PyCharm ダウンロードとインストール方法


PyCharm ダウンロードとインストール方法:初心者からプロまで徹底解説

はじめに:Python開発を加速するPyCharmとは?

Pythonは、そのシンプルさと強力さから、Web開発、データ科学、機械学習、自動化、教育など、幅広い分野で利用されている人気のプログラミング言語です。Pythonコードを書くためには、テキストエディタがあれば十分に可能ですが、より効率的に、快適に、そして高度な機能を利用して開発を進めるためには、「統合開発環境(IDE)」を使うことが一般的です。

統合開発環境、すなわちIDEは、コードエディタだけでなく、デバッガー、ビルドツール、バージョン管理システムとの連携機能、コード補完、構文チェック、リファクタリング支援など、開発に必要な多くのツールを一つに統合したソフトウェアです。これにより、開発者は様々なツール間を行き来することなく、一つの環境内で開発作業のほとんどを完結させることができます。

Python開発におけるIDEとして、最も人気があり、機能も豊富なものの一つが、JetBrains社が開発する「PyCharm」です。PyCharmは、強力なコードエディタ、インテリジェントなコード補完、エラー検出、デバッグ機能、テストツール連携、科学技術計算ライブラリへの対応など、Python開発を強力にサポートする機能を多数搭載しています。初心者からプロフェッショナルまで、あらゆるレベルのPythonistaにとって、PyCharmは生産性を飛躍的に向上させるための強力なツールとなり得ます。

この記事では、そのPyCharmをあなたのコンピューターに導入するための全ステップを、初心者の方でも迷わないように、できる限り詳細かつ丁寧に解説します。PyCharmのダウンロード方法から、Windows、macOS、Linuxといった主要なOSごとのインストール手順、さらにはインストール後の初回起動時の基本設定まで、網羅的に説明します。約5000語というボリュームで、各ステップの意図や注意点、発生しうる問題への対処法も含めて解説しますので、この記事を読めば、安心してPyCharmの導入を完了させることができるでしょう。

さあ、PyCharmの導入という最初の一歩を踏み出し、より快適で効率的なPython開発の世界へ飛び込みましょう。

この記事で学ぶこと:

  • PyCharmを選ぶ理由と、Community版とProfessional版の違い
  • PyCharmをインストールするためのシステム要件と準備
  • PyCharmの公式ダウンロード方法
  • Windows、macOS、Linuxそれぞれの詳細なインストール手順
  • PyCharm初回起動時の基本設定(使用許諾、UIテーマ、プロジェクト作成、Pythonインタプリタ設定など)
  • インストール後の簡単な活用例
  • インストール時のトラブルシューティングとよくある質問

これらの内容を順を追って解説していきます。

第1章:PyCharmを選ぶ理由とエディション

なぜ数あるPython向けエディタやIDEの中からPyCharmを選ぶべきなのでしょうか? そして、PyCharmにはどのような種類があるのでしょうか?

PyCharmの主な特徴

PyCharmが多くのPython開発者に選ばれる理由には、その豊富な機能と使いやすさがあります。主な特徴をいくつかご紹介します。

  1. インテリジェントなコードエディタ:

    • 強力なコード補完: 入力中のコードに基づいて、関連性の高いクラス、関数、変数などを賢く提案します。これにより、タイピングの手間が省け、スペルミスを防ぎます。
    • リアルタイムでのエラー検出とハイライト: コードを書いている最中に構文エラーや潜在的な問題を検出し、視覚的に教えてくれます。エラーの原因特定が容易になります。
    • コードインスペクション: コードの品質やPEP 8などのスタイルガイドへの準拠をチェックし、改善の提案(クイックフィックス)を行います。
    • リファクタリングツール: 変数名や関数名の変更、コードの抽出、メソッドの移動などを安全かつ効率的に行うことができます。これにより、コードの構造を改善し、保守性を高めることができます。
    • 豊富なナビゲーション機能: クラスや関数の定義元へのジャンプ、使用箇所の検索などが容易に行えます。大規模なプロジェクトでもコードを素早く理解できます。
  2. 強力なデバッガー:

    • ブレークポイントの設定、ステップ実行(ステップオーバー、ステップイン、ステップアウト)、変数や式の値のリアルタイム監視など、デバッグ作業に必要な機能が揃っています。これにより、プログラムの実行フローを追いかけ、バグの原因を特定しやすくなります。
    • 条件付きブレークポイントやリモートデバッグなど、高度なデバッグ機能も利用できます。
  3. テストツールとの連携:

    • unittest, pytest, noseなどのPythonテストフレームワークと統合されており、IDE内から簡単にテストを実行し、結果を確認できます。
  4. バージョン管理システム連携:

    • Git, Mercurial, Subversionなどの主要なバージョン管理システムと統合されています。コミット、プッシュ、プル、ブランチ操作、差分表示などがIDE内から行えます。
  5. 仮想環境の管理:

    • venv, virtualenv, Condaなどの仮想環境を簡単に作成、設定、切り替えることができます。プロジェクトごとに独立した環境を管理できるため、依存関係の衝突を防げます。
  6. データベースツール(Professional版):

    • 様々なデータベースに接続し、SQLクエリの実行、データの閲覧、スキーマの管理などができます。
  7. Web開発フレームワークサポート(Professional版):

    • Django, Flask, PyramidなどのWebフレームワークの開発を強力にサポートします。テンプレート言語の編集、URLナビゲーション、ORMサポートなどがあります。
  8. 科学技術計算ツールサポート(Professional版):

    • NumPy, SciPy, Matplotlibなどのライブラリに対応しており、データの可視化やインタラクティブな作業を支援します。Jupyter Notebookとの連携機能もあります。

このように、PyCharmはPython開発に必要なあらゆる機能を網羅しており、開発プロセスを大幅に効率化してくれます。

PyCharm Community Edition vs Professional Edition

PyCharmには、主に二つのエディションがあります。

  1. PyCharm Community Edition:

    • ライセンス: オープンソース、無料
    • 対象: 主に純粋なPython開発者、科学技術計算、教育目的
    • 主な機能:
      • インテリジェントなPythonコードエディタ
      • デバッガー、テストランナー
      • バージョン管理システム連携
      • 仮想環境管理
      • Anaconda対応
      • Jupyter Notebook連携(基本的な機能)
    • 含まれない機能: Web開発フレームワークサポート (Django, Flaskなど), データベースツール, プロファイルツール, リモート開発機能など
  2. PyCharm Professional Edition:

    • ライセンス: 商用ライセンス(有料)、30日間の無料トライアルあり、学生や教育関係者向けの無料ライセンスあり
    • 対象: プロフェッショナルなWeb開発者、企業での開発、フルスタック開発者
    • 主な機能:
      • Community Editionの全機能
      • Web開発フレームワークサポート (Django, Flask, Pyramid, web2pyなど)
      • HTML, CSS, JavaScript, TypeScript, CoffeeScriptなどフロントエンド技術の高度なサポート
      • データベースツールとSQLサポート
      • プロファイラー(パフォーマンス解析)
      • リモート開発とSSHターミナル
      • RESTクライアント
      • Docker、Docker Compose、Kubernetes連携

どちらを選ぶべきか?

  • あなたがPythonの学習を始めたばかりの学生であったり、主にスクリプト作成やデータ解析、あるいは単純なPythonプロジェクトに取り組むだけであれば、PyCharm Community Editionで十分です。無料でありながら、Pythonの基本的な開発に必要な機能はすべて揃っています。
  • あなたがWeb開発(特にDjangoやFlaskを使った開発)を行う場合、データベース操作が必要な場合、またはプロフェッショナルな開発環境として最大限の機能と効率性を求めるのであれば、PyCharm Professional Editionを検討すべきです。有料ですが、その機能の豊富さは価格に見合う価値があります。まずは無料トライアルを試してみるのが良いでしょう。

この記事では、どちらのエディションをインストールする場合でも共通する手順を中心に解説しますが、Professional版に特有の機能についても触れることがあります。ダウンロードページでは、両エディションが並んで表示されていますので、ご自身の目的に合った方を選択してください。

第2章:PyCharmをインストールする前に確認すべきこと

PyCharmのダウンロードとインストールに進む前に、お使いのコンピューターがPyCharmを実行するための要件を満たしているか、いくつか確認しておくべき事項があります。

システム要件

PyCharmは、主要なデスクトップOSであるWindows, macOS, Linuxに対応しています。各OSにおける基本的なシステム要件は以下の通りです(要件はバージョンアップにより変更される可能性がありますので、インストール直前に公式サイトの最新情報を確認することを強く推奨します)。

  • オペレーティングシステム (OS):
    • Windows: 64ビット版 Windows 10 以降
    • macOS: macOS 10.15 以降
    • Linux: GNOME, KDE, Unityなどの一般的なLinuxディストリビューション (glibc 2.27 以降が必要)。64ビット版のみ。
  • RAM (メモリ):
    • 最低: 2 GB RAM
    • 推奨: 8 GB RAM 以上。特に大きなプロジェクトや多数のプラグインを使用する場合は、より多くのメモリが必要です。
  • ディスク容量:
    • 最低: 2.5 GB のディスク容量。加えて、キャッシュやログのためにさらに容量が必要です。
    • 推奨: SSD ドライブと 5 GB 以上の空き容量。SSDを使用すると、IDEの起動やプロジェクトの読み込み、インデックス作成などが大幅に高速化されます。
  • ディスプレイ: 1024×768 以上の解像度。
  • Python: PyCharmはPythonインタプリタ自体は含まれていません。開発するPythonコードを実行するためには、別途Pythonがインストールされている必要があります。通常、Python 3.7以降のバージョンが推奨されます。まだPythonをインストールしていない場合は、先にPythonの公式サイトからダウンロードしてインストールしておきましょう。

重要な注意点:

  • 特にメモリとディスク容量は、推奨要件を満たしている方が快適にPyCharmを利用できます。最低要件では、大規模なプロジェクトを扱ったり、複数のアプリケーションを同時に実行したりする場合に動作が遅くなる可能性があります。
  • お使いのOSが32ビット版の場合は、最新のPyCharmをインストールできない可能性があります。現在のPyCharmは64ビットOSのみをサポートしています。

インストールのための準備

システム要件を満たしていることを確認したら、インストールの準備をします。

  1. Pythonのインストールを確認: PyCharmはPythonコードを書くためのツールであり、コードを実行するためにはPythonインタプリタが必要です。コマンドプロンプト(Windows)、ターミナル(macOS, Linux)を開き、python --version または python3 --version と入力してPythonがインストールされているか確認してください。もしインストールされていない、または古いバージョンの場合は、Pythonの公式サイト (https://www.python.org/) から最新版をダウンロードしてインストールしておくことをお勧めします。仮想環境を使用する場合は、ベースとなるPythonが必要です。
  2. 十分なディスク容量の確保: インストール先ドライブに、PyCharm本体だけでなく、将来的に作成するプロジェクトファイルやキャッシュ、プラグインなどのための十分な空き容量があるか確認してください。推奨されている5GB以上の空き容量を確保できると理想的です。
  3. インターネット接続: ダウンロードにはインターネット接続が必要です。また、インストール後の初回起動時や、プラグインの追加、ライセンス認証(Professional版)などでもインターネット接続が必要となる場合があります。
  4. 管理者権限: アプリケーションをシステムにインストールするためには、通常、管理者権限が必要になります。お使いのユーザーアカウントに管理者権限があるか確認してください。

これらの準備が整ったら、いよいよPyCharmのダウンロードに進みます。

第3章:PyCharmのダウンロード方法

PyCharmはJetBrains社の公式サイトからダウンロードするのが最も安全で確実な方法です。

公式サイトへのアクセス

ウェブブラウザを開き、PyCharmの公式サイトにアクセスします。以下のURLを使用してください。

https://www.jetbrains.com/ja-jp/pycharm/download/

このページにアクセスすると、通常、お使いのOSが自動的に検出され、そのOS向けのダウンロードオプションが表示されます。

エディション選択とダウンロード

ダウンロードページには、「Professional」と「Community」の二つのタブまたはセクションがあります。

  1. エディションの選択:
    • あなたの目的や予算に合わせて、Professional または Community のいずれかを選択します。無料で使用したい場合はCommunity版を選択してください。Professional版を試したい場合は、「無料トライアル」のオプションがあることを確認してください。
  2. OSの選択:
    • ページの上部またはサイドに、お使いのOS(Windows、macOS、Linux)が選択されていることを確認します。もし間違っている場合は、正しいOSを選択してください。
  3. ダウンロードボタンのクリック:
    • 選択したエディションとOSに対応するダウンロードボタンをクリックします。ボタンには通常、ファイルサイズと拡張子(例: .exe for Windows, .dmg for macOS, .tar.gz for Linux)が表示されています。
    • Windows: 通常 .exe ファイルがダウンロードされます。これはインストーラー実行ファイルです。
    • macOS: 通常 .dmg ファイルがダウンロードされます。これはディスクイメージファイルです。
    • Linux: 通常 .tar.gz ファイルがダウンロードされます。これは圧縮されたアーカイブファイルです。JetBrains Toolbox App (.tar.gz) をダウンロードするオプションもあります。Toolbox AppはJetBrains製品のインストールと管理を簡単に行えるため、Linuxユーザーには推奨される方法です。この記事では、.tar.gzからの手動インストールとToolbox Appの両方について簡単に触れます。

クリックすると、ダウンロードが開始されます。ファイルのサイズはエディションやバージョンによって異なりますが、数百MB程度ありますので、ダウンロードが完了するまでしばらく時間がかかる場合があります。インターネット接続の速度によっては、数分から数十分かかることもあります。

ダウンロードファイルの確認

ダウンロードが完了したら、指定したダウンロードフォルダ(通常はブラウザの設定で指定されている場所)にファイルが保存されているか確認してください。

  • Windows: pycharm-community-YYYY.R.R.exe または pycharm-professional-YYYY.R.R.exe のような名前のファイル (YYYY.R.Rはバージョン番号)
  • macOS: pycharm-community-YYYY.R.R.dmg または pycharm-professional-YYYY.R.R.dmg のような名前のファイル
  • Linux: pycharm-community-YYYY.R.R.tar.gz または pycharm-professional-YYYY.R.R.tar.gz のような名前のファイル

ファイル名と拡張子が正しいことを確認したら、いよいよインストールに進みます。

第4章:PyCharmのインストール方法(Windows版)

WindowsでのPyCharmインストールは、ダウンロードした実行ファイル(.exe)をダブルクリックしてインストーラーを起動し、ウィザードの指示に従って進める一般的なWindowsアプリケーションのインストールと同じ流れです。

インストーラーの実行

  1. ダウンロードした pycharm-*.exe ファイルを見つけます。通常は「ダウンロード」フォルダにあります。
  2. このファイルをダブルクリックして実行します。
  3. 「ユーザーアカウント制御」のダイアログが表示された場合は、「はい」をクリックして実行を許可します。

セットアップウィザードの手順

PyCharmのセットアップウィザードが起動します。画面の指示に従って進めます。

  1. Welcome画面: 「Welcome to PyCharm Setup」という画面が表示されます。「Next >」ボタンをクリックして次へ進みます。
  2. Choose Install Location: PyCharmをインストールするフォルダを選択します。
    • デフォルトでは、C:\Program Files\JetBrains\<PyCharm エディション名> のような場所に設定されています。
    • 特に変更する必要がなければ、デフォルトのままにしておくことをお勧めします。別の場所にインストールしたい場合は、「Browse…」ボタンをクリックして任意のフォルダを選択できます。ただし、十分な空き容量があるドライブを選択してください。
    • インストールに必要なディスク容量が表示されます。十分な空き容量があるか確認してください。
    • 「Next >」ボタンをクリックして次へ進みます。
  3. Installation Options: インストールの追加オプションを選択します。この画面は重要です。
    • Create Desktop Shortcut: デスクトップにPyCharmのショートカットを作成するかどうか。チェックを入れると、起動が楽になります。32-bit launcherと64-bit launcherの選択肢が表示される場合、お使いのWindowsが64ビットであれば「64-bit launcher」にチェックを入れます(現在のPyCharmは64ビットのみサポートしているので、通常はこれだけが表示されます)。
    • Add “Open Folder as Project”: エクスプローラーの右クリックメニューに「Open Folder as Project」を追加するかどうか。これにチェックを入れておくと、フォルダを右クリックして直接PyCharmで開くことができて便利です。
    • Add Launchers dir to the PATH: PyCharmの実行ファイルを環境変数PATHに追加するかどうか。これにチェックを入れておくと、コマンドプロンプトから pycharm と入力してPyCharmを起動できるようになります(これは通常、上級者向けのオプションです)。
    • Download and install JBR x64: JetBrains Runtime (JBR) 64-bit をダウンロードしてインストールするかどうか。通常、これはチェックを入れておくことを強く推奨します。PyCharmはJavaベースのIDEであり、最適なパフォーマンスを得るためにはJetBrainsが提供するカスタムJDKであるJBRを使用するのが最良だからです。デフォルトでチェックが入っているはずです。
    • これらのオプションの中から、必要なものにチェックを入れてください。デスクトップショートカットと「Open Folder as Project」は便利なのでチェックを入れておくことをお勧めします。
    • 設定が終わったら、「Next >」ボタンをクリックして次へ進みます。
  4. Choose Start Menu Folder: スタートメニューに作成されるフォルダの名前を選択します。
    • デフォルトでは「JetBrains」となっています。特に変更する必要はありません。
    • 「Install」ボタンをクリックしてインストールを開始します。

インストール完了

インストールが開始されると、進捗バーが表示されます。ファイルのコピーや設定が行われますので、完了するまでしばらく待ちます。コンピューターの性能によって時間は異なりますが、数分程度かかるのが一般的です。

インストールが完了すると、「Completing PyCharm Setup」という画面が表示されます。

  • Run PyCharm: チェックボックスにチェックが入っていると、「Finish」ボタンをクリックした後にPyCharmがすぐに起動します。すぐにPyCharmを使いたい場合はチェックを入れたままにします。
  • 「Finish」ボタンをクリックしてセットアップウィザードを終了します。

これでWindowsへのPyCharmのインストールは完了です。デスクトップにショートカットを作成した場合は、それをダブルクリックしてPyCharmを起動できます。または、スタートメニューから「JetBrains」フォルダを開き、「PyCharm <エディション名>」をクリックして起動することもできます。

第5章:PyCharmのインストール方法(macOS版)

macOSでのPyCharmインストールは、ダウンロードしたディスクイメージファイル(.dmg)を開き、アプリケーションファイルを「Applications」フォルダにドラッグ&ドロップする一般的なmacOSアプリケーションのインストール手順です。

dmgファイルのダウンロードと開き方

  1. ダウンロードした pycharm-*.dmg ファイルを見つけます。通常は「ダウンロード」フォルダにあります。
  2. このファイルをダブルクリックして開きます。
  3. ディスクイメージがマウントされ、ファインダーウィンドウが表示されます。このウィンドウには、PyCharmのアイコンと「Applications」フォルダへのショートカットが表示されているはずです。

アプリケーションフォルダへの移動

  1. ファインダーウィンドウ内で、PyCharmのアイコン(通常は「PyCharm CE」または「PyCharm PE」のような名前)をドラッグし、「Applications」フォルダのアイコンの上にドロップします。
  2. これにより、PyCharmアプリケーションがあなたのMacの「アプリケーション」フォルダにコピーされます。管理者パスワードの入力を求められる場合がありますので、入力してコピーを許可してください。
  3. コピーが完了したら、PyCharmのインストールはほぼ完了です。マウントされたディスクイメージは不要になるので、ファインダーのサイドバーにあるそのイメージの隣にある「取り出し」ボタン(上向きの三角形アイコン)をクリックして、イメージを取り出します。ダウンロードした .dmg ファイル自体は、必要なければゴミ箱に入れても構いません。

セキュリティ設定の確認(初回起動時)

macOSでは、App Store以外からダウンロードしたアプリケーションを初めて起動する際に、セキュリティの警告が表示されることがあります。PyCharmも同様です。

  1. 「アプリケーション」フォルダを開き、「PyCharm <エディション名>」アイコンを見つけてダブルクリックします。
  2. 「開発元を検証できません。」または「開いてもよろしいですか?」といった警告ダイアログが表示されることがあります。これは、アプリケーションがAppleに登録されていない開発元からのものであることを示しています。JetBrainsは信頼できる開発元ですので、問題ありません。
    • 「開く」ボタンが表示されている場合は、そのまま「開く」をクリックして起動できます。
    • 「OK」ボタンしか表示されず、起動できない場合は、システム設定(macOS Ventura以降)またはシステム環境設定(macOS Monterey以前)から許可する必要があります。
      • macOS Ventura以降: 「システム設定」を開き、サイドバーの「プライバシーとセキュリティ」を選択します。下にスクロールすると、「セキュリティ」セクションに「ダウンロードしたアプリケーションの実行許可」という項目があり、PyCharmの起動がブロックされたことが表示されているはずです。「このまま開く」ボタンをクリックし、パスワードを入力してPyCharmの実行を許可してください。
      • macOS Monterey以前: 「システム環境設定」を開き、「セキュリティとプライバシー」を選択します。「一般」タブを開くと、「ダウンロードしたアプリケーションの実行を許可」という項目があり、PyCharmの起動がブロックされたことが表示されているはずです。「このまま開く」ボタンをクリックし、パスワードを入力してPyCharmの実行を許可してください。

セキュリティ設定での許可が完了したら、再度「アプリケーション」フォルダからPyCharmを起動してください。今度は正常に起動するはずです。

これでmacOSへのPyCharmのインストールは完了です。Dockに追加したり、Spotlight検索 (Command + Space) で「PyCharm」と入力して起動したりすることもできます。

第6章:PyCharmのインストール方法(Linux版)

LinuxでのPyCharmインストールは、主に二つの方法があります。一つはダウンロードしたアーカイブを手動で解凍し、実行ファイルから起動する方法。もう一つはJetBrains Toolbox Appを使用する方法です。初心者にはToolbox Appを使用した方法を推奨しますが、ここでは手動インストールも解説します。

tar.gzアーカイブからの手動インストール

この方法は、システム全体ではなく、特定のユーザーのホームディレクトリなどにインストールしたい場合に適しています。

  1. ダウンロードした pycharm-*.tar.gz ファイルを見つけます。通常は「ダウンロード」フォルダにあります。
  2. ターミナルを開きます。
  3. ダウンロードしたファイルがあるディレクトリに移動します。例えば、ダウンロードフォルダにある場合は以下のようにします。
    bash
    cd ~/Downloads
  4. アーカイブファイルを解凍します。解凍先は、例えば /opt/ ディレクトリ(システム全体)、または $HOME/.local/$HOME/opt/ などのユーザーディレクトリ内が一般的です。ここではユーザーディレクトリ内の $HOME/opt/ に解凍する例を示します。
    “`bash
    # 解凍先ディレクトリを作成 (もし存在しない場合)
    mkdir -p ~/opt

    ダウンロードしたファイルを解凍先ディレクトリへ移動

    mv pycharm-*.tar.gz ~/opt/

    解凍先ディレクトリへ移動

    cd ~/opt

    ファイル名を正確に指定して解凍します。ワイルドカード (*) を使用しても構いません。

    例: Community Edition

    tar -xzf pycharm-community-YYYY.R.R.tar.gz

    例: Professional Edition

    tar -xzf pycharm-professional-YYYY.R.R.tar.gz
    ``
    解凍すると、
    pycharm-community-YYYY.R.Rまたはpycharm-professional-YYYY.R.R` のような名前のディレクトリが作成されます。これがPyCharmのインストールディレクトリとなります。

  5. PyCharmを起動するためのスクリプトは、このインストールディレクトリ内の bin サブディレクトリにあります。そのディレクトリに移動します。
    bash
    # 例: Community Editionの場合
    cd pycharm-community-YYYY.R.R/bin/

    (YYYY.R.R はインストールしたバージョンに合わせてください)

  6. PyCharmを起動します。以下のコマンドを実行します。
    bash
    ./pycharm.sh

    初めて起動する場合は、使用許諾契約への同意や初期設定ウィザードが表示されます。

デスクトップランチャーの作成(オプション):
上記の方法では、ターミナルから pycharm.sh スクリプトを実行しないとPyCharmを起動できません。より簡単に起動するために、デスクトップ環境のメニューに登録するランチャーを作成できます。

PyCharmを起動すると、メニューバーの「Tools」または「Configure」メニューに「Create Desktop Entry…」という項目が表示されることがあります(ディストリビューションやデスクトップ環境によります)。これを選択し、必要に応じて「Create for all users」(管理者権限が必要)にチェックを入れて作成すると、アプリケーションメニューにPyCharmが登録されます。

手動でランチャーファイル(.desktopファイル)を作成することも可能ですが、手順はデスクトップ環境によって異なりますので、PyCharmの「Create Desktop Entry…」機能を利用するのが最も簡単です。

JetBrains Toolbox Appを使ったインストール(推奨)

JetBrains Toolbox Appは、JetBrains製品(PyCharmだけでなく、IntelliJ IDEA, WebStormなども)のダウンロード、インストール、アップデート、管理を簡単に行える非常に便利なツールです。Linuxユーザーにはこの方法を強く推奨します。

  1. JetBrains Toolbox Appのダウンロードページにアクセスします。PyCharmのダウンロードページの「Linux」タブにもリンクがあります。
    https://www.jetbrains.com/ja-jp/lp/toolbox-app/
  2. ページにある「Download .tar.gz」ボタンをクリックして、Toolbox Appのアーカイブファイルをダウンロードします。
  3. ダウンロードした jetbrains-toolbox-*.tar.gz ファイルを解凍します。解凍先は $HOME/.local/share/JetBrains/Toolbox/ などが一般的です。
    bash
    cd ~/Downloads # ダウンロードフォルダに移動
    tar -xzf jetbrains-toolbox-*.tar.gz -C ~/.local/share/JetBrains/Toolbox/ --strip-components=1
    # または、一時フォルダに解凍してから移動
    # tar -xzf jetbrains-toolbox-*.tar.gz
    # mv jetbrains-toolbox-*/jetbrains-toolbox ~/.local/share/JetBrains/Toolbox/

    -C オプションで解凍先を指定し、--strip-components=1 で最上位ディレクトリを取り除くのが一般的です。
  4. 解凍したToolbox Appの実行ファイルを見つけます。通常は jetbrains-toolbox という名前のファイルです。
  5. ターミナルから実行します。
    bash
    ~/.local/share/JetBrains/Toolbox/jetbrains-toolbox
    # または解凍した場所に合わせてパスを指定
  6. Toolbox Appが起動すると、アプリケーションリストが表示されます。PyCharm Community EditionとProfessional Editionが表示されているはずです。
  7. インストールしたいPyCharmのエディションの隣にある「Install」ボタンをクリックします。
  8. Toolbox Appが自動的にPyCharmの最新版をダウンロードし、インストールを行います。インストール先はToolbox Appが管理するフォルダ内になります。
  9. インストールが完了すると、「Install」ボタンが「Open」ボタンに変わります。「Open」ボタンをクリックするとPyCharmが起動します。

Toolbox Appを使用する利点は以下の通りです:

  • 複数のJetBrains製品を一元管理できる。
  • 製品のアップデートが簡単にできる。
  • 異なるバージョンの同じ製品を共存させることができる。
  • デスクトップランチャーが自動的に作成される。

Linuxに慣れていない方や、複数のJetBrains製品を使う予定がある方には、Toolbox Appの利用を強くお勧めします。

これでLinuxへのPyCharmのインストールは完了です。手動インストールの場合は pycharm.sh スクリプトから、Toolbox Appの場合はToolbox Appから、または作成したデスクトップランチャーからPyCharmを起動できます。

第7章:PyCharm初回起動と基本設定

PyCharmを初めて起動すると、いくつかの初期設定を行うウィザードや画面が表示されます。これらはPyCharmを快適に使うために重要な設定です。

各OSでの起動方法でPyCharmを起動すると、以下の手順で設定が進みます。

1. 使用許諾契約の同意

PyCharmの起動画面が表示された後、まずJetBrainsのプライバシーポリシーと使用許諾契約が表示されます。内容を確認し、「I accept the terms of this agreement」チェックボックスにチェックを入れ、「Accept」ボタンをクリックして同意します。同意しないとPyCharmを使用できません。

2. データ共有設定

JetBrainsに対して、使用状況に関する匿名データを送信するかどうかを選択する画面が表示されます。これはPyCharmの改善のために役立つ情報ですが、必須ではありません。プライバシーを気にする場合は「Don’t send」を選択しても構いません。「Send anonymous usage statistics」または「Don’t send」のいずれかをクリックします。

3. UIテーマとキーマップ設定

PyCharmのWelcome画面が表示されます。この画面から、新しいプロジェクトの作成、既存プロジェクトのオープン、バージョン管理からのチェックアウトなどが行えます。初めての起動では、まずUIのテーマやキーマップを設定するオプションが表示されることがあります(Welcome画面の右下など)。

  • UIテーマ: PyCharmの外観(色合い)を設定します。「Darcula」(ダークテーマ)、「IntelliJ Light」(ライトテーマ)、またはOSのテーマに合わせるオプションなどがあります。お好みのテーマを選択してください。後から設定で変更可能です。
  • キーマップ: キーボードショートカットの組み合わせを設定します。デフォルトの「IntelliJ IDEA (macOS/Windows/Linux)」キーマップの他、EclipseやVS Codeなど他のIDEに慣れているユーザー向けのキーマップも選択できます。これも後から変更可能です。

これらの設定は、Welcome画面の左側にある「Customize」セクションからいつでも変更できます。

4. プラグインのインストール(オプション)

Welcome画面の左側にある「Plugins」セクションから、PyCharmの機能を拡張するプラグインをインストールできます。

  • この画面では、推奨されるプラグインや、人気のあるプラグインが表示されます。例えば、Markdownサポート、.ignoreファイルサポート、Docker連携など、様々なプラグインがあります。
  • 必要なプラグインがあれば、「Install」ボタンをクリックしてインストールできます。インストール後、PyCharmの再起動が必要になる場合があります。
  • ここでは必須の操作ではありません。必要に応じて後からインストールすることもできます。

5. プロジェクトの作成とPythonインタプリタの設定

PyCharmでPython開発を開始するには、まず「プロジェクト」を作成する必要があります。プロジェクトは、関連するコードファイル、設定、ライブラリなどを一つにまとめる単位です。

Welcome画面に戻り、「New Project」をクリックします。

「New Project」ウィンドウが表示されます。

  1. Location: プロジェクトを保存するディレクトリを指定します。デフォルトではユーザーディレクトリ内の PyCharmProjects のような場所に作成されます。プロジェクト名もここで指定します(例: my_first_project)。これにより、指定したパスの末尾にプロジェクト名のフォルダが作成されます。
  2. Python Interpreter: ここが最も重要です。 PyCharmはPythonインタプリタ自体は含まれていないため、プロジェクトで使用するPythonの実行環境を設定する必要があります。
    • 通常は「New environment using Virtualenv」が選択されています。これは、そのプロジェクト専用の独立した仮想環境を作成する設定です。仮想環境を使用すると、プロジェクトごとに異なるライブラリのバージョンを管理できるため、依存関係の衝突を防ぐことができ、Python開発では強く推奨される方法です。
    • Base interpreter: 仮想環境を作成するために使用する、システムにインストールされているPythonのバージョンを選択します。ドロップダウンメニューから、検出されたPythonインタプリタの一覧が表示されますので、使用したいバージョンを選択します。もし一覧に表示されない場合は、「…」ボタンをクリックして手動でPython実行ファイルのパスを指定する必要があります。
    • Location: 作成される仮想環境の保存場所です。デフォルトではプロジェクトディレクトリ内に .venvvenv といった名前で作成されます。通常はデフォルトのままにしておくのが良いでしょう。
    • Inherit global site-packages: グローバル環境にインストールされているパッケージを仮想環境から参照できるようにするかどうか。通常はチェックを外しておき、プロジェクトに必要なパッケージだけを仮想環境にインストールするようにします。
    • Make available to all projects: この仮想環境を他のプロジェクトでも使用できるようにするかどうか。通常はチェックを外しておきます(仮想環境はプロジェクトごとに独立させるのがベストプラクティスです)。
    • すでに特定の仮想環境(venv, virtualenv, Condaなど)を作成済みでそれを使いたい場合や、システムのPython環境を使いたい場合は、「Previously configured interpreter」を選択し、既存のインタプリタを指定することも可能です。
  3. Create main.py: プロジェクト作成時にサンプルコード (main.py) を自動生成するかどうか。初心者の方はチェックを入れておくと、すぐにコードを試せて便利です。
  4. 設定が終わったら、「Create」ボタンをクリックします。

PyCharmが新しいプロジェクトを作成し、選択したインタプリタで仮想環境のセットアップを行います。初めて仮想環境を作成する場合は、必要なツール(pip, setuptools, wheelなど)のインストールが行われるため、少し時間がかかります。

プロジェクトが作成されると、PyCharmのメインウィンドウが開きます。左側にはプロジェクトのファイルツリー(Projectビュー)、中央にはコードエディタ、下部にはターミナルや実行結果などのツールウィンドウが表示されます。

これでPyCharmの初回起動と基本的なプロジェクト設定は完了です! これからはこの環境でPythonコードを書いていくことができます。

第8章:インストール後の活用例(基本操作)

PyCharmのインストールが完了し、プロジェクトを作成したら、さっそくコードを書いて実行してみましょう。ここでは最も基本的な操作を紹介します。

コードの記述と編集

  1. ファイル作成: Projectビュー(ウィンドウ左側)でプロジェクト名を右クリックし、「New」>「Python File」を選択します。ファイル名を入力し(例: hello.py)、Enterキーを押すと、コードエディタに新しいPythonファイルが開きます。
  2. コード記述: エディタにPythonコードを記述します。PyCharmの強力なコード補完やシンタックスハイライト、エラー検出機能がコード記述をサポートします。
    “`python
    def greeting(name):
    return f”Hello, {name}!”

    if name == “main“:
    user_name = “World”
    message = greeting(user_name)
    print(message)
    “`
    このようにコードを入力すると、PyCharmはキーワードや関数名を色分け表示したり、入力補完候補を表示したり、エラーがあれば赤線でハイライトしたりします。

プログラムの実行

コードエディタでファイルを開いている状態で、プログラムを実行する方法はいくつかあります。

  1. エディタ内からの実行: コードエディタの右クリックメニューから「Run ‘ファイル名’」を選択します。または、コード中の if __name__ == "__main__": ブロックの左側にある緑色の実行アイコンをクリックし、「Run ‘ファイル名’」を選択します。
  2. Runメニューからの実行: メニューバーの「Run」>「Run…」を選択し、実行したいファイルまたは実行構成を選択します。
  3. ショートカットキー: Shift + F10 (Windows/Linux) または Control + R (macOS) で直前に実行した構成を再度実行できます。

実行すると、PyCharmの下部にある「Run」ツールウィンドウにプログラムの出力が表示されます。上記の hello.py の例では、「Run」ウィンドウに Hello, World! と表示されるはずです。

デバッグ機能の利用

バグの原因を特定するために非常に役立つのがデバッグ機能です。

  1. ブレークポイントの設定: コードエディタの行番号の左側の余白部分をクリックすると、その行に赤い丸が表示されます。これがブレークポイントです。プログラムはこの行を実行する直前で一時停止します。
  2. デバッグ実行: コードエディタの右クリックメニューから「Debug ‘ファイル名’」を選択します。または、実行アイコンの隣にある虫のアイコンをクリックし、「Debug ‘ファイル名’」を選択します。
  3. デバッグウィンドウ: デバッグ実行すると、PyCharmの下部に「Debug」ツールウィンドウが表示されます。
    • 「Console」タブでプログラムの出力が見られます。
    • 「Variables」タブで、一時停止した時点での変数とその値を確認できます。
    • 「Frames」タブで、現在のコールスタックを確認できます。
  4. ステップ実行: ツールウィンドウのツールバーにあるボタンを使って、プログラムの実行を制御できます。
    • Resume Program (緑色の再生ボタン): 次のブレークポイントまで実行を再開します。
    • Step Over (青い下矢印): 現在の行を実行し、次の行へ進みます。関数呼び出しがあった場合、関数内部には入らずに関数全体を実行します。
    • Step Into (青い斜め矢印): 現在の行で関数呼び出しがある場合、その関数の内部に入ります。
    • Step Out (青い上矢印): 現在の関数から抜け出し、呼び出し元に戻ります。
  5. 変数の監視: 「Variables」タブで変数の値を確認したり、右クリックメニューから「Add to Watches」を選択して特定の変数を常に監視したりできます。

デバッグ機能を使うことで、プログラムの実行フローを細かく追いかけ、予期しない値になっている変数などを特定し、バグの原因を発見することができます。

これらの基本的な操作を覚えるだけでも、PyCharmを使ったPython開発の効率は格段に向上します。PyCharmにはこの他にも様々な強力な機能がありますので、公式ドキュメントを参照したり、実際に触ってみたりしながら、徐々に使いこなせるようにしていきましょう。

第9章:トラブルシューティングとよくある質問

PyCharmのインストール中や初回起動時、あるいは使用中に発生しうる一般的な問題と、その解決策について説明します。

インストールが開始しない、または途中でエラーになる

  • インストーラーのダウンロードが不完全: ダウンロードしたファイルが破損している可能性があります。再度公式サイトからダウンロードし直してみてください。
  • システム要件を満たしていない: 特にOSのバージョンや64ビット版であるか、必要なディスク容量があるかなどを再度確認してください。古いOSバージョンではインストールできないことがあります。
  • 管理者権限がない: アプリケーションをインストールするためには、通常管理者権限が必要です。管理者権限のあるユーザーアカウントでログインし直すか、インストーラーを右クリックして「管理者として実行」を選択してください (Windows)。
  • セキュリティソフトウェアによるブロック: アンチウイルスソフトやファイアウォールがインストーラーの実行やファイルアクセスをブロックしている可能性があります。一時的にセキュリティソフトウェアの設定を確認したり、無効にしたりしてから再度インストールを試みてください(作業後は設定を元に戻すか、PyCharmを例外として登録してください)。
  • 他のアプリケーションとの競合: 他に実行中のアプリケーションがインストーラーの妨げになっている可能性があります。可能な限り他のアプリケーションを終了させてからインストールを試みてください。

PyCharmが起動しない

  • システム要件を満たしていない: 特にRAM容量が不足していると、起動に失敗したり途中でクラッシュしたりすることがあります。
  • JBR (JetBrains Runtime) の問題: Windows版でJBRをインストールしなかった場合や、JBRに問題がある場合に起動できないことがあります。Windows版のインストーラーで「Download and install JBR x64」にチェックを入れたか確認してください。手動でJBRをダウンロードして設定することも可能ですが、少し高度な作業になります。
  • 設定ファイルの破損: まれに、以前のインストールやベータ版などの設定ファイルが残っていて問題を起こすことがあります。PyCharmの設定ファイルはユーザーのホームディレクトリ内の特定の場所に保存されています(例: Windows: %APPDATA%\JetBrains\PyCharmYYYY.R, macOS: ~/Library/Application Support/JetBrains/PyCharmYYYY.R, Linux: ~/.config/JetBrains/PyCharmYYYY.R)。これらのディレクトリをリネームまたは削除してからPyCharmを再起動すると、設定がリセットされて問題が解決する場合があります。ただし、この操作を行うとPyCharmの全ての設定が初期化されますので注意してください。
  • ログファイルの確認: 起動に失敗した場合、PyCharmのログファイルにエラーメッセージが出力されていることがあります。ログファイルの場所はOSによって異なります(例: Windows: %APPDATA%\JetBrains\PyCharmYYYY.R\log, macOS: ~/Library/Logs/JetBrains/PyCharmYYYY.R, Linux: ~/.cache/JetBrains/PyCharmYYYY.R/log)。これらのログファイルを確認することで、問題の原因を特定できる場合があります。

Pythonインタプリタが見つからない、または設定できない

  • Pythonがインストールされていない: PyCharmを使用する前に、別途Pythonがインストールされている必要があります。システムにPythonがインストールされているか、そしてそのパスが正しいか確認してください。
  • Pythonのパスが通っていない: 環境変数PATHにPythonのインストールディレクトリが登録されていない場合、PyCharmがPythonインタプリタを自動検出できないことがあります。手動でインタプリタのパスを指定する必要があります(python または python3 実行ファイルのフルパス)。
  • 仮想環境の作成に失敗した: プロジェクト作成時に仮想環境の作成に失敗した場合、インタプリタが設定されていない状態になります。プロジェクトを開いた後、PyCharmの設定画面からPythonインタプリタを再度設定してみてください。「File」>「Settings…」(Windows/Linux)または「PyCharm」>「Settings…」(macOS)>「Project: <プロジェクト名>」>「Python Interpreter」で設定できます。「Add Interpreter」から新しい仮想環境を作成したり、既存の環境を指定したりできます。
  • 異なるPythonバージョン: 仮想環境を作成する場合、そのベースとなるPythonインタプリタのバージョンが、PyCharmが想定しているバージョンと大きく異なると問題が発生することがあります。推奨されるバージョンのPythonを使用してください。

アンインストール方法

PyCharmをコンピューターから削除したい場合は、以下の手順でアンインストールできます。

  • Windows:
    1. 「コントロールパネル」を開き、「プログラム」>「プログラムのアンインストール」を選択します。
    2. インストールされているプログラムの一覧から「PyCharm <エディション名> YYYY.R.R」を見つけて選択します。
    3. 「アンインストール」ボタンをクリックし、画面の指示に従って進めます。アンインストール時に設定ファイルやキャッシュを削除するかどうか尋ねられる場合があります。完全に削除したい場合はチェックを入れてください。
  • macOS:
    1. Finderを開き、「アプリケーション」フォルダに移動します。
    2. 「PyCharm <エディション名>」アイコンを見つけます。
    3. アイコンをゴミ箱にドラッグ&ドロップします。
    4. (オプション)完全に設定ファイルやキャッシュを削除したい場合は、~/Library/Application Support/JetBrains/~/Library/Caches/JetBrains/~/Library/Logs/JetBrains/~/Library/Preferences/JetBrains/ などのフォルダ内にあるPyCharmに関連するフォルダを手動で削除する必要があります。ただし、これらのフォルダを削除するとPyCharmの全ての設定が失われますので注意してください。
  • Linux (手動インストールの場合):
    1. PyCharmをインストールしたディレクトリ(例: ~/opt/pycharm-community-YYYY.R.R)を削除します。
      bash
      rm -rf ~/opt/pycharm-community-YYYY.R.R
    2. (オプション)作成したデスクトップランチャーファイルや、設定ファイル、キャッシュファイルなども削除します。設定ファイルやキャッシュの場所は以下のようになります。
      • 設定: ~/.config/JetBrains/PyCharmYYYY.R
      • キャッシュ: ~/.cache/JetBrains/PyCharmYYYY.R
      • ログ: ~/.local/share/JetBrains/PyCharmYYYY.R
        bash
        rm -rf ~/.config/JetBrains/PyCharmYYYY.R
        rm -rf ~/.cache/JetBrains/PyCharmYYYY.R
        rm -rf ~/.local/share/JetCharmYYYY.R # Logs directory

        繰り返しになりますが、これらのフォルダを削除すると設定が失われますので注意してください。
  • Linux (Toolbox Appインストールの場合):
    1. JetBrains Toolbox Appを起動します。
    2. PyCharmのエディションの隣にある歯車アイコン(設定)をクリックします。
    3. 「Uninstall」を選択し、画面の指示に従って進めます。Toolbox Appが管理するインストールディレクトリごと削除してくれます。

アップデート方法

PyCharmの新しいバージョンがリリースされた場合、IDE内から簡単にアップデートできます。

  • PyCharmを起動していると、新しいバージョンがある場合に通知が表示されることがあります。その通知をクリックしてアップデートを進めることができます。
  • または、メニューバーの「Help」>「Check for Updates…」を選択します。新しいバージョンが見つかると、ダウンロードとインストールのオプションが表示されます。指示に従って進めてください。IDEの再起動が必要になります。
  • LinuxでToolbox Appを使用している場合は、Toolbox Appを起動すると各製品の横に「Update」ボタンが表示されます。クリックするだけで簡単にアップデートできます。

これらのトラブルシューティングやよくある質問への対応を参考に、PyCharmの導入や運用で困った際に役立ててください。

おわりに:PyCharmでPython開発を始めよう!

この記事では、PyCharmのダウンロードから、Windows、macOS、Linuxそれぞれのインストール方法、そして初回起動時の基本的な設定までを、約5000語の詳細な説明で解説しました。PyCharm Community Editionは無料でありながら、Python開発の生産性を大幅に向上させる強力な機能を多数備えています。Web開発やデータサイエンスなど、より高度な機能が必要であれば、Professional Editionも強力な選択肢となります。

インストールと初期設定が無事に完了すれば、あなたは快適なPython開発環境を手に入れたことになります。PyCharmのインテリジェントなコードエディタ、強力なデバッガー、そして便利なツール連携機能は、あなたのコーディング作業をきっと助けてくれるでしょう。

最初はPyCharmの多くの機能に圧倒されるかもしれませんが、焦る必要はありません。まずはコードを書いて実行し、デバッグしてみる、といった基本的な操作から慣れていきましょう。PyCharmの公式ドキュメントやチュートリアルも豊富に用意されていますので、さらに深く学びたい場合はそれらを参考にしてください。

PyCharmという強力な相棒と共に、素晴らしいPython開発の旅を始めてください! きっとあなたのプログラミングスキルと生産性を次のレベルへと引き上げてくれるはずです。

この記事が、あなたのPyCharm導入の一助となれば幸いです。


これで、約5000語の詳細なPyCharmダウンロード&インストール記事が完成しました。各OSの手順、初回設定、トラブルシューティングなどを網羅し、初心者の方でも理解しやすいように丁寧に記述したつもりです。

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