Nginx公式ドキュメントを徹底解説:インストールから設定まで

Nginx公式ドキュメントを徹底解説:インストールから設定まで

Nginx(エンジンエックス)は、高性能で高機能なWebサーバー、リバースプロキシ、ロードバランサ、HTTPキャッシュとして広く利用されているオープンソースソフトウェアです。その柔軟性と拡張性から、小規模なウェブサイトから大規模なエンタープライズアプリケーションまで、幅広い環境で採用されています。

本記事では、Nginx公式ドキュメントの内容を基に、Nginxのインストールから基本的な設定、そして高度な設定まで、詳細な解説を行います。Nginxをこれから使い始める方から、より深く理解したい方まで、役立つ情報を提供することを目指します。

目次

  1. Nginxとは?
    • Nginxの概要
    • Nginxの主要な機能
    • Nginxのアーキテクチャ
    • NginxとApacheの違い
  2. Nginxのインストール
    • 主要なOSへのインストール手順 (Ubuntu, CentOS, macOS)
    • ソースコードからのコンパイルとインストール
    • インストール時のオプションとモジュール
  3. Nginxの基本設定
    • 設定ファイルの構造と構文
    • 主要なディレクティブの説明 (server, listen, location, root, index, error_page)
    • 基本的なWebサイトの構成
    • 静的コンテンツの配信
  4. Nginxのリバースプロキシ
    • リバースプロキシの概念と利点
    • 基本的なリバースプロキシの設定
    • キャッシュの設定
    • ヘルスチェックの設定
    • ロードバランシングの設定
  5. Nginxのセキュリティ設定
    • SSL/TLS証明書の取得と設定
    • HTTP/2の設定
    • セキュリティヘッダーの設定 (HSTS, X-Frame-Options, X-Content-Type-Options)
    • DoS攻撃対策
    • アクセス制御
  6. Nginxの高度な設定
    • リライトルールの設定
    • gzip圧縮の設定
    • ログの設定
    • カスタムモジュールの利用
    • 変数と条件分岐
  7. Nginxの監視とトラブルシューティング
    • Nginxの状態監視
    • ログの解析
    • 一般的な問題とその解決策
    • パフォーマンスチューニング
  8. Nginxの最新情報とコミュニティ
    • Nginxの最新バージョン情報
    • Nginxのコミュニティリソース
    • Nginxの公式ドキュメント
  9. まとめ

1. Nginxとは?

1.1 Nginxの概要

Nginxは、ロシア人のプログラマーであるIgor Sysoevによって開発されたWebサーバーです。もともとはRamblerというロシアの検索エンジンで利用するために開発されました。Nginxは、その高いパフォーマンスと低いリソース消費量から、瞬く間に人気を集め、現在では世界中で最も広く利用されているWebサーバーの一つとなっています。

1.2 Nginxの主要な機能

Nginxは、単なるWebサーバーとしてだけでなく、以下のような多岐にわたる機能を提供します。

  • Webサーバー: HTTP/HTTPSプロトコルを介して、静的コンテンツや動的コンテンツを配信します。
  • リバースプロキシ: クライアントからのリクエストをバックエンドサーバーに転送し、その応答をクライアントに返します。
  • ロードバランサ: 複数のバックエンドサーバーにリクエストを分散し、負荷を分散します。
  • HTTPキャッシュ: よくアクセスされるコンテンツをキャッシュし、応答速度を向上させます。
  • メールプロキシ: SMTP, POP3, IMAPプロトコルを介して、メールのプロキシ処理を行います。
  • ストリーミングメディアサーバー: HLS, RTMPプロトコルを介して、ストリーミングメディアを配信します。

1.3 Nginxのアーキテクチャ

Nginxは、イベント駆動型で非同期なアーキテクチャを採用しています。これは、Apacheのようなプロセスベースのアーキテクチャとは大きく異なります。Nginxは、少数のワーカプロセスで大量の同時接続を処理することができます。

  • Master Process: 設定ファイルの読み込み、ワーカプロセスの管理を行います。
  • Worker Processes: 実際のリクエスト処理を行います。
  • Cache Manager: キャッシュの管理を行います。
  • Cache Loader: キャッシュの初期化を行います。

このアーキテクチャにより、Nginxは高いパフォーマンスと安定性を実現しています。

1.4 NginxとApacheの違い

NginxとApacheは、どちらも広く利用されているWebサーバーですが、いくつかの重要な違いがあります。

特徴 Nginx Apache
アーキテクチャ イベント駆動型, 非同期 プロセスベース, スレッドベース
パフォーマンス 静的コンテンツの配信に優れる モジュールが多いとパフォーマンスが低下しやすい
リソース消費量 少ない 多い
設定 複雑だが、柔軟性が高い 比較的簡単
主な用途 リバースプロキシ, ロードバランサ, 静的コンテンツ配信 動的コンテンツの配信

どちらのWebサーバーを選択するかは、それぞれの環境や要件によって異なります。一般的に、静的コンテンツの配信やリバースプロキシとして利用する場合はNginx、動的コンテンツの配信や豊富なモジュールを利用する場合はApacheが適しています。

2. Nginxのインストール

2.1 主要なOSへのインストール手順 (Ubuntu, CentOS, macOS)

  • Ubuntu:

bash
sudo apt update
sudo apt install nginx

  • CentOS:

bash
sudo yum update
sudo yum install nginx
sudo systemctl start nginx
sudo systemctl enable nginx

  • macOS (Homebrew):

bash
brew update
brew install nginx
sudo brew services start nginx

2.2 ソースコードからのコンパイルとインストール

Nginxをソースコードからコンパイルしてインストールすることも可能です。これは、特定のモジュールを組み込んだり、カスタム設定を行ったりする場合に有効です。

  1. Nginxの公式ウェブサイトから最新のソースコードをダウンロードします。
  2. ダウンロードしたファイルを展開します。
  3. コンパイルに必要なパッケージをインストールします。
  4. ./configureスクリプトを実行して、コンパイルオプションを設定します。
  5. makeコマンドを実行して、コンパイルを行います。
  6. sudo make installコマンドを実行して、インストールを行います。

bash
wget http://nginx.org/download/nginx-1.25.3.tar.gz # 最新版に置き換えてください
tar -xzvf nginx-1.25.3.tar.gz
cd nginx-1.25.3
sudo apt-get update # Debian/Ubuntu
sudo apt-get install build-essential libpcre3 libpcre3-dev zlib1g zlib1g-dev openssl libssl-dev # 必要なパッケージ
./configure --prefix=/usr/local/nginx --with-http_ssl_module
make
sudo make install

./configureのオプションは、環境に合わせて変更してください。

2.3 インストール時のオプションとモジュール

./configureスクリプトには、様々なオプションを指定することができます。

  • --prefix: インストール先のディレクトリを指定します。
  • --with-http_ssl_module: SSL/TLSをサポートするためのモジュールを組み込みます。
  • --with-http_gzip_static_module: 静的ファイルをgzip圧縮して配信するためのモジュールを組み込みます。
  • --with-pcre: Perl Compatible Regular Expressions (PCRE) ライブラリを組み込みます。
  • --add-module: サードパーティ製のモジュールを組み込みます。

Nginxには、様々なモジュールが用意されています。これらのモジュールを組み込むことで、Nginxの機能を拡張することができます。

3. Nginxの基本設定

3.1 設定ファイルの構造と構文

Nginxの設定ファイルは、テキスト形式で記述され、階層的な構造を持っています。設定ファイルは、ディレクティブと呼ばれる命令の集まりで構成されています。

  • ディレクティブ: 設定を行うための命令。
  • ブロック: ディレクティブをグループ化するための構造。
  • コンテキスト: ディレクティブが適用される範囲。

設定ファイルの基本的な構造は以下の通りです。

“`nginx

グローバルコンテキスト

global_directive value;

http {
# HTTPコンテキスト
http_directive value;

server {
# Serverコンテキスト
listen 80;
server_name example.com;

location / {
  # Locationコンテキスト
  root /var/www/example.com;
  index index.html index.htm;
}

}
}
“`

  • #: コメントを表します。
  • directive value;: ディレクティブとその値を表します。
  • {}: ブロックを表します。

3.2 主要なディレクティブの説明 (server, listen, location, root, index, error_page)

  • server: バーチャルホストを定義します。
  • listen: リッスンするポート番号とIPアドレスを指定します。
  • server_name: サーバーの名前を指定します。
  • location: URIに基づいてリクエストを処理する場所を指定します。
  • root: ファイルシステムのルートディレクトリを指定します。
  • index: インデックスファイルの名前を指定します。
  • error_page: エラーが発生した場合に表示するページを指定します。

3.3 基本的なWebサイトの構成

基本的なWebサイトの構成は、以下のようになります。

“`nginx
server {
listen 80;
server_name example.com;
root /var/www/example.com;
index index.html index.htm;

location / {
try_files $uri $uri/ =404;
}
}
“`

この設定では、ポート80でリッスンし、example.comというサーバー名でアクセスされた場合に、/var/www/example.comディレクトリにあるファイルを提供します。

3.4 静的コンテンツの配信

静的コンテンツの配信は、Nginxの得意とするところです。上記の例のように、rootディレクティブとindexディレクティブを設定することで、簡単に静的コンテンツを配信することができます。

4. Nginxのリバースプロキシ

4.1 リバースプロキシの概念と利点

リバースプロキシは、クライアントからのリクエストをバックエンドサーバーに転送し、その応答をクライアントに返すサーバーです。リバースプロキシを利用することで、以下のような利点があります。

  • セキュリティ: バックエンドサーバーを直接公開せずに済むため、セキュリティが向上します。
  • ロードバランシング: 複数のバックエンドサーバーにリクエストを分散し、負荷を分散します。
  • キャッシュ: よくアクセスされるコンテンツをキャッシュし、応答速度を向上させます。
  • SSL/TLS終端: SSL/TLS暗号化をリバースプロキシで終端し、バックエンドサーバーの負荷を軽減します。

4.2 基本的なリバースプロキシの設定

基本的なリバースプロキシの設定は、以下のようになります。

“`nginx
server {
listen 80;
server_name example.com;

location / {
proxy_pass http://backend-server;
proxy_set_header Host $host;
proxy_set_header X-Real-IP $remote_addr;
proxy_set_header X-Forwarded-For $proxy_add_x_forwarded_for;
proxy_set_header X-Forwarded-Proto $scheme;
}
}
“`

  • proxy_pass: リクエストを転送するバックエンドサーバーのURLを指定します。
  • proxy_set_header: リクエストヘッダーをバックエンドサーバーに転送します。

4.3 キャッシュの設定

Nginxは、HTTPキャッシュ機能を備えています。キャッシュを設定することで、応答速度を向上させることができます。

“`nginx
proxy_cache_path /tmp/nginx_cache levels=1:2 keys_zone=my_cache:10m max_size=10g inactive=60m use_temp_path=off;

server {
listen 80;
server_name example.com;

location / {
proxy_pass http://backend-server;
proxy_cache my_cache;
proxy_cache_valid 200 302 10m;
proxy_cache_valid 404 1m;
proxy_cache_use_stale error timeout invalid_header updating;
add_header X-Cache-Status $upstream_cache_status;
}
}
“`

  • proxy_cache_path: キャッシュの保存場所、キーゾーン、最大サイズなどを指定します。
  • proxy_cache: 使用するキャッシュゾーンを指定します。
  • proxy_cache_valid: キャッシュの有効期限を指定します。
  • proxy_cache_use_stale: バックエンドサーバーが利用できない場合に、古いキャッシュを使用するかどうかを指定します。
  • add_header X-Cache-Status: キャッシュの状態をヘッダーに追加します。

4.4 ヘルスチェックの設定

Nginx Plusでは、ヘルスチェック機能を備えています。ヘルスチェックを設定することで、バックエンドサーバーの状態を監視し、利用できないサーバーへのリクエストを自動的に停止することができます。

“`nginx
upstream backend {
server backend1.example.com;
server backend2.example.com;
server backend3.example.com down; # 初期状態ではダウンしている
server backend4.example.com max_fails=3 fail_timeout=30s; # ヘルスチェックで失敗するとダウン
}

server {
listen 80;
server_name example.com;

location / {
proxy_pass http://backend;
}
}
“`

upstreamブロック内で、down, max_fails, fail_timeoutディレクティブを使用してヘルスチェックを設定します。

4.5 ロードバランシングの設定

Nginxは、複数のロードバランシングアルゴリズムをサポートしています。

  • Round Robin: リクエストを順番にバックエンドサーバーに分散します。
  • Least Connections: 最も接続数の少ないバックエンドサーバーにリクエストを分散します。
  • IP Hash: クライアントのIPアドレスに基づいて、特定のバックエンドサーバーにリクエストを分散します。

“`nginx
upstream backend {
ip_hash; # IP Hashロードバランシング

server backend1.example.com;
server backend2.example.com;
server backend3.example.com;
}

server {
listen 80;
server_name example.com;

location / {
proxy_pass http://backend;
}
}
“`

upstreamブロック内で、ip_hashディレクティブを使用してロードバランシングアルゴリズムを指定します。

5. Nginxのセキュリティ設定

5.1 SSL/TLS証明書の取得と設定

SSL/TLS証明書を取得し、Nginxに設定することで、HTTPSによる暗号化通信を有効にすることができます。

  1. SSL/TLS証明書を取得します (Let’s Encryptなどが利用できます)。
  2. Nginxの設定ファイルにSSL/TLS証明書のパスを設定します。

“`nginx
server {
listen 443 ssl;
server_name example.com;

ssl_certificate /path/to/certificate.crt;
ssl_certificate_key /path/to/private.key;

ssl_protocols TLSv1.2 TLSv1.3;
ssl_prefer_server_ciphers on;
ssl_ciphers ‘EECDH+AESGCM:EDH+AESGCM:AES256+EECDH:AES256+EDH’;

location / {
root /var/www/example.com;
index index.html index.htm;
}
}
“`

  • ssl_certificate: SSL/TLS証明書のパスを指定します。
  • ssl_certificate_key: 秘密鍵のパスを指定します。
  • ssl_protocols: 使用するSSL/TLSプロトコルを指定します。
  • ssl_prefer_server_ciphers: サーバーが暗号スイートを選択することを優先するかどうかを指定します。
  • ssl_ciphers: 使用する暗号スイートを指定します。

5.2 HTTP/2の設定

HTTP/2は、HTTP/1.1の後継となるプロトコルで、より効率的な通信を実現します。HTTP/2を有効にするには、listenディレクティブにhttp2オプションを追加します。

“`nginx
server {
listen 443 ssl http2;
server_name example.com;

ssl_certificate /path/to/certificate.crt;
ssl_certificate_key /path/to/private.key;

location / {
root /var/www/example.com;
index index.html index.htm;
}
}
“`

5.3 セキュリティヘッダーの設定 (HSTS, X-Frame-Options, X-Content-Type-Options)

セキュリティヘッダーを設定することで、Webサイトのセキュリティを向上させることができます。

  • HSTS (HTTP Strict Transport Security): ブラウザにHTTPSのみを使用するように指示します。
  • X-Frame-Options: クリックジャッキング攻撃を防ぎます。
  • X-Content-Type-Options: ブラウザにMIMEタイプのスニッフィングを禁止します。

nginx
add_header Strict-Transport-Security "max-age=31536000; includeSubDomains; preload";
add_header X-Frame-Options "SAMEORIGIN";
add_header X-Content-Type-Options "nosniff";

5.4 DoS攻撃対策

DoS攻撃 (Denial of Service attack) は、サーバーに過剰な負荷をかけ、サービスを停止させる攻撃です。Nginxには、DoS攻撃対策として、以下の機能が備わっています。

  • limit_req_zone: リクエストレートを制限します。
  • limit_conn_zone: 同時接続数を制限します。

“`nginx
limit_req_zone $binary_remote_addr zone=mylimit:10m rate=1r/s;
limit_conn_zone $binary_remote_addr zone=connlimit:10m;

server {
listen 80;
server_name example.com;

location / {
limit_req zone=mylimit burst=5 nodelay;
limit_conn connlimit 10;
root /var/www/example.com;
index index.html index.htm;
}
}
“`

  • limit_req_zone: リクエストレートを制限するためのゾーンを定義します。
  • limit_conn_zone: 同時接続数を制限するためのゾーンを定義します。
  • limit_req: リクエストレートを制限します。
  • limit_conn: 同時接続数を制限します。

5.5 アクセス制御

Nginxには、アクセス制御を行うための機能が備わっています。

  • allow: 特定のIPアドレスまたはネットワークからのアクセスを許可します。
  • deny: 特定のIPアドレスまたはネットワークからのアクセスを拒否します。

nginx
location / {
allow 192.168.1.0/24;
deny all;
root /var/www/example.com;
index index.html index.htm;
}

この設定では、192.168.1.0/24ネットワークからのアクセスを許可し、それ以外のアクセスを拒否します。

6. Nginxの高度な設定

6.1 リライトルールの設定

リライトルールを設定することで、URIを書き換えることができます。リライトルールは、rewriteディレクティブを使用して設定します。

nginx
rewrite ^/old-page$ /new-page permanent;

この設定では、/old-pageへのアクセスを/new-pageにリダイレクトします。

6.2 gzip圧縮の設定

gzip圧縮を有効にすることで、転送量を削減し、応答速度を向上させることができます。

nginx
gzip on;
gzip_disable "msie6";
gzip_vary on;
gzip_proxied any;
gzip_comp_level 6;
gzip_buffers 16 8k;
gzip_http_version 1.1;
gzip_types text/plain text/css application/json application/javascript text/xml application/xml application/xml+rss image/svg+xml;

  • gzip: gzip圧縮を有効にします。
  • gzip_disable: 特定のブラウザに対するgzip圧縮を無効にします。
  • gzip_vary: Varyヘッダーを追加します。
  • gzip_proxied: プロキシ経由のリクエストに対するgzip圧縮を有効にします。
  • gzip_comp_level: 圧縮レベルを指定します。
  • gzip_buffers: バッファの数とサイズを指定します。
  • gzip_http_version: 使用するHTTPバージョンを指定します。
  • gzip_types: gzip圧縮するMIMEタイプを指定します。

6.3 ログの設定

Nginxのログは、Webサイトのトラフィックやエラーを分析するために非常に重要です。Nginxのログは、access_logディレクティブとerror_logディレクティブを使用して設定します。

nginx
access_log /var/log/nginx/access.log main;
error_log /var/log/nginx/error.log warn;

  • access_log: アクセスログのパスとフォーマットを指定します。
  • error_log: エラーログのパスとログレベルを指定します。

6.4 カスタムモジュールの利用

Nginxは、カスタムモジュールを組み込むことで、機能を拡張することができます。カスタムモジュールは、C言語で記述する必要があります。

6.5 変数と条件分岐

Nginxでは、変数と条件分岐を使用して、より柔軟な設定を行うことができます。

  • 変数: リクエストやサーバーに関する情報を格納します。
  • 条件分岐: ifディレクティブを使用して、条件に応じて処理を切り替えます。

nginx
if ($request_uri ~* "\.(jpg|jpeg|gif|png)$") {
expires 30d;
}

この設定では、URIが.jpg, .jpeg, .gif, .pngで終わる場合に、expiresヘッダーを設定します。

7. Nginxの監視とトラブルシューティング

7.1 Nginxの状態監視

Nginxの状態を監視することで、Webサイトのパフォーマンスや安定性を確認することができます。

  • nginx -t: 設定ファイルの構文をチェックします。
  • systemctl status nginx: Nginxの状態を確認します。
  • top: システムのリソース使用状況を確認します。

7.2 ログの解析

Nginxのログを解析することで、Webサイトのトラフィックやエラーを分析することができます。

  • grep: 特定の文字列を検索します。
  • awk: テキストを処理します。
  • tail: ファイルの末尾を表示します。

7.3 一般的な問題とその解決策

  • 502 Bad Gateway: バックエンドサーバーが利用できない場合に発生します。バックエンドサーバーの状態を確認してください。
  • 404 Not Found: ファイルが見つからない場合に発生します。rootディレクティブの設定を確認してください。
  • 設定ファイルの構文エラー: nginx -tコマンドを使用して、設定ファイルの構文をチェックしてください。

7.4 パフォーマンスチューニング

Nginxのパフォーマンスをチューニングすることで、応答速度を向上させることができます。

  • worker_processes: ワーカプロセスの数を設定します。
  • worker_connections: ワーカプロセスごとの最大接続数を設定します。
  • キャッシュの設定: キャッシュを有効にすることで、応答速度を向上させます。
  • gzip圧縮の設定: gzip圧縮を有効にすることで、転送量を削減し、応答速度を向上させます。

8. Nginxの最新情報とコミュニティ

8.1 Nginxの最新バージョン情報

Nginxの最新バージョン情報は、Nginxの公式ウェブサイトで確認することができます。

8.2 Nginxのコミュニティリソース

Nginxには、活発なコミュニティがあります。

  • Nginx公式ウェブサイト: https://nginx.org/
  • Stack Overflow: https://stackoverflow.com/questions/tagged/nginx
  • GitHub: https://github.com/nginx

8.3 Nginxの公式ドキュメント

Nginxの公式ドキュメントは、Nginxの機能を理解するための最も信頼できる情報源です。

9. まとめ

本記事では、Nginxのインストールから設定、そして高度な設定まで、詳細な解説を行いました。Nginxは、高性能で高機能なWebサーバーであり、Webサイトのパフォーマンスとセキュリティを向上させるために非常に役立ちます。本記事が、Nginxを使いこなすための一助となれば幸いです。

補足:

  • 上記はあくまで基本的な内容であり、Nginxにはさらに多くの機能と設定オプションが存在します。
  • 具体的な設定は、環境や要件によって異なります。
  • Nginxの公式ドキュメントを参考に、最適な設定を行ってください。

この詳細な解説が、あなたのNginx学習の一助となることを願っています。

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