macOS 13 Ventura 主要新機能と使い方をわかりやすく紹介

macOS 13 Ventura 主要新機能と使い方をわかりやすく紹介

AppleのデスクトップOS、macOSは常に進化を続けています。2022年10月に正式リリースされたmacOS 13「Ventura(ベンチュラ)」は、これまでのMac体験をさらに豊かにする、数多くの革新的な新機能を搭載しています。特に、日々の作業効率を格段に向上させる「ステージマネージャ」や、iPhoneとの連携を強化する「連携カメラ」、そして共同作業の可能性を広げる「フリーボード」など、注目の機能が満載です。

この記事では、macOS Venturaの主要な新機能について、その特徴、使い方、そしてどのようにあなたのMacライフを向上させるのかを、約5000語にわたる詳細な解説と共にご紹介します。macOS Venturaへのアップデートを検討している方、すでにVenturaを使っているけれど新機能を十分に活用できていない方、そしてMacの可能性をさらに広げたいと考えているすべての方にとって、必読の内容となるでしょう。

さあ、macOS Venturaが提供する新しい世界を一緒に探求しましょう。

1. はじめに:macOS Venturaとは

macOS Ventura(バージョン 13)は、2022年6月のWWDC(世界開発者会議)で発表され、同年10月25日に正式に一般公開されたAppleのMac向けオペレーティングシステムです。前バージョンであるmacOS 12 Montereyの後継にあたります。

Venturaという名称は、カリフォルニア州南部にある沿岸都市「ベンチュラ」に由来しており、これまでのmacOSの慣例通り、カリフォルニアの地名が採用されています。

macOS Venturaの全体的なテーマは、主に以下の3点に集約されます。

  • 生産性の向上: 新しいワークフローを提供する機能や、既存アプリの強化を通じて、日々の作業をより効率的に、より快適に進められるように設計されています。
  • 連携機能の強化: Mac、iPhone、iPadといったApple製デバイス間の連携がさらに密になり、シームレスな体験を提供します。特にiPhoneをWebカメラとして活用する機能は大きな目玉です。
  • セキュリティとプライバシーの強化: 最新の脅威に対応するためのセキュリティ機能が導入され、ユーザーのデータとプライバシーをより強力に保護します。

macOS Venturaは、これまでのMacの使い勝手を維持しつつも、ユーザー体験を刷新するような大胆な変更も含まれています。その中でも特に注目すべきは、全く新しいウィンドウ管理方法を提供する「ステージマネージャ」や、システム設定のUI変更でしょう。

本記事では、これらの注目機能を含む、以下の主要な新機能について詳しく解説していきます。

  • ステージマネージャ
  • 連携カメラ (Continuity Camera)
  • フリーボード (Freeform)
  • メッセージアプリの進化
  • メールアプリの進化
    Safariの進化 (共有タブグループ、パスキー)
  • システム設定の刷新
  • Spotlightの進化
  • 写真アプリの進化 (iCloud共有写真ライブラリ)
  • Game Centerの進化
  • 天気アプリと時計アプリの追加
  • アクセシビリティ機能の強化
  • セキュリティ機能の強化

これらの新機能が、あなたのMacを使った毎日の作業、コミュニケーション、クリエイティブ活動をどのように変えるのか、具体的な使い方と共にご紹介します。

2. 主要新機能の詳細解説

2.1. ステージマネージャ (Stage Manager)

macOS Venturaの最も視覚的で画期的な新機能の一つが、ステージマネージャです。これは、開いているウィンドウを整理し、作業中のアプリに集中しやすくするための全く新しいウィンドウ管理方法を提供します。

何ができる機能か、目的

従来のmacOSでは、多くのウィンドウを開くとデスクトップが雑然としがちで、目的のウィンドウを探したり、アプリを切り替えたりするのが煩わしくなることがありました。ステージマネージャは、この問題を解決するために設計されています。

その主な目的は以下の通りです。

  • 作業中のアプリに集中: 常に一つの主要なアプリ(または複数の関連アプリ)を画面中央に大きく表示し、それ以外のウィンドウを画面左側のサムネイルとしてまとめておくことで、視覚的なノイズを減らし、集中力を維持しやすくします。
  • ウィンドウの整理: 開いている複数のウィンドウを自動的に整理し、デスクトップをすっきりと保ちます。
  • 素早い切り替え: 左側のサムネイルをクリックするだけで、他のアプリやウィンドウのグループに素早く切り替えることができます。
  • 関連するアプリのグループ化: 複数のアプリのウィンドウをまとめて一つのグループとして扱うことができます。例えば、ブラウザとテキストエディタ、メールアプリとカレンダーアプリなど、特定の作業で一緒に使うアプリ群をワンクリックで呼び出せるようになります。

使い方(有効化、ウィンドウのグループ化、切り替え、デスクトップとの連携)

ステージマネージャは、コントロールセンターから簡単に有効化できます。

  1. 画面右上のメニューバーにあるコントロールセンターアイコン(スライダーやトグルが集まったアイコン)をクリックします。
  2. 表示されたコントロールセンターのリストの中に「ステージマネージャ」の項目があります。
  3. このアイコンをクリックすると、ステージマネージャが有効になります。

有効化すると、画面中央には現在アクティブなウィンドウ(またはグループ化された複数のウィンドウ)が大きく表示され、それ以外の開いているウィンドウは画面左側にサムネイルとして縦一列に整列されます。

  • ウィンドウの追加とグループ化:
    • 特定のウィンドウを作業中のグループに追加したい場合は、左側のサムネイルからそのウィンドウを中央の作業エリアにドラッグします。複数のウィンドウを中央に配置することで、それらが一つのグループとして扱われるようになります。
    • すでに中央にあるウィンドウをグループから外したい場合は、そのウィンドウを左側のサムネイルエリアにドラッグします。
    • ウィンドウのサイズや配置は自由に調整できます。
  • アプリの切り替え:
    • 左側のサムネイルをクリックすると、そのサムネイルが表すアプリ(またはグループ)が画面中央に大きく表示され、現在表示されているグループは左側のサムネイルに戻ります。
  • デスクトップへのアクセス:
    • ステージマネージャが有効な状態でも、デスクトップ上の項目にアクセスしたい場合があります。標準設定では、左側のサムネイルをクリックすると、デスクトップは隠れてしまいます。
    • デスクトップを表示するには、左側のサムネイルエリアのさらに左にある細い帯をクリックするか、Dockの項目をクリックします。
    • あるいは、設定でデスクトップの表示方法を変更できます。「システム設定」→「デスクトップとDock」→「ステージマネージャ」の項目で、「デスクトップ項目を表示」をオンにすると、ステージマネージャが有効な状態でもデスクトップ上のアイコンやファイルが表示されるようになります。この設定はお好みで選びましょう。
  • 非表示オプション:
    • 「システム設定」→「デスクトップとDock」→「ステージマネージャ」の項目で、「左側のサムネールを表示」のオン/オフを切り替えられます。これをオフにすると、左側のサムネイルが自動的に隠れ、マウスカーソルを画面左端に移動させたときだけ表示されるようになります。画面をより広く使いたい場合に便利です。

メリット(集中力向上、デスクトップ整理)

ステージマネージャの最大のメリットは、やはり集中力の向上デスクトップの整理です。

  • 集中力向上: 中央の作業エリアに焦点を当てることで、他のアプリやウィンドウの存在が視界から排除され、今取り組んでいるタスクに没頭しやすくなります。特に複数のプロジェクトや作業を並行して行う際に、切り替えながらもそれぞれのタスクに集中できる環境を提供します。
  • デスクトップ整理: デスクトップが常にすっきりと保たれるため、視覚的なストレスが軽減されます。必要なウィンドウは中央に、それ以外は左側に自動的に配置されるため、「ウィンドウの海」に溺れることがなくなります。
  • 効率的なマルチタスク: 関連するアプリをグループ化して扱うことで、例えば「調べ物をしながらレポートを書く」といった作業や、「メールを確認しながら資料を作成する」といった作業において、必要なツール群を素早く呼び出し、切り替えることができます。

設定オプション

ステージマネージャに関する詳細な設定は、「システム設定」アプリの「デスクトップとDock」パネル内で行えます。

  • 最近使用したアプリケーションをステージマネージャに表示: 左側のサムネイルとして表示するアプリを「最近使ったもの」に限定するか、すべての開いているアプリを表示するかを選択できます。(通常は「最近使用したアプリケーション」が表示されますが、設定で挙動を調整できます)。
  • デスクトップ項目を表示: ステージマネージャ有効時にデスクトップ上のアイコンなどを表示するか非表示にするかを選べます。
  • 左側のサムネールを表示: 左側のサムネイルを常に表示するか、マウスカーソルを合わせたときだけ表示するかを選べます。
  • ウインドウがアプリケーションから開く場合: アプリケーションをクリックした際に、ウィンドウがどのように表示されるか(全てのウィンドウを表示するか、直近のウィンドウだけを表示するかなど)を設定できます。

実際のワークフロー例

ステージマネージャは、様々なワークフローでその効果を発揮します。

  • ライティング作業: Safariで調べ物をしながら、PagesやMicrosoft Wordで文章を書く場合、SafariとPages/Wordをグループ化しておくと便利です。切り替えたいときは、左側のサムネイルをクリックするだけで、両方のウィンドウが同時に現れます。
  • プログラミング: コードエディタ、ターミナル、ブラウザ(デバッグ用ドキュメントなど)をグループ化しておけば、開発環境全体をワンクリックで切り替えることができます。
  • 資料作成: KeynoteやPowerPointでスライドを作成しながら、Finderで画像を探したり、Numbers/Excelでデータを参照したりする場合、これらのアプリをグループ化すると効率的です。
  • コミュニケーション: メールアプリ、チャットアプリ(Slack, Teamsなど)、カレンダーアプリをグループ化しておくと、コミュニケーションとスケジュール管理に必要なツールをまとめて扱えます。

ステージマネージャは、慣れるまで少し時間を要するかもしれませんが、使いこなせばMacでのマルチタスク体験を大きく変える可能性を秘めた機能です。ぜひ一度試して、ご自身のワークフローに合うかどうか試してみてください。特に複数のウィンドウを頻繁に行き来する作業が多い方には、非常に有用でしょう。

2.2. 連携カメラ (Continuity Camera)

コロナ禍以降、オンライン会議やリモートワークが一般的になる中で、Webカメラの重要性は増しています。macOS Venturaの連携カメラ機能は、まさにこのニーズに応える革新的な機能です。これにより、お使いのiPhoneをMacの高品質なWebカメラとして利用できるようになります。

iPhoneをWebカメラとして使う機能

この機能の最大の魅力は、Macに別途高価なWebカメラを用意する必要がないことです。多くのiPhoneはMacの内蔵カメラよりもはるかに高性能なカメラを搭載しており、その優れた画質をそのままビデオ通話や録画に活用できます。

特別な設定はほとんど必要ありません。同じApple IDでサインインしており、Wi-FiとBluetoothがオンになっているMacとiPhoneが近くにあれば、Mac上の対応アプリケーション(FaceTime、Zoom、Microsoft Teams、Skypeなど)が自動的にiPhoneをWebカメラとして認識し、選択肢に表示します。

設定方法(自動認識)

  1. MacとiPhoneが同じApple IDでサインインしていることを確認します。
  2. MacとiPhoneのWi-FiとBluetoothがオンになっていることを確認します。
  3. iPhoneがスリープ状態になっていないか、画面がロックされていないかを確認します(スリープ状態でも機能しますが、念のため確認)。
  4. iPhoneがMacの近くにあることを確認します。
  5. Mac上で、FaceTime、Zoom、Teamsなどのビデオ対応アプリケーションを開きます。
  6. アプリケーションの設定(またはビデオソース選択メニュー)で、カメラの選択肢にiPhoneが表示されているはずです。iPhoneを選択します。

これで、iPhoneの背面カメラ(通常は広角レンズ)がMacのWebカメラとして機能し始めます。iPhone側には「連携カメラを使用中」といった表示が出ます。

利用できるエフェクト(センターフレーム、スタジオ照明、デスクビュー)

連携カメラの強力な点は、単にiPhoneをカメラとして使うだけでなく、iPhoneの高性能なカメラとプロセッサを利用した様々な特殊エフェクトを利用できることです。これらのエフェクトは、Macのコントロールセンターやビデオ対応アプリケーションの設定からオン/オフできます。

  • センターフレーム (Center Stage):
    • これはiPad ProやiPad Airなどで先行して導入されていた機能です。ビデオ通話中にあなたが動き回っても、常に画面の中央に映るようにカメラが自動的にパン(左右に動く)してくれます。
    • 複数の人がフレーム内にいる場合も、全員が映るように自動調整します。
    • 対応iPhoneモデル: iPhone 11以降。
    • メリット: オンライン会議中に動きながらプレゼンしたり、お子様やペットが映り込んだりしても、常にあなたが中心に映るため、相手に安定した映像を提供できます。
  • スタジオ照明 (Studio Light):
    • これは、あなたの顔を明るく照らしつつ、背景を少し暗くするエフェクトです。スタジオで照明を当てているかのような効果が得られます。
    • これにより、暗い部屋でも顔がはっきりと映り、プロフェッショナルな印象を与えやすくなります。
    • 対応iPhoneモデル: iPhone XR以降。
    • メリット: 照明条件が良くない場所でも、自分の顔をきれいに見せることができます。
  • デスクビュー (Desk View):
    • これは、iPhoneの超広角カメラと特殊な処理技術を使って、顔と同時にデスク上の様子も映し出すことができる驚きの機能です。
    • あたかもオーバーヘッドカメラから手元を映しているかのような映像を、一つのiPhoneで実現します。
    • 仕組み: iPhoneをMacの上部に設置すると、超広角カメラが顔とデスクの両方を捉えます。Venturaはこの超広角映像から顔の部分とデスクの部分を抽出し、デスクの部分を歪み補正して平らな映像として表示し、それを顔の映像と組み合わせて相手に送信します。
    • 対応iPhoneモデル: iPhone 11以降。
    • メリット: オンライン授業やデモンストレーション、手元での作業説明(スケッチ、モノづくり、製品紹介など)において、顔と手元を同時に見せられるため、より具体的で分かりやすいコミュニケーションが可能になります。例えば、料理のレシピ説明、製品の開封動画、スケッチのプロセス、ボードゲームの説明などに活用できます。

これらのエフェクトは、オンラインコミュニケーションの質を飛躍的に向上させます。特にデスクビューは、リモートでのデモンストレーションや教育に新たな可能性を開く機能と言えるでしょう。

メリット(高画質Webカム、追加機材不要)

連携カメラ機能の主なメリットは以下の通りです。

  • 高画質: Macの内蔵カメラよりもはるかに高性能なiPhoneのカメラ(特に背面カメラ)を使用できるため、ビデオ通話の画質が格段に向上します。より鮮明で自然な映像を相手に届けることができます。
  • 追加機材不要: 高品質なWebカメラを別途購入する必要がありません。すでに持っているiPhoneを活用するだけで、簡単にアップグレードできます。
  • 特殊エフェクト: センターフレーム、スタジオ照明、デスクビューといったiPhoneならではの強力なエフェクトを利用できます。これにより、会議やデモンストレーションの質を高めることができます。
  • 手軽さ: 面倒な設定や接続は不要で、iPhoneをMacの近くに置くだけで自動的に認識されます。

対応iPhoneモデル

連携カメラ機能自体は、iPhone XR以降のモデルで利用可能です。ただし、センターフレームとデスクビューを利用するにはiPhone 11以降のモデルが必要です。また、iPhoneをMacの上部に固定するためのマウントアクセサリーがいくつか市販されています。これらを利用すると、より安定した状態でiPhoneをWebカメラとして使用できます。

連携カメラは、リモートワークやオンラインコミュニケーションが日常になった現代において、非常に実用的で価値の高い機能です。iPhoneユーザーであれば、ぜひ活用してみるべきでしょう。

2.3. フリーボード (Freeform)

macOS Venturaのリリース当初には含まれていませんでしたが、後のアップデート(macOS Ventura 13.1)で追加されたのが、全く新しい共同作業アプリ「フリーボード(Freeform)」です。これは、ブレインストーミング、企画立案、アイデア共有などを自由に行える、無限に広がるデジタルホワイトボードアプリです。

何ができるか(ホワイトボード、メディア挿入、手書き)

フリーボードは、文字通り「自由なキャンバス」を提供します。その名の通り、境界線のない広大なスペースに、様々な要素を自由に配置していくことができます。

主な機能は以下の通りです。

  • 無限のキャンバス: スクロールするだけでどこまでも広がる、無限に大きなホワイトボードです。アイデアの規模に合わせて自由にスペースを広げられます。
  • 多様なコンテンツの配置: テキストボックス、手書きのスケッチや図形、写真、ビデオ、音声ファイル、PDF文書、Webリンクなど、様々な種類のコンテンツをキャンバス上に自由に配置・組み合わせることができます。
  • 描画ツール: Apple Pencil(iPadの場合)やトラックパッド/マウスを使って、自由に線を描いたり、文字を書いたり、図形を作成したりできます。様々なブラシ、色、太さが選択可能です。
  • 付箋(スティッキーノート): アイデアを書き出すのに便利な付箋をキャンバスに貼り付けられます。色やサイズを変更できます。
  • 図形と線: あらかじめ用意された多様な図形(基本図形、動物、食品、アート、科学、教育など)を挿入できます。また、線を使って要素間をつなげ、概念図やフローチャートを作成することも容易です。
  • 共同編集: 最大100人の参加者とリアルタイムで同じボードを共同編集できます。参加者全員が、それぞれのデバイスからボード上に自由に書き込みや編集を行うことが可能です。
  • 同期: iCloudを通じて、Mac、iPad、iPhone間で作成したボードが自動的に同期されます。

使い方(新規作成、要素追加、共有、共同編集)

フリーボードの使い方は非常に直感的です。

  1. 新規ボードの作成: アプリを起動し、「新規ボード」をクリック(またはタップ)します。無限の白いキャンバスが表示されます。
  2. 要素の追加:
    • ツールバーには、ペンツール、付箋ツール、図形ツール、テキストツール、メディア挿入ツールなどが並んでいます。
    • それぞれのツールをクリックして、キャンバス上に要素を追加していきます。
    • メディアを追加する場合は、「挿入」ボタンから「写真/ビデオ」「スキャン」「ファイル」「リンク」などを選択します。Finderからファイルを直接ボードにドラッグ&ドロップすることも可能です。
  3. 要素の操作:
    • 配置した要素は、ドラッグして好きな場所に移動できます。
    • サイズ変更ハンドルをドラッグしてサイズを変えたり、回転させたりできます。
    • 要素を選択し、右クリック(またはControl+クリック)やコンテキストメニューから、コピー、ペースト、複製、削除、重ね順の変更などの操作を行えます。
  4. 描画: ペンツールを選択し、キャンバス上をドラッグして自由に描画します。描画ツールは線の種類や色、太さを細かく調整できます。
  5. ボードの共有と共同編集:
    • ボードの右上にある「共有」ボタンをクリックします。
    • 参加者をApple IDやメールアドレスで招待します。
    • 共有オプションで、参加者の権限(閲覧のみ、または編集可能)を設定できます。
    • 招待された参加者がボードを開くと、リアルタイムで共同編集が可能になります。参加者のカーソルや編集中の要素が他の参加者にも表示されます。

メリット(ブレインストーミング、プロジェクト計画、クリエイティブ作業)

フリーボードは、アイデア発想からプロジェクト管理まで、幅広い用途でその威力を発揮します。

  • ブレインストーミング: 参加者全員が自由にアイデアを書き出し、付箋を貼り、線で関連付け、図や画像を挿入することで、活発なブレインストーミングセッションを行うことができます。無限のキャンバスがあるため、アイデアの量に制限はありません。
  • プロジェクト計画: プロジェクトの全体像、タスク、担当者、期日などを視覚的に整理できます。フローチャートを作成したり、関連資料を貼り付けたりすることで、プロジェクトメンバー全体で状況を共有しやすくなります。
  • クリエイティブ作業: デザインのラフスケッチ、ストーリーボード作成、ムードボード作成など、視覚的なアイデアを自由に形にするのに適しています。手書きとデジタル要素を組み合わせることで、より表現豊かなボードを作成できます。
  • 教育・研修: 授業の板書、オンラインでの共同学習、研修資料の共有と書き込みなど、教育現場でも活用できます。
  • 資料の整理: Webサイトのリンク、PDF資料、画像などを一つのボードにまとめて整理し、アイデアやコメントを書き加えることで、情報のハブとして活用できます。

対応デバイス(Mac, iPad, iPhone)

フリーボードはAppleの主要なプラットフォーム、macOS, iPadOS, iOSに対応しています。これにより、デバイスを問わず、いつでもどこでも同じボードにアクセスし、作業を続けることができます。iPadであればApple Pencilを使った自然な手書き入力、iPhoneであれば手軽なアイデアのメモ、Macであればより複雑なレイアウトやファイル操作といった具合に、それぞれのデバイスの特性を活かしてフリーボードを活用できます。

今後の展望

フリーボードはmacOS Venturaのリリース後に提供された比較的新しい機能ですが、その自由度と共同編集機能から、様々な分野での活用が期待されています。今後、さらに機能が拡充され、より多くのアプリとの連携が進む可能性もあります。

フリーボードは、一人でのアイデア整理からチームでの大規模な共同作業まで、柔軟に対応できる強力なツールです。ぜひ一度使ってみて、その自由さを体験してみてください。

2.4. メッセージアプリの進化

macOS Venturaのメッセージアプリは、日々のコミュニケーションをよりスムーズに、より便利にするためのいくつかの重要な機能強化が施されています。

送信済みメッセージの編集・取り消し

これは多くのユーザーが待ち望んでいた機能でしょう。iMessageで送信したメッセージを、送信後に編集したり、完全に削除したりすることができるようになりました。

  • メッセージの編集:
    • 送信後15分以内であれば、送信したiMessageを最大5回まで編集できます。
    • 編集したいメッセージを右クリック(またはControl+クリック)し、表示されるメニューから「編集」を選択します。
    • メッセージが編集可能な状態になるので、内容を修正し、チェックマークをクリックして完了します。
    • 編集されたメッセージには「編集済み」という表示が付き、タップすると編集履歴を確認できます(相手も確認できます)。
  • メッセージの送信取り消し:
    • 送信後2分以内であれば、送信したiMessageを取り消すことができます。
    • 取り消したいメッセージを右クリック(またはControl+クリック)し、表示されるメニューから「送信を取り消す」を選択します。
    • メッセージが削除され、送信者と受信者の両方の画面から消えます。
    • メッセージが削除された場所には、「メッセージの送信を取り消しました」という表示が残ります。

これらの機能は、誤字脱字を訂正したい場合や、間違った相手にメッセージを送ってしまった場合などに非常に役立ちます。ただし、これらの機能を利用するには、送信者と受信者の両方がmacOS Ventura、iOS 16、iPadOS 16以降を使用している必要があります。古いバージョンのOSを使っている相手には、編集内容は反映されず、取り消したメッセージは「メッセージの送信を取り消しました」というテキストとして表示されます。

誤送信防止

送信取り消し機能は、特に誤送信を防ぐ上で有効です。焦って送信してしまった内容でも、2分以内であればなかったことにできます。

スレッド内のマーク既読

グループチャットなどで、特定のメッセージだけを「未読」に戻したい、あるいは特定のメッセージまでを「既読」にしたいというニーズに応える機能です。

  • 特定のメッセージを右クリック(またはControl+クリック)し、メニューから「未読としてマーク」を選択すると、そのメッセージ以降のメッセージが未読状態として扱われます。
  • これは主に自分自身の管理のために使用する機能で、相手に影響はありません。重要なメッセージを後で確認するために一時的に未読に戻しておきたい場合に便利です。

共同作業機能(共有シートからの連携)

メッセージアプリから、様々なアプリのファイルを簡単に共有し、そのまま共同作業を開始できるようになりました。

  • Pages、Numbers、Keynote、メモ、リマインダー、Safari(タブグループ)などのアプリでファイルを共有する際に、共有シートから「メッセージ」を選択します。
  • 共有相手として特定の連絡先(グループ)を選択すると、その相手にファイルのリンクが送信されるだけでなく、共有されたファイルがメッセージアプリのスレッド上部にある情報セクションに表示されるようになります。
  • これにより、ファイルへのアクセスが容易になり、スレッド内でファイルに関する議論をしながら共同作業を進めることができます。
  • 共有ファイルに誰かが変更を加えると、その更新がメッセージスレッド上でも通知されるため、常に最新の状態を把握できます。

SharePlay連携

メッセージアプリ内からSharePlayを開始できるようになりました。SharePlayは、FaceTime通話中に他の参加者と一緒にコンテンツ(映画、音楽、画面など)を同期して楽しむ機能です。

  • メッセージスレッド上でビデオや音楽のリンクを共有すると、参加者全員でそのコンテンツを同時に視聴・視聴するためのSharePlayセッションを開始できるオプションが表示される場合があります。
  • これにより、FaceTime通話を開始しなくても、メッセージのやり取りからシームレスにコンテンツ共有の体験に移行できます。

メリット(コミュニケーション効率化、エラー訂正)

メッセージアプリの進化は、日々のデジタルコミュニケーションをより効率的かつ快適にします。

  • エラー訂正: 送信後の編集や取り消し機能により、誤字脱字や誤送信による気まずさを軽減できます。
  • 整理と管理: マーク既読機能は、多数のメッセージが飛び交うグループチャットなどで重要な情報を追跡するのに役立ちます。
  • シームレスな共同作業: 共有シートからの連携やSharePlay連携により、コミュニケーションツールとしてのメッセージアプリから、共同作業やエンターテイメントツールへとスムーズに移行できます。

これらの機能は、iPhoneやiPadのメッセージアプリでも同様に利用可能です。Appleデバイス間でのメッセージング体験が、さらに一貫性を持って向上しています。

2.5. メールアプリの進化

macOS Venturaのメールアプリも、メッセージアプリと同様に、日々のメールのやり取りをよりスムーズに行うための便利な機能が追加されています。

送信予約

指定した日時にメールを自動的に送信する機能です。

  • メール作成ウィンドウの送信ボタン(紙飛行機のアイコン)の横にある下向きの矢印をクリックします。
  • 表示されるメニューから「後で送信」を選択し、送信したい日時を指定します。
  • 指定した日時になると、Macがインターネットに接続されていれば、メールが自動的に送信されます。

これは、例えば夜中にメールを作成しても、相手の勤務時間に合わせて送信したい場合や、特定のイベントの直前にリマインダーメールを送りたい場合などに非常に便利です。送信予約されたメールは、メールアプリのサイドバーにある「後で送信」フォルダに保存されます。

送信取り消し

メッセージアプリと同様に、メールの送信を取り消す機能も追加されました。

  • メールを送信した直後、画面下部に「送信を取り消す」という小さな表示(Undo Send)が表示されます。
  • この表示が消える前にクリック(またはCommand+Zで取り消し)すると、メールの送信がキャンセルされ、再び編集可能な状態に戻ります。
  • デフォルトでは送信後10秒以内ですが、システム設定の「メール」>「作成」で、この「送信を取り消せるまでの時間」を10秒、20秒、30秒から選択できます。

これは、送信した直後に添付ファイルを付け忘れたことに気づいた場合や、宛先を間違えたことに気づいた場合などに、まさに救世主となる機能です。

リマインダー設定(後で通知)

受信したメールについて、特定の時間に自分自身にリマインダーを通知させる機能です。

  • 受信トレイのメールを右クリック(またはControl+クリック)し、表示されるメニューから「後で通知」を選択します。
  • 「1時間後」「今夜」「明日」といったプリセットのオプションや、「後で」を選択して任意の日時を指定できます。
  • 指定した時間になると、そのメールが受信トレイの一番上に再び表示され、通知が表示されます。

これは、今すぐには対応できないが、後で必ず返信や処理をしたいメールに対して、忘れずに対応するための非常に便利な機能です。重要なメールを見落とすリスクを減らせます。

検索機能の強化(サジェスト、精度向上)

メールアプリの検索機能も大幅に改善されました。

  • 検索フィールドに文字を入力すると、入力中に検索候補がリアルタイムで表示されるようになり、探しているメールや添付ファイル、連絡先などをより素早く見つけられるようになりました。
  • 検索候補には、最近のメール、添付ファイル、過去の検索履歴、さらには写真や書類といった特定のコンテンツタイプが含まれます。
  • 検索エンジンの精度も向上し、より関連性の高い結果が表示されるようになっています。

大量のメールの中から特定の情報を見つけ出す作業が、以前よりもはるかに効率的になりました。

メリット(メール管理の効率化、誤送信防止)

メールアプリの進化は、日々のメール管理の効率を向上させ、ビジネスやプライベートでのコミュニケーションをよりスムーズにします。

  • 時間管理: 送信予約と後で通知機能により、メールの送受信タイミングをよりコントロールできるようになり、タスク管理にも役立ちます。
  • ストレス軽減: 送信取り消し機能は、誤送信による不安や後悔を減らしてくれます。
  • 情報アクセス: 強力になった検索機能により、過去のメールや添付ファイルに素早くアクセスできるようになります。

これらの機能は、特にメールのやり取りが多いユーザーにとって、日々の作業負担を軽減し、生産性を高める重要な改善点と言えるでしょう。

2.6. Safariの進化

AppleのWebブラウザであるSafariも、macOS Venturaで重要な進化を遂げています。特に注目すべきは、共同作業とセキュリティに関する機能です。

共有タブグループ (Shared Tab Groups)

Safariの「タブグループ」機能は、複数のタブをまとめて整理できる便利な機能ですが、Venturaではこのタブグループを他のユーザーと共有し、共同で編集できるようになりました。

  • 使い方(作成、共有、共同作業):

    • まず、通常のタブグループを作成します。開いているタブをまとめて新しいタブグループとして保存したり、新しい空のタブグループを作成したりできます。
    • 作成したタブグループのサイドバーにある共有アイコン(人のアイコン)をクリックします。
    • 共同編集したい相手をApple IDやメールアドレスで招待します。招待はメッセージアプリを通じて送信されます。
    • 招待された相手が承諾すると、そのタブグループが相手のSafariのサイドバーにも表示されるようになります。
    • 共有されたタブグループ内で、参加者全員が自由にタブを追加したり、削除したり、開いているタブを切り替えたりできます。これらの変更は参加者全員にリアルタイムで反映されます。
    • 共有タブグループのメンバーは、メッセージアプリのスレッド上で、そのタブグループに関する議論を同時に行うことも可能です。
  • メリット:

    • 共同での情報収集: プロジェクトのリサーチや旅行の計画など、複数人で一緒にWebサイトを調べたり整理したりする際に非常に便利です。各自が見つけた関連性の高いページを共有タブグループに追加していけば、効率的に情報を集約できます。
    • 知識共有: 特定のテーマに関する有用なWebサイト集をチームや友人と共有するのに役立ちます。
    • 最新情報の共有: 参加者の一人が新しい情報を見つけ、タブを追加すれば、他の参加者もすぐにそれにアクセスできます。

パスキー (Passkeys) の導入

これは、従来のパスワードに代わる、より安全で便利な認証方法としてAppleが積極的に推進している機能です。macOS Venturaは、パスキーに本格的に対応しました。

  • パスキーとは何か、仕組み(公開鍵暗号):
    • パスキーは、パスワードを使わずにWebサイトやアプリにサインインするための新しい認証技術です。FIDOアライアンスとW3Cが中心となって開発している「WebAuthn」という標準技術に基づいています。
    • パスワードのように文字列を覚える必要がなく、入力する手間もありません。
    • 仕組みとしては、公開鍵暗号方式を利用しています。アカウント作成時やログイン時に、あなたのデバイス上に固有の秘密鍵と公開鍵のペアが生成されます。公開鍵はサービス提供側のサーバーに登録されますが、秘密鍵はあなたのデバイス上(iCloudキーチェーンなど)に安全に保管され、外部に共有されることはありません。
    • ログインする際は、サービス提供側から送られてくる情報に対し、あなたのデバイスが秘密鍵を使って署名を行います。サーバーは登録されている公開鍵を使ってその署名を検証し、あなたが正規のユーザーであることを確認します。
  • メリット(セキュリティ向上、フィッシング対策、パスワード不要):

    • フィッシングに強い: パスワードのように入力する必要がないため、偽サイトに誘導されてパスワードを盗まれるフィッシング詐欺に対して非常に強い耐性があります。
    • サーバー侵害に強い: サービス提供側のサーバーに保存されるのは公開鍵のみで、秘密鍵はあなたのデバイスにあります。サーバーが侵害されて公開鍵が漏洩しても、それ単体ではログインに悪用されるリスクは低いです(公開鍵から秘密鍵を割り出すことは非常に困難だからです)。従来のパスワードのように、サーバーから漏洩したハッシュ化されたパスワードリストをオフラインで解析されるといった脅威もありません。
    • パスワードの使い回し問題なし: パスワードを覚える必要がないため、サービスごとに異なるパスワードを使うことが容易になり、パスワードの使い回しによるリスクを回避できます。
    • パスワードの入力不要: 手動でパスワードを入力したり、パスワードマネージャーからコピー&ペーストしたりする手間が省け、Touch IDやFace ID(対応デバイスの場合)を使った生体認証で素早くサインインできます。
    • iCloudキーチェーンで同期: パスキーはiCloudキーチェーンに安全に保存され、同じApple IDでサインインしているすべてのAppleデバイス(Mac, iPhone, iPad)間で自動的に同期されます。これにより、どのデバイスからでも同じパスキーを使ってサインインできます。将来的には、GoogleやMicrosoftなどの他社プラットフォームとも連携し、異なるOSやブラウザ間でのパスキーの利用も可能になる見込みです。
  • Touch ID/Face ID連携:

    • Macでパスキーを使ってログインする際は、Touch IDセンサーに指を置くか、Macに接続されたiPhone/iPadのFace IDを使って認証を行います。これにより、パスキーはさらに安全かつ簡単に利用できます。
  • Webプッシュ通知の許可方式変更:
    • これまでWebサイトからプッシュ通知を許可するかどうかの確認は、ページを開いた直後に無作為に表示されることがあり、煩わしいと感じるユーザーもいました。
    • Ventura以降では、Webプッシュ通知の許可リクエストは、ユーザーが明示的にページ内の要素(ボタンなど)をクリックしたり操作したりした場合にのみ表示されるように変更されました。これにより、意図しないタイミングでの通知リクエストが減り、より快適にブラウジングできるようになります。
  • Safari機能拡張の管理強化:
    • インストールされているSafari機能拡張について、どのWebサイトで有効にするかをより細かく制御できるようになりました。すべてのWebサイト、特定のWebサイトのみ、または特定のWebサイト以外で無効にするといった設定が可能です。これにより、セキュリティとプライバシーをより詳細に管理できます。

メリット(セキュリティ向上、共同作業効率化)

SafariのVenturaでの進化は、Webブラウジングの安全性と共同作業の効率を向上させます。

  • 圧倒的なセキュリティ: パスキーは、パスワードによる認証よりもはるかに安全で、フィッシングやサーバー侵害のリスクを大幅に低減します。これが普及すれば、オンラインアカウントのセキュリティが劇的に向上するでしょう。
  • サインインの簡略化: パスキーとTouch ID/Face IDの組み合わせにより、Webサイトへのログインがパスワード入力なしで瞬時に行えるようになります。
  • 効率的な情報共有: 共有タブグループは、複数人での情報収集や知識共有をスムーズに行える強力なツールです。

Safariのこれらの新機能は、私たちのWebとの関わり方を変える可能性を秘めています。特にパスキーは、インターネット上の認証の未来を担う技術として、今後さらに注目されていくでしょう。

2.7. システム設定 (旧システム環境設定) の刷新

macOS Venturaで、ユーザーインターフェイスの面で最も大きな変更点の一つが、システム設定(System Settings)アプリの刷新です。これまでの「システム環境設定(System Preferences)」という名称から変更され、UIも大きく変わりました。

UIの変更(iOS/iPadOSライク)

新しいシステム設定アプリは、iOSやiPadOSの「設定」アプリに近いデザインになりました。

  • これまでは、各設定項目がグリッド状にアイコンとして並んでいましたが、Venturaからは画面左側にカテゴリ別のリストが表示され、クリックすると右側に詳細設定が表示される形式になりました。
  • カテゴリは「Wi-Fi」「Bluetooth」「ネットワーク」といった接続関連、「一般」「アクセシビリティ」「プライバシーとセキュリティ」といったシステム全般、「デスクトップとDock」「ディスプレイ」「サウンド」といったハードウェア・UI関連、「通知」「集中モード」といった機能関連、そしてインストールされている各アプリケーションの設定項目が並びます。
  • 全体的に、より整理され、iOS/iPadOSユーザーにとっては馴染みやすいインターフェイスになったと言えます。

項目配置の変更点

UIの変更に伴い、各設定項目の配置も変更されました。これまでのシステム環境設定に慣れているユーザーは、目的の設定項目を見つけるのに最初は戸惑うかもしれません。

例えば:

  • 「一般」の中に「ストレージ」「情報」などが含まれるようになりました。
  • 「デスクトップとDock」という項目に、デスクトップの背景設定、Dockの設定、ステージマネージャの設定、ミッションコントロールの設定などが集約されました。
  • 「プライバシーとセキュリティ」という項目に、これまでバラバラだったプライバシー関連の設定(位置情報サービス、連絡先へのアクセス許可など)とセキュリティ関連の設定(FileVault、ファイヤーウォールなど)が集められました。

検索機能

UIの変更で目的の項目を見つけにくくなった場合の救済措置として、システム設定アプリには強力な検索機能が搭載されています。

  • ウィンドウ上部にある検索フィールドにキーワードを入力すると、関連する設定項目がリストアップされ、クリックするだけで目的の場所に素早くアクセスできます。
  • この検索機能は、新しいUIに慣れるまでの間、非常に役立つでしょう。

メリット・デメリット(慣れが必要)

  • メリット:
    • iOS/iPadOSユーザーにとっては馴染みやすく、Appleデバイス全体での設定体験の一貫性が向上しました。
    • カテゴリ別に整理されたリスト形式は、項目によっては以前より見つけやすくなったという意見もあります。
    • 強力な検索機能は、目的の設定に素早くたどり着くのに便利です。
  • デメリット:
    • 長年macOSを使っているユーザーにとっては、以前のUIに慣れているため、目的の項目を探すのに時間がかかる可能性があります。これは主に「慣れ」の問題と言えるでしょう。
    • 一部のユーザーからは、以前のグリッド表示の方が全体像を把握しやすかったという意見もあります。

システム設定の刷新は、良くも悪くもmacOS Venturaにおける最も目立つ変更点の一つです。最初は戸惑うかもしれませんが、少し使っていれば慣れてくるでしょう。もし目的の設定項目が見つからない場合は、遠慮なく検索機能を活用しましょう。

2.8. Spotlightの進化

macOSのSpotlight検索は、ファイルやアプリケーションを素早く見つけるための強力なツールですが、macOS Venturaではその機能がさらに強化され、より多様な情報にアクセスし、簡単なアクションを実行できるようになりました。

機能強化(画像検索、クイックルック対応、アクション実行)

  • 画像検索の強化:
    • Spotlightを使って、Finder上の画像ファイルだけでなく、Web上にある画像も検索できるようになりました。例えば、「猫 画像」と入力するだけで、ローカルにある猫の写真と同時に、Bingなどの検索エンジンによるWeb上の猫の画像が表示されます。
    • 写真アプリのライブラリ内の画像も検索対象に含まれます(被写体やテキストによって検索)。
  • クイックルック対応:
    • 検索結果として表示されたファイルを選択し、スペースバーを押すことで、ファイルを開かずに内容を確認できるクイックルックに対応しました。文書ファイル、画像ファイル、PDFなど、様々なファイル形式でクイックルックを利用できます。
  • アクション実行:
    • Spotlightの検索結果から、簡単なアクションを実行できるようになりました。例えば、アラームを設定したり、フォーカストークンを開始したり、ショートカットを実行したりといったことが可能です。計算機能や通貨換算などの既存機能も引き続き利用できます。
    • 検索結果に表示されたWebサイトの情報を元に、マップで場所を開いたり、電話番号に発信したりすることも可能です。
  • 検索結果の拡充:
    • Web上の情報検索がさらに進化し、アーティスト、映画、テレビ番組、スポーツ選手、企業に関するより詳細な情報が、検索結果に直接表示されるようになりました。例えば、特定の映画名を検索すれば、出演者、公開年、評価、予告編へのリンクなどがまとめて表示されます。

使い方(検索例)

SpotlightはCommand + Spaceキー、または画面右上のSpotlightアイコンをクリックすることで呼び出せます。

  • ファイルの検索: いつも通り、ファイル名の一部やキーワードを入力します。例: 議事録, 2022 レポート
  • アプリの起動: アプリケーション名を入力し、Enterキーを押します。例: Pages, Safari
  • Web画像の検索: 検索したいキーワードに加えて「画像」と入力します。例: 犬 画像, エッフェル塔 写真
  • クイックルック: 検索結果のファイルをキーボードの矢印キーで選択し、スペースバーを押します。
  • 計算: 計算式をそのまま入力します。例: 150*1.1, 100ドルを円に
  • 単語の意味: 単語を入力します。例: benevolent 意味
  • 場所の検索: 地名や店名を入力します。例: 東京駅, 近くのカフェ
  • Web情報: 人名、映画名、企業名などを入力します。例: トム・ハンクス, トップガン マーヴェリック, Apple
  • アクション実行: 特定のアクションに関連するキーワードを入力します。例: アラーム 7時, フォーカスモード 作業, ショートカット おやすみモード解除

メリット(情報アクセス迅速化)

Spotlightの進化は、Mac上の情報だけでなく、Web上の情報や特定のアクションへのアクセスを格段に迅速にします。

  • オールインワン検索: ファイル、アプリ、Web情報、画像、計算、単語定義などが一つの検索窓で完結します。
  • 高速な情報アクセス: 検索候補の表示やクイックルックにより、必要な情報に素早くたどり着けます。
  • 作業効率向上: Spotlightから直接簡単なアクションを実行できることで、作業の中断を減らし、効率を高めます。

Spotlightは、Macを使いこなす上で非常に重要な機能ですが、Venturaでその利便性がさらに向上しました。日々の作業で積極的に活用することで、Macでの情報検索やタスク実行がよりスムーズになるでしょう。

2.9. 写真アプリの進化

macOS Venturaの写真アプリでは、特に家族や親しい友人と写真を共有する体験を向上させるための新機能が追加されました。

iCloud共有写真ライブラリ

これは、最大6人のユーザーが、共通のiCloud写真ライブラリを共有し、それぞれの写真コレクションを一つの場所でまとめて管理・閲覧できる機能です。

  • 設定方法、参加者追加:
    • 「システム設定」アプリを開き、「写真」→「iCloud写真」の項目を選択します。
    • 「共有ライブラリ」という項目があるので、「設定」をクリックします。
    • 画面の指示に従って、共有ライブラリに招待したい参加者(家族メンバーなど)をApple IDで追加します。
    • 共有ライブラリに追加する写真を選択します。既存のライブラリからすべての写真を移動させることも、特定の日付以降の写真だけを移動させることも、手動で写真を選択することも可能です。
    • 設定が完了すると、招待された参加者に通知が送られ、承認すると共有ライブラリに参加できます。
  • 写真の追加方法(手動、自動):
    • 共有ライブラリに参加しているメンバーは、各自の写真アプリ(Mac, iPhone, iPad)から、共有ライブラリに写真を自由に追加できます。
    • 手動での追加: 写真を選択し、ツールバーの共有ボタンから「共有ライブラリに追加」を選択します。
    • 自動での追加: iPhoneの写真アプリでは、カメラアプリから撮影した写真を直接共有ライブラリに保存するオプションや、近くにいる共有ライブラリのメンバーを検出して自動的に写真を共有ライブラリに追加するオプションなどがあります。
  • 共有写真ライブラリの活用例(家族、グループ):
    • 家族の写真: 家族全員が撮った子供の写真や旅行の写真などを一つの場所に集約し、全員が閲覧・編集できるようにするのに最適です。誰かが写真を撮れば、すぐに他の家族もその写真を見ることができます。
    • イベントや旅行: 複数人で参加した旅行やパーティー、イベントなどで撮った写真をまとめて共有し、後で全員で楽しむことができます。各自がベストショットを持ち寄り、共通の思い出コレクションを作れます。
    • 趣味やプロジェクト: 特定の趣味(例えば植物、野鳥、料理など)に関する写真を友人グループと共有したり、共同プロジェクトに関連する視覚資料をチームで共有したりするのにも使えます。
  • 権限: 共有ライブラリの参加者は、写真の追加、編集、削除、お気に入りの登録、キャプションやキーワードの追加などが可能です。基本的に、参加者全員がライブラリに対して同じ権限を持ちます。

メリット

iCloud共有写真ライブラリは、写真の共有と管理の方法を大きく変える可能性があります。

  • 一元管理: バラバラになっていた家族やグループの写真を一つの場所に集約できます。
  • リアルタイム共有: 誰かが新しい写真を追加すれば、他のメンバーもすぐにそれを見られます。
  • 共同での写真整理: 参加者全員で写真にお気に入りをつけたり、整理したりできるため、共同で思い出を管理できます。
  • 容量の効率化: 共有ライブラリは参加者全員のiCloudストレージを共有します。

ただし、iCloud共有写真ライブラリを使用するには、十分なiCloudストレージ容量が必要です。また、共有ライブラリに参加しているメンバーは、すべての写真に対して編集・削除権限を持つため、信頼できるメンバーとのみ共有することが重要です。

2.10. Game Centerの進化

macOS Venturaでは、ゲーム体験を向上させるためのGame Centerの機能強化も行われています。

  • SharePlay連携:
    • FaceTime通話中に、Game Center対応のマルチプレイヤーゲームを一緒にプレイしやすくなりました。SharePlayを通じて、通話相手を簡単にゲームに招待したり、一緒にゲームを開始したりできます。
    • これにより、離れた場所にいる友人や家族と、よりインタラクティブなゲーム体験を共有できます。
  • アクティビティのハイライト表示:
    • Game Centerのプロフィール画面で、あなたのゲームプレイのハイライト(最近プレイしたゲーム、達成した実績、他のプレイヤーとの比較など)が表示されるようになり、自分のゲーム活動を友人と共有しやすくなりました。
    • また、友人のプロフィールから、彼らがプレイしているゲームや実績を確認することもできます。

Game Centerの進化は、Macでのゲーム体験をよりソーシャルでインタラクティブなものにします。特に、近年Apple Silicon Macの性能向上によりMacでゲームをプレイする人が増えている状況を踏まえると、これらの機能強化はゲーマーにとって歓迎すべき点でしょう。

2.11. 天気アプリと時計アプリの追加

iPhoneやiPadではお馴染みの「天気」アプリと「時計」アプリが、macOS Venturaでネイティブアプリケーションとして利用できるようになりました。

  • 天気アプリ:
    • Macの大きな画面で、天気情報をより詳細に、より見やすく確認できます。
    • 時間ごとの予報、今後10日間の予報、降水量、風速、気温、湿度、UV指数、視程、気圧など、豊富な情報が一画面にまとめられています。
    • 気象マップ機能も搭載されており、降水量、気温、風速などの状況を視覚的に把握できます。
    • 複数の場所を登録しておき、簡単に切り替えて天気を確認できます。
  • 時計アプリ:
    • 世界時計、アラーム、ストップウォッチ、タイマーといったiOS/iPadOS版の主要機能を搭載しています。
    • 世界時計では、複数の都市の現在時刻と気温を一覧で表示できます。
    • アラームは、Macがスリープ状態でも設定した時間に鳴らすことが可能です(ただし、Macが完全にシャットダウンしている場合は鳴りません)。
    • ストップウォッチやタイマーも、Macの画面上で手軽に利用できます。

Macでの利用メリット

これらのアプリがMacにネイティブで搭載されたことで、ブラウザでWebサイトを開いたり、他のデバイスを確認したりすることなく、必要な情報をMac上で素早く確認できるようになりました。特に天気アプリは、大きな画面で気象マップを確認できるなど、Macならではの利便性があります。また、iOS/iPadOS版とiCloudで同期されるため、デバイス間で設定が共有される点も便利です(例: 世界時計に登録した都市など)。

2.12. アクセシビリティ機能の強化

Appleは常にアクセシビリティ(利用しやすさ)を重視しており、macOS Venturaでも様々な機能強化が行われています。

  • ライブキャプション (Live Captions):
    • ビデオ通話(FaceTimeなど)や再生中のオーディオコンテンツ(ポッドキャストなど)に対して、リアルタイムでキャプション(字幕)を自動生成する機能です。
    • 話されている内容がテキストとして画面上に表示されるため、聴覚に障がいのある方や、騒がしい環境でオーディオを聴いている方にとって非常に有用です。
    • この機能はベータ版として提供開始されました。
  • 音声コントロールの改善:
    • 音声によるMacの操作を行う「音声コントロール」機能がさらに強化されました。
    • より自然な言葉でのコマンド認識精度が向上し、テキスト編集における操作性なども改善されています。

これらの機能強化により、Macがより多くの人々にとって利用しやすいデバイスとなっています。

2.13. セキュリティ機能の強化

macOS Venturaは、パスキーの導入(前述のSafariの項目で詳細解説)に加えて、OSレベルでのセキュリティも強化されています。

  • Rapid Security Response(迅速セキュリティ対応):
    • これは、OS全体をアップデートすることなく、セキュリティ上の重要な修正(例えば、ゼロデイ脆弱性に対する緊急パッチなど)を素早く適用できる新しい仕組みです。
    • これまで、セキュリティアップデートはmacOSの通常のシステムアップデートの一部として提供されることが多かったため、適用に時間がかかる場合がありました。Rapid Security Responseにより、脆弱性発見から修正適用までのタイムラグを最小限に抑え、ユーザーを迅速に保護できるようになります。
    • これらのセキュリティパッチは、システム設定の「一般」→「ソフトウェアアップデート」の中で、通常のmacOSアップデートとは別に表示され、素早くインストールできます。
  • Gatekeeper/XProtectの強化:
    • Macにインストールされるアプリケーションの安全性を検証するGatekeeperや、既知のマルウェアから保護するXProtectといったセキュリティ技術もバックグラウンドで継続的に強化されています。
  • ロックダウンモード (Lockdown Mode):
    • これは、ごく少数の高度なサイバー攻撃(国家などが関与するような標的型攻撃)の標的になる可能性のあるユーザー(ジャーナリスト、政治家、人権活動家など)向けに提供される、極めて厳格なセキュリティ機能です。
    • これを有効にすると、Macの機能の一部が制限され、セキュリティの脅威に対する防御が大幅に強化されます。例えば、メッセージアプリで特定の種類の添付ファイルが無効化されたり、特定のWeb技術が無効化されたりします。
    • 多くの一般ユーザーがこのモードを有効にする必要はありませんが、最高レベルのセキュリティを必要とするユーザーにとっては重要な選択肢となります。

メリット(脅威からの保護)

macOS Venturaのセキュリティ強化は、ユーザーのデータとプライバシーを様々な脅威からより強力に保護します。

  • 最新の脅威への迅速な対応: Rapid Security Responseにより、脆弱性が発見されても素早く対応できるようになります。
  • フィッシングとマルウェアからの保護: パスキーやGatekeeper/XProtectの強化により、一般的なサイバー攻撃からの保護が向上します。
  • 高度な脅威からの保護: ロックダウンモードは、極めて稀ですが深刻な脅威に対する防御策を提供します。

これらのセキュリティ機能は、ユーザーが意識することなくバックグラウンドで動作し、安全なMac体験を提供するために重要な役割を果たしています。

3. macOS Venturaのアップデート方法と互換性

macOS Venturaの魅力的な新機能を体験するには、お使いのMacをアップデートする必要があります。ここでは、アップデート方法と、Venturaに対応している機種について説明します。

対応機種リスト

macOS Venturaは、以下のMacモデルに対応しています。古いモデルはサポート対象外となるため、アップデート前にご自身のMacがリストに含まれているか確認してください。

  • iMac:2017以降
  • iMac Pro:2017
  • MacBook Air:2018以降
  • MacBook Pro:2017以降
  • Mac Pro:2019以降
  • Mac mini:2018以降
  • Mac Studio:2022以降
  • MacBook:サポート対象外 (2017モデルも対象外)

ご自身のMacのモデルを確認するには、画面左上のAppleメニューから「このMacについて」を選択し、表示されるウィンドウで「概要」タブ(または単にウィンドウ上部)を確認してください。

アップデート前の準備(バックアップ)

OSのアップデートは、予期せぬ問題が発生する可能性もゼロではありません。大切なデータを失わないために、アップデート前には必ず以下の準備を行いましょう。

  1. データのバックアップ: 最も重要です。Time Machineを使って外付けストレージに完全なバックアップを取っておくことを強く推奨します。Time Machineの設定方法や使い方はAppleの公式ドキュメントを参照してください。また、iCloud DriveやDropboxなどのクラウドストレージに重要なファイルを保存しておくのも良いでしょう。
  2. ストレージ容量の確認: macOS Venturaのインストールには、ある程度のストレージ容量が必要です。通常、インストーラファイルのダウンロードと展開、インストール作業に必要な容量を考慮すると、少なくとも20〜30GB程度の空き容量を確保しておくと安心です。空き容量が不足している場合は、不要なファイルやアプリケーションを削除したり、外部ストレージに移動したりして容量を確保しましょう。
  3. アプリケーションの互換性確認: 使用している主要なアプリケーションがmacOS Venturaに対応しているか、開発元のWebサイトなどで確認しておくと良いでしょう。特に業務で使用する重要なアプリケーションがある場合は、アップデート前に確認が必要です。多くの場合、最新バージョンのアプリケーションは対応していますが、古いバージョンや特定の専門アプリケーションでは互換性の問題が発生する可能性も考えられます。
  4. 電源アダプタの接続: アップデート中は電源が切れないように、Macを電源アダプタに接続した状態で行ってください。
  5. 安定したネットワーク環境: アップデートファイルをダウンロードするために、安定したWi-Fi環境が必要です。

アップデート手順

アップデートの準備が整ったら、以下の手順でmacOS Venturaをインストールできます。

  1. 画面左上のAppleメニューから「システム設定」を選択します。(Catalina以前の場合は「システム環境設定」)
  2. ウィンドウが開いたら、サイドバーの「一般」をクリックし、右側のリストから「ソフトウェアアップデート」を選択します。
  3. Macが利用可能なアップデートをチェックし始めます。macOS Venturaのアップデートが表示されたら、「今すぐアップグレード」ボタンをクリックします。
  4. macOS Venturaのインストーラファイルのダウンロードが開始されます。ダウンロードにはネットワーク環境によって時間がかかる場合があります。
  5. ダウンロードが完了すると、インストーラが起動します。画面の指示に従ってインストールを進めます。使用許諾契約の同意などが求められます。
  6. インストールが開始されると、Macが再起動し、インストールのプロセスが始まります。インストール中はMacを使用できません。電源を切ったり、蓋を閉じたりしないでください。インストールには数十分かかる場合があります。
  7. インストールが完了すると、Macが再起動し、macOS Venturaのセットアップ画面が表示されることがあります(iCloudサインインの確認など)。画面の指示に従って初期設定を完了します。

これで、お使いのMacがmacOS Venturaにアップデートされました。

クリーンインストールについて

通常のアップデート(上書きインストール)ではなく、Macのストレージを一度完全に消去してからOSをインストールする「クリーンインストール」という方法もあります。これは、長年使用しているMacでシステムの動作が不安定になったり、不要なファイルが溜まっていると感じたりする場合に、システムをリフレッシュするのに有効な方法です。

クリーンインストールを行うには、macOS Venturaのインストーラを使って起動可能なUSBドライブなどを作成する必要があります。手順はやや複雑になるため、Macに慣れていない方や特に問題を感じていない場合は、通常のアップデートをお勧めします。クリーンインストールを行う場合は、事前にすべてのデータのバックアップを忘れずに行ってください。

4. まとめ

macOS 13 Venturaは、これまでのMac体験をさらに進化させる多くの新機能を搭載した、非常に重要なアップデートです。特に、日々の作業効率を大幅に向上させる「ステージマネージャ」や、iPhoneとの連携を強化する「連携カメラ」、そして新しい共同作業の形を提案する「フリーボード」は、Venturaを代表する機能と言えるでしょう。

macOS Venturaの全体的な評価

全体として、macOS Venturaは「生産性の向上」「デバイス連携の強化」「セキュリティの強化」というテーマを着実に実現しています。

  • 生産性: ステージマネージャは新しいワークフローを提供し、メッセージやメールアプリの機能強化は日々のコミュニケーションをよりスムーズにします。Spotlightの進化も情報アクセスを迅速化し、作業の中断を減らします。
  • 連携: 連携カメラはMacとiPhoneの連携の新たな可能性を示し、iCloud共有写真ライブラリはAppleデバイスエコシステム内での写真共有を容易にします。フリーボードも複数デバイス間でのシームレスな共同作業を可能にします。
  • セキュリティ: パスキーはパスワードに代わる安全な認証方法として、Rapid Security Responseは緊急のセキュリティ修正を素早く適用する仕組みとして、Macのセキュリティを新たなレベルに引き上げています。

一方で、システム設定のUI変更は、慣れるまで少し時間がかかる可能性があり、賛否両論があるかもしれません。しかし、これは今後のmacOSのUIデザインの方向性を示す変更とも言えるでしょう。

特に注目の機能の再掲

  • ステージマネージャ: ウィンドウ管理に革命をもたらし、集中力を高めるための強力なツール。
  • 連携カメラ: iPhoneユーザーなら必須。MacのWebカメラを驚くほど高画質にアップグレードし、便利なエフェクトも利用可能に。
  • フリーボード: ブレストからプロジェクト管理まで、デバイスを超えた自由な共同作業を実現する無限のキャンバス。
  • パスキー: パスワード不要の安全な認証方法。オンラインアカウントのセキュリティを劇的に向上させる将来の標準技術。

アップデートを推奨する理由

お使いのMacがmacOS Venturaに対応している場合、基本的にアップデートを強く推奨します。その理由は以下の通りです。

  • 新機能による生産性向上: ステージマネージャ、メール/メッセージの機能強化、Spotlightの進化などにより、日々のMacでの作業がより効率的になります。
  • 連携機能の利便性: 連携カメラやiCloud共有写真ライブラリなど、iPhoneやiPadとの連携機能は、Appleデバイスユーザーにとって非常に便利です。
  • セキュリティの強化: 最新のセキュリティ機能により、お使いのMacをより安全に保つことができます。特にRapid Security Responseは、OSを常に最新のセキュリティパッチで保護する上で重要です。
  • 最新のアプリケーション対応: 多くの新しいアプリケーションや機能は、最新のmacOSバージョンを前提として開発されます。Venturaにアップデートすることで、最新のソフトウェアを最大限に活用できます。

もちろん、互換性の問題や特定の理由で古いOSを使い続けたい場合もあるかもしれません。しかし、セキュリティの観点からも、対応機種であれば最新のOSにアップデートしておくのが最も安全で、Macの機能を最大限に享受できる方法です。

アップデートを行う際は、必ず事前のバックアップを忘れずに行い、ストレージ容量の確認もしておきましょう。

今後のmacOSへの期待

macOS Venturaは、Appleエコシステム全体の連携強化というトレンドをさらに推し進めたOSと言えます。パスキーに見られるように、Appleはセキュリティと利便性の両立を目指しており、今後のOSでもこの方向性は続くでしょう。

また、フリーボードのように、これまでのOSの枠を超えた新しいワークフローやアプリケーション体験を提供しようというAppleの意欲も感じられます。Mシリーズチップの性能向上に伴い、Macでできることはますます増えており、それをサポートするためのOSの進化は今後も続いていくことでしょう。

macOS Venturaの新機能をぜひ活用して、あなたのMacライフをさらに豊かに、そして生産的にしてください。この記事が、その手助けとなれば幸いです。

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