【初心者向け】VSCodeでJava環境を構築する方法

はい、承知いたしました。VS CodeでJava環境を構築する方法について、初心者向けに約5000語の詳細な解説記事を作成します。記事の本文を直接表示します。


【初心者向け】VSCodeで迷わずできる!Java開発環境構築 完全ガイド

Javaプログラミングの世界へようこそ!

「Javaを始めたいけど、何から手をつければいいの?」「開発環境の準備って難しそう…」

そう思っていませんか? 安心してください。この記事は、プログラミングが初めての方でも、VS Code(Visual Studio Code)を使ってスムーズにJavaの開発環境を構築できるよう、すべてのステップを画像や専門用語をかみ砕きながら、詳細に解説します。

Javaは、世界中で非常に多くのシステム開発に使われている、非常に強力で安定したプログラミング言語です。Androidアプリ開発、Webアプリケーション開発、大規模なエンタープライズシステムなど、その活躍の場は多岐にわたります。

そして、VS Codeは、Google検索トレンドで常にトップクラスの人気を誇る、無料の高機能コードエディタです。軽量ながら豊富な拡張機能により、Java開発も快適に行えます。

この記事を最後まで読めば、以下のことができるようになります。

  • Java開発に必要な「JDK」とは何かを理解し、インストールできる。
  • VS Codeをインストールできる。
  • VS CodeでJava開発を効率化するための拡張機能パックをインストールできる。
  • 簡単なJavaプログラムを作成し、実行できる。
  • 基本的なプロジェクト管理ツール(Maven)の使い始め方がわかる。
  • プログラムの動きを詳しく見るための「デバッグ」の方法がわかる。
  • 環境構築でつまずきがちなポイントとその解決策がわかる。

さあ、Javaプログラミング学習の第一歩を踏み出しましょう!

目次

  1. はじめに:なぜVS CodeでJava開発を始めるのか?
    • Javaとはどんな言語?
    • VS Codeとはどんなエディタ?
    • なぜVS Code + Javaが初心者におすすめなのか?
  2. Java開発環境構築の全体像
    • 必要なものリスト
    • 構築の3ステップ
  3. ステップ1:Java本体(JDK)をインストールしよう!
    • JDKとは何か? JREとの違いは?
    • どのJDKを選べばいいの?(OpenJDK、Adoptium/Temurin推奨)
    • JDKのダウンロードとインストール方法(Windows, macOS, Linux)
      • Windowsでのインストール手順
      • macOSでのインストール手順
      • Linuxでのインストール手順
    • JDKが正しくインストールされたか確認しよう
      • java -version コマンド
      • javac -version コマンド
    • (補足)環境変数JAVA_HOMEとPATHについて
  4. ステップ2:VS Codeをインストールしよう!
    • VS Codeのダウンロード
    • VS Codeのインストール方法(Windows, macOS, Linux)
  5. ステップ3:VS CodeにJava開発用拡張機能パックをインストールしよう!
    • なぜ拡張機能が必要なの?
    • 「Extension Pack for Java」とは?
    • 拡張機能パックのインストール手順
    • 拡張機能パックに含まれる主要な拡張機能について
  6. 最初のJavaプログラムを書いて実行してみよう!
    • 新しいJavaプロジェクトの作成
    • 「Hello, World!」プログラムを書く
    • プログラムを実行する(VS Codeの機能を使う)
    • プログラムを実行する(ターミナルを使う)
  7. 少しステップアップ:Mavenを使ったプロジェクト管理
    • なぜプロジェクト管理ツールが必要なの?
    • Mavenとは?
    • VS CodeでのMavenプロジェクト作成
    • Mavenの基本構造とpom.xml
    • Mavenプロジェクトのビルドと実行
  8. プログラムの動きを見てみよう:デバッグ機能の使い方
    • デバッグとは?
    • ブレークポイントを設定する
    • デバッグを開始する
    • デバッグ中の操作
  9. 環境構築でつまずきやすいポイントと解決策
    • java または javac コマンドが見つかりません」エラー
    • 「JDKが見つかりません」エラー (VS Code)
    • コンパイルエラーや実行時エラー
    • 日本語の表示が文字化けする
  10. さらにJava学習を進めるために
  11. まとめ

1. はじめに:なぜVS CodeでJava開発を始めるのか?

Javaプログラミング学習を始めるにあたり、「なぜVS Codeを使うのか?」について理解しておきましょう。

Javaとはどんな言語?

Javaは、1995年にSun Microsystems(現在はOracleの一部)によって開発された、オブジェクト指向のプログラミング言語です。その最大の特徴は、「Write Once, Run Anywhere (WORA)」――つまり、「一度コードを書けば、どこでも実行できる」という哲学にあります。これは、Javaが「Java仮想マシン(JVM)」という仕組みの上で動作するため実現されています。JVMさえインストールされていれば、WindowsでもmacOSでもLinuxでも、同じJavaプログラムを動かすことができるのです。

Javaは、以下のような幅広い分野で利用されています。

  • エンタープライズシステム: 大規模で信頼性が求められる業務システム開発で非常に多く使われています。
  • Webアプリケーション: サーバーサイドの開発で、Spring Frameworkなどの強力なフレームワークと組み合わせて使われます。
  • Androidアプリケーション: Android OS上で動作するネイティブアプリ開発の主要言語です(最近はKotlinも人気ですが、Javaも現役です)。
  • ビッグデータ技術: Hadoopなどの基盤技術で使われています。
  • 組み込みシステム: 家電や産業機器など、特定の機能を持つシステムにも利用されることがあります。

このように、Javaは非常に汎用性が高く、安定した技術基盤を持つ言語と言えます。

VS Codeとはどんなエディタ?

VS Code(Visual Studio Code)は、Microsoftが開発した、無料のソースコードエディタです。軽量ながら非常に高機能で、世界中の開発者に愛用されています。

VS Codeの主な特徴は以下の通りです。

  • 無料かつオープンソース: 誰でも無料で利用・改変できます。
  • 軽量で高速: 起動が早く、サクサク動作します。
  • 豊富な拡張機能: 様々なプログラミング言語や開発ツールに対応するための拡張機能が豊富に用意されています。これがVS Codeの最大の強みです。
  • Git連携機能: バージョン管理システムGitとの連携が強力で、コードの変更管理が容易です。
  • 統合ターミナル: エディタ内でコマンドライン操作ができます。
  • デバッグ機能: プログラムの実行を一時停止させ、内部の状態を確認しながら問題を特定できます。
  • カスタマイズ性: テーマやショートカットキーなど、自分好みに細かく設定できます。

もともと、Java開発にはEclipseやIntelliJ IDEAといった高機能な統合開発環境(IDE)が使われることが一般的でした。これらのIDEはJava開発に特化しているため非常に強力ですが、高機能ゆえに少し複雑に感じる初心者の方もいるかもしれません。

なぜVS Code + Javaが初心者におすすめなのか?

VS Codeは、Java開発に特化したIDEではありませんが、強力な「拡張機能」を入れることで、IDEと遜色ないレベルの快適なJava開発環境を構築できます。

初心者にとってVS Code + Javaがおすすめな理由はいくつかあります。

  1. 学習コストの低さ: VS Code自体が軽量でシンプルな設計なので、エディタの操作に慣れるのが比較的容易です。他の言語を学ぶ際にもVS Codeは使えるので、エディタの使い方を一度覚えれば応用が効きます。
  2. 必要な機能は拡張機能で追加: 最初から全てが高機能である必要はありません。Java開発に必要な機能(コード補完、エラーチェック、デバッグなど)は、必要なときに拡張機能として追加できます。
  3. 無料: 高機能なIDEは有料の場合もありますが、VS CodeとJava開発に必要な拡張機能は全て無料で利用できます。
  4. 情報が多い: VS CodeもJavaも世界中で非常に多くのユーザーがいるため、困ったときに検索すると解決策が見つかりやすいです。

もちろん、本格的なJava開発を行う上では、EclipseやIntelliJ IDEAといったJavaに特化したIDEが非常に強力な味方になります。しかし、まずはJavaの基本的な文法や考え方を学ぶ、あるいは小規模なプログラムを作成するといった目的であれば、VS Codeは十分に強力で、かつ手軽に始められる最適な選択肢と言えるでしょう。

この記事では、このVS CodeとJavaを組み合わせて、スムーズに学習を開始するための環境構築手順を解説していきます。

2. Java開発環境構築の全体像

VS Codeを使ってJava開発環境を構築するために必要なものと、全体の流れを把握しましょう。

必要なものリスト

  • インターネットに接続されたPC (Windows, macOS, Linux)
  • 管理者権限 (ソフトウェアのインストールに必要です)

これだけです! 特別なハードウェアは必要ありません。

構築の3ステップ

Java開発環境の構築は、大きく分けて以下の3つのステップで完了します。

  1. Java本体(JDK)をインストールする: Javaプログラムをコンパイル(人間が書いたコードをコンピューターが理解できる形に変換すること)したり、実行したりするために必要なソフトウェアです。
  2. VS Codeをインストールする: コードを書くためのエディタ本体です。
  3. VS CodeにJava開発用拡張機能パックをインストールする: VS CodeでJavaコードを快適に書くための様々な便利機能(コード補完、エラー表示、実行ボタンなど)を追加します。

非常にシンプルですね。それでは、各ステップの詳細を見ていきましょう。

3. ステップ1:Java本体(JDK)をインストールしよう!

Javaプログラミングを行う上で、最も基本となるのが「JDK (Java Development Kit)」です。まずはこれをインストールします。

JDKとは何か? JREとの違いは?

  • JDK (Java Development Kit): Javaプログラムを開発するためのツールセットです。Javaコンパイラ(javacコマンド)、デバッガ、その他の開発ツールが含まれています。
  • JRE (Java Runtime Environment): Javaプログラムを実行するために必要な環境です。JVM(Java仮想マシン)と、Javaプログラムが動作するために必要な最低限のライブラリ(クラスライブラリ)が含まれています。

簡単に言うと、Javaプログラムを「動かすだけ」ならJREがあれば十分ですが、「新しく作る(開発する)」にはJDKが必要です。私たちはこれからJavaプログラムを作るので、JDKをインストールします。JDKにはJREも含まれています。

どのJDKを選べばいいの?

JDKには、Oracle社が提供するOracle JDK以外にも、様々な組織が提供する「OpenJDK (Open Java Development Kit)」というオープンソースのJDKがあります。

初心者の方には、Adoptium (旧AdoptOpenJDK) が提供するTemurin (テムリン) を推奨します。

  • 無料: 商用利用を含め、完全に無料で利用できます。
  • 実績: 多くの企業や開発者が利用しており、信頼性があります。
  • 簡単に入手: ダウンロードサイトが分かりやすく、各OS向けにインストーラが用意されています。

Oracle JDKも有力な選択肢ですが、ライセンス体系が少し複雑な場合があるため、まずは無料で始めやすいAdoptium Temurinをおすすめします。

Javaにはバージョンがあり、新しいバージョンほど新しい機能が追加されています。一般的に、長期サポート(LTS: Long-Term Support)バージョンが安定していておすすめです。記事執筆時点では、Java 11, Java 17, Java 21などがLTSバージョンです。最新のLTSバージョンを選ぶのが良いでしょう。ここでは Java 17 または Java 21 を例に説明します。

JDKのダウンロードとインストール方法

Adoptium Temurinのダウンロードは、以下の公式サイトから行います。

Adoptium

サイトにアクセスしたら、「Download Temurin」ボタンを探してください。通常、あなたのOSとアーキテクチャ(ほとんどの場合 x64)に合った最新のLTSバージョンが推奨されています。推奨バージョンが表示されていれば、そのままダウンロードボタンをクリックするのが最も簡単です。

もし別のバージョンやOSを選びたい場合は、「Other platforms and versions」リンクをクリックして、リストから適切なものを選んでください。

例えば、「Temurin 17 (LTS)」または「Temurin 21 (LTS)」を選び、ご利用のOS (Windows, macOS, Linux) およびアーキテクチャ (x64など) に合った「JRE」ではなく「JDK」の方をダウンロードします。

ダウンロードするファイル形式はOSによって異なります。

  • Windows: .msi ファイル
  • macOS: .pkg ファイル
  • Linux: .tar.gz ファイル、またはディストリビューションに応じたパッケージ (.deb.rpm)

以下にOSごとの一般的なインストール手順を説明します。

Windowsでのインストール手順

  1. Adoptium公式サイトから、Windows x64向けの最新LTSバージョンのJDK (.msiファイル) をダウンロードします。
  2. ダウンロードした.msiファイルをダブルクリックして実行します。
  3. インストーラが起動します。「Next」をクリックします。
  4. 使用許諾契約が表示されます。「I accept the terms in the License Agreement」にチェックを入れて、「Next」をクリックします。
  5. インストールする機能を選択します。通常はデフォルトのままで問題ありませんが、以下の項目が含まれているか確認してください。
    • Development Tools (JDK本体)
    • Source Code (Javaのソースコード – 学習に役立ちます)
    • Public JRE (JDKに含まれるJRE)
    • Add to PATH (重要!): これにチェックを入れると、コマンドプロンプトやPowerShellから javajavac コマンドが使えるようになります。必ず「Will be installed on local hard drive」になっていることを確認してください。
    • Set JAVA_HOME variable (重要!): これにチェックを入れると、環境変数JAVA_HOMEが自動的に設定されます。これも必ず「Will be installed on local hard drive」になっていることを確認してください。
      これらの項目にチェックが入っていない場合は、項目をクリックして「Will be installed on local hard drive」を選択してください。
  6. インストール先フォルダを選択します。デフォルトのままで問題なければそのまま「Next」をクリックします。
  7. 「Install」をクリックしてインストールを開始します。
  8. ユーザーアカウント制御のダイアログが表示されたら「はい」をクリックして許可します。
  9. インストールが完了するまで待ちます。
  10. 「Finish」をクリックしてインストーラを閉じます。

インストール後、環境変数の変更をシステムに反映させるため、PCを再起動するか、サインアウト/サインインし直すことを推奨します。

macOSでのインストール手順

  1. Adoptium公式サイトから、macOS x64 (Intel Mac) または aarch64 (Apple Silicon Mac, M1/M2/M3チップなど) 向けの最新LTSバージョンのJDK (.pkgファイル) をダウンロードします。お使いのMacがどちらのアーキテクチャか確認してください(Appleメニュー > このMacについて > 詳しい情報… > 一般 > チップの種類)。
  2. ダウンロードした.pkgファイルをダブルクリックして実行します。
  3. インストーラが起動します。「続ける」をクリックします。
  4. インストール先の選択や、使用許諾契約の同意を求められます。画面の指示に従って進みます。
  5. インストール場所は通常デフォルトの /Library/Java/JavaVirtualMachines/ 以下になります。
  6. 「インストール」をクリックします。
  7. Macのログインパスワードの入力を求められるので、入力して「ソフトウェアをインストール」をクリックします。
  8. インストールが完了するまで待ちます。
  9. 完了画面が表示されたら「閉じる」をクリックします。

macOSの場合、通常はインストール後に特に設定は不要で、システムが自動的にJDKを認識します。新しいターミナルウィンドウを開いて、インストールが反映されているか確認してください。

Linuxでのインストール手順

Linuxの場合、ディストリビューションによって推奨されるインストール方法が異なります。

方法1:パッケージマネージャーを使う(推奨)

多くのLinuxディストリビューションは、公式リポジトリやサードパーティのリポジトリからOpenJDKをインストールできます。この方法が最も簡単で、システム全体で管理しやすいです。

  • Debian/Ubuntu:
    bash
    sudo apt update
    sudo apt install openjdk-17-jdk # または openjdk-21-jdk など、インストールしたいバージョン

    システムに複数のJDKバージョンがある場合、デフォルトで使用するバージョンを設定するには sudo update-alternatives --config javasudo update-alternatives --config javac を使います。
  • Fedora/CentOS/RHEL:
    bash
    sudo dnf install java-17-openjdk-devel # または java-21-openjdk-devel
    # または yum (古いシステムの場合)
    # sudo yum install java-17-openjdk-devel

    システムに複数のJDKバージョンがある場合、デフォルトで使用するバージョンを設定するには sudo alternatives --config javasudo alternatives --config javac を使います。

方法2:Adoptium Temurinの.tar.gzファイルをダウンロードして手動で配置する

パッケージマネージャーで希望のバージョンがない場合や、特定の場所にインストールしたい場合にこの方法を使います。

  1. Adoptium公式サイトから、Linux x64向けの最新LTSバージョンのJDK (.tar.gzファイル) をダウンロードします。
  2. ダウンロードしたファイルを任意の場所に展開します。例えば /usr/local/jdk のようなシステム全体でアクセスできる場所や、ユーザーのホームディレクトリ内 (~/jdk) などです。システム全体にインストールする場合は管理者権限が必要です。
    bash
    tar -xzf jdk-<version>_linux-x64_bin.tar.gz -C /usr/local/ # /usr/local/ に展開する場合
    # 展開後、フォルダ名を分かりやすくリネームしても良い
    # mv /usr/local/jdk-<version> /usr/local/jdk-<version>
  3. 展開したJDKをシステムが認識できるように、環境変数 PATHJAVA_HOME を設定します。これは、ユーザーのホームディレクトリにある .bashrc, .zshrc, またはシステム全体の /etc/profile ファイルなどに以下の行を追加して行います。追加したら、ファイルを保存し、ターミナルを再起動するか source ~/.bashrc などとして設定を反映させます。

    “`bash

    JAVA_HOMEを設定 (JDKのインストール先フォルダを指定)

    export JAVA_HOME=/usr/local/jdk- # 上記で展開したパスに置き換える

    PATHにJAVA_HOME/binを追加

    export PATH=$JAVA_HOME/bin:$PATH
    “`

    例:Java 17を/usr/local/jdk-17にインストールした場合
    bash
    export JAVA_HOME=/usr/local/jdk-17
    export PATH=$JAVA_HOME/bin:$PATH

手動でのインストールは、環境変数の設定が必要になるため少し手間がかかりますが、複数のJavaバージョンを使い分けたい場合などに便利です。初心者の方は、まずパッケージマネージャーを使う方法を試すのがおすすめです。

JDKが正しくインストールされたか確認しよう

JDKのインストールが完了したら、正しくインストールされ、システムが認識しているかを確認します。ターミナル(Windowsの場合はコマンドプロンプトまたはPowerShell、macOS/Linuxの場合はターミナルアプリ)を開いて、以下のコマンドを入力してみてください。

java -version コマンド

bash
java -version

このコマンドは、インストールされているJava実行環境(JRE)のバージョンを表示します。
正しくインストールされていれば、以下のような出力が表示されるはずです(バージョン番号はインストールしたJDKによって異なります)。

openjdk version "17.0.8" 2023-07-18
OpenJDK Runtime Environment Temurin-17.0.8+7 (build 17.0.8+7)
OpenJDK 64-Bit Server VM Temurin-17.0.8+7 (build 17.0.8+7, mixed mode, sharing)

またはJava 21の場合:

openjdk version "21" 2023-09-19
OpenJDK Runtime Environment Temurin-21+35 (build 21+35)
OpenJDK 64-Bit Server VM Temurin-21+35 (build 21+35, mixed mode, sharing)

もし command not found や類似のエラーが表示される場合は、JDKが正しくインストールされていないか、環境変数 PATH が正しく設定されていない可能性があります。Windowsでインストーラの「Add to PATH」にチェックを入れ忘れた、またはLinuxで .bashrc などの設定を反映させていない場合などが考えられます。PCの再起動、またはターミナルの再起動を試してみてください。

javac -version コマンド

bash
javac -version

このコマンドは、インストールされているJavaコンパイラ(javac)のバージョンを表示します。javacはJDKにしか含まれていません。
正しくインストールされていれば、以下のような出力が表示されます。

javac 17.0.8

またはJava 21の場合:

javac 21

もし command not found や類似のエラーが表示される場合は、JDKのインストールがうまくいっていないか、特にjavacが含まれるbinディレクトリへのパスが正しく設定されていない可能性が高いです。Windowsインストーラの「Add to PATH」設定や、Linuxでの環境変数設定を再度確認してください。

両方のコマンドがバージョン情報を表示すれば、Java本体(JDK)のインストールは成功です!

(補足)環境変数JAVA_HOMEとPATHについて

初心者の方は、この部分は飛ばしても構いませんが、もしトラブルが発生した場合に役立つ知識なので、簡単に説明します。

  • PATH: オペレーティングシステムが実行可能なコマンド(この場合は javajavac)を探すディレクトリのリストです。JDKのインストールディレクトリにある bin フォルダ(java.exejavac.exe が格納されている場所)がこの PATH に含まれていないと、どのディレクトリからでも javajavac コマンドを実行できません。多くのJDKインストーラは自動的にこれを設定してくれます。
  • JAVA_HOME: JDKのインストールされているルートディレクトリを指す環境変数です。この環境変数は、Java開発ツールや、Maven、Gradleなどのビルドツール、多くのIDE(VS Codeの拡張機能を含む)が「どこにJavaがあるか」を判断するために利用します。これもJDKインストーラが自動で設定してくれることが多いですが、手動で設定が必要な場合もあります。

もし java -versionjavac -version がうまくいかない場合は、これらの環境変数が正しく設定されているか確認・修正する必要があるかもしれません。具体的な確認・設定方法はOSによって異なります。Windowsの場合はシステムの詳細設定から、macOSやLinuxの場合はユーザーのホームディレクトリにある .bashrc.zshrc といったシェル設定ファイルを確認します。しかし、まずは自動設定に頼り、問題が発生した場合に調べるので十分です。

4. ステップ2:VS Codeをインストールしよう!

次に、コードを書くためのエディタ本体であるVS Codeをインストールします。

VS Codeのダウンロード

VS Codeは以下の公式サイトから無料でダウンロードできます。

Visual Studio Code – Code Editing. Redefined.

サイトにアクセスすると、お使いのOSを自動的に検出して、推奨されるダウンロードボタンが表示されるはずです。

  • Windowsユーザーは「Download for Windows」
  • macOSユーザーは「Download for Mac」
  • Linuxユーザーは「Download for Linux」

それぞれのボタンをクリックして、インストーラをダウンロードします。

VS Codeのインストール方法

ダウンロードしたファイルをダブルクリックして、インストールを開始します。インストール手順はOSによって異なります。

Windowsでのインストール手順

  1. ダウンロードしたVSCodeUserSetup-x64-<version>.exeのようなファイルをダブルクリックして実行します。
  2. 使用許諾契約が表示されます。「同意する」を選択し、「次へ」をクリックします。
  3. インストール先フォルダを選択します。デフォルトのままで問題なければそのまま「次へ」をクリックします。
  4. スタートメニューフォルダを選択します。デフォルトのままで問題なければそのまま「次へ」をクリックします。
  5. 追加タスクを選択します。以下にチェックを入れることを推奨します。
    • PATHへの追加 (要再起動): これにチェックを入れると、コマンドプロンプトやPowerShellから code コマンドを使ってVS Codeを起動できるようになります。非常に便利です。必ずチェックを入れてください。
    • 「コードで開く」アクションをWindows Explorerのファイルコンテキストメニューに追加する
    • 「コードで開く」アクションをWindows Explorerのディレクトリコンテキストメニューに追加する
      これらにチェックを入れておくと、エクスプローラーから右クリックでVS Codeを開けて便利です。
  6. 「インストール」をクリックしてインストールを開始します。
  7. インストールが完了するまで待ちます。
  8. 「完了」をクリックします。「Visual Studio Codeを実行する」にチェックが入っていると、すぐにVS Codeが起動します。

インストール後、PATH設定を有効にするには、PCを再起動するか、サインアウト/サインインし直すことを推奨します。

macOSでのインストール手順

  1. ダウンロードしたVSCode-darwin-<version>.zipのようなファイルをダブルクリックして展開します。
  2. 展開された「Visual Studio Code.app」ファイルを、アプリケーションフォルダにドラッグ&ドロップします。
  3. アプリケーションフォルダから「Visual Studio Code.app」をダブルクリックして起動します。
  4. 初回起動時に「インターネットからダウンロードされたアプリケーションです。開いてもよろしいですか?」のような警告が表示されることがありますが、「開く」をクリックして許可します。

macOSの場合、VS Codeを起動したらメニューバーから Shell Command: Install 'code' command in PATH を実行しておくと、ターミナルから code コマンドでVS Codeを開けるようになり便利です。これは、VS Codeを起動した状態で、⇧⌘P (Shift + Command + P) を押してコマンドパレットを開き、「shell command」と入力して候補から選択することで実行できます。

Linuxでのインストール手順

Linuxの場合、.deb (Debian/Ubuntu) または .rpm (Fedora/CentOS/RHEL) パッケージ、または.tar.gzアーカイブが提供されています。

  • Debian/Ubuntu (.debファイル):
    1. ダウンロードした.debファイルをダブルクリックするか、ターミナルで以下のコマンドを実行します。
      bash
      sudo dpkg -i code_<version>_amd64.deb
      # 依存関係エラーが出た場合
      sudo apt --fix-broken install
    2. インストール後、アプリケーションメニューから「Code」を探して起動できます。またはターミナルで code コマンドを実行します。
  • Fedora/CentOS/RHEL (.rpmファイル):
    1. ダウンロードした.rpmファイルをインストールします。
      bash
      sudo rpm --import https://packages.microsoft.com/keys/microsoft.asc # Microsoft GPGキーをインポート
      sudo rpm -ivh code-<version>.el7.x86_64.rpm # または el8 など、ディストリビューションに合わせる
      # dnfまたはyumを使う場合 (推奨)
      # sudo dnf install code # または yum
    2. インストール後、アプリケーションメニューから「Code」を探して起動できます。またはターミナルで code コマンドを実行します。
  • Snapcraft Store: Snapが利用可能なシステムでは、Snapからインストールするのが最も簡単です。
    bash
    sudo snap install --classic code
  • tar.gz アーカイブ: ダウンロードしたアーカイブを展開し、実行可能ファイルをPATHが通っている場所に配置するか、直接実行します。この方法は手動での管理が必要になります。

インストールが完了すれば、VS Codeを起動できるはずです。起動時に日本語化を推奨される場合がありますので、必要であれば日本語化の拡張機能もインストールしておきましょう。

5. ステップ3:VS CodeにJava開発用拡張機能パックをインストールしよう!

VS Code単体では、ただの強力なテキストエディタです。Javaのコード補完やエラーチェック、実行・デバッグといったJava開発に特化した機能を使うためには、「拡張機能」をインストールする必要があります。

なぜ拡張機能が必要なの?

VS Codeは、様々なプログラミング言語に対応できるよう、コア部分はシンプルに作られています。特定の言語(Java、Python、JavaScriptなど)や開発ツール(Git、Dockerなど)に対応する機能は、必要に応じてユーザーが「拡張機能 (Extensions)」として追加する仕組みになっています。

これにより、使わない言語の機能でエディタが重くなることを避けたり、新しい技術やツールへの対応を迅速に行ったりできます。

「Extension Pack for Java」とは?

Java開発に必要な複数の主要な拡張機能を一つにまとめた便利なパックです。これをインストールするだけで、Java開発に必要な基本的な機能が一通り揃います。

個別の拡張機能を一つずつ探してインストールする手間が省けるため、初心者の方はまずこのパックをインストールするのがおすすめです。

拡張機能パックのインストール手順

VS Codeを起動します。

  1. 左側のアクティビティバーにある四角いアイコン(「拡張機能」ビュー)をクリックします。または ⇧⌘X (macOS) または Ctrl+Shift+X (Windows/Linux) のショートカットキーでも開けます。
    VS Code 拡張機能アイコンのイメージ
  2. 拡張機能ビューの検索ボックスに「Extension Pack for Java」と入力します。
  3. 検索結果の一番上に、Microsoftが提供する「Extension Pack for Java」が表示されるはずです。
    検索結果のイメージ
  4. その項目をクリックすると、詳細画面が表示されます。緑色の「Install」ボタンをクリックします。
    インストールボタンのイメージ
  5. インストールが開始されます。パックに含まれる複数の拡張機能がまとめてインストールされます。インストールには少し時間がかかる場合があります。
  6. インストールが完了すると、「Install」ボタンが「Manage (歯車アイコン)」に変わります。これでインストールは完了です。

VS Codeの再起動を求められる場合があります。その際は指示に従って再起動してください。

拡張機能パックに含まれる主要な拡張機能について

「Extension Pack for Java」には、執筆時点で以下の主要な拡張機能が含まれています(バージョンによって内容は少し変わる可能性があります)。

  • Language Support for Java™ by Red Hat: Java言語の主要な機能を提供します。
    • コード補完(入力中に候補を表示)
    • エラーおよび警告のリアルタイム表示
    • コードのハイライト(キーワードや文字列などを色分けして表示)
    • コードの整形(自動でコードのレイアウトを整える)
    • リファクタリング(変数名の一括変更など、安全にコードを修正する機能)
    • 型の定義へのジャンプ
    • インポートの自動整理
  • Debugger for Java: Javaプログラムのデバッグ機能を提供します。
    • ブレークポイントの設定(プログラムを一時停止させる場所を指定)
    • ステップ実行(プログラムを一行ずつ実行して動きを確認)
    • 変数の値の確認
    • コールスタックの確認
  • Test Runner for Java: JUnitやTestNGといったJavaのテストフレームワークを使ったテストコードの実行と管理機能を提供します。
    • テストコードの検出
    • テストの実行と結果表示
  • Maven for Java: Javaで最も広く使われているプロジェクト管理・ビルドツールの一つであるMavenの機能を提供します。
    • Mavenプロジェクトの作成、依存関係の管理、ビルドなどの操作
  • Gradle for Java: Javaのもう一つの人気プロジェクト管理・ビルドツールであるGradleの機能を提供します。
    • Gradleプロジェクトの操作
  • Project Manager for Java: VS Code上でJavaプロジェクトを管理しやすくする機能を提供します。
    • プロジェクトのファイル構成をツリー表示
    • 依存ライブラリの確認

これらの拡張機能が連携することで、VS Codeが本格的なJava開発環境として機能するようになります。

6. 最初のJavaプログラムを書いて実行してみよう!

JDK、VS Code、そしてJava拡張機能パックのインストールが完了しました。これでJavaプログラムを作成・実行する準備が整いました!

最初のステップとして、伝統的な「Hello, World!」プログラムを作成して実行してみましょう。これは、環境構築が正しくできているかを確認するための重要なステップです。

新しいJavaプロジェクトの作成

VS CodeでJavaプロジェクトを作成する方法はいくつかありますが、最も簡単で推奨されるのは、Extension Pack for Javaに含まれる機能を使う方法です。

  1. VS Codeを起動します。
  2. 左側のアクティビティバーにある「エクスプローラー」アイコン(一番上の書類のようなアイコン)をクリックします。
  3. エクスプローラービューが表示されたら、「Open Folder」または「フォルダを開く」ボタンをクリックします。
    Open Folderボタンのイメージ
  4. プログラムを保存したい場所(例えば「Documents」フォルダ内などに新しく「JavaProjects」のようなフォルダを作成して選択)を選択し、「フォルダを選択」をクリックします。
  5. フォルダが開かれます。これで、このフォルダがVS Codeでの現在の作業フォルダ(プロジェクトルート)となります。
  6. エクスプローラービューで、フォルダ名(例: JavaProjects)の上にマウスカーソルを合わせると、右側にいくつかのアイコンが表示されます。一番左の「New File…」(新しいファイル)アイコンをクリックします。
    New Fileアイコンのイメージ
  7. ファイル名を入力するように求められます。「HelloWorld.java」と入力してEnterキーを押します。Javaのソースコードファイルは必ず .java という拡張子で終わる必要があります。また、ファイル名の最初の文字は慣習的に大文字にします。

これにより、新しい空のファイル HelloWorld.java が作成され、VS Codeのエディタ領域に開かれます。

VS CodeにJava拡張機能がインストールされていれば、.java ファイルを作成した時点で、右下などに「Javaプロジェクトを作成しますか?」のような通知が表示されることがあります。プロジェクト管理ツール(MavenやGradle)を使う場合はここで作成することもできますが、今回はまず簡単な単一ファイルでの実行から始めるため、一旦無視するか閉じても構いません。

「Hello, World!」プログラムを書く

開かれた HelloWorld.java ファイルに、以下のコードを入力します。手入力しても良いですし、コピー&ペーストしても構いません。

“`java
public class HelloWorld {

public static void main(String[] args) {
    System.out.println("Hello, World!");
}

}
“`

コードを入力すると、Java拡張機能がコードの色分け表示(シンタックスハイライト)や、エラーチェックをリアルタイムで行ってくれるはずです。もしコードに間違いがあると、波線が表示されたり、左側の行番号の横に赤丸が表示されたりします。

コードの内容を簡単に説明します。

  • public class HelloWorld: ここで HelloWorld という名前のクラス(Class)を定義しています。Javaのプログラムは基本的にクラスの中に記述されます。public はどこからでもこのクラスにアクセスできることを意味します。クラス名は、ファイル名(.javaを除いた部分)と完全に一致させる必要があります。
  • public static void main(String[] args): これはJavaプログラムのエントリポイントです。プログラムが実行されるときに、まず最初にこの main メソッド(Method)が呼び出されます。
    • public: どこからでもこのメソッドを呼び出せる。
    • static: クラスのインスタンス(オブジェクト)を作成しなくても呼び出せる。
    • void: このメソッドが値を返さないことを意味する。
    • main: メソッド名。プログラムのエントリポイントである場合は必ずこの名前。
    • (String[] args): コマンドライン引数を受け取るための部分。今は気にしなくて大丈夫です。
  • System.out.println("Hello, World!");: これが、画面に「Hello, World!」という文字列を表示するためのコードです。
    • System: 標準的なシステム機能にアクセスするためのクラス。
    • out: システムの標準出力(通常は画面)。
    • println: 文字列を画面に表示し、表示後に改行するメソッド。括弧の中に表示したい文字列を指定します。文字列はダブルクォーテーション " で囲みます。

このコードは、HelloWorldというクラスの中に、プログラム実行時に最初に呼ばれるmainメソッドがあり、その中で「Hello, World!」と画面に表示する、という非常にシンプルな処理を行っています。

プログラムを実行する(VS Codeの機能を使う)

VS CodeにJava拡張機能パックがインストールされていれば、コードエディタ上で簡単にプログラムを実行できます。

  1. HelloWorld.java ファイルを開いた状態で、エディタの右上の方を見ると、緑色の実行ボタン(▶)や「Run」というテキストリンクが表示されていることがあります。
    Runボタンのイメージ
    または、main メソッドの定義行 (public static void main(...)) の左側に緑色の実行ボタンが表示されることもあります。
    Runボタン in Editorイメージ
  2. これらの実行ボタン/リンクをクリックします。
  3. VS Codeの下部に「TERMINAL」パネルが表示され、プログラムが実行された結果が表示されるはずです。

“`

Executing task: cmd /c “”C:\Program Files\Java\jdk-17\bin\java.exe” @C:\Users\username\AppData\Local\Temp\vscode-java-debug-runner-args <一時ファイルパス>” <

Hello, World!

Terminal will be reused by tasks, press any key to close it.
``
(上の
cmd /c …`のような行は環境によって異なります)

重要なのは、その下に Hello, World! と表示されていることです。これが表示されていれば、Java環境が正しく構築され、VS CodeからJavaプログラムを実行できる状態になっている証拠です。おめでとうございます!

プログラムを実行する(ターミナルを使う)

Javaプログラムは、コマンドライン(ターミナル)から直接実行することもできます。これはJavaの基本的な実行方法であり、VS Codeの裏側でもこれに似た処理が行われています。ターミナルからの実行方法も覚えておきましょう。

VS Codeの統合ターミナルを使うと便利です。メニューバーの「Terminal」>「New Terminal」を選択するか、⌃` (macOS) または Ctrl+` (Windows/Linux) のショートカットキーでVS Codeの下部にターミナルパネルを開けます。

ターミナルが開いたら、作業フォルダ(HelloWorld.java ファイルがあるフォルダ)にいることを確認してください。pwd (macOS/Linux) や cd (Windows) コマンドで現在のディレクトリを確認できます。もし違う場所にいる場合は、cd <作業フォルダのパス> コマンドで移動してください。

ターミナルで以下のコマンドを実行します。

  1. コンパイル: Javaのソースコード (.java ファイル) を、コンピューターが実行できる形式(バイトコード、.class ファイル)に変換します。javac コマンドを使います。

    bash
    javac HelloWorld.java

    このコマンドを実行しても、成功した場合は特に何も表示されません。エラーがあれば表示されます。成功すると、同じフォルダ内に HelloWorld.class というファイルが新しく作成されているはずです。これがバイトコードファイルです。

  2. 実行: コンパイルしてできたバイトコードファイル (.class ファイル) を、JVM上で実行します。java コマンドを使います。.class という拡張子は付けません。

    bash
    java HelloWorld

    このコマンドを実行すると、プログラムの出力結果がターミナルに表示されます。

    Hello, World!

ターミナルを使ってコンパイル・実行できることも確認できれば、JDKがシステム全体に正しく設定されていることがより確実になります。

もし javac コマンドでエラーが出る場合は、JDKのインストールや PATH 設定に問題がある可能性が高いです。java -versionjavac -version が両方とも正しく表示されるか再度確認してください。

7. 少しステップアップ:Mavenを使ったプロジェクト管理

ここまでは単一のJavaファイルを扱ってきましたが、実際のJava開発では複数のファイルや外部ライブラリ(他の人が作った便利なコードの部品)を組み合わせて使います。このような場合、「プロジェクト管理ツール」を使うのが一般的です。

VS CodeのExtension Pack for Javaには、主要なJavaプロジェクト管理ツールであるMavenとGradleのサポートが含まれています。ここでは、最も広く使われているMavenを使って簡単なプロジェクトを作成してみましょう。

なぜプロジェクト管理ツールが必要なの?

プログラムの規模が大きくなると、以下のような管理が複雑になります。

  • 依存関係の管理: 自分のプログラムが利用する外部ライブラリ(例: Webアプリケーションフレームワーク、データベース接続ライブラリなど)を、必要なバージョンで正確に管理し、ダウンロードしてくる必要があります。
  • ビルド処理: ソースコードのコンパイル、テストの実行、パッケージ化(実行可能なJarファイルなどにまとめること)といった一連の作業を自動化したい。
  • プロジェクト構造の標準化: 複数の開発者で作業する場合、プロジェクトのファイル構成などを統一したい。

これらの問題を解決してくれるのが、MavenやGradleといったプロジェクト管理・ビルドツールです。これらは、プロジェクトの設定ファイル(Mavenならpom.xml、Gradleならbuild.gradle)に基づいて、依存関係の解決やビルド処理を自動で行ってくれます。

Mavenとは?

Mavenは、Apache Software Foundationが開発している、Javaプロジェクトのためのプロジェクト管理ツールです。XML形式のpom.xmlという設定ファイルを使って、プロジェクトの情報(プロジェクト名、バージョン、依存ライブラリ、ビルド方法など)を記述します。

VS CodeでのMavenプロジェクト作成

Extension Pack for Javaをインストールしていれば、VS Codeから簡単にMavenプロジェクトを作成できます。

  1. VS Codeで、プロジェクトを作成したいフォルダを開いた状態にします。(例: JavaProjectsフォルダ)
  2. VS Codeのコマンドパレットを開きます。(⇧⌘P or Ctrl+Shift+P)
  3. Create Java Project」と入力し、表示された候補を選択します。
    Create Java Projectコマンドのイメージ
  4. プロジェクトの種類を選択します。「Maven」を選択します。
    Select Project Typeイメージ
  5. MavenのArchetype (ひな形) を選択するように求められます。簡単なプロジェクトを作成する場合は、「maven-archetype-quickstart」を選択するのが一般的です。これは、基本的なJavaアプリケーションのひな形を作成してくれます。
    Select Archetypeイメージ
  6. Archetypeのバージョンを選択します。最新のバージョンを選択します。
    Select Archetype Versionイメージ
  7. groupId を入力するように求められます。これは通常、開発している組織や個人のドメイン名を逆順にしたものを使います(例: com.yourcompany.appme.yourname.myproject など)。ここでは練習なので、com.example などと入力してEnterキーを押します。
  8. artifactId を入力するように求められます。これはプロジェクトの名前です(例: myfirstmavenapp)。これも入力してEnterキーを押します。
  9. プロジェクトを生成するフォルダを選択するように求められます。現在VS Codeで開いているフォルダ(例: JavaProjects)を選択するのが良いでしょう。
    Select Project Locationイメージ
  10. Mavenがプロジェクトの生成を開始します。VS Codeの下部にある出力パネルなどに進行状況が表示されます。
  11. 生成が完了すると、VS Codeが新しく作成されたプロジェクトフォルダ(例: myfirstmavenapp)を開き直すか尋ねてくることがあります。「Open in new Window」や「Open in current window」を選択して、新しいプロジェクトを開きます。

これで、myfirstmavenapp という名前のMavenプロジェクトが作成されました。エクスプローラービューを見ると、以下のような標準的なMavenプロジェクトのフォルダ構造が確認できます。

myfirstmavenapp/
├── .vscode/ (VS Codeの設定フォルダ)
├── src/
│ ├── main/
│ │ └── java/
│ │ └── com/
│ │ └── example/
│ │ └── App.java (メインのJavaコード)
│ └── test/
│ └── java/
│ └── com/
│ └── example/
│ └── AppTest.java (テストコード)
└── pom.xml (Mavenの設定ファイル)

src/main/java の下にメインのJavaコードを、src/test/java の下にテストコードを配置するのが標準的な慣習です。

Mavenの基本構造とpom.xml

Mavenプロジェクトの心臓部が、ルートディレクトリにある pom.xml ファイルです。これはProject Object Model (POM) の略で、XML形式で記述されます。

pom.xmlを開いてみましょう。以下のような内容が含まれているはずです。

“`xml
4.0.0

<groupId>com.example</groupId>
<artifactId>myfirstmavenapp</artifactId>
<version>1.0-SNAPSHOT</version>

<name>myfirstmavenapp</name>
<url>http://www.example.com</url>

<properties>
    <project.build.sourceEncoding>UTF-8</project.build.sourceEncoding>
    <maven.compiler.source>1.7</maven.compiler.source>
    <maven.compiler.target>1.7</maven.compiler.target>
</properties>

<dependencies>
    <dependency>
        <groupId>junit</groupId>
        <artifactId>junit</artifactId>
        <version>4.11</version>
        <scope>test</scope>
    </dependency>
</dependencies>

“`

  • <groupId>, <artifactId>, <version>: プロジェクトを一意に識別するための情報です。作成時に指定したものがここに入っています。
  • <properties>: プロジェクト全体で使用する設定値を定義します。例えば、コンパイルに使用するJavaのバージョン(maven.compiler.sourcemaven.compiler.target)などが設定されています。ここではデフォルトで古いバージョン(1.7)になっていることが多いので、インストールしたJDKのバージョン(例: 17 または 21)に合わせて修正しましょう。
    xml
    <properties>
    <project.build.sourceEncoding>UTF-8</project.build.sourceEncoding>
    <maven.compiler.source>17</maven.compiler.source> <!-- ここを17か21に -->
    <maven.compiler.target>17</maven.compiler.target> <!-- ここを17か21に -->
    </properties>
  • <dependencies>: このプロジェクトが依存する外部ライブラリを定義する場所です。<dependency>タグの中に、ライブラリのgroupId, artifactId, versionを記述します。上記例では、テスト用のJUnitライブラリに依存していることがわかります。Mavenは、ここに記述された情報を基に、必要なライブラリをインターネット上のリポジトリから自動的にダウンロードしてくれます。

Mavenプロジェクトのビルドと実行

Mavenプロジェクトは、VS Codeの統合ターミナルまたはVS CodeのMaven拡張機能を使って操作できます。

VS CodeでMavenプロジェクトを開いている場合、左側のアクティビティバーにMavenアイコン(Mのマーク)が表示されることがあります。これをクリックすると、プロジェクトのPOMや実行可能なMavenゴール(タスク)の一覧が表示され、GUIから実行できます。

ここでは、コマンドラインから基本的なMavenコマンドを実行してみましょう。統合ターミナルを開き、プロジェクトのルートディレクトリ (pom.xml がある場所) に移動してください。

  1. コンパイルとパッケージ化: プロジェクトをコンパイルし、依存ライブラリを含まない状態のJARファイル(Java Archive)を作成します。

    bash
    mvn package

    mvn はMavenのコマンドです。packageはMavenの「ゴール」と呼ばれるタスクです。このコマンドを実行すると、Mavenは依存ライブラリのダウンロード、ソースコードのコンパイル、テストの実行などを自動で行い、最終的に target フォルダの中にJARファイルを作成します。初めて実行する場合、必要なライブラリのダウンロードに時間がかかることがあります。

    成功すると、BUILD SUCCESS のメッセージが表示されます。

  2. コンパイル、テスト、インストール: プロジェクトをコンパイル、テスト実行し、ローカルのMavenリポジトリ(他のプロジェクトがこのJARを参照できるようになる場所)にインストールします。

    bash
    mvn install

    install ゴールは package ゴールよりも多くのステップを実行します。開発中に、自分が作っているライブラリを別のローカルプロジェクトで試したい場合などに便利です。

  3. クリーン: ビルドによって生成されたファイル(targetフォルダなど)を削除し、プロジェクトをきれいな状態に戻します。

    bash
    mvn clean

  4. 実行: mvn archetype:generate で作成されたquickstartプロジェクトには、簡単なメインクラス (App.java) が含まれています。これを実行するには、mvn exec:java ゴールを使うのが簡単です(pom.xmlに適切な設定がされている必要があります)。

    bash
    mvn exec:java -Dexec.mainClass="com.example.App"

    ここで "com.example.App" は、実行したいメインクラスの完全修飾名(パッケージ名を含むクラス名)です。App.java の内容は通常「Hello World!」を出力するようになっているので、これを実行するとターミナルに「Hello World!」と表示されるはずです。

VS CodeのExtension Pack for Javaを使っている場合、エクスプローラービューのMavenプロジェクトの下にあるApp.javaを開くと、mainメソッドの上に表示される「Run」ボタンから直接実行することもできます。これはMavenの設定に基づいて実行してくれます。

Mavenは非常に強力なツールですが、最初はpom.xmlの書き方や様々なゴールに戸惑うかもしれません。まずは「依存ライブラリを自動で持ってきてくれる」「mvn packageでビルドできる」という点を理解しておけば十分です。VS CodeのMaven拡張機能のGUIも活用してみてください。

8. プログラムの動きを見てみよう:デバッグ機能の使い方

プログラムを書いていて、思い通りに動かないとき(バグがあるとき)に役立つのが「デバッグ (Debug)」です。VS CodeのJava拡張機能パックには強力なデバッグ機能が含まれています。

デバッグとは?

デバッグとは、プログラムの実行を一時停止させながら、その時点での変数の中身や、プログラムがどの行を実行しているかなどを詳しく調べることで、バグ(間違い)の原因を特定し、修正する作業のことです。

単にプログラムを実行するだけでは、エラーが発生して止まるか、あるいは間違った結果が表示されるだけで、内部で何が起きているのか分かりません。デバッグツールを使うと、プログラムの「脳内」を覗き見ることができるのです。

ブレークポイントを設定する

デバッグを開始する前に、プログラムを一時停止させたい場所に「ブレークポイント (Breakpoint)」を設定します。

  1. デバッグしたいJavaファイルを開きます(例: HelloWorld.java またはMavenプロジェクトのApp.java)。
  2. プログラムを一時停止させたい行の行番号の左側の空白領域をクリックします。
  3. 赤い丸が表示されれば、ブレークポイントの設定は完了です。
    ブレークポイント設定のイメージ

複数の場所にブレークポイントを設定することも可能です。設定したブレークポイントをクリックすると解除できます。

デバッグを開始する

ブレークポイントを設定したら、デバッグを開始します。

  1. VS Codeの左側のアクティビティバーにある虫のアイコン(「実行とデバッグ」ビュー)をクリックします。または ⇧⌘D (macOS) または Ctrl+Shift+D のショートカットキーでも開けます。
    Run and Debugアイコンのイメージ
  2. 「実行とデバッグ」ビューの上部にある「Run and Debug」ボタンをクリックします。
    Run and Debugボタンのイメージ
  3. Javaファイルが開いている場合、VS Codeは自動的にJavaプログラムをデバッグモードで起動しようとします。
  4. プログラムが実行され、設定したブレークポイントの行に到達すると、そこで一時停止します。一時停止した行には黄色いマーカーが表示されます。
    一時停止した行のイメージ

デバッグ中の操作

プログラムがブレークポイントで一時停止している間、「実行とデバッグ」ビューや、エディタ上部に表示されるデバッグツールバーを使って、プログラムの内部状態を確認したり、実行を制御したりできます。

「実行とデバッグ」ビューのパネル:

  • VARIABLES (変数): 現在のスコープ(実行中のメソッドなど)で利用可能な変数の名前と値が表示されます。プログラムの状態を確認するのに最もよく使います。
  • WATCH (ウォッチ): 特定の変数や式を指定して、その値を常に表示させることができます。複雑な式の値を確認したい場合に便利です。
  • CALL STACK (コールスタック): 現在実行が一時停止しているメソッドが、どのメソッドから呼び出されたか、という呼び出し履歴が表示されます。プログラムの実行経路を追跡するのに役立ちます。
  • BREAKPOINTS (ブレークポイント): 設定されているブレークポイントの一覧が表示されます。ここからブレークポイントの有効/無効を切り替えたり、削除したりできます。

デバッグツールバー:

エディタの上部に表示される小さなツールバーです。左から順に以下のボタンがあります。

  • Continue (続行) (▶): 次のブレークポイント、またはプログラムの最後まで実行を再開します。
  • Step Over (ステップオーバー) (↷): 現在の行を実行し、次の行に進みます。メソッド呼び出しがあった場合、そのメソッドの中には入らず、メソッド全体の実行が終わるのを待って次の行に進みます。
  • Step Into (ステップイン) (⤵): 現在の行がメソッド呼び出しの場合、そのメソッドの最初の行に移動します。メソッドの内部処理を詳しく見たい場合に利用します。
  • Step Out (ステップアウト) (⤴): 現在実行中のメソッドの残りの部分を実行し、そのメソッドを呼び出した場所の次の行に戻ります。メソッドの内部はもう追跡する必要がない場合に利用します。
  • Restart (再起動) (🔄): プログラムの実行を最初からやり直します。
  • Stop (停止) (⏹): デバッグセッションを終了し、プログラムの実行を完全に停止します。

これらの機能を使って、プログラムの実行を一行ずつ進めたり、変数の値を確認したりすることで、バグの原因となっている箇所を特定していくのがデバッグの基本的な流れです。最初は難しく感じるかもしれませんが、デバッグはプログラミングにおいて非常に重要なスキルなので、ぜひ使い方に慣れてください。

9. 環境構築でつまずきやすいポイントと解決策

Java開発環境の構築は、特に初心者にとっていくつかの落とし穴があります。ここでは、よくある問題とその解決策を紹介します。

java または javac コマンドが見つかりません」エラー

ターミナル(コマンドプロンプト、PowerShell、Linux/macOSのターミナル)で java -versionjavac -version と入力したときに表示されるエラーです。

原因:
JDKはインストールされているものの、その実行ファイル(java.exejavac.exe など)が格納されているディレクトリが、システムの環境変数 PATH に含まれていないため、OSがコマンドを見つけられない状態です。

解決策:

  1. JDKが正しくインストールされているか確認: JDKのインストールディレクトリ(例: C:\Program Files\Java\jdk-17/Library/Java/JavaVirtualMachines/jdk-17.jdk/Contents/Home など)が存在するか確認してください。もし存在しない場合は、JDKのインストール自体が失敗している可能性があります。
  2. Windows: JDKインストーラで「Add to PATH」や「Set JAVA_HOME variable」にチェックを入れたか確認してください。もし入れていない場合は、手動で環境変数を設定するか、一度JDKをアンインストールして再度インストールし直し、今度はチェックを入れてください。手動設定の方法は少し複雑なので、再インストールがおすすめです。インストール後にPCの再起動も試してください。
  3. macOS/Linux: 環境変数 PATHJAVA_HOME が正しく設定されているか確認してください。特にAdoptium Temurinを .tar.gz でインストールした場合は、.bashrc.zshrc ファイルに export JAVA_HOME=...export PATH=$JAVA_HOME/bin:$PATH の行が正しく記述され、ターミナルを再起動するなどして設定が反映されているか確認が必要です。パッケージマネージャーでインストールした場合は、通常自動で設定されますが、複数のJavaバージョンが入っている場合はデフォルトで使うバージョンが正しく設定されていない可能性も考えられます(update-alternatives --config java などのコマンドで確認・設定します)。

「JDKが見つかりません」エラー (VS Code)

VS CodeでJavaファイルを開いたときに、エディタの下部に「Java Development Kit (JDK) not found」のような警告が表示される場合です。

原因:
VS CodeのJava拡張機能が、Javaコンパイルや実行に必要なJDKの場所を自動で見つけられない場合に発生します。システムの PATHJAVA_HOME 環境変数がVS Codeから見えていないか、あるいはVS Codeが想定する場所と異なる場所にJDKがインストールされている可能性があります。

解決策:

  1. システムの環境変数を確認: 上記の java -version, javac -version がターミナルで正しく動くか確認してください。もし動かない場合は、まずそちらの問題を解決します。
  2. VS Codeの設定でJDKパスを明示的に指定: VS Codeの設定で、使用するJDKのパスを直接指定することができます。
    • VS Codeの「File」>「Preferences」>「Settings」 (Windows/Linux) または 「Code」>「Preferences」>「Settings」 (macOS) を選択します。またはショートカットキー ⌘, (macOS) または Ctrl+, です。
    • 設定画面の検索バーに「java.configuration.runtimes」と入力します。
    • 「Edit in settings.json」をクリックします。
    • settings.json ファイルが開かれるので、以下のような設定を追加または編集します。
      json
      "java.configuration.runtimes": [
      {
      "name": "JavaSE-17", // 使用するJavaのバージョンに合わせる
      "path": "/path/to/your/jdk-17", // ★インストールしたJDKの実際のパスに置き換える★
      "default": true // このバージョンをデフォルトとして使うか (true/false)
      },
      // 他のJavaバージョンをインストールしている場合はここに追加できる
      // {
      // "name": "JavaSE-21",
      // "path": "/path/to/your/jdk-21",
      // "default": false
      // }
      ]
    • "path" の部分を、実際にJDKがインストールされているフォルダのパスに置き換えてください。
      • Windowsの場合のパスの例: C:\\Program Files\\Java\\jdk-17 (バックスラッシュは2つ重ねるか、スラッシュ / を使う)
      • macOSの場合のパスの例: /Library/Java/JavaVirtualMachines/jdk-17.jdk/Contents/Home
      • Linuxの場合のパスの例: /usr/local/jdk-17 (.tar.gz/usr/local/に展開した場合) または /usr/lib/jvm/java-17-openjdk-amd64 (aptでインストールした場合など)
    • 設定ファイルを保存し、VS Codeを再起動します。

この設定を行うことで、VS Codeは指定されたパスのJDKを使用するようになります。

コンパイルエラーや実行時エラー

コードを書いている最中や、実行したときに表示されるエラーです。

原因:
これは環境構築の問題ではなく、書いたJavaコード自身に間違いがある場合に発生します。

  • コンパイルエラー: コードの文法間違い(タイポ、セミコロン忘れ、括弧の閉じ忘れなど)や、存在しないメソッドを呼び出している場合などに、javacがコードをバイトコードに変換できないため発生します。VS Codeのエディタ上でリアルタイムに波線などで表示されることが多いです。
  • 実行時エラー (Runtime Error): コンパイルは通ったものの、プログラム実行中に問題が発生する場合です(例: 0で割る、存在しないファイルを開こうとする、配列の範囲外にアクセスするなど)。プログラムが途中で異常終了し、スタックトレースと呼ばれるエラーの詳細情報が表示されます。

解決策:

  1. エラーメッセージを読む: ターミナルやVS Codeの出力パネルに表示されるエラーメッセージを注意深く読んでください。エラーの種類、どのファイルで、何行目でエラーが発生したかが書いてあります。最初は難解に感じるかもしれませんが、エラーメッセージはバグの原因を特定するための重要な手がかりです。
  2. VS Codeの波線や電球アイコンを確認: コンパイルエラーの場合、VS Codeのエディタ上でコードに赤い波線が表示されます。波線にマウスカーソルを合わせると、エラーの詳細が表示されます。行番号の横に表示される赤いアイコンや電球アイコンも確認してください。電球アイコンは、VS Codeが提案する修正方法(Quick Fixes)があることを示しています。
  3. コードを確認: エラーメッセージが指し示している行とその周辺のコードを、慎重に見直してください。スペルミス、大文字/小文字の間違い、括弧やセミコロンの抜け、メソッドの引数の間違いなどがよくある原因です。
  4. デバッグを使う: 実行時エラーなどで、コードを読んでも原因が分からない場合は、デバッグ機能を使ってプログラムの動きを追いかけ、問題が発生する直前の変数の値などを確認してみてください。

エラーは誰にでも発生します。エラーメッセージを恐れず、それを手掛かりに原因を探る練習を繰り返しましょう。

日本語の表示が文字化けする

System.out.println などで日本語の文字列を表示したときに、ターミナルやVS Codeの出力パネルで文字が正しく表示されず、意味不明な記号になる場合です。

原因:
Javaプログラムが使用している文字コードと、ターミナルまたはVS Codeの出力パネルが想定している文字コードが一致していないために発生します。Windows環境でよく見られます。

解決策:

  1. ソースコードファイルのエンコーディングをUTF-8にする: VS CodeでJavaファイルを作成・保存する際のエンコーディングをUTF-8に設定します。通常はデフォルトでUTF-8になっているはずですが、念のため確認します。
  2. Javaコンパイル時のエンコーディングを指定する: ターミナルから javac コマンドを使う場合、-encoding UTF-8 オプションを付けてコンパイルします。
    bash
    javac -encoding UTF-8 HelloWorld.java
  3. Java実行時のエンコーディングを指定する: ターミナルから java コマンドを使う場合、-Dfile.encoding=UTF-8 オプションを付けて実行します。
    bash
    java -Dfile.encoding=UTF-8 HelloWorld

    VS Codeの実行ボタンを使う場合は、VS Codeの設定でこのオプションを追加することが可能です。

    • 設定 (Ctrl+,) を開き、「java.debug.settings.vmArgs」と検索します。
    • 「Edit in settings.json」をクリックし、以下の行を追加または編集します。
      json
      "java.debug.settings.vmArgs": "-Dfile.encoding=UTF-8"
    • 設定ファイルを保存し、VS Codeを再起動します。
  4. ターミナルの文字コード設定: 使用しているターミナル自体の文字コード設定をUTF-8に合わせます。WindowsのコマンドプロンプトはShift_JISがデフォルトの場合があり、これが文字化けの原因になることがあります。PowerShellや新しいWindows Terminalを使用するか、コマンドプロンプトで chcp 65001 コマンドを実行して一時的にUTF-8に変更する方法もあります。ただし、ターミナル自体の設定変更は、システムや他のプログラムに影響を与える可能性があるので注意が必要です。

VS Codeの設定で -Dfile.encoding=UTF-8 を追加する方法が、VS Codeの実行ボタンを使う場合に最も簡単で効果的なことが多いです。


これらの解決策を試しても問題が解決しない場合は、エラーメッセージや状況を詳しく検索してみるか、JavaやVS Code関連のオンラインコミュニティで質問してみるのが良いでしょう。

10. さらにJava学習を進めるために

環境構築が無事完了し、「Hello, World!」も実行できましたね! これはプログラミング学習の素晴らしいスタートラインです。

ここからさらに学習を進めるためには、以下のようなステップがあります。

  • Javaの基本文法を学ぶ: 変数、データ型、制御構造(if文、for文)、配列、メソッドの定義と呼び出しなど、Javaの基本的な書き方を学びましょう。
  • オブジェクト指向プログラミングを学ぶ: Javaはオブジェクト指向言語です。クラス、オブジェクト、カプセル化、継承、ポリモーフィズムといったオブジェクト指向の概念を理解することが、Javaを使いこなす上で非常に重要です。
  • 標準ライブラリを学ぶ: Javaには非常に豊富な標準ライブラリ(API)が用意されています。文字列操作、リストやマップといったデータ構造、ファイル操作、ネットワーク通信など、基本的なAPIの使い方を知っていると、様々なプログラムを作成できるようになります。
  • 実践的なプログラムを作成する: 学習した文法やAPIを使って、簡単なツールやゲーム、Webアプリケーションのバックエンドなど、何か具体的なものを作ってみましょう。実際に手を動かすことで理解が深まります。
  • フレームワークやライブラリを学ぶ: 実際の開発では、Spring Framework(Webアプリ開発)、JUnit(テスト)、Slf4j(ロギング)など、多くのフレームワークやライブラリが使われます。これらを学ぶと、より効率的に、より高度な開発ができるようになります。まずは興味のある分野(Web開発、Android開発など)に関連する技術から学ぶのがおすすめです。
  • バージョン管理システム(Git)を使う: プログラムのコードの変更履歴を管理するためのGitは、開発において必須のツールです。VS CodeにはGit連携機能が組み込まれているので、学習しておくと非常に役立ちます。

学習方法は、書籍、オンライン学習プラットフォーム(Udemy, Coursera, ドットインストールなど)、公式サイトのドキュメント、YouTubeの解説動画など、様々なものがあります。ご自身に合った方法で、ぜひ楽しみながら学習を続けてください。

11. まとめ

この記事では、VS Codeを使ってJava開発環境を構築するための詳細なステップを解説しました。

  1. Java本体(JDK)をインストールする: Adoptium TemurinのようなOpenJDKディストリビューションをインストールし、java -versionjavac -versionで確認しました。
  2. VS Codeをインストールする: 公式サイトからダウンロードし、各OSの手順に従ってインストールしました。
  3. VS CodeにJava開発用拡張機能パックをインストールする: VS Codeの拡張機能ビューから「Extension Pack for Java」を検索してインストールしました。
  4. 最初のJavaプログラムを書いて実行する: 簡単な「Hello, World!」プログラムを作成し、VS Codeの実行機能やターミナルから実行できることを確認しました。
  5. Mavenを使ったプロジェクト管理: Mavenの基本的な役割と、VS CodeでMavenプロジェクトを作成し、pom.xmlを確認、基本的なMavenコマンド(mvn package, mvn installなど)を実行する方法を紹介しました。
  6. デバッグ機能の使い方: ブレークポイントの設定、デバッグの開始、デバッグ中の操作(変数確認、ステップ実行など)について解説しました。
  7. つまずきやすいポイントと解決策: 環境変数やVS Codeの設定、文字化けといったよくある問題への対処法を説明しました。

環境構築は、プログラミング学習の最初の関門の一つです。この記事の手順に沿って進めれば、きっと乗り越えられるはずです。もし途中でつまずいても、落ち着いてエラーメッセージを読み、解決策を探してみてください。

JavaとVS Codeは、あなたのプログラミング学習を強力にサポートしてくれるでしょう。さあ、これで準備は整いました。Javaプログラミングの学びを深め、あなたのアイデアを形にする旅を始めてください!応援しています!


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