macOS High Sierraダウンロード前に確認すべきこと:互換性、バックアップ、準備
macOS High Sierraは、2017年にリリースされたAppleのオペレーティングシステムで、その安定性とパフォーマンスの向上により、多くのユーザーに愛用されてきました。しかし、最新のmacOSに比べると古いため、ダウンロードおよびインストールを行う前に、いくつかの重要な点を確認する必要があります。この記事では、macOS High Sierraを安全かつスムーズにダウンロード・インストールするために、互換性、バックアップ、準備という3つの主要な側面から詳細に解説します。
1. 互換性の確認:あなたのMacはHigh Sierraに対応していますか?
macOS High Sierraをダウンロードする前に、まずご自身のMacがHigh Sierraに対応しているかどうかを確認することが最も重要です。互換性のないMacにインストールしようとすると、最悪の場合、起動しなくなるなどの深刻な問題が発生する可能性があります。
1.1. Apple公式の互換性リストの確認
Appleは、macOS High Sierraに対応するMacのモデルを公式に公開しています。以下のリストを確認し、ご自身のMacのモデルが含まれているかどうか確認してください。
- MacBook: Late 2009以降
- MacBook Pro: Mid 2010以降
- MacBook Air: Late 2010以降
- Mac mini: Mid 2010以降
- iMac: Late 2009以降
- Mac Pro: Mid 2010以降
1.2. Macのモデル情報の確認方法
上記のリストに照らし合わせるために、ご自身のMacのモデル情報を正確に把握する必要があります。以下の手順で確認できます。
- 画面左上のAppleメニュー()をクリックします。
- 「このMacについて」を選択します。
- 表示されるウィンドウで、Macのモデル名、年式、画面サイズなどを確認できます。
1.3. 互換性がない場合の選択肢
ご自身のMacがHigh Sierraに対応していない場合、残念ながらHigh Sierraをインストールすることはできません。しかし、完全に諦める必要はありません。以下の選択肢を検討してみてください。
- 以前のバージョンのmacOS: ご自身のMacがサポートする最新のmacOSを確認し、それをインストールする。
- Linuxなどの別のOS: macOS以外のOSをインストールする。ただし、macOS専用のアプリケーションは動作しなくなる可能性があります。
- 新しいMacの購入: 最新のmacOSに対応した新しいMacを購入する。
1.4. 32bitアプリケーションのサポート終了
macOS High Sierraから、32bitアプリケーションのサポートが段階的に終了しました。High Sierraは32bitアプリケーションを起動できますが、将来的に動作しなくなる可能性があります。重要な32bitアプリケーションを使用している場合は、High Sierraにアップグレードする前に、64bit版へのアップグレードを検討するか、代替となるアプリケーションを探す必要があります。
1.5. macOS High Sierraの利点と欠点
互換性がある場合でも、High Sierraをダウンロードする前に、その利点と欠点を理解しておくことが重要です。
利点:
- 安定性とパフォーマンスの向上: macOS Sierraと比較して、安定性とパフォーマンスが向上しています。特に、APFS (Apple File System) の導入により、SSD搭載のMacで高速なファイル操作が可能になります。
- 写真アプリの改善: 写真アプリのインターフェースが改善され、編集機能が強化されました。
- Metal 2の導入: Metal 2は、グラフィックスパフォーマンスを向上させるための新しいAPIです。これにより、ゲームやプロフェッショナルアプリケーションのパフォーマンスが向上します。
- セキュリティの向上: 最新のセキュリティアップデートが適用されており、macOS Sierraよりも安全です。
欠点:
- 古いOS: 最新のmacOSと比較して、機能が古くなっています。
- 32bitアプリケーションのサポート終了: 32bitアプリケーションを使用している場合、将来的に動作しなくなる可能性があります。
- 一部のソフトウェアとの非互換性: 古いソフトウェアの中には、High Sierraで正常に動作しないものがあります。
2. データのバックアップ:Time Machine、クローン、その他の方法
macOSをアップグレードする前に、必ずデータのバックアップを作成してください。万が一、アップグレード中に問題が発生した場合でも、バックアップがあればデータを失うことなく元の状態に戻すことができます。データのバックアップ方法はいくつかありますが、ここでは代表的な方法を3つご紹介します。
2.1. Time Machine:
Time Machineは、macOSに標準搭載されているバックアップ機能です。外付けハードドライブを接続し、Time Machineを有効にするだけで、Mac上のすべてのデータを自動的にバックアップできます。
手順:
- 外付けハードドライブをMacに接続します。
- 画面左上のAppleメニュー()をクリックし、「システム環境設定」を選択します。
- 「Time Machine」をクリックします。
- 「ディスクを選択」をクリックし、バックアップに使用する外付けハードドライブを選択します。
- 「バックアップを自動的に作成」にチェックを入れます。
Time Machineは、定期的にMac上のデータをバックアップするため、常に最新のバックアップを保持できます。万が一、問題が発生した場合でも、Time Machineを使ってMacを以前の状態に戻すことができます。
2.2. クローン:
クローンとは、Macのハードドライブ全体を別のハードドライブに完全にコピーすることです。これにより、万が一、Macのハードドライブが故障した場合でも、クローンディスクから起動して作業を継続できます。
クローン作成に必要なもの:
- クローン作成ソフトウェア(Carbon Copy Cloner、SuperDuper! など)
- Macのハードドライブよりも容量の大きい外付けハードドライブ
手順:
- クローン作成ソフトウェアをダウンロードしてインストールします。
- 外付けハードドライブをMacに接続します。
- クローン作成ソフトウェアを起動します。
- ソースディスク(Macのハードドライブ)と宛先ディスク(外付けハードドライブ)を選択します。
- クローン作成を開始します。
クローン作成には時間がかかる場合がありますが、万が一の事態に備えて非常に有効なバックアップ方法です。
2.3. その他のバックアップ方法:
Time Machineやクローン以外にも、以下のようなバックアップ方法があります。
- iCloud: iCloud Driveを使って、書類、写真、デスクトップファイルなどをクラウドにバックアップできます。
- 外部ストレージデバイス: USBメモリや外付けハードドライブに、重要なファイルを手動でコピーできます。
- クラウドストレージサービス: Dropbox、Google Drive、OneDriveなどのクラウドストレージサービスを使って、ファイルをクラウドにバックアップできます。
どのバックアップ方法を選ぶかは、ご自身のニーズや環境に合わせて決定してください。重要なのは、万が一に備えて必ずバックアップを作成しておくことです。
3. ダウンロード前の準備:ディスク容量、アプリケーションの互換性、その他の注意事項
データのバックアップが完了したら、いよいよダウンロード前の準備に取り掛かりましょう。ここでは、ディスク容量の確認、アプリケーションの互換性確認、その他の注意事項について解説します。
3.1. ディスク容量の確認と空き容量の確保
macOS High Sierraをダウンロードおよびインストールするには、十分なディスク容量が必要です。Appleは、少なくとも15GBの空き容量を推奨しています。しかし、よりスムーズなインストールのためには、30GB以上の空き容量を確保することをおすすめします。
空き容量の確認方法:
- 画面左上のAppleメニュー()をクリックし、「このMacについて」を選択します。
- 「ストレージ」タブをクリックします。
- 表示されるグラフで、ディスクの使用状況と空き容量を確認できます。
もし空き容量が不足している場合は、以下の方法で空き容量を増やすことができます。
- 不要なファイルを削除: ダウンロードフォルダ、ゴミ箱、古いドキュメントなど、不要なファイルを削除します。
- アプリケーションをアンインストール: 使用頻度の低いアプリケーションをアンインストールします。
- ファイルを外部ストレージに移動: 写真、ビデオ、音楽などの大容量ファイルを外付けハードドライブやクラウドストレージに移動します。
- キャッシュファイルを削除: 一時ファイルやキャッシュファイルを削除します。CleanMyMacなどのユーティリティソフトを使用すると、簡単にキャッシュファイルを削除できます。
3.2. アプリケーションの互換性確認
macOS High Sierraにアップグレードする前に、使用しているアプリケーションがHigh Sierraに対応しているかどうかを確認する必要があります。互換性のないアプリケーションは、High Sierraで正常に動作しないか、起動しなくなる可能性があります。
互換性確認の方法:
- アプリケーションの公式サイトを確認: 各アプリケーションの公式サイトで、High Sierraへの対応状況を確認します。
- 互換性チェックツールを使用: RoaringAppsなどの互換性チェックツールを使用すると、インストールされているアプリケーションのHigh Sierraへの対応状況を一覧で確認できます。
- 実際にテスト: 重要なアプリケーションについては、High Sierraにアップグレードする前に、別のMacや仮想環境でテストすることをおすすめします。
もし互換性のないアプリケーションがある場合は、以下のいずれかの対策を講じる必要があります。
- アプリケーションをアップデート: 最新版のアプリケーションにアップデートすると、High Sierraに対応している可能性があります。
- 代替となるアプリケーションを探す: High Sierraに対応した代替となるアプリケーションを探します。
- 仮想環境で実行: VirtualBoxやVMware Fusionなどの仮想化ソフトウェアを使って、High Sierraに対応していないアプリケーションを以前のバージョンのmacOS上で実行します。
3.3. その他の注意事項
- インターネット接続の確認: macOS High Sierraのダウンロードには、安定したインターネット接続が必要です。
- バッテリー残量の確認: MacBookを使用している場合は、バッテリー残量が十分にあることを確認してください。充電しながらインストールすることをおすすめします。
- 周辺機器の接続解除: インストール中に予期せぬ問題が発生するのを防ぐため、不要な周辺機器(プリンター、スキャナーなど)は接続解除しておきましょう。
- ファームウェアのアップデート: Appleが公開している最新のファームウェアアップデートを適用しておきましょう。
4. macOS High Sierraのダウンロードとインストール
上記の手順をすべて完了したら、いよいよmacOS High Sierraをダウンロードしてインストールします。
4.1. macOS High Sierraの入手方法
macOS High Sierraは、Mac App Storeからダウンロードできます。
手順:
- Mac App Storeを起動します。
- 検索バーに「macOS High Sierra」と入力し、検索します。
- 検索結果に表示されたmacOS High Sierraのページを開きます。
- 「入手」ボタンをクリックします。
macOS High Sierraのダウンロードが開始されます。ダウンロードが完了すると、インストーラが自動的に起動します。
注意: macOS High Sierraは、現在、Mac App Storeから直接ダウンロードできない場合があります。その場合は、Appleのサポートページからダウンロードするか、以前にダウンロードしたインストーラを使用する必要があります。
4.2. インストールの手順
インストーラが起動したら、画面の指示に従ってインストールを進めます。
手順:
- インストーラの画面で「続ける」をクリックします。
- 使用許諾契約に同意します。
- インストール先ディスクを選択します。
- 「インストール」をクリックします。
- 管理者パスワードを入力します。
インストールが開始されます。インストールには時間がかかる場合があります。インストール中は、Macの電源を切ったり、スリープさせたりしないでください。
4.3. インストール後の設定
インストールが完了すると、Macが再起動します。再起動後、初期設定を行います。
設定項目:
- Apple IDでサインイン
- iCloudの設定
- Siriの設定
- Touch IDの設定
- ディスプレイの設定
初期設定が完了すると、macOS High Sierraの使用を開始できます。
5. トラブルシューティング:よくある問題とその解決策
macOS High Sierraのインストール中に問題が発生する可能性もあります。ここでは、よくある問題とその解決策をご紹介します。
5.1. インストールが途中で止まる:
- 原因: インストールに必要なファイルが破損している、ディスク容量が不足している、互換性のないソフトウェアがインストールされている、などが考えられます。
- 解決策: Macを再起動して、再度インストールを試みます。ディスク容量が不足している場合は、空き容量を増やしてから再度インストールを試みます。セーフモードで起動してインストールを試すことも有効です。セーフモードで起動するには、Macの起動時にShiftキーを押し続けます。
5.2. 起動時にエラーメッセージが表示される:
- 原因: インストールに失敗した、ハードウェアに問題がある、などが考えられます。
- 解決策: Macをリカバリーモードで起動し、ディスクユーティリティを使ってディスクを修復します。リカバリーモードで起動するには、Macの起動時にCommand + Rキーを押し続けます。それでも解決しない場合は、Time Machineを使ってMacを以前の状態に戻すか、macOSを再インストールします。
5.3. インストール後にアプリケーションが正常に動作しない:
- 原因: アプリケーションがHigh Sierraに対応していない、アプリケーションの設定が正しくない、などが考えられます。
- 解決策: アプリケーションを最新版にアップデートします。アプリケーションの設定を確認し、High Sierraに対応するように設定を変更します。それでも解決しない場合は、アプリケーションをアンインストールして再度インストールします。
5.4. Wi-Fiに接続できない:
- 原因: Wi-Fiルーターに問題がある、Wi-Fiの設定が正しくない、などが考えられます。
- 解決策: Wi-Fiルーターを再起動します。Wi-Fiの設定を確認し、正しいパスワードを入力します。ネットワーク設定をリセットすることも有効です。
6. まとめ:安全でスムーズなHigh Sierra体験のために
macOS High Sierraは、古いながらも安定性とパフォーマンスに優れたオペレーティングシステムです。しかし、ダウンロードおよびインストールを行う前に、互換性、バックアップ、準備という3つの側面からしっかりと確認することで、安全かつスムーズなHigh Sierra体験を実現できます。この記事が、あなたのHigh Sierraへのアップグレードのお役に立てれば幸いです。
最後に、以下の点も考慮してください。
- セキュリティアップデート: macOS High Sierraは、セキュリティアップデートの提供が終了している可能性があります。セキュリティリスクを考慮し、できる限り最新のmacOSを使用することをおすすめします。
- ソフトウェアのサポート: 一部のソフトウェア開発者は、macOS High Sierraのサポートを終了している場合があります。使用しているソフトウェアのサポート状況を確認しておきましょう。
慎重な準備と確認を行うことで、macOS High Sierraを快適に利用することができます。