Oracle アーカイブ ログ 削除でよくある質問:DBAの疑問を解決
データベース管理者(DBA)にとって、Oracleデータベースの正常な運用とパフォーマンス維持は重要な責務です。その中でも、アーカイブ ログの管理は、リカバリ可能性を維持しつつディスク容量を効率的に使用するために、非常に重要なタスクです。しかし、アーカイブ ログの削除に関しては、様々な疑問や懸念が生じやすく、誤った運用はデータの損失やシステム停止に繋がる可能性があります。
この記事では、Oracleアーカイブ ログの削除に関するDBAからのよくある質問(FAQ)を網羅的に解説し、アーカイブ ログの役割、削除戦略、具体的な手順、トラブルシューティングまで、DBAが抱える疑問を解決するための詳細な情報を提供します。
目次:
- アーカイブ ログとは? その役割と重要性
- オンライン REDO ログとの違い
- アーカイブ ログの生成プロセス
- リカバリにおけるアーカイブ ログの重要性
- アーカイブ ログ削除の基礎知識
- アーカイブ ログの保存ポリシー
- 削除可能なアーカイブ ログの条件
- RMAN(Recovery Manager)の利用
- OSコマンドによる削除の注意点
- RMAN を使用したアーカイブ ログ削除
- RMAN 設定の確認と構成
CONFIGURE ARCHIVELOG DELETION POLICY
の設定BACKUP ARCHIVELOG ALL
との連携DELETE ARCHIVELOG
コマンドの詳細ALL
、UNTIL TIME
、COMPLETED BEFORE
など
- RMAN カタログの重要性
- OS コマンドによるアーカイブ ログ削除 (非推奨)
- OSコマンドによる削除のリスクとデメリット
- SQL*Plus での確認作業
V$ARCHIVED_LOG
、V$BACKUP_SET
など
- 削除後の RMAN カタログ更新
- OS コマンドによる削除の代替手段
- アーカイブ ログ削除戦略
- バックアップ頻度と保持期間のバランス
- 災害復旧(DR)環境との連携
- フラッシュバックデータベースとの整合性
- アーカイブ ログの圧縮
- テープバックアップとの連携
- アーカイブ ログ削除におけるトラブルシューティング
- 「アーカイブ ログが削除できない」エラーの原因と対策
- RMAN カタログの破損
- パフォーマンスへの影響
- バックアップ/リカバリ計画の不備
- アーカイブ ログ削除のベストプラクティス
- RMAN の計画的な利用
- アーカイブ ログの監視とアラート
- 定期的なバックアップとリストアのテスト
- ドキュメント化と手順の標準化
- クラウド環境におけるアーカイブ ログ削除
- クラウドプロバイダー固有の機能
- ストレージコストの最適化
- セキュリティ対策
- アーカイブ ログ削除に関するよくある質問 (FAQ)
- RMAN の設定で注意すべき点は?
- OSコマンドで削除しても大丈夫?
- アーカイブ ログのサイズを削減するには?
- アーカイブ ログが溜まりすぎてデータベースが停止した場合の対処法は?
- 異なるプラットフォーム間でのアーカイブ ログの移動は可能?
- まとめ
1. アーカイブ ログとは? その役割と重要性
アーカイブ ログは、OracleデータベースのトランザクションログであるREDOログのバックアップコピーです。データベースのクラッシュやメディア障害からのリカバリにおいて、失われたデータを復元するために不可欠な役割を果たします。REDOログは循環的に使用されるため、一定期間が経過すると上書きされますが、アーカイブ ログはREDOログが上書きされる前にコピーされるため、長期的なリカバリポイントを提供します。
-
オンライン REDO ログとの違い:
オンライン REDO ログは、データベースで行われたすべての変更をリアルタイムで記録するファイルです。これらはデータベースの動作に不可欠であり、常に有効になっています。オンライン REDO ログは、データベースインスタンスが正常に動作するために必要です。
一方、アーカイブ ログは、オンライン REDO ログが上書きされる前にコピーされたものです。アーカイブ ログは、データベースが
ARCHIVELOG
モードで動作している場合にのみ生成されます。NOARCHIVELOG
モードでは、リカバリ可能性が制限されます。 -
アーカイブ ログの生成プロセス:
アーカイブ ログは、オンライン REDO ロググループが満杯になったとき、またはログスイッチが発生したときに自動的に生成されます。ログスイッチは、現在のオンライン REDO ロググループから別のグループへの切り替えを意味します。このプロセスは、データベースによって自動的に管理されます。
アーカイブプロセス(ARCnプロセス)は、バックグラウンドで動作し、満杯になったオンラインREDOログをアーカイブ先にコピーします。アーカイブ先の場所は、データベースの設定パラメータで指定されます。
-
リカバリにおけるアーカイブ ログの重要性:
データベースがクラッシュした場合や、メディア障害が発生した場合、アーカイブ ログは、最新のバックアップ以降のトランザクションを復元するために使用されます。アーカイブ ログを使用することで、データベースは障害発生直前の状態まで復元できます。
アーカイブ ログを使用しない場合、最新のバックアップからのリカバリしか実行できず、バックアップ以降のすべてのトランザクションが失われます。これは、データの損失につながるため、アーカイブ ログの適切な管理は非常に重要です。
2. アーカイブ ログ削除の基礎知識
アーカイブ ログの削除は、ディスク容量を効率的に使用するために必要な作業ですが、誤った削除はデータの損失につながる可能性があります。削除する前に、削除可能なアーカイブ ログの条件を理解し、適切なツールと手順を使用する必要があります。
-
アーカイブ ログの保存ポリシー:
アーカイブ ログの保存ポリシーは、ビジネス要件と法的要件に基づいて決定されるべきです。通常、最低限でも最新のデータベースバックアップから障害発生時までの期間をカバーできるだけのアーカイブ ログを保持する必要があります。
保存ポリシーには、以下の要素が含まれます。
- アーカイブ ログの保持期間
- バックアップの頻度
- 災害復旧(DR)サイトへのアーカイブ ログの転送
- 監査要件
-
削除可能なアーカイブ ログの条件:
アーカイブ ログを削除する前に、以下の条件を満たしていることを確認する必要があります。
- アーカイブ ログがバックアップに含まれていること
- アーカイブ ログが災害復旧(DR)サイトに転送されていること
- アーカイブ ログがフラッシュバックデータベースの要件を満たしていること
- アーカイブ ログが監査要件を満たしていること
-
RMAN(Recovery Manager)の利用:
RMANは、Oracleが提供するバックアップとリカバリのための包括的なツールです。RMANを使用すると、アーカイブ ログのバックアップ、リカバリ、および削除を効率的に管理できます。RMANは、アーカイブ ログの削除を自動化し、誤った削除を防ぐための機能を提供します。
-
OSコマンドによる削除の注意点:
OSコマンドによるアーカイブ ログの削除は、RMANを使用できない場合にのみ検討すべきです。OSコマンドを使用する場合は、SQL*Plusでアーカイブ ログの状態を慎重に確認し、RMANカタログを更新する必要があります。OSコマンドによる削除は、エラーが発生しやすく、データベースの整合性を損なう可能性があるため、推奨されません。
3. RMAN を使用したアーカイブ ログ削除
RMANは、アーカイブ ログの削除を安全かつ効率的に行うための推奨される方法です。RMANを使用することで、削除可能なアーカイブ ログを自動的に判断し、データベースの整合性を維持しながら削除できます。
-
RMAN 設定の確認と構成:
RMANを使用する前に、RMANの設定を確認し、必要に応じて構成する必要があります。
- ターゲットデータベースの接続: RMANがターゲットデータベースに接続されていることを確認します。
- RMAN カタログの確認: RMANカタログを使用している場合は、カタログが最新の状態であることを確認します。RMANカタログは、データベースのバックアップとリカバリに関する情報を格納するリポジトリです。
- コントロールファイルの構成: RMANがコントロールファイルを使用してバックアップ情報を管理している場合は、コントロールファイルの自動バックアップが有効になっていることを確認します。
- チャネルの構成: バックアップに使用するチャネル(テープドライブなど)を構成します。
-
CONFIGURE ARCHIVELOG DELETION POLICY
の設定:CONFIGURE ARCHIVELOG DELETION POLICY
コマンドは、RMANがアーカイブ ログを削除する条件を定義するために使用されます。TO APPLIED ON STANDBY
: スタンバイデータベースに適用されたアーカイブ ログのみを削除します。TO SHIPPED TO TAPE
: テープにバックアップされたアーカイブ ログのみを削除します。TO BACKED UP n TIMES TO DISK
: ディスクに n 回バックアップされたアーカイブ ログのみを削除します。TO BACKED UP n TIMES TO TAPE
: テープに n 回バックアップされたアーカイブ ログのみを削除します。NONE
: デフォルトの設定で、自動的な削除は行われません。
適切な
DELETION POLICY
を設定することで、不要なアーカイブ ログの削除を自動化し、ディスク容量を効率的に使用できます。 -
BACKUP ARCHIVELOG ALL
との連携:BACKUP ARCHIVELOG ALL
コマンドは、すべてのアーカイブ ログをバックアップするために使用されます。このコマンドとDELETION POLICY
を組み合わせることで、バックアップされたアーカイブ ログを自動的に削除できます。例えば、
CONFIGURE ARCHIVELOG DELETION POLICY TO BACKED UP 1 TIMES TO DISK;
と設定した場合、BACKUP ARCHIVELOG ALL;
を実行すると、ディスクに1回バックアップされたアーカイブ ログが自動的に削除されます。 -
DELETE ARCHIVELOG
コマンドの詳細:DELETE ARCHIVELOG
コマンドは、特定の条件に基づいてアーカイブ ログを削除するために使用されます。ALL
: すべての削除可能なアーカイブ ログを削除します。UNTIL TIME 'date'
: 指定された日時までのアーカイブ ログを削除します。COMPLETED BEFORE 'date'
: 指定された日時より前に完了したアーカイブ ログを削除します。SEQUENCE n
: 指定されたシーケンス番号のアーカイブ ログを削除します。LIKE 'string'
: 指定されたパターンに一致するアーカイブ ログを削除します。INPUT
: バックアップセットまたはコピーに含まれるアーカイブ ログを削除します。
DELETE ARCHIVELOG
コマンドを使用する際には、削除するアーカイブ ログを慎重に検討し、誤った削除を防ぐ必要があります。 -
RMAN カタログの重要性:
RMANカタログは、データベースのバックアップとリカバリに関する情報を格納するリポジトリです。RMANカタログを使用することで、バックアップ履歴、アーカイブ ログの場所、およびその他の関連情報を追跡できます。
RMANカタログを使用しない場合、RMANはコントロールファイルに依存してバックアップ情報を管理します。コントロールファイルはサイズが制限されているため、長期間のバックアップ履歴を保持することができません。
RMANカタログを使用することで、長期間のバックアップ履歴を保持し、より柔軟なバックアップとリカバリ戦略を実装できます。RMANカタログは、アーカイブ ログの削除を効率的に行うためにも不可欠です。
4. OS コマンドによるアーカイブ ログ削除 (非推奨)
OSコマンドによるアーカイブ ログの削除は、RMANを使用できない場合にのみ検討すべきです。OSコマンドを使用する場合は、SQL*Plusでアーカイブ ログの状態を慎重に確認し、RMANカタログを更新する必要があります。
-
OSコマンドによる削除のリスクとデメリット:
OSコマンドによるアーカイブ ログの削除は、以下のリスクとデメリットがあります。
- データベースの整合性の問題: OSコマンドでアーカイブ ログを削除した場合、RMANカタログとデータベースの状態が矛盾する可能性があります。
- リカバリ不能: 削除されたアーカイブ ログがリカバリに必要な場合、データベースをリカバリできなくなる可能性があります。
- 人的ミスの可能性: OSコマンドによる削除は、人的ミスが発生しやすく、誤ったアーカイブ ログを削除してしまう可能性があります。
- 監査証跡の欠如: OSコマンドによる削除は、監査証跡が残らないため、削除の履歴を追跡することが困難です。
-
SQL*Plus での確認作業:
OSコマンドでアーカイブ ログを削除する前に、SQL*Plusを使用して以下の情報を確認する必要があります。
V$ARCHIVED_LOG
: このビューには、アーカイブ ログに関する情報が格納されています。アーカイブ ログのシーケンス番号、アーカイブ先、およびその他の関連情報を確認できます。V$BACKUP_SET
: このビューには、バックアップセットに関する情報が格納されています。バックアップセットに含まれるアーカイブ ログのシーケンス番号を確認できます。V$RECOVERY_FILE_DEST
: このビューには、リカバリファイルの宛先に関する情報が格納されています。アーカイブ ログの場所を確認できます。
これらの情報を確認することで、削除可能なアーカイブ ログを特定し、誤った削除を防ぐことができます。
-
削除後の RMAN カタログ更新:
OSコマンドでアーカイブ ログを削除した後、RMANカタログを更新する必要があります。RMANカタログを更新することで、削除されたアーカイブ ログの情報がカタログから削除され、データベースの状態とカタログの状態が一致します。
RMANカタログを更新するには、
CROSSCHECK ARCHIVELOG ALL;
コマンドを使用します。このコマンドは、カタログに登録されているアーカイブ ログが実際に存在するかどうかを確認し、存在しない場合はカタログから削除します。その後、
DELETE EXPIRED ARCHIVELOG ALL;
コマンドを使用して、期限切れのアーカイブ ログをカタログから削除します。 -
OS コマンドによる削除の代替手段:
OSコマンドによるアーカイブ ログの削除は、リスクが高いため、可能な限り避けるべきです。代わりに、以下の代替手段を検討してください。
- RMAN の設定を見直す: RMAN の設定を見直し、アーカイブ ログの削除を自動化できるようにします。
- ディスク容量を増やす: ディスク容量が不足している場合は、ディスク容量を増やすことを検討します。
- アーカイブ ログの圧縮: アーカイブ ログを圧縮することで、ディスク容量を節約できます。
5. アーカイブ ログ削除戦略
アーカイブ ログの削除戦略は、ビジネス要件、法的要件、および技術的な制約に基づいて策定されるべきです。適切な削除戦略を策定することで、データの損失を防ぎながら、ディスク容量を効率的に使用できます。
-
バックアップ頻度と保持期間のバランス:
バックアップ頻度と保持期間は、アーカイブ ログの削除戦略において重要な要素です。バックアップ頻度が高いほど、保持期間を短くすることができます。逆に、バックアップ頻度が低いほど、保持期間を長くする必要があります。
適切なバランスを見つけるためには、以下の要素を考慮する必要があります。
- データの重要性
- リカバリの目標復旧時間(RTO)
- リカバリの目標復旧時点(RPO)
- ディスク容量の制約
-
災害復旧(DR)環境との連携:
災害復旧(DR)環境を使用している場合は、アーカイブ ログの削除戦略をDR環境と連携させる必要があります。DR環境にアーカイブ ログを転送し、DRサイトでリカバリできるようにする必要があります。
DR環境へのアーカイブ ログの転送方法としては、以下の方法があります。
- データガード: Oracle Data Guard は、プライマリデータベースとスタンバイデータベースの間でREDOログを継続的に転送し、自動的に適用する機能を提供します。
- 手動転送: 手動でアーカイブ ログをDRサイトにコピーします。
DR環境へのアーカイブ ログの転送が完了するまで、プライマリデータベースのアーカイブ ログを削除しないように注意してください。
-
フラッシュバックデータベースとの整合性:
フラッシュバックデータベースを使用している場合は、アーカイブ ログの削除戦略をフラッシュバックデータベースと整合させる必要があります。フラッシュバックデータベースは、過去のある時点までデータベースをロールバックする機能を提供します。
フラッシュバックデータベースを使用するためには、十分なアーカイブ ログを保持する必要があります。フラッシュバックデータベースに必要なアーカイブ ログの量は、フラッシュバックログのサイズとフラッシュバックを実行する頻度によって異なります。
-
アーカイブ ログの圧縮:
アーカイブ ログを圧縮することで、ディスク容量を節約できます。アーカイブ ログの圧縮は、OSレベルまたはデータベースレベルで行うことができます。
OSレベルでアーカイブ ログを圧縮するには、gzipなどの圧縮ツールを使用します。データベースレベルでアーカイブ ログを圧縮するには、Oracle Advanced Compression オプションを使用します。
アーカイブ ログを圧縮する際には、圧縮率とパフォーマンスへの影響を考慮する必要があります。
-
テープバックアップとの連携:
テープバックアップを使用している場合は、アーカイブ ログの削除戦略をテープバックアップと連携させる必要があります。テープにバックアップされたアーカイブ ログを、テープバックアップが完了するまで削除しないように注意してください。
テープバックアップのスケジュールとアーカイブ ログの削除スケジュールを調整し、データの損失を防ぐ必要があります。
6. アーカイブ ログ削除におけるトラブルシューティング
アーカイブ ログの削除は、様々な問題が発生する可能性があります。ここでは、よくあるトラブルとその解決策について説明します。
-
「アーカイブ ログが削除できない」エラーの原因と対策:
アーカイブ ログが削除できないエラーは、様々な原因で発生する可能性があります。
- アーカイブ ログがバックアップされていない: アーカイブ ログがバックアップされていない場合、RMANは削除を許可しません。
CONFIGURE ARCHIVELOG DELETION POLICY
コマンドを確認し、適切なポリシーが設定されていることを確認してください。 - アーカイブ ログがDRサイトに転送されていない: DRサイトにアーカイブ ログが転送されていない場合、RMANは削除を許可しません。DRサイトへの転送が完了していることを確認してください。
- アーカイブ ログが使用中: アーカイブ ログがバックアップやリカバリなどのプロセスで使用中の場合、削除できません。プロセスが完了するまで待つか、プロセスを停止する必要があります。
- ファイルシステムのアクセス権の問題: アーカイブ ログのファイルシステムに対する適切なアクセス権がない場合、削除できません。ファイルシステムのアクセス権を確認し、適切な権限を付与してください。
- アーカイブ ログがバックアップされていない: アーカイブ ログがバックアップされていない場合、RMANは削除を許可しません。
-
RMAN カタログの破損:
RMANカタログが破損した場合、アーカイブ ログの削除が正常に行えなくなる可能性があります。RMANカタログの破損は、ハードウェア障害、ソフトウェア障害、または人的ミスによって発生する可能性があります。
RMANカタログの破損を修復するには、RMANカタログをリストアするか、RMANカタログを再作成する必要があります。
-
パフォーマンスへの影響:
アーカイブ ログの削除は、データベースのパフォーマンスに影響を与える可能性があります。アーカイブ ログの削除プロセスは、I/O負荷が高く、データベースの応答時間を遅延させる可能性があります。
パフォーマンスへの影響を最小限に抑えるためには、以下の対策を講じることができます。
- ピーク時以外の時間帯に削除を実行する: データベースの使用量が少ない時間帯にアーカイブ ログの削除を実行します。
- 並列度を調整する: RMANのチャネル数を調整し、並列度を調整します。
- I/O性能の高いストレージを使用する: アーカイブ ログの保存先として、I/O性能の高いストレージを使用します。
-
バックアップ/リカバリ計画の不備:
バックアップ/リカバリ計画に不備がある場合、アーカイブ ログの削除が適切に行われず、データの損失につながる可能性があります。
バックアップ/リカバリ計画を定期的に見直し、アーカイブ ログの削除戦略が適切であることを確認する必要があります。
7. アーカイブ ログ削除のベストプラクティス
アーカイブ ログの削除を安全かつ効率的に行うためのベストプラクティスを以下に示します。
-
RMAN の計画的な利用:
RMAN を使用して、アーカイブ ログのバックアップ、リカバリ、および削除を計画的に管理します。RMAN の
CONFIGURE ARCHIVELOG DELETION POLICY
を適切に設定し、不要なアーカイブ ログの削除を自動化します。 -
アーカイブ ログの監視とアラート:
アーカイブ ログのサイズと空き容量を監視し、ディスク容量が不足する前にアラートを生成するように設定します。これにより、ディスク容量不足によるデータベースの停止を防ぐことができます。
-
定期的なバックアップとリストアのテスト:
定期的にバックアップとリストアのテストを実施し、バックアップとリカバリの手順が正しく動作することを確認します。これにより、データの損失が発生した場合でも、データベースを迅速に復旧できます。
-
ドキュメント化と手順の標準化:
アーカイブ ログの削除手順をドキュメント化し、標準化します。これにより、人的ミスを減らし、一貫性のある運用を実現できます。
8. クラウド環境におけるアーカイブ ログ削除
クラウド環境では、オンプレミス環境とは異なる考慮事項があります。
-
クラウドプロバイダー固有の機能:
クラウドプロバイダー(AWS、Azure、GCPなど)は、アーカイブ ログの管理を容易にするための独自の機能を提供しています。これらの機能を活用することで、アーカイブ ログのバックアップ、ストレージ、および削除を効率的に行うことができます。
-
ストレージコストの最適化:
クラウドストレージのコストは、容量、アクセス頻度、および保持期間によって異なります。アーカイブ ログのストレージコストを最適化するために、適切なストレージティアを選択し、不要なアーカイブ ログを定期的に削除する必要があります。
-
セキュリティ対策:
クラウド環境では、アーカイブ ログのセキュリティ対策を強化する必要があります。アーカイブ ログを暗号化し、アクセス制御を設定し、監査ログを監視することで、データの不正アクセスや漏洩を防ぐことができます。
9. アーカイブ ログ削除に関するよくある質問 (FAQ)
-
RMAN の設定で注意すべき点は?
RMAN の設定で特に注意すべき点は、
CONFIGURE ARCHIVELOG DELETION POLICY
です。この設定は、RMAN がアーカイブ ログを削除する条件を定義します。誤った設定は、データの損失につながる可能性があるため、慎重に設定する必要があります。 -
OSコマンドで削除しても大丈夫?
OSコマンドによるアーカイブ ログの削除は、RMANを使用できない場合にのみ検討すべきです。OSコマンドを使用する場合は、SQL*Plusでアーカイブ ログの状態を慎重に確認し、RMANカタログを更新する必要があります。OSコマンドによる削除は、エラーが発生しやすく、データベースの整合性を損なう可能性があるため、推奨されません。
-
アーカイブ ログのサイズを削減するには?
アーカイブ ログのサイズを削減するには、以下の方法があります。
- アーカイブ ログの圧縮
- REDOログのサイズを大きくする
- バックアップ頻度を高くする
-
アーカイブ ログが溜まりすぎてデータベースが停止した場合の対処法は?
アーカイブ ログが溜まりすぎてデータベースが停止した場合の対処法は、以下のとおりです。
- データベースを
MOUNT
モードで起動します。 - RMAN を使用して、削除可能なアーカイブ ログを削除します。
- データベースを
OPEN
モードで起動します。
- データベースを
-
異なるプラットフォーム間でのアーカイブ ログの移動は可能?
異なるプラットフォーム間でのアーカイブ ログの移動は、通常は可能です。ただし、プラットフォーム間のエンディアンの違いに注意する必要があります。エンディアンとは、データのバイト順のことです。異なるエンディアンのプラットフォーム間でアーカイブ ログを移動する場合、エンディアン変換を行う必要があります。
10. まとめ
この記事では、Oracleアーカイブ ログの削除に関するDBAからのよくある質問(FAQ)を網羅的に解説しました。アーカイブ ログの役割、削除戦略、具体的な手順、トラブルシューティングまで、DBAが抱える疑問を解決するための詳細な情報を提供しました。
アーカイブ ログの管理は、データベースのリカバリ可能性を維持しつつディスク容量を効率的に使用するために、非常に重要なタスクです。この記事で説明したベストプラクティスとトラブルシューティングの手順に従うことで、アーカイブ ログの削除を安全かつ効率的に行うことができます。
常に、データの重要性を理解し、適切なバックアップとリカバリ戦略を実装し、定期的にテストを実施することで、データベースの安全性を確保してください。