ytdlp紹介:YouTubeだけでなく様々なサイトに対応するツール

ytdlp紹介:YouTubeだけでなく様々なサイトに対応するツール

インターネット上には、日々膨大で多様な動画コンテンツが公開されています。学習のための講演、娯楽のためのエンターテイメント、記録としてのニュース、あるいは個人的な瞬間を捉えた映像まで、動画は私たちの情報収集やコミュニケーションの重要な手段となっています。しかし、これらの動画コンテンツをオフラインで視聴したり、個人的なアーカイブとして保存したり、あるいは編集素材として利用したりしたいと考えることも少なくありません。

インターネットの接続環境がない場所での視聴、データ通信量の節約、将来的な視聴保証(動画が削除される可能性)、あるいは特定の目的(例えば、動画編集や文字起こしなど)での利用といったニーズに応えるため、動画ダウンロードツールは広く求められてきました。

これまでにも様々な動画ダウンロードツールが存在してきましたが、多くのツールは特定のサイト(特にYouTube)にしか対応していなかったり、対応サイト数が限られていたり、あるいは広告やマルウェアが仕込まれているといったセキュリティ上の懸念があったり、さらにはサイト側の仕様変更に追随できずにすぐに使えなくなってしまうといった問題を抱えていました。特に、動画配信サイトは頻繁に仕様を変更するため、ツールのメンテナンスが追いつかないと、ユーザーはすぐに不便を強いられることになります。

このような状況の中で、yt-dlp(ワイティーディーエルピー、またはヤドロップなどと呼ばれることも)は、動画ダウンロードツールの決定版として、世界中の多くのユーザーから支持を集めています。yt-dlpは、単にYouTubeに対応しているだけでなく、文字通り「様々なサイト」からの動画ダウンロードを可能にする、強力で柔軟、そしてオープンソースのコマンドラインツールです。

この記事では、このyt-dlpについて、その魅力、機能、インストール方法、使い方、そして応用例に至るまで、詳細かつ網羅的に解説していきます。この記事を読むことで、あなたがインターネット上の動画コンテンツをより自由に、より便利に活用するための強力なツールであるyt-dlpを使いこなせるようになることを目指します。

ytdlpとは? その誕生背景と特徴

yt-dlpは、元々最も有名で広く使われていたコマンドラインベースの動画ダウンロードツールであるyoutube-dlのフォーク(派生プロジェクト)として誕生しました。youtube-dlは長年にわたり多くのサイトに対応し、非常に便利なツールとして君臨してきましたが、開発の停滞や一部サイトへの対応遅れといった問題が指摘されるようになりました。特に、YouTubeをはじめとする主要サイトの仕様変更は頻繁であり、これに迅速に対応できないことはツールの価値を大きく損ねます。

このような背景から、youtube-dlcなどの他のフォークプロジェクトと共に、yt-dlpはより活発な開発とメンテナンスを目指してスタートしました。その結果、yt-dlpはオリジナルのyoutube-dlが持っていた高い機能性と信頼性を引き継ぎつつ、それをさらに凌駕する多数の新機能や改善、そしてより迅速なサイト対応を実現しています。現在では、多くのユーザーにとってyt-dlpが動画ダウンロードツールの第一選択肢となっています。

yt-dlpの最大の特徴は、その対応サイトの圧倒的な多さです。その名に「yt」(YouTube)とありますが、実際にはYouTubeだけでなく、ニコニコ動画、Vimeo、Dailymotion、Twitter、Instagram、TikTok、Twitch、BiliBili、SoundCloud、Bandcampなど、数千に及ぶウェブサイトからの動画や音声のダウンロードに対応しています(対応サイトの全リストはyt-dlp --list-extractorsコマンドで確認できます)。これは、各サイトの構造や動画配信方法を解析する「Extractor」と呼ばれるモジュール群によって実現されており、yt-dlpの開発コミュニティによって常に最新の状態に保たれようと努力されています。

その他の主な特徴としては、以下のような点が挙げられます。

  • 高速なダウンロード: 複数の接続を同時に使用するなどの技術により、可能な限り高速にコンテンツをダウンロードします。
  • 多様なフォーマットと品質の選択: サイトが提供する様々な解像度、ビットレート、コンテナフォーマット(MP4, WebM, MKVなど)の中から、希望するものを柔軟に選択できます。動画と音声が分離して配信されている場合(多くの高画質YouTube動画など)でも、yt-dlpはこれらを自動的にダウンロードし、FFmpegという外部ツールと連携して一つのファイルに結合することができます。
  • オーディオのみのダウンロード: 動画ファイル全体ではなく、音声トラックのみを抽出してMP3やAACなどの音声ファイルとして保存することも容易です。
  • プレイリスト/チャンネルの一括ダウンロード: プレイリスト内の全ての動画や、特定のチャンネルが公開している動画を指定した数だけ一括でダウンロードできます。
  • メタデータの埋め込み: ダウンロードした動画ファイルに、タイトル、投稿者、公開日、サムネイル画像といったメタデータを埋め込むことができます。これにより、メディアプレイヤーでの管理が容易になります。
  • 字幕のダウンロード: 利用可能な場合は、自動生成字幕や手動作成字幕など、様々な言語の字幕ファイルをダウンロードできます。動画ファイルに字幕を埋め込むことも可能です。
  • SponsorBlock統合: YouTubeで人気の「SponsorBlock」拡張機能のデータベースを利用して、動画内の広告や自己プロモーションなどのセグメントを自動的にスキップしてダウンロードしたり、あるいはそれらのセグメントだけをダウンロードしたりすることが可能です。
  • 柔軟な設定とカスタマイズ: コマンドラインオプションは非常に豊富であり、ダウンロード先のパスやファイル名の命名規則、フォーマットの選択、ダウンロード速度の制限など、様々な設定を細かく制御できます。また、これらの設定を構成ファイルに記述しておくことで、毎回コマンドラインで指定する必要がなくなります。
  • 活発な開発とアップデート: yt-dlpは非常に活発に開発されており、バグ修正や新機能の追加はもちろん、サイト側の仕様変更への対応も迅速に行われます。定期的なアップデートによって、常に多くのサイトに対応し続けることができます。
  • コマンドラインツール: yt-dlpはGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を持たない、コマンドラインから操作するツールです。これは初心者には敷居が高いと感じられるかもしれませんが、逆に自動化やスクリプトとの連携が容易である、軽量である、OSを選ばずに利用できるといった大きな利点があります。多くのGUIダウンローダーは内部的にyt-dlpを使用している場合もあります。
  • オープンソース: yt-dlpはGPLライセンスの下で公開されているオープンソースソフトウェアです。ソースコードが公開されているため、セキュリティ上の懸念が少なく、コミュニティによる改善や検証が行われています。

なぜytdlpを選ぶべきか? 他のツールとの比較

動画ダウンロードツールは数多く存在しますが、その中でもyt-dlpが頭一つ抜けていると言える理由はいくつかあります。

  1. 対応サイト数の圧倒的な多さ: これが最大の理由です。多くのGUIツールやウェブサービスは、対応できるサイトが限られています。有名なサイトには対応していても、マイナーなサイトや特定の国/地域に特化したサイトには対応していないことがほとんどです。yt-dlpは「Extractor」という仕組みにより、非常に多くのサイトに対応しており、新しいサイトへの対応も比較的容易に追加されます。様々なサイトから動画をダウンロードする可能性があるなら、yt-dlpは最も頼りになる選択肢です。
  2. 更新頻度の高さと信頼性: 動画サイトは日々仕様変更が行われます。特にYouTubeのような大手サイトは頻繁に変更があり、多くのダウンロードツールはすぐに使えなくなってしまいます。yt-dlpは開発が非常に活発であり、サイト側の変更に対して迅速に対応するアップデートが頻繁にリリースされます。これにより、「昨日まで使えていたのに、今日になったらダウンロードできなくなった」という事態が起こりにくく、起こっても早期に解決される可能性が高いです。
  3. 広告やマルウェアのリスクが低い: フリーソフトのダウンロードツールには、広告が表示されたり、不要なソフトがバンドルされていたり、悪意のあるマルウェアが仕込まれていたりするリスクがつきまといます。特に、怪しげなウェブサイトで配布されている実行ファイル形式のツールには注意が必要です。yt-dlpはオープンソースであり、ソースコードは誰でも確認できます。また、公式サイトや信頼できるリポジトリから入手すれば、そのようなリスクはほとんどありません。コマンドラインツールであるため、余計なGUIの装飾や広告表示などもありません。
  4. 高度なカスタマイズ性: GUIツールでは提供されていないような、非常に細かな設定が可能です。ファイル名の命名規則を詳細に指定したり、特定の品質の動画/音声だけをダウンロードしたり、ダウンロード後に自動的に別の処理を実行したりと、ユーザーのニーズに合わせて柔軟に設定を調整できます。これは、動画の収集や管理を自動化したい場合に特に強力な利点となります。
  5. 軽量で高速: 余計なGUIを持たないコマンドラインツールであるため、システムリソースの消費が少なく、比較的軽量に動作します。また、可能な限り高速にダウンロードするための様々な最適化が行われています。
  6. オープンソースコミュニティの力: yt-dlpの開発は世界中の開発者の貢献によって支えられています。これにより、幅広いサイトへの対応や、様々な環境での動作保証、そして迅速なバグ修正が可能となっています。問題が発生した場合や、新しい機能が必要な場合でも、コミュニティに報告することで解決につながる可能性があります。

これらの理由から、特に複数のサイトから頻繁に動画をダウンロードする必要があるユーザーや、ダウンロードプロセスを自動化したいユーザー、あるいはセキュリティを重視するユーザーにとって、yt-dlpは他のツールと比較して圧倒的に優れた選択肢となります。

インストール方法

yt-dlpを利用するための最初のステップはインストールです。yt-dlpはPythonで記述されていますが、配布されているバイナリファイルは実行に必要な依存関係がパッケージ化されているため、多くの場合、別途Pythonをインストールする必要はありません。yt-dlpはWindows, macOS, Linuxなど、様々なOSで利用できます。

インストール方法はOSや環境によっていくつか選択肢がありますが、ここでは主要な方法を解説します。

必要な依存関係 (FFmpeg)

多くの動画サイトでは、高画質の動画は映像ストリームと音声ストリームが別々に配信されています。yt-dlpはこれらのストリームをダウンロードした後、一つの動画ファイルとして結合するためにFFmpegというツールを利用します。また、ダウンロード後に動画や音声のフォーマットを変換したり、メタデータを埋め込んだりする際にもFFmpegが必要です。

yt-dlpの機能を最大限に活用するためには、FFmpegをインストールし、システムがその実行ファイルを見つけられるように(PATH環境変数に含めるなど)設定しておくことが強く推奨されます。FFmpegがインストールされていない場合でもダウンロード自体は可能なことがありますが、高品質な動画をダウンロードしようとした際に、映像と音声が分離したままになったり、ダウンロード自体が失敗したりする可能性があります。

FFmpegのインストール方法もOSによって異なります。

  • Windows: FFmpegの公式ウェブサイトからビルド済みバイナリをダウンロードし、解凍したフォルダ内のbinディレクトリにパスを通すのが一般的です。あるいは、ScoopやChocolateyといったパッケージマネージャーを利用することもできます。
  • macOS: Homebrewパッケージマネージャーを使用するのが最も簡単です。ターミナルを開き、brew install ffmpegコマンドを実行します。
  • Linux: 各ディストリビューションのパッケージマネージャーを使用します。例えばDebian/Ubuntu系ならsudo apt update && sudo apt install ffmpeg、Fedora系ならsudo dnf install ffmpeg、Arch Linux系ならsudo pacman -Sy ffmpegです。

FFmpegが正しくインストールされ、PATHが通っているかを確認するには、コマンドプロンプトやターミナルでffmpeg -versionまたはffprobe -versionと入力し、バージョン情報が表示されるか確認します。

yt-dlp本体のインストール

Windows

最も簡単な方法は、GitHubのリリースページから実行ファイル(.exeファイル)を直接ダウンロードすることです。

  1. yt-dlpのGitHubリポジトリのReleasesページにアクセスします: https://github.com/yt-dlp/yt-dlp/releases
  2. 最新のリリースの下にあるAssetsの中から、yt-dlp.exeという名前のファイルを見つけてクリックし、ダウンロードします。
  3. ダウンロードしたyt-dlp.exeファイルを、コマンドプロンプトから簡単にアクセスできる場所に配置します。例えば、C:\Users\YourUsername\Downloadsのような場所でも構いませんが、より便利なのは、システム全体のコマンドとしてどこからでも実行できるように、PATH環境変数に含まれるフォルダ(例: C:\Windows\System32や、ユーザー独自の実行ファイル用フォルダ)に配置することです。
    • PATH環境変数への追加方法 (推奨):
      1. yt-dlp.exeを配置するための新しいフォルダを作成します(例: C:\tools)。
      2. yt-dlp.exeをそのフォルダに移動します。
      3. Windowsの検索バーで「環境変数」と入力し、「システム環境変数の編集」を開きます。
      4. 「システムのプロパティ」ウィンドウで「詳細設定」タブを選び、右下の「環境変数(N)…」ボタンをクリックします。
      5. 「環境変数」ウィンドウで、システム環境変数またはユーザー環境変数のリストからPathという変数を選択し、「編集(I)…」をクリックします。
      6. 「環境変数名の編集」ウィンドウで「新規(N)」をクリックし、yt-dlp.exeを置いたフォルダのパス(例: C:\tools)を入力してEnterキーを押します。
      7. すべてのウィンドウを「OK」をクリックして閉じます。
      8. 新しいコマンドプロンプトまたはPowerShellウィンドウを開き、yt-dlp --versionと入力して正しくインストールされたか確認します。古いウィンドウでは反映されない場合があります。

または、ScoopやChocolateyといったパッケージマネージャーを利用することも可能です。これらを使えば、インストールやアップデートが簡単になります。

  • Scoop: PowerShellでscoop install yt-dlp
  • Chocolatey: コマンドプロンプトでchoco install yt-dlp
macOS

macOSでは、Homebrewというパッケージマネージャーを使うのが最も一般的で推奨される方法です。

  1. Homebrewがインストールされていない場合は、公式サイト https://brew.sh/index_ja の手順に従ってインストールします。
  2. ターミナルを開き、以下のコマンドを実行してyt-dlpをインストールします。

    bash
    brew install yt-dlp

    このコマンドは、yt-dlpだけでなく、依存関係であるFFmpegも同時にインストールしてくれます。

  3. インストールが完了したら、yt-dlp --versionと入力して正しくインストールされたか確認します。

Homebrewを使わない場合は、GitHubのリリースページからバイナリファイルをダウンロードし、実行権限を付与してPATHが通っているディレクトリ(例: /usr/local/bin/)に配置することも可能です。

Linux

Linuxでも、各ディストリビューションのパッケージマネージャーを使用するのが最も一般的です。yt-dlpは比較的新しいツールのため、古いディストリビューションの公式リポジトリには含まれていない場合があります。その場合は、pip(Pythonのパッケージインストーラー)を使うか、公式のバイナリファイルをダウンロードして配置します。

  • apt (Debian/Ubuntu系):

    bash
    sudo apt update
    sudo apt install yt-dlp ffmpeg

    もしリポジトリにyt-dlpがない場合は、以下の方法を試します。

  • dnf (Fedora系):

    bash
    sudo dnf install yt-dlp ffmpeg

  • pacman (Arch Linux系):

    bash
    sudo pacman -Sy yt-dlp ffmpeg

  • pip (Pythonがインストールされている場合):

    “`bash
    pip install yt-dlp

    あるいは、システム全体にインストールする場合は sudo を使う

    sudo pip install yt-dlp

    “`
    pipでインストールした場合、実行ファイルはPythonのScriptsディレクトリなどに配置されます。それがPATHに含まれているか確認してください。

  • 公式バイナリのダウンロード: パッケージマネージャーで利用できない場合や、最新版を使いたい場合は、GitHubのリリースページからバイナリをダウンロードし、実行権限を付与してPATHの通ったディレクトリに配置します。

    “`bash

    最新版のダウンロードURLは適宜確認

    sudo curl -L https://github.com/yt-dlp/yt-dlp/releases/latest/download/yt-dlp -o /usr/local/bin/yt-dlp
    sudo chmod a+rx /usr/local/bin/yt-dlp

    FFmpegも同様にインストールが必要

    “`

インストールが完了したら、ターミナルを開き、yt-dlp --versionと入力して正しくインストールされたか確認します。

インストール後の確認とアップデート

インストールが完了したら、コマンドプロンプトまたはターミナルで以下のコマンドを実行し、バージョン情報が表示されることを確認してください。

bash
yt-dlp --version

また、FFmpegが認識されているかも確認しておくと良いでしょう。yt-dlp --versionの出力にFFmpegの情報が含まれているか確認するか、あるいは以下のコマンドを実行します。

bash
ffmpeg -version

yt-dlpは頻繁にアップデートされます。特にダウンロードがうまくいかなくなった場合は、最新版にアップデートすることで問題が解決することがよくあります。アップデート方法は、インストール方法によって異なります。

  • Homebrew (macOS): brew upgrade yt-dlp
  • パッケージマネージャー (Linux): sudo apt update && sudo apt upgrade yt-dlp (aptの場合) など
  • pip: pip install --upgrade yt-dlp
  • 直接ダウンロードしたバイナリ: 再度最新版をダウンロードして既存のファイルを上書きします。自動アップデート機能もありますが、手動またはパッケージマネージャーでの管理が推奨されます。

基本的な使い方

yt-dlpはコマンドラインツールです。基本的な使い方は非常にシンプルで、コマンドプロンプトやターミナルを開き、yt-dlpコマンドの後にダウンロードしたい動画のURLを指定して実行します。

コマンドの基本構造は以下のようになります。

bash
yt-dlp [オプション] [URL]

最もシンプルなダウンロード

最も基本的な使い方は、単に動画のURLを指定するだけです。

bash
yt-dlp https://www.youtube.com/watch?v=XXXXXXXXXXX

または

bash
yt-dlp https://vimeo.com/XXXXXXXXX

このコマンドを実行すると、yt-dlpは指定されたURLの動画情報を解析し、自動的に最適なフォーマット(通常は高画質で、映像と音声が結合されたもの)を選択して、現在のディレクトリにダウンロードを開始します。ダウンロード中の進行状況や速度が表示されます。

ダウンロード先の指定とファイル名の命名規則

デフォルトでは、ダウンロードされたファイルはコマンドを実行したディレクトリに、動画のタイトルをもとにしたファイル名で保存されます。ダウンロード先を変更したり、ファイル名の規則をカスタマイズしたい場合は、-oまたは--outputオプションを使用します。

-oオプションには、保存したいファイルパスを指定します。パスには、特定のディレクトリや、ファイル名のテンプレートを含めることができます。

例: 特定のディレクトリに保存する

bash
yt-dlp -o "/path/to/your/videos/%(title)s.%(ext)s" https://www.youtube.com/watch?v=XXXXXXXXXXX

上記の例では、/path/to/your/videos/というディレクトリに、動画のタイトルと拡張子(例: 動画のタイトル.mp4)というファイル名で保存されます。Windowsの場合はパスの区切り文字をバックスラッシュ(\)にするか、引用符で囲んでスラッシュ(/)のまま使用できます。

-oオプションで使用できるファイル名のテンプレート変数には様々なものがあります。よく使われるものには以下のようなものがあります。

  • %(title)s: 動画のタイトル
  • %(id)s: 動画のID (YouTubeならwatch?v=の後の文字列)
  • %(url)s: 動画のURL
  • %(ext)s: ファイルの拡張子
  • %(uploader)s: 動画の投稿者名/チャンネル名
  • %(uploader_id)s: 投稿者のID
  • %(upload_date)s: 公開日 (YYYYMMDD形式)
  • %(duration)s: 動画の長さ (秒)
  • %(playlist)s: 所属するプレイリストのタイトル
  • %(playlist_index)s: プレイリスト内での番号
  • %(channel)s: チャンネル名 (YouTubeなど)
  • %(channel_id)s: チャンネルID
  • %(series)s: シリーズ名 (可能な場合)
  • %(episode)s: エピソード名 (可能な場合)

これらの変数を組み合わせて、柔軟なファイル命名規則を設定できます。例えば、「投稿者名/公開年/動画タイトル.拡張子」のような階層構造で保存したい場合:

bash
yt-dlp -o "%(uploader)s/%(upload_date)s/%(title)s.%(ext)s" https://www.youtube.com/watch?v=XXXXXXXXXXX

これで、例えば「Tech Channel/20231027/最新技術解説.mp4」のように、投稿者名のサブディレクトリ内に、公開日とタイトルで命名されたファイルが保存されます。

特定のフォーマット/品質を選択する

yt-dlpは、サイトが提供する様々なフォーマットや品質の中から、ダウンロードするものを選ぶことができます。利用可能なフォーマットを確認するには、-Fまたは--list-formatsオプションを使います(ダウンロードはされません)。

bash
yt-dlp -F https://www.youtube.com/watch?v=XXXXXXXXXXX

このコマンドを実行すると、以下のようなフォーマットリストが表示されます(内容は動画によって異なります)。

[youtube] XXXXXXXXXXX: Downloading webpage
[youtube] XXXXXXXXXXX: Downloading ios player API JSON
[youtube] XXXXXXXXXXX: Downloading android player API JSON
[info] Available formats for XXXXXXXXXXX:
ID EXT RESOLUTION FPS │ FILESIZE TBR PROTO
────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────
sb2 mp4 audio only │ 11 KiB 9k mhtml_dash
sb1 mp4 audio only │ 11 KiB 9k mhtml_dash
249 webm audio only tiny│ 174 KiB 56k dash audio/webm @ 56k (44100Hz, opus)
250 webm audio only tiny│ 209 KiB 68k dash audio/webm @ 68k (44100Hz, opus)
140 mp4 audio only tiny│ 428 KiB 139k dash audio/mp4 @ 139k (44100Hz, aac)
251 webm audio only tiny│ 444 KiB 145k dash audio/webm @ 145k (48000Hz, opus)
... (多くのオーディオフォーマット) ...
278 webm 256x144 30 │ 383 KiB 125k dash video/webm @ 125k, vp9
160 mp4 256x144 30 │ 415 KiB 135k dash video/mp4 @ 135k, avc1.4d400c
242 webm 426x240 30 │ 679 KiB 222k dash video/webm @ 222k, vp9
133 mp4 426x240 30 │ 719 KiB 235k dash video/mp4 @ 235k, avc1.4d4015
... (多くのビデオフォーマット) ...
18 mp4 640x360 25 │ 7.2 MiB 237k unknown (360p)
22 mp4 1280x720 25 │ 17.5 MiB 573k unknown (720p)
... (結合済みの古いフォーマット) ...

このリストには、IDEXT(拡張子)、RESOLUTIONFPS(フレームレート)、FILESIZE(ファイルサイズ)、TBR(平均ビットレート)、PROTOCOL(配信プロトコル)などが表示されます。IDはそれぞれのフォーマットを一意に識別するコードです。

IDが数字のみでaudio onlyvideo onlyと表示されているものは、映像と音声が分離したストリームです。これらをダウンロードして結合するにはFFmpegが必要です。IDが数字で、RESOLUTIONが指定されているものは、映像と音声が結合済みの古いフォーマットです。

ダウンロードしたいフォーマットを指定するには、-fまたは--formatオプションを使用し、上記のリストのIDを指定します。複数のフォーマットIDを+で繋ぐことで、分離した映像ストリームと音声ストリームをダウンロードして結合させることができます。

例: 最高品質の映像と音声をダウンロードして結合する (FFmpegが必要)

bash
yt-dlp -f bestvideo+bestaudio https://www.youtube.com/watch?v=XXXXXXXXXXX

bestvideoは最も解像度やビットレートが高い映像ストリームを、bestaudioは最もビットレートが高い音声ストリームを自動的に選択します。これが最も一般的に推奨される高品質ダウンロード方法です。

例: 特定の解像度の映像と最高品質の音声をダウンロードする

“`bash
yt-dlp -f 137+bestaudio https://www.youtube.com/watch?v=XXXXXXXXXXX

上記のリストでID 137 が 1920×1080 のMP4映像ストリームだった場合

“`

例: 結合済みの古いフォーマットをダウンロードする (例えばID 22, 720pのMP4)

“`bash
yt-dlp -f 22 https://www.youtube.com/watch?v=XXXXXXXXXXX

この場合はFFmpegは不要なことが多いですが、品質は bestvideo+bestaudio より劣ることがあります。

“`

複数のフォーマットIDをカンマ区切りで指定することで、ダウンロードできなかった場合のフォールバック(代替)を指定することも可能です。

“`bash
yt-dlp -f bestvideo+bestaudio,best https://www.youtube.com/watch?v=XXXXXXXXXXX

best は yt-dlp が自動で選択する最適なフォーマット(通常は bestvideo+bestaudio と同じ)

“`

オーディオのみをダウンロードする

動画ファイル全体は不要で、音声トラックだけをダウンロードしたい場合もよくあります。これには-xまたは--extract-audioオプションを使用します。通常、音声はMP4やWebM形式でダウンロードされますが、FFmpegと連携することで、MP3やAACといった他のフォーマットに変換して保存できます。

例: 音声トラックを抽出し、MP3形式で保存する (FFmpegが必要)

bash
yt-dlp -x --audio-format mp3 https://www.youtube.com/watch?v=XXXXXXXXXXX

--audio-formatオプションで変換したいフォーマットを指定します (mp3, aac, wav, flac, opusなど)。指定しない場合、デフォルトでbestが選ばれ、通常はオリジナルに近い形式(opusまたはaac)で抽出されます。

音質を指定したい場合は--audio-qualityオプションを使います。0が最高音質、9が最低音質(MP3の場合)、あるいはビットレート(例: 192K)を指定することも可能です。

bash
yt-dlp -x --audio-format mp3 --audio-quality 0 https://www.youtube.com/watch?v=XXXXXXXXXXX

プレイリストやチャンネルを一括ダウンロードする

yt-dlpは単一の動画だけでなく、プレイリストやチャンネルに含まれる複数の動画を一括でダウンロードする機能も強力です。

プレイリストのURLを指定するだけですべての動画をダウンロードできます。

bash
yt-dlp https://www.youtube.com/playlist?list=PL...

チャンネルのURLを指定することも可能です(通常、最新の動画から順にダウンロードされます)。

bash
yt-dlp https://www.youtube.com/channel/UC...

ダウンロードする動画数を制限したい場合は、--max-downloadsオプションを使用します。

“`bash
yt-dlp –max-downloads 10 https://www.youtube.com/playlist?list=PL…

プレイリストの最初の10件をダウンロード

“`

プレイリスト内の特定の範囲や、個別のアイテムだけをダウンロードしたい場合は、--playlist-start, --playlist-end, --playlist-itemsオプションが利用できます。

“`bash
yt-dlp –playlist-start 5 –playlist-end 10 https://www.youtube.com/playlist?list=PL…

プレイリストの5番目から10番目の動画をダウンロード

“`

“`bash
yt-dlp –playlist-items 1,5,8 https://www.youtube.com/playlist?list=PL…

プレイリストの1番目、5番目、8番目の動画をダウンロード

“`

ダウンロード済みファイルのスキップ: プレイリストやチャンネルを定期的にダウンロードする場合、すでにダウンロード済みの動画をスキップしたいことがよくあります。--download-archiveオプションを使用すると、ダウンロードした動画のIDをファイルに記録し、次回以降そのIDが含まれていればスキップするようになります。

“`bash
yt-dlp –download-archive downloaded_videos.txt https://www.youtube.com/playlist?list=PL…

downloaded_videos.txt にダウンロードした動画IDが記録される

``
次回同じコマンドを実行すると、
downloaded_videos.txt`に含まれる動画はスキップされます。

その他の便利な基本オプション

  • ダウンロードの再開: 通信が途切れたなどでダウンロードが中断した場合、同じコマンドを再度実行すると多くの場合自動的に中断箇所から再開されます。明示的に再開を試みるには--continueオプションを使用します(通常はデフォルトで有効)。
  • ダウンロードのスキップ: 特定の条件でダウンロードをスキップしたい場合に--match-filter--reject-titleなどのオプションが使えます。例えば、特定の単語を含むタイトルの動画はスキップするなど。
  • 動画情報の表示: -jまたは--dump-jsonオプションを使うと、ダウンロードせずに動画のメタデータなどの情報をJSON形式で表示できます。これはスクリプトで情報を処理する際に非常に便利です。

    bash
    yt-dlp -j https://www.youtube.com/watch?v=XXXXXXXXXXX

これらの基本的なオプションを組み合わせるだけでも、かなり多くのニーズに対応できます。しかし、yt-dlpの真価は、次に説明する高度な機能と豊富なオプションにあります。

高度な使い方・便利な機能

yt-dlpには、様々な高度な機能や便利なオプションが用意されています。これらを使いこなすことで、より柔軟かつ効率的に動画をダウンロード・管理することができます。

メタデータの埋め込みとサムネイルの保存/埋め込み

ダウンロードした動画ファイルに、タイトル、投稿者、公開日などのメタデータを埋め込むことができます。これにより、メディアプレイヤーやファイルブラウザで動画情報を確認しやすくなります。--add-metadataオプションを使用します。

bash
yt-dlp --add-metadata https://www.youtube.com/watch?v=XXXXXXXXXXX

さらに、動画のサムネイル画像をファイルとして保存したり、動画ファイル自体に埋め込んだりすることも可能です。

  • サムネイルの保存: --write-thumbnailオプションを使用します。サムネイル画像がダウンロードされた動画ファイルと同じディレクトリに保存されます。

    bash
    yt-dlp --write-thumbnail https://www.youtube.com/watch?v=XXXXXXXXXXX

  • サムネイルの埋め込み: --embed-thumbnailオプションを使用します。ダウンロードした動画ファイル(MP4やMKVなどのコンテナ形式の場合)にサムネイル画像が埋め込まれます。FFmpegが必要です。

    bash
    yt-dlp --embed-thumbnail https://www.youtube.com/watch?v=XXXXXXXXXXX

メタデータの埋め込みやサムネイルの埋め込みは、特にダウンロードした動画ライブラリを整理・管理する上で非常に有用です。

字幕のダウンロード

動画によっては、クローズドキャプション(CC)や自動生成字幕、あるいは手動で作成された字幕が提供されています。yt-dlpはこれらの字幕ファイルをダウンロードすることができます。

利用可能な字幕一覧を確認するには、--list-subsオプションを使います。

bash
yt-dlp --list-subs https://www.youtube.com/watch?v=XXXXXXXXXXX

このコマンドを実行すると、利用可能な字幕言語コード(en, ja, esなど)とフォーマット(vtt, srv1, ttmlなど)が表示されます。

字幕をダウンロードするには、--write-subsオプションを使用します。自動生成字幕もダウンロードしたい場合は、--write-auto-subsも追加します。

bash
yt-dlp --write-subs --write-auto-subs https://www.youtube.com/watch?v=XXXXXXXXXXX

特定の言語の字幕だけをダウンロードしたい場合は、--sub-langsオプションで言語コードをカンマ区切りで指定します。

“`bash
yt-dlp –write-subs –sub-langs ja,en https://www.youtube.com/watch?v=XXXXXXXXXXX

日本語と英語の字幕をダウンロード

“`

ダウンロードした字幕ファイルは、通常、動画ファイルと同じディレクトリに保存されます。動画ファイルに字幕を埋め込みたい場合は、--embed-subsオプションを使用します(FFmpegが必要です)。

bash
yt-dlp --write-subs --embed-subs https://www.youtube.com/watch?v=XXXXXXXXXXX

SponsorBlock統合

YouTubeで人気のブラウザ拡張機能「SponsorBlock」は、動画内のスポンサーセグメント、自己プロモーション、イントロ、アウトロなどをユーザーが報告し、共有するデータベースです。yt-dlpは、このSponsorBlockデータベースと連携し、ダウンロード時にこれらのセグメントを自動的に処理することができます。

--sponsorblock-removeオプションを使用すると、指定した種類のセグメントを動画から削除してダウンロードします(FFmpegが必要です)。指定できる種類はsponsor, selfpromo, intro, outro, interaction, nostreak, preview, music_offtopic, allなどがあります。

“`bash
yt-dlp –sponsorblock-remove all https://www.youtube.com/watch?v=XXXXXXXXXXX

動画内の全てのSponsorBlockセグメントを削除してダウンロード

“`

セグメントを削除するのではなく、マークだけしたい場合は--sponsorblock-markオプションを使用します。

これらの機能は、特に広告や不要な部分を含まない動画をアーカイブしたい場合に非常に便利です。

認証が必要なサイトからのダウンロード

一部のサイトでは、動画の視聴にログインが必要だったり、有料会員登録が必要だったりします。yt-dlpはこれらのサイトからのダウンロードにも対応しています。

  • ユーザー名とパスワード: --username--passwordオプションでログイン情報を指定できます。

    bash
    yt-dlp --username YourUsername --password YourPassword https://example.com/premium/video/XXXXXXXXXXX

    パスワードをコマンドラインに平文で記述するのはセキュリティ上推奨されません。--netrcオプションを使用すると、.netrcファイル(ユーザーのホームディレクトリに配置)からログイン情報を読み込むことができます。

  • クッキー: 多くのサイトでは、ログイン状態はブラウザのクッキーによって管理されています。yt-dlpはブラウザからクッキーを読み込んで認証状態を維持することができます。--cookies-from-browserオプションを使用し、ブラウザ名を指定します。

    “`bash
    yt-dlp –cookies-from-browser firefox https://example.com/premium/video/XXXXXXXXXXX

    Firefoxからクッキーを読み込む (対応ブラウザ: chrome, firefox, edge, safariなど)

    ``
    特定のクッキーファイルを指定することも可能です。
    –cookies`オプションを使用します。

    “`bash
    yt-dlp –cookies cookies.txt https://example.com/premium/video/XXXXXXXXXXX

    cookies.txt ファイルからクッキーを読み込む

    “`
    クッキーファイルは、ブラウザの拡張機能などを使ってエクスポートする必要があります。

プロキシ/VPN経由でのダウンロード

特定の国/地域でしか視聴できない動画をダウンロードしたい場合など、プロキシサーバーやVPNを経由してダウンロードしたいことがあります。--proxyオプションを使用します。

bash
yt-dlp --proxy http://your.proxy.server:port https://region-locked-video-url.com

SOCKSプロキシやHTTPSプロキシもサポートされています。

ダウンロード速度の制限

ネットワーク帯域幅を他の用途と共有したい場合など、yt-dlpのダウンロード速度を制限したいことがあります。--limit-rateオプションを使用し、速度をバイト/秒で指定します(KMを付けてキロバイト/秒、メガバイト/秒を指定できます)。

“`bash
yt-dlp –limit-rate 1M https://www.youtube.com/watch?v=XXXXXXXXXXX

ダウンロード速度を1MB/秒に制限

“`

ユーザーエージェント/リファラーの指定

一部のサイトでは、特定のユーザーエージェント文字列やリファラーヘッダーをチェックして、ダウンロードツールからのアクセスをブロックする場合があります。yt-dlpはこれらの値を偽装することができます。

bash
yt-dlp --user-agent "Mozilla/5.0 (Windows NT 10.0; Win64; x64) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/94.0.4606.61 Safari/537.36" https://example.com/video/XXXXXXXXXXX
yt-dlp --referer https://example.com/ https://example.com/video/XXXXXXXXXXX

ダウンロード後アクション(–exec)

ダウンロードが完了した後に、指定したコマンドを自動的に実行することができます。これは、ダウンロードしたファイルを別の場所に移動したり、別のツールで処理したりする際に非常に便利です。--execオプションを使用し、実行したいコマンドを指定します。コマンド文字列中では、ダウンロードしたファイルパスを{filepath}という変数で参照できます。

“`bash
yt-dlp -o “%(title)s.%(ext)s” –exec “mv {} /path/to/destination/” https://www.youtube.com/watch?v=XXXXXXXXXXX

ダウンロード後、ファイルを別のディレクトリに移動 ({} は {filepath} の省略形)

“`

複雑な処理を実行したい場合は、シェルスクリプトやバッチファイルを指定することも可能です。

設定ファイルの使用

毎回同じオプションを指定するのは手間がかかります。yt-dlpは設定ファイルに対応しており、よく使うオプションをあらかじめ記述しておくことができます。

設定ファイルは、通常、ユーザーのホームディレクトリ配下の.config/yt-dlp/config (Linux/macOS) または %APPDATA%\yt-dlp\config.txt (Windows) に配置します。設定ファイルには、コマンドラインで指定するオプションを1行に1つずつ記述します。コメントは#で開始します。

例: 設定ファイル (config) の内容

“`

ダウンロードディレクトリを指定

-o /path/to/your/videos/%(uploader)s/%(title)s.%(ext)s

最高品質のフォーマットを優先

-f bestvideo+bestaudio/best

メタデータとサムネイルを埋め込む

–add-metadata
–embed-thumbnail

字幕をダウンロード (日本語と英語)

–write-subs
–write-auto-subs
–sub-langs ja,en

SponsorBlockセグメントを削除

–sponsorblock-remove all
“`

この設定ファイルを作成しておけば、コマンドラインではURLを指定するだけで、これらのオプションが自動的に適用されます。

“`bash
yt-dlp https://www.youtube.com/watch?v=XXXXXXXXXXX

configファイルの設定が適用されてダウンロードされる

“`

コマンドラインで指定したオプションは、設定ファイルの記述よりも優先されます。

並列ダウンロード

複数の動画を同時にダウンロードすることで、全体のダウンロード時間を短縮できる場合があります。yt-dlp-Nまたは--concurrent-fragmentsオプションで、同時にダウンロードする動画数を指定できます。

“`bash
yt-dlp -N 4 https://www.youtube.com/playlist?list=PL…

プレイリストの動画を4つ同時にダウンロード

“`

ただし、同時に多くの動画をダウンロードすると、ネットワーク帯域幅を圧迫したり、サイト側に負荷をかけすぎたりする可能性があるので注意が必要です。

これらの高度な機能やオプションを駆使することで、yt-dlpは単なる動画ダウンローダーにとどまらず、強力なメディア収集・管理ツールとして機能します。

対応サイトについて深く掘り下げる

yt-dlpの最も強力な特徴の一つは、その驚異的な対応サイト数です。そのリストは常に拡大しており、特定のサイトに対応しているか知りたい場合は、まずyt-dlpを試してみる価値があります。

対応サイトの一覧は、以下のコマンドで確認できます。

bash
yt-dlp --list-extractors

このコマンドを実行すると、yt-dlpが現在対応しているすべてのサイト名(Extractor名)がアルファベット順にリストアップされます。その数は数千に及びます。もちろん、すべてのサイトが完璧に対応しているわけではなく、特定の機能(例: 高画質オプション、字幕)が利用できない場合や、サイト側の仕様変更によって一時的にダウンロードできなくなる場合もありますが、開発コミュニティによって迅速な対応が行われています。

以下に、YouTube以外でyt-dlpが対応している主要なサイトの例をいくつか挙げ、それぞれの特徴や注意点に軽く触れます。

  • ニコニコ動画: 日本の主要な動画共有サイトです。ログインが必要な動画や、コメント付きの動画などにも対応しています。コメントをダウンロードするオプションも存在します。
  • Vimeo: 高品質な動画が多いクリエイター向けの動画共有サイトです。パスワード保護された動画や、Pro/Businessアカウント限定の機能に関連する動画にも対応できる場合があります(ログイン情報やクッキーが必要です)。
  • Dailymotion: YouTubeに次ぐ規模の動画共有サイトです。様々なカテゴリーの動画に対応しています。
  • Twitter/X: Twitterのタイムラインに投稿された動画やGIF画像をダウンロードできます。ログインが必要な場合もあります。
  • Instagram: 投稿に含まれる動画や画像をダウンロードできます。ストーリーやライブアーカイブなどにも対応できる場合があります。プライベートアカウントのコンテンツには、ログイン情報が必要です。
  • TikTok: 短尺動画プラットフォームです。透かしなしで動画をダウンロードするオプションなどが用意されています。
  • Twitch: ゲーム実況などで人気のライブストリーミングプラットフォームです。ライブ配信のVOD(過去の配信アーカイブ)やクリップをダウンロードできます。サブスクライバー限定のコンテンツにはログインが必要です。
  • BiliBili (bilibili.com): 中国の主要な動画共有サイトです。多パート構成の動画や、コメント(弾幕)のダウンロードにも対応できる場合があります。
  • SoundCloud / Bandcamp: 動画だけでなく、音楽配信サービスからの音声ファイルダウンロードにも対応しています。
  • Various News Sites: BBC, CNN, The New York Times, Reutersなど、多くのニュースメディアが提供する動画コンテンツにも対応しています。
  • Educational Platforms: Coursera, edX, Udemyなど、一部のオンライン教育プラットフォームの動画にも対応できる場合があります(受講登録やログインが必要です)。
  • Adult Sites: 一部の成人向けサイトの動画にも対応していますが、利用は自己責任であり、倫理的・法的な側面に十分注意する必要があります。

これらのサイト以外にも、地方のテレビ局のウェブサイト、企業のプロモーションサイト、個人のブログやポートフォリオサイトに埋め込まれた動画など、非常に幅広い種類のサイトに対応しています。

新しいサイトに対応する場合、あるいは既存のサイトの仕様が変更された場合は、コミュニティの誰かが新しいExtractorを作成したり、既存のExtractorを修正したりすることで対応が進みます。これはオープンソースプロジェクトであるyt-dlpの大きな強みです。もしあなたが特定のサイトからのダウンロードに挑戦してうまくいかなかった場合、それがまだ対応していないサイトであれば、GitHubのリポジトリでIssueを立てたり、自分でExtractorを作成して貢献したりすることも可能です。

対応サイトの豊富さは、yt-dlpが単なる「YouTubeダウンローダー」ではなく、「インターネット上の様々な動画コンテンツを取得するための汎用ツール」であることを明確に示しています。

FFmpeg/FFprobeの重要性

前のセクションでも何度か触れましたが、yt-dlpの機能を最大限に引き出すためには、FFmpegという別のツールが不可欠です。FFmpegは、動画や音声のエンコード、デコード、トランスコーディング、ミキシング、ストリーミングなど、様々なマルチメディア処理を行うための非常に強力で汎用的なコマンドラインツールです。

なぜyt-dlpがFFmpegを必要とするのでしょうか? 主な理由は以下の通りです。

  1. 映像ストリームと音声ストリームの結合: YouTubeなどの多くのサイトでは、高画質の動画を配信する際に、映像トラックと音声トラックを別々のストリームとして配信しています。これは、様々な解像度の映像と、様々なビットレート/コーデックの音声を、クライアント側(ブラウザやアプリ)で自由に組み合わせて最適な視聴体験を提供できるようにするためです。yt-dlpはこれらの分離されたストリームをそれぞれダウンロードしますが、最終的に多くのユーザーが必要とするのは、映像と音声が一つになった動画ファイルです。FFmpegは、ダウンロードされた映像ストリームと音声ストリームをロスレス(品質劣化なし)で一つのコンテナファイル(MP4, MKVなど)に結合する役割を担います。FFmpegがない場合、yt-dlpは映像と音声が分離したままのファイルをダウンロードするしかありません(または、そもそも高品質なフォーマットを選択できない場合があります)。
  2. フォーマット変換: --extract-audioオプションで音声のみをダウンロードし、それをMP3やAACなどの特定の音声フォーマットに変換したい場合、FFmpegがその変換処理を行います。動画ファイルを別のコンテナ形式に変換したり、エンコード設定を変更したりする場合もFFmpegが必要です。
  3. メタデータの埋め込み: --add-metadata--embed-thumbnail, --embed-subsといったオプションで、ダウンロードした動画ファイルにメタデータを書き込んだり、サムネイル画像や字幕を埋め込んだりする際にも、多くの場合はFFmpegが利用されます。
  4. セグメントの処理: SponsorBlock統合で特定のセグメントを動画から削除したり、あるいは特定のセグメントだけを切り出したりする際にも、動画の再エンコードや結合が必要になるため、FFmpegが使用されます。

FFmpegが正しくインストールされ、yt-dlpから実行可能(PATHが通っているなど)な状態になっていないと、以下のような問題が発生する可能性があります。

  • 高画質(例えば1080pや4K)の動画をダウンロードしようとしても、映像と音声が別々のファイルとして保存される。
  • 音声のみをMP3などに変換してダウンロードできない。
  • メタデータの埋め込みやサムネイルの埋め込みができない。
  • SponsorBlockによるセグメント削除機能が利用できない。

多くの場合、yt-dlpはFFmpegが見つからない場合に警告メッセージを表示します。快適にyt-dlpを利用するためには、FFmpegのインストールが強く推奨されます。インストール方法は前述の「インストール方法」セクションを参照してください。

FFmpegのインストールが完了したら、以下のコマンドを実行してyt-dlpがFFmpegを認識しているか確認できます。

bash
yt-dlp --version

このコマンドの出力に、Build: ffmpegのような記述が含まれていれば、yt-dlpはFFmpegを見つけられている可能性が高いです。あるいは、-f bestvideo+bestaudioオプションを使って動画をダウンロードしてみて、映像と音声が結合された一つのファイルとして保存されるかを確認することもできます。

トラブルシューティングとよくある問題

yt-dlpは非常に強力で安定したツールですが、インターネット上の動画配信環境は常に変化しているため、時として問題が発生することもあります。ここでは、yt-dlpを使用する上での一般的な問題とその解決策、およびトラブルシューティングの方法について解説します。

1. ダウンロードが突然できなくなった

  • 原因: 最も一般的な原因は、サイト側の仕様変更です。特にYouTubeのような大手サイトは頻繁に配信方法やHTML構造を変更するため、yt-dlpのExtractorが古くなると正しく動画情報が取得できなくなります。
  • 解決策: yt-dlpを最新版にアップデートしてください。開発コミュニティはサイトの変更に迅速に対応しており、多くの場合、最新版にアップデートすることで問題は解決します。
    • Homebrew (macOS): brew upgrade yt-dlp
    • パッケージマネージャー (Linux): sudo apt update && sudo apt upgrade yt-dlp など
    • pip: pip install --upgrade yt-dlp
    • 直接ダウンロードしたバイナリ: GitHubのリリースページから最新の実行ファイルをダウンロードし、既存のものと置き換えます。
  • 補足: アップデートしても解決しない場合、あるいはアップデート後すぐに問題が発生した場合は、そのサイトの仕様変更がごく最近行われた可能性があります。開発者が対応するのを待つか、問題を報告(Issueを立てる)することを検討してください。

2. 特定の動画やサイトからダウンロードできない

  • 原因:
    • そのサイトにyt-dlpがまだ対応していない。
    • 特定の動画が、視聴に特殊な条件(例: ログイン、有料会員、特定のIPアドレス範囲)を必要とする。
    • サイト側がダウンロードツールからのアクセスを積極的にブロックしている。
    • 動画が削除された、非公開になった、URLが変更された。
  • 解決策:
    • まずyt-dlp --list-extractorsでそのサイトに対応しているか確認します。対応していない場合はダウンロードできません。
    • ログインやクッキーが必要な場合は、--username, --password, --cookies-from-browserなどのオプションを正しく指定しているか確認します。
    • URLが正しいか、動画が現在も公開されているかブラウザで確認します。
    • 詳細なログを取得する: 問題の原因を特定するために、-vまたは--verboseオプションを付けてコマンドを実行してください。

      bash
      yt-dlp -v https://problematic-video-url.com/XXXXXXXXXXX

      出力される詳細なログには、yt-dlpがサイトとどのように通信し、どのようなエラーが発生しているかが記録されています。このログは、GitHubで問題を報告する際に非常に役立ちます。

3. FFmpeg関連のエラー(動画や音声が結合されない、変換できないなど)

  • 原因: FFmpegがインストールされていない、あるいはyt-dlpからFFmpegの実行ファイルが見つけられない。
  • 解決策:
    • FFmpegが正しくインストールされているか確認します (ffmpeg -version, ffprobe -version)。
    • FFmpegの実行ファイルがあるディレクトリがシステムまたはユーザーのPATH環境変数に含まれているか確認します。含まれていない場合は追加します。
    • yt-dlp --versionを実行して、FFmpegの情報が含まれているか確認します。
    • FFmpegのバージョンが古すぎる可能性もあります。FFmpegも最新版にアップデートしてみてください。

4. ダウンロード速度が遅い

  • 原因:
    • 自身のインターネット接続速度が遅い。
    • 動画を配信しているサーバー側の問題や負荷。
    • --limit-rateオプションを意図せず設定している。
    • サイト側がダウンロードツールからの速度を制限している。
  • 解決策:
    • 自身のネットワーク環境を確認します。他のサイトからのダウンロードやブラウジング速度と比較してみてください。
    • --limit-rateオプションがコマンドや設定ファイルで設定されていないか確認します。
    • 特定のサイトでのみ遅い場合は、サイト側の問題である可能性が高いです。時間を置いて再度試すか、他のサイトでの速度と比較します。
    • プロキシ経由でダウンロードしている場合、プロキシサーバーの速度がボトルネックになっている可能性があります。

5. Windowsでのパスやファイル名の問題

  • 原因: Windowsのファイルパスの文字数制限(約260文字)を超えている、またはファイル名にWindowsで許可されない文字(\ / : * ? " < > |)が含まれている。
  • 解決策:
    • -oオプションで出力パスやファイル名テンプレートを調整し、パス全体が短くなるようにします。
    • ファイル名テンプレートからWindowsで許可されない文字を自動的に削除または置換するように設定します(yt-dlpはデフォルトでいくつかの安全でない文字を置換しますが、さらにカスタマイズしたい場合は--restrict-filenames--windows-filenamesオプションを確認してください)。
    • Windows 10以降であれば、長いパス名の制限を解除する設定を有効にすることを検討します(グループポリシーエディターやレジストリを編集)。

6. パーミッションエラー

  • 原因: ダウンロード先に指定したディレクトリに、現在のユーザーがファイルを書き込む権限がない。
  • 解決策:
    • ダウンロード先のディレクトリに対して、ファイルの書き込み権限があるか確認します。
    • 別のディレクトリ(例: ユーザーのDocumentsやDownloadsフォルダ)にダウンロードしてみます。
    • 管理者権限(Windowsの「管理者として実行」、Linux/macOSのsudo)でコマンドを実行する必要があるか検討します(ただし、通常はユーザーディレクトリへのダウンロードに管理者権限は不要です)。

7. バグや未対応の機能

  • 原因: yt-dlp自体のバグ、または特定のサイトのExtractorが最新の仕様変更にまだ対応していない。
  • 解決策:
    • 最新版にアップデートしても解決しない場合は、GitHubのリポジトリで既存のIssueを確認します。同じ問題が報告されているかもしれません。
    • 同じ問題が見つからない場合は、詳細なログ(-vオプションで取得)を添えて新しいIssueを報告します。開発者やコミュニティが問題解決に取り組んでくれる可能性があります。

トラブルシューティングを行う際は、まずyt-dlpを最新版にアップデートし、それでも解決しない場合は-vオプションで詳細なログを取得して原因を探るのが基本的な流れとなります。

セキュリティと倫理的な考慮事項

yt-dlpは非常に強力なツールですが、その使用にはセキュリティおよび倫理的な側面への配慮が不可欠です。ツール自体は単なるプログラムであり、その使い方によって結果が変わります。

1. ダウンロード行為の合法性(著作権と利用規約)

  • 著作権: インターネット上の動画コンテンツのほとんどには著作権があります。著作権で保護されたコンテンツを、著作権者の許可なく複製(ダウンロード)することは、著作権法に抵触する可能性があります。多くの国の著作権法では、「個人的に、または家庭内で使用する目的」でのみ、著作権者の許諾なく複製することが例外的に認められています(私的複製)。しかし、この「私的複製」の範囲は国や法改正によって異なり、特に近年、技術的保護手段が回避されている場合や、著作権を侵害していると知りながらダウンロードする行為に対する規制が強化される傾向にあります。
  • サービスの利用規約: 各動画配信サービスは独自の利用規約を定めており、その中で動画のダウンロードやオフライン保存について規定しています。多くのサービスでは、公式アプリが提供するダウンロード機能以外でのダウンロード行為を禁止しています。yt-dlpのような非公式ツールを使ったダウンロードは、これらの利用規約に違反する可能性が高いです。利用規約違反は法的な罰則に直結するものではありませんが、サービス運営者によってアカウントの停止や削除といった措置が取られる可能性があります。

結論として、yt-dlpを使って動画をダウンロードする際は、以下の点に最大限注意し、自己責任で行う必要があります。

  • 個人的な利用に限定する: ダウンロードした動画をインターネット上に再アップロードしたり、他者に配布したり、商用利用したりすることは絶対に避けてください。これは著作権侵害となる可能性が極めて高いです。
  • 著作権者の許可がある場合: クリエイティブ・コモンズ・ライセンスで公開されている動画や、著作権者がダウンロードを許可している動画、あるいはご自身が著作権を持つ動画をダウンロードする場合は問題ありません。
  • 公開されている動画の範囲内で: 限定公開や非公開設定の動画を、権利者の許可なくダウンロードすることは避けてください。
  • 法規制の確認: お住まいの国や地域の著作権法や関連法規を確認し、適法な範囲で使用してください。
  • 利用規約への配慮: サービス側の利用規約に違反する可能性があることを理解した上で使用してください。

yt-dlpはあくまで「動画を取得する技術的な手段」を提供するツールであり、その使用によって発生する法的な責任はユーザー自身にあります。

2. セキュリティ

  • 信頼できる場所から入手する: yt-dlpの実行ファイルやソースコードは、必ず公式のGitHubリポジトリ (https://github.com/yt-dlp/yt-dlp) またはHomebrew, apt, pipなどの信頼できるパッケージマネージャーから入手してください。怪しげな第三者のウェブサイトで配布されている「yt-dlpを謳うツール」には、マルウェアやスパイウェアが仕込まれているリスクがあります。
  • オープンソースの利点: yt-dlpはオープンソースであるため、そのソースコードは公開されており、世界中の開発者やセキュリティ専門家が検証することができます。これにより、悪意のあるコードが含まれている可能性は極めて低いです。これは、ソースコードが公開されていない多くのフリーウェアダウンローダーと比較した場合の大きな利点です。
  • FFmpegなどの依存関係: FFmpegなども信頼できる公式ソースやパッケージマネージャーから入手してください。
  • コマンドラインの安全性: コマンドラインツールであるため、GUIツールにありがちな、意図しない広告表示や、インストール時に抱き合わせで不要なソフトがインストールされるといったリスクがありません。実行するのはユーザーが明確に指定したコマンドだけです。

3. 倫理的な配慮

  • サイトへの負荷: プレイリストやチャンネルの全動画を一括ダウンロードするなど、短時間に大量のダウンロードを行うと、サイト側のサーバーに負荷をかける可能性があります。特に小規模なサイトに対しては配慮が必要です。必要以上に頻繁なアクセスや、過度な並列ダウンロードは避けるように心がけましょう。
  • パスワードやクッキーの取り扱い: 認証が必要なサイトでパスワードやクッキーを使用する場合、これらの情報は機密性の高い情報です。--netrc--cookiesオプションを使うなど、コマンド履歴に残らない方法で安全に取り扱うようにしましょう。
  • プライバシー: ダウンロードしたい動画が、個人が特定される可能性のある内容(例: 知人の個人的な動画、子供の映像)を含む場合、ダウンロードや保存、共有にあたってはプライバシーに十分配慮し、関係者の許可を得るべきです。

yt-dlpは非常に便利なツールであり、適切に使用すれば多くのメリットをもたらします。しかし、常にこれらのセキュリティ、倫理、法的な側面に意識を向け、責任ある使用を心がけることが重要です。

開発と貢献

yt-dlpは活発なオープンソースプロジェクトであり、世界中のコントリビューターによって維持・改善されています。その開発はGitHub上で行われています。

  • GitHubリポジトリ: https://github.com/yt-dlp/yt-dlp
    • 最新のソースコード、リリース、Issueトラッカー(バグ報告や機能提案)、Pull Request(コード貢献)などが管理されています。
  • 開発の進め方: プロジェクトはIssueベースで管理されており、ユーザーからのバグ報告や機能要望がIssueとして登録されます。開発者やコントリビューターがこれらのIssueに対応し、コードを修正したり機能を追加したりした変更をPull Requestとして提案します。これらのPull Requestはレビューされ、問題がなければ本体のコードにマージされます。
  • コントリビューター: 誰でもyt-dlpプロジェクトに貢献することができます。貢献の方法はコードを書くことだけではありません。
    • バグ報告: ダウンロードできないサイトや動画、あるいは特定のオプションでエラーが発生する場合など、問題を発見したらGitHubのIssueトラッカーで報告することで、プロジェクトの改善に貢献できます。問題を報告する際は、必ず最新版で試すこと、そして-vオプションで取得した詳細なログを添付することが非常に重要です。
    • 機能提案: 新しい機能のアイデアがあれば、Issueとして提案することができます。
    • ドキュメントの改善: ドキュメントの誤字脱字修正、分かりにくい箇所の改善、新しいオプションの説明追加など、ドキュメントへの貢献も歓迎されています。
    • コード貢献: Pythonでのプログラミング経験があれば、バグ修正や新しいExtractorの作成/修正、既存機能の改善といったコードレベルでの貢献が可能です。コントリビューションガイドラインが用意されているので、それに従って作業を進めることができます。
    • テスト: 新しいExtractorや機能が正しく動作するかテストするだけでも貢献になります。
    • 翻訳: yt-dlpのヘルプメッセージやドキュメントを他の言語に翻訳する貢献も可能です。

オープンソースプロジェクトはコミュニティの力によって支えられています。もしあなたがyt-dlpを便利だと感じているなら、何らかの形でプロジェクトに貢献することを検討してみてはいかがでしょうか。それは必ずしも高度なプログラミングスキルを必要とするものではありません。

まとめ

この記事では、YouTubeだけでなく様々なサイトに対応する強力な動画ダウンロードツールであるyt-dlpについて、その概要から詳細な使い方、インストール方法、高度な機能、対応サイトの広がり、FFmpegの重要性、トラブルシューティング、そしてセキュリティや倫理的な側面、さらには開発への貢献まで、網羅的に解説しました。

yt-dlpは、元祖youtube-dlの正当な後継者として、非常に活発に開発されており、サイト側の仕様変更にも迅速に対応しています。数千に及ぶ対応サイト、豊富なコマンドラインオプションによる高いカスタマイズ性、メタデータや字幕、SponsorBlock連携といった便利な機能、そしてオープンソースとしての信頼性は、他の多くの動画ダウンロードツールと比較してyt-dlpが頭一つ抜けた存在である理由です。

最初はコマンドラインツールであることに敷居の高さを感じるかもしれませんが、一度基本的な使い方やよく使うオプションを覚えてしまえば、その強力さと柔軟性の虜になるはずです。ファイル名の命名規則をカスタマイズしたり、設定ファイルを使ったり、スクリプトと連携させたりすることで、動画の収集と管理のワークフローを大幅に効率化できます。

もちろん、便利なツールであると同時に、著作権やサービスの利用規約といった法的な側面、そして倫理的な配慮が不可欠です。ダウンロードしたコンテンツの扱いに十分注意し、自己責任において適切に使用することが重要です。

インターネット上には学びやエンターテイメントに溢れた素晴らしい動画コンテンツが日々公開されています。yt-dlpは、それらのコンテンツをオフラインで自由に楽しんだり、個人的な用途で安全にアーカイブしたりするための、まさに決定版とも言えるツールです。

ぜひこの記事を参考に、yt-dlpをインストールし、実際に使ってみてください。きっと、あなたのメディア体験がより豊かになるはずです。そして、もし可能であれば、オープンソースプロジェクトであるyt-dlpの開発やコミュニティ活動に貢献することも検討していただけると、さらに素晴らしいことです。

さあ、コマンドラインを開いて、yt-dlpの世界へ飛び込みましょう!

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