curl SSL 証明書検証エラー “unable to get local issuer certificate” の原因と解決

はい、承知いたしました。curl SSL証明書検証エラー “unable to get local issuer certificate” の原因と解決について、詳細な説明を含む記事を作成します。


curl SSL証明書検証エラー “unable to get local issuer certificate” の原因と解決

curl コマンドを使用する際、ウェブサイトとの安全な接続を確立しようとすると、”unable to get local issuer certificate” というエラーに遭遇することがあります。このエラーは、curl がウェブサイトの SSL/TLS 証明書を検証できない場合に発生し、セキュリティ上のリスクを示唆する可能性があります。本記事では、このエラーの原因を深く掘り下げ、様々な解決策を提示し、安全なウェブ通信の実現を支援します。

1. SSL/TLS 証明書とは何か?

“unable to get local issuer certificate” エラーを理解するためには、まず SSL/TLS 証明書の役割を理解することが不可欠です。SSL (Secure Sockets Layer) と TLS (Transport Layer Security) は、インターネット上で送信されるデータを暗号化し、盗聴や改ざんから保護するためのプロトコルです。

SSL/TLS 証明書は、ウェブサイトの身元を証明するために使用されます。認証局 (CA: Certificate Authority) と呼ばれる信頼できる第三者機関によって発行され、ウェブサイトの公開鍵、ドメイン名、発行者情報、有効期限などが含まれています。

ウェブブラウザや curl などのクライアントは、ウェブサイトとの接続を確立する際に、ウェブサイトから提示された SSL/TLS 証明書を検証します。この検証プロセスを通じて、クライアントはウェブサイトが主張するドメイン名の所有者であることを確認し、通信の安全性を確保します。

2. “unable to get local issuer certificate” エラーの原因

“unable to get local issuer certificate” エラーは、curl がウェブサイトの SSL/TLS 証明書を検証するために必要な情報を見つけることができない場合に発生します。具体的な原因は以下の通りです。

  • 信頼された CA 証明書がない: curl は、信頼された CA の証明書リストを使用して、ウェブサイトの証明書が信頼できる CA によって署名されているかどうかを検証します。システムに信頼された CA 証明書リストがない場合、またはリストが古くなっている場合、curl はウェブサイトの証明書を検証できず、エラーが発生します。
  • 自己署名証明書: ウェブサイトが自己署名証明書を使用している場合、その証明書は信頼された CA によって署名されていません。したがって、curl はデフォルトで自己署名証明書を信頼しないため、エラーが発生します。
  • 中間証明書がない: ウェブサイトの証明書が、ルート CA 証明書とウェブサイト証明書の中間に位置する中間証明書によって署名されている場合、curl は中間証明書を必要とします。中間証明書が提供されていない場合、curl は証明書チェーンを完成させることができず、エラーが発生します。
  • 証明書の有効期限切れ: ウェブサイトの証明書が有効期限切れになっている場合、curl は証明書を無効とみなし、エラーが発生します。
  • 証明書のホスト名不一致: ウェブサイトの証明書に記載されているドメイン名が、curl がアクセスしようとしているドメイン名と一致しない場合、curl は証明書を無効とみなし、エラーが発生します。
  • ネットワークの問題: ネットワークの問題により、curl が証明書をダウンロードできない場合、エラーが発生する可能性があります。
  • curl の設定ミス: curl の設定が誤っている場合、証明書検証が正しく行われず、エラーが発生する可能性があります。

3. “unable to get local issuer certificate” エラーの解決策

“unable to get local issuer certificate” エラーを解決するためには、上記で挙げた原因に応じて適切な対処が必要です。以下に、具体的な解決策を説明します。

3.1 信頼された CA 証明書リストの更新

最も一般的な解決策は、システムに信頼された CA 証明書リストを更新することです。多くの Linux ディストリビューションでは、update-ca-certificates コマンドを使用して CA 証明書リストを更新できます。

bash
sudo update-ca-certificates

macOS の場合は、security コマンドを使用して CA 証明書リストを更新できます。

bash
sudo security update-trust-settings -d

Windows の場合は、Microsoft Update を実行して CA 証明書リストを更新できます。

3.2 curl に CA 証明書バンドルを指定

curl に CA 証明書バンドル(複数の CA 証明書をまとめたファイル)を明示的に指定することで、証明書検証を有効にすることができます。CA 証明書バンドルは、curl のオプション -cacert で指定します。

bash
curl --cacert /path/to/cacert.pem https://example.com

CA 証明書バンドルは、通常、cacert.pem という名前で /etc/ssl/certs//usr/local/etc/openssl/certs/ などの場所に保存されています。

3.3 自己署名証明書の信頼

ウェブサイトが自己署名証明書を使用している場合、curl はデフォルトでその証明書を信頼しません。自己署名証明書を信頼するには、curl のオプション -k または --insecure を使用します。

bash
curl -k https://example.com

-k オプションは、curl に証明書の検証をスキップさせ、自己署名証明書を信頼させます。ただし、このオプションを使用すると、セキュリティ上のリスクが高まる可能性があるため、注意が必要です。自己署名証明書を使用しているウェブサイトが信頼できる場合にのみ、このオプションを使用してください。

3.4 中間証明書の提供

ウェブサイトの証明書が中間証明書によって署名されている場合、curl に中間証明書を提供する必要があります。中間証明書は、通常、ウェブサイトの管理者が提供しています。

中間証明書は、ウェブサイトの証明書と連結して、1つのファイルにすることができます。

bash
cat website_certificate.crt intermediate_certificate.crt > combined_certificate.crt

そして、curl のオプション --cacert で連結した証明書ファイルを指定します。

bash
curl --cacert combined_certificate.crt https://example.com

3.5 証明書の有効期限の確認と更新

ウェブサイトの証明書が有効期限切れになっている場合、ウェブサイトの管理者は証明書を更新する必要があります。証明書が更新されたら、curl を再度実行して、エラーが解決されたかどうかを確認します。

3.6 ホスト名の確認

curl がアクセスしようとしているドメイン名が、ウェブサイトの証明書に記載されているドメイン名と一致していることを確認してください。ドメイン名が一致しない場合、curl は証明書を無効とみなし、エラーが発生します。

3.7 ネットワークの問題の解決

ネットワークの問題により、curl が証明書をダウンロードできない場合、ネットワーク接続を確認し、問題を解決してください。

3.8 curl の設定の確認

curl の設定が誤っている場合、証明書検証が正しく行われず、エラーが発生する可能性があります。curl の設定ファイル (~/.curlrc/etc/curlrc) を確認し、証明書検証に関する設定が正しく設定されていることを確認してください。

3.9 環境変数の確認

SSL_CERT_FILESSL_CERT_DIR などの環境変数が設定されている場合、これらの変数が正しい CA 証明書バンドルまたは CA 証明書ディレクトリを指していることを確認してください。誤った環境変数の設定が、証明書検証エラーを引き起こすことがあります。

3.10 OpenSSL の設定確認

OpenSSL がインストールされている場合、OpenSSL の設定ファイル (openssl.cnf) に CA 証明書に関する設定が含まれていることを確認してください。特に、CAfile および CApath ディレクティブが正しく設定されていることを確認してください。

4. セキュリティ上の考慮事項

“unable to get local issuer certificate” エラーを解決する際には、セキュリティ上の考慮事項を常に念頭に置いてください。

  • -k または --insecure オプションの使用は避ける: これらのオプションは、証明書検証を完全にスキップするため、中間者攻撃 (Man-in-the-Middle attack) に対して脆弱になります。セキュリティ上のリスクを理解した上で、慎重に使用してください。
  • 信頼できない CA 証明書バンドルを使用しない: 不明なソースからダウンロードした CA 証明書バンドルを使用すると、悪意のある証明書が含まれている可能性があり、セキュリティ上のリスクが高まります。信頼できるソースから提供された CA 証明書バンドルのみを使用してください。
  • 自己署名証明書は慎重に扱う: 自己署名証明書は、信頼された CA によって検証されていないため、なりすましのリスクがあります。自己署名証明書を使用しているウェブサイトが信頼できることを確認した上で、慎重に扱う必要があります。

5. エラー発生時の診断方法

“unable to get local issuer certificate” エラーが発生した場合、以下の方法で原因を特定し、問題を診断することができます。

  • curl の verbose モード: curl の -v オプションを使用すると、curl の動作に関する詳細な情報を表示することができます。証明書検証の過程で何が起こっているのかを確認し、問題の原因を特定するのに役立ちます。

bash
curl -v https://example.com

  • OpenSSL コマンド: OpenSSL コマンドを使用すると、証明書に関する詳細な情報を確認することができます。例えば、openssl s_client コマンドを使用すると、ウェブサイトから証明書をダウンロードし、その内容を表示することができます。

bash
openssl s_client -showcerts -connect example.com:443

  • ブラウザの開発者ツール: ウェブブラウザの開発者ツールを使用すると、ウェブサイトの証明書に関する情報を確認することができます。証明書の有効期限、発行者、サブジェクトなどを確認することができます。

6. まとめ

“unable to get local issuer certificate” エラーは、curl を使用する際に遭遇する可能性のある一般的な問題です。しかし、その原因を理解し、適切な解決策を適用することで、安全なウェブ通信を実現することができます。

本記事では、このエラーの原因を詳細に説明し、様々な解決策を提示しました。信頼された CA 証明書リストの更新、CA 証明書バンドルの指定、自己署名証明書の信頼、中間証明書の提供、証明書の有効期限の確認、ホスト名の確認、ネットワークの問題の解決、curl の設定の確認など、様々な解決策を試すことで、ほとんどの場合、問題を解決することができます。

ただし、セキュリティ上の考慮事項を常に念頭に置き、安易に証明書検証をスキップしたり、信頼できない CA 証明書バンドルを使用したりしないように注意してください。

本記事が、curl SSL 証明書検証エラー “unable to get local issuer certificate” の理解と解決に役立つことを願っています。

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