Vue 3 onMounted徹底解説:Composition APIでの使い方と注意点
Vue 3 の Composition API は、コンポーネントのロジックを整理し、再利用性を高めるための強力なツールです。その中でも、onMounted
はコンポーネントがDOMにマウントされた直後に実行されるライフサイクルフックであり、初期化処理や外部ライブラリの連携など、さまざまな場面で重要な役割を果たします。
この記事では、onMounted
の基本的な使い方から、Composition API における活用方法、そして注意点までを徹底的に解説します。具体的なコード例を交えながら、onMounted
をマスターし、より効率的でメンテナンス性の高い Vue 3 コンポーネントを開発するための知識を深めていきましょう。
目次
onMounted
とは?:基本的な概念と役割- 1.1 ライフサイクルフックとは
- 1.2
onMounted
の役割とタイミング - 1.3 Options API における
mounted
との違い
- Composition API における
onMounted
の使い方- 2.1
setup
関数内でのonMounted
の定義 - 2.2 リアクティブデータとの連携
- 2.3
onMounted
内での非同期処理 - 2.4 複数の
onMounted
の使用
- 2.1
onMounted
の活用例- 3.1 DOM 操作と初期化
- 3.2 外部ライブラリとの連携
- 3.3 API リクエストとデータ取得
- 3.4 イベントリスナーの登録
- 3.5 フォーカスの設定
onMounted
使用時の注意点とトラブルシューティング- 4.1
undefined
エラーとその対策 - 4.2 メモリリークの防止
- 4.3 不要な再レンダリングの抑制
- 4.4 サーバーサイドレンダリング (SSR) における注意点
- 4.5 テストにおける考慮事項
- 4.1
onMounted
とその他のライフサイクルフック- 5.1
onBeforeMount
との違い - 5.2
onUpdated
との連携 - 5.3
onUnmounted
との組み合わせ
- 5.1
onMounted
をより深く理解するために- 6.1 Vue 3 のリアクティブシステム
- 6.2 コンポーネントのレンダリングプロセス
- 6.3 Composition API の設計思想
- まとめ:
onMounted
を使いこなして Vue 3 開発をレベルアップ
1. onMounted
とは?:基本的な概念と役割
まず、onMounted
がどのようなライフサイクルフックなのか、その役割とタイミングを理解しましょう。
1.1 ライフサイクルフックとは
Vue コンポーネントは、生成から破棄までの間に特定の段階を経ます。これらの段階をコンポーネントのライフサイクルと呼びます。ライフサイクルフックは、これらのライフサイクルの特定の段階で実行される関数です。これにより、コンポーネントの状態に応じて、特定の処理を実行できます。
Options API では、created
, mounted
, updated
, unmounted
などのライフサイクルフックが用意されていました。Composition API では、onBeforeMount
, onMounted
, onBeforeUpdate
, onUpdated
, onBeforeUnmount
, onUnmounted
, onErrorCaptured
, onRenderTracked
, onRenderTriggered
などのライフサイクルフックが提供されており、より柔軟なコンポーネント設計が可能になっています。
1.2 onMounted
の役割とタイミング
onMounted
は、コンポーネントがDOMにマウントされた直後に実行されるライフサイクルフックです。つまり、コンポーネントのテンプレートがレンダリングされ、ブラウザのDOMに追加された後に実行されます。
onMounted
は、以下の様な処理を行うのに適しています。
- DOM 操作: コンポーネントの要素に直接アクセスして、スタイルの変更やイベントリスナーの登録などを行います。
- 外部ライブラリの連携: jQuery や Chart.js などの外部ライブラリを初期化し、コンポーネントの要素に適用します。
- API リクエスト: コンポーネントの初期データとして API からデータを取得します。
- 初期化処理: コンポーネントの初期状態を設定したり、タイマーを開始したりします。
1.3 Options API における mounted
との違い
Options API では、mounted
オプションとしてライフサイクルフックを定義していました。
“`vue
“`
一方、Composition API では、onMounted
関数を setup
関数内で呼び出すことで、ライフサイクルフックを定義します。
“`vue
“`
どちらの方法でも、onMounted
(または mounted
) 内で実行される処理は、コンポーネントがDOMにマウントされた直後に実行されます。
Composition API の onMounted
は、setup
関数内で定義されるため、リアクティブデータや他の関数と同じスコープでアクセスできます。これにより、コンポーネントのロジックをより柔軟に整理し、再利用性を高めることができます。
2. Composition API における onMounted
の使い方
Composition API で onMounted
を使う方法について、具体的なコード例を交えながら解説します。
2.1 setup
関数内での onMounted
の定義
onMounted
は、vue
パッケージからインポートする必要があります。setup
関数内で onMounted
を呼び出し、コールバック関数を渡すことで、onMounted
フックを定義します。
“`vue
This is my element.
“`
この例では、onMounted
のコールバック関数内で、myElement.value
にアクセスして DOM 要素を取得しています。ref
を使用してDOM要素を参照する場合、onMounted
内で ref.value
にアクセスする必要があります。これは、ref
がDOM要素にバインドされるのが、コンポーネントがマウントされた後になるためです。
2.2 リアクティブデータとの連携
onMounted
は、setup
関数内で定義されたリアクティブデータに自由にアクセスできます。これにより、コンポーネントの状態に応じて、初期化処理を柔軟に制御できます。
“`vue
Count: {{ count }}
“`
この例では、count
というリアクティブデータが onMounted
のコールバック関数内で参照されています。初期値は 0 ですが、increment
関数によって値が変更されると、テンプレートも自動的に更新されます。
2.3 onMounted
内での非同期処理
onMounted
のコールバック関数内で非同期処理を行うことも可能です。例えば、API からデータを取得して、コンポーネントの状態を更新する場合などに使用します。
“`vue
Loading…
Data: {{ data }}
“`
この例では、onMounted
のコールバック関数内で fetch
API を使用してデータを取得しています。async
関数を使用することで、非同期処理をより簡潔に記述できます。loading
というリアクティブデータを使用して、データのロード中と完了後で表示を切り替えています。
2.4 複数の onMounted
の使用
Composition API では、複数の onMounted
を定義できます。それぞれの onMounted
コールバック関数は、コンポーネントがマウントされた順に実行されます。
“`vue
Hello, Vue!
“`
この例では、2つの onMounted
コールバック関数が定義されています。コンポーネントがマウントされると、まず “onMounted 1” がコンソールに出力され、次に “onMounted 2” が出力されます。
複数の onMounted
を使用することで、コンポーネントの初期化処理をより細かく分割し、整理することができます。
3. onMounted
の活用例
onMounted
は、コンポーネントの初期化処理や外部ライブラリとの連携など、さまざまな場面で活用できます。
3.1 DOM 操作と初期化
onMounted
は、コンポーネントのDOM要素にアクセスして、スタイルの変更やイベントリスナーの登録などを行うのに適しています。
“`vue
This is a paragraph.
“`
この例では、myParagraph
という ref
を使用して、DOM要素の <p>
タグを参照しています。onMounted
のコールバック関数内で、myParagraph.value
にアクセスして、テキストの色を青色に変更し、クリックイベントリスナーを登録しています。
3.2 外部ライブラリとの連携
onMounted
は、jQuery や Chart.js などの外部ライブラリを初期化し、コンポーネントの要素に適用するのに適しています。
“`vue
“`
この例では、Chart.js を使用して棒グラフを表示しています。onMounted
のコールバック関数内で、myChart.value
にアクセスして、<canvas>
要素を取得し、Chart.js を初期化しています。
3.3 API リクエストとデータ取得
onMounted
は、コンポーネントの初期データとして API からデータを取得するのに適しています。
“`vue
Loading…
- {{ item.title }}
“`
この例では、onMounted
のコールバック関数内で fetch
API を使用して、JSONPlaceholder から ToDo アイテムのリストを取得しています。取得したデータは、items
というリアクティブデータに格納され、テンプレートで表示されます。
3.4 イベントリスナーの登録
onMounted
は、コンポーネントのDOM要素にイベントリスナーを登録するのに適しています。
“`vue
“`
この例では、myButton
という ref
を使用して、DOM要素の <button>
タグを参照しています。onMounted
のコールバック関数内で、myButton.value
にアクセスして、クリックイベントリスナーを登録しています。
3.5 フォーカスの設定
onMounted
は、コンポーネントがマウントされた際に特定の要素にフォーカスを設定するのに適しています。
“`vue
“`
この例では、myInput
という ref
を使用して、DOM要素の <input>
タグを参照しています。onMounted
のコールバック関数内で、myInput.value
にアクセスして、focus()
メソッドを呼び出し、入力フィールドにフォーカスを設定しています。
4. onMounted
使用時の注意点とトラブルシューティング
onMounted
は非常に便利なライフサイクルフックですが、使用する際にはいくつかの注意点があります。
4.1 undefined
エラーとその対策
onMounted
内で ref
を使用してDOM要素を参照する場合、ref.value
が undefined
になることがあります。これは、コンポーネントがマウントされる前に ref
が初期化されていない場合に発生します。
“`vue
{{ message }}
“`
この例では、onMounted
のコールバック関数内で myParagraph.value.textContent
にアクセスしようとしていますが、myParagraph.value
が null
であるため、TypeError
が発生します。
この問題を解決するには、onMounted
のコールバック関数内で myParagraph.value
が null
でないことを確認する必要があります。
“`vue
{{ message }}
“`
if (myParagraph.value)
という条件を追加することで、myParagraph.value
が null
でない場合にのみ、textContent
にアクセスするようにしました。
4.2 メモリリークの防止
onMounted
内でイベントリスナーを登録する場合、コンポーネントがアンマウントされた際にイベントリスナーを解除する必要があります。イベントリスナーを解除しないと、メモリリークが発生する可能性があります。
“`vue
“`
この例では、onMounted
でクリックイベントリスナーを登録し、onUnmounted
でイベントリスナーを解除しています。onUnmounted
は、コンポーネントがアンマウントされる直前に実行されるライフサイクルフックです。
4.3 不要な再レンダリングの抑制
onMounted
内でリアクティブデータを更新すると、コンポーネントが再レンダリングされる可能性があります。場合によっては、不要な再レンダリングが発生してしまうことがあります。
再レンダリングを抑制するためには、以下の方法があります。
readonly
を使用して、リアクティブデータを読み取り専用にする。toRef
を使用して、リアクティブデータの特定の部分だけをリアクティブにする。shallowRef
を使用して、深いリアクティビティを無効にする。
4.4 サーバーサイドレンダリング (SSR) における注意点
サーバーサイドレンダリング (SSR) では、コンポーネントがサーバー上でレンダリングされます。onMounted
は、クライアントサイドでのみ実行されるライフサイクルフックであるため、サーバーサイドでは実行されません。
SSR 環境で onMounted
の処理が必要な場合は、process.client
を使用して、クライアントサイドでのみ実行されるようにする必要があります。
“`vue
Hello, Vue!
“`
4.5 テストにおける考慮事項
onMounted
を含むコンポーネントをテストする場合、onMounted
のコールバック関数が正しく実行されることを確認する必要があります。
Jest などのテストフレームワークを使用する場合は、flushPromises()
を使用して、onMounted
内の非同期処理が完了するのを待つことができます。
“`javascript
import { mount } from ‘@vue/test-utils’
import MyComponent from ‘./MyComponent.vue’
import { flushPromises } from ‘@vue/test-utils’
describe(‘MyComponent’, () => {
it(‘should fetch data on mount’, async () => {
global.fetch = jest.fn(() =>
Promise.resolve({
json: () => Promise.resolve({ id: 1, title: ‘Test’ })
})
)
const wrapper = mount(MyComponent)
await flushPromises() // 非同期処理の完了を待つ
expect(wrapper.text()).toContain('Data: { id: 1, title: "Test" }')
})
})
“`
5. onMounted
とその他のライフサイクルフック
onMounted
は、他のライフサイクルフックと連携することで、より複雑なコンポーネントのロジックを実装できます。
5.1 onBeforeMount
との違い
onBeforeMount
は、コンポーネントがDOMにマウントされる前に実行されるライフサイクルフックです。onMounted
との違いは、onBeforeMount
ではまだDOMにアクセスできない点です。
onBeforeMount
は、コンポーネントがマウントされる前に必要な初期化処理を行うのに適しています。
5.2 onUpdated
との連携
onUpdated
は、コンポーネントが再レンダリングされた後に実行されるライフサイクルフックです。onMounted
と onUpdated
を連携させることで、コンポーネントの初期表示時と更新時に異なる処理を実行できます。
5.3 onUnmounted
との組み合わせ
onUnmounted
は、コンポーネントがアンマウントされる直前に実行されるライフサイクルフックです。onMounted
と onUnmounted
を組み合わせることで、コンポーネントのライフサイクル全体にわたる処理を管理できます。
例えば、onMounted
でイベントリスナーを登録し、onUnmounted
でイベントリスナーを解除することで、メモリリークを防止できます。
6. onMounted
をより深く理解するために
onMounted
をより深く理解するためには、Vue 3 のリアクティブシステム、コンポーネントのレンダリングプロセス、Composition API の設計思想を理解することが重要です。
6.1 Vue 3 のリアクティブシステム
Vue 3 のリアクティブシステムは、コンポーネントの状態の変化を検知し、自動的にUIを更新する仕組みです。onMounted
は、リアクティブデータにアクセスすることで、コンポーネントの状態に応じて初期化処理を制御できます。
6.2 コンポーネントのレンダリングプロセス
コンポーネントのレンダリングプロセスは、コンポーネントのテンプレートを解析し、仮想DOMを生成し、実際のDOMに反映するプロセスです。onMounted
は、コンポーネントがDOMにマウントされた後に実行されるため、DOM操作を行うのに適しています。
6.3 Composition API の設計思想
Composition API は、コンポーネントのロジックを整理し、再利用性を高めるための設計思想に基づいています。onMounted
は、setup
関数内で定義されるため、リアクティブデータや他の関数と同じスコープでアクセスできます。これにより、コンポーネントのロジックをより柔軟に整理し、再利用性を高めることができます。
7. まとめ:onMounted
を使いこなして Vue 3 開発をレベルアップ
この記事では、Vue 3 の onMounted
ライフサイクルフックについて、基本的な使い方から活用例、そして注意点までを徹底的に解説しました。
onMounted
は、コンポーネントがDOMにマウントされた直後に実行されるライフサイクルフックであり、DOM操作、外部ライブラリとの連携、API リクエストなど、さまざまな場面で活用できます。
Composition API では、onMounted
を setup
関数内で定義することで、リアクティブデータや他の関数と同じスコープでアクセスできます。これにより、コンポーネントのロジックをより柔軟に整理し、再利用性を高めることができます。
onMounted
を使いこなすことで、より効率的でメンテナンス性の高い Vue 3 コンポーネントを開発し、Vue 3 開発をレベルアップさせることができます。ぜひこの記事で得た知識を活かして、より素晴らしい Vue 3 アプリケーションを開発してください。