)をスムーズに行いたい。
- セキュリティ要件が満たされるのであれば、マネージドサービスの方がメリットが大きいと考える。
- Enterprise Serverを選択すべきケース:
- セキュリティやコンプライアンスの理由から、ソースコードや開発環境を社内ネットワークから外部に出せない。
- 既存の社内インフラ(LDAP/AD、ストレージ、監視システムなど)との連携が必須。
- ネットワーク帯域や性能の要件から、オンプレミスでのGit操作が有利。
- インターネット接続が不安定な環境での利用が必要。
- 自社のインフラ運用チームが充実しており、サーバー管理に慣れている。
多くの企業にとって、運用の容易さや常に最新機能が使える点からEnterprise Cloudが選ばれる傾向にありますが、特定の業界や企業のポリシーによってはServerが必須となる場合もあります。
7. 料金プランの選び方
GitHubの料金プランは多様であり、自身の状況に最適なプランを選ぶことが重要です。以下の要素を考慮して検討しましょう。
7.1 考慮すべき要素
- チームの規模と人数:
- 個人開発者/フリーランス → FreeまたはPro
- 小規模チーム(数人~十数人) → Free(プライベートリポジトリ無制限化)、Pro、またはTeam
- 中規模チーム(数十人) → Team
- 大企業(数百人以上) → Enterprise
- 必要な機能:
- プライベートリポジトリの共同編集者数(Freeで無制限になったため、これだけでは有料化の理由になりにくい)
- GitHub Actions / Packagesの利用量(無料枠を超えるか)
- 高度なブランチ保護機能(Required Reviewers, Status Checksなど) → Team以上
- プライベートリポジトリのインサイト → Pro以上
- 組織単位でのアクセス管理、チーム管理 → Team以上
- 監査ログ → Team以上 (詳細なもの、API連携はEnterprise)
- 高度なセキュリティ機能(SAML SSO, IP許可リスト, Secret Scanning for Private Reposなど) → Enterprise
- コードセキュリティ分析 (Code Scanning, Dependency Review) → Enterprise (またはGHAS単体購入)
- 専用サポートとSLA → Enterprise
- オンプレミスでの運用 → Enterprise Server
- 予算:
- GitHub Freeは無料。
- Proは個人向けとしては比較的手頃。
- Teamはユーザー数比例でコストが増加。
- Enterpriseは高価。
- デプロイメントモデル(Enterpriseの場合):
- クラウド vs オンプレミス
7.2 ケーススタディ・例
具体的な利用シーンを想定して、どのプランが適切かを考えてみましょう。
- ケース1: プログラミング学習中の学生
- 必要な機能: 公開リポジトリでのコード公開、Gitの練習、簡単な個人プロジェクト。
- 推奨プラン: GitHub Free。必要な機能は全て無料で利用できます。GitHub Pagesでのポートフォリオ公開も可能です。
- ケース2: 副業でウェブサイトを開発するフリーランス
- 必要な機能: クライアント向けのプライベートリポジトリ、簡単なCI/CD(テスト、デプロイ)、GitHub Pagesでのサイト公開(カスタムドメイン)。
- 推奨プラン: GitHub Pro。プライベートリポジトリが無制限になり共同編集者の制限もないためFreeでも可能ですが、ProならActions/Packagesの無料枠が増え、GitHub PagesのHTTPS対応、そして優先的なサポートが得られるため、より安心してビジネス利用できます。Required Reviewersなどの機能もクライアントとの共同作業で役立つことがあります。
- ケース3: 3人チームのスタートアップ企業
- 必要な機能: プライベートリポジトリでの共同開発、CI/CD(自動テスト・デプロイ)、コードレビュープロセスの強化(必須レビュー)、基本的なチーム管理。
- 推奨プラン:
- 最初はGitHub Freeで始めることも十分可能です。プライベートリポジトリの共同編集者数制限が撤廃されたため、3人チームであれば共同開発は無料版で可能です。
- ただし、Actions/Packagesの利用が増えて従量課金が発生したり、Protected Branchesで必須ステータスチェックやRequired Reviewersを設定したい場合は、GitHub Teamへの移行を検討します。Teamプランの組織管理機能は、少人数でも将来的な拡大を見越して導入する価値があります。GitHub Proは個人向けの色合いが強く、チームとしての機能(組織アカウント内のチーム管理など)は限定的なため、3人以上のチームならProよりTeamの方が適しています。
- ケース4: 数十人規模のウェブ開発会社
- 必要な機能: 複数のプロジェクトを並行開発、プロジェクトごと・チームごとのアクセス権限管理、厳格なコードレビューと品質管理(ブランチ保護)、CI/CDの本格運用、監査ログ。
- 推奨プラン: GitHub Team。組織アカウントを作成し、プロジェクトごとにリポジトリを、部門ごとやプロジェクトチームごとにTeamを作成してアクセス権限を管理するのが標準的な運用になります。Protected branchesで開発ワークフローを統一・強制し、Team Insightsで組織全体の活動状況を把握します。Actions/Packagesの利用枠も増えるため、多くのCI/CDニーズに対応できます。
- ケース5: 数百人規模の金融システム開発部門
- 必要な機能: 大規模なユーザー管理(SSO連携)、厳格なセキュリティ対策(IP制限、Secret Scanning)、コンプライアンス要件(監査ログの長期保存・分析、ポリシー強制)、自社インフラへのデプロイ(必須の場合)、専任サポート。
- 推奨プラン: GitHub Enterprise (CloudまたはServer)。SAML SSOによる一元認証、IP許可リストによるアクセス制限、Audit Log Streamingによる詳細な監査、ポリシー強制によるセキュリティ基準の維持など、Enterpriseならではの機能が必須となります。GitHub Advanced Securityによるコードレベルでのセキュリティ分析も重要です。オンプレミス要件があればServer、クラウド移行が可能であればCloudを選択します。
自身の状況と照らし合わせて、上記の例を参考に最適なプランを検討してみてください。
8. GitHub ActionsとGitHub Packagesの料金について掘り下げ
GitHubの有料プランを検討する上で、GitHub ActionsとGitHub Packagesの利用量とその料金体系は重要な要素です。これらは無料枠を超過すると従量課金が発生するため、コストに直結します。
8.1 無料枠の詳細
GitHub Free、Pro、Team、Enterprise Cloudの各プランには、毎月一定量のActionsの実行時間、Packagesのストレージ容量、およびデータ転送量の無料枠が割り当てられています。
- 公開リポジトリ (Public repositories):
- Actions: 実行時間 無制限。
- Packages: ストレージ・データ転送量 無制限。
- オープンソースプロジェクトのCI/CDやパッケージ配布は基本的に無料です。
- プライベートリポジトリ (Private repositories):
- プランごとに異なる無料枠があります。数値は変更される可能性があるため、公式サイトで最新を確認してください。一般的な目安としては以下のようになります。
- GitHub Free: Actions 月2,000分、Packages 月500MBストレージ / 1GB転送量
- GitHub Pro: Actions 月3,000分、Packages 月2GBストレージ / 4GB転送量
- GitHub Team: Actions 月3,000分、Packages 月2GBストレージ / 4GB転送量
- GitHub Enterprise Cloud: より大きな無料枠が提供されるか、契約内容による柔軟な設定が可能。
- Actionsの実行時間: Linux環境での実行時間に基づきます。WindowsやmacOSなどの環境では、同じ時間でも消費される無料枠の単位が異なります。例えば、WindowsはLinuxの2倍、macOSは10倍といった係数がかかる場合があります。したがって、WindowsやmacOSで頻繁にCI/CDを実行する場合は、無料枠をより早く消費します。
- プランごとに異なる無料枠があります。数値は変更される可能性があるため、公式サイトで最新を確認してください。一般的な目安としては以下のようになります。
8.2 無料枠を超えた場合の従量課金
毎月の無料枠を超過した場合、超過分のリソース利用に対して従量課金が発生します。
- Actions: 実行時間(分単位)で課金されます。環境(Linux, Windows, macOS)によって1分あたりの単価が異なります。Linuxが最も安く、Windows、macOSの順に高くなります。
- Packages: ストレージ容量(GB単位)とデータ転送量(GB単位)で課金されます。
従量課金の単価もGitHubのサイトで確認できますが、一般的に以下の傾向があります。
- ストレージ単価は比較的安価。
- データ転送量単価はストレージよりも高価。
- Actionsの実行時間単価は環境によって大きく異なり、macOSが最も高価。
GitHubのBillingページで、当月のActionsとPackagesの利用状況(無料枠内での消費量、超過量、推定費用)を確認できます。
8.3 これらのリソース消費がプラン選択にどう影響するか
ActionsとPackagesの利用量は、特にプライベートリポジトリで開発を行うチームや組織にとって、プラン選択の重要な判断基準となります。
- CI/CDを頻繁に実行するチーム:
- 特にWindowsやmacOS上でCI/CDを行う場合、Actionsの無料枠を早く使い切る可能性があります。月間のActions実行時間が無料枠を大幅に超過する場合は、Teamプラン以上を検討するか、従量課金を受け入れる必要があります。Self-hosted runnersを導入することで、GitHubの従量課金を避けつつ、自社インフラのリソースを利用するという選択肢もあります(Enterpriseプランで利用可能)。
- 大量のパッケージをホスト・配布するチーム:
- GitHub PackagesでDockerイメージやプライベートライブラリなどを大量にホストしたり、頻繁にダウンロードされたりする場合、ストレージやデータ転送量の無料枠を使い切る可能性があります。利用量が多い場合は、Teamプラン以上を検討することで無料枠が増えます。
- コスト予測:
- 従量課金は利用量に応じて変動するため、月々のコストが予測しにくくなります。無料枠を大きく超える利用が見込まれる場合は、上位プランにアップグレードすることで、無料枠が増え、コストを安定させることができる場合があります。あるいは、Enterprise契約であれば、リソース利用に関する契約内容が柔軟になる可能性もあります。
GitHub ActionsとPackagesの利用状況を定期的にモニタリングし、無料枠に対してどの程度利用しているかを確認することが、最適なプランを選び、コストを管理する上で非常に重要です。
9. その他の関連サービス/機能
GitHubはコアとなるバージョン管理やコラボレーション機能に加えて、いくつかの関連サービスや機能を提供しています。これらの中には、別途費用がかかるものや、特定のプランに含まれるものがあります。
- GitHub Copilot:
- AIによるコード補完機能です。開発者のコーディング速度を大幅に向上させます。
- 料金: 基本的に有料のアドオンサービスです。Proプラン以上のユーザーは個人向けに契約できるほか、企業向けには組織全体で管理できるプランも提供されています。無料版ユーザーは利用できません。
- 学生や教育関係者向けの無料利用枠も提供されています。
- GitHub Advanced Security (GHAS):
- 前述の通り、Code Scanning (CodeQL), Secret Scanning (Private repos), Dependency Reviewなどのセキュリティ機能をまとめて提供するものです。
- 料金: 基本的にGitHub Enterpriseプランの一部として提供されるか、Enterprise Cloudユーザーが別途購入できるオプションサービスです。非常に高度で専門的な機能のため、それなりの費用がかかります。
- GitHub Codespaces:
- クラウド上で利用できる開発環境(IDE)です。リポジトリを開くだけで、すぐに開発を開始できます。
- 料金: 利用時間とストレージに応じた従量課金サービスです。Enterprise Cloudプランでは利用できますが、無料枠や料金体系は別途設定されています。Free, Pro, Teamプランでも利用できる場合がありますが、無料枠や利用制限は異なります。
- GitHub Learning Lab:
- GitHubの機能の使い方を、対話的なコース形式で学べるサービスです。
- 料金: 無料です。GitHubの使い方を学びたい初心者に最適です。
これらの関連サービスは、GitHubの体験をさらに豊かにしたり、特定のニーズ(生産性向上、セキュリティ強化、開発環境の標準化など)に応えたりするものです。自身の開発スタイルや組織の目標に合わせて、これらのサービスも検討に値します。ただし、多くは別途費用がかかる点に注意が必要です。
10. よくある質問 (FAQ)
GitHubの料金プランに関してよく聞かれる質問とその回答をまとめました。
- Q: プランは途中で変更できますか?
- A: はい、いつでもプランをアップグレードまたはダウングレードできます。組織の設定ページから手続き可能です。アップグレードした場合、日割り計算で差額が請求されることが一般的です。ダウングレードの場合は、次回の請求期間から新しいプラン料金が適用されます。
- Q: 年払いと月払いの違いは?
- A: 年払いを選択すると、月払いよりも若干割引されるのが一般的です。長期的に同じプランを利用する予定であれば、年払いの方がお得になります。
- Q: 学生・教育機関向けの割引はありますか?
- A: はい、GitHubは教育機関や学生向けに特別なプログラムを提供しています。GitHub Educationというプログラムを通じて、学生はGitHub Proの機能を無料で利用できるGitHub Student Developer Packや、教員向けの無料プラン、学校全体で利用できるGitHub Enterpriseの割引などがあります。公式サイトのGitHub Educationページをご確認ください。
- Q: 無料版のプライベートリポジトリの共同編集者数に制限はありますか?
- A: いいえ、現在は無料版のプライベートリポジトリも共同編集者数に制限はありません。かつては3人までという制限がありましたが、現在は撤廃されています。これにより、小規模チームであれば無料版でも十分にプライベートリポジトリでの共同開発が行えるようになりました。
- Q: 無料版で商用利用は可能ですか?
- A: はい、GitHubの利用規約に従う限り、無料版で作成したリポジトリ(公開・プライベート問わず)や利用できる機能は、商用目的で利用することが可能です。ただし、商用利用においては、無料版の制限(特にActions/Packagesの無料枠、サポートレベル、高度なセキュリティ・管理機能の欠如)が問題となることが多いため、ビジネスの規模や重要度に応じて有料版を検討することをお勧めします。
- Q: GitHub ActionsやPackagesの無料枠はユーザーごとですか?それとも組織全体ですか?
- A: プライベートリポジトリに対する無料枠は、基本的にはアカウントまたは組織ごとに割り当てられます。例えば、Teamプランの組織であれば、組織全体で月間Actions実行時間の無料枠を共有します。個人アカウントの場合は、アカウント全体での無料枠となります。
- Q: GitHub Enterprise CloudとServerの間で移行は可能ですか?
- A: はい、GitHubはEnterprise CloudとEnterprise Server間の移行ツールやサポートを提供しています。ただし、これは大規模な作業となるため、事前にGitHubの営業担当者やサポートチームと密に連携する必要があります。
11. まとめ
この記事では、GitHubの無料版(GitHub Free)から有料版プラン(Pro, Team, Enterprise)まで、それぞれの特徴、利用できる機能、制限、そして適切なプランの選び方について、詳細に解説しました。
最後に、各プランの主要な違いを改めて要約します。
- GitHub Free:
- 個人開発者、学習者、オープンソースプロジェクト向け。
- 公開・プライベートリポジトリ無制限、共同編集者無制限。
- GitHub Actions/Packagesに制限付き無料枠あり(プライベートリポジトリ)。
- 基本的なセキュリティ機能、コミュニティサポート。
- GitHub Pro:
- 真剣な個人開発者、フリーランス、ごく小規模チーム向け。
- Freeの機能に加え、Actions/Packagesの無料枠増加、プライベートリポジトリのインサイト、Required Reviewersなどの高度なレビュー機能、優先サポート。
- GitHub Team:
- チーム・組織向け。
- Proの機能に加え、組織管理機能(チーム作成・権限管理)、より強力なProtected Branches(Status Checksなど)、詳細な監査ログ、Actions/Packagesのさらなる無料枠増加。
- GitHub Enterprise (Cloud/Server):
- 大企業、高度なセキュリティ/管理要件を持つ組織向け。
- Teamの機能に加え、SAML SSO、IP許可リスト、Audit Log Streamingなどの高度なセキュリティ機能、Enterprise Accountによる組織横断管理、ポリシー強制、GitHub Advanced Security、Premium Support、Self-hosted runners。Serverはオンプレミス運用が可能。
GitHubは、あなたの開発活動やチームの成長に合わせて、様々な段階のプランを提供しています。無料版から始め、必要に応じて上位プランへの移行を検討するのが一般的な流れでしょう。
重要なのは、単に機能リストを比較するだけでなく、あなたのチームの規模、開発ワークフロー、セキュリティやコンプライアンスに関する要件、そして予算を総合的に考慮して、最適なプランを選ぶことです。GitHub ActionsやPackagesの利用量がコストに大きく影響する可能性がある点も忘れてはなりません。
GitHubのプランは進化し続けており、機能や料金体系が変更される可能性もあります。この記事の情報は執筆時点のものに基づいていますが、最終的な判断を下す前に、必ずGitHub公式サイトで最新の情報を確認してください。
世界中の開発者が集まるGitHubを、あなたのプロジェクトやチームに最適な形で活用し、より効率的で安全な開発を実現してください。
この記事が、あなたのGitHub料金プラン理解と、最適なプラン選びの一助となれば幸いです。