AI-900 試験対策:Azure AI Fundamentals 試験範囲と学習ポイント
Azure AI Fundamentals (AI-900) 試験は、AzureのAIサービスに関する基本的な知識を評価する入門レベルの認定試験です。この試験に合格することで、AIの概念、機械学習、自然言語処理、コンピュータービジョンの基礎知識、およびAzureでこれらのAIソリューションをどのように実装できるかを理解していることを証明できます。この記事では、AI-900試験の範囲を詳しく解説し、各分野の学習ポイントを明確にすることで、試験対策を効果的に進めるためのガイドを提供します。
試験概要
- 試験名: Azure AI Fundamentals (AI-900)
- 対象者: AIの基礎知識を習得したいエンジニア、データサイエンティスト、学生、ビジネスプロフェッショナル
- 試験範囲: AIの原則、機械学習、自然言語処理、コンピュータービジョン、AIワークロードに関する知識
- 試験形式: 選択式
- 試験時間: 約60分(試験時間は変更される可能性があります)
- 合格ライン: 700点以上(1000点満点)
- 受験料: 125 USD (地域によって異なる場合があります)
試験スキル概要
AI-900試験は、以下の4つの主要なスキル領域を評価します。
- AIの原則の説明 (25-30%)
- Azure Machine Learning の主な機能を説明する (20-25%)
- Azure でのコンピューター ビジョンの主な機能を説明する (15-20%)
- Azure での自然言語処理 (NLP) の主な機能を説明する (25-30%)
以下に、各スキル領域について詳しく解説し、学習ポイントを紹介します。
1. AIの原則の説明 (25-30%)
このセクションでは、AIの基本的な概念、倫理的な考慮事項、および責任あるAIの実践について理解しているかを評価します。
1.1 AI の識別
- AI (人工知能) の定義: 人間の知能を模倣するコンピューターシステムの能力。学習、問題解決、意思決定などのタスクを実行できます。
- 機械学習 (ML) の定義: データから学習し、明示的にプログラムされなくても予測や意思決定を行うことができるAIの一分野。
- 深層学習 (DL) の定義: 複数の層を持つニューラルネットワークを使用する機械学習の一分野。複雑なパターンを学習し、高度なタスクを実行できます。
- AI ワークロードの例: 画像認識、音声認識、自然言語処理、予測分析、推奨システムなど。
学習ポイント:
- AI、機械学習、深層学習の違いを理解する。
- AIが適用される様々な分野の例を学ぶ。
- それぞれの技術の具体的な活用事例を把握する。
- 機械学習の種類(教師あり学習、教師なし学習、強化学習)を理解する。
1.2 責任ある AI の原則の説明
- 公平性: AIシステムがすべての人に対して公平であることを保証する。バイアスを検出し、軽減するための対策を講じる。
- 信頼性と安全性: AIシステムが信頼でき、安全であることを保証する。エラーを最小限に抑え、安全な動作を確保する。
- プライバシーとセキュリティ: AIシステムが個人データを保護し、セキュリティを確保することを保証する。適切なデータ管理とアクセス制御を実施する。
- インクルージョン: AIシステムが多様なニーズに対応し、すべての人を包み込むことを保証する。多様なデータセットを使用し、包括的な設計を心がける。
- 透明性: AIシステムの動作を理解しやすくし、説明責任を果たすことを保証する。モデルの動作を説明し、意思決定の根拠を提供する。
- アカウンタビリティ: AIシステムの結果に対する責任を明確にする。問題が発生した場合に、誰が責任を負うかを特定し、対応策を講じる。
学習ポイント:
- 責任あるAIの各原則の重要性を理解する。
- 各原則を実践するための具体的な方法を学ぶ。
- AIの倫理的な問題に関する事例を調査する。
- バイアスの種類とその影響について理解する。
1.3 責任ある AI のワークフローの説明
- 定義: 問題を明確に定義し、AIの目標を設定する。
- 収集: 関連するデータを収集し、データの品質を評価する。
- 準備: データをクレンジング、変換、および分析に適した形式に変換する。
- モデル: 適切なAIモデルを選択し、トレーニングする。
- 評価: モデルのパフォーマンスを評価し、バイアスを検出する。
- 展開: モデルを本番環境にデプロイする。
- 監視: モデルのパフォーマンスを継続的に監視し、必要に応じて再トレーニングする。
学習ポイント:
- 責任あるAIのワークフローの各ステップを理解する。
- 各ステップで考慮すべき事項を学ぶ。
- AI開発における責任を果たすためのベストプラクティスを理解する。
- データの前処理や特徴量エンジニアリングの重要性を理解する。
2. Azure Machine Learning の主な機能を説明する (20-25%)
このセクションでは、Azure Machine Learning サービスを使用して機械学習モデルを構築、トレーニング、およびデプロイする方法について理解しているかを評価します。
2.1 機械学習の種類を識別する
- 回帰: 連続値を予測するタスク。例:住宅価格の予測、売上予測。
- 分類: カテゴリを予測するタスク。例:スパムメールの検出、画像内のオブジェクトの識別。
- クラスタリング: 類似したデータポイントをグループ化するタスク。例:顧客セグメンテーション、異常検知。
学習ポイント:
- 各機械学習タスクの定義と目的を理解する。
- 各タスクに適したアルゴリズムを学ぶ。
- 具体的な事例を通じて、各タスクの応用例を理解する。
- 評価指標(精度、適合率、再現率、F1値など)を理解し、適切に選択する。
2.2 Azure Machine Learning の主要コンポーネントを説明する
- ワークスペース: 機械学習プロジェクトの管理と整理を行うための中心的な場所。
- データセット: 機械学習モデルのトレーニングに使用するデータ。
- コンピューティング: モデルのトレーニングを実行するためのコンピューティングリソース。
- パイプライン: 機械学習ワークフローを自動化するためのツール。
- モデル: トレーニング済みの機械学習モデル。
- エンドポイント: モデルをデプロイして、予測を行うためのAPI。
学習ポイント:
- Azure Machine Learningの各コンポーネントの役割と機能を理解する。
- 各コンポーネントを組み合わせて機械学習ワークフローを構築する方法を学ぶ。
- Azure Portal、Python SDK、CLIなどを使用して、Azure Machine Learningを操作する方法を学ぶ。
- 自動機械学習(AutoML)の概要を理解する。
2.3 機械学習パイプラインの一般的な手順を識別する
- データの取り込み: データソースからデータを読み込む。
- データの前処理: データのクレンジング、変換、および特徴量エンジニアリングを行う。
- モデルのトレーニング: 選択したアルゴリズムを使用して、モデルをトレーニングする。
- モデルの評価: モデルのパフォーマンスを評価する。
- モデルのデプロイ: モデルを本番環境にデプロイする。
学習ポイント:
- 機械学習パイプラインの各ステップの目的と重要性を理解する。
- 各ステップで使用するツールと技術を学ぶ。
- Azure Machine Learning Pipelinesを使用して、パイプラインを自動化する方法を学ぶ。
- パイプラインのモニタリングと改善について理解する。
3. Azure でのコンピューター ビジョンの主な機能を説明する (15-20%)
このセクションでは、Azure Cognitive ServicesのComputer Visionサービスを使用して、画像やビデオから情報を抽出する方法について理解しているかを評価します。
3.1 Computer Vision のユース ケースを識別する
- 画像分類: 画像内のオブジェクトやシーンを識別する。例:動物の種類、風景の種類。
- 物体検出: 画像内のオブジェクトの位置を特定する。例:自動運転車の歩行者検出、製造ラインの欠陥検出。
- 顔認識: 画像内の顔を識別し、属性を分析する。例:セキュリティシステム、ソーシャルメディアの顔タグ付け。
- 光学文字認識 (OCR): 画像内のテキストを読み取る。例:請求書の自動処理、書類のデジタル化。
- 空間分析: ビデオ内の人々の動きを分析する。例:小売店の顧客行動分析、スマートシティの交通分析。
学習ポイント:
- 各Computer Visionタスクの定義と目的を理解する。
- 各タスクに適したAPIとモデルを学ぶ。
- 具体的な事例を通じて、各タスクの応用例を理解する。
- Azure Cognitive Services Computer Vision APIの概要を理解する。
3.2 Azure Computer Vision の主要サービスと機能を説明する
- Computer Vision API: 画像分析、物体検出、顔認識、OCRなどの機能を提供するAPI。
- Custom Vision: 独自のデータセットを使用して、カスタム画像認識モデルを構築できるサービス。
- Face API: 顔の検出、識別、および属性分析を行うためのAPI。
- Video Indexer: ビデオコンテンツを分析し、インデックスを作成するサービス。
学習ポイント:
- Azure Cognitive Servicesの各Computer Visionサービスの役割と機能を理解する。
- 各サービスを組み合わせて、複雑なComputer Visionソリューションを構築する方法を学ぶ。
- APIキーの管理とセキュリティについて理解する。
- 料金体系について理解する。
3.3 画像分析の一般的なワークフローを説明する
- 画像のアップロード: Azure Storageに画像をアップロードする。
- APIの呼び出し: Computer Vision APIを呼び出して、画像を分析する。
- 結果の解析: APIから返されたJSONレスポンスを解析して、必要な情報を抽出する。
- データの活用: 抽出したデータをアプリケーションで使用する。
学習ポイント:
- 画像分析のワークフローの各ステップの目的と重要性を理解する。
- APIリクエストの作成とレスポンスの解析方法を学ぶ。
- エラー処理と例外処理について理解する。
- 大規模な画像処理のためのバッチ処理について理解する。
4. Azure での自然言語処理 (NLP) の主な機能を説明する (25-30%)
このセクションでは、Azure Cognitive ServicesのNatural Language Processingサービスを使用して、テキストから情報を抽出する方法について理解しているかを評価します。
4.1 NLP のユース ケースを識別する
- 感情分析: テキストの感情(ポジティブ、ネガティブ、ニュートラル)を分析する。例:顧客レビューの分析、ソーシャルメディアの感情分析。
- キーフレーズ抽出: テキストから重要なキーワードやフレーズを抽出する。例:記事の要約、ドキュメントのインデックス作成。
- 言語検出: テキストの言語を自動的に検出する。例:多言語対応のWebサイト、グローバルカスタマーサポート。
- エンティティ認識: テキスト内の人名、組織名、場所などのエンティティを識別する。例:ニュース記事の分析、履歴書の解析。
- テキスト要約: 長いテキストを短く要約する。例:ニュース記事の要約、会議の議事録の作成。
- 質問応答: テキストに基づいて質問に答える。例:カスタマーサポートチャットボット、FAQの自動回答。
学習ポイント:
- 各NLPタスクの定義と目的を理解する。
- 各タスクに適したAPIとモデルを学ぶ。
- 具体的な事例を通じて、各タスクの応用例を理解する。
- Azure Cognitive Services Text Analytics APIの概要を理解する。
- Transformerモデルの概要を理解する(BERT, GPT)。
4.2 Azure NLP の主要サービスと機能を説明する
- Text Analytics API: 感情分析、キーフレーズ抽出、言語検出、エンティティ認識などの機能を提供するAPI。
- Language Understanding (LUIS): 自然言語理解 (NLU) モデルを構築するためのサービス。ユーザーの発話を理解し、意図を識別する。
- QnA Maker: 質問応答ボットを簡単に構築できるサービス。FAQドキュメントから質問と回答を抽出する。
- Translator Text API: テキストを別の言語に翻訳するAPI。
学習ポイント:
- Azure Cognitive Servicesの各NLPサービスの役割と機能を理解する。
- 各サービスを組み合わせて、複雑なNLPソリューションを構築する方法を学ぶ。
- LUISのエンティティ、インテント、発話の概念を理解する。
- Translator Text APIの利用方法を理解する。
4.3 テキスト分析の一般的なワークフローを説明する
- テキストの準備: 分析するテキストを準備する。
- APIの呼び出し: Text Analytics APIを呼び出して、テキストを分析する。
- 結果の解析: APIから返されたJSONレスポンスを解析して、必要な情報を抽出する。
- データの活用: 抽出したデータをアプリケーションで使用する。
学習ポイント:
- テキスト分析のワークフローの各ステップの目的と重要性を理解する。
- APIリクエストの作成とレスポンスの解析方法を学ぶ。
- エラー処理と例外処理について理解する。
- 大規模なテキスト処理のためのバッチ処理について理解する。
試験対策のヒント
- Microsoft Learn: AI-900試験対策の公式ラーニングパスを完了する。
- Azure Cognitive Servicesのドキュメント: 各サービスのドキュメントを読み、機能を理解する。
- 実践的なハンズオン: Azure Free Accountを利用して、実際にサービスを試してみる。
- 模擬試験: Microsoft Official Practice Testを利用して、試験形式に慣れる。
- コミュニティ: オンラインフォーラムやコミュニティに参加して、他の受験者と情報交換をする。
まとめ
AI-900試験は、Azure AIの基礎知識を習得するための良い出発点です。この記事で説明した試験範囲と学習ポイントを参考に、効果的な試験対策を進めてください。試験合格後も、Azure AIの学習を継続し、実践的なスキルを磨くことで、AI分野でのキャリアを築くことができるでしょう。頑張ってください!
この記事では、AI-900試験の主要なスキル領域について詳しく解説し、学習ポイントを明確にすることで、試験対策を効果的に進めるためのガイドを提供しました。試験範囲全体を網羅的に学習し、実践的な経験を積むことで、自信を持って試験に臨むことができるでしょう。