はい、承知いたしました。Clash VPN(Clashは正確にはVPNクライアントではなく、多機能プロキシクライアントですが、便宜上、ユーザーが「Clash VPN」と呼ぶことがあるため、その呼称も考慮しつつ、技術的な正確さも保ちながら解説します)の導入・設定方法と使い方について、詳細な説明を含む約5000語の記事を作成します。
【2024年最新】Clash多機能プロキシクライアント徹底ガイド:導入・設定・使い方を詳細解説
インターネットの自由な利用が制限される地域にいたり、より高度なネットワークルーティングを求めているユーザーにとって、Clashはその柔軟性と多機能性から非常に人気のあるツールです。しかし、その設定は初心者にとって少々複雑に感じられるかもしれません。
この記事では、2024年におけるClashの最新情報を踏まえつつ、導入から基本的な使い方、さらには高度な設定方法まで、初心者でも理解できるように徹底的に解説します。「Clash VPN」という呼び方でClashを探している方にも分かりやすいよう、その立ち位置も明確にしながら進めていきます。
【この記事でわかること】
- Clashとは何か、なぜ多くのユーザーに選ばれているのか
- Clashがサポートするプロトコルと機能
- 主要なOS(Windows, macOS, Android, iOS, Linux)ごとのClashクライアントの導入方法
- サブスクリプションリンクを使った簡単な設定方法
- Clash設定ファイル(YAML形式)の構造と詳細なカスタマイズ方法
- プロキシグループとルール設定による高度なルーティング制御
- Clashの基本的な使い方(ノード選択、モード切り替えなど)
- よくある問題とその解決策
- 従来のVPNや他のプロキシツールとの比較
- Clash利用におけるセキュリティとプライバシーの注意点
さあ、Clashの世界へ一緒に踏み込んでみましょう。
1. Clashとは?なぜClashを選ぶのか?
1.1 Clashの正体:VPNではなく、多機能プロキシクライアント
まず、重要な点を明確にしておきましょう。多くの人が「Clash VPN」と呼ぶことがありますが、厳密にはClash自体はVPNサービスやVPNプロトコルを提供するものではありません。Clashは様々なプロキシプロトコル(Shadowsocks, V2Ray, Trojan, HTTP, SOCKS5など)を統合的に管理し、高度なルールに基づいてネットワークトラフィックをルーティングできる多機能なプロキシクライアントです。
従来のVPNが、デバイス全体の通信を暗号化されたトンネルを通して特定のサーバーに転送するのに対し、Clashは設定されたルールに従って、どの通信をどのプロキシサーバーに送るか、あるいは直接接続するか、拒否するかなどを細かく制御できます。この「ルールベースのルーティング」がClashの最大の特徴であり、その柔軟性の源泉となっています。
1.2 Clashが人気の理由
Clashが多くのユーザーに支持されている理由はいくつかあります。
- 多様なプロトコル対応: Shadowsocks (SS), ShadowsocksR (SSR), VMess, VLESS, Trojan, Snell, HTTP, SOCKS5など、非常に幅広いプロキシプロトコルに対応しています。これにより、様々な種類のプロキシサーバーを利用できます。
- 強力なルールベースルーティング: ドメイン、IPアドレス、GEOIP(地域判定)、プロセス名などに基づいた詳細なルール設定が可能です。これにより、「特定のウェブサイトへのアクセスはプロキシ経由、国内サイトは直接接続」「特定のアプリの通信だけプロキシを使う」といった高度な設定が容易に行えます。これは「スプリットトンネリング」をより細かく制御できるようなものです。
- プロキシグループ機能: 複数のプロキシノードをグループ化し、ロードバランス(負荷分散)、フェイルオーバー(自動切り替え)、URLテスト(遅延測定による最適なノード選択)などのポリシーを適用できます。これにより、常に快適な通信環境を維持しやすくなります。
- サブスクリプション機能: プロキシプロバイダーや個人が提供する設定ファイルのURL(サブスクリプションリンク)を登録することで、設定を簡単に自動更新できます。
- DNS機能の強化: DNS Hijackingを防ぐための強化されたDNS機能(DNS over HTTPS/TLSなど)をサポートしています。これにより、DNSによる検閲や追跡を防ぎ、ルールベースのルーティング精度を高めます。
- 豊富なクライアント: Windows, macOS, Android, iOS, Linuxなど、主要なOS向けに様々な開発者によってGUIクライアントが提供されています。これにより、CLI版だけでなく、視覚的に操作しやすい環境で利用できます。
- オープンソース: Clashのコア部分はオープンソースであり、透明性が高いです(ただし、一部のGUIクライアントは異なるライセンスの場合もあります)。
1.3 どんなユーザーに適しているか?
Clashは、以下のようなユーザーに特におすすめです。
- インターネット検閲の回避: 特定の国や地域でブロックされている情報にアクセスしたい。
- ネットワークトラフィックの最適化: 国内サイトは高速な直接接続、海外サイトや特定サービスはプロキシ経由など、通信先によって接続方法を切り替えたい。
- 複数のプロキシノードを効率的に管理したい: 複数のサーバーを使い分けたり、遅延の少ないノードを自動で選びたい。
- 技術的な設定を自分で細かく制御したい: ネットワークの仕組みにある程度理解があり、設定ファイルをカスタマイズすることに抵抗がない。
逆に、以下のようなユーザーには、よりシンプルなVPNサービスの利用を検討する方が良いかもしれません。
- 技術的な設定が苦手で、アプリを起動するだけで全ての通信を暗号化・匿名化したい。
- インターネット検閲回避以外の高度なルーティングは特に必要ない。
- ワンクリックで接続・切断できる手軽さを重視する。
Clashは強力なツールですが、その能力を最大限に引き出すには、設定ファイル(YAML)の理解が不可欠です。
2. Clashを始める前に知っておくべきコアコンセプト
Clashの設定と使い方を理解するためには、いくつかの基本的な概念を知っておく必要があります。
- プロキシ (Proxy): クライアント(あなたのデバイス)と目的のサーバー(ウェブサイトなど)の間に入り、通信を中継するサーバーです。Clashはプロキシクライアントとして、どのプロキシサーバー(あるいは直接接続)を使うかを決定します。
- プロキシプロトコル: プロキシサーバーとの通信方法を定義する技術規約です。Shadowsocks, V2Ray, Trojanなどは、インターネット検閲を回避するために設計された、比較的検出されにくいプロトコルです。
- Clash コア (Core): Clashの核となる部分で、実際のプロキシ接続やルール処理を行います。GUIクライアントは、このコアを操作するためのインターフェースを提供します。
- 設定ファイル (Configuration File): Clashの全ての動作を定義するファイルです。通常はYAML (.yaml または .yml) 形式で記述されます。どのプロキシノードを使うか、どのようにグループ化するか、どのようなルールでトラフィックを処理するか、DNS設定などを全てこのファイルで指定します。
- ノード (Node): 個々のプロキシサーバー接続情報(サーバーアドレス、ポート、プロトコル、ユーザー情報など)を指します。設定ファイルでは
proxies
セクションにリストアップされます。 - プロキシグループ (Proxy Group): 複数のノードや他のプロキシグループをまとめたものです。通信のルーティング先として指定され、グループのタイプ(選択、自動テスト、フェイルオーバーなど)に応じて、グループ内のどのノードを使うかが決まります。設定ファイルでは
proxy-groups
セクションに記述されます。 - ルール (Rule): 特定の通信(ドメイン、IPアドレスなど)をどのように処理するか(特定のプロキシグループへ送る、直接接続する、拒否するなど)を定義する規則です。設定ファイルでは
rules
セクションにリストアップされ、上から順に評価されます。 - サブスクリプション (Subscription): 設定ファイルが置かれているURLです。このURLをClashクライアントに登録すると、設定ファイルの内容を定期的に自動で取得・更新できます。多くのプロキシプロバイダーは、この形式で設定を提供しています。
これらの概念を理解しておくと、後述する設定ファイルの説明がよりスムーズに理解できるはずです。
3. 各プラットフォーム向けClashクライアントの導入方法 (2024年版)
Clashには公式のGUIクライアントは存在せず、コミュニティによって開発された様々なサードパーティ製クライアントが存在します。ここでは主要なOS向けの代表的なクライアントとその導入方法を紹介します。
注意: 以下に挙げるクライアントは、開発状況やGitHubの利用状況により、名称や配布方法が変更される可能性があります。最新情報はそれぞれのGitHubリポジトリ等で確認してください。また、非公式クライアントの利用は自己責任でお願いします。
3.1 Windows
Windows向けの代表的なClashクライアントはいくつかありますが、特に人気があるのは以下の2つです。
- Clash for Windows (CFW): かつて最もポピュラーでしたが、開発者の変更によりフォーク版が主流になりつつあります。
- Clash Verge: 現在最も活発に開発されており、機能も豊富なクライアントです。Clash Metaコアをサポートしています。
- Clash .NET: .NETベースのクライアント。
ここでは、現在推奨されることの多いClash Vergeを例に説明します。
- ダウンロード: Clash VergeのGitHubリポジトリのReleaseページにアクセスします。 (例:
https://github.com/MetaCubeX/Clash-Verge/releases
) - 最新のリリースバージョンを見つけます。
- Assetsの項目から、Windows用の実行ファイルまたはインストーラー (
.exe
ファイル、または.zip
アーカイブ) をダウンロードします。通常はClash.Verge_*-*-*-win64.exe
のような名前です。 - インストール: ダウンロードした
.exe
ファイルを実行し、画面の指示に従ってインストールします。Zipアーカイブの場合は、任意のフォルダに展開し、中の実行ファイル (Clash Verge.exe
など) を実行します。 - 起動: インストールが完了したら、Clash Vergeを起動します。初回起動時にファイアウォールの許可を求められる場合がありますので、許可してください。
3.2 macOS
macOS向けにもいくつかのクライアントがあります。
- ClashX: かつて定番でしたが、開発があまり活発ではありません。
- ClashX Meta: ClashXのフォークで、Clash Metaコアをサポートしています。
- Clash Verge: macOS版も提供されています。
ここでは、macOS版も提供されているClash Vergeを例に説明します。
- ダウンロード: Clash VergeのGitHubリポジトリのReleaseページにアクセスします。 (例:
https://github.com/MetaCubeX/Clash-Verge/releases
) - 最新のリリースバージョンを見つけます。
- Assetsの項目から、macOS用のディスクイメージ (
.dmg
ファイル) をダウンロードします。通常はClash.Verge_*-*-*-mac.dmg
のような名前です。 - インストール: ダウンロードした
.dmg
ファイルを開きます。 - 表示されたウィンドウで、Clash VergeアプリをApplicationsフォルダにドラッグ&ドロップします。
- 起動: LaunchpadまたはApplicationsフォルダからClash Vergeを起動します。初回起動時には、Gatekeeperによる警告が表示されることがありますが、「開く」を選択してください。また、ネットワーク権限の許可を求められる場合がありますので、許可してください。
3.3 Android
Android向けには公式のClashクライアントが存在します。
-
Clash for Android (CFA): 公式に近い立ち位置で、機能も豊富です。
-
ダウンロード: Google Playストアから「Clash for Android」を検索してインストールするのが最も簡単です。
- Google Playストアが利用できない場合は、GitHubリポジトリのReleaseページから
.apk
ファイルを直接ダウンロードして手動でインストールすることも可能です。 (例:https://github.com/Kr328/ClashForAndroid/releases
) - インストール: Google Playストアからインストールする場合は、ストアの手順に従います。
.apk
ファイルをダウンロードした場合は、端末の設定で「不明なソースからのアプリのインストールを許可」し、ダウンロードした.apk
ファイルを開いてインストールします。 - 起動: インストールが完了したら、Clash for Androidを起動します。初回起動時にVPN接続の許可を求められますので、許可してください。
3.4 iOS
iOSはApp Storeのポリシーにより、VPNやプロキシクライアントアプリの配信に制限があります。そのため、無料の「Clash」という名前のアプリはApp Storeには存在しません。Clash互換の設定ファイルをインポートして利用できる、有料のクライアントアプリを利用するのが一般的です。
代表的なアプリ:
- Stash: Clash Premiumコアを使用しており、高い互換性と機能性を持ちます。有料アプリです。
- Surge: 高機能なネットワークツールで、Clash設定の一部の形式を変換して利用できる場合があります。高価な有料アプリです。
- Shadowrocket: Shadowsocksクライアントとして有名ですが、V2Ray/Trojan/Clash形式など多くの設定形式に対応しています。有料アプリです。
導入方法 (Stashを例に):
- 購入・インストール: App Storeで「Stash」などのクライアントアプリを検索し、購入してインストールします。
- 起動: インストールが完了したらアプリを起動します。
注意点: iOS版クライアントは、Windows/macOS/Android版と比べて機能が制限されている場合や、設定ファイルの互換性が100%ではない場合があります。
3.5 Linux
Linux向けには、CLI版のClashコアと、それを操作するためのGUIクライアントがあります。
- Clash (CLI): 公式のCLI版コアです。サーバーやヘッドレス環境での利用に適しています。
- Clash Verge: Linux版GUIも提供されています。
- QtClash: QtベースのGUIクライアント。
ここでは、最も基本的なCLI版Clashの導入と、GUIクライアントであるClash Vergeを紹介します。
CLI版 Clash:
- ダウンロード: ClashのGitHubリポジトリのReleaseページにアクセスします。 (例:
https://github.com/Dreamacro/clash/releases
) - 最新のリリースバージョンを見つけます。
- Assetsの項目から、Linux用のバイナリファイル (
clash-linux-amd64-v*.gz
など、ご自身のアーキテクチャに合わせて選択) をダウンロードします。 - 展開と配置: ダウンロードした
.gz
ファイルを展開します。
bash
gzip -d clash-linux-amd64-v*.gz
展開された実行ファイルに実行権限を付与します。
bash
chmod +x clash-linux-amd64-v*
実行ファイルをPATHが通ったディレクトリ(例:/usr/local/bin/
)に配置します。
bash
sudo mv clash-linux-amd64-v* /usr/local/bin/clash - 設定ディレクトリの作成: 設定ファイルを保存するためのディレクトリを作成します。
bash
mkdir ~/.config/clash - 設定ファイルの配置: プロキシプロバイダーから入手した設定ファイル (
config.yaml
) をこのディレクトリに配置します。または後述のサブスクリプション機能を利用します。 - 起動: ターミナルから
clash
コマンドを実行します。
bash
clash
デフォルトでは~/.config/clash/config.yaml
を読み込みます。-d
オプションで設定ディレクトリを指定することも可能です。 - GUI: CLI版ClashはWebUIを提供しています。通常、
http://127.0.0.1:9090/ui
にアクセスすると、ダッシュボードが表示され、CLI版の操作が可能です。
Clash Verge (Linux GUI):
- ダウンロード: Clash VergeのGitHubリポジトリのReleaseページにアクセスします。 (例:
https://github.com/MetaCubeX/Clash-Verge/releases
) - 最新のリリースバージョンを見つけます。
- Assetsの項目から、Linux用の実行ファイル (
Clash.Verge_*-*-*-linux-x64.AppImage
や.deb
,.rpm
ファイルなど) をダウンロードします。AppImage形式が最も手軽なことが多いです。 - インストール: AppImageの場合、ダウンロードしたファイルに実行権限を付与し、実行します。
bash
chmod +x Clash.Verge_*.AppImage
./Clash.Verge_*.AppImage
.deb
や.rpm
の場合は、それぞれのパッケージマネージャーを使ってインストールします。 - 起動: アプリケーションメニューからClash Vergeを起動します。
4. 基本的な設定方法:サブスクリプションリンクの利用
Clashの最も簡単な設定方法は、プロキシプロバイダーから提供されるサブスクリプションリンクを利用することです。ほとんどのクライアントがこの機能をサポートしています。
ここでは、Windows版Clash Vergeを例に説明しますが、他のクライアントでも同様の手順です。
- サブスクリプションリンクの取得: 利用しているプロキシプロバイダーのウェブサイトやサービス説明ページから、Clash形式または互換性のあるサブスクリプションリンク(通常はURL)をコピーします。URLは
http://
またはhttps://
で始まり、末尾が.yaml
または.yml
、あるいはそれにリダイレクトされる形になっています。 - Clashクライアントを開く: 導入したClashクライアント(例: Clash Verge)を起動します。
- プロファイル/設定セクションへ移動: クライアントのUI内で、「Profiles」「Configs」「Subscriptions」などの項目を探してクリックします。
- サブスクリプションリンクの追加:
- Clash Vergeの場合、「Profiles」タブを開きます。
- 上部にある入力欄に、コピーしたサブスクリプションリンクを貼り付けます。
- 名前(例: MyProvider)を任意で入力します。
- 「Import」またはダウンロードアイコンをクリックします。
- 設定のダウンロードと適用: クライアントがそのURLから設定ファイル(YAML形式)をダウンロードし、ローカルに保存します。
- プロファイルの選択と有効化: ダウンロードした設定ファイルがプロファイルリストに表示されます。そのプロファイルを選択し、有効化します(通常はリスト内の項目をクリックするだけです)。
- Clashの開始: クライアントのメイン画面に戻り、「启动 (Start)」または「Connect」のようなボタンをクリックしてClashを有効にします。
これで、Clashがバックグラウンドで起動し、ダウンロードした設定ファイルに基づいてネットワークトラフィックのルーティングを開始します。多くのクライアントでは、有効化するとシステムプロキシ設定がClashを指すように自動的に変更されます。
サブスクリプションリンクの注意点:
- リンクは個人の設定ファイルに紐づいていることが多いため、他人に共有しないでください。
- リンクの内容はプロバイダー側で更新されることがあります。クライアントによっては、定期的に自動更新する設定がありますので、有効にしておくと便利です。
- リンクが正しくない場合や、URLからのダウンロードに失敗する場合は、プロバイダーに確認してください。
5. 高度な設定方法:設定ファイル(YAML)の詳細解説
サブスクリプションリンクで基本的な設定は可能ですが、Clashの真価を発揮するには、設定ファイル(config.yaml
)の内容を理解し、必要に応じてカスタマイズすることが重要です。
設定ファイルはYAML形式で記述されており、インデント(字下げ)が非常に重要です。スペースを使って階層構造を表現します(タブは避けるのが一般的です)。
以下に、主要なセクションとその内容を詳細に解説します。
“`yaml
port: 7890 # HTTPプロキシポート
socks-port: 7891 # SOCKS5プロキシポート
redir-port: 7892 # RedirSocksポート (Redir模式用)
mixed-port: 7893 # HTTP/SOCKS5混合ポート
allow-lan: false # LANからのアクセス許可 (trueにするとローカルネットワークの他デバイスからアクセス可能に)
bind-address: “” # どのインターフェースにバインドするか (““は全てのインターフェース)
mode: rule # モード (rule: ルールに従う, global: 全てプロキシ, direct: 全て直接接続)
log-level: info # ログレベル (silent, error, warning, info, debug)
external-controller: 127.0.0.1:9090 # 外部API/ダッシュボード用アドレス (Clash Vergeなどはこれを利用)
secret: “” # 外部APIへのアクセス秘密鍵 (空の場合は不要)
DNS設定
dns:
enable: true # DNS機能を有効にする
listen: 0.0.0.0:53 # DNSリスニングアドレス (通常は 0.0.0.0 または 127.0.0.1)
enhanced-mode: fake-ip # 強化モード (redir-host, fake-ip など)
fake-ip-range: 198.18.0.1/16 # fake-ipモードで使用するIP範囲
# DNSサーバーリスト
nameserver:
– 114.114.114.114 # 中国国内向けDNS (例)
– 223.5.5.5 # 中国国内向けDNS (例)
# フォールバックDNS (主要DNSが失敗した場合や、DNS汚染対策)
fallback:
– https://doh.opendns.com/dns-query # DNS over HTTPS (DoH)
– tls://dns.google:853 # DNS over TLS (DoT)
fallback-filter: # フォールバックを使用する条件
geoip: true # GEOIP判定 (偽の応答かどうか)
geoip-code: CN # CNの場合フォールバックを使わない (例: 中国国内のサイト判定を国内DNSに任せる)
ipcidr: # 指定IP範囲の場合フォールバックを使わない
– 240.0.0.0/4 # 例: テスト用IP範囲
プロキシノードリスト
proxies:
# Shadowsocks (SS) 例
– name: “SS_Node_1”
type: ss
server: example.com
port: 443
cipher: aes-256-gcm
password: “your_password”
udp: true # UDP通信を許可するか
# VMess 例
– name: “VMess_Node_2”
type: vmess
server: vmess.example.com
port: 80
uuid: “your_uuid”
alterId: 0
cipher: auto
network: ws # ネットワークタイプ (tcp, ws, http, quic)
tls: false # TLSを有効にするか
ws-path: “/vmess” # WebSocketパス
ws-headers: # WebSocketヘッダー
Host: vmess.example.com
# Trojan 例
– name: “Trojan_Node_3”
type: trojan
server: trojan.example.com
port: 443
password: “your_password”
tls: true
skip-cert-verify: false # サーバー証明書を検証するか
sni: trojan.example.com # SNI (Server Name Indication)
# VLESS 例 (Clash Meta コアが必要な場合あり)
– name: “VLESS_Node_4”
type: vless
server: vless.example.com
port: 443
uuid: “your_uuid”
network: ws
tls: true
servername: vless.example.com
ws-path: “/vless”
プロキシグループリスト
proxy-groups:
# 手動選択グループ
– name: “Proxy” # グループ名 (ルールで参照される)
type: select # タイプ: 手動選択
proxies: # このグループに含まれるノード/グループ
– “SS_Node_1” # proxiesセクションで定義したノード名
– “VMess_Node_2”
– “Trojan_Node_3”
– “Auto Select” # 他のプロキシグループを含めることも可能
– “DIRECT” # 直接接続 (キーワード)
– “REJECT” # 接続拒否 (キーワード)
# 自動テスト (URL-Test) グループ
– name: “Auto Select”
type: url-test # タイプ: 遅延テストに基づいて最適なノードを自動選択
url: http://www.gstatic.com/generate_204 # テストURL (通常は接続確認用の軽量なURL)
interval: 300 # テスト間隔 (秒)
tolerance: 50 # テスト結果の許容誤差 (ms)
proxies: # このグループに含まれるノード/グループ
– “SS_Node_1”
– “VMess_Node_2”
– “Trojan_Node_3”
# – “DIRECT” # 直接接続を自動選択に含めるかは状況による
# フェイルオーバー (Fallback) グループ
– name: “Fallback”
type: fallback # タイプ: プライマリノードが失敗した場合に次へ切り替え
url: http://www.gstatic.com/generate_204 # テストURL
interval: 300 # テスト間隔 (秒)
proxies: # このグループに含まれるノード/グループ (リストの順番が優先順位)
– “VMess_Node_2”
– “Trojan_Node_3”
– “SS_Node_1”
– “DIRECT” # 全て失敗したら直接接続 (最終手段)
# ロードバランス (Load-Balance) グループ
# – name: “Load Balance” # あまり使われない
# type: load-balance
# url: http://www.gstatic.com/generate_204
# interval: 300
# proxies:
# – “SS_Node_1”
# – “VMess_Node_2”
ルールリスト
rules:
# ルールは上から順に評価され、最初にマッチしたルールが適用される
# ローカルネットワークをバイパス
– IP-CIDR,192.168.0.0/16,DIRECT
– IP-CIDR,10.0.0.0/8,DIRECT
– IP-CIDR,172.16.0.0/12,DIRECT
– IP-CIDR,127.0.0.1/32,DIRECT
– IP-CIDR,localhost,DIRECT # localhostも直接接続
# GEOIPによる国内サイトのバイパス (中国を例に)
# DNSenhanced-modeがfake-ipの場合に有効
– GEOIP,CN,DIRECT # 中国国内のIPへのアクセスは直接接続
# 特定ドメインの拒否 (広告ブロックなど)
– DOMAIN-SUFFIX,ad.com,REJECT
– DOMAIN-KEYWORD,ad,REJECT # ドメイン名にadを含むものを拒否
# 特定ドメインの直接接続
– DOMAIN,bing.com,DIRECT # Bingは直接接続
– DOMAIN-SUFFIX,microsoft.com,DIRECT # Microsoft関連は直接接続
# 特定ドメインをプロキシ経由 (例: Google, YouTube, Twitterなど)
# プロキシグループ「Proxy」または「Auto Select」など、使いたいグループ名を指定
– DOMAIN-SUFFIX,google.com,Proxy
– DOMAIN-SUFFIX,google.com.hk,Proxy
– DOMAIN-SUFFIX,googlevideo.com,Proxy # YouTube動画用
– DOMAIN-SUFFIX,youtube.com,Proxy
– DOMAIN-SUFFIX,youtu.be,Proxy
– DOMAIN-SUFFIX,twitter.com,Proxy
– DOMAIN-SUFFIX,twimg.com,Proxy
– DOMAIN-SUFFIX,facebook.com,Proxy
– DOMAIN-SUFFIX,instagram.com,Proxy
# その他よく使うルール例
– DOMAIN-KEYWORD,github,Proxy # githubを含むドメイン
– DOMAIN-KEYWORD,wiki,Proxy # wikiを含むドメイン
# 未定義の全ての通信を処理する最終ルール (非常に重要!)
# 必ずリストの最後に配置する
– MATCH,Proxy # 上記のどのルールにもマッチしない通信は、プロキシグループ「Proxy」へ送る
“`
5.1 主要な設定項目 (port
, socks-port
, mixed-port
, allow-lan
, mode
, log-level
, external-controller
, secret
)
port
,socks-port
,mixed-port
: ClashがHTTP/SOCKS5プロキシとしてリッスンするポートを指定します。通常、クライアントがOSのシステムプロキシ設定をこれらのポートに向けることで、アプリケーションの通信をClash経由にします。redir-port
: Transparent Proxy (Redir模式) で使用されるポートです。これは通常、ルーターや特定のLinux設定で使用され、アプリケーションがプロキシ設定を意識せずに自動的にClashを通過するようにします。allow-lan
:true
に設定すると、Clashを実行しているデバイスと同じローカルネットワーク内の他のデバイスから、Clashのプロキシポートにアクセスできるようになります。これにより、PCで実行しているClashをスマートフォンから利用するといったことが可能になります(非推奨:セキュリティリスクを理解している場合のみ利用)。bind-address
: Clashがどのネットワークインターフェースにバインドするかを指定します。"*"
は全てのインターフェース、127.0.0.1
はローカルホストのみです。allow-lan: true
にする場合は、通常bind-address: "*"
と組み合わせます。mode
: Clashの全体的な動作モードを指定します。rule
: デフォルト。rules
セクションで定義されたルールに従ってトラフィックを処理します。global
:rules
セクションを無視し、全てのトラフィックを最終のMATCH
ルール(または指定されたデフォルトグループ)に送ります。一時的に全ての通信をプロキシしたい場合に便利ですが、国内サイトなどもプロキシ経由になるため注意が必要です。direct
: 全てのトラフィックを直接接続します。一時的にClashを無効にしたい場合に使えますが、クライアントの「停止」ボタンを使う方が一般的です。
log-level
: 表示するログの詳細レベルを設定します。トラブルシューティング時にはdebug
レベルにすると詳しい情報が得られます。external-controller
,secret
: Clashコアを外部から操作するためのAPI設定です。ほとんどのGUIクライアントはこれを利用してClashコアを制御し、ダッシュボードを表示します。デフォルトの127.0.0.1:9090
と秘密鍵なしで問題ないことが多いですが、もし他のデバイスからダッシュボードにアクセスしたい場合は、bind-address
とsecret
を設定します。
5.2 DNS設定 (dns
)
ClashのDNS機能は非常に強力で、検閲の回避やルールベースのルーティング精度向上に役立ちます。
enable
: DNS機能を有効にするか。通常はtrue
にします。listen
: ClashがDNSサーバーとしてリッスンするアドレスとポート。他のアプリケーションからのDNSリクエストを受け付けます。enhanced-mode
: DNS機能の強化モード。redir-host
: クライアントがDNSリクエストを送信し、その結果(IPアドレス)に基づいてルーティングを決定します。DNS応答が汚染されている場合、間違ったIPに繋がり、正しいルーティングができない可能性があります。fake-ip
: ClashがローカルでDNSリクエストを受け付け、偽のIPアドレスを応答として返します。実際の接続が発生した際に、その偽IPに対応するドメイン名を特定し、そのドメイン名に対してrules
を評価してルーティングを決定します。これにより、DNS汚染の影響を受けずに、ドメイン名に基づいた正確なルール適用が可能になります。検閲回避においては非常に強力なモードです。
fake-ip-range
:enhanced-mode: fake-ip
を使用する際に、Clashが応答として使用する偽のIPアドレスの範囲を指定します。通常、テスト用途などで使われるプライベートな範囲(RFC 6890)を指定します。nameserver
: Clashが実際に名前解決に使用するDNSサーバーのリストです。ここに信頼できるパブリックDNSや、特定の地域で高速なDNSなどを指定します。fallback
:nameserver
リストのDNSサーバーが失敗した場合や、DNS汚染が疑われる場合に代替として使用するDNSサーバーのリストです。通常、DNS over HTTPS (DoH) や DNS over TLS (DoT) をサポートするサーバー(例: Google, Cloudflare, OpenDNSのDoH/DoTサーバー)を指定し、プライバシーとセキュリティを強化します。fallback-filter
:fallback
を使用するかどうかの条件を設定します。geoip
:true
にすると、応答されたIPアドレスのGEOIPが特定のコード(geoip-code
で指定)と一致する場合、その応答は偽とみなしfallback
を使用します。これは主に特定の国からのDNS応答が汚染されていると仮定し、それを回避するために使われます。geoip-code
:geoip: true
の場合に比較する国コード。ipcidr
: 応答されたIPアドレスが指定されたIP範囲と一致する場合、fallback
を使用しません。例えば、国内サイトのIP範囲リストを指定しておけば、国内サイトの名前解決はnameserver
に任せ、海外サイトや不明なサイトの名前解決にfallback
を使用するといった使い方ができます。
DNS設定のポイント:
enhanced-mode: fake-ip
は強力ですが、一部のアプリケーションで互換性の問題が発生する可能性もあります。その場合はredir-host
を試してみてください。
nameserver
とfallback
の組み合わせは非常に重要です。信頼できるDoH/DoTサーバーをfallback
に設定することで、DNSレベルでの検閲や追跡を効果的に防ぐことができます。
5.3 プロキシノードリスト (proxies
)
実際に接続する各プロキシサーバーの詳細情報を定義します。各項目はハイフン (-
) で始まるリスト形式で記述され、それぞれの項目が1つのプロキシノードを表します。
各ノードの定義は、少なくともname
, type
, server
, port
を含み、プロトコルに応じて追加のパラメータ(password
, cipher
, uuid
, alterId
, network
, tls
, ws-path
, ws-headers
, sni
など)が必要です。
上記のYAML例に、SS, VMess, Trojan, VLESSの基本的な設定例を示しています。プロバイダーから提供される設定情報(通常はSS链接, Vmess链接, Trojan链接などの形式)を元に、対応するパラメータをYAML形式に変換して記述します。多くのプロバイダーから提供されるサブスクリプションリンクは、このproxies
セクションを含む完全な設定ファイルを生成してくれます。
5.4 プロキシグループリスト (proxy-groups
)
複数のプロキシノードや他のプロキシグループをまとめるセクションです。ルールで参照する際に、個別のノードではなくグループ名を指定することで、柔軟なノード管理が可能になります。
name
: このプロキシグループの名前。rules
セクションでこの名前を参照します。type
: グループの動作タイプを指定します。select
: 最も一般的です。グループに含まれるノード/グループの中から、ユーザーが手動で1つを選択します。GUIクライアントのプロキシリストで表示されるのは、このタイプのグループです。url-test
: グループ内の全てのノード/グループに対して定期的にURLテスト(遅延測定)を行い、最も遅延が少ないノードを自動的に選択します。信頼性と速度を重視する場合に便利です。url
とinterval
パラメータが必要です。fallback
: グループ内のノード/グループをリストの順番にテストし、最初に正常に接続できたノードを使用します。プライマリノードがダウンした場合に自動的に次へ切り替えるフェイルオーバーの仕組みを実現します。url
とinterval
パラメータが必要です。load-balance
: グループ内のノードにラウンドロビン方式などで負荷を分散します。ただし、HTTP以外のプロトコルでは効果が薄い場合が多く、あまり一般的ではありません。
proxies
: このグループに含まれるノードの名前または他のプロキシグループの名前をリスト形式で指定します。リストの順序は、select
タイプでは表示順、fallback
タイプでは優先順位になります。キーワードとしてDIRECT
(直接接続)やREJECT
(接続拒否)も含めることができます。
プロキシグループの活用例:
* 手動選択グループ: Proxy
や Foreign
といった名前でselect
グループを作成し、海外向けに使いたいノードを全て含めます。ユーザーはGUIで簡単にノードを切り替えられます。
* 自動選択グループ: Auto
や Fastest
といった名前でurl-test
グループを作成し、その時点で最も高速なノードを自動的に使いたい場合に利用します。このグループをルールのルーティング先として指定します。
* 国内グループ: Domestic
や Direct
といった名前でselect
グループを作成し、DIRECT
キーワードのみを含めるか、あるいは国内向けの高速なプロキシノードがあればそれを含めます。国内サイト向けのルールでこのグループを指定します。
5.5 ルールリスト (rules
)
Clashの最も強力な機能であり、ネットワークトラフィックをどのように処理するかを定義する心臓部です。ルールはrules
セクションにリスト形式で記述され、リストの上から順に評価されます。ある通信がリスト内のいずれかのルールにマッチした場合、そのルールに指定されたアクションが実行され、それ以降のルールは評価されません。
各ルールは、TYPE,VALUE,ACTION
または TYPE,VALUE,ACTION,PARAMETER
の形式で記述されます。
-
TYPE
: ルールの種類(マッチ条件)です。DOMAIN
: 完全一致するドメイン名 (DOMAIN,google.com,Proxy
)DOMAIN-SUFFIX
: 指定した文字列で終わるドメイン名 (DOMAIN-SUFFIX,google.com,Proxy
→www.google.com
,mail.google.com
にマッチ)DOMAIN-KEYWORD
: ドメイン名に指定した文字列を含む (DOMAIN-KEYWORD,github,Proxy
→github.com
,gist.github.com
にマッチ)GEOIP
: 接続先IPアドレスの国コード (GEOIP,CN,DIRECT
→ 中国国内のIPにマッチ)IP-CIDR
: 接続先IPアドレスが指定したCIDRブロックに含まれるか (IP-CIDR,192.168.1.0/24,DIRECT
)。IP-CIDR,localhost,DIRECT
やIP-CIDR,127.0.0.1/32,DIRECT
でローカルホストをバイパスするのが一般的です。PROCESS-NAME
: (クライアント依存) 通信を開始したアプリケーションのプロセス名 (PROCESS-NAME,chrome.exe,Proxy
)MATCH
: ワイルドカード。全ての通信にマッチします。必ずルールのリストの最後に配置します。 (MATCH,Proxy
)
-
VALUE
:TYPE
に対応する値(ドメイン名、国コード、CIDRブロックなど)です。 -
ACTION
: そのルールにマッチした場合に実行する処理です。DIRECT
: プロキシを使用せず、直接接続します。REJECT
: 接続を拒否します。ProxyGroupName
:proxy-groups
セクションで定義したプロキシグループの名前を指定します。そのグループのポリシーに従ってトラフィックがルーティングされます。
-
PARAMETER
: 一部のルールタイプで使用される追加パラメータ(例:GEOIP
ルールのno-resolve
)。
ルール設定の考え方と構成例:
効果的なルールリストを作成するための一般的な考え方です。
-
必須のバイパスルールを先頭に:
- ローカルネットワーク (
IP-CIDR,192.168.0.0/16,DIRECT
など) - Clashの外部コントローラーポート (
IP-CIDR,127.0.0.1/32,DIRECT
) - これらのルールを先頭に置くことで、ローカル通信やClash自身の通信が誤ってプロキシ経由になることを防ぎます。
- ローカルネットワーク (
-
拒否ルール:
- 広告ドメイン、マルウェアサイトなどをブロックしたい場合は、
DOMAIN-SUFFIX,ad.com,REJECT
のようなルールを配置します。
- 広告ドメイン、マルウェアサイトなどをブロックしたい場合は、
-
直接接続したい通信のルール:
- 国内の主要サイトやサービス (
GEOIP,CN,DIRECT
やDOMAIN-SUFFIX,.cn,DIRECT
、特定の国内サイトのドメインリスト) - 会社のイントラネットなど、絶対にプロキシを通したくない通信
- これらのルールをプロキシ経由ルールより前に置くことで、国内通信などが誤って海外プロキシを通ることを防ぎ、速度低下や不必要なトラフィック発生を回避します。
- 国内の主要サイトやサービス (
-
プロキシ経由で接続したい通信のルール:
- 海外の主要サービス(Google, YouTube, Twitter, Facebookなど)や、特定の国でブロックされているサイトのドメインリスト。
- ここで指定する
ACTION
は、通常、手動選択グループ(Proxy
)、自動選択グループ(Auto Select
)などを指定します。
-
最終ルール (
MATCH
):MATCH,Proxy
のように、リストの最後に必ず配置します。これにより、上記のどのルールにもマッチしなかった全ての通信が、指定したプロキシグループ経由で処理されるようになります。このルールがないと、どのルールにもマッチしない通信はデフォルトで直接接続(または拒否)されてしまう可能性があります。
設定ファイルの編集と適用:
ほとんどのGUIクライアントは、ダウンロードしたサブスクリプションの設定ファイルをローカルで編集できる機能を提供しています。
- クライアントの「Profiles」「Configs」などのタブを開きます。
- 現在有効な、または編集したい設定ファイルを選択します。
- 「Edit」やペンアイコンのようなボタンをクリックすると、YAMLエディタが開きます。
- 内容を編集します(YAMLのインデントには細心の注意を払ってください!)。
- 保存します。
- 編集した設定ファイルを再度選択して「Apply」や有効化ボタンをクリックすると、Clashコアに新しい設定が読み込まれ、動作が更新されます。
YAML形式の編集に慣れていない場合は、YAMLの基本的な構文ルール(特にインデント)を事前に確認しておくことを推奨します。インデントが間違っていると、設定ファイルが正しく読み込めず、Clashが起動しなくなる原因となります。
6. Clashの基本的な使い方
設定ファイルが正しく読み込まれ、Clashが有効になったら、GUIクライアントを使ってClashを操作します。クライアントによってUIは異なりますが、主要な機能は共通しています。
6.1 Clashの有効化/無効化
クライアントのメイン画面に「启动 (Start)」「Connect」「Enable」といったボタンがあります。これをクリックすることで、Clashのプロキシ機能を有効/無効に切り替えられます。有効にすると、システムプロキシ設定が変更され、無効にすると元に戻ります。
6.2 モードの切り替え (Rule, Global, Direct)
クライアントのメイン画面や設定項目に、「Mode」または「模式」といった設定があります。ここで設定ファイルで定義したmode
を一時的に切り替えることができます。
- Rule: デフォルト。設定ファイルの
rules
に従ってルーティングします。最も柔軟で推奨されるモードです。 - Global: 全ての通信を最終ルール(通常はプロキシグループ)に送ります。一時的に全ての通信をプロキシしたい場合に使います。
- Direct: 全ての通信を直接接続します。Clashを有効にしたまま一時的にプロキシを使いたくない場合に使えますが、「無効化」の方が分かりやすいかもしれません。
6.3 プロキシノード/グループの選択
proxy-groups
セクションでtype: select
として定義したグループは、GUIクライアント上で選択可能になります。
- クライアントの「Proxies」「代理」といったタブを開きます。
select
タイプのグループ名が表示されます。そのグループをクリックすると、グループに含まれるノードや他のグループのリストが表示されます。- 利用したいノードまたはグループ名をクリックすると、そのノード/グループが選択され、以後のそのグループを経由する通信はその選択に従ってルーティングされるようになります。
例えば、Proxy
というselect
グループがあり、その中にSS_Node_1
, VMess_Node_2
, DIRECT
が含まれている場合、このタブでこれらの項目の中からどれかを選べます。「SS_Node_1」を選択すれば、rules
でProxy
グループが指定されている通信は「SS_Node_1」を経由します。「DIRECT」を選択すれば、同じ通信は直接接続されます。
url-test
やfallback
タイプのグループは、ユーザーが個別にノードを選択するのではなく、グループのポリシーに従って自動的にノードが選ばれます。
6.4 ログの確認
「Logs」「日志」タブでは、Clashの動作ログを確認できます。設定ファイルの読み込み状況、通信がどのルールにマッチしてどのノード/グループにルーティングされたか、接続エラーなどが表示されます。問題発生時にはまずここを確認すると、原因の手がかりが得られます。log-level
をdebug
にすると、より詳細なログが表示されます。
6.5 コネクションの確認
「Connections」「连接」タブでは、現在Clashを経由している通信の一覧が表示されます。どのアプリケーションが、どのドメイン/IPに、どのプロキシノード/グループを使って接続しているかなどがリアルタイムで確認できます。これは、特定の通信が期待通りにルーティングされているかを確認したり、通信が詰まっている原因を探ったりするのに非常に役立ちます。
7. 特定の利用シーンと高度な活用法
Clashのルールベースルーティングを理解すると、様々な高度な利用法が可能になります。
7.1 スプリットトンネリングの実現
従来のVPNでは「VPN経由」か「VPN経由しないか」のアプリ単位やIPアドレス単位でしか制御できないことが多いですが、Clashではルールを使ってドメイン、IP、GEOIP、さらにはプロセス名(クライアントによる)など、より細かい粒度で通信のルーティング先を制御できます。これがClashにおけるスプリットトンネリングです。
-
例1:国内サイトと海外サイトの分離
“`yaml
rules:- GEOIP,CN,DIRECT # 国内(CN)は直接接続
- DOMAIN-SUFFIX,.cn,DIRECT # .cnドメインも直接接続
# … 他の国内サイトのルール - MATCH,Proxy # その他全てはプロキシグループ”Proxy”経由
“`
これにより、国内サイトへのアクセスは高速なまま、海外サイトへのアクセスのみプロキシを経由させることができます。
-
例2:特定のアプリだけプロキシを使う
“`yaml
rules:- PROCESS-NAME,MyApp.exe,Proxy # MyApp.exeの通信だけプロキシ
- MATCH,DIRECT # その他全ての通信は直接接続
``
PROCESS-NAME`ルールはクライアントの実装に依存します。
※
7.2 パフォーマンスの最適化
url-test
タイプのプロキシグループを活用することで、常に最も応答速度の速いノードを自動的に選択させることができます。複数のノードを持っている場合に非常に有効です。
“`yaml
proxy-groups:
– name: “Auto Select Proxy”
type: url-test
url: http://www.gstatic.com/generate_204
interval: 600 # 10分ごとにテスト
proxies:
– “Node A”
– “Node B”
– “Node C”
rules:
– DOMAIN-SUFFIX,google.com,”Auto Select Proxy”
– MATCH,”Auto Select Proxy” # 全ての通信を自動選択ノード経由に
“`
このように設定することで、Clashは定期的に各ノードの遅延を測定し、ルールで”Auto Select Proxy”グループが指定された通信に対して、その時点で最も低遅延なノードを選んで接続します。
7.3 広告・不正サイトのブロック
REJECT
アクションを使ったルールを追加することで、特定のドメインへの接続をブロックできます。
yaml
rules:
- DOMAIN-SUFFIX,ad.com,REJECT
- DOMAIN-SUFFIX,doubleclick.net,REJECT
- DOMAIN-KEYWORD,tracker,REJECT
# ... 他のブロックしたいドメイン/キーワード
# ... 他の正規のルール
- MATCH,Proxy
主要な広告ドメインリストなどと組み合わせることで、Clash自体を簡易的な広告ブロッカーとして機能させることも可能です。
8. よくある問題とトラブルシューティング
Clashの導入や設定でつまずいた場合に確認すべき点と解決策です。
8.1 Clashが起動しない、設定ファイルを読み込めない
- YAML構文エラー: 設定ファイル(
config.yaml
)のYAML構文に誤りがある可能性が最も高いです。特にインデント(字下げ)が間違っていないか確認してください。YAML構文チェッカーなどのオンラインツールを利用して検証するのも良いでしょう。 - ファイルパスの誤り: CLI版の場合、
-d
オプションやデフォルトのパスが正しいか確認します。GUI版の場合、インポートしたサブスクリプションやローカルファイルが正しく選択・有効化されているか確認します。 - Clashコアの問題: クライアントに内蔵されているClashコア自体に問題があるか、OSとの互換性の問題かもしれません。クライアントのバージョンを更新するか、別のClashコアバージョンを選択できるクライアント(Clash Vergeなど)であれば、別のコアを試してみてください。
- ファイアウォール/セキュリティソフト: ファイアウォールやセキュリティソフトがClashのネットワークアクセスをブロックしている可能性があります。Clashクライアントと関連プロセス(Clash coreなど)を許可リストに追加してください。
8.2 インターネットに接続できない、プロキシが機能しない
- Clashが有効になっていない: クライアントのメイン画面でClashが「有効」「接続済み」などの状態になっているか確認します。
- システムプロキシ設定: Clashがシステムプロキシ設定を正しく変更できているか確認します。OSのネットワーク設定で、HTTP/SOCKSプロキシがClashのポート(デフォルト7890/7891またはmixed-port 7893)を指しているか手動で確認することも有効です。
- 設定ファイルのプロキシ情報が間違っている:
proxies
セクションで定義されたノード情報(サーバーアドレス、ポート、プロトコル、ユーザー情報など)が間違っている可能性があります。プロバイダーから提供された情報と突き合わせて確認してください。 - プロキシサーバーがダウンしている: 利用しようとしているプロキシサーバー自体が動作していない可能性があります。クライアントの「Proxies」タブなどでノードの遅延テストを実行し、疎通性を確認してください。複数のノードがある場合は、別のノードに切り替えて試してください。
- ルール設定の問題: 通信が意図しないルールにマッチして
DIRECT
やREJECT
されている可能性があります。クライアントの「Logs」や「Connections」タブで、問題の通信がどのようにルーティングされているかを確認してください。ルールの順序やタイプが正しいか見直します。特に、MATCH
ルールがリストの最後にあるか確認してください。 - DNS設定の問題:
enhanced-mode
やnameserver
/fallback
の設定が原因で名前解決に失敗している可能性があります。DNS設定を一旦デフォルトに戻したり、シンプルな設定(例: Google Public DNSをnameserverに設定)で試してみてください。fake-ip
モードで問題が発生する場合は、redir-host
モードを試してみるのも手です。 - ポートの競合: Clashが使用しようとしているポート(例: 7890, 7891, 7893, 9090)が、他のアプリケーションによって既に使われている可能性があります。Clashの設定で別のポートに変更するか、該当のポートを使っている他のアプリを終了させてください。
8.3 速度が遅い、接続が不安定
- ノードの負荷/品質: 利用しているプロキシノードが混雑しているか、元々品質が低い可能性があります。クライアントで遅延テストを実行し、最も遅延が少ないノードを選択してください。可能であれば、別のプロバイダーのノードや、異なる地域にあるノードを試してみてください。
- プロトコルの選択: プロトコルによって速度や安定性が異なる場合があります。SS, VMess, VLESS, Trojanなど、複数のプロトコルに対応している場合は、色々なタイプを試してみてください。WebSocket (ws) + TLS の組み合わせは、通信がHTTPSに偽装されるため、検閲回避に有効な場合がありますが、オーバーヘッドが増える可能性もあります。
- Clashコアのバージョン: 使用しているClashコアのバージョンによってパフォーマンスが異なる場合があります。最新のClash PremiumコアやClash Metaコアは、新しいプロトコルへの対応やパフォーマンス改善が行われていることがあります。
- ルール設定の複雑さ: ルールリストが非常に長い、あるいは正規表現などを多用している場合、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。不要なルールを削除したり、ルールを最適化したりすることで改善する場合があります。
- DNS設定: DNS解決に時間がかかっている、またはDNSサーバーが遠い場合、接続開始が遅くなる原因となります。応答速度の速い信頼できるDNSサーバーを
nameserver
またはfallback
に設定してください。 - ローカルネットワーク環境: ご自身のインターネット回線やルーター、Wi-Fi環境に問題がないか確認してください。
8.4 特定のサイト/アプリで問題が発生する
- ルール設定の問題: そのサイト/アプリへの通信が、意図しないルール(例: 国内サイト判定されてDIRECTになる、GEOIPで誤判定される、REJECTルールに引っかかる)にマッチしている可能性が高いです。クライアントの「Connections」タブで、そのサイト/アプリの通信がどのルールにマッチし、どのノード/グループを使っているかを確認し、必要に応じてルールを修正してください。
- Fake IPモードとの非互換性:
enhanced-mode: fake-ip
は強力ですが、一部の特殊な通信を行うアプリケーションやゲームなどで互換性の問題が発生することがあります。その場合は、そのサイト/アプリに対してDIRECT
ルールを追加するか、一時的にenhanced-mode: redir-host
に変更して試してみてください。 - SSL証明書検証: 設定ファイルのプロキシ設定で
skip-cert-verify: true
に設定していると、中間者攻撃に対して脆弱になります。また、一部の厳格なセキュリティチェックを行うサイト(銀行サイトなど)では、正規の証明書検証ができない場合に接続を拒否されることがあります。可能な限りskip-cert-verify: false
(またはこの設定を削除)し、信頼できる証明書を持つサーバーを使用することを推奨します。
9. Clashと他のツールとの比較
9.1 従来のVPNとの比較
特徴 | Clash (プロキシクライアント) | 従来のVPN (VPNクライアント + サービス) |
---|---|---|
性質 | 多機能プロキシクライアント(様々なプロトコルを扱う) | VPNクライアント(OpenVPN, WireGuardなど)が特定のサービスに接続する |
ルーティング | ルールベース: ドメイン, IP, GEOIPなどに基づき細かく制御 | トンネル: 通常、デバイス全体の通信をVPNサーバー経由にする(一部アプリ/IP除外機能あり) |
プロトコル | SS, V2Ray, Trojan, HTTP, SOCKS5など、多様なプロキシプロトコル | OpenVPN, WireGuard, IKEv2など、VPNプロトコル |
設定 | YAML設定ファイルを詳細にカスタマイズする必要あり(学習コスト高) | アプリをインストールし、サーバーを選んで接続する(比較的簡単) |
柔軟性 | 非常に高い。複雑なルーティングや複数ノードの管理が得意 | 比較的低い。基本的にはオン/オフとサーバー選択のみ |
匿名性 | 利用するプロキシサーバーの信頼性に依存。ルール設定にも依存 | VPNサービスの信頼性に依存。ノーログポリシーなどが重要 |
暗号化 | プロキシプロトコル自体が暗号化機能を持つ | VPNプロトコルにより通信全体が暗号化される |
用途 | 検閲回避、複雑な通信振り分け、複数プロキシの効率利用 | 全体的な匿名化・セキュリティ向上、特定の地理的制限回避(シンプル) |
Clashは「どのように通信を流すか」を徹底的に制御したいパワーユーザー向け、従来のVPNは「手軽に全ての通信を保護・匿名化したい」一般ユーザー向け、と言えます。
9.2 他のプロキシツール(Shadowsocks, V2Ray/Xray, Surgeなど)との比較
- Shadowsocks (SS): シンプルなSOCKS5プロキシを暗号化するプロトコル。クライアントもシンプルで、通常はシステムプロキシ設定を変更するだけ。ClashはSSを含む多数のプロトコルを統合管理し、ルール機能で大幅に機能拡張したようなもの。
- V2Ray/Xray: Shadowsocksより多様なプロトコル(VMess, VLESSなど)や機能(ルーティング、トランスポート層の設定など)を持つ。単体のV2Ray/Xrayクライアントも高度な設定が可能だが、設定ファイルの記述方式やルール記述の柔軟性でClashとは異なる部分がある。ClashはV2Ray/Xrayの主要プロトコルをサポートし、Clash自身のルールエンジンで一元管理できる。
- Surge: macOS/iOS向けの非常に高機能なネットワークツール。Clashと同様にルールベースのルーティングや多プロトコル対応を持つが、Surgeはプロプライエタリ(有料)であり、Clashはオープンソース(コア部分)である点が異なる。設定ファイルのフォーマットもClashとSurgeで互換性がある場合とない場合がある。StashなどのiOSクライアントはSurgeやShadowrocketに近い操作感を持つ。
Clashは、多種多様なプロキシプロトコルへの対応と、それを統一的な強力なルールエンジンで制御できる点が、SSや単体のV2Rayクライアントなどに対する優位性です。Surgeとは思想が似ていますが、オープンソースであること、クロスプラットフォーム対応の豊富さで差別化されます。
10. セキュリティとプライバシーの注意点
Clashを利用する上で、セキュリティとプライバシーに関する重要な注意点があります。
- プロキシプロバイダーの信頼性: Clashはあくまでクライアントであり、実際の通信はプロキシサーバーを経由します。利用するプロキシプロバイダーが信頼できるかどうか(通信内容をログしないか、個人情報を適切に扱うかなど)が、セキュリティとプライバシーの最も重要な要素です。怪しい無料プロキシなどは避けるべきです。
- 設定ファイルの内容: サブスクリプションリンクなどで入手した設定ファイルには、悪意のあるルールが含まれている可能性があります。例えば、特定のサイトへのアクセスを偽サイトに誘導したり、重要な情報を特定のサーバーに送信したりするようなルールです。信頼できるソースから設定ファイルを入手し、可能であれば内容を簡単に確認することを推奨します。特に、見慣れないドメインへの
REJECT
以外のルールや、skip-cert-verify: true
などの設定には注意が必要です。 allow-lan: true
の設定: この設定を有効にすると、同じローカルネットワーク内の他のデバイスからClashのプロキシポートにアクセスできるようになります。これは便利な反面、もしローカルネットワークが侵害された場合、Clashが悪用されるリスクがあります。必要最低限の場合のみ有効にし、external-controller
に秘密鍵を設定するなど、適切なセキュリティ対策を行ってください。- DNS設定:
enhanced-mode: fake-ip
やfallback
を使ったDoH/DoTはプライバシー保護に有効ですが、設定が不十分だとDNSリーク(プロキシを使っているにも関わらず、OSや一部アプリが直接DNSサーバーに問い合わせてしまい、実際のIPアドレスや通信内容の一部がISPなどに漏れる)が発生する可能性があります。DNS設定が正しくClashを経由しているか、テストサイトなどで確認することが推奨されます。 - Clashクライアントのソース: 非公式のサードパーティ製クライアントは、開発者の信頼性に依存します。公式リポジトリ(GitHubなど)からダウンロードし、評判を確認してから利用することが望ましいです。
Clashは非常に強力で柔軟なツールですが、その分、ユーザー自身が設定内容や利用するサービスの信頼性について注意深く判断する必要があります。
11. まとめ
この記事では、2024年におけるClash多機能プロキシクライアントの導入、設定、使い方について、初心者から一歩進んだユーザー向けに詳細に解説しました。
- ClashはVPNではなく、多様なプロトコルと強力なルールベースルーティングを持つプロキシクライアントです。
- 主要なOS向けに様々なGUIクライアントが提供されており、GitHubなどから入手できます。
- 基本的な設定は、プロバイダーから提供されるサブスクリプションリンクを利用するのが最も簡単です。
- Clashの真価は、設定ファイル(YAML)を理解し、
proxies
,proxy-groups
,rules
,dns
などのセクションをカスタマイズすることで発揮されます。 rules
セクションでは、通信のタイプ(ドメイン、IP、GEOIPなど)に応じて、どのプロキシノード/グループを使うか、あるいは直接接続・拒否するかを詳細に制御できます。proxy-groups
を活用することで、手動選択、遅延テストに基づく自動選択、フェイルオーバーなど、ノードの管理を効率化できます。dns
設定により、DNSレベルでの検閲回避や、fake-ip
モードによるドメインベースの正確なルール適用が可能になります。- ClashのGUIクライアントを使えば、ノード選択、モード切り替え、ログ・接続状況の確認などが視覚的に行えます。
- トラブルシューティングには、YAML構文の確認、プロキシ情報の確認、ノードの疎通性テスト、ログ・接続状況の確認などが有効です。
- Clashは従来のVPNより設定は複雑ですが、その分高い柔軟性を持ち、検閲回避や通信最適化に非常に強力です。
- 利用するプロキシプロバイダーや設定ファイルの信頼性、そして自身のネットワーク設定には常に注意を払い、セキュリティとプライバシーを確保することが重要です。
Clashは学習コストがゼロではありませんが、一度その仕組みを理解すれば、あなたのネットワーク環境をより自由に、そして効率的に制御できるようになるでしょう。この記事が、あなたのClashマスターへの第一歩となることを願っています。
【免責事項】
本記事はClashプロキシクライアントの技術的な導入・設定方法について解説するものです。Clashを利用する行為は、お住まいの国や地域の法律、およびインターネットサービスプロバイダーの規約によって制限または禁止されている場合があります。Clashを利用する際は、必ず現地の法律や規約を確認し、ご自身の責任において行ってください。本記事の情報は、合法的な目的での利用を想定しており、不正または違法な目的でのClashの利用を推奨するものではありません。