Xperia 5 IV は買うべき?メリット・デメリットを解説

はい、承知いたしました。Xperia 5 IVについての詳細なメリット・デメリットを解説し、購入を検討している方が判断できるよう約5000語の記事を作成します。


Xperia 5 IVは「買い」なのか? メリット・デメリットを徹底解説

ソニーのスマートフォン、Xperiaシリーズは、その独自のコンセプトと技術で常に注目を集めています。中でも「5」シリーズは、フラッグシップモデルである「1」シリーズの高性能を受け継ぎつつ、よりコンパクトなサイズに凝縮したモデルとして、根強い人気を誇っています。

本記事では、2022年秋冬モデルとして登場した「Xperia 5 IV」(エクスペリア ファイブ マークフォー)に焦点を当て、その特徴、メリット、デメリットを詳細に解説します。Xperia 5 IVは、特にソニーが得意とするカメラ、オーディオ、ディスプレイといったAV技術を結集し、さらに日常使いを重視した改良が施されたモデルです。

果たして、このXperia 5 IVは、今からスマートフォンを購入しようと考えている方にとって「買い」の選択肢なのでしょうか? それとも、別のモデルを検討すべきでしょうか? 本記事を読めば、Xperia 5 IVがあなたのライフスタイルやこだわりに合っているかどうか、明確な判断ができるはずです。

記事の構成

  1. Xperia 5 IVとは? その位置づけ
  2. Xperia 5 IVの「メリット」を徹底解説
    • コンパクトなサイズと洗練されたデザイン
    • 高画質・高精細な有機ELディスプレイ(明るさ向上!)
    • ソニーらしい高性能カメラ体験(静止画・動画)
    • 圧倒的な「音」へのこだわり(3.5mmイヤホンジャック健在!)
    • フラッグシップクラスの処理性能
    • 大幅に強化されたバッテリー持ち
    • 充実したゲーム機能
    • 安心の耐久性(防水・防塵、Gorilla Glass Victus)
    • その他ソニーならではの機能(Side Sense、Music Proなど)
  3. Xperia 5 IVの「デメリット」を徹底解説
    • 競合と比べると高価な価格設定
    • Snapdragon 8 Gen 1由来の発熱問題
    • カメラ性能に関する懸念点(画質処理、固定焦点望遠)
    • 充電速度と同梱物の少なさ
    • ソフトウェアアップデートの提供期間と頻度
    • 特定のユーザーを選ぶデザイン(21:9アスペクト比)
    • ライバルに比べて地味に感じられる点
  4. Xperia 5 IVはどんな人におすすめ?
  5. Xperia 5 IVはどんな人におすすめできない?
  6. まとめ:結局、Xperia 5 IVは「買い」なのか?

1. Xperia 5 IVとは? その位置づけ

Xperia 5 IVは、ソニーのスマートフォンラインナップにおいて、フラッグシップモデル「Xperia 1 IV」とミドルレンジモデル「Xperia 10 IV」の間に位置するモデルです。具体的には、「Xperia 1 IV」で培われた最新の技術や機能を、より持ちやすく操作しやすいコンパクトなボディに凝縮した「コンパクトフラッグシップ」という位置づけになります。

そのため、Xperia 5 IVは単なる廉価版ではなく、特定のユーザー層(片手操作を重視する人、高性能を求めるが大きすぎるスマホは嫌だという人など)にとって最適な選択肢となりうる個性的なモデルです。特に、ソニーのカメラ「α」、プロ向け映像機材「CineAlta」、オーディオ機器「Walkman」などで培われた技術がふんだんに盛り込まれており、クリエイティブな活動やエンターテインメント消費を重視するユーザーに響く特徴を持っています。

前モデルであるXperia 5 IIIからの主な進化点としては、ディスプレイの明るさ向上、バッテリー容量の増加とワイヤレス充電対応、フロントカメラのセンサー刷新などが挙げられます。これらの改良により、日常使いにおける快適性が大きく向上しています。

2. Xperia 5 IVの「メリット」を徹底解説

まずは、Xperia 5 IVを選ぶことで得られるメリット、つまり「買い」である理由を詳細に見ていきましょう。

2.1. コンパクトなサイズと洗練されたデザイン

Xperia 5 IVの最大の魅力の一つは、そのコンパクトさです。約67mmという横幅は、近年の大型化が進むスマートフォンの中では非常にスリムで、手の小さな方でも片手でしっかりと握ることができます。約172gという重量も、最近のフラッグシップモデルが200gを超えることが多い中では軽量な部類に入ります。

「コンパクト」と言っても、ディスプレイサイズは約6.1インチと十分な大きさがあり、縦長の21:9アスペクト比のおかげで、画面の情報を一度に多く表示できます。このアスペクト比は、映画コンテンツの視聴に適しているだけでなく、SNSのタイムライン閲覧や、画面分割でのマルチタスクにおいても縦方向の表示領域が広く、快適な操作感を提供します。

デザインは、Xperiaシリーズ伝統のフラットでシンプルな「オムニバランスデザイン」を継承しており、洗練された印象を与えます。背面パネルにはすりガラスのようなマットな質感が採用され、指紋がつきにくく、高級感があります。側面には、電源ボタン一体型の指紋認証センサー、独立したカメラシャッターボタン、そして多くのスマートフォンから失われた3.5mmヘッドホンジャックが配置されており、物理ボタンの使いやすさもXperiaの特徴と言えるでしょう。

詳細な解説:

  • 片手操作の快適性: 横幅67mmは、成人男性・女性問わず、親指が画面の反対側まで比較的容易に届くサイズです。これは、ウェブブラウジングやアプリ操作において、持ち替えずにほとんどの操作を完結できるという大きな利点に繋がります。
  • ポケットへの収まり: 近年の大型スマホはポケットからの出し入れが億劫だったり、収まりが悪かったりしますが、Xperia 5 IVのサイズであれば、標準的なポケットにもすっきりと収まります。日常的に持ち歩くデバイスとして、この携帯性は非常に重要です。
  • 質感とビルドクオリティ: 前述のマット仕上げの背面、メタルフレーム、そしてディスプレイと背面を保護するCorning Gorilla Glass Victusなど、素材選びにも妥協がなく、所有欲を満たす高いビルドクオリティを持っています。側面のフラットなデザインは、手に持った時の安定感にも貢献しています。
  • 21:9アスペクト比のUI: 縦長の画面は、標準的な16:9や18:9の画面に比べて、同じ情報量でもスクロール量が少なくて済みます。特に、TwitterやInstagramなどのSNS、ニュースサイト、チャットアプリなど、縦に長い情報を閲覧する機会が多い人にとって、このアスペクト比は非常に効率的です。また、画面分割機能(マルチウィンドウ)を使った際にも、上下にアプリを配置した際にそれぞれのアプリが比較的広い領域を確保できるため、快適にマルチタスクを行うことができます。

2.2. 高画質・高精細な有機ELディスプレイ(明るさ向上!)

Xperia 5 IVは約6.1インチ、解像度FHD+(2520 x 1080ピクセル)の有機EL(OLED)ディスプレイを搭載しています。有機ELは、液晶に比べて黒色の沈み込みやコントラスト比が高く、鮮やかな色彩表現が可能です。

特筆すべきは、前モデルのXperia 5 IIIからディスプレイ輝度が約50%向上した点です。これにより、日差しの強い屋外など、明るい環境下でも画面が見やすくなりました。これは、日常的な使い勝手において非常に重要な改善点です。

また、Xperiaシリーズらしく、ソニーのテレビブランド「BRAVIA」で培われた映像技術が活かされています。「Creator mode(クリエイターモード)」をオンにすれば、ハリウッドのスタジオなどでも基準とされる色域(ITU-R BT.2020)と色空間(DCI-P3)、さらには10bit階調入力に対応し、制作者の意図した正確な色合いでコンテンツを楽しむことができます。

さらに、最大120Hzのリフレッシュレートに対応しています。これにより、画面スクロールやゲーム時のアニメーションが非常に滑らかになり、残像感の少ない快適な視覚体験が得られます。

詳細な解説:

  • 有機ELの恩恵: 有機ELディスプレイは、画素一つ一つが自発光するため、完全な黒色を表現できます。これにより、映像コンテンツのコントラストが際立ち、引き締まった映像を楽しむことができます。特に暗いシーンの多い映画やゲームでは、その表現力の高さが活かされます。
  • 輝度向上のインパクト: スマートフォンのディスプレイ輝度は、屋外での視認性に直結します。Xperia 5 IVの輝度向上は、単に「明るくなった」というだけでなく、晴れた日の屋外での写真撮影時のフレーミングや、地図アプリの確認など、様々なシーンで画面が見やすくなるという、日常使いにおける実用性の向上に大きく貢献しています。
  • 「Creator mode」の意義: スマートフォンのディスプレイは、多くの場合、鮮やかさを強調するために色が調整されています。しかし、「Creator mode」は、プロの制作者が意図した通りの色表現を再現することを目指しており、写真編集や動画編集、あるいは映画鑑賞において、より正確な色でコンテンツを評価したり楽しんだりしたいユーザーにとって非常に価値のある機能です。これは、ソニーがコンテンツ制作側とデバイス側の両方を手掛けているからこそ実現できる強みと言えるでしょう。
  • 120Hzリフレッシュレートの滑らかさ: 120Hzのリフレッシュレートは、1秒間に画面が120回更新されることを意味します。これは標準的な60Hzの2倍であり、特に画面をスクロールする際や、高速な動きのあるゲームをプレイする際に、その効果を体感できます。動きが滑らかになることで、目の疲れも軽減されるというメリットもあります。アプリによっては120Hzに対応していない場合もありますが、対応アプリでは非常に快適な操作感を提供します。

2.3. ソニーらしい高性能カメラ体験(静止画・動画)

Xperia 5 IVは、広角、超広角、望遠のトリプルカメラシステムを搭載しています。全てのレンズに有効画素数約1220万画素のExmor RS for mobileイメージセンサーを採用し、高速な読み出しを可能にしています。

カメラの特徴は、ソニーのデジタルカメラ「α」で培われた技術が惜しみなく投入されている点です。特に挙げられるのは、瞳AF(リアルタイム瞳AF)オブジェクトトラッキングです。これらは、人や動物の瞳を正確に捉え続けたり、指定した被写体を追尾したりすることで、動きのあるシーンでもブレずにピントを合わせ続けることを可能にします。これは、子どもの撮影やペットの撮影、スポーツシーンの撮影などで絶大な威力を発揮します。

また、全てのレンズで毎秒120コマの高速読み出しが可能になったことで、最大120fpsのハイフレームレート動画撮影や、全てのレンズでの瞳AF/オブジェクトトラッキングに対応しています。

ソニーのカメラアプリは、初心者でも簡単に使える「Photography Pro Basicモード」に加え、「Photography Pro」ではαのようなUIでシャッタースピード、ISO感度、フォーカスなどを細かく設定できるマニュアル操作に対応しています。これにより、自分の意図通りの写真表現を追求したいユーザーにとって、非常に自由度の高い撮影体験を提供します。

動画撮影に関しても、Cinema Pro、Video Proといったプロ仕様のアプリが用意されています。Cinema Proは映画のような画作り(LUT適用など)に特化しており、Video Proはより直感的な操作で本格的な動画撮影を可能にします。これらのアプリを使えば、スマートフォンでありながら、高度な映像表現に挑戦できます。

詳細な解説:

  • 「α」譲りのAF性能: リアルタイム瞳AFは、スマートフォンではまだ珍しい高度な追従AF機能です。ポートレート撮影ではモデルの動きに合わせて瞳にピントを合わせ続けられるため、ピンぼけの失敗を減らせます。動体追従機能であるオブジェクトトラッキングと組み合わせることで、予測不能な動きをする被写体にも対応しやすくなります。これは、特にXperia 5 IVがクリエイター向けという側面を持つ上で、静止画・動画問わず非常に重要な機能です。
  • 全てのレンズでの高速性能: 前モデルまでは一部のレンズに制限があった高速読み出しやAF追従が、全てのレンズで可能になったことは、撮影の自由度を大きく広げます。超広角でダイナミックな動きを捉えたり、望遠で遠くの被写体を追いかけたりする際に、常に最高のAF性能を発揮できるのは大きな進化です。
  • Photography Proのマニュアル性能: 他社のスマホカメラアプリもマニュアルモードを備えていることがありますが、XperiaのPhotography Proは、そのUIや設定項目がより本格的なカメラライクです。Aモード(絞り優先)、Sモード(シャッタースピード優先)、Mモード(マニュアル)といった撮影モードの選択、RAW形式での保存、細かなホワイトバランス調整など、デジタルカメラで撮影するのと同じような感覚で操作できます。これは、スマートフォンを単なる記録ツールではなく、写真表現のツールとして捉えたいユーザーにとって、非常に魅力的です。
  • Cinema ProとVideo Proによる高度な動画制作: Cinema Proは、プロの映像制作で使用されるような21:9のアスペクト比、シネマらしいフレームレート(24fps, 30fps, 60fpsなど)、そしてソニー独自のルック(LUT)を適用して撮影できるなど、非常に専門的な機能を提供します。これにより、スマートフォンで手軽に本格的なショートフィルムなどを制作したいユーザーに適しています。一方、Video Proは、より一般的な動画撮影のワークフローに近く、ズームレバーによる滑らかなズーム操作や、外部マイクの接続、ストリーミング配信機能など、Vlog撮影やライブ配信などにも便利な機能が搭載されています。これらの専用アプリは、Xperia 5 IVを単なる「写真が撮れるスマホ」ではなく、「映像制作ツール」としても位置づけています。
  • フロントカメラの進化: Xperia 5 IVでは、フロントカメラのセンサーも大型化され、約1220万画素に向上しました。これにより、セルフィーの画質が向上し、動画撮影時の画質も向上しています。Video Proアプリを使えば、このフロントカメラでのVlog撮影も高画質で行えます。

2.4. 圧倒的な「音」へのこだわり(3.5mmイヤホンジャック健在!)

オーディオ機能も、Xperia 5 IVが他の多くのスマートフォンと一線を画す大きな強みです。

まず特筆すべきは、多くのハイエンドスマートフォンから姿を消しつつある3.5mmヘッドホンジャックを搭載している点です。これにより、お気に入りの有線イヤホンやヘッドホンを変換アダプタ無しで直接接続できます。Xperia 5 IVは、この有線接続において、ハイレゾ音源の再生に対応しており、高品質な音楽体験を提供します。

さらに、前面ステレオスピーカーを搭載しています。スマートフォンのスピーカーは、多くの場合本体の下部に搭載されていますが、Xperia 5 IVは画面の上下にスピーカーが配置されているため、動画視聴やゲーム時に臨場感のあるサウンドをダイレクトに楽しめます。音圧も前モデルから向上しており、より迫力のあるサウンドを再生できます。

ワイヤレスオーディオに関しても妥協はありません。LDACコーデックに対応しており、対応するワイヤレスヘッドホンやイヤホンを使えば、ハイレゾ相当の音質をワイヤレスで楽しむことができます。

また、MP3やAACなどの圧縮音源をハイレゾ相当にアップスケーリングする「DSEE Ultimate」機能や、ソニー独自の立体音響技術「360 Reality Audio」にも対応しており、有線・無線問わず、様々な方法で高音質なサウンドを体験できます。

さらに、新たに音声録音アプリ「Music Pro」が搭載されました。これは、スマートフォンの内蔵マイクで録音した音声を、まるでスタジオで録音したかのようにクリアなサウンドに仕上げる機能です。ボーカルやアコースティックギターなどの楽器を録音し、クラウド処理でノイズ除去や高音質化を行うことができます。

詳細な解説:

  • 3.5mmジャックの価値: 現代のスマートフォン市場において、フラッグシップクラスで3.5mmヘッドホンジャックを搭載しているモデルは非常に稀です。これは、オーディオ愛好家にとってXperia 5 IVを選ぶ上で最も重要な理由の一つとなり得ます。長年愛用してきた有線ヘッドホンをそのまま使える、遅延が少ない、充電しながら音楽が聴ける、といった利便性はもちろん、Xperia 5 IVのDAC(デジタルアナログコンバーター)とアンプを通して、スマホ単体で高品質なアナログ出力が得られるという音質的なメリットも大きいです。
  • 前面ステレオスピーカーの優位性: スマートフォンのスピーカーは、手で持った際にスピーカーを塞いでしまいがちですが、前面配置であればその心配がありません。また、左右独立したステレオスピーカーであるため、音の広がりや定位感が向上し、動画やゲームへの没入感を高めます。音量だけでなく、音質も向上しており、スマホ単体でちょっとした動画を見る際にも満足度の高い音質を提供します。
  • ワイヤレスでも高音質: LDACは、従来のBluetoothオーディオコーデックよりも多くの情報量を伝送できるため、ワイヤレスでもハイレゾ音源に近い音質を実現できます。ソニーのWalkmanやヘッドホンなど、LDAC対応機器を組み合わせることで、その真価を発揮します。
  • DSEE Ultimateと360 Reality Audio: DSEE Ultimateは、AI技術を用いて圧縮音源をリアルタイムでハイレゾ相当にアップスケーリングする機能です。ストリーミングサービスや手持ちの古い音源でも、より高音質で楽しむことができます。360 Reality Audioは、音場の中に楽器やボーカルなどが配置されたかのような、立体的な音響体験を提供する技術です。対応サービスや対応ヘッドホンとの組み合わせで、より没入感のある音楽体験が得られます。
  • Music Proによるクリエイティブ支援: Music Proは、特に音楽制作に興味があるユーザーにとってユニークな機能です。内蔵マイクの性能を最大限に引き出し、プロ仕様の編集を行うことで、手軽に高品質な音声素材を作成できます。これは、ソニーが音楽・映像分野全体を手がけている企業ならではの強みと言えるでしょう。

2.5. フラッグシップクラスの処理性能

Xperia 5 IVは、当時のAndroidスマートフォンのハイエンドクラスが搭載していたQualcomm Snapdragon 8 Gen 1 Mobile Platformを搭載しています。このチップセットは、高い処理性能を誇り、多くのアプリをスムーズに動作させることができます。

ウェブブラウジング、SNS、動画視聴はもちろん、グラフィック負荷の高い3Dゲームも快適にプレイ可能です。日常的な操作においても、アプリの起動や切り替えが素早く、ストレスを感じることは少ないでしょう。

詳細な解説:

  • Snapdragon 8 Gen 1の能力: Snapdragon 8 Gen 1は、CPU、GPUともに前世代から大幅な性能向上を実現しており、特にゲームや動画編集などの負荷の高いタスクにおいてそのパワーを発揮します。複数のアプリを同時に起動するマルチタスク処理もスムーズに行えます。
  • 日常操作の快適性: ハイエンドチップセットの恩恵は、特定の高負荷タスクだけでなく、日常的なスマートフォンの操作全般に現れます。アプリの起動速度、アニメーションの滑らかさ、画面スクロールの応答性など、細かな部分でストレスフリーな体験を提供します。これは、スマートフォンの体感速度に大きく影響する要素です。
  • 将来性: Snapdragon 8 Gen 1クラスの性能があれば、今後数年間登場するであろう新しいアプリやゲームにも十分対応できるポテンシャルを持っています。すぐに性能不足を感じる心配は少ないでしょう。

2.6. 大幅に強化されたバッテリー持ち

Xperia 5 IVは、前モデル(4500mAh)から容量を増やし、5000mAhの大容量バッテリーを搭載しています。さらに、電力効率の良いSnapdragon 8 Gen 1チップセットと、ソニー独自の省電力技術の組み合わせにより、バッテリー持続時間が大幅に向上しています。

発売当初のレビューやユーザーからの評価でも、バッテリー持ちの良さはXperia 5 IVの大きな改善点として挙げられることが多かったです。前モデルではやや課題だったバッテリー持ちが、Xperia 5 IVでは安心して一日使えるレベルに進化したと言えるでしょう。

また、Xperiaシリーズとして初めて、Qi規格のワイヤレス充電に対応しました。これにより、ケーブルを抜き差しする手間なく、対応の充電器に置くだけで手軽に充電できます。さらに、他のQi対応デバイスをXperia 5 IVの背面に置いて充電できるおすそわけ充電(リバースワイヤレス充電)にも対応しています。

詳細な解説:

  • 5000mAhバッテリーの威力: 5000mAhは、近年のフラッグシップスマートフォンとしては標準的な容量ですが、コンパクトなボディに収まっている点がポイントです。大型化せずともバッテリー容量を増やし、さらに効率も改善したことで、ユーザーはサイズ感を損なわずにバッテリー持ちの恩恵を受けられます。具体的には、朝から夜まで充電なしで使い続けられる、あるいはライトユーザーであれば2日間持つといったことも期待できます。
  • ワイヤレス充電対応の利便性: ワイヤレス充電は、一度慣れると手放せなくなる便利な機能です。自宅やオフィスにワイヤレス充電器を置いておけば、席に戻るたびにケーブルを探して挿す必要がなく、スマートに充電できます。また、おすそわけ充電は、ワイヤレスイヤホンやスマートウォッチなど、Qi対応の小物デバイスの充電が必要になった際に役立ちます。旅先などで、複数の充電器を持ち歩きたくない場合にも便利です。
  • バッテリーケア機能: ソニーのXperiaには、バッテリーの劣化を抑えるための「いたわり充電」機能が搭載されています。これは、充電完了時間を指定することで、就寝中などに充電速度を調整し、満充電の状態が長く続くことを防ぐ機能です。これにより、バッテリーの寿命を延ばし、長期間快適に使用することができます。

2.7. 充実したゲーム機能

Xperia 5 IVは、高性能チップセットと120Hzディスプレイに加え、「ゲームエンハンサー」という専用アプリを搭載しており、ゲーミングスマートフォンとしても高いポテンシャルを秘めています。

ゲームエンハンサーを使えば、ゲームプレイ中の通知ブロック、パフォーマンス優先モードへの切り替え、画面のリフレッシュレート設定、音質調整、そしてハイパーグライドゲーム(タッチ応答速度の向上)といった様々な設定を簡単に行えます。

さらに、Xperia 5 IVはHSパワーコントロールに対応しています。これは、充電器を接続しながらゲームをプレイする際に、バッテリーを介さずに直接本体に給電することで、バッテリーの劣化を防ぎつつ、本体の発熱を抑える機能です。長時間のゲームプレイにおいて、性能の維持とバッテリー保護の両立を可能にします。

詳細な解説:

  • ゲームエンハンサーの詳細: ゲームエンハンサーは単なる設定ツールではなく、ゲーム中の便利なオーバーレイUIとしても機能します。画面録画機能(最大120fps)、スクリーンショット撮影、ウェブ検索、攻略情報の表示など、ゲームを中断することなく必要な情報にアクセスできます。また、ゲームごとに個別の設定プロファイルを保存できるため、様々なゲームを最適な設定ですぐにプレイ開始できます。
  • HSパワーコントロールの重要性: スマートフォンでゲームを長時間プレイすると、バッテリーが消耗し、充電しながらプレイすることも多くなります。しかし、充電中のゲームプレイは本体が発熱しやすく、性能低下やバッテリー劣化の原因となります。HSパワーコントロールは、この問題を解決する画期的な機能です。バッテリーを迂回して本体に直接給電することで、発熱を大幅に抑制し、高負荷時でも安定したパフォーマンスを維持しやすくなります。これは、モバイルゲーマーにとって非常に大きなメリットです。
  • パフォーマンスの持続性: Snapdragon 8 Gen 1は高性能である反面、発熱しやすいという特徴があります。しかし、Xperia 5 IVは、ゲームエンハンサーによる設定やHSパワーコントロールといったソフトウェア・ハードウェア両面からの対策により、他の同チップ搭載機に比べて、高負荷時の性能維持に力を入れています。完全に熱問題を解消するわけではありませんが、ゲームプレイにおいては有効な対策が施されています。

2.8. 安心の耐久性(防水・防塵、Gorilla Glass Victus)

スマートフォンを日常的に使用する上で、耐久性は非常に重要な要素です。Xperia 5 IVは、日本国内で販売されるスマートフォンとして標準的なIPX5/IPX8の防水性能IP6Xの防塵性能を備えています。これにより、キッチンや洗面所での使用、外出先での突然の雨、砂埃の多い場所などでも安心して使用できます。

さらに、ディスプレイ面と背面パネルの両方に、高い強度を誇るCorning Gorilla Glass Victusを採用しています。これは、落下時の衝撃や引っかき傷に対する耐性が高いことで知られており、日常生活でのアクシデントから本体を守るのに役立ちます。

詳細な解説:

  • IP等級の意味: IPX5/IPX8の防水性能は、それぞれ「あらゆる方向からの噴流水による有害な影響がない」「継続的に水中に沈めた場合でも有害な影響がない」ことを示しています。つまり、シャワーがかかったり、うっかり水没させてしまったりしても、すぐに壊れる可能性は低いということです。ただし、温泉水や海水、洗剤などを含む水には対応していないため、注意が必要です。IP6Xの防塵性能は、「粉塵が内部に侵入しない」レベルを示しており、砂浜や工事現場などでも安心です。
  • Gorilla Glass Victusの保護力: Gorilla Glass Victusは、従来のGorilla Glassよりも落下耐性が向上しており、高さ2mからの落下にも耐えうるとされています(メーカー公称値であり、すべての状況で保証されるわけではありません)。また、傷に対する耐性も高いため、鍵などの硬いものと一緒にポケットに入れても傷がつきにくいです。とはいえ、絶対に割れない・傷つかないわけではないため、保護フィルムやケースの使用を検討するのが賢明です。
  • 物理ボタンの堅牢性: Xperiaの特徴である物理ボタン(電源/指紋センサー、音量、シャッター)は、単に使いやすいだけでなく、比較的堅牢に作られています。ただし、これらのボタンの隙間から液体が侵入する可能性もゼロではないため、過信は禁物です。

2.9. その他ソニーならではの機能(Side Sense、Music Proなど)

前述の主要な機能以外にも、Xperia 5 IVにはソニー独自の便利な機能が搭載されています。

  • Side Sense: ディスプレイの側面をダブルタップしたり、スライドさせたりすることで、よく使うアプリや設定に素早くアクセスできる機能です。片手操作がしやすいコンパクトなXperiaにおいて、この機能はアプリ起動や設定変更の手間を省き、さらに操作性を向上させます。
  • Music Pro: オーディオの項目で詳しく解説しましたが、内蔵マイクで高品質な録音・編集ができるアプリです。これは、音楽制作や音声コンテンツ制作に興味があるユーザーにとって、ユニークな魅力となります。
  • 外部モニター機能: Xperia 1 IVから引き継いだ機能ではありませんが、Xperiaは外部モニターとして活用できる機能も備えています。Xperia 5 IVでも、対応するカメラを接続して、Xperiaの画面を外部モニターとして使用できます。

詳細な解説:

  • Side Senseのカスタマイズ性: Side Senseは、表示するアプリや設定をカスタマイズできます。よく使うアプリを登録しておけば、ホーム画面に戻る手間なく、すぐに起動できます。また、Wi-FiやBluetooth、画面の明るさなどの設定項目も登録できるため、コントロールセンターを開くよりも素早くアクセスできる場合があります。
  • Music Proの利用シーン: Music Proは、ボーカルのデモ録音、アコースティック楽器の演奏録音、ポッドキャストの収録、あるいは単純なメモ録音など、様々なシーンで活躍します。クラウド処理によって、スマホのマイクとは思えないほどクリアでノイズの少ない音声に仕上がるため、手軽に高品質な音声コンテンツを作成したいユーザーにおすすめです。
  • 外部モニター機能の連携: ソニーのカメラ「α」シリーズなど、対応するカメラをUSB-Cケーブルで接続することで、Xperia 5 IVの高品質なディスプレイをカメラの外部モニターとして使用できます。これにより、より大きな画面でピントや構図を確認しながら撮影できます。特にVlog撮影などで、自分撮りをする際に自分の映りを確認するのに便利です。

3. Xperia 5 IVの「デメリット」を徹底解説

次に、Xperia 5 IVを購入する前に知っておくべきデメリット、つまり「買いではないかもしれない」理由を見ていきましょう。

3.1. 競合と比べると高価な価格設定

Xperia 5 IVは、そのコンパクトなサイズにフラッグシップ級の性能を詰め込んでいるため、価格もそれなりに高価です。発売当初の価格は10万円台前半であり、同時期の他社製フラッグシップモデルと比較しても、同等かやや高めの設定でした。

もちろん、搭載されている技術や機能、ビルドクオリティを考慮すれば妥当な価格とも言えますが、単に高性能なスマートフォンを求めているだけであれば、他の選択肢の方がコストパフォーマンスに優れている場合もあります。発売から時間が経過し、価格は落ち着いてきていますが、それでもミドルレンジモデルと比較すると高価な部類に入ります。

詳細な解説:

  • 価格に見合う価値の判断: Xperia 5 IVの高価格は、そのニッチな特徴(コンパクトさ、オーディオ機能、カメラの操作性など)に価値を見出すユーザーにとっては納得できるかもしれません。しかし、これらの特徴に特にこだわりがなく、一般的な高性能スマホを探しているのであれば、より安価な価格で同等かそれ以上の基本性能(カメラの画質処理、充電速度など)を持つ競合製品が存在します。
  • 中古市場や型落ちモデル: 発売から時間が経過しているため、中古市場では価格が下落している可能性があります。また、後継モデルであるXperia 5 Vが登場しているため、新品の在庫も減少し、価格の変動も大きくなっています。購入を検討する際は、最新の価格情報をよく確認し、他のモデルや型落ちモデルとの比較検討が重要です。
  • キャリアモデルとSIMフリーモデル: 日本国内では、主要キャリアから販売されるキャリアモデルと、ソニーストアなどで販売されるSIMフリーモデルがあります。キャリアモデルは割引が適用される場合がありますが、SIMロックがかかっていたり、不要なキャリアアプリがプリインストールされていたりする可能性があります。SIMフリーモデルは本体価格は高い傾向がありますが、自由にキャリアを選べます。購入ルートによって価格や条件が異なるため、確認が必要です。

3.2. Snapdragon 8 Gen 1由来の発熱問題

Xperia 5 IVに搭載されているQualcomm Snapdragon 8 Gen 1チップセットは、高い処理性能を誇る一方で、発熱しやすいという特徴があります。Xperia 5 IVは冷却機構を搭載していますが、高負荷なタスク(長時間のゲームプレイ、高画質での動画撮影など)を連続して行うと、本体が熱を持ち、性能が一時的に制限される(サーマルスロットリング)ことがあります。

特に、4K解像度や120fpsなどの高画質・高フレームレートでの動画撮影では、比較的短時間で発熱警告が表示され、撮影が中断される場合があります。日常的な使用や軽いゲームであれば問題ありませんが、スマートフォンの限界まで性能を引き出すような使い方をする際には、発熱による制約を感じる可能性があります。

詳細な解説:

  • チップセットの特性: Snapdragon 8 Gen 1は、他の同世代のハイエンドチップセット(例: MediaTek Dimensity 9000や、後のSnapdragon 8+ Gen 1)と比較して、特に発熱しやすい傾向があることが知られています。これは、チップの設計や製造プロセスに起因する部分が大きいです。Xperia 5 IVだけでなく、同時期に発売された多くのSnapdragon 8 Gen 1搭載機で見られた共通の課題でした。
  • 発熱の影響: スマートフォンの温度が一定以上になると、チップセットの性能を意図的に下げて発熱を抑えようとします。これがサーマルスロットリングです。これにより、ゲームのフレームレートが低下したり、アプリの動作が重くなったりします。動画撮影においては、設定した解像度やフレームレートでの撮影が継続できなくなるという形で現れます。
  • ソニーの対策とその限界: Xperia 5 IVは、前述のHSパワーコントロールや、ゲームエンハンサーでのパフォーマンス設定など、発熱対策に力を入れています。しかし、物理的な冷却能力には限界があり、特に夏場の屋外など、周囲の温度が高い環境では発熱の影響を受けやすくなります。長時間の高負荷使用を頻繁に行うユーザーは、この点を理解しておく必要があります。

3.3. カメラ性能に関する懸念点(画質処理、固定焦点望遠)

Xperia 5 IVのカメラは、「α」譲りのAF性能や豊富なマニュアル機能など、非常に強力な側面を持っています。しかし、一方で、一般的なスマートフォンのカメラと比較した場合に、いくつかの懸念点があります。

一つは、デフォルトの画質処理です。Xperiaのカメラは、比較的見た目に近い、ナチュラルな色合いで撮影される傾向があります。これはソニーのこだわりであり、後から編集することを前提とした「素材」としては優れていますが、他社のスマートフォンのように、AIがシーンを判断して鮮やかさやHDR効果を強調するような、いわゆる「SNS映え」するような派手な仕上がりにはなりにくいです。シャッターを切るだけで誰でも簡単に「良い感じ」の写真が撮れるという点では、Google PixelやSamsung Galaxyなどに一歩譲ると感じるユーザーもいるかもしれません。

もう一つは、望遠レンズです。Xperia 5 IVの望遠レンズは、焦点距離が85mm相当の固定焦点です。上位モデルのXperia 1 IVが光学ズームで85mm〜125mmの間をシームレスに変更できたのに対し、Xperia 5 IVは85mmでしか光学的なズームができません。それ以外のズーム倍率(特に125mm相当以上)はデジタルズームに頼ることになるため、画質が劣化します。

詳細な解説:

  • ナチュラルな画質処理の評価: Xperiaの画質処理は、撮影したそのままの雰囲気を残したい、後で自分で編集して仕上げたいというユーザーには歓迎されます。しかし、多くのスマートフォンユーザーは、撮って出しで十分に満足できる写真が欲しいと考えているため、このナチュラルさが「地味だ」「色が薄い」と感じられることもあります。特にHDR処理などは、逆光などの難しいシーンで他社製品の方がよりダイナブルレンジが広く、白飛びや黒つぶれを抑えた写真を生成する傾向があります。
  • 望遠レンズの制約: 85mmという焦点距離は、ポートレート撮影などには適していますが、より遠くの被写体を大きく写したい場合には不十分な場合があります。例えば、スポーツ観戦やライブなどで被写体に寄って撮影したい場合、Xperia 5 IVの望遠レンズだけでは物足りず、デジタルズームに頼ることになります。光学ズームで幅広い焦点距離をカバーできるXperia 1 IVや、高倍率のデジタルズームに特化した他社製品と比べると、望遠撮影の柔軟性は劣ります。
  • 広角・超広角レンズの性能: メインの広角レンズや超広角レンズは高性能ですが、特に暗所撮影においては、強力なコンピュテーショナルフォトグラフィー(AIによる画像処理)で明るく鮮やかな写真を生成する競合製品に、自動モードでの「明るさ」や「見栄え」で差をつけられる可能性があります。Photography Proで設定を追い込めば素晴らしい写真が撮れますが、あくまで「オートで簡単」という点では、ライバルの方が優れている側面があります。
  • インカメラの課題: フロントカメラはセンサーが大型化しましたが、依然として他社のハイエンドモデルと比較すると、画質や機能(例:オートフォーカスの有無、ポートレートモードの自然さなど)で見劣りするという指摘もあります。セルフィーを頻繁に撮るユーザーにとっては、確認しておきたいポイントです。

3.4. 充電速度と同梱物の少なさ

Xperia 5 IVは最大30Wの有線充電に対応していますが、これは同世代の他社製ハイエンドスマートフォンと比較すると、あまり速い方ではありません。例えば、60Wや100Wを超える超高速充電に対応した機種も存在します。バッテリー容量が大きい分、満充電にかかる時間は比較的長く感じられる可能性があります。

さらに、環境への配慮という名目で、本体購入時に充電器や充電ケーブルが同梱されていません。初めてスマートフォンを購入する方や、対応する充電器を持っていない方は、別途購入する必要があります。

詳細な解説:

  • 充電時間の比較: 5000mAhというバッテリー容量を30Wで充電する場合、空の状態から満充電までには1時間半〜2時間程度かかるのが一般的です。これに対し、超高速充電に対応した機種であれば、30分程度で満充電に近い状態にできるものもあります。短時間で多くの充電を済ませたい、移動の合間にサッと充電したいといったニーズを持つユーザーにとっては、Xperia 5 IVの充電速度は物足りなく感じられる可能性があります。
  • 同梱物なしの影響: 充電器とケーブルが同梱されていないことは、購入時に追加費用が発生する可能性があるだけでなく、対応する適切な充電器を選ぶ必要があります。スマートフォン用の充電器は様々な種類があり、必ずしも手持ちのものが30W充電に対応しているとは限りません。高速充電の恩恵を受けるためには、別途30W対応のPD(Power Delivery)充電器と対応ケーブルを購入する必要があります。
  • ワイヤレス充電器: ワイヤレス充電に関しても、本体のみで、ワイヤレス充電器は付属しません。ワイヤレス充電を利用したい場合は、これも別途購入が必要です。

3.5. ソフトウェアアップデートの提供期間と頻度

ソニーのスマートフォンのソフトウェアアップデートは、競合他社(特にGoogle PixelやSamsung Galaxy)と比較した場合、提供期間が短めであったり、アップデートの頻度が遅かったりする傾向があります。

例えば、Pixelシリーズは長期のOSアップデートとセキュリティアップデートが保証されていますが、Xperiaシリーズはそれほど長期的なサポートが期待できない場合があります(ただし、近年は改善傾向も見られます)。

最新のOSバージョンやセキュリティパッチがいち早く欲しい、長期間安心して使えるソフトウェアサポートを重視するというユーザーにとっては、Xperia 5 IVは不安要素となる可能性があります。

詳細な解説:

  • OSアップデートの期間: スマートフォンメーカーによって、新しいAndroid OSバージョンへのアップデートを提供する期間は異なります。フラッグシップモデルの場合、2回のOSアップデートが提供されることが多いですが、Pixelや一部のSamsungモデルでは3回以上、あるいは5年間といった長期サポートを謳っている場合もあります。Xperia 5 IVが発売当時提供されていたAndroid 12から、どこまでアップデートされるか(Android 13、14…)は、購入前に確認しておきたい点です。
  • セキュリティアップデートの頻度: スマートフォンのセキュリティを保つためには、定期的なセキュリティアップデートが不可欠です。毎月提供されるメーカーもあれば、数ヶ月に一度という場合もあります。ソニーは比較的セキュリティアップデートを提供していますが、毎月定期的かつ迅速に提供されるPixelなどと比較すると、遅れが生じることがあります。
  • メーカーごとのサポートポリシー: スマートフォンを選ぶ上で、ソフトウェアサポートの長さや迅速さは、長期的な利用を考えると非常に重要です。特にセキュリティに関わる部分は、常に最新の状態にしておくことが推奨されます。この点で、ソニーは一部の競合他社に比べて後れを取っていると評価されることがあります。

3.6. 特定のユーザーを選ぶデザイン(21:9アスペクト比)

Xperia 5 IVの縦長な21:9アスペクト比ディスプレイは、メリットの項でも触れたように、映画視聴やマルチタスク、縦方向のコンテンツ閲覧に優れています。しかし、この特徴的なアスペクト比は、万人受けするものではありません。

標準的な16:9や18:9のアスペクト比のコンテンツ(YouTube動画など)を全画面表示すると、左右に大きな黒帯が表示されます。また、一部のアプリやゲームでは、21:9のアスペクト比に最適化されておらず、表示が崩れたり、画面の上下が有効活用されなかったりすることもあります。

一般的な横画面でのコンテンツ消費や、標準的な画面アスペクト比に慣れているユーザーにとっては、この縦長画面は最初は違和感を感じるかもしれません。

詳細な解説:

  • コンテンツ消費との相性: 21:9は映画の多くで使用されるシネスコサイズに近いため、対応する映画コンテンツを視聴する際には、全画面で迫力のある映像を楽しめます。しかし、最も一般的な動画コンテンツであるYouTubeの多くは16:9で制作されているため、全画面表示すると左右に黒帯ができます。動画をよく見るユーザーにとっては、この黒帯が気になる可能性があります(もちろん、画面を拡大表示して左右をカットすることも可能ですが、その場合は映像の一部が失われます)。
  • アプリ対応: ほとんどのアプリはどのようなアスペクト比の画面でも動作するように設計されていますが、特にゲームなどでは、意図した表示と異なる場合や、最適化されていないために操作しにくい場合があります。全てのアプリが21:9に完全に対応しているわけではないことを理解しておく必要があります。
  • 横持ち時の操作性: 横持ちでゲームや動画を見る際、画面が横に長いため、両手でしっかりとホールドする必要があります。また、画面分割機能を使う場合も、縦に分割するとそれぞれの領域が狭くなるため、上下に分割して使うのが一般的です。

3.7. ライバルに比べて地味に感じられる点

近年のスマートフォンの進化は目覚ましく、折りたたみスマホや、潜望鏡式望遠レンズによる高倍率ズーム、驚異的な充電速度、派手なデザインなど、様々な「分かりやすい」進化や特徴を持つモデルが登場しています。

それらと比較すると、Xperia 5 IVは、着実に進化しているものの、デザインは伝統的であり、機能面でも「超高倍率ズーム」や「100W充電」といった分かりやすい派手さはありません。バッテリー持ちの向上やディスプレイ輝度の向上といった改善は、地味ながらも日常使いには大きく貢献するのですが、カタログスペックや見た目のインパクトではライバルに劣ると感じられる可能性があります。

Xperia 5 IVは、あくまで「ソニーらしさ」「クリエイター向け」「コンパクト」といった特定の価値観にフォーカスしており、多くの人が求める「最大公約数的な進化」や「トレンドの最先端」からは一線を画していると言えます。

詳細な解説:

  • 派手さより実用性: Xperia 5 IVの進化は、奇抜さよりも既存機能の洗練や、ユーザーからの要望(バッテリー持ち、ワイヤレス充電など)に応えることに注力されています。これは堅実なアプローチですが、スマートフォン市場全体で見ると、良くも悪くも「普通」に見えてしまう可能性があります。
  • カメラの立ち位置: カメラ機能はXperiaの大きな強みですが、前述のように、他社がコンピュテーショナルフォトグラフィーで「誰でも簡単に綺麗に撮れる」を追求しているのに対し、Xperiaは「クリエイターが意図した表現を可能にするツール」という側面を強く打ち出しています。この違いは、多くの一般ユーザーにとっては「簡単に綺麗に撮れない」というデメリットに感じられるかもしれません。
  • マーケティング: ソニーのスマートフォンのマーケティングは、そのニッチな強みをターゲット層に届けることに注力しているため、よりマス向けのプロモーションを展開する競合他社に比べて、一般的な認知度や話題性で劣る場合があります。

4. Xperia 5 IVはどんな人におすすめ?

これまでのメリット・デメリットを踏まえ、Xperia 5 IVがどんな人におすすめできるかをまとめます。

  • コンパクトな高性能スマホを探している人: フラッグシップクラスの性能を持ちながら、片手で操作しやすいコンパクトなサイズ感を最優先する人に最適です。大型スマホが苦手だが、性能には妥協したくないというニーズに応えます。
  • オーディオに強いこだわりがある人: 3.5mmヘッドホンジャックを使いたい、高音質で音楽を聴きたい、前面ステレオスピーカーで動画やゲームを楽しみたい、Music Proで音声コンテンツを作りたいなど、スマートフォンのオーディオ機能を重視する人に強くおすすめです。現在のハイエンドAndroidスマホの中で、これほどオーディオ機能が充実しているモデルは稀です。
  • 「α」ユーザーや写真・動画撮影の操作性を重視する人: Photography ProやCinema Pro/Video Proを使って、本格的なマニュアル操作で写真や動画を撮影したい人、あるいはソニーのカメラシステムに慣れている人におすすめです。「α」譲りのAF性能や、細かな設定項目は、スマートフォンを撮影ツールとして活用したいユーザーにとって大きな魅力です。
  • ゲームを快適にプレイしたい人(ただし発熱対策を理解している人): 高性能チップセットと120Hzディスプレイ、充実したゲーム機能(ゲームエンハンサー、HSパワーコントロール)により、モバイルゲームを快適に楽しめます。ただし、長時間の高負荷プレイによる発熱の可能性は理解しておく必要があります。
  • ソニー製品のエコシステムを活用したい人: ソニー製のカメラやヘッドホン、テレビなどを使っている場合、Xperia 5 IVとの連携機能や高音質コーデック(LDAC)、立体音響技術(360 Reality Audio)などを最大限に活用できます。
  • シンプルで洗練されたデザインが好きな人: 伝統的なXperiaデザインは、飽きがこず、長く使える魅力を備えています。
  • バッテリー持ちを重視する人: 5000mAhバッテリーと効率改善により、日常使いでのバッテリー持ちは良好です。

5. Xperia 5 IVはどんな人におすすめできない?

逆に、Xperia 5 IVが向いていないのはどんな人でしょうか。

  • スマートフォンに「誰でも簡単・綺麗」なカメラを求める人: シャッターを切るだけでAIが最適な補正を行い、鮮やかで映える写真を生成してくれるカメラを求めるなら、PixelやGalaxyなどの他社製品の方が満足度が高いかもしれません。Xperiaのカメラは、良くも悪くも「素材志向」です。
  • 超高倍率ズームや可変式望遠レンズを使いたい人: 遠くの被写体を高倍率で鮮明に撮影したい場合、Xperia 5 IVの固定焦点望遠レンズでは物足りない可能性があります。Xperia 1 IVや他社の高倍率ズーム搭載モデルを検討すべきです。
  • スマートフォンを短時間で充電したい人: 30Wの充電速度は、超高速充電に対応した他社製品に比べると遅いです。充電時間を気にせず、寝ている間に充電する、といった使い方であれば問題ありませんが、急いで充電したい場面が多い場合は不向きです。
  • 最新のOSアップデートやセキュリティアップデートがいち早く欲しい人: ソニーのソフトウェアアップデート提供は、他社に比べて遅れる傾向があります。常に最新のソフトウェア環境を維持したい場合は、Pixelシリーズなどがより安心です。
  • とにかくコストパフォーマンスを重視する人: 同等の基本性能(チップセット、ディスプレイなど)を持つ他のスマートフォンと比較した場合、Xperia 5 IVは価格が高めに設定されています。独自の機能に価値を見出せない場合は、割高に感じる可能性があります。
  • スマートフォンで頻繁に長時間、高負荷なゲームや動画撮影をする人(発熱を避けたい人): Snapdragon 8 Gen 1の発熱傾向は避けられず、特に夏場など周囲温度が高い環境での連続使用では、性能制限や撮影中断の可能性があります。純粋なゲーミングスマホのような冷却性能は期待できません。
  • 同梱物に充電器やケーブルがないと困る人: 別途購入の手間や費用が発生することを許容できない場合は注意が必要です。

6. まとめ:結局、Xperia 5 IVは「買い」なのか?

結論として、Xperia 5 IVが「買い」かどうかは、あなたのスマートフォンの使い方や、何を最も重視するかによって大きく変わります。

Xperia 5 IVは、近年のトレンドである大型化とは逆行し、高性能をコンパクトなボディに凝縮した、非常に個性的なスマートフォンです。特に、オーディオ機能(3.5mmジャック、前面スピーカー)カメラの「α」譲りの操作性や機能(瞳AF、マニュアルモード、Proアプリ)、そしてコンパクトなサイズ感という点において、他の多くのスマートフォンにはない明確な強みを持っています。これらの機能や特徴に、あなたが強い魅力を感じるのであれば、Xperia 5 IVは間違いなく「買い」の選択肢となります。これらのニッチながらも強力な特長は、他の製品では代えがたい価値を提供します。

一方で、「誰でも簡単・綺麗」に撮れるカメラ超高倍率ズーム圧倒的な充電速度、あるいは手頃な価格長期的なソフトウェアサポートの迅速さといった点を最優先するのであれば、Xperia 5 IVは期待に応えられない可能性があります。また、Snapdragon 8 Gen 1由来の発熱問題も、特定の使い方(長時間・高負荷)をするユーザーにとってはデメリットになり得ます。

発売から時間が経過し、価格が落ち着いている今、特にオーディオ愛好家や、スマートフォンで本格的な撮影・編集に挑戦したいクリエイター予備軍、そして「どうしてもコンパクトで高性能なAndroidが欲しい!」というユーザーにとっては、非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。

Xperia 5 IVは、万人に勧められるような「優等生」タイプのスマートフォンではありません。しかし、特定のユーザーにとっては、他のどのスマートフォンよりも優れた体験を提供してくれる可能性を秘めた、尖った魅力を持ったモデルです。

あなたのスマートフォンの使い方、重視するポイントを改めて整理し、本記事で解説したメリット・デメリットと照らし合わせながら、Xperia 5 IVがあなたの求める「最高のスマートフォン」に近いかどうか、じっくり検討してみてください。


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール