【徹底比較】FUJIFILM X-H2SとX-H2の値段・性能は?買うべきはどっち

【徹底比較】FUJIFILM X-H2SとX-H2の値段・性能は?買うべきはどっち

はじめに:FUJIFILM X-Hシリーズが示す新たなフラッグシップの姿

FUJIFILM(富士フイルム)のXシリーズは、その独特の色表現と美しい描写性能で多くの写真愛好家からプロフェッショナルまで幅広い支持を得ています。特に、APS-Cセンサー搭載のミラーレスカメラ市場において、独自のX-Trans CMOSセンサーと豊富な高性能レンズラインナップを武器に、確固たる地位を築いています。

そのXシリーズの頂点に立つフラッグシップモデルとして登場したのが「X-Hシリーズ」です。従来の「X-Tシリーズ」が写真撮影における普遍的な操作性を重視したクラシックなスタイルを踏襲しているのに対し、「X-Hシリーズ」はより先進的な機能と高い動画性能、そして快適な操作性を追求したモダンなツールとしての性格を強く持っています。一眼レフからの乗り換えユーザーや、動画と写真の両方を高いレベルで追求したいクリエイターにとって、非常に魅力的な選択肢となっています。

2022年、FUJIFILMは立て続けに2つの新しいフラッグシップモデルを発表しました。それが、まず2022年7月に発売された「FUJIFILM X-H2S」、そしてその約2ヶ月後の2022年9月に発売された「FUJIFILM X-H2」です。型番が非常に似ており、外観もほぼ同じであることから、多くのユーザーが「何が違うのだろう?」「どちらを選ぶべきか?」と疑問を抱いたことでしょう。

この2つのモデルは、まさに「フラッグシップ」という共通の称号を持ちながらも、それぞれが異なるコンセプトに基づいて開発されています。X-H2Sは「速度」と「動画性能」を極限まで追求したモデルであり、一方のX-H2は「解像度」と「描写性能」を最高レベルに引き上げたモデルと言えます。

この記事では、FUJIFILMのツインフラッグシップであるX-H2SとX-H2を、価格、そして最も重要な性能面において徹底的に比較していきます。両モデルのどこが同じで、どこが異なるのかを詳細に解説し、それぞれのモデルがどのようなユーザーにとって最適な選択肢となるのかを明らかにすることで、「結局、買うべきはどっちなのか?」という問いに対する明確な答えを導き出すことを目指します。

カメラ選びに迷っている方、特にX-Hシリーズに関心がある方は、ぜひ最後までお読みいただき、ご自身の撮影スタイルや目的に合った一台を見つけるための参考にしてください。

外観と操作性の比較:共通点とわずかな違い

まず、カメラを選ぶ上で重要な要素の一つである外観と操作性について比較します。結論から言うと、X-H2SとX-H2は外観デザインおよび基本的な操作系において、ほとんど差がありません。これは、X-Hシリーズのプラットフォームが両モデルで共有されていることを示しています。

共通するデザイン・操作性:

  1. 堅牢なボディとグリップ: 両モデルとも、マグネシウム合金製の堅牢なボディを採用しており、優れた耐久性と剛性を誇ります。大型で深く握りやすいグリップを備えており、望遠レンズなどを装着した際にも安定したホールディングが可能です。これは、プロフェッショナルユースを想定した設計と言えます。
  2. 充実したボタン・ダイヤル: 多くの機能を物理的なボタンやダイヤルに割り当てることが可能で、直感的かつ素早い操作ができます。X-Tシリーズのようなレトロなダイヤルではなく、モードダイヤルを中心とした現代的な操作系です。
  3. トップパネルのサブ液晶: 肩の部分には、撮影設定(ISO、絞り、シャッタースピードなど)やバッテリー残量、ストレージ情報などが一目で確認できるサブ液晶モニターを搭載しています。これはX-Hシリーズの大きな特徴の一つで、撮影の効率を大きく向上させます。
  4. 高精細EVF: どちらのモデルも、約576万ドットの高解像度EVF(電子ビューファインダー)を搭載しています。約0.8倍の高い倍率と滑らかな表示(最大120fps)により、光学ファインダーに近い自然な見え方と、露出や色味を撮影前に確認できるデジタルファインダーの利便性を両立しています。
  5. バリアングル背面液晶: 約162万ドットの背面液晶モニターは、縦横自在に角度を変えられるバリアングル式を採用しています。これにより、ローアングルやハイアングルからの撮影、自撮りや動画撮影時など、様々なアングルでの撮影が容易になります。
  6. 防塵・防滴・耐低温構造: マグネシウム合金ボディと各部のシーリングにより、防塵・防滴構造となっています。また、-10℃までの耐低温性能も備えており、過酷な撮影環境下でも安心して使用できます。
  7. 記録メディアスロット: CFexpress Type BとSDカード(UHS-II対応)のデュアルスロットを搭載しています。高速なCFexpress Type Bカードは、特にX-H2Sの高速連写や高ビットレート動画、X-H2の8K動画などの大容量データ記録に不可欠です。
  8. バッテリー: 大容量バッテリー「NP-W235」を使用します。これはX-T4やGFXシリーズなど、他のFUJIFILMの主要機種でも採用されているバッテリーであり、バッテリーマネジメントの面でも便利です。

わずかな違い:

外観や操作性において、本当に見分けるのが難しいほど似ています。唯一、ボディ前面のエンブレムの下に「S」が付いているかいないかで、X-H2SかX-H2かを判別できる程度です。

この高い共通性は、アクセサリーの互換性にも繋がります。例えば、どちらのモデルも同じバッテリーグリップ「VG-XH」や、熱対策用の冷却ファン「FAN-001」を装着可能です。これは、両モデルを併用するユーザーや、将来的に買い増しを検討するユーザーにとって大きなメリットとなります。

操作性に関しては、どちらのモデルもカスタマイズ性が非常に高く、ユーザーの好みに合わせてボタン機能などを細かく設定できます。タッチ操作にも対応した背面液晶と組み合わせることで、効率的で快適な撮影体験を提供します。

総じて、外観と操作性に関しては、どちらを選んでもX-Hシリーズのフラッグシップらしい高いビルドクオリティと操作感を得られると言えます。この点は、どちらか一方に明確な優位性があるわけではなく、比較においてはほぼイコールと見て良いでしょう。

価格比較:投資額の違いを知る

次に、カメラ購入において最も現実的な検討要素の一つである「価格」を比較します。発売時期が異なるため、発売当初の価格と現在の実勢価格で傾向を見ていきましょう。

発売当初の価格(参考):

  • FUJIFILM X-H2S: 2022年7月発売。ボディ単体で約35万円(税込)程度でした。
  • FUJIFILM X-H2: 2022年9月発売。ボディ単体で約27万円(税込)程度でした。

発売当初から、X-H2Sの方がX-H2よりも約8万円ほど高価でした。この価格差は、主に搭載されているセンサーの違いに起因しています。後述しますが、X-H2Sに搭載されている「積層型」センサーは、製造コストが非常に高い技術です。

現在の実勢価格(2024年春時点、目安):

カメラの価格は常に変動しており、家電量販店やオンラインストア、中古市場などによって大きく異なります。あくまで目安として、新品ボディ単体の価格帯を見てみましょう。

  • FUJIFILM X-H2S: 約29万円~33万円
  • FUJIFILM X-H2: 約23万円~26万円

(※価格は変動します。最新の価格は各販売店の情報を参照してください。)

発売から時間が経過し、価格は両モデルともに発売当初より落ち着いてきています。しかし、依然としてX-H2Sの方がX-H2よりも約6万円~8万円程度高価な傾向にあります。

価格差の要因:

この価格差の主な理由は、やはりセンサーです。

  • X-H2S: 高速読み出しが可能な「積層型」構造の約2616万画素センサーを搭載。
  • X-H2: 高解像度を追求した「裏面照射型」構造の約4020万画素センサーを搭載。

積層型センサーは、従来の裏面照射型センサーや表面照射型センサーと比較して、回路部分と受光部分、そして画像処理を行うためのメモリ層などを多層構造に積み重ねることで、データ転送速度を飛躍的に向上させています。この積層構造は製造が非常に複雑でコストがかかるため、カメラ本体価格に反映されやすい傾向があります。

一方、X-H2の裏面照射型センサーも高性能ですが、積層型に比べれば一般的な製造技術であり、コストを抑えることが可能です。その分、高画素化を実現しながらも、X-H2Sよりも安価な価格設定が可能となっています。

中古市場:

中古市場に目を向けると、さらに価格は下がります。状態の良い中古品であれば、X-H2Sが20万円台後半、X-H2が20万円台前半で購入できる可能性もあります。しかし、中古品は保証や状態にばらつきがあるため、信頼できる店舗で購入することが重要です。

結論:価格面ではX-H2に軍配

純粋な価格だけを比較すれば、X-H2の方が明確に安価です。約6万円〜8万円の価格差は、特にボディ単体で購入する場合、無視できない金額です。この価格差で高性能なレンズを購入したり、他の撮影機材に投資したりすることも可能です。

したがって、予算が限られている場合や、速度や特定の動画機能に絶対的なこだわりがないのであれば、価格面で有利なX-H2を選ぶという選択肢は非常に現実的です。ただし、この価格差が、両モデルの性能差に見合うものなのかどうか、次の性能比較で詳しく見ていく必要があります。

主要性能比較:センサーと画質 – 速度か、解像度か

X-H2SとX-H2の最も大きな違いであり、それぞれのモデルのコンセプトを決定づけているのが「イメージセンサー」です。ここを理解することが、どちらのモデルを選ぶべきか判断する上で最も重要になります。

FUJIFILM X-H2Sのセンサー:積層型「X-Trans CMOS 5 HS」 (約2616万画素)

  • センサータイプ: 積層型 裏面照射型 X-Trans CMOSセンサー
  • 画素数: 約2616万画素
  • 最大解像度: 6240 x 4160 ピクセル
  • 特徴:
    • 超高速読み出し: 積層構造と独自の回路設計により、センサーからのデータ読み出し速度が従来のセンサーと比較して圧倒的に高速です。これが、後述する高速連写やブラックアウトフリー撮影、高性能AF、高フレームレート動画などを実現する基盤となっています。
    • グローバルシャッター効果の低減: 高速読み出しのおかげで、電子シャッター使用時の「ローリングシャッター歪み」を大幅に抑制できます。これは、高速で動く被写体やパンニング撮影時に有利です。
    • 標準ISO感度: ISO 160 – 12800 (拡張 ISO 80 – 51200)
    • 画質傾向: 約2616万画素という画素数は、現在の多くのプロフェッショナル向けAPS-Cカメラで実績のある画素数です。高感度ノイズ耐性やダイナミックレンジに優れており、幅広いシーンに対応できます。FUJIFILM独自のX-Trans配列により、光学ローパスフィルターレスでもモアレや偽色を効果的に抑制し、解像感と自然な描写を両立しています。高速性を追求したセンサーですが、画質自体も非常に高いレベルにあります。

FUJIFILM X-H2のセンサー:裏面照射型「X-Trans CMOS 5 HR」 (約4020万画素)

  • センサータイプ: 裏面照射型 X-Trans CMOSセンサー
  • 画素数: 約4020万画素
  • 最大解像度: 7728 x 5152 ピクセル
  • 特徴:
    • 超高解像度: Xシリーズ史上最高となる約4020万画素を実現しています。これにより、非常に精細な描写が可能となり、細部まで鮮明に写し止めることができます。大型プリントや、写真の一部分を大きくトリミングして使用する場合に威力を発揮します。
    • 裏面照射型構造: 高画素化と同時に裏面照射型構造を採用することで、画素サイズが小さくなっても集光効率を高め、高感度性能とダイナミックレンジの低下を最小限に抑えています。
    • ベース感度の低下: 高画素化の恩恵もあり、標準ISO感度のベースがISO 125からISO 160に引き上げられています(X-H2SはISO 160)。これにより、より明るい環境での開放絞り撮影や、長時間露光を避けたい場面で有利になります。最低常用ISO感度はISO 125です。
    • 標準ISO感度: ISO 125 – 12800 (拡張 ISO 64 – 51200)
    • 画質傾向: 圧倒的な解像力が最大の特徴です。風景写真や建築写真、スタジオでの商品撮影など、細部の描写が重要なジャンルでその真価を発揮します。ポートレート撮影においても、髪の毛一本一本や肌の質感などを緻密に描写できます。高画素化によるノイズの増加が懸念されることもありますが、最新の画像処理エンジン「X-Processor 5」との組み合わせにより、良好な高感度性能を維持しています。
    • ピクセルシフトマルチショット: X-H2のみが搭載する機能です。ボディ内手ブレ補正機構を精密に制御し、センサーをわずかにずらしながら複数枚(20枚)のRAW画像を連続撮影します。これらの画像を専用ソフトウェアで合成することで、約1.6億画素相当の超高解像度画像を生成できます。静止した被写体(風景、建築物、美術品など)において、究極の解像度を求める場合に有効な機能です。

センサーの決定的な違いとその影響

特徴 FUJIFILM X-H2S FUJIFILM X-H2
センサー 積層型 裏面照射型 X-Trans CMOS 5 HS 裏面照射型 X-Trans CMOS 5 HR
画素数 約2616万画素 約4020万画素
読み出し速度 非常に高速 高速
価格 高価 比較安価
得意なこと 速度(連写、AF)、高フレームレート動画 解像度、高精細描写、8K動画、トリミング

X-H2Sの「速度」とX-H2の「解像度」という違いは、カメラの得意とする分野を明確に分けています。

  • X-H2S: 積層型センサーの高速読み出し性能を最大限に活かし、スポーツ、モータースポーツ、野鳥など、高速で動き回る被写体の撮影に特化した性能を発揮します。決定的な一瞬を逃さないための高速連写と優れたAF追従性が最大の武器です。動画性能においても、高速読み出しは高フレームレート撮影やローリングシャッター歪みの抑制に貢献します。
  • X-H2: 約4020万画素の高解像度センサーにより、風景写真家やポートレート写真家、スタジオフォトグラファーなど、写真そのものの精細さや描写力を重視するユーザーにとって魅力的な選択肢です。緻密なディテール再現と、大きなトリミング耐性が撮影表現の幅を広げます。8K動画撮影という超高解像度動画にも対応します。

どちらの画質が良いか?

これは「どちらのセンサーが得意とする表現か?」と読み替えるべき質問です。

  • 「速度を伴う決定的な瞬間を捉えること」「ローリングシャッター歪みを抑えた動画」 という意味での「画質」であれば、X-H2Sが優位です。
  • 「細部まで鮮明に写し止めること」「大きく引き伸ばしてもディテールが崩れないこと」 という意味での「画質」であれば、X-H2が優位です。

どちらのモデルも、FUJIFILM独自の美しい色再現やフィルムシミュレーションは共通して利用可能です。基本的な描写性能はどちらもフラッグシップにふさわしい非常に高いレベルにありますが、センサーの違いによる「得意分野」が明確に分かれていることを理解することが重要です。

主要性能比較:連写性能 – 一瞬を捉える力

動きのある被写体を撮影する上で、連写性能は非常に重要なスペックです。ここでは、X-H2SとX-H2の連写性能を比較し、その違いがどのような撮影体験に繋がるのかを見ていきます。

FUJIFILM X-H2Sの連写性能

  • 電子シャッター:
    • 最大40コマ/秒: AF/AE追従、ブラックアウトフリー。APS-Cサイズにクロップされますが、圧倒的な速度で一瞬を捉えます。
    • 最大30コマ/秒: AF/AE追従、ブラックアウトフリー。1.29倍にクロップされます。
    • 最大20コマ/秒: AF/AE追従、ブラックアウトフリー。クロップなし。
  • メカニカルシャッター:
    • 最大15コマ/秒: AF/AE追従。クロップなし。
  • バッファ容量:
    • JPEG: 非常に多い(実質無制限に近い)
    • 圧縮RAW: 約175枚 (40コマ/秒時)
    • ロスレス圧縮RAW: 約170枚 (40コマ/秒時)
    • 非圧縮RAW: 約140枚 (40コマ/秒時)
    • (※CFexpress Type Bカード使用時。SDカード使用時は低下します)

X-H2Sの連写性能は、積層型センサーの高速読み出し能力を最大限に活かした設計となっています。特に電子シャッター使用時の最大40コマ/秒、そしてそれが「ブラックアウトフリー」である点が最大の特徴です。

ブラックアウトフリー連写とは?
従来のカメラの連写では、シャッターを切るたびにファインダーや背面モニターが一瞬暗くなる「ブラックアウト」が発生します。高速連写になるほどこのブラックアウトが連続し、被写体の動きをリアルタイムで追従するのが難しくなります。ブラックアウトフリー連写では、センサーの高速読み出しとEVFの表示制御により、連写中でもブラックアウトせずに常に被写体を滑らかな映像で確認できます。これにより、予測不能な動きをする被写体でも、ファインダーから目を離すことなく確実に捉え続けることが可能になります。これは、スポーツや野鳥撮影など、動きモノを追う上で非常に強力なアドバンテージとなります。

40コマ/秒という速度は、人間の目では捉えきれないような一瞬の動きをも写し止めることができます。また、メカニカルシャッターでも15コマ/秒に対応しており、電子シャッターの特性(フリッカー、人工光源下での色の変化など)を避けたい場面でも高速連写が可能です。

バッファ容量も非常に大きく、高速連写を長時間維持できるため、ここぞという場面で躊躇なくシャッターを切ることができます。

FUJIFILM X-H2の連写性能

  • 電子シャッター:
    • 最大20コマ/秒: AF/AE追従。1.29倍にクロップされます。ブラックアウトは発生します。
    • 最大13コマ/秒: AF/AE追従。クロップなし。ブラックアウトは発生します。
  • メカニカルシャッター:
    • 最大15コマ/秒: AF/AE追従。クロップなし。
  • バッファ容量:
    • JPEG: 約1000枚以上 (15コマ/秒時)
    • 圧縮RAW: 約40枚 (15コマ/秒時)
    • ロスレス圧縮RAW: 約35枚 (15コマ/秒時)
    • 非圧縮RAW: 約28枚 (15コマ/秒時)
    • (※CFexpress Type Bカード使用時。SDカード使用時は低下します)

X-H2の連写性能も、メカニカルシャッターで15コマ/秒に対応しており、一般的な用途であれば十分高速です。電子シャッターでも最大20コマ/秒(クロップあり)に対応しています。

ただし、X-H2Sとの決定的な違いは、電子シャッター使用時のブラックアウトフリー連写に対応していないこと、そして電子シャッターでの最大速度が20コマ/秒に留まることです。これは、約4020万画素という高画素センサーのデータ読み出し速度が、約2616万画素の積層型センサーであるX-H2Sほど高速ではないためです。

バッファ容量も、X-H2Sと比較すると、特にRAWファイルでの連続撮影枚数が少なくなります。これは、1枚あたりのデータサイズが大きい(約4020万画素)ことに加えて、センサーのバッファそのものがX-H2Sほど大きくないためと考えられます。

連写性能における結論

特徴 FUJIFILM X-H2S FUJIFILM X-H2
電子シャッター速度 最大40コマ/秒 最大20コマ/秒 (クロップ有)
ブラックアウトフリー 対応 (電子シャッター時) 非対応
メカニカル速度 最大15コマ/秒 最大15コマ/秒
RAWバッファ 非常に多い やや少ない

連写性能においては、FUJIFILM X-H2Sが圧倒的に優位です。特に電子シャッターでの超高速連写とブラックアウトフリー撮影は、X-H2Sの最大の強みであり、スポーツフォトグラファーやネイチャーフォトグラファーにとって、決定的な瞬間を捉えるための非常に強力なツールとなります。

X-H2の連写性能も、静止画メインの一般的な撮影や、動きが比較的予測しやすい被写体であれば十分な性能を持っています。メカニカルシャッターでの15コマ/秒は多くのシーンで活用できるでしょう。しかし、最高速やブラックアウトフリーといった点で、X-H2Sには及びません。

したがって、被写体の動きを追いかけ、最高の瞬間を逃さずに大量のカットを撮影したいというユーザーにとって、X-H2Sは間違いなく最適な選択肢となります。一方、主に風景やポートレートなどを撮影し、連写はあくまでサブ機能と捉えているユーザーであれば、X-H2の連写性能でも十分満足できる可能性が高いです。

主要性能比較:動画性能 – 速度と高フレームレートか、8Kと高解像度か

近年、ミラーレスカメラにおいて動画撮影機能は非常に重要な要素となっています。X-Hシリーズは特に動画性能にも注力しており、両モデルともに高い動画性能を備えていますが、ここでも得意とする方向性が異なります。

FUJIFILM X-H2Sの動画性能

  • 最大解像度・フレームレート:
    • 6.2K (6240×4160) / 30p (3:2アスペクト)
    • DCI 4K (4096×2160) / 120p, 100p, 60p, 50p, 30p, 25p, 24p
    • 4K HQ (3840×2160) / 60p, 50p, 30p, 25p, 24p (オーバーサンプリング)
    • Full HD (1920×1080) / 240p, 200p, 120p, 100p, 60p, 50p, 30p, 25p, 24p
  • 対応コーデック:
    • Apple ProRes (HQ, 422, LT)
    • H.265/HEVC
    • H.264/AVC
  • ビット深度・色空間: 10bit 4:2:2 内部記録(ProRes含む)
  • F-Log2, F-Log, HLG: 対応
  • 外部出力: HDMI経由でProRes RAWまたはBlackmagic RAW出力に対応 (対応外部レコーダーが必要)
  • 最長記録時間: 6.2K 30pで約90分(25℃環境下)※冷却ファン使用で延長可能
  • 特徴:
    • 高フレームレート: DCI 4K/120p、Full HD/240pといった超高フレームレート撮影に対応しています。これにより、動きの速い被写体を滑らかなスローモーション映像として記録できます。
    • ローリングシャッター歪みの抑制: 高速読み出し可能な積層型センサーにより、動画撮影時のローリングシャッター歪みが非常に少ないです。素早くカメラを振ったり、高速で動く被写体を撮影したりしても、不自然な歪みが発生しにくいため、プロフェッショナルな映像制作において大きなアドバンテージとなります。
    • ProRes内部記録: 高品質な映像編集に適したApple ProResコーデックでの内部記録に対応しています。これにより、外部レコーダーなしで高品位な映像素材を得られます。
    • オーバーサンプリング4K HQ: 6.2Kの豊富な情報量から生成される4K HQは、非常に解像感の高い美しい映像が得られます。

FUJIFILM X-H2の動画性能

  • 最大解像度・フレームレート:
    • 8K (7680×4320) / 30p, 25p, 24p
    • DCI 4K (4096×2160) / 60p, 50p, 30p, 25p, 24p
    • 4K HQ (3840×2160) / 60p, 50p, 30p, 25p, 24p (オーバーサンプリング)
    • Full HD (1920×1080) / 60p, 50p, 30p, 25p, 24p
  • 対応コーデック:
    • Apple ProRes (HQ, 422, LT)
    • H.265/HEVC
    • H.264/AVC
  • ビット深度・色空間: 10bit 4:2:2 内部記録(ProRes含む)
  • F-Log2, F-Log, HLG: 対応
  • 外部出力: HDMI経由でProRes RAWまたはBlackmagic RAW出力に対応 (対応外部レコーダーが必要)
  • 最長記録時間: 8K 30pで約60分(25℃環境下)※冷却ファン使用で延長可能
  • 特徴:
    • 8K解像度: 最大の特徴は、Xシリーズとして初めて8K/30pの動画内部記録に対応したことです。約4020万画素センサーの持つ豊富な画素数を活かし、非常に高解像度で緻密な映像を記録できます。8Kでの撮影は、将来的な8K環境への対応だけでなく、4KやFull HDにダウンコンバートする際に非常に高品位な映像が得られるというメリットもあります。また、8K映像から切り出すことで、高解像度の静止画としても活用可能です。
    • オーバーサンプリング4K HQ: 8Kセンサーの情報量から生成される4K HQは、X-H2Sと同様に非常に高精細です。
    • ProRes内部記録: X-H2Sと同様にProRes内部記録に対応しており、編集耐性の高い映像素材を得られます。

動画性能における結論

特徴 FUJIFILM X-H2S FUJIFILM X-H2
最大解像度 6.2K 8K
最大フレームレート 4K/120p, FHD/240p 4K/60p, FHD/60p
ローリングシャッター 非常に少ない やや少ない (X-H2Sよりは多い)
ProRes内部記録 対応 対応
外部RAW出力 対応 (ProRes RAW / Blackmagic RAW) 対応 (ProRes RAW / Blackmagic RAW)

動画性能に関しても、両モデルのコンセプトの違いが明確に表れています。

  • X-H2S: 高速センサーを活かした高フレームレート撮影(スローモーション)と、ローリングシャッター歪みの少なさが最大の強みです。動きの速い被写体の撮影や、手持ちでの素早いカメラワークを多用するような、動きのある映像表現やドキュメンタリー撮影などに適しています。
  • X-H2: 約4020万画素センサーによる8K解像度が最大の強みです。風景や建築物、インタビューなど、じっくりと構えて高精細な映像を記録したい場合に力を発揮します。8K撮影は要求されるストレージ容量が非常に大きい点には注意が必要ですが、編集時にフレーミングの自由度が高いといったメリットもあります。

どちらのモデルも、プロフェッショナルな動画制作に対応できる高い基本性能(10bit 4:2:2内部記録、ProRes対応、F-Log2、外部RAW出力など)を備えています。

したがって、動きのある被写体をスローモーションで撮りたい、ローリングシャッター歪みを極力抑えたい、といったニーズが強い場合はX-H2Sが、とにかく最高解像度の映像を記録したい、8Kを扱いたい、将来的な高解像度環境に備えたい、といったニーズが強い場合はX-H2が、それぞれ最適な選択肢となります。

主要性能比較:AF性能 – 被写体を捉え続ける力

静止画・動画問わず、現代のカメラにおいてAF(オートフォーカス)性能はユーザー体験を大きく左右する要素です。X-Hシリーズは、最新のAFシステムを搭載しており、高い追従性能を誇ります。

  • AFシステム: 両モデルともに、最新の像面位相差AFシステムを搭載しています。X-Processor 5画像処理エンジンとの組み合わせにより、ディープラーニング技術を用いた被写体検出AFに対応しています。
  • 検出可能な被写体: 人物の顔・瞳、動物、鳥、自動車、バイク・自転車、飛行機、鉄道など、様々な被写体を高精度に検出・追従できます。
  • 追従性能: 高速な画像処理とアルゴリズムの進化により、動きの速い被写体に対しても高い精度でピントを合わせ続けられます。

AFシステム自体は、X-H2SとX-H2で基本的に共通です。どちらのモデルも、従来のXシリーズから大幅に進化した、非常に高性能なAFを実現しています。特に被写体検出AFは非常に賢く、複雑なシーンでも狙った被写体を粘り強く追従してくれます。

しかし、センサーの特性の違いが、AF性能にわずかな影響を与える可能性があります。

  • X-H2S: 積層型センサーによる超高速読み出しは、AF測距情報の取得頻度や処理速度にも貢献します。これにより、特に高速で不規則な動きをする被写体に対する追従性が、体感的にX-H2よりもわずかに優れる可能性があります。また、電子シャッター使用時の高速連写中でもAF/AE追従が可能なのは、センサーの高速読み出しによるものです。
  • X-H2: 約4020万画素センサーはデータ量が多いため、X-H2Sほどの圧倒的な読み出し速度はありません。しかし、X-Processor 5の高い処理能力と最適化されたAFアルゴリズムにより、X-H2Sに迫る非常に高いAF性能を実現しています。高画素化に伴うAF性能の低下はほとんど感じさせません。

実写におけるAFの差:

日常的な撮影や、一般的な動体撮影においては、X-H2SとX-H2でAF性能に大きな差を感じることは少ないでしょう。どちらのモデルも、人物や動物、乗り物など、主要な被写体に対して非常に正確かつ迅速なAFを行います。

ただし、最高速で動き回るスポーツや、遠距離の小さな野鳥など、AFシステムに最も負荷がかかるようなシーンにおいては、X-H2Sのセンサーが持つ「読み出し速度」の優位性が、わずかに有利に働く可能性があります。より高速なAF情報の取得や、連写中の正確な追従に貢献するためです。

また、前述したように、電子シャッターでの「ブラックアウトフリー連写中のAF追従」はX-H2Sのみの機能です。ブラックアウトがないことで被写体を追いやすくなり、結果的にAFを外しにくくなるという点で、X-H2SがAF性能において有利と言えます。

AF性能における結論

特徴 FUJIFILM X-H2S FUJIFILM X-H2
基本AFシステム 共通 (最新世代、被写体検出AF対応) 共通 (最新世代、被写体検出AF対応)
追従性能 非常に高い (センサー読み出し速度でわずかに優位) 非常に高い
ブラックアウトフリー 対応 (連写中AF追従) 非対応

基本的なAF性能はどちらも非常に高く、多くのユーザーにとって十分すぎる性能を持っています。しかし、最高レベルの動体追従性や、ブラックアウトフリー連写中の確実なAFを求めるのであれば、センサーの読み出し速度に優れるX-H2Sにわずかに分があると言えます。

静止した被写体や動きが比較的少ない被写体であれば、X-H2のAF性能で全く問題ありません。

主要性能比較:手ブレ補正機構 (IBIS)

X-Hシリーズは、全モデル共通して高性能なボディ内手ブレ補正機構(IBIS)を搭載しています。これは、暗い場所での手持ち撮影や、ブレやすい望遠レンズでの撮影、そして動画撮影時の安定性において非常に重要な機能です。

  • 機構: 5軸(上下、左右、回転、ピッチ、ヨー)に対応したセンサーシフト式の手ブレ補正機構を搭載しています。
  • 補正効果: どちらのモデルも、レンズの種類にもよりますが、最大7.0段分の補正効果を発揮します(XF35mmF1.4 R装着時など、一部レンズでは効果が最大値にならない場合もあります)。
  • 対応レンズ: OIS(光学式手ブレ補正)搭載レンズとの協調補正にも対応しており、対応レンズではさらに高い補正効果が得られる場合があります。OIS非搭載の単焦点レンズなどでも、ボディ側の手ブレ補正が有効です。
  • 動画撮影時の効果: 動画撮影時にも強力な手ブレ補正効果を発揮し、手持ちでの歩き撮りなどでも比較的安定した映像が得られます。電子手ブレ補正との組み合わせも可能です。

手ブレ補正機構に関しては、X-H2SとX-H2で性能差はありません。どちらのモデルを選んでも、強力な手ブレ補正の恩恵を受けることができます。最大7.0段分という補正効果は非常に強力で、低速シャッタースピードでの手持ち撮影の可能性を大きく広げます。例えば、通常なら1/60秒でブレるような状況でも、7.0段分の補正があれば1秒近くの手持ち露光が可能になる計算です(あくまで理論値であり、実際の効果は撮影条件や個人差によります)。

これは、暗い場所でのスナップ撮影や、三脚を使えない状況での風景撮影、手持ちでのポートレート撮影など、様々なシーンで大きなアドバンテージとなります。また、動画撮影時もジンバルなしである程度の安定した映像が得られるため、機動力が必要な場面で役立ちます。

したがって、手ブレ補正性能は、どちらのモデルを選ぶかの決定的な違いにはなりません。どちらを選んでも、X-Hシリーズの高い基本性能として、この強力なIBISを活用できます。

その他の機能・仕様比較

主要な性能以外にも、カメラの使い勝手に影響する機能や仕様を比較します。ここでも、両モデルの多くの部分が共通しています。

  • 画像処理エンジン: どちらのモデルも、最新世代のX-Processor 5を搭載しています。これにより、高速なデータ処理、進化したAF性能、高いノイズリダクション性能、効率的な電力管理などが実現されています。
  • 記録メディア: CFexpress Type B + SDカード(UHS-II対応)のデュアルスロット。前述のように、高速なCFexpressカードは高速連写や高ビットレート動画記録に不可欠です。スロット構成は共通です。
  • バッテリー: 大容量バッテリー「NP-W235」を使用。電池持ちは、センサーの消費電力や使用状況によってわずかに差が出る可能性がありますが、カタログスペック上の撮影枚数もほぼ同等です。
  • ファインダー・背面液晶: いずれも約576万ドットの高精細EVFと、約162万ドットのバリアングル背面液晶を搭載。スペックは共通です。
  • フィルムシミュレーション: FUJIFILMの大きな魅力であるフィルムシミュレーションも、もちろん両モデルで共通して利用可能です。クラシッククローム、アクロス、ノスタルジックネガなど、多彩なフィルムシミュレーションで、撮って出しから美しい写真・動画を楽しめます。
  • 通信機能: Wi-Fi、Bluetoothに対応。スマートフォンとの連携や、PCへのテザー撮影などが可能です。
  • USB給電・充電: USB Type-Cポート経由での給電・充電に対応しています。長時間の撮影や動画記録時に便利です。
  • アクセサリー対応: バッテリーグリップ「VG-XH」や冷却ファン「FAN-001」などの専用アクセサリーは、どちらのモデルにも装着可能です。

共通点が多い中で、あえて違いを探すなら…

  • ピクセルシフトマルチショット: 前述の通り、X-H2のみが搭載する機能です。静止した被写体限定ではありますが、約1.6億画素相当の超高解像度画像を作成できるユニークな機能です。
  • ISO感度: ベース感度がX-H2 (ISO 125) とX-H2S (ISO 160) でわずかに異なります。これはセンサー設計の違いによるもので、X-H2の方が一段低いISO感度からスタートできます。

これらの機能・仕様は、カメラの基本的な使い勝手や信頼性に関わる部分であり、両モデルともにフラッグシップにふさわしい高いレベルで共通化されています。ピクセルシフトマルチショット以外に、機能面で明確な差はほとんどありません。

X-H2Sがおすすめのユーザー:速度と瞬間を追求するプロ・ハイアマチュア

これまでの比較を踏まえ、FUJIFILM X-H2Sはどのようなユーザーに最適なモデルなのかをまとめます。

X-H2Sを選ぶべき主な理由:

  1. 圧倒的な連写性能とブラックアウトフリー: 最大40コマ/秒の電子シャッター連写、そしてその際にブラックアウトが発生しないことは、スポーツ、モータースポーツ、野鳥など、高速で予測不能な動きをする被写体を追う上で絶大なアドバンテージとなります。決定的な一瞬を逃さず、大量のカットの中からベストショットを選びたいユーザーにとって、X-H2Sの連写性能は替えが効きません。
  2. 優れた動画性能(高フレームレートとローリングシャッター抑制): DCI 4K/120pやFull HD/240pといった高フレームレート撮影は、滑らかなスローモーション映像を作成したい場合に非常に役立ちます。また、積層型センサーによるローリングシャッター歪みの少なさは、手持ちでの素早いカメラワークや、動きのある被写体を動画で撮影する際に、より自然で高品質な映像を得るために重要です。
  3. 高速性を活かしたAF性能: センサーの高速読み出しは、AF情報の取得頻度や処理速度にも貢献し、特に最高速の動体追従においてわずかな優位性をもたらします。
  4. プロフェッショナルな信頼性: 積層型センサーという最新技術の投入と、高速連写・高フレームレート動画といった要求の厳しい性能への対応は、プロフェッショナルの現場で求められる「速さ」と「信頼性」に応えるものです。

具体的にX-H2Sがおすすめなユーザー像:

  • スポーツフォトグラファー: 陸上、球技、モータースポーツなど、高速で動き回る被写体を専門に撮影するプロ・ハイアマチュア。
  • 野鳥フォトグラファー: 動きの速い鳥の飛び立ちや飛行シーンなど、シャッターチャンスが非常に短い被写体を追うユーザー。
  • 報道・ドキュメンタリーフォトグラファー: 予測不能な状況下で決定的な瞬間を迅速かつ確実に捉える必要があるユーザー。
  • 動きのある被写体を頻繁に動画撮影するビデオグラファー: ドキュメンタリー、アクションスポーツ、動物など、高フレームレートやローリングシャッター歪みの抑制が重要なユーザー。
  • ブラックアウトフリー連写の快適さを重視するユーザー: ファインダーから目を離さずに被写体を追い続けたいユーザー。

X-H2Sは、約2616万画素という画素数ですが、画質自体は非常に高いレベルにあります。解像度よりも、「瞬間を捉えるスピード」と「動きを表現する動画性能」を最優先するユーザーにとって、X-H2Sは最高のパートナーとなるでしょう。価格はX-H2よりも高価ですが、その価格差は「速度」という明確な性能差に投資していると考えることができます。

X-H2がおすすめのユーザー:高解像度と描写力を追求するフォトグラファー・クリエイター

次に、FUJIFILM X-H2はどのようなユーザーに最適なモデルなのかをまとめます。

X-H2を選ぶべき主な理由:

  1. 圧倒的な高解像度: 約4020万画素センサーは、APS-Cフォーマットにおいて最高レベルの解像度を誇ります。細部まで緻密に描写できるため、風景写真、建築写真、スタジオでの商品撮影など、解像感が写真のクオリティに直結するジャンルで大きな強みとなります。
  2. 優れた描写力とトリミング耐性: 高画素センサーは、大きなトリミングをしても画質劣化を最小限に抑えることができます。これは、撮影後のフレーミングの自由度を高めるだけでなく、遠景の被写体を大きく切り抜いて使用する際などにも有利です。
  3. 8K動画撮影: Xシリーズ初の8K動画内部記録に対応しています。将来的な高解像度環境への対応はもちろん、8Kから4KやFull HDへのダウンコンバートによる高品位な映像生成、あるいは8K映像からの静止画切り出しといった用途に魅力を感じるユーザーにとって唯一無二の選択肢となります。
  4. ピクセルシフトマルチショット: 約1.6億画素相当の超高解像度画像を作成できる機能は、静止した被写体のディテールを限界まで追求したいユーザーにとって非常に魅力的です。美術品や文化財の記録、広告写真などで活用できる可能性があります。
  5. 価格優位性: X-H2Sと比較して、発売当初から現在まで一貫して価格が安価です。最高レベルの性能を求めるユーザーにとって、コストパフォーマンスの高い選択肢と言えます。

具体的にX-H2がおすすめなユーザー像:

  • 風景フォトグラファー: 山岳風景、都市景観など、広大な景色や建築物の細部を隅々まで鮮明に写し止めたいユーザー。
  • ポートレートフォトグラファー: モデルの肌の質感や髪の毛一本一本まで緻密に描写したいユーザー。
  • スタジオフォトグラファー: 商品撮影、料理撮影など、被写体の質感を高解像度で表現する必要があるユーザー。
  • 高解像度動画を求めるビデオグラファー: 8K解像度での映像記録に興味がある、あるいは8Kからダウンコンバートした高品位な4K映像を作成したいユーザー。
  • トリミングを多用するユーザー: 撮影後の柔軟なフレーミングや、遠景の被写体を切り抜いて使用する機会が多いユーザー。
  • ピクセルシフトマルチショットを活用したいユーザー: 三脚を使用し、静止した被写体に対して究極の解像度を追求したいユーザー。

X-H2は、X-H2Sほどの超高速性能や高フレームレート動画には対応していませんが、メカニカル15コマ/秒連写や高性能AFなど、基本的な撮影性能は非常に高いレベルにあります。「最高の解像度と描写力」を最優先し、静止画撮影をメインに考えているユーザーにとって、X-H2は最適な選択肢となるでしょう。価格面でも優位性があり、その差額を高性能な高解像度対応レンズに投資することで、X-H2のポテンシャルを最大限に引き出すことができます。

【結論】結局、買うべきはどっち?

FUJIFILM X-H2SとX-H2は、どちらもXシリーズのフラッグシップにふさわしい非常に高性能なカメラですが、搭載するセンサーの違いによって、得意とする分野が明確に分かれています。どちらが良いかは、あなたの主な被写体、撮影スタイル、そして何を最も重視するかによって決まります。

  • あなたが「速度」と「瞬間」、そして「動きのある動画表現」を最優先するなら ⇒ FUJIFILM X-H2S

    • スポーツ、野鳥、モータースポーツなど、高速で動き回る被写体を専門に撮影する。
    • 決定的な一瞬を逃したくない。
    • ブラックアウトフリー連写の快適さは必須。
    • スローモーションなど、高フレームレート動画を多用する。
    • 動画撮影時のローリングシャッター歪みを極力抑えたい。
    • 多少価格が高くても、速度性能に妥協したくない。
  • あなたが「解像度」と「描写力」、そして「最高画質の静止画・動画」を最優先するなら ⇒ FUJIFILM X-H2

    • 風景、建築、ポートレート、スタジオ撮影など、細部の描写が重要なジャンルがメイン。
    • 写真のトリミングを頻繁に行う、または大きくプリントすることが多い。
    • 8K動画撮影に魅力を感じる、または将来的に8K環境に対応したい。
    • ピクセルシフトマルチショットで超高解像度を追求したい。
    • フラッグシップクラスの高い基本性能を求めつつ、価格も考慮したい。

迷ったらどうする?

もしあなたの撮影スタイルがどちらか一方に明確に偏っておらず、両方の要素に魅力を感じる場合は、以下の点を考慮してみましょう。

  • 予算: X-H2の方が安価です。価格差でレンズや他の機材に投資できることは大きなメリットです。
  • 最も苦手なシーンは何か?: あなたが最も「これだけは譲れない」という性能は何ですか? 例えば、野鳥を撮る上で40コマ/秒とブラックアウトフリーは必須なのか、それとも風景写真で4000万画素の解像度は必須なのか、など。最も重要視するポイントで判断するのが良いでしょう。
  • 将来性: 将来的に8K動画を編集・活用する可能性があるならX-H2、高速連写や高フレームレート動画のニーズが高まりそうならX-H2S、といった考え方もできます。

どちらのモデルを選んでも、X-Hシリーズの高い基本性能(堅牢性、操作性、AF性能、手ブレ補正、動画機能など)は共通です。どちらもFUJIFILMの最新技術が投入された素晴らしいカメラであり、あなたのクリエイティブな活動を強力にサポートしてくれるでしょう。

重要なのは、ご自身の撮影目的やスタイルを深く掘り下げ、それに最も合致する「得意分野」を持つモデルを選ぶことです。この徹底比較が、あなたの最適な一台を見つけるための一助となれば幸いです。

まとめ:X-Hシリーズの未来へ

FUJIFILM X-H2SとX-H2は、同じX-Hシリーズという名前を持ちながらも、明確に異なるターゲットとコンセプトを持つツインフラッグシップとして登場しました。X-H2Sは「速度」を極めた高速モデル、X-H2は「解像度」を追求した高精細モデルです。

価格はX-H2Sの方が高価ですが、これは積層型センサーというコストのかかる技術を投入しているためです。この価格差が、連写性能(ブラックアウトフリー、最大速度)や動画性能(高フレームレート、ローリングシャッター抑制)におけるX-H2Sの明確な優位性として現れています。

一方、X-H2は約4020万画素という圧倒的な解像度と8K動画対応、そしてピクセルシフトマルチショットというユニークな機能で差別化を図っています。これらの機能は、静止画の描写力を最大限に引き出したいユーザーや、超高解像度動画に将来性を見出すユーザーにとって非常に魅力的です。

外観や操作性、基本的な性能(AFシステム、手ブレ補正、バッテリー、記録メディア、処理エンジンなど)は両モデルで共通しており、どちらを選んでもX-Hシリーズらしい高いビルドクオリティと快適な操作感を得られます。

結局、どちらのモデルが「買うべき」かという問いに対する普遍的な答えはありません。それは、ユーザー一人ひとりの撮影ニーズによって異なります。

  • 速さこそ正義! 決定的な一瞬を捉え、動きを動画で表現したい なら X-H2S
  • 細部まで妥協しない! 最高の解像度で写真や動画を記録したい なら X-H2

この2台の登場により、Xシリーズのフラッグシップは、従来のオールマイティなモデルという性格から、より専門的で特定のニーズに深く応えるラインナップへと進化しました。これは、多様化するフォトグラファーやビデオグラファーのニーズに応えようとするFUJIFILMの姿勢を示しています。

今後、X-Hシリーズはこの2つの異なる方向性を継承していくのか、あるいは再び統合されるのかは未知数ですが、間違いなくXシリーズの未来を担う重要な柱であることに変わりはありません。

X-H2SもX-H2も、それぞれが最高のパフォーマンスを発揮する素晴らしいカメラです。この記事が、あなたが自身のクリエイティブなパートナーとして最適な一台を見つけるための、確かな道しるべとなれば幸いです。あなたの写真・動画制作が、X-Hシリーズと共に、さらに豊かになることを願っています。

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