AWS CLIのバージョン確認方法を徹底解説:重要性、確認コマンド、v1/v2の違い、応用例、トラブルシューティングまで
クラウドコンピューティングの黎明期から現在に至るまで、Amazon Web Services (AWS) は圧倒的なサービスラインナップと信頼性で、世界中の開発者や企業に利用されています。そのAWSを操作するための最も基本的なツールのひとつが、AWS Command Line Interface (AWS CLI) です。AWS CLIを使うことで、コマンドラインからAWSの各種サービス(EC2, S3, Lambda, RDSなど)を操作し、リソースの管理、デプロイ、自動化を行うことができます。
AWS CLIは頻繁にアップデートされており、新しい機能の追加、既存機能の改善、バグ修正、セキュリティパッチの適用などが行われています。そのため、現在自分が使っているAWS CLIのバージョンを正確に把握しておくことは、AWSを使った開発や運用において非常に重要です。
本記事では、AWS CLIのバージョン確認方法に焦点を当て、その基本的なコマンドから、なぜバージョン確認が重要なのか、v1とv2の大きな違い、様々な環境での確認方法、さらにはバージョン管理の重要性やトラブルシューティングまで、詳細かつ網羅的に解説していきます。この記事を読むことで、AWS CLIのバージョンに関する知識を深め、日々のAWS操作をより効率的かつ安全に行えるようになることを目指します。
はじめに:なぜAWS CLIのバージョン確認が重要なのか?
AWS CLIは、AWSリソースをプログラムから操作するための強力なツールです。コマンドラインからAWSサービスと直接対話できるため、手動での操作では時間のかかる作業を自動化したり、複雑な設定を一括で行ったりすることが可能になります。開発、デプロイ、運用、監視など、あらゆる場面でAWS CLIは不可欠な存在と言えるでしょう。
しかし、このAWS CLIもソフトウェアである以上、常に進化し続けています。新しいAWSサービスや既存サービスの新しい機能がリリースされるたびに、AWS CLIもそれらをサポートするために更新されます。また、パフォーマンスの向上や、ユーザーからのフィードバックに基づいた改善、セキュリティ上の脆弱性への対応なども、アップデートに含まれます。
このような背景から、あなたが現在使用しているAWS CLIのバージョンを把握しておくことは、以下のような理由で非常に重要になります。
- 機能の互換性: 特定のAWSサービスの新機能を利用するには、その機能をサポートするAWS CLIのバージョンが必要になる場合があります。古いバージョンを使っていると、新しいAPI呼び出しができなかったり、特定のオプションが利用できなかったりすることがあります。
- バグ修正: ソフトウェアにはつきものですが、AWS CLIにもバグが存在する可能性があります。特定のバージョンに存在するバグが、あなたの作業に影響を与えるかもしれません。バージョンを確認し、既知のバグが修正されている最新版を利用することは、予期せぬ問題を避けるために重要です。
- セキュリティ: セキュリティ上の脆弱性が発見された場合、それを修正するためのアップデートが提供されます。最新バージョンを使用することは、潜在的なセキュリティリスクを軽減するために不可欠です。
- パフォーマンス: 新しいバージョンでは、コマンドの実行速度が向上したり、メモリ使用量が削減されたりするなど、パフォーマンスが改善されていることがあります。
- ドキュメントとの整合性: AWS公式ドキュメントや、オンライン上のブログ、チュートリアルなどは、多くの場合最新版のAWS CLIを前提として書かれています。あなたが古いバージョンを使っている場合、ドキュメント通りのコマンドを実行しても期待通りの結果が得られなかったり、オプションの挙動が異なったりすることがあります。
- サポート: サポートを求める際や、問題を報告する際に、使用しているAWS CLIのバージョンを尋ねられることがよくあります。正確なバージョン情報を提供することで、より迅速かつ適切なサポートを受けることができます。
- スクリプトや自動化の信頼性: AWS CLIコマンドを含むスクリプトやCI/CDパイプラインは、特定のバージョンでテストされていることが多いです。本番環境などで使用するAWS CLIのバージョンと開発・テスト環境のバージョンが異なると、予期しないエラーや挙動の違いが発生する可能性があります。
これらの理由から、自分がどのバージョンのAWS CLIを使っているのかを定期的に、あるいは新しい作業に取りかかる前に確認することは、非常に基本的ながらも極めて重要なプラクティスと言えます。この記事では、その「どうやってバージョンを確認するのか」という点に始まり、深く掘り下げて解説していきます。
AWS CLIとは何か?その役割と利点
AWS CLIのバージョン確認方法の詳細に入る前に、まずはAWS CLI自体について改めて理解を深めておきましょう。
AWS CLIは、Amazon Web Servicesが提供するオープンソースのコマンドラインツールです。これにより、ターミナルやコマンドプロンプトから直接、AWSのサービスを操作することができます。AWSマネジメントコンソール(ウェブブラウザからアクセスするGUI)でも同じ操作は可能ですが、AWS CLIには以下のような多くの利点があります。
- 自動化: スクリプトを作成して、複数のAWSコマンドを連続して実行したり、定期的なタスクを自動化したりできます。これは、デプロイメント、バックアップ、監視などの運用タスクを効率化する上で非常に強力です。
- 繰り返し可能な操作: 同じコマンドを何度でも繰り返し実行できます。これは、テスト環境やステージング環境を構築する際に、同じ構成を素早く再現するのに役立ちます。
- 大量操作: GUIでは手間のかかる大量のリソース作成、変更、削除などの操作を、コマンド一つやスクリプトで効率的に行えます。例えば、 hundreds of S3 bucketsを作成するといった作業も容易です。
- リモート操作: SSH接続したサーバー上や、スクリプトが実行される環境(CI/CDパイプラインなど)からAWSリソースを操作できます。
- 詳細な情報取得: GUIでは一覧表示される情報も、CLIを使えば特定の属性だけを抽出したり、JSON形式で取得して他のツールと連携させたりすることが容易です。
- IaC (Infrastructure as Code) との連携: AWS CLIは、TerraformやCloudFormationといったIaCツールで管理されていない部分の操作や、IaCツール自体が内部的に利用するAPIコールの検証などにも役立ちます。
AWS CLIは、Windows、macOS、Linuxなど主要なオペレーティングシステムに対応しており、それぞれのOSに合わせたインストール方法が提供されています。また、Pythonで開発されており、以前のバージョン(v1)ではローカルのPython環境に依存していましたが、現在の主要バージョン(v2)では必要なPython環境がバンドルされているため、より簡単にインストール・利用できるようになっています。
さて、この便利なAWS CLIですが、前述のようにバージョンがいくつか存在し、現在主に利用されているのはバージョン1 (v1) とバージョン2 (v2) です。特にv2は、v1から多くの点が改善されており、公式にもv2の利用が推奨されています。バージョン確認は、自分がどちらのバージョンを使っているのか、そして具体的にどのリビジョン(細かなバージョン番号)を使っているのかを知るための最初のステップとなります。
AWS CLIのバージョン確認方法:基本コマンド aws --version
AWS CLIのバージョンを確認するための最も基本的で、かつ最も一般的に使用されるコマンドは aws --version
です。このコマンドをターミナルやコマンドプロンプトで実行するだけで、現在インストールされているAWS CLIのバージョン情報を表示させることができます。
コマンドの実行方法
お使いのOSやシェルの種類に関わらず、コマンドラインインターフェースを開き、以下のコマンドを入力してEnterキーを押してください。
bash
aws --version
または、以下のようにハイフンを一つだけ使う形式でも同じ結果が得られます。
bash
aws -v
どちらの形式でも問題ありませんが、--version
の方が一般的なオプション名として広く使われます。
コマンドの出力例
aws --version
コマンドを実行すると、インストールされているAWS CLIのバージョン情報が表示されます。表示される内容は、AWS CLIのバージョン(v1かv2か)、使用されているPythonのバージョン、そしてオペレーティングシステムの基本的な情報を含んでいます。
例えば、AWS CLI v2の場合、以下のような形式で出力されます。
aws-cli/2.13.29 Python/3.11.6 Linux/5.15.0-1049-aws exe/x86_64.ubuntu.22 prompt/off
この出力に含まれる情報は以下の通りです。
aws-cli/2.13.29
: これはインストールされているAWS CLIのバージョンが 2.13.29 であることを示しています。aws-cli/
の後に続く数字がAWS CLI自体のバージョン番号です。Python/3.11.6
: AWS CLI v2では、必要なPython環境がバンドルされています。これは、そのバンドルされたPythonのバージョンが 3.11.6 であることを示しています。v1の場合は、システムにインストールされているPythonのバージョンが表示されることが多かったです。Linux/5.15.0-1049-aws
: これはオペレーティングシステムの情報を表しています。この例では、Linuxカーネルのバージョンが 5.15.0-1049-aws であることを示しています。WindowsやmacOSであれば、それぞれのOS情報が表示されます。exe/x86_64.ubuntu.22
: これは実行可能ファイルのタイプと、それを実行している環境のより詳細な情報を示しています。この例では、x86_64アーキテクチャのUbuntu 22.04環境向けの実行ファイルであることを示唆しています。prompt/off
: AWS CLI v2で導入された対話型プロンプト機能の状態を示しています。デフォルトはoff
です。
一方、AWS CLI v1の場合、出力形式は少し異なります。
aws-cli/1.18.177 Python/3.7.4 Darwin/19.6.0 botocore/1.17.3
この出力に含まれる情報は以下の通りです。
aws-cli/1.18.177
: AWS CLIのバージョンが 1.18.177 であることを示しています。Python/3.7.4
: AWS CLI v1はシステムにインストールされているPythonに依存します。これは、AWS CLI v1が使用しているPythonのバージョンが 3.7.4 であることを示しています。Darwin/19.6.0
: オペレーティングシステムがmacOS (Darwin) であり、そのバージョンが 19.6.0 であることを示しています。botocore/1.17.3
: AWS CLI v1は、AWSのサービスAPIと対話するための低レベルライブラリであるbotocoreに依存しています。これは、使用されているbotocoreのバージョンが 1.17.3 であることを示しています。
このように、aws --version
コマンドの出力を見ることで、使用しているAWS CLIのバージョンだけでなく、その実行環境に関するいくつかの重要な情報も同時に確認することができます。
コマンドが見つからない場合
もし aws --version
コマンドを実行した際に、command not found
(Linux/macOS) や 'aws' は、内部コマンドまたは外部コマンド、操作可能なプログラムまたはバッチ ファイルとして認識されていません。
(Windows) といったエラーが表示される場合、それはAWS CLIが正しくインストールされていないか、またはインストールされているもののシステムのPATH環境変数に実行ファイルへのパスが設定されていない可能性が高いです。
この場合の対処法については、「バージョン確認に関するトラブルシューティング」のセクションで詳しく解説しますが、まずはAWS CLIが正しくインストールされているか確認し、必要であればインストール手順を見直してください。
AWS CLI v1とv2の違い:バージョン確認が重要な理由を深掘り
前述の出力例で見たように、AWS CLIには主にv1とv2のバージョンが存在します。単に新しいバージョンが出た、という話ではなく、v1からv2への移行はAWS CLIにとって大きな変更点を含んでいます。この違いを理解することは、なぜバージョン確認が重要なのか、そしてどちらのバージョンを使うべきかを判断する上で役立ちます。
主な違い
AWS公式でもv2への移行を推奨しており、v1は引き続きサポートされていますが、v2には以下のような重要な改善点があります。
- インストールと依存関係:
- v1: システムにインストールされているPython環境に依存します。そのため、AWS CLI v1をインストールする前に、互換性のあるPythonがインストールされている必要があり、Python環境(仮想環境など)の管理も考慮する必要がありました。
- v2: 実行に必要なPythonや依存関係がすべて一つのパッケージにバンドルされています。これにより、システム上のPython環境に依存せず、よりシンプルかつ安定したインストールが可能になりました。特にWindowsでは、.msiインストーラが提供され、GUIでのインストールが容易になっています。macOSやLinuxでも、インストールスクリプトやパッケージマネージャでのインストールが推奨されています。
- 機能:
- v2: 新しい機能がv2で優先的に追加されます。例えば、AWS Single Sign-On (SSO) 認証情報プロバイダーの組み込みサポート、対話型プロンプト機能、S3操作の性能改善など、多くの新機能や改善がv2で導入されています。
- v1: 多くの機能はv1でも利用可能ですが、v2で初めてサポートされる機能や、v2で改善された機能が存在します。
- パッケージングと実行環境:
- v2: より安定した実行環境を提供するために、依存関係がバンドルされています。また、Dockerイメージが公式に提供されており、コンテナ環境での利用が容易になっています。
- v1: システム上のPython環境に依存するため、依存関係の競合や環境の違いによる問題が発生する可能性がありました。
- ページャーの挙動:
- v2: 出力が長い場合のページャー(
less
など)の挙動が改善され、デフォルトで有効になっています。 - v1: ページャーの設定が必要な場合があります。
- v2: 出力が長い場合のページャー(
- 設定ファイル:
- 基本的な設定ファイル(
~/.aws/config
,~/.aws/credentials
)の形式は共通ですが、v2で追加された設定オプションなどがあります。
- 基本的な設定ファイル(
なぜv1/v2の違いを知る必要があるのか?
このv1とv2の違いは、バージョン確認の結果を解釈する上で非常に重要です。
- 利用したい機能: もしあなたがAWS SSOを使いたい、または特定の新しいサービスや機能を利用したい場合、v2が必要になる可能性があります。
aws --version
の出力でv1が表示されたら、v2へのアップグレードを検討する必要があります。 - トラブルシューティング: コマンドが期待通りに動作しない場合、それがv1とv2の挙動の違いに起因している可能性があります。例えば、認証方法、出力形式、あるいは特定のサービスに対するAPIコールの扱いなどが異なる場合があります。バージョンを確認することで、問題の原因特定に役立てることができます。
- 環境構築: 新しいサーバーや開発環境にAWS CLIをインストールする場合、v2を選択するのが現在の標準的なプラクティスです。古い手順書などを見てv1をインストールしてしまうと、最新の機能が使えなかったり、後の移行で手間がかかったりする可能性があります。バージョン確認によって、意図したバージョンがインストールされているかを確認できます。
- スクリプトの互換性: 他の人が作成したスクリプトや、古いドキュメントに記載されているコマンドは、v1を前提としている場合があります。v2でそのまま実行すると、非推奨のオプションを使っていたり、挙動が少し異なったりして問題が発生する可能性があります。逆に、v2の新機能を活用したスクリプトは、v1では実行できません。したがって、スクリプトを実行する環境のAWS CLIバージョンを確認することは、スクリプトの互換性を保証する上で不可欠です。
このように、aws --version
コマンドの出力で表示されるバージョン番号(特に1.x.xか2.x.xか)は、あなたがどの「世代」のAWS CLIを使っているのかを示しており、その後の作業の進め方や問題解決のアプローチに大きく関わってきます。
様々な環境でのバージョン確認
AWS CLIは様々なオペレーティングシステムや実行環境で使用されます。基本的な aws --version
コマンドは多くの環境で共通ですが、それぞれの環境固有のコマンドラインインターフェースや状況に応じた注意点があります。
1. Windows
Windowsでは、主に「コマンドプロンプト (Command Prompt)」、「PowerShell」、「Git Bash」などのシェルでAWS CLIを使用します。バージョン確認コマンドはこれらのシェル全てで共通です。
- コマンドプロンプト:
- スタートメニューを開き、「cmd」と入力してコマンドプロンプトを開きます。
- ウィンドウが表示されたら、以下のコマンドを入力してEnterを押します。
cmd
aws --version
- PowerShell:
- スタートメニューを開き、「powershell」と入力してPowerShellを開きます。
- ウィンドウが表示されたら、以下のコマンドを入力してEnterを押します。
powershell
aws --version
- Git Bash:
Git Bashは、Windows上でLinuxのようなコマンドライン環境を提供するツールです。Git for Windowsをインストールする際に含まれることが多いです。- Git Bashを開きます。
- ウィンドウが表示されたら、以下のコマンドを入力してEnterを押します。
bash
aws --version
Windowsの場合、特にv2では.msiインストーラを使用してインストールするのが一般的です。この方法でインストールすると、システムのPATH環境変数に自動的にパスが設定されるため、どのシェルからでも aws
コマンドが実行できるようになります。
2. macOS
macOSでは、主に「ターミナル (Terminal)」アプリケーションでAWS CLIを使用します。zshやbashといった様々なシェルが使われますが、バージョン確認コマンドは同じです。
- 「アプリケーション」>「ユーティリティ」>「ターミナル」を開きます。または、Spotlight検索で「ターミナル」と入力して開きます。
- ウィンドウが表示されたら、以下のコマンドを入力してEnterを押します。
bash
aws --version
macOSでは、pkgインストーラやHomebrewといったパッケージマネージャを使用してAWS CLIをインストールする方法があります。どちらの方法でインストールしても、通常はコマンドパスが正しく設定されます。
3. Linux
Linuxでは、ディストリビューションによって様々なシェル(Bash, Zsh, Fishなど)が使われますが、基本的なコマンドは共通です。一般的な手順はmacOSと同様です。
- お好みのターミナルエミュレータ(GNOME Terminal, Konsole, iTerm2など)を開きます。
- ウィンドウが表示されたら、以下のコマンドを入力してEnterを押します。
bash
aws --version
Linuxでは、バンドルされたインストーラースクリプト(推奨されるv2のインストール方法)や、各ディストリビューションのパッケージマネージャ(apt, yum, dnfなど)、pip(v1の場合や特定の状況)など、様々なインストール方法があります。どの方法でインストールしたかによって、実行ファイルが配置される場所(例えば /usr/local/bin/aws
や ~/.local/bin/aws
など)が異なりますが、正しくPATHが設定されていれば aws --version
で確認できます。
4. Dockerコンテナ内
アプリケーションの実行環境としてDockerコンテナを使用する場合、そのコンテナイメージ内にAWS CLIがインストールされていることがあります。このような場合、コンテナ内で直接コマンドを実行してバージョンを確認する必要があります。
例として、公式の amazon/aws-cli
イメージを使用しているコンテナ内でバージョンを確認するには、以下のように docker exec
コマンドを使用します。
まず、実行中のコンテナのIDまたは名前を確認します。
bash
docker ps
コンテナが見つかったら、以下のコマンドでコンテナ内で aws --version
を実行します。([CONTAINER_ID_OR_NAME]
は実際のコンテナIDまたは名前に置き換えてください)
bash
docker exec [CONTAINER_ID_OR_NAME] aws --version
あるいは、一時的にコンテナを起動してバージョンを確認することもできます。
bash
docker run --rm amazon/aws-cli --version
--rm
オプションは、コマンド実行後にコンテナを自動的に削除するためのものです。
コンテナイメージを自分でビルドしている場合は、そのDockerfile内でAWS CLIをインストールしている層を確認したり、ビルド済みのイメージに対して上記のような docker run
コマンドを実行したりしてバージョンを確認できます。
Dockerコンテナ内のバージョン確認は、特にCI/CDパイプラインなどで使用されるコンテナイメージの構成管理において重要になります。使用するイメージに意図したバージョンのAWS CLIが含まれているかを確認することで、ビルドやデプロイメントの再現性を高めることができます。
5. CI/CD環境
Jenkins, GitLab CI, GitHub Actions, AWS CodeBuildなどのCI/CDツールを使用している場合、ビルドエージェントやランナー上でAWS CLIコマンドを実行することがよくあります。これらの環境でのバージョン確認は、パイプラインの実行ログに含めることで、デバッグや再現性の確保に役立ちます。
多くのCI/CD環境では、ビルドスクリプトやジョブ定義ファイル内でコマンドを実行します。例えば、シェルスクリプト内で最初に aws --version
を実行してログに出力させることができます。
GitHub Actionsの例 (.github/workflows/main.yml):
“`yaml
name: Check AWS CLI Version
on: [push]
jobs:
check_version:
runs-on: ubuntu-latest
steps:
– name: Checkout code
uses: actions/checkout@v3
- name: Check AWS CLI version
run: aws --version
“`
このワークフローは、プッシュが発生するたびに最新のUbuntuランナー上で aws --version
を実行し、その出力をジョブログに記録します。これにより、どのバージョンのAWS CLIが使われているかを確認できます。
CI/CD環境では、どのバージョンのAWS CLIがデフォルトでインストールされているか、あるいはあなたが指定したバージョンが正しくインストールされているかを確認することが重要です。ランナーイメージによっては古いバージョンがデフォルトだったり、新しいバージョンがすぐに利用できなかったりすることがあります。必要に応じて、パイプラインのセットアップスクリプトで特定のバージョンをインストールまたは切り替えるステップを追加することを検討してください。
重要な注意点: 複数のAWS CLIバージョンが同じ環境にインストールされている場合、PATH環境変数の設定によって、どのバージョンが aws
コマンドとして実行されるかが決まります。特にv1とv2を共存させている場合や、システム標準のインストールとユーザー独自のインストールが混在している場合に注意が必要です。which aws
(Linux/macOS) や where aws
(Windows) といったコマンドを使って、実際に実行される aws
コマンドのフルパスを確認することも、バージョン確認の一環として有効です。この点については、トラブルシューティングのセクションでさらに詳しく解説します。
バージョン確認の応用
AWS CLIのバージョン確認は、単に情報を表示するだけでなく、様々な形で応用することができます。
1. スクリプトでのバージョンチェック
自動化スクリプトを作成する際、特定のAWS CLIバージョンを前提としている場合があります。スクリプトの冒頭でバージョンチェックを行い、必要なバージョンがインストールされていなければエラーメッセージを表示して終了する、といった処理を加えることで、スクリプトの堅牢性を高めることができます。
以下は、Bashスクリプト内でAWS CLIのバージョンがv2以降(2.x.x)であるかを確認する例です。
“`bash
!/bin/bash
AWS CLIのバージョンを取得
aws_version=$(aws –version 2>&1 | cut -d’/’ -f2 | cut -d’ ‘ -f1)
バージョン番号の最初の文字を取得 (1 or 2)
major_version=$(echo “$aws_version” | cut -d’.’ -f1)
メジャーバージョンが2未満の場合はエラー
if [ “$major_version” -lt 2 ]; then
echo “エラー: AWS CLIバージョン2以降が必要です。”
echo “現在のバージョン: $aws_version”
exit 1
fi
echo “AWS CLIバージョン $aws_version が検出されました。要件を満たしています。”
ここから以降にAWS CLIを使った処理を記述
… aws s3 ls …
“`
解説:
aws --version 2>&1
:aws --version
コマンドの標準出力と標準エラー出力を両方ともパイプに渡します。バージョン情報は通常標準エラー出力に出力されるため、2>&1
が必要です。cut -d'/' -f2
:/
区切りで2番目のフィールド(例:2.13.29 Python
の部分)を抽出します。cut -d' ' -f1
: 空白区切りで1番目のフィールド(例:2.13.29
の部分)を抽出します。これにより、バージョン番号だけを取得できます。cut -d'.' -f1
:.
区切りで1番目のフィールド(例:2
の部分)を抽出します。これにより、メジャーバージョンを取得できます。[ "$major_version" -lt 2 ]
: 取得したメジャーバージョンが2未満であるか(つまり1であるか)を数値比較します。- 条件を満たさない場合(v1以下の場合)、エラーメッセージを表示して
exit 1
でスクリプトを異常終了させます。
このように、スクリプト内でバージョンチェックを行うことで、実行環境に依存した問題を早期に検出することができます。
2. シェルのエイリアスや関数として登録
頻繁にバージョンを確認する場合、短いコマンドで実行できるようにシェルのエイリアスや関数として登録しておくと便利です。
Bash/Zshの例:
~/.bashrc
, ~/.zshrc
, ~/.profile
などのシェル設定ファイルに以下の行を追加します。
“`bash
AWS CLIバージョン確認用のエイリアス
alias awsv=’aws –version’
または関数としてより詳細な情報を取得
function get_aws_version_info() {
echo “— AWS CLI Version Information —”
aws –version
echo “———————————–”
echo “Executable path: $(which aws)”
}
alias awsvi=’get_aws_version_info’
“`
設定ファイルを再読み込み (source ~/.bashrc
など) するか、新しいターミナルを開くと、以下のコマンドでバージョンを確認できるようになります。
awsv
: 標準のバージョン情報を表示します。awsvi
: バージョン情報と実行ファイルのパスを表示します。(which aws
コマンドはLinux/macOS用です。WindowsのPowerShellならGet-Command aws | Select-Object -ExpandProperty Path
、cmdならwhere aws
が代替コマンドになります)
これにより、aws --version
とタイプする手間が省け、素早くバージョンを確認できます。
3. AWS CLIのバージョン履歴の確認
特定のバージョンで何が変更されたのか(新機能、修正されたバグなど)を知りたい場合は、AWS CLIのリリースノートや変更履歴を確認するのが最も確実です。
AWS CLIのリリースノートは、GitHubのリポジトリで公開されています。
- AWS CLI v2 Release Notes: https://github.com/aws/aws-cli/blob/v2/CHANGELOG.rst
- AWS CLI v1 Release Notes: https://github.com/aws/aws-cli/blob/v1/CHANGELOG.rst
これらの変更履歴を確認することで、現在使用しているバージョンがいつリリースされたのか、どのような変更が含まれているのか、そして最新バージョンにはどのような改善があるのかを詳細に知ることができます。これは、アップグレードを検討する際や、特定のバージョンでのみ発生する問題を調査する際に非常に役立ちます。
バージョンの管理と更新
AWS CLIのバージョンを確認できるようになったら、次はそれをどのように管理し、必要に応じて更新するかを考える番です。前述のように、最新バージョンを利用することは多くの利点がありますが、場合によっては特定のバージョンを使い続けたり、一時的にダウングレードしたりする必要があるかもしれません。
新しいバージョンの確認と通知
AWS CLIの新しいバージョンがリリースされたかどうかを知るには、いくつかの方法があります。
- AWS公式アナウンス: AWSの公式ブログやニュースリリースで、AWS CLIの重要なアップデートがアナウンスされることがあります。
- GitHubリポジトリ: 前述のGitHubリポジトリ(aws/aws-cli)をウォッチしたり、リリースリストを確認したりすることで、新しいバージョンが公開された際に通知を受け取ることができます。
aws --version
出力: バージョン番号を定期的に確認し、GitHubのリリースノートと比較することで、自身のバージョンが最新かどうかを手動でチェックできます。- AWS CLI自身の機能: AWS CLI v2では、新しいバージョンが利用可能になった場合に、コマンド実行時に非同期的に通知を表示する機能があります。(設定によって有効/無効を切り替え可能)
AWS CLIのアップデート方法
AWS CLIのアップデート方法は、インストール方法やOSによって異なります。公式ドキュメントのインストールガイドが最も正確で最新の情報源となりますが、一般的な方法を以下に示します。
- Windows (v2, .msi インストーラ):
新しいバージョンの.msiファイルをダウンロードして実行します。既存のインストール環境を上書きしてアップデートしてくれます。 - macOS (v2, .pkg インストーラ):
新しいバージョンの.pkgファイルをダウンロードして実行します。既存のインストール環境を上書きしてアップデートしてくれます。 - macOS/Linux (v2, バンドルされたインストーラースクリプト):
インストール時に使用したのと同じインストールスクリプトを再度実行します。デフォルトのインストール場所(/usr/local/bin
など)にインストールしている場合、sudo権限が必要になることがあります。
bash
curl "https://awscli.amazonaws.com/awscli-exe-linux-x86_64.zip" -o "awscliv2.zip"
unzip awscliv2.zip
sudo ./aws/install --update
(Linux x86_64の場合の例。URLやファイル名はOSによって異なります。詳細は公式ドキュメントをご確認ください。) - macOS/Linux (Homebrew):
Homebrewを使っている場合は、以下のコマンドで簡単にアップデートできます。
bash
brew upgrade awscli -
Linux (パッケージマネージャ):
Linuxディストリビューションのリポジトリからインストールした場合(主にv1が多いですが、一部ディストリビューションはv2も提供)、通常のシステムアップデートコマンドで更新されます。
“`bash
# Debian/Ubuntu
sudo apt update && sudo apt upgrade awscliRHEL/CentOS/Fedora
sudo yum update awscli
または
sudo dnf update awscli
* **pip (v1や特定の状況)**:
bash
Pythonのパッケージマネージャであるpipでインストールした場合、以下のコマンドでアップデートできます。
pip install –upgrade awscliまたは
pip3 install –upgrade awscli
“`
注意: v2の推奨されるインストール方法ではpipは使いません。これは主にv1ユーザー向けのアップデート方法です。
古いバージョンを使い続けるリスクと新しいバージョンへの移行
古いバージョンのAWS CLIを使い続けることには、以下のようなリスクが伴います。
- 新しい機能の利用不可: 最新のAWSサービスや機能を利用できない可能性があります。
- 既知のバグ: 修正済みのバグに遭遇し、予期しない挙動やエラーに悩まされる可能性があります。
- セキュリティリスク: 既知の脆弱性に対する修正が適用されていない可能性があります。
- サポートの終了: いずれ古いバージョンに対する公式サポートは終了します。
特別な理由がない限り、基本的に最新バージョンのAWS CLI v2を利用することが強く推奨されます。v1からv2への移行は、インストール方法が大きく変わった点に注意が必要ですが、基本的なコマンドの使い方は多くの部分で互換性があります。ただし、一部のコマンドオプションやデフォルトの挙動が変更されている可能性があるため、移行前にリリースノートなどを確認し、テスト環境で十分に検証することをお勧めします。
特定のバージョンをインストールする(ダウングレードやバージョン固定)
稀に、互換性の問題などから、特定のバージョンを使い続けたい、あるいは最新版から一時的に古いバージョンに戻したい(ダウングレードしたい)場合があります。
- v2 (バンドルされたインストーラ):
インストーラースクリプトは、デフォルトでは最新版をインストールしますが、特定のバージョンを指定してインストールすることも可能です。--version
オプションを使用します。
bash
curl "https://awscli.amazonaws.com/awscli-exe-linux-x86_64.zip" -o "awscliv2.zip"
unzip awscliv2.zip
sudo ./aws/install --update --version 2.7.27 # 例: バージョン2.7.27をインストール
利用可能なバージョンは、GitHubのリリースリストなどで確認できます。 - pip (v1や特定の状況):
pipを使って特定のバージョンをインストールまたはダウングレードするには、パッケージ名の後に==[バージョン番号]
を指定します。
bash
pip install awscli==1.22.1 # 例: バージョン1.22.1をインストール
pip freeze | grep awscli
コマンドで現在pipでインストールされているAWS CLIのバージョンを確認できます。
特定のバージョンをインストールする場合、将来のアップデートが手動になる点や、既知のバグやセキュリティリスクが含まれている可能性がある点に注意が必要です。特定の理由(例えば、既存のシステムとの互換性要件)がない限り、推奨されるアプローチではありません。
バージョン確認に関するトラブルシューティング
AWS CLIのバージョン確認、あるいはAWS CLI自体の使用中に発生しうる一般的な問題と、それに関連するバージョン確認のポイント、および解決策について解説します。
1. aws: command not found
エラー
これは最も一般的で、最も基本的な問題です。aws --version
コマンドを実行した際にこのエラーが表示される場合、システムが aws
というコマンドを見つけられていないことを意味します。
原因:
- AWS CLIがシステムにインストールされていない。
- AWS CLIはインストールされているが、その実行ファイルがあるディレクトリがシステムのPATH環境変数に含まれていない。
- コマンド名が間違っている(例:
awscli
と入力している)。
確認と解決策:
- インストールされているか確認:
- Windows: コントロールパネルの「プログラムと機能」または「アプリと機能」で「AWS Command Line Interface」があるか確認します。v2を.msiでインストールした場合はここに表示されます。
- macOS/Linux: インストール時に指定したパス(例:
/usr/local/bin/aws
や~/.local/bin/aws
)にaws
実行ファイルがあるか確認します。
- PATH環境変数の確認:
OSによって確認方法が異なります。- Windows (コマンドプロンプト):
echo %PATH%
- Windows (PowerShell):
echo $env:Path
- macOS/Linux:
echo $PATH
これらの出力の中に、AWS CLI実行ファイルがあるディレクトリ(例:/usr/local/bin
,C:\Program Files\Amazon\AWSCLI\bin
,~/.local/bin
など)が含まれているか確認します。含まれていない場合は、そのパスをPATH環境変数に追加する必要があります。追加方法はシェルの種類やOSによって異なります(例: Bash/Zshならexport PATH=$PATH:/path/to/aws/bin
を.bashrc
や.zshrc
に追記)。環境変数の変更を反映させるには、ターミナルを再起動するか、設定ファイルをsource
コマンドで再読み込みします。
- Windows (コマンドプロンプト):
-
実行ファイルの直接指定:
PATHが正しく設定されているかテストするために、AWS CLI実行ファイルのフルパスを直接指定して実行してみます。
“`bash
# 例 (macOS/Linux)
/usr/local/bin/aws –version例 (Windows Command Prompt – デフォルトインストールの場合)
“C:\Program Files\Amazon\AWSCLI\bin\aws.exe” –version
“`
これで実行できる場合は、PATH環境変数の設定が問題です。
4. 再インストール: 上記で解決しない場合、一度AWS CLIをアンインストールし、最新の公式手順に従って再インストールを試みてください。
2. 複数のAWS CLIバージョンがインストールされている
意図せず複数のバージョンのAWS CLI(例えばv1とv2の両方、または同じバージョンの異なるインストール方法によるもの)がシステムに存在し、どちらが実行されているか不明になる場合があります。
原因:
- v1をpipでインストールした後、v2を公式インストーラでインストールした。
- システム全体(
/usr/local/bin
など)にインストールされたものと、ユーザーのホームディレクトリ(~/.local/bin
など)にインストールされたものが混在している。 - 仮想環境(Python venvなど)の中にAWS CLIがインストールされている。
確認と解決策:
- 実行ファイルのパスを確認:
現在aws
コマンドとして実行されている実行ファイルのフルパスを確認します。- macOS/Linux:
which aws
- Windows (Command Prompt):
where aws
- Windows (PowerShell):
Get-Command aws
(パスの情報が表示されます)
これにより、どのパスにあるaws
実行ファイルが優先されているかがわかります。
- macOS/Linux:
- 他のインストール場所を確認:
考えられる他のインストール場所(例:~/.local/bin
, Python仮想環境のbin
またはScripts
ディレクトリ、他のパッケージマネージャの管理パスなど)にaws
実行ファイルがないか手動で確認します。 - PATH環境変数の優先順位を確認:
echo $PATH
(macOS/Linux) やecho $env:Path
(Windows PowerShell) でPATH環境変数の内容を確認します。PATHに含まれるディレクトリは左から順に検索されるため、より左に記述されているパスにある実行ファイルが優先されます。意図しないバージョンが含まれているパスが優先されていないか確認します。 - 不要なバージョンの削除またはPATHの修正:
意図しないバージョンのAWS CLIを完全にアンインストールするか、PATH環境変数の記述順を変更して、目的のバージョンが優先されるように修正します。通常、システム全体にインストールされた公式インストーラ版のv2を優先するのが良いでしょう。
Python仮想環境を使用している場合は、仮想環境をアクティベートした状態でバージョンを確認したり、仮想環境外でのバージョンを確認したりして、どちらでコマンドを実行しているかを意識することが重要です。
3. Python環境に関する問題 (主にv1)
AWS CLI v1はシステムにインストールされているPythonに依存するため、Pythonのバージョンや環境に問題があると、AWS CLI v1が正常に動作しないことがあります。
原因:
- AWS CLI v1が要求するPythonのバージョンがインストールされていない、または互換性がない。
- Python環境(特にpip)が壊れている、または権限の問題がある。
- 複数のPythonバージョンがインストールされており、AWS CLI v1が意図しないPythonバージョンを使用している。
確認と解決策:
- Pythonバージョンの確認:
python --version
またはpython3 --version
を実行して、システムにインストールされているPythonのバージョンを確認します。AWS CLI v1が必要とするPythonのバージョン要件を満たしているか確認します(通常Python 2.7またはPython 3.xですが、特定のバージョン要件がある場合があります)。 - v1が使用しているPythonを確認:
aws --version
コマンドの出力で、v1が実際に使用しているPythonのバージョンを確認できます。 - pipの動作確認:
pip --version
やpip list
コマンドが正常に動作するか確認します。pipを使ってAWS CLI v1を管理している場合、pip自体に問題があるとAWS CLIも影響を受けます。 - 推奨はv2への移行:
Python環境に依存するv1特有の問題の多くは、依存関係をバンドルしているv2に移行することで回避できます。可能であればv2への移行を検討してください。 - v1を使い続ける場合:
もしv1を使い続ける必要がある場合は、AWS CLI v1をインストールしたPython環境が適切にセットアップされているか確認します。必要であれば、互換性のあるPythonバージョンをインストールし、pipを使って再度AWS CLI v1をインストールし直します。
4. 権限に関する問題
AWS CLIコマンドの実行自体は権限を必要としませんが、インストーラースクリプトの実行や、/usr/local/bin
のようなシステム全体に影響する場所にインストール/アップデートを行う場合は、管理者権限(Linux/macOSでは sudo
、Windowsでは管理者としてコマンドプロンプト/PowerShellを実行)が必要になります。
確認と解決策:
- インストールやアップデートで権限エラーが出る場合は、コマンドの前に
sudo
を付けるか、管理者としてシェルを起動して再試行してください。 aws --version
コマンド自体が権限エラーになることは稀ですが、実行ファイルやその親ディレクトリに対する読み取り/実行権限がユーザーにない場合に発生する可能性はゼロではありません。ファイルシステムの権限設定を確認します。
5. インストール方法の混同
公式ドキュメントに記載されている複数のインストール方法(例: Windowsの.msiとzip、macOS/Linuxのバンドルされたインストーラースクリプトとパッケージマネージャやpip)を混同したり、異なる方法で同じバージョンをインストールしたりすると、PATHの問題や意図しないバージョンが実行される原因になります。
確認と解決策:
- 自分がどの方法でAWS CLIをインストールしたのかを把握しておくことが重要です。
- 可能であれば、公式に推奨されている単一の方法(現在ならv2のバンドルされたインストーラースクリプトまたはOSネイティブのインストーラ)でインストールし直し、他の方法でインストールされたバージョンはアンインストールすることをお勧めします。
これらのトラブルシューティング手順は、バージョン確認コマンド自体が動作しない場合だけでなく、AWS CLIの他のコマンドで問題が発生した際にも、最初に確認すべき基本的なステップとなります。使用しているAWS CLIのバージョンと、それがどのようにインストールされているのかを正確に把握することが、問題解決への第一歩となります。
まとめ:AWS CLIのバージョン管理をマスターする
本記事では、AWS CLIのバージョン確認方法について、その基本的なコマンドから始まり、なぜバージョン管理が重要なのか、主要なバージョンであるv1とv2の違い、様々な実行環境での確認方法、さらにはバージョン確認を応用したスクリプトや管理のヒント、よくあるトラブルシューティングまで、詳細に解説してきました。
AWS CLIは、AWSでの作業を効率化し、自動化するための不可欠なツールです。そのバージョンを正確に把握し、適切に管理することは、以下のような多くのメリットをもたらします。
- 最新機能の活用: 新しいAWSサービスや機能に素早く対応できます。
- 安定性の向上: バグ修正が適用されたバージョンを使用することで、予期せぬエラーを減らせます。
- セキュリティの強化: 脆弱性に対応した最新版を利用することで、リスクを低減できます。
- 効率的な問題解決: バージョン情報を正確に伝えることで、サポートを受けやすくなります。また、既知の問題やバージョン間の違いを考慮して、自分で問題を解決する手助けになります。
- 再現性の確保: スクリプトや自動化タスクを実行する環境のバージョンを固定したり、チェックしたりすることで、異なる環境間での挙動の違いを減らせます。
AWS CLIのバージョン確認は、aws --version
という非常にシンプルなコマンドで実行できます。しかし、その出力から得られる情報(バージョン番号、Pythonバージョン、OSなど)は、私たちが使用しているAWS CLI環境の状態を示す重要な手がかりとなります。特にv1とv2の違いを理解し、自分がどちらのバージョンを使っているのかを意識することは、日々の作業において非常に大きな意味を持ちます。
また、Windows、macOS、Linuxといった主要なデスクトップ環境から、Dockerコンテナ内、さらにはCI/CDパイプラインまで、AWS CLIは様々な環境で利用されます。それぞれの環境でバージョンを正しく確認し、必要に応じて適切な方法でバージョンを管理・更新することが求められます。
もし command not found
エラーに遭遇したり、意図しないバージョンのAWS CLIが実行されたりといった問題が発生した場合は、本記事で解説したトラブルシューティングの手順(PATH環境変数の確認、複数のインストールの有無の調査など)を試してみてください。ほとんどの場合、原因はAWS CLIのインストールや環境設定に関連しています。
最後に、AWS CLIは活発に開発が進められているツールです。定期的に公式ドキュメントやGitHubリポジトリのリリースノートをチェックし、最新の情報を入手することをお勧めします。これにより、常にAWS CLIを最大限に活用し、より快適かつ効率的にAWSを利用できるようになるでしょう。
AWS CLIのバージョン確認は、AWSを使った作業の基本中の基本です。この知識をしっかりと身につけ、日々のAWS操作に活かしてください。この記事が、あなたのAWS CLIジャーニーの一助となれば幸いです。