Azure Files っていくら? 料金プランまとめ

はい、承知いたしました。Azure Filesの料金プランについて、約5000語の詳細な説明を含む記事を作成します。


Azure Files っていくら? 料金プランまとめ – 詳細解説

はじめに:Azure Filesとは、そして料金を理解することの重要性

クラウドストレージサービスは、現代のITインフラにおいて不可欠な要素となっています。その中でも、ファイル共有という古くから馴染みのある形式をクラウド上で実現するサービスとして、Microsoft AzureのAzure Filesがあります。Azure Filesは、業界標準のServer Message Block(SMB)プロトコル、またはNFS(Network File System)プロトコルを使用して、クラウドまたはオンプレミスのどこからでもマウント可能なファイル共有を提供します。これにより、オンプレミスのファイルサーバーをリフト&シフトしたり、クラウドネイティブなアプリケーションから共有ストレージとして利用したり、災害復旧やバックアップのターゲットとして使用したりと、非常に幅広いユースケースに対応できます。

Azure Filesの大きな魅力の一つは、その柔軟性とスケーラビリティです。しかし、その料金体系は、単に容量を使った分だけ支払うというシンプルなモデルだけでなく、ストレージのパフォーマンス階層、データのアクセス頻度、トランザクションの種類、さらにはオプション機能の利用など、複数の要素が複雑に絡み合っています。適切な料金プランを理解し、選択することは、コスト効率の高いクラウド運用を実現する上で極めて重要です。予期せぬ高額請求を避け、予算内で必要なストレージリソースを確保するためには、Azure Filesの料金がどのように構成され、どのような要因によって変動するのかを深く理解する必要があります。

この記事では、Azure Filesの料金を構成する様々な要素を詳細に解説し、提供されているストレージ階層ごとの料金体系の違い、具体的な計算方法、そしてコストを最適化するためのヒントまで、約5000語にわたって網羅的に説明します。これからAzure Filesの利用を検討されている方、既に利用しているがコスト構造をより深く理解したいと考えている方にとって、この記事が有益な情報源となることを願います。

Azure Filesの料金を構成する主要な要素

Azure Filesの料金は、以下の複数の要素によって構成されます。これらの要素を一つずつ理解することが、料金体系を把握する第一歩となります。

  1. ストレージ容量: 格納されているデータの量に対して発生する料金です。利用している階層によって、料金単価や計算方法(プロビジョニングベースか消費量ベースか)が異なります。
  2. トランザクション: ファイルの読み取り、書き込み、削除、リスト表示など、データに対して実行される操作に対して発生する料金です。操作の種類やデータ転送量、利用している階層によって料金単価が異なります。
  3. データ転送: Azureのデータセンターから外部(インターネットや別のAzureリージョン)へデータが転送される際に発生する料金です。通常、データセンターへの受信は無料ですが、送信には料金がかかります。
  4. スナップショット: Azure Filesの特定時点の状態を保持する機能です。スナップショット自体は差分データとして格納されるため、追加のストレージ容量として料金が発生します。
  5. Azure File Sync(オプション): オンプレミスのWindows ServerとAzure Filesを同期するためのサービスです。このサービス自体の料金と、同期によって発生するデータ転送やトランザクションに対して料金が発生します。
  6. Reserved Capacity(予約容量): Standard Tierにおいて、特定の容量を長期(1年または3年)予約することで、割引が適用されるオプションです。
  7. 階層(Tier): Azure Filesはパフォーマンスや価格が異なる複数の階層を提供しており、選択した階層によって上記の各要素の料金単価が大きく異なります。

これらの要素がどのように組み合わさって最終的な請求額が決定されるのか、各階層の詳細を見ていきましょう。

Azure Filesのストレージ階層(Tier)の詳細と料金体系

Azure Filesには、主にSMB共有とNFS共有の両方で利用可能なPremium階層と、SMB共有でのみ利用可能なStandard階層があります。(NFS共有はPremiumまたはStandardのトランザクション最適化のみ対応)
Standard階層は、さらにデータのアクセス頻度に応じて異なるアクセス層を選択できます。以前は明確にTransaction Optimized, Hot, Coolとして分類されていましたが、現在はHotとCoolが主要なアクセス層として提供されており、Transaction OptimizedはHotに近い特性を持ちます。最新の公式ドキュメントに基づき、PremiumとStandard (Transaction Optimized, Hot, Cool) の4つの分類で解説します。

1. Premium 階層

特徴:
Premium階層は、高性能ワークロード向けに設計されており、SSD(Solid State Drive)を基盤としています。非常に高いIOPS(Input/Output Operations Per Second)とスループット、および一貫した低レイテンシを提供します。ミッションクリティカルなアプリケーション、データベースのバックエンド、Webサイトのコンテンツ共有など、高いパフォーマンスが求められるユースケースに最適です。

料金体系:
Premium階層の最も重要な特徴は、プロビジョニング容量ベースの料金体系であることです。これは、実際に使用した容量ではなく、事前にプロビジョニング(確保)した容量に対して課金されるということです。例えば、1TBの容量をプロビジョニングした場合、たとえ実際に使用している容量が100GBであっても、1TB分のストレージ容量料金が発生します。プロビジョニング容量は最小100GiBから、最大100TiBまで設定可能で、必要に応じて拡張できますが、縮小はできません(ただし、共有自体を削除して再作成することは可能です)。

トランザクション料金も発生しますが、Standard階層に比べて単価はかなり安価です。これは、Premium階層は高頻度・高トランザクションを想定しているため、トランザクション単価を低く抑えることで、全体のコスト構造をトランザクション量に過度に依存させないように設計されているからです。

料金要素の内訳(Premium):

  • プロビジョニング容量: 月額料金(GiBあたり)。事前に確保した容量に対して課金されます。リージョンによって価格は異なります。
  • トランザクション: 操作の種類(読み取り、書き込み、リスト、その他)およびデータ転送量(インバウンド/アウトバウンド)に基づいて発生する料金です。各操作の種類ごとに単価が設定されています。Premium階層では、トランザクション量が非常に多くてもコスト増加が比較的緩やかになる傾向があります。
  • データ転送: Azureデータセンターから外部へのデータ送信に対して発生する料金(リージョン間転送やインターネットへの送信)。受信は無料です。
  • スナップショット: スナップショットが保持する差分データ量に対して発生する料金(GiBあたり)。

ユースケース:
* SQL Serverなどのデータベースストレージ
* 仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)におけるプロファイルやホームディレクトリ
* 高性能なWebアプリケーションのコンテンツストレージ
* 開発/テスト環境やCI/CDパイプラインで高速アクセスが必要な共有ストレージ

考慮事項:
プロビジョニング容量ベースのため、実際に必要な容量を正確に見積もることが重要です。容量をプロビジョニングしすぎると無駄なコストが発生し、少なすぎるとパフォーマンスが制限される可能性があります。ピーク時のワークロードに合わせて容量を決定する必要があります。また、一度プロビジョニングした容量は基本的に縮小できないため、長期的な成長予測も考慮に入れる必要があります。

2. Standard 階層

Standard階層は、HDD(Hard Disk Drive)を基盤とした、コスト効率の高いストレージソリューションです。パフォーマンスはPremiumに劣りますが、汎用的なファイル共有やアーカイブ、バックアップなどのユースケースに適しています。Standard階層は、データのアクセス頻度に応じて以下の3つのアクセス層(Tier)を選択できます。

料金体系:
Standard階層の最も重要な特徴は、消費量ベースの料金体系であることです。これは、実際にファイル共有に保存されているデータの容量に対して課金されるということです。例えば、ファイル共有に500GBのデータを保存している場合、500GB分のストレージ容量料金が発生します。このため、使用量が変動するワークロードや、正確な容量予測が難しい場合にコスト効率が良い可能性があります。

ただし、Standard階層はPremium階層よりもトランザクション料金単価がかなり高く設定されています。特にCool層ではその傾向が顕著です。このため、Standard階層はストレージ容量単価は安いものの、アクセス頻度が高いワークロードでは、トランザクション料金がかさんで結果的にPremiumよりも高額になる可能性があります。

Standard階層内で選択できるアクセス層は、ストレージ容量単価とトランザクション単価のバランスが異なります。

2a. Standard – Transaction Optimized 層

特徴:
Transaction Optimized層は、Standard階層の中でも比較的高頻度なトランザクションが想定されるワークロード向けに最適化されています。Hot層やCool層に比べてストレージ容量単価は高めですが、トランザクション単価は低めに設定されています。

料金体系:
* 消費量容量: 月額料金(GiBあたり)。実際に使用した容量に対して課金されます。Hot層よりは高い単価です。
* トランザクション: 操作の種類やデータ転送量に基づいて発生する料金です。Hot層とCool層の中間の単価、あるいはHot層に近い単価です。
* データ転送: Premiumと同様。
* スナップショット: Premiumと同様。

ユースケース:
* Windows仮想マシンなどのオペレーティングシステムディスクのファイル共有
* 頻繁にアクセスされるアプリケーションデータ
* 同期的にアクセスされる汎用ファイル共有

2b. Standard – Hot 層

特徴:
Hot層は、比較的高頻度なアクセスが想定される汎用的なファイル共有に適したバランスの取れた層です。Transaction Optimized層よりストレージ容量単価は安く、Cool層よりは高いという中間的な位置づけです。トランザクション単価はCool層より低く、Transaction Optimized層と同等か少し高い場合があります。

料金体系:
* 消費量容量: 月額料金(GiBあたり)。実際に使用した容量に対して課金されます。Transaction Optimized層より安く、Cool層より高い単価です。
* トランザクション: 操作の種類やデータ転送量に基づいて発生する料金です。Cool層より安い単価です。
* データ転送: Premiumと同様。
* スナップショット: Premiumと同様。

ユースケース:
* 組織内の汎用ファイル共有
* 頻繁にアクセスされるドキュメントやメディアファイル
* アクティブなプロジェクトの共有フォルダ

2c. Standard – Cool 層

特徴:
Cool層は、低頻度なアクセスが想定されるデータ向けに設計されています。ストレージ容量単価はStandard階層の中で最も安価ですが、トランザクション単価、特にデータの読み取りやリスト表示など、アクセス頻度が高い操作に対する料金が非常に高くなります。データの書き込みや削除のトランザクション単価も、Hot層やTransaction Optimized層より高めです。

料金体系:
* 消費量容量: 月額料金(GiBあたり)。実際に使用した容量に対して課金されます。Standard階層の中で最も安い単価です。
* トランザクション: 操作の種類やデータ転送量に基づいて発生する料金です。他のStandard層やPremium層に比べて非常に高額です。特にデータ取得(読み取り、リスト)のトランザクションはコストインパクトが大きくなります。
* データ転送: Premiumと同様。
* スナップショット: Premiumと同様。

ユースケース:
* 長期保存が必要だがアクセス頻度が低いアーカイブデータ
* バックアップデータ
* コンプライアンス要件のためのデータ保持

考慮事項(Standard全体):
消費量ベースのため、使用量が少ない場合はコストを抑えられますが、アクセス頻度が高いワークロードではトランザクション料金が高額になるリスクがあります。特にCool層を選択する際は、アクセス頻度を正確に見積もり、トランザクション料金がストレージ料金を大きく上回らないか慎重に検討する必要があります。データのアクセスパターンが予測しにくい場合は、最初はHot層を選択し、後からCool層に移行することも可能です(アクセス層の変更は可能ですが、パフォーマンスに影響があるため注意が必要です)。また、Standard階層ではPremiumのような高いIOPSや低レイテンシは保証されません。

各階層における料金要素の詳細なブレークダウン

前述の各要素が、具体的にどのような操作や状態に対して料金が発生するのか、さらに詳しく見ていきましょう。

1. ストレージ容量料金

  • Premium: プロビジョニングした容量 (GiB) × 該当リージョンの月額単価。時間単位で計算されます。プロビジョニング容量は100GiB単位で増減できますが、減らすことはできません。
  • Standard (Transaction Optimized, Hot, Cool): ファイル共有に実際に格納されているデータの容量 (GiB) × 該当リージョンおよび選択したアクセス層の月額単価。消費量に応じて日割りで計算されるのが一般的です。

例:東日本リージョンで、Premium階層で1TB(1024GiB)をプロビジョニングした場合、月額料金は 1024 [GiB] × Premiumストレージ単価 [円/GiB/月] となります。Standard Hot層で実際に500GiBのデータを保存した場合、月額料金は 500 [GiB] × Standard Hotストレージ単価 [円/GiB/月] となります。

2. トランザクション料金

Azure Filesのトランザクションは、ファイルシステム操作に対応しており、大きく以下のカテゴリに分類されます。料金は、操作の種類と、それに伴うデータ転送量(インバウンド/アウトバウンド)、そして選択した階層/アクセス層によって決まります。料金単価は、通常10,000トランザクションあたり、またはGiBあたりのデータ転送量に基づいて設定されています。

  • List Operations: ディレクトリの内容を一覧表示する操作(例: ls, dir, Get-ChildItem)。
  • Read Operations: ファイルの内容を読み取る操作(例: ファイルを開いてデータを読み込む)。
  • Write Operations: ファイルにデータを書き込む操作(例: ファイルを保存、更新)。
  • Other Operations: 上記以外の様々な操作。メタデータの変更、プロパティの取得/設定、アクセス権限の変更、ディレクトリの作成/削除など、多岐にわたります。これらの操作はデータ転送量を伴わないものが多いですが、操作自体に対して料金が発生します。

トランザクション料金の特徴:

  • Premium: トランザクション単価は総じて安価です。特にデータ転送量に基づく料金(GiBあたり)が低く設定されています。高頻度な読み書きが発生してもコスト増加は緩やかです。
  • Standard (Transaction Optimized / Hot): Premiumよりトランザクション単価は高めですが、Coolよりは安価です。汎用的なファイル共有でのアクセスパターンに適しています。
  • Standard (Cool): トランザクション単価が非常に高額です。特にRead OperationsやList Operationsなど、データ取得に関わる操作の料金インパクトが大きい傾向があります。書き込みや削除も他の層より高価です。低頻度アクセスに特化した層であり、頻繁なアクセスはコスト効率が極めて悪くなります。

例:ある月に、Standard Hot層で100万回のファイル読み取り操作(Read Operations)が発生し、合計で100GiBのデータが読み出された場合、料金は 100 [GiB] × Standard Hot Readトランザクション単価 [円/GiB] + 100万回 × Standard Hot Read操作単価 [円/10,000件] となります。(実際の料金計算はさらに細かく、特定のAPI呼び出しごとに単価が異なる場合がありますが、ここでは概念的な説明です)。Cool層で同じ操作を行った場合、各単価が高いため、料金は大幅に高くなります。

トランザクション料金を理解する上で重要なのは、どのような操作がどのトランザクションカテゴリに分類されるか、そしてその単価が利用している階層/アクセス層でどのように異なるかを知ることです。特に、データ転送を伴うトランザクション(Read/Write)は、データ量が多いほど料金が増加します。

3. データ転送料金

Azure Filesに保存されたデータが、Azureデータセンターの外部に転送される際に発生する料金です。

  • Azureからインターネットへの送信: ファイル共有からインターネット上のクライアントやサービスにデータが送信される際に課金されます。転送量(GiB)に基づいて料金が発生し、転送量が増えるほど単価が安くなる階層型料金が適用される場合があります。Azureへの受信(インターネットからAzure Filesへのアップロード)は通常無料です。
  • Azureリージョン間の送信: あるAzureリージョンのファイル共有から、別のAzureリージョンの仮想マシンやサービスにデータが送信される際に課金されます。送信元リージョンから転送量(GiB)に基づいて料金が発生します。リージョン間転送の料金は、インターネットへの送信料金とは異なる単価が設定されています。
  • Azureリージョン内の転送: 同じAzureリージョン内の仮想マシンやサービスとファイル共有の間でデータが転送される際は、通常料金は発生しません。(ただし、ネットワークの種類によっては発生する場合もありますが、一般的なVNet内の通信では無料です)。

データ転送料金は、大量のデータをファイル共有からダウンロードしたり、別のリージョンにコピーしたりする場合に大きなコスト要因となります。特に、災害復旧計画で別のリージョンにデータをレプリケートする場合や、オンプレミスからクラウドへの大規模なデータ移行(ただし、Azure Data Boxなどのサービスで転送料金を抑える方法もあります)において考慮が必要です。

4. スナップショット料金

Azure Filesのスナップショットは、ファイル共有の特定時点の読み取り専用コピーです。スナップショットを作成した時点ではほとんど容量を消費しませんが、スナップショット作成後に元のファイル共有に変更があった場合、変更されたデータブロックはスナップショットによって参照され続けるため、追加のストレージ容量として料金が発生します。つまり、スナップショット料金は、スナップショットによって参照されている、元の共有から変更または削除された差分データの量に対して発生します。

  • 料金は、スナップショットが保持している差分データ量 (GiB) × 該当リージョンおよびファイル共有の階層/アクセス層のストレージ単価、で計算されます。
  • スナップショットを多数保持したり、ファイル共有への変更が頻繁に発生したりすると、スナップショットによって保持される差分データ量が蓄積され、料金が増加します。
  • 古いスナップショットを定期的に削除することで、スナップショット料金を管理できます。

スナップショットは、誤削除からの復旧や、特定の時点へのファイルシステムの状態のロールバックに非常に便利な機能ですが、管理を怠ると予期せぬコスト増につながる可能性があります。

5. Azure File Sync 料金

Azure File Syncは、オンプレミスのWindows ServerとAzure Filesを同期し、ハイブリッドファイルサーバー環境を構築するためのサービスです。Azure File Sync自体の料金と、それに伴うAzure Filesストレージ、トランザクション、データ転送の料金が発生します。

  • Azure File Syncサービス料金: 同期グループ内の「サーバーエンドポイント」の数に対して月額料金が発生します。サーバーエンドポイントとは、同期に参加しているオンプレミスのWindows Server上の特定のフォルダのことです。同期エージェントをインストールしたサーバーの台数ではなく、同期対象として構成したフォルダの数でカウントされます。
  • Azure Filesストレージ料金: 同期対象として指定したAzure Files共有に格納されているデータ量に対して料金が発生します。これは上記で説明したAzure Filesの標準的なストレージ料金です。
  • トランザクション料金: 同期処理(変更検出、アップロード、ダウンロード)によって発生するAzure Filesへのアクセスに対して料金が発生します。オンプレミスでのファイル変更頻度が高いほど、Azure Filesでのトランザクションが増加し、料金も増加します。
  • データ転送料金: オンプレミスとAzure間の同期におけるデータ転送に対して料金が発生します。初期同期や頻繁なファイル変更、クラウド階層化機能(オンプレミスで最近使わないデータをAzureにオフロードする機能)の利用などによってデータ転送量が増加します。

Azure File Syncを利用する場合、オンプレミスのデータ変更パターンを理解し、それによってAzure Files側で発生するトランザクションやデータ転送を予測することがコスト管理の鍵となります。

6. Reserved Capacity (予約容量)

Standard TierのAzure Filesストレージ(Transaction Optimized, Hot, Cool)において、一定のストレージ容量を1年間または3年間予約することで、通常料金よりも割引が適用されるオプションです。

  • 対象: Standard Tierのストレージ容量料金のみ。トランザクション料金やデータ転送料金、スナップショット料金は対象外です。
  • 期間: 1年または3年。3年予約の方が割引率が高くなります。
  • 購入単位: 通常、100TiB単位などで提供されますが、リージョンや提供状況によって異なります。
  • メリット: 継続的に一定量以上のStandardストレージを利用することが確実な場合に、コストを大幅に削減できます。
  • デメリット/注意点: 予約した容量を使い切らなかった場合でも、予約した容量分の料金は発生します。また、予約容量を超過した分は、通常の従量課金料金が適用されます。ワークロードやデータ量の予測がある程度正確である必要があります。Reserved Capacityは容量を「予約」するものであり、物理的なストレージ容量を専有するわけではありません。

Reserved CapacityはStandard Tierのみに提供されており、Premium Tierには適用できません。長期的なコスト削減策として非常に有効ですが、コミットメントが必要となるため慎重な検討が必要です。

料金計算の具体例

ここでは、仮想的なシナリオを設定し、各階層での料金を概算してみましょう。(実際の料金はリージョンや通貨レートによって変動するため、あくまで概念的な例としてご覧ください。)

前提条件:
* 東日本リージョンを利用
* 1ヶ月あたりの料金を計算
* 以下のシナリオを想定

シナリオA: 高性能ファイル共有
* データ量: 1TB (1024 GiB)
* アクセス頻度: 非常に高い(頻繁な読み書き、高IOPS)
* トランザクション量: 1ヶ月あたり、Read 100GiB、Write 50GiB、List 10万回、Other 20万回

シナリオB: 汎用ファイル共有
* データ量: 5TB (5120 GiB)
* アクセス頻度: 中程度(日常的なファイルアクセス)
* トランザクション量: 1ヶ月あたり、Read 50GiB、Write 30GiB、List 50万回、Other 100万回

シナリオC: 低頻度アクセス / アーカイブ
* データ量: 10TB (10240 GiB)
* アクセス頻度: 低い(主に読み取り、 infrequent)
* トランザクション量: 1ヶ月あたり、Read 10GiB、Write 5GiB、List 1万回、Other 2万回

各シナリオにおける各階層での概算料金(概念的な単価を使用):

料金要素(単価は仮想) Premium (東日本) Std. Transaction Optimized (東日本) Std. Hot (東日本) Std. Cool (東日本)
ストレージ単価 (円/GiB/月) 10 3 2 0.5
Read (GiB) (円/GiB) 0.5 2 2 5
Write (GiB) (円/GiB) 1 3 3 6
List (1万件) (円) 0.1 1 1 10
Other (1万件) (円) 0.05 0.5 0.5 5

シナリオA: 高性能ファイル共有 (1TB, 高頻度アクセス)

  • Premium:

    • ストレージ: 1024 GiB (プロビジョニング) × 10 円/GiB = 10,240 円
    • トランザクション (Read 100GiB): 100 GiB × 0.5 円/GiB = 50 円
    • トランザクション (Write 50GiB): 50 GiB × 1 円/GiB = 50 円
    • トランザクション (List 10万回): (10万回 / 1万回) × 0.1 円 = 1 円
    • トランザクション (Other 20万回): (20万回 / 1万回) × 0.05 円 = 1 円
    • 合計概算: 10,342 円
  • Standard Transaction Optimized:

    • ストレージ: 1024 GiB (消費) × 3 円/GiB = 3,072 円
    • トランザクション (Read 100GiB): 100 GiB × 2 円/GiB = 200 円
    • トランザクション (Write 50GiB): 50 GiB × 3 円/GiB = 150 円
    • トランザクション (List 10万回): (10万回 / 1万回) × 1 円 = 10 円
    • トランザクション (Other 20万回): (20万回 / 1万回) × 0.5 円 = 10 円
    • 合計概算: 3,442 円 (※高トランザクションなのでTransaction OptimizedがHotより適している可能性)
  • Standard Hot:

    • ストレージ: 1024 GiB (消費) × 2 円/GiB = 2,048 円
    • トランザクション (Read 100GiB): 100 GiB × 2 円/GiB = 200 円
    • トランザクション (Write 50GiB): 50 GiB × 3 円/GiB = 150 円
    • トランザクション (List 10万回): (10万回 / 1万回) × 1 円 = 10 円
    • トランザクション (Other 20万回): (20万回 / 1万回) × 0.5 円 = 10 円
    • 合計概算: 2,418 円
  • Standard Cool:

    • ストレージ: 1024 GiB (消費) × 0.5 円/GiB = 512 円
    • トランザクション (Read 100GiB): 100 GiB × 5 円/GiB = 500 円
    • トランザクション (Write 50GiB): 50 GiB × 6 円/GiB = 300 円
    • トランザクション (List 10万回): (10万回 / 1万回) × 10 円 = 100 円
    • トランザクション (Other 20万回): (20万回 / 1万回) × 5 円 = 100 円
    • 合計概算: 1,512 円

シナリオAの考察: 高頻度アクセスではトランザクション量が多く、Standard層のトランザクション料金が無視できなくなります。Premiumはストレージ料金は高いですが、トランザクション料金が安いため、高トランザクションなワークロードではStandard層(特にCool)よりもコスト効率が良い可能性があります。上記の例ではStandard Hot/Transaction Optimizedが最も安くなっていますが、これは仮想単価とトランザクション量のバランスによるものです。実際の高頻度ワークロードではトランザクション量がさらに多くなり、Premiumが有利になるケースが多いです。また、Premiumはパフォーマンス(IOPS, スループット, レイテンシ)が圧倒的に高いため、単純な料金比較だけでなく、パフォーマンス要件を満たせるかどうかも重要な選択基準です。


シナリオB: 汎用ファイル共有 (5TB, 中程度アクセス)

  • データ量: 5120 GiB
  • トランザクション量: Read 50GiB, Write 30GiB, List 50万回, Other 100万回

  • Premium:

    • ストレージ: 5120 GiB (プロビジョニング) × 10 円/GiB = 51,200 円
    • トランザクション (Read 50GiB): 50 GiB × 0.5 円/GiB = 25 円
    • トランザクション (Write 30GiB): 30 GiB × 1 円/GiB = 30 円
    • トランザクション (List 50万回): (50万回 / 1万回) × 0.1 円 = 5 円
    • トランザクション (Other 100万回): (100万回 / 1万回) × 0.05 円 = 5 円
    • 合計概算: 51,265 円
  • Standard Transaction Optimized:

    • ストレージ: 5120 GiB (消費) × 3 円/GiB = 15,360 円
    • トランザクション (Read 50GiB): 50 GiB × 2 円/GiB = 100 円
    • トランザクション (Write 30GiB): 30 GiB × 3 円/GiB = 90 円
    • トランザクション (List 50万回): (50万回 / 1万回) × 1 円 = 50 円
    • トランザクション (Other 100万回): (100万回 / 1万回) × 0.5 円 = 50 円
    • 合計概算: 15,650 円
  • Standard Hot:

    • ストレージ: 5120 GiB (消費) × 2 円/GiB = 10,240 円
    • トランザクション (Read 50GiB): 50 GiB × 2 円/GiB = 100 円
    • トランザクション (Write 30GiB): 30 GiB × 3 円/GiB = 90 円
    • トランザクション (List 50万回): (50万回 / 1万回) × 1 円 = 50 円
    • トランザクション (Other 100万回): (100万回 / 1万回) × 0.5 円 = 50 円
    • 合計概算: 10,530 円
  • Standard Cool:

    • ストレージ: 5120 GiB (消費) × 0.5 円/GiB = 2,560 円
    • トランザクション (Read 50GiB): 50 GiB × 5 円/GiB = 250 円
    • トランザクション (Write 30GiB): 30 GiB × 6 円/GiB = 180 円
    • トランザクション (List 50万回): (50万回 / 1万回) × 10 円 = 500 円
    • トランザクション (Other 100万回): (100万回 / 1万回) × 5 円 = 500 円
    • 合計概算: 3,990 円

シナリオBの考察: 容量が大きくなり、トランザクション量が中程度の場合、Standard Hotが最もコスト効率が良い選択肢となる可能性が高いです。Cool層はストレージ単価が安いですが、中程度のアクセスでもトランザクション料金がそれなりにかさみ、Hot層よりも高くなる場合があります。Premiumは容量が大きくなるとストレージ料金のインパクトが大きくなるため、高パフォーマンスが絶対に必要な場合を除き、汎用的なファイル共有にはコストが見合わないことが多いです。


シナリオC: 低頻度アクセス / アーカイブ (10TB, 低頻度アクセス)

  • データ量: 10240 GiB
  • トランザクション量: Read 10GiB, Write 5GiB, List 1万回, Other 2万回

  • Premium:

    • ストレージ: 10240 GiB (プロビジョニング) × 10 円/GiB = 102,400 円
    • トランザクション (Read 10GiB): 10 GiB × 0.5 円/GiB = 5 円
    • トランザクション (Write 5GiB): 5 GiB × 1 円/GiB = 5 円
    • トランザクション (List 1万回): (1万回 / 1万回) × 0.1 円 = 0.1 円
    • トランザクション (Other 2万回): (2万回 / 1万回) × 0.05 円 = 0.1 円
    • 合計概算: 102,410.2 円
  • Standard Transaction Optimized:

    • ストレージ: 10240 GiB (消費) × 3 円/GiB = 30,720 円
    • トランザクション (Read 10GiB): 10 GiB × 2 円/GiB = 20 円
    • トランザクション (Write 5GiB): 5 GiB × 3 円/GiB = 15 円
    • トランザクション (List 1万回): (1万回 / 1万回) × 1 円 = 1 円
    • トランザクション (Other 2万回): (2万回 / 1万回) × 0.5 円 = 1 円
    • 合計概算: 30,757 円
  • Standard Hot:

    • ストレージ: 10240 GiB (消費) × 2 円/GiB = 20,480 円
    • トランザクション (Read 10GiB): 10 GiB × 2 円/GiB = 20 円
    • トランザクション (Write 5GiB): 5 GiB × 3 円/GiB = 15 円
    • トランザクション (List 1万回): (1万回 / 1万回) × 1 円 = 1 円
    • トランザクション (Other 2万回): (2万回 / 1万回) × 0.5 円 = 1 円
    • 合計概算: 20,517 円
  • Standard Cool:

    • ストレージ: 10240 GiB (消費) × 0.5 円/GiB = 5,120 円
    • トランザクション (Read 10GiB): 10 GiB × 5 円/GiB = 50 円
    • トランザクション (Write 5GiB): 5 GiB × 6 円/GiB = 30 円
    • トランザクション (List 1万回): (1万回 / 1万回) × 10 円 = 10 円
    • トランザクション (Other 2万回): (2万回 / 1万回) × 5 円 = 10 円
    • 合計概算: 5,220 円

シナリオCの考察: 低頻度アクセスで容量が大きい場合、ストレージ単価が最も安いStandard Cool層が最もコスト効率の良い選択肢となります。トランザクション料金は他の層より高額ですが、アクセス頻度が非常に低いため、トランザクション料金の合計がストレージ料金に比べて小さく抑えられます。

これらの例からわかるように、Azure Filesの最適な階層選択は、データ容量だけでなく、アクセス頻度とトランザクションパターンに大きく依存します。

料金最適化のヒント

Azure Filesのコストを最適化するためには、以下の点に注意が必要です。

  1. 適切な階層(Tier)の選択:

    • ワークロードのパフォーマンス要件とアクセスパターンを正確に評価し、最もコスト効率の良い階層(PremiumまたはStandard)およびアクセス層(Standardの場合はTransaction Optimized, Hot, Cool)を選択することが最も重要です。
    • 高性能が必要な場合はPremium、汎用的な利用にはStandard Hot/Transaction Optimized、低頻度アクセスにはStandard Coolを検討します。
    • 最初はHot層で開始し、アクセスパターンをモニタリングしながらより適切な層に移行することを検討するのも良い方法です。
  2. ストレージ容量の管理:

    • Premium: プロビジョニング容量を適切に見積もります。必要以上に大きくプロビジョニングすると無駄なコストが発生します。ワークロードのピーク時の容量とパフォーマンス要件に基づいて決定します。一度プロビジョニングした容量は減らせないため、慎重な計画が必要です。Azure Monitorなどで利用状況を継続的にモニタリングし、将来の拡張に備えます。
    • Standard: 不要なデータを削除したり、アーカイブ層(Coolなど)に移動したりすることで、実際に使用している容量を削減します。
  3. トランザクションパターンの理解と最適化:

    • Azure Monitorなどのツールを使用して、ファイル共有へのトランザクションパターン(読み取り、書き込み、リスト、その他操作の種類と量)を把握します。
    • 特にStandard Cool層では、トランザクション料金が非常に高額になりやすいため、アクセス頻度が本当に低いデータのみを配置するようにします。頻繁なリスト表示やファイル読み取りが発生するようなアプリケーションのバックエンドとしては不向きです。
    • アプリケーション側での不要なトランザクションを減らすよう努めます(例: 必要以上に頻繁なファイルリスト表示を避ける)。
  4. スナップショットの管理ポリシー:

    • 必要な復旧ポイントに基づいて、スナップショットの保持期間と頻度を適切に設定します。
    • 保持するスナップショットの数を最小限に抑え、古くなったスナップショットは定期的に削除する自動化されたポリシーを設定します。スナップショットは差分データに対して課金されるため、保持数が多いほど、または元の共有への変更頻度が高いほどコストが増加します。
  5. Reserved Capacityの検討(Standard Tierのみ):

    • Standard Tierで、長期にわたって安定して一定以上の容量を使用することが確実な場合は、Reserved Capacityの購入を検討します。1年または3年の予約により、ストレージ容量料金を大幅に削減できます。予約容量の利用率が高ければ高いほど、割引のメリットを最大限に享受できます。
  6. データライフサイクル管理:

    • データの重要度やアクセス頻度に応じて、異なるストレージ階層やサービスを組み合わせるデータライフサイクルポリシーを検討します。例えば、最初はStandard Hotに保存し、一定期間経過したらCool層に移行し、さらに古いデータはAzure Blob StorageのArchive層に移動するといった戦略です。ただし、Azure Files内での層間移動は可能ですが、Azure FilesからBlob Storageへのデータ移動は別途データ転送やスクリプトによるコピーが必要になります。
  7. Azure Cost Managementの活用:

    • Azure Cost Management + Billingを使用して、Azure Filesの利用状況とコストを継続的にモニタリング、分析、および管理します。異常なコスト増加を早期に検出したり、コスト最適化の機会を特定したりできます。
  8. データ転送の最小化:

    • 特にリージョン間転送やインターネットへの送信はコストがかかるため、必要最小限に抑えます。可能な限り、コンピューティングリソースはデータに近い場所に配置します。

Azure料金計算ツール

Azure Filesの料金を正確に見積もるには、Microsoftが提供する公式の「Azure料金計算ツール」を利用するのが最も確実です。

このツールでは、利用したいサービス(Azure Filesを選択)、リージョン、ストレージ階層(Premium, Standard Transaction Optimized, Hot, Cool)、想定されるストレージ容量、トランザクション量(読み取り、書き込み、リストなどの操作数やデータ量)、スナップショット容量、データ転送量などを入力することで、月額料金の見積もりを確認できます。Reserved Capacityの割引もシミュレーションできます。

見積もりはあくまで予測値であり、実際の利用状況によって変動する可能性があることに注意してください。しかし、導入前や構成変更前にコストインパクトを把握するためには非常に役立ちます。

料金に関するよくある質問 (FAQ)

Q1: PremiumとStandardのAzure Filesの主な違いは何ですか?

A1: 主な違いはパフォーマンスと料金体系です。PremiumはSSDベースで高性能、低レイテンシを提供し、料金はプロビジョニング容量ベースです。StandardはHDDベースで汎用、コスト効率を重視しており、料金は消費量ベースですが、トランザクション単価が高いです。また、Standardにはアクセス頻度に応じた層(Transaction Optimized, Hot, Cool)があります。

Q2: Azure Filesのトランザクション料金はどのように発生しますか?

A2: ファイルの読み取り、書き込み、リスト表示、その他の操作(プロパティ変更など)を行うたびに発生します。料金は操作の種類、関連するデータ転送量(読み書きの場合)、および利用している階層/アクセス層によって異なります。Standard Cool層は特にトランザクション単価が高額です。

Q3: スナップショットの料金はどのように計算されますか?

A3: スナップショット自体に直接的な料金はかかりませんが、スナップショットによって保持されている、元のファイル共有から変更または削除された差分データ量に対して料金が発生します。料金単価は、元の共有の階層/アクセス層のストレージ単価と同じです。

Q4: Standard TierのReserved CapacityはPremium Tierでも使えますか?

A4: いいえ、Reserved Capacityは現在Standard TierのAzure Filesストレージ容量にのみ提供されています。Premium TierにはReserved Capacityのオプションはありません。

Q5: Azure File Syncを利用する場合、どの部分に料金がかかりますか?

A5: Azure File Syncサービス自体の料金(サーバーエンドポイント数に基づく月額料金)に加えて、同期対象のAzure Files共有に格納されているデータ量に対するAzure Filesストレージ料金、同期処理に伴うAzure Filesへのトランザクション料金、およびオンプレミスとAzure間のデータ転送料金が発生します。

Q6: 料金計算ツールはどこにありますか?

A6: Microsoftの公式ウェブサイトで提供されています。「Azure 料金計算ツール」で検索するか、https://azure.microsoft.com/ja-jp/pricing/calculator/ にアクセスしてください。

Q7: アクセス層(Hot/Coolなど)は後から変更できますか?

A7: はい、Standard Tierのファイル共有では、Hot、Cool、Transaction Optimizedの間でアクセス層を変更することが可能です。ただし、層の変更には時間がかかる場合があり、特にCool層からHot層への変更には追加のデータ取り出し料金が発生する可能性があります。(現在の公式ドキュメントではStandard層間の層変更による追加料金は明記されていませんが、過去には存在したため、念のため公式情報を確認してください。Blob Storageでは層間移動料金が存在します。)

まとめ

Azure Filesは、クラウド上で柔軟かつスケーラブルなファイル共有機能を提供するための強力なサービスです。その料金体系は、利用するストレージ階層(PremiumまたはStandard)、Standard Tierにおけるアクセス層(Transaction Optimized, Hot, Cool)、格納されているデータの容量、発生するトランザクションの種類と量、データ転送、およびスナップショットの利用状況など、複数の要素によって構成されます。

高性能で一貫したパフォーマンスが必要なワークロードにはPremium階層が適しており、プロビジョニング容量に対する料金と比較的安価なトランザクション料金が特徴です。一方、汎用的なファイル共有やアーカイブにはStandard階層が適しており、消費量に基づいたストレージ料金と、アクセス頻度に応じて選択できるアクセス層(Transaction Optimized, Hot, Cool)があります。Standard Cool層はストレージ料金が最も安いですが、トランザクション料金が非常に高いため、低頻度アクセスに特化しています。

コスト効率の良いAzure Filesの運用を実現するためには、ワークロードの特性(パフォーマンス要件、アクセス頻度、データ量、トランザクションパターン)を正確に把握し、最も適した階層を選択することが不可欠です。さらに、ストレージ容量、トランザクション、スナップショット、データ転送といった各料金要素を継続的にモニタリングし、Reserved Capacityやデータライフサイクル管理などの最適化手法を適用することで、コストを最小限に抑えることができます。

この記事で解説した詳細な料金構造や計算例、最適化のヒントが、皆様のAzure Files導入・運用におけるコスト管理の一助となれば幸いです。常に最新の料金情報や料金計算ツールを確認し、ご自身の具体的な要件に基づいた見積もりを行うことを強く推奨します。クラウドのメリットを最大限に享受しつつ、コストを賢く管理していきましょう。


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