BRZ Sグレードのすべて:スペック、価格、特徴を完全ガイド

BRZ Sグレードのすべて:スペック、価格、特徴を完全ガイド

はじめに:ピュアスポーツの遺伝子、スバル BRZとは

自動車の世界には、単なる移動手段を超え、運転する行為そのものに喜びを見出すための特別な存在があります。スバル BRZはまさに、そんなピュアなスポーツカーの血統を受け継ぐ一台です。軽量なボディ、FR(フロントエンジン・リアドライブ)レイアウト、そして水平対向エンジンによる超低重心パッケージ。これらが織りなすドライビングフィールは、多くの車好きを魅了してやみません。

初代モデルが2012年に登場して以来、「誰もが愉しめるFRピュアスポーツカー」というコンセプトを一貫して追求し、進化を続けてきました。そして現行型となる2代目BRZは、先代の美点を引き継ぎつつ、排気量アップによるパワー向上、ボディ剛性の強化、最新の安全装備の搭載など、あらゆる面で深化を遂げています。

BRZのグレード構成の中で、今回焦点を当てる「Sグレード」は、まさにその頂点に位置する存在です。標準グレードである「R」に対して、より上質な内装や充実した快適装備、そして先進の安全運転支援システム(AT車に搭載されるEyeSightなど)を備え、日常での利便性とスポーツカーとしての満足感を高いレベルで両立しています。Sグレードを選ぶことは、BRZが持つポテンシャルを最大限に引き出しつつ、快適性や安心感も妥協しないという選択と言えるでしょう。

この記事では、スバル BRZ Sグレードの全てを、スペック、価格、特徴という多角的な視点から徹底的に掘り下げていきます。エンジンの鼓動、足回りのセッティング、そして内装の質感に至るまで、Sグレードが持つ魅力を余すところなくご紹介します。BRZ Sグレードの購入を検討されている方、あるいは単にスポーツカーとしてのBRZに興味がある方にとって、この記事が完全なガイドとなることを願っています。

さあ、BRZ Sグレードの深淵なる世界へ、一緒に踏み込んでいきましょう。

BRZ Sグレードの基本情報:進化の歴史とグレード構成

BRZの歴史は、トヨタ自動車との共同開発というユニークな背景から始まります。2012年、初代モデルは「86」(トヨタ)と共に登場しました。両車はプラットフォームや主要コンポーネントを共有しつつも、スバルは水平対向エンジンのスペシャリストとして、トヨタはスポーツカー開発のノウハウを持つメーカーとして、それぞれの強みを活かし、異なる味付けのFRスポーツカーを生み出しました。BRZはスバルらしい、よりリニアで応答性の高いハンドリングを追求したモデルとして位置づけられました。初代モデルは、その手頃な価格とFRスポーツカーらしい素直な操縦性で、世界中のファンから熱狂的な支持を得ました。

そして、2021年には待望のフルモデルチェンジを果たし、2代目となる現行型BRZが登場しました。プラットフォームは初代をベースとしつつも、SUBARU Global Platformの開発で培われた知見を活かし、ボディおよびシャシー剛性を大幅に向上。さらに、排気量を2.0Lから2.4Lへと拡大した新開発の自然吸気(NA)水平対向エンジンを搭載し、大幅なパワー&トルクアップを実現しました。デザインもより洗練され、迫力と機能性を兼ね備えたスタイルへと進化しています。

現行型BRZのグレード構成は非常にシンプルです。基本となるのは以下の2つのグレードです。

  1. Rグレード: BRZのベースグレードにあたります。スポーツカーとしての基本性能に徹し、価格を抑えながらもBRZの走りの魅力を十分に堪能できるグレードです。装備は必要最低限に絞られています。
  2. Sグレード: Rグレードの上位に位置する最上級グレードです。Rグレードの走りの性能はそのままに、内外装の質感向上や快適・安全装備の充実が図られています。多くのユーザーが満足できるバランスの取れたグレードと言えるでしょう。

加えて、各グレードには6速マニュアルトランスミッション(MT)仕様と、6速AT(オートマチックトランスミッション)仕様が設定されています。特にAT車には、スバルの先進運転支援システム「EyeSight」が標準装備されるのが大きな特徴です。

今回詳細に解説するSグレードは、まさに現行型BRZの「全部入り」とも言えるグレードであり、BRZのポテンシャルと日常での使い勝手、そして先進技術による安心感を求めるユーザーにとって最適な選択肢となるでしょう。Rグレードとの具体的な装備の違いについては、後の章で詳しく比較します。

BRZ Sグレードの主要スペック詳細:心臓と骨格

BRZ Sグレードを語る上で、その心臓部であるエンジンと、それを支える骨格たるシャシー、そして全体のサイズ感は非常に重要です。ここでは、Sグレードの主要スペックを詳細に見ていきましょう。

パワートレイン

BRZ Sグレードに搭載されるエンジンは、スバルが誇る自然吸気(NA)の水平対向4気筒エンジンです。

  • エンジン型式: FA24型
  • 種類: 水平対向4気筒 DOHC 16バルブ NA
  • 燃料供給装置: 直噴/ポート噴射併用(D-4S)
  • 排気量: 2,387cc
  • 内径×行程(ボア×ストローク): 94.0mm × 86.0mm
  • 圧縮比: 12.5
  • 使用燃料: 無鉛プレミアムガソリン

先代BRZに搭載されていたFA20型(2.0L)から排気量が拡大されたFA24型エンジンは、最高出力と最大トルクが大幅に向上しています。

  • 最高出力: 170kW (232PS) / 7,000rpm
  • 最大トルク: 250N・m (25.5kgf・m) / 3,700rpm

注目すべきは、最大トルクの発生回転数が先代の6,400-6,800rpmから3,700rpmへと大幅に引き下げられたことです。これにより、街乗りやワインディングロードでの常用域におけるトルク感が豊かになり、より扱いやすく、そして力強い加速フィールが得られるようになりました。高回転域での伸びやかさも健在で、NAエンジンらしいリニアなレスポンスと吹け上がりは、ドライバーにダイレクトな一体感をもたらします。

トランスミッションは、運転する楽しさを最大限に引き出す6速マニュアルトランスミッション(MT)と、快適性と効率性を両立した6速AT(オートマチックトランスミッション)が選択可能です。MTはショートストロークで小気味良いシフトフィールが特徴。ATはパドルシフトを備え、素早い変速と駆動力の途切れが少ないスムーズな加速を提供します。

駆動方式はもちろんFR(フロントエンジン・リアドライブ)。スポーツカーの基本中の基本であり、BRZの素直で意のままになるハンドリングを支える要です。

燃費性能は、スポーツカーとしては十分 respectable な数値です。

  • WLTCモード燃費:
    • MT車: 12.0km/L
    • AT車: 11.7km/L

シャシー・ボディ

BRZの魅力の核となるのは、その低重心かつ高剛性なボディとシャシーです。Sグレードもこの設計思想の上に成り立っています。

  • 全長: 4,265mm
  • 全幅: 1,775mm
  • 全高: 1,310mm (シャークフィンアンテナ含む)
  • ホイールベース: 2,575mm
  • トレッド(前/後): 1,520mm / 1,550mm
  • 最低地上高: 130mm
  • 車両重量:
    • MT車: 1,270kg
    • AT車: 1,290kg
  • 乗車定員: 4名 (2+2シート)

全長、全幅、全高はいずれもスポーツカーとして適切なコンパクトサイズに収まっており、日本の狭い道でも扱いやすいサイズ感です。特筆すべきはその「全高」です。水平対向エンジンの採用により、重心高は世界トップクラスの低さを実現しており、これがBRZの優れたコーナリング性能や安定性に大きく貢献しています。

車両重量もMT車が1,270kgと軽量に抑えられており、これはFRスポーツカーにとって非常に有利な要素です。軽量であるほど、加減速や旋回時の慣性が小さくなり、意のままに操る楽しさが増幅されます。

シャシー関連のスペックも見てみましょう。

  • サスペンション形式(前): ストラット式独立懸架
  • サスペンション形式(後): ダブルウィッシュボーン式独立懸架
  • ブレーキ形式(前/後): ベンチレーテッドディスク / ベンチレーテッドディスク
  • ステアリング形式: ラック&ピニオン式 (電動パワーステアリング)

サスペンションは、スポーツカーとして定番の形式を採用しつつ、現行型ではシャシー剛性の向上に合わせてサスペンションセッティングも最適化されています。特にリアサスペンションの取り付け部周辺の剛性アップは、トラクション性能と安定性の向上に寄与しています。

ブレーキは前後ともベンチレーテッドディスクを採用。放熱性に優れ、連続したブレーキングでも安定した制動力を発揮します。電動パワーステアリングは、応答性と正確性に優れ、路面からのインフォメーションを適切にドライバーに伝えます。

ボディ構造においては、SUBARU Global Platformの思想を取り入れ、インナーフレーム構造や構造用接着剤の活用などにより、ボディねじり剛性は先代比で約50%も向上しています。これにより、サスペンションがより正確に機能し、ステアリング操作に対する応答性が高まり、限界域でのコントロール性も向上しています。

これらのスペックの積み重ねが、BRZ Sグレードの「意のままに操れる愉しさ」という核心を形成しているのです。

性能

BRZ Sグレードの基本性能を示す数値として、最小回転半径があります。

  • 最小回転半径: 5.4m

この数値は、全長4,265mmというボディサイズを考えると、取り回しの良さを示唆しています。市街地でのUターンや駐車時など、日常での使い勝手にも配慮されていることがわかります。

スポーツカーとして気になる0-100km/h加速や最高速度といった公表値は、スバルは公式には発表していませんが、海外の自動車メディアによるテストでは、MT車が6秒台前半、AT車が6秒台後半をマークしているという報告が多く見られます。最高速度も220km/hを超えるポテンシャルを持っています。これは、232PS/250Nmというパワーと、1.3トン前後の軽量ボディ、そして優れた空力性能の賜物と言えるでしょう。

空力性能に関しても、BRZは抜かりがありません。低く構えたフロントノーズ、整流効果を高めるエアインテークやアウトレット、そしてSグレードに標準装備されるダックテールスポイラーなどが、高速走行時の安定性やハンドリングに貢献しています。機能美を追求したデザインは、単なる見た目のカッコよさだけでなく、走りの性能にも直結しているのです。

BRZ Sグレードの価格情報:価値に見合う対価

BRZ Sグレードの購入を検討する上で、最も気になる情報の一つがその価格です。SグレードはBRZの最上級グレードとして、Rグレードよりも装備が充実している分、価格も高めに設定されています。

車両本体価格

2024年1月現在のスバル公式発表に基づく車両本体価格は以下の通りです。

  • BRZ S (6速MT): 3,487,000円 (消費税10%込み)
  • BRZ S (6速AT): 3,553,000円 (消費税10%込み)

※価格はメーカー希望小売価格であり、販売店によって異なる場合があります。また、別途、税金、保険料、登録に伴う費用などが必要となります。

標準グレードであるRグレードの価格と比較してみましょう。

  • BRZ R (6速MT): 3,300,000円 (消費税10%込み)
  • BRZ R (6速AT): 3,366,000円 (消費税10%込み)

Sグレードは、MT車、AT車ともにRグレードと比較して187,000円高くなっています。この価格差が、Sグレードに標準装備される様々な上級装備に対する対価となります。後述する内外装・装備の章で詳しく解説しますが、この18.7万円の差で得られる快適性や安全性の向上は、多くのユーザーにとって十分に納得できる、あるいはそれ以上の価値があると感じられるポイントかもしれません。

オプション装備の価格

BRZ Sグレードには、車両本体価格に加えて、いくつかのオプション装備を選択することが可能です。代表的なメーカーオプションとしては、ボディカラーやフロアカーペットなどがあります。

  • 特別色 (イグニッションレッド、WRブルー・パール): +55,000円 (消費税10%込み)
  • フロアカーペット: +24,200円 (消費税10%込み) など

これらのメーカーオプションは、車両の製造段階で装着されるため、後付けは基本的にできません。

その他にも、ディーラーオプションとして、ナビゲーションシステム、ETC車載器、ドライブレコーダー、STI製パフォーマンスパーツ(エアロパーツ、マフラー、フレキシブルタワーバーなど)などが豊富に用意されています。これらの価格は、選択する製品や販売店によって大きく異なりますが、車両本体価格に加えて数十万円〜数百万円となる可能性もあります。STIパフォーマンスパーツを装着することで、さらにスポーティな外観や走行性能の向上が期待できますが、予算との相談が必要となります。

諸費用の概算

車両本体価格に加えて、車を購入する際には以下の諸費用が必要となります。

  • 税金:
    • 自動車税種別割: 排気量に応じた年額(2,387ccなので年間43,500円)※購入時は月割り
    • 自動車税環境性能割: 取得価額に応じて課税(燃費基準達成度により非課税の場合あり)
    • 自動車重量税: 車両重量に応じて課税(購入時および車検時に支払い)
    • 消費税: 車両本体価格、メーカーオプション価格に課税
  • 保険料:
    • 自賠責保険料: 加入が義務付けられている保険
    • 自動車任意保険料: 加入義務はないが、万が一の事故に備えるための保険(年齢、等級、補償内容などで大きく変動)
  • 登録費用:
    • 検査登録印紙代、車庫証明書発行手数料、ナンバープレート代など
    • 販売店に手続き代行を依頼する場合は、代行手数料
  • リサイクル料金: 車両を廃車にする際のリサイクル費用(購入時に預託)

これらの諸費用を含めると、車両本体価格に加えて、一般的には車両価格の10%~15%程度が必要になると言われています。BRZ Sグレードの場合、総額は400万円前後、オプションや任意保険の内容によってはそれ以上になることも十分にあり得ます。詳細な見積もりは、販売店で作成してもらうのが最も確実です。

リセールバリューについて

スポーツカーは一般的に、実用性の高いセダンやミニバンなどと比較すると中古車価格が下がりにくい傾向にあります。特にBRZのように熱狂的なファンが多く、モデルチェンジの間隔が長いモデルは、中古車市場でも比較的高い人気を維持することが多いです。

Sグレードは、上級装備が充実しているため、Rグレードと比較して中古車市場での需要も高く、リセールバリューも優れる傾向があります。MT車は特に、AT車よりもリセールバリューが高くなる傾向が見られます。ただし、リセールバリューは車の状態、走行距離、年式、市場の需要と供給、カラーリングなど、様々な要因によって変動するため、あくまで参考程度に考えておくのが良いでしょう。大切に乗れば、将来手放す際の価格も期待できる一台と言えるでしょう。

BRZ Sグレードの主要特徴:内外装・装備の魅力

BRZ SグレードがRグレードに対して優位性を持つ大きなポイントは、その内外装の質感と、充実した快適・安全装備にあります。ここでは、Sグレードを構成する主要な特徴を詳しく見ていきましょう。

エクステリア:機能美を追求したデザイン

BRZのエクステリアデザインは、スポーツカーとしての普遍的な美しさと、空気抵抗を低減し走行性能を高めるための機能性を両立しています。Sグレード専用装備はありませんが、ベースとなるデザイン自体が高いレベルにあります。

  • デザインコンセプト: 低重心を強調するワイド&ローのスタンス。水平対向エンジンの低さからくる低いボンネットラインが特徴です。
  • フロントフェイス: ヘキサゴングリルを中心としたスバル共通のモチーフを用いつつ、スポーツカーらしいアグレッシブな表情。LEDヘッドランプとコの字型のデイタイムランニングランプがシャープな印象を与えます。
  • サイドビュー: 流麗なルーフラインからリアエンドへ向かうクーペシルエット。フロントフェンダー後部には機能的なエアアウトレット(ダクト)が設けられており、空気抵抗の低減とデザイン性を両立しています。
  • リアビュー: 横一文字につながるようなデザインのLEDリアコンビネーションランプがワイド感を強調。ダックテール形状のリアスポイラーはSグレード/Rグレード共通で、高速走行時の安定性に貢献します。左右2本出しのマフラーエンドもスポーツカーらしさを主張します。
  • ホイール: Sグレード/Rグレード共通で、18インチアルミホイールが標準装備されます。切削光輝とガンメタリック塗装が施され、足元を引き締めます。タイヤサイズは215/40R18です。

ボディカラーは、定番のパールホワイトやブラック、シルバーに加え、BRZのイメージカラーであるWRブルー・パール、鮮やかなイグニッションレッドなどが設定されており、好みに合わせて選ぶことができます。特にWRブルー・パールはスバルのモータースポーツを象徴する色であり、BRZのスポーティさを際立たせます。

インテリア:ドライバーズコックピットとしての追求

BRZのインテリアは、運転に集中できることを最優先に考えられた機能的なデザインです。Sグレードはここに上質な素材や快適装備が加わり、さらに満足度を高めています。

  • デザインコンセプト: 水平基調で広がりを感じさせつつ、ドライバーを取り囲むようなコックピット感のあるレイアウト。
  • シート: Sグレードでは、ブラックとダークグレーのコンビネーションカラーのシートが標準となります。サイドボルスターはホールド性の高いスエード調、座面と背もたれ中央部は滑りにくいファブリック素材が採用されており、スポーツ走行時でも体をしっかりと支えます。さらに、シートヒーターが標準装備されており、寒い季節でも快適です。Rグレードはファブリックシートのみで、シートヒーターは装備されません。
  • ステアリングホイール: 小径の本革巻ステアリングホイール。握りやすい形状と、適切な太さが特徴です。ステアリングスイッチ(オーディオ操作、クルーズコントロール操作など)も装備されます。
  • メーターパネル: 7インチTFTカラー液晶とセグメント液晶を組み合わせた先進的なメーター。中央のTFT液晶には、速度、タコメーターはもちろん、Gメーター、油温、水温、バッテリー電圧、ストップウォッチなど、スポーツ走行に役立つ様々な情報を表示させることができます。表示デザインも変更可能です。
  • インフォテインメントシステム: 8インチのタッチスクリーンを備えたSUBARU Starlink対応のインフォテインメントシステムが標準装備されます。スマートフォン連携機能(Apple CarPlay、Android Auto)にも対応しており、ナビアプリや音楽アプリなどを車載ディスプレイで操作できます。Rグレードは8インチディスプレイは共通ですが、機能が一部異なります。
  • 内装トリム: Sグレードでは、ドアアームレストやセンターコンソールなどにレッドステッチがあしらわれており、スポーティかつ上質な雰囲気を演出しています。Rグレードはステッチの色が異なります。
  • 居住性・積載性: 基本的にタイトな2シータークーペに近いパッケージですが、リアに+2の補助席を備える2+2シートレイアウトです。大人が長距離移動するのは難しいですが、荷物を置いたり、子供を乗せたりといった一時的な使用には対応できます。トランクスペースは、リアシートを倒せばタイヤ4本を積載できる容量があり、サーキット走行などにも対応可能です。

Sグレードのインテリアは、BRZ本来の機能性に加え、日常使いでの快適性や満足度を高めるための工夫が随所に見られます。レッドステッチやシートヒーターなどは、所有する喜びを感じさせてくれる装備と言えるでしょう。

安全装備:安心感を高める最新技術(特にAT車)

スポーツカーとはいえ、現代においては安全性能も重要な要素です。BRZ Sグレードは、最新の安全技術を積極的に導入しています。特にAT車には、スバルが世界に誇る先進運転支援システム「EyeSight」が標準装備されています。

  • EyeSight (AT車に標準装備): ステレオカメラで前方を監視し、様々な運転支援を行います。
    • プリクラッシュブレーキ: 衝突の危険がある場合に警告し、必要に応じて自動的にブレーキをかけて衝突回避または被害軽減を支援します。
    • 後退時ブレーキアシスト: 後退時に障害物を検知した場合に警告し、必要に応じて自動的にブレーキをかけます。
    • AT誤発進抑制制御: 前方に障害物があるにもかかわらず、間違えてアクセルを踏み込んでしまった場合にエンジンの出力を抑制します。
    • 全車速追従機能付クルーズコントロール: 設定した速度内で、先行車との車間距離を一定に保ちながら追従走行を行います。高速道路などでの負担を軽減します。
    • 車線逸脱抑制/警告: 車線を逸脱しそうな場合に警告し、車線内に戻るようステアリング操作をアシストします。
    • ふらつき警報: 居眠り運転などで車両がふらついた場合に警告します。
    • 先行車発進お知らせ機能: 信号待ちなどで先行車が発進したことに気づかない場合に知らせます。
    • ハイビームアシスト: 対向車や先行車の有無に応じて、ヘッドランプのハイ/ローを自動で切り替えます。

MT車にはEyeSightは搭載されませんが、以下の安全装備はS/Rグレード共通で標準装備されます。

  • スバルリアビークルディテクション (後側方警戒支援システム): 後方から接近する車両や、隣の車線を走行する見えにくい位置の車両を検知し、ドアミラーのインジケーターなどでドライバーに知らせます。車線変更時や駐車場からの後退時に役立ちます。
  • SRSエアバッグ: 運転席、助手席、シートサイド、カーテン、ニーエアバッグなど、7つのエアバッグシステムが衝突時に乗員を保護します。
  • VDC (Vehicle Dynamics Control): 車両の走行状態をセンサーで検知し、必要に応じてエンジン出力やブレーキを制御して車両の安定性を保ちます。スポーツ走行時には介入を遅らせる「トラックモード」も選択可能です。
  • 歩行者保護エアバッグ: 万が一の対人事故発生時に、ボンネットを瞬時に持ち上げ、歩行者の頭部への衝撃を緩和するエアバッグです。

AT車に搭載されるEyeSightは、特にロングドライブや高速道路走行時の疲労軽減、そして万が一の事故の回避・被害軽減に大きく貢献します。スポーツカーでありながらも、最新の運転支援技術による安心感が得られるのは、BRZ Sグレード(AT車)の大きな強みと言えるでしょう。MT車にも後側方警戒支援システムが標準装備されている点は、現代の車として安心できるポイントです。

快適装備・その他:日常を彩る機能

Sグレードは、走りの性能だけでなく、日常での快適性や利便性を高める装備も充実しています。

  • フルオートエアコン: 設定温度を保つ自動調整機能付きのエアコンです。
  • スマートキー&プッシュスタート: キーを取り出すことなくドアのロック/アンロックが可能で、エンジン始動もボタン一つで行えます。
  • シートヒーター: Sグレードに標準装備。寒い日のドライブを快適にします。
  • オーディオシステム: 8インチディスプレイに連携したオーディオシステムが標準装備されます。
  • USBポート: スマートフォン充電や外部音楽プレーヤー接続用のUSBポートを備えています。
  • アクセサリーソケット: ポータブル機器などの電源として利用できます。

これらの装備は、派手さはありませんが、日々のドライブを快適で便利なものにしてくれます。特にシートヒーターは、オープンカーではないクーペタイプでも、冬場のドライブには非常にありがたい装備です。

Sグレードに搭載されるこれらの装備は、Rグレードには装備されていないか、あるいは異なる仕様となっています。価格差18.7万円は、これらの快適・安全装備の差分として考えられます。

BRZ Sグレードの走行性能・ドライビングフィール:意のままの楽しさ

BRZ Sグレードの最大の魅力は、何と言ってもその走行性能とドライビングフィールです。スペックだけでは語り尽くせない、運転する楽しさがこの車には詰まっています。

エンジン性能:リニアリティとレスポンス

新開発の2.4L水平対向エンジン(FA24型)は、BRZの走りを大きく進化させました。先代の2.0Lエンジンは高回転域での伸びが魅力でしたが、常用域でのトルク不足が指摘されることもありました。FA24型は、排気量アップにより最高出力、最大トルクともに向上しただけでなく、最大トルクの発生回転数が3,700rpmと大幅に低くなったことで、より幅広い回転域で力強いトルクを発生します。

このエンジンの一番の魅力は、NA(自然吸気)エンジンならではの「リニアリティ」と「レスポンス」です。アクセル操作に対するエンジンの回転上昇や出力の発生が非常に素直で、ドライバーの意思に忠実に反応します。ターボエンジンのような突然のパワーバンドはなく、踏めば踏んだだけ、回せば回しただけ力が湧き出してくる感覚は、まさにNAスポーツならではの快感です。特に3,700rpm付近から始まるトルクの盛り上がりは気持ちよく、ワインディングなどでコーナーを立ち上がる際に、アクセルを踏み込んで車両を前に押し出す感覚が非常に掴みやすいです。

7,000rpmまでストレスなく回る高回転域での伸びやかさも健在で、エンジンサウンドも高まるにつれてスポーティなサウンドを奏でます。サウンドチューニングにもこだわりが見られ、単なるノイズではなく、ドライバーの気分を高揚させるサウンドが室内に響きます。

MTモデルでは、このリニアなエンジンの特性を最大限に引き出し、回転数を合わせながらのシフト操作がダイレクトな運転体験をもたらします。ATモデルでも、パドルシフトを使ったマニュアルモードでの変速は素早く、スポーティーな走行を楽しむことができます。ATの自動変速も、スポーツモードを選択すれば適切なギアを選び、俊敏な加速をサポートします。

シャシー性能:低重心と高剛性の恩恵

BRZ Sグレードの優れたハンドリング性能は、その徹底した低重心設計と大幅に向上したボディ剛性に支えられています。

水平対向エンジンの採用に加え、車体各部の重量物をできる限り低い位置に配置することで、BRZの重心高は驚くほど低く抑えられています。これにより、コーナリング時のロール(車体の傾き)が抑制され、タイヤが路面を捉える能力が高まります。ドライバーは安心して車体を傾け、高い速度でコーナーを駆け抜けることができます。

現行型で大きく進化したボディ剛性は、シャシーの性能をさらに引き出しています。ねじり剛性が向上したことで、サスペンションが路面からの入力に対して正確に仕事をするようになり、ステアリング操作に対する車両の応答性が格段に向上しました。ステアリングを切った瞬間にノーズがスッと向きを変え、狙ったラインをトレースしやすい感覚は、まさに「意のまま」という表現がぴったりです。

Sグレードのサスペンションセッティングは、Rグレードと同様にスポーツ走行を意識したものですが、日常域での乗り心地も考慮されています。硬すぎず、しなやかさも持ち合わせた足回りは、路面の凹凸を適切にいなしつつ、スポーティなフィーリングを損ないません。ただし、スポーツカーですので、一般的なセダンやSUVと比較すれば引き締められた乗り心地であることは理解しておく必要があります。

ブレーキ性能も十分です。前後ベンチレーテッドディスクブレーキは、公道でのスポーティな走行はもちろん、サーキット走行の入り口までをカバーできる制動力を発揮します。ABS(アンチロックブレーキシステム)やEBD(電子制御制動力配分システム)といった電子制御も、安定したブレーキングをサポートします。

ドライビングフィール:ドライバーとの対話

BRZ Sグレードを運転することは、車との対話そのものです。ステアリングからは路面の状況がダイレクトに伝わってきます。タイヤが今どのような状況にあるのか、グリップしているのか、滑り始めているのかといった情報が手応えとして伝わってくるため、安心して限界近くまで車をコントロールすることができます。これは電動パワーステアリングの味付けが非常に優れていることの証拠です。

アクセル、ブレーキ、ステアリング、そしてMT車であればクラッチとシフトレバー。これらの操作系全てがドライバーの意図を正確に車に伝え、車からのフィードバックをドライバーに返してくれます。この双方向のコミュニケーションこそが、BRZのドライビングの醍醐味と言えるでしょう。

VDC(Vehicle Dynamics Control)は、車両の安定性を保つための電子制御システムですが、BRZではその介入度を調整するモードが用意されています。通常のモードでは、万が一の際に車両の挙動を抑え安定性を保ちますが、スポーツ走行を楽しみたい場合は「トラックモード」を選択することで、VDCの介入タイミングを遅らせ、ある程度のスライドを許容するなど、より自由度の高いドライビングが可能になります。これにより、腕前や走行シーンに合わせて、電子制御との付き合い方を選ぶことができます。

MTモデルは、クラッチペダルの操作感、シフトレバーの小気味良いストローク、そしてエンジンの回転数を合わせながらギアを選択していく一連の動作が、機械との一体感を強く感じさせます。自分で車を操っているという感覚は、MT車ならではの特別なものです。

ATモデルは、ATゆえのイージードライブと、パドルシフトを使ったスポーティーな変速を両立しています。特にAT車に搭載されるEyeSightは、渋滞時やロングドライブでの疲労を大幅に軽減してくれるため、日常使いでの快適性はMT車よりも優れています。スポーツカーとしての走行性能はMT車と同等であり、変速速度も速いため、パドルシフトを使えば積極的にスポーティーな走行を楽しむことも可能です。

BRZ Sグレードの走行性能は、単に速さを競うだけでなく、「運転が上手くなったように感じられる」「自分のスキルで車をコントロールしている」という感覚をドライバーに与えてくれます。これは、BRZが追求する「誰もが愉しめるFRピュアスポーツカー」というコンセプトの真髄と言えるでしょう。

BRZ SグレードとRグレードの比較:違いは何?

BRZの主要グレードであるRとS。どちらを選ぶべきか悩む方も多いでしょう。ここでは、SグレードとRグレードの具体的な違いを比較し、それぞれのグレードがどのようなユーザーにおすすめなのかを解説します。

主要な装備の違い

価格の章でも触れましたが、SグレードはRグレードに対して約18.7万円高価です。この価格差は、以下の主要な装備の違いに起因しています。(※一部装備はAT車のみ)

装備項目 BRZ Rグレード BRZ Sグレード
シート表皮 ファブリック スエード調/ファブリック(コンビネーション)
シートヒーター なし 運転席・助手席に標準装備
ステアリング/シフトノブ/サイドブレーキ 本革巻 本革巻(レッドステッチ)
内装トリム 各部(ドアアームレストなど)のステッチ 各部(ドアアームレストなど)のレッドステッチ
メーターパネル 7インチTFTカラー液晶+セグメント液晶(表示内容が一部異なる) 7インチTFTカラー液晶+セグメント液晶(表示内容が豊富)
インフォテインメントディスプレイ 8インチタッチスクリーン(機能が一部異なる) 8インチタッチスクリーン(SUBARU Starlink対応、スマホ連携機能など充実)
スピーカー 6スピーカー 8スピーカー
安全装備(AT車) なし EyeSight(プリクラッシュブレーキ、ACCなど)
ドアミラー ボディ同色 ボディ同色(ヒーテッドドアミラー)
キーレスアクセス キーレスアクセス&プッシュスタート キーレスアクセス&プッシュスタート(アクセス連動ウェルカムライティング機能付き)

主な違いは、シートの質感とシートヒーターの有無、内装のステッチカラー、メーターやインフォテインメントシステムの機能差、そしてAT車におけるEyeSightの有無です。

シートは、Sグレードのスエード調コンビネーションシートの方がホールド性も高く、見た目の質感も優れています。特にシートヒーターは、冬場の快適性を大きく向上させるアイテムです。レッドステッチは、スポーティーな雰囲気を盛り上げます。

メーターパネルの表示内容は、Sグレードの方が油温や水温といったスポーツ走行時に重要な情報を表示できるなど、機能が豊富です。インフォテインメントシステムも、SグレードはSUBARU Starlink対応やスマートフォン連携機能が充実しており、現代のニーズに合った機能が揃っています。オーディオのスピーカー数もRグレードの6スピーカーに対し、Sグレードは8スピーカーと音響面でも優位性があります。

そして最大の差は、AT車に標準装備されるEyeSightです。先進の運転支援システムは、高速道路の巡航や渋滞時、あるいは万が一の際の衝突回避・被害軽減に絶大な安心感をもたらします。これは、特にAT車を選ぶユーザーにとって、価格差を正当化する大きな理由となるでしょう。

Rグレードも18インチアルミホイールやLEDランプ、VDCなどは共通で備わっており、スポーツカーとしての基本的な走りの性能はSグレードと同等です。内外装も決してチープではなく、必要十分な装備は揃っています。

価格差に対する価値

18.7万円の価格差で、Sグレードはシートヒーター付き上級シート、レッドステッチ内装、機能充実のメーター・ディスプレイ、8スピーカー、そしてAT車であればEyeSightという、多くの快適・安全装備を得られます。

これらの装備が自分にとってどれだけ価値があるかを考えることが、RとSの選択において重要です。

  • 価格重視で、とにかくBRZの走りの性能を手に入れたい、装備は最低限で十分という方には、Rグレードが魅力的な選択肢となります。
  • BRZの走りはもちろん楽しみたいが、日常での快適性や利便性も重視したい、先進の安全装備による安心感も欲しいという方には、Sグレードが圧倒的におすすめです。特にAT車を検討している方にとって、EyeSightの有無は非常に大きな差となります。

Sグレードの価格差は、これらの装備を後付けすることを考えると、むしろ割安に感じられる可能性もあります。特にシートヒーターやEyeSightといったメーカーオプション的な装備は、後から装着することが非常に困難だからです。

どちらのグレードを選ぶべきか

最終的にどちらのグレードを選ぶかは、個人の価値観と予算によって異なります。

  • Rグレードがおすすめな人:

    • 車両本体価格を抑えたい
    • 装備は必要最低限で十分
    • カスタマイズベースとして考えたい(内装やシートを交換する予定があるなど)
    • MT車で、安全装備はスバルリアビークルディテクションがあれば十分
  • Sグレードがおすすめな人:

    • 上質な内装や快適装備を求めている
    • 日常使いでの快適性も重視したい
    • 先進の安全装備による安心感が欲しい(特にAT車)
    • リセールバリューも考慮したい

多くのユーザーにとって、Sグレードの装備充実度は、価格差を上回る満足感を提供してくれるでしょう。特にAT車を選ぶのであれば、EyeSightの存在は非常に大きく、Sグレードを選択するメリットはさらに高まります。

まずは、両グレードの装備リストをよく比較し、自分にとって本当に必要な装備は何かを見極めることが大切です。そして、可能であれば販売店で両グレードの実車を見比べ、シートの質感や内装の雰囲気などを体感してみることをお勧めします。

BRZ Sグレードの維持費:スポーツカーとの付き合い方

BRZ Sグレードを所有する場合、車両本体価格や購入時の諸費用だけでなく、ランニングコスト、いわゆる維持費についても考慮しておく必要があります。スポーツカーは一般的に、実用車と比較すると維持費がやや高くなる傾向があります。

燃費に基づく燃料代

BRZ SグレードのWLTCモード燃費は、MT車が12.0km/L、AT車が11.7km/Lです。実燃費は運転の仕方や走行環境によって大きく変動しますが、一般的にはカタログ燃費の7~8割程度となることが多いです。BRZの場合、スポーティーな走りを楽しむと、実燃費は10km/Lを下回ることも珍しくありません。使用燃料は無鉛プレミアムガソリン(ハイオク)指定のため、レギュラーガソリンよりも燃料単価が高くなります。

仮に実燃費を10km/L、年間走行距離を10,000km、ハイオクガソリンの単価を180円/Lとすると、年間の燃料代は約18万円となります(10,000km ÷ 10km/L × 180円/L = 180,000円)。これはあくまで一例ですが、スポーツカーらしい走りを楽しめば楽しむほど、燃料代はかさんでいく傾向にあります。

税金

  • 自動車税種別割: 排気量2,387ccのため、年間43,500円です。これは毎年5月頃に支払いが発生します。
  • 自動車重量税: 車両重量が1.3トン前後のため、車検時に2年分まとめて支払います。初回車検時(3年後)とそれ以降の車検時(2年ごと)で税額が異なります。例えば、車両重量1,300kg未満であれば2年分で24,600円、1,300kg以上1,400kg未満であれば2年分で32,800円となります。BRZ Sグレードは1,270kg(MT)または1,290kg(AT)なので、いずれも1,300kg未満に該当し、エコカー減税対象でなければ購入時と初回車検時は24,600円/2年となります。
  • 自動車税環境性能割: 取得価額に応じて課税されますが、現行型BRZは燃費基準達成度により非課税となります(2024年1月現在)。

保険料

自賠責保険料は法律で定められており、車両クラスごとにほぼ一定です。新車購入時には3年分をまとめて支払うのが一般的です。

自動車任意保険料は、所有者の年齢、運転歴、事故歴、車両保険の有無、補償内容、車両の料率クラスなどによって大きく変動します。BRZはスポーティーな車種であり、特に若い年齢層では保険料が高くなる傾向があります。車両保険を付帯する場合は、車両価格が高いため保険料もそれに応じて高くなります。料率クラスもスポーツカーは高めに設定されていることが多いです。年間の任意保険料は、条件によっては10万円を超えることも十分に考えられます。

メンテナンス費用

定期的なメンテナンスとして、エンジンオイル、オイルフィルター、ワイパーブレードなどの消耗品交換が必要です。エンジンオイルは走行距離や使用環境(特にスポーツ走行の頻度)によって交換サイクルが早まることがあります。水平対向エンジンはオイル容量が比較的多い傾向があり、高性能オイルを使用する場合は費用も高くなります。

また、タイヤやブレーキパッド、ブレーキフルードといったスポーツ走行によって摩耗が進みやすい部品の交換費用も考慮に入れる必要があります。BRZはハイグリップなタイヤを装着しているため、交換費用もそれなりにかかります。特にサーキット走行などを頻繁に行う場合は、これらの消耗品の交換サイクルが非常に早まります。

その他、車検費用が2年ごとに発生します。法定費用に加えて、点検費用や交換が必要な部品代などがかかります。

パーツ交換の可能性

BRZはカスタマイズ性の高い車種であり、マフラー交換、サスペンション交換、エアクリーナー交換、ECUチューニングなど、様々なパーツ交換を行うユーザーも多いです。これらの費用は維持費に直接含まれるわけではありませんが、車を所有する上で発生する費用として考慮に入れる必要があるかもしれません。

維持費の総計

これらの維持費を合計すると、年間で数十万円の費用が必要となることがわかります。特に燃料代、任意保険料、消耗品交換費用は、個人の使い方や条件によって大きく変動する項目です。趣味性の高いスポーツカーであるため、ある程度の維持費がかかることは理解しておく必要があります。

ただし、BRZは排気量も2.4Lと極端に大きくなく、車両重量も軽量に抑えられているため、極端に維持費が高いというわけではありません。同クラスの他のスポーツカーと比較すれば、むしろ比較的リーズナブルな部類に入ると言えるかもしれません。

BRZ Sグレードはどんな人におすすめ?:理想のオーナー像

BRZ Sグレードは、単なる移動手段として車を求める人ではなく、運転そのものに喜びを感じ、車との一体感を求める人に最適な一台です。その中でも特に、Sグレードがフィットする理想のオーナー像をいくつかご紹介します。

  1. ピュアなFRスポーツカーを求める人: BRZは、現代においては希少となったFR(フロントエンジン・リアドライブ)レイアウトを採用したピュアスポーツカーです。前後重量配分に優れ、素直なハンドリング特性を持ちます。FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車や4WD車では味わえない、FRならではの旋回時の車両の挙動や、トラクションを感じながらコーナーを立ち上がる感覚を楽しみたい人に最適です。
  2. 運転そのものを楽しみたい人: BRZは、電子制御に頼り切るのではなく、ドライバーの操作に対してリニアに反応し、路面からのフィードバックをしっかりと伝えてくる車です。アクセル、ブレーキ、ステアリングといった基本的な操作が、そのまま車の挙動に反映されるため、運転が上手くなったような感覚を得られます。車の挙動を感じ取りながら、自分で車をコントロールしているという感覚を強く味わいたい人にぴったりです。
  3. ワインディングやサーキット走行を楽しみたい人: 低重心、高剛性ボディ、優れたシャシー性能、そしてパワフルかつリニアなエンジン。これらの要素は、ワインディングロードやサーキットといったクローズドコースでの走行でその真価を発揮します。BRZは、箱根ターンパイクのようなワインディングを気持ちよく駆け抜けたり、サーキットでタイムを削ったりといったアクティブな使い方にも十分応えるポテンシャルを持っています。特にSグレードは、純正で比較的性能の高いタイヤやブレーキを備えているため、そのままの状態でもある程度のスポーツ走行に対応できます。
  4. 最上級の装備と快適性を求める人: BRZの走りの性能はRグレードでも十分に堪能できますが、Sグレードはそれに加えて、より上質な内装、シートヒーター、機能充実のメーターやディスプレイ、8スピーカーオーディオといった快適装備が充実しています。また、AT車であれば先進のEyeSightが標準装備されます。スポーツカーとしての走りだけでなく、日常での使い勝手や快適性、そして安心感も妥協したくないという欲張りな(良い意味で!)人におすすめです。
  5. MT車に乗りたい人 / AT車で快適性と安全性を両立したい人: BRZ SグレードはMTとATが選択可能です。MT車を選べば、自分でギアを選択し、エンジンの回転数を合わせるというMT車ならではの操作感を存分に楽しめます。一方でAT車を選べば、渋滞時などでのイージードライブが可能になり、さらにEyeSightによる先進の運転支援機能も手に入ります。どちらのトランスミッションを選ぶかで、BRZとの付き合い方が変わってきますが、Sグレードはどちらの選択肢を選んでも、最上級の満足感を得られるように設計されています。

逆に言えば、単に見た目がカッコいいから、燃費の良い車が欲しい、とにかく室内が広くて荷物がたくさん積める車が欲しい、といったニーズには、BRZ Sグレードは必ずしも最適な選択肢とは言えません。

BRZ Sグレードは、特定の層に向けた、非常に尖った個性を持った車です。その個性が自分のライフスタイルや価値観に合致する人にとって、BRZ Sグレードはかけがえのない最高のパートナーとなるでしょう。

購入ガイド・注意点:賢くBRZを手に入れるために

BRZ Sグレードの購入を決めた、あるいは検討を進めている段階で、知っておくべき購入プロセスや注意点があります。

新車購入の流れ

  1. 情報収集: カタログやウェブサイトでスペックや装備、価格を確認します。試乗レビューやオーナーズレビューなども参考にすると良いでしょう。この記事もその一助となれば幸いです。
  2. 販売店訪問・商談: 最寄りのスバルディーラーを訪問します。カタログを入手し、営業担当者から詳しい説明を受けます。見積もりを作成してもらい、価格や納期、下取り車がある場合は査定額などを相談します。
  3. 試乗: 可能であれば、必ず試乗を行いましょう。特にMT車とAT車の両方を試乗し、自分に合った方を選ぶのがベストです。SグレードとRグレードで悩んでいる場合は、両方の試乗車があれば乗り比べてみるのも良いでしょう。BRZの真価は乗ってみなければ分かりません。
  4. 契約: 見積もり内容に納得できたら、契約手続きを行います。印鑑、印鑑証明書、車庫証明書取得に必要な書類などを準備します。契約時には手付金が必要となるのが一般的です。
  5. 登録・納車準備: 車庫証明書の申請、自動車保険の手続き、車両の登録手続きなどを販売店が行います。
  6. 納車: 準備が整い次第、販売店で納車となります。車両の状態を確認し、操作説明などを受けます。

中古車市場について

現行型BRZは比較的新しいモデルですが、中古車市場にも流通しています。新車よりも価格を抑えて手に入れたい場合は、中古車も選択肢に入ります。

  • メリット: 新車よりも安価に入手できる可能性があります。すぐに納車される場合が多いです。
  • デメリット: 車両の状態は個体差が大きいです。走行距離が多い車や、スポーツ走行に使われた車は、部品の摩耗が進んでいる可能性があります。前オーナーのカスタマイズ状況も確認が必要です。保証期間が短い、あるいは終了している場合があります。

中古車を購入する際は、信頼できる販売店を選び、車両の状態をしっかりと確認することが非常に重要です。可能であれば、試乗も行いましょう。特にスポーツカーは、前の使われ方によってコンディションが大きく変わるため、慎重な判断が必要です。Sグレードは人気の高いグレードであるため、中古車価格も高めに推移する傾向があります。

試乗の重要性

BRZのようなドライバーズカーにおいて、試乗は非常に重要です。スペックやレビューだけでは分からない、ステアリングの手応え、ペダルの操作感、エンジンのレスポンス、サスペンションの動き、そして車体との一体感など、感覚的な部分を実際に体験することができます。特にMT車の場合は、クラッチの繋がり方やシフトフィールの好みも人それぞれです。短い距離でも良いので、必ず試乗することをお勧めします。

納期について

新車の納期は、受注状況や生産体制によって変動します。人気車種であるBRZは、契約から納車まで数ヶ月かかることも珍しくありません。特に半導体不足などの影響がある時期は、さらに納期が長期化する可能性もあります。契約時には、おおよその納期を営業担当者に確認しておきましょう。

限定車や特別仕様車との比較検討

BRZは、これまでにいくつかの特別仕様車やSTI Sportなどの高性能モデルが登場しています。これらのモデルは、通常グレードとは異なる専用の装備や内外装が与えられ、より特別な魅力を持っています。

購入を検討する際は、もし特別なモデルが販売されている時期であれば、Sグレードと比較検討してみるのも良いでしょう。ただし、特別仕様車は生産台数に限りがある場合が多く、価格も通常グレードより高くなる傾向があります。自分の求める仕様や予算に合わせて、幅広く情報収集を行うことが重要です。

まとめ:BRZ Sグレードがもたらす、運転の歓び

スバル BRZ Sグレードは、「誰もが愉しめるFRピュアスポーツカー」というコンセプトを、現行型BRZのポテンシャルと共に最も高いレベルで体現したグレードです。排気量アップによる力強いエンジン、徹底した低重心と高剛性がもたらす意のままのハンドリング、そしてスポーツカーとしての機能美と上質さを両立した内外装、さらに先進の安全装備までをも兼ね備えています。

単に速いだけの車ではなく、ドライバーの操作に素直に反応し、車との対話を通じて運転の奥深さを感じさせてくれるのがBRZの真髄です。Sグレードは、このBRZ本来の走りの楽しさに加え、日常での快適性や安心感も高めており、スポーツカーを毎日の相棒として迎え入れたいと考えるユーザーにとって、非常に魅力的な選択肢となります。

約18.7万円の価格差で得られるシートヒーター付き上級シート、機能充実のメーター・ディスプレイ、8スピーカー、そしてAT車におけるEyeSightは、多くのユーザーにとって十分に価格に見合う、あるいはそれ以上の価値を提供してくれるでしょう。

もちろん、ピュアな走りを追求するならRグレードも素晴らしい選択です。しかし、快適性や先進装備も妥協したくない、BRZの全てを味わいたいというのであれば、Sグレードこそが最良の選択と言えます。

BRZ Sグレードは、あなたのカーライフに「運転する歓び」という新しい彩りを加えてくれるはずです。もしあなたが、純粋なスポーツカーの魅力に惹かれ、意のままに車を操る楽しさを求めているのであれば、ぜひ一度、BRZ Sグレードに触れてみてください。きっと、その魅力に心奪われることでしょう。

この記事が、BRZ Sグレードの全てを理解し、あなたの車選びの助けとなれば幸いです。

【この記事はBRZ Sグレードに関する一般的な情報に基づいて記述されています。最新の仕様、価格、オプション、納期については、必ずスバル公式ウェブサイトまたは正規販売店にご確認ください。】

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