Win11で快適React開発!環境構築から始め方まで徹底解説

Win11で快適React開発!環境構築から始め方まで徹底解説

Windows 11が登場し、洗練されたUIとパフォーマンス向上により、開発環境としての魅力が増しています。特にモダンなWeb開発フレームワークであるReactを使った開発は、Windows 11上で非常に快適に行えるようになっています。

この記事では、Windows 11でReact開発を始めるために必要な環境構築の手順から、実際に簡単なアプリケーションを作成し、開発を進める方法までを徹底的に解説します。React開発に興味があるけれど、何から始めれば良いか分からない、Windows環境での開発に不安があるという初心者の方から、より快適な開発環境を構築したいと考えている方まで、幅広く役立つ内容を目指します。

さあ、Windows 11上で素晴らしいReact開発の世界へ飛び込みましょう!

はじめに:React開発環境構築の重要性

Reactは、Facebookによって開発されたJavaScriptのライブラリで、ユーザーインターフェースを構築するために広く利用されています。SPA (Single Page Application) やモバイルアプリケーション (React Native) の開発など、現代のWeb開発において欠かせない技術の一つとなっています。

React開発を始めるにあたり、適切な開発環境を構築することは非常に重要です。効率的なコーディング、デバッグ、テスト、そして最終的なアプリケーションのビルドに至るまで、開発環境の質が開発体験や生産性に大きく影響します。

Windows 11は、そのパフォーマンス向上やLinux環境との高い親和性(WSL2の進化)により、Web開発、特にNode.jsを基盤とするReact開発において非常に優れたプラットフォームとなっています。本記事では、Windows 11の利点を最大限に活かしたReact開発環境の構築方法を詳しく見ていきます。

第1部:React開発環境を整えよう

React開発に必要なツールはいくつかあります。ここでは、それぞれが必要な理由と、Windows 11へのインストール方法を解説します。

1. 必要なものリスト

始める前に、以下のものを用意しましょう。

  • Windows 11搭載PC: 最新のアップデートが適用されていることを推奨します。
  • インターネット接続: 各種ツールのダウンロードや依存関係のインストールに必要です。
  • 管理者権限: 一部のツールのインストールには管理者権限が必要です。
  • 十分なストレージ容量: 開発ツール、プロジェクトファイル、依存関係などで数GB以上の容量を使用します。
  • ある程度のPCスペック: 快適な開発体験のためには、メモリ8GB以上、SSDストレージが推奨されます。

2. Node.jsとnpmのインストール

ReactはJavaScriptライブラリであり、Node.js実行環境上で動作するツール群(npmやyarn、pnpmなどのパッケージマネージャー、バンドラなど)を利用して開発を進めます。そのため、Node.jsとそのパッケージマネージャーであるnpm(Node Package Manager)のインストールは必須です。

  • なぜ必要か:

    • パッケージ管理: React本体や関連ライブラリ(ルーティング、状態管理、UIコンポーネントなど)はnpmやyarnを使ってプロジェクトに追加・管理します。
    • 開発サーバー: Reactアプリケーションをローカルで動かし、変更を即座に確認するための開発サーバーを実行します。
    • ビルドツール: 開発したコードをブラウザで実行可能なJavaScript、CSS、HTMLに変換(ビルド)します。
    • 各種ツール: リンター(ESLint)、フォーマッター(Prettier)、テスターなどの開発支援ツールを実行します。
  • インストール方法:
    Node.jsのインストールは、公式サイトから提供されているインストーラーを使用するのが最も簡単です。

    1. Node.js公式サイトにアクセス: https://nodejs.org/
    2. 推奨版 (LTS – Long Term Support) をダウンロード: LTS版は長期サポートが提供されており、安定しています。特別な理由がない限り、こちらを選択しましょう。執筆時点では、例えば20.11.1 LTSなどが推奨版として表示されていることが多いです。
    3. インストーラーを実行: ダウンロードした.msiファイルを実行します。
    4. セットアップウィザードを進める:
      • 「Next」をクリック。
      • 利用規約を確認し、「I accept the terms…」にチェックを入れて「Next」。
      • インストール先を指定(デフォルトで問題ありません)し、「Next」。
      • インストールするコンポーネントを選択(通常はデフォルトで「Node.js runtime」「npm package manager」「Online documentation shortcuts」「Add to PATH」全てにチェックが入っている状態で問題ありません)し、「Next」。
      • 「Tools for Native Modules」のインストール画面が出ますが、多くのReact開発では必須ではありません。必要であればチェックを入れても良いですが、ここではチェックを入れずに「Next」で進めます。
      • 「Install」をクリックしてインストールを開始します。
      • ユーザーアカウント制御 (UAC) のダイアログが表示されたら「はい」をクリックして許可します。
      • インストールが完了したら「Finish」をクリックします。
  • バージョンの確認:
    インストールが正常に完了したか確認するため、コマンドプロンプトまたはPowerShellを開き、以下のコマンドを実行します。

    bash
    node -v
    npm -v

    それぞれNode.jsとnpmのバージョンが表示されれば成功です。

    v20.11.1 # Node.jsのバージョン (例)
    10.2.4 # npmのバージョン (例)

    補足: パッケージマネージャーにはyarnやpnpmもあります。これらはnpmと同様の機能を提供しますが、パフォーマンスや機能に違いがあります。最初はnpmで十分ですが、開発に慣れてきたら検討してみるのも良いでしょう。yarnをインストールする場合は npm install -g yarn、pnpmの場合は npm install -g pnpm といったコマンドでインストールできます。

3. Visual Studio Code (VS Code) のインストールと設定

ソースコードを記述・編集するためのエディタが必要です。様々な選択肢がありますが、React開発においてはMicrosoftが提供する無料の高機能エディタ「Visual Studio Code (VS Code)」がデファクトスタンダードとなっています。豊富な拡張機能と優れたパフォーマンス、Node.js/JavaScript開発との高い親和性がその理由です。

  • なぜ推奨されるか:

    • 無料かつ高機能: シンタックスハイライト、コード補完、デバッグ機能など、開発に必要な機能が揃っています。
    • 豊富な拡張機能: React開発を効率化する様々な拡張機能が利用できます。
    • Git連携: Git操作がエディタ上で行えます。
    • 統合ターミナル: エディタ内でコマンドを実行できるため、エディタとターミナルを行き来する手間が省けます。
    • パフォーマンス: 大規模なプロジェクトでも比較的軽量に動作します。
  • インストール方法:

    1. VS Code公式サイトにアクセス: https://code.visualstudio.com/
    2. Windows版をダウンロード: トップページの「Download for Windows」ボタンをクリックします。
    3. インストーラーを実行: ダウンロードしたVSCodeUserSetup-x.y.z.exe(ユーザーインストーラー推奨)またはVSCodeSetup-x.y.z.exe(システムインストーラー)を実行します。
    4. セットアップウィザードを進める:
      • ライセンス契約を確認し、「同意する」を選択して「次へ」。
      • インストール先を指定(デフォルトで問題ありません)し、「次へ」。
      • スタートメニューフォルダを指定(デフォルトで問題ありません)し、「次へ」。
      • 追加タスクの選択画面で、以下の項目にチェックを入れることを推奨します。
        • 「デスクトップにアイコンを作成する」(任意)
        • 「Pathに追加する (要再起動)」: これにチェックを入れると、コマンドプロンプトなどからcode .コマンドでVS Codeを開けるようになり便利です。
        • 「エクスプローラーのファイルコンテキストメニューに [Codeで開く] を追加する」: ファイルを右クリックしてVS Codeで開けるようになります。
        • 「エクスプローラーのディレクトリコンテキストメニューに [Codeで開く] を追加する」: フォルダを右クリックしてVS Codeで開けるようになります。
      • 「次へ」をクリック。
      • 「インストール」をクリックしてインストールを開始します。
      • インストールが完了したら「完了」をクリックします。必要に応じて「Visual Studio Codeを実行する」にチェックを入れたまま完了させるとVS Codeが起動します。
  • 推奨されるVS Code拡張機能:
    VS Codeには、React開発を格段に効率化する拡張機能が多数存在します。VS Codeを起動し、左側のアクティビティバーにある拡張機能アイコン(四角が重なったようなアイコン)をクリックして検索・インストールしましょう。

    • ESLint: JavaScript/JSXのコードに潜在する問題やスタイルガイド違反を検出します。設定ファイル(.eslintrc.jsなど)に従ってコードをチェックし、エディタ上で警告やエラーを表示してくれます。
    • Prettier – Code formatter: コードのフォーマットを自動で行います。ESLintと連携させることで、コードのスタイルを統一し、可読性を向上させます。設定ファイル(.prettierrc.jsなど)に従って、保存時に自動でフォーマットするように設定するのが一般的です。
    • React Extension Pack: React開発に必要な複数の拡張機能(ES7 React/Redux/GraphQL/React-Native snippets、npm、JavaScript (ES6) code snippetsなど)をまとめてインストールできます。非常に便利です。
    • Auto Rename Tag: HTML/JSXタグの開始タグと終了タグを同時にリネームしてくれます。
    • Bracket Pair Colorizer (またはVS Code標準機能): 括弧のペアを色分け表示し、コードの構造を把握しやすくします(VS Codeのバージョンによっては標準機能として搭載されています)。
    • indent-rainbow: インデントレベルを色分けして表示し、コードの構造を視覚的に分かりやすくします。

    これらの拡張機能をインストールし、必要に応じて設定することで、より快適で効率的なReact開発環境が整います。

4. Gitのインストール

バージョン管理システムであるGitは、開発の履歴を記録し、チームでの開発を容易にするために必須のツールです。React開発に限らず、ソフトウェア開発全般で利用されます。

  • なぜ必要か:

    • バージョン管理: コードの変更履歴を追跡し、いつでも過去の状態に戻すことができます。
    • 共同開発: 複数の開発者が同じプロジェクトで作業する際に、変更内容を統合・管理できます。
    • バックアップ: リモートリポジトリ(GitHub, GitLab, Bitbucketなど)にコードを保存することで、ローカル環境のトラブルに備えられます。
    • ブランチ機能: 新機能開発やバグ修正などを main ブランチから隔離して行い、安全に開発を進められます。
  • インストール方法:
    Gitも公式サイトからインストーラーをダウンロードしてインストールするのが一般的です。

    1. Git公式サイトにアクセス: https://git-scm.com/download/win
    2. Windows版をダウンロード: 32-bitまたは64-bitインストーラーを選択します(現在のWindows 11はほとんどが64-bitです)。
    3. インストーラーを実行: ダウンロードした.exeファイルを実行します。
    4. セットアップウィザードを進める:
      • ライセンスを確認し、「Next」。
      • インストール先を指定(デフォルトで問題ありません)し、「Next」。
      • インストールするコンポーネントを選択(デフォルトで問題ありません。Git BashやGit GUIも含まれます)し、「Next」。
      • スタートメニューフォルダを指定(デフォルトで問題ありません)し、「Next」。
      • デフォルトのエディタを選択(VS Codeをインストール済みであれば、「Use Visual Studio Code as Git’s default editor」を選択するのが便利です)し、「Next」。
      • 新規リポジトリのデフォルトブランチ名を指定(「Let Git decide」または「main」など)し、「Next」。
      • PATH環境変数についての設定(「Git from the command line and also from 3rd-party software」を選択するのが推奨です。コマンドプロンプトやPowerShell、VS Codeの統合ターミナルからGitコマンドが使えるようになります)し、「Next」。
      • SSH実行ファイルについての設定(デフォルトのまま「Use bundled OpenSSH」で問題ありません)し、「Next」。
      • HTTPSトランスポートバックエンドについての設定(デフォルトのまま「Use the OpenSSL library」で問題ありません)し、「Next」。
      • 行末記号の変換についての設定(「Checkout Windows-style, commit Unix-style line endings」が推奨されます。WindowsとLinux/macOS間でファイルを共有する場合に互換性を保てます)し、「Next」。
      • ターミナルエミュレータについての設定(「Use MinTTY (the default terminal of MSYS2)」または「Use Windows’ default console window」を選択。WindowsのコマンドプロンプトやPowerShellを使う場合は後者、Git Bashを使う場合は前者が良いですが、ここではデフォルトのMinTTYで進めても問題ありません)し、「Next」。
      • git pullのデフォルト動作についての設定(デフォルトのまま「Default (fast-forward or merge)」で問題ありません)し、「Next」。
      • 資格情報ヘルパーについての設定(デフォルトのまま「Git Credential Manager」で問題ありません)し、「Next」。
      • その他のオプションについての設定(デフォルトで問題ありませんが、「Enable file system caching」などにチェックが入っているか確認)し、「Next」。
      • 実験的なオプションについての設定(通常はチェックを入れずに)し、「Install」をクリック。
      • インストールが完了したら「Finish」をクリックします。必要に応じて「Launch Git Bash」や「View Release Notes」のチェックは外しても構いません。
  • バージョンの確認:
    インストールが正常に完了したか確認するため、コマンドプロンプトまたはPowerShellを開き、以下のコマンドを実行します。

    bash
    git --version

    Gitのバージョンが表示されれば成功です。

    git version 2.43.0.windows.1 # Gitのバージョン (例)

  • 初期設定:
    Gitを使用する前に、ユーザー名とメールアドレスを設定しておきましょう。これはコミットの際に使用されます。

    bash
    git config --global user.name "あなたの名前"
    git config --global user.email "あなたのメールアドレス"

    設定が反映されたか確認するには、以下のコマンドを実行します。

    bash
    git config --global user.name
    git config --global user.email

5. WSL2の導入(オプション/推奨)

WSL (Windows Subsystem for Linux) は、Windows上でLinux環境を動作させるための機能です。WSL2はWSLの新しいバージョンで、仮想マシン技術を使用することでより高速かつ互換性の高いLinux環境を提供します。React開発自体はWindows環境でも可能ですが、WSL2上で開発することで多くのメリットがあります。

  • なぜ使うと良いか:

    • Linux開発環境との高い互換性: Web開発の世界ではLinux環境を前提としたツールやコマンドが多く存在します。WSL2を使うことで、これらのツールをネイティブに近いパフォーマンスで実行できます。
    • パフォーマンス向上: Node.jsのファイル操作など、一部の処理においてWSL2の方がWindowsネイティブよりもパフォーマンスが良い場合があります。
    • 環境の分離: Windows環境をクリーンに保ちつつ、開発に必要なツールやライブラリをLinux環境にインストールして管理できます。
    • Dockerなどの利用: WSL2はDocker Desktop for Windowsのバックエンドとしても利用されており、コンテナ技術を使った開発が容易になります。
  • インストール方法:
    Windows 11では、WSL2のインストールが非常に簡単になりました。

    1. コマンドプロンプトまたはPowerShellを管理者として実行: スタートメニューを右クリックし、「ターミナル (管理者)」または「Windows PowerShell (管理者)」を選択します。
    2. インストールコマンドを実行: 以下のコマンドを実行します。

      bash
      wsl --install

    3. 再起動: コマンド実行後、PCの再起動を求められる場合があります。案内に従ってPCを再起動してください。

    4. Linuxディストリビューションのセットアップ: 再起動後、自動的にデフォルトのLinuxディストリビューション(通常はUbuntu)のインストールが開始されます。画面の案内に従って、ユーザー名とパスワードを設定してください。
    5. WSL2のバージョンの確認: インストールが完了し、Linux環境にログインできたら、WindowsのコマンドプロンプトやPowerShellに戻り、以下のコマンドでWSLのバージョンを確認できます。

      bash
      wsl -l -v

      通常、インストールしたディストリビューション(例: Ubuntu)のバージョンが「2」になっていればWSL2として動作しています。

      NAME STATE VERSION
      * Ubuntu Running 2

    補足: WSL2上にNode.jsやGitをインストールする場合は、先ほどWindowsにインストールしたものではなく、改めてLinux環境内にインストールが必要です。Linux環境(Ubuntu)にログインし、以下のコマンドを実行します。

    “`bash

    パッケージリストの更新

    sudo apt update

    Node.jsとnpmのインストール (推奨版をインストールするための推奨手順)

    sudo apt install -y ca-certificates curl gnupg
    sudo mkdir -p /etc/apt/keyrings
    curl -fsSL https://deb.nodesource.com/gpgkey/nodesource-repo.gpg.key | sudo gpg –dearmor -o /etc/apt/keyrings/nodesource.gpg
    NODE_MAJOR=20 # インストールしたいNode.jsのメジャーバージョンを指定 (例: 20)
    echo “deb [signed-by=/etc/apt/keyrings/nodesource.gpg] https://deb.nodesource.com/node_$NODE_MAJOR.x nodistro main” | sudo tee /etc/apt/sources.list.d/nodesource.list
    sudo apt update
    sudo apt install -y nodejs

    Gitのインストール

    sudo apt update
    sudo apt install -y git

    バージョン確認

    node -v
    npm -v
    git –version
    “`

    WSL2上で開発を行う場合は、VS Codeの「Remote – WSL」拡張機能をインストールすることを推奨します。これにより、Windows上のVS CodeからWSL2内のファイルシステムにアクセスし、Linux環境で実行されるターミナルを利用して開発ができます。これは非常に強力な組み合わせです。VS Codeの拡張機能ビューで「Remote – WSL」を検索してインストールしてください。

    WSL2を使用する場合、以降のコマンドはWSL2のターミナル(Ubuntuなど)で実行することを前提とします。 Windowsネイティブ環境で開発する場合は、WindowsのコマンドプロンプトやPowerShell、またはVS Codeの統合ターミナルで実行してください。

6. 環境構築後の確認

これでReact開発に必要な主要なツールが揃いました。改めて以下のコマンドを実行し、それぞれのバージョンが表示されることを確認しましょう。

bash
node -v
npm -v
git --version
code -v # VS CodeがPATHに追加されていればバージョンが表示されます

これで、React開発を始める準備が整いました!

第2部:いざ、Reactプロジェクトを開始!

環境構築が完了したら、いよいよ最初のReactプロジェクトを作成してみましょう。

1. プロジェクト作成ツールの選択 (Viteの紹介)

Reactプロジェクトを開始する方法はいくつかあります。以前はcreate-react-app (CRA) が公式の推奨ツールでしたが、現在はメンテナンスモードに入っており、新しいプロジェクトにはより高速で軽量なビルドツールであるViteを使用することが推奨されています。

  • なぜViteが推奨されるか:
    • 超高速な開発サーバー: Native ESMを利用するため、コールドスタートが非常に速く、ファイルの変更に対するホットモジュールリプレイスメント (HMR) も高速です。
    • 高速なビルド: Rollupをベースにしており、本番環境用のビルドも高速です。
    • 軽量: CRAに比べてセットアップがシンプルで軽量です。
    • フレームワークにとらわれない: Reactだけでなく、Vue, Svelte, Vanilla JSなど様々なプロジェクトに対応しています。

この記事では、モダンなプロジェクト作成方法としてViteを使った方法を解説します。

2. Viteを使ったReactプロジェクトの作成

プロジェクトを作成したいフォルダに移動し、以下のコマンドを実行します。ここでは例としてmy-react-appという名前のプロジェクトを作成します。

  • Windowsネイティブの場合: コマンドプロンプトやPowerShellでフォルダ移動し、コマンドを実行。
  • WSL2の場合: WSL2のターミナル(Ubuntuなど)でフォルダ移動し、コマンドを実行。(Windows側のファイルシステムにアクセスしたい場合は/mnt/c/Users/YourUsername/Documents/などのパスを指定します)

“`bash

プロジェクトを作成したいディレクトリに移動

cd path/to/your/development/folder

Viteを使って新しいプロジェクトを作成

npm create vite@latest または npm init vite@latest

npm create vite@latest my-react-app –template react

または TypeScript を使う場合はこちら

npm create vite@latest my-react-app –template react-ts

“`

コマンドを実行すると、いくつか質問されます。

  1. Project name:: プロジェクト名を入力します。(my-react-appと指定したので、これはスキップされるかもしれません)
  2. Select a framework:: フレームワークを選択します。キーボードの矢印キーで移動し、「React」を選択してEnterキーを押します。
  3. Select a variant:: バリアント(JavaScriptまたはTypeScript)を選択します。ここでは「JavaScript」を選択します(TypeScriptを使いたい場合は「TypeScript」を選択してください)。

選択が終わると、指定したディレクトリ内にプロジェクトのひな形が作成されます。

次に、作成されたプロジェクトディレクトリに移動し、依存関係をインストールします。

“`bash

作成されたプロジェクトディレクトリに移動

cd my-react-app

依存関係をインストール

npm install
“`

npm installコマンドは、プロジェクトのpackage.jsonファイルに記述されている必要なライブラリ(React本体、ReactDOM、Vite、その他開発に必要なツールなど)をダウンロードし、node_modulesというフォルダに配置します。この処理には少し時間がかかる場合があります。

3. プロジェクトの基本構造を見てみよう

npm installが完了したら、VS Codeでプロジェクトを開いてみましょう。

  • Windowsネイティブの場合: プロジェクトディレクトリに移動し、コマンドプロンプトやPowerShellでcode .と入力してEnterキーを押します。
  • WSL2の場合: WSL2のターミナルでプロジェクトディレクトリに移動し、code .と入力してEnterキーを押します。VS Codeの「Remote – WSL」機能が働き、WSL2内のプロジェクトをWindows上のVS Codeで開くことができます。

プロジェクトを開くと、以下のようなファイル・フォルダ構成になっているはずです(一部省略)。

my-react-app/
├── node_modules/ # プロジェクトの依存関係がインストールされるフォルダ
├── public/ # 静的ファイル (favicon.icoなど) を配置するフォルダ
│ └── vite.svg
├── src/ # ソースコードを記述するフォルダ
│ ├── assets/ # 静的アセット (画像など)
│ │ └── react.svg
│ ├── App.css # Appコンポーネント用のCSS
│ ├── App.jsx # メインのAppコンポーネント (または .tsx for TypeScript)
│ ├── index.css # 全体的なスタイル
│ └── main.jsx # アプリケーションのエントリーポイント (ReactDOMのレンダリングを行う)
├── .gitignore # Gitがバージョン管理を無視するファイル・フォルダを指定
├── index.html # アプリケーションのエントリーポイントとなるHTMLファイル
├── package-lock.json # npmが依存関係の正確なバージョンを記録するファイル
├── package.json # プロジェクトの情報、依存関係、スクリプトなどを定義するファイル
└── vite.config.js # Viteの設定ファイル

  • index.html: アプリケーションの入り口となるHTMLファイルです。Viteが生成するビルド済みのJavaScriptファイルが読み込まれます。
  • src/main.jsx: アプリケーションの主要なエントリポイントです。ここでReactアプリケーションのルートコンポーネント(通常はApp)をDOMにマウントします。
  • src/App.jsx: アプリケーションのルートコンポーネントです。ここに基本的なUIが記述されています。
  • package.json: プロジェクト名、バージョン、依存関係(dependenciesdevDependencies)、実行可能なスクリプト(scripts)などが定義されています。開発サーバーの起動やビルドなどのコマンドは、ここで定義されているスクリプト名を使って実行します。

4. 開発サーバーを起動してみよう

プロジェクトの準備ができたので、開発サーバーを起動してブラウザでアプリケーションを見てみましょう。

VS Codeの統合ターミナル(Ctrl+` キーで開けます)または別途開いたコマンドプロンプト/PowerShell/WSL2ターミナルで、プロジェクトディレクトリにいることを確認し、以下のコマンドを実行します。

bash
npm run dev

このコマンドは、package.jsonscriptsセクションに定義されているdevスクリプトを実行します。Viteはデフォルトでこのスクリプトを持っており、開発サーバーを起動するコマンドが設定されています。

サーバーが起動すると、以下のようなメッセージが表示されます。

“`

[email protected] dev
vite

VITE v4.5.2 ready in 301 ms

➜ Local: http://127.0.0.1:5173/
➜ Network: use –host to expose
➜ press h + enter to show help
“`

Local:の後ろに表示されているURLが、開発サーバーのアドレスです。デフォルトではhttp://localhost:5173/またはhttp://127.0.0.1:5173/のようなアドレスになります。

5. ブラウザで確認

開発サーバーのアドレス(例: http://localhost:5173/)をWebブラウザのアドレスバーに入力してアクセスしてみてください。

ReactとViteのロゴが表示された、シンプルなサンプルアプリケーションが表示されるはずです。これで、あなたのReact開発環境は正常に動作しています!

開発サーバーは、ファイルを編集して保存すると自動的にブラウザの表示を更新(ホットモジュールリプレイスメント)してくれます。VS Codeでsrc/App.jsxファイルを開き、適当なテキストを変更して保存してみてください。ブラウザの表示が即座に更新されるのが確認できるはずです。これが開発サーバーの便利な機能の一つです。

開発サーバーを停止するには、ターミナルでCtrl+Cを押します。

第3部:Reactの基本の「キ」

環境構築とプロジェクトの起動ができたところで、Reactの基本的な概念について少し触れておきましょう。これらの基本を理解することが、今後の開発を進める上で非常に重要です。

1. コンポーネントとは

React開発の中心となるのは「コンポーネント」です。コンポーネントはUIを構成する独立した再利用可能な部品であり、HTML、CSS、JavaScriptを組み合わせたものです。ウェブサイトやアプリケーションのUIは、これらのコンポーネントを組み合わせて構築されます。

例えば、ウェブサイトのヘッダー、ボタン、ナビゲーションメニュー、ブログ記事などはそれぞれ独立したコンポーネントとして考えることができます。

Reactには主に「関数コンポーネント」と「クラスコンポーネント」がありますが、現在は関数コンポーネントと「Hooks (フック)」を使うのが主流です。Viteで作成したプロジェクトのApp.jsxも関数コンポーネントです。

“`jsx
// src/App.jsx
import { useState } from ‘react’
import reactLogo from ‘./assets/react.svg’
import viteLogo from ‘/vite.svg’
import ‘./App.css’

// これは関数コンポーネントです
function App() {
// State (状態) を扱うためのHooks
const [count, setCount] = useState(0)

// この関数が返すJSXが画面に表示されます
return (
<> {/ フラグメントと呼ばれる、複数の要素を返すための記法 /}

Vite + React

{/ ボタン要素。onClickイベントにイベントハンドラ関数を指定 /}

Edit src/App.jsx and save to test HMR

Click on the Vite and React logos to learn more

)
}

// このコンポーネントを他の場所で使えるようにエクスポート
export default App
“`

関数コンポーネントは、JavaScriptの関数として定義され、画面に表示したいUIをJSXという形式で返します。

2. JSXってなに?

JSX (JavaScript XML) は、JavaScriptの構文を拡張したもので、JavaScriptコードの中にXML/HTMLのようなタグを記述できるようにしたものです。Reactでは、このJSXを使ってコンポーネントのUI構造を定義します。

jsx
const element = <h1>Hello, world!</h1>;

これはHTMLのように見えますが、JavaScriptコードの中に書かれています。JSXはブラウザが直接理解できるものではなく、ビルドプロセスで通常のJavaScriptに変換されます。

JSXのルール:

  • 要素は必ず閉じる: <br>のように単一のタグでも、必ず<br />のようにスラッシュで閉じます。
  • 一つの要素でラップする: コンポーネントが複数のルート要素を返す場合は、<>(フラグメント)や<div>などの単一の親要素でラップする必要があります。
  • JavaScript式を埋め込む: 中括弧 {} を使うことで、JSXの中にJavaScriptの変数や式を埋め込むことができます。上記の例の{count}{() => setCount(...)がこれにあたります。
  • 属性: HTML属性に似ていますが、いくつか違いがあります。例えば、classはJavaScriptの予約語なのでclassNameを使います。forも予約語なのでhtmlForを使います。スタイルを直接指定する場合は、文字列ではなくJavaScriptのオブジェクトを使います(例: style={{ color: 'red', fontSize: '16px' }})。

3. PropsとState (useStateフック)

Reactコンポーネントは、「Props」と「State」という二種類のデータを使って動的なUIを表現します。

  • Props (プロパティ):

    • 親コンポーネントから子コンポーネントへデータを受け渡すためのものです。
    • Propsはコンポーネントにとって読み取り専用であり、子コンポーネントは受け取ったPropsを直接変更することはできません。
    • 関数コンポーネントでは、関数の引数としてPropsを受け取ります。

    “`jsx
    // 子コンポーネント (Button.jsx)
    function Button(props) {
    return (

    );
    }

    // 親コンポーネント (App.jsxなど)
    function App() {
    const handleClick = () => {
    alert(‘ボタンがクリックされました!’);
    };

    return (

    {/ 子コンポーネントにPropsとしてデータを渡す /}

    );
    }
    “`

  • State (状態):

    • コンポーネント自身が持つ、時間とともに変化するデータです。
    • Stateが変更されると、そのコンポーネントおよびその子コンポーネントが再レンダリングされ、画面表示が更新されます。
    • 関数コンポーネントでは、useStateというHooksを使ってStateを扱います。

    useStateフックは、State変数と、そのStateを更新するための関数を配列として返します。

    “`jsx
    import { useState } from ‘react’;

    function Counter() {
    // State変数の宣言: count は現在の値、setCount は値を更新する関数
    // useState(0) の 0 は count の初期値
    const [count, setCount] = useState(0);

    const handleClick = () => {
    // setCount関数を呼び出して State を更新
    setCount(count + 1);
    };

    return (

    現在のカウント: {count}

    );
    }
    “`

    App.jsxのカウンターの例がまさにこれです。ボタンがクリックされるたびにsetCountが呼ばれ、countのStateが更新され、コンポーネントが再レンダリングされて画面上のカウント表示が新しくなります。

4. イベントハンドリング

Reactでのイベントハンドリングは、HTMLのイベントに似ていますが、キャメルケースで記述したり、イベントハンドラとして関数そのものを渡したりする点が異なります。

jsx
<button onClick={handleClick}>
ボタン
</button>

上記の例では、ボタンがクリックされたときにhandleClickという関数が実行されます。インラインで無名関数を記述することもよくあります。

jsx
<button onClick={() => alert('クリックされた!')}>
インラインイベントハンドラ
</button>

5. コンポーネント間のデータフロー

Reactのデータフローは基本的に「一方通行」です。データは親コンポーネントから子コンポーネントへPropsとして渡されます。子コンポーネントはPropsを通じて親のデータを参照できますが、直接変更することはできません。

子コンポーネントから親コンポーネントに何かを伝えたい場合(例: 子コンポーネント内のボタンがクリックされたことを親に知らせたい)、親コンポーネントで関数を定義し、その関数をPropsとして子に渡します。子は受け取った関数を適切なタイミングで呼び出すことで、親のStateを更新したり、親側で定義された処理を実行したりできます。

“`jsx
// 子コンポーネント (Child.jsx)
function Child(props) {
return (

);
}

// 親コンポーネント (Parent.jsx)
import { useState } from ‘react’;
import Child from ‘./Child’;

function Parent() {
const [message, setMessage] = useState(‘初期メッセージ’);

// 子からの通知を受け取る関数
const handleChildButtonClick = () => {
setMessage(‘子ボタンがクリックされました!’);
};

return (

{message}

{/ 子にState更新用の関数をPropsとして渡す /}

);
}
“`

この一方通行のデータフローは、アプリケーションの状態管理を理解しやすくし、デバッグを容易にします。

第4部:快適開発のためのツールとテクニック

環境構築と基本的なReactの概念を理解したら、開発体験をさらに向上させるためのツールやテクニックを見ていきましょう。

1. VS Code拡張機能の活用

第1部で紹介した拡張機能は、快適なReact開発に不可欠です。改めてその重要性と使い方を補足します。

  • ESLint:
    コードを書いているそばから問題点を指摘してくれます。波線や赤線でエラーや警告が表示されるので、それに従ってコードを修正することで、バグの早期発見やコード品質の維持につながります。プロジェクトごとに.eslintrc.jsなどの設定ファイルを用意し、チームのコーディング規約や推奨されるReactのプラクティス(例: eslint-plugin-react, eslint-plugin-react-hooks)を適用するのが一般的です。

  • Prettier:
    コードのフォーマットを統一します。スペースの数、改行位置、引用符の種類などを自動で整形してくれるため、コードの見た目が常にきれいに保たれます。VS Codeの設定で「保存時にフォーマット」を有効にしておくと、ファイルを保存するたびに自動的にPrettierが実行され、非常に便利です。ESLintとPrettierを連携させるための設定も行うことが多いです(eslint-config-prettier, eslint-plugin-prettierなど)。

  • React Extension Pack:
    これには、よく使われるReactコンポーネントのコードスニペット(例えば、rfcと入力してTabキーを押すと関数コンポーネントのひな形が生成される)などが含まれています。これにより、記述量を減らし、タイピングミスを防ぐことができます。

これらのツールを適切に設定・活用することで、コーディングにかかる時間を短縮し、より本質的なロジックの実装に集中できるようになります。

2. デバッグ方法

バグは開発につきものです。VS Codeを使った効率的なデバッグ方法を習得しましょう。

  • console.log:
    最も基本的なデバッグ方法です。変数の中身や特定のコードが実行されているかなどを確認するために、console.log()を使ってコンソールに出力します。

    “`jsx
    function MyComponent(props) {
    console.log(‘props:’, props); // propsの中身を確認
    const [data, setData] = useState(null);

    useEffect(() => {
    fetch(‘/api/data’)
    .then(response => response.json())
    .then(result => {
    console.log(‘Fetched data:’, result); // フェッチしたデータを確認
    setData(result);
    });
    }, []); // 空の配列はコンポーネントマウント時に一度だけ実行されることを意味

    return (

    {data ?

    Data: {data.value}

    :

    Loading…

    }

    );
    }
    “`
    開発サーバーを起動しているターミナルや、ブラウザの開発者ツール(F12キーで開く)のConsoleタブにログが出力されます。

  • ブラウザの開発者ツール:
    ブラウザの開発者ツールは強力なデバッグツールです。

    • Elementsタブ: レンダリングされたHTML構造を確認できます。
    • Consoleタブ: console.logの出力やJavaScriptのエラーが表示されます。
    • Sourcesタブ: ソースコードを確認し、ブレークポイントを設定してコードの実行を一時停止させたり、変数の値をステップ実行で確認したりできます。VS Codeで開いているソースコードとブラウザが読み込んでいるコードがMappingされているため、VS Codeで書いたコードを見ながらデバッグできます。
    • Components / Profilerタブ (React Developer Tools拡張機能): Reactの開発者ツール拡張機能をインストールすると、コンポーネントツリーの確認、各コンポーネントのPropsとStateの確認・編集、再レンダリングのタイミングやパフォーマンスのプロファイルなどが可能になります。これはReact開発において非常に役立ちます。ChromeウェブストアやFirefox Add-onsから「React Developer Tools」を検索してインストールしましょう。
  • VS Codeのデバッグ機能:
    VS Codeには強力なJavaScriptデバッグ機能が組み込まれています。

    1. VS Codeの左側のアクティビティバーにあるデバッグアイコン(虫のマーク)をクリックします。
    2. 「実行とデバッグ」ボタンをクリックします。
    3. 「環境を選択」で「Web App (Chrome)」や「Edge」などを選択します(必要な拡張機能のインストールを促される場合があります)。
    4. launch.jsonファイルが生成され、デバッグ構成が設定されます。開発サーバーのアドレスが正しく設定されているか確認してください(通常はhttp://localhost:5173など)。
    5. デバッグしたいコードの行番号の左側をクリックすると、赤い丸が表示され、ブレークポイントが設定されます。
    6. デバッグビューの上部にある緑色の再生ボタンをクリックしてデバッグを開始します。指定したブラウザが開き、設定したブレークポイントでコードの実行が一時停止します。
    7. 一時停止中に、ローカル変数や監視式(ウォッチ)で変数の値を確認したり、ステップオーバー、ステップイン、ステップアウトなどの操作でコードを一行ずつ実行したりできます。

VS Codeとブラウザの開発者ツール、特にReact Developer Toolsを組み合わせることで、効率的に問題を特定し、修正することができます。

3. コードフォーマットとリンティング

第1部で触れたESLintとPrettierの設定は、快適な開発体験のために非常に重要です。

  • 設定ファイルの作成: プロジェクトのルートディレクトリに.eslintrc.js.prettierrc.jsといった設定ファイルを作成します。これらのファイルで、コードのスタイルやチェックしたいルールを定義します。Viteでプロジェクトを作成した場合、初期設定は含まれていないため、必要に応じて手動で設定を追加する必要があります。

    “`bash

    ESLintをインストール (Viteプロジェクトの場合)

    npm install –save-dev eslint eslint-plugin-react eslint-plugin-react-hooks eslint-plugin-jsx-a11y eslint-config-airbnb eslint-config-prettier eslint-plugin-prettier @typescript-eslint/eslint-plugin @typescript-eslint/parser

    .eslintrc.js の例 (設定はプロジェクトやチームの規約による)

    module.exports = {
    env: {
    browser: true,
    es2021: true,
    },
    extends: [
    ‘eslint:recommended’,
    ‘plugin:react/recommended’,
    ‘plugin:react-hooks/recommended’,
    ‘plugin:jsx-a11y/recommended’,
    ‘airbnb’,
    ‘prettier’, // Prettierとの競合を防ぐ設定
    ‘plugin:prettier/recommended’, // PrettierのルールをESLintに組み込む
    ],
    parserOptions: {
    ecmaFeatures: {
    jsx: true,
    },
    ecmaVersion: 12,
    sourceType: ‘module’,
    },
    plugins: [
    ‘react’,
    ‘react-hooks’,
    ‘jsx-a11y’,
    ‘prettier’,
    ],
    rules: {
    ‘react/react-in-jsx-scope’: ‘off’, // 新しいReactではimport不要なためオフ
    ‘react/jsx-filename-extension’: [1, { extensions: [‘.js’, ‘.jsx’] }], // JSXを使うファイルの拡張子
    ‘react/prop-types’: ‘off’, // TypeScriptを使う場合は不要なのでオフ
    ‘no-unused-vars’: ‘warn’, // 使っていない変数は警告
    ‘prettier/prettier’: ‘error’, // Prettier違反はエラー
    // その他、チームやプロジェクトのルールを追加
    },
    settings: {
    react: {
    version: ‘detect’, // インストールされているReactのバージョンを自動検出
    },
    },
    };

    Prettierをインストール

    npm install –save-dev prettier eslint-config-prettier eslint-plugin-prettier

    .prettierrc.js の例

    module.exports = {
    semi: true, // ステートメントの終わりにセミコロンをつける
    trailingComma: ‘all’, // 末尾のカンマをすべてにつける
    singleQuote: true, // シングルクォートを使う
    printWidth: 80, // 一行の最大幅
    tabWidth: 2, // インデントのスペース数
    jsxSingleQuote: false, // JSX内ではダブルクォートを使う
    };
    “`
    上記の設定例はあくまで一例であり、プロジェクトの要件やチームの規約に合わせて調整が必要です。また、TypeScriptを使う場合はTypeScript用の設定も必要になります。

  • VS Code設定: VS Codeの設定 (settings.json) で、保存時に自動的にコードをフォーマットするように設定します。

    json
    {
    "editor.defaultFormatter": "esbenp.prettier-vscode", // デフォルトのフォーマッターとしてPrettierを指定
    "editor.formatOnSave": true, // ファイル保存時にフォーマットを実行
    "[javascriptreact]": {
    "editor.defaultFormatter": "esbenp.prettier-vscode"
    },
    "[typescriptreact]": {
    "editor.defaultFormatter": "esbenp.prettier-vscode"
    },
    // ESLintの設定 (VS Code拡張機能側で行うことも多い)
    "eslint.validate": [
    "javascript",
    "javascriptreact",
    "typescript",
    "typescriptreact"
    ]
    }

これにより、コードを保存するたびにESLintによるチェックとPrettierによる整形が自動的に行われ、常にクリーンで統一されたコードを維持できます。

第5部:アプリケーションのビルドとデプロイ

開発を進めてアプリケーションが完成したら、それをインターネット上に公開する必要があります。Reactアプリケーションは、ブラウザが直接実行できる静的なファイル群としてビルドし、Webサーバーに配置することで公開できます。

1. 本番環境へのビルド

Viteを使ったプロジェクトでは、以下のコマンドで本番環境用のビルドを行うことができます。

bash
npm run build

このコマンドは、package.jsonscriptsセクションに定義されているbuildスクリプトを実行します。Viteはデフォルトでこのスクリプトを持っており、Rollupを使ってソースコードを最適化された静的なファイル群にバンドルします。

ビルドが完了すると、プロジェクトのルートディレクトリにdistというフォルダが生成されます。このdistフォルダには、HTML、CSS、JavaScriptファイルなどが含まれており、これらがWebサーバーに配置すべき静的なファイル群です。ファイル名は最適化のためにハッシュ値が付加されるなど、開発環境とは異なる形式になります。

2. 簡単なデプロイ方法の紹介

ビルドされた静的なファイル群をインターネット上に公開する方法はいくつかあります。静的サイトホスティングサービスを利用するのが手軽で一般的です。

  • Netlify: Gitリポジトリと連携して、プッシュするたびに自動的にビルド・デプロイを行ってくれます。静的サイトのホスティングに特化しており、非常に簡単に設定できます。無料プランもあります。
  • Vercel: Next.jsの開発元が提供するホスティングサービスですが、Reactを含め様々なフレームワークの静的サイトをホストできます。Netlifyと同様にGit連携が強力で、無料プランがあります。
  • GitHub Pages: GitHubリポジトリにdocsフォルダやgh-pagesブランチを作成し、ビルド済みのファイルを配置することで静的サイトとして公開できます。シンプルなプロジェクトに適しています。
  • Firebase Hosting: Googleが提供するサービスで、静的サイトのホスティング機能も強力です。無料枠があります。
  • AWS S3 + CloudFront: Amazon Web Services (AWS) を利用する方法です。S3に静的ファイルを置き、CloudFrontでキャッシュやCDN(Contents Delivery Network)を利用することで、高速かつ安定した配信が可能になります。ある程度のAWSの知識が必要です。

これらのサービスを利用すれば、ビルド済みのdistフォルダの中身をアップロードするだけで、Reactアプリケーションを世界中に公開できます。具体的なデプロイ手順は各サービスのドキュメントを参照してください。

第6部:トラブルシューティング

開発中に発生しうる一般的な問題と、その解決策について解説します。

  • コマンドが見つからない(command not found:

    • 原因: インストールしたツールの実行ファイルへのパスが、システムの環境変数PATHに正しく設定されていない可能性があります。または、インストール自体が失敗しているか、実行しているターミナルを再起動していない可能性があります。
    • 解決策:
      • Node.jsやGitをインストールする際に「Add to PATH」のようなオプションにチェックを入れたか確認します。入れていない場合は、再インストールするか、手動で環境変数にパスを追加します。
      • インストーラーによっては、ターミナルを再起動しないとPATHの変更が反映されないことがあります。ターミナルを一度閉じて開き直してみてください。
      • WSL2を使っている場合、Windows側のコマンドとWSL2側のコマンドを混同している可能性があります。WSL2上で実行する場合はWSL2内にインストールしたコマンドが使われます。
  • 依存関係のインストールエラー(npm installが失敗する):

    • 原因: ネットワークの問題、npmレジストリへのアクセス問題、Node.jsやnpmのバージョンが古すぎる/新しすぎる、一部のネイティブモジュール (node-gypなど) のビルドに必要な環境が不足している、ディスク容量不足など。
    • 解決策:
      • インターネット接続を確認します。
      • npm installを再度実行してみます。キャッシュの問題であれば解決することがあります。npm cache clean --forceを実行してから再度試すのも有効です。
      • Node.jsとnpmのバージョンが、プロジェクトの要件や使用しているライブラリと互換性があるか確認します。必要であればNode.jsのバージョンを更新します。
      • Windows環境で特定のネイティブモジュールのビルドに失敗する場合、Windows向けビルドツールのインストールが必要になることがあります。管理者権限でPowerShellを開き、npm install -g windows-build-tools(古い情報かもしれません、現在はnpm install --global --production windows-build-tools または Visual Studio Build Tools のインストールが推奨される場合が多いです)を実行します。
      • ディスク容量を確認します。
      • エラーメッセージをよく読み、具体的な原因(ファイルが見つからない、パーミッションエラーなど)を特定します。
  • 開発サーバーが起動しない、またはブラウザで表示されない:

    • 原因: ポートが他のプロセスで使用されている、プロジェクトディレクトリを間違えている、依存関係のインストールが完了していない、コードに構文エラーがあるなど。
    • 解決策:
      • ターミナルに表示されるエラーメッセージを確認します。構文エラーの場合はファイル名や行番号が表示されます。
      • 開発サーバーが使用しようとしているポート(デフォルトはViteの場合5173)が他のプロセスで使われていないか確認します。使用されている場合は、開発サーバーの起動コマンドにポート番号を指定するオプションを追加するか、他のプロセスを終了させます。
      • npm run devコマンドをプロジェクトのルートディレクトリで実行しているか確認します。
      • node_modulesフォルダが存在し、依存関係が正しくインストールされているか確認します。もし問題があればnpm installを再度実行します。
      • VS Codeの統合ターミナルを使っている場合は、新しいターミナルを開いて試してみるのも有効です。
  • ブラウザの表示が更新されない(ホットリロードが効かない):

    • 原因: ファイルシステム監視の問題(特にネットワークドライブやWSL1)、Viteの設定問題、ブラウザ側の問題。
    • 解決策:
      • 開発サーバーを一度停止し、再起動してみます。
      • ブラウザをリロードしてみます。
      • VS Codeや使用しているターミナルを管理者権限で実行してみると解決することがあります(パーミッションの問題の場合)。
      • WSL1を使用している場合は、WSL2にアップグレードすることでファイルシステム監視のパフォーマンスが向上する可能性があります。
      • Viteの設定ファイル(vite.config.js)でファイル監視に関する設定(server.watchなど)を確認します。
  • VS CodeでESLintやPrettierが動作しない:

    • 原因: 拡張機能がインストールされていない、拡張機能が有効になっていない、プロジェクトに設定ファイル(.eslintrc.js, .prettierrc.jsなど)がない、VS Codeの設定でフォーマットやリンティングが有効になっていない、依存関係(ESLint, Prettier本体)がプロジェクトにインストールされていない。
    • 解決策:
      • VS Code拡張機能リストでESLintとPrettierがインストールされ、有効になっていることを確認します。
      • プロジェクトのルートディレクトリにESLintとPrettierの設定ファイルが正しく配置されているか確認します。
      • package.jsondevDependencieseslintprettier、および関連プラグインが記述されているか確認し、npm installを実行してインストールされているか確認します。
      • VS Codeの設定 (settings.json) でeditor.formatOnSaveeditor.defaultFormattereslint.validateなどが正しく設定されているか確認します。
      • VS Codeの出力パネル(View > Output)を開き、ドロップダウンから「ESLint」や「Log (Extension Host)」などを選択して、エラーメッセージが出ていないか確認します。

これらのトラブルシューティングのヒントは一般的なものですが、開発中に遭遇するエラーは多岐にわたります。エラーメッセージを正確に読み取り、検索エンジン(Googleなど)でエラーメッセージを検索することが、解決への近道です。Stack OverflowやGitHubのIssueなども参考になります。

第7部:次のステップへ

基本的なReact開発環境の構築とプロジェクトの開始、そしてReactの基本を学びました。ここからは、より複雑なアプリケーション開発に進むために学習すべき主要なトピックを紹介します。

  • ルーティング (React Router):
    単一ページアプリケーション (SPA) では、ページ遷移のように見える画面の切り替えをJavaScriptで行います。これを「クライアントサイドルーティング」と呼びます。Reactでルーティングを実装するためのデファクトスタンダードは「React Router」ライブラリです。インストールして使い方を学ぶことで、複数のページを持つアプリケーションを作成できるようになります。
    bash
    npm install react-router-dom

  • 状態管理 (Context API, Redux, Zustandなど):
    アプリケーションが複雑になるにつれて、コンポーネント間でStateを共有したり、アプリケーション全体の状態を管理したりする必要が出てきます。

    • Context API: Reactに組み込まれている機能で、Propsバケツリレーを防ぎ、複数のコンポーネントにデータを効率的に渡すことができます。比較的シンプルな状態管理に適しています。
    • Redux: 大規模なアプリケーションでよく利用される状態管理ライブラリです。集中型のストアで状態を管理し、厳格なルールに基づいて状態を更新します。学習コストは少し高いですが、予測可能な状態管理が可能です。Redux Toolkitを使うと、より簡単に記述できます。
    • Zustand, Jotai, Recoil: 近年登場した、よりシンプルでモダンな状態管理ライブラリです。Reduxよりも軽量で直感的に記述できるものが多いです。
  • TypeScript:
    JavaScriptに静的型付けを加えることで、開発中のエラー発見やコードの保守性を向上させます。React開発でもTypeScriptの採用が広く進んでいます。Viteプロジェクト作成時にTypeScriptテンプレートを選択することで簡単に導入できます。既存プロジェクトに導入することも可能です。

  • UIライブラリ:
    アプリケーションの見た目を整えるために、ゼロからCSSを書く代わりに、既存のUIコンポーネントライブラリを利用することがよくあります。これにより開発時間を短縮し、デザインの一貫性を保つことができます。

    • Material UI: GoogleのMaterial Designに基づいたコンポーネント集。
    • Chakra UI: アクセシビリティに配慮された、カスタマイズ性の高いコンポーネント集。
    • Ant Design: エンタープライズ向けの豊富なコンポーネントを持つライブラリ。
    • Tailwind CSS: ユーティリティファーストのCSSフレームワーク。コンポーネントというよりは、CSSクラスの集まりです。
  • テスト:
    アプリケーションの品質を保証するために、コードのテストは重要です。Reactコンポーネントのテストには、Testing LibraryやJestといったライブラリがよく使われます。

  • サーバーサイドレンダリング (SSR) / 静的サイト生成 (SSG):
    SPAは初回表示が遅くなることやSEOに不利な場合があります。これを解決するために、サーバーサイドでReactコンポーネントをレンダリングしたり、ビルド時に静的なHTMLを生成したりする技術があります。Next.jsやRemixといったフレームワークは、これらの機能を簡単に導入できるようになっています。これらのフレームワークはReactの学習をある程度進めてから学ぶのが良いでしょう。

これらのトピックを順次学んでいくことで、より高度なReactアプリケーションを開発できるようになります。

まとめ

本記事では、Windows 11で快適にReact開発を始めるための環境構築から、Viteを使ったプロジェクトの作成、Reactの基本的な概念、そして開発を効率化するツールやデバッグ方法について詳しく解説しました。

  1. Node.jsとnpm: React開発の基盤となるJavaScript実行環境とパッケージマネージャーをインストールしました。
  2. Visual Studio Code: コードエディタとしてVS Codeを導入し、React開発に便利な拡張機能を設定しました。
  3. Git: バージョン管理システムであるGitをインストールし、基本的な設定を行いました。
  4. WSL2 (オプション): Windows上でLinux環境を利用できるWSL2の導入方法を解説しました。
  5. Vite: 高速なReactプロジェクト作成ツールであるViteを使って、最初のプロジェクトを作成し、開発サーバーを起動しました。
  6. Reactの基本: コンポーネント、JSX、Props、StateといったReactのコア概念について触れました。
  7. 開発フロー: 開発サーバーの利用、VS Codeでのデバッグ、ESLint/Prettierによるコード品質管理について学びました。
  8. ビルドとデプロイ: アプリケーションを公開するためのビルド方法と、主要なホスティングサービスについて紹介しました。
  9. トラブルシューティング: よくある問題とその解決策について解説しました。
  10. 次のステップ: より高度なReact開発に進むための学習テーマを紹介しました。

Windows 11は、WSL2の進化もあり、ReactをはじめとするモダンなWeb開発を快適に行える非常に優れたプラットフォームとなっています。この記事が、あなたのReact開発の第一歩を踏み出す助けになれば幸いです。

環境構築は開発の始まりにすぎません。ここからが本番です。実際に手を動かし、様々な機能を持つコンポーネントを作成し、アプリケーションを構築していく中で、Reactの楽しさと奥深さを体感してください。

学習の過程で壁にぶつかることもあるかと思いますが、諦めずにエラーと向き合い、公式ドキュメントやコミュニティのリソースを活用しながら解決策を探求していきましょう。

さあ、Win11であなたのアイデアをReactで形にしてください!応援しています!

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