ノートPC代わりになる?Surface Go 2 レビュー


ノートPCの代わりになる? Surface Go 2 詳細レビュー:真のモバイルワークステーションを探る

はじめに:Surface Go 2とは何か?

マイクロソフトが手掛けるSurfaceシリーズは、Windows体験をハードウェアとソフトウェアの両面から最適化し、多様な働き方やライフスタイルに対応することを目指しています。その中でも、Surface Goシリーズは「最も小さく、最も手頃なSurface」として、携帯性と手軽さを追求したモデルです。2020年5月に発表されたSurface Go 2は、その前モデルであるSurface Goのコンセプトを受け継ぎつつ、様々な点で改良が加えられました。

「ノートPCの代わりになるのか?」――これは、Surface Go 2を検討する多くの人々が抱く最大の疑問でしょう。このコンパクトで軽量なデバイスは、タブレットとしても、別売りのType Coverを装着すればノートPCとしても使用できる2-in-1スタイルを採用しています。その柔軟性は魅力的ですが、パフォーマンスや使い勝手は実際のノートPCにどこまで迫れるのでしょうか?

本記事では、Surface Go 2を様々な角度から徹底的にレビューし、その真価を詳細に検証します。デザイン、ディスプレイ、パフォーマンス、キーボード、ペン、ポート類、バッテリー、そして実際の使用感に至るまで、約5000語に及ぶ詳細な説明を通じて、Surface Go 2があなたの期待に応えられる「ノートPC代わり」となり得るのか、その答えを探求していきます。

第1章:デザインと外観 ― コンパクトな筐体に凝縮されたSurfaceらしさ

Surface Go 2を手に取ってまず感じるのは、そのコンパクトさと軽さです。本体サイズは約245 mm x 175 mm x 8.3 mm、重量はPentium Goldモデルで約544g、Core m3モデルで約553g(いずれもLTEモデルは若干重くなります)。これは、多くの一般的なノートPCはもちろん、一部の軽量モバイルノートPCと比較しても非常に軽量です。iPad Airなど他のタブレットと比較しても遜色ない携帯性を誇ります。

筐体の素材にはマグネシウム合金が採用されており、これにより軽量でありながらも高い剛性を実現しています。安価なプラスチック筐体とは一線を画す、サラサラとしたマットな質感は所有欲を満たしてくれます。コーナーは丸みを帯びており、手に馴染みやすいデザインです。高級感があり、ビジネスシーンでもプライベートでも違和感なく使用できる洗練された外観です。

Surfaceシリーズの象徴とも言えるキックスタンドも健在です。本体背面にシームレスに格納されており、指で簡単に引き出すことができます。このキックスタンドの最大の特長は、無段階で角度調整ができることです。最大165度まで開くことができ、これはほぼフラットに近い状態です。デスクでの作業はもちろん、ソファや膝の上、あるいはイラストを描く際の傾斜など、様々なシチュエーションで最適な角度に調整できます。キックスタンドのヒンジ部分は非常にスムーズでありながら、しっかりと固定されるため、意図せず角度が変わってしまう心配はありません。このキックスタンドの存在が、Surface Go 2を単なるタブレットとは異なる、多用途デバイスたらしめていると言えるでしょう。

しかし、キックスタンドには一つ注意点があります。それは、不安定な場所や狭い場所での使用です。キックスタンドを展開するには本体の奥行き以上のスペースが必要となるため、新幹線の小さなテーブルや飛行機の座席テーブルなどでは、角度が制限されたり、安定性に欠けたりする場合があります。また、膝の上で使用する際も、Type Coverを装着した状態では、キックスタンドで支える構造上、一般的なクラムシェル型ノートPCほどの安定性は期待できません。特に揺れる場所や、頻繁に体勢を変えるような状況では、安定したタイピングが難しくなることがあります。

全体として、Surface Go 2のデザインは、携帯性を最優先にしつつ、Surfaceファミリーとしてのアイデンティティと実用性を両立させています。特にキックスタンドは、このデバイスの使い勝手を大きく左右する重要な要素です。高級感のある素材と丁寧な作り込みは、マイクロソフト製品らしい質の高さを感じさせます。

第2章:ディスプレイ ― 見やすさと使いやすさを両立したPixelSense

Surface Go 2のディスプレイは、前モデルの10インチから10.5インチへとわずかに大型化されました。この0.5インチの差はわずかですが、本体サイズをほぼ変えずにディスプレイサイズを拡大するために、ベゼル(画面の縁)が狭くなっています。これにより、本体サイズに対する画面占有率が向上し、よりモダンな印象を受けるだけでなく、視覚的な没入感も増しています。

解像度は1920 x 1280ピクセルです。この解像度を10.5インチという画面サイズに詰め込むことで、ピクセル密度は220 PPI(Pixels Per Inch)となります。これは非常に精細な表示であり、文字や画像が滑らかでクリアに見えます。一般的なノートPCのディスプレイと比較しても、同等かそれ以上の精細さと言えるでしょう。特に、テキストの可読性が高く、長時間の読書や文書作成でも目が疲れにくいと感じました。

アスペクト比はSurfaceシリーズ共通の3:2を採用しています。一般的なノートPCの16:9やタブレットの4:3とは異なり、縦方向に少し長い比率です。この3:2というアスペクト比は、ウェブサイトの閲覧や文書作成など、縦長のコンテンツを表示するのに非常に適しています。より多くの情報を一度に表示できるため、スクロールの手間が減り、作業効率が向上する場面が多くあります。ただし、動画コンテンツの多くは16:9で制作されているため、全画面表示にすると上下に黒帯が表示されることになります。これはトレードオフと言えるでしょう。

Surface Go 2のディスプレイは「PixelSense」ディスプレイと名付けられており、高い色再現性や広視野角が特長です。実際に使用してみると、発色は豊かで自然、写真や動画も美しく表示されます。また、斜めから見ても色合いや明るさの変化が少なく、複数人で画面を共有する際にも便利です。明るさも十分で、屋内の一般的な環境であれば問題なく使用できます。ただし、強い直射日光の下では、光沢のあるパネルのため映り込みが気になる場合があります。

タッチ操作にももちろん対応しており、非常に滑らかで反応も良好です。Windows 10のタッチ操作に最適化されたUI要素(タブレットモードなど)を組み合わせることで、指先での直感的な操作が可能です。また、別売りのSurface Penにも対応しています。これにより、画面に直接手書きメモを取ったり、イラストを描いたりすることが可能になります。ペン入力の遅延は少なく、自然な書き心地を実現しています。このペン対応能力は、Surface Go 2を他の安価なタブレットやノートPCと差別化する大きな強みの一つです。手書き入力が多いユーザーや、クリエイティブな用途にも活用したいユーザーにとっては、必須の機能と言えるでしょう。

ディスプレイ表面はGorilla Glass 3で保護されており、傷がつきにくくなっています。しかし、指紋は比較的つきやすいため、気になる場合は定期的なクリーニングが必要になるかもしれません。

総じて、Surface Go 2のディスプレイは、サイズこそコンパクトながらも、高解像度、広色域、3:2のアスペクト比、そして優れたタッチ・ペン対応能力により、非常に高品質で実用的なものです。特に文書作成やウェブ閲覧、手書き入力といった作業においては、多くのノートPCに劣らない快適性を提供します。

第3章:パフォーマンス ― ライトユースに特化した選択肢

Surface Go 2のパフォーマンスは、そのモデル構成によって大きく異なります。主な構成オプションとして、Intel Pentium Gold 4425Yプロセッサ搭載モデルと、Intel Core m3-8100Yプロセッサ搭載モデルがあります。RAMは4GBまたは8GB、ストレージはeMMCまたはSSDから選択できます。

Intel Pentium Gold 4425Yモデル:
このモデルは、より手頃な価格設定がされており、Surface Go 2の入門機と言えます。Pentium Gold 4425Yは、IntelのYシリーズプロセッサの中でもエントリークラスに位置付けられます。日常的なタスク、例えばウェブブラウジング(数個のタブを開く程度)、メールのチェック、Microsoft Officeアプリ(Word、Excel、PowerPoint)での簡単な文書作成や編集、動画視聴(YouTubeなど)といった用途であれば、概ね快適に動作します。しかし、複数のアプリケーションを同時に起動したり、多くのタブを開いた状態で切り替えたりすると、動作がもたつく場面が出てきます。特に、4GB RAMとeMMCストレージの組み合わせでは、その傾向が顕著になります。eMMCはSSDに比べて読み書き速度が遅いため、アプリケーションの起動やファイルアクセスに時間がかかることがあります。この構成は、本当に最低限の用途、例えばメールとウェブ閲覧が中心で、重い作業は一切しないというユーザー向けと言えるでしょう。

Intel Core m3-8100Yモデル:
Core m3モデルは、Pentium Goldモデルよりも高いパフォーマンスを提供します。Core m3-8100Yは、より効率的なアーキテクチャを採用しており、特にマルチタスク処理や、やや要求の高いアプリケーションの動作において、Pentium Goldよりも優位性があります。このモデルに8GB RAMとSSDストレージを組み合わせた構成は、Surface Go 2の中で最も高性能な構成となります。この構成であれば、Officeアプリを複数同時に開いたり、ウェブブラウジングで多くのタブを開いたり、OneDriveなどのクラウドストレージと同期しながら作業したりといった、一般的なビジネス用途や学習用途であれば、比較的快適に使用できます。Photoshopでの簡単な画像編集や、Lightroomでの写真管理なども可能ですが、大規模な編集や多数のレイヤーを扱うような作業には力不足を感じるでしょう。動画編集や3Dモデリング、最新のPCゲームといった、高い処理能力を要求されるタスクには全く向いていません。

ストレージの種類と容量:
ストレージは64GB eMMC、128GB SSD、256GB SSDのオプションがあります。前述の通り、eMMCは安価ですが速度が遅く、特にWindows OSやアプリケーションの起動時間に影響します。また、64GBという容量は、OSやプリインストールアプリ、そしていくつかの自分でインストールするアプリやデータで容易にいっぱいになってしまう可能性があります。ノートPCとして本格的に使用するのであれば、最低でも128GB SSD、可能であれば256GB SSDを選択することを強く推奨します。SSDはeMMCよりも圧倒的に高速であり、全体的な操作感を大きく向上させます。

パフォーマンスに関する総括:
Surface Go 2のパフォーマンスは、「ライトユース」に特化しています。ウェブ閲覧、メール、Officeアプリ、動画視聴、簡単な手書きメモといった、いわゆる「カジュアル」な用途であれば十分に対応できます。しかし、CPUパワーやRAM容量、ストレージ速度を要求されるような、負荷の高い作業をメインに行うユーザーにとっては、力不足を感じる場面が多々あるでしょう。特に、メインのノートPCとして、日常的に複数の重いアプリケーションを立ち上げたり、大量のデータを扱ったりする場合には、ストレスを感じる可能性があります。

Core m3モデルに8GB RAMとSSDを組み合わせた構成であれば、多くのユーザーにとって「サブノートPC」あるいは「セカンドデバイス」としては十分に通用するパフォーマンスを持っています。しかし、これを唯一のメインPCとして、クリエイティブな作業や開発作業、あるいは重いマルチタスクをこなそうと考えるのは現実的ではありません。

「ノートPC代わりになるか?」という問いに対するパフォーマンス面での回答は、「用途によるが、多くの一般的なノートPCがこなせる範囲の作業全てをこなすことは難しい」ということになります。あくまでも、軽量性と携帯性を最大限に活かした、特定のライトな用途に焦点を当てたデバイスと考えるべきです。

第4章:キーボードとSurface Pen ― アクセサリーが広げる可能性

Surface Go 2を「ノートPC代わり」として使用するためには、別売りのアクセサリーがほぼ必須となります。その中でも最も重要なのが、Surface Go Type Coverです。

Surface Go Type Cover:
Surface Go Type Coverは、本体の底面に磁力で吸着させることで、物理キーボードとトラックパッドを追加するアクセサリーです。薄型軽量でありながら、ノートPCに近いタイピング感を提供します。キーボード面にはAlcantara素材(一部モデル)が採用されており、手触りが良く高級感があります。

キーピッチ(キーの中心から隣のキーの中心までの距離)は、本体のサイズに合わせて一般的なノートPCよりもやや狭くなっています。慣れるまで誤入力があるかもしれませんが、慣れてしまえば比較的快適にタイピングできます。キーストローク(キーを押し込む深さ)も浅めですが、適度な反発があり、打鍵感は悪くありません。バックライトも搭載されており、暗い場所での作業も可能です。

Type Coverは、ディスプレイ下部に折り返すように角度をつけて装着することで、より安定したタイピングが可能です。この傾斜のおかげで、机の上でのタイピングは比較的快適に行えます。しかし、前述したように、膝の上や不安定な場所での使用では、キーボード面がしなりやすく、安定性に欠ける場面があります。この点は、一般的なクラムシェル型ノートPCと比較した際の大きな弱点と言えます。

トラックパッドは、ガラス製で滑らかな操作感です。サイズはそこまで大きくありませんが、Windows 10のマルチタッチジェスチャーにも対応しており、ポインター操作やスクロールはスムーズに行えます。クリック感も良好です。

Type Coverの最大の欠点は、その価格です。Surface Go 2本体とは別売りであり、それなりの金額がかかります。Type Coverを装着しないと、タッチキーボードのみでの長文入力は現実的ではないため、事実上必須のアクセサリーと言えるでしょう。本体価格に加えてType Coverの価格を考慮すると、予算内でより高性能なノートPCが購入できる場合もあります。

Surface Pen:
別売りのSurface Penも、Surface Go 2の魅力を引き出す重要なアクセサリーです。Surface Penは、本体側面に磁力で吸着させて持ち運ぶことができます。対応するアプリ(Microsoft Whiteboard, OneNote, Adobe Frescoなど)を使えば、画面に直接手書きでメモを取ったり、イラストを描いたりすることができます。

Surface Penは、4096段階の筆圧感知と傾き検知に対応しており、非常に自然な書き心地を実現しています。ペン先の種類も複数あり、好みに合わせて交換可能です(別売り)。紙に書いているような抵抗感はなく、画面上で直接書く感覚に近いですが、遅延は少なく、線がスムーズに追従してきます。パームリジェクション機能(画面に手を置いた状態でも誤入力されない機能)も優れており、快適に手書き入力や描画ができます。

学生のノート取り、会議中のメモ、PDF書類への書き込み、簡単なスケッチやイラスト作成など、様々な用途で活躍します。Surface Go 2の携帯性の高さを活かし、外出先でのアイデアスケッチや、立ちながらの入力なども可能です。

ただし、Surface PenもType Coverと同様に別売りであり、価格がかかります。手書き入力や描画を重視しないユーザーにとっては必須ではありませんが、Surface Go 2の多用途性を最大限に引き出すためには、ぜひ検討したいアクセサリーです。

その他のアクセサリー:
Surface Go 2は、別売りのSurface Arc MouseやSurface Mobile Mouseなどのワイヤレスマウスにも対応しています。トラックパッドだけでなく、マウスを使用することで、より細かい作業や長時間の作業が快適になります。また、USB-Cポートを利用して、様々なハブやドックを接続することも可能です。これにより、複数の外部ディスプレイに接続したり、USB機器を同時に使用したりすることができます。ただし、これも追加のコストがかかります。

総じて、Surface Go 2はType CoverとSurface Penといったアクセサリーと組み合わせることで、その真価を発揮します。これらのアクセサリーはSurface Go 2の機能を大きく拡張し、「ノートPC代わり」としての側面を強化しますが、それには追加のコストがかかることを理解しておく必要があります。

第5章:ポート類と接続性 ― シンプルながらもモダンな構成

Surface Go 2のポート類は、本体のコンパクトさを反映して、必要最低限に絞られています。

USB-Cポート:
本体右側面に、USB Type-Cポートが一つ搭載されています。このポートは、電力供給(USB PD)に対応しており、Surface Go 2本体の充電に使用できます。また、データの転送(USB 3.1 Gen 1相当)や、DisplayPort Alternate Modeによる外部ディスプレイへの映像出力にも対応しています。これにより、USB-Cケーブル一本で充電しながら外部ディスプレイに接続したり、対応するハブやドックを経由して複数のUSB機器やSDカードリーダーなどを接続したりすることが可能です。

USB-Cポートの搭載は、前モデルからの大きな進化の一つです。これにより、汎用性の高い充電器を使用できたり、最新の周辺機器との接続性が向上したりしました。しかし、ポートが一つしかないため、例えば充電しながらUSBメモリを使用する、といった複数の操作を同時に行うには、USB-Cハブやドックがほぼ必須となります。

Surface Connectポート:
USB-Cポートの下には、Surfaceシリーズ独自のSurface Connectポートが搭載されています。このポートは、充電のほか、別売りのSurface Dock 2を接続することで、複数のUSBポート、イーサネットポート、外部ディスプレイポートなどを増設することができます。Surface Connectポートは磁力で固定されるため、抜き差しが簡単で、誤ってケーブルを引っ掛けても本体が落下しにくいという利点があります。また、サードパーティ製の互換性のある充電器やドックも存在します。

USB-CポートとSurface Connectポートの両方から充電が可能ですが、付属の充電器はSurface Connectポートに接続するタイプです。Surface Connectポートは独自の形状であるため、汎用性という点ではUSB-Cに劣りますが、Surfaceエコシステムの中では重要な役割を果たしています。

MicroSDXCカードリーダー:
キックスタンドの内側には、MicroSDXCカードスロットが搭載されています。これにより、安価なMicroSDカードを使ってストレージ容量を拡張することが可能です。特に、ストレージ容量が少ないモデル(64GB eMMCなど)を選択した場合、データ保存領域として非常に役立ちます。写真や動画などのデータをMicroSDカードに保存しておくことで、本体ストレージの容量を節約できます。

3.5mm ヘッドホンジャック:
本体上部左側には、標準的な3.5mmヘッドホンジャックが搭載されています。有線イヤホンやヘッドホン、外部マイクなどを接続する際に使用できます。Bluetooth接続のオーディオデバイスも利用可能ですが、物理ポートがあるのは利便性が高いです。

接続性:
ワイヤレス接続に関しては、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)とBluetooth 5.0に対応しています。これにより、高速で安定したワイヤレス通信が可能です。また、一部のモデルではLTE Advancedにも対応しています。LTEモデルであれば、Wi-Fi環境がない場所でもインターネットに接続できるため、外出先での利用が多いユーザーにとっては非常に便利です。SIMカード(nanoSIM)またはeSIMに対応しており、契約さえすればすぐにモバイル回線を使用できます。

ポート類全体としては、必要最低限という印象です。特に、フルサイズのUSB-AポートやSDカードスロットがない点は、一部のユーザーにとっては不便に感じるかもしれません。多くの周辺機器はUSB-A接続が still主流であるため、USB-Cハブの使用が前提となります。しかし、USB-CとSurface Connectという二つの充電/拡張ポートを持つことで、単一のポートしか持たないデバイス(例:一部のMacBook)よりも柔軟性はあります。LTEモデルの存在は、真のモバイルデバイスとしての価値を高めています。

第6章:バッテリー駆動時間 ― 一日の使用を支えるか

Surface Go 2のバッテリー駆動時間は、マイクロソフトの公称値では「通常のデバイス使用で最大10時間」(Wi-Fiモデル)とされています。ただし、これはあくまで特定の条件下でのテスト結果であり、実際の使用状況によって大きく変動します。

実際に使ってみると、バッテリーの持ちは用途によって大きく異なります。ウェブブラウジングや文書作成、メールといった比較的軽い作業であれば、公称値に近い、あるいはそれに近い時間使用できる可能性があります。しかし、動画視聴を続けたり、複数のアプリケーションを同時に使用したり、画面の輝度を高く設定したりすると、バッテリーの消耗は早まります。例えば、ストリーミング動画を連続視聴した場合、数時間でバッテリーが切れることもあります。

パフォーマンスの項で触れたCore m3モデルは、Pentium Goldモデルよりも高性能である反面、バッテリー消費も若干多い傾向があります。また、LTEモデルは常に電波を探したり通信を行ったりするため、Wi-Fiモデルよりもバッテリーの持ちが短くなるのが一般的です。

実際のビジネスシーンや学習シーンを想定すると、朝から夕方まで電源なしで一日中作業を続けるというのは、少し厳しいかもしれません。休憩時間に充電したり、移動中にモバイルバッテリーを活用したりするなど、計画的な運用が必要になるでしょう。付属の充電器は比較的コンパクトですが、USB-C PD対応の汎用的な充電器やモバイルバッテリーを使用できるのは便利です。

バッテリー駆動時間は、Surface Go 2を「ノートPC代わり」として使用する上で、考慮すべき重要な要素です。特に、外出先で電源を確保しにくい状況が多いユーザーにとっては、もう少し長いバッテリー駆動時間が望ましいと感じるかもしれません。しかし、そのコンパクトさと軽量さを考えれば、この駆動時間は妥協点として受け入れられる範囲かもしれません。

第7章:カメラとマイク ― Web会議に十分対応

近年、リモートワークやオンライン授業の普及により、Webカメラやマイクの性能はノートPCやタブレット選びにおいて重要な要素となっています。Surface Go 2は、この点においても抜かりがありません。

カメラ:
Surface Go 2は、前面と背面にカメラを搭載しています。
前面カメラは5.0メガピクセルで、1080pのHDビデオに対応しています。この前面カメラは、Web会議やオンライン授業、家族や友人とのビデオ通話に十分な画質を提供します。暗い場所でも比較的ノイズが少なく、顔も明るく映るため、オンラインコミュニケーションにおいて相手にクリアな映像を届けることができます。また、Windows Helloによる顔認証にも対応しており、素早く安全にログインできます。顔認証は非常にスムーズで、マスクを着用している場合などを除けば、ほぼ瞬時にロック解除が可能です。

背面カメラは8.0メガピクセルで、オートフォーカス機能を備えています。文書やホワイトボードを撮影したり、QRコードを読み取ったりといった用途に使用できます。タブレットとしては背面カメラを使う機会は少ないかもしれませんが、簡単な記録用としては十分な性能です。

マイク:
内蔵マイクは「デュアル スタジオ マイク」と呼ばれており、ノイズを抑制し、音声をクリアに拾うように設計されています。Web会議で実際に使用してみると、周囲の環境音を拾いすぎず、自分の声が聞き取りやすいという印象を受けました。エコーキャンセル機能なども備えていると思われ、比較的クリアな音声で通話が可能です。別途高品質なマイクを用意しなくても、内蔵マイクで十分に対応できるレベルです。

スピーカー:
ステレオスピーカーがディスプレイの両サイド(横向きにした場合)に搭載されています。音質はノートPCとしては平均的かそれ以上で、動画視聴やビデオ会議で相手の声を聞くのに問題ありません。ただし、音楽鑑賞などを本格的に行う場合は、外部スピーカーやヘッドホンの使用がおすすめです。

カメラ、マイク、スピーカーといったマルチメディア機能は、Surface Go 2が現代の多様なコミュニケーションスタイルに対応するための重要な要素です。特に、Web会議への対応力は高く、「ノートPC代わり」として十分な性能を備えていると言えるでしょう。

第8章:ソフトウェア ― Windows 10とSモード

Surface Go 2は、初期状態でWindows 10 Home in Sモードがインストールされています(一部法人向けモデルではWindows 10 Proも選択可能)。

Windows 10 Home in Sモード:
Sモードは、セキュリティとパフォーマンスを最大化するために設計されたWindows 10の特別バージョンです。Sモードでは、Microsoft Storeからダウンロードしたアプリのみを実行できます。これにより、悪意のあるソフトウェアの実行を防ぎ、より安全な環境でWindowsを使用できます。また、Microsoft Edge以外のブラウザをデフォルトとして設定することはできません。

Sモードの利点は、セキュリティが高いこと、そして動作が軽快であることです。Microsoft Storeにあるアプリはマイクロソフトによる審査を受けているため、安心してインストールできます。また、バックグラウンドでの不要なプロセスが少なく抑えられているため、特にパフォーマンスが控えめなPentium Goldモデルなどでは、Sモードのままで使用することで、より快適な動作が期待できます。

しかし、Sモードには大きな制限があります。それは、Microsoft Storeにないアプリケーションをインストールできないことです。例えば、Google ChromeやFirefoxといった代替ブラウザ、DropboxやGoogle Driveのデスクトップアプリ、Steamなどのゲームプラットフォーム、Adobe Creative Cloudのデスクトップアプリなど、Microsoft Store以外から提供される多くの一般的なアプリケーションは、Sモードのままではインストールできません。

Sモードの解除:
幸いなことに、Windows 10 Home in Sモードは、追加費用なしで通常のWindows 10 Homeに切り替えることができます。一度切り替えると、Sモードに戻すことはできません。切り替えはMicrosoft Storeから簡単に行えますが、インターネット接続が必要です。

多くのユーザー、特に「ノートPC代わり」としてSurface Go 2を使用したいと考えているユーザーは、Sモードを解除して通常のWindows 10 Homeで使用することになるでしょう。Sモードを解除すれば、ほとんどのWindowsアプリケーションをインストールして実行できるようになり、Surface Go 2の汎用性が飛躍的に向上します。

プリインストールアプリ:
Surface Go 2には、Windows 10の標準アプリに加えて、Office 365(Microsoft 365)の試用版などがプリインストールされています。購入後すぐにWordやExcelなどのOfficeアプリを使用できますが、継続して使用するにはサブスクリプションが必要です。

Windows 10のタブレットモード:
Windows 10にはタブレットモードが搭載されており、キーボードを取り外すと自動的に、あるいは手動で切り替えることができます。タブレットモードでは、スタートメニューが全画面表示になったり、アプリが全画面で起動したりするなど、タッチ操作に適したUIに変更されます。しかし、Windows 10のタブレットモードの使い勝手は、iPadOSやAndroidといったモバイルOSと比較すると、まだ洗練されていない部分があると感じるユーザーもいるかもしれません。タッチ操作だけで全ての操作を快適に行えるわけではなく、デスクトップモードとタブレットモードの切り替えや、アプリによってはデスクトップUIのままだったりするため、一貫性に欠ける部分があります。

ソフトウェア全体としては、Sモードという初期状態は一部のユーザーには制限となるものの、通常のWindows 10 Homeに切り替えることで、高い汎用性を得られます。多くのWindowsアプリが使える点は、iPadなどのタブレット型デバイスにはない、Surface Go 2の大きな強みの一つです。ただし、パフォーマンスの限界から、重いアプリケーションの実行は難しい場合があります。

第9章:タブレットとしての使用感 ― 軽量コンパクトなWindowsタブレット

Surface Go 2は、その名の通り「Go」という言葉が示すように、持ち運びやすさを最大の特長とするデバイスです。キックスタンドを閉じ、Type Coverを取り外した状態は、まさに軽量コンパクトなタブレットです。

重量は500g台と、長時間の片手持ちは難しいですが、両手や膝の上で支えながらの使用は比較的楽に行えます。10.5インチという画面サイズは、大きすぎず小さすぎず、手軽に持ち運んで使うのに適しています。ソファで寝転がりながらウェブを閲覧したり、電子書籍を読んだり、動画を視聴したりといったリラックスした使い方が快適です。

ディスプレイの項で述べたように、高解像度で3:2のアスペクト比は、ウェブサイトや電子書籍の表示に適しています。特に、縦向きにしてA4サイズのPDF書類などを表示すると、紙に近い感覚で閲覧できます。タッチ操作もスムーズで、画面をピンチアウト/インしたり、スワイプしたりといった操作は快適です。

Surface Penを組み合わせれば、タブレットモードでの手書きメモやスケッチも非常に便利です。会議や授業中にさっと取り出して手書きでメモを取る、といった使い方は、ノートPCでは難しいSurface Go 2ならではの強みです。

しかし、タブレットとしての使い勝手には、Windows 10というOSの性質による限界も存在します。前述の通り、Windows 10のタブレットモードは洗練さに欠ける部分があり、モバイルOSのようなタッチ操作に完全に最適化されたユーザーインターフェースではありません。アプリも、Microsoft Storeにあるタッチ操作に最適化されたものもありますが、多くはデスクトップアプリであり、タッチ操作だけでは使いにくいものもあります。例えば、細かい操作が必要なアプリケーションでは、やはりマウスやトラックパッドがあった方が快適です。

また、タブレットとして考えた場合、iPadやAndroidタブレットには、そのプラットフォームに最適化された高品質なアプリが豊富に存在します。特にゲームや一部のクリエイティブ系アプリでは、Windows版よりもモバイル版の方が使いやすい、あるいはモバイル版しか存在しないというケースもあります。

したがって、Surface Go 2を専らタブレットとして使用するのであれば、iPadやAndroidタブレットの方がより良い選択肢となる可能性があります。Surface Go 2のタブレットとしての価値は、あくまで「ノートPCとしても使えるWindowsタブレット」である点にあります。Windowsアプリが使えるという柔軟性が、他のタブレットとの差別化要因となります。

第10章:ノートPCとしての使用感 ― 「代わりになるか?」の核心

いよいよ本題、「ノートPCの代わりになるのか?」という問いに対する検証です。Surface Go 2にType Coverを装着した状態は、確かに見た目はコンパクトなノートPCです。

実際の作業感:
Type Coverを装着し、机の上に置いて作業する場合、基本的なノートPCとしての機能は果たせます。ウェブブラウジング、メール、Officeアプリでの文書作成・編集、簡単なデータ入力といった作業は、パフォーマンスの許す範囲内であれば可能です。キーボードとトラックパッドを使えることで、タブレット単体よりも格段に効率的に作業できます。

しかし、前述の通り、Type Coverのキーボードは一般的なノートPCよりもキーピッチが狭く、キーストロークも浅めです。長時間のタイピングとなると、慣れが必要であり、人によっては疲れを感じやすいかもしれません。また、膝の上でのタイピングは、Type Coverの構造上、不安定になりがちです。カフェやコワーキングスペースなど、机が利用できる環境であれば問題ありませんが、移動中やソファでの作業では、ノートPCほどの安定性は期待できません。

パフォーマンスの面でも、「ノートPC代わり」としての限界があります。Core m3/8GB/SSDモデルであれば、複数のOfficeアプリを同時に開いたり、ZoomなどのWeb会議アプリとOfficeアプリ、ブラウザなどを同時に起動したりといった、ある程度のマルチタスクは可能です。しかし、処理に時間のかかる作業(大きなデータの集計、高画質動画の編集、多数のタブを開いたブラウジングなど)を行うと、明らかに動作が遅くなります。

「ノートPC代わり」の定義:
ここで、「ノートPC代わりになるか?」という問いをより具体的に考える必要があります。どのようなレベルの「ノートPC」を想定しているのか?

  • レベル1:基本的な情報収集と発信、簡単な事務作業

    • ウェブサイトの閲覧、メールの送受信、SNSの利用
    • Wordでの簡単な文書作成、Excelでの簡単な表計算、PowerPointでの簡単なプレゼン作成
    • 動画視聴、音楽鑑賞
    • オンラインミーティングへの参加
    • クラウドストレージの利用
    • → このレベルであれば、Surface Go 2(特にCore m3/8GB/SSDモデル)は十分に「ノートPC代わり」として機能します。
  • レベル2:少し複雑な事務作業、軽いクリエイティブ作業

    • Excelでの複雑な関数計算やVBAの使用
    • 複数のアプリを頻繁に切り替えて行う作業(ブラウザで情報収集しながらWordで文書作成し、同時にメールを確認するなど)
    • Lightroomでの写真管理・簡単な編集
    • Photoshopでのレイヤー数の少ない画像編集
    • 簡単なプログラミング
    • → このレベルになると、Core m3/8GB/SSDモデルでも、作業内容によってはもたつきを感じる場合があります。メインの作業をこれで行うのは厳しいかもしれません。Pentium Goldモデルでは難しいでしょう。
  • レベル3:高度なクリエイティブ作業、データ分析、プログラミング、ゲーム

    • 動画編集(高画質、長尺)
    • 大量の画像を扱う写真編集
    • CADや3Dモデリング
    • 大規模なデータ分析、機械学習
    • コンパイル時間の長いプログラミング
    • PCゲーム(特に最新の3Dゲーム)
    • → このレベルの作業は、Surface Go 2ではほぼ不可能です。これらの作業をメインに行うユーザーにとっては、全く「ノートPC代わり」にはなりません。

モバイルワークステーションとしての側面:
Surface Go 2が一般的なノートPCと比較して優れている点は、その圧倒的な携帯性と、タブレット・ペン対応という柔軟性です。デスクでの作業だけでなく、移動中や外出先でさっと取り出して情報を確認したり、手書きでメモを取ったりといった、より自由なスタイルでの作業が可能です。これは、クラムシェル型のノートPCでは難しい芸当です。

つまり、Surface Go 2は、「カフェでちょっと作業する」「出張先でメールチェックや簡単な資料修正を行う」「通勤電車の中でニュースを読む」「ベッドでリラックスしながら動画を見る」といった、隙間時間や場所を選ばない「モバイルワークステーション」あるいは「セカンドデバイス」としての性格が非常に強いと言えます。

メインの作業(例えば、職場で高性能なデスクトップPCやノートPCを使って行うような重い作業)を全てSurface Go 2に置き換えることは難しいでしょう。しかし、メインPCの補完として、あるいは特定のライトな用途に限るのであれば、「ノートPC代わり」として十分に活躍できます。特に、既に高性能なデスクトップPCやノートPCを持っており、それとは別に持ち運びやすく、Officeアプリが使えて、ペンでメモも取れるサブ機を探しているというユーザーには、有力な選択肢となります。

第11章:競合製品との比較 ― iPad、他のWindowsタブレット/2-in-1

Surface Go 2を検討する際に、よく比較対象となるのが、AppleのiPadシリーズや、他のWindowsタブレット/2-in-1製品です。

対iPad(iPad Air, iPad Pro):
iPadシリーズは、タブレット市場において最も成功している製品群です。特にiPad AirやiPad Proは、別売りのSmart Keyboard FolioやMagic Keyboard、Apple Pencilといったアクセサリーと組み合わせることで、ノートPCのような使い方も可能です。

  • OS: iPadOS vs Windows 10。iPadOSはタブレットでの使用に最適化されており、タッチ操作やジェスチャーが非常に洗練されています。豊富なモバイルアプリエコシステムも魅力です。一方、Windows 10は汎用的なデスクトップOSであり、多くの既存Windowsアプリが使用できます。どちらのOSが優れているかは、用途や好みによります。モバイルアプリ中心ならiPad、デスクトップアプリ中心ならSurface Go 2となります。
  • パフォーマンス: 近年のiPadに搭載されているApple Silicon(Aシリーズ、Mシリーズ)は、Surface Go 2のIntelプロセッサよりも一般的に高いパフォーマンスを発揮します。特に、動画編集や画像編集といったクリエイティブな作業においては、iPad ProなどがSurface Go 2を大きく上回ることが多いです。
  • アクセサリー: どちらも別売りのキーボードとペンが必須です。Appleのアクセサリーも高価です。Magic Keyboardはトラックパッド付きでノートPCライクな使用感ですが、Surface GoのType Coverと同様に安定性に課題があります。Apple Pencilの書き心地も非常に優れています。
  • 汎用性: Windows 10が動作するSurface Go 2は、OSレベルでのファイル管理の自由度や、幅広い周辺機器との互換性において、iPadOSよりも優れています。USBメモリを挿してファイルを開いたり、exe形式のプログラムを実行したりといった、Windowsでお馴染みの操作がそのまま可能です。
  • 価格: iPad AirやiPad Pro、そしてそれらにキーボードとペンを揃えると、Surface Go 2のCore m3モデル+Type Cover+Penの構成と同等か、それ以上の価格になることが多いです。特に、エントリーモデルのSurface Go 2(Pentium Gold/4GB/eMMC)は、iPadの同等スペック(ストレージ容量など)のモデルよりも安価な場合がありますが、快適に使用するにはType Coverが必須となるため、最終的なコストは比較検討が必要です。

Surface Go 2は、iPadと比較して「よりPCライクな使い勝手」が求められるユーザー、あるいは特定のWindowsアプリを使用したいユーザーにとって魅力的な選択肢となります。一方、タブレットとしての完成度や、モバイル向けアプリの充実度、高いパフォーマンスを求める場合は、iPadシリーズが有利な場合があります。

対他のWindowsタブレット/2-in-1:
ASUS、Lenovo、HP、Dellなど、様々なメーカーからWindows搭載のタブレットや2-in-1ノートPCが販売されています。

  • Surface Proシリーズ: マイクロソフト純正の兄貴分です。Surface Go 2よりも大型(12.3インチ以上)で高性能なIntel Core iシリーズなどを搭載しています。より本格的なノートPCの代わりとして使用できますが、その分価格も高く、重さも増します。Surface Go 2は、あくまでSurface Proよりも手軽で安価なエントリーモデルという位置づけです。
  • 他社製エントリークラスWindowsタブレット/2-in-1: Surface Go 2と同価格帯またはそれ以下の価格帯で、他社からもWindowsタブレットやコンバーチブル型ノートPCが販売されています。これらの製品は、スペック面ではSurface Go 2のPentium Goldモデルと同等かそれ以下の場合が多いです。デザインや質感、キックスタンドの完成度、Type CoverやSurface Penといった純正アクセサリーの品質では、Surface Go 2が優れていることが多いです。特に、Surface Go 2のキックスタンドの無段階調整機能や、Type Coverの打鍵感は、価格帯を考慮すると高品質と言えます。ただし、他社製品の中には、最初からキーボードが付属していたり、USB-Aポートなどの接続端子が充実していたりするモデルもあります。
  • 他社製プレミアムクラスWindowsタブレット/2-in-1: Surface Go 2のCore m3モデル+アクセサリーの合計価格帯になると、他社製のより高性能なCPU(Core i3/i5など)を搭載したコンバーチブル型ノートPCや、軽量モバイルノートPCが購入できる価格帯に入ってきます。これらの製品は、クラムシェル型であることによる安定性や、より高いパフォーマンスが魅力です。Surface Go 2の最大の強みである「タブレットとしても使える軽量さ」や「ペン対応」が不要であれば、これらの製品の方が「ノートPC代わり」としては適している場合が多くあります。

Surface Go 2は、その価格帯のWindowsデバイスとしては、デザイン、ディスプレイ、アクセサリーの品質が高く、特にペン対応のWindowsタブレットという点では独自の立ち位置を築いています。ただし、パフォーマンスを重視するのであれば、同価格帯の他の製品と比較検討が必要です。

第12章:メリットとデメリット ― 光と影

Surface Go 2のメリットとデメリットを整理してみましょう。

メリット:

  • 優れた携帯性: 非常にコンパクトで軽量。どこへでも気軽に持ち運べる。
  • 高品質なディスプレイ: 高解像度、3:2アスペクト比、鮮やかな発色で、ウェブ閲覧や文書作成が快適。
  • 多用途性: タブレット、ノートPC、ペン入力デバイスとして使える2-in-1スタイル。
  • 優れたペン対応: 別売りのSurface Penで自然な手書き入力や描画が可能。
  • 洗練されたデザインと質感: マグネシウム合金筐体と無段階キックスタンド。所有欲を満たすデザイン。
  • Windows 10搭載: 多くの既存Windowsアプリケーションが使用できる(Sモード解除後)。
  • 顔認証(Windows Hello)対応: 素早く安全にログインできる。
  • LTEモデルの選択肢: 場所を選ばずインターネットに接続可能。

デメリット:

  • パフォーマンスの限界: 特にPentium Goldモデルはライトユースに限られる。Core m3モデルでも重い作業は厳しい。
  • アクセサリーの別売と価格: Type CoverとSurface Penが必須だが、本体とは別売りで高価。全て揃えると総額が高くなる。
  • ノートPCとしての安定性: 膝上など不安定な場所でのType Cover使用は安定性に欠ける。
  • ポートの少なさ: USB-Cポートが一つのみ。USB-AポートやSDカードスロットがない。
  • バッテリー駆動時間: 公称値ほど持たない場合が多く、一日電源なしでの使用は難しいことも。
  • Sモードの制限: 初期設定のままではMicrosoft Store以外のアプリが使えない(解除は可能)。
  • ストレージ容量と速度: 64GB eMMCモデルは容量不足と速度の遅さが課題。

これらのメリットとデメリットを比較検討し、自分の用途や優先順位に合っているかを判断することが重要です。

第13章:「ノートPC代わり」になるか? 結論と適したユーザー層

さて、冒頭の問いに戻りましょう。Surface Go 2は、「ノートPCの代わりになる」のでしょうか?

結論から言えば、「特定の用途においては、十分にノートPC代わりになり得る。しかし、多くの一般的なノートPCがこなせる全ての作業を置き換えられるわけではない」というのが、本記事の回答です。

Surface Go 2が「ノートPC代わり」として適しているのは、以下のような用途やユーザーです。

  • 主な用途がライトな作業中心の人: ウェブ閲覧、メール、SNS、Officeアプリでの簡単な文書作成・編集、動画視聴、オンライン会議などが中心。
  • 携帯性を最優先する人: 常に持ち歩き、場所を選ばずに作業やエンタメを楽しみたい。
  • 手書き入力やペンによる操作を活用したい人: メモを取る、スケッチをする、PDFに書き込みをするなど、ペンを使ったインプットが多い。
  • 既にメインのPCを持っている人: デスクトップPCや高性能なノートPCを別に持っており、外出用やサブ機としてコンパクトなデバイスを探している。
  • Windows OSを使いたいが、iPadのような手軽さも欲しい人: 特定のWindowsアプリを使いたいが、クラムシェル型のノートPCほど大仰なものは必要ない。
  • 学生やビジネスパーソンで、授業中や会議中のメモ取り、簡単な資料確認などがメインの人。

逆に、Surface Go 2を「ノートPC代わり」として使うのが難しい、あるいは適していないのは以下のようなユーザーです。

  • 高いパフォーマンスを要求する作業をメインに行う人: 動画編集、画像編集(本格的)、プログラミング(開発環境)、ゲーム、データ分析など。
  • 複数の重いアプリケーションを常にマルチタスクで利用する人。
  • 膝上など不安定な場所で長時間タイピングを行う必要がある人。
  • 多くのUSBポートやSDカードスロットなど、豊富な接続端子が必要な人。
  • 予算を抑えたいが、キーボードが必須な人: Type Coverの価格を含めると、同価格帯でより高性能なクラムシェル型ノートPCが視野に入る。
  • 専らタブレットとして使いたい人: より洗練されたタブレットOSや、モバイルアプリが豊富なiPadやAndroidタブレットの方が適している場合が多い。

Surface Go 2は、ノートPCとタブレットの中間に位置するデバイスです。その最大の魅力は、Windowsが動くことによるPCとしての汎用性と、タブレットのような手軽さ、そしてペン対応という、両方の良いところを併せ持っている点です。しかし、その分、ノートPCとしてのパフォーマンスや安定性、タブレットとしてのOSの洗練さという点では、それぞれに特化したデバイスには及びません。

あなたがSurface Go 2に何を求めるか、そして普段どのような使い方をするかを明確にすることで、「ノートPC代わりになるか?」という問いに対するあなた自身の答えが見えてくるはずです。

第14章:購入を検討すべき構成と注意点

もしSurface Go 2の購入を検討するならば、どの構成を選ぶべきか、いくつかの注意点があります。

構成選び:
* CPU (Pentium Gold vs Core m3): 予算が許すなら、断然Core m3モデルがおすすめです。「ノートPC代わり」としてある程度快適に使いたいのであれば、Core m3モデルを選択しましょう。Pentium Goldモデルは、本当に最低限の用途(ブラウジング、メールなど)に限定されます。
* RAM (4GB vs 8GB): Windows 10で複数のアプリを起動したり、ある程度のマルチタスクを行ったりするのであれば、8GB RAMはほぼ必須です。4GB RAMでは、すぐにメモリ不足になり、動作がもたつく可能性が高いです。これも「ノートPC代わり」として使うなら8GBを選びましょう。
* ストレージ (eMMC vs SSD, 容量): 64GB eMMCモデルは、容量不足と速度の遅さから、メインのデバイスとしてはおすすめできません。最低でも128GB SSD、可能であれば256GB SSDを選択することを強く推奨します。SSDにすることで、OSやアプリの起動、ファイルアクセスが劇的に速くなり、全体的な使用感が向上します。ストレージ容量は、写真や動画、インストールするアプリの量によって判断してください。MicroSDカードで拡張可能ですが、アプリのインストール先としては内蔵ストレージの方が高速です。

おすすめの構成:
「ノートPC代わり」として、ある程度快適にSurface Go 2を使いたいのであれば、Core m3 / 8GB RAM / 128GB SSD または 256GB SSD モデル を選択するのがベストです。この構成であれば、多くのライトな作業や、ある程度のマルチタスクにも対応できます。予算重視で最低限の機能で良い場合は、Pentium Gold / 8GB RAM / 128GB SSD モデルも選択肢に入りますが、パフォーマンスには過度な期待は禁物です。

アクセサリー:
前述の通り、Type Coverは「ノートPC代わり」として使うならほぼ必須です。Surface Penは、手書き入力や描画をしたい場合に必要となります。これらのアクセサリーは本体とは別売りであり、それなりの価格がかかることを忘れてはなりません。予算に含めて検討しましょう。

Sモード解除:
多くのWindowsアプリを使いたい場合は、購入後にSモードを解除する必要があります。解除は簡単ですが、一度解除すると元に戻せないので注意が必要です。

価格:
Surface Go 2は、本体価格だけ見ると手頃に感じるかもしれませんが、必要なアクセサリー(Type Cover、場合によってはSurface Pen、USB-Cハブなど)を揃えると、総額は一般的なモバイルノートPCの価格帯に近づいてきます。この総額で、より高性能なノートPCや、より本格的なタブレット(iPad Proなど)が購入できる可能性もあります。Surface Go 2の最大の価値は、その携帯性と多用途性にあることを理解し、自身のニーズと価格が見合っているかを慎重に判断する必要があります。

第15章:総評 ― 唯一無二の立ち位置を確立したミニマリストPC

Surface Go 2は、万人におすすめできる「ノートPC代わり」ではありません。パフォーマンスや安定性、価格といった側面では、より適したデバイスが存在するからです。しかし、その圧倒的な携帯性、高品質なディスプレイ、ペン対応、そしてWindowsが動作するという汎用性を、このコンパクトな筐体に凝縮したデバイスは、他に類を見ません。

Surface Go 2は、特定のニーズを持つユーザーにとっては、非常に魅力的な、そして「ノートPCの代わり」として十分に活躍できるデバイスです。それは、デスクに縛られず、様々な場所で、様々なスタイルで、ライトな作業や情報収集、コミュニケーション、そして手書きでのアウトプットを行いたいユーザーです。メインのPCは別にあるが、ポケットや小さなバッグにも収まるような、最高の「セカンドデバイス」を探しているユーザーにも最適です。

特に、学生が授業中にタブレットとしてメモを取りつつ、家に帰ればType Coverを付けてレポートを作成する、ビジネスパーソンが外出先や移動中にメールや簡単な資料を確認・修正し、会議中に手書きで議事録を取る、といったハイブリッドな使い方が可能な点は、Surface Go 2の最大の強みです。

もちろん、Type Coverの安定性やバッテリー駆動時間など、改善してほしい点もあります。しかし、これらのデメリットを補って余りある魅力が、Surface Go 2には確かに存在します。

もしあなたが、高性能を追求するのではなく、身軽さ、手軽さ、そしてWindowsとタッチ・ペン入力の組み合わせによる多用途性を最も重視するのであれば、Surface Go 2はあなたの期待に応える「ノートPC代わり」、いやそれ以上の存在になり得るでしょう。

まとめ

Surface Go 2は、コンパクトで軽量なWindows 2-in-1デバイスです。そのデザイン、高品質なディスプレイ、別売りのType CoverとSurface Penを組み合わせた際の多用途性は魅力的ですが、パフォーマンスはライトユースに限定され、アクセサリーを含めると価格も安くはありません。

「ノートPC代わりになるか?」という問いに対しては、「用途による」という回答になります。ウェブ閲覧、メール、Officeアプリ、動画視聴といったライトな作業や、手書き入力が多いユーザー、そして携帯性を最優先するユーザーにとっては、十分に「ノートPC代わり」として活躍できます。特に、Core m3 / 8GB RAM / SSD モデルであれば、ある程度の快適性も期待できます。

しかし、重い処理を必要とする作業や、本格的なマルチタスク、安定した長時間タイピングを求めるユーザーにとっては、力不足を感じる場面が多く、一般的なノートPCやより高性能なデバイスを選択する方が賢明です。

Surface Go 2は、万人向けのメインPCではありません。しかし、特定のニーズを持つユーザーにとっては、その唯一無二の携帯性と多用途性により、非常に価値のあるデバイスとなり得ます。あなたの使い方を具体的にイメージし、本レビューで詳細に説明した各項目(パフォーマンス、キーボード、バッテリーなど)があなたのニーズと合致するかを慎重に検討することで、Surface Go 2があなたの「ノートPC代わり」となり得るか、最適な判断ができるはずです。


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