【無料】WPS Officeの使い方完全ガイド|これ一つでOffice作業OK
目次
はじめに:Office ソフトにお金をかけたくないあなたへ
第1章:WPS Officeとは?基本的な情報とメリット・デメリット
1.1 WPS Officeの概要
1.2 WPS Officeを使うメリット
1.3 WPS Officeを使うデメリット
1.4 WPS Officeのインストール方法
第2章:Writer(文書作成)の使い方徹底解説
2.1 Writerの基本操作と画面構成
2.2 テキスト入力と編集の基本
2.3 フォントと段落の設定
2.4 ページ設定とレイアウトの調整
2.5 画像、図形、SmartArtの挿入と編集
2.6 表の挿入と編集
2.7 校閲機能の活用
2.8 印刷設定とPDF保存
2.9 Writerのその他便利機能
第3章:Presentation(プレゼンテーション作成)の使い方徹底解説
3.1 Presentationの基本操作と画面構成
3.2 スライドの作成と編集
3.3 デザインとテーマの適用
3.4 オブジェクトの挿入と編集
3.5 アニメーションと画面切り替え効果
3.6 スライドショーの実行と設定
3.7 ノートと配布資料の作成
3.8 印刷設定とPDF保存
3.9 Presentationのその他便利機能
第4章:Spreadsheets(表計算)の使い方徹底解説
4.1 Spreadsheetsの基本操作と画面構成
4.2 データ入力と編集
4.3 セルの書式設定
4.4 数式と関数の基本と活用
4.5 ワークシートの管理
4.6 データの並べ替えと抽出
4.7 グラフの作成と編集
4.8 ピボットテーブルの活用
4.9 印刷設定
4.10 Spreadsheetsのその他便利機能
第5章:WPS Officeのその他の機能と活用法
5.1 PDF編集・変換機能
5.2 WPS Cloudとの連携
5.3 モバイル版アプリの活用
5.4 WPS Template(テンプレートサイト)
5.5 WPS Office AI(有料版)
5.6 WPS Officeの有料版について
第6章:Microsoft Officeとの互換性と注意点
6.1 高い互換性について
6.2 互換性が問題になる可能性があるケース
6.3 互換性を高めるためのヒント
まとめ:WPS OfficeでOffice作業を始めよう!
免責事項
はじめに:Office ソフトにお金をかけたくないあなたへ
「パソコンを買ったけど、Officeソフトが入っていない…」「Microsoft Officeは高すぎて手が出せない…」「ちょっとした文書作成や表計算ができればいいんだけど…」
こんな風に思っていませんか? 仕事や学校、プライベートでOfficeソフトを使う機会は意外と多いものです。しかし、Microsoft Officeの永続ライセンス版は数万円、サブスクリプション版(Microsoft 365)も毎月あるいは毎年費用がかかります。この費用は、特に個人ユーザーや学生にとっては大きな負担になることがあります。
もしあなたが、Microsoft Officeと高い互換性を持ちながら、無料で使えるOfficeソフトを探しているなら、WPS Officeがその答えかもしれません。
WPS Officeは、Kingsoft社が開発・提供しているOfficeスイートです。文書作成ソフト「Writer」(Microsoft Wordに相当)、プレゼンテーションソフト「Presentation」(Microsoft PowerPointに相当)、表計算ソフト「Spreadsheets」(Microsoft Excelに相当)という、Office作業に必須の3つの主要ソフトを備えています。そして、特筆すべきはその「無料版」の存在です。個人利用であれば、多くの機能を無料で利用することができます。
さらに、WPS OfficeはMicrosoft Officeと非常に高い互換性を持っています。使い慣れたMicrosoft Officeに似た操作画面、そしてWord (.docx)、PowerPoint (.pptx)、Excel (.xlsx)といったおなじみのファイル形式をそのまま開いて編集、保存することができます。これにより、「Microsoft Officeで作成したファイルがうまく開けない」「WPS Officeで保存したファイルを相手がMicrosoft Officeで開くとレイアウトが崩れる」といった互換性の問題を最小限に抑えることができます。
この「【無料】WPS Officeの使い方完全ガイド」では、WPS Officeの基本的な使い方から、それぞれのソフト(Writer, Presentation, Spreadsheets)の具体的な操作方法、さらに知っておくと便利な機能まで、約5000語にわたって徹底的に解説します。
- Officeソフトの購入費用を節約したい方
- Microsoft Officeの代替ソフトを探している方
- Office作業を始めたいけれど、何から手をつけて良いか分からない方
- WPS Officeをインストールしたけれど、使い方がよく分からない方
この記事を読めば、WPS Officeを使って文書作成、プレゼンテーション作成、表計算の基本的な作業をこなせるようになるはずです。これ一つで、あなたのOffice作業は十分に「OK」になります。
さあ、WPS Officeの世界へ踏み出しましょう!
第1章:WPS Officeとは?基本的な情報とメリット・デメリット
まずは、WPS Officeがどのようなソフトなのか、全体像を把握しましょう。なぜ無料なのか、どのような利点があり、どのような注意点があるのかを知ることは、WPS Officeを効果的に使うための第一歩です。
1.1 WPS Officeの概要
WPS Officeは、中国のソフトウェア企業であるKingsoft(キングソフト)が開発しているオフィス統合ソフトです。2000年代初頭から開発されており、長年にわたって改良が重ねられてきました。元々は中国市場向けに開発されていましたが、近年は世界的にユーザーを増やしており、特にアジアを中心に高いシェアを持っています。
WPS Officeは、Microsoft OfficeのWord、PowerPoint、Excelに対応する「Writer」「Presentation」「Spreadsheets」の3つの主要アプリケーションを柱としています。さらに、PDFの閲覧・編集機能や、クラウドストレージ連携機能なども統合されています。
WPS Officeには、大きく分けて「無料版」と「有料版」があります。
- 無料版: 個人利用であれば、基本的な機能を費用負担なく利用できます。この記事の主要なテーマはこの無料版です。一部機能に制限があったり、広告が表示されたりしますが、通常のOffice作業には十分な機能が備わっています。
- 有料版 (WPS Office 2 / WPS Office 2 Pro / WPS Office 2 Standardなど): 法人向けや、無料版の制限を取り払いたい個人ユーザー向けのライセンスです。広告が表示されず、全機能(PDFの全ページ変換、全てのテンプレート利用、高度なセキュリティ機能など)が利用可能になります。また、法人向けライセンスでは商用利用が許可され、サポート体制も充実します。
対応OSも幅広く、Windows、macOS、LinuxといったデスクトップOSに加え、Android、iOSといったモバイルOSでも利用可能です。これにより、様々なデバイスでファイルの作成や編集、共有ができます。
1.2 WPS Officeを使うメリット
WPS Officeを使う最大のメリットは、やはり「無料」であることです(個人利用の場合)。しかし、無料だからといって機能が不足しているわけではありません。Microsoft Officeの代替として十分検討に値する多くの利点があります。
- 無料で使用できる(個人向け): これが一番の強みです。Officeソフトにかかる費用を大幅に削減できます。学生や個人事業主、家庭での利用など、高価なMicrosoft Officeを導入するほどではない場合に非常に有効です。
- Microsoft Officeとの高い互換性: WPS Officeは、Microsoft Officeのファイル形式(.docx, .pptx, .xlsx)をネイティブでサポートしています。これにより、Microsoft Officeで作成されたファイルをそのまま開いて編集したり、WPS Officeで作成したファイルをMicrosoft Officeユーザーと共有したりする際に、レイアウトの崩れや文字化けといった問題を最小限に抑えることができます。UI(ユーザーインターフェース)もMicrosoft Officeに酷似しているため、Microsoft Officeを使ったことがある人ならすぐに使いこなせるでしょう。
- 軽量で動作が軽い: Microsoft Officeに比べて比較的に動作が軽く、古いPCやスペックの低いPCでも快適に動作しやすい傾向があります。
- 豊富なテンプレート: 文書、プレゼンテーション、表計算それぞれに、ビジネス、学校、プライベートなど様々な用途に応じたテンプレートが豊富に用意されています。これらのテンプレートを活用することで、デザイン性の高い資料を効率的に作成できます。(無料版では一部のテンプレートが有料の場合があります。)
- PDF編集機能の統合: 無料版でも、Office形式からPDFへの変換、PDFファイルの閲覧、簡単な注釈の追加などが可能です。有料版ではPDFの本格的な編集やOffice形式への変換もできるようになります。別途PDF編集ソフトを用意する必要がないのは便利です。
- クラウド連携機能 (WPS Cloud): WPS Cloudという独自のクラウドストレージサービスと連携しています。これにより、作成したファイルをクラウドに保存して、複数のデバイスからアクセスしたり、他のユーザーと共有したりすることが容易になります。
- モバイル版も充実: スマートフォンやタブレット向けのWPS Officeアプリも提供されており、PC版との連携もスムーズです。移動中や外出先での簡単な編集作業に役立ちます。
1.3 WPS Officeを使うデメリット
もちろん、無料版にはいくつかのデメリットや注意点も存在します。これらの点を理解した上で利用することが大切です。
- 無料版には広告が表示される: WPS Officeの無料版を開いたり、ファイルを保存したりする際に広告が表示されます。作業中に画面の一部に広告が表示されることもあります。これは無料であることの対価として受け入れる必要があります。気になる場合は有料版を検討する必要があります。
- 無料版では一部機能に制限がある: 例えば、PDF変換のページ数に制限があったり、一部の高度な機能やプレミアムテンプレートが利用できなかったりします。これらの制限は、通常の使用ではあまり問題にならないことが多いですが、特定の機能が必要な場合は有料版へのアップグレードが必要になります。
- 大規模な組織での利用には有料版が必要: WPS Officeの無料版は個人利用に限定されています。法人や教育機関などで商用利用する場合は、有料版のライセンス契約が必要です。
- まれに互換性の問題が発生する可能性: Microsoft Officeとの互換性は非常に高いですが、100%ではありません。特に、非常に複雑なマクロやVBAコード、最新のOffice機能、特殊な埋め込みオブジェクトなどを含むファイルでは、レイアウトが崩れたり、機能が正常に動作しなかったりする可能性がゼロではありません。重要なファイルや共同編集するファイルの場合は、事前に互換性を確認することが推奨されます。
- サポート体制: 無料版の場合、公式サポートは限定的である場合が多いです。問題が発生した場合は、オンラインのマニュアルやコミュニティなどを活用する必要があります。
1.4 WPS Officeのインストール方法
WPS Officeは、公式サイトから簡単にダウンロードしてインストールできます。
- 公式サイトにアクセス: WPS Officeの公式サイト(
https://www.wps.com/
など)にアクセスします。日本語サイトもあります。 - ダウンロードページの確認: サイトのトップページやダウンロードセクションから、使用したいOS(Windows、Macなど)のWPS Officeのダウンロードボタンを探します。通常は「無料ダウンロード」のようなボタンが表示されています。
- インストーラーのダウンロード: ダウンロードボタンをクリックすると、インストーラーファイル(例:
wps_office_inst.exe
)がダウンロードされます。 - インストーラーの実行: ダウンロードしたファイルを実行します。
- インストールウィザードの指示に従う:
- 使用許諾契約書が表示されるので、内容を確認し同意します。「同意します」にチェックを入れて次へ進みます。
- インストール先のフォルダを選択します。特にこだわりがなければデフォルトのままで構いません。
- 注意点: インストール時に、WPS Office以外のソフトウェア(例: ブラウザツールバー、他のKingsoft製品など)の同時インストールを推奨されることがあります。不要な場合は、必ずチェックボックスを外してください。これらはWPS Officeの機能とは直接関係なく、PCの動作に影響を与える可能性があります。
- インストールボタンをクリックするとインストールが開始されます。数分かかる場合があります。
- インストール完了画面が表示されたら、「完了」をクリックしてインストーラーを閉じます。
- 初期設定: 初めてWPS Officeを起動すると、初期設定や無料版として開始するか有料版の試用を開始するかなどの選択画面が表示されることがあります。無料版として利用する場合は、無料版を開始するオプションを選択してください。アカウント作成を求められることもありますが、必須ではない場合が多いです。
これでWPS Officeのインストールは完了です。スタートメニューやデスクトップに作成されたアイコンから、Writer, Presentation, Spreadsheetsなどを起動できるようになります。
第2章:Writer(文書作成)の使い方徹底解説
Writerは、Microsoft Wordに相当する文書作成ソフトです。レポート、手紙、企画書など、様々な種類の文書を作成・編集できます。ここでは、Writerの基本的な使い方から、文書作成に役立つ機能までを詳しく見ていきましょう。
2.1 Writerの基本操作と画面構成
Writerを起動すると、新しい文書を作成するか、既存の文書を開くかの選択肢が表示されます。新規文書を選択するか、既存の.docxなどのファイルを開くと、編集画面が表示されます。
基本的な画面構成はMicrosoft Wordと非常に似ています。
- タイトルバー: ウィンドウ上部にあり、ファイル名とアプリケーション名が表示されます。
- リボン: タイトルバーの下にあるタブ切り替え式のメニューです。「ファイル」「ホーム」「挿入」「ページレイアウト」「参考資料」「校閲」「表示」といったタブがあり、それぞれのタブに関連するコマンドボタンが整理されています。このリボンインターフェースはMicrosoft Office 2007以降とほぼ同じ操作感を提供します。
- クイックアクセスツールバー: タイトルバーの左側にあり、よく使うコマンド(保存、元に戻す、やり直しなど)をワンクリックで実行できます。カスタマイズも可能です。
- ルーラー: ウィンドウの上部と左側に表示され、余白、インデント、タブ位置などを視覚的に調整できます。表示/非表示を切り替え可能です。
- 作業領域: 文書を作成・編集する中央の広い領域です。
- スクロールバー: 作業領域の右側と下部に表示され、文書の表示範囲を移動できます。
- ステータスバー: ウィンドウ下部にあり、現在のページ番号、総ページ数、単語数、表示ズーム率などが表示されます。
2.2 テキスト入力と編集の基本
文書作成は、テキストを入力することから始まります。
- 文字の入力: カーソルが表示されている位置にキーボードから文字を入力します。Enterキーで改行します。
- 文字の削除: Backspaceキーでカーソルの左側の文字を、Deleteキーでカーソルの右側の文字を削除します。
- カーソルの移動: マウスでクリックしたい位置を指定するか、矢印キーでカーソルを移動します。Ctrl+矢印キーで単語単位、Homeキーで行頭、Endキーで行末、Ctrl+Homeキーで文書の先頭、Ctrl+Endキーで文書の末尾に移動できます。
- テキストの選択: マウスでドラッグするか、Shiftキーを押しながら矢印キーでテキストを選択します。Ctrl+Aで文書全体を選択できます。
- コピー&ペースト (Ctrl+C, Ctrl+V): 選択したテキストをコピーし、別の場所に貼り付けます。
- カット&ペースト (Ctrl+X, Ctrl+V): 選択したテキストを切り取り(元の場所から削除)、別の場所に貼り付けます。
- 元に戻す/やり直し (Ctrl+Z, Ctrl+Y): 直前の操作を取り消したり、取り消した操作をやり直したりできます。クイックアクセスツールバーのボタンからも実行できます。
- 検索と置換 (Ctrl+F, Ctrl+H): 文書内の特定の単語やフレーズを検索したり、別の単語やフレーズに置き換えたりできます。「ホーム」タブの「編集」グループにあります。
2.3 フォントと段落の設定
見やすい文書を作成するためには、フォント(文字の形や大きさ)や段落(テキストのまとまり)の設定が重要です。「ホーム」タブの「フォント」グループと「段落」グループでこれらの設定を行います。
- フォントの種類、サイズ、色: 選択したテキストのフォントの種類(例: 明朝体、ゴシック体)、サイズ、色を変更できます。
- フォントスタイル: 太字 (B)、斜体 (I)、下線 (U) などのスタイルを設定できます。取り消し線、上付き/下付き文字なども利用可能です。
- 文字の効果: 影、光彩、反射などの特殊効果を文字に適用できます。
- 段落の配置: 段落全体を左揃え、中央揃え、右揃え、均等割り付けに設定できます。
- 行間、段落間隔: 行と行の間隔(行間)、段落と段落の間隔(段落前/段落後)を調整できます。これにより、テキストの密度を調整し、読みやすくすることができます。
- インデント(字下げ): 段落の左端や右端を内側にずらす(インデントを設定する)ことができます。一行目のインデントや、ぶら下げインデントなども設定可能です。ルーラーを使って視覚的に調整することもできます。
- 箇条書きと段落番号: リスト形式で項目を整理する際に使用します。記号(・、■など)を使う箇条書きと、番号(1., a., i.など)を使う段落番号があります。階層化も可能です。
- タブ設定: タブキーを押した時のカーソル位置を設定できます。左揃えタブ、中央揃えタブ、右揃えタブ、小数点揃えタブなどがあり、表形式のテキストを綺麗に整列させるのに役立ちます。
2.4 ページ設定とレイアウトの調整
文書全体の見た目を整えるために、ページの設定やレイアウトを調整します。「ページレイアウト」タブで行います。
- 用紙サイズ: 文書の用紙サイズ(例: A4、B5、レター)を選択します。
- 余白: ページの上下左右の余白の幅を設定します。標準的な設定や、カスタム設定も可能です。
- 方向: ページを縦向きまたは横向きに設定します。
- 段組み: ページ内のテキストを複数列に分割して表示できます。新聞のようなレイアウトを作成する際に使用します。
- ヘッダーとフッター: ページの上下の余白領域に、ページ番号、日付、文書タイトルなどを挿入できます。すべてのページや、奇数/偶数ページ、先頭ページなどで異なる設定が可能です。
- ページ番号の挿入: ヘッダーやフッター、あるいはページ内の任意の場所にページ番号を挿入できます。書式や開始番号も設定可能です。
- 改ページ、セクション区切り: 強制的にページを切り替える改ページや、用紙サイズ、余白、ヘッダー/フッターなどの設定をページ途中から変更できるセクション区切りを挿入できます。
2.5 画像、図形、SmartArtの挿入と編集
文書に視覚的な要素を加えることで、内容を分かりやすくしたり、デザイン性を高めたりできます。「挿入」タブで行います。
- 画像の挿入: パソコンに保存されている画像ファイル(JPEG, PNGなど)を文書に挿入できます。「挿入」タブの「画像」をクリックし、ファイルを選択します。
- 画像の編集: 挿入した画像をダブルクリックするか、右クリックすると、画像の編集ツールが表示されます。トリミング(不要部分のカット)、サイズ変更、回転、明るさ/コントラスト調整、色の補正、フレームの追加などが可能です。
- テキストの折り返し: 画像とテキストの配置方法(画像をテキストの前面に表示、背面、四角、上下など)を設定できます。
- 図形の挿入: 四角形、円、矢印、線、吹き出しなど、様々な基本的な図形を挿入できます。「挿入」タブの「図形」から選択します。
- 図形の編集: 挿入した図形のサイズ、色(塗りつぶし、線)、線の太さ、影などの書式を設定できます。テキストボックスとして図形の中に文字を入力することも可能です。
- SmartArtグラフィックの挿入: 組織図、リスト、プロセス、階層構造などを視覚的に表現するための図です。「挿入」タブの「SmartArt」から、目的に合った種類を選択し、テキストを入力して作成します。
2.6 表の挿入と編集
表は、データを整理して表示するのに非常に便利な機能です。「挿入」タブの「表」から作成します。
- 表の作成方法:
- 「表」ボタンをクリックし、表示されるグリッドをドラッグして、挿入したい行数と列数を指定します。
- 「表の挿入」を選択し、行数と列数を数値で指定します。
- 行・列の挿入・削除: 表内のセルを右クリックすると、行や列を挿入したり削除したりするメニューが表示されます。
- セルの結合・分割: 複数のセルを1つのセルに結合したり、1つのセルを複数のセルに分割したりできます。ヘッダー行や複雑なレイアウトの表を作成する際に使用します。
- セルの書式設定: セルの罫線(線の種類、太さ、色)や塗りつぶしの色を設定できます。セルのサイズ(行の高さ、列の幅)も調整可能です。
- 表の配置: 表全体をページ内で左揃え、中央揃え、右揃えに配置できます。
- 自動調整: 表の内容やウィンドウのサイズに合わせて、列幅や行高さを自動で調整する機能があります。
2.7 校閲機能の活用
作成した文書に誤りがないかを確認したり、複数人で共同編集したりする際に役立つ機能です。「校閲」タブにあります。
- スペルチェックと文章校正: 入力ミスや文法的な誤りを検出して修正候補を表示してくれます。
- 変更履歴の記録: 文書に行った編集内容(テキストの追加、削除、変更など)を記録し、誰がいつどこを変更したかを表示できます。共同編集者とのやり取りに便利です。
- コメントの挿入: 文書の特定の箇所にコメントを挿入し、疑問点や提案などを書き込むことができます。変更履歴と同様に共同編集でよく利用されます。
2.8 印刷設定とPDF保存
文書が完成したら、印刷したり、PDFファイルとして保存したりします。
- 印刷プレビュー: 印刷する前に、文書がどのように印刷されるかを確認できます。「ファイル」タブの「印刷」を選択すると、プレビューが表示されます。
- 印刷設定: 印刷プレビュー画面または「ファイル」タブの「印刷」で、印刷部数、使用するプリンター、印刷範囲(全ページ、指定ページ、選択範囲)、印刷方向(縦/横)、ページごとの印刷枚数などを設定できます。
- PDF形式での保存: 文書をPDFファイルとして保存できます。これにより、どの環境で開いてもレイアウトが崩れることなく表示・共有できます。「ファイル」タブの「エクスポート」→「PDFにエクスポート」を選択します。無料版ではページ数に制限がある場合があります。
2.9 Writerのその他便利機能
- テンプレートの使用: 新規文書作成時に、ビジネス文書、履歴書、レター、レポートなど、様々な目的に合わせたテンプレートを選択できます。デザインや基本的な構成があらかじめできているため、効率的に文書を作成できます。
- ファイルの互換性: Microsoft Word (.docx, .doc) ファイルだけでなく、RTF (.rtf) 形式なども開くことができます。保存時もこれらの形式を選択可能です。
第3章:Presentation(プレゼンテーション作成)の使い方徹底解説
Presentationは、Microsoft PowerPointに相当するプレゼンテーション作成ソフトです。会議での発表、セミナー、授業などで使用するスライド資料を作成できます。視覚的に分かりやすく、聞き手を惹きつける資料を作成するための機能を見ていきましょう。
3.1 Presentationの基本操作と画面構成
Presentationを起動すると、新しいプレゼンテーションを作成するか、既存のプレゼンテーションを開くかの選択肢が表示されます。新規作成または既存の.pptxファイルを開くと、編集画面が表示されます。
画面構成はWriterと同様にリボンインターフェースを採用しています。
- タイトルバー: ファイル名とアプリケーション名が表示されます。
- リボン: 「ファイル」「ホーム」「挿入」「デザイン」「画面切り替え」「アニメーション」「スライドショー」「校閲」「表示」「開発者」といったタブがあります。
- クイックアクセスツールバー: よく使うコマンドボタンがあります。
- スライドペイン: ウィンドウの左側に表示され、プレゼンテーション全体の各スライドのサムネイルが表示されます。スライドの追加、削除、並べ替えなどがここで行えます。表示形式を「アウトライン」に切り替えることもできます。
- 作業領域: 選択中のスライドを編集する中央の広い領域です。タイトル、本文、画像、図形などを配置します。
- ノートペイン: 作業領域の下にあり、各スライドに対するスピーカーノート(発表者だけが見るメモ)を入力できます。スライドショー実行時には表示されません。
- ステータスバー: ウィンドウ下部にあり、現在のスライド番号、総スライド数、表示ズーム率などが表示されます。
3.2 スライドの作成と編集
プレゼンテーションは複数のスライドで構成されます。
- 新しいスライドの追加: 「ホーム」タブの「新しいスライド」ボタンをクリックすると、新しいスライドが現在のスライドの後に追加されます。▼をクリックすると、タイトルスライド、タイトルとコンテンツ、タイトルのみなど、様々なレイアウトのスライドを選択できます。
- スライドレイアウトの変更: 既存のスライドのレイアウトを後から変更できます。スライドを選択し、「ホーム」タブの「レイアウト」から新しいレイアウトを選びます。
- スライドの複製、削除、並べ替え: スライドペインでスライドを右クリックすると、「スライドの複製」「スライドの削除」ができます。スライドをドラッグ&ドロップすることで順番を入れ替えることも簡単です。
- テキストボックスの挿入と編集: テキストを配置したい場所にテキストボックスを挿入します。「挿入」タブの「テキストボックス」をクリックし、スライド上でドラッグしてサイズを決め、テキストを入力します。Writerと同様に、フォントや段落の設定が可能です。
3.3 デザインとテーマの適用
プレゼンテーション全体の見た目を統一し、聞き手に与える印象を整えるためにデザインを設定します。「デザイン」タブで行います。
- デザインテーマの適用: WPS Officeにあらかじめ用意されているデザインテーマを適用することで、背景、フォント、配色などが統一された洗練されたデザインを簡単に実現できます。様々なテーマが用意されているので、プレゼンテーションの内容や目的に合ったものを選びましょう。
- 背景スタイルの変更: テーマが適用された後でも、背景の色や模様を個別に変更することができます。
- スライドマスターの活用: スライドマスターは、プレゼンテーション全体のデザインやレイアウトのひな形となる機能です。スライドマスター上で背景、ロゴ、フォント、フッターなどを設定すると、その設定がすべてのスライドに反映されます。統一感のあるプレゼン資料を効率的に作成するために非常に重要な機能です。「表示」タブの「スライドマスター」から編集できます。
3.4 オブジェクトの挿入と編集
スライドにテキスト以外の情報(画像、グラフ、表など)を配置することで、内容を分かりやすく伝えることができます。「挿入」タブで行います。
- 画像、図形、SmartArtの挿入と編集: Writerと同様の方法で、画像、図形、SmartArtを挿入・編集できます。スライド上での配置、サイズ変更、回転などもマウス操作で直感的に行えます。
- グラフの挿入とデータ編集: Excelのようなグラフをスライドに挿入できます。「挿入」タブの「グラフ」から、棒グラフ、円グラフ、折れ線グラフなど種類を選択し、挿入します。挿入後、自動的に表示される簡単な表形式のデータシートに数値を入力することで、グラフが更新されます。グラフの種類やデザイン、要素(タイトル、軸ラベル、凡例など)も細かく設定できます。
- 表の挿入と編集: Writerと同様の方法で表を挿入・編集できます。スライド上で見やすいように、列幅や行高さを調整します。
- ビデオ、オーディオの挿入: スライドに動画ファイルや音声ファイルを挿入し、プレゼンテーション中に再生できます。「挿入」タブの「ビデオ」または「オーディオ」からファイルを選択します。
3.5 アニメーションと画面切り替え効果
スライド内のテキストやオブジェクトに動きをつけたり、スライドから次のスライドへ切り替わる際に効果を加えたりすることで、聞き手の注意を引きつけ、視覚的な面白さを加えることができます。「アニメーション」「画面切り替え」タブで行います。
- オブジェクトアニメーションの設定: スライド内のテキスト、画像、図形などのオブジェクトに、登場、強調、終了、移動などのアニメーション効果を設定できます。例えば、箇条書きの項目を一つずつ表示させるといったことが可能です。「アニメーション」タブでオブジェクトを選択し、効果を選択します。
- アニメーションの順序とタイミング: 複数のオブジェクトにアニメーションを設定した場合、それらが表示される順序や、クリック時、直前の動作の後、時間差などのタイミングを設定できます。「アニメーション」タブの「アニメーションウィンドウ」を開くと、設定したアニメーションの一覧が表示され、順序の変更や詳細なタイミング設定ができます。
- 画面切り替え効果の設定: あるスライドから次のスライドに切り替わる際に適用される視覚的な効果です(フェード、プッシュ、ワイプ、ランダムバーなど)。「画面切り替え」タブで、スライドを選択し、効果を選びます。効果の方向や速度も設定可能です。全てのスライドに同じ効果を適用することもできます。
3.6 スライドショーの実行と設定
作成したプレゼンテーションを発表するために、スライドショーを実行します。「スライドショー」タブで行います。
- 最初から実行: 作成したプレゼンテーションの1枚目のスライドからスライドショーを開始します。F5キーでも実行できます。
- 現在のスライドから実行: 選択しているスライドからスライドショーを開始します。
- 発表者ツール: プレゼンテーションを複数のモニター(例: プロジェクターと発表者用のPCモニター)を使って実行する際に便利な機能です。聞き手にはスライドだけが表示されますが、発表者の画面には現在のスライド、次のスライド、スピーカーノート、経過時間などが表示され、スムーズな発表をサポートします。(無料版では一部機能が制限される場合があります。)
- スライドショーの設定: スライドショーをループ再生するか、ナレーションやタイミングを記録するか、特定のスライドだけを表示するかなど、様々な設定が可能です。
3.7 ノートと配布資料の作成
- スピーカーノートの入力: 各スライドの下にあるノートペインに、発表時の補足情報や話す内容の要点を入力しておけます。スライドショー実行時に発表者ツールをオンにしていると、このノートを見ながら発表できます。
- 配布資料の作成と印刷: プレゼンテーションのスライドを縮小して複数枚を1ページに印刷したり、ノートと一緒に印刷したりする配布資料を作成できます。聴衆に配ることで、プレゼンの内容を振り返るのに役立ちます。「ファイル」タブの「印刷」設定で、印刷レイアウトとして「配布資料」や「ノート」を選択します。
3.8 印刷設定とPDF保存
- 印刷設定: スライド、ノート、配布資料など、印刷したい形式を選択し、印刷部数、プリンターなどを設定します。「ファイル」タブの「印刷」から行います。
- PDF形式での保存: プレゼンテーションをPDFファイルとして保存できます。これにより、スライドのデザインやレイアウトを崩さずに共有できます。「ファイル」タブの「エクスポート」→「PDFにエクスポート」を選択します。
3.9 Presentationのその他便利機能
- テンプレートの使用: WPS Officeには、ビジネス、教育、イベントなど様々な用途向けのプレゼンテーションテンプレートが豊富に用意されています。これらのテンプレートを使えば、デザイン性の高いスライドを素早く作成できます。
- ファイルの互換性: Microsoft PowerPoint (.pptx, .ppt) ファイルを開いて編集・保存できます。
第4章:Spreadsheets(表計算)の使い方徹底解説
Spreadsheetsは、Microsoft Excelに相当する表計算ソフトです。データの入力、集計、分析、グラフ作成などに使用します。家計簿、顧客リスト、売上管理、データ分析など、様々な用途で活用できます。
4.1 Spreadsheetsの基本操作と画面構成
Spreadsheetsを起動すると、新しいブックを作成するか、既存のブックを開くかの選択肢が表示されます。新規作成または既存の.xlsxファイルを開くと、編集画面が表示されます。
画面構成はWriterやPresentationと同様にリボンインターフェースを採用しています。
- タイトルバー: ファイル名とアプリケーション名が表示されます。
- リボン: 「ファイル」「ホーム」「挿入」「ページレイアウト」「数式」「データ」「校閲」「表示」「開発者」といったタブがあります。
- クイックアクセスツールバー: よく使うコマンドボタンがあります。
- 名前ボックス: 数式バーの左にあり、現在選択されているセルのアドレス(例: A1)や、名前が定義されている範囲の名前が表示されます。
- 数式バー: 名前ボックスの右にあり、現在選択されているセルに入力されているデータや数式が表示されます。ここで数式を直接入力・編集することも多いです。
- ワークシート: 作業領域全体を指します。複数のシート(ワークシート)で構成され、シート下部のタブをクリックして切り替えることができます。
- セル: ワークシートを構成する最小単位のマス目です。列(A, B, C…)と行(1, 2, 3…)の交差点で示され、例えばA列の1行目のセルは「A1」と表現します。データはこのセルに入力します。
- 列ヘッダー、行ヘッダー: ワークシートの上部(A, B, C…)と左側(1, 2, 3…)にあり、列全体や行全体を選択する際にクリックします。
- ステータスバー: ウィンドウ下部にあり、選択範囲の平均、合計、個数などの簡易計算結果や、表示ズーム率などが表示されます。
4.2 データ入力と編集
Spreadsheetsの基本は、セルにデータを入力することです。
- セルのデータ入力: 選択したいセルをクリックし、キーボードからテキスト、数値、日付、時刻などを直接入力します。入力後、Enterキーで下のセルに移動、Tabキーで右のセルに移動します。
- データの修正: データが入力されたセルをダブルクリックするか、数式バーをクリックすると、内容を編集できます。F2キーでも編集モードになります。
- データの削除: 削除したいセルを選択し、DeleteキーまたはBackspaceキーを押します。
- オートフィル機能: セルの右下隅にある■(フィルハンドル)をドラッグすると、規則的なデータ(連番、曜日、月など)を自動的に入力したり、数式や書式をコピーしたりできます。
- コピー&ペースト (Ctrl+C, Ctrl+V): 選択したセル範囲をコピーし、別の場所に貼り付けます。
- カット&ペースト (Ctrl+X, Ctrl+V): 選択したセル範囲を切り取り、別の場所に貼り付けます。
- 形式を選択して貼り付け: Ctrl+Vの横にある▼をクリックすると、「値のみ貼り付け」「書式のみ貼り付け」「数式のみ貼り付け」など、貼り付けたい要素を選択できます。右クリックメニューからも利用できます。
4.3 セルの書式設定
入力したデータを分かりやすく表示するために、セルの書式を設定します。「ホーム」タブの「フォント」「配置」「数値」グループで行います。
- フォント、サイズ、色、スタイル: Writerと同様に、セルの文字のフォント、サイズ、色、太字/斜体/下線などのスタイルを設定できます。
- 配置: セル内のデータの水平方向(左揃え、中央揃え、右揃え)と垂直方向(上揃え、中央揃え、下揃え)の配置を設定できます。
- 折り返して全体を表示: セルに入力されたテキストがセルの幅より長い場合に、自動的に折り返して複数行で表示します。
- セルの結合と中央揃え: 複数のセルを1つのセルに結合し、その中のデータを中央に配置できます。表の見出しなどによく使われます。
- 数値形式: セルに入力された数値や日付の表示形式を設定します。通貨、パーセント、日付(様々な形式)、時刻、小数点以下の桁数などを指定できます。カンマ区切り(桁区切りスタイル)もワンクリックで設定できます。
- 罫線: セルやセル範囲に罫線(線の種類、太さ、色)を設定し、表の区切り線を表示できます。
- 塗りつぶし: セルの背景色を設定します。
- 条件付き書式設定: セルの値に応じて、自動的に書式(背景色、文字色など)を変更する機能です。例えば、特定の数値以上のセルを赤く表示したり、データの大小を色の濃淡で表現したりできます。データの傾向を視覚的に把握するのに役立ちます。「ホーム」タブの「条件付き書式」から設定します。
4.4 数式と関数の基本と活用
Spreadsheetsの最も強力な機能は、数式と関数を使った計算です。
- 基本的な計算: セルに
=
(半角イコール) から始めると、数式として認識されます。例えば=A1+B1
はA1セルとB1セルの値を合計します。四則演算子は+
(加算)、-
(減算)、*
(乗算)、/
(除算) を使用します。かっこ()
を使って計算の優先順位を指定できます。 - セルの参照: 数式の中で他のセルの値を参照できます。デフォルトは相対参照(例:
A1
)で、数式をコピーすると参照先が自動的に移動します。$
記号を使って絶対参照(例:$A$1
)や複合参照(例:A$1
,$A1
)にすることで、数式をコピーしても参照先が固定されるように設定できます。 - 関数の利用: あらかじめ定義された計算処理を行うための機能が「関数」です。
=関数名(引数1, 引数2, ...)
の形式で使用します。- 代表的な関数:
SUM(範囲)
: 指定した範囲の合計値を計算します。例:=SUM(A1:A10)
AVERAGE(範囲)
: 指定した範囲の平均値を計算します。例:=AVERAGE(B1:B5)
COUNT(範囲)
: 指定した範囲に含まれる数値セルの数を数えます。例:=COUNT(C1:C20)
MAX(範囲)
: 指定した範囲の最大値を求めます。例:=MAX(D:D)
(D列全体)MIN(範囲)
: 指定した範囲の最小値を求めます。例:=MIN(E2:E10)
IF(条件, 真の場合の値, 偽の場合の値)
: 条件が真か偽かによって異なる値を返します。例:=IF(A1>100, "合格", "不合格")
VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, 検索方法)
: 別の表から対応する値を探し出すのに使います。例:=VLOOKUP(A1, Sheet2!$A$1:$B$10, 2, FALSE)
(Sheet2のA1:B10の範囲でA1の値を検索し、2列目の値を返す)
- 関数の挿入方法: 数式バーの左にある「fx」(関数の挿入)ボタンをクリックすると、関数の分類や説明を見ながら関数を選択・入力できるダイアログが表示されます。
- 代表的な関数:
- エラー値: 数式が正しく計算できない場合、セルにエラー値(
#DIV/0!
,#VALUE!
,#REF!
,#N/A
など)が表示されることがあります。これらのエラー値を理解し、数式を修正する必要があります。
4.5 ワークシートの管理
複数の表やデータを整理するために、ワークシートを使い分けます。
- ワークシートの追加: シートタブの右側にある
+
ボタンをクリックすると、新しいシートを追加できます。 - ワークシートの名前変更: シートタブをダブルクリックするか、右クリックして「名前の変更」を選択すると、シート名を変更できます。(例: Sheet1 → 売上データ)
- ワークシートの移動、コピー: シートタブをドラッグ&ドロップすることでシートの順番を入れ替えたり、Ctrlキーを押しながらドラッグすることでシートをコピーしたりできます。右クリックメニューからも移動・コピーが可能です。
- ワークシートの表示/非表示: シートタブを右クリックし、「表示しない」を選択するとシートを非表示にできます。非表示にしたシートを表示するには、どれか一つのシートタブを右クリックして「表示」を選択し、表示したいシート名を選びます。
- シートの保護: シートの内容が誤って変更されるのを防ぐために、シートにパスワードを設定して保護できます。「校閲」タブの「シートの保護」から設定します。特定のセル範囲だけを編集可能にするなどの詳細設定も可能です。
4.6 データの並べ替えと抽出
大量のデータを効率的に分析するために、並べ替えや抽出機能を使います。「データ」タブにあります。
- データの並べ替え(ソート): 特定の列の値を基準に、データを昇順または降順に並べ替えることができます。複数の列を基準にして並べ替えることも可能です(例: まず部署で並べ替え、次に氏名で並べ替え)。並べ替えたいデータ範囲を選択し、「データ」タブの「並べ替え」をクリックして設定します。
- オートフィルター: 表の見出し行にドロップダウンリストを追加し、特定の条件を満たす行だけを表示(抽出)する機能です。見たいデータだけを絞り込んで表示できるため、データの確認や分析に非常に便利です。データの範囲内を選択し、「データ」タブの「フィルター」ボタンをクリックすると、見出し行にフィルターボタンが表示されます。▼をクリックして抽出条件を選択します。
- 詳細設定フィルター: より複雑な条件(例: ~以上かつ~以下、OR条件など)でデータを抽出したい場合に利用します。別途抽出条件を記述する領域を設けて設定します。
4.7 グラフの作成と編集
数値を視覚的に表現することで、データの傾向や比較を分かりやすく伝えることができます。「挿入」タブの「グラフ」から作成します。
- グラフの種類: 棒グラフ、円グラフ、折れ線グラフ、散布図など、様々な種類のグラフがあります。表現したいデータに合わせて適切な種類を選択します。
- グラフの作成手順:
- グラフ化したいデータ範囲(数値と項目名を含む)を選択します。
- 「挿入」タブの「グラフ」グループから、作成したいグラフの種類を選択します。
- 選択したデータに基づいてグラフが作成され、ワークシート上に配置されます。
- グラフ要素の追加と編集: 作成したグラフに、グラフタイトル、軸ラベル、凡例、データラベル、データテーブルなどを追加したり、位置や書式を編集したりできます。グラフをクリックすると表示されるデザインツールやレイアウトツールを使って設定します。
- グラフスタイルの変更: グラフの色やデザインスタイルを簡単に変更できます。
4.8 ピボットテーブルの活用
ピボットテーブルは、大量のデータを集計・分析するための強力なツールです。特定の項目でデータをクロス集計し、合計、平均、個数などを素早く算出できます。
- ピボットテーブルの概要: 元データ(例えば売上データ)から、商品別・地域別・担当者別といった切り口で、売上の合計や個数を簡単に集計し、柔軟に分析レポートを作成できます。
- ピボットテーブルの作成手順:
- 集計したい元データ範囲を選択します。
- 「挿入」タブの「ピボットテーブル」をクリックします。
- ピボットテーブルを配置する場所(新しいワークシートまたは既存のワークシート)を選択します。
- 右側に表示される「ピボットテーブルのフィールド」リストから、集計したい項目(行ラベル、列ラベル、値、フィルター)をドラッグ&ドロップで配置します。
- 値の集計方法変更: デフォルトでは合計値が集計されることが多いですが、集計したいフィールドを右クリックして「値フィールドの設定」から、平均、個数、最大値、最小値などに変更できます。
4.9 印刷設定
ワークシートを印刷する際には、印刷範囲やレイアウトを適切に設定することが重要です。「ページレイアウト」タブや「ファイル」タブの「印刷」から行います。
- 印刷範囲の設定: ワークシート全体ではなく、特定の範囲だけを印刷したい場合に設定します。印刷したい範囲を選択し、「ページレイアウト」タブの「印刷範囲」→「印刷範囲の設定」をクリックします。
- 用紙サイズ、方向、余白: Writerと同様に、用紙サイズ、印刷方向(縦/横)、余白を設定できます。
- 拡大縮小印刷: 用紙1ページに収まるように拡大縮小したり、指定した倍率で印刷したりできます。
- タイトル行/列の繰り返し: 複数ページにわたる大きな表を印刷する際に、各ページの上部に項目名のあるタイトル行を繰り返して印刷するように設定できます。「ページレイアウト」タブの「印刷タイトル」から設定します。
- 改ページのプレビューと設定: どこでページが切り替わるかを確認し、必要に応じて改ページ位置を調整できます。「表示」タブの「改ページプレビュー」を選択すると、ページ区切りが青い線で表示され、これをドラッグして位置を変更できます。
4.10 Spreadsheetsのその他便利機能
- データの入力規則: セルに入力できるデータの種類や範囲を制限することで、データの整合性を保つ機能です。例えば、数値しか入力できないようにしたり、特定のリストからしか選択できないようにしたりできます。「データ」タブの「入力規則」から設定します。
- スパークライン: セルの中に小さなグラフ(折れ線、縦棒、勝敗)を表示する機能です。データの傾向をコンパクトに視覚化できます。「挿入」タブの「スパークライン」から設定します。
- テンプレートの使用: 家計簿、カレンダー、ToDoリスト、請求書など、様々な用途のテンプレートが用意されています。
第5章:WPS Officeのその他の機能と活用法
Writer, Presentation, Spreadsheetsといった主要機能以外にも、WPS Officeには便利な機能や連携サービスがあります。
5.1 PDF編集・変換機能
WPS Officeは、PDF関連の機能も統合しています。
- Office形式からPDFへの変換: Writer, Presentation, Spreadsheetsで作成したファイルを簡単にPDF形式で保存できます。「ファイル」タブの「エクスポート」→「PDFにエクスポート」を選択します。
- PDFからOffice形式への変換: PDFファイルをWord (.docx) や Excel (.xlsx) 形式に変換できます。無料版ではページ数に制限があることが多く、有料版では無制限に変換可能です。
- PDFの閲覧・簡単な編集: WPS OfficeでPDFファイルを開いて閲覧できます。無料版でも、ハイライト、下線、取り消し線、注釈(コメント)、テキストボックスの追加など、簡単な編集やマークアップが可能です。有料版では、テキストの編集、画像の挿入・削除、ページの結合・分割・並べ替えなど、より高度な編集が可能になります。
5.2 WPS Cloudとの連携
WPS Officeには、独自のクラウドストレージサービス「WPS Cloud」が統合されています。
- ファイルの保存とアクセス: 作成したファイルをWPS Cloudに直接保存できます。これにより、インターネット環境があればどのデバイスからでもファイルにアクセスできるようになります。
- ファイルの共有: WPS Cloudに保存したファイルを他のユーザーと共有し、共同編集やレビューを行うことができます。
- 複数デバイスでの利用: PC、スマートフォン、タブレットなど、異なるデバイスのWPS Officeアプリから同じファイルにアクセスし、作業を継続できます。
無料版でも一定の容量(通常1GB)が提供されます。より多くの容量や高度な共有機能を利用するには有料版が必要になります。
5.3 モバイル版アプリの活用
WPS Officeは、AndroidおよびiOS向けのモバイルアプリも提供しています。
- スマートフォン、タブレットでの利用: スマートフォンやタブレットで、Writer, Presentation, Spreadsheets, PDFのファイルの閲覧・編集ができます。タッチ操作に最適化されており、外出先や移動中にPCがない環境でもOffice作業を行えます。
- PC版との連携: WPS Cloudを利用することで、PCで作成したファイルをモバイルで編集したり、モバイルで作成したファイルをPCで仕上げたりといった連携がスムーズに行えます。
モバイル版アプリも基本的な機能は無料で利用できますが、一部高度な機能や広告非表示は有料になります。
5.4 WPS Template(テンプレートサイト)
WPS Officeには、公式のテンプレートサイト「WPS Template」があります。
- 豊富なテンプレート: ビジネス文書、プレゼンテーション、履歴書、カレンダー、レポートなど、様々な用途に合わせたテンプレートが豊富に用意されています。プロがデザインしたようなテンプレートを使うことで、見栄えの良い資料を効率的に作成できます。
- 検索とダウンロード: 目的やキーワード、カテゴリなどでテンプレートを検索できます。気に入ったテンプレートはダウンロードしてWPS Officeで開けば、すぐに編集を開始できます。
無料版ユーザーでも多くの無料テンプレートを利用できますが、一部の高品質なテンプレートは有料会員限定となっています。
5.5 WPS Office AI(有料版)
最新のWPS Office有料版には、AI機能「WPS Office AI」が搭載されています。これは、文書作成、データ分析、プレゼンテーション準備などをAIが支援する機能です。
- 文章作成支援: テキストの要約、言い換え、文章の作成、メール作成などをAIがサポートします。
- データ分析: Spreadsheetsでデータ分析の提案や、数式作成の支援を行います。
- プレゼンテーション補助: スライド構成の提案や、スライド内容の自動生成などを行います。
この機能は有料版限定であり、利用には別途料金がかかる場合があります。常に進化している機能なので、最新情報は公式サイトで確認してください。
5.6 WPS Officeの有料版について
無料版でも多くの機能が使えますが、さらに便利に、そしてビジネスでWPS Officeを使いたい場合は、有料版(WPS Office 2023 / WPS Office 2 Pro / WPS Office 2 Standardなど、時期や地域によって名称やプランが異なる場合があります)を検討すると良いでしょう。
-
無料版との主な違い:
- 広告非表示: アプリケーション内に広告が表示されなくなります。
- 全機能解放: PDFの無制限変換、全てのプレミアムテンプレート利用、高度なセキュリティ機能など、無料版で制限されていた機能が利用可能になります。
- 商用利用: 法人などの組織で利用する場合は、有料版のライセンスが必要です。無料版は個人利用に限定されています。
- サポート強化: 有料版ユーザーは、より手厚い公式サポートを受けられることが多いです。
- WPS Cloud容量増加: 利用できるWPS Cloudの容量が増えます。
-
購入を検討すべきケース:
- 広告が表示されるのがどうしても気になる。
- 無料版の機能制限が作業の支障になっている(特にPDFの変換・編集を頻繁に行う場合)。
- ビジネスや仕事でWPS Officeを継続的に利用したい。
- より安定したサポートが必要。
有料版には、買い切り型の永続ライセンスや、Microsoft 365のようなサブスクリプション型(期間契約)のプランがあります。公式サイトで最新の料金やプラン詳細を確認し、自身の利用スタイルに合ったものを選びましょう。
第6章:Microsoft Officeとの互換性と注意点
WPS Officeの大きな魅力の一つはMicrosoft Officeとの高い互換性ですが、完璧ではありません。どのような点に注意すべきかを知っておきましょう。
6.1 高い互換性について
WPS Officeは、Microsoft Officeのファイル形式(.docx、.pptx、.xlsx)を読み書きする際に、Microsoft Officeのエンジンに近い独自の技術を採用していると言われています。これにより、他の多くの無料Officeソフトに比べて、以下のような点で互換性が高いと評価されています。
- ファイル形式の対応: Microsoft Office 2007以降で標準となったXMLベースのファイル形式(.docx, .pptx, .xlsx)に完全に対応しています。古い.doc, .ppt, .xls形式にも対応しています。
- UI/UXの類似: 操作画面がMicrosoft Officeに非常に似ているため、Microsoft Officeを使ったことがあるユーザーなら、WPS Officeにスムーズに移行できます。操作方法で迷うことが少ないです。
- 基本的な機能の再現性: テキスト入力、フォント・段落設定、表、図形、グラフ、数式・関数といった基本的な機能は、Microsoft Officeで作成されたものがWPS Officeでもほぼ意図通りに表示・編集できます。
6.2 互換性が問題になる可能性があるケース
互換性は高いとはいえ、完全に一致するわけではありません。以下のようなケースでは、互換性の問題が発生する可能性があります。
- 複雑なマクロやVBA: Microsoft Officeのマクロ(VBA)は、WPS Officeでは完全に実行できない場合や、記述方法が異なる場合があります。マクロを多用するファイルでは注意が必要です。
- 特殊なフォントやオブジェクト: Microsoft Office独自のフォントや、特殊なアドインによって挿入されたオブジェクトなどを使用している場合、WPS Officeでは正しく表示されなかったり、代替のフォントやオブジェクトに置き換えられたりすることがあります。
- 最新のOffice機能: Microsoft Officeに最近追加された新しい機能やグラフの種類など、WPS Officeがまだ対応していない機能が含まれているファイルを開いた場合、その部分が正しく表示されない可能性があります。
- 複雑なレイアウトや設定: ページ設定、ヘッダー/フッター、図形や画像の配置、表の細かい設定など、非常に複雑なレイアウトを持つ文書やスライド、ワークシートでは、まれにレイアウトがわずかにずれることがあります。特に、Microsoft OfficeとWPS Officeで同じフォントがインストールされていても、文字のレンダリング(表示)方法のわずかな違いによって改行位置が変わるなどしてレイアウトに影響が出ることがあります。
- 共同編集機能: Microsoft 365などで提供されているリアルタイム共同編集のような高度な連携機能は、WPS Officeでは同等の機能が提供されていない場合があります(WPS Cloudでの共有機能はあります)。
6.3 互換性を高めるためのヒント
互換性の問題を最小限に抑えるために、以下の点に注意すると良いでしょう。
- 標準的なフォントを使用する: Arial, Times New Roman,游ゴシック,游明朝など、広く使われている標準的なフォントを使用することで、異なる環境でファイルを開いた際のレイアウト崩れを防ぎやすくなります。
- 複雑すぎる機能の使用を避ける: 複雑なマクロや、特殊なアドインに依存する機能の使用は、可能な限り避けるか、WPS Officeでも動作するか事前に確認しましょう。
- ファイルを交換する際はPDF形式も併用する: 相手がMicrosoft Officeを使っている場合など、レイアウトの正確性が非常に重要なファイル(例: 契約書、印刷物にする資料)を共有する際は、Officeファイル形式に加えてPDF形式でも共有することをおすすめします。PDFであれば、基本的にどの環境でも同じ見た目で表示されます。
- 重要なファイルは保存形式を統一する: 自分が主にWPS Officeを使うのであれば、常に.docx, .pptx, .xlsx形式で保存しましょう。Microsoft Office形式で保存することで、相手がMicrosoft Officeを使っている場合でも互換性を保ちやすくなります。ただし、WPS Office独自の機能を使った場合は、その機能がMicrosoft Officeでどう表示されるか確認が必要です。
- 開いたファイルを確認する: Microsoft Officeで作成されたファイルを開いた際は、特にレイアウトや数値が正しく表示されているか、ざっと確認する習慣をつけましょう。
これらの注意点を踏まえても、日常的なOffice作業においてWPS Officeの互換性は非常に高いレベルにあります。ほとんどのユーザーにとって、無料の代替ソフトとして十分な実用性を備えていると言えます。
まとめ:WPS OfficeでOffice作業を始めよう!
この記事では、WPS Officeの概要から、Writer, Presentation, Spreadsheetsの主要な使い方、その他の便利機能、そしてMicrosoft Officeとの互換性について、約5000語にわたって詳しく解説しました。
WPS Officeの最大の魅力は、やはり「無料」でMicrosoft Officeと高い互換性を持つ点にあります。Officeソフトに費用をかけたくない個人ユーザーや学生にとって、非常に魅力的な選択肢です。広告が表示される、一部機能に制限がある、といったデメリットはありますが、日常的な文書作成、プレゼンテーション作成、表計算の基本的な作業であれば、無料版でも十分にこなせることがご理解いただけたかと思います。
- Writerを使えば、レポートや企画書、手紙など、様々な文書を簡単かつ綺麗に作成できます。
- Presentationを使えば、発表資料やセミナー資料をデザイン性の高いスライドで作成し、聞き手を惹きつけるプレゼンができます。
- Spreadsheetsを使えば、家計簿やリスト作成、データ集計・分析、グラフ作成など、データを効率的に扱うことができます。
これらの基本的な使い方は、Microsoft Officeの経験がある方ならスムーズに移行できますし、初めてOfficeソフトを使う方でも、直感的な操作で習得しやすいでしょう。豊富なテンプレートやPDF機能、WPS Cloud連携、モバイル版アプリといった機能も、あなたのOffice作業をさらに効率化してくれます。
互換性についても、複雑なケースを除けば問題なくファイルのやり取りが可能です。もしビジネスでの本格的な利用や、より高度な機能、手厚いサポートが必要になった場合は、有料版へのアップグレードも検討できます。
さあ、この記事で学んだ知識を活かして、実際にWPS Officeを使ってみましょう。インストールは簡単です。無料で手軽に始められるWPS Officeは、きっとあなたのOffice作業の強い味方になってくれるはずです。
「これ一つでOffice作業OK」の世界を、ぜひ体験してください!
免責事項
本記事は、執筆時点(2024年〇月)のWPS Office無料版に関する情報に基づいて作成されています。WPS Officeのバージョンアップにより、画面構成、機能、仕様(特に無料版の機能制限や表示される広告の種類・頻度など)が変更される可能性があります。また、有料版の名称、プラン、料金なども変更されることがあります。
Microsoft Officeとの互換性についても、すべての機能や複雑なファイルで完全に互換性が保証されるものではありません。特にビジネスで機密性の高い情報を含むファイルや、レイアウトが厳密に求められるファイルを取り扱う場合は、事前に十分な検証を行うか、有料版の利用、あるいはMicrosoft Officeの導入をご検討ください。
本記事の情報に基づいてWPS Officeを利用されたことにより生じた、いかなる損害についても、当方は一切の責任を負いかねます。ご利用はご自身の判断と責任において行ってください。