はい、承知いたしました。Windows Updateが起動しない場合の考えられるすべての原因と、それぞれの詳細な対処法を含む約5000語の記事を作成します。
Windows Updateが起動しない?考えられるすべての原因と対処法
はじめに
Windowsを使用する上で、Windows Updateは非常に重要な役割を担っています。セキュリティの脆弱性を修正するためのパッチ、新機能の追加、既存機能の改善、そしてハードウェアやソフトウェアとの互換性問題の解決など、様々な目的のために定期的なアップデートが行われます。Windows Updateを常に最新の状態に保つことは、お使いのパソコンを安全に保ち、快適に利用するために不可欠です。
しかし、時にWindows Updateが正常に機能しない、つまり「起動しない」「更新を確認できない」「ダウンロードが進まない」「インストールでエラーになる」といった問題に直面することがあります。これらの問題は、単に最新機能が使えないだけでなく、セキュリティリスクを高めたり、システムの不安定化を招いたりする可能性があります。
この記事では、「Windows Updateが起動しない」という状況に焦点を当て、その背景にある考えられる様々な原因を深く掘り下げて解説します。そして、それぞれの原因に対する具体的な対処法を、ステップごとに詳細に説明します。初心者の方でも理解できるように、専門用語はできるだけ避け、分かりやすい言葉で解説することを心がけます。
Windows Updateの問題に直面し、どうすれば良いか分からないとお困りの方は、ぜひこの記事を参考に、一つずつ原因を特定し、対処法を試してみてください。
Windows Updateが「起動しない」とは具体的にどのような状況か?
一口に「Windows Updateが起動しない」と言っても、その具体的な症状は様々です。以下にいくつかの典型的な状況を挙げます。
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設定アプリの「更新とセキュリティ」や「Windows Update」の画面が開けない/応答しない:
- 設定アプリ自体は開くが、「更新とセキュリティ」をクリックすると画面が固まる、またはエラーが表示されて先に進めない。
- 「Windows Update」の画面が表示されても、内容が読み込まれず空白のままだったり、操作が受け付けられなかったりする。
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「更新プログラムのチェック」ボタンをクリックしても反応がない、または延々とチェック中のまま進まない:
- 「更新プログラムのチェック」ボタンを押しても何も起こらない。
- ボタンを押した後、「更新を確認しています…」と表示されたまま、何時間経ってもチェックが終わらない。
- 特定の進捗率(例: 0%、〇%)で止まってしまう。
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特定のサービス(Windows Update関連)が開始できない、または実行されていない:
- Windowsのバックグラウンドで動作しているWindows Update関連のサービスが停止している、または開始しようとしてもエラーが発生する。
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特定の更新プログラムを適用しようとするとエラーコードが表示されて失敗する:
- 「前回の更新でエラーが発生しました。」といったメッセージと共に、特定のコード(例: 0x80070002, 0x8007000D, 0x800F081Fなど)が表示される。
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タスクバーの通知領域にWindows Updateのエラーアイコンが表示されているが、クリックしても情報が表示されない/解決できない:
- Windows Updateに問題があることを示すアイコンが表示されているが、具体的な情報や解決策にアクセスできない。
これらの状況は、Windows Updateの機能そのものに何らかの障害が発生していることを示唆しています。原因は多岐にわたるため、一つずつ可能性を潰していく作業が必要になります。
考えられる原因とそれぞれの詳細な対処法
ここでは、Windows Updateが起動しない、または正常に機能しない場合の主な原因と、それに対する具体的な対処法を詳しく解説します。簡単なものから順に試していくのがおすすめです。
原因1:一時的なシステムの問題や競合
最も単純ながら、意外と効果があるのが一時的なシステムの問題や他のソフトウェアとの競合です。Windowsが起動してからの様々なプロセスの中で、一時的にWindows Updateの機能がブロックされたり、リソースが不足したりしている可能性があります。
対処法1-1:パソコンを再起動する
これは最も基本的な対処法ですが、多くのシステム上の問題を解決できます。実行中のプログラムやバックグラウンドプロセスをリフレッシュし、システムリソースを解放することで、問題が解消されることがあります。
手順:
- 開いているアプリケーションをすべて保存・終了します。
- Windowsのスタートメニューを開きます。
- 電源ボタンをクリックします。
- 「再起動」を選択します。
- パソコンが完全にシャットダウンし、再び起動するまで待ちます。
- ログイン後、再度Windows Updateの設定画面を開き、問題が解消されたか確認します。
再起動は、単にシャットダウンして電源を入れるのではなく、「再起動」オプションを選択することが重要です。これにより、一部のシステムファイルやキャッシュが適切にクリアされるため、効果が高い場合があります。
対処法1-2:ネットワーク接続を確認する
Windows Updateはインターネット経由で実行されるため、安定したネットワーク接続が必要です。Wi-Fiや有線LAN接続に問題がないか確認しましょう。
手順:
- インターネット接続の確認:
- Webブラウザ(Edge, Chromeなど)を開き、いくつかのウェブサイト(例: Google, Microsoft公式サイトなど)にアクセスできるか確認します。
- 他のデバイス(スマートフォンなど)が同じネットワークに接続してインターネットを利用できるか確認します。
- ネットワークアダプターの確認:
- スタートボタンを右クリックし、「デバイス マネージャー」を開きます。
- 「ネットワーク アダプター」を展開し、お使いのネットワークアダプター(例: Intel(R) Wi-Fi 6 AX201, Realtek PCIe GbE Family Controllerなど)が正常に認識されているか確認します。アダプターに黄色い注意マークや赤い×マークが付いていないか確認します。
- 問題がある場合は、右クリックして「ドライバーの更新」または「デバイスのアンインストール」(その後PCを再起動して再インストールさせる)を試みます。
- ネットワークトラブルシューターの実行:
- Windowsの設定を開きます。「ネットワークとインターネット」→「状態」(Windows 10)または「ネットワークとインターネット」(Windows 11)→「ネットワーク トラブルシューター」を実行します。画面の指示に従って問題を診断・修復させます。
- ルーター/モデムの再起動:
- 可能であれば、お使いのルーターやモデムの電源を切り、数分待ってから再度電源を入れます。これにより、ネットワーク機器の一時的な不具合が解消されることがあります。
原因2:ストレージ容量の不足
Windows Updateをダウンロードしてインストールするには、十分な空きストレージ容量が必要です。特に大型の機能更新プログラムでは、10GB以上の空き容量が必要になることもあります。空き容量が不足していると、ダウンロードやインストールの途中で処理が停止してしまうことがあります。
対処法2:ストレージの空き容量を確保する
手順:
- ストレージの空き容量を確認する:
- エクスプローラーを開き、「PC」をクリックします。
- Windowsがインストールされているドライブ(通常はC:ドライブ)を右クリックし、「プロパティ」を選択します。
- 「全般」タブに表示されている「空き領域」を確認します。
- または、Windowsの設定を開き、「システム」→「ストレージ」で各ドライブの空き容量を確認できます。
- 不要なファイルを削除する:
- 容量が不足している場合は、不要なファイル(ダウンロードフォルダ内のファイル、不要になったドキュメント、写真、動画など)を削除して空き容量を増やします。
- ディスククリーンアップを実行する:
- Windowsに組み込まれているディスククリーンアップツールを使用して、一時ファイル、システムファイル、ダウンロードされたプログラムファイルなど、不要なファイルを効率的に削除できます。
- エクスプローラーのドライブのプロパティから「ディスクのクリーンアップ」ボタンをクリックします。
- 「システム ファイルのクリーンアップ」をクリックすると、以前のWindowsインストールのバックアップファイルやWindows Update関連の一時ファイルなど、さらに多くの項目を削除できます。
- 削除する項目を選択し、「OK」をクリックします。
- 外部ドライブやクラウドストレージへの移動:
- 大容量のファイル(ビデオ、写真集など)は、外部ハードディスクやクラウドストレージサービス(OneDrive, Dropboxなど)に移動させることを検討します。
- アプリのアンインストール:
- 使用していないアプリケーションをアンインストールすることも有効です。
- 設定アプリを開き、「アプリ」→「アプリと機能」から不要なアプリを選択してアンインストールします。
目安として、Windows Updateを実行する際には最低でも10GB~15GB以上の空き容量を確保することが推奨されます。
原因3:Windows Update関連サービスの停止または破損
Windows Updateは、いくつかの関連するサービスによって実行されます。これらのサービスが停止していたり、正しく動作していなかったりすると、Windows Updateは機能しません。
対処法3:Windows Update関連サービスの状態を確認し、再起動または開始する
手順:
- 「サービス」管理ツールを開く:
- 検索バーに「サービス」と入力し、「サービス」アプリをクリックして開きます。
- または、「Windowsキー + R」を押して「ファイル名を指定して実行」を開き、「services.msc」と入力して「OK」をクリックします。
- 以下のサービスを見つける:
- Windows Update (wuauserv): Windows Updateの主要なサービスです。
- Background Intelligent Transfer Service (BITS): バックグラウンドでファイル転送を行うサービスで、Windows Updateのダウンロードに利用されます。
- Cryptographic Services (CryptSvc): ファイルの署名検証など、セキュリティ関連のサービスです。
- DCOM Server Process Launcher (DcomLaunch): DCOMサービスを起動するサービスで、BITSの依存関係です。
- RPC (Remote Procedure Call) Locator (RpcLocator): RPC関連のサービスですが、Windows Updateの直接的な依存関係ではない場合もあります。念のため確認します。
- RPC (Remote Procedure Call) (RpcSs): RPCサービス自体で、多くのサービスがこれに依存しています。
- 各サービスの状態を確認する:
- 上記サービスの名前を見つけ、右側の「状態」列を確認します。通常、「実行中」となっている必要があります。
- 「スタートアップの種類」列を確認します。「Windows Update」と「BITS」は通常「手動(トリガー開始)」または「自動」です。「Cryptographic Services」「DCOM Server Process Launcher」「RPC (Remote Procedure Call)」は通常「自動」または「自動(遅延開始)」です。
- サービスを開始または再起動する:
- 状態が「停止」になっているサービスがある場合、そのサービスを右クリックし、「開始」を選択します。
- 状態が「実行中」であっても問題が解決しない場合、サービスを右クリックし、「再起動」を選択します。依存関係にある他のサービスも再起動を求められることがありますが、そのまま「はい」をクリックします。
- 「Windows Update」サービスから再起動または開始を試み、その後BITSを試みるのが一般的です。
- スタートアップの種類を確認/変更する:
- サービスのスタートアップの種類が「無効」になっている場合は、ダブルクリックしてプロパティを開き、「スタートアップの種類」を「自動」または「手動(トリガー開始)」に変更し、「適用」→「OK」をクリックします。その後、サービスを開始させます。
これらのサービスが正常に動作していることを確認することは、Windows Update問題を解決するための重要なステップです。
原因4:Windows Updateキャッシュまたは一時ファイルの破損
Windows Updateは、ダウンロードした更新プログラムのファイルや、更新プロセスに関連する一時ファイルを特定のフォルダ(通常は C:\Windows\SoftwareDistribution)に保存します。これらのファイルが破損したり、不整合を起こしたりすると、更新プロセスが正常に実行できなくなることがあります。
対処法4:Windows Updateコンポーネントをリセットする
Windows Updateに関連する一時ファイルやキャッシュを削除し、サービスを再登録することで、問題を解決できる場合があります。この操作は「Windows Updateコンポーネントのリセット」と呼ばれ、手動またはスクリプトを使用して実行できます。
注意: この操作を行うと、過去のWindows Update履歴がクリアされることがあります。ただし、既にインストールされた更新プログラムが削除されるわけではありません。
方法 A:手動でリセットする
この方法は、コマンドプロンプト(管理者として実行)を使用します。
手順:
- コマンドプロンプトを管理者として実行する:
- 検索バーに「cmd」と入力します。
- 表示された「コマンド プロンプト」を右クリックし、「管理者として実行」を選択します。
- ユーザーアカウント制御(UAC)のダイアログが表示されたら「はい」をクリックします。
- Windows Update関連サービスを停止する:
- 以下のコマンドを1行ずつ入力し、それぞれのコマンドの後にEnterキーを押します。
cmd
net stop wuauserv
net stop cryptSvc
net stop bits
net stop msiserver - 各コマンドの実行後、「サービスは正常に停止されました。」または「サービスは停止していません。」と表示されることを確認します。停止していなくても次のコマンドに進んで問題ありません。
- 以下のコマンドを1行ずつ入力し、それぞれのコマンドの後にEnterキーを押します。
- SoftwareDistributionフォルダとCatroot2フォルダの名前を変更する:
- これらのフォルダにはWindows Updateのキャッシュファイルが格納されています。名前を変更することで、Windowsはこれらのフォルダを新しく再作成し、古い破損したファイルを無視するようになります。
- 以下のコマンドを1行ずつ入力し、それぞれのコマンドの後にEnterキーを押します。
cmd
ren C:\Windows\SoftwareDistribution SoftwareDistribution.old
ren C:\Windows\System32\catroot2 catroot2.old - 「アクセスが拒否されました。」などのエラーが表示される場合は、サービスが完全に停止できていない可能性があります。PCを再起動し、再度ステップ2からやり直してください。または、セーフモードで実行を試みることもできます。
- Windows Update関連サービスを再開する:
- 以下のコマンドを1行ずつ入力し、それぞれのコマンドの後にEnterキーを押します。
cmd
net start wuauserv
net start cryptSvc
net start bits
net start msiserver - 各コマンドの実行後、「サービスは正常に開始されました。」と表示されることを確認します。
- 以下のコマンドを1行ずつ入力し、それぞれのコマンドの後にEnterキーを押します。
- コマンドプロンプトを閉じる:
exitと入力してEnterキーを押します。 - PCを再起動する(推奨): 一連の変更をシステムに反映させるために、PCを再起動します。
- Windows Updateを再度実行する: 設定アプリからWindows Updateを開き、更新プログラムのチェックを再度実行します。
方法 B:トラブルシューターを利用する
Windowsには、Windows Updateに関する一般的な問題を自動的に診断・修復するトラブルシューターが用意されています。手動での操作に抵抗がある場合や、まず簡単な方法を試したい場合に適しています。
手順 (Windows 10の場合):
- 設定アプリを開きます。「更新とセキュリティ」→「トラブルシューティング」→「追加のトラブルシューティングツール」をクリックします。
- 「起動して稼働中」または「その他の問題の発見と解決」の項目にある「Windows Update」を選択し、「トラブルシューターの実行」をクリックします。
- 画面の指示に従って、診断と修復プロセスを実行します。
- トラブルシューターが完了したら、結果を確認し、問題が解決されたかPCを再起動して確認します。
手順 (Windows 11の場合):
- 設定アプリを開きます。「システム」→「トラブルシューティング」→「その他のトラブルシューティングツール」をクリックします。
- 「よく使うツール」または「その他」の項目にある「Windows Update」を選択し、「実行」をクリックします。
- 画面の指示に従って、診断と修復プロセスを実行します。
- トラブルシューターが完了したら、結果を確認し、問題が解決されたかPCを再起動して確認します。
トラブルシューターは、サービスの状態確認、キャッシュのクリア、ネットワーク関連の確認など、いくつかの自動的な修復を試みます。
方法 C:Microsoft提供のWindows Updateリセットスクリプト(上級者向け/現在は非公式)
以前はMicrosoftが公式のWindows Updateリセットスクリプトを提供していましたが、現在は非公式なものとなっています。このスクリプトは、上記のサービス停止、フォルダ名変更、サービス開始に加え、レジストリキーの再登録やWinsockのリセットなど、より広範なリセット操作を自動で行います。使用には十分な注意が必要であり、公式サポートは期待できません。特別な理由がない限り、手動でのリセットまたはトラブルシューターの利用を推奨します。
原因5:システムファイルの破損
Windowsのコアシステムファイル自体が破損している場合、Windows Updateを含む様々なシステム機能に影響が出ることがあります。
対処法5-1:システムファイルチェッカー(SFC)を実行する
システムファイルチェッカー(SFC.exe)は、保護されたシステムファイルの整合性をスキャンし、問題が検出された場合は破損したファイルをMicrosoftのキャッシュから正常なファイルに置き換えるツールです。
手順:
- コマンドプロンプトを管理者として実行する:
- 検索バーに「cmd」と入力し、表示された「コマンド プロンプト」を右クリックし、「管理者として実行」を選択します。
- ユーザーアカウント制御(UAC)のダイアログが表示されたら「はい」をクリックします。
- SFCコマンドを実行する:
- コマンドプロンプトウィンドウに以下のコマンドを入力し、Enterキーを押します。
cmd
sfc /scannow - スキャンが開始され、完了には数分から数十分かかることがあります。スキャン中はコマンドプロンプトウィンドウを閉じないでください。
- コマンドプロンプトウィンドウに以下のコマンドを入力し、Enterキーを押します。
- 結果を確認する:
- スキャン完了後、以下のいずれかのメッセージが表示されます。
Windows リソース保護は整合性違反を検出しませんでした。-> システムファイルに問題は見つかりませんでした。Windows リソース保護は、破損したファイルを検出し、それらを正常に修復しました。-> 問題が検出され、修復されました。Windows リソース保護は破損したファイルを検出しましたが、それらの一部を修復できませんでした。-> 問題が検出されましたが、自動的に修復できなかったファイルがあります。この場合、後述のDISMコマンドを試すか、CBS.logファイルを確認して詳細を調べる必要があります。Windows リソース保護は要求された操作を実行できませんでした。-> SFCを実行するための前提条件(サービスなど)に問題がある可能性があります。セーフモードでの実行などを試みます。
- スキャン完了後、以下のいずれかのメッセージが表示されます。
- PCを再起動する(推奨): 修復が行われた場合は、PCを再起動してからWindows Updateを再度試します。
対処法5-2:DISMツールを実行する
展開イメージのサービスと管理(DISM.exe)ツールは、Windowsイメージ自体を修復するために使用されます。SFCで問題が解決しなかった場合や、SFCが正常に実行できない場合に有効です。DISMは、Windows Updateコンポーネントの破損など、より根深いシステムイメージの問題を修復できる可能性があります。
手順:
- コマンドプロンプトを管理者として実行する: SFCと同様に、コマンドプロンプトを管理者として開きます。
- DISMコマンドを実行する:
- まずはシステムイメージの健康状態をチェックします(オプション)。
cmd
DISM /Online /Cleanup-Image /CheckHealth
(問題があるかどうかの簡単なチェック) - 次に、より詳細なスキャンを実行して問題があるか確認します。
cmd
DISM /Online /Cleanup-Image /ScanHealth
(より詳細なスキャン) - 問題が検出された場合、または検出されなくても念のため修復を実行したい場合は、以下のコマンドで修復を実行します。修復にはインターネット接続が必要です。
cmd
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
(システムイメージの修復) - このコマンドは、Windows Updateを使って必要な修復ファイルをダウンロードしようとします。もしWindows Update自体が機能しない場合は、インストールメディア(ISOファイルやUSBメモリ)をソースとして指定することもできますが、手順が複雑になります。まずはオンラインでの修復を試みてください。
- 修復には時間がかかる場合があります(10分~数時間)。完了するまで待ちます。
- まずはシステムイメージの健康状態をチェックします(オプション)。
- PCを再起動する(推奨): DISMコマンド完了後、PCを再起動します。
- 再度SFCを実行する(推奨): DISMでシステムイメージが修復された後、再度SFCを実行することで、システムファイルの整合性が完全に回復したか確認し、必要であれば再度修復を行います。
cmd
sfc /scannow - Windows Updateを再度実行する: 問題が解決されたか確認します。
原因6:セキュリティソフトウェア(アンチウイルスなど)の干渉
インストールされているアンチウイルスソフトウェアやファイアウォールなどが、誤ってWindows Updateのプロセスや関連ファイルを脅威とみなし、ブロックしてしまうことがあります。
対処法6:セキュリティソフトウェアを一時的に無効にする
お使いのセキュリティソフトウェア(サードパーティ製アンチウイルス、ファイアウォールなど)を一時的に無効にしてみて、Windows Updateが正常に機能するか確認します。
手順:
- セキュリティソフトウェアの停止:
- タスクバーの通知領域にあるセキュリティソフトウェアのアイコンを右クリックし、「保護の一時停止」「無効化」などのオプションを選択します。(ソフトウェアによって表示は異なります。)
- または、セキュリティソフトウェアの設定画面を開き、リアルタイム保護やファイアウォール機能を一時的にオフにします。
- 一時停止する期間を選択できる場合は、最短の時間(例: 10分、PC再起動まで)を選択します。
- Windows Updateを実行する: セキュリティソフトウェアが無効になっている間に、Windows Updateの設定画面を開き、更新プログラムのチェックを試みます。
- 結果を確認し、セキュリティソフトウェアを再度有効にする:
- Windows Updateが正常に機能した場合、原因はセキュリティソフトウェアにある可能性が高いです。セキュリティソフトウェアの設定を確認し、Windows Updateに関連するプロセスやURL(
windowsupdate.microsoft.comなど)を例外リストに追加するか、ソフトウェアの製造元に問い合わせて対策を確認します。 - 問題が解決しなかった場合は、セキュリティソフトウェアは原因ではない可能性が高いです。セキュリティリスクを避けるため、必ずセキュリティソフトウェアを速やかに再度有効にしてください。
- Windows Updateが正常に機能した場合、原因はセキュリティソフトウェアにある可能性が高いです。セキュリティソフトウェアの設定を確認し、Windows Updateに関連するプロセスやURL(
注意: セキュリティソフトウェアを無効にする際は、インターネットからの脅威に対して無防備になるため、必要最小限の時間にとどめ、信頼できないウェブサイトの閲覧やファイルのダウンロードなどは避けてください。Windows標準のMicrosoft Defenderは通常Windows Updateと干渉しませんが、念のため確認が必要な場合もあります。
原因7:クリーンブート環境での確認
スタートアップ時に起動する他のプログラムやサービスがWindows Updateと競合している可能性があります。クリーンブートは、Windowsの起動に必要な最低限のプログラムとサービスのみでPCを起動する診断用のモードです。
対処法7:クリーンブートを実行し、競合しているプログラムを特定する
手順:
- システム構成ツールを開く:
- 検索バーに「msconfig」と入力し、「システム構成」アプリをクリックして開きます。
- または、「Windowsキー + R」を押して「ファイル名を指定して実行」を開き、「msconfig」と入力して「OK」をクリックします。
- 「サービス」タブの設定変更:
- 「システム構成」ウィンドウが開いたら、「サービス」タブをクリックします。
- 「Microsoft のサービスをすべて隠す」のチェックボックスをオンにします。 (これを忘れると、Windowsの重要なサービスを無効にしてしまう危険があります!)
- チェックボックスをオンにした後、リストに残っているサービスがサードパーティ製のサービスです。「すべて無効」ボタンをクリックします。
- 「スタートアップ」タブの設定変更:
- 「スタートアップ」タブをクリックします。
- Windows 10/11では、「タスク マネージャーを開く」をクリックするよう指示されます。タスクマネージャーが開きます。
- タスクマネージャーの「スタートアップ」タブで、リストに表示されている項目をすべて選択し、「無効にする」をクリックします。これはスタートアップ時に起動するプログラムを停止させます。
- システム構成ウィンドウに戻る:
- タスクマネージャーを閉じ、「システム構成」ウィンドウに戻ります。
- PCを再起動する:
- 「システム構成」ウィンドウで「OK」をクリックします。PCを再起動するか尋ねられるので、「再起動」をクリックします。
- クリーンブート環境でWindows Updateを試す:
- PCが再起動したら、必要最低限のプログラムとサービスのみが起動している状態(クリーンブート環境)になります。
- この状態でWindows Updateの設定画面を開き、更新プログラムのチェックを試します。
- 結果に応じた対応:
- クリーンブート環境でWindows Updateが正常に機能した場合: 問題の原因は、無効にしたサードパーティ製のサービスまたはスタートアップ項目の中にあります。原因となっている項目を特定するため、手順2と3で無効にしたサービスやスタートアップ項目を、いくつかずつ有効に戻しながらPCを再起動し、どの項目が原因で問題が発生するかを絞り込んでいきます。特定できた項目を無効にしたままにするか、そのプログラムやサービスの設定を見直す、あるいは更新・再インストールを検討します。
- クリーンブート環境でも問題が解決しない場合: 問題の原因は、サードパーティ製のプログラムやサービスではなく、Windows自体にある可能性が高いです。元の設定に戻して(システム構成で「通常スタートアップ」を選択)、他の対処法を試してください。
- 元の起動設定に戻す: 問題の原因が特定できたかどうかにかかわらず、診断が完了したら必ずシステム構成を元の「通常スタートアップ」に戻します。システム構成ツールを開き、「全般」タブで「通常スタートアップ」を選択し、「適用」→「OK」をクリックしてPCを再起動します。クリーンブートのまま使い続けることは推奨されません。
原因8:ドライバの問題
古すぎる、または互換性のないデバイスドライバが、Windows Updateのプロセスと競合したり、システム全体の不安定さを引き起こしたりして、Windows Updateの失敗につながることがあります。特にネットワークアダプター、グラフィックカード、マザーボードのドライバなどが関係する可能性があります。
対処法8:デバイスドライバを更新またはロールバックする
手順:
- デバイスマネージャーを開く:
- スタートボタンを右クリックし、「デバイス マネージャー」を選択します。
- 問題のある可能性のあるデバイスを探す:
- ドライバに問題があるデバイスには、黄色い注意マークが付いていることがあります。
- 特に、「ネットワーク アダプター」「ディスプレイ アダプター」「サウンド、ビデオ、およびゲーム コントローラー」「その他のデバイス」などの項目を確認します。
- ドライバの更新を試す:
- ドライバを更新したいデバイスを右クリックし、「ドライバーの更新」を選択します。
- 「ドライバーを自動的に検索」を選択します。Windowsがオンラインで最新のドライバを探します。
- Windowsが見つけられない場合や、製造元から最新版をダウンロードしたい場合は、「コンピューターを参照してドライバーを検索」を選択し、ダウンロードしたドライバファイルの場所を指定します。ドライバは、PCまたはマザーボード、グラフィックカードなどの製造元のウェブサイトからダウンロードできます。
- ドライバをロールバックする(問題が最近のドライバ更新後に発生した場合):
- もし問題が特定のドライバを更新した後に発生した場合は、古いバージョンに戻す(ロールバック)ことが有効な場合があります。
- デバイスマネージャーで該当デバイスを右クリックし、「プロパティ」を選択します。
- 「ドライバー」タブを開き、「ドライバーを元に戻す」(ロールバック)ボタンが有効になっていればクリックします。無効な場合はロールバックできません。
- デバイスをアンインストールし、再起動する:
- ドライバの更新やロールバックがうまくいかない場合、またはドライバ自体が破損している可能性がある場合は、一度デバイスをアンインストールし、PCを再起動してWindowsにドライバを再インストールさせます。
- デバイスを右クリックし、「デバイスのアンインストール」を選択します。「このデバイスのドライバー ソフトウェアを削除します。」にチェックを入れてからアンインストールを実行する場合と、チェックを入れずに実行する場合があります。通常はチェックを入れずにアンインストールし、再起動時にWindowsが自動的にドライバを再検出・再インストールするのを待ちます。
- PCを再起動します。再起動後、Windowsが自動的にドライバをインストールします。
- PCを再起動する: ドライバの変更後は、PCを再起動して変更をシステムに反映させます。
- Windows Updateを再度実行する: 問題が解決されたか確認します。
原因9:ユーザープロファイルの問題
Windows Updateの問題が特定のユーザーアカウントでのみ発生し、他のユーザーアカウントでは正常に機能する場合、原因はユーザープロファイル自体が破損している可能性があります。
対処法9:新しいユーザープロファイルを作成し、そちらでWindows Updateを試す
新しいユーザープロファイルを作成し、そのアカウントでサインインしてWindows Updateを試すことで、問題がユーザープロファイルに起因するものか確認できます。
手順:
- 新しいユーザーアカウントを作成する:
- 設定アプリを開きます。「アカウント」→「家族とその他のユーザー」または「その他のユーザー」を選択します。
- 「その他のユーザーをこのPCに追加」または「アカウントの追加」をクリックします。
- 「このユーザーのサインイン情報がありません」→「Microsoft アカウントを持たないユーザーを追加する」を選択します。
- ユーザー名とパスワード(省略可)を入力し、「次へ」をクリックしてアカウントを作成します。
- 作成したアカウントを管理者アカウントに変更する:
- 作成した新しいローカルアカウントを選択し、「アカウントの種類の変更」をクリックします。
- 「アカウントの種類」を「管理者」に変更し、「OK」をクリックします。
- 新しい管理者アカウントでサインインする:
- 現在サインインしているアカウントからサインアウトします(スタートメニュー→ユーザーアイコン→サインアウト)。
- ログイン画面で、新しく作成した管理者アカウントを選択し、サインインします。初回サインインには時間がかかることがあります。
- 新しいアカウントでWindows Updateを試す:
- 新しいアカウントでサインインしたら、設定アプリを開き、Windows Updateを試します。
- 結果に応じた対応:
- 新しいアカウントでWindows Updateが正常に機能した場合: 元々使用していたユーザープロファイルに問題がある可能性が高いです。元のユーザープロファイルから新しいプロファイルへ必要なファイルや設定を移行することを検討します。(ドキュメント、ピクチャ、ダウンロードなどのフォルダの中身をコピーし、デスクトップの配置やアプリの設定などを手動で再設定します)。元の破損したユーザープロファイルは、新しいプロファイルで作業環境を整えた後に削除することができます。
- 新しいアカウントでも問題が解決しない場合: ユーザープロファイルは原因ではない可能性が高いです。元のユーザーアカウントに戻って他の対処法を試してください。作成した新しいアカウントは不要であれば削除して構いません。
原因10:グループポリシーまたはレジストリの設定
企業環境などで、システム管理者がグループポリシーやレジストリを使用してWindows Updateの設定をカスタマイズしている場合があります。これらの設定が誤っているか、ローカルPCで不正に変更されていると、Windows Updateがブロックされることがあります。
対処法10:グループポリシーエディターまたはレジストリエディターの設定を確認する
注意: レジストリの編集はシステムに深刻な影響を与える可能性があるため、慎重に行い、事前にレジストリをバックアップすることを強く推奨します。グループポリシーはWindows Pro/Enterprise/Educationエディションでのみ利用可能です。Homeエディションではレジストリのみとなります。
手順 (グループポリシー – Windows Pro/Enterprise/Education):
- グループポリシーエディターを開く:
- 検索バーに「gpedit.msc」と入力し、「グループ ポリシーの編集」をクリックして開きます。
- または、「Windowsキー + R」を押して「ファイル名を指定して実行」を開き、「gpedit.msc」と入力して「OK」をクリックします。
- Windows Update関連の設定を確認する:
- 左側のナビゲーションペインで、
コンピューターの構成->管理用テンプレート->Windows コンポーネント->Windows Updateと展開します。 - 右側の設定リストを確認します。特に、Windows Updateの動作を制御する可能性のある設定(例:
自動更新を構成する、イントラネットの Microsoft 更新サービスの場所を指定する、推奨される更新の自動更新を許可しないなど)を探します。 - これらの設定の状態が「有効」になっている場合、意図しない設定が行われている可能性があります。設定をダブルクリックして開き、内容を確認します。
- 左側のナビゲーションペインで、
- 設定を変更する:
- もし、これらの設定がWindows Updateの正常な動作を妨げていると思われる場合は、設定を「未構成」または「無効」に変更します。「未構成」は、その設定に対してポリシーが適用されていない状態に戻します。
- 変更後、「適用」→「OK」をクリックします。
- グループポリシーを更新する:
- コマンドプロンプトを管理者として開き、以下のコマンドを実行してグループポリシーの変更を反映させます。
cmd
gpupdate /force
- コマンドプロンプトを管理者として開き、以下のコマンドを実行してグループポリシーの変更を反映させます。
- PCを再起動する(推奨): PCを再起動して変更を完全に反映させます。
- Windows Updateを再度実行する: 問題が解決されたか確認します。
手順 (レジストリ – 全エディション共通、上級者向け):
- レジストリエディターを開く:
- 検索バーに「regedit」と入力し、「レジストリ エディター」をクリックして開きます。
- ユーザーアカウント制御(UAC)のダイアログが表示されたら「はい」をクリックします。
- レジストリのバックアップ: レジストリを変更する前に、必ずバックアップを作成してください。「ファイル」→「エクスポート」を選択し、任意の場所に保存します。問題が発生した場合、「ファイル」→「インポート」からバックアップを復元できます。
- Windows Update関連のキーに移動する:
- 左側のペインで、以下のパスに移動します。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\WindowsUpdate - このキーが存在しない場合や、WindowsUpdateの下に
AUというサブキーがある場合があります。AUキーも確認します。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\WindowsUpdate\AU
- 左側のペインで、以下のパスに移動します。
- 不適切な設定キーを確認/削除する:
- 右側のペインで、
DisableWindowsUpdateAccess、AUOptions、UseWUServer、WUServer、WUStatusServerなどの名前を持つDWORD値や文字列値が存在するか確認します。 DisableWindowsUpdateAccessが存在し、値が1になっている場合、Windows Updateが無効化されています。この値を0に変更するか、キー自体を右クリックして「削除」します。UseWUServerが存在し、値が1になっている場合、WSUSサーバー(社内などのローカルアップデートサーバー)を使用するように設定されています。もしWSUSサーバーがない環境で使用している場合、この値を0に変更するか、キー自体を削除します。これに伴い、WUServerとWUStatusServerキーも不要になるため削除します。AUOptionsは自動更新の動作を設定するキーですが、グループポリシーで設定されていない場合は通常存在しません。存在する場合、値によっては自動更新が実行されない設定になっている可能性があります。値を0または1以外の他の適切な値に変更するか、キーを削除します。(値の意味についてはMicrosoftのドキュメントを参照してください)。- これらのキーを削除または値を変更する場合、右クリックして「削除」を選択するか、ダブルクリックして値を編集します。
- 右側のペインで、
- レジストリエディターを閉じる。
- PCを再起動する(必須): レジストリの変更は、PCを再起動しないと反映されないことがほとんどです。
- Windows Updateを再度実行する: 問題が解決されたか確認します。
原因11:マイクロソフトサーバー側の一時的な問題
ごく稀に、Windows Updateを提供するマイクロソフトのサーバー側で一時的な障害が発生している場合があります。この場合、特定の地域や回線でWindows Updateが利用できなくなることがあります。
対処法11:時間を置いて再度試す
マイクロソフトサーバー側の問題であれば、ユーザー側でできることはほとんどありません。時間を置いてから再度Windows Updateを試してみてください。数時間後や翌日などに試すと、問題が解決している場合があります。
確認方法:
- 他のユーザーも同じような問題を経験しているか、インターネット検索やWindows関連のフォーラムなどで情報を探してみる。
- Microsoftの公式サービス稼働状況ページなどで、Windows Updateに関連するサービスのステータスを確認できる場合があります。
原因12:より深刻なシステムファイルの破損やWindowsイメージの不整合
SFCやDISMコマンドでも修復できないほど、Windowsのシステムファイルやイメージが深刻に破損している場合があります。
対処法12:In-Place Upgrade(上書きインストール)を実行する
In-Place Upgradeは、個人ファイルやインストールされているアプリケーションをそのままに、Windowsを現在のバージョンで上書きインストールし直す修復方法です。システムファイルを再構築するため、多くのシステム関連の問題を解決できます。
注意: 通常、個人ファイルやアプリケーションは保持されますが、万が一に備えて重要なデータのバックアップを必ず行ってから実行してください。
手順:
- 使用しているWindowsのバージョンに対応したインストールメディア(ISOファイル)を入手する:
- Microsoftの公式サイトから、「Windows 10 のダウンロード」または「Windows 11 のダウンロード」ページにアクセスします。
- 「Windows 10/11 ディスク イメージ (ISO) のダウンロード」セクションで、ダウンロードしたいWindowsのバージョンを選択し、「ダウンロード」をクリックします。
- 言語を選択し、「確認」をクリックします。
- 32-bitまたは64-bitのダウンロードリンクが表示されるので、お使いのシステムに合った方をクリックしてISOファイルをダウンロードします。
- ISOファイルをマウントする:
- ダウンロードしたISOファイルをダブルクリックするか、右クリックして「マウント」を選択します。これにより、ISOファイルが仮想的なDVDドライブとしてPCに認識されます。
- セットアップを実行する:
- マウントされた仮想ドライブを開き、中にある「setup.exe」ファイルをダブルクリックして実行します。
- ユーザーアカウント制御(UAC)のダイアログが表示されたら「はい」をクリックします。
- Windows セットアップの準備:
- Windowsセットアップウィンドウが開きます。「重要な更新プログラムをダウンロードしてインストールする」と表示されたら、「更新プログラムをダウンロードしない、または時間がかかりすぎる場合は後でダウンロードする」を選択します。Windows Update自体に問題があるので、ここでは更新プログラムをダウンロードしないようにします。
- 「次へ」をクリックします。
- ライセンス条項に同意します。
- インストールの種類の選択:
- 「引き継ぐものを選択してください」画面が表示されます。
- 通常は「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」が選択されていることを確認します。もし別の選択肢(何も引き継がないなど)になっている場合は、「引き継ぐものを変更」をクリックして「個人用ファイルとアプリを保持する」を選択し、「次へ」をクリックします。
- 注意: もし「個人用ファイルとアプリを保持する」が選択できない場合は、ダウンロードしたISOファイルの言語やエディションが現在インストールされているWindowsと一致していない可能性があります。適切なISOファイルを再ダウンロードしてください。
- インストールの開始:
- 「インストールする準備ができました」画面が表示されます。「インストール」をクリックします。
- インストールが開始されます。PCは数回再起動します。完了までには時間がかかります(数十分~数時間)。
- インストール完了後:
- インストールが完了すると、通常のWindows起動画面が表示され、以前のデスクトップ画面に戻ります。個人用ファイルやアプリはそのまま残っているはずです。
- ログイン後、Windows Updateの設定画面を開き、問題が解決されたか確認します。In-Place UpgradeによってシステムファイルやWindows Updateコンポーネントが修復されているため、通常はこの方法で多くの問題が解決します。
- 念のため、Windows Updateを実行し、最新の状態まで更新します。
原因13:ハードウェアの問題(特にストレージ)
ごく稀ですが、ストレージデバイス(HDDやSSD)の物理的な劣化やエラーセクターなどが原因で、Windows Updateに必要なファイルの読み書きに失敗し、問題が発生することがあります。
対処法13:ストレージの健康状態を確認する
ストレージの健康状態を確認するために、Windowsに組み込まれているツールやサードパーティ製の診断ツールを使用できます。
手順:
- CHKDSKコマンドを実行する:
- コマンドプロンプトを管理者として実行します。
- 以下のコマンドを入力し、Enterキーを押します。(
C:はお使いのWindowsがインストールされているドライブレターに置き換えてください。)
cmd
chkdsk C: /f /r - PCが現在使用中のドライブであるため、「次回のシステム起動時にこのボリュームのチェックをスケジュールしますか?」と尋ねられます。「Y」と入力してEnterキーを押し、コマンドプロンプトを閉じてPCを再起動します。
- PCの起動時にディスクチェックが実行されます。完了までには時間がかかります。エラーが検出され、可能な場合は修復されます。
- S.M.A.R.T.情報の確認:
- HDDやSSDにはS.M.A.R.T.(Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technology)という自己診断機能が搭載されています。この情報を確認できるサードパーティ製のツール(例: CrystalDiskInfoなど)を使用することで、ドライブの健康状態をより詳しく確認できます。
- これらのツールで「健康状態」が「注意」や「異常」と表示されている場合は、ストレージの交換を検討する必要があります。
- ハードウェア診断ツール:
- PCメーカーが提供する診断ツールがある場合、それを使用してハードウェア全体の診断(メモリ、ストレージなどを含む)を実行することも有効です。PCの起動時に特定のキー(例: F2, F12, Escなど、メーカーによって異なります)を押してUEFI/BIOS設定画面に入り、そこから診断ツールを起動できる場合があります。
ハードウェアに根本的な問題がある場合、ソフトウェア的な対処だけでは解決できません。ストレージに問題が見つかった場合は、早めにバックアップを取り、交換を検討してください。
対処法を実行する上での重要な注意点
これらの対処法を試す際には、以下の点に注意してください。
- データのバックアップ: 特にシステムファイルやレジストリを操作する前、およびIn-Place Upgradeを実行する前には、重要なデータのバックアップを必ず行いましょう。予期せぬ問題が発生した場合でも、データを失わずに済みます。
- 管理者権限: ここで紹介した多くの対処法は、システムへの変更を伴うため、管理者権限が必要です。操作を行う際は、管理者アカウントでサインインするか、管理者アカウントのパスワードを入力する必要があります。
- コマンドの正確性: コマンドプロンプトでコマンドを入力する際は、スペルミスやスペースなどに十分注意してください。誤ったコマンドは、意図しない結果を招く可能性があります。
- 対処法の順序: 通常は、リスクが少なく簡単なものから試していくのがおすすめです(再起動、トラブルシューター、サービス確認など)。システムへの影響が大きい操作(コンポーネントリセット、DISM、In-Place Upgrade、レジストリ編集など)は、他の簡単な方法で解決しなかった場合に試すようにしましょう。
- 焦らない: Windows Updateの問題解決は、原因の特定が難しい場合もあり、根気が必要な作業です。一つずつ手順を丁寧に実行し、焦らずに対応しましょう。
- エラーメッセージの記録: Windows Updateが失敗する際に特定のエラーコード(例: 0x80070002)が表示される場合は、そのコードをメモしておきましょう。エラーコードでインターネット検索することで、より具体的な解決策が見つかることがあります。
- PCの状態を記録: 対処法を実行する前と後で、PCの状態(問題の症状、Windows Updateの設定画面の表示など)を記録しておくと、どの対処法が効果があったのか、またはなかったのかを判断しやすくなります。
それでも解決しない場合
上記の様々な対処法を試してもWindows Updateの問題が解決しない場合、原因はより複雑であるか、システムの根幹に深刻な問題がある可能性があります。このような状況では、以下の選択肢を検討する必要があります。
- Microsoftサポートへの問い合わせ: Microsoftの公式サポートに問い合わせて、専門家のアドバイスやサポートを受けることができます。
- PCメーカーへの問い合わせ: PCメーカー独自のカスタマイズやプリインストールソフトウェアが原因の場合、PCメーカーのサポートが役立つことがあります。
- システムのクリーンインストール: 最終手段として、Windowsを最初からクリーンインストールすることを検討します。これにより、OSを含むすべてのファイルが新しく書き込まれるため、ソフトウェア的なほとんどの問題が解決されます。ただし、この方法では個人ファイルやアプリケーションはすべて削除されるため、事前に必ずバックアップを取る必要があります。クリーンインストールは手間と時間がかかりますが、多くのシステムトラブルに対する最も確実な解決策の一つです。
- 専門の修理業者に相談: ご自身での対応が難しい場合や、ハードウェアの問題が疑われる場合は、PCの修理を専門とする業者に相談することも選択肢の一つです。
まとめ
Windows Updateが起動しない、または正常に機能しない問題は、様々な原因によって引き起こされます。一時的な不具合から、サービスの停止、システムファイルの破損、セキュリティソフトウェアの干渉、設定の誤り、さらにはハードウェアの問題まで、その範囲は広いです。
この記事では、これらの考えられる原因を網羅し、それぞれの状況に応じた詳細な対処法をステップごとに解説しました。再起動やトラブルシューターといった簡単な方法から、システムファイルチェッカー、DISM、コンポーネントリセット、クリーンブート、In-Place Upgradeといったより高度な方法まで、様々な解決策を紹介しました。
Windows Updateの問題は放置するとセキュリティリスクが高まるだけでなく、他のシステムトラブルの原因にもなり得ます。もしお使いのPCでWindows Updateの問題が発生した場合は、ぜひこの記事を参考に、一つずつ原因を特定し、適切な対処法を試してみてください。多くの場合、これらの手順のいずれかで問題は解決されるはずです。
困難な状況に直面しても諦めず、この記事が皆様のWindows Update問題解決の一助となれば幸いです。そして、問題が解決した後は、再び定期的なWindows Updateを実行し、お使いのPCを常に最新で安全な状態に保つことを忘れないでください。