XserverでMinecraftサーバーを立てる方法【初心者向け】
「友達と一緒に自分だけの世界で遊びたい!」「もっと自由にMinecraftを楽しみたい!」
そんな願いを叶えるために、Minecraftのマルチプレイヤーサーバーを自分で立ててみませんか?サーバーを立てることで、いつでも好きな時間に、決まったメンバーと、独自のルールで遊ぶことができます。
「でも、サーバーって難しそう…」「専門知識が必要なんじゃないの?」
そう思われる方もいるかもしれません。確かに、サーバーの種類はたくさんありますし、設定も様々です。しかし、レンタルサーバーサービスを使えば、専門的なサーバー構築知識がなくても、比較的簡単にMinecraftサーバーを立ち上げることができます。
この記事では、国内で多くの利用者に支持されているレンタルサーバー「Xserver(エックスサーバー)」を利用して、Minecraftサーバーを立てる方法を、全くの初心者の方でも理解できるように、一つ一つ丁寧に解説していきます。この記事を最後まで読めば、あなたも自分のMinecraftサーバーを立ち上げ、友達を招待して遊べるようになるはずです。
さあ、あなただけのMinecraft世界の扉を開きましょう!
1. はじめに:Minecraftサーバーとは? なぜXserverを選ぶのか?
1.1 Minecraftサーバーとは?
Minecraftは通常、一人で遊ぶ「シングルプレイヤー」か、Mojang Studiosが提供する「Minecraft Realms」や他の誰かが立てた「マルチプレイヤーサーバー」で遊びます。
「マルチプレイヤーサーバー」は、インターネットを通じて複数のプレイヤーが同時に同じワールドで遊ぶための基盤となるプログラムです。このサーバープログラムを動かすコンピューター(サーバーマシン)が必要になります。
自分でサーバーを立てるメリットは以下の通りです。
- 自由な設定: ゲームモード、難易度、参加できるプレイヤーなどを自由に設定できます。
- 独自ルールの導入: コマンドブロックやデータパック、さらにはModやプラグインを導入して、ゲーム内容を大きく変更できます。
- いつでもアクセス可能: サーバーマシンが起動していれば、いつでもアクセスして遊べます(自分で自宅のPCをサーバーにすると、そのPCを常に起動しておく必要があります)。
- 友達との共有: 特定の友達だけを招待して、プライベートなワールドで遊べます。
1.2 なぜXserverを選ぶのか?
Minecraftサーバーを立てる方法はいくつかありますが、今回は「Xserver」を利用します。Xserverはウェブサイトの公開などでよく使われるレンタルサーバーですが、安定したサーバー環境と高い性能を持っているため、Minecraftサーバーを動かすのにも適しています。
Xserverを選ぶメリットは以下の点が挙げられます。
- 安定性と高性能: 国内大手ならではの高品質なサーバー環境が提供されており、比較的安定してMinecraftサーバーを稼働させることができます。特に、ゲームサーバーで重要となるCPU性能とメモリ容量が、ウェブサイト用途のレンタルサーバーとしては比較的高めに設定されています。
- 手軽さ: サーバーマシンの購入やOSのインストール、ネットワーク設定といった複雑な作業が不要です。契約後、すぐに利用開始できます。
- コストパフォーマンス: 専用のゲームサーバーレンタルサービスと比較して、比較的安価に利用できる場合があります。
- サポート体制: 日本語でのサポートが充実しているため、困ったときに質問しやすいです。
- SSH接続が可能: Minecraftサーバーの管理に必須となるSSH接続が標準で提供されています。これにより、コマンドラインでの操作が可能になります。
- 高い稼働率: 安定したインフラにより、サーバーが予期せず停止するリスクが低いとされています。
一方で、Xserverはウェブサイト公開用のレンタルサーバーであるため、Minecraftサーバーに特化した機能(ワンクリックインストール、管理画面からの簡単な設定変更など)は基本的にありません。すべてコマンドライン(CUI)での操作が必要になります。しかし、この記事ではそのコマンド操作も含めて丁寧に解説しますので、ご安心ください。
1.3 この記事を読むことで何ができるようになるか
この記事の手順通りに進めれば、あなたは以下のことができるようになります。
- Xserverを契約し、Minecraftサーバーを動かすための環境を準備する。
- Minecraftサーバーのプログラムをダウンロードし、Xserverにアップロードする。
- SSH接続を利用して、サーバーを起動・停止・管理する。
- サーバーの設定(参加人数、難易度など)を変更する。
- 自分のMinecraftクライアントから立てたサーバーに接続する。
1.4 対象読者
- Minecraftが好きで、マルチプレイヤーをもっと楽しみたい方
- プログラミングやネットワークの専門知識はほとんどない、または全くない方
- コマンドライン操作に少し抵抗があるかもしれないが、新しいことに挑戦したい方
- Xserverを契約する予定がある、または既に契約している方
1.5 必要なもの
この記事の手順を進めるにあたって、以下のものが必要です。
- Minecraft Java版の製品版: サーバーに接続するために必要です。
- インターネットに接続されたパソコン: Windows、macOS、Linuxなど、どのOSでも構いません。
- 安定したインターネット環境: サーバーへの接続やファイルのアップロード/ダウンロードに必要です。
- Xserverのアカウントと契約: これから契約する方は、次の章を参考にしてください。既に契約済みの方は、アカウント情報(サーバーID、パスワードなど)を手元に用意しておきましょう。
2. Xserverのプラン選定
Xserverには複数の料金プランがあります。Minecraftサーバーとして利用する場合、どのプランを選べば良いでしょうか?
2.1 プランによる違い
Xserverのプランは主に「スタンダード」「プレミアム」「ビジネス」などがあり、それぞれ料金、ディスク容量、CPU、メモリなどが異なります。(時期によってプラン名や内容は変動する場合がありますので、必ず公式サイトで最新情報を確認してください。)
Minecraftサーバーの快適さは、主にCPU性能とメモリ容量に依存します。
- CPU性能: サーバーがワールドの計算やプレイヤーの行動処理など、様々な計算を行います。CPU性能が高いほど、多くの処理をスムーズに行えます。
- メモリ容量 (RAM): サーバーがワールドデータやプレイヤー情報を一時的に保持するために使用します。メモリ容量が大きいほど、多くのプレイヤーが同時に接続したり、広範囲のチャンクを読み込んだりしても安定します。Minecraftサーバーは特にメモリを多く消費する傾向があります。
2.2 同時接続人数と推奨プランの目安
必要なCPUとメモリは、主に同時接続するプレイヤーの数、ワールドの広さや複雑さ、導入するModやプラグインの種類によって大きく変動します。
あくまで一般的な目安ですが、以下を参考にしてください。
-
数人程度 (2~5人):
- 推奨プラン: スタンダード
- メモリ目安: 2GB ~ 4GB
- コメント: 友達と小規模に遊ぶ程度であれば、スタンダードプランで十分な場合が多いです。ただし、メモリ割り当ては少なくとも2GB、できれば4GB程度確保したいところです。Xserverのスタンダードプランは共有サーバーのため、厳密にメモリ容量を指定するわけではありませんが、サーバー全体のリソースの一部を利用することになります。
-
5人~10人程度:
- 推奨プラン: プレミアム
- メモリ目安: 4GB ~ 8GB
- コメント: ある程度の人数で安定して遊びたい場合は、プレミアム以上のプランがおすすめです。プレミアムプランの方がスタンダードよりサーバーのリソースが多めに割り当てられる傾向にあります。
-
10人以上、大規模ワールド、Mod/プラグイン多数:
- 推奨プラン: ビジネス または VPS
- メモリ目安: 8GB以上
- コメント: 大人数で遊ぶ場合や、Mod/プラグインを多数導入してゲーム内容を大きく変える場合は、より高性能なビジネスプランや、さらに柔軟性の高いVPSプラン(Xserver VPSなど、この記事の対象外)を検討する必要があります。共有レンタルサーバーであるXserver通常プランでは、他のユーザーの影響を受ける可能性もあり、常に安定した性能を保証することは難しい場合があります。
2.3 最初はどのプランから始めるのが良いか
もしあなたが初めてMinecraftサーバーを立てるのであれば、まずはスタンダードプランから始めることをおすすめします。
- 理由: 料金が最も安く、リスクが少ないためです。まずはスタンダードプランでサーバー構築の手順を学び、実際に運営してみて、性能に不満を感じるようであれば、後から上位プランへ変更することも可能です。
この記事では、スタンダードプランを契約したという前提で進めますが、基本的な手順はどのプランでも共通です。
3. Xserverの契約
Xserverの公式サイトにアクセスし、利用したいプランを選んで契約手続きを行います。ここでは、初めてXserverを契約する方向けに、簡単な手順を説明します。
3.1 申し込み手順の詳細
- Xserver公式サイトへアクセス: ブラウザで「Xserver」と検索するか、直接URLを入力して公式サイトにアクセスします。
- 「お申し込み」をクリック: サイト内の「お申し込み」や「お申し込みフォームへ」といったボタンをクリックします。
- 「10日間無料お試し 新規お申し込み」を選択: 最初は無料お試し期間から始めるのがおすすめです。
- 利用期間とプランの選択:
- サーバーID: 自動で生成されるもので構いません。後で必要になるので控えておきましょう。
- プラン: 前の章で検討したプランを選択します(例: スタンダード)。
- 契約期間: 無料お試し期間後に本契約する場合の期間を選択します。長い期間を選ぶほど月あたりの料金は安くなりますが、まずは短期間(例: 3ヶ月)で始めてみるのも良いでしょう。
- WordPressクイックスタート: 「利用しない」を選択してください。 これはウェブサイトを簡単に作る機能であり、Minecraftサーバー構築には不要です。ここで「利用する」を選ぶと、設定が複雑になったり、不要なファイルが作成されたりします。
- 取得ドメイン: 「取得しない」を選択してください。 ドメインはウェブサイトのアドレスのようなものですが、Minecraftサーバーに接続する際は、Xserverが発行するサーバーIPアドレス(ホスト名)で接続するのが一般的です。ドメインは必須ではありません。
- Xserverアカウント情報の入力: メールアドレス、パスワードを入力します。
- お客様情報の入力: 氏名、住所、電話番号などの個人情報を入力します。
- お支払い方法の設定: クレジットカード情報などを入力します。無料お試し期間中は料金は発生しませんが、期間終了後に自動で本契約へ移行し、選択した支払い方法で料金が請求されるため、注意が必要です。
- 「利用規約」「個人情報の取り扱いについて」に同意: 内容を確認し、同意のチェックボックスにチェックを入れます。
- 申し込み内容の確認: 入力した情報に間違いがないか確認します。
- SMS・電話認証: セキュリティのために認証を行います。表示された電話番号に発信するか、SMSで認証コードを受け取ります。
- 申し込み完了: これで申し込み手続きは完了です。
3.2 初期設定完了通知の確認
申し込み後、数分から数十分程度で、登録したメールアドレス宛にXserverから「[Xserver]■重要■サーバーアカウント設定完了のお知らせ」という件名のメールが届きます。
このメールには、サーバーに接続するために非常に重要な情報が含まれています。 大切に保管しておきましょう。
メールに記載されている主な情報:
- サーバーID: あなたのXserverアカウントを識別するIDです。
- インフォパネルログイン情報:
- ログインURL
- サーバーID
- インフォパネルパスワード
- サーバーパネルログイン情報:
- ログインURL
- サーバーID
- サーバーパネルパスワード
- FTP情報:
- ホスト名
- ユーザー名 (多くの場合、サーバーIDと同じ)
- パスワード (多くの場合、サーバーパネルパスワードと同じ)
- ポート番号 (通常 21)
- SSH情報:
- ホスト名 (FTPホスト名と同じ場合が多い)
- ユーザー名 (多くの場合、サーバーIDと同じ)
- ポート番号 (通常 10022 など、デフォルトから変更されている場合が多い)
特に、サーバーパネルログイン情報、FTP情報、SSH情報は今後の作業で頻繁に利用します。
3.3 ドメインはどうするか?
前述の通り、Minecraftサーバーへの接続はXserverが提供するサーバーIPアドレス(ホスト名)で行うのが一般的です。これは「初期ドメイン」や「サーバーID.xsrv.jp」のような形式になっています。例えば、サーバーIDが xxxx-xxxx-xxxx
であれば、ホスト名は xxxx-xxxx-xxxx.xsrv.jp
のようになります。
このホスト名をMinecraftクライアントのサーバーアドレスに入力すれば接続できますので、新たにドメインを取得する必要はありません。
もし、より覚えやすい名前(例: my-minecraft.com
)で接続したい場合は、別途ドメインを取得し、DNS設定でXserverのホスト名(またはIPアドレス)に関連付ける必要がありますが、これは初心者向けのこの記事では扱いません。まずはホスト名で接続することに慣れましょう。
4. Minecraftサーバーソフトウェアの準備
Minecraftサーバーを動かすには、専用のソフトウェアが必要です。ここでは、最も基本的な「Vanilla」サーバーソフトウェアを準備します。
4.1 どのサーバーソフトウェアを使うか?
Minecraftサーバーソフトウェアにはいくつか種類があります。
- Vanilla (公式サーバー): Mojang Studiosが提供する公式のサーバーソフトウェアです。
- メリット: 最もシンプルで、追加要素が一切ない純粋なMinecraftを遊べます。導入が簡単です。
- デメリット: プラグインやModによる機能拡張ができません。パフォーマンス最適化機能も限定的です。
- Spigot / Paper: Vanillaサーバーに改良を加え、パフォーマンス向上やプラグイン導入を可能にしたソフトウェアです。PaperはSpigotから派生し、さらにパフォーマンスを重視しています。
- メリット: プラグイン(機能拡張)を導入できます。Vanillaより軽量で安定しやすいです。マルチサーバーでは最もよく使われています。
- デメリット: Vanillaとは少し挙動が異なる場合があります。導入に少し手間がかかります(BuildToolsを使う場合がある)。
- Forge / Fabric: Mod(ゲーム内容を大きく変更する機能拡張)を導入するためのプラットフォームです。
- メリット: 様々なModを導入して、全く違うゲームのように遊べます。
- デメリット: サーバーだけでなく、クライアント側にもForge/Fabricや対応Modの導入が必要です。VanillaやPaperに比べて動作が重くなりがちです。Mod間の競合で問題が起こりやすいです。
4.2 今回はVanillaサーバーを例に進める理由
この記事では、最もシンプルで初心者の方にとって最初のハードルが低いVanillaサーバーを例に解説を進めます。Vanillaサーバーの構築方法を理解すれば、SpigotやPaper、Modサーバーの導入方法も応用できるようになります。
4.3 サーバーソフトウェアのダウンロード方法
Vanillaサーバーソフトウェアは、Minecraft公式サイトからダウンロードできます。
- Minecraft公式サイトへアクセス: ブラウザで「Minecraft 公式サイト」と検索してアクセスします。
- ダウンロードページを探す: 通常、サイトのフッターなどに「ダウンロード」や「サーバー」といったリンクがあります。見つからない場合は、「Minecraft Java Editionサーバーをダウンロード」などで検索してみてください。
-
サーバーソフトウェア (jarファイル) をダウンロード: ダウンロードページに、最新版のサーバーソフトウェアへのリンクがあります。「minecraft_server.X.Y.Z.jar」(X.Y.Zはバージョン番号)のような名前のファイルです。このファイルをあなたのパソコンにダウンロードしてください。
- 注意: ダウンロードページには、「Minecraft エンドユーザーライセンス契約 (EULA)」に同意する必要がある旨が記載されています。必ず内容を確認してください。後述のサーバー設定で同意の手順を行います。
4.4 EULA (エンドユーザーライセンス契約) について
Minecraftサーバーソフトウェアを利用するには、EULAに同意する必要があります。これはMinecraftの利用規約のようなものです。
サーバーを初めて起動する際に、自動的に eula.txt
というファイルが生成されます。このファイル内の eula=false
という記述を eula=true
に変更することで、EULAに同意したことになります。同意しないとサーバーは起動しません。
5. Xserverへのサーバーファイルアップロード
ダウンロードしたサーバーソフトウェアのファイル(.jar
ファイル)を、Xserverの領域にアップロードします。これには「FTPクライアント」というソフトウェアを使用するのが一般的です。
5.1 FTPクライアントソフトウェアの準備
FTPクライアントは、あなたのパソコンとサーバーの間でファイルをやり取りするためのソフトウェアです。いくつか種類がありますが、ここでは無料で高機能な「FileZilla」を例に説明します。
- FileZillaダウンロード: FileZillaの公式サイトから、お使いのOS(Windows, macOS, Linux)に合った「FileZilla Client」をダウンロードしてインストールしてください。インストール方法は一般的なソフトウェアと同様です。
5.2 XserverのFTP接続情報の確認
前の章でXserverから届いたメール「[Xserver]■重要■サーバーアカウント設定完了のお知らせ」を確認してください。このメールにFTP接続情報が記載されています。
- ホスト名: (例:
svxxxx.xserver.jp
またはあなたのホスト名xxxx-xxxx-xxxx.xsrv.jp
) - ユーザー名: (例:
xxxx-xxxx-xxxx
またはサーバーID) - パスワード: (サーバーパネルパスワードと同じ場合が多い)
- ポート番号: (通常
21
)
5.3 FTPクライアントを使ったXserverへの接続方法
FileZillaを起動し、以下の手順でXserverに接続します。
- サイトマネージャーを開く (推奨): 「ファイル」メニューから「サイトマネージャー」を選択します。次回以降の接続が楽になります。
- 「新しいサイト」をクリック: 任意の名前(例: 「Xserver Minecraft」)をつけます。
- 「全般」タブに接続情報を入力:
- ホスト: メールに記載されているFTPホスト名を入力します。
- プロトコル: 「FTP – ファイル転送プロトコル」を選択します。
- 暗号化: 「明示的なFTP over TLSが必要」または「可能な場合はTLSを使用」を選択するのがより安全です。(もし接続できない場合は「暗示的なFTP over TLSが必要」または「平文のFTPのみを使用」を試してみてください。ただしセキュリティは低下します。)
- ログオンタイプ: 「通常」を選択します。
- ユーザー: メールに記載されているFTPユーザー名を入力します。
- パスワード: メールに記載されているFTPパスワードを入力します。
- ポート: 通常は自動で21が入力されますが、もし異なる場合はメールに記載されているポート番号を入力します。
- 「接続」をクリック: 入力した情報でXserverへの接続を試みます。
- 証明書に関する警告 (初回接続時): 信頼できない証明書に関する警告が表示される場合があります。ホスト名などが正しければ、「今後もこの証明書を信用する」にチェックを入れて「OK」をクリックして構いません。
接続に成功すると、FileZillaの右側のウィンドウにXserverのファイルやディレクトリが表示されます。
5.4 アップロード先のディレクトリ構造について
XserverのFTP接続で表示されるディレクトリのうち、public_html
というディレクトリはウェブサイトの公開に使われる特別な場所です。Minecraftサーバーのファイルをこの public_html
ディレクトリ内に置くのは避けましょう。 サーバーのファイルが外部からアクセス可能になってしまうリスクや、ウェブサイトのデータと混在するのを防ぐためです。
安全かつ整理された方法として、ホームディレクトリ(接続直後のディレクトリ、/
またはユーザー名のディレクトリ)直下に、Minecraftサーバー用の新しいディレクトリを作成することをおすすめします。
例: /minecraft_server/
というディレクトリを作成する。
FileZillaの右側のウィンドウで、接続直後のディレクトリにいることを確認し(通常、親ディレクトリへ移動しても最上位が/
またはユーザー名になっています)、右クリックして「ディレクトリ作成」を選択し、「minecraft_server
」と入力して作成します。
作成した minecraft_server
ディレクトリを開き、その中にMinecraftサーバー関連のファイルを置いていくことにします。
5.5 ダウンロードしたサーバーソフトウェアのアップロード
作成した /minecraft_server/
ディレクトリに、ダウンロードしておいたサーバーソフトウェアの.jar
ファイルをアップロードします。
FileZillaの左側のウィンドウで、あなたのパソコン内の.jar
ファイルがある場所を開きます。右側のウィンドウでは、先ほど作成した /minecraft_server/
ディレクトリを開いておきます。
左側の.jar
ファイルを右側の /minecraft_server/
ディレクトリにドラッグ&ドロップするか、右クリックして「アップロード」を選択します。
ファイルサイズにもよりますが、アップロードには数秒から数十秒かかる場合があります。アップロードが完了したことを確認してください。
6. サーバー起動用スクリプトの作成
Minecraftサーバーを起動するには、Javaコマンドを使ってサーバーソフトウェア(.jar
ファイル)を実行する必要があります。毎回長いコマンドを手で入力するのは面倒ですし、起動時の設定(メモリ割り当てなど)を固定するためにも、起動用のスクリプトファイルを作成するのが一般的です。
6.1 なぜスクリプトが必要か?
- コマンドの簡略化: 複雑な起動コマンドをファイルに記述しておけば、そのスクリプトを実行するだけでサーバーを起動できます。
- 設定の固定: Javaのメモリ割り当てなど、重要な起動時オプションをスクリプト内に記述しておくことで、常に同じ設定で起動できます。
- 自動起動/再起動の準備: cronなどを使った自動起動や、サーバーがクラッシュした際の自動再起動スクリプトなどに応用できます。
6.2 基本的な起動コマンドの説明
Minecraftサーバーを起動するための基本的なコマンドは以下の形式です。
bash
java -Xms[最小メモリ] -Xmx[最大メモリ] -jar [サーバーjarファイル名] nogui
各オプションの意味は以下の通りです。
java
: Java実行環境を呼び出すコマンドです。Xserverのサーバー環境にはJavaがインストールされています。-Xms[最小メモリ]
: サーバー起動時に割り当てる最小メモリ容量を指定します。-Xmx[最大メモリ]
: サーバーが使用できる最大メモリ容量を指定します。サーバーの安定性やパフォーマンスに大きく影響します。- 例:
-Xmx4G
(4GBを最大メモリとして割り当て) - Gはギガバイト、Mはメガバイトを表します (
-Xmx512M
なら512MB)。 - 割り当てるメモリ容量は、Xserverのプランやサーバー全体の負荷状況を考慮して決めます。割り当てすぎると、他のユーザーに迷惑をかけたり、あなた自身のアカウントがリソース超過で制限されたりする可能性があります。スタンダードプランであれば、最初は
-Xmx2G
~-Xmx4G
程度から始めるのが現実的かもしれません。Xserverは共有サーバーであり、プランで保証されるメモリ容量が明確ではないため、厳密なチューニングは難しいですが、適切な値を指定しないとサーバーが頻繁に落ちる原因になります。
- 例:
-jar [サーバーjarファイル名]
: 実行するJavaアーカイブファイル(サーバーソフトウェアの.jar
ファイル)を指定します。アップロードしたファイル名と正確に一致させる必要があります。- 例:
-jar minecraft_server.1.20.4.jar
- 例:
nogui
: このオプションを付けると、サーバーのGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を開かずに、コンソール(テキストベースの画面)だけで起動します。サーバー環境ではGUIは不要なため、通常はこのオプションを付けます。
6.3 スクリプトファイルの作成
テキストエディタ(Windowsのメモ帳、macOSのTextEdit、またはより高機能なVS Code, Sublime Textなど)を開き、以下の内容を記述します。
“`bash
!/bin/bash
Minecraftサーバーディレクトリに移動
cd /home/YOUR_SERVER_ID/minecraft_server/
Minecraftサーバーを起動
java -Xms1G -Xmx4G -jar minecraft_server.1.20.4.jar nogui
“`
重要な注意点:
YOUR_SERVER_ID
の部分は、あなたのXserverのサーバーIDに置き換えてください。(例:cd /home/xxxx-xxxx-xxxx/minecraft_server/
)FTPで接続した際のホームディレクトリ直下が/home/YOUR_SERVER_ID/
に相当します。minecraft_server.1.20.4.jar
の部分は、あなたがアップロードしたサーバーソフトウェアのファイル名に正確に置き換えてください。-Xms1G -Xmx4G
のメモリ割り当てはあくまで例です。ご自身の契約プランや必要に応じて調整してください。最初は少なめに設定し、様子を見ながら増やしていくのが安全です。例えば-Xms1G -Xmx2G
から始めるのも良いでしょう。
この内容を記述したファイルを、任意の名前(例: start.sh
)で保存します。拡張子は .sh
としてください。
6.4 作成したスクリプトファイルのアップロード
作成した start.sh
ファイルを、先ほど.jar
ファイルをアップロードしたXserver上のディレクトリ(例: /home/YOUR_SERVER_ID/minecraft_server/
)にFTPクライアント(FileZillaなど)を使ってアップロードします。
アップロード先が.jar
ファイルと同じディレクトリになっていることを再度確認してください。
6.5 ファイルのパーミッション変更 (実行権限の付与)
Xserver上でこのスクリプトファイルを実行するためには、ファイルに「実行権限」を付与する必要があります。これはFTPクライアントまたはSSH接続で行います。
FTPクライアント (FileZilla) で行う場合:
- FileZillaでXserverに接続し、アップロードした
start.sh
ファイルがあるディレクトリを開きます。 start.sh
ファイルを右クリックし、「ファイルのパーミッション」を選択します。- 「権限」ウィンドウが表示されます。「数値」の入力欄に「755」と入力します。
- 755は、所有者に読み書き実行権限、所有グループに読み書き実行権限、その他のユーザーに読み取り実行権限を付与することを意味します。スクリプトを実行するために必要な権限です。
- 「OK」をクリックして設定を適用します。
これで、Xserver上で start.sh
スクリプトを実行する準備が整いました。
7. SSH接続の準備と設定
Minecraftサーバーの起動、停止、設定変更、ログ確認といった操作は、コマンドラインで行うのが最も効率的です。Xserverでは「SSH (Secure Shell)」という安全な方法でサーバーにコマンドを送信できます。
7.1 なぜSSH接続が必要か?
- コマンド実行: サーバー上で様々なコマンド(
java
,cd
,ls
,nano
など)を実行できます。 - サーバー管理: サーバープログラムの起動・停止、ワールドデータの管理、設定ファイルの編集など、サーバーの運用に必要なほとんどの操作をSSH経由で行います。
- リアルタイム監視: サーバーの起動ログやエラーメッセージなどをリアルタイムで確認できます。
ウェブサイトの公開だけであればFTPだけで十分な場合が多いですが、Minecraftサーバーを動かすにはSSH接続が必須です。
7.2 XserverでのSSH設定
XserverでSSH接続を利用するには、サーバーパネルで設定を有効にする必要があります。
- Xserverサーバーパネルにログイン: Xserverから届いたメールに記載されているサーバーパネルのログインURL、サーバーID、サーバーパネルパスワードを使ってログインします。
- 「SSH設定」を探す: サーバーパネルのメニューの中から「SSH設定」という項目を探してクリックします。
- SSH設定の有効化:
- 現在の設定が「無効」になっている場合は、「設定変更」タブをクリックします。
- 「SSH設定を有効にする」にチェックを入れます。
- 「設定する」ボタンをクリックします。
- 設定完了の確認: 設定が完了すると、「SSH設定を有効にしました。」というメッセージが表示され、現在の設定が「有効」になっていることを確認できます。
SSH設定の有効化には、数分から数十分かかる場合があります。しばらく待ってから試してみてください。
7.3 SSHクライアントソフトウェアの準備
あなたのパソコンからXserverにSSH接続するためのクライアントソフトウェアが必要です。
- Windows:
- Tera Term: 無料で定番のSSHクライアントです。窓の杜などからダウンロードしてインストールできます。
- PuTTY: こちらも無料のSSHクライアントです。PuTTY公式サイトからダウンロードできます。
- Windows Terminal + OpenSSH: Windows 10以降であれば、標準機能としてOpenSSHクライアントがインストールされている場合があります。コマンドプロンプトやPowerShell、Windows Terminalから
ssh
コマンドを実行できます。
- macOS / Linux:
- 標準でターミナルアプリケーションが付属しており、OpenSSHクライアントがインストールされています。ターミナルを開いて
ssh
コマンドを実行できます。
- 標準でターミナルアプリケーションが付属しており、OpenSSHクライアントがインストールされています。ターミナルを開いて
ここでは、どのOSでも基本的な考え方は同じなので、SSH接続に必要な情報とコマンドの形式を説明します。具体的なクライアントソフトウェアの操作方法は、それぞれのソフトウェアのマニュアルを参考にしてください。
7.4 SSH接続情報の確認
Xserverから届いたメール「[Xserver]■重要■サーバーアカウント設定完了のお知らせ」を再度確認してください。このメールにSSH接続情報が記載されています。
- ホスト名: (例:
svxxxx.xserver.jp
またはあなたのホスト名xxxx-xxxx-xxxx.xsrv.jp
) – FTPホスト名と同じことが多いです。 - ユーザー名: (例:
xxxx-xxxx-xxxx
またはサーバーID) – FTPユーザー名と同じです。 - パスワード: (サーバーパネルパスワードと同じ場合が多い) – FTPパスワードと同じです。
- ポート番号: (通常 10022 など、デフォルトの22から変更されています) – FTPのポート(21)とは異なる場合が多いので注意してください。
7.5 SSH接続の実践
準備したSSHクライアントを起動し、以下の情報を使って接続します。
- 接続先ホスト名 (またはIPアドレス): メールに記載のSSHホスト名
- ポート番号: メールに記載のSSHポート番号 (例: 10022)
- ユーザー名: メールに記載のSSHユーザー名
- パスワード: メールに記載のSSHパスワード
Tera Termの場合:
- Tera Termを起動します。
- 「新しい接続」ウィンドウが開くので、以下を入力します。
- ホスト(H): SSHホスト名
- TCPポート(T): SSHポート番号
- サービス(S): 「SSH」を選択します。
- 「OK」をクリックします。
- 「SSH認証」ウィンドウが開くので、以下を入力します。
- ユーザー名(U): SSHユーザー名
- パスフレーズ(P): SSHパスワード
- 認証方式は「password」を選択します。
- 「OK」をクリックします。
macOS/Linuxのターミナルの場合:
ターミナルを開き、以下のコマンドを入力します。(角括弧 [] の部分はあなたの情報に置き換えてください)
bash
ssh [SSHユーザー名]@[SSHホスト名] -p [SSHポート番号]
例: ssh [email protected] -p 10022
初回接続時には、接続先のホストの正当性を確認するメッセージが表示されることがあります。「yes」と入力してEnterキーを押すと、known_hostsファイルに情報が記録されます。
その後、パスワードの入力を求められるので、SSHパスワードを入力してEnterキーを押します。(パスワードを入力しても画面には何も表示されませんが、入力はされています。)
接続に成功すると、Xserverのサーバー環境のコマンドラインが表示されます。通常はユーザーのホームディレクトリにいる状態です。
bash
[YOUR_SERVER_ID@svXXXX ~]$
[YOUR_SERVER_ID@svXXXX ~]$
のような表示は、[ユーザー名@ホスト名 現在のディレクトリ]$
を意味します。~
はホームディレクトリを表します。
8. 初めてのサーバー起動と初期設定
SSH接続ができたら、いよいよMinecraftサーバーを起動してみましょう。
8.1 SSH接続したターミナルから作成したスクリプトを実行
まず、FTPでアップロードしたサーバーファイルがあるディレクトリに移動します。cd
コマンドを使います。
bash
cd minecraft_server/
(minecraft_server
の部分は、あなたが実際に作成したディレクトリ名に置き換えてください。)
ディレクトリ移動後、ls
コマンドでファイル一覧を表示して、.jar
ファイルと start.sh
ファイルが存在することを確認できます。
bash
[YOUR_SERVER_ID@svXXXX minecraft_server]$ ls
eula.txt logs/ server.properties world/ [アップロードしたjarファイル名].jar start.sh
(注: 初回起動前は eula.txt
, logs/
, server.properties
, world/
は存在しません。ls
の結果は.jar
ファイルとstart.sh
のみになります。)
次に、作成した start.sh
スクリプトを実行します。実行するには、ファイルのパスの前に ./
を付けます。
bash
./start.sh
このコマンドを実行すると、Minecraftサーバーの起動プロセスが始まります。
8.2 EULAファイルの生成と同意
初めてサーバーを起動しようとすると、以下のようなメッセージが表示され、サーバーが停止します。
[HH:MM:SS] [Server thread/INFO]: You need to agree to the EULA in order to run the server. Go to eula.txt for more info.
これは、「EULAに同意する必要があります。eula.txtを確認してください。」という意味です。サーバーの起動ディレクトリに eula.txt
というファイルが新しく生成されているはずです。
この eula.txt
ファイルを編集して、EULAに同意します。SSH接続したターミナルから、テキストエディタの nano
コマンドを使って編集するのが簡単です。(FileZillaでダウンロード→編集→アップロードでも構いません)
bash
nano eula.txt
nanoエディタが開きます。ファイルの中身は以下のようになっています。
“`
By changing the setting below to TRUE you are indicating your agreement to our EULA (https://www.minecraft.net/en-us/eula/).
Mon Apr 15 10:00:00 JST 2024
eula=false
“`
この中の eula=false
の部分を eula=true
に変更します。
“`
By changing the setting below to TRUE you are indicating your agreement to our EULA (https://www.minecraft.net/en-us/eula/).
Mon Apr 15 10:00:00 JST 2024
eula=true
“`
編集が終わったら、ファイルを保存してnanoエディタを終了します。
- 保存して終了:
Ctrl + X
を押し、Y
を押して、Enter
キーを押します。
8.3 再度スクリプトを実行してサーバーを本格的に起動
eula.txt
の変更が終わったら、再び start.sh
スクリプトを実行します。
bash
./start.sh
今度はEULAに同意済みなので、サーバーが本格的に起動し始めます。
[HH:MM:SS] [Server thread/INFO]: Starting minecraft server version 1.20.4
[HH:MM:SS] [Server thread/INFO]: Loading properties
[HH:MM:SS] [Server thread/INFO]: Default game type: SURVIVAL
[HH:MM:SS] [Server thread/INFO]: Generating keypair
[HH:MM:SS] [Server thread/INFO]: Starting Minecraft server on *:25565
... (ワールド生成などのログが表示される) ...
[HH:MM:SS] [Server thread/INFO]: Done (XX.XXXs)! For help, type "help"
最後の行に Done!
というメッセージが表示されれば、サーバーの起動は完了です。
8.4 サーバーが起動したことの確認
Done!
メッセージが表示された後、ターミナルはサーバーコンソールの状態になります。ここにMinecraftサーバーからのログメッセージがリアルタイムで表示されます。
このコンソールでサーバーコマンドを入力することもできます。
- 例:
help
と入力してEnterキーを押すと、利用可能なコマンドリストが表示されます。
8.5 サーバーの停止方法
サーバーを安全に停止するには、サーバーコンソールで stop
コマンドを入力します。
bash
stop
Enterキーを押すと、サーバーがワールドデータを保存して正常にシャットダウンします。
[HH:MM:SS] [Server thread/INFO]: Saving worlds
[HH:MM:SS] [Server thread/INFO]: Saving chunks for level 'ServerLevel[world]'/[minecraft:overworld]
... (保存処理のログ) ...
[HH:MM:SS] [Server thread/INFO]: ThreadedAnvilChunkStorage (world): All chunks are saved
[HH:MM:SS] [Server thread/INFO]: ThreadedAnvilChunkStorage (world_nether): All chunks are saved
[HH:MM:SS] [Server thread/INFO]: ThreadedAnvilChunkStorage (world_the_end): All chunks are saved
[HH:MM:SS] [Server thread/INFO]: Closing the server.
[HH:MM:SS] [Server thread/INFO]: Minecraft server stopping
サーバーが完全に停止すると、SSH接続のプロンプト([YOUR_SERVER_ID@svXXXX minecraft_server]$
)に戻ります。
注意: サーバーコンソールで Ctrl + C
などを使って強制終了させるのは、データ破損の原因になる可能性があるため避けましょう。必ず stop
コマンドを使用してください。
9. server.properties の設定
server.properties
ファイルは、Minecraftサーバーの様々な設定をカスタマイズするための重要なファイルです。サーバーを初めて起動すると、このファイルが自動的に生成されます。
このファイルを編集して、ゲームモード、難易度、参加可能人数、オンラインモードなどを設定します。
9.1 server.properties
ファイルとは?
サーバーの起動ディレクトリに生成されるテキストファイルです。各設定項目が「設定名=値」の形式で記述されています。
9.2 主な設定項目の説明と推奨設定
server.properties
を編集するには、SSH接続したターミナルから nano server.properties
コマンドを使うか、FTPクライアントでダウンロードして編集後にアップロードします。ここではSSH接続での編集を前提とします。
bash
nano server.properties
ファイルを開くと、様々な設定項目が表示されます。主な設定項目とその意味、設定例は以下の通りです。
online-mode=true
- 意味: trueにすると、Minecraftの公式サーバーに接続してアカウント認証を行います。正規のMinecraftアカウントを持つプレイヤーのみが接続できるようになります。falseにすると、非正規のクライアントからも接続できてしまいます。
- 推奨設定:
online-mode=true
- 理由: セキュリティのため、通常はtrueに設定してください。友達とだけ遊びたい場合でも、オンラインモードを有効にしておけば、なりすましや荒らしを防ぐことができます。
server-port=25565
- 意味: サーバーが外部からの接続を待ち受けるポート番号です。デフォルトは25565です。
- 推奨設定:
server-port=25565
- 理由: 特に理由がなければデフォルトの25565のままにしておくのが一般的です。ただし、後述のXserverファイアウォール設定で、このポート番号を開放する必要があります。
server-ip=
- 意味: サーバーを特定のIPアドレスにバインドする場合に指定します。通常は空欄のままにします。
- 推奨設定:
server-ip=
(空欄) - 理由: Xserverのような共有レンタルサーバー環境では、特定のグローバルIPアドレスにバインドする必要はありません。空欄にしておけば、サーバーが利用可能なネットワークインターフェース全てで接続を待ち受けます。ここにXserverのサーバーIPなどを入力すると、かえって接続できなくなる場合があります。
max-players=20
- 意味: 同時に接続できる最大プレイヤー数です。
- 設定例:
max-players=10
(友達と数人で遊ぶなら10人程度で十分でしょう) - 理由: サーバーの性能に合わせて設定してください。プレイヤーが多いほどサーバーへの負荷は高くなります。Xserverのプランを考慮して現実的な人数に設定しましょう。
difficulty=easy
- 意味: ゲームの難易度です。
peaceful
,easy
,normal
,hard
から選択できます。 - 設定例:
difficulty=normal
- 理由: 好みに合わせて設定してください。
- 意味: ゲームの難易度です。
gamemode=survival
- 意味: 新しく参加したプレイヤーの初期ゲームモードです。
survival
,creative
,adventure
,spectator
から選択できます。 - 設定例:
gamemode=survival
- 理由: 通常はサバイバルで始めることが多いでしょう。
- 意味: 新しく参加したプレイヤーの初期ゲームモードです。
level-name=world
- 意味: ワールドデータが保存されるディレクトリの名前です。
- 推奨設定:
level-name=world
- 理由: デフォルトのままで構いません。変更すると、新しいワールドが生成されます(元のワールドデータは別のディレクトリ名になります)。
motd=A Minecraft Server
- 意味: Multiplayerサーバーリストに表示されるサーバー名です (Message of the Day)。
- 設定例:
motd=My Awesome Minecraft Server
- 理由: 好きな名前に変更してください。日本語も利用できますが、文字化けするクライアントがある可能性もあります。
spawn-protection=16
- 意味: スポーン地点を中心とした、権限のないプレイヤーがブロックを壊したり置いたりできなくなる範囲です。0にすると無効になります。
- 設定例:
spawn-protection=16
(デフォルトのままで良いでしょう) - 理由: スポーン地点の保護は荒らし対策として有効です。op権限を持つプレイヤーはこの制限を受けません。
enable-command-block=false
- 意味: コマンドブロックを有効にするか無効にするかです。
- 設定例:
enable-command-block=false
(デフォルト) またはenable-command-block=true
(コマンドブロックを使いたい場合)
pvp=true
- 意味: プレイヤー同士の攻撃(PvP)を許可するか無効にするかです。
- 設定例:
pvp=true
(デフォルト) またはpvp=false
(PvPを無効にしたい場合)
他にも多くの設定項目がありますが、まずは上記の項目を中心に設定すれば十分です。
9.3 設定ファイルの編集方法
SSH接続で nano server.properties
を実行し、上下左右キーでカーソルを移動させ、値を編集します。編集後は Ctrl + X
-> Y
-> Enter
で保存して終了します。
設定を変更した場合は、サーバーを再起動する必要があります。 一度 stop
コマンドでサーバーを停止し、再度 ./start.sh
で起動してください。
10. Xserverのファイアウォール設定
Minecraftサーバーに外部から接続するためには、サーバーが待ち受けているポート(デフォルトは25565)への通信を許可する必要があります。Xserverでは、セキュリティのためにデフォルトでは多くのポートが閉じられています。サーバーパネルで、Minecraftが必要とするポートを開放する設定を行います。
10.1 なぜファイアウォール設定が必要か?
ファイアウォールは、サーバーへの不正アクセスや攻撃を防ぐためのセキュリティシステムです。しかし、必要なサービス(今回の場合はMinecraftサーバー)への正当なアクセスも、設定によっては遮断してしまいます。
Minecraftサーバーへの接続を可能にするためには、Minecraftクライアントが接続してくるポート番号(デフォルト25565)を、ファイアウォールで「許可」するように設定する必要があります。
10.2 サーバーパネルでのファイアウォール設定
- Xserverサーバーパネルにログイン: メールに記載のサーバーパネルログイン情報を使います。
- 「WordPressセキュリティ設定」を探す: サーバーパネルのメニューの中から「WordPressセキュリティ設定」という項目を探してクリックします。(名前がWordPress関連ですが、ここでサーバー全体のファイアウォール設定を行います。)
- 対象ドメインの選択: あなたのサーバーIDや契約したドメイン名が表示されます。ここでは、サーバーID(例:
xxxx-xxxx-xxxx.xsrv.jp
)を選択してください。 - 「ファイアウォール設定」タブを開く: 設定画面が表示されたら、「ファイアウォール設定」というタブをクリックします。
- 設定内容の確認と追加:
- 現在のファイアウォール設定が表示されます。デフォルトでは、ウェブサイトに必要なポート(HTTP: 80, HTTPS: 443, FTP: 21, SSH: 10022など)は既に許可されています。
- Minecraftサーバーのポートを追加します。「設定変更」ボタンをクリックします。
- 「追加」ボタンをクリックします。
- 新しい行が追加されるので、以下のように入力します。
- プロトコル: 「TCP」を選択します。MinecraftはTCPプロトコルを使用します。
- ポート: Minecraftサーバーが使用するポート番号を入力します。
server.properties
で設定したポート番号(デフォルトは25565
)を入力してください。単一のポート番号を入力します。 - 許可IPアドレス: 特に制限を設けない場合は「any」のままにします。(特定のIPアドレスからの接続のみを許可したい場合は、そこにIPアドレスを入力します。通常はanyで問題ありません。)
- 入力内容を確認し、「設定する」ボタンをクリックします。
- 設定完了の確認: 設定が完了すると、「ファイアウォール設定を有効にしました。」というメッセージが表示され、設定リストにあなたが追加したポート番号(例: 25565/tcp)が「許可」として表示されていることを確認できます。
これで、外部からあなたのXserver上のMinecraftサーバー(設定したポート番号)への接続が許可されるようになりました。
注意: ファイアウォールの設定変更が反映されるまで、数分から数十分かかる場合があります。設定後すぐに接続できない場合は、しばらく待ってから再度試してみてください。
11. Minecraftクライアントからの接続
これで、あなたのXserver上のMinecraftサーバーは、外部からの接続を受け付ける準備が整いました。いよいよMinecraftクライアントから接続してみましょう。
11.1 サーバーIPアドレスの確認方法
Minecraftクライアントから接続する際に必要となるサーバーアドレスは、Xserverから提供されるあなたのホスト名(サーバーIPアドレスに相当するもの)です。
- 確認方法:
- Xserverの「[Xserver]■重要■サーバーアカウント設定完了のお知らせ」メールに記載されている「FTPホスト名」や「SSHホスト名」(通常
svxxxx.xserver.jp
やxxxx-xxxx-xxxx.xsrv.jp
の形式)が、そのままサーバーアドレスとして使えます。 - または、Xserverサーバーパネルの「サーバー情報」画面などで確認できるホスト名も使えます。
- Xserverの「[Xserver]■重要■サーバーアカウント設定完了のお知らせ」メールに記載されている「FTPホスト名」や「SSHホスト名」(通常
11.2 Minecraftクライアントを起動
あなたのパソコンでMinecraft Java版を起動します。
11.3 「マルチプレイヤー」->「サーバーを追加」または「ダイレクト接続」
メインメニューから「マルチプレイヤー」を選択します。
- 毎回接続する場合: 「サーバーを追加」をクリックし、サーバー名(任意、例: 「マイホームサーバー」)とサーバーアドレス(Xserverのホスト名)を入力して「完了」をクリックします。サーバーリストにあなたのサーバーが登録され、次回以降はリストから選択して接続できます。
- 一時的に接続する場合: 「ダイレクト接続」をクリックし、サーバーアドレス(Xserverのホスト名)を入力して「サーバーへ接続」をクリックします。
11.4 サーバーアドレス欄にサーバーIPアドレスを入力
表示された入力欄に、先ほど確認したXserverのホスト名(例: xxxx-xxxx-xxxx.xsrv.jp
)を入力します。
もし server.properties
でポート番号をデフォルトの 25565
から変更している場合は、「ホスト名:ポート番号」の形式で入力します。(例: ポートを 25570
にした場合 xxxx-xxxx-xxxx.xsrv.jp:25570
)ポート番号をデフォルトの25565のままにしている場合は、ポート番号の指定は不要です。
11.5 接続テスト
入力が終わったら、「完了」または「サーバーへ接続」をクリックします。サーバーリストに表示された場合は、サーバーを選択して「サーバーに接続」をクリックします。
正常に接続できれば、あなたの立てたMinecraftサーバーの世界に入ることができます!
11.6 接続できない場合のトラブルシューティング
もしサーバーに接続できない場合は、以下の点を確認してください。
- サーバーは起動していますか? SSH接続して、サーバーが
Done!
状態になっているか確認してください。サーバーが停止していたり、起動途中でエラーが出ていたりしませんか? - 入力したサーバーアドレスは正しいですか? Xserverのホスト名を正確に入力していますか? 余計な文字が入っていませんか?
- ポート番号は正しいですか?
server.properties
のserver-port
設定と同じポート番号をファイアウォールで開放していますか? もしポート番号を変更している場合、クライアント側のアドレスに「:ポート番号」を付けていますか? - Xserverのファイアウォール設定は正しく行われていますか? サーバーパネルで、Minecraftサーバーが使用するポート番号(TCP)が「許可」になっていることを確認してください。設定変更が反映されていない可能性もあります。
server.properties
のonline-mode=true
になっていますか?online-mode=true
の場合、正規のMinecraftアカウント以外からは接続できません。アカウントがMojangまたはMicrosoftの正規アカウントであることを確認してください。- Xserver側の負荷は高すぎませんか? スタンダードプランなどでは、他のユーザーの影響でサーバー全体の負荷が高まり、一時的に接続しづらくなることがあります。時間を置いて再度試すか、Xserverのお知らせなどを確認してください。
- Javaのバージョンは合っていますか? サーバーソフトウェアとMinecraftクライアントで、互換性のあるJavaバージョンが使われているか確認してください。Xserverのサーバー環境のJavaバージョンは変更できない場合が多いですが、古いバージョンのサーバーソフトウェアを使う場合は注意が必要です。
- ファイヤーウォールの設定変更が反映されたか? ファイアウォール設定は反映まで時間がかかることがあります。
一つずつ原因を潰していけば、きっと接続できるようになります。
12. サーバー管理の基本
サーバーが起動し、接続できるようになったら、サーバー運営に必要な基本的な管理方法を覚えておきましょう。
12.1 SSH接続でのコマンド実行
サーバーコンソール(SSH接続してスクリプトを実行し、Done!
状態になっているターミナル)で、様々なサーバーコマンドを実行できます。
- op権限の付与: プレイヤーにサーバー管理者権限(op権限)を与えます。これにより、ゲーム内でコマンド(
/gamemode
,/tp
,/give
など)が使えるようになります。
bash
op [プレイヤー名] - op権限の剥奪: プレイヤーからop権限を取り上げます。
bash
deop [プレイヤー名] - ホワイトリスト設定: 特定のプレイヤーだけがサーバーに接続できるようにする機能です。
server.properties
でwhite-list=true
に設定する必要があります。- ホワイトリストを有効にする:
white-list on
- ホワイトリストを無効にする:
white-list off
- プレイヤーをホワイトリストに追加:
white-list add [プレイヤー名]
- プレイヤーをホワイトリストから削除:
white-list remove [プレイヤー名]
- ホワイトリストのリストを更新:
white-list reload
(whitelist.jsonを手動編集した場合などに必要)
- ホワイトリストを有効にする:
- ワールドの強制保存: ワールドデータを手動で保存します。定期的に実行するか、サーバー停止前に行うのが安全です。
bash
save-all - 自動保存の無効化/有効化: ワールドの自動保存を一時的に無効/有効にします。
bash
save-off
save-on - サーバーの停止: 安全にサーバーをシャットダウンします。
bash
stop - プレイヤーのキック/BAN: 問題行動を起こしたプレイヤーをサーバーから追い出す(キック)か、次回以降の接続を禁止(BAN)します。
bash
kick [プレイヤー名] [理由 (任意)]
ban [プレイヤー名] [理由 (任意)]
pardon [プレイヤー名] (BAN解除)
IPアドレスでBANすることも可能です。
bash
ban-ip [IPアドレスまたはプレイヤー名] [理由 (任意)]
pardon-ip [IPアドレス] (IP BAN解除)
これらのコマンドは、サーバーコンソールに直接入力してEnterキーで実行します。ゲーム内では、op権限があれば /op [プレイヤー名]
のようにスラッシュを付けてチャット欄から実行できます。
12.2 ログの確認
サーバーの起動状況やエラー、プレイヤーの行動などは、ログファイルに記録されます。問題が発生した場合の原因究明に役立ちます。
ログファイルは、サーバー起動ディレクトリ内の logs/
ディレクトリに保存されています。最新のログは logs/latest.log
です。
SSH接続して、cat
や tail
コマンドでログファイルの内容を確認できます。
bash
cd logs/
cat latest.log # ファイル全体を表示
tail -f latest.log # ファイルの末尾をリアルタイムで表示 (Ctrl+Cで終了)
12.3 ワールドデータのバックアップ
サーバーで育てたワールドデータは非常に大切です。万が一のデータ破損に備えて、定期的にバックアップを取りましょう。
ワールドデータは、server.properties
の level-name
で指定したディレクトリ(デフォルトは world/
)の中に保存されています。
バックアップは、このワールドディレクトリ(world/
や world_nether/
, world_the_end/
)を、サーバーが停止している状態であなたのパソコンにダウンロードするのが最も確実です。
FTPクライアント (FileZilla) でバックアップする場合:
- サーバーを
stop
コマンドで安全に停止します。 - FileZillaでXserverに接続し、サーバーディレクトリ(例:
/home/YOUR_SERVER_ID/minecraft_server/
)を開きます。 world
ディレクトリ(ネザーやエンドのデータが必要であればworld_nether
,world_the_end
ディレクトリも)を右クリックし、「ダウンロード」を選択します。- あなたのパソコンの任意の場所に保存します。
これで、ワールドデータのバックアップが完了です。定期的に行うように習慣づけましょう。自動バックアップについては、Xserverのcron機能などを利用することも可能ですが、設定がやや複雑になります。
12.4 サーバーの再起動
設定変更の適用や、動作が不安定になった場合などにサーバーを再起動します。
- SSH接続したターミナルで、サーバーコンソールで
stop
コマンドを入力して安全にサーバーを停止します。 - サーバーが完全に停止し、プロンプトに戻ったことを確認します。
- 再度
./start.sh
コマンドを実行してサーバーを起動します。
12.5 バージョンアップの方法
Minecraftの新しいバージョンがリリースされたら、サーバーもバージョンアップしたくなるでしょう。
- Minecraft公式サイトから、新しいバージョンのサーバーソフトウェア(
.jar
ファイル)をダウンロードします。 - 現在起動中のサーバーを
stop
コマンドで安全に停止します。 - FTPクライアントを使って、Xserver上のサーバーディレクトリに、ダウンロードした新しい
.jar
ファイルをアップロードします。元の.jar
ファイルは残しておいても構いませんが、ファイル名を変更して区別できるようにしておくと良いでしょう(例:minecraft_server.1.20.4.jar_old
)。 - 重要: 起動スクリプト (
start.sh
) の中の.jar
ファイル名を、新しい.jar
ファイル名に修正します。(例:java ... -jar minecraft_server.1.20.5.jar nogui
)nano start.sh
で編集します。 - 修正した
start.sh
を保存します。 - 修正後の
start.sh
を実行して、新しいバージョンのサーバーを起動します。
注意点:
- メジャーアップデート(例: 1.19から1.20)では、ワールドデータの互換性が失われる場合があります。新しいバージョンで既存のワールドを開くと、元に戻せなくなる可能性や、新しい要素がワールドの未生成部分にしか生成されない場合があります。事前にワールドデータをバックアップしておくことを強く推奨します。
- SpigotやPaperなどのサードパーティ製サーバーソフトウェアを使用している場合は、それぞれのソフトウェアのバージョンアップ手順に従ってください。
13. 応用編 (触りだけ)
この記事ではVanillaサーバーの構築を解説しましたが、さらにMinecraftサーバーを拡張したい場合は、以下のステップに進むことができます。
- Spigot/Paperの導入: Vanillaよりも高性能で、プラグインによる機能追加が可能になります。BuildToolsを使ったSpigot/Paperのビルドや、プラグインの導入方法を学ぶ必要があります。
- プラグインの導入: Spigot/Paperサーバーに様々な便利機能や管理機能(権限管理、ワールド保護、チャット管理など)を追加できます。 Bukkit/Spigot/Paper互換のプラグイン(
.jar
ファイル)をサーバーのplugins/
ディレクトリに入れてサーバーを再起動することで有効化できます。 - Modサーバー (Forge/Fabric) の導入: Modを導入して、ゲームシステムやアイテム、バイオームなどを大きく追加・変更できます。サーバーだけでなく、参加するクライアント側にもMod環境の構築が必要です。
- データパック、リソースパック: ゲーム内のレシピや進行状況、見た目などを変更できます。サーバー側に入れることで、参加者全員に適用させることができます。
- cronを使った自動化: Xserverのcron機能を利用して、定期的なサーバー再起動や自動バックアップスクリプトの実行などを設定できます。
- サーバー監視: サーバーの稼働状況やリソース使用量などを監視し、問題発生時に通知を受け取る仕組みを構築することも可能です。
これらの内容は、Vanillaサーバーの構築・運用に慣れてから挑戦することをおすすめします。それぞれの導入には専門的な知識が追加で必要になります。
14. トラブルシューティング
サーバー運営中に遭遇しがちなトラブルとその解決策をまとめます。
14.1 サーバーが起動しない
- Javaがインストールされていない/パスが通っていない: Xserver環境にはJavaがインストールされているはずですが、古いバージョンなどを使う場合は互換性の問題があるかもしれません。Javaのバージョンを確認しましょう。
- スクリプト構文エラー:
start.sh
ファイルに記述ミス(タイプミス、パスの間違い、オプションの書き間違いなど)がないか確認してください。SSHでスクリプトを実行した際のエラーメッセージをよく読みましょう。 - EULA未同意:
eula.txt
のeula=true
に変更しましたか? 初回起動時は必ずこの手順が必要です。 - メモリ不足: スクリプトで割り当てている最大メモリ (
-Xmx
) が、Xserverのプランやサーバー全体の負荷に対して大きすぎるか、または小さすぎてサーバーが起動に必要な最低限のリソースを確保できていない可能性があります。メモリ割り当てを調整してみてください。特に共有サーバーでは、他のユーザーの影響で利用可能なメモリが変動することがあります。 .jar
ファイル名の間違い: スクリプト内の-jar
オプションの後に指定したファイル名が、実際にアップロードした.jar
ファイル名と完全に一致しているか確認してください。- ファイルのパーミッション:
start.sh
ファイルに実行権限(755など)が付与されているか確認してください。
14.2 接続できない
- サーバーが起動していない: SSHでログインし、サーバーが動いているか確認してください。
- IPアドレスまたはホスト名の間違い: Minecraftクライアントに入力したサーバーアドレスが、Xserverのホスト名と一致しているか再度確認してください。
- ポート開放忘れ: Xserverサーバーパネルのファイアウォール設定で、Minecraftサーバーが使用するポート番号(デフォルト25565/TCP)が「許可」になっているか確認してください。設定変更が反映されるまで時間がかかることもあります。
server.properties
のserver-port
設定:server.properties
でポート番号を変更した場合、ファイアウォール設定とMinecraftクライアントのアドレス入力(「ホスト名:ポート番号」)が一致しているか確認してください。server.properties
のonline-mode
設定:online-mode=true
の場合、正規版のMinecraft以外からは接続できません。また、サーバーがMojang/Microsoftの認証サーバーにアクセスできない状態になっている可能性も考えられます(Xserver側のネットワーク問題など)。- Xserver側の負荷: サーバー全体の負荷が高い時間帯は、新しい接続が受け付けられなかったり、タイムアウトしたりすることがあります。
- Minecraftクライアントのバージョン: サーバーのバージョンとクライアントのバージョンが一致しているか確認してください。通常、クライアントはサーバーと同じバージョンか、それよりも新しいバージョンである必要があります。
- クライアント側のファイアウォール/セキュリティソフト: あなたのパソコン側のファイアウォールやセキュリティソフトが、Minecraftクライアントの通信をブロックしていないか確認してください。
14.3 サーバーが重い(ラグが発生する)
- メモリ不足: サーバーに割り当てられているメモリ (
-Xmx
) が不足している可能性があります。特にプレイヤー数が多い場合や、ワールド内にエンティティ(動物、モンスター、アイテムなど)が多い場合に発生しやすいです。割り当てメモリを増やしてみるか、上位プランへの変更を検討してください。 - CPU不足: XserverのプランのCPU性能が、サーバーの処理量に対して不足している可能性があります。特に大規模な建築、レッドストーン回路、多くのエンティティ、チャンクローダーの使用などでCPU負荷が高まります。上位プランへの変更が最も有効な対策の一つです。
- ワールド内の高負荷箇所: 特定の場所に大量のエンティティが集まっている、複雑なレッドストーン回路がある、チャンクローダーを多用しているなど、ワールド内の特定の場所が負荷の原因になっていることがあります。原因となっている要素を特定し、削減することで改善する場合があります。
- インターネット回線の問題: あなたや他のプレイヤーのインターネット回線が不安定だったり、サーバーとクライアント間の通信経路に問題があったりする場合にラグが発生します。
- 大量のチャンク生成/読み込み: 新しいエリアを探索して大量のチャンクが生成・読み込みされる際に負荷が高まります。
- サーバーソフトウェアの種類: VanillaサーバーはSpigot/Paperに比べてパフォーマンス最適化が進んでいません。可能であればPaperサーバーへの移行を検討すると、劇的に改善する場合があります。(プラグイン導入も可能になります)
- Mod/プラグインの問題: Modやプラグインを導入している場合、それらが原因で負荷が高まっている可能性があります。導入しているMod/プラグインを一つずつ無効化して原因を特定するか、パフォーマンスに定評のあるプラグイン(例: Lithium, Phosphor, Spark – Fabric向け Modですが、Paperにも類似の概念があります)の導入を検討してください。
14.4 ワールドデータが壊れた
- バックアップからの復旧: 定期的にバックアップを取っていれば、バックアップしたワールドデータをサーバーディレクトリに上書きすることで復旧できます。FTPクライアントで、サーバーを停止した状態で、バックアップしておいた
world/
ディレクトリなどをXserver上のサーバーディレクトリにアップロード(上書き)してください。 - 不慮の停止: サーバー稼働中に停電やエラーでサーバーマシンが強制終了した場合など、データの書き込み中に中断されるとワールドデータが破損することがあります。サーバーは必ず
stop
コマンドで安全に停止するように心がけましょう。 - 原因の特定: もし頻繁にデータが壊れるようなら、サーバーの安定性(メモリ不足、ディスク容量不足など)に問題があるか、特定のMod/プラグインが原因かもしれません。ログファイルを確認して原因を探りましょう。
15. まとめ
この記事では、Xserverを利用してMinecraftのVanillaサーバーを立てるための詳細な手順を解説しました。
- Xserverの契約からプラン選定
- Minecraftサーバーソフトウェアの準備
- FTPを使ったファイルのアップロード
- SSHを使ったサーバーへの接続とコマンド操作
- 起動スクリプトの作成と実行
- EULAへの同意
server.properties
によるサーバー設定- Xserverファイアウォールでのポート開放
- Minecraftクライアントからの接続方法
- 基本的なサーバー管理(コマンド、バックアップ、バージョンアップなど)
- 遭遇しやすいトラブルとその対策
これらのステップを経て、あなた自身のMinecraftサーバーを立ち上げ、友達と共有できるようになったはずです。
Xserverはウェブサイト用途のレンタルサーバーですが、SSH接続と安定した環境を提供しているため、Minecraftサーバー用途にも十分利用可能です。手軽さとコストパフォーマンスのバランスが良いのが魅力です。
サーバー運営は、ただゲームをプレイするのとはまた違った楽しさがあります。サーバーの設定をいじったり、友達がサーバーで楽しんでいる様子を見たりするのは、特別な体験です。
最初は分からないことやエラーに遭遇することもあるかもしれませんが、一つずつ原因を調べて解決していくことも、サーバー運営の醍醐味と言えます。この記事が、あなたのMinecraftサーバー運営の第一歩を力強くサポートできたなら幸いです。
さらに深くMinecraftサーバーを学びたい場合は、Spigot/Paperやプラグイン、Modなどの世界にも挑戦してみてください。あなたのMinecraftライフが、サーバー構築を通してさらに豊かなものになることを願っています!
さあ、あなただけの最高のMinecraftサーバーワールドへ、冒険に出かけましょう!