はい、承知いたしました。初心者向けのCentOS 7ダウンロード完全ガイドとして、詳細な説明を含む約5000語の記事を作成します。
初心者向け CentOS 7 ダウンロード完全ガイド:第一歩を踏み出そう
はじめに:CentOS 7 とは何か、そしてなぜダウンロードするのか
コンピュータの世界には、WindowsやmacOS以外にも様々なオペレーティングシステム(OS)が存在します。その中でも、特にサーバー分野や開発環境で広く利用されているのが「Linux」と呼ばれるOSの仲間たちです。Linuxには、Debian、Ubuntu、Fedoraなど、多くの種類(ディストリビューションと呼ばれます)がありますが、その中でも特に企業環境で信頼性が高く評価されてきたのが「CentOS」です。
CentOS 7は、エンタープライズ向けLinuxの代表格であるRed Hat Enterprise Linux (RHEL) のソースコードをもとに開発された、フリーかつオープンソースのOSです。RHELは商用製品であり、サポートには費用がかかりますが、CentOSはそのRHELとほぼ同等の機能と安定性を、無償で提供していました。このため、多くの企業や個人がサーバーの構築、ソフトウェア開発、学習などの目的でCentOS 7を利用してきました。
CentOS 7は非常に安定しており、長期間にわたるセキュリティアップデートが提供される「ロングタームサポート (LTS)」版でした。しかし、2024年6月30日をもって、CentOS ProjectによるCentOS 7の公式なサポートは終了します(本記事執筆時点ではまだサポート期間内または終了直後ですが、利用を検討する際はEOLであるという認識が非常に重要です)。サポート終了後もCentOS 7自体を使い続けることは技術的に可能ですが、セキュリティ上のリスクが高まるため、新規での利用や本番環境での利用は推奨されません。
それでもなお、なぜCentOS 7のダウンロード方法を知る必要があるのでしょうか?
1. 学習目的: Linux、特にRHEL系のOSの基本的な操作やサーバー構築を学ぶ上で、CentOS 7は非常に優れた教材となり得ます。多くの古い技術情報やチュートリアルはCentOS 7を前提として書かれています。
2. 既存システムの保守: 現在も稼働しているCentOS 7システムがあり、その保守や移行のためにインストールメディアが必要になる場合があります。
3. 特定の検証環境: サポートが終了したOS上での動作確認が必要な特定のレガシーアプリケーションやシステムが存在する場合があります。
本ガイドは、これらの理由からCentOS 7をダウンロードしたいと考えている初心者の方を対象としています。「OSのダウンロードなんて初めて」「ISOイメージって何?」「ミラーサイトって怖い?」といった疑問を持つ方でも安心して取り組めるよう、専門用語は丁寧に解説し、手順は一つ一つ具体的に説明します。
約5000語というボリュームで、ダウンロードの目的、必要な準備、様々なダウンロードファイルの種類、公式ダウンロードサイトの見方、ミラーサイトの選び方、ダウンロード手順、そして最も重要なダウンロードしたファイルの検証方法までを網羅します。さあ、CentOS 7の世界への第一歩を踏み出しましょう。
第1章:ダウンロードを始める前に ― 準備と予備知識
CentOS 7のダウンロードを始める前に、いくつか準備しておきたいことや、知っておくと役立つ予備知識があります。
1.1 インターネット接続環境
これは当然のことですが、安定したインターネット接続が必要です。CentOS 7のインストールイメージファイル(ISOファイル)は非常にサイズが大きいものもあります(後述しますが、最小のものでも約1GB、フルセットでは約4GB以上)。不安定な回線ではダウンロードに時間がかかったり、途中で中断してしまったりする可能性があります。光回線などの高速かつ安定した接続環境を用意することをおすすめします。
1.2 十分なストレージ空き容量
ダウンロードしたISOファイルを保存するために、コンピュータのストレージ(HDDやSSD)に十分な空き容量が必要です。ダウンロードするファイルのサイズを確認し、それ以上の空き容量があるかを確認してください。目安としては、最低でも5GB、複数の種類のISOファイルをダウンロードする可能性や、OSインストール後の作業領域を考慮すると、10GB以上の空き容量を確保しておくと安心です。
1.3 基本的なコンピュータ操作スキル
ファイルのダウンロード、保存先の指定、フォルダの作成といった基本的なコンピュータ操作ができる必要があります。また、後述するファイルの検証(チェックサムの確認)を行う際には、コマンドプロンプトやターミナルと呼ばれる画面での簡単な操作が必要になる場合があります。これらの操作に慣れていない場合でも、本ガイドで手順を丁寧に説明しますのでご安心ください。
1.4 ダウンロードの目的を明確にする
なぜCentOS 7をダウンロードしたいのか、その目的を明確にすることは、どの種類のISOファイルをダウンロードすべきかを判断する上で非常に重要です。
* 最小限のサーバー環境を作りたい: 「Minimal ISO」が適しています。
* GUI(デスクトップ画面)のある環境で使いたい: 「DVD ISO」や「Everything ISO」が適しています。
* インストールせずに試してみたい: 「LiveCD/DVD ISO」が適しています。
* ネットワーク経由でインストールしたい: 「NetInstall ISO」が適しています。
これらのISOファイルの種類については、次章で詳しく説明します。目的を明確にすることで、無駄なファイルをダウンロードする時間やストレージ容量を節約できます。
1.5 CentOS 7 のサポート状況に関する注意点
重ねての注意喚起となりますが、CentOS 7は公式サポートが終了(または終了間近)のOSです。これは、セキュリティ上の脆弱性が見つかっても、公式な修正プログラム(アップデート)が提供されなくなることを意味します。学習目的や既存システムの保守以外で、新規に重要なシステムで利用することは強く推奨されません。新しいシステムには、CentOS Stream 8/9、AlmaLinux 8/9、Rocky Linux 8/9といった後継または代替となるディストリビューションの利用を検討してください。本ガイドは、あくまでCentOS 7のダウンロード方法を知りたいというニーズに応えるためのものです。利用は自己責任で、セキュリティリスクを十分に理解した上で行ってください。
第2章:CentOS 7 の様々な「顔」を知る ― ISOイメージの種類
CentOS 7をダウンロードしようとすると、いくつかの異なる名前のファイルが見つかることに気づくでしょう。これらは、インストールする内容や方法が異なる、CentOS 7の様々な「インストールイメージ」です。これらのファイルは通常、.iso
という拡張子を持っており、「ISOイメージ」と呼ばれます。ISOイメージは、DVDやCDのディスクイメージファイルとして使われる形式ですが、OSのインストールにおいては、このファイルをDVDに焼いたり、USBメモリに書き込んだりして、コンピュータを起動させるために利用します。
それぞれのISOイメージがどのようなものか、詳しく見ていきましょう。
2.1 CentOS-7-x86_64-Minimal-xxxx.iso
- 特徴: CentOS 7のインストールイメージの中で最もファイルサイズが小さい(約1GB程度)。必要最小限のパッケージ(ソフトウェア群)のみが含まれています。GUI(デスクトップ画面)は含まれていません。
- 用途: CUI(キャラクターユーザーインターフェース、コマンド入力のみの画面)ベースのサーバー環境を構築したい場合に最適です。Webサーバー、データベースサーバー、開発サーバーなど、特定の目的のために必要なソフトウェアだけを後からインストールする用途に向いています。不要なパッケージが含まれていないため、ディスク容量やメモリ使用量を節約でき、セキュリティリスクも低減できます。
- 初心者へのアドバイス: Linuxコマンドラインの操作に慣れている、またはこれから学習したいという方には良い選択肢です。ただし、GUIがないため、ファイルの操作や設定はすべてコマンドで行う必要があります。初めてLinuxに触れる方には少しハードルが高いかもしれません。
2.2 CentOS-7-x86_64-DVD-xxxx.iso
- 特徴: DVD一枚に収まるように、よく利用されるパッケージが収録されています(約4GB程度)。Minimal版よりも多くのパッケージが含まれており、インストール時に選択すればGUI環境も構築できます。
- 用途: オフライン環境でのインストールや、様々な用途で利用する基本的なデスクトップ/サーバー環境を構築したい場合に適しています。多くの一般的なツールやライブラリが収録されているため、インストール直後からある程度の開発や作業が可能です。
- 初心者へのアドバイス: GUI環境でLinuxを体験したい方や、インストール後すぐに様々なソフトウェアを利用したい方に適しています。Minimal版よりファイルサイズは大きいですが、ネットワークに接続できない環境でもインストールが進めやすい利点があります。学習用途であれば、まずこのDVD版を試すのがおすすめです。
2.3 CentOS-7-x86_64-Everything-xxxx.iso
- 特徴: CentOS 7に含まれる全てのパッケージが収録されています(約9GB以上)。文字通り「Everything(すべて)」が含まれています。
- 用途: インターネット接続が非常に制限されている環境で、将来的に必要になるかもしれないあらゆるパッケージをインストールディスクから利用できるようにしておきたい、といった特殊なケースで利用されます。通常はここまで多くのパッケージを必要とすることは稀です。
- 初心者へのアドバイス: ファイルサイズが非常に大きいため、ダウンロードに時間がかかり、多くのストレージ容量を消費します。特別な理由がない限り、初心者の方が最初に選ぶイメージとしてはおすすめしません。DVD版やMinimal版で十分なことがほとんどです。
2.4 CentOS-7-x86_64-NetInstall-xxxx.iso (旧称: Everything NetInstall)
- 特徴: ファイルサイズが非常に小さい(数百MB程度)。OSの基本的なインストーラーのみが含まれており、実際のパッケージはインストール中にインターネット(ネットワーク)経由でダウンロードします。
- 用途: ストレージ容量が限られている場合や、常に最新のパッケージをインストールしたい場合に利用されます。複数のサーバーに同じ設定でインストールする場合など、ネットワークインストール環境を構築する際にも便利です。
- 初心者へのアドバイス: インストール中にインターネット接続が必須です。接続が不安定な場合や低速な場合は、インストールに非常に時間がかかったり、失敗したりする可能性があります。ある程度ネットワークに関する知識があるとよりスムーズに進められます。Minimal版やDVD版をネットワーク経由でダウンロード・インストールするのと似ていますが、インストーラー自体が小さい点が特徴です。
2.5 CentOS-7-x86_64-LiveGNOME-xxxx.iso / CentOS-7-x86_64-LiveKDE-xxxx.iso
- 特徴: OSをコンピュータにインストールすることなく、DVDやUSBメモリから直接起動して試すことができるイメージです。それぞれGNOMEまたはKDEという異なる種類のデスクトップ環境が含まれています(約1GB~2GB)。
- 用途: CentOS 7が自分のコンピュータで正常に動作するか試したい場合や、インストール前にGUI環境を体験したい場合に便利です。また、Liveイメージとして起動した環境から、コンピュータのトラブルシューティングやデータ救出を行うといった用途にも使えます。
- 初心者へのアドバイス: ファイルサイズはDVD版より小さいことが多く、手軽にCentOS 7を「お試し」できます。インストール作業は不要なので、LinuxのGUI環境に触れてみたいという方に最適です。ただし、Liveイメージはあくまで一時的な利用を想定しており、通常は設定や保存したファイルはコンピュータの電源を切ると失われます(USBに永続領域を設定することも可能ですが、少し高度な設定になります)。本格的に利用する場合は、Minimal版やDVD版などを使ってコンピュータにインストールする必要があります。
ISOイメージのファイル名について
ISOイメージのファイル名は、通常以下のようになっています。
CentOS-7-x86_64-[種類]-xxxx.iso
CentOS-7
: CentOS 7であることを示します。x86_64
: 64ビット版のコンピュータ向けであることを示します。現在のほとんどのPCはこのタイプです。古い32ビット版のCentOS 7も存在しましたが、現在では64ビット版が主流です。[種類]
: 上記で説明したイメージの種類が入ります (Minimal, DVD, Everything, NetInstall, LiveGNOME, LiveKDEなど)。xxxx
: リリースバージョンやビルド番号などが入ります (例: 2009, 1708など)。数字が大きいほど新しいビルドです。通常は最新のビルドを選べば問題ありません。
自分の目的に合ったISOイメージの種類を選んでください。迷う場合は、GUI環境を体験できてある程度のパッケージが含まれている「DVD版」をおすすめします。
第3章:公式ダウンロードサイトへアクセスする
CentOS 7のISOイメージは、CentOS Projectの公式ウェブサイトからダウンロードするのが最も安全で確実な方法です。非公式なサイトからのダウンロードは、改ざんされた悪意のあるファイルである可能性があり、非常に危険です。必ず公式な配布元を利用しましょう。
3.1 CentOS Project 公式サイト
まずは、ウェブブラウザを開き、CentOS Projectの公式サイトにアクセスします。
公式サイトURL: https://www.centos.org/
(注:CentOS Projectのサイト構成は時間と共に変更される可能性があります。以下の手順は一般的な流れですが、実際のサイトの見た目と多少異なる場合があることをご了承ください。)
3.2 ダウンロードセクションを探す
公式サイトにアクセスしたら、通常はトップページの目立つ場所に「Download」や「Downloads」といったリンクがあります。そのリンクをクリックしてください。
もし見つからない場合は、ウェブサイトのメニューを探してみてください。「Get CentOS」「Download」などの項目があるはずです。
3.3 CentOS 7 のダウンロードページへ移動する
ダウンロードページに遷移すると、通常は現在推奨されているCentOS Streamなどの新しいバージョンに関する情報が表示されます。CentOS 7のダウンロードを探している場合は、ページのどこかに「Previous Versions」「Older Versions」「CentOS Linux 7」といった項目がないか探してください。
CentOS ProjectはCentOS Linux 7のダウンロードページを別途設けている場合があります。そこへのリンクを探してクリックします。
3.4 ダウンロードミラーサイトを選択する
CentOSのような人気のあるOSのダウンロードは、世界中から同時に多くのアクセスがあります。全てのダウンロードリクエストをCentOS Projectのサーバー一台で処理しようとすると、サーバーに負荷がかかりすぎたり、ダウンロード速度が非常に遅くなったりします。
この問題を解決するために、「ミラーサイト(Mirror Site)」という仕組みが利用されています。ミラーサイトは、世界中の大学や研究機関、企業などがボランティアで提供しているサーバーで、CentOSのファイルを公式サーバーからコピーして、代わりに配布してくれます。これにより、ユーザーは地理的に近いミラーサイトからダウンロードすることができ、高速かつ安定したダウンロードが可能になります。
CentOS 7のダウンロードページにたどり着くと、おそらく「List of Mirrors」や「ダウンロードはこちらから」といったリンクが表示され、世界地図や地域ごとのリストが表示されるでしょう。
ミラーサイトの選び方:
- 地理的な近さ: 基本的には、自分がいる国や地域に最も近いミラーサイトを選ぶと、ネットワークの距離が短くなり、ダウンロード速度が速くなる傾向があります。日本の場合は「Japan」の項目を探しましょう。
- 提供者の信頼性: 大学や有名な研究機関、大手インターネットプロバイダなどが提供しているミラーサイトは、比較的信頼性が高いと言えます。
- 接続方法:
http://
またはftp://
で始まるリンクが提供されています。通常はhttp://
で問題ありません。お使いのウェブブラウザでリンクをクリックすればダウンロードが開始されます。
リストの中から、良さそうなミラーサイトを選んでクリックしてください。クリックすると、そのミラーサイトのCentOS 7のダウンロードディレクトリ(フォルダ)が表示されるはずです。
第4章:ISOイメージファイルを選択してダウンロードする
ミラーサイトのディレクトリにアクセスすると、様々なフォルダやファイルが表示されます。CentOS 7のISOイメージは、通常 isos/
というフォルダの中に格納されています。
4.1 isos/
フォルダへ移動する
ミラーサイトのインデックスページが表示されたら、isos/
という名前のリンクを探してクリックします。
4.2 アーキテクチャの選択 (x86_64/
)
isos/
フォルダの中には、コンピュータのアーキテクチャ(構造)ごとのフォルダがあります。現在の一般的なパソコンは64ビット版なので、x86_64/
というフォルダをクリックしてください。(古いシステムや特殊な用途の場合は他のアーキテクチャを選択することもありますが、ほとんどの場合は x86_64/
です)。
4.3 バージョンの選択 (7/
)
x86_64/
フォルダの中には、CentOSのバージョンごとのフォルダがあります。今回はCentOS 7をダウンロードするので、7/
というフォルダをクリックします。
4.4 最新のビルドを選択する
7/
フォルダの中には、さらに様々なビルド(リリース)ごとのフォルダがあります。これらのフォルダ名は通常、7.x.xxxx
のような形式になっています(例: 7.9.2009
)。数字が大きいほど新しいビルドです。特別な理由がない限り、最も新しいビルドのフォルダ(例: 7.9.2009/
など、一番新しい日付や番号のフォルダ)をクリックしてください。
4.5 ISOイメージファイルとCHECKSUMファイルを探す
最新ビルドのフォルダの中に入ると、ようやくISOイメージファイルがリストアップされています。ここで、第2章で説明したファイル名の規則(例: CentOS-7-x86_64-Minimal-2009.iso
, CentOS-7-x86_64-DVD-2009.iso
など)を参考に、自分がダウンロードしたいISOイメージファイルを探してください。
また、これらのISOファイルと一緒に、CHECKSUM
または CHECKSUM.sha256
といった名前のファイルがあるはずです。このファイルは、ダウンロードしたISOファイルが破損していないか、あるいは改ざんされていないかを確認するために非常に重要です。必ずISOファイルと一緒にダウンロードしておいてください。 ファイル名をクリックすればダウンロードが始まります。
4.6 ISOイメージファイルをダウンロードする
ダウンロードしたいISOイメージファイルのリンクをクリックします。ブラウザがダウンロードを開始します。ファイルのサイズが大きいので、ダウンロードが完了するまでしばらく時間がかかります。ダウンロード中はインターネット接続を切断したり、コンピュータの電源を切ったりしないように注意してください。
ダウンロードが完了したら、指定した保存先にISOファイルとCHECKSUMファイルが保存されていることを確認してください。
第5章:ダウンロードしたファイルを検証する ― なぜ、そしてどのように?
ISOイメージファイルのダウンロードが完了したからといって、すぐにそれを使ってはいけません。最も重要なステップは、ダウンロードしたファイルが正しいものであるか、破損していないかを検証することです。 この検証を怠ると、インストール中にエラーが発生したり、最悪の場合、改ざんされた不正なOSをインストールしてしまったりするリスクがあります。
5.1 なぜファイルの検証が必要なのか?
- ファイル破損の確認: ダウンロード中にネットワークの問題やサーバーの一時的な不具合によって、ファイルの一部が欠けたり、誤ったデータに置き換わったりする可能性があります。ファイルが破損していると、そのファイルから正しくOSをインストールすることはできません。
- 改ざんの検出: ミラーサイトが攻撃されたり、通信経路の途中で悪意のある第三者によってファイルが改ざんされたりする可能性もゼロではありません(非常に稀ではありますが)。公式が提供する情報と照合することで、ファイルが正規のものであることを確認できます。
ファイルの検証には、「チェックサム(Checksum)」や「ハッシュ値(Hash Value)」と呼ばれるものを使います。これは、ファイルの内容から特定の計算方法(ハッシュ関数)を用いて生成される、一意の値です。たとえファイルの内容がほんの少しでも変わると、生成されるチェックサム/ハッシュ値は全く異なるものになります。
CentOS Projectは、配布している各ISOファイルに対して、公式なチェックサム(例えばSHA256というアルゴリズムで計算された値)を公開しています。私たちは、ダウンロードしたISOファイルから自分でチェックサムを計算し、公式が公開している値と一致するかどうかを確認することで、ファイルが正しくダウンロードできたか、改ざんされていないかを確認できるのです。
指紋のようなものを想像してください。全てのファイルには独自の「指紋」があります。公式が「このファイルの指紋はこれです」と公開している情報と、自分でダウンロードしたファイルの「指紋」を比べて、一致すれば本物、一致しなければ偽物か破損です。
5.2 チェックサム/ハッシュ値の計算方法
チェックサムやハッシュ値を計算するには、オペレーティングシステムに標準で搭載されているツールや、別途インストールするツールを使用します。主要なOSごとの計算方法を説明します。
ダウンロードしたISOファイルと、ダウンロードサイトから一緒にダウンロードしたCHECKSUM
またはCHECKSUM.sha256
ファイルを用意してください。CHECKSUM.sha256
ファイルには、各ISOファイル名とそれに対応するSHA256チェックサムが書かれています。
例: CHECKSUM.sha256
ファイルの内容(一部)
“`
This is the sha256 checksum file for CentOS-7
Copyright (C) 2020 The CentOS Project
Please see:
https://www.centos.org/
http://wiki.centos.org/
afc2a3033531b9354950d0850e59401940df43d73c1827e79d781ac96f6b9e61 CentOS-7-x86_64-Minimal-2009.iso
9b51f0b73855174d21f03135b6c9b0063f91ac7f4b0f2e9a57f753104765c58d CentOS-7-x86_64-DVD-2009.iso
…(他のファイルもリストされています)
``
CentOS-7-x86_64-Minimal-2009.iso
この例では、のSHA256チェックサムは
afc2a3033531b9354950d0850e59401940df43d73c1827e79d781ac96f6b9e61` であることがわかります。
Windowsでの検証方法 (PowerShellを使用)
Windows 8以降であれば、PowerShellにGet-FileHash
というコマンドが標準搭載されています。
- PowerShellを開く: Windowsのスタートボタンを右クリックし、「Windows PowerShell」または「ターミナル (管理者)」を選択します。(管理者でなくてもかまいません)
-
コマンドを実行: PowerShellのウィンドウが開いたら、以下の形式でコマンドを入力し、Enterキーを押します。
powershell
Get-FileHash -Algorithm SHA256 "ダウンロードしたISOファイルへのフルパス"
例: ダウンロードしたファイルがC:\Users\あなたのユーザー名\Downloads\CentOS-7-x86_64-Minimal-2009.iso
にある場合
powershell
Get-FileHash -Algorithm SHA256 "C:\Users\あなたのユーザー名\Downloads\CentOS-7-x86_64-Minimal-2009.iso"
ファイルパスは、ファイルをPowerShellウィンドウにドラッグアンドドロップすると自動的に入力されるので便利です。
3. 結果を確認: コマンドを実行すると、しばらく待つと以下のような結果が表示されます。Algorithm Hash Path
--------- ---- ----
SHA256 AF C2 A3 03 35 31 B9 35 49 50 D0 85 0E 59 40 19 40 DF 43 D7 3C 18 27 E7 ... C:\Users\あなたのユーザー名\Downloads\CentOS-7-x86_64-Minimal-2009.iso
Hash
の欄に表示されている値が、計算されたSHA256ハッシュ値です。この値を、ダウンロードしたCHECKSUM.sha256
ファイルに記載されている該当ファイルのSHA256値と見比べてください。CHECKSUM.sha256
ファイルに記載されている値はスペースやハイフンが入っていない一連の文字列ですが、PowerShellの出力はスペースで区切られている場合があります。スペースを除いて、文字と数字の並びが完全に一致するかを確認してください。より簡単な方法(Windowsの場合):
ダウンロードしたCHECKSUM.sha256
ファイルをテキストエディタ(メモ帳など)で開きます。該当するISOファイル名の行を見つけ、その前のSHA256値をコピーしておきます。
PowerShellでGet-FileHash
コマンドを実行し、表示されたHash
の値をコピーします。
コピーした2つの文字列(CHECKSUM.sha256
からコピーした値と、PowerShellで計算された値)を、オンラインの文字列比較ツールや、別のテキストエディタなどで比較してみてください。完全に一致していればOKです。
macOSまたはLinuxでの検証方法 (ターミナルを使用)
macOSやLinuxでは、shasum
またはsha256sum
というコマンドが標準で利用可能です。
- ターミナルを開く: アプリケーションメニューから「ターミナル」を開きます。
-
ダウンロードしたファイルがあるディレクトリへ移動:
cd
コマンドを使って、ダウンロードしたISOファイルとCHECKSUMファイルが保存されているディレクトリに移動します。bash
cd ダウンロードしたファイルがあるディレクトリのパス
例:~/Downloads
ディレクトリにある場合
bash
cd ~/Downloads
3.sha256sum
コマンドで検証: 最も簡単な方法は、ダウンロードしたCHECKSUM.sha256
ファイルをsha256sum
コマンドに渡して一括で検証してもらう方法です。bash
sha256sum -c CHECKSUM.sha256
4. 結果を確認: コマンドを実行すると、CHECKSUM.sha256
ファイルに記載されている各ファイルについて、チェックサムが計算され、比較結果が表示されます。CentOS-7-x86_64-Minimal-2009.iso: 成功
CentOS-7-x86_64-DVD-2009.iso: 失敗
...
成功
(OK) と表示されれば、そのファイルのチェックサムは公式のものと一致しています。
失敗
(FAILED) と表示された場合は、ファイルが破損しているか、改ざんされています。手動で確認する場合:
特定のISOファイルだけを検証したい場合は、ISOファイルを指定してsha256sum
コマンドを実行します。bash
sha256sum ダウンロードしたISOファイル名
例:
bash
sha256sum CentOS-7-x86_64-Minimal-2009.iso
実行結果として、計算されたSHA256値とファイル名が表示されます。
afc2a3033531b9354950d0850e59401940df43d73c1827e79d781ac96f6b9e61 CentOS-7-x86_64-Minimal-2009.iso
この計算された値(最初の長い文字列)を、ダウンロードしたCHECKSUM.sha256
ファイルに記載されている該当ファイルのSHA256値と見比べてください。完全に一致していればOKです。
5.3 検証が「失敗」した場合
チェックサムの検証が失敗した場合、ダウンロードしたファイルは正しくありません。そのファイルを使用してOSをインストールすることは絶対に避けてください。
検証が失敗する原因としては、以下の可能性が考えられます。
* ダウンロード中にエラーが発生した: ネットワーク接続が一時的に切れた、ミラーサイト側で問題が発生した、など。
* ファイルが破損した: 保存先のストレージに問題がある、など。
* ダウンロードしたファイルが間違っている: 意図したISOファイルとは別のものをダウンロードしてしまった。
* CHECKSUMファイルが間違っている: 誤って別のバージョンのCHECKSUMファイルをダウンロードしてしまった。
* ごく稀に、ミラーサイトのファイルが改ざんされている: 可能性は低いですがゼロではありません。
検証が失敗した場合の対処法:
- もう一度ダウンロードを試みる: 別のミラーサイトを選んで、再度ISOファイルと
CHECKSUM
ファイルをダウンロードしてみてください。 - 別の種類のISOファイルをダウンロードしてみる: 例外的に特定のISOファイルだけがミラーサイトで破損している可能性も考えられます。
- 公式が提供する別の検証方法を探す: CentOS Projectのサイトで、PGP署名による検証など、より厳密な検証方法が案内されていないか確認します(初心者にはチェックサム検証が最も手軽です)。
- ダウンロード元の信頼性を再確認する: 必ず公式サイトからリンクされているミラーサイトを利用したか確認してください。
とにかく、検証が成功するまで、ダウンロードしたISOファイルを使ってインストールを進めてはいけません。
第6章:ダウンロード後のステップ(概要)
無事にCentOS 7のISOファイルとCHECKSUMファイルのダウンロードが完了し、検証も成功したとしましょう。これでインストールメディアの準備に取り掛かることができます。ここでは、ダウンロード後の大まかな流れを簡単に説明します。本ガイドの主題はダウンロードであるため、具体的な手順には触れませんが、次のステップを知っておくことは重要です。
6.1 ブータブルメディアの作成
ダウンロードしたISOイメージファイルは、そのままではコンピュータに認識されません。OSをインストールするために、このISOイメージを「ブータブル(起動可能)」な状態のメディアに書き込む必要があります。主な方法としては以下の二つがあります。
- USBメモリに書き込む: 現在最も一般的な方法です。専用のツール(例えば Rufus for Windows, Etcher for Windows/macOS/Linux, dd command for Linux/macOS など)を使用して、ISOイメージの内容をUSBメモリに書き込みます。USBメモリは、ISOファイルのサイズ以上の容量が必要です。
- DVDに焼く: 古い方法ですが、コンピュータにDVDドライブがある場合は、DVDライティングソフトウェアを使用してISOイメージをDVD-Rなどのメディアに書き込むことも可能です。
ブータブルメディアの作成ツールは、ISOイメージを単にコピー&ペーストするのではなく、コンピュータが起動時にそのメディアからOSインストーラーを読み込めるような特別な形式で書き込みを行います。
6.2 コンピュータのBIOS/UEFI設定変更
作成したブータブルUSBメモリまたはDVDからコンピュータを起動させるためには、コンピュータのBIOSまたはUEFI設定を変更する必要があります。通常、コンピュータの電源を入れた直後に特定のキー(F2, Del, F10, F12など。コンピュータのメーカーによって異なります)を押すことで設定画面に入れます。
設定画面では、「ブート順序(Boot Order)」や「起動デバイス(Boot Device)」といった項目を探し、USBメモリやDVDドライブが内蔵ストレージ(HDDやSSD)よりも先に読み込まれるように順序を変更します。設定を保存してコンピュータを再起動すると、USBメモリやDVDからCentOS 7のインストーラーが起動します。
6.3 CentOS 7 のインストール
インストーラーが起動すると、画面の指示に従ってCentOS 7をコンピュータにインストールする作業を行います。インストールのプロセスでは、言語の選択、タイムゾーンの設定、キーボードレイアウトの選択、インストール先のディスクパーティション設定、ネットワーク設定、rootパスワードの設定、追加ユーザーの作成など、様々な項目を設定していきます。
インストール時間は、コンピュータの性能や選択したISOイメージの種類、ネットワーク接続環境などによって異なりますが、通常は数十分から1時間程度かかります。
インストールが完了したら、コンピュータを再起動し、インストールしたCentOS 7が起動することを確認します。
これらのステップは本ガイドの範囲外ですが、ダウンロードが完了した後にどのような作業が待っているのかを知っておくことで、全体の流れを把握しやすくなります。CentOS 7のインストール方法については、別の詳細なガイドやチュートリアルを参照してください。
第7章:なぜCentOS 7が人気だったのか?(そして現状は?)
CentOS 7のダウンロード方法を詳細に解説してきましたが、改めてなぜこのバージョンが多くの人々に利用されてきたのか、そして現在の状況はどうなっているのか、その背景についてもう少し詳しく触れておきましょう。
7.1 RHELとの互換性と無償利用
CentOSの最大の魅力は、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) との高い互換性を持ちながら、無償で利用できる点でした。RHELはエンタープライズ用途向けに設計されており、非常に高い安定性、信頼性、そして長期にわたるサポートが提供されます。多くの企業システムでRHELが採用されています。
CentOS Projectは、このRHELの公開されているソースコードを取得し、商標などのRed Hat固有の部分を取り除いて再構築することでCentOSを作成していました。これにより、RHEL向けに開発された多くのソフトウェアやドライバーが、CentOSでもそのまま、またはわずかな変更で使用できました。システム管理者や開発者にとっては、商用のRHELを購入することなく、RHELとほぼ同じ環境で開発やテスト、小規模なシステム運用が行えるという大きなメリットがありました。CentOS 7は特に、その安定したカーネルバージョンと主要パッケージの構成から、多くの企業システムや開発環境の基盤として利用されてきました。
7.2 長期サポート (LTS)
CentOS 7は、そのリリースから約10年間という長い期間、セキュリティアップデートやバグフィックスが提供される長期サポート(LTS)版でした。これは、一度システムを構築すれば、その後長期間にわたって安心して運用できることを意味します。企業システムでは、OSのバージョンアップはコストやリスクを伴うため、できる限り同じOSバージョンを長く使い続けたいというニーズがあります。CentOS 7の長期サポートは、このニーズに合致し、普及を後押ししました。
7.3 豊富な情報とコミュニティ
長期間にわたって広く利用されてきたため、CentOS 7に関する技術情報はインターネット上に非常に豊富に存在します。公式ドキュメントはもちろん、多くの個人や企業が作成したインストール方法、設定方法、トラブルシューティングに関するブログ記事やフォーラムでの議論が見つかります。何か問題に直面した際にも、解決策を見つけやすいという点は、特に初心者にとって大きな安心材料でした。活発なコミュニティが存在し、ユーザー同士で助け合う文化も根付いていました。
7.4 現状:サポート終了(EOL)とその影響
前述の通り、CentOS ProjectによるCentOS 7の公式サポートは2024年6月30日をもって終了しました(または終了間近です)。これは、前述の「長期サポート」期間が終わったことを意味します。
- セキュリティリスクの増大: サポート終了後、CentOS 7で新たなセキュリティ上の脆弱性が見つかったとしても、CentOS Projectからは公式な修正アップデートは提供されません。これは、インターネットに接続された環境でCentOS 7を使い続ける場合、サイバー攻撃に対するリスクが著しく高まることを意味します。
- ソフトウェアの互換性問題: 新しいソフトウェアやアプリケーションは、最新のOSバージョンを前提に開発されることが多くなります。CentOS 7上で動作するソフトウェアが徐々に減っていく可能性があります。
- トラブル解決の困難化: 公式サポートがないため、深刻な問題が発生した場合に解決が難しくなる可能性があります。コミュニティサポートも徐々に縮小していくことが予想されます。
これらの理由から、新規に重要なシステムを構築する際にCentOS 7を選択することは、セキュリティと安定性の観点から強く非推奨です。 既存のCentOS 7システムがある場合は、速やかに新しいOS(CentOS Stream、AlmaLinux、Rocky Linuxなど)への移行計画を立てるべきです。
それでも本ガイドでCentOS 7のダウンロード方法を解説したのは、学習目的や既存システムの保守といった、まだダウンロードの需要があるためです。しかし、繰り返しになりますが、サポート終了OSの利用に伴うリスクを十分に理解した上で、慎重に行ってください。
7.5 CentOSの今:CentOS Streamへ
CentOS Projectの方向性は、CentOS 7の後継として「CentOS Stream」へと移行しました。CentOS Streamは、RHELの「開発の最前線」に位置づけられるローリングリリース版です。RHELの次のマイナーバージョンに含まれる機能や変更が、RHEL本体よりも先にCentOS Streamに反映されます。
これは、従来の「RHELのクローン」としてのCentOS Linuxとは大きく性質が異なります。CentOS Streamは最新技術をいち早く試せる反面、RHEL Linuxほどの安定性や、固定されたバージョンでの長期利用には向いていません。
この変更を受けて、従来のCentOS Linux(RHELのクローン)の代わりとなる新しいディストリビューションが複数誕生しました。代表的なものとして、AlmaLinux や Rocky Linux があります。これらはCentOS Linuxと同じく、RHELのソースコードから構築されており、RHELとの高い互換性を維持しつつ、コミュニティ主導で開発・サポートされています。もしあなたがRHEL互換の安定した無償OSを探しているなら、CentOS 7ではなく、これらの新しいディストリビューションを検討することをお勧めします。
本ガイドはあくまでCentOS 7のダウンロードに焦点を当てていますが、Linuxの世界は常に進化しており、CentOS 7のサポート終了は大きな変化点でした。この背景を知っておくことで、なぜCentOS 7をダウンロードするのか、そしてこれからどうしていくべきか、より適切に判断できるようになるでしょう。
第8章:ダウンロードにおけるトラブルシューティング
ダウンロード中に予期せぬ問題が発生することもあります。ここでは、よくあるトラブルとその対処法について説明します。
8.1 ダウンロードが途中で止まる、非常に遅い
- 原因:
- インターネット接続が不安定。
- 選択したミラーサイトが混雑している、または遠い。
- ミラーサイト側で一時的な問題が発生している。
- ダウンロードマネージャーなどの設定問題。
- 対処法:
- インターネット接続を確認: 自宅のルーターやモデムの状態、Wi-Fiの接続状況などを確認してください。他のサイトの表示速度なども参考に、回線自体に問題がないか切り分けましょう。
- 別のミラーサイトを試す: CentOSのダウンロードページに戻り、別のミラーサイトを選択してみてください。地理的に近い複数のミラーサイトを試すのが有効です。
- 時間を置いて再度試す: ミラーサイトの一時的な混雑であれば、しばらく待ってから再度ダウンロードを開始すると改善することがあります。
- ダウンロードマネージャーを利用する: 多くのダウンロードマネージャーソフトは、ダウンロードが中断されても途中から再開する機能や、複数のサーバーから同時にダウンロードして速度を向上させる機能を持っています。大容量ファイルのダウンロードには便利ですが、CentOSのISOファイルの場合、ミラーサイトによっては正常に動作しない可能性もあります。利用する場合は信頼できるソフトを選び、使い方を確認してください。
8.2 ダウンロードしたファイルのサイズが小さい(途中で終わってしまった)
- 原因: ダウンロードが正常に完了しなかった。
- 対処法: ダウンロードが途中で終了した場合、ファイルサイズは本来のものより小さくなります。これは完全に破損したファイルです。絶対にこのファイルを使わず、最初から最後までダウンロードをやり直してください。 検証(第5章)を行えば、必ずチェックサムが一致しないため、ファイルが正しくないことが確認できます。
8.3 チェックサム検証に失敗する
- 原因:
- ダウンロードしたISOファイルが破損している(ダウンロード中の問題など)。
- ダウンロードしたISOファイルが改ざんされている(可能性は低い)。
- ダウンロードした
CHECKSUM
ファイルが間違っている(別のバージョンのものなど)。 - チェックサム計算ツールやコマンドの使い方が間違っている。
- ダウンロードしたISOファイルと
CHECKSUM
ファイルが異なるミラーサイトから取得された、または異なるタイミング(ファイルの更新後など)で取得された。
- 対処法:
- ダウンロードをやり直す: 最も可能性の高い原因はファイル破損です。別のミラーサイトを選んで、ISOファイルと
CHECKSUM
ファイルの両方をセットでダウンロードし直してください。 - CHECKSUMファイルの確認: ダウンロードした
CHECKSUM
ファイルが、対象のISOファイルと同じ名前、同じビルドバージョンのものであることを確認してください。 - チェックサム計算ツールの使い方を確認: 使用しているOSやツールで、正しいコマンドや手順でチェックサムを計算できているか再確認してください。
- 別の検証方法を試す: もし公式サイトで他の検証方法(例: MD5、PGP署名など)が提供されていれば、そちらも試してみてください。
- 別のミラーサイトからダウンロード: 一つのミラーサイトで繰り返し検証が失敗する場合、そのミラーサイトのファイルが破損している可能性があります。別のミラーサイトからダウンロードし直してください。
- ダウンロードをやり直す: 最も可能性の高い原因はファイル破損です。別のミラーサイトを選んで、ISOファイルと
8.4 どのISOファイルを選べば良いか分からない
- 原因: 第2章の説明を読んでも、自分の目的に合ったISOファイルが判断できない。
- 対処法:
- GUI環境で試したい、またはある程度パッケージが含まれているものが欲しい: DVD版 (
CentOS-7-x86_64-DVD-xxxx.iso
) を選びましょう。多くの用途に対応でき、インストールも比較的簡単です。 - コマンドライン操作のみで、最小限の環境が欲しい: Minimal版 (
CentOS-7-x86_64-Minimal-xxxx.iso
) を選びましょう。ファイルサイズが小さく、無駄がありません。 - インストールせずにお試しで使ってみたい: Live版 (
CentOS-7-x86_64-LiveGNOME-xxxx.iso
など) を選びましょう。コンピュータに影響を与えずにCentOS 7を起動できます。
- GUI環境で試したい、またはある程度パッケージが含まれているものが欲しい: DVD版 (
迷ったら、まずはDVD版から試してみるのが無難です。
8.5 ダウンロードサイトのページが見つからない、リンクが切れている
- 原因: CentOS Projectのウェブサイトの構成が変更された、または一時的にサイトが停止している。CentOS 7の公式サポート終了に伴い、ダウンロードページの構成が変更された可能性も高いです。
- 対処法:
- CentOS Project公式サイトのトップページから探し直す: 最新のサイト構成に合わせて、「Download」「Older Versions」「CentOS Linux 7」といったキーワードを探してナビゲーションしてみてください。
- 検索エンジンを利用する: 「CentOS 7 download」「CentOS 7 ISO mirror list」などのキーワードで検索し、公式に近い情報源を探します。ただし、必ず公式サイト (centos.org) またはそこからリンクされている信頼できるミラーサイトであることを確認してください。非公式サイトからのダウンロードは危険です。
- CentOS Projectのコミュニティやフォーラムを確認する: 公式サイトでアナウンスされていない情報が、コミュニティ内で共有されている場合があります。
CentOS 7はEOLのため、公式サイトでの扱いは徐々に小さくなる可能性があります。しかし、しばらくの間はダウンロードページが維持されることが一般的です。
まとめ:ダウンロード成功へのチェックリスト
ここまでの内容を振り返り、CentOS 7のダウンロードを成功させるためのチェックリストを確認しましょう。
- 目的の明確化: どの種類のISOイメージ(Minimal, DVD, Everything, Liveなど)が必要か決めたか? (第2章)
- 環境の準備:
- 安定したインターネット接続環境があるか?
- ダウンロードするISOファイルのサイズ以上のストレージ空き容量があるか? (第1章)
- 公式サイトへのアクセス: CentOS Projectの公式サイト (
https://www.centos.org/
) にアクセスしたか? (第3章) - CentOS 7 ダウンロードページの特定: サイト内でCentOS 7のダウンロードセクションを見つけたか? (第3章)
- ミラーサイトの選択: 地理的に近く、信頼できるミラーサイトを選んだか? (第3章)
- ISOイメージファイルの選択:
isos/
→x86_64/
→7/
→ 最新ビルドのフォルダへ移動したか? (第4章)- 目的のISOイメージファイル (
CentOS-7-x86_64-[種類]-xxxx.iso
) を見つけたか? (第4章)
- CHECKSUMファイルのダウンロード: 該当する
CHECKSUM
またはCHECKSUM.sha256
ファイルをISOファイルと一緒にダウンロードしたか? (第4章) - ISOイメージファイルのダウンロード: 選択したISOイメージファイルのダウンロードを開始し、完了まで待ったか? (第4章)
- ファイルの検証(最重要!):
- ダウンロードしたISOファイルと
CHECKSUM
ファイルが揃っているか? - OS標準のツール(Windows PowerShellの
Get-FileHash
、macOS/Linuxのsha256sum
など)を使って、ISOファイルのチェックサムを計算したか? - 計算したチェックサムが、
CHECKSUM
ファイルに記載されている公式の値と完全に一致するか確認したか? - 検証に失敗した場合、ファイルを破棄し、再度ダウンロードからやり直すことを決めたか? (第5章)
- ダウンロードしたISOファイルと
このチェックリストの全ての項目をクリアできれば、あなたはCentOS 7のISOイメージファイルを安全かつ正確にダウンロードできたことになります。おめでとうございます!
さいごに
本ガイドは、初心者の方がCentOS 7のISOイメージファイルを安全にダウンロードするための手順を、詳細かつ丁寧に解説することを目指しました。ダウンロードはOS利用の第一歩ですが、特に大容量ファイルのダウンロードと、その後の検証は非常に重要なプロセスです。
CentOS 7は素晴らしいOSであり、多くの学びの機会を提供してくれます。しかし、サポートが終了したOSであるという点を十分に理解し、利用はセキュリティリスクを考慮した上で慎重に行ってください。
もし、本ガイドの手順に従ってダウンロードや検証がうまくいかない場合は、焦らず、もう一度手順を見直したり、別のミラーサイトを試したりしてみてください。また、CentOS Projectの公式フォーラムや関連する技術コミュニティで質問してみるのも良いでしょう。そこには、同じようにLinuxやCentOSを学んでいる多くの人々がいます。
このガイドが、あなたのCentOS 7を使った学習や作業の助けとなれば幸いです。安全なファイルを手に入れたら、次はブータブルメディアを作成し、いよいよインストールに挑戦してみましょう!(その手順については、また別の機会に詳しく学ぶことになります。)
CentOS 7の世界へ、ようこそ!