dxgi error device hung とは?原因と解決策を徹底解説


DXGI ERROR DEVICE HUNGとは?原因と解決策を徹底解説:ゲームクラッシュの深層に迫る

はじめに

ゲームを楽しんでいる最中に、突如画面がフリーズしたり、ブラックアウトしたり、そして無情にもデスクトップに戻され、「DXGI_ERROR_DEVICE_HUNG」というエラーメッセージが表示された経験はありますか? 多くのゲーマーにとって、このエラーは非常に厄介であり、興奮していたゲーム体験を一瞬にして打ち砕く悪夢のような存在です。

このエラーは、特に最新のグラフィックスを駆使した要求の厳しいPCゲームで発生しやすく、その性質上、原因特定が難しく、多くのユーザーを悩ませています。「PCのスペックは十分なはずなのに、なぜ?」「つい最近まで問題なかったのに…」と、途方に暮れてしまう方も少なくないでしょう。

「DXGI_ERROR_DEVICE_HUNG」は単なるゲームのバグではなく、PCシステム全体の根幹に関わる、比較的深刻な問題を指し示している場合がほとんどです。グラフィックス処理を担当する重要なコンポーネントであるGPU(Graphics Processing Unit)が、何らかの理由で応答不能に陥っている状態を示しています。しかし、その根本原因は多岐にわたり、ソフトウェアの問題からハードウェアの不具合まで、さまざまな可能性が考えられます。

本記事では、「DXGI_ERROR_DEVICE_HUNG」エラーに悩まされているすべてのゲーマー、PCユーザーのために、このエラーが何を意味するのか、なぜ発生するのか、そして具体的にどのような手順で解決を目指せば良いのかを、徹底的に、そして詳細に解説していきます。約5000語を費やし、考えられる原因から具体的な解決策まで、深層に迫ります。この記事を読み終える頃には、エラーの原因特定と解決に向けた具体的な道筋が見えているはずです。快適なゲームライフを取り戻すための第一歩として、ぜひ最後までお付き合いください。

DXGIとは何か? PCグラフィックス処理の中核を担うAPI

「DXGI_ERROR_DEVICE_HUNG」というエラーメッセージに含まれる「DXGI」とは一体何でしょうか? これは DirectX Graphics Infrastructure の略称であり、Microsoftが提供するグラフィックスAPI(Application Programming Interface)群であるDirectXの一部です。

DirectXは、Windows上でゲームやリッチなマルチメディアアプリケーションがハードウェア(特にGPUやサウンドカード)と効率的に通信するための標準規格を提供しています。DirectXはバージョンを重ねるごとに進化し、最新のDirectX 12などでは、より低レベルでのハードウェア制御や、マルチコアCPUの活用による描画性能の向上が図られています。

DXGIは、そのDirectXスイートの中でも、特にグラフィックスサブシステムの低レベルなインフラストラクチャ層を管理する役割を担っています。具体的には、以下のような機能を提供しています。

  • デバイス列挙と管理: システムに搭載されているグラフィックスアダプター(GPU)やディスプレイアダプターを検出し、管理します。複数のGPUが搭載されている場合(例: CPU内蔵GPUと外部GPU)や、マルチディスプレイ環境でも、どのデバイスをどの目的で使用するかを決定し、リソースを割り当てます。
  • スワップチェーン管理: ゲームなどで描画されたフレームを画面に表示するための「スワップチェーン」を管理します。これは、複数のフレームバッファ(描画中のフレームを一時的に保持するメモリ領域)を切り替えることで、画面のティアリング(描画の途中で画面が更新されることで生じる画像のズレ)を防ぎ、滑らかなアニメーションを実現するために不可欠な仕組みです。V-Sync(垂直同期)の設定などもこのレイヤーで制御されます。
  • アダプターと出力(モニター)の関連付け: どのGPUがどのモニターに接続されているかを認識し、それぞれの設定(解像度、リフレッシュレートなど)を管理します。
  • リソース共有: 複数のアプリケーションやDirectXコンポーネント間でグラフィックスリソース(テクスチャ、バッファなど)を共有するためのメカニズムを提供します。
  • エラー報告: ハードウェアやドライバーレベルで発生したグラフィックス関連のエラーを検出し、アプリケーションに報告します。

このように、DXGIはアプリケーション(特にゲーム)がGPUと直接やり取りする際の、まさに「土台」となる部分を担当しています。ゲームが高品質なグラフィックスを描画しようとする際、ゲームプログラムはDirectX API(Direct3Dなど)を通じて描画コマンドを発行し、これらのコマンドはDXGIレイヤーを経由してGPUドライバーに渡され、最終的にGPUが実行します。

したがって、DXGI_ERROR_DEVICE_HUNGエラーが発生するということは、このグラフィックス処理の根幹を担うDXGIレイヤーで問題が発生し、GPUデバイスとの通信が途絶えたり、GPU自体が応答しなくなったりしたことを意味します。これは、GPUドライバー、GPUハードウェア、システムメモリ、電源供給、さらにはOSや他のソフトウェアとの干渉など、様々な要因が絡み合って引き起こされる可能性のある、比較的低レベルなエラーと言えます。

「DXGI ERROR DEVICE HUNG」エラーの正体

エラーメッセージ「DXGI_ERROR_DEVICE_HUNG」を直訳すると、「DXGIエラー:デバイスがハングした」となります。「デバイス」とは通常、この文脈ではグラフィックスデバイス、つまりGPUを指します。「ハング (Hung)」とは、プログラムやシステムが応答しなくなり、フリーズした状態を表すIT用語です。

つまり、このエラーは「グラフィックス処理の基盤であるDXGIにおいて、GPUデバイスが何らかの理由で応答不能な状態になった」ということを示しています。

では、なぜGPUは「ハング」してしまうのでしょうか? そのメカニズムはいくつか考えられます。

  1. 無限ループまたはデッドロック: GPUで実行されているグラフィックス処理(シェーダーコードなど)が、論理的な欠陥やデータの問題により無限ループに陥ったり、複数の処理がお互いの完了を待ち合って停止するデッドロック状態になったりする可能性があります。これにより、GPUが本来行うべき次の処理に進めなくなり、応答が停止します。
  2. タイムアウト: WindowsのWDDM (Windows Display Driver Model) という仕組みには、GPUが一定時間(通常は数秒)応答しない場合に、その処理を強制的にリセットして復旧を試みる TDR (Timeout Detection and Recovery) という機能があります。DXGI_ERROR_DEVICE_HUNGは、このTDRが発生してもGPUが正常な状態に戻れなかった場合や、TDRによって処理が中断された結果として報告されることがあります。つまり、GPUが割り当てられたタスクを許容された時間内に完了できなかったことを意味します。
  3. リソース不足/競合: GPUメモリ(VRAM)が不足したり、システムの帯域幅が枯渇したり、他のハードウェアリソースとの競合が発生したりすることで、GPUがタスクを実行するために必要なデータにアクセスできなくなり、処理が停止する場合があります。
  4. ハードウェア障害: GPU自体に物理的な欠陥がある場合、特定の処理を実行しようとした際にエラーが発生し、ハングすることがあります。メモリチップの不具合、演算ユニットの故障、内部バスの問題などが考えられます。
  5. ドライバーの不具合: GPUドライバーは、OSとGPUハードウェアの間を仲介するソフトウェアです。このドライバーにバグがあったり、特定の状況で予期しない動作をしたりすると、GPUに不正な命令を送ったり、GPUからの応答を正しく処理できなかったりして、ハングを引き起こす可能性があります。
  6. 電力供給の不足/不安定: GPUはPCパーツの中でも特に電力を消費します。必要な電力が安定して供給されない場合、GPUの動作が不安定になり、処理中にハングしたり、エラーを発生させたりすることがあります。
  7. 温度上昇: GPUは高負荷時に大量の熱を発生します。適切な冷却が行われないと、温度が危険なレベルまで上昇し、GPUの保護機能が働いて動作を停止させたり、エラーを引き起こしたりすることがあります(サーマルスロットリングも関連しますが、ハングはさらに深刻な状態を示す場合があります)。

DXGI_ERROR_DEVICE_HUNGは、これらの要因が単独で、あるいは複数組み合わさることで発生します。特に、最新のゲームはGPUに対して非常に高い負荷をかけ、上記のような問題が顕在化しやすい環境を作り出します。エラーが発生しやすい状況としては、以下が挙げられます。

  • グラフィックス設定を高く設定した最新のゲームをプレイしている時。
  • ゲーム内の特定のシーン(特に複雑なエフェクトや多数のオブジェクトが表示される場面)。
  • 長時間ゲームをプレイし、PC内部の温度が上昇している時。
  • ゲームのロード中や、シーン切り替え時。
  • PC全体の負荷が高い時(他のアプリケーションが多数起動しているなど)。

このエラーは、単にゲームがクラッシュしたというだけでなく、「あなたのPCのグラフィックスサブシステムに、通常の使い方では見過ごされがちな、しかし高負荷時には致命的となりうる何らかの不安定要因が存在する」という警鐘であると捉えるべきです。

DXGI ERROR DEVICE HUNGの主な原因(詳細な掘り下げ)

DXGI_ERROR_DEVICE_HUNGの原因は多岐にわたりますが、その多くはグラフィックス関連のコンポーネント、特にGPUとその周辺に集約されます。以下に、考えられる主な原因を詳細に解説します。

1. GPUドライバーの問題(最も一般的な原因)

GPUドライバーは、OSとGPUハードウェア間の橋渡しをする非常に重要なソフトウェアです。このドライバーに問題があると、様々なグラフィックスエラーを引き起こします。DXGI_ERROR_DEVICE_HUNGもその一つです。

  • ドライバーバージョンの不適合:
    • 古すぎるドライバー: 最新のゲームは、最新のGPUドライバーで最適化されています。古いドライバーでは、新しいAPIや機能に対応していなかったり、特定のゲームに特化したバグ修正が含まれていなかったりするため、エラーが発生しやすくなります。
    • 新しすぎるドライバー(特にベータ版/プレビュー版): リリースされたばかりの最新ドライバーや、テスト段階のベータ版ドライバーは、まだ安定性が十分に確保されていない場合があります。特定のハードウェア構成やソフトウェアとの間で予期せぬ競合やバグが発生し、エラーを引き起こすことがあります。時には、最新版よりも数ヶ月前の安定版ドライバーの方が問題が解決されることもあります。
    • 特定のゲームとの非互換性: 特定のゲームの特定のバージョンと、特定のバージョンのドライバーとの間に既知の非互換性やバグが存在することがあります。ゲーム開発元やGPUメーカーのサポート情報を確認することが重要です。
  • ドライバーの破損: ドライバーファイルのダウンロード中やインストール中にエラーが発生したり、OSや他のソフトウェアとの干渉によってドライバーファイルの一部が破損したりすると、GPUが正常に動作せずエラーが発生します。上書きインストールだけでは解決しない場合が多いです。
  • 過去のドライバーとの競合(ゴミファイル): GPUを交換したり、ドライバーを頻繁に更新したりしている場合、過去のドライバーの古いファイルやレジストリ情報がシステム内に残り、「ゴミ」として蓄積されることがあります。これらのゴミが、新しいドライバーと競合し、システム全体やグラフィックス処理を不安定にすることがあります。

GPUドライバーは、DXGI_ERROR_DEVICE_HUNGの最も頻繁な原因の一つとして挙げられます。単に最新版に更新するだけでなく、より徹底的な手段が必要になることが多いです。

2. GPUのオーバークロック(OC)/不安定化

オーバークロック(OC)とは、CPUやGPUをメーカーが定めた標準の動作周波数よりも高い周波数で動作させることです。これにより性能向上が期待できますが、同時に不安定化のリスクを伴います。

  • ユーザーによるOC: MSI Afterburner, EVGA Precision X1などのユーティリティソフトを使って、GPUのコアクロック、メモリクロック、電圧などをユーザーが手動で引き上げている場合です。無理な設定はGPUに過剰な負荷をかけたり、必要な電力を安定供給できなくしたりするため、エラーの直接的な原因となります。
  • ファクトリーOC: GPUメーカーによって、標準モデルよりも高いクロックで出荷される「ファクトリーOCモデル」も存在します。これらのモデルはメーカーが動作保証する範囲内でOCされていますが、個体差やシステム環境(電源、冷却)によっては、そのファクトリーOCの設定ですら特定の高負荷状況では不安定になる可能性がゼロではありません。
  • OCが不安定化を招くメカニズム: クロックを引き上げると、より高速な処理が可能になりますが、同時に消費電力と発熱が増加します。必要な電力が十分に供給されなかったり、発生した熱を効率的に排熱できなかったりすると、GPU内部のタイミングが崩れたり、エラーが発生しやすくなります。また、電圧設定が不適切だと、信号の安定性が損なわれることもあります。
  • メモリ(VRAM)のOC: GPUコアだけでなく、VRAMのクロックやタイミングをOCすることも不安定化の原因となります。VRAMは非常に高速に動作しており、わずかなタイミングのずれや電力不足がデータの破損や処理の失敗につながり、ハングを引き起こす可能性があります。

OCは性能向上に魅力的ですが、安定性を犠牲にする可能性があることを理解しておく必要があります。DXGI_ERROR_DEVICE_HUNGが発生した場合、まず疑うべき点の一つです。

3. 温度上昇/熱問題

PCのパーツ、特にGPUやCPUは、高負荷時に大量の熱を発生します。この熱を適切に管理できないと、パーツの安定した動作が妨げられ、エラーの原因となります。

  • GPU温度の過上昇: ゲームなどでGPUがフル稼働すると、温度は急激に上昇します。GPUメーカーは通常、安全に動作できる最大温度(TjunctionやHot Spot温度など)を設定しており、これを超過しそうになると、GPUは自動的にクロックを下げるなどして温度を制御します(サーマルスロットリング)。しかし、冷却が全く追いつかないような状況では、この制御が間に合わず、強制的に動作を停止したり、エラーを引き起こしたりすることがあります。
  • CPU温度の過上昇: CPUもGPUと同様に発熱します。CPUの温度が過剰に高い場合、システム全体の安定性が損なわれたり、GPUとのデータ連携に遅延が発生したりして、間接的にグラフィックス処理に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • PCケース内のエアフロー不良: PCケース内のファン構成が不適切だったり、ケーブル類が乱雑で空気の流れを妨げていたりすると、熱い空気がケース内に滞留し、全体の温度が上昇します。GPUやCPUだけでなく、マザーボードやストレージの温度も上がり、システム全体の安定性が損なわれます。
  • 冷却システムの劣化/ホコリ: CPUクーラーやGPUクーラーのヒートシンクにホコリが詰まっていたり、冷却ファンが劣化して回転数が低下したり、サーマルグリスが乾燥して熱伝導率が低下したりすると、冷却性能が著しく低下します。定期的な清掃とメンテナンスが必要です。
  • ノートPCの熱問題: ノートPCは構造上、デスクトップPCよりも冷却が難しく、熱がこもりやすい傾向があります。長時間のゲームプレイでは特に温度が高くなりやすく、DXGI_ERROR_DEVICE_HUNGが発生するリスクが高まります。

温度問題は、パフォーマンス低下だけでなく、パーツの寿命を縮めたり、このような深刻なエラーを引き起こしたりする原因となります。温度監視ツールを使って、ゲーム中のGPUやCPUの温度を把握することが重要です。

4. 電力供給の問題

PCのすべてのパーツは電源ユニット(PSU)から電力を供給されています。特にGPUは非常に多くの電力を消費するため、PSUの能力や安定性がシステム全体の安定性に直結します。

  • PSUの容量不足: システム全体の合計消費電力に対して、PSUの最大容量が不足している場合、高負荷時に必要な電力を十分に供給できず、特にGPUの動作が不安定になります。最新の高性能GPUは非常に高いピーク電力を要求するため、GPUメーカーが推奨するPSU容量を確認することが重要です。
  • PSUの劣化/故障: PSUは経年劣化します。内部のコンデンサなどが劣化すると、安定した電圧や電流を供給できなくなり、特に負荷変動が大きい状況で問題が発生しやすくなります。部分的な故障によって、特定のレールからの電力供給が不安定になることもあります。
  • 電源ケーブルの接続不良/劣化: PSUからマザーボードやGPUに接続される電源ケーブルの接続が緩んでいたり、ケーブル自体が劣化していたりすると、抵抗が増加して電圧降下を引き起こしたり、必要な電流が流せなくなったりします。特にGPUの補助電源ケーブル(6ピン、8ピン、12ピンなど)は、高い電流が流れるため重要です。
  • 壁のコンセントや電源タップの問題: 使用しているコンセントや電源タップ自体が古かったり、他の電化製品と共有していて負荷が高かったりすると、PCに供給される電源が不安定になることがあります。可能であれば、壁のコンセントから直接、他の機器と共有しない状態でPCのPSUを接続するのが理想です。
  • 電圧降下やノイズ: 家庭の電源環境によっては、瞬間的な電圧降下やノイズが発生することがあります。高品質なPSUにはこれらの影響を軽減する機能がありますが、それでも限界はあります。

電力供給が不安定になると、GPUが要求する電力を受け取れず、処理を継続できなくなってハングする可能性が高まります。

5. ソフトウェアの競合/干渉

PCでは様々なソフトウェアが同時に動作しています。これらのソフトウェア間でリソースの奪い合いが発生したり、特定の機能が干渉したりすることで、グラフィックス処理に悪影響が出ることがあります。

  • バックグラウンドアプリケーション: ゲーム中に起動している他のアプリケーション(Webブラウザ、Discordなどのチャットアプリ、Overlay機能を持つソフト、ストリーミングソフト、キャプチャソフト、アンチウイルスソフト、システム監視ツールなど)が、CPUリソース、メモリ、ディスクI/O、ネットワーク帯域、さらにはGPUリソースを消費したり、ゲームプロセスにフックしたりすることで、ゲームの安定性を損なうことがあります。特に、ゲームと連携するオーバーレイ機能は、グラフィックス描画パイプラインに割り込むため、ドライバーやゲーム本体との相性によってはエラーを引き起こす可能性があります。
  • 他のドライバー: サウンドドライバー、ネットワークドライバー、チップセットドライバーなど、他のハードウェアのドライバーが最新でなかったり、グラフィックスドライバーと競合したりすることがあります。
  • OSの不具合: Windows Updateによってシステムファイルの一部が破損したり、特定のバージョンのWindowsに既知の問題があったりすると、システム全体の安定性が損なわれ、グラフィックス処理にも影響が出ることがあります。
  • ゲーム自体の不具合: プレイしているゲーム自体にバグがある場合、特定の状況下でDXGI_ERROR_DEVICE_HUNGを意図せず発生させてしまうことがあります。特に、リリースされたばかりのゲームや、大規模なアップデート後のゲームで発生しやすいです。また、Modを使用している場合は、Modが原因である可能性が非常に高いです。

ソフトウェアの競合は、ハードウェアの問題よりも原因特定が難しい場合が多いですが、可能性としては十分にあり得ます。

6. オペレーティングシステム(Windows)の問題

Windows OS自体に問題がある場合も、エラーの原因となり得ます。

  • システムファイルの破損: OSのコアファイルや関連するライブラリファイルが破損していると、正常な動作が妨げられます。
  • レジストリの破損: Windowsの構成情報を格納しているレジストリが破損すると、システム全体が不安定になります。
  • Windows Updateの不具合: 特定のWindows Updateが、GPUドライバーや特定のアプリケーションと相性が悪く、問題を引き起こすことがあります。

OSレベルの問題は、グラフィックスに限らず様々な不具合の原因となります。

7. ハードウェアの問題

前述の要因以外にも、PCのハードウェア自体に根本的な問題がある可能性も考えられます。

  • GPUの初期不良/故障: GPUチップ自体や、基板上のVRAM、電源回路(VRM)、コンデンサなどが物理的に故障している場合です。これは最も深刻な原因であり、パーツ交換が必要となります。特定の高負荷時にのみ症状が出ることもあります。
  • マザーボードの問題: GPUを挿すPCI Expressスロットに問題がある(接触不良、スロット自体の故障)場合や、マザーボードの電源供給能力に問題がある場合に発生することがあります。
  • RAM(システムメモリ)の不具合/互換性: システムメモリ(RAM)にエラーがあったり、CPUやマザーボードとの間に互換性の問題があったりすると、GPUが必要なデータにアクセスする際に問題が発生し、グラフィックス処理が中断されることがあります。特に、複数のメモリを使用している場合や、異なるメーカー/スペックのメモリを混在させている場合に発生しやすいです。また、メモリのXMPプロファイルが不安定な場合も、システム全体の不安定化につながります。
  • ストレージ(SSD/HDD)の問題: ゲームファイルやシステムファイルが保存されているストレージに読み取りエラーが発生したり、アクセス速度が極端に遅くなったりすると、ゲームがリソースをロードする際に問題が発生し、グラフィックス処理に影響を与える可能性があります。

ハードウェア故障は、様々なトラブルシューティングを試しても改善しない場合に強く疑われる原因です。

8. 特定のゲームとの非互換性/バグ

まれに、特定のゲームの特定のビルド(バージョン)や、特定のゲームエンジンにおいて、DXGI_ERROR_DEVICE_HUNGが既知のバグとして存在している場合があります。

  • ゲーム側のバグ: ゲーム開発元が認識しているバグで、後のパッチで修正される予定である場合です。
  • ゲームエンジンの問題: 使用しているゲームエンジン自体に、特定のハードウェア構成やドライバーバージョンとの相性問題やバグが存在する場合です。
  • ゲーム内設定の問題: 特定のグラフィックス設定オプション(例: レイトレーシング、特定のアンチエイリアシング、高解像度テクスチャなど)を有効にした場合にのみエラーが発生する場合。これらの設定がGPUに過剰な負荷をかけたり、VRAMを大量に消費したりすることで、前述の他の原因(温度、電力、OC、VRAM不足など)を顕在化させるトリガーとなっている可能性があります。

この場合、他のゲームでは問題なく、特定のゲームでのみ発生するという特徴があります。

DXGI_ERROR_DEVICE_HUNGは、このように単一の原因によるものではなく、複数の要因が複雑に絡み合って発生することが多いエラーです。そのため、解決には体系的なトラブルシューティングが必要となります。

DXGI ERROR DEVICE HUNGの具体的な解決策(詳細な手順)

DXGI_ERROR_DEVICE_HUNGの解決には、考えられる原因を一つずつ潰していく作業が必要です。以下に、効果が期待できる具体的な解決策をステップバイステップで詳細に解説します。簡単なものから始め、徐々に複雑な手順に進むことをお勧めします。

Step 0: 落ち着いて状況を確認する

トラブルシューティングを始める前に、まずは落ち着いて状況を整理しましょう。

  • エラーメッセージの正確な確認: 表示されたエラーメッセージの正確な内容(例: DXGI_ERROR_DEVICE_HUNG, DXGI_ERROR_DEVICE_REMOVEDなど、似たエラーもあります)を控えておきます。
  • エラーが発生する状況の特定:
    • 特定のゲームでのみ発生するか? それとも複数のゲームで発生するか?
    • ゲーム開始直後か、しばらくプレイしてからか?
    • 特定のシーンや場所、または特定のアクションを行った時に発生するか?
    • PCを起動してからどのくらいの時間で発生するか?
    • ゲーム以外の高負荷な状況(ベンチマークテストなど)でも発生するか?
  • 最近の変更点: エラーが発生し始める前に、PCに何か変更を加えましたか? (例: Windows Update、ドライバー更新、新しいソフトウェアのインストール、ハードウェアの増設/交換、オーバークロック設定の変更、PCの移動/清掃など) これらの情報は、原因を絞り込む上で非常に役立ちます。

これらの情報を整理することで、どの解決策から試すべきかの見当をつけやすくなります。

Step 1: GPUドライバーのクリーンインストール(最優先)

最も一般的な原因であるGPUドライバーの問題に対処するため、まずドライバーのクリーンインストールを行います。単に上書きインストールするのではなく、システムから既存のドライバー関連ファイルを完全に削除してからインストールすることが重要です。

推奨ツール: Display Driver Uninstaller (DDU)

DDUは、AMD、NVIDIA、Intelのグラフィックスドライバーおよび関連ファイルをシステムから徹底的に削除するためのフリーツールです。ドライバーの「ゴミ」を排除し、クリーンな状態から新しいドライバーをインストールするのに非常に有効です。

DDUを使ったクリーンインストールの手順:

  1. 準備:
    • DDUをダウンロード: guru3d.comなどの信頼できるサイトから最新版のDDUをダウンロードします。
    • 最新のGPUドライバーをダウンロード:
      • NVIDIAユーザー: NVIDIA公式ウェブサイトのドライバーダウンロードページから、お使いのGPUモデルとOSに合った最新のGame Ready ドライバーまたはStudio ドライバーをダウンロードします。エラーが最新版で発生している場合は、一つ前の安定版を試すのも有効です。
      • AMDユーザー: AMD公式ウェブサイトのドライバー&サポートページから、お使いのGPUモデルとOSに合った最新のRecommended (WHQL) ドライバーをダウンロードします。Optionalドライバーはベータ版に近く、不安定な可能性があるため避けた方が無難です。
      • Intelユーザー: Intel公式ウェブサイトのサポートページから、お使いのCPU内蔵グラフィックスまたはディスクリートGPUに合った最新ドライバーをダウンロードします。
    • インターネット接続を切断: ドライバーの削除中にWindowsが自動的に古いドライバーをインストールするのを防ぐため、Wi-Fiをオフにするか、LANケーブルを抜いてインターネット接続を切断します。
    • ダウンロードしたドライバーファイルを分かりやすい場所に置く: デスクトップなど、すぐに見つけられる場所に保存しておきます。
  2. セーフモードで起動: DDUは必ずセーフモードで実行してください。これにより、Windowsのグラフィックス関連プロセスが最小限になり、ドライバーファイルの完全な削除が可能になります。
    • Windows 10/11の場合:
      • 「設定」を開く -> 「更新とセキュリティ」(または「システム」→「回復」)→「回復」を選択。
      • 「PCの起動をカスタマイズする」の下にある「今すぐ再起動」をクリック。
      • 再起動後、「オプションの選択」画面が表示されたら、「トラブルシューティング」を選択。
      • 「詳細オプション」を選択。
      • 「スタートアップ設定」を選択し、「再起動」をクリック。
      • 再起動後、「スタートアップ設定」画面が表示されるので、「5) セーフモードとネットワークを有効にする」または「4) セーフモードを有効にする」に対応する数字キー(通常は 5 または 4)を押します。
  3. DDUを実行:
    • セーフモードでWindowsが起動したら、ダウンロードしておいたDDUの実行ファイル(通常は自己解凍形式のZipファイル)を展開し、実行します。
    • DDUのウィンドウが表示されたら、「オプション」を開き、特に変更がなければ閉じます。
    • 右上のドロップダウンメニューから、「デバイスタイプ」を「GPU」に、「GPUベンダー」をお使いのGPUメーカー(NVIDIA, AMD, INTEL)にそれぞれ選択します。
    • 「クリーンして、再起動」 ボタンをクリックします。
    • DDUが古いドライバーと関連ファイルを削除し始めます。この間、画面が点滅したり、一時的に解像度が低くなったりすることがあります。
    • 処理が完了すると、PCは自動的に再起動します。
  4. 通常モードで起動し、新しいドライバーをインストール:
    • PCが通常モードで起動したら(画面の解像度が低い状態になっているはずです)、インターネット接続をまだ行わないまま、ダウンロードしておいた最新のGPUドライバーの実行ファイルを実行します。
    • インストーラーの指示に従います。NVIDIAの場合、「カスタムインストール」を選択し、「クリーンインストールの実行」にチェックを入れることを強く推奨します。AMDの場合は、通常インストーラーがクリーンインストールオプションを提供しています。
    • 不要なコンポーネント(例: GeForce Experienceの特定の機能、AMD Adrenalin Editionの特定の機能など、必要最低限以外のもの)のインストールは任意ですが、問題が発生している場合は、最初は最小限のインストールに留めることで、ソフトウェア競合の可能性を減らせます。
    • ドライバーのインストールが完了したら、PCを再起動します。
  5. インターネット接続を戻す: PCが再起動し、画面解像度が元に戻ったことを確認したら、インターネット接続を再開します。

この手順は、DXGI_ERROR_DEVICE_HUNGだけでなく、様々なグラフィックス関連の問題に対して非常に有効な初歩的かつ重要な解決策です。

Step 2: GPU/CPU温度の監視と冷却対策

温度異常は高負荷時にエラーを誘発する典型的な原因です。ゲーム中のGPUとCPUの温度を監視し、高すぎる場合は対策を講じます。

  1. 温度監視ツールのインストール:
    • HWiNFO: システム全体の詳細なセンサー情報を取得できる高機能なツールです。CPU、GPU、マザーボード、ストレージなど、様々なコンポーネントの温度、クロック、使用率、電力消費などを監視できます。多くの情報を一度に見たい場合に便利です。
    • MSI Afterburner (RivaTuner Statistics Server付き): GPUの監視、オーバークロック、ファンコントロールに特化したツールですが、付属のRivaTuner Statistics Server (RTSS) を使うと、ゲーム画面上にリアルタイムでCPU/GPU温度、使用率、フレームレートなどをオーバーレイ表示できます。これが最も手軽にゲーム中の温度を監視する方法かもしれません。(MSI以外のGPUでも使用可能です。)
    • GeForce Experience (NVIDIA): NVIDIAユーザーであれば、GeForce Experienceのパフォーマンスオーバーレイ機能でGPU関連の情報を表示できます。
    • AMD Adrenalin Edition (AMD): AMDユーザーであれば、Adrenalin Editionのオーバーレイ機能でGPU関連の情報を表示できます。
  2. ゲーム中の温度をチェック: 上記ツールを使って、DXGI_ERROR_DEVICE_HUNGが発生しやすいゲームや高負荷ベンチマークを実行中に、GPU温度(特にHot SpotやJunction温度)、CPU温度を監視します。GPU温度が80℃後半〜90℃を超える、またはCPU温度が90℃を超えるような場合は、温度問題の可能性が高いです。
  3. 冷却対策:
    • PCケースの清掃: PCケース内部、特にファンやヒートシンクに積もったホコリをエアダスターなどで徹底的に除去します。ホコリは熱伝導を妨げ、冷却性能を低下させる最大の要因の一つです。
    • ケースファンの配置とエアフローの確認: ケースの吸気ファンと排気ファンの配置が適切か確認します。一般的には、前面や側面から冷たい空気を吸気し、背面や上面から温かい空気を排気する「正圧」または「負圧」を意識した効率的なエアフローを構築することが重要です。ケーブル類を整理して空気の流れを妨げないようにします。
    • GPU/CPUクーラーの確認: GPUやCPUに取り付けられているクーラーがしっかり固定されているか確認します。可能であれば、古いサーマルグリスを拭き取り、新しい高品質なサーマルグリスを塗り直すことで、冷却性能が向上することがあります(ただし、GPUクーラーの分解は保証が無効になる可能性があるため注意が必要です)。
    • ファンカーブの調整: MSI Afterburnerなどのツールを使って、GPUファンの回転速度を温度に応じてより積極的に上昇するように設定することで、GPU温度を下げられる場合があります。ただし、ファンノイズは増加します。BIOS設定でケースファンやCPUファンの速度を調整することも可能です。
    • PCの設置場所: PC本体を壁に近づけすぎたり、狭い場所に置いたりせず、吸気口・排気口を塞がないように設置します。
    • ノートPCの場合: 冷却台を使用したり、排熱口を塞がないように注意したりします。

冷却対策は、温度が原因で発生するエラーに対して非常に効果的です。

Step 3: 電力供給の確認と改善

PSUや電源ケーブルの問題は、不安定化やエラーの隠れた原因となることがあります。

  1. PSU容量の確認: お使いのPSUの最大出力容量(W数)を確認します。PSU本体のラベルに記載されています。次に、現在使用しているCPUとGPUの推奨PSU容量をそれぞれのメーカーのウェブサイトで確認します。推奨容量よりも大幅に少ないPSUを使用している場合、容量不足の可能性が高いです。高品質なPSU容量計算サイト(例: OuterVision PSU Calculator)を利用して、お使いのシステム構成に必要な電力の目安を計算するのも有効です。
  2. 電源ケーブルの確認:
    • PSUからマザーボード、特にGPUに接続されている補助電源ケーブルが、抜けなくしっかりと奥まで挿入されているか確認します。
    • モジュラー式PSUの場合、PSU側のケーブル接続も確認します。
    • 一つのGPUに複数の補助電源コネクタがある場合(例: 8ピンx2)、それぞれ異なるPSUのケーブルから分岐させずに接続する方が安定する場合が多いです。(PSUによっては一つのケーブルから8ピンと6ピンなどに分岐しているものがありますが、高出力GPUの場合はそれぞれ独立したケーブルを使用するのが理想です)。
    • 安価な変換ケーブル(例: SATA電源からPCIe 6/8ピンへの変換)を使用している場合は、それが原因で電力供給が不安定になっている可能性もあります。
  3. PSUの劣化/故障の可能性: 長年使用しているPSUや、安価なPSUは劣化しやすい傾向があります。もし可能であれば(ただし難しい場合が多いですが)、別の正常に動作する容量十分なPSUに交換して症状が改善するか試すのが確実な切り分け方法です。
  4. 電源タップ/コンセントの確認: PCが接続されている電源タップや壁のコンセントに他の高出力家電(ヒーター、ドライヤー、電子レンジなど)が接続されていないか確認します。可能であれば、PCは単独のコンセントから直接電源を取るのが理想です。電源タップを使用する場合は、容量に余裕がある高品質なものを選びます。UPS(無停電電源装置)を使用している場合は、それが原因でないか確認するため、一時的にUPSを介さずに直接コンセントに接続してみるのも一つの方法です。

電力供給は、特に高負荷時や電源投入/切断時に影響が出やすい部分です。

Step 4: オーバークロック設定の無効化

GPUやCPU、RAMに対してオーバークロック設定を行っている場合は、それを一時的に無効化し、デフォルト設定で動作させてみます。

  1. GPUオーバークロックのリセット:
    • MSI Afterburner, EVGA Precision X1などのGPUチューニングツールを使用している場合は、設定をデフォルトに戻したり、プロファイルをリセットしたりします。ツールを終了させるだけでなく、PC起動時に自動起動しないように設定を変更し、再起動します。
    • GPUがファクトリーOCモデルである場合は、MSI Afterburnerなどのツールを使って、メーカーが出荷時に設定したOC値よりもさらにクロックを下げてみる(アンダークロック/アンダーボルティング)ことで安定性が増す場合があります。
  2. CPU/RAMオーバークロックのリセット:
    • マザーボードのUEFI/BIOS設定に入り、CPUやRAMに関するオーバークロック設定(CPU倍率、ベースクロック、電圧設定、RAMのXMP/DOCPプロファイルなど)を無効化し、デフォルト設定に戻します。「Load Optimized Defaults」のようなオプションがあればそれを使用します。
    • 特にRAMのXMP(Intel)やDOCP(AMD)プロファイルは、CPUやマザーボードとの相性によっては不安定になることがあります。これを無効化し、メモリをJEDEC標準の低い周波数で動作させてみて、エラーが発生しなくなるか確認します。

オーバークロック設定は、高負荷時にパーツを不安定にさせる直接的な原因となり得ます。エラー発生時は、まずOCを疑い、無効化してテストすることが推奨されます。

Step 5: ゲーム内グラフィックス設定の調整

特定のゲームで発生する場合、そのゲームのグラフィックス設定が高すぎてGPUに過剰な負荷がかかっている可能性があります。設定を下げて安定性を確認します。

  1. 設定を最低に下げる: エラーが発生するゲームのグラフィックス設定を、テクスチャ品質、シャドウ、反射、アンチエイリアシング、ポストプロセスエフェクトなど、考えられるすべての項目を最低設定に下げてプレイしてみます。この状態でエラーが発生しない場合、設定が高すぎたことが原因である可能性が高いです。
  2. 特定のオプションを無効化/調整: 特にGPUに負荷をかける、または特定のAPIに依存する設定(例: レイトレーシング (RTX)、高解像度テクスチャ、高密度な物理演算、複雑なジオメトリ設定など)を一つずつ無効化して、どれがエラーに関係しているか切り分けていきます。
  3. 解像度を下げる: プレイしているゲームの解像度を、ネイティブ解像度よりも一段階(例: 4Kから1440p、1440pから1080p)下げてみます。解像度が高いほどGPUの負荷は増大します。
  4. V-Sync/G-Sync/FreeSyncの設定変更: V-Sync(垂直同期)、NVIDIA G-Sync、AMD FreeSyncなどの同期技術は、フレームレートとモニターのリフレッシュレートを同期させてティアリングを防ぎますが、場合によってはGPUパイプラインに影響を与え、エラーの原因となることがあります。これらの設定をオン/オフしたり、ゲーム側とドライバー側の設定を一致させたりして試します。
  5. フレームレート制限: ゲームやMSI Afterburner (RTSS) などのツールを使って、フレームレートに上限を設定します。これにより、GPUが常に最大負荷で動作することを避け、安定性を向上させられる場合があります。モニターのリフレッシュレート(例: 144Hzなら141fpsに制限)に近い値に設定すると、GPU使用率が少し下がり、安定性が向上することがあります。

ゲーム内設定の調整は、特定のゲームで発生するエラーに対して有効な対処法です。

Step 6: オペレーティングシステムのチェックと修復

Windows OSのファイル破損などが原因である可能性も考慮し、システムのチェックと修復を行います。

  1. Windows Updateの確認: Windowsが最新の状態になっているか確認します。もし、エラーが特定のWindows Updateを適用した後に発生し始めた場合は、その更新プログラムをアンインストールすることで問題が解決する可能性があります。
  2. システムファイルチェッカー (sfc /scannow): Windowsのシステムファイルに破損がないかチェックし、破損があれば修復を試みます。
    • 管理者権限でコマンドプロンプトまたはPowerShellを開きます。
    • sfc /scannow と入力してEnterキーを押します。
    • スキャンが完了するまで待ちます。完了後に結果が表示されます。
  3. DISMコマンド: システムイメージの破損が原因の場合、DISM (Deployment Image Servicing and Management) ツールを使って修復します。
    • 管理者権限でコマンドプロンプトまたはPowerShellを開きます。
    • DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth と入力してEnterキーを押します。(このコマンドはインターネット接続が必要です)
    • 完了するまで待ちます。
  4. クリーンブート: 起動時に読み込まれる不要なサービスやスタートアッププログラムを停止し、OSが最小限の状態で起動する「クリーンブート」を実行します。これにより、バックグラウンドで動作するソフトウェア間の競合を排除できます。
    • 「Windowsキー + R」で「ファイル名を指定して実行」を開き、「msconfig」と入力してEnterキーを押します。
    • 「システム構成」ウィンドウが表示されたら、「サービス」タブを開き、「Microsoft のサービスをすべて隠す」にチェックを入れます。
    • 表示されたサービスの中から、不要と思われるもの(エラーの原因として疑わしいサードパーティ製サービスなど)のチェックを外します。「すべて無効」ボタンは注意して使用してください。
    • 「スタートアップ」タブを開き、「タスクマネージャーを開く」をクリックします。
    • タスクマネージャーの「スタートアップ」タブで、起動時に不要なプログラムを右クリックして「無効にする」を選択します。
    • システム構成ウィンドウに戻り、「適用」→「OK」をクリックし、PCを再起動します。
    • この状態でエラーが発生するか確認します。エラーが発生しない場合は、無効化したサービスやプログラムの中に原因がある可能性が高いため、一つずつ有効化して再起動を繰り返し、原因を特定します。

これらのOSレベルのチェックと修復は、システムの基本的な安定性を取り戻すために重要です。

Step 7: メモリ(RAM)のテスト

システムメモリ(RAM)の不具合もDXGI_ERROR_DEVICE_HUNGの間接的な原因となり得ます。

  1. MemTest86+ の使用: PCに挿入されているRAMモジュールにエラーがないか、専用のツールを使って詳細にテストします。MemTest86+ は、OS起動前のBIOS環境で動作するため、OSやドライバーの影響を受けずにメモリ自体をテストできる信頼性の高いツールです。(UEFI環境の場合は、有償版または新しい無償版のMemTest86を使用することもあります)
    • MemTest86+のウェブサイトからイメージファイルをダウンロードし、USBメモリに書き込んで起動可能なメディアを作成します。
    • PCを再起動し、UEFI/BIOS設定に入って、作成したUSBメモリから起動するようにブート順を変更します。
    • MemTest86+が起動したら、テストを開始します。テストは非常に時間がかかることがあり(全容量を複数パス実行すると数時間~十数時間)、エラーが検出されなくなるまで複数回実行することが推奨されます。
    • テスト中にエラーが検出された場合、そのメモリに問題がある可能性が高いです。複数のメモリを搭載している場合は、1枚ずつテストして問題のあるモジュールを特定します。
  2. Windows標準のメモリ診断ツール: より手軽な方法として、Windowsに標準搭載されている「Windowsメモリ診断」ツールを使用することもできます。「Windowsメモリ診断」を検索して実行し、「今すぐ再起動して問題の有無を確認する (推奨)」を選択します。再起動後にテストが実行され、完了後に結果が表示されます。MemTest86+ほど詳細ではありませんが、簡単なテストとしては有効です。
  3. XMP/DOCPプロファイルの無効化/調整: 前述の通り、XMP/DOCPプロファイルが不安定な場合は、BIOS設定で無効化したり、手動でメモリタイミングや電圧を調整したりすることで安定することがあります。

メモリテストでエラーが検出された場合は、該当するメモリモジュールを交換する必要があります。

Step 8: ゲームファイルの整合性チェックと再インストール

特定ゲームでのみエラーが発生する場合、そのゲームのインストールファイル自体が破損している可能性があります。

  1. ゲームプラットフォームの機能を使用:
    • Steam: ライブラリから該当ゲームを右クリック → 「プロパティ」→「インストール済みのファイル」→「ゲームファイルの整合性を確認…」をクリックします。
    • Epic Games Store: ライブラリから該当ゲームの「…」アイコンをクリック → 「検証」を選択します。
    • Origin/EA app: ライブラリから該当ゲームを選択 → 「管理」→「修復」または「ゲームの修復」を選択します。
    • Ubisoft Connect: ライブラリから該当ゲームを選択 → 「プロパティ」→「ファイルの確認」を選択します。
  2. ゲームの再インストール: 整合性チェックで問題が見つからなかったり、修復しても改善しなかったりする場合は、一度ゲームをアンインストールし、ダウンロードし直してクリーンに再インストールします。特に、ゲームのアップデートが失敗した可能性がある場合などに有効です。

ゲームファイルの問題は、特定のゲームでのみエラーが発生する典型的な原因です。

Step 9: バックグラウンドアプリケーションの終了

ゲーム中に起動している他のアプリケーションが原因である可能性を排除するため、必要最小限のプログラムのみが動作する状態でゲームをプレイしてみます。

  1. タスクマネージャーで終了: ゲームを起動する前に、タスクマネージャー(Ctrl + Shift + Esc)を開き、「プロセス」タブでCPU、メモリ、GPUなどを多く消費している不要なアプリケーションを終了させます。
  2. オーバーレイ機能の無効化: GeForce Experience In-Game Overlay, Discord Overlay, Xbox Game Bar, MSI Afterburner (RTSS) Overlayなどのゲームオーバーレイ機能を一時的に無効化します。これらの機能はゲームのグラフィックスパイプラインに割り込むため、競合の原因となることがあります。
  3. アンチウイルスソフトの一時停止: まれに、アンチウイルスソフトやセキュリティソフトがゲームプロセスを誤って干渉し、問題を引き起こすことがあります。ゲームプレイ中のみ、これらのソフトを一時的に無効にしてみて、エラーが改善するか確認します。(ただし、セキュリティリスクを伴うため、問題が解決した後は速やかに有効に戻すか、ゲームを例外設定に追加するなどの対応が必要です。)
  4. クリーンブートの活用: 前述のStep 6で解説したクリーンブートは、起動時に自動実行されるプログラムやサービスを絞り込むのに有効です。

バックグラウンドで動作する多くのソフトウェアは、ゲームの安定性に悪影響を与える可能性があります。

Step 10: ハードウェアの物理的な確認

PCケースを開け、GPUやその他の重要なパーツが物理的に正しく装着されているか確認します。

  1. GPUの再装着: PCの電源を完全に切り、コンセントからプラグを抜いた後、PCケースを開けます。GPUをPCI Expressスロットから一度外し、スロットやGPUのコネクタ部分にホコリなどがないか確認し、再度しっかりと奥まで挿し込みます。固定用のネジやロックも確認します。
  2. 補助電源ケーブルの確認: GPUに接続されている補助電源ケーブル(6ピン、8ピンなど)が、GPU側、PSU側(モジュラー式の場合)ともにしっかりと奥まで挿入されているか再度確認します。
  3. 他のパーツの確認: RAMモジュール、ストレージケーブル、マザーボードの電源ケーブルなども、緩んでいないか、しっかり接続されているか目視で確認します。

物理的な接続不良は、一見ソフトウェアの問題のように見えても、実際にはハードウェアの不安定化を引き起こすことがあります。

Step 11: BIOS/UEFI設定の確認

マザーボードのBIOS/UEFI設定に、グラフィックス関連で調整すべき項目がないか確認します。

  1. UEFI/BIOSのバージョン: マザーボードのUEFI/BIOSが最新バージョンになっているか確認します。古いバージョンのBIOSには、新しいCPUやGPUとの互換性に関する問題が含まれていることがあります。ただし、BIOSアップデートは失敗するとマザーボードが起動不能になるリスクがあるため、慎重に行い、マザーボードメーカーの指示に正確に従ってください。
  2. PCIeスロットの設定: BIOS設定で、GPUが挿入されているPCI Expressスロットのリンク速度設定(通常はAutoになっています)を、GPUが対応している速度(例: Gen3またはGen4)に固定してみることで、互換性の問題が解決する場合があります。ただし、通常はAutoで問題ありません。
  3. iGPUの設定: CPU内蔵グラフィックス(iGPU)を搭載している場合、BIOS設定でiGPUが有効になっているか、あるいは無効になっているか確認します。外部GPUのみを使用する場合は、iGPUを無効化することでリソースの競合を防げる可能性があります。(ただし、設定によってはPCが起動しなくなるリスクもあるため、よく調べてから変更してください。)

BIOS設定の変更は、PCの基本的な動作に影響を与えるため、慎重に行う必要があります。

Step 12: 最終手段 – OSのクリーンインストール

上記のあらゆるソフトウェア的なトラブルシューティングや基本的なハードウェアチェックを行っても問題が解決しない場合、OS(Windows)自体に深刻な問題があるか、ハードウェア故障の可能性が高いです。OSのクリーンインストールは、システムを工場出荷時のクリーンな状態に戻すことで、ソフトウェア的な問題をほぼ全て排除できる最終手段です。

  1. データのバックアップ: クリーンインストールを行うと、Cドライブ(Windowsがインストールされているドライブ)上のすべてのデータが消去されます。写真、ドキュメント、ビデオ、ゲームのセーブデータなど、失いたくないデータは必ず外部ストレージにバックアップしておきます。
  2. Windowsのインストールメディア作成: Microsoft公式ウェブサイトから「Media Creation Tool」をダウンロードし、手順に従ってWindowsのインストール用USBメモリなどを作成します。
  3. クリーンインストール実行: 作成したインストールメディアからPCを起動し、カスタムインストールを選択して、Windowsをインストールするパーティションをフォーマットしてから新規インストールを行います。
  4. ドライバーや必須ソフトウェアのインストール: Windowsのインストール後、チップセットドライバー、ネットワークドライバー、サウンドドライバー、そして最も重要なGPUドライバーを、それぞれのメーカーの公式ウェブサイトから最新版をダウンロードしてインストールします。その後、必要なアプリケーションやゲームをインストールします。

OSのクリーンインストールは手間がかかりますが、多くのソフトウェア的な問題を根本的に解決できます。クリーンインストール後もエラーが発生する場合は、ハードウェアの問題である可能性が非常に高くなります。

Step 13: ハードウェア交換の検討

上記のすべてのステップを試してもDXGI_ERROR_DEVICE_HUNGエラーが解決しない場合、残念ながらGPU、PSU、RAM、あるいはマザーボードなどのハードウェア自体に物理的な故障がある可能性が高いです。

  1. GPUの故障診断:
    • 可能であれば、問題が発生しているGPUを別の正常に動作するPCに接続して動作テストを行います。別のPCでも同じエラーが発生する場合、GPU自体の故障である可能性が非常に高いです。
    • 逆に、別の正常なGPUを問題が発生しているPCに接続してテストし、エラーが発生しない場合、やはり元のGPUに問題がある可能性が高いです。
  2. PSUの故障診断:
    • 別の容量十分で正常なPSUを接続してテストします。これでエラーが解消される場合、元のPSUに問題があったことになります。
  3. RAMの故障診断:
    • MemTest86+でエラーが検出された場合は、該当するモジュールを交換します。
    • エラーが検出されなかった場合でも、可能であれば別の正常なRAMに交換してテストしてみるのも一つの方法です。
  4. その他のハードウェア: マザーボードやストレージの故障も可能性としてはゼロではありませんが、GPUやPSU、RAMと比べると、DXGI_ERROR_DEVICE_HUNGの直接的な原因となるケースは少ないかもしれません。ただし、これまでの診断で他のパーツに問題が見つからず、OSクリーンインストール後も改善しない場合は、マザーボードのPCIeスロットや電源回路の問題、あるいはCPUのPCIeコントローラーの問題なども疑う必要が出てきます。

ハードウェアの故障は、これらのトラブルシューティングの最終的な原因特定となります。保証期間内であれば、メーカーや購入店に修理または交換を依頼することを検討してください。

再発防止策と日頃のメンテナンス

一度DXGI_ERROR_DEVICE_HUNGエラーを解決しても、原因によっては再発する可能性があります。快適なPC環境を維持するために、日頃から以下の点に注意することをお勧めします。

  • GPUドライバーは安定版を選ぶ: 最新のドライバーが常に最良とは限りません。特にゲームプレイを重視する場合は、最新のGame Ready/WHQLドライバーを基本としつつ、エラーが発生する場合は一つ前の安定版に戻すなどの柔軟な対応を心がけましょう。頻繁なベータ版ドライバーへの安易なアップデートは避けた方が無難です。
  • 定期的なPCケース内外の清掃: PCケース内部、特にファンやヒートシンクに積もるホコリは、冷却性能を低下させ、熱問題を引き起こす最大の原因です。定期的にエアダスターなどでホコリを吹き飛ばし、フィルターがあれば清掃します。
  • 温度監視の習慣化: ゲーム中にGPUやCPUの温度を時々確認する習慣をつけましょう。普段から温度の傾向を把握しておけば、異常な上昇に気づきやすくなります。
  • 無理なオーバークロックは避ける: 性能を追求するあまり、安定性を犠牲にするような無理なオーバークロックは控えましょう。特にGPUコアクロックやメモリクロックの過度な引き上げは、エラーのリスクを高めます。安定性を確保できる範囲内での調整に留めることが重要です。
  • 高品質で適切な容量のPSUを選ぶ: PCを自作またはアップグレードする際は、システムの最大消費電力に十分な余裕を持たせた、信頼できるメーカーの高品質なPSUを選びましょう。PSUはPCの心臓部であり、安定性は非常に重要です。
  • システムファイルの定期的なチェック: Windowsのシステムファイルチェッカー (sfc /scannow) を定期的に実行することで、小さなファイル破損を早期に発見し、大きな問題に発展するのを防ぐことができます。
  • バックグラウンドアプリケーションの管理: ゲーム中は、不要なバックグラウンドアプリケーションを終了させるようにしましょう。特に、リソースを多く消費するソフトや、ゲームに干渉する可能性のあるオーバーレイソフトなどです。

これらの日頃からの注意とメンテナンスは、DXGI_ERROR_DEVICE_HUNGだけでなく、様々なPCの不安定問題を予防するのに役立ちます。

まとめ

「DXGI_ERROR_DEVICE_HUNG」エラーは、PCゲーマーにとって悩ましい問題ですが、その正体はグラフィックスデバイス(GPU)が応答不能になったことを示す低レベルなエラーであり、原因はGPUドライバー、ハードウェア、温度、電力、ソフトウェア競合など、多岐にわたります。

本記事で詳細に解説したように、このエラーの解決には、考えられる原因を一つずつ、体系的にトラブルシューティングしていく根気強い作業が必要です。多くの場合、GPUドライバーのクリーンインストール、温度問題の解消、オーバークロック設定の見直し、電力供給の確認といった基本的な手順で解決できる可能性が高いです。

これらのソフトウェア的・設定的なアプローチで解決しない場合は、メモリテストやOSのクリーンインストールに進み、最終的にハードウェア故障の可能性を探るというステップを踏むことで、原因を特定し、問題解決への道筋を見つけられるはずです。

PCのトラブルシューティングは時に複雑で骨の折れる作業ですが、問題の原因を理解し、一つずつ対処していくことで、多くの場合は解決可能です。この記事が、DXGI_ERROR_DEVICE_HUNGエラーに直面し、困っている方々にとって、原因特定と解決に向けた具体的な指針となり、再び快適なゲームライフを取り戻すための一助となれば幸いです。

免責事項

本記事に記載された情報や手順は、DXGI_ERROR_DEVICE_HUNGエラーに対する一般的なトラブルシューティング方法を解説したものです。すべての環境や状況での問題解決を保証するものではありません。ハードウェアの分解、BIOS設定の変更、OSの再インストールなど、一部の手順はPCに損傷を与えたり、データが失われたりするリスクを伴います。これらの手順を実行する際は、ご自身の責任において慎重に行ってください。不明な点がある場合は、専門家やPCメーカー、パーツメーカーのサポートに相談することをお勧めします。


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