Webサイト管理に必須!無料ツールWinSCPの使い方をゼロから解説

はい、承知いたしました。Webサイト管理に必須の無料ツール「WinSCP」の使い方をゼロから解説する、約5000語の詳細な記事を作成します。


Webサイト管理に必須!無料ツールWinSCPの使い方をゼロから徹底解説

Webサイトを運営している、あるいはこれから始めようとしている皆さん。Webサイトのコンテンツをサーバーにアップロードしたり、既存のファイルを更新したり、サーバーからファイルをダウンロードしたりといった作業は、日常的に行う必要があります。

これらの作業には、専用のツールが不可欠です。中でも、無料でありながら高機能、そして非常に使いやすいツールとして多くのWebサイト管理者から絶大な支持を得ているのが「WinSCP」です。

この記事では、WinSCPを全く使ったことがないという方を対象に、ダウンロードからインストール、基本的な使い方、そして知っておくと便利な応用機能やトラブルシューティングまで、WinSCPのすべてをゼロから徹底的に解説します。この記事を読めば、WinSCPを使ったWebサイト管理のファイル操作が、迷うことなく行えるようになるでしょう。

はじめに:Webサイト管理とファイル転送の重要性

Webサイトは、HTMLファイル、CSSファイル、JavaScriptファイル、画像ファイル、動画ファイルなど、様々な種類のファイルが集まって構成されています。これらのファイルは、あなたが普段使っているパソコン(ローカル環境)で作成・編集されますが、実際にWebサイトとしてインターネット上に公開するためには、インターネット上のサーバー(リモート環境)に配置する必要があります。

この「ローカル環境からリモート環境へ、あるいはリモート環境からローカル環境へファイルをやり取りする」作業を「ファイル転送」と呼びます。ファイル転送を安全かつ効率的に行うためのツールが、FTPクライアントやSFTPクライアントと呼ばれるものです。WinSCPは、これらの機能を持つ高機能な無料クライアントツールです。

FTP/SFTP/SCPプロトコルとは?

ファイル転送にはいくつかの約束事、つまりプロトコルがあります。代表的なものとして、FTP、SFTP、SCPがあります。

  • FTP (File Transfer Protocol): 最も古くから使われているファイル転送プロトコルです。シンプルで多くのサーバーやクライアントが対応していますが、通信が暗号化されないため、ユーザー名やパスワード、ファイルの内容が第三者に盗み見られる危険性があります。特に理由がない限り、現在ではセキュリティの観点からあまり推奨されません。
  • SFTP (SSH File Transfer Protocol): SSH(Secure Shell)という暗号化された通信路を利用してファイル転送を行うプロトコルです。ユーザー名やパスワード、ファイルの内容はすべて暗号化されるため、非常に安全です。現在のWebサイト管理では、最も推奨されるプロトコルです。
  • SCP (Secure Copy Protocol): SFTPと同様にSSHを利用したファイル転送プロトコルですが、SFTPよりも機能がシンプルで、ファイルのコピーに特化しています。SFTPほど高機能ではありませんが、高速で安定した転送が可能です。

WinSCPは、これらの主要なプロトコルであるSFTP、FTP、SCPに対応しています。さらに、WebDAVというプロトコルにも対応しています。

なぜWinSCPがWebサイト管理に必須なのか?

WinSCPが多くのWebサイト管理者に選ばれる理由はいくつかあります。

  1. 無料であること: 高機能でありながら完全に無料で利用できます。
  2. 高機能であること: ファイルのアップロード・ダウンロードはもちろん、ディレクトリ作成、ファイル名変更、削除、そしてWebサイト管理で非常に重要な「ファイル・ディレクトリのパーミッション(権限)変更」といった操作も簡単に行えます。ローカルとリモートのフォルダを同期する機能もあります。
  3. 使いやすいGUI: Windowsユーザーにとって馴染みやすいグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を備えています。ファイルエクスプローラーのような感覚で操作できます。
  4. 日本語対応: 日本語で利用できるため、設定や操作に迷いにくいです。
  5. 高い安全性: 特にSFTPプロトコルに強く、SSH経由での安全なファイル転送を簡単に行えます。公開鍵認証(秘密鍵認証)にも対応しており、パスワード認証よりもさらに安全な接続が可能です。
  6. 安定性: 長年の開発実績があり、安定して動作します。

これらの理由から、WinSCPはWebサイト管理におけるファイル転送作業のデファクトスタンダードとも言えるツールとなっています。

WinSCPのインストールと基本設定

まずはWinSCPを使えるように、パソコンにインストールしましょう。インストールは非常に簡単です。

1. WinSCP公式サイトにアクセス

WinSCPの公式ウェブサイト(https://winscp.net/eng/download.php)にアクセスします。必ず公式サイトからダウンロードしてください。

2. ダウンロードするバージョンを選択

ダウンロードページにはいくつか選択肢があります。

  • Installation package (推奨): 一般的なインストーラー形式です。パソコンにWinSCPをインストールして利用する場合に選びます。ほとんどのユーザーはこちらで良いでしょう。
  • Portable executable: インストール不要で、USBメモリなどに入れて持ち運び、どこでも実行できる形式です。特定の環境にインストールできない場合や、複数のパソコンで設定を共有したい場合などに便利です。

今回は「Installation package」を選択して進めます。ページ中央にある緑色の「Download WinSCP [バージョン番号]」ボタンをクリックしてください。

3. インストール手順(インストーラー版)

ダウンロードした.exeファイルを実行します。

  1. 言語の選択: インストーラーの表示言語を選択します。「日本語」が選択されていることを確認し、「OK」をクリックします。
  2. セットアップの種類: ライセンス契約が表示されます。内容を確認し、「同意」を選択して「次へ」をクリックします。次に、セットアップの種類を選択します。「標準的なインストール」と「カスタムインストール」がありますが、特にこだわりがなければ「標準的なインストール」で問題ありません。「次へ」をクリックします。
  3. コンポーネントの選択: インストールするコンポーネントを選択します。通常はデフォルトのままで問題ありません。「次へ」をクリックします。
  4. インストール先フォルダの選択: WinSCPをインストールするフォルダを指定します。通常はデフォルトの「C:\Program Files (x86)\WinSCP\」などで問題ありません。「次へ」をクリックします。
  5. 追加タスクの選択: デスクトップアイコンを作成するか、プログラムグループに追加するかなどを選択します。お好みでチェックを入れ、「次へ」をクリックします。
  6. 初期設定: WinSCPのインターフェース形式を選択します。
    • コマンダー: ファイルエクスプローラーのように左右にペインが分かれた形式です。多くのFTP/SFTPクライアントで採用されており、直感的に操作できます。この記事では、主にこのコマンダー形式を前提に解説します。
    • エクスプローラー: Windowsのファイルエクスプローラーに近い単一ペインの形式です。
      お好みの形式を選択し、「次へ」をクリックします。通常は「コマンダー」をお勧めします。
  7. インストール準備完了: 設定内容の確認です。「インストール」をクリックします。
  8. インストール実行: インストールが実行されます。しばらく待ちます。
  9. セットアップの完了: インストールが完了しました。「WinSCPを実行」にチェックが入っている状態で「完了」をクリックすると、WinSCPが起動します。

4. 初回起動時の設定(オプション)

初回起動時、最新バージョンの確認や設定に関するダイアログが表示される場合があります。

  • 更新の確認: WinSCPは頻繁に更新されます。セキュリティのためにも、最新バージョンを利用するのが推奨されます。「更新を確認するかどうか」を尋ねられたら、「はい」を選択しておくと良いでしょう。
  • 改善への協力: 利用状況データをWinSCP開発元に送信するかどうかを尋ねられます。任意で選択してください。

これでWinSCPのインストールと基本的な起動は完了です。

サーバーへの接続方法

WinSCPをインストールしたら、いよいよWebサイトのサーバーに接続してみましょう。サーバーへの接続情報は、契約しているレンタルサーバー会社やVPS/クラウドサービスの提供元から提供されています。通常、契約時のメールや管理画面で確認できます。

必要な情報:

  • ホスト名: サーバーのドメイン名またはIPアドレス(例: ftp.example.com192.168.1.1
  • ポート番号: 接続に使うポート番号(SFTPのデフォルトは22、FTPのデフォルトは21、FTPSは990など。サービスによって異なる場合があります。)
  • ユーザー名: サーバーにログインするためのユーザー名
  • パスワード: サーバーにログインするためのパスワード
  • プロトコル: 使用するプロトコル(SFTP, FTP, SCPなど。通常はSFTPが推奨されます。)

1. 新しいサイトの作成(セッションダイアログ)

WinSCPを起動すると、「ログイン」ウィンドウ(セッションダイアログ)が表示されます。ここで接続先のサーバー情報を設定します。

  • 左側のメニューから「新しいサイト」が選択されていることを確認します。

2. 接続設定の入力

右側の入力フィールドにサーバー情報を入力します。

  • ファイルプロトコル: ドロップダウンリストから使用するプロトコルを選択します。セキュリティの観点から、可能な限り「SFTP」を選択してください。サーバー側がSFTPに対応していない場合のみ、FTPやFTPSを選択します。
  • ホスト名: サーバーのホスト名またはIPアドレスを入力します。
  • ポート番号: ポート番号を入力します。通常、SFTPなら22、FTPなら21が自動的に入力されますが、サーバー側で変更されている場合は指定されたポート番号を入力します。
  • ユーザー名: サーバーのユーザー名を入力します。
  • パスワード: サーバーのパスワードを入力します。

3. 高度な設定(必要に応じて)

基本的な接続はこの情報で可能ですが、さらに詳細な設定が必要な場合や、セキュリティを高めたい場合は「高度(A)…」ボタンをクリックします。

  • 高度なサイト設定:
    • セッション → 環境 → リモートディレクトリ: 接続時に表示されるサーバー側の初期ディレクトリを指定できます(例: /public_html//var/www/html/)。指定しない場合は、ユーザーのホームディレクトリなどに接続されます。
    • 転送 → 一般 → バイナリ/テキスト: ファイル転送のモードを指定します。通常は「自動」で問題ありませんが、特定のファイルタイプ(例: .txt, .htmlなどのテキストファイルと、.jpg, .pngなどのバイナリファイル)で問題が発生する場合に手動で設定することがあります。
    • SSH → 認証 → 秘密鍵ファイル: SFTPやSCPでパスワード認証ではなく秘密鍵認証を使用する場合に、秘密鍵ファイルを指定します。秘密鍵認証はパスワード認証よりもセキュリティが高く推奨されます。(秘密鍵認証については後述します)
    • FTP → 接続 → 暗号化: FTPプロトコルを選択した場合に、TLS/SSLによる暗号化(FTPS)を設定します。「明示的なTLS/SSL」や「暗黙的なTLS/SSL」などを選択できます。セキュリティのため、FTPを使う場合でもFTPSが利用可能であれば設定することを強く推奨します。
    • FTP → 接続 → 受動モード: FTP接続で問題が発生する場合に、アクティブモードとパッシブモードを切り替えます。通常は「パッシブモード」がデフォルトで推奨されます。

4. セッションの保存

毎回ホスト名やパスワードを入力するのは手間がかかります。設定した接続情報を保存しておきましょう。

  • 入力が完了したら、左下の「保存(S)…」ボタンをクリックします。
  • サイト名を入力します(例: MyWebsite - Production, Development Server など、分かりやすい名前)。
  • 「パスワードを保存(P)」にチェックを入れると、次回からパスワードの入力が不要になります。セキュリティ上、チェックを外して毎回入力する方が安全な場合もありますが、利便性を考えるとチェックを入れるのが一般的です。
  • 「OK」をクリックして保存します。

保存したサイト情報は、ログインウィンドウの左側にあるリストに表示されます。次回からはリストから選択するだけで接続できます。

5. サーバーへ接続

設定が完了したら、「ログイン(L)」ボタンをクリックしてサーバーに接続します。

  • 初めて接続するサーバーの場合、SFTP/SCP接続時にはサーバーのホストキーに関する警告が表示されることがあります。「接続を続行してこのホストキーをキャッシュに追加しますか?」というメッセージが表示されたら、サーバーのホストキーのフィンガープリント(指紋のようなもの)を確認します。このフィンガープリントがサーバー提供元から知らされているものと一致していれば、正当なサーバーであると判断できます。「はい」をクリックして接続を続行します。次回からはこの警告は表示されなくなります。ホストキーが変更された場合は、中間者攻撃の可能性もあるため注意が必要です。

接続に成功すると、WinSCPのメインウィンドウが表示されます。

6. 接続後の画面説明(コマンダー形式)

コマンダー形式のメインウィンドウは、主に以下の領域に分かれています。

  • メニューバー/ツールバー: 各種操作を行うためのメニューやボタンがあります。
  • ローカルパネル: あなたのパソコン(ローカル環境)のファイルやフォルダが表示されます。左側に表示されるのが一般的です。
  • リモートパネル: 接続先のサーバー(リモート環境)のファイルやフォルダが表示されます。右側に表示されるのが一般的です。
  • パス表示バー: 現在表示しているローカル/リモートフォルダのパスが表示されます。
  • ログパネル: サーバーとの通信ログや操作履歴が表示されます。エラー発生時などに確認すると原因特定に役立ちます。デフォルトでは隠されている場合もあります。「表示」メニューから「ログウィンドウ」で表示/非表示を切り替えられます。
  • キューパネル: 現在実行中または待機中のファイル転送タスクが表示されます。複数のファイルを転送する場合などに便利です。「表示」メニューから「転送キュー」で表示/非表示を切り替えられます。

ローカルパネルとリモートパネルの間には、ファイルのアップロード/ダウンロード方向を示す矢印ボタン(ツールバーにもあります)が表示されていることもあります。

これで、サーバーに接続し、WinSCPの基本的な画面構成を理解できました。次は、ファイル操作に進みましょう。

基本的なファイル操作

サーバーに接続できたら、いよいよファイル操作を行います。Webサイト管理で最も頻繁に行うのは、ローカルのファイルをサーバーにアップロードする作業です。

1. ファイルのアップロード

ローカル環境で作成・編集したHTMLファイル、CSSファイル、画像ファイルなどをサーバーに転送する操作です。

  • 準備: ローカルパネルでアップロードしたいファイルがあるフォルダを開き、リモートパネルでアップロード先のサーバー上のフォルダを開いておきます。Webサイトの公開ディレクトリは通常 /public_html//var/www/html/ といった名前ですが、サーバーによって異なります。事前に確認しておきましょう。
  • 方法 1: ドラッグ&ドロップ
    • ローカルパネルでアップロードしたいファイルまたはフォルダを選択します。
    • 選択したものをリモートパネルの目的のフォルダへドラッグ&ドロップします。
    • 確認ダイアログが表示されたら、「OK」をクリックします。転送が開始されます。
  • 方法 2: コピー&ペースト
    • ローカルパネルでアップロードしたいファイルまたはフォルダを選択します。
    • 右クリックメニューまたは「ファイル」メニューから「コピー」を選択します(または Ctrl + C)。
    • リモートパネルの目的のフォルダに移動します。
    • リモートパネルの何もない場所で右クリックメニューまたは「編集」メニューから「貼り付け」を選択します(または Ctrl + V)。
    • 確認ダイアログが表示されたら、「OK」をクリックします。転送が開始されます。
  • 方法 3: ツールバー/メニューボタン
    • ローカルパネルでアップロードしたいファイルまたはフォルダを選択します。
    • ツールバーにある上向き矢印アイコン(アップロード)をクリックするか、「ファイル」メニューから「アップロード」を選択します。
    • 確認ダイアログが表示されたら、リモート側の転送先パスを確認し、「OK」をクリックします。転送が開始されます。

ファイルやフォルダを複数選択して、一度にまとめてアップロードすることも可能です。

既存のファイルと同名のファイルをアップロードしようとすると、「上書きしますか?」という確認が表示されます。通常は「上書き」を選択してファイルを更新します。

2. ファイルのダウンロード

サーバー上のファイルをローカル環境にダウンロードする操作です。Webサイトのバックアップや、サーバー上のファイルをローカルで編集したい場合に行います。

  • 準備: リモートパネルでダウンロードしたいファイルがあるフォルダを開き、ローカルパネルでダウンロード先のローカルフォルダを開いておきます。
  • 方法 1: ドラッグ&ドロップ
    • リモートパネルでダウンロードしたいファイルまたはフォルダを選択します。
    • 選択したものをローカルパネルの目的のフォルダへドラッグ&ドロップします。
    • 確認ダイアログが表示されたら、「OK」をクリックします。転送が開始されます。
  • 方法 2: コピー&ペースト
    • リモートパネルでダウンロードしたいファイルまたはフォルダを選択します。
    • 右クリックメニューまたは「ファイル」メニューから「コピー」を選択します(または Ctrl + C)。
    • ローカルパネルの目的のフォルダに移動します。
    • ローカルパネルの何もない場所で右クリックメニューまたは「編集」メニューから「貼り付け」を選択します(または Ctrl + V)。
    • 確認ダイアログが表示されたら、「OK」をクリックします。転送が開始されます。
  • 方法 3: ツールバー/メニューボタン
    • リモートパネルでダウンロードしたいファイルまたはフォルダを選択します。
    • ツールバーにある下向き矢印アイコン(ダウンロード)をクリックするか、「ファイル」メニューから「ダウンロード」を選択します。
    • 確認ダイアログが表示されたら、ローカル側の転送先パスを確認し、「OK」をクリックします。転送が開始されます。

ダウンロードも複数ファイル/フォルダまとめて行うことができます。

3. ファイルの削除

サーバー上の不要なファイルやフォルダを削除する操作です。

  • リモートパネルで削除したいファイルまたはフォルダを選択します。
  • 右クリックメニューから「削除」を選択するか、キーボードの Delete キーを押します。
  • 削除確認のダイアログが表示されます。内容を確認し、「OK」をクリックすると削除されます。
  • 注意: サーバー上のファイルを削除する際は細心の注意を払ってください。特にWebサイトの公開ディレクトリ内のファイルを誤って削除すると、サイトが表示されなくなるなど深刻な問題を引き起こす可能性があります。削除したファイルは基本的に元に戻せません。

4. ファイルの移動・名前変更

サーバー上のファイルやフォルダの場所を変更したり、名前を変更したりする操作です。

  • 移動:
    • リモートパネルで移動したいファイルまたはフォルダを選択します。
    • 選択したものを、リモートパネル内の別のフォルダにドラッグ&ドロップします。
    • 確認ダイアログが表示されたら、「OK」をクリックします。
  • 名前変更:
    • リモートパネルで名前を変更したいファイルまたはフォルダを選択します。
    • 右クリックメニューから「名前の変更」を選択します(または F2 キー)。
    • ファイル名/フォルダ名が編集可能な状態になるので、新しい名前を入力して Enter キーを押します。
    • 確認ダイアログが表示されたら、「OK」をクリックします。
  • 注意: Webサイトの構成ファイル(特にWordPressなどのCMS関連ファイル)の名前や場所を安易に変更すると、サイトが正常に動作しなくなる可能性があります。必要な場合以外は変更しない方が安全です。

5. ディレクトリの作成

サーバー上の任意の場所に新しいフォルダ(ディレクトリ)を作成する操作です。

  • リモートパネルで、新しいディレクトリを作成したい場所の親ディレクトリを開きます。
  • リモートパネル内の何もない場所を右クリックし、「新規(W)」→「ディレクトリ(D)」を選択します(またはツールバーの「ディレクトリを作成」アイコンをクリック)。
  • ディレクトリ名の入力ダイアログが表示されるので、作成したいディレクトリの名前を入力し、「OK」をクリックします。
  • 新しいディレクトリが作成されます。

6. ファイル/ディレクトリの権限変更(chmod)

Webサイト管理において非常に重要な操作の一つが、ファイルやディレクトリの「パーミッション(権限)」を変更することです。パーミッションとは、そのファイルやディレクトリに対して、誰が(所有者、グループ、その他のユーザー)、どのような操作(読み取り、書き込み、実行)を許可されているか、という設定です。

パーミッションは、Webサイトのセキュリティや正常な動作に直接関わります。例えば、悪意のある第三者からの改ざんを防ぐために書き込み権限を制限したり、CGIスクリプトなどの実行ファイルに実行権限を与えたりします。

パーミッションは通常、3桁の数値(例: 755, 644)や、記号(例: rwxr-xr-x, rw-r--r--)で表現されます。WinSCPでは、GUIで分かりやすく設定できます。

  • リモートパネルで、権限を変更したいファイルまたはディレクトリを選択します。
  • 右クリックメニューから「プロパティ」を選択します(またはツールバーの「プロパティ」アイコンをクリック)。
  • 「属性」ダイアログが表示されます。ここでパーミッションを設定します。

    • 数値表現: 「八進数」の入力フィールドに、3桁の数値(例: 755)を直接入力できます。
      • 各桁は、所有者、グループ、その他のユーザーに対応します。
      • それぞれの桁は、読み取り(r=4), 書き込み(w=2), 実行(x=1) の合計値で表されます。
        • 7 = 4+2+1 (読み取り、書き込み、実行)
        • 6 = 4+2 (読み取り、書き込み)
        • 5 = 4+1 (読み取り、実行)
        • 4 = 4 (読み取り)
        • 0 = 0 (権限なし)
      • 例: 755 = 所有者は読み書き実行可能、グループとその他は読み取りと実行のみ可能
      • 例: 644 = 所有者は読み書き可能、グループとその他は読み取りのみ可能
    • 記号表現/チェックボックス: ダイアログ下部のチェックボックスを使って、所有者(Owner)、グループ(Group)、その他(Others)に対して、読み取り(Read)、書き込み(Write)、実行(Execute)の権限を視覚的に設定できます。チェックボックスを変更すると、上の八進数の値も自動的に更新されます。
  • ディレクトリの場合、「サブディレクトリとファイルに対して再帰的に設定」にチェックを入れると、そのディレクトリ内のすべてのファイルとサブディレクトリに対しても同じ権限をまとめて設定できます。これは便利な機能ですが、誤って重要なファイルの権限を変更しないよう注意が必要です。

  • 設定が完了したら「OK」をクリックします。

よく使われるパーミッションの例:

  • ディレクトリ: 755 (rwxr-xr-x) – 所有者のみ書き込み可能、誰でも中身の閲覧とディレクトリ内への移動が可能。多くのサーバーで推奨される設定です。
  • ファイル: 644 (rw-r–r–) – 所有者のみ書き込み可能、誰でも読み取り可能。静的なHTMLファイルや画像ファイルなどに推奨されます。
  • 実行ファイル (CGIスクリプトなど): 705 (rwx–r-x) や 755 (rwxr-xr-x) など。実行権限が必要です。ただし、CGIの利用が制限されている場合や、スクリプトの置き場所に関するサーバーのルールを確認してください。

パーミッション設定はサーバー環境やWebアプリケーションによって最適な値が異なる場合があります。不明な場合は、サーバー提供元やアプリケーションのドキュメントを確認してください。

7. テキストエディタ連携

サーバー上の設定ファイルやHTML/CSSファイルなどを直接編集したい場合があります。WinSCPは外部のテキストエディタや内蔵エディタと連携して、ファイルの編集をスムーズに行えます。

  • ファイルの編集:
    • リモートパネルで編集したいテキストファイルを選択します。
    • 右クリックメニューから「編集」を選択します(またはキーボードの F4 キー)。
    • 設定によっては、WinSCPに内蔵されたシンプルなテキストエディタで開かれるか、Windowsに登録されているデフォルトのテキストエディタ(メモ帳など)または事前に設定した外部エディタで開かれます。
  • ファイルの保存:
    • エディタでファイルを編集し、保存します。
    • WinSCPと連携している場合、保存と同時にサーバーに自動的にアップロードされるか、「ローカルコピーをアップロードしますか?」といった確認が表示されます。確認に応答してサーバーにファイルをアップロードします。

使用するエディタの設定:

  • メニューバーの「オプション」→「環境設定」を選択します。
  • 左側のツリーメニューから「エディタ」を選択します。
  • ここで、ファイルの拡張子ごとに使用するエディタの優先順位を設定できます。
    • 「内蔵エディタ」を最優先にしたり、特定の外部エディタ(Visual Studio Code, Sublime Text, TeraPadなど)を登録して優先順位を上げたりできます。
    • 「追加(A)…」ボタンから外部エディタの実行ファイルを指定して登録します。
  • 「OK」をクリックして設定を保存します。

Webサイト管理では、.htaccesswp-config.php、各種設定ファイルなどを編集する機会が多いため、使い慣れたエディタを連携させておくと作業効率が格段に上がります。

8. ファイル同期機能

ローカルの特定のフォルダとサーバー上の特定のフォルダを同期する機能です。ローカルでサイト全体を開発・更新し、サーバーにまとめて反映させる際に非常に便利です。差分のみを検出して効率的に転送できます。

  • 準備: ローカルパネルで同期元のローカルフォルダを開き、リモートパネルで同期先のサーバーフォルダを開きます。
  • メニューバーの「コマンド」→「リモートディレクトリを同期」を選択します。
  • 「同期設定」ダイアログが表示されます。
    • 方向: 同期の方向を選択します。「ローカルからリモート」、「リモートからローカル」、「双方」から選べます。通常、ローカルで開発したものをサーバーに反映させる場合は「ローカルからリモート」を選択します。
    • モード: 同期のモードを選択します。
      • 同期: 変更されたファイル、新しいファイル、削除されたファイルを両方の場所で一致させます。
      • ミラーリング: リモート側をローカル側と全く同じ状態にします。リモート側にのみ存在するファイルは削除されます。(注意が必要なモードです)
    • オプション: タイムスタンプやファイルサイズを比較して変更を検出するか、ファイル内容で比較するかなどを設定できます。
  • 「オプション(O)…」ボタンでさらに詳細なフィルタリング設定(特定のファイルやフォルダを除外するなど)が可能です。
  • 設定後、「プレビュー」ボタンをクリックすると、実際に同期を実行した場合にどのようなファイルが転送/削除されるかを確認できます。意図しない操作を防ぐために、まずプレビューを確認することを強く推奨します。
  • プレビュー結果を確認し、問題なければ「同期」ボタンをクリックします。
  • 確認ダイアログが表示されたら「OK」をクリックすると同期が開始されます。

ファイル同期機能は非常に強力ですが、設定を誤ると意図しないファイルが削除されたり上書きされたりする危険性があります。重要なファイルが含まれる場合は、必ず事前にバックアップを取るようにしましょう。

知っておくと便利な応用機能

WinSCPには、基本的なファイル操作以外にも、Webサイト管理を効率化するための様々な便利機能があります。

1. ブックマークと履歴

よくアクセスするフォルダをブックマークしておくと、素早く移動できます。また、過去にアクセスしたフォルダは履歴から簡単に再訪できます。

  • ブックマーク:
    • ローカルまたはリモートパネルで、ブックマークしたいフォルダを開きます。
    • メニューバーの「セッション」→「ブックマークを追加」を選択します。
    • ブックマーク名を入力して「OK」をクリックします。
    • ブックマークしたフォルダは、メニューバーの「セッション」→「ブックマーク」から選択して素早く開けます。
  • 履歴:
    • ツールバーのフォルダパス表示欄の右端にあるドロップダウン矢印をクリックすると、過去にアクセスしたフォルダの履歴が表示されます。履歴から選択して移動できます。

2. カスタムコマンドの実行

サーバー上で特定のコマンドを実行したい場合があります(例: ファイルの圧縮・解凍、データベースのダンプなど)。SFTPやSCPプロトコルで接続している場合、SSH経由でコマンドを実行できます。

  • メニューバーの「コマンド」→「コマンドを開く(P)」を選択します。
  • 「リモートでコマンドを実行」ダイアログが表示されます。
  • 「コマンド(C):」入力欄に実行したいLinuxコマンドなどを入力します。
  • 「実行(X)」をクリックすると、サーバーでコマンドが実行され、結果がダイアログの下部に表示されます。
  • よく使うコマンドは「保存(S)…」ボタンで保存しておくと、次回から簡単に実行できます。

注意: カスタムコマンドの実行は、サーバーのroot権限や特定のユーザー権限で行われます。不用意なコマンド実行はサーバーに損害を与える可能性もあるため、十分注意して行ってください。実行するコマンドの意味を理解している場合のみ使用しましょう。

3. フィルタリング機能

表示されているファイルやフォルダが多すぎて目的のファイルが見つけにくい場合に、特定の条件で表示を絞り込む機能です。

  • メニューバーの「表示」→「フィルタ」を選択します(またはツールバーの「フィルタ」アイコンをクリック)。
  • 「ファイルフィルタ」ダイアログが表示されます。
  • 「ファイルマスク」や「ディレクトリマスク」に、表示/非表示にしたいファイル名やディレクトリ名のパターンを正規表現などで入力します(例: *.html;*.css と入力するとHTMLファイルとCSSファイルのみを表示)。
  • 「非表示ファイルを表示」のチェックで、. (ドット) から始まる隠しファイル(例: .htaccess)の表示/非表示を切り替えられます。
  • 設定後、「OK」をクリックすると、パネルの表示がフィルタリングされます。

4. セッションの複製

現在接続しているセッションと同じ設定で、新しいウィンドウを開きたい場合に便利です。例えば、同じサーバーの複数の場所を同時に開いて作業したい場合に利用できます。

  • メニューバーの「セッション」→「セッションを複製」を選択します。
  • 現在のセッションと同じサーバー、同じプロトコル、同じユーザー名などで新しいウィンドウが開きます。

5. ログ機能の活用

WinSCPは、サーバーとの通信履歴やエラーメッセージを詳細なログとして記録しています。ファイル転送がうまくいかない、接続できないといったトラブルが発生した場合、ログを確認することで原因を特定できる場合があります。

  • メニューバーの「表示」→「ログウィンドウ」でログパネルの表示/非表示を切り替えられます。
  • ログパネルには、セッションの接続から切断までのすべての通信が記録されます。エラーメッセージ(通常、赤字で表示)に注目して確認してみましょう。

6. タスクキューの管理

複数のファイルやフォルダをまとめて転送する場合、それらは転送キューに追加され、順番に処理されます。転送キューの状態を確認したり、転送を一時停止/再開/キャンセルしたりできます。

  • メニューバーの「表示」→「転送キュー」でキューパネルの表示/非表示を切り替えられます。
  • キューパネルには、現在実行中の転送タスクや、これから実行される待機中のタスクが表示されます。転送の進行状況や残り時間なども確認できます。

7. 設定のエクスポート/インポート

WinSCPの設定(保存したセッション情報、環境設定など)をファイルにエクスポートしてバックアップしたり、別のパソコンにインポートしたりできます。

  • メニューバーの「オプション」→「設定のエクスポート/インポート」を選択します。
  • 「設定のエクスポート」を選択すると、現在の設定を.iniファイルとして保存できます。
  • 「設定のインポート」を選択すると、保存しておいた.iniファイルを読み込んで設定を復元できます。

複数のサーバーを管理している場合や、新しいパソコンに環境を移行する際に非常に便利な機能です。

WinSCPとプロトコルについてもっと深く

Webサイト管理において、どのプロトコル(FTP, SFTP, FTPS, SCP)を使うかはセキュリティ上非常に重要です。WinSCPはこれらすべてに対応していますが、それぞれの特徴を理解して適切なプロトコルを選択することが大切です。

SFTP (SSH File Transfer Protocol)

前述の通り、現在最も推奨されるファイル転送プロトコルです。SSHという安全な暗号化通信路の上で動作します。

  • SSHとは?: Secure Shellの略で、ネットワーク経由で別のコンピューターに安全にログインしたり、コマンドを実行したりするためのプロトコルです。通信が暗号化されるため、盗聴や改ざんを防ぐことができます。SFTPは、このSSHの機能を利用してファイル転送を実現しています。
  • なぜSFTPが推奨されるのか: FTPと異なり、ユーザー名、パスワード、そして転送されるファイルの中身すべてが暗号化されます。これにより、インターネット経由でのファイル転送において、セキュリティ上のリスクを大幅に低減できます。多くのレンタルサーバーやVPS/クラウドサービスでSFTPが利用可能です。
  • 秘密鍵認証の詳細: SFTP接続では、パスワード認証の代わりに「公開鍵認証(WinSCPでは秘密鍵認証と表記)」という認証方法を利用できます。これは、事前にサーバーに公開鍵を登録しておき、クライアント側から接続する際に秘密鍵を使って認証を行う方式です。
    • メリット: パスワードをネットワークに流す必要がないため、パスワード盗聴のリスクがなくなります。また、秘密鍵は非常に複雑な情報であり、パスワードよりも推測されにくいため、ブルートフォースアタック(総当たり攻撃)にも強くなります。パスワードを入力する手間も省けます。
    • 設定手順の概要:
      1. 秘密鍵と公開鍵のペアを生成します。WinSCPのインストール時に同時にインストールされるPuTTYgenというツールがよく使われます。
      2. 生成された公開鍵を、接続先のサーバーに登録します(通常、サーバー上の特定のファイル(例: ~/.ssh/authorized_keys)に公開鍵の内容を追記します)。この作業は、一度パスワード認証でSSH/SFTP接続して行うか、サーバー管理画面から行う場合が多いです。
      3. WinSCPのセッション設定を開き、「高度(A)…」→「SSH」→「認証」に進みます。
      4. 「秘密鍵ファイル(K):」の項目で、PuTTYgenで生成した秘密鍵ファイル(通常 .ppk という拡張子)を指定します。
      5. パスフレーズを設定した場合は、接続時にパスフレーズの入力が求められます。パスワード自体の入力は不要になります。
        秘密鍵認証は少々設定の手間がかかりますが、セキュリティを格段に向上させるため、ぜひ導入を検討したい認証方法です。

FTP (File Transfer Protocol) と FTPS (FTP over SSL/TLS)

FTPは前述の通り、通信が暗号化されないため非推奨です。しかし、古いサーバー環境や特定の用途で利用せざるを得ない場合もあります。

  • アクティブモード vs パッシブモード: FTPには、データ転送時の接続確立方式として「アクティブモード」と「パッシブモード」があります。
    • アクティブモード: クライアントがデータ接続用のポートをサーバーに知らせ、サーバーからクライアントへ接続要求を行います。クライアント側のファイアウォールによっては、このサーバーからの接続要求がブロックされ、データ転送ができない場合があります。
    • パッシブモード: クライアントがサーバーにデータ接続用のポートを問い合わせ、サーバーからポート番号を受け取った後、クライアント側からそのポートへ接続要求を行います。サーバー側からの接続要求がないため、クライアント側のファイアウォール設定の影響を受けにくいです。現在はこちらのパッシブモードが一般的で、WinSCPでもデフォルトでパッシブモードが使用されます。FTP接続で転送が始まらないなどの問題がある場合、モードを切り替えてみる価値はあります。
  • FTPS (FTP over SSL/TLS): FTPによるデータ転送や制御通信を、SSL/TLSという暗号化プロトコルで保護する方式です。FTPのデータ転送自体の仕組みはそのままに、セキュリティを高めます。WinSCPでは、セッション設定の「高度(A)…」→「FTP」→「接続」で「暗号化」の設定をすることでFTPS接続を行えます。「明示的なTLS/SSL (AUTH TLS)」や「暗黙的なTLS/SSL」といった種類がありますが、サーバー側の対応に合わせる必要があります。FTPSが利用できる場合は、FTPよりも安全なのでこちらを選択しましょう。ただし、SFTPの方が一般的にファイアウォールの設定が容易であり、SSH単一ポートで済むため推奨されることが多いです。

SCP (Secure Copy Protocol)

SFTPと同様にSSHを利用した安全なプロトコルですが、機能はシンプルです。ファイルのコピーに特化しており、ファイルのリスト表示や権限変更といった機能はSFTPやFTPほど豊富ではありません。WinSCPではSFTPとほぼ同じ使い勝手で利用できますが、機能面でSFTPの方が優れているため、特に理由がなければSFTPを選択するのが一般的です。

プロトコルの選択肢がない場合:
セッション設定で「ファイルプロトコル」を選択する際、サーバー提供元から指定されたプロトコルを選択してください。特に指定がない、または不明な場合は、まず「SFTP」を試してみてください。SFTPで接続できない場合は、サーバー側がSFTPに対応していない可能性が高いです。その場合は、FTPまたはFTPSが利用可能か確認し、可能な限りFTPSを利用しましょう。

Webサイト管理におけるWinSCPの具体的な活用例

WinSCPがどのようにWebサイト管理の具体的なタスクで役立つのかを見てみましょう。

  • HTML, CSS, JavaScriptファイルのアップロード/更新: Webサイトの見た目や機能の変更は、これらのファイルをサーバーにアップロードすることで反映されます。ローカルで編集したファイルを、リモートパネルの適切な場所(例: /public_html/ 直下やCSS/JS用のサブディレクトリ)に上書きアップロードします。
  • 画像ファイルやその他のメディアファイルの転送: Webサイトに使用する画像(JPEG, PNG, GIF)、動画、PDFなどのファイルをアップロードします。通常、/public_html/images//public_html/uploads/ といったディレクトリに配置します。
  • WordPressなどのCMSファイルの管理:
    • テーマやプラグインのアップロード: ローカルで開発・ダウンロードしたテーマやプラグインを、/wp-content/themes//wp-content/plugins/ ディレクトリにフォルダごとアップロードします。
    • メディアファイルの管理: WordPressの管理画面からアップロードした画像などのファイルは、通常 /wp-content/uploads/ ディレクトリに年/月ごとにフォルダ分けされて保存されます。これらのファイルをWinSCPで確認したり、直接アップロード/ダウンロードしたりできます。
    • コアファイルの更新/修復: WordPress本体のファイルをFTP/SFTPでアップロードして更新したり、問題発生時にコアファイルを修復したりする場合があります。これは高度な作業であり、誤操作はサイト停止に繋がるため慎重に行う必要があります。
  • バックアップファイルのダウンロード: レンタルサーバーの管理画面などで生成したWebサイトのバックアップファイル(例: .zip, .tar.gz 形式のファイル)を、サーバーからローカルにダウンロードします。バックアップファイルは通常、ホームディレクトリや特定のバックアップ用ディレクトリに生成されます。
  • 設定ファイル(例: .htaccess, wp-config.php)の編集とアップロード:
    • .htaccess: Webサーバー(Apacheなど)の動作をディレクトリ単位で制御するためのファイルです。リダイレクト設定、アクセス制限、キャッシュ設定などに使われます。WinSCPでダウンロードして編集し、上書きアップロードすることが多いです。隠しファイルなので、フィルタ設定で表示させる必要があります。
    • wp-config.php: WordPressの設定ファイルです。データベース接続情報などが記述されています。編集する際は、間違った内容を記述するとサイトが表示されなくなるため、必ずバックアップを取ってから慎重に行う必要があります。
  • パーミッション設定の確認と変更(セキュリティ対策): WordPressなどのCMSを利用する場合、ファイルやディレクトリのパーミッション設定は非常に重要です。特に、特定のディレクトリ(例: wp-content/uploads/, wp-content/cache/ など)はWebサーバーから書き込み可能である必要がありますが、その他の多くのファイルは書き込み権限を不要なユーザーから制限すべきです。WinSCPで定期的にパーミッションを確認し、必要に応じて755644などに変更します。特に、実行する必要のないファイル(例: .php ファイルなど)に実行権限(x)が付いていないか確認することも重要です。

これらの作業をWinSCPで行うことで、Webサイトの状態を直接把握し、柔軟な管理が可能になります。

トラブルシューティングとよくある質問

WinSCPを使っていて、接続できない、ファイル転送がうまくいかないといった問題が発生することがあります。ここでは、よくあるトラブルとその解決策を見ていきましょう。

1. サーバーに接続できない場合

  • ホスト名、ユーザー名、パスワードの入力ミス: 最も多い原因です。サーバー提供元から提供された情報を正確に入力しているか、大文字/小文字も含めて再確認してください。コピー&ペーストする際は、不要な空白が含まれていないか注意しましょう。
  • ポート番号の間違い: SFTPはデフォルトで22番、FTPは21番ですが、サーバー側で変更されている場合があります。指定されたポート番号を入力してください。
  • プロトコルの間違い: サーバーがSFTPに対応しているのにFTPで接続しようとしている、あるいはその逆、といった間違いです。サーバー提供元が指定するプロトコルを選択してください。
  • ファイアウォールの問題:
    • ローカルPCのファイアウォール: WindowsのファイアウォールやセキュリティソフトがWinSCPの通信をブロックしている可能性があります。WinSCPを例外として許可するか、一時的にファイアウォールを無効にして接続できるか試してみてください。
    • サーバー側のファイアウォール: サーバー側で特定のIPアドレスからのアクセスを制限している場合があります。あなたのIPアドレスが許可されているか確認してください。特に海外からのアクセスを制限しているサーバーもあります。
    • ネットワーク環境のファイアウォール: 会社や学校など、特定のネットワーク環境ではファイアウォールによってFTP/SFTPのポートが閉じられている場合があります。
  • サーバー側の問題: サーバー自体がメンテナンス中であったり、ダウンしていたりする可能性もゼロではありません。サーバー提供元の情報を確認するか、WebブラウザでWebサイト自体にアクセスできるか確認してみてください。
  • SSHホストキーの確認: SFTP/SCP接続で初回接続時のホストキー警告が表示された際に「はい」以外の選択をしてしまった可能性があります。保存されたホストキー情報を削除して再度接続を試みるか、手動でホストキーを追加します。WinSCPの環境設定の「SSH」→「ホストキー」で確認できます。

2. ファイル転送が遅い/失敗する

  • ネットワーク速度の問題: あなたのインターネット接続速度や、サーバー側のネットワーク帯域が遅い可能性があります。
  • サーバー負荷: サーバーが他の処理で高負荷になっている場合、ファイル転送速度が低下することがあります。
  • WinSCPの転送設定:
    • 転送モード: テキストモードとバイナリモードの設定が正しくない場合に問題が発生することがあります。通常は「自動」で問題ありませんが、特定のファイルタイプで問題が起きる場合は手動で切り替えてみてください。
    • 同時転送数: WinSCPの設定で、同時に転送するファイル数を制限できます。数を減らすと安定性が増す場合があります。
  • タイムアウト設定: サーバーが無通信状態が続くと接続を切断する設定になっている場合があります。WinSCPのセッション設定「高度(A)…」→「接続」にある「キープアライブ」の設定を有効にすると、定期的にサーバーと通信することで接続維持を試みます。
  • 大きなファイルの転送: 非常に大きなファイルを転送する場合、途中で切断されるなどの問題が発生しやすいです。可能であれば、ファイルを分割したり、サーバー側で圧縮・解凍したりといった方法を検討します。

3. パーミッションエラー(ファイルの上書き、削除、作成ができない)

  • 適切なパーミッションがない: サーバー上のファイルやディレクトリに対して、現在ログインしているユーザーが必要な書き込み権限を持っていない場合に発生します。パーミッション設定(chmod)が適切か確認し、必要であれば755644などに変更してください。特にWordPressなどでは、特定のディレクトリにWebサーバーからの書き込み権限(通常は所有者かグループにw権限を与える)が必要な場合があります。
  • ファイルの所有者/グループが異なる: ファイルやディレクトリの所有者やグループが、現在ログインしているユーザーと異なる場合、権限設定によっては操作が制限されることがあります。レンタルサーバーなどでは、この設定をユーザー側で変更できない場合が多いです。その場合は、サーバーのサポートに相談してください。
  • SELinuxなどのセキュリティ機能: Linuxサーバーでは、SELinuxのようなセキュリティ機能がファイル操作を制限している場合があります。これもユーザー側で設定変更が難しい場合が多いので、サーバー管理者に確認が必要です。

4. 日本語ファイル名/ディレクトリ名の文字化け

  • エンコーディングの設定: ファイル名やディレクトリ名の文字コードが、サーバーとクライアント(WinSCP)の間で一致していない場合に文字化けが発生します。
    • WinSCPの環境設定「環境設定」→「環境」→「UTF-8エンコーディング」で、「SFTP UTF-8 エンコーディング(U)」または「FTP UTF-8 エンコーディング(F)」の設定を確認します。多くのモダンなサーバーはUTF-8を使用しています。通常はこの設定を有効にしておけば問題ありません。
    • サーバー側の文字コードがUTF-8でない場合は、その文字コードに合わせる必要があります。

5. セッションが途中で切れる

  • サーバーのタイムアウト設定: サーバー側で一定時間無通信が続くとセッションを切断する設定になっている場合があります。前述の通り、WinSCPの「キープアライブ」設定を有効にすると改善することがあります。
  • ネットワークの不安定さ: ネットワークが不安定な場合、通信が途切れてセッションが切断されることがあります。
  • サーバー負荷: サーバーが非常に高負荷になっている場合、接続が維持できなくなることがあります。

6. 秘密鍵認証がうまくいかない

  • 秘密鍵ファイルの指定ミス: WinSCPのセッション設定で、PuTTYgenなどで生成した秘密鍵ファイル(.ppk)を正しく指定しているか確認します。
  • 公開鍵のサーバー側への登録ミス: サーバーの~/.ssh/authorized_keysファイルに、対応する公開鍵の内容が正確に登録されているか確認します。ファイルのパーミッション(通常authorized_keys600.sshディレクトリは700)も重要です。
  • パスフレーズの入力ミス: 秘密鍵にパスフレーズを設定した場合、接続時に正確なパスフレーズを入力する必要があります。
  • PuTTY形式の秘密鍵でない: WinSCP(と連携するPuTTYgen)は、秘密鍵をPuTTY形式(.ppk)で扱います。OpenSSH形式などの秘密鍵を使用している場合は、PuTTYgenでPuTTY形式に変換する必要があります。

7. WinSCP自体の起動に関する問題

  • インストールが正しく行われていない: 再度WinSCPをダウンロードし、管理者権限でインストールをやり直してみてください。
  • 設定ファイルの破損: WinSCPの設定ファイルが破損している可能性があります。設定をすべて削除(WinSCPをアンインストールする際に「設定を削除する」オプションを選択するなど)して再インストールすると解決する場合があります。ただし、保存したセッション情報も失われます。
  • Windows環境の問題: Windows自体に問題が発生している可能性もあります。Windowsを再起動したり、システムファイルのチェックを行ったりすることも有効な場合があります。

これらのトラブルシューティングはあくまで一般的なものです。問題が解決しない場合は、サーバー提供元のサポートに問い合わせるか、WinSCPの公式サイトにあるFAQやフォーラムを参照することをお勧めします。

WinSCPのカスタマイズ

WinSCPは、使いやすさをさらに向上させるために様々なカスタマイズが可能です。メニューバーの「オプション」→「環境設定」から各種設定を変更できます。

  • インターフェース設定:
    • 環境設定 → 環境: インターフェースの言語、ファイルパネルのレイアウト(コマンダー形式かエクスプローラー形式か)、表示フォント、ファイルパネルの表示項目などを詳細に設定できます。
    • 環境設定 → 色: 各種要素の色(背景色、テキスト色など)をカスタマイズできます。
  • 転送設定:
    • 環境設定 → 転送 → 一般: ファイル転送時の設定(バイナリ/テキストモードの扱い、転送完了後の動作など)を変更できます。
    • 環境設定 → 転送 → 持続性: ファイルのタイムスタンプを転送後も保持するか(ローカルとリモートで同じ更新日時にするか)などの設定ができます。Webサイトのキャッシュ制御などでタイムスタンプが重要な場合、この設定を確認してください。
  • エディタ設定:
    • 環境設定 → エディタ: 前述の通り、ファイルの編集に使用するエディタをカスタマイズできます。
  • その他環境設定:
    • 環境設定 → セキュリティ: マスターパスワードの設定(保存したサイト情報のパスワードを暗号化)、SSHホストキーの設定など、セキュリティに関する設定を行います。
    • 環境設定 → パネル: ファイルリストの並び順、隠しファイルの表示設定などをパネルごとに設定できます。
    • 環境設定 → 接続: 接続タイムアウト、リトライ設定、キープアライブなどの接続に関する詳細設定を行います。

これらの設定を自分の作業スタイルやサーバー環境に合わせて調整することで、より快適にWinSCPを利用できるようになります。

まとめ

この記事では、Webサイト管理に不可欠な無料SFTP/FTPクライアントツール、WinSCPの使い方をゼロから解説しました。

WinSCPは、公式サイトからの簡単なインストール、直感的で使いやすいインターフェース、そしてSFTPをはじめとする複数の安全なプロトコルへの対応により、Webサイトのファイル管理作業を効率的かつ安全に行うための強力なツールです。

基本的なファイル操作(アップロード、ダウンロード、削除、名前変更、ディレクトリ作成)はもちろん、Webサイト管理で非常に重要なパーミッション変更(chmod)や、効率化のためのファイル同期機能、テキストエディタ連携、トラブルシューティングに役立つログ機能など、豊富な機能を備えています。

Webサイトを運営していく上で、サーバー上のファイルを操作する機会は必ずあります。WinSCPの使い方をマスターすることは、Webサイト管理の基礎であり、サイトの更新やメンテナンス、トラブル対応をスムーズに行うために必須のスキルと言えるでしょう。

SFTPプロトコルを利用した安全な接続、そしてファイルやディレクトリのパーミッション設定の適切な管理は、あなたのWebサイトをサイバー攻撃から守る上でも非常に重要です。この記事で解説した内容を参考に、ぜひWinSCPをあなたのWebサイト管理に役立ててください。

始めは少し戸惑うかもしれませんが、実際に操作を繰り返すことで、すぐに慣れるはずです。この記事が、あなたのWinSCP習得の一助となれば幸いです。WinSCPを使いこなし、快適なWebサイト管理ライフを送りましょう!


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