はい、承知いたしました。Jiraでのタスク・プロジェクト管理に関する概要と使い始め方の詳細な説明を含む、約5000語の記事を作成します。
Jiraでタスク・プロジェクト管理!概要と使い始め方の詳細ガイド
はじめに
現代のビジネスにおいて、プロジェクトを円滑に進め、チームの生産性を最大化することは不可欠です。特にソフトウェア開発の現場では、アジャイル開発手法の普及に伴い、タスクや課題の管理、進捗状況の可視化、チーム間の連携を効率的に行うためのツールが求められています。そこで多くの組織が採用しているのが、「Jira」です。
Jiraは、オーストラリアに本社を置くAtlassian社が提供する、強力な課題追跡およびプロジェクト管理ツールです。もともとソフトウェア開発におけるバグ追跡ツールとして誕生しましたが、その柔軟性と拡張性から、現在ではソフトウェア開発チームだけでなく、マーケティング、人事、法務、ITサポートなど、あらゆる種類のチームでタスク管理やプロジェクト管理に広く利用されています。
なぜJiraはこれほどまでに多くの組織で選ばれているのでしょうか? それは、複雑なプロジェクトであっても、その進行状況を詳細に追跡し、ボトルネックを発見し、チーム全体の協力を促進する能力があるからです。Jiraを使うことで、チームはより透明性を持って作業を進め、計画通りに成果を出すための強力な基盤を築くことができます。
しかし、Jiraはその多機能ゆえに、初めて触れる方にとっては少し複雑に感じられるかもしれません。「どこから始めればいいのか?」「何ができるのか?」といった疑問を抱くことも少なくないでしょう。
この記事では、Jiraの基本的な概要から、その主要な機能、そして実際にJiraを使い始めるためのステップバイステップガイドまでを詳細に解説します。Jiraの強力な機能を理解し、あなたのチームやプロジェクトで最大限に活用するための知識を深めましょう。
この記事を読むことで、あなたは以下の点を理解できるようになります。
- Jiraとは何か、そしてその目的と役割
- Jiraの主要な構成要素(プロジェクト、課題、ワークフロー、ボードなど)
- Jira SoftwareとJira Work Managementの違いとその使い分け
- Jiraの基本的な使い始め方(アカウント作成、プロジェクト設定、課題作成など)
- ボードやバックログを使ったタスク管理の方法
- レポート機能による進捗状況の確認方法
- Jiraを効果的に活用するためのヒント
さあ、Jiraの世界に飛び込み、あなたのタスク・プロジェクト管理を次のレベルへと引き上げましょう。
Jiraの概要
Jiraは、プロジェクトにおけるあらゆる「やるべきこと」や「追跡すべきこと」を「課題(Issue)」として管理し、そのライフサイクル(作成、進行中、完了など)を追跡するためのプラットフォームです。その中心的な機能は、タスク管理、バグ追跡、機能要望管理、そしてそれらを含むプロジェクト全体の進行管理です。
Jiraの目的と役割
Jiraの主な目的は、チームが共同で作業する際の効率と透明性を向上させることです。具体的には、以下の役割を果たします。
- タスクの整理と優先順位付け: 膨大なタスクや要望を一つ一つの課題として明確に定義し、チーム全体の合意のもとで優先順位を決定できます。
- 進捗状況の可視化: 各課題がどの状態にあるのか(未着手、進行中、レビュー待ち、完了など)を視覚的に把握でき、プロジェクト全体の進捗を一目で確認できます。
- チーム間の連携促進: 課題に関する情報(詳細、担当者、期限、コメント、添付ファイルなど)を一元管理し、チームメンバーが必要な情報にいつでもアクセスできるようにします。また、コメント機能などを通じて課題に関する議論を記録できます。
- 問題の迅速な特定と解決: バグや障害が発生した場合、それを課題として登録し、優先度を設定して追跡することで、迅速な対応と解決を促進します。
- パフォーマンスの分析と改善: プロジェクトの完了までにかかった時間、チームの処理能力(ベロシティ)、ボトルネックなどに関するレポートを生成し、今後のプロジェクト計画やチームのプロセス改善に役立てます。
Jiraの種類
Atlassianは、異なるニーズに対応するためにいくつかのJira製品を提供しています。この記事で主に焦点を当てるのは、最も広く利用されている「Jira Software」と、ビジネスチーム向けの「Jira Work Management」です。その他に、ITサポートやカスタマーサポート向けの「Jira Service Management」などがあります。
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Jira Software:
- 主にソフトウェア開発チーム向けに設計されています。
- アジャイル開発手法(スクラム、カンバン)を強力にサポートする機能を備えています。
- バックログ管理、スプリント計画、スクラムボード、カンバンボード、バーンダウングラフなどの機能があります。
- コードリポジトリやCI/CDツールとの連携機能が充実しています。
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Jira Work Management:
- マーケティング、人事、財務、法務、運用チームなど、非開発チームのプロジェクトおよびタスク管理向けです。
- Jira Softwareよりもシンプルで直感的なインターフェースを持っています。
- リストビュー、カレンダービュー、タイムラインビュー(ガントチャート風)、ボードビューなど、様々な表示形式を提供します。
- 簡単なフォーム作成やサマリービューなどの機能があります。
この記事では、まずJiraの基本的な考え方と共通の要素を説明し、その後でJira SoftwareとJira Work Managementそれぞれの特徴と使い始め方を具体的に解説します。
Jiraの主要な構成要素
Jiraを理解する上で欠かせない、いくつかの主要な構成要素があります。これらは、プロジェクトや課題を管理するための基本的な概念となります。
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プロジェクト (Project):
- Jiraにおける作業の最も大きなまとまりです。
- 特定の目標を持つ一連のタスクや活動をグループ化するために使用されます。
- 例えば、「ウェブサイト開発プロジェクト」「新規キャンペーン企画」「四半期締め処理」などがプロジェクトとして定義されます。
- プロジェクトごとに、課題の種類、ワークフロー、権限設定、ボードなどが関連付けられます。
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課題 (Issue):
- Jiraで追跡される最小単位の作業項目です。
- プロジェクト内で「やるべきこと」や「発生した問題」を表します。
- 課題の種類は、プロジェクトやチームのニーズに合わせて定義できます。一般的な種類には以下のようなものがあります。
- タスク (Task): 具体的な作業項目。
- バグ (Bug): ソフトウェアやシステムの問題点。
- ストーリー (Story): ユーザー視点での機能要望(アジャイル開発)。
- エピック (Epic): 複数のストーリーやタスクをまとめた大きな機能単位(アジャイル開発)。
- サブタスク (Sub-task): 親となる課題をさらに細分化した小さな作業項目。
- 各課題には、概要、詳細、担当者、報告者、優先度、期限、コメント、添付ファイルなど、様々な情報が付与されます。
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ワークフロー (Workflow):
- 課題が作成されてから完了するまでの状態遷移のプロセスを定義します。
- 「状態 (Status)」と「遷移 (Transition)」から構成されます。
- 状態 (Status): 課題が現在どの段階にあるかを示します。(例: To Do, In Progress, In Review, Done)
- 遷移 (Transition): ある状態から別の状態へ課題を移動させるためのアクションです。(例: 「作業を開始する」「レビューを依頼する」「承認する」「クローズする」)
- ワークフローは、チームの作業プロセスに合わせてカスタマイズ可能であり、プロジェクトの進捗を正確に反映するために非常に重要です。
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ボード (Board):
- プロジェクト内の課題を視覚的に管理するためのツールです。
- 主にカンバンボードまたはスクラムボードの形式を取ります。
- ボード上のカラムは、ワークフローの状態(または状態のグループ)に対応しており、課題カードをカラム間で移動させることで、課題の状態を更新します。
- スクラムボード (Scrum Board): スプリント単位で作業を計画・実行するチーム向け。バックログ管理やスプリント関連機能と連携します。
- カンバンボード (Kanban Board): 継続的なフローで作業を進めるチーム向け。進行中の作業数を制限するWIP(Work In Progress)制限を設定できます。
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ダッシュボード (Dashboard):
- 複数のプロジェクトやフィルターで絞り込んだ課題の状況を、グラフや統計情報(ガジェット)として集約し、一目で確認できる画面です。
- チームのパフォーマンス、プロジェクトの進捗、未対応のバグ数など、様々な情報をカスタマイズして表示できます。
- 経営層やプロジェクトマネージャーが、組織全体の状況を把握するのに役立ちます。
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コンポーネント (Component):
- プロジェクト内の課題を論理的なグループに分類するために使用されます。
- 例えば、ウェブサイト開発プロジェクトであれば、「フロントエンド」「バックエンド」「データベース」「UI/UX」といったコンポーネントを作成し、課題を関連付けることができます。
- 課題の管理やフィルターに役立ちます。
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バージョン (Version):
- ソフトウェアのリリースや、特定の期間内に完了を目指す機能のセットなどを定義するために使用されます。(主にJira Software)
- 課題を特定のバージョンに紐づけることで、どの機能がどのリリースに含まれるのか、リリースの進捗状況はどうなっているのかを管理できます。
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ユーザーとグループ (User and Group):
- Jiraを利用する個々のユーザーアカウントです。
- 複数のユーザーをグループにまとめることができます。(例: 「開発チーム」「マーケティングチーム」「管理者」)
- ユーザーやグループに対して、プロジェクトへのアクセス権限や、特定の操作(課題の作成、編集、削除など)を実行する権限を割り当てることができます。
これらの要素が組み合わさることで、Jiraは柔軟かつ強力なプロジェクト管理プラットフォームとして機能します。次に、これらの要素がJira SoftwareとJira Work Managementでどのように活用されるのかを見ていきましょう。
Jira Softwareに焦点を当てる
Jira Softwareは、特にソフトウェア開発チームにおけるアジャイル開発のニーズを満たすために設計されています。スクラムやカンバンといったフレームワークを実践するための豊富な機能を備えています。
アジャイル開発との親和性
アジャイル開発は、変化に迅速に対応し、顧客に価値のある製品を継続的に提供することを目指す開発手法です。Jira Softwareは、このアジャイルの原則とプラクティスをサポートする機能を提供します。
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スクラム (Scrum):
- Jira Softwareは、スクラムのイベント(スプリント計画、デイリースクラム、スプリントレビュー、レトロスペクティブ)や成果物(プロダクトバックログ、スプリントバックログ、インクリメント)を管理するための機能を提供します。
- バックログ: プロダクトバックログにあたる部分で、今後の開発で実現したい機能や改善点(ストーリー、バグ、タスクなど)をリスト化し、優先順位を付けて管理します。
- スプリント: 通常2~4週間の短い期間を設定し、その期間内に完了させる目標を設定します。Jira Softwareではスプリントを定義し、バックログから課題をスプリントに割り当ててスプリントバックログを作成します。
- スクラムボード: スプリント期間中に、チームがスプリントバックログの課題の進捗状況を視覚的に追跡するために使用します。
- バーンダウングラフ: スプリントの残り作業量を時間軸で示し、スプリント目標の達成度合いや潜在的なリスクを早期に発見するために使用されます。
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カンバン (Kanban):
- Jira Softwareは、継続的なフローで作業を進めるカンバン手法もサポートします。
- カンバンボード: 作業の各ステージ(To Do, In Progress, Doneなど)をカラムとして表示し、課題が各ステージを流れる様子を可視化します。
- WIP制限 (Work In Progress Limit): 各ステージで同時に進行できる課題の上限数を設定し、ボトルネックの早期発見と解消を促します。
- 累積フロー図 (Cumulative Flow Diagram): 各ステージに存在する課題数の合計を時間軸で示し、システムの安定性やボトルネックを分析するために使用されます。
主要機能の詳細 (Jira Software)
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バックログ (Backlog):
- 今後の作業をリストアップし、優先順位を付けるための画面です。プロダクトバックログの役割を果たします。
- エピックやストーリーといった大きな単位で課題を管理し、それを構成するサブタスクや具体的なタスクを紐づけることができます。
- ドラッグ&ドロップで課題の優先順位を簡単に変更できます。
- フィルタリング機能を使って、特定のエピックやバージョンに紐づく課題だけを表示することも可能です。
- ここから課題を選択して、次のスプリントに割り当てます。
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スプリント (Sprint):
- スクラム開発における作業期間を定義します。
- バックログ画面で、次のスプリントに含める課題を選択し、「スプリントを開始」することで、スプリントが始まります。
- スプリント開始時には、スプリント目標(Sprint Goal)を設定することが推奨されます。
- スプリント中は、スクラムボードを使って日々の進捗を管理します。
- スプリント終了時には、「スプリントを完了」し、未完了の課題をバックログに戻したり、次のスプリントに移したりします。
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スクラムボード (Scrum Board):
- 進行中のスプリントにおける課題の状態を追跡するためのボードです。
- 通常、「To Do」「In Progress」「Done」といったカラムが表示され、課題カードをこれらのカラム間で移動させて状態を更新します。
- 各課題カードには、概要、課題キー、担当者、アバター、推定時間などが表示されます。
- クイックフィルターを使って、特定の担当者の課題や特定のラベルが付いた課題のみを表示することもできます。
- ボード上から直接課題の詳細を確認したり、編集したりできます。
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カンバンボード (Kanban Board):
- 継続的なフローで作業を進めるチーム向けのボードです。
- ワークフローの状態をカラムとして表示します。
- WIP制限を設定し、各カラムに同時に存在できる課題数に上限を設けることができます。上限を超えるとカラムが赤く表示され、ボトルネックを示唆します。
- スクラムのようにスプリント期間は設定せず、完了した課題から順次新しい課題を取り組んでいきます。
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レポート (Reports):
- チームのパフォーマンスやプロジェクトの進捗に関する様々な情報を提供します。
- バーンダウングラフ (Burndown Chart): スプリントまたは固定バージョンにおける残り作業量を時間の経過とともにプロットします。計画通りに進んでいるかを確認できます。(スクラム)
- ベロシティチャート (Velocity Chart): 過去のスプリントでチームが完了できた作業量(通常はストーリーポイントで計測)を示します。今後のスプリント計画の参考にします。(スクラム)
- 累積フロー図 (Cumulative Flow Diagram): 各状態にある課題の合計数を時間軸でプロットします。システム全体の安定性、サイクルタイム、ボトルネックを特定できます。(カンバン)
- スプリントレポート (Sprint Report): スプリント中に完了した課題、完了できなかった課題、追加された課題、削除された課題などを一覧表示します。(スクラム)
- その他にも、エピックバーンダウン、リリースバーンダウン、サイクルタイム、リードタイムなど、様々なレポートが用意されています。
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バージョン管理 (Version Management):
- 特定のリリースやマイルストーンに含める課題をグループ化し、その進捗を追跡できます。
- 課題を特定のバージョンにリンクさせることで、「Version A.Bに含まれる機能は何か」「そのうちどれが完了しているか」といった情報を管理できます。
- リリース準備や進捗報告に役立ちます。
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連携機能 (Integrations):
- Atlassianの他の製品(Confluence, Bitbucketなど)や、GitHub, GitLab, Slack, Microsoft Teamsなど、様々なサードパーティツールとの連携が強力です。
- 例えば、BitbucketやGitHubのリポジトリと連携することで、コミット、プルリクエスト、ブランチなどの開発アクティビティをJiraの課題に自動的に紐づけ、開発の状況をJira上で一元的に把握できます。
- Confluence(ドキュメント管理ツール)と連携すれば、プロジェクト計画書、仕様書、議事録などを課題と紐づけて管理し、情報へのアクセスを容易にします。
Jira Softwareは、このようにソフトウェア開発におけるアジャイルプロセスを深くサポートする機能を提供し、開発チームが高い生産性を維持しながら、品質の高いソフトウェアを迅速に提供できるように支援します。
Jira Work Managementに焦点を当てる
Jira Work Managementは、Jira Softwareのアジャイル開発特化機能を取り除き、ビジネスチームが日常的なタスクやプロジェクトを効率的に管理するための機能に重点を置いています。シンプルさと多様な表示形式が特徴です。
ビジネスチーム向けの機能
開発チーム以外のチーム(マーケティング、人事、法務、デザインなど)では、スクラムやカンバンといった厳密なアジャイルフレームワークをそのまま適用するのが難しい場合があります。Jira Work Managementは、これらのチームが使い慣れた形式(リスト、カレンダーなど)でプロジェクトやタスクを管理できるよう設計されています。
- シンプルで使いやすいインターフェース: Jira Softwareに比べてメニュー構成がシンプルで、専門用語(スプリント、バックログなど)が少ないため、Jiraに慣れていないユーザーでも直感的に操作しやすいです。
- 多様なプロジェクトテンプレート: 各ビジネスチームの典型的なワークフローに合わせたプロジェクトテンプレートが用意されています。(例: マーケティングキャンペーン、採用プロセス、契約レビュー、資産管理など)
主要機能の詳細 (Jira Work Management)
Jira Work Managementでは、同じプロジェクトのデータを様々な表示形式で確認できます。
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リストビュー (List View):
- スプレッドシートや表計算ソフトのような形式で課題を一覧表示します。
- 課題の概要、担当者、期限、ステータスなどの情報をカラムとして表示し、簡単に編集できます。
- 課題のフィルタリング、並べ替え、グループ化などが容易に行えます。
- タスクリストを作成したり、複数のタスクのステータスを一括で更新したりするのに便利です。
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カレンダービュー (Calendar View):
- 課題に設定された期限をカレンダー形式で表示します。
- イベント、締め切り、期限付きのタスクなどを日付ベースで把握するのに役立ちます。
- カレンダー上で課題を作成したり、ドラッグ&ドロップで期限を変更したりできます。
- マーケティングキャンペーンのスケジュール管理や、イベント企画などに向いています。
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タイムラインビュー (Timeline View):
- プロジェクト全体の計画や、特定の課題がいつからいつまでかかるのかをガントチャートのような形式で表示します。
- 課題間の依存関係(あるタスクが完了しないと次のタスクが始められないなど)を視覚的に表現できます。
- プロジェクトの期間、主要なマイルストーン、各タスクのスケジュールを一目で把握するのに役立ちます。
- 複雑なプロジェクトの計画や、スケジュール管理に向いています。
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ボードビュー (Board View):
- Jira Softwareのカンバンボードと同様に、ワークフローの状態をカラムとして表示し、課題カードを移動させて状態を更新します。
- シンプルながらも、タスクの進行状況を「ToDo」「Doing」「Done」といった明確なステージで管理するのに便利です。
- Jira Softwareのボードと比べて、アジャイル開発に特化した機能(WIP制限など)は一部異なりますが、基本的なビジュアル管理機能は共通です。
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フォーム (Forms):
- 外部からの申請(例: ウェブサイトの更新依頼、新規採用の申請、備品購入の申請など)を受け付けるための簡単なフォームを作成できます。
- 作成されたフォームは、特定のJira課題タイプとして自動的に登録され、ワークフローに乗せて処理できます。
- 申請プロセスを標準化し、効率化するのに役立ちます。
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サマリービュー (Summary View):
- プロジェクト全体の概要(進捗状況、完了した課題数、未完了の課題数、担当者別の状況など)を要約して表示します。
- プロジェクトの現状を素早く把握するためのダッシュボードのような役割を果たします。
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レポート (Reports):
- プロジェクトの進捗、チームの作業負荷、タスクの完了率などに関する基本的なレポート機能を提供します。
- Jira Softwareのレポート機能ほど開発に特化したものではありませんが、ビジネスチームが必要とする基本的な分析は可能です。
Jira Work Managementは、これらの多様なビューとビジネスチームに特化した機能を提供することで、開発チーム以外のチームでもJiraの強力な課題管理能力を活用し、より組織的に効率的に作業を進めることを可能にします。
Jiraの使い始め方:ステップバイステップガイド
ここでは、Jira Cloud版を使って実際にJiraを使い始めるための具体的な手順を解説します。Atlassianアカウントの取得からプロジェクトの作成、基本的な課題管理までを順を追って見ていきましょう。
前提: Jira Cloud版はウェブブラウザからアクセスして使用します。特別なソフトウェアのインストールは不要です。
ステップ1:Jira Cloudインスタンスの取得
まず、Jiraを利用するための環境を準備します。Atlassianは無料プランやトライアルを提供しているので、手軽に始めることができます。
- Atlassianのウェブサイトにアクセスする:
https://www.atlassian.com/ja/software/jira にアクセスします。 - 製品を選択する:
「Jira Software」または「Jira Work Management」を選択します。最初はどちらか一方を選んで始めるのが良いでしょう。後から別の製品を追加することも可能です。どちらを選べば良いか迷う場合は、チームの性質に合わせて選びます。- ソフトウェア開発チーム → Jira Software
- マーケティング、人事、法務などのビジネスチーム → Jira Work Management
- 両方の機能を使いたい場合は、Jira Softwareから始めて後からWork Management機能を追加することも可能です(有料プランの場合)。
まずは無料で試したい場合は、無料プランまたはトライアルを選択します。
- 無料トライアルまたはフリープランを開始する:
製品ページで「無料トライアルを開始」または「フリープランを試す」ボタンをクリックします。Atlassian製品を初めて利用する場合は、通常30日間の無料トライアルが提供されます。Jira SoftwareとWork Managementには、それぞれユーザー数制限(10人まで)やストレージ制限があるフリープランも用意されています。 - Atlassianアカウントを作成またはログインする:
Jiraを利用するにはAtlassianアカウントが必要です。既に持っている場合はログイン、持っていない場合はメールアドレスなどを入力して新しいアカウントを作成します。GoogleアカウントやMicrosoftアカウントを使ってサインアップすることも可能です。 - サイトURLを設定する:
あなたの組織またはチーム専用のJiraサイトURLを設定します。これはyour-site-name.atlassian.net
の形式になります。ここで設定したURLを通じて、今後Jiraにアクセスすることになります。組織名やチーム名など、分かりやすい名前を設定しましょう。このURLは後から変更することも可能ですが、できる限り最初に適切な名前を設定するのが望ましいです。 - Jiraのセットアップウィザードを進める:
サイトURL設定後、Jiraのセットアップウィザードが開始されます。チームの規模や役割、利用目的などを簡単な質問に答えることで、Jiraが推奨設定を提案してくれます。スキップして後から設定することも可能です。 - Jiraサイトへのアクセス:
セットアップが完了すると、設定したサイトURL (your-site-name.atlassian.net
) からあなたのJira環境にアクセスできるようになります。
ステップ2:プロジェクトの作成
Jiraにアクセスしたら、最初にプロジェクトを作成します。プロジェクトは、特定の目標に向けてチームが共同で作業する単位です。
- Jiraにログインする:
ステップ1で設定したサイトURLにアクセスし、Atlassianアカウントでログインします。 - プロジェクト作成画面に移動する:
通常、左側のメニューにある「プロジェクト」をクリックし、画面右上または中央に表示される「プロジェクトを作成」ボタンをクリックします。 - プロジェクトテンプレートを選択する:
プロジェクトの種類に応じて、適切なテンプレートを選択します。テンプレートは、課題タイプ、ワークフロー、ボードなどの初期設定を提供します。- Jira Software: スクラム、カンバン、バグ追跡、開発チーム向けプロジェクトなど。
- Jira Work Management: プロジェクト管理、タスク管理、採用、マーケティング、法務など。
プロジェクトの目的やチームが採用している作業手法に合わせてテンプレートを選びます。例えば、ソフトウェア開発チームでスプリントを使いたい場合は「スクラム」、開発以外でシンプルなタスク管理をしたい場合は「プロジェクト管理」やチームに合ったテンプレートを選びます。
- プロジェクトの種類を選択する:
テンプレートによっては、「チーム管理対象プロジェクト」または「会社管理対象プロジェクト」を選択する必要があります。- チーム管理対象プロジェクト: 設定がシンプルで、各チームが独自に管理しやすい。小規模チームや、他のチームと独立して作業する場合に適しています。
- 会社管理対象プロジェクト: より高度な設定(複雑なワークフロー、権限スキーム、カスタムフィールドなど)が可能で、Jira管理者が一元管理しやすい。大規模組織や、複数のチームが連携する複雑なプロジェクトに適しています。
初めての場合は、設定が簡単な「チーム管理対象プロジェクト」から始めるのがおすすめです。
- プロジェクトの詳細を設定する:
- プロジェクト名 (Project name): プロジェクトの分かりやすい名前を入力します。(例: ウェブサイトリニューアル, 新規サービスローンチキャンペーン)
- キー (Key): 各課題の識別子(課題キー)のプレフィックスとして使用される短い文字列です。(例: プロジェクト名が「Website Renewal」なら「WR」、新規サービスなら「NS」など)Jiraが自動的に提案しますが、変更することも可能です。このキーは課題を識別する際に常に表示されるため、分かりやすい文字列を設定しましょう。(例: WR-1, WR-25, NS-5)
- プロジェクトリード (Project Lead): このプロジェクトを管理するユーザーを選択します。
- プロジェクトを作成する:
必要な情報を入力したら、「プロジェクトを作成」ボタンをクリックします。
これで、あなたの最初のJiraプロジェクトが作成されました。選択したテンプレートに基づいたボードや設定が自動的に構成されます。
ステップ3:課題の作成と設定
プロジェクトが作成されたら、次にプロジェクト内の具体的な作業項目である「課題」を作成します。
- 課題作成画面に移動する:
Jira画面の左上にある「作成」ボタンをクリックします。このボタンはどの画面にいてもアクセスできます。 -
課題の詳細を入力する:
課題作成ダイアログが表示されます。以下の項目を入力または選択します。- プロジェクト (Project): 課題を作成するプロジェクトを選択します。通常は現在表示しているプロジェクトが自動選択されます。
- 課題タイプ (Issue Type): この課題が何であるかを選択します。(例: タスク, バグ, ストーリー, エピックなど)プロジェクトテンプレートによって利用可能な課題タイプは異なります。
- 概要 (Summary): 課題の内容を簡潔に表すタイトルを入力します。分かりやすく具体的に記述しましょう。(例: 「お問い合わせフォームから送信できないバグを修正」「トップページのデザイン案をレビューする」)
- 説明 (Description): 課題の詳細な内容、背景、目的、必要な情報、完了の定義などを記述します。Markdown記法を使って書式を整えることができます。スクリーンショットや関連資料を添付することも推奨されます。
- 担当者 (Assignee): この課題を実行する担当者を割り当てます。未割り当てのままにすることも可能です。
- 報告者 (Reporter): この課題を作成・報告したユーザーが表示されます。
- 優先度 (Priority): 課題の重要度や緊急度を設定します。(例: Highest, High, Medium, Low, Lowest)
- 期限 (Due date): この課題をいつまでに完了する必要があるかを設定します。
- ラベル (Labels): 課題を分類するためのキーワードを設定します。(例:
frontend
,backend
,urgent
,design
)フィルタリングに役立ちます。 - エピックにリンク (Link to Epic): (Jira Software) この課題が属する大きな機能単位(エピック)を選択します。
- バージョン (Versions): (Jira Software) この課題がどの修正バージョンやリリースに含まれるかを選択します。(対象バージョン – Affects versions, 修正バージョン – Fix versions)
- コンポーネント (Components): この課題がプロジェクトのどの部分に関連するかを選択します。
- 添付ファイル (Attachments): 関連するファイルをアップロードします。
- リンクされた課題 (Linked issues): 他の課題との関連性(「関連する」「ブロックしている」「重複している」など)を設定します。
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課題を作成する:
必要な情報を入力したら、「作成」ボタンをクリックします。
課題が作成されると、課題キー(例: WR-10)が付与され、プロジェクト内のボードやバックログに表示されるようになります。
- サブタスクの活用:
大きなタスクやストーリーの場合、それをさらに小さな作業項目に分解するためにサブタスクを作成できます。課題の詳細画面から「その他」メニューやアクティビティセクションの「サブタスクを作成」ボタンを使って作成します。サブタスクは親課題の下に表示され、親課題の進捗を把握しやすくなります。
ステップ4:ワークフローの理解とカスタマイズ
ワークフローは、課題が作成されてから完了するまでの道筋を定義します。Jiraを使う上で、ワークフローを理解し、チームの実際の作業プロセスに合わせることが重要です。
- デフォルトワークフローの確認:
プロジェクトを作成する際に選択したテンプレートには、デフォルトのワークフローが設定されています。例えば、スクラムテンプレートのワークフローは通常、「To Do」→「In Progress」→「Done」といったシンプルなものから、より詳細な状態(「In Review」「Testing」など)を含むものまで様々です。課題の詳細画面で、現在の状態と、次に遷移できる状態(ボタンとして表示されます)を確認できます。 - 状態 (Status) と遷移 (Transition):
ワークフローは「状態」と「遷移」で構成されます。- 状態 (Status): 課題の現在の状況。(例: To Do, In Progress, Done, Open, Resolved, Closedなど)
- 遷移 (Transition): ある状態から別の状態へ課題を移動させるための操作です。(例: 「作業を開始」「レビューを依頼」「クローズ」など)
ワークフローでは、どの状態からどの状態へ遷移できるか、そしてその遷移を行うための条件や実行される処理(例: 特定のフィールドを必須にする、メールを送信するなど)を定義できます。
- ワークフローのカスタマイズ (管理者向け):
Jira管理者は、プロジェクト設定からワークフローをカスタマイズできます。- 既存のワークフローをコピーして編集する。
- 新しい状態や遷移を追加する。
- 各遷移に条件(例: 特定のユーザーしか実行できない)、バリデーター(例: 特定のフィールドが入力されていないと遷移できない)、ポストファンクション(例: 遷移後に特定の値を自動設定する)を設定する。
- 編集したワークフローをプロジェクトの課題タイプに関連付ける。
ワークフローのカスタマイズは強力ですが、複雑になりすぎるとユーザーが混乱する可能性があるため、チームの合意を得てシンプルに保つことが重要です。
ステップ5:ボードの活用
ボードは、課題の現在の状態を視覚的に把握し、進捗を管理するための中心的なツールです。
- ボードを開く:
プロジェクトのサイドバーメニューから「ボード」をクリックします。 - ボードの構造を理解する:
ボードは通常、縦方向の「カラム」で構成されており、それぞれのカラムがワークフローの「状態」に対応しています。(例: 「To Do」「In Progress」「Done」カラム)
課題は「カード」として表示され、現在の状態のカラムに配置されます。 - カラムのカスタマイズ (チーム管理対象プロジェクト):
チーム管理対象プロジェクトのボードでは、ボードの設定からカラムを比較的容易にカスタマイズできます。- カラムの名前を変更する。
- 新しいカラムを追加する。
- カラムとワークフローの状態を関連付ける(マッピング)。例えば、「レビュー待ち」と「テスト中」の状態をまとめて「In Progress」カラムに表示するなど。
- カラムの並び順を変更する。
- スイムレーン (Swimlane) の設定:
ボードの課題を横方向の「スイムレーン」でグルーピングして表示できます。これは、課題を特定の基準で分けて管理したい場合に便利です。- スイムレーンの基準として、エピック、担当者、優先度、ストーリー、クエリ(JQLで定義)などを設定できます。
- 例えば、「担当者別」のスイムレーンを設定すると、担当者ごとに課題がまとめられて表示され、誰がどのような作業を抱えているのかを把握しやすくなります。
- クイックフィルター (Quick Filters) の活用:
ボード上部に表示されるクイックフィルターを使って、特定の条件を満たす課題のみを一時的に表示できます。- デフォルトで「自分の課題のみ」「最近更新された課題」などのフィルターが用意されています。
- カスタムフィルター(JQLで定義)を作成することも可能です。例えば、「締め切りが近い課題」や「特定のラベルが付いた課題」のみを表示するフィルターを作成できます。
ボードを効果的に使うことで、チームメンバーは自分の担当する課題やチーム全体の進捗状況を直感的に把握し、日々の作業を効率的に進めることができます。
ステップ6:バックログとスプリント管理 (Jira Software)
Jira Softwareでスクラムテンプレートを選択した場合、バックログとスプリント管理が重要な機能となります。
- バックログ画面に移動する:
プロジェクトのサイドバーメニューから「バックログ」をクリックします。 - プロダクトバックログの管理:
バックログ画面の上部には、将来取り組むべき全ての課題(プロダクトバックログ)がリスト表示されます。- 課題はドラッグ&ドロップで簡単に優先順位を並べ替えることができます。上にある課題ほど優先度が高いと見なされます。
- 「エピック」パネルを使って、課題をエピックごとにフィルタリングしたり、エピックを管理したりできます。
- 「バージョン」パネルを使って、リリースバージョンを管理し、課題をバージョンに紐づけることができます。
- スプリントの作成と計画:
バックログ画面の下部に「今後のスプリント」セクションが表示されます。- 「スプリントを作成」ボタンをクリックして、新しいスプリントを作成します。
- プロダクトバックログから、次のスプリントで完了を目指す課題をドラッグ&ドロップで作成したスプリントに移動させます。これでスプリントバックログが作成されます。
- スプリントに割り当てた課題の合計見積もり(ストーリーポイントや時間見積もりなど)を確認できます。
- スプリントの開始:
スプリントに課題を割り当て終えたら、作成したスプリントの「スプリントを開始」ボタンをクリックします。- スプリント名、期間(開始日と終了日)、スプリント目標(任意)を設定します。
- 「開始」をクリックすると、スプリントが開始され、割り当てられた課題がボードの最初のカラム(通常「To Do」)に表示されます。
- スプリント中のボード操作:
スプリント中は、ボード画面に移動して日々の進捗を管理します。- チームメンバーは担当する課題の状態を更新する際に、課題カードをボード上のカラム間で移動させます。(例: To Do → In Progress → In Review → Done)
- デイリースクラムなどでボードを確認しながら、進捗状況の共有や課題の発見を行います。
- スプリントの完了:
スプリント期間が終了するか、スプリント目標が達成されたら、ボード画面の右上にある「スプリントを完了」ボタンをクリックします。- 完了した課題と未完了の課題を確認できます。
- 未完了の課題は、次のスプリントに移動させるか、プロダクトバックログに戻すかを選択できます。
- 「完了」をクリックすると、スプリントが終了し、スプリントレポートが生成されます。
このバックログとスプリントのサイクルを繰り返すことで、スクラム開発のフレームワークに沿った作業を進めることができます。
ステップ7:レポートとダッシュボード
Jiraは、プロジェクトやチームの状況を把握するための強力なレポートおよびダッシュボード機能を提供します。
- レポートの活用:
Jira Softwareでは、プロジェクトのサイドバーメニューにある「レポート」から様々な標準レポートにアクセスできます。- バーンダウングラフ、ベロシティチャート、累積フロー図: 前述のように、これらのアジャイルレポートはチームの進捗やパフォーマンスを分析するのに役立ちます。
- 課題レポート: 特定のフィルターに基づいた課題リスト、作成日/解決日レポート、平均経過時間レポートなど、課題に関する様々な統計情報を確認できます。
レポートを確認することで、プロジェクトの健全性、潜在的な遅延、チームのキャパシティなどを把握し、必要な対策を講じることができます。
- ダッシュボードの作成:
Jira画面上部のメニューバーにある「ダッシュボード」から、「ダッシュボードを作成」を選択します。- ダッシュボード名と説明を入力します。
- 作成したダッシュボードに「ガジェット」を追加します。ガジェットは、特定の情報(フィルター結果の課題リスト、統計グラフ、アサインされた課題数など)を表示する小さなウィンドウです。
- 様々な種類のガジェットが用意されており、必要に応じて設定(表示するプロジェクト、フィルター、グラフの種類など)を行います。
- 複数のガジェットを配置して、自分やチームにとって重要な情報を集約したカスタムダッシュボードを作成できます。
- 作成したダッシュボードを他のチームメンバーと共有することも可能です。
ダッシュボードをカスタマイズすることで、プロジェクトマネージャーは全体の進捗を、チームメンバーは自分の担当するタスク状況を、一目で把握できるようになります。
ステップ8:チームメンバーの招待と権限設定
Jiraはコラボレーションツールであるため、チームメンバーを招待し、適切な権限を設定することが不可欠です。
- ユーザーの招待:
Jiraサイトのグローバル設定(画面右上の歯車アイコン)から「ユーザー管理」にアクセスします。(サイト管理者権限が必要です)- 「ユーザーを招待」ボタンをクリックし、招待したいユーザーのメールアドレスを入力します。
- 招待する際に、そのユーザーにどの製品(Jira Software, Jira Work Managementなど)へのアクセス権を与えるかを選択できます。
- 招待されたユーザーは、メールに記載されたリンクからAtlassianアカウントを設定またはログインし、Jiraサイトに参加します。
- グループへの割り当て:
招待したユーザーを、適切なグループ(例: 開発者, テスター, ビジネスユーザーなど)に割り当てます。グループは、後述するプロジェクトの権限設定に利用できます。デフォルトで「jira-software-users」「jira-work-management-users」などのグループが作成されます。 - プロジェクトロールと権限スキーム (会社管理対象プロジェクト):
会社管理対象プロジェクトでは、より詳細な権限設定が可能です。- プロジェクトロール (Project Role): プロジェクトにおける役割(例: Administrators, Developers, Usersなど)を定義します。これらのロールにユーザーやグループを割り当てます。
- 権限スキーム (Permission Scheme): プロジェクトロールやグループ、個別のユーザーに対して、特定の操作(課題の作成、編集、コメント、課題の表示、プロジェクト設定の変更など)を許可するかどうかを定義します。
プロジェクト設定の「権限」セクションで、プロジェクトに適用される権限スキームを確認・編集できます。
- アクセスレベル (チーム管理対象プロジェクト):
チーム管理対象プロジェクトでは、権限設定はよりシンプルです。- プロジェクト設定の「アクセス」セクションで、プロジェクト全体のアクセスレベルを設定します。(例: オープン(誰でも表示・コメント可能)、限定的(招待されたユーザーのみアクセス可能)、プライベート(特定のユーザーのみアクセス可能))
- 特定の操作に対する権限は、プロジェクトロール(管理者、メンバー、ビューアーなど)に基づいて自動的に管理されます。
適切な権限設定を行うことで、情報のセキュリティを保ちつつ、チームメンバーが必要な作業を行えるようにします。
ステップ9:基本的な操作をマスターする
Jiraを日常的に使う上で知っておくと便利な基本的な操作がいくつかあります。
- 課題の検索 (JQL – Jira Query Language):
Jira画面上部の検索バーや、「フィルター」メニューから課題を検索できます。基本的なキーワード検索だけでなく、JQLという独自のクエリ言語を使って複雑な条件で検索できます。- 例:
assignee = currentUser() AND status != Done ORDER BY duedate
(担当者が自分自身で、かつ完了していない課題を期限順に表示) - 例:
project = WR AND issuetype = Bug AND priority in (Highest, High)
(WRプロジェクトのバグ課題で、優先度がHighestまたはHighのもの)
JQLを習得すると、特定の条件を満たす課題を素早く見つけ出し、レポートやボードのフィルターとして活用できます。
- 例:
- コメントとメンション (@):
課題の詳細画面で、課題に関する議論や進捗報告をコメントとして残すことができます。- コメント欄で
@ユーザー名
と入力すると、特定のユーザーに通知を送ることができます。 - コメントは課題の履歴として残り、後から経緯を追うのに役立ちます。
- コメント欄で
- ウォッチャー (Watcher):
課題の詳細画面で、自分がその課題のウォッチャーになることができます。ウォッチャーに登録すると、その課題に更新があった際に通知を受け取ることができます。関心のある課題の進捗を追跡するのに便利です。他のユーザーをウォッチャーに追加することも可能です。 - 通知設定:
Jiraは様々なイベント(課題の作成、編集、コメント、担当者の変更など)に応じてユーザーに通知を送信します。- グローバル設定またはユーザープロフィールの設定で、受け取る通知の種類や通知方法(メール、Jira内の通知センター)をカスタマイズできます。
- 通知が多すぎると作業の妨げになることもあるため、自分にとって本当に必要な通知だけを受け取るように設定を調整することが推奨されます。
- フィルターの保存と共有:
JQLで作成した検索条件は「フィルター」として保存できます。- 保存したフィルターは、後で繰り返し使用したり、ダッシュボードのガジェットやボードのクイックフィルターとして利用したりできます。
- 作成したフィルターを他のユーザーと共有することも可能です。
これらの基本的な操作をマスターすることで、Jira上での情報収集やコミュニケーションが格段に効率化されます。
ステップ10:連携機能の活用
Jiraは単体でも強力ですが、他のツールと連携することでその価値をさらに高めます。
- Atlassian製品との連携:
- Confluence: JiraとConfluence(Atlassianのドキュメント管理・Wikiツール)を連携させると、Jira課題とConfluenceページを簡単にリンクできるようになります。プロジェクト計画書、仕様書、議事録などのドキュメントと、それに関連するJira課題を紐づけることで、情報の検索性やトレーサビリティが向上します。ConfluenceページからJira課題を作成したり、Jira課題のリストをConfluenceページに埋め込んだりすることも可能です。
- Bitbucket/GitHub/GitLab: コードホスティングサービスと連携することで、ブランチ、コミット、プルリクエストなどの開発アクティビティをJira課題に自動的に紐づけることができます。開発者はコミットメッセージやブランチ名に課題キーを含めることで、Jira課題の活動履歴に開発状況を自動的に記録できます。これにより、開発の進捗状況や、どのコード変更がどの課題に関連しているかをJira上で一元的に追跡できます。
- Opsgenie / Statuspage: IT運用やインシデント管理ツールとの連携。
- サードパーティアプリとの連携 (Atlassian Marketplace):
Atlassian Marketplaceには、Jiraの機能を拡張したり、他の様々なツール(Slack, Microsoft Teams, Google Workspace, Salesforceなど)と連携させたりするためのアプリが豊富に公開されています。- 例えば、Slack連携アプリを使えば、Jiraの通知をSlackチャンネルに投稿したり、Slack上からJira課題を作成したりできます。
- 時間管理ツール、テスト管理ツール、BIツールなど、多様なアプリがあります。
チームのニーズに合わせて適切なアプリを導入することで、Jiraの機能をさらにカスタマイズ・拡張できます。
連携機能を活用することで、Jiraは単なる課題管理ツールにとどまらず、チームが使用する様々なツールの中核となり、ワークフロー全体の効率を高めるプラットフォームとなります。
Jiraを使いこなすためのヒントとベストプラクティス
Jiraの導入は始まりに過ぎません。ツールを最大限に活用し、チームの生産性を継続的に向上させるためには、いくつかのヒントとベストプラクティスがあります。
- シンプルに始めることの重要性: 最初から全ての機能を使おうとしたり、複雑な設定を施したりせず、まずはチームが必要とする最も基本的な機能(課題作成、ボードでの状態遷移など)から使い始めましょう。チームがツールに慣れてきたら、徐々に機能を拡張していくのが良いアプローチです。ワークフローも最初から複雑にせず、必要に応じて段階的に改善していくことをお勧めします。
- ワークフローの標準化と徹底: 課題の状態遷移を定義するワークフローは、チームの作業プロセスそのものを反映するものです。チーム内でワークフローに対する共通理解を持ち、全員がワークフローに従って課題の状態を正確に更新することを徹底しましょう。ワークフローの状態が正確に反映されていなければ、ボードやレポートの情報は信頼できなくなります。
- 課題タイプの適切な使い分け: タスク、バグ、ストーリー、エピックなど、課題タイプにはそれぞれ目的があります。これらのタイプを適切に使い分けることで、課題リストが整理され、レポートもより有益になります。例えば、「報告された問題は必ずバグとして作成する」「ユーザーに価値を提供する機能はストーリーとして定義する」といったルールをチームで共有しましょう。
- JQLを活用した高度な検索: 基本的な検索だけでなく、JQLを積極的に使いましょう。特定の条件を満たす課題を素早く見つけ出すだけでなく、保存したフィルターはダッシュボードやボードで再利用できるため、情報へのアクセス効率が大幅に向上します。
- 定期的なプロジェクトレビュー/スプリントレビュー: 作成したボードやレポート、ダッシュボードは、定期的なミーティング(週次レビュー、スプリントレビューなど)でチーム全員で確認しましょう。進捗状況を共有し、ボトルネックを特定し、課題やプロセスの改善点を見つけ出す機会となります。
- チームでのJiraルールの共有: 課題の書き方(概要や説明に何を含めるか)、コメントのルール、ラベルの付け方、課題の見積もり方法など、Jiraの使い方に関するチーム独自のルールを定め、全員で共有し、守るようにしましょう。これにより、Jira上の情報の一貫性が保たれ、コミュニケーションの齟齬を防ぐことができます。
- カスタムフィールドの活用: 標準フィールドだけでは管理したい情報が足りない場合があります。プロジェクト設定でカスタムフィールドを追加することで、チーム固有の情報を課題に紐づけることができます。(例: 顧客名、関連部門、リスクレベルなど)ただし、カスタムフィールドを増やしすぎると課題作成や管理が煩雑になるため、必要最小限に留めるのが良いでしょう。
- 通知の適切な管理: Jiraからの通知は情報伝達に役立ちますが、不要な通知が多すぎると重要な情報を見落としたり、集中力が削がれたりします。個人設定やプロジェクト設定で、必要な通知だけを受け取るように設定を調整しましょう。
これらのベストプラクティスを実践することで、Jiraはチームの単なるツールボックスではなく、作業効率とチームコラボレーションの中心的なハブとなります。
Jiraのメリット・デメリット
最後に、Jiraのメリットとデメリットを整理しておきましょう。ツール選定の参考にしたり、導入後の課題を理解したりするのに役立ちます。
メリット
- 柔軟性とカスタマイズ性の高さ: プロジェクトの種類、チームの規模、ワークフローに合わせて、課題タイプ、ワークフロー、フィールド、権限などを細かくカスタマイズできます。これにより、様々な組織やチームの独自のプロセスにJiraを適応させることが可能です。
- アジャイル開発手法との親和性: Jira Softwareは、スクラムやカンバンといった主要なアジャイルフレームワークを強力にサポートする機能を標準で備えています。アジャイル開発を実践するチームにとって、最適なツールの1つと言えます。
- 豊富な機能と拡張性 (マーケットプレイス): 課題追跡、プロジェクト管理、レポート、ダッシュボードといった基本機能に加えて、Atlassian Marketplaceを通じて多様なアプリを追加し、機能を拡張できます。時間管理、テスト管理、レポート作成、連携強化など、幅広いニーズに対応できます。
- 強力な連携機能: Atlassian製品群(Confluence, Bitbucketなど)とのシームレスな連携に加え、他の主要な開発ツール、コミュニケーションツール、ビジネスツールとも連携可能です。これにより、Jiraをワークフローの中心に据えることができます。
- レポート機能による可視化: 標準レポートやカスタマイズ可能なダッシュボードを通じて、プロジェクトの進捗、チームのパフォーマンス、ボトルネックなどを視覚的に把握できます。データに基づいた意思決定や改善活動を促進します。
- 大規模チーム・複雑なプロジェクトへの対応力: 細かい権限設定、複数のプロジェクト管理、豊富な課題タイプ、高度なワークフローなどを組み合わせることで、大規模な組織や複雑な依存関係を持つプロジェクトでも効果的に管理できます。
- 活発なコミュニティとサポート: 広く普及しているツールであるため、オンラインコミュニティが活発で、多くの情報源やサポートが利用可能です。
デメリット
- 多機能ゆえの学習コスト: 機能が豊富である反面、初めてJiraを使うユーザーにとっては、その全てを理解し、使いこなすまでに時間がかかることがあります。特に管理者向けの高度な設定は複雑になりがちです。
- シンプルなタスク管理にはオーバースペックになる場合がある: 個人やごく小規模なチームでのごく簡単なタスクリスト管理には、Jiraは機能が多すぎて過剰かもしれません。よりシンプルなタスク管理ツールの方が適している場合もあります。
- クラウド版の料金体系 (特に大規模利用): Jira Cloudはユーザー数に応じた月額/年額課金モデルです。ユーザー数が増えるにつれてコストが増加します。特に大規模な組織での利用は、それなりの費用がかかります。
- 設定の複雑さ: ワークフロー、権限スキーム、通知スキームなどの設定は、カスタマイズ性が高い反面、適切に設定しないと予期せぬ動作を引き起こしたり、管理が煩雑になったりすることがあります。専門的な知識が必要になる場合もあります。
- パフォーマンス: 大量の課題や複雑な設定がある場合、特に古いブラウザや低速なネットワーク環境では、Jiraの動作が遅くなることがあります。
これらのメリット・デメリットを踏まえ、Jiraがあなたのチームや組織のニーズに合致するかどうかを検討することが重要です。多くの組織にとっては、その強力な機能と柔軟性により、デメリットを上回る大きなメリットが得られるツールと言えるでしょう。
まとめ
この記事では、Jiraの概要から、その主要な構成要素、Jira SoftwareとJira Work Managementの違い、そして実際にJiraを使い始めるための具体的なステップまでを詳細に解説しました。
Jiraは、単なるタスクリストやバグトラッカーではありません。チームの作業を可視化し、ボトルネックを特定し、コラボレーションを促進することで、プロジェクトの成功確率を高めるための強力なプラットフォームです。アジャイル開発を行うソフトウェアチームにとってはJira Softwareが、ビジネスチームにとってはJira Work Managementが、それぞれのニーズに合わせた機能を提供します。
使い始めは少し複雑に感じるかもしれませんが、まずは基本的な機能から触ってみるのが一番です。プロジェクトを作成し、課題を作り、ボードで状態を更新してみましょう。そして、チームの作業プロセスに合わせてワークフローやボードをカスタマイズし、レポートやダッシュボードで状況を把握する習慣をつけましょう。
Jiraを使いこなすことは、チーム全体の生産性向上に直結します。この記事が、あなたがJiraの第一歩を踏み出し、その強力な機能を最大限に活用するための一助となれば幸いです。
次のステップ
Jiraについて学んだことを活かして、ぜひ実際に触ってみましょう。
- Jiraの無料トライアル/フリープランを試す: AtlassianのウェブサイトからJira Cloudの無料トライアルまたはフリープランに登録し、実際にプロジェクトを作成して課題を操作してみましょう。
- アトラシアン公式ドキュメントを参照する: Atlassianは充実した公式ドキュメントを提供しています。特定の機能の詳細や、さらに高度な設定方法について知りたい場合は、公式ドキュメントを参照しましょう。
- コミュニティに参加する: Atlassian Communityでは、他のユーザーと質問をしたり、解決策を共有したりすることができます。
Jiraは継続的な改善を通じて進化していくツールです。常に新しい機能やより効率的な使い方を学び、チームの作業に活かしていくことが重要です。
あなたのチームのJira活用が成功することを願っています!