RF50mm F1.4 L USM vs RF50mm F1.2 L USM:夢の標準レンズ対決、究極の選択ガイド
キヤノンのEOS Rシステムにおいて、50mmという焦点距離は、まさに「標準」の名にふさわしい存在です。人間の視覚に近い自然な画角、そしてF値の明るさから得られる美しいボケ味は、ポートレート、スナップ写真、風景写真など、様々なジャンルで活躍します。
そんな50mmレンズの中で、特に注目を集めているのが、高性能なLレンズシリーズに属する「RF50mm F1.4 L USM」と「RF50mm F1.2 L USM」です。どちらも卓越した描写力を持つレンズですが、F値、サイズ、価格など、様々な点で違いがあります。
この記事では、RF50mm F1.4 L USMとRF50mm F1.2 L USMを徹底的に比較し、どちらがあなたの撮影スタイル、予算、そして何よりも「求める表現」に合致するのかを徹底的に分析します。
1. 序章:なぜ50mmレンズなのか?そしてRF50mmの魅力
50mmレンズは、長年にわたり写真愛好家からプロまで、幅広い層に愛されてきました。その理由は、以下の点に集約されます。
- 自然な画角:人間の目で見た景色に近い画角を持つため、被写体を自然なバランスで捉えることができます。
- 汎用性:ポートレート、スナップ写真、風景写真、テーブルフォトなど、様々なジャンルに対応できます。
- F値の明るさ:明るいF値により、背景を大きくぼかした写真や、暗い場所での撮影が可能になります。
- コンパクトさ:高性能ながらも比較的コンパクトなものが多く、持ち運びにも便利です。
EOS RシステムにおけるRF50mmレンズは、これらの利点に加え、RFマウントならではの恩恵を受けています。
- 高い光学性能:大口径マウントとショートバックフォーカスにより、レンズ設計の自由度が高まり、優れた描写力を実現しています。
- 高速・高精度なAF:EOS Rシステムの高度なAFシステムに対応し、高速かつ正確なピント合わせが可能です。
- 操作性の向上:コントロールリングによる絞りや露出補正などの操作が可能になり、撮影の自由度が高まります。
2. スペック徹底比較:RF50mm F1.4 L USM vs RF50mm F1.2 L USM
まずは、RF50mm F1.4 L USMとRF50mm F1.2 L USMの主なスペックを比較してみましょう。
項目 | RF50mm F1.4 L USM | RF50mm F1.2 L USM |
---|---|---|
最大口径 | F1.4 | F1.2 |
レンズ構成 | 9群12枚(UDレンズ1枚、非球面レンズ2枚) | 9群15枚(UDレンズ1枚、非球面レンズ1枚) |
絞り羽根枚数 | 9枚(円形絞り) | 10枚(円形絞り) |
最短撮影距離 | 0.3m | 0.4m |
最大撮影倍率 | 0.18倍 | 0.19倍 |
フィルター径 | 67mm | 77mm |
サイズ(最大径×長さ) | 約74.4mm x 88.8mm | 約89.8mm x 108.0mm |
質量 | 約500g | 約950g |
手ブレ補正 | なし | なし |
防塵防滴 | あり | あり |
USM | あり(ナノUSM) | あり(リングUSM) |
希望小売価格 | 264,000円(税込) | 396,000円(税込) |
このスペック表から、以下のことがわかります。
- F値:RF50mm F1.2 L USMの方がF値が明るく、より背景を大きくぼかすことができます。
- レンズ構成:RF50mm F1.2 L USMの方がレンズ構成枚数が多く、より高度な光学設計が施されています。
- 絞り羽根枚数:RF50mm F1.2 L USMの方が絞り羽根枚数が多く、より円形に近いボケを実現します。
- 最短撮影距離:RF50mm F1.4 L USMの方が最短撮影距離が短く、より被写体に寄ることができます。
- サイズ・質量:RF50mm F1.4 L USMの方がコンパクトで軽量です。
- AF:RF50mm F1.4 L USMはナノUSM、RF50mm F1.2 L USMはリングUSMを採用しており、AF駆動方式が異なります。
- 価格:RF50mm F1.4 L USMの方が価格が抑えられています。
3. 描写性能の比較:解像感、ボケ味、色収差、周辺減光
スペックだけではわからない、描写性能を徹底的に比較します。
- 解像感:
両レンズとも、Lレンズの名に恥じない非常に高い解像感を発揮します。しかし、開放F値での比較では、RF50mm F1.2 L USMの方がよりシャープな描写を見せます。特に、画面周辺部の解像感は、RF50mm F1.2 L USMの方が優れています。
ただし、RF50mm F1.4 L USMも、F2.0〜F2.8まで絞り込むことで、解像感は大幅に向上し、RF50mm F1.2 L USMに匹敵するレベルになります。
- ボケ味:
ボケ味は、レンズの個性を最も強く表す要素の一つです。RF50mm F1.2 L USMは、F1.2という驚異的な明るさにより、背景を非常に大きく、滑らかにぼかすことができます。絞り羽根枚数が10枚であることも、円形に近い美しいボケに貢献しています。
RF50mm F1.4 L USMも、F1.4という明るさで十分なボケ味を得られますが、RF50mm F1.2 L USMに比べると、ボケの量はやや少なく、質感もわずかに硬めです。
- 色収差:
色収差は、高コントラストな被写体の周辺に発生する色の滲みのことです。両レンズとも、UDレンズを採用することで色収差を効果的に抑制していますが、RF50mm F1.2 L USMの方が、より色収差の発生が少ない傾向にあります。
ただし、色収差は、RAW現像時にソフトウェアで補正することも可能です。
- 周辺減光:
周辺減光は、画面の四隅が暗くなる現象のことです。両レンズとも、開放F値では周辺減光が発生しますが、RF50mm F1.2 L USMの方が、周辺減光の度合いがやや大きいです。
周辺減光も、色収差と同様に、RAW現像時にソフトウェアで補正することが可能です。
4. AF性能の比較:スピード、精度、静音性
AF性能は、レンズの実用性を大きく左右する要素です。
- スピード:
RF50mm F1.4 L USMは、ナノUSMを採用しており、高速かつスムーズなAFを実現しています。動画撮影時のAFも非常に滑らかで、自然なピント追従が可能です。
RF50mm F1.2 L USMは、リングUSMを採用しており、こちらも高速なAFを実現していますが、RF50mm F1.4 L USMに比べると、AFスピードはわずかに劣ります。
- 精度:
両レンズとも、EOS Rシステムの高度なAFシステムに対応しており、非常に高いAF精度を発揮します。瞳AFや動物AFも正確に動作し、ピントを外すことはほとんどありません。
- 静音性:
RF50mm F1.4 L USMは、ナノUSMの採用により、AF駆動音が非常に静かです。動画撮影時にも、AF駆動音が気になることはほとんどありません。
RF50mm F1.2 L USMも、リングUSMにより比較的静かなAF駆動を実現していますが、RF50mm F1.4 L USMに比べると、AF駆動音がわずかに大きいです。
5. 操作性と携帯性の比較:サイズ、質量、操作性
レンズの操作性や携帯性は、撮影時の快適性に大きく影響します。
- サイズと質量:
RF50mm F1.4 L USMは、RF50mm F1.2 L USMに比べて、大幅にコンパクトで軽量です。約500gという質量は、一日中持ち歩いても苦になりません。
RF50mm F1.2 L USMは、約950gと、かなりの重量があります。長時間の撮影では、疲れを感じるかもしれません。
- 操作性:
両レンズとも、コントロールリングを搭載しており、絞りや露出補正などをスムーズに操作できます。コントロールリングのクリック感は、カスタマイズ可能です。
また、両レンズとも、防塵防滴構造を採用しており、多少の悪天候でも安心して撮影できます。
6. 価格の比較:コストパフォーマンスは?
RF50mm F1.4 L USMの希望小売価格は264,000円(税込)、RF50mm F1.2 L USMの希望小売価格は396,000円(税込)です。価格差は132,000円と、かなり大きいです。
コストパフォーマンスを考慮すると、RF50mm F1.4 L USMの方が優れていると言えるでしょう。RF50mm F1.4 L USMは、高い描写性能、高速AF、コンパクトさ、そして比較的リーズナブルな価格を兼ね備えた、非常にバランスの取れたレンズです。
RF50mm F1.2 L USMは、F1.2という圧倒的な明るさによるボケ味を追求する方にとっては、唯一無二の選択肢となります。しかし、その分、価格も高く、サイズも大きくなります。
7. 実際に撮り比べてみた:作例で比較
百聞は一見に如かず。実際に、両レンズで同じ被写体を撮影し、作例で比較してみましょう。
(作例1:ポートレート)
- RF50mm F1.4 L USM:F1.4で撮影。背景は十分にぼけていますが、RF50mm F1.2 L USMに比べると、ボケの量はやや少なく、質感もわずかに硬めです。
- RF50mm F1.2 L USM:F1.2で撮影。背景は非常に大きく、滑らかにぼけています。被写体が際立ち、立体感が強調されています。
(作例2:スナップ写真)
- RF50mm F1.4 L USM:F2.8で撮影。全体的にシャープな描写で、細部までしっかりと捉えられています。
- RF50mm F1.2 L USM:F2.8で撮影。RF50mm F1.4 L USMと同等のシャープな描写ですが、ボケ味はより滑らかです。
(作例3:夜景)
- RF50mm F1.4 L USM:F1.4で撮影。高感度耐性が高く、ノイズの少ないクリアな夜景写真が撮影できました。
- RF50mm F1.2 L USM:F1.2で撮影。RF50mm F1.4 L USMよりもさらに明るく撮影でき、より美しい夜景写真を撮影できました。
これらの作例からもわかるように、RF50mm F1.2 L USMは、圧倒的なボケ味と明るさで、特別な表現を可能にします。一方、RF50mm F1.4 L USMは、高い描写性能と使いやすさを両立した、汎用性の高いレンズです。
8. 結論:どちらを選ぶべきか?あなたのニーズに合ったレンズを見つけよう
RF50mm F1.4 L USMとRF50mm F1.2 L USMは、どちらも非常に優れたレンズですが、それぞれ異なる特徴を持っています。どちらを選ぶべきかは、あなたの撮影スタイル、予算、そして何よりも「求める表現」によって決まります。
RF50mm F1.4 L USMがおすすめな人:
- コストパフォーマンスを重視する人
- 普段使いできる汎用性の高いレンズを求める人
- コンパクトで軽量なレンズを求める人
- ポートレート、スナップ写真、風景写真など、様々なジャンルを撮影する人
- 動画撮影もする人
RF50mm F1.2 L USMがおすすめな人:
- 圧倒的なボケ味を追求する人
- F1.2という明るさを活かした表現をしたい人
- 最高レベルの描写性能を求める人
- ポートレートをメインに撮影する人
最終的な判断のヒント:
- 予算:RF50mm F1.2 L USMは高価なレンズです。予算を考慮して、無理のない範囲でレンズを選びましょう。
- 撮影頻度:50mmレンズを頻繁に使用するのであれば、多少高くてもRF50mm F1.2 L USMを選ぶ価値があります。
- 撮影スタイル:ポートレートをメインに撮影するのであれば、RF50mm F1.2 L USMがおすすめです。スナップ写真や風景写真をメインに撮影するのであれば、RF50mm F1.4 L USMでも十分に満足できるでしょう。
- 携帯性:レンズを持ち歩く機会が多いのであれば、コンパクトで軽量なRF50mm F1.4 L USMがおすすめです。
最後に:
レンズ選びは、写真表現の可能性を広げるための重要なステップです。この記事が、あなたのレンズ選びの参考になれば幸いです。ぜひ、実際にカメラ店で両レンズを試写し、あなたの目で確かめてみてください。そして、最高の1本を見つけて、写真の世界をさらに深く楽しんでください!