Playwrightで始めるMCP自動化テスト


Playwrightで始めるMCP自動化テスト:Web管理パネル、Launcher、RCON連携を通じたアプローチ

はじめに

Minecraft(通称MCP)は、世界中で愛されているサンドボックスゲームです。その自由度の高さから、多くのプレイヤーが独自のサーバーを立て、Modやプラグインを導入して、多様な遊び方を楽しんでいます。しかし、サーバーの運用、設定変更、Modpackの管理、さらにはゲームそのもののテストといった作業は、手作業で行うには手間がかかり、エラーも発生しがちです。

このような運用・開発・テストプロセスを効率化し、信頼性を向上させるためには、自動化が不可欠です。Webアプリケーションやモバイルアプリケーションの自動化テストは一般的になってきましたが、MCPのようなデスクトップアプリケーション、特にサーバー運用に関わる部分の自動化については、どのようなツールを使えば良いのか、具体的な手法は何か、といった情報がまだ少ないのが現状です。

この記事では、近年注目を集めている高速かつ高信頼性のWeb自動化ツール「Playwright」を使用して、MCPに関連する様々なタスクを自動化、特にテストの観点からアプローチする方法を詳細に解説します。ただし、Playwrightは主にWebブラウザを操作するためのツールであり、MCPのようなネイティブデスクトップアプリケーションを直接操作する機能は持ち合わせていません。そのため、この記事では、Playwrightの得意な領域であるWebブラウザ操作を活かし、MCPサーバーのWeb管理パネル、Web技術に基づいたLauncher、あるいはRCON(Remote Console)のWebクライアントなどを操作することで、MCP関連の自動化を実現するアプローチを中心に紹介します。Playwright単体での限界を理解しつつ、その強力な機能をどのように応用できるのかを探求します。

この記事を読むことで、以下のことが学べます。

  • Playwrightの基本的な機能とセットアップ方法
  • MCP自動化における課題とPlaywrightの立ち位置
  • Playwrightを使った具体的な自動化テストのアプローチ(Web管理パネル、Launcher、RCON連携)
  • 各アプローチにおける具体的なテストシナリオとPlaywrightコード例
  • 自動化テストを構築する上での高度なトピックと考慮事項

Playwrightを使ったMCP関連の自動化テストに興味がある方、サーバー運用やMod開発の効率化を図りたい方にとって、この記事が具体的な一歩を踏み出す助けとなれば幸いです。

Playwrightの基本

Playwrightは、Microsoftが開発したWebブラウザ自動化ライブラリです。WebアプリケーションのE2E(End-to-End)テスト、画面スクレイピング、自動化タスクなどに広く利用されています。高速性、信頼性、クロスブラウザ対応といった特徴を持ち、開発者やテスターから高い評価を得ています。

Playwrightとは何か

Playwrightは、Chromium, Firefox, WebKit(Safariのエンジン)という主要な3つのブラウザエンジンを単一のAPIで制御できます。これにより、異なるブラウザでのテストを容易に実行できます。Node.jsライブラリとして提供されており、JavaScriptやTypeScriptでテストスクリプトを記述します。Python, Java, .NETなどの言語バインディングも公式に提供されています。

主要な特徴

  1. 高速性: ブラウザとのプロセス間通信(IPC)を効率的に行うことで、SeleniumのようなHTTPプロトコルを介した通信よりも高速な操作を実現します。
  2. 信頼性(Auto-waiting): 要素が表示されるまで、有効になるまで、アニメーションが終了するまでなど、アクションを実行する前に要素の状態を自動的に待ち合わせます。これにより、テストの不安定性(Flakiness)が大幅に減少します。
  3. クロスブラウザ・クロスプラットフォーム: 主要なブラウザエンジンと、Windows, macOS, Linuxのオペレーティングシステムに対応しています。モバイルWebのシミュレーションも可能です。
  4. 分離されたブラウザコンテキスト: テストごとに新しいブラウザコンテキストを作成します。これにより、テスト間の状態が隔離され、クリーンな状態でテストを実行できます。
  5. 強力なツール:
    • Codegen: ユーザー操作を記録して、自動的にテストコードを生成するツールです。手作業でのコーディングの手間を省きます。
    • Playwright Inspector: テストの実行中にステップごとに停止し、要素の選択、コードのデバッグ、実行ログの確認などを行えるGUIツールです。
    • Trace Viewer: テスト実行のフルコンテキスト(操作、ネットワーク、DOMスナップショット、コンソール出力など)を記録し、後から詳細に分析できるツールです。テスト失敗の原因特定に非常に役立ちます。
  6. 最新のWeb機能への対応: Shadow DOM, Web Components, Geolocation, Permissions, Mocking API requestsなど、最新のWeb標準機能にも対応しています。

インストール方法

PlaywrightはNode.js環境が必要です。まずNode.jsをインストールします。その後、npm、yarn、またはpnpmといったパッケージマネージャーを使ってPlaywrightをインストールします。

“`bash

新しいプロジェクトディレクトリを作成し、移動

mkdir playwright-mcp-test
cd playwright-mcp-test

Node.jsプロジェクトを初期化

npm init -y

Playwrightテストを実行するために必要なライブラリとブラウザバイナリをインストール

npm install @playwright/test

または yarn add @playwright/test

または pnpm add @playwright/test

Playwrightのインストールスクリプトが自動的に実行され、ブラウザバイナリがダウンロードされます。

もし自動でダウンロードされない場合、手動で実行します:

npx playwright install

“`

インストールが完了すると、プロジェクトのnode_modulesディレクトリ内にPlaywrightライブラリが、そしてユーザーディレクトリなどにブラウザバイナリが配置されます。

簡単なサンプルコード

Playwrightの基本的な使い方として、ウェブサイトを開き、要素を操作する簡単な例を示します。

“`typescript
// tests/example.spec.ts (TypeScriptの例)
import { test, expect } from ‘@playwright/test’;

test(‘Googleのタイトルを確認’, async ({ page }) => {
// 指定したURLに遷移
await page.goto(‘https://www.google.com’);

// ページのタイトルが期待通りか検証
await expect(page).toHaveTitle(/Google/);

// 検索バーの要素を取得し、テキストを入力
const searchBox = await page.locator(‘textarea[name=”q”]’);
await searchBox.fill(‘Playwright’);

// 入力したテキストが正しいか検証 (オプショナル)
await expect(searchBox).toHaveValue(‘Playwright’);

// 検索ボタンをクリック (またはEnterキーを押す)
// Playwrightは自動的に要素が見えるまで待ちます
await searchBox.press(‘Enter’);

// 検索結果ページに遷移したことを確認 (例: ページのタイトル)
await page.waitForURL(/search\?q=Playwright/); // URLが変化するのを待つ
await expect(page).toHaveTitle(/Playwright – Google Search/);
});
“`

このテストを実行するには、プロジェクトルートで以下のコマンドを実行します。

bash
npx playwright test

Playwrightはヘッドレスモード(GUIなし)でテストを実行します。npx playwright test --headedとすることで、ブラウザウィンドウを表示しながら実行できます。また、npx playwright test --debugを使うと、Playwright Inspectorが起動し、ステップ実行や要素調査が可能です。

MCPの自動化テストにおける課題

Playwrightの基本を理解したところで、MCPの自動化テストに Playwrightをどのように応用できるかを考えます。ここで重要なのは、MCPそのものがWebアプリケーションではないという点です。Minecraft Java EditionやBedrock Editionは、ネイティブのデスクトップアプリケーションです。

通常のWeb自動化ツールであるPlaywrightやSeleniumは、WebブラウザがレンダリングするHTML/CSS/JavaScriptによって構築されたWebページ上の要素を操作することに特化しています。ネイティブアプリケーションのウィンドウ、ボタン、入力フィールドといったGUI要素を直接認識・操作する機能は持っていません。

したがって、Playwright単体で以下のような操作を自動化することは、基本的には困難です。

  • Minecraftゲームクライアントの起動やウィンドウ操作
  • ゲーム内のメニュー操作、設定変更(GUI経由)
  • ゲーム内のブロック配置、アイテム使用、MOB操作
  • 3Dレンダリングされた画面内容の認識や分析

では、PlaywrightはMCPの自動化に全く使えないのか?というと、そうではありません。Playwrightの強みである「Webブラウザ操作」を活かせる、MCPに関連する「Webベースのインターフェース」が存在します。この点に焦点を当てることで、Playwrightを用いたMCP関連の自動化テストが可能になります。

Playwrightがアプローチできる可能性のある領域は以下の通りです。

  1. MCPサーバーのWeb管理ツール: Pterodactyl, McMyAdmin, AMP (Application Management Panel) など、WebブラウザからMCPサーバーの状態監視、起動/停止、設定変更、プラグイン/Mod管理などを行えるツールが存在します。これらはPlaywrightで直接操作可能です。
  2. Web技術に基づいたLauncherやMod管理ツール: CurseForge LauncherやATLauncherなど、一部のデスクトップアプリケーションはElectronのようなWeb技術を使って構築されている場合があります。ChromiumベースであるElectronアプリの特定のバージョンや設定によっては、Playwrightが操作できる可能性があります(リモートデバッグポートなどを使う必要があり、通常の手順とは異なる場合があります)。
  3. RCON (Remote Console) のWebクライアント: MCPサーバーにはRCONというリモートからコマンドを実行できる機能があります。このRCONにWeb UIを提供するツールを使えば、Playwrightでゲーム内コマンドの実行やサーバー情報の取得を自動化できます。
  4. CI/CDツールのWebインターフェース: Jenkins, GitLab CI, GitHub ActionsなどのCI/CDツールは、Webブラウザからパイプラインの実行や結果確認を行います。PlaywrightでこれらのCIツールを操作し、MCPサーバーのビルド、デプロイ、または自動化スクリプトの実行をトリガーすることができます。

この記事では、主にこれらの「Webベースのインターフェース」をPlaywrightで操作するアプローチに焦点を当てます。ネイティブデスクトップUIの操作が必要な場合は、Playwrightではなく、AutoGUIやSikuliX、WinAppDriverといった専用のUI自動化ツールが必要になります。Playwrightとこれらのツールを組み合わせることも可能ですが、連携の複雑さが増します。

PlaywrightによるMCP関連の自動化テストのアプローチ

前述の課題を踏まえ、Playwrightの強みを活かせる具体的なアプローチを詳細に見ていきましょう。

アプローチ1: Webベースの管理ツール/サービスを利用

MCPサーバーの運用には、多くの管理タスクが伴います。これらのタスクを効率化するために、多くのWebベースの管理パネルやサービスが存在します。PlaywrightはこれらのWeb UIを操作するのに最適です。

対象となるツール例:

  • Pterodactyl: オープンソースのモダンなゲームサーバー管理パネル。Dockerを利用し、セキュリティと効率性を両立。
  • McMyAdmin / AMP (Application Management Panel): 有料だが機能豊富なゲームサーバー管理パネル。Web UIから詳細な設定や管理が可能。
  • シンプルWeb RCONツール: RCON機能をWeb UIから提供する小規模なツールや自作ツール。

Playwrightで自動化できるテストシナリオ例:

  • サーバーの起動/停止/再起動テスト: 管理パネルにログインし、特定のサーバーの起動、停止、再起動ボタンをクリックし、サーバーの状態表示(Running, Offlineなど)が正しく変化するかを確認する。
  • 設定変更テスト: 管理パネルのWebフォームを使って、サーバーの設定ファイル(server.propertiesなど)やプラグイン/Modの設定を変更し、変更が反映されるか確認する。例えば、ゲームモード、難易度、最大プレイヤー数などを変更するテスト。
  • ファイル管理テスト: Webベースのファイルマネージャーを使って、ワールドデータのバックアップ、設定ファイルのアップロード/ダウンロード、ログファイルの確認などを自動化する。
  • ユーザー管理テスト: OP権限の付与/剥奪、ホワイトリスト/ブラックリストへのユーザー追加/削除をWeb UI経由で行い、変更が正しく適用されるか確認する。
  • コンソールログ監視テスト: Web UIに表示されるサーバーコンソールログを定期的に取得し、特定のエラーメッセージや起動完了メッセージが出力されるかを確認する。

具体的なPlaywrightコード例(Pterodactylログインとサーバー起動/停止を想定):

“`typescript
// tests/pterodactyl.spec.ts
import { test, expect } from ‘@playwright/test’;
import dotenv from ‘dotenv’; // .envファイルから環境変数を読み込むため

// .envファイルから環境変数をロード (ユーザー名、パスワード、パネルURLなど)
dotenv.config();

const PANEL_URL = process.env.PANEL_URL || ‘http://localhost:8080’;
const USERNAME = process.env.PANEL_USERNAME || ‘admin’;
const PASSWORD = process.env.PANEL_PASSWORD || ‘password’;
const SERVER_NAME = process.env.TARGET_SERVER_NAME || ‘My Minecraft Server’; // テスト対象サーバーの名前

test.describe(‘Pterodactyl Panel Tests’, () => {

// 各テストの前にログイン処理を実行
test.beforeEach(async ({ page }) => {
await page.goto(PANEL_URL + ‘/auth/login’);
await expect(page).toHaveTitle(/Login/);

// ログインフォームに入力して送信
await page.fill('input[name="email"]', USERNAME);
await page.fill('input[name="password"]', PASSWORD);
await page.click('button[type="submit"]');

// ログイン後のダッシュボードに遷移したことを確認
// Pterodactylの場合、URLが/serverや/accountなどにリダイレクトされることが多い
// ダッシュボード上の特定の要素が表示されるのを待つ方が確実
await page.waitForSelector('h3:has-text("Your Servers")');
console.log('Successfully logged in to Pterodactyl panel.');

});

test(‘特定のサーバーの起動と停止’, async ({ page }) => {
// テスト対象サーバーを探してクリック
// サーバーリストの要素やリンクを特定する必要がある
// 例: サーバー名を含むリンクを探す
const serverLink = page.locator(a:has-text("${SERVER_NAME}")).first();
await expect(serverLink).toBeVisible(); // 要素が見えるまで待つ
await serverLink.click();

// サーバー詳細ページに遷移したことを確認
await page.waitForURL(PANEL_URL + '/server/*');
console.log(`Navigated to server page for "${SERVER_NAME}".`);

// サーバーの状態を確認 (例: "Status: Running", "Status: Offline")
// 状態を示す要素のセレクターはパネルの実装による
const statusElement = page.locator('.server-status-indicator'); // 例: 状態を示すCSSクラス

// サーバーが現在どのような状態かを確認し、必要に応じて操作
const currentStatus = await statusElement.textContent();
console.log(`Current server status: ${currentStatus?.trim()}`);

// もしOfflineなら起動
if (currentStatus?.includes('Offline')) {
  console.log('Server is offline. Starting server...');
  // 起動ボタンのセレクターを探す (例: ボタンのテキストや属性)
  const startButton = page.locator('button:has-text("Start")');
  await expect(startButton).toBeVisible();
  await startButton.click();

  // サーバーがRunning状態になるまで待つ
  // 状態表示が変化するのを待つか、特定のコンソール出力("Done!"など)が出るまで待つ
  // Pterodactylの場合、Websocketで状態が更新されるため、要素のテキストが変化するのを待つのが一般的
  console.log('Waiting for server to start...');
  await expect(statusElement).toHaveText(/Running/, { timeout: 60000 }); // 状態が"Running"になるまで最大60秒待つ
  console.log('Server started successfully.');
} else if (currentStatus?.includes('Running')) {
  console.log('Server is already running.');
} else {
   // その他の状態の場合(Starting, Stoppingなど)、安定するまで待つかスキップ
   console.warn(`Server is in unexpected state: ${currentStatus?.trim()}. Skipping start.`);
}


// サーバーがRunning状態であることを確認してから停止操作を行う
await expect(statusElement).toHaveText(/Running/);
console.log('Stopping server...');
// 停止ボタンのセレクターを探す
const stopButton = page.locator('button:has-text("Stop")'); // Graceful Stop
// const killButton = page.locator('button:has-text("Kill")'); // Force Stop
await expect(stopButton).toBeVisible();
await stopButton.click();

// 確認ダイアログが出る場合、Yesなどをクリックする必要がある
// Pterodactylの場合、Stop/Restart/Killで確認ダイアログが出る
const confirmButton = page.locator('button.btn-danger:has-text("Yes, stop server")'); // セレクターは変わる可能性あり
if (await confirmButton.isVisible()) { // 確認ダイアログが表示されているかチェック
    await confirmButton.click();
    console.log('Confirmed server stop.');
}


// サーバーがOffline状態になるまで待つ
console.log('Waiting for server to stop...');
await expect(statusElement).toHaveText(/Offline/, { timeout: 60000 }); // 状態が"Offline"になるまで最大60秒待つ
console.log('Server stopped successfully.');

// 再起動テストも同様に、Restartボタンをクリックし、Runningに戻るのを待つ処理を追加できる

});

// 他のテストシナリオ(設定変更、ファイル管理など)もここに追加可能
// test(‘サーバー設定変更テスト’, async ({ page }) => { … });

});

// .envファイルの例
/
PANEL_URL=http://your-pterodactyl-panel.com
PANEL_USERNAME=your_username
PANEL_PASSWORD=your_password
TARGET_SERVER_NAME=Your Server Name
/
“`

解説:

  • @playwright/testフレームワークを使用しています。test関数が個々のテストケース、expect関数がアサーション(検証)を提供します。
  • .envファイルを使用して、パネルのURL、ユーザー名、パスワード、テスト対象のサーバー名といった機密情報や環境依存の情報を管理しています。dotenvライブラリを使ってこれらの環境変数をNode.jsプロセスに読み込ませます。
  • test.describeでテストスイートを定義し、test.beforeEachで各テストの前に実行される処理(ログイン処理)をまとめています。
  • page.goto()で指定URLに遷移します。
  • page.fill()で入力フィールドに値を入力します。セレクターを使って要素を特定します。
  • page.click()でボタンなどをクリックします。
  • page.locator()で要素を指定します。セレクターはCSSセレクターやXPath、テキストマッチなど、Playwrightの豊富なセレクターオプションを利用できます。has-text()のような便利な擬似クラスも使えます。
  • expect(element).toBeVisible(), expect(page).toHaveTitle(), expect(element).toHaveText()などのアサーションで、ページの状態や要素のプロパティを検証します。Playwrightのアサーションはスマートで、要素が表示されるまで自動的に待機する機能も含まれています(例: toBeVisible())。
  • page.waitForSelector(), page.waitForURL()などで、特定の状態になるまで明示的に待つことも可能です。特にサーバー起動/停止のような非同期処理の結果を待つ場合に重要です。
  • サーバーの状態確認やボタンクリックは、対象のWebパネルのHTML構造に合わせてセレクターを調整する必要があります。Playwright Inspector (npx playwright test --debug) やブラウザの開発者ツールを使って、適切なセレクターを特定します。
  • サーバーの状態遷移(Starting -> Running, Stopping -> Offline)は時間がかかるため、expect(...).toHaveText(..., { timeout: ... })のようにタイムアウトを指定して待機します。

このアプローチは、Playwrightの最も得意とする領域であり、既存の安定したWeb管理パネルがあれば、比較的容易に多くの管理タスクの自動化テストを構築できます。

アプローチ2: Launcher/Mod管理ツール(ElectronなどWeb技術ベースの場合)を利用

一部のMCP LauncherやMod管理ツールは、ElectronのようなWeb技術(ChromiumとNode.js)を基盤として開発されています。Electronアプリケーションは基本的にChromiumブラウザ上で動作するため、Playwrightが操作できる可能性があります。

対象となるツール例:

  • CurseForge Launcher (Overwolfアプリ、Electronベース)
  • ATLauncher
  • MultiMC (QtベースなのでPlaywrightは直接操作できない)
  • Prism Launcher (MultiMCフォーク、Qtベース)

Playwrightで自動化できるテストシナリオ例:

  • Launcherの起動テスト: Playwrightから外部コマンドとしてLauncherを実行し、メインウィンドウが表示されることを確認する。
  • Modpackの検索/インストールテスト: LauncherのUIを操作して、特定のModpackやバージョンを検索し、インストールボタンをクリックしてインストールが完了するまで待機する。
  • Modpack/インスタンスのアップデートテスト: 既存のModpackやゲームインスタンスを選択し、アップデート機能を実行する。
  • ゲーム設定変更テスト: インスタンスの設定画面を開き、メモリ割り当て、Java引数、リソースパック、シェーダーなどの設定を変更する。
  • ゲーム起動テスト: インスタンスを選択し、プレイボタンをクリックして、MCPゲームクライアントが起動プロセスに入ることを確認する(Launcherの状態変化や別のウィンドウが表示されるなど)。

Playwrightでの実現方法と注意点:

ElectronアプリケーションへのPlaywrightのアタッチは、通常のWebサイト操作とは少し異なります。Electronアプリはデフォルトではリモートデバッグポートを公開していません。操作するには、Electronアプリをデバッグモードで起動し、Playwrightがそのデバッグポートに接続する必要があります。

手順概要:

  1. 対象のElectronアプリケーションを、リモートデバッグポートを有効にするオプション付きで起動する。
  2. Playwrightのchromium.connect()メソッドを使って、指定したデバッグポートに接続する。
  3. 接続後、通常のPlaywrightと同じようにpageオブジェクトを使ってUI要素を操作する。

Playwrightコード例(CurseForge Launcherの起動と操作を想定 – 実現可能性はLauncherのバージョンや内部実装に依存):

“`typescript
// tests/launcher.spec.ts
import { test, expect, chromium } from ‘@playwright/test’;
import { exec } from ‘child_process’; // Node.jsの外部プロセス実行モジュール
import util from ‘util’; // execPromiseのために promisifyを使う
import path from ‘path’; // Launcherの実行パス指定用

const execPromise = util.promisify(exec);

// 環境変数などでLauncherの実行パスとリモートデバッグポートを指定
const LAUNCHER_PATH = process.env.LAUNCHER_PATH || ‘C:\Users\YourUser\AppData\Local\Programs\Overwolf\Overwolf.exe’; // 例: CurseForge Launcherの実行パス (要確認)
const DEBUG_PORT = 9222; // Electronのリモートデバッグデフォルトポート (変更可能)
const LAUNCHER_ARGS = --remote-debugging-port=${DEBUG_PORT}; // リモートデバッグを有効にする引数 (Launcherによる)

test.describe(‘CurseForge Launcher Automation (Experimental)’, () => {
let browser: any; // ブラウザインスタンス (ここではElectronアプリ)

// テスト実行前にLauncherを起動し、Playwrightで接続する
test.beforeAll(async () => {
console.log(Starting launcher at ${LAUNCHER_PATH} with args: ${LAUNCHER_ARGS});
// Launcherをバックグラウンドで起動
execPromise("${LAUNCHER_PATH}" ${LAUNCHER_ARGS}).catch(err => {
console.error(‘Failed to start launcher:’, err);
// エラーが発生しても、Playwrightのconnectがタイムアウトするのでここではthrowしない
});

// Launcherが起動してデバッグポートが利用可能になるまで少し待つ
await new Promise(resolve => setTimeout(resolve, 10000)); // 10秒待つ

console.log(`Connecting to launcher debug port ${DEBUG_PORT}...`);
// リモートデバッグポートに接続
// ElectronアプリはChromiumとして扱える可能性がある
try {
    browser = await chromium.connect({ wsEndpoint: `ws://localhost:${DEBUG_PORT}/devtools/browser` });
    console.log('Successfully connected to launcher.');
} catch (error) {
    console.error(`Failed to connect to launcher debug port ${DEBUG_PORT}:`, error);
    throw new Error(`Could not connect to launcher. Make sure it started correctly with ${LAUNCHER_ARGS} and the port is open.`);
}

});

// 全てのテスト実行後にLauncherを閉じる(あるいはプロセスを終了させる)
test.afterAll(async () => {
if (browser) {
console.log(‘Closing launcher connection.’);
await browser.close();
// 注意: browser.close()は接続を閉じるだけで、アプリケーション本体は終了しない場合がある。
// 必要に応じて、プロセスを終了させるための別のコードが必要。
// 例: taskkill /IM Overwolf.exe /F (Windows)
// execPromise(taskkill /IM ${path.basename(LAUNCHER_PATH)} /F).catch(console.error);
}
});

test(‘Modpackリストを表示し、特定のModpackを選択する’, async () => {
// 接続後、開いているページ(ウィンドウ)を取得
const context = await browser.newContext(); // 新しいコンテキストを作成 (オプション)
// Electronアプリの場合、デフォルトのページが存在する場合がある
// 例えば、最初のウィンドウやバックグラウンドページ
const pages = context.pages(); // 現在開いているページリストを取得
let launcherPage = pages[0]; // 通常は最初のページがメインウィンドウだが、アプリ構造による

if (!launcherPage) {
    // もしページがない場合、新しいページを開く(Electronアプリには通常不要だが念のため)
    // launcherPage = await context.newPage();
    throw new Error("No pages found in the connected browser context. Make sure the Electron app window is open.");
}

// LauncherのUI要素のセレクターを使って操作
// セレクターはElectronアプリの内部HTML構造によるため、開発者ツールで調査が必要
console.log('Attempting to interact with launcher UI...');
try {
    // 例: CurseForge LauncherでMinecraftセクションを選択
    // セレクターは完全に仮定です。実際のアプリ構造に合わせて修正が必要です。
    const minecraftSection = launcherPage.locator('[aria-label="Minecraft Section"]');
    await expect(minecraftSection).toBeVisible({ timeout: 20000 }); // 要素が見えるまで待つ
    await minecraftSection.click();
    console.log('Clicked Minecraft section.');

    // 例: Modpackリストが表示されるのを待つ
    const modpackList = launcherPage.locator('.modpack-list'); // 仮のセレクター
    await expect(modpackList).toBeVisible({ timeout: 20000 });
    console.log('Modpack list visible.');

    // 例: 特定のModpackを検索・選択 (検索バーやリストアイテムのセレクターが必要)
    // const searchBox = launcherPage.locator('[placeholder="Search Modpacks"]');
    // await searchBox.fill('AlltheMods 8');
    // await searchBox.press('Enter');
    // const modpackItem = launcherPage.locator('.modpack-item:has-text("AlltheMods 8")').first();
    // await expect(modpackItem).toBeVisible({ timeout: 20000 });
    // await modpackItem.click();
    // console.log('Selected Modpack: AlltheMods 8.');

    // ここから先、インストールやプレイボタンのクリックなどの操作を続ける
    // 例: プレイボタンをクリック
    // const playButton = launcherPage.locator('button:has-text("Play")');
    // await expect(playButton).toBeVisible({ timeout: 20000 });
    // await playButton.click();
    // console.log('Clicked Play button.');

    // ゲームが起動するのを待つ(Launcherの状態変化などを監視)
    // 例: Launcherのステータス表示が「Launching Game...」になるのを待つ
    // const statusIndicator = launcherPage.locator('.launcher-status');
    // await expect(statusIndicator).toHaveText(/Launching Game.../, { timeout: 30000 }); // タイムアウト長めに
    // console.log('Launcher status indicates game launch in progress.');

} catch (error) {
    console.error('Error during launcher interaction:', error);
    // デバッグに役立つスクリーンショットやトレースを保存
    await launcherPage.screenshot({ path: 'launcher_error.png' });
    await context.tracing.stop({ path: 'launcher_trace.zip' });
    throw error; // テストを失敗させる
}

});

// 他のテストシナリオ(インストール、アップデート、設定変更など)もここに追加可能
// test(‘特定のModpackをインストールする’, async () => { … });

});

// .envファイルの例
/*
LAUNCHER_PATH=C:\Users\YourUser\AppData\Local\Programs\Overwolf\Overwolf.exe

DEBUG_PORTは通常固定だが、Launcherの設定や起動方法による

*/
“`

注意点:

  • このアプローチは実験的であり、対象のElectronアプリケーションがリモートデバッグをサポートしているか、またそのバージョンに依存します。Playwrightが特定のElectronアプリのUIを安定して操作できる保証はありません。
  • ElectronアプリのUI要素のセレクターは、通常のWebサイトとは異なる構造を持っていることが多く、特定が難しい場合があります。開発者ツールを使って慎重に調査する必要があります。
  • Launcherが新しいウィンドウ(ゲームウィンドウなど)を開いた場合、Playwrightはその新しいウィンドウ(ページ)を認識して操作する必要があります。browser.pages()context.waitForEvent('page')などを使って新しいページを取得します。
  • ゲーム起動自体は、PlaywrightがLauncherを操作してトリガーしますが、起動したゲームクライアント(ネイティブアプリ)自体のUIやゲームプレイをPlaywrightで操作することはできません。

アプローチ3: 外部ツール/スクリプトとの連携

PlaywrightはNode.js環境で実行されるため、Node.jsの豊富なライブラリを活用できます。これには、外部プロセスを実行する機能(child_processモジュール)や、ネットワーク通信を行う機能が含まれます。これらの機能をPlaywrightテストコード内で利用することで、PlaywrightのWeb操作と外部ツールやスクリプトによるMCP制御を組み合わせることができます。

連携できる外部ツール/機能例:

  • Node.js child_process: Playwrightテスト内で、MCPサーバープロセスを起動/停止するシェルスクリプトやコマンドを実行する。
  • RCON (Remote Console): Node.jsのRCONクライアントライブラリを使って、MCPサーバーにコマンドを送信する。
  • MCPサーバーAPI/ライブラリ: PaperMCなどのサーバーソフトウェアはAPIを提供している場合があり、Node.jsライブラリ経由で操作できる可能性がある。
  • CI/CDツールのAPI: JenkinsやGitLab CIなどのAPIをNode.jsから呼び出し、パイプラインの実行をトリガーする。
  • WebベースのRCONツールやカスタム管理ツール: PlaywrightでこれらのWeb UIを操作し、コマンド実行や状態監視を行う。

Playwrightで自動化できるテストシナリオ例:

  • サーバー起動からゲーム内コマンド実行テスト:
    1. Playwrightテスト内でNode.js child_processを使ってMCPサーバープロセスを起動。
    2. サーバーが起動完了するまで待機(ログファイルを監視するか、RCON接続を試すなど)。
    3. PlaywrightでWebベースのRCONツールにログイン。
    4. Web UIのコマンド入力フォームに/say Hello from Playwright!などのコマンドを入力して実行。
    5. Web UIのコンソールログ表示エリアに、実行したコマンドの出力が表示されることを確認。
    6. Playwrightテスト内でNode.js child_processを使ってサーバープロセスを停止。
  • Web UI経由での設定変更とRCONコマンド検証テスト:
    1. PlaywrightでWeb管理パネルにログインし、難易度をピースフルに設定変更して保存。
    2. サーバーを再起動(Web UIまたは外部スクリプト)。
    3. PlaywrightでWeb RCONツールにログインし、/difficulty ?コマンドを実行。
    4. コンソール出力が「Difficulty is set to peaceful」となっていることを確認。

具体的なPlaywrightコード例(Web RCONツール経由でのコマンド実行を想定 – アプローチ1の応用):

アプローチ1のWeb管理パネル操作の例と同様に、特定のWeb RCONツールのログイン処理やコマンド入力フォーム、コンソール表示エリアのセレクターが必要です。ここでは、コマンド送信と結果確認部分に焦点を当てた例を示します。

“`typescript
// tests/web_rcon.spec.ts
import { test, expect } from ‘@playwright/test’;
import dotenv from ‘dotenv’;

dotenv.config();

const RCON_PANEL_URL = process.env.RCON_PANEL_URL || ‘http://localhost:8081’;
const RCON_USERNAME = process.env.RCON_USERNAME || ‘rconuser’; // RCONツールのログイン情報
const RCON_PASSWORD = process.env.RCON_PASSWORD || ‘rconpassword’;

// MCPサーバーがRCONで待ち受けている必要あり
// server.properties: enable-rcon=true, rcon.password=your_rcon_password, rcon.port=25575 (デフォルト)

test.describe(‘Web RCON Panel Tests’, () => {

// 各テストの前にログイン処理を実行 (アプローチ1と同様のパターン)
test.beforeEach(async ({ page }) => {
await page.goto(RCON_PANEL_URL);
// RCONツールのログインページに合わせてセレクターを調整
await page.fill(‘#username’, RCON_USERNAME); // 仮のセレクター
await page.fill(‘#password’, RCON_PASSWORD); // 仮のセレクター
await page.click(‘button[type=”submit”]’); // 仮のセレクター
// ログイン後のページに遷移したことを確認
await page.waitForSelector(‘#commandInput’); // コマンド入力フィールドが表示されるのを待つ
console.log(‘Successfully logged in to Web RCON panel.’);
});

test(‘ゲーム内コマンド /say を実行し、コンソール出力を確認する’, async ({ page }) => {
const command = ‘/say Hello from Playwright Test!’;
console.log(Executing command: "${command}");

// コマンド入力フィールドにコマンドを入力
const commandInput = page.locator('#commandInput'); // 仮のセレクター
await expect(commandInput).toBeVisible();
await commandInput.fill(command);

// 実行ボタンをクリック
const executeButton = page.locator('#executeButton'); // 仮のセレクター
await expect(executeButton).toBeVisible();
await executeButton.click();

// コマンド実行結果がコンソール出力エリアに表示されるのを待つ
// 通常、/say コマンドは "[Server] Hello from Playwright Test!" のように表示される
const consoleOutputArea = page.locator('#consoleOutput'); // 仮のセレクター
await expect(consoleOutputArea).toBeVisible();

// 特定のテキストがコンソール出力エリアに追加されるのを待つ
// Playwrightは要素のテキストコンテンツの変化を自動的に待つことができる
const expectedOutput = `[Server] ${command.substring(5).trim()}`; // "/say "以降のテキスト
console.log(`Waiting for console output to contain: "${expectedOutput}"`);

// expect.toContainText()は要素全体ではなく、要素内のテキストに部分的に含まれるかを確認
await expect(consoleOutputArea).toContainText(expectedOutput, { timeout: 10000 }); // 最大10秒待つ
console.log('Expected console output found.');

// オプショナル: RCONツールがコマンド履歴を表示する場合、履歴も確認できる
// const commandHistory = page.locator('.command-history-item').last(); // 仮のセレクター
// await expect(commandHistory).toHaveText(command);

});

test(‘ゲーム内コマンド /time query daytime を実行し、結果を確認する’, async ({ page }) => {
const command = ‘/time query daytime’;
console.log(Executing command: "${command}");

  const commandInput = page.locator('#commandInput'); // 仮のセレクター
  await expect(commandInput).toBeVisible();
  await commandInput.fill(command);

  const executeButton = page.locator('#executeButton'); // 仮のセレクター
  await expect(executeButton).toBeVisible();
  await executeButton.click();

  const consoleOutputArea = page.locator('#consoleOutput'); // 仮のセレクター
  await expect(consoleOutputArea).toBeVisible();

  // /time query daytime の出力は通常 "The time is <数値>" の形式
  // 出力に含まれる数値自体を検証するのは難しい場合があるため、特定のパターンにマッチするか確認
  const timeOutputPattern = /The time is \d+/; // "The time is " に続いて数値が1つ以上
  console.log(`Waiting for console output to match pattern: "${timeOutputPattern}"`);

  await expect(consoleOutputArea).toContainText(timeOutputPattern, { timeout: 10000 });
  console.log('Time query output found and matches pattern.');

});

// 他のRCONコマンドを使ったテストもここに追加可能
// 例: プレイヤーテレポート、アイテム付与、天候変更など
// test(‘プレイヤーにアイテムを付与するコマンドテスト’, async ({ page }) => { … });

});

// .envファイルの例
/*
RCON_PANEL_URL=http://localhost:8081
RCON_USERNAME=your_rcon_web_user
RCON_PASSWORD=your_rcon_web_password

RCON_WEB_PANELのログイン情報であり、サーバーのRCONパスワードとは異なる場合がある

*/
“`

連携における注意点:

  • 外部プロセス実行やネットワーク通信は、Playwrightのブラウザ操作とは非同期で行われます。サーバー起動完了やコマンド実行結果の反映を適切に待つための仕組み(ポーリング、ログ監視、WebSocket接続など)が必要です。
  • Node.jsのchild_processは強力ですが、セキュリティリスクも伴います。実行するコマンドやスクリプトは信頼できるもののみを使用してください。
  • Playwrightのテストコード内で直接child_processを使うと、テストコードが特定のOSや環境に依存する可能性が高まります。可能な場合は、外部スクリプト化してそれを呼び出す形にすると、テストコード自体の可搬性が向上します。
  • RCON連携の場合、MCPサーバーのRCON設定(enable-rcon, rcon.password, rcon.port)が正しく行われている必要があります。

アプローチ4: ネイティブUI自動化ツールとの連携(Playwrightの範疇外だが言及)

繰り返しになりますが、PlaywrightはネイティブデスクトップアプリケーションのUIを直接操作するツールではありません。Minecraftゲームクライアントの起動後の操作(ゲーム内のメニュー、設定画面、ゲームプレイ)を自動化したい場合は、Playwrightではなく、以下のよう
なネイティブUI自動化ツールが必要になります。

  • AutoGUI (Python): マウス操作、キーボード入力、スクリーンショット、画像認識による要素検出など、OSレベルの操作を行います。クロスプラットフォーム。
  • SikuliX: 画像認識を主体としたUI自動化ツール。画面上の画像パターンを認識してクリックや入力を行います。Javaベース。
  • WinAppDriver: WindowsアプリケーションのUI自動化ツール。Selenium WebDriverプロトコルを実装しており、様々な言語から利用可能。WindowsアプリのUI要素を構造的に認識できます。
  • Appium: 主にモバイルアプリ自動化ツールですが、WindowsやmacOSのデスクトップアプリにも対応できる場合があります(WebDriverAgent for Windows/Mac)。

これらのツールは、MCPゲームクライアントのウィンドウを操作したり、ゲーム画面の一部を認識したりといったタスクに使用できます。

Playwrightとこれらのツールの連携可能性:

  • シナリオ: PlaywrightでWeb管理パネルを操作してサーバーを起動・設定変更し、その後AutoGUIを使ってゲームクライアントを起動し、ゲーム内の設定画面を開いてWeb管理パネルでの変更が反映されているか確認する。
  • シナリオ: PlaywrightでWeb UIを操作してゲームのデモワールドをダウンロードし、SikuliXを使ってゲームクライアントでそのワールドをロードし、特定の地点まで移動する。

連携方法:

Playwrightのテストコード内で、Node.jsのchild_processを使って、AutoGUIやSikuliXなどのスクリプトを実行します。

“`typescript
// Playwrightテストコード内 (概念コード)
import { test, expect } from ‘@playwright/test’;
import { execSync } from ‘child_process’; // 同期実行

test(‘Web設定変更後にゲーム内で確認する’, async ({ page }) => {
// Step 1: PlaywrightでWeb管理パネルを操作して設定変更
// … (アプローチ1のコード例を参照) …
console.log(‘Web panel settings updated.’);

// Step 2: PlaywrightからAutoGUIスクリプトを実行してゲームクライアントを操作
try {
console.log(‘Executing AutoGUI script to verify in-game…’);
// AutoGUIスクリプトを実行 (例: verify_in_game.py)
// このスクリプトは、ゲームを起動し、設定画面を開き、特定のUI要素(テキストやチェックボックス)をチェックする
const result = execSync(‘python verify_in_game.py’, { encoding: ‘utf-8’ });
console.log(‘AutoGUI script output:’, result);
// スクリプトの終了コードや標準出力を検証して、ゲーム内確認が成功したか判断
// 例: スクリプトが成功時に特定の文字列を出力すると想定
expect(result).toContain(‘In-game verification successful.’);

} catch (error: any) {
console.error(‘AutoGUI script execution failed:’, error.message);
// 標準エラー出力や終了コードを確認
if (error.status) {
console.error(Script exited with status code ${error.status});
console.error(‘Stderr:’, error.stderr);
}
throw new Error(‘In-game verification failed.’); // テストを失敗させる
}

// Step 3: 必要に応じてPlaywrightでWeb管理パネルに戻り、後処理を行う
// …

});
“`

注意点:

  • このアプローチは、PlaywrightとネイティブUI自動化ツールの両方の知識が必要になり、セットアップとデバッグが複雑になります。
  • ネイティブUI自動化は、画面解像度、UI要素の配置、OSのテーマなどに影響されやすく、安定性の確保が難しい場合があります。画像認識は特に環境依存性が高くなります。
  • CI/CD環境で実行する場合、ヘッドレスサーバー上でGUI操作を行うための特別な設定(仮想ディスプレイなど)が必要になることがあります。

Playwrightの記事としては、この連携は可能性として触れる程度にとどめ、Playwright単体で実現可能なWebベースの自動化に焦点を当てるのが現実的でしょう。

具体的なテストシナリオ例とPlaywrightコード(詳細)

これまでの説明を踏まえ、Playwrightの強みを活かせる具体的なテストシナリオをいくつか取り上げ、より詳細なコードと解説を提供します。

シナリオ1: Web管理パネル(Pterodactyl想定)経由でのサーバー起動/停止テスト

このシナリオでは、PterodactylのようなWeb管理パネルにログインし、特定のMinecraftサーバーインスタンスを起動し、Running状態になったことを確認し、その後停止してOffline状態になることをテストします。

前提:

  • Pterodactylパネルが稼働しており、テスト用のユーザーアカウントとパスワードが設定されている。
  • パネル上にテスト対象のMinecraftサーバーインスタンスが作成されており、その名前が分かっている。
  • テストを実行する環境からパネルのURLにアクセス可能である。

テスト内容:

  1. Pterodactylログインページに遷移する。
  2. ユーザー名とパスワードを入力してログインする。
  3. ダッシュボードが表示されることを確認する。
  4. テスト対象のサーバー名のリンクを探してクリックする。
  5. サーバー詳細ページに遷移したことを確認する。
  6. サーバーの状態表示を確認し、Offlineであれば「Start」ボタンをクリックする。
  7. サーバーの状態が「Running」になるまで待機する(タイムアウト設定)。
  8. サーバーの状態表示を確認し、Runningであれば「Stop」ボタンをクリックする。
  9. 停止確認ダイアログが表示されたら「Yes, stop server」をクリックする。
  10. サーバーの状態が「Offline」になるまで待機する(タイムアウト設定)。

Playwrightコード:

アプローチ1で示したコード例をベースに、より詳細なコメントとエラーハンドリングを追加します。

“`typescript
// tests/pterodactyl_server_control.spec.ts
import { test, expect, Page } from ‘@playwright/test’;
import dotenv from ‘dotenv’;

dotenv.config();

const PANEL_URL = process.env.PANEL_URL || ‘http://localhost:8080’;
const USERNAME = process.env.PANEL_USERNAME || ‘admin’;
const PASSWORD = process.env.PANEL_PASSWORD || ‘password’;
const TARGET_SERVER_NAME = process.env.TARGET_SERVER_NAME || ‘My Minecraft Server’;

// Pterodactylのセレクターはバージョンによって変わる可能性があるため注意。
// 開発者ツールやPlaywright Inspectorで最新のセレクターを確認することを推奨します。
const SELECTORS = {
LOGIN_EMAIL: ‘input[name=”email”]’,
LOGIN_PASSWORD: ‘input[name=”password”]’,
LOGIN_BUTTON: ‘button[type=”submit”]’,
DASHBOARD_TITLE: ‘h3:has-text(“Your Servers”)’,
SERVER_LINK: (serverName: string) => a:has-text("${serverName}"), // サーバー名を含むリンク
SERVER_STATUS_INDICATOR: ‘.server-status-indicator’, // サーバー状態表示要素
START_BUTTON: ‘button[data-action=”start”]’, // 開始ボタン (属性セレクター例)
STOP_BUTTON: ‘button[data-action=”stop”]’, // 停止ボタン (属性セレクター例)
KILL_BUTTON: ‘button[data-action=”kill”]’, // 強制停止ボタン
RESTART_BUTTON: ‘button[data-action=”restart”]’, // 再起動ボタン
CONFIRM_MODAL: ‘.confirmation-modal’, // 確認ダイアログのモーダル要素
CONFIRM_YES_BUTTON: ‘.confirmation-modal button.btn-danger’, // 確認ダイアログ内のYESボタン (危険な操作用)
CONSOLE_OUTPUT_AREA: ‘.console-output’ // コンソール出力エリア (状態確認の補助に使用可能)
};

// ログイン処理を共通関数として定義
async function loginToPanel(page: Page, url: string, username: string, password string) {
await test.step(‘パネルにログイン’, async () => {
try {
await page.goto(url + ‘/auth/login’);
await expect(page).toHaveTitle(/Login|Pterodactyl/); // タイトルの一部または全体を確認

        await page.fill(SELECTORS.LOGIN_EMAIL, username);
        await page.fill(SELECTORS.LOGIN_PASSWORD, password);
        await page.click(SELECTORS.LOGIN_BUTTON);

        // ログイン後のダッシュボード要素が表示されるまで待つ
        await page.waitForSelector(SELECTORS.DASHBOARD_TITLE);
        console.log('Successfully logged in to Pterodactyl panel.');

    } catch (error) {
        console.error('Login failed:', error);
        // ログイン失敗時のスクリーンショットやトレースを保存
        await page.screenshot({ path: 'login_error.png' });
        // traceファイルはcontextレベルで保存されるので、テスト全体のafterEachなどで設定
        throw error; // テストを失敗させる
    }
});

}

test.describe(‘Pterodactyl Server Control Tests’, () => {

// 各テストの前にログインを実行
test.beforeEach(async ({ page }) => {
await loginToPanel(page, PANEL_URL, USERNAME, PASSWORD);
});

test(‘特定のサーバーの起動と停止サイクル’, async ({ page }) => {
// テストの各ステップを明確にする
await test.step("${TARGET_SERVER_NAME}" サーバーの詳細ページへ移動, async () => {
const serverLink = page.locator(SELECTORS.SERVER_LINK(TARGET_SERVER_NAME)).first();
await expect(serverLink).toBeVisible(); // リンクが表示されるのを待つ
await serverLink.click();
// サーバー詳細ページのURLに遷移したことを確認 (ワイルドカードでサーバーIDを許容)
await page.waitForURL(PANEL_URL + ‘/server/*’);
console.log(Navigated to server page for "${TARGET_SERVER_NAME}".);
});

const statusElement = page.locator(SELECTORS.SERVER_STATUS_INDICATOR);
await expect(statusElement).toBeVisible(); // ステータス表示要素が表示されるのを待つ

await test.step('サーバーの状態を確認し、必要に応じて起動', async () => {
    const currentStatus = await statusElement.textContent();
    console.log(`Current server status: ${currentStatus?.trim()}`);

    // サーバーがRunningまたはStartingの場合は、一旦停止する方がテストが安定する
    if (currentStatus?.includes('Running') || currentStatus?.includes('Starting')) {
        console.log('Server is running or starting. Stopping before testing start.');
        await test.step('サーバーを停止', async () => {
             // 停止ボタンをクリック
            const stopButton = page.locator(SELECTORS.STOP_BUTTON);
            await expect(stopButton).toBeVisible();
            await stopButton.click();

            // 確認ダイアログが表示されるのを待つ
            const confirmModal = page.locator(SELECTORS.CONFIRM_MODAL);
            await expect(confirmModal).toBeVisible();

            // 確認ボタンをクリック
            const confirmButton = page.locator(SELECTORS.CONFIRM_YES_BUTTON);
            await expect(confirmButton).toBeVisible();
            await confirmButton.click();
            console.log('Confirmed server stop.');

            // サーバーがOffline状態になるまで待つ
            console.log('Waiting for server to be Offline...');
            await expect(statusElement).toHaveText(/Offline/, { timeout: 60000 }); // 最大60秒待つ
            console.log('Server is now Offline.');
        });
    }

    // サーバーが確実にOfflineであることを確認してから起動テスト
    await expect(statusElement).toHaveText(/Offline/);
    console.log('Server is Offline. Starting server...');

    await test.step('サーバーを起動', async () => {
        const startButton = page.locator(SELECTORS.START_BUTTON);
        await expect(startButton).toBeVisible();
        await startButton.click();
        console.log('Clicked Start button.');

        // サーバーがRunning状態になるまで待つ
        console.log('Waiting for server to become Running...');
        await expect(statusElement).toHaveText(/Running/, { timeout: 90000 }); // 起動には時間がかかる場合があるため長めに待つ
        console.log('Server is now Running.');

        // オプショナル: コンソール出力にサーバー起動完了メッセージが出るのを待つ
        // 例えば "Done!" のようなメッセージ
        // const consoleArea = page.locator(SELECTORS.CONSOLE_OUTPUT_AREA);
        // await expect(consoleArea).toContainText('Done!', { timeout: 30000 });
        // console.log('Server "Done!" message detected in console.');
    });
});


await test.step('サーバーを停止', async () => {
    // サーバーがRunningであることを確認してから停止操作
    await expect(statusElement).toHaveText(/Running/);
    console.log('Server is Running. Stopping server...');

    const stopButton = page.locator(SELECTORS.STOP_BUTTON);
    await expect(stopButton).toBeVisible();
    await stopButton.click();
    console.log('Clicked Stop button.');

    // 確認ダイアログが表示されるのを待つ
    const confirmModal = page.locator(SELECTORS.CONFIRM_MODAL);
    await expect(confirmModal).toBeVisible();

    // 確認ボタンをクリック
    const confirmButton = page.locator(SELECTORS.CONFIRM_YES_BUTTON);
    await expect(confirmButton).toBeVisible();
    await confirmButton.click();
    console.log('Confirmed server stop.');

    // サーバーがOffline状態になるまで待つ
    console.log('Waiting for server to become Offline...');
    await expect(statusElement).toHaveText(/Offline/, { timeout: 60000 }); // 最大60秒待つ
    console.log('Server is now Offline.');
});

});

// 他のサーバー操作テスト(再起動、強制停止など)も同様に追加可能
// test(‘特定のサーバーの再起動’, async ({ page }) => { … });

});
“`

解説:

  • テストステップをtest.stepで囲むことで、レポートが見やすくなります。
  • セレクターは定数としてまとめておくことで、メンテナンス性が向上します。ただし、PterodactylのようなツールはアップデートでUIが変わる可能性があるため、セレクターは定期的に確認する必要があります。
  • ログイン処理はbeforeEachで共通化し、テストごとにクリーンな状態から始めます。
  • サーバーの現在の状態を確認し、テストの前提条件(例: Offlineからの起動テスト)に合わせて操作を分岐させています。これにより、テストをより堅牢にできます。
  • 起動/停止操作には時間がかかるため、expect(...).toHaveText(..., { timeout: ... })を使って十分な待機時間を設定しています。タイムアウト値はサーバーのスペックや起動時間に合わせて調整が必要です。
  • 停止時の確認ダイアログなど、操作に伴って表示されるモーダルウィンドウもPlaywrightで操作できます。

シナリオ2: Web RCONツール経由でのゲーム内コマンド実行テスト

このシナリオでは、WebベースのRCON管理ツールにログインし、ゲーム内コマンド(例: /say/time)を実行し、その結果がWeb UI上のコンソールログエリアに表示されることを確認します。

前提:

  • テスト対象のMCPサーバーでRCONが有効化され、正しく設定されている (enable-rcon=true, rcon.password, rcon.port)。
  • WebベースのRCON管理ツールが稼働しており、MCPサーバーのRCONポートに接続可能である。
  • テストを実行する環境からWeb RCONツールのURLにアクセス可能である。
  • Web RCONツールのログイン情報、コマンド入力フィールド、コンソール表示エリアのセレクターが分かっている。

テスト内容:

  1. Web RCONツールのログインページに遷移する。
  2. ユーザー名とパスワードを入力してログインする。
  3. コマンド入力フィールドとコンソール表示エリアが表示されることを確認する。
  4. コマンド入力フィールドに/say Hello from Playwright Test!と入力する。
  5. 実行ボタンをクリックする。
  6. コンソール表示エリアに[Server] Hello from Playwright Test!というテキストが含まれることを確認する(タイムアウト設定)。
  7. コマンド入力フィールドに/time query daytimeと入力する。
  8. 実行ボタンをクリックする。
  9. コンソール表示エリアにThe time is <数値>というパターンにマッチするテキストが含まれることを確認する(タイムアウト設定)。

Playwrightコード:

アプローチ3で示したコード例をベースに、詳細なコメントとステップを追加します。

“`typescript
// tests/web_rcon_commands.spec.ts
import { test, expect, Page } from ‘@playwright/test’;
import dotenv from ‘dotenv’;

dotenv.config();

const RCON_PANEL_URL = process.env.RCON_PANEL_URL || ‘http://localhost:8081’;
const RCON_USERNAME = process.env.RCON_USERNAME || ‘rconuser’;
const RCON_PASSWORD = process.env.RCON_PASSWORD || ‘rconpassword’;

// Web RCONツールのセレクター (仮定)
const SELECTORS_RCON = {
LOGIN_USERNAME: ‘#username’, // ユーザー名入力フィールドのID
LOGIN_PASSWORD: ‘#password’, // パスワード入力フィールドのID
LOGIN_BUTTON: ‘button[type=”submit”]’, // ログインボタン
COMMAND_INPUT: ‘#commandInput’, // コマンド入力フィールドのID
EXECUTE_BUTTON: ‘#executeButton’, // 実行ボタンのID
CONSOLE_OUTPUT_AREA: ‘#consoleOutput’ // コンソール出力エリアのID (例: divやpre要素)
};

// ログイン処理を共通関数として定義
async function loginToRconPanel(page: Page, url: string, username: string, password: string) {
await test.step(‘Web RCONパネルにログイン’, async () => {
try {
await page.goto(url);
await expect(page).toHaveTitle(/RCON|Remote Console/); // タイトルの一部を確認 (パネルによる)

        await page.fill(SELECTORS_RCON.LOGIN_USERNAME, username);
        await page.fill(SELECTORS_RCON.LOGIN_PASSWORD, password);
        await page.click(SELECTORS_RCON.LOGIN_BUTTON);

        // ログイン後のページでコマンド入力フィールドが表示されるのを待つ
        await page.waitForSelector(SELECTORS_RCON.COMMAND_INPUT);
        console.log('Successfully logged in to Web RCON panel.');

    } catch (error) {
        console.error('RCON login failed:', error);
        await page.screenshot({ path: 'rcon_login_error.png' });
        throw error;
    }
});

}

test.describe(‘Web RCON Command Execution Tests’, () => {

// 各テストの前にログインを実行
test.beforeEach(async ({ page }) => {
await loginToRconPanel(page, RCON_PANEL_URL, RCON_USERNAME, RCON_PASSWORD);
});

test(‘”/say” コマンドを実行し、コンソール出力を確認する’, async ({ page }) => {
const command = ‘/say Hello from Playwright Test!’;

await test.step(`コマンド "${command}" を入力して実行`, async () => {
    const commandInput = page.locator(SELECTORS_RCON.COMMAND_INPUT);
    const executeButton = page.locator(SELECTORS_RCON.EXECUTE_BUTTON);
    await expect(commandInput).toBeVisible();
    await expect(executeButton).toBeVisible();

    await commandInput.fill(command);
    await executeButton.click();
    console.log(`Executed command: "${command}"`);
});

await test.step('コンソール出力に結果が表示されることを確認', async () => {
    const consoleOutputArea = page.locator(SELECTORS_RCON.CONSOLE_OUTPUT_AREA);
    await expect(consoleOutputArea).toBeVisible();

    // /say コマンドの典型的な出力形式に合わせて期待値を設定
    const expectedOutputText = `[Server] ${command.substring('/say '.length)}`; // "[Server] " に続いて /say の引数
    console.log(`Waiting for console output to contain: "${expectedOutputText}"`);

    // expect.toContainText() で要素内のテキストに部分一致するかを待機・検証
    await expect(consoleOutputArea).toContainText(expectedOutputText, { timeout: 10000 }); // 最大10秒待つ
    console.log('Expected "/say" command output found.');
});

});

test(‘”/time query daytime” コマンドを実行し、数値が含まれるか確認する’, async ({ page }) => {
const command = ‘/time query daytime’;

await test.step(`コマンド "${command}" を入力して実行`, async () => {
    const commandInput = page.locator(SELECTORS_RCON.COMMAND_INPUT);
    const executeButton = page.locator(SELECTORS_RCON.EXECUTE_BUTTON);
    await expect(commandInput).toBeVisible();
    await expect(executeButton).toBeVisible();

    await commandInput.fill(command);
    await executeButton.click();
    console.log(`Executed command: "${command}"`);
});

await test.step('コンソール出力に時刻情報が表示されることを確認', async () => {
    const consoleOutputArea = page.locator(SELECTORS_RCON.CONSOLE_OUTPUT_AREA);
    await expect(consoleOutputArea).toBeVisible();

    // /time query daytime の出力は通常 "The time is <数値>"
    // 正規表現を使ってパターンにマッチするか確認
    const timeOutputPattern = /The time is \d+/; // "The time is " に続いて1つ以上の数字
    console.log(`Waiting for console output to match pattern: "${timeOutputPattern}"`);

    // expect.toContainText() は文字列または正規表現を受け取れる
    await expect(consoleOutputArea).toContainText(timeOutputPattern, { timeout: 10000 });
    console.log('Expected "/time query daytime" command output found and matches pattern.');
});

});

// 他のRCONコマンドを使ったテスト例:
test(‘”/difficulty ?” コマンドで難易度を確認する’, async ({ page }) => {
const command = ‘/difficulty ?’;
await test.step(コマンド "${command}" を入力して実行, async () => {
await page.fill(SELECTORS_RCON.COMMAND_INPUT, command);
await page.click(SELECTORS_RCON.EXECUTE_BUTTON);
console.log(Executed command: "${command}");
});
await test.step(‘コンソール出力に難易度情報が表示されることを確認’, async () => {
const consoleOutputArea = page.locator(SELECTORS_RCON.CONSOLE_OUTPUT_AREA);
// 難易度は peaceful, easy, normal, hard のいずれか
const difficultyPattern = /Difficulty is set to (peaceful|easy|normal|hard)/;
console.log(Waiting for console output to match pattern: "${difficultyPattern}");
await expect(consoleOutputArea).toContainText(difficultyPattern, { timeout: 10000 });
console.log(‘Expected “/difficulty ?” command output found.’);
});
});

});
“`

解説:

  • ログイン処理を共通化し、セレクターを定数にまとめています。
  • 各テストケースで異なるRCONコマンドを実行し、期待されるコンソール出力のテキストまたは正規表現で検証しています。
  • expect(element).toContainText()は、要素のテキストコンテンツ全体ではなく、その中に特定のテキストが含まれているかを確認するのに便利です。RCONコンソールのように、新しい出力が末尾に追加されていく場合に特に有効です。
  • 正規表現を使用することで、数値のように変動する部分を含む出力を柔軟に検証できます。
  • RCONコマンドの実行はサーバー側で比較的即座に行われますが、その結果がWeb UIに表示されるまでには若干の遅延がある可能性があるため、適切な待機が必要です。

高度なトピックと考慮事項

Playwrightを使ったMCP関連の自動化テストを構築・運用する際に考慮すべき高度なトピックや注意点を挙げます。

テスト環境のセットアップ

  • ヘッドレスモード vs ヘッドフルモード: Playwrightはデフォルトでヘッドレス(GUIなし)で実行されますが、MCP管理パネルやLauncherのUI操作を目視で確認したい場合や、Playwright Inspectorでデバッグする場合はヘッドフルモード (--headed) が必要です。CI環境などGUIがないサーバーでヘッドフル実行が必要な場合は、Xvfbのような仮想ディスプレイツールが必要になることがあります。
  • 仮想マシン/コンテナ: テスト環境を隔離するために、仮想マシン(VM)やDockerコンテナ上でテストを実行することが推奨されます。これにより、テスト環境の一貫性が保たれ、開発者のローカル環境やCI環境の違いによる問題を減らせます。ただし、Minecraftクライアントや一部のLauncherはGPUアクセラレーションを必要とする場合があり、VMやコンテナ環境でのセットアップが複雑になることがあります。
  • テスト対象のバージョン管理: テスト対象となるMCPサーバーソフトウェア(PaperMC, Spigot, Forgeなど)、Mod/プラグイン、Web管理パネル、Launcherなどのバージョンを明確に管理し、テストが特定のバージョンに対して実行されるようにする必要があります。バージョンの更新はUIの変更をもたらし、テストコード(特にセレクター)の修正が必要になる可能性があります。
  • 認証情報の管理: ログイン情報(ユーザー名、パスワード、APIキーなど)は、コードに直接書き込まず、環境変数や安全なシークレット管理システム(HashiCorp Vault, Kubernetes Secrets, CIツールのSecret機能など)を使用してください。.envファイルは開発環境での手軽な方法ですが、本番環境ではよりセキュアな方法を検討すべきです。

信頼性と安定性

  • 非同期処理と待機戦略: Webアプリケーションの要素の表示や状態変化は非同期に発生します。Playwrightの自動待機機能は非常に強力ですが、サーバー起動完了のような複雑な状態遷移や、WebSocketでリアルタイムに更新されるUI要素(例: コンソール出力エリア)については、明示的な待機(page.waitForSelector, expect(...).toHaveText() with timeout, page.waitForFunctionなど)が必要になることがあります。
  • ネットワーク遅延とサーバー負荷: テスト環境とテスト対象サーバー間のネットワーク遅延や、サーバー自体の負荷が高い場合、Web UIの応答が遅れたり、要素の表示に時間がかかったりすることがあります。タイムアウト値を十分に設定し、テスト実行環境のネットワーク環境を安定させることが重要です。
  • UI要素の変化への対応: Web管理パネルやLauncherのアップデートにより、UIのHTML構造やセレクターが変わることがあります。テストコードを定期的にメンテナンスし、セレクターが最新のUIに対応しているか確認する必要があります。信頼性の高いセレクター(ID属性など、変更されにくいもの)を選ぶよう努めましょう。

エラーハンドリングとデバッグ

  • Playwrightのトレースビューア: テストが失敗した場合、Playwright Trace Viewer (npx playwright show-trace <trace-file>) を使用して、テスト実行中のステップ、DOMスナップショット、ネットワークリクエスト、コンソールログなどを詳細に分析できます。これは、失敗の原因を特定する上で非常に強力なツールです。
  • スクリーンショットとビデオ録画: テスト失敗時に自動的にスクリーンショットやビデオを保存するように設定することで、失敗時の画面状態を確認できます。Playwrightの設定ファイル(playwright.config.ts)で簡単に有効化できます。
  • テストレポート: テスト結果をHTMLレポートとして出力することで、テストの実行状況や失敗箇所を一覧で確認できます (npx playwright test --reporter=html)。Allure Reporterのようなより詳細なレポートツールと連携することも可能です。
  • ログ出力: テストコード内に適切なログ出力(console.log, test.info, test.warn, test.errorなど)を記述することで、テスト実行中の状況やエラー発生時の情報を把握しやすくなります。

パフォーマンス

  • テスト実行時間の最適化: サーバー起動など時間のかかるステップは、テストスイート全体で1度だけ実行し、各テストケースはサーバーが起動済みの状態から開始するなどの工夫が必要です。test.beforeAlltest.describe.configure({ mode: 'serial' })などを活用します。
  • 並列実行: Playwrightはデフォルトでテストファイルを並列実行します。playwright.config.tsworkers設定で並列実行数を調整できます。ただし、複数のテストが同じサーバーインスタンスを同時に操作しようとすると競合が発生する可能性があるため、依存関係のあるテストはmode: 'serial'で直列実行するか、テストごとに異なるサーバーインスタンスを使用するなどの対策が必要です。

セキュリティ

  • 認証情報の管理: 前述の通り、パスワードなどの機密情報は安全な方法で管理してください。テストレポートやログに機密情報が誤って含まれないよう注意が必要です。
  • テスト環境へのアクセス制限: テスト環境は、必要なユーザーやCI/CDパイプラインからのみアクセスできるようにネットワークアクセスを制限し、不正アクセスを防いでください。

Playwrightの限界

繰り返しになりますが、PlaywrightはWebブラウザ操作ツールであり、ネイティブデスクトップアプリケーションであるMinecraftゲームクライアントのUIや3D描画内容を直接操作・認識することはできません。ゲーム内の複雑なアクション(ブロック破壊、MOBとの戦闘、アイテムクラフトなど)を自動化したい場合は、MCPのMod開発(Forge/Fabricなどを使った自動化Mod)や、ゲーム内のAPI/プロトコルを操作する外部ツール(例: Mineflayerのようなボットフレームワーク)といった、より高度な手法が必要になります。Playwrightは、あくまで「Web技術を介して」MCPに関連するタスクを自動化するためのツールとして捉える必要があります。

Playwrightと他のツールの比較(MCP自動化の観点から)

MCP関連の自動化、特にGUI操作の自動化という観点から、Playwrightと他の主要な自動化ツールを比較します。

ツール 得意分野 MCP自動化における活用可能性 Playwrightとの比較(MCP関連)
Playwright Webブラウザ自動化 MCPサーバーWeb管理パネル、WebベースRCONツール、Web技術ベースLauncherのUI操作、CI/CD Web UI操作 MCP関連のWeb UI操作においては最もモダンで高機能な選択肢。ネイティブUI操作は不可。他のツールとの連携は可能。
Selenium Webブラウザ自動化 Playwrightと同様にWeb管理パネルなどのUI操作。 Playwrightより古い技術で、セットアップや待機戦略に手間がかかることが多い。MCP関連のWeb UI操作に限定される点はPlaywrightと同様。
AutoGUI ネイティブGUI操作、画像認識 Minecraftゲームクライアントのウィンドウ操作、マウス/キーボード入力、画像認識による要素検出 ネイティブUI操作は得意だが、要素の構造的な認識やテストコードの構造化が難しい。UI変更に弱い。Playwrightと組み合わせて利用する可能性がある。
SikuliX 画像認識、ネイティブGUI操作 AutoGUIと同様、ゲーム画面の画像パターンを認識して操作。 画像認識に特化しており、より柔軟なパターンマッチングが可能。ただし、UI変更に非常に弱く、デバッグが難しい。Playwrightと組み合わせて利用する可能性がある。
WinAppDriver WindowsネイティブアプリUI自動化 Windows版Minecraft BedrockやWindows上のJava Edition Launcher/Clientの一部操作に使える可能性。 Windowsに限定されるが、ネイティブUI要素を構造的に認識できる点がAutoGUI/SikuliXより優れる。Playwrightとは連携が必要。
Appium モバイル/デスクトップアプリUI自動化 Windows/macOSデスクトップアプリ自動化機能を使ってLauncherやクライアントの一部操作に使える可能性。 WinAppDriverと同様にネイティブUIを構造的に扱えるが、デスクトップ対応はまだ発展途上。Playwrightとは連携が必要。
Node.js + RCONクライアント サーバープロトコル通信 RCONプロトコルを使ってゲーム内コマンド実行、サーバー状態取得。UI操作は含まない。 PlaywrightではRCONプロトコルを直接扱えないため、このアプローチはPlaywrightの外部で実行するか、PlaywrightからWeb RCONツールを操作する。
Mineflayer (Node.js) Minecraftプロトコル通信 Node.jsでMinecraftクライアントとしてサーバーに接続し、ゲーム内アクションを自動化(移動、ブロック操作など)。GUIなし。 MCPゲームプレイ自体の自動化に特化した強力なツール。PlaywrightのUI操作とは全く異なるレベルのアプローチ。UI操作が必要な場合は連携が必要。

結論として、PlaywrightはMCP関連の自動化テストにおいて、「Webベースのインターフェース」を操作する場合には非常に有効なツールです。サーバー管理、設定変更、Modpack管理など、Web管理パネルやWeb技術ベースのLauncherを通じて行えるタスクの自動化に適しています。しかし、ゲームクライアントのネイティブUIやゲームプレイそのものを自動化するには、AutoGUIやWinAppDriver、あるいはRCONクライアントやMineflayerといった他のツールやライブラリが必要になります。

「Playwrightで始めるMCP自動化テスト」と銘打ったこの記事では、Playwrightの得意なWeb操作の範囲でどこまでMCP関連の自動化テストができるのか、その導入のしやすさ、学習コストの低さ、Playwrightの豊富な機能(Codegen, Trace Viewerなど)がもたらす開発効率の良さから、最初のステップとしてPlaywrightを使うことを推奨する意図があります。ネイティブUI操作が必要になったら、そこで初めて他のツールとの連携や切り分けを検討するという進め方が、効率的で実現可能性が高いアプローチと言えるでしょう。

まとめと今後の展望

この記事では、Playwrightという強力なWeb自動化ツールを使って、MCP(Minecraft)に関連する様々なタスクを自動化、特にテストの観点からアプローチする方法を詳細に解説しました。

PlaywrightはネイティブデスクトップアプリケーションであるMCPゲームクライアントを直接操作することはできません。しかし、MCPサーバーのWeb管理パネル、Web技術を基盤としたLauncher、Web RCONツール、CI/CDツールのWeb UIといった「Webベースのインターフェース」を操作することで、サーバーの起動/停止、設定変更、Modpack管理、ゲーム内コマンド実行トリガーなど、多くのMCP関連タスクの自動化テストが可能です。

この記事で紹介した主なアプローチは以下の通りです。

  1. Webベースの管理ツール/サービスを利用: PterodactylなどのWeb UIを操作し、サーバー管理タスクを自動化。これはPlaywrightの最も得意とする領域です。
  2. Launcher/Mod管理ツール(ElectronなどWeb技術ベースの場合)を利用: Electronアプリのリモートデバッグ機能などを利用してLauncherのUIを操作し、Modpack管理やゲーム起動を自動化(実験的なアプローチ)。
  3. 外部ツール/スクリプトとの連携: Playwrightテストコード内でNode.jsのchild_processを使って外部コマンドを実行したり、Web UI経由でRCONコマンドを発行したりして、サーバー制御とWeb操作を組み合わせる。

これらのアプローチを通じて、サーバーデプロイ後の設定検証、Modやプラグイン導入後のサーバー起動テスト、特定のゲーム内コマンドの動作確認といった、MCP運用・開発における重要なテストシナリオを自動化できることを示しました。

PlaywrightのCode Generator、Playwright Inspector、Trace Viewerといった強力な開発・デバッグツールは、これらの自動化テストを効率的に開発・保守する上で非常に役立ちます。また、Playwrightの自動待機機能は、Web管理パネルなどの非同期なUI操作におけるテストの信頼性を高めます。

今後の展望としては、PlaywrightによるWeb UI操作を核としつつ、必要に応じてRCONクライアントライブラリやMineflayerのようなMinecraftプロトコルを直接扱うツール、あるいはAutoGUIのようなネイティブUI自動化ツールと連携することで、より広範囲なMCP関連の自動化テスト(例: Webパネルでサーバーを起動・設定 -> RCONでプレイヤーをテレポート -> Mineflayerでゲーム内操作 -> PlaywrightでWeb RCONログ確認)が可能になるでしょう。

PlaywrightはWeb自動化の分野で非常に優れたツールであり、MCP関連の多くの管理タスクがWebインターフェースを通じて行える現代において、その応用範囲は広がっています。この記事が、PlaywrightをMCP自動化テストの第一歩として活用するための具体的なガイドとなり、皆様のMCP運用・開発プロセスの効率化と信頼性向上に貢献できれば幸いです。

自動化テストの導入は初期投資が必要ですが、繰り返し実行可能なテストスイートを構築することで、手作業によるミスの削減、デプロイの迅速化、そして何よりも安心して変更を加えられる環境が手に入ります。ぜひPlaywrightを使って、MCPの世界での自動化の可能性を探求してみてください。

参考資料


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