【初心者必見】ARK Server Manager (ASM) で快適ARKマルチ環境を構築
はじめに:なぜ自分だけのARKサーバーを持つのか?
広大で危険に満ちたオープンワールドサバイバルゲーム、ARK: Survival Evolved。友達や仲間と一緒にプレイするマルチプレイは、ARKの醍醐味の一つです。しかし、公式サーバーでは「ラグがひどい」「ルールが合わない」「人気の場所が埋まっている」「突然ワイプされる」といった不満を感じることも少なくありません。
そこで選択肢となるのが、「非公式サーバー」、つまり自分でサーバーを立てて運営する方法です。これにより、プレイヤー人数、経験値倍率、採取量、恐竜の強さ、構造物の耐久度など、あらゆる設定を自分たちのプレイスタイルに合わせて自由にカスタマイズできます。また、特定の仲間内だけでプレイできるため、理不尽なPKや嫌がらせの心配もありません。
サーバーを立てるというと、「コマンドラインで黒い画面を操作する難しい作業が必要なのでは?」と思う方もいるかもしれません。確かに、昔はそういった知識が必要でした。しかし、現在は「ARK Server Manager (ASM)」という素晴らしいツールが存在します。ASMを使えば、複雑なコマンドを一切知らなくても、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)上でクリックや入力を行うだけで、ARKのサーバー設定、起動、管理、さらにはMODの導入まで、全てを簡単に行うことができます。
この記事は、「ARKのサーバーを自分で立ててみたいけど、何から始めていいか分からない」「専門知識がない自分でもできるか不安」といった初心者の方向けに、ASMを使ったARKサーバー構築の全工程を、PCの準備から設定、起動、接続、そして日々の運用管理まで、ステップバイステップで詳細に解説することを目的としています。
約5000語というボリュームで、各設定項目がゲームプレイにどのような影響を与えるのか、トラブルが発生した場合の対処法なども網羅的に解説します。この記事を読み終える頃には、あなただけの快適なARKマルチプレイ環境が手に入っているはずです。さあ、ARKの世界で仲間と最高の思い出を作るための第一歩を踏み出しましょう!
第1章:サーバーを立てる前に知っておくべきこと
ASMを使ったサーバー構築自体は難しい作業ではありませんが、始める前にいくつか確認しておくべき重要なポイントがあります。
1.1 サーバー用PCの準備
ARKのサーバーは、起動している間ずっとPCのリソース(CPU、メモリ、ストレージ)を消費します。そのため、サーバーを起動するPCは、ある程度のスペックが求められます。
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推奨されるPCスペック:
- OS: Windows 7, 8, 10, 11 (64-bit)
- CPU: デュアルコア以上 (高性能なクアッドコア以上が望ましい)
- メモリ (RAM): 最低でも8GB。快適に動作させるには16GB以上を強く推奨。参加人数が増えたり、MODを多く導入したりする場合は、さらに多くのメモリが必要になることがあります(32GBなど)。
- ストレージ: ARKのゲーム本体ファイルだけで約40GB~100GB(マップやDLCによる)。サーバーデータやバックアップ領域も必要なので、合計で最低でも100GB以上、可能であればSSDにインストールすることを強く推奨します。NVMe SSDならさらに高速化が見込めます。
- ネットワーク: 安定したインターネット接続(光回線など)。アップロード速度が重要になります。
- グラフィックカード (GPU): サーバー単体で動作させる場合、GPUの性能はほとんど必要ありません。ただし、サーバーと同じPCでゲームクライアントも起動する場合、その場合はゲームクライアントが必要とするGPU性能が別途必要になります。
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サーバー用PCの種類:
- 遊ぶPCと同じPCを使う: 最も手軽な方法です。しかし、ゲームクライアントとサーバーの両方がリソースを消費するため、PCスペックに余裕がないと動作が重くなったり、不安定になったりします。メモリは特に重要です。
- 余っている別のPCを使う: こちらの方が安定したサーバー環境を構築できます。サーバー専用機とすることで、プレイ中のPCへの負荷がなくなり快適です。古いPCでもOSが対応しており、上記の推奨スペックを満たしていれば利用可能です。
- レンタルサーバー (VPS/Dedicated Server): より安定した稼働や高いパフォーマンス、セキュリティを求める場合は、法人などが提供するサーバーレンタルサービスを利用する方法もあります。ただし、費用がかかりますし、Windows Server OSの知識が必要になる場合が多いです。この記事では、手持ちのWindows PCを使う方法に焦点を当てます。
1.2 インターネット環境とネットワーク設定
サーバーをインターネット経由で公開する場合、外部のプレイヤーがあなたのPCに接続できるよう設定が必要です。これがネットワーク設定、具体的には「ポート開放(ポートフォワーディング)」と「Windows Firewall」の設定です。多くの初心者がここでつまずくポイントなので、丁寧に解説します。
- グローバルIPアドレス: サーバーを公開するには、インターネット上でのあなたのPCの住所となる「グローバルIPアドレス」が必要です。多くの場合、家庭用のインターネット接続では、このIPアドレスが時間経過やルーターの再起動などで変わってしまう「動的IPアドレス」が割り当てられます。IPアドレスが変わると、プレイヤーは新しいIPアドレスを知らないと接続できなくなります。これを解決するには、DDNS(Dynamic DNS)サービスを利用する方法がありますが、まずはIPアドレスが一時的に変わらないことを祈るか、IPが変わるたびにプレイヤーに新しいIPを伝えることになります。固定IPアドレスを取得できるサービスもありますが、通常は別途費用がかかります。
- ポート開放 (ポートフォワーディング): これは、外部からの特定の通信(ARKサーバーへの接続要求)を、ルーターがあなたのサーバーPCに正しく誘導するための設定です。ルーターは家庭内の複数のPCやスマホを守る壁のような役割を果たしており、外部からのほとんどの通信をブロックしています。ARKサーバーに必要なポート番号だけを「開けて」、そこに来た通信を指定した内部IPアドレス(サーバーPCのIPアドレス)に転送するように設定します。具体的なポート番号は後述します。
- Windows Firewall: Windows OS自体にもファイアウォール機能があり、不正なアクセスからPCを保護しています。サーバーを起動するPCのWindows Firewallで、ARKサーバーが必要とするポートからの通信を許可する設定を行う必要があります。
これらのネットワーク設定は、お使いのルーターの機種や契約しているプロバイダーによって手順が異なります。ルーターのマニュアルを参照するか、インターネットで「(ルーターの型番) ポート開放」と検索して情報を集める必要があります。
1.3 ARKゲーム本体の所有
当然ですが、ARKサーバーを立てるには、Steam版のARK: Survival Evolved本体が必要です。ASMはSteamCMD(Steam Command Line Interface)というツールを使って、ARKのサーバーファイルをダウンロードします。この際、あなたのSteamアカウントでARKを所有している必要はありませんが、サーバーを起動するPCにSteamクライアントがインストールされていると、SteamCMDのインストールがスムーズに進む場合があります。
1.4 事前準備のまとめ
サーバーを立てる前に、以下の点をクリアしておきましょう。
* サーバーを起動するPCを決める。
* そのPCが必要スペックを満たしているか確認する(特にメモリとストレージ)。
* インターネット環境(特にアップロード速度)を確認する。
* ルーターのポート開放について、マニュアルなどを準備しておく。
* Windows Firewallについて、設定方法を把握しておく。
これらの準備が整ったら、いよいよASMの導入に進みます。
第2章:ARK Server Manager (ASM) のダウンロードとインストール
ASMは公式のツールではなく、ファンメイドのサードパーティツールです。しかし、広く利用されており、非常に便利で安全なツールとして認知されています。常に最新版を利用するようにしましょう。
2.1 ASMのダウンロード
ASMは以下の公式フォーラムの配布ページからダウンロードできます。
* ARK Server Manager 公式配布ページ: https://arkservermanager.freeforums.net/thread/50/downloads
ページにアクセスすると、最新バージョンのダウンロードリンクがあります。「Download Latest Version (X.Y.Z) Here」のようなリンクをクリックしてください。ファイルはZIP形式で圧縮されています。
2.2 ASMのインストール(展開)
ダウンロードしたZIPファイルを解凍(展開)します。解凍先は、今後ASMを起動する場所になります。以下の点に注意して解凍場所を決めましょう。
- 管理者権限が必要ない場所: Program Filesなどのシステムフォルダは避けてください。ユーザーフォルダ内(例:
C:\Users\あなたのユーザー名\Documents\ASM
やD:\ASM
など、任意の場所)に解凍するのが一般的です。 - 十分な空き容量があるドライブ: ASM自体はそれほど容量を使いませんが、ASMが管理するARKサーバーファイルが大きな容量(100GB以上)を使用します。ASMをインストールするドライブとは別のドライブにサーバーファイルを置くことも可能ですが、分かりやすさのために同じドライブの別フォルダに置く人が多いです。
- 日本語や特殊文字を含まないパス: 将来的な互換性問題を避けるため、解凍先のフォルダ名や親フォルダ名には、半角英数字のみを使用することを推奨します。例:
D:\ArkServerManager
ZIPファイルを右クリックし、「すべて展開」などを選択して、上記の条件を満たす場所に解凍してください。解凍が完了すると、指定したフォルダ内にASMの実行ファイル(ARK Server Manager.exe
)やその他のファイルが展開されます。
2.3 初回起動前の確認
ASMを実行する前に、いくつかの点を確認しておきましょう。
- .NET Framework: ASMはMicrosoft .NET Framework上で動作します。Windows 10/11であれば通常はインストールされていますが、古いOSの場合は最新版をインストールする必要があるかもしれません。Windows Updateを最新の状態にしておくのが確実です。
- 管理者権限: ASMを起動する際は、右クリックして「管理者として実行」を選択することを推奨します。特にサーバーファイルをインストールしたり、Windows Firewallの設定を変更したりする際に、管理者権限が必要になる場合があります。
これでASMを使う準備が整いました。
第3章:ASMの初期設定とサーバーファイルのインストール
いよいよASMを起動し、最初の設定とARKサーバー本体のファイルをインストールします。
3.1 ASMの初回起動と基本設定
解凍したフォルダ内の ARK Server Manager.exe
を右クリックし、「管理者として実行」を選択します。
初回起動時には、いくつかの初期設定画面が表示されることがあります。指示に従って進めてください。
メインウィンドウが表示されたら、まずは基本的な設定を行います。画面上部のメニューやタブを使って設定を進めていきます。
3.2 ARKサーバーファイルのインストール場所の指定
ASMで最も重要な初期設定の一つが、ARKサーバーファイルをどこにインストールするかです。
- ASMウィンドウの上部にあるタブから「Global Settings」を選択します。
- 左側のメニューから「Directories」を選択します。
- 「SteamCMD Directory」: SteamCMDをどこにインストールするか指定します。特に理由がなければデフォルトのままで構いません。
- 「Servers Root Directory」: これが最も重要です! ここに、今後あなたが作成する全てのARKサーバー(複数のサーバーを立てる場合)のファイルが保存されます。 十分な空き容量があるドライブの、日本語や特殊文字を含まないパスを指定してください。例:
D:\ArkServers
- ここで指定したフォルダの中に、ASMがサーバーごとにフォルダを作成し、ARKのサーバーファイルやセーブデータを保存していきます。
- 「Backups Directory」: サーバーのバックアップをどこに保存するか指定します。Servers Root Directoryとは別のドライブやフォルダに指定すると、万が一サーバーファイルが保存されているドライブが壊れても安心です。十分な空き容量が必要です。
- 設定が完了したら、画面下部または右側にある「Save Settings」ボタンをクリックして設定を保存します。
3.3 SteamCMDとARKサーバーファイルのインストール
Servers Root Directoryを指定したら、いよいよARKサーバー本体のファイルをダウンロードします。
- ASMウィンドウに戻り、画面左上の「Actions」メニューから「Install/Update SteamCMD」を選択します。ASMがSteamCMDをダウンロードして、先ほど指定したSteamCMD Directoryにインストールします。
- SteamCMDのインストールが終わったら、次に「Install/Update ARK Server」を選択します。
- ここで、インストールするサーバーの種類を選択します。通常は「ARK: Survival Evolved Server」を選択します。ARK: Survival Ascended (ASA) の場合は別途ASA用のASMを使用するか、対応するバージョンを確認してください。この記事ではASE(ARK: Survival Evolved)を前提とします。
- インストールするマップを選択します。最初はThe Islandなど、最も基本的なマップを選択するのが良いでしょう。後から他のマップを追加することも可能です。
- ASMがSteamCMDを起動し、指定したServers Root Directory内にサーバーフォルダを作成し、ARKサーバーファイルのダウンロードを開始します。これには非常に時間がかかりますし、数十GB以上のダウンロードが発生します。インターネット回線によっては数時間かかることもあります。進捗状況はASMのログウィンドウ(画面下部など)や、Dedicated Serverのステータス表示で確認できます。
- ダウンロードとインストールが完了するまで待ちます。「Status」が「Installed」や「Ready to Start」のようになれば完了です。
これで、ASMとARKサーバーファイルの基本的な準備が整いました。
第4章:基本的なサーバー設定
サーバーファイルがインストールできたら、いよいよサーバーの設定を行います。ASMのGUIを使えば、各項目を簡単に入力できます。
ASMのウィンドウ中央には、現在選択しているサーバープロファイルの設定が表示されます。最初は「Default」というプロファイルが選択されているはずです。複数のサーバーを管理したい場合は、新しいプロファイルを作成できますが、まずはDefaultプロファイルを編集していきましょう。
設定項目はタブごとに整理されています。まずは「General」タブから始めます。
4.1 General タブ:サーバーの基本情報
このタブでは、サーバーの名前やパスワードなど、最も基本的な情報を設定します。
- Server Name: サーバー一覧に表示される名前です。自由に設定できます。日本語も使用可能ですが、環境によっては文字化けすることがあるため、英数字と記号で設定するのが無難です。例:
MyFirstARKServer [JP/PvE]
- Server Password: サーバーへの参加にパスワードが必要な場合に設定します。身内だけで遊びたい場合は設定することを強く推奨します。空白のままにすると、誰でも参加できるパブリックサーバーになります。
- Admin Password: サーバー内で管理コマンド(テレポート、アイテム生成、プレイヤー追放/禁止など)を使用するための管理者パスワードです。これは必ず設定してください。 ゲーム内でコンソールを開き
enablecheats [AdminPassword]
と入力することで管理者権限が得られます。 - Max Players: 最大参加人数を設定します。サーバーPCのスペックやインターネット回線に合わせて調整してください。推奨は4~20人程度ですが、高性能なPCと回線があればそれ以上も可能です。人数が多いほどサーバー負荷は増大します。
- Public IP Address: サーバーPCのグローバルIPアドレスを自動検出して表示してくれます。ルーターのポート開放設定などで必要になるIPアドレスです。動的IPの場合は、このIPアドレスが後で変わる可能性があることに留意してください。
- Server Map: インストールしたマップを選択します。ドロップダウンリストから選びます。複数のマップをインストールしている場合もここで切り替えます。
- Session / Epic Game ID: (ASMのバージョンによる) Steam版以外のプラットフォーム(Epic Games版など)とのクロスプレイを有効にする設定ですが、通常はSteam版のみを想定するためデフォルトのままで構いません。
- Query Port: クエリポートです。サーバーリストへの表示や情報の取得に使用されます。デフォルトは
27015
(UDP)。ルーターのポート開放でこのポートが必要になります。他のポートと競合しない限り、デフォルトのまま推奨です。 - Game Port: ゲームポートです。プレイヤーがゲームクライアントから直接接続する際に使用されます。デフォルトは
7777
(UDP)。ルーターのポート開放でこのポートが必要になります。他のポートと競合しない限り、デフォルトのまま推奨です。 - RCON Port: RCON (Remote Console) ポートです。外部ツールなどからサーバーコンソールに接続してコマンドを実行するために使用されます。デフォルトは
27020
(TCP)。外部からRCONを利用する場合にポート開放が必要になります。通常利用では必須ではありませんが、管理のために開けておくと便利な場合があります。他のポートと競合しない限り、デフォルトのまま推奨です。 - Local IP Address: サーバーPCのローカルIPアドレス(例: 192.168.1.100など)。通常は「Auto Detect」のままで構いませんが、複数のネットワークアダプターがある場合や、特定のIPでサーバーを起動したい場合に手動で指定します。
- Server Data Directory: ARKサーバーのセーブデータや設定ファイルが保存される場所です。Servers Root Directoryの中に自動的に作成されるフォルダが指定されます。通常は変更不要です。
設定を変更したら、忘れずに画面右下または下部の「Save Settings」ボタンをクリックしてください。
4.2 Rules タブ:ゲームプレイの基本ルール
このタブでは、ARKの様々なゲームルールに関する設定を行います。ここからがARKサーバーカスタマイズの面白いところです!
多くの設定項目がありますが、よく触る項目をいくつか紹介します。各項目の意味はマウスカーソルを合わせるとツールチップ(説明文)が表示されるので参考にしてください。
- Difficulty Offset: 難易度を調整します。デフォルトは
1.0
。この値を上げると、野生恐竜の最大レベルが高くなります(例: 1.0でLv150、5.0でLv300など)。高レベルの恐竜が出やすくなり、ゲームの難易度が上がります。 - Dino Spawn Weight Multipliers: 特定の恐竜の出現率を調整できます。
- Resources Respawn Period Multiplier: 採取ポイント(石、木、金属鉱石など)のリスポーン速度を調整します。値を小さくするとリスポーンが速くなります(例: 0.5で2倍速)。値を大きくすると遅くなります。
- Crop Growth Speed Multiplier: 作物の成長速度を調整します。値を大きくすると成長が速くなります。
- Crop Decay Speed Multiplier: 作物の腐敗速度を調整します。値を小さくすると腐敗が遅くなります。
- Structure Decay Time Multiplier: 構造物の腐敗速度(時間経過による自然消滅までの時間)を調整します。値を大きくすると腐敗するまでの時間が長くなります。拠点維持が楽になります。
- Lay Egg Interval Multiplier: 恐竜が卵を産む間隔を調整します。値を小さくすると産む頻度が高くなります(例: 0.5で2倍の頻度)。
- Poop Interval Multiplier: 恐竜がフンをする間隔を調整します。値を小さくすると頻度が高くなります。
- Incubation Speed Multiplier: 卵の孵化速度を調整します。値を大きくすると孵化が速くなります。
- Baby Mature Speed Multiplier: 赤ちゃん恐竜の成長速度を調整します。値を大きくすると成長が速くなります。ブリーディング(交配・育成)の時間を大幅に短縮できます。
- Baby Cuddle Interval Multiplier: 赤ちゃん恐竜の世話(刷り込み)要求間隔を調整します。値を小さくすると要求頻度が高くなります。成長速度を上げた場合は、この値も小さくしないと刷り込みが完了しにくくなります。
- Baby Food Consumption Speed Multiplier: 赤ちゃん恐竜の食料消費速度を調整します。値を小さくするとお腹が減りにくくなります。成長速度を上げた場合は、この値も小さくしないと餓死しやすくなります。
- Mating Interval Multiplier: 恐竜の交配間隔を調整します。値を小さくすると次の交配までの時間が短くなります。
- Taming Speed Multiplier: 恐竜のテイム速度を調整します。値を大きくするとテイムが速く終わります。初心者にはまずこの値を大きくすることをお勧めします(例: 3.0~10.0など)。
- Harvest Amount Multiplier: 採取時の獲得量(石、木、ベリーなど)を調整します。値を大きくすると一度にたくさん採れます。序盤の資源集めが楽になります。
- Player Character Water/Food Drain Multiplier: プレイヤーの空腹・喉の渇きの進行速度を調整します。値を小さくするとお腹が減りにくく、喉も渇きにくくなります。
- Dino Character Food Drain Multiplier: テイム済み恐竜の空腹の進行速度を調整します。値を小さくするとお腹が減りにくくなります。
これらの設定は、ゲームの難易度や快適さに直結します。自分たちの遊びたいスタイルに合わせて調整してみましょう。設定を変更したら、「Save Settings」を忘れずに。
4.3 Stats タブ:プレイヤーと恐竜の能力値
このタブでは、プレイヤーキャラクターやテイム済み恐竜のレベルアップ時のステータス上昇量を調整できます。
- Per Level Stats Multiplier (Player/Dino):
- Health (体力), Stamina (スタミナ), Oxygen (酸素), Food (食料), Water (水分), Weight (積載量), Melee Damage (近接攻撃力), Movement Speed (移動速度), Fortitude (気絶耐性), Crafting Skill (作成効率)
- これらの項目それぞれに対し、「Player Character」と「Tamed Dino」に分けて、レベルアップごとにステータスがどれだけ伸びるかを倍率で設定できます。
- 例: Player Character Health を 2.0 にすると、プレイヤーの体力がレベルアップごとにデフォルトの2倍多く上昇します。
- 特に「Weight」を大きくすると、持ち運べる荷物の量が大幅に増えて快適になります。
- Wild Dino Stats Per Level: 野生恐竜のステータスが、レベルアップごとにどのように伸びるかを調整できます。通常はデフォルトのままで構いません。
これらの設定は、キャラクターや恐竜を育成するモチベーションやバランスに影響します。簡単にしたい場合は全体的に値を大きく、歯ごたえを残したい場合はデフォルト付近にするなど調整します。
4.4 Engrams タブ:エングラム(習得スキル)
このタブでは、プレイヤーがレベルアップで獲得するエングラムポイントや、特定のエングラムの習得条件などを変更できます。
- Player Character Engram Multiplier: レベルアップ時に獲得できるエングラムポイントの倍率です。これを大きくすると、多くのエングラムを早い段階で習得できるようになります。
- Auto Unlock Engrams: 特定のエングラムを自動的に習得済みとしてマークできます。チェックを入れたエングラムは、プレイヤーがレベルアップしてもポイントを消費せずに習得できます。全ての基本エングラムを自動習得にすると、快適さが格段に上がります。
- Engram Cost Multiplier: 各エングラムの習得に必要なエングラムポイントの倍率です。値を小さくすると、少ないポイントでエングラムを習得できるようになります。
エングラムポイントや習得設定は、ゲームの進行速度や自由度に大きく関わります。特にAuto Unlock Engramsは、煩わしいエングラム管理をなくし、好きなものがすぐに作れるようになるため、初心者には非常に便利な設定です。
4.5 Per Server タブ:サーバー固有の詳細設定
このタブには、より細かく、サーバー固有の動作に関する設定が集まっています。
- Show Map Player Location: マップ上にプレイヤーの位置を表示するかどうか。PvPではオフ、PvEではオンにすることが多いです。
- Enable Third Person Camera: 三人称視点を許可するかどうか。
- Crosshair: クロスヘア(照準)を表示するかどうか。
- Force No Structure Decay PvE: PvEモードで建築物の自然腐敗を無効にするか。永続的な拠点を作りたい場合に便利です。
- Disable Structure Placement Collision: 建築物の設置時の衝突判定を無効にするか。通常設置できない場所に無理やり設置できるようになりますが、バランスが崩れる可能性があります。
- Prevent Tribe Alliances: トライブ間の同盟を禁止するかどうか。
- Allow Raid Dino Feeding: 拠点襲撃に使われる恐竜に餌を与えて回復させるのを許可するか(PvP設定)。
- PvE Structure Damage Multiplier: PvEモードでの構造物へのダメージ倍率。通常は0.0で破壊不可能ですが、誤爆などで壊れるのを防ぎたい場合に設定します。
- PvP Structure Damage Multiplier: PvPモードでの構造物へのダメージ倍率。
- Disable Friendly Fire: トライブメンバーへの攻撃を無効にするか。誤射を防げます。
- Prevent Offline Raid: サーバーに誰もログインしていない間にプレイヤーの建築物を攻撃可能にするか(PvP設定)。オフラインレイドを防ぎたい場合に設定します。
- Prevent Tame Netting: テイム済みの恐竜をネット弾で捕獲するのを禁止するか。
- Day Cycle Speed / Day Time Speed / Night Time Speed: 一日の時間経過速度、昼間の時間経過速度、夜間の時間経過速度をそれぞれ調整できます。夜が短い方が遊びやすいと感じる人も多いでしょう。
- Dino Count Multiplier: ワールドに出現する野生恐竜の総数を調整します。値を大きくすると恐竜だらけになりますが、PC負荷も増えます。
- Resources Respawn Multiplier: 採取ポイントのリスポーンに必要な、プレイヤーや構造物からの距離を調整します。値を小さくすると、拠点の近くでも資源がリスポーンしやすくなります。
- Auto Save Period: サーバーの自動保存間隔(分)です。短い間隔で保存するとデータ消失のリスクが減りますが、保存時にサーバーが一時的に固まる「ラグスパイク」が発生しやすくなります。PCスペックと相談して調整します。デフォルトは15分です。
- Backup World: サーバー起動時にワールドデータをバックアップするかどうか。有効にしておくことを強く推奨します。
- Backup Interval: バックアップの自動実行間隔(分)。
- Backup Copies: 保存しておくバックアップ世代数。
- Server RCON: RCON機能を有効にするか。外部ツールからのサーバー管理に利用できます。
- Server FTP: FTP機能を有効にするか。FTPクライアントを使ってサーバーファイルに直接アクセスできるようになります。上級者向けの設定です。
ここにある設定項目は非常に多岐にわたります。一つ一つ確認しながら、自分たちのサーバーに合った設定を探してみてください。設定を間違えるとゲームバランスが大きく崩れる可能性もあるので、最初は主要な項目だけを変更し、慣れてきたら他の項目にも挑戦するのが良いでしょう。
すべての設定変更後、必ず「Save Settings」をクリックしてください。
第5章:ネットワーク設定(ポート開放とWindows Firewall)
サーバー設定が完了しても、このネットワーク設定を行わないと、外部のプレイヤーはあなたのサーバーに接続できません。ここがサーバー構築の最大の難関となることが多いです。
5.1 必要なポート番号の確認
ASMの「General」タブで確認したポート番号をメモしておきましょう。デフォルトでは以下のポート番号が使用されます。
- Query Port: 27015 (UDP)
- Game Port: 7777 (UDP)
- RCON Port: 27020 (TCP) – RCONを利用する場合のみ
これらのポートへの通信を、外部からサーバーPCへ誘導する必要があります。
5.2 ルーターのポート開放(ポートフォワーディング)設定
お使いのルーターの設定画面を開きます。設定画面へのアクセス方法は、ルーターのマニュアルやインターネットで「(ルーターの型番) 設定画面 開き方」と検索してください。一般的には、Webブラウザのアドレスバーに「192.168.1.1」や「192.168.0.1」と入力するとアクセスできます。
ルーターの設定画面で、「ポート開放」「ポートマッピング」「NAPT設定」「仮想サーバー」といった名称の項目を探します。
設定項目はルーターによって異なりますが、概ね以下の情報を入力することになります。
- 対象プロトコル: TCP または UDP、または両方。ASMで指定したポートのプロトコルに合わせて設定します。
- 開始ポート / 終了ポート (または外部ポート): 外部からアクセスがあった際のポート番号。上記のASMで指定したポート番号(27015, 7777, 27020)を入力します。範囲指定できる場合は、単一ポートとして開始と終了に同じ番号を入力します。
- 転送先IPアドレス (または内部IPアドレス): サーバーPCのローカルIPアドレスを入力します。PCのローカルIPは、コマンドプロンプトで
ipconfig
と入力すると確認できます(IPv4 Address の項目)。サーバーPCのローカルIPアドレスは固定しておくことを強く推奨します。ルーターのDHCP設定で特定のIPを固定するか、PCのネットワークアダプター設定で手動で固定IPを設定します。 - 転送先ポート (または内部ポート): サーバーPCへ転送する際のポート番号。基本的には外部ポートと同じ番号を入力します。
- 設定名 (任意): このポート開放設定に分かりやすい名前をつけます。例:
ARK_Game
,ARK_Query
,ARK_RCON
ASMで指定した Query Port (UDP 27015), Game Port (UDP 7777), RCON Port (TCP 27020) のそれぞれについて、ルーターでポート開放設定を行います。
注意点:
* 設定を有効にするために、ルーターの再起動が必要な場合があります。
* ルーターの設定画面の操作を誤ると、インターネット接続ができなくなるなどの問題が発生する可能性があります。自信がない場合は、契約しているプロバイダーやルーターメーカーのサポートに問い合わせることも検討してください。
* ポート開放は、外部からのアクセスを許可することになるため、セキュリティリスクが伴います。必要なポート以外は絶対に開けないようにしましょう。
5.3 Windows Firewall の設定
サーバーPCのWindows Firewallで、ARKサーバーの通信を許可する設定を行います。
- Windowsのスタートメニューを右クリックし、「検索」を選択し、「Windows Defender ファイアウォール」または「Windows ファイアウォール」と入力して開きます。
- 左側のメニューから「詳細設定」を選択します。
- 「セキュリティが強化された Windows Defender ファイアウォール」ウィンドウが開きます。左側のメニューから「受信の規則」を選択します。
- 右側の「操作」メニューから「新しい規則」を選択します。
- 「新規の受信の規則ウィザード」が開きます。
- 規則の種類: 「ポート」を選択し、「次へ」。
- プロトコルおよびポート: 「UDP」を選択し、「特定のローカル ポート」に「
7777, 27015
」と入力します(Game PortとQuery Port)。「次へ」。 - 操作: 「接続を許可する」を選択し、「次へ」。
- プロファイル: 「ドメイン」「プライベート」「パブリック」全てにチェックが入っていることを確認し、「次へ」。
- 名前: この規則に分かりやすい名前をつけます。例:
ARK Server UDP Ports
。「完了」。
- RCONポート (TCP 27020) を使用する場合は、同様の手順でもう一つ規則を作成します。
- 規則の種類: 「ポート」を選択し、「次へ」。
- プロトコルおよびポート: 「TCP」を選択し、「特定のローカル ポート」に「
27020
」と入力します。「次へ」。 - 操作: 「接続を許可する」を選択し、「次へ」。
- プロファイル: 全てチェックが入っていることを確認し、「次へ」。
- 名前: 例:
ARK Server TCP RCON
。「完了」。
- 同様に、「送信の規則」についても、必要であれば同様のポートを許可する規則を作成します。ただし、通常は受信規則の設定だけで問題ないことが多いです。
Windows Firewallの設定が正しく行われているか確認してください。これにより、外部からのアクセスがWindows Firewallによってブロックされるのを防ぎます。
5.4 ポート開放の確認
設定したポートが正しく開いているか確認できるWebサービスがあります。「port check tool」などで検索すると見つかります。あなたのグローバルIPアドレスと開けたポート番号を入力してチェックしてみてください。ただし、サーバーが起動していないとポートは閉じていると表示されることが多いです。
第6章:サーバーの起動と接続
必要な設定が完了したら、いよいよARKサーバーを起動してみましょう。
6.1 ASMからのサーバー起動
ASMのメインウィンドウに戻ります。設定を変更したプロファイル(Defaultなど)が選択されていることを確認します。
画面右側に、現在のサーバーの状態や操作ボタンがあります。
- State: 現在の状態(Stopped, Starting, Runningなど)が表示されます。
- Start: サーバーを起動します。
- Stop: サーバーを停止します。
- Restart: サーバーを再起動します。
- Update: ARKサーバーファイルをアップデートします。
- Validate: サーバーファイルに破損がないかチェックし、必要に応じて修復します。
「Start」ボタンをクリックしてサーバーを起動します。
サーバーの起動にはしばらく時間がかかります。ASMのログウィンドウ(画面下部)に、サーバーの起動処理に関するメッセージが流れます。
LogInit: WinSock: Socket queue 262144 / 262144
や LogInit: Net: Name: [サーバー名]
といったログが表示され、最終的に LogGameplay: ARK Server Started
のようなメッセージが出れば、サーバーは正常に起動しています。
State表示も「Running」に変わるはずです。
起動中にエラーが表示された場合は、ログの内容を確認し、原因を探る必要があります(トラブルシューティングの章を参照)。
6.2 サーバーへの接続
サーバーが起動したら、ゲームクライアントから接続します。
-
Steamクライアントからの接続 (お勧め):
- Steamクライアントを起動します。
- Steamのメニューから「表示」→「サーバー」を選択します。
- 「お気に入り」タブを選択します。
- 画面左下の「サーバーを追加」ボタンをクリックします。
- 「サーバーアドレス」欄に、サーバーPCのグローバルIPアドレス(またはDDNSホスト名)と、Query Port番号を
:
で区切って入力します。例:XXX.XXX.XXX.XXX:27015
- 「このアドレスをお気に入りに追加」をクリックします。
- しばらく待つと、お気に入りリストにあなたのサーバーが表示されるはずです。表示されない場合は、ポート開放設定やWindows Firewall設定、サーバーの起動状況を確認してください。
- サーバーを選択し、「ゲーム情報を表示」または「サーバーに接続」をクリックします。
- パスワードを設定している場合は、パスワード入力画面が表示されます。設定したServer Passwordを入力して接続します。
-
ゲーム内サーバーブラウザからの接続:
- ARK: Survival Evolvedを起動し、メインメニューから「ARKへ参加」を選択します。
- サーバーの種類フィルタを「非公式サーバー」に設定します。
- サーバー名で検索するか、ピン留めフィルタを使ってサーバーを探します。
- リストに見つかったら選択して参加します。
- 注意点: ゲーム内のサーバーブラウザは表示が不安定なことが多く、立てたばかりのサーバーや参加人数の少ないサーバーが表示されにくいことがあります。Steamクライアントのお気に入りからの接続が確実です。
-
ダイレクト接続 (ホストPCから自分自身に接続する場合):
- サーバーを起動しているPCからゲームをプレイする場合、グローバルIPアドレスではなくローカルIPアドレス(例:
192.168.1.100:7777
)や、特殊なIPアドレスである127.0.0.1:7777
(localhost) 、またはローカルネットワークアダプターのIPを指定して接続できる場合があります。ただし、これも環境によるため、Steamのお気に入り登録でローカルIPを使って登録する方が簡単な場合が多いです。
- サーバーを起動しているPCからゲームをプレイする場合、グローバルIPアドレスではなくローカルIPアドレス(例:
無事にサーバーに接続できたら、あなただけのARKワールドでの冒険が始まります!
第7章:MODの導入と管理
ARKの非公式サーバーの大きな魅力の一つが、MODによる拡張です。ASMを使えば、MODの導入も簡単に行えます。
7.1 導入したいMODを見つける
ARKのMODは、Steamワークショップで配布されています。
* ARK: Survival Evolved Steamワークショップ: https://steamcommunity.com/app/346110/workshop/
ワークショップで面白そうなMODを見つけたら、そのMODのページを開きます。MODごとにユニークな「ワークショップID (Workshop ID)」が割り当てられています。これは、MODページのURLを見ると分かります。
例: https://steamcommunity.com/sharedfiles/filedetails/?id=612504284
このURLの場合、IDは 612504284
です。
導入したいMODのIDをメモしておきましょう。
7.2 ASMでのMOD設定
- ASMウィンドウに戻り、サーバープロファイルを選択します。
- タブから「Mods」を選択します。
- 画面左側のリストに現在導入されているMODが表示されます(最初は空欄)。
- 新しいMODを追加するには、リストの下にある入力欄に、先ほどメモしたワークショップIDを入力します。
- 入力欄の横にある「Add」ボタンをクリックします。入力したMODがリストに追加されます。
- 複数のMODを導入する場合は、この手順を繰り返します。
- MODのロード順: リストに追加されたMODは、ロード順を調整できます。リスト上でMODを選択し、右側の矢印ボタン(上向き/下向き)を使って並び替えが可能です。MODによっては特定の順序でロードされないと正しく動作しない場合があります。MODの説明ページにロード順の指定がある場合はそれに従いましょう。指定がない場合は、一般的に動作変更系→アイテム/恐竜追加系→建築系→UI系の順が良いと言われますが、これはMODによるため試行錯誤が必要です。
- 設定が完了したら、「Save Settings」をクリックします。
7.3 MODのダウンロードとサーバーへの適用
MODの設定を保存したら、サーバーを再起動する前にMODファイルをダウンロードする必要があります。
- ASMのメインウィンドウに戻ります。
- 画面右側の操作ボタンの「Update」をクリックします。(またはActionsメニューからInstall/Update ARK Serverを選択)
- ASMはサーバー本体のアップデートを確認すると同時に、Modsタブで設定したMODのダウンロードも行います。Steamワークショップから指定したMODファイルがServers Root Directory内のサーバーフォルダにダウンロードされます。
- アップデート/ダウンロードが完了したら、サーバーを「Restart」します。
サーバー起動時に、指定したMODがロードされます。ログウィンドウでMODが正常にロードされているか確認できます。
注意点:
* サーバーにMODを導入した場合、そのサーバーでプレイするプレイヤーも、同じMODをSteamワークショップからサブスクライブ(購読)し、ゲームクライアントにダウンロードしている必要があります。サーバーに接続しようとした際に「MODが足りません」のようなエラーが表示される場合は、必要なMODをサブスクライブしているか確認してください。
* MODの組み合わせによっては競合して正常に動作しない、サーバーが起動しない、ゲームがクラッシュするといった問題が発生することがあります。新しいMODを導入する際は、一つずつ追加して動作確認を行うことを推奨します。
* MODはゲームのアップデートで動作しなくなることがあります。ARK本体やMODがアップデートされた際は、サーバーのUpdateも忘れずに行いましょう。
第8章:サーバー管理とメンテナンス
サーバーを快適に運営するためには、日々の管理とメンテナンスが重要です。
8.1 サーバーの起動・停止・再起動
前述の通り、ASMのStart/Stop/Restartボタンを使います。
* 設定変更やMODの追加・削除を行った後は、必ずサーバーの再起動が必要です。
* ARK本体や導入しているMODのアップデートが来た場合も、サーバーを停止してUpdateを実行し、その後再起動します。
* サーバーが不安定になったり、ラグがひどくなったりした場合も、一度StopしてRestartすることで改善することがあります。
8.2 サーバーのアップデート
ARK本体やMODには定期的にアップデートが実施されます。
ASMの「Update」ボタン(またはActionsメニューのInstall/Update ARK Server)をクリックすると、ASMがSteamCMDを使ってサーバーファイルと設定済みのMODの最新版を確認し、ダウンロード・適用します。アップデートがある場合は忘れずに行いましょう。サーバーとクライアントでバージョンが異なると接続できなくなります。
8.3 バックアップの設定と復元
サーバーのセーブデータは非常に重要です。予期せぬトラブル(サーバーPCの故障、OSクラッシュ、アップデート失敗、MOD問題など)でデータが消失しないよう、定期的なバックアップは必須です。
ASMには強力なバックアップ機能が備わっています。
- 自動バックアップ設定:
- 「Per Server」タブの「Server Management」セクションに、Backup World, Backup Interval (mins), Backup Copies という設定項目があります。
- Backup World: チェックを入れて有効にします。
- Backup Interval (mins): 自動バックアップを実行する間隔を分単位で指定します。デフォルトは60分(1時間)です。短いほど安心ですが、バックアップ時に一時的なラグが発生する可能性があります。
- Backup Copies: 保存しておくバックアップ世代数を指定します。古いバックアップから自動的に削除されます。ディスク容量と相談して決めましょう。多めに確保しておくと安心です。
- バックアップファイルの保存先は、「Global Settings」タブの「Directories」で設定した「Backups Directory」です。
- 手動バックアップ:
- ASMメインウィンドウの画面左上「Actions」メニューから「Backup World」を選択すると、現在のサーバー状態を即座にバックアップできます。重要な作業(大型アップデート前、MODの大量導入前など)の前には手動バックアップを取っておくと安心です。
- バックアップからの復元:
- 万が一、サーバーデータに問題が発生した場合、バックアップデータから復元できます。
- ASMメインウィンドウの画面左上「Actions」メニューから「Restore World Backup」を選択します。
- 保存されているバックアップリストが表示されるので、復元したい時点のバックアップを選択して「Restore」をクリックします。
- 注意: 復元を行うと、現在のサーバーデータは上書きされ、選択したバックアップ時点の状態に戻ります。データが巻き戻ることを理解した上で慎重に行ってください。復元前にも念のため現在のデータを手動でバックアップしておくことをお勧めします。
バックアップ設定は、サーバー運営の安心感を大きく高めてくれます。必ず設定しておきましょう。
8.4 管理者コマンドの使用
サーバー設定でAdmin Passwordを設定していれば、ゲーム内で管理者権限を取得し、様々な管理コマンドを実行できます。
- ゲームに接続し、コンソールを開きます。デフォルトでは
Tab
キーです。 enablecheats [設定したAdminPassword]
と入力してEnter。成功すると画面上部に「Admin Commands Enabled」のようなメッセージが表示されます。- これで管理者コマンドが使用可能になります。いくつかの例:
cheat saveworld
– 強制的にワールドを保存する。cheat DestroyAll WildDinos
– ワールド上の野生恐竜を全て削除する(湧きすぎた場合などに)。cheat teleport
– 現在地の座標にテレポートする。cheat GiveItemNum [アイテムID] [個数] [品質] [設計図の有無 0/1]
– 指定したアイテムを生成する。cheat summon [恐竜ブループリントパス]
– 指定した恐竜を生成する。cheat kill
– 自分自身またはターゲットしている生物を即死させる。cheat fly
/cheat walk
– 飛行モードと通常モードを切り替える。cheat god
– 無敵モードになる。cheat leavemealone
– 無敵かつ野生恐竜に攻撃されなくなるモード。cheat banplayer [SteamID] [理由]
– 指定したプレイヤーをサーバーから追放(禁止)する。cheat kickplayer [SteamID] [理由]
– 指定したプレイヤーをサーバーからキックする。- コンソールで
?
やhelp
と入力すると、使用可能なコマンドリストの一部が表示されることがあります。 - Admin Passwordの入力なしで一時的に使えるコマンドもあります(例:
saveworld
)。
これらのコマンドは、プレイヤーを助けたり、トラブルに対処したり、イベントを企画したりする際に役立ちます。強力な権限なので、誤った使用はゲームバランスを崩す可能性があるため注意しましょう。
第9章:トラブルシューティング(困ったときは)
サーバー構築や運営には、様々なトラブルがつきものです。ここでは、よくある問題とその対処法を解説します。
9.1 サーバーが起動しない
- ASMのログを確認: ASMウィンドウ下部や、サーバープロファイルを選択したときの右側にログが表示されます。エラーメッセージ(赤文字など)が出ていないか確認します。
- SteamCMDまたはARKサーバーファイルのインストール/アップデート失敗: ASMのActionsメニューから「Install/Update SteamCMD」と「Install/Update ARK Server」を再度実行してみてください。インターネット接続が安定しているか確認します。
- ファイル破損: ASMのActionsメニューから「Validate ARK Server」を実行し、サーバーファイルが破損していないかチェックします。破損箇所が見つかれば自動で修復してくれます。
- 競合するプログラム: サーバーが使用するポート(27015, 7777, 27020など)が、他のプログラム(別のゲームサーバー、SkypeなどのVoIPソフト、一部のセキュリティソフトなど)によって使用されていないか確認します。コマンドプロンプトで
netstat -ano
と入力し、LISTEN状態になっているポートとPID(プロセスID)を確認、タスクマネージャーでPIDから該当プログラムを特定できます。ポートが競合している場合は、ASMの設定でサーバーポートを変更するか、競合プログラムを終了させます。 - 管理者権限不足: ASMを「管理者として実行」しているか確認します。
- OSの問題: Windows Updateを最新の状態にしたり、Visual C++ 再頒布可能パッケージなどの必要なランタイムがインストールされているか確認します。
9.2 プレイヤーがサーバーに接続できない
- サーバーは起動しているか?: ASMのStateが「Running」になっているか確認します。
- Steamサーバーリストに表示されているか?: Steamクライアントのサーバーリストお気に入りに登録し、ステータスが表示されるか確認します。表示されない場合、Query Port (UDP 27015) の設定やポート開放に問題がある可能性が高いです。
- ポート開放設定:
- ルーターでQuery Port (UDP 27015) と Game Port (UDP 7777) のポート開放が正しく設定されているか再度確認します。転送先IPアドレスがサーバーPCのローカルIPアドレスと一致しているか? プロトコル(UDP)は正しいか? ポート番号は正しいか?
- ルーターによっては、設定反映に再起動が必要な場合があります。
- Windows Firewall設定: サーバーPCのWindows Firewallで、UDP 27015 と UDP 7777 ポートの受信を許可する規則が正しく設定されているか再度確認します。一時的にWindows Firewallを無効にして接続できるかテストするのも一つの手ですが、テスト後は必ず有効に戻してください。
- グローバルIPアドレスの変更: 家庭用回線の場合、グローバルIPアドレスが変わっている可能性があります。サーバーPCで現在のグローバルIPアドレスを確認し、プレイヤーに新しいIPアドレスを伝えるか、Steamお気に入り登録のアドレスを修正してもらいます。
- サーバーパスワードの間違い: サーバーパスワードを設定している場合、プレイヤーが正しいパスワードを入力しているか確認します。
- MODの不一致: サーバーにMODを導入している場合、プレイヤー側も同じMODをSteamワークショップでサブスクライブし、ダウンロードしている必要があります。バージョンが合っているかも重要です。
- クライアントとサーバーのバージョン不一致: ARK本体のアップデート後に発生しやすいです。サーバー側でASMから「Update」を実行し、クライアント側もSteamでゲームを最新版にアップデートします。
- プロバイダーによる制限: 一部のプロバイダーでは、セキュリティ上の理由から特定のポートへの通信を制限している場合があります。これに該当する場合は、プロバイダーに問い合わせるか、別のポートを使用する(ASMで設定変更)ことを検討する必要があるかもしれません。
9.3 サーバーが重い、ラグが発生する
- サーバーPCのスペック不足: 特にメモリ(RAM)とCPUが重要です。参加人数が増えたり、巨大な建築物が増えたり、恐竜の数が増えたり、MODを多く導入したりすると、サーバー負荷が増大します。サーバーPCのタスクマネージャーを開き、CPU、メモリ、ネットワークの使用率を確認してみてください。常に高負荷になっている場合は、スペックが不足している可能性があります。
- インターネット回線のアップロード速度不足: プレイヤーが多いほど、サーバーは各クライアントに情報を送信する必要があります(アップロード)。回線のアップロード速度が遅いと、ラグが発生しやすくなります。
- 自動保存(Auto Save)時のラグ: ASMのPer Serverタブで設定したAuto Save Periodを長くしてみてください(例: 30分や60分)。保存間隔が長いほど保存時のラグは減りますが、クラッシュ時の巻き戻りリスクは増えます。
- ワールド上のアイテムや恐竜が多すぎる:
cheat DestroyAll WildDinos
コマンドで野生恐竜をリフレッシュしたり、散らばったアイテムを定期的に掃除したりするのも効果的です。 - 大量の建築物や複雑な電気/配管: 非常に多くの建築物や、複雑なケーブル・パイプの配線もサーバー負荷の原因になります。
- 特定のMODの問題: 一部のMODがサーバー負荷を増大させている可能性があります。最近導入したMODを一時的に無効にして様子を見るのも一つの手です。
- ゴミ掃除(Garbage Collection): ASMのPer Serverタブにある「Server Maintenance」セクションの「Use Dynamic Config Garbage Collection」や「Garbage Collector Interval Multiplier」などの設定を調整することで、ワールド内の不要オブジェクトの掃除頻度を調整し、パフォーマンスを改善できる場合があります。
9.4 MODが正しく動作しない
- サーバーとクライアントの両方に導入されているか: サーバー側のASM設定にMODが追加されており、かつプレイヤー側もSteamワークショップでサブスクライブしているか確認します。
- ロード順: Modsタブで設定したロード順が正しいか、MODの説明ページで推奨されるロード順があるか確認します。
- MODの競合: 複数のMODが同じゲーム要素を変更しようとして競合し、正しく動作しない場合があります。問題のMODを一つずつ無効にして原因を特定します。
- MODのバージョン: MODが最新版にアップデートされているか確認します。ARK本体の大型アップデート後などは、MOD側もアップデートされるまで待つ必要がある場合があります。
- サーバー設定との競合: 特定のサーバー設定とMODの機能が競合している可能性もゼロではありません。
これらのトラブルシューティングは、ASMのログメッセージや、ゲーム内の挙動をよく観察することが重要です。
第10章:さらにASMを活用するために
ASMには、ここまで紹介した以外にも、サーバー運営を助ける様々な機能が搭載されています。
10.1 複数のサーバープロファイルの管理
ASMは複数のARKサーバープロファイルを管理できます。例えば、マップ別に設定を変えたサーバープロファイルを作成したり、特定のイベント用のサーバープロファイルを用意したりできます。
- ASMメインウィンドウの上部にあるプロファイル名のドロップダウンリストの右にある「+」ボタンをクリックします。
- 新しいプロファイルの名前を入力して作成します。
- 新しいプロファイルに切り替えて、サーバー設定(第4章参照)を行います。
- Actionsメニューから「Install/Update ARK Server」で新しいサーバーファイル(または新しいマップのファイル)をインストールします。
- 異なるプロファイルを選択することで、複数のサーバーを個別に起動・管理できます。(ただし、複数のサーバーを同時に起動するには、PCスペックとネットワーク環境にそれに応じた余裕が必要ですし、それぞれ異なるポート番号を使用する必要があります。)
10.2 RCON機能の利用
RCON (Remote Console) を有効にしている場合(ASMのGeneralタブ、TCP 27020ポート)、ARKサーバーのログをリアルタイムで監視したり、サーバーを停止することなくコマンドを送信したりできる外部ツールを利用できます。
- ARK Server API (ASA): ARKサーバーにプラグイン機能を追加し、様々な機能拡張や管理を可能にするフレームワークです。ASAの機能を使う際にもRCONが必要になる場合があります。これは上級者向けですが、サーバー運営の幅を大きく広げられます。
10.3 FTP機能の利用
FTPを有効にしている場合(ASMのPer Serverタブ)、FTPクライアントソフト(FileZillaなど)を使って、サーバーファイルに直接アクセスし、設定ファイル (GameUserSettings.ini
, Game.ini
など) を手動で編集したり、セーブデータを手動でバックアップ/復元したりできます。
ASMのGUIで設定できないニッチな項目を設定したい場合や、高度なファイル操作を行いたい場合に便利ですが、間違った操作はサーバーの破損に繋がるため、注意が必要です。
10.4 その他の便利な設定項目
ASMには他にも、ゲームバランスや挙動に影響を与える様々な設定があります。
- Per Server > Messages: サーバーに参加したプレイヤーに表示するウェルカムメッセージや、定期的に表示するアナウンスメッセージを設定できます。サーバーのルールや情報を伝えるのに便利です。
- Per Server > Engrams: 特定のエングラムを完全に無効にしたり、レベル制限を設けたりできます。
- Per Player > Player Location: プレイヤーのスポーン位置(ランダムか、特定の場所か)などを設定できます。
- Advanced > Engine Settings / Game Settings:
Engine.ini
やGame.ini
に直接書き込まれる詳細設定項目です。ここにASMのGUIに表示されない設定項目を手動で追加することも可能ですが、公式Wikiなどで設定項目の意味をよく理解した上で行ってください。
ASMのGUIを隅々までチェックし、気になる設定項目があればツールチップの説明を読み、試してみるのが、自分好みのサーバーを構築する近道です。
第11章:快適なARKマルチ環境のためのヒント
スムーズで楽しいマルチプレイ環境を維持するために、いくつか実践すると良いヒントを紹介します。
- 定期的なサーバーメンテナンス: 定期的にサーバーを再起動したり、ASMのUpdateボタンでサーバーとMODを最新の状態に保ちましょう。これにより、不具合の発生を減らし、セキュリティを維持できます。
- バックアップの確認: 設定した自動バックアップが正常に実行されているか、Backups Directoryに新しいファイルが生成されているか、時々確認しましょう。
- サーバーPCの監視: サーバーPCのリソース使用率(CPU、メモリ、ストレージの空き容量)を定期的に確認します。高負荷が続いている場合は、設定の見直しやスペックアップを検討します。
- プレイヤーとのコミュニケーション: 参加しているプレイヤーと密にコミュニケーションを取りましょう。サーバーのラグや不具合、バランスに関する意見を聞いたり、新しい設定やMODの導入について話し合ったりすることで、より良いサーバー環境をみんなで作れます。ウェルカムメッセージやアナウンス機能を活用するのも良いでしょう。
- ルールの明確化: PvP/PvEのどちらでプレイするか、荒らし行為への対処方針など、サーバーのルールを明確にしてプレイヤーに周知しましょう。これにより、不要なトラブルを防ぐことができます。
- 新しいMODや設定のテスト: 大規模なMOD導入や設定変更を行う前に、可能であれば別のテスト用サーバープロファイルを用意して試してみるか、必ずバックアップを取ってから行いましょう。
- 過度な設定変更に注意: 経験値や採取量などを極端な値に設定しすぎると、ゲームバランスが崩壊し、すぐに飽きてしまうことがあります。最初は控えめに設定し、徐々に調整していくのが良いでしょう。
- セキュリティ意識: ポート開放は外部からのアクセスを許可することです。サーバーPCには重要な個人情報を置かない、強力なAdmin Passwordを設定するなど、基本的なセキュリティ対策は怠らないようにしましょう。
まとめ:自分だけのARK世界へ旅立とう!
この記事では、ARK Server Manager (ASM) を使って、ARK: Survival Evolvedの非公式サーバーをゼロから構築・設定・管理する方法を、初心者向けに詳細に解説しました。
ASMは、複雑なコマンド操作なしに、GUIだけでARKサーバーのほぼ全ての要素をコントロールできる非常に強力で便利なツールです。PCの準備から始まり、ASMのインストール、サーバーファイルのダウンロード、基本的な設定、ネットワーク設定、MODの導入、そして日々の運用管理やトラブルシューティングまで、一連の流れを理解できたはずです。
自分だけのARKサーバーを持つことは、単にゲームをプレイするだけでなく、サーバー設定という新たな楽しみ方を提供してくれます。友達や仲間と協力して理想のARK環境を作り上げ、そこでかけがえのない思い出をたくさん作りましょう。
最初は分からないことやうまくいかないこともあるかもしれません。しかし、この記事を参考に、ASMの各設定項目を触ってみたり、トラブルシューティングを試したりするうちに、きっとサーバー管理の面白さに気づくはずです。
さあ、ASMを手に、あなただけの快適なARKワールドへの扉を開きましょう!サバイバーの皆さん、良い旅を!