PS5 DNS設定のやり方を徹底解説!通信速度向上や安定化、セキュリティ強化も期待できる!
PlayStation 5(PS5)でのゲーム体験を、より快適で安定したものにしたい。そうお考えのユーザーの皆さん、こんにちは!
最新のゲームは、オンラインでのマルチプレイヤー対戦や、ゲームデータのダウンロード、ストアへのアクセスなど、常にインターネット接続を必要とします。快適なオンライン環境は、ラグ(遅延)のないスムーズなゲームプレイや、高速なダウンロード速度に直結するため、非常に重要です。
PS5のネットワーク設定には様々な項目がありますが、その中でも「DNS設定」は、インターネット接続の速度や安定性、さらにはセキュリティにも影響を与える可能性のある、見過ごされがちな重要な設定項目の一つです。
「DNS?なんだか難しそう…」「設定を変えるとどんな良いことがあるの?」「どうやって設定すればいいの?」
この記事では、そんな疑問をお持ちの皆さんに向けて、PS5でのDNS設定について、その基本的な仕組みから具体的な設定方法、おすすめのDNSサーバー、そして設定によって期待できる効果や注意点、さらにはトラブルシューティングまで、約5000語という大ボリュームで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説していきます。
この記事を最後までお読みいただければ、あなたはPS5のDNS設定に関する知識を深め、ご自身の環境に最適な設定を行い、より快適なゲームライフを送るための一歩を踏み出せるはずです。
さあ、一緒にPS5のDNS設定の世界を探検してみましょう!
第1章:PS5のDNS設定とは?なぜ必要なの?
まず、「DNS」とは一体何なのか、そしてなぜPS5のインターネット接続においてその設定が重要になるのかを理解することから始めましょう。
1.1 DNS(Domain Name System)とは? インターネットの「住所録」の役割
インターネット上にあるウェブサイトやサービスには、それぞれ固有の「IPアドレス」という数字の羅列で表される「住所」が割り振られています。例えば、Googleのウェブサイトには 172.217.175.46
のようなIPアドレスが割り当てられています(これはあくまで一例であり、状況によって変動します)。
しかし、私たちは普段、ウェブサイトにアクセスする際に「172.217.175.46」のような数字を入力することはありませんよね?代わりに、「google.com」のような、人間にとって分かりやすい「ドメイン名」を入力します。
ここで登場するのがDNS(Domain Name System)です。DNSは、この「人間にとって分かりやすいドメイン名」と「コンピューターが理解するIPアドレス」を結びつける役割を担っています。例えるなら、DNSはインターネット上の「住所録」や「電話帳」のようなものです。
あなたがブラウザに「google.com」と入力したり、PS5からPlayStation Storeにアクセスしようとしたりする際、あなたのデバイスはまずDNSサーバーに「google.com」のIPアドレスは何ですか?」「PlayStation StoreのサーバーのIPアドレスは何ですか?」と問い合わせを行います。
DNSサーバーは、その問い合わせに対して「google.comのIPアドレスは172.217.175.46です」のように、対応するIPアドレスを応答します。あなたのデバイスはそのIPアドレスを受け取り、目的のサーバーに接続することができるのです。
1.2 PS5におけるDNSの重要性
PS5は、オンラインゲーム、PlayStation Store、メディアアプリ(YouTube, Netflixなど)、システムアップデートなど、様々な場面でインターネット接続を利用します。これらの通信を行う際、必ずどこかのタイミングでDNSサーバーに問い合わせを行い、接続先のIPアドレスを取得しています。
通常、PS5のネットワーク設定を「かんたん」設定や自動設定で行うと、ルーターから自動的にプロバイダー指定のDNSサーバー情報が配布され、そのDNSサーバーが利用されます。しかし、このデフォルトのDNSサーバーが常に最適であるとは限りません。
DNS設定を変えることで期待できること:
- 名前解決の高速化: 利用するDNSサーバーによっては、ドメイン名からIPアドレスへの変換(名前解決)の速度が向上し、結果としてウェブサイトの表示速度や、ゲームサーバーへの接続速度がわずかに向上する可能性があります。特に、応答速度の速いDNSサーバーを選択することが効果的です。
- 接続の安定性向上: プロバイダーのDNSサーバーに障害が発生した場合や、負荷が高い場合に不安定になることがありますが、信頼性の高い別のDNSサーバーに切り替えることで、接続が安定する可能性があります。
- セキュリティの向上: 一部のパブリックDNSサーバーは、マルウェアを配布するサイトやフィッシング詐欺サイトなどの悪意のあるドメインへのアクセスをブロックする機能を持っています。これにより、オンライン上でのセキュリティリスクを低減できます。
- フィルタリング機能: 特定のウェブサイトやコンテンツへのアクセスを制限する機能を持つDNSサーバーもあります。小さなお子さんがいる家庭などで、不適切なサイトへのアクセスを防ぎたい場合に役立ちます。
もちろん、DNS設定を変更するだけで劇的に通信速度が何倍にもなるといったことは稀ですが、特にオンラインゲームにおいては、わずかな速度や安定性の向上でも体感できる差となることがあります。また、セキュリティやフィルタリングといった面でもメリットがあります。
逆に、DNS設定を変更することで、環境によっては速度が遅くなったり、特定のサービスにアクセスできなくなったりする可能性もゼロではありません。そのため、ご自身の環境や目的に合わせて、最適なDNSサーバーを選択し、設定後は必ず動作確認を行うことが重要です。
第2章:DNSの基本的な仕組みをもっと詳しく
PS5のDNS設定手順に進む前に、DNSの仕組みについてもう少し掘り下げて理解しておくと、なぜ設定を変更することが意味を持つのかがより明確になります。
2.1 IPアドレスとドメイン名の関係性
先ほど触れたように、インターネット上の機器(サーバーやあなたのPS5など)は、IPアドレスという数字で識別されています。現在の主流であるIPv4では xxx.xxx.xxx.xxx
の形式(例: 192.168.1.1
)、次世代のIPv6ではより長い形式で表されます。これらのアドレスはコンピューターにとっては効率的ですが、人間にとっては記憶しづらいものです。
そこで登場するのがドメイン名です。「google.com」「playstation.com」「youtube.com」といったドメイン名は、覚えやすく、そのウェブサイトやサービスの内容を想像しやすいように付けられています。
DNSは、この人間向けのドメイン名と、コンピューター向けのIPアドレスを相互に変換する「名前解決」という処理を行います。
2.2 DNSサーバーの役割と種類
DNSサーバーは、名前解決を行うためのデータベースと機能を持っているコンピューターです。大きく分けて、ユーザーからの問い合わせを受け付ける「キャッシュDNSサーバー(またはリゾルバー)」と、ドメインの情報を管理している「権威DNSサーバー」があります。
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キャッシュDNSサーバー(リゾルバー):
- あなたがPS5からインターネットにアクセスしようとした際、最初に問い合わせを行うのがこのキャッシュDNSサーバーです。
- 普段あなたが「DNSサーバー」として設定するのは、このキャッシュDNSサーバーのIPアドレスです。
- ユーザーからドメイン名のIPアドレスを尋ねられると、自分の持つキャッシュ情報(過去に問い合わせた結果を一時的に保存しておいたもの)を確認します。もしキャッシュにあれば、即座に応答を返します。
- キャッシュにない場合は、インターネット上の他のDNSサーバー(主に権威DNSサーバー)に問い合わせを行い、正しいIPアドレスを見つけ出します。そして、その結果をユーザーに返しつつ、自分のキャッシュにも保存しておきます。
- プロバイダーが提供しているDNSサーバーや、後述するGoogle Public DNS, Cloudflare 1.1.1.1のようなパブリックDNSサーバーがこれにあたります。
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権威DNSサーバー:
- 特定のドメインに関する正しいIPアドレス情報を「権威的に」(公式に)管理しているサーバーです。
- 例えば、「playstation.com」というドメインの権威DNSサーバーは、SCE(Sony Computer Entertainment)などの管理者が運営しており、「playstation.com」のサーバーのIPアドレスは何か、といった情報を保持しています。
- キャッシュDNSサーバーは、ユーザーから問い合わせを受けたドメインに関する情報がキャッシュにない場合、この権威DNSサーバーに問い合わせることで正しいIPアドレスを取得します。
2.3 名前解決のプロセス(簡単な流れ)
- ユーザー(PS5)が「playstation.com」にアクセスしたい、と要求する。
- PS5は設定されているキャッシュDNSサーバー(例:プロバイダーのDNSやGoogle Public DNSなど)に「playstation.comのIPアドレスを教えてください」と問い合わせる。
- キャッシュDNSサーバーは、自分のキャッシュに「playstation.com」のIPアドレスがあるか確認する。
- A. キャッシュにある場合: キャッシュされていたIPアドレスをPS5に即座に応答する。
- B. キャッシュにない場合: インターネット上のルートDNSサーバー、TLD(トップレベルドメイン).comのDNSサーバー、そして「playstation.com」の権威DNSサーバーといった階層を順にたどりながら、正しいIPアドレスを見つけ出す。
- キャッシュDNSサーバーは、見つけ出した「playstation.com」のIPアドレスをPS5に応答する。同時に、この情報を自分のキャッシュにも保存しておく。
- PS5は取得したIPアドレスを使って、目的の「playstation.com」サーバーに直接接続しに行く。
この一連の名前解決のプロセスが速ければ速いほど、ユーザーは待たされる時間が短くなり、インターネットアクセスがスムーズに感じられます。利用するキャッシュDNSサーバーによって、この名前解決の速度や、キャッシュの精度、そしてセキュリティ機能などが異なります。
第3章:PS5でDNS設定をするための準備と基本的なネットワーク設定画面
DNS設定を行う前に、PS5のネットワーク設定画面にアクセスする方法を確認しておきましょう。
3.1 PS5の設定画面へのアクセス
PS5の各種設定は、ホーム画面右上にある歯車アイコンからアクセスできます。
- PS5のホーム画面を開きます。
- 画面の右上にある歯車(設定)アイコンを選択し、✕ボタンで決定します。
これでPS5の「設定」メニューが開きます。ここから様々な本体設定を行うことができます。
3.2 ネットワーク設定画面への移動
設定メニューの中から、ネットワーク設定に関する項目を探します。
- 「設定」メニューが開いたら、左側のリストから「ネットワーク」を選択し、✕ボタンで決定します。
これでPS5のネットワーク設定画面が表示されます。ここには、インターネット接続の状態確認や、各種ネットワーク設定を行うための項目が並んでいます。
3.3 インターネット接続の設定に進む
ネットワーク設定画面には、「接続状況」「設定」「高度な設定」などの項目があります。DNS設定を行うためには、「設定」の中にある「インターネット接続を設定する」を選択します。
- 「ネットワーク」メニューが表示されたら、左側のリストから「設定」を選択します。
- 右側に表示される項目の中から、「インターネット接続を設定する」を選択し、✕ボタンで決定します。
これで、現在PS5に設定されているインターネット接続の一覧が表示されます。有線LANで接続している場合は「LANケーブル」、Wi-Fiで接続している場合は接続しているWi-Fiネットワークの名前が表示されているはずです。
3.4 現在の接続を選択し詳細設定へ
DNS設定は、個別の接続設定に対して行います。現在PS5が利用している、または設定を変更したい接続方法(有線または無線)を選択します。
- 表示された接続一覧の中から、DNS設定を変更したい接続方法を選択します。(例:「LANケーブル」またはお使いのWi-Fiネットワーク名)
- 選択した接続方法の上で✕ボタンを押すと、「オプション」メニューが開きます。
- 開いたオプションメニューの中から「詳細設定」を選択し、✕ボタンで決定します。
これで、IPアドレス設定、DHCPホスト名、DNS設定、MTU設定、プロキシーサーバーといった、より詳細なネットワーク設定項目が表示されます。
第4章:PS5でDNS設定をする具体的な手順
いよいよ、PS5でDNSサーバーを手動で設定する具体的な手順を解説します。
4.1 DNS設定の項目を見つける
詳細設定画面の中に、「DNS設定」という項目があります。
- 詳細設定画面が表示されたら、画面を下にスクロールして「DNS設定」という項目を探します。
初期状態では、この項目は「自動」に設定されているはずです。これは、ルーター(またはDHCPサーバー)から自動的に配布されたDNSサーバー情報を使用するという意味です。
4.2 DNS設定を「手動」に変更する
DNSサーバーのIPアドレスをご自身で指定するためには、「DNS設定」の項目を「手動」に変更する必要があります。
- 「DNS設定」の項目を選択した状態で✕ボタンを押します。
- 表示される選択肢の中から「手動」を選択し、✕ボタンで決定します。
「手動」を選択すると、その下に「主DNS」と「副DNS」という入力欄が表示されます。
4.3 主DNSと副DNSを入力する
「主DNS」と「副DNS」の入力欄に、使用したいDNSサーバーのIPアドレスを入力します。
- 主DNS(プライマリーDNS): 最初に利用されるDNSサーバーのIPアドレスを入力します。
- 副DNS(セカンダリーDNS): 主DNSサーバーが応答しない場合や利用できない場合に、代わりに利用されるDNSサーバーのIPアドレスを入力します。通常は、主DNSサーバーと同じ提供元が推奨する副DNSサーバーや、別の信頼できるDNSサーバーのIPアドレスを入力します。必ずしも主DNSと副DNSは同じ提供元のサーバーである必要はありませんが、連携して動作するよう設計されている場合もあります。
入力は、上下左右キーで数字を選択し、確定ボタン(通常✕ボタン)で入力、消去ボタン(通常〇ボタン)で削除、カーソル移動ボタン(方向キー)で桁移動を行います。IPアドレスは xxx.xxx.xxx.xxx
というドットで区切られた4つの数字の組(IPv4の場合)なので、ドットの部分も忘れずに入力してください。
例:Google Public DNSの場合
* 主DNS: 8.8.8.8
* 副DNS: 8.8.4.4
例:Cloudflare 1.1.1.1の場合
* 主DNS: 1.1.1.1
* 副DNS: 1.0.0.1
使用したいDNSサーバーのIPアドレスは、後述の「おすすめの無料パブリックDNSサーバー」の章で紹介します。事前に、利用したいDNSサーバーの主DNSと副DNSのIPアドレスを控えておきましょう。
4.4 その他の設定項目(参考)
DNS設定以外にも、詳細設定画面にはいくつかの項目があります。DNS設定の変更とは直接関係ありませんが、それぞれの意味を簡単に解説します。
- IPアドレス設定: PS5に割り当てるIPアドレスの設定方法。「自動」にするとルーターから自動的に割り当てられます。「手動」にすると、IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、そしてここで設定するDNSサーバーアドレスを全て手動で入力する必要があります。通常は「自動」のままで問題ありません。
- DHCPホスト名: DHCPサーバー(通常はルーター)に通知するPS5の名前。通常は設定不要です。
- MTU設定: Maximum Transmission Unitの略で、一度に送信できるデータの最大サイズです。「自動」で問題ない場合がほとんどですが、特定のネットワーク環境で通信が不安定な場合に「手動」で調整することがあります(通常は1492または1452などの値を設定しますが、これは専門的な知識が必要です。安易な変更は推奨しません)。DNS設定とは直接関係ありません。
- プロキシーサーバー: インターネットアクセスを中継するサーバーの設定。通常は「使わない」で問題ありません。特定の企業ネットワークや学校などで使用されることがあります。
今回はDNS設定のみを変更するため、「DNS設定」以外の項目は原則として「自動」や「使わない」のまま変更しないでください。
4.5 設定を完了する
主DNSと副DNSのIPアドレスを入力し終えたら、画面右下にある「OK」を選択し、✕ボタンで設定を完了させます。
これで、PS5のネットワーク設定において、指定したDNSサーバーが使用されるようになります。
第5章:おすすめの無料パブリックDNSサーバー
PS5のDNS設定で手動入力する際に、どのDNSサーバーのIPアドレスを入力すれば良いのでしょうか?ここでは、個人が無料で利用できる、代表的なパブリックDNSサーバーをいくつかご紹介します。それぞれの特徴を比較し、ご自身の目的に合ったものを選ぶ参考にしてください。
※IPアドレスは執筆時点のものです。変更される可能性は低いですが、念のため各提供元の公式サイトで最新情報をご確認ください。また、IPv6アドレスも提供されている場合がありますが、ここではIPv4アドレスに絞って紹介します。
5.1 Google Public DNS
- 主DNS (IPv4):
8.8.8.8
- 副DNS (IPv4):
8.8.4.4
- 特徴:
- 高い安定性: 世界中に多数のサーバーが配置されており、非常に安定したサービスを提供しています。
- 高速性: 高速な名前解決を目指して設計されています。多くのユーザーにとって、プロバイダーのDNSよりも速い応答が得られる場合があります。
- シンプル: セキュリティフィルタリングなどの付加機能はありません。純粋に高速で正確な名前解決を提供します。
- プライバシー: 問い合わせ内容はキャッシュ目的で一定期間保持される場合がありますが、個人特定情報はログしないとされています。詳細なプライバシーポリシーは確認が必要です。
- こんな人におすすめ: 特にこだわりはなく、安定していて高速なDNSサーバーを試したい、という場合に最適です。世界中で最も広く利用されているパブリックDNSの一つです。
5.2 Cloudflare 1.1.1.1
- 主DNS (IPv4):
1.1.1.1
- 副DNS (IPv4):
1.0.0.1
- 特徴:
- 非常に高速: Google Public DNSと並び、あるいはそれを凌ぐ速度で名前解決ができると評価されています。
- 高いプライバシー: ユーザーの問い合わせ履歴を一切ログしないことを強く謳っています。プライバシーを重視するユーザーにとって魅力的な選択肢です。
- 基本的なセキュリティ: 悪意のあるサイトのブロック機能はありません(後述の1.1.1.2/1.1.1.3を除く)。
- こんな人におすすめ: 速度とプライバシーを特に重視するユーザーにおすすめです。シンプルで高速な名前解決を求める場合に適しています。
5.3 Cloudflare 1.1.1.2 (Malware Blocking) / 1.1.1.3 (Family)
Cloudflareは、基本的な1.1.1.1/1.0.0.1とは別に、セキュリティ機能が付加されたDNSサーバーも提供しています。
-
Cloudflare 1.1.1.2 (Malware Blocking)
- 主DNS (IPv4):
1.1.1.2
- 副DNS (IPv4):
1.0.0.2
- 特徴: 悪意のあるサイト(マルウェア配布サイトなど)へのアクセスをブロックします。
- こんな人におすすめ: セキュリティリスクを少しでも減らしたい場合に。
- 主DNS (IPv4):
-
Cloudflare 1.1.1.3 (Family)
- 主DNS (IPv4):
1.1.1.3
- 副DNS (IPv4):
1.0.0.3
- 特徴: 悪意のあるサイトに加え、成人向けコンテンツなどの不適切なサイトへのアクセスもブロックします(ファミリー向けフィルタリング)。
- こんな人におすすめ: 小さなお子さんがいる家庭などで、PS5からのインターネットアクセスにフィルタリングをかけたい場合に。
- 主DNS (IPv4):
5.4 OpenDNS
- OpenDNS Home (無料版)
- 主DNS (IPv4):
208.67.222.222
- 副DNS (IPv4):
208.67.220.220
- 特徴:
- 高いセキュリティとフィルタリング: フィッシング詐欺サイトやマルウェアサイトのブロック機能に加え、カテゴリ別のサイトフィルタリング機能が非常に充実しています。Webサイト上でアカウントを作成し、詳細なフィルタリング設定を行うことも可能です(ただし、PS5単体ではなくルーター側で設定した方が効果的な場合が多いです)。
- 安定性: 長年の運用実績があり、安定しています。
- こんな人におすすめ: セキュリティや、特定の種類のサイトへのアクセスを細かく制御したい場合に。PS5だけでなく、家庭内の他のデバイスも含めてフィルタリングをかけたい場合は、ルーターでの設定も検討しましょう。
- 主DNS (IPv4):
5.5 Quad9
- 主DNS (IPv4):
9.9.9.9
- 副DNS (IPv4):
149.112.112.112
- 特徴:
- セキュリティ特化: 悪意のあるサイト(マルウェア、フィッシングなど)へのアクセスを積極的にブロックすることを主な目的としています。複数のセキュリティインテリジェンスプロバイダーからの脅威情報を利用しています。
- プライバシー: ユーザーの個人情報をログしないと謳っています。
- 安定性: 世界中にサーバーを展開しており、安定したサービスを提供しています。
- こんな人におすすめ: セキュリティを最優先したいユーザーにおすすめです。
5.6 プロバイダーのDNSサーバー
通常、自動設定で使われるのは、契約しているインターネットプロバイダーが提供するDNSサーバーです。
- 特徴:
- 地域的な近さ: 多くの場合、利用者の地理的な場所に近い場所にサーバーが設置されているため、物理的な距離による遅延が少なくなる可能性があります。
- プロバイダーサービスの連携: プロバイダー独自のサービス(地域限定コンテンツなど)との連携がスムーズな場合があります。
- 安定性: プロバイダーが運用しているため、基本的な安定性は確保されています。
- こんな人におすすめ: 特に問題を感じていない場合や、複雑な設定をしたくない場合に。まずはプロバイダーのDNSで試してみて、改善が見られない場合にパブリックDNSを試す、というアプローチも良いでしょう。
どのDNSを選ぶべきか?
- 速度重視: Google Public DNS (8.8.8.8 / 8.8.4.4) または Cloudflare 1.1.1.1 (1.1.1.1 / 1.0.0.1) を試してみてください。どちらが速いかは、お住まいの地域やプロバイダー、時間帯などによって変わることがあります。両方を試して、より体感速度が良い方を選択するのがおすすめです。
- プライバシー重視: Cloudflare 1.1.1.1 (1.1.1.1 / 1.0.0.1) または Quad9 (9.9.9.9 / 149.112.112.112) が候補になります。
- セキュリティ重視: Quad9 (9.9.9.9 / 149.112.112.112) または Cloudflare 1.1.1.2 (1.1.1.2 / 1.0.0.2) を検討してください。
- フィルタリング重視: OpenDNS (208.67.222.222 / 208.67.220.220) または Cloudflare 1.1.1.3 (1.1.1.3 / 1.0.0.3) が適しています。
まずはGoogle Public DNSかCloudflare 1.1.1.1のどちらかを試してみるのが良いスタート地点となるでしょう。設定後にインターネット接続テストを行い、問題なく接続できるか確認してください。そして、実際にゲームやアプリを起動して、速度や安定性が体感できるか試してみるのが重要です。
第6章:DNS設定後の確認とテスト
DNS設定を手動で行ったら、それが正しく機能しているか、そしてインターネットに問題なく接続できるかを確認することが非常に重要です。
6.1 設定完了の確認
主DNSと副DNSのアドレスを入力し、「OK」を選択して詳細設定画面を閉じると、PS5はネットワーク設定を適用しようとします。この際、一時的にネットワーク接続が切断されることがあります。
設定が完了すると、元のネットワーク設定画面に戻ります。
6.2 インターネット接続テストの実行
設定が正しく適用され、インターネットに接続できるかを確認するために、PS5標準のインターネット接続テストを実行します。
- 「ネットワーク」メニューの左側リストから「接続状況」を選択します。
- 右側に表示される項目の中から「インターネット接続を診断」を選択し、✕ボタンで決定します。
PS5がネットワーク接続の診断を開始します。診断項目は以下の通りです。
- サインイン状況
- インターネット接続
- PlayStation Networkへのサインイン
- IPアドレスの取得
- インターネット接続の種類 (有線/無線)
- DNS設定
- NATタイプ
- 通信速度(ダウンロード/アップロード)
この診断結果で、「DNS設定」の項目が「成功」と表示されていれば、設定したDNSサーバーがPS5から認識され、名前解決に利用できる状態にあることを示しています。
もし「失敗」と表示された場合は、入力したIPアドレスに間違いがないか、または指定したDNSサーバーが一時的に利用できない状態になっていないかなどを確認する必要があります(トラブルシューティングの章を参照)。
その他の項目(IPアドレス、PSNサインインなど)も全て「成功」と表示されているか確認しましょう。
6.3 実際の利用シーンでの確認
インターネット接続テストでDNS設定が「成功」と表示されても、それが実際に快適なインターネット体験に繋がっているかは、実際の利用シーンで確認する必要があります。
- PlayStation Storeへのアクセス: ストアの表示速度や、画像の読み込み速度が以前より速く感じられるか確認します。
- ゲームの起動・オンライン接続: オンラインゲームの起動時間、サーバーへの接続時間、マッチング時間などに変化があるか確認します。
- ゲームのダウンロード/アップデート: ダウンロード速度に変化があるか確認します。ただし、ダウンロード速度はゲームサーバー側の帯域や、あなたのインターネット回線全体の速度にも大きく依存するため、DNS設定だけで劇的に向上するとは限りません。
- メディアアプリの利用: YouTubeやNetflixなどのアプリでの動画読み込み速度や再生開始までの時間に変化があるか確認します。
これらの体感速度が、設定前と比べて改善されているか、あるいは少なくとも悪化していないかを確認します。もし明らかに遅くなったり、特定のサイトやサービスにアクセスできなくなったりした場合は、設定を見直すか、元の設定に戻すことを検討してください。
6.4 DNSキャッシュについて(参考)
インターネット上の多くの機器は、DNSサーバーから一度取得した名前解決の結果を一時的に「キャッシュ」として保存しておきます。これにより、同じドメインに再度アクセスする際に、毎回DNSサーバーに問い合わせる手間を省き、高速化を図っています。
PS5本体にDNSキャッシュ機能があるかは明確ではありませんが、通常はルーターやPC、OSなどがキャッシュを持っています。
PS5のDNS設定を変更した場合、その変更がすぐにシステム全体に反映されない可能性もゼロではありません。特に、以前の名前解決結果がキャッシュに残っている場合は、新しいDNSサーバーがすぐに使われないことがあります。
PS5本体で直接DNSキャッシュをクリアする機能は提供されていません。もし設定変更後に挙動がおかしい場合は、PS5本体の再起動や、接続しているルーターの再起動を試してみることで、関連するキャッシュがクリアされ、新しい設定が完全に反映されることがあります。
第7章:DNS設定による効果と注意点
PS5でDNS設定を変更することで期待できる効果と、知っておくべき注意点やデメリットについて、さらに詳しく掘り下げて解説します。
7.1 DNS設定で期待できる主な効果
前述の章でも触れましたが、ここでは改めて、DNS設定変更によって具体的にどのような効果が期待できるのかをまとめます。
- 名前解決の高速化:
- あなたのPS5がDNSサーバーに問い合わせてから応答が返ってくるまでの時間を「ラウンドトリップタイム (RTT)」と呼びます。応答速度の速いDNSサーバーを利用することで、このRTTが短縮され、名前解決の処理が速くなります。
- 特に、アクセスするドメインが多い場合(例えば、ウェブページを構成する様々なコンテンツを読み込む際など)や、オンラインゲームで複数のサーバーに接続するような場合に、全体的な読み込み時間や接続時間のごくわずかな短縮に繋がる可能性があります。
- ただし、この速度向上はミリ秒単位の世界であるため、回線速度そのものが遅い場合や、接続先のサーバーが遠い・遅い場合など、DNS以外の要因が大きい場合は体感しにくいことがあります。
- ウェブサイトやサービスの表示・接続安定化:
- プロバイダーのDNSサーバーが一時的に不安定になったり、応答が遅延したりすることが稀にあります。このような場合、別の信頼性の高いパブリックDNSサーバーに切り替えることで、名前解決がスムーズに行われ、ウェブサイトが表示されない、ゲームに接続できないといったトラブルを回避できる可能性があります。
- セキュリティの向上(対応DNSサーバーの場合):
- 一部のパブリックDNSサーバー(例:Quad9, Cloudflare 1.1.1.2/1.1.1.3, OpenDNS)は、既知のマルウェアサイト、フィッシングサイト、その他の悪意のあるドメインのリストを持っています。
- PS5からこれらの悪意のあるドメインへの名前解決リクエストがあった場合、DNSサーバーは正しいIPアドレスではなく、警告ページや存在しないことを示す応答を返します。これにより、ユーザーが意図せず危険なサイトにアクセスしてしまうのを未然に防ぐことができます。
- これは特に、Webブラウザ機能を使って不特定多数のサイトを閲覧する場合や、ゲーム内広告、あるいはゲーム外で入手した情報に基づいてアクセスするサイトなどにおいて有効です。
- コンテンツフィルタリング(対応DNSサーバーの場合):
- ファミリー向けのDNSサーバー(例:Cloudflare 1.1.1.3, OpenDNS)は、成人向けコンテンツ、暴力的なコンテンツなど、特定のカテゴリに分類されるサイトへのアクセスをブロックする機能を提供します。
- これにより、PS5を通じて不適切なコンテンツにアクセスできないように設定できます。ただし、PS5にはペアレンタルコントロール機能も搭載されており、DNS設定と併用することで、より厳格な制限をかけることができます。
7.2 DNS設定の注意点とデメリット
DNS設定を変更する際には、いくつかの注意点と潜在的なデメリットも理解しておく必要があります。
- 設定ミスによるインターネット接続不可:
- 主DNSや副DNSのIPアドレスを誤って入力したり、存在しないIPアドレスを入力したりすると、PS5は名前解決ができなくなり、インターネットに全く接続できなくなる可能性があります。
- この場合、設定を元に戻す(自動設定に戻すか、正しいIPアドレスを入力し直す)必要があります。
- プロバイダーによっては影響が出る可能性:
- 非常に稀ですが、一部のプロバイダーが提供する特定のサービスやコンテンツは、プロバイダー独自のDNSサーバーを利用することを前提としている場合があります。このようなサービスは、パブリックDNSサーバーに変更すると利用できなくなる可能性があります。ただし、これは一般的なケースではなく、ほとんどのインターネットサービスは特定のDNSに依存しません。
- 必ずしも速度が向上するわけではない:
- DNSの名前解決にかかる時間は、インターネット接続全体の遅延要素の一部に過ぎません。回線自体の速度制限、ルーターの性能、Wi-Fiの電波状況、接続先のサーバーの負荷、ゲームサーバーまでの物理的な距離(Ping値)など、他の多くの要因が通信速度やラグに影響します。
- DNS設定を変更しても、これらの他の要因がボトルネックになっている場合は、体感できるほどの速度向上は得られないことがあります。
- むしろ、お住まいの地域によっては、プロバイダーのDNSサーバーの方が地理的に近く、応答が速い場合もあります。
- プライバシーに関する考慮:
- 利用するパブリックDNSサーバーの提供元は、あなたのPS5(またはインターネット上の他のデバイス)がどのようなドメインにアクセスしようとしたか、という情報(問い合わせ履歴)を知ることができます。
- 多くの reputable なパブリックDNS提供者(Google, Cloudflare, Quad9など)は、個人を特定できる情報をログしないことや、プライバシーを保護することを強く謳っていますが、そのポリシーや信頼性は提供元によって異なります。プライバシーを重視する場合は、ポリシーをよく確認し、信頼できる提供元を選択することが重要です。
- 地域限定サービスへの影響:
- 一部のウェブサイトやオンラインサービスは、アクセス元のIPアドレスや利用しているDNSサーバーの情報に基づいて、提供するコンテンツやサービスを地域によって変更したり、制限したりする場合があります(ジオターゲティング)。
- 特に、地域に特化したコンテンツや、国や地域によって配信権が異なる動画サービスなどを利用する際に、利用するDNSサーバーによっては予期しない影響が出ることがあります。
- フィルタリングによる誤検出:
- セキュリティやフィルタリング機能を持つDNSサーバーは、安全なサイトを誤って悪意のあるサイトや不適切なサイトとしてブロックしてしまう(誤検出)可能性がゼロではありません。特定のウェブサイトやゲームサービスにアクセスできなくなった場合は、利用しているDNSサーバーのフィルタリング機能が影響していないか確認する必要があります。
これらの注意点を踏まえ、DNS設定を変更する際は、そのメリットとデメリットを理解した上で、慎重に行うことが大切です。そして、設定後は必ず動作確認と、可能であれば体感速度の比較を行うことを強く推奨します。もし問題が発生した場合は、すぐに元の設定に戻せるように、デフォルト設定のIPアドレスを控えておくか、「自動」に戻す手順を覚えておきましょう。
第8章:トラブルシューティング – うまくいかないときは?
DNS設定を変更した後、インターネットに接続できなくなった、特定のサービスにアクセスできなくなった、あるいは期待した効果が得られない、といった問題が発生した場合の対処法を解説します。
8.1 インターネットに接続できなくなった場合
最も深刻なトラブルは、インターネットに全く接続できなくなることです。これは通常、入力したDNSサーバーのIPアドレスが間違っているか、そのDNSサーバーが利用できない状態にある場合に発生します。
- 入力したIPアドレスを確認する: PS5の詳細設定画面に戻り、主DNSと副DNSとして入力したIPアドレスが正しいか、一桁ずつ慎重に確認してください。ドット (.) の位置も重要です。もし間違っていたら、正しいIPアドレスに修正して再度「OK」で設定を完了させます。
- 元の「自動」設定に戻す: 入力したIPアドレスが正しいはずなのに接続できない場合は、一時的に元の自動設定に戻してみましょう。詳細設定画面の「DNS設定」を「自動」に変更し、「OK」で完了させます。その後、インターネット接続テストを実行し、正常に接続できるか確認します。自動設定で接続できるのであれば、PS5本体や回線自体に問題がある可能性は低く、設定しようとしたDNSサーバー側に問題がある、またはそのDNSサーバーがお使いのネットワーク環境と相性が悪い可能性があります。
- 別のパブリックDNSサーバーを試す: もし特定のパブリックDNSサーバー(例: Google Public DNS)で接続できない場合、別のパブリックDNSサーバー(例: Cloudflare 1.1.1.1)のIPアドレスを入力して試してみるのも有効です。
- 指定したDNSサーバーの稼働状況を確認する: 利用しようとしているパブリックDNSサーバーが、メンテナンス中などで一時的に停止している可能性もゼロではありません。PCやスマートフォンなど、別のデバイスからそのDNSサーバーの公式ウェブサイトや関連情報を確認してみましょう。
- ルーターやモデムの再起動: DNS設定とは直接関係ないネットワーク機器の問題が原因の場合もあります。接続しているルーターやモデムの電源を一度切り、数分待ってから再度電源を入れ、完全に起動するのを待ってからPS5の接続テストを再度実行してみてください。これにより、ルーター内に蓄積された不要な情報やキャッシュがクリアされ、問題が解決することがあります。
8.2 特定のウェブサイトやサービスにアクセスできない場合
インターネットには接続できるものの、特定のウェブサイトが表示されない、特定のゲームのオンライン機能が利用できない、といった場合は、利用しているDNSサーバーのフィルタリング機能や、そのDNSサーバーがお使いの環境やサービスと相性が悪い可能性が考えられます。
- DNSサーバーのフィルタリング機能を確認する: 利用しているDNSサーバー(特にセキュリティやフィルタリング機能を持つもの)が、誤ってそのサイトやサービスをブロック対象としている可能性があります。可能であれば、別の(フィルタリング機能を持たない)パブリックDNSサーバー(例: Google Public DNS 8.8.8.8)に変更してアクセスできるか試してみてください。これでアクセスできるようになった場合は、元のDNSサーバーのフィルタリングが原因である可能性が高いです。
- 別のデバイスからアクセスできるか確認する: 同じネットワークに接続しているPCやスマートフォンから、問題のサイトやサービスにアクセスできるか確認します。もし他のデバイスからもアクセスできない場合は、DNSサーバー以外のネットワーク全体やサービス側に問題がある可能性が高くなります。
- ゲームやアプリの再起動: PS5本体だけでなく、問題が発生しているゲームやアプリケーション自体を一度終了し、再起動してみることで問題が解決することがあります。
8.3 速度が向上しない、むしろ遅くなった場合
DNS設定を変更したのに、期待した速度向上効果が得られない、あるいはかえって遅くなったと感じる場合。
- 設定前の状態と比較する: 設定前に感じていた速度と、設定後の体感速度を冷静に比較してみましょう。ダウンロード速度などの具体的な数値は、PS5の接続テストで確認できますが、これは瞬間的な速度であり、常にその速度が出るとは限りません。
- 別のパブリックDNSサーバーを試す: 速度は、利用者の地理的な位置とDNSサーバーの位置、そして両者の間のネットワーク経路によって大きく影響されます。あるDNSサーバーが他の人にとって高速でも、あなたにとってそうとは限りません。Google Public DNS、Cloudflare 1.1.1.1など、複数の高速を謳うパブリックDNSサーバーをそれぞれ試してみて、最も体感速度が良いもの、または接続テストで良い数値が出たものを選択するのが現実的なアプローチです。
- 元の「自動」設定に戻す: プロバイダーのDNSサーバーが、お住まいの地域に最も近く、速度的に最適である可能性も十分にあります。パブリックDNSを試した結果、自動設定時よりも遅くなったと感じる場合は、迷わず自動設定に戻しましょう。
- 他のネットワーク要因を考慮する: 前述の通り、DNSの名前解決速度は多くの遅延要因の一つに過ぎません。回線速度が低い、Wi-Fiの電波が弱い、ルーターが古い、他のデバイスが大量に通信している、ゲームサーバー自体に負荷がかかっている、といった要因の方が、体感速度に大きく影響している可能性が高いです。これらの要因を改善することも、快適なオンライン環境のためには重要です。例えば、PS5を有線LANで接続する、ルーターを最新のものに交換する、といった対策の方が、DNS設定変更よりも効果が高い場合があります。
8.4 ルーターやモデムの再起動
多くのネットワークトラブルにおいて、ルーターやモデムの再起動は非常に有効な手段です。これらの機器は長時間稼働していると、内部で問題が発生したり、キャッシュが古くなったりすることがあります。電源を完全に落として再起動することで、状態がリフレッシュされ、問題が解決することがあります。
8.5 PS5本体の再起動
PS5本体の一時的な不具合や、ネットワーク設定の適用漏れなども考えられます。PS5本体を再起動することで、システムの状態がリフレッシュされ、設定が正しく適用されることがあります。単なるスタンバイではなく、完全に電源を切ってから再度起動するのがより確実です。
トラブルが発生した場合は、焦らずに一つずつ原因を探り、基本的な対処法から試していくことが重要です。そして、どうしても問題が解決しない場合は、インターネットプロバイダーや、利用しているDNSサーバーの提供元に問い合わせることも検討しましょう。
第9章:より深い理解のために(発展的な内容)
PS5のDNS設定に関しては、基本的な手動設定ができれば多くの目的は達成できますが、DNSに関連するもう少し発展的な知識にも触れておきましょう。
9.1 DNS over TLS (DoT) / DNS over HTTPS (DoH)
近年、DNSの通信を暗号化する技術として、DNS over TLS (DoT) や DNS over HTTPS (DoH) が注目されています。
- 従来のDNS: 従来のDNSの名前解決リクエストや応答は、暗号化されずに平文でインターネット上を流れています。これは、悪意のある第三者による盗聴や改ざん(偽のIPアドレスに誘導されるなど)、あるいはインターネットサービスプロバイダーによるユーザーのアクセス履歴の把握といったプライバシーやセキュリティ上の懸念につながります。
- DoT / DoH: DoTはTLS(HTTPSでも使われている暗号化技術)を使ってDNS通信を暗号化します。DoHはHTTP/2プロトコル上でDNS通信を行い、これもTLSで暗号化します。これらの技術を利用することで、DNS通信のプライバシーとセキュリティが向上します。インターネットサービスプロバイダーや途中の第三者が、あなたがどのドメインにアクセスしようとしているかを知ることが難しくなります。
PS5について:
残念ながら、執筆時点(2024年春)において、PS5のネットワーク設定画面には、これらのDoTやDoHを利用するための明示的な設定項目はありません。 PS5がこれらの技術をサポートしているかどうかは不明ですが、標準的なネットワーク設定画面からでは設定できないため、PS5単体でDoT/DoHのメリットを直接享受することは難しいです。
ただし、ルーター側がDoTやDoHをサポートしている場合、ルーターでこれらの設定を行うことで、ルーター配下の全てのデバイス(PS5を含む)のDNS通信を暗号化することが可能です。ご自宅のルーターが高機能なモデルであれば、設定メニューを確認してみる価値はあります。
DoTやDoHは、DNSのプライバシーとセキュリティを向上させる重要な技術動向として、今後のネットワーク機器やOSでの対応が進んでいくと考えられます。
9.2 地域によって最適なDNSが異なる理由
前述の「おすすめのDNS」の章でも触れましたが、どのDNSサーバーが最も速いかは、お住まいの地域によって異なります。これは主に「物理的な距離」と「ネットワーク経路」が関係しています。
- 物理的な距離: データがインターネット上を移動する際には、物理的な距離に応じた遅延(レイテンシ)が発生します。DNSサーバーがあなたのPS5から地理的に近ければ近いほど、応答が速くなる傾向があります。パブリックDNS提供者は世界中にサーバーを分散配置していますが、どの地域にどれだけサーバーがあるかは提供者によって異なります。
- ネットワーク経路: インターネット上のデータ通信は、様々なネットワーク事業者を経由して行われます。あるDNSサーバーへの経路が混雑していたり、多くの経由地があったりすると、物理的な距離が近くても遅延が大きくなることがあります。プロバイダーのDNSサーバーは、プロバイダー自身のネットワーク内で名前解決が完結することが多く、経路がシンプルで速い場合があります。
そのため、最適なDNSサーバーを見つけるためには、複数のパブリックDNSサーバーやプロバイダーのDNSサーバーを実際に試してみて、PS5の接続テストの数値(特にpingや通信速度)や体感速度を比較することが最も確実な方法です。
9.3 DNSサーバーの障害について
どのようなサービスも完璧ではありません。DNSサーバーも例外ではなく、ごく稀に障害が発生することがあります。大規模なパブリックDNSサーバーは堅牢なシステムと世界的な分散配置によって障害のリスクを低減していますが、プロバイダーのDNSサーバーを含め、全てのDNSサーバーには障害の可能性がゼロではありません。
DNSサーバーに障害が発生すると、名前解決ができなくなるため、インターネット上のウェブサイトやサービスに全くアクセスできなくなります。ウェブサイトが表示されなかったり、オンラインゲームに接続できなかったりといった症状が出た場合、利用しているDNSサーバーの障害も原因の一つとして考慮する必要があります。
このような場合に備えて、主DNSと副DNSには、それぞれ別のDNSサーバー(例えば、主DNSにGoogle Public DNS、副DNSにCloudflare 1.1.1.1など)を設定しておくと、主DNSに障害が発生した場合でも副DNSが代わりに機能するため、接続の安定性が向上する可能性があります。ただし、これは主DNSと副DNSが完全に独立して機能する場合の話であり、同じ提供元のサーバーを主副に設定した場合は、提供元全体に障害が発生すると両方とも利用できなくなる可能性があります。
また、特定のDNSサーバーに障害が発生しているかどうかは、その提供元の公式サイトや、Downdetectorのようなサービスで確認できる場合があります。
第10章:まとめ – あなたに最適なDNS設定を見つけよう
この記事では、PS5のDNS設定について、その基本的な仕組みから具体的な設定方法、おすすめのDNSサーバー、期待できる効果と注意点、そしてトラブルシューティングまで、詳細に解説してきました。
この記事で学んだことの要点:
- DNSは、インターネット上のドメイン名とIPアドレスを結びつける「住所録」のような役割を果たします。
- PS5がインターネット上のサービスにアクセスする際には、必ずDNSサーバーによる名前解決が行われます。
- PS5のネットワーク設定でDNSサーバーを手動で指定することで、名前解決の速度や安定性、セキュリティなどを向上できる可能性があります。
- 設定は「設定」->「ネットワーク」->「設定」->「インターネット接続を設定する」から、利用中の接続方法を選択し「詳細設定」へ進み、「DNS設定」を「手動」にして主DNSと副DNSのIPアドレスを入力します。
- Google Public DNS (8.8.8.8/8.8.4.4) や Cloudflare 1.1.1.1 (1.1.1.1/1.0.0.1) など、無料で利用できる様々なパブリックDNSサーバーがあり、それぞれ速度、プライバシー、セキュリティ機能などの特徴が異なります。
- DNS設定変更後は、必ずインターネット接続テストを行い、実際にゲームやアプリで動作確認をすることが重要です。
- DNS設定変更は必ずしも速度向上を保証するものではなく、設定ミスや相性によって問題が発生する可能性もあります。問題が発生した場合は、落ち着いてトラブルシューティングを行い、必要であれば元の設定に戻しましょう。
- DNS over TLS/HTTPSのような新しい技術も存在しますが、PS5単体では現時点(2024年春)で直接設定することはできません。
あなたに最適なDNS設定を見つけるために:
- 目的を明確にする: あなたは速度向上を一番に求めていますか?それともセキュリティやフィルタリングですか?目的に合った特徴を持つDNSサーバー候補をいくつか選びましょう。
- 複数のDNSサーバーを試す: 候補となるパブリックDNSサーバー(Google Public DNS、Cloudflare 1.1.1.1など)のIPアドレスを控えておき、PS5で一つずつ設定して試してみましょう。
- 接続テストと体感速度の比較: それぞれのDNSサーバーを設定した後、必ずPS5の接続テストを行い、「DNS設定」が成功していること、および通信速度の数値を確認します。そして、実際にゲームをプレイしたり、PlayStation Storeにアクセスしたりして、体感速度がどう変化するかを比較します。
- デフォルト(自動)設定と比較する: パブリックDNSサーバーだけではなく、プロバイダーのDNSサーバー(自動設定時のもの)が最も快適な場合もあります。パブリックDNSサーバーを試す前に、現在の自動設定での状態を把握しておき、比較できるようにしておきましょう。
- 問題が発生したら元に戻す: もし新しいDNS設定でインターネットに接続できなくなったり、特定のサービスが利用できなくなったりした場合は、すぐに元の設定(通常は自動設定)に戻しましょう。
DNS設定は、インターネット接続の多くの側面に関わる重要な設定ですが、同時に、あなたのネットワーク環境や利用目的によって最適な設定が異なる、非常にパーソナルな設定でもあります。ぜひこの記事を参考に、色々なDNSサーバーを試してみて、ご自身のPS5でのオンライン体験をさらに快適にするための、最適なDNS設定を見つけてください。
安全で快適なPS5ライフを!