Qt Quick Effects (Qt QE) の高度な活用方法

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Qt Quick Effects (Qt QE) の高度な活用方法

Qt Quick Effects（以下Qt QE）は、Qt Quickアプリケーションに視覚的な効果を簡単に追加できるモジュールです。影、ぼかし、色調整、変形など、豊富なエフェクトをQMLコードから直接適用できるため、アプリケーションのUIをより魅力的に、よりインタラクティブにすることができます。本記事では、Qt QEの基本的な使用法から、パフォーマンス最適化、カスタムエフェクト作成、複雑なアニメーションとの組み合わせなど、より高度な活用方法までを網羅的に解説します。

目次

  1. Qt Quick Effectsの概要
    • 1.1 Qt QEの目的と利点
    • 1.2 含まれるエフェクトの種類
    • 1.3 必要な環境と設定
  2. 基本的なエフェクトの適用
    • 2.1 Shadow
    • 2.2 Glow
    • 2.3 Blur
    • 2.4 Colorize
    • 2.5 OpacityMask
    • 2.6 InnerShadow
  3. エフェクトのプロパティとバインディング
    • 3.1 プロパティの動的な変更
    • 3.2 バインディングによる自動更新
    • 3.3 エフェクトの有効/無効の切り替え
  4. パフォーマンス最適化
    • 4.1 効果範囲の絞り込み
    • 4.2 エフェクトのキャッシュの利用
    • 4.3 必要最小限のエフェクトの使用
    • 4.4 ハードウェアアクセラレーションの確認
  5. カスタムエフェクトの作成
    • 5.1 Qt Shader Effectsの概要
    • 5.2 シェーダ言語 (GLSL) の基礎
    • 5.3 カスタムエフェクトの実装例
      • 5.3.1 セピア調エフェクト
      • 5.3.2 輪郭抽出エフェクト
      • 5.3.3 モザイクエフェクト
  6. アニメーションとの連携
    • 6.1 PropertyAnimationによる簡単なアニメーション
    • 6.2 AnimationControllerによる複雑なアニメーション制御
    • 6.3 Transitionによる画面遷移エフェクト
    • 6.4 Stateによる状態変化とエフェクトの連携
  7. 高度なテクニック
    • 7.1 エフェクトの組み合わせ
    • 7.2 マスクを利用したエフェクトの適用範囲限定
    • 7.3 複数のアイテムに対する同一エフェクトの適用
    • 7.4 JavaScriptとの連携
  8. トラブルシューティング
    • 8.1 エフェクトが表示されない場合の対処法
    • 8.2 パフォーマンス問題の特定と解決
    • 8.3 プラットフォームごとの差異への対応
  9. 実践的な応用例
    • 9.1 インタラクティブなボタンエフェクト
    • 9.2 視覚的に魅力的なリストビュー
    • 9.3 データ可視化におけるエフェクトの利用
    • 9.4 ゲームUIへの応用
  10. まとめと今後の展望

1. Qt Quick Effectsの概要

1.1 Qt QEの目的と利点

Qt QEは、Qt QuickのUIに視覚的な効果を簡単に付加することを目的としています。これにより、開発者は複雑なグラフィックス処理を自身で実装することなく、以下の利点を享受できます。

  • UIの表現力向上: 影、ぼかし、色調整などのエフェクトにより、UIのデザインをより洗練させ、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。
  • 開発効率の向上: 既存のエフェクトを組み合わせることで、高度な視覚効果を迅速に実現できます。
  • 保守性の向上: エフェクトはQMLコードで宣言的に記述されるため、コードの可読性が高く、保守が容易になります。
  • クロスプラットフォーム対応: Qt Quickの恩恵を受け、様々なプラットフォームで一貫した視覚効果を実現できます。

1.2 含まれるエフェクトの種類

Qt QEには、様々な目的に応じたエフェクトが用意されています。主なエフェクトの種類は以下の通りです。

  • Shadow: オブジェクトの背面に影を生成します。
  • Glow: オブジェクトの周囲に光彩を生成します。
  • Blur: オブジェクトをぼかします。
  • Colorize: オブジェクトの色を調整します。
  • OpacityMask: オブジェクトの透明度を、別のイメージやアイテムに基づいて制御します。
  • InnerShadow: オブジェクトの内側に影を生成します。

これらのエフェクトは、QMLコード内で簡単に組み合わせて使用することができます。

1.3 必要な環境と設定

Qt QEを使用するには、Qt SDKがインストールされている必要があります。 Qt Creatorを使用している場合は、プロジェクトファイル(.pro)に以下の行を追加し、モジュールをインポートします。

qmake
QT += quick quickcontrols2 declarative

または、CMakeを使用している場合は、CMakeLists.txtに以下の行を追加します。

cmake
find_package(Qt6 REQUIRED COMPONENTS Quick QuickControls2)
target_link_libraries(${PROJECT_NAME} Qt::Quick Qt::QuickControls2)

また、QMLファイル内でエフェクトを使用するには、以下のようにインポートする必要があります。

qml
import QtQuick.Effects 1.0

2. 基本的なエフェクトの適用

このセクションでは、Qt QEに含まれる基本的なエフェクトの使用方法を解説します。

2.1 Shadow

Shadowエフェクトは、オブジェクトの背面に影を生成します。

“`qml
import QtQuick 2.0
import QtQuick.Controls 2.0
import QtQuick.Effects 1.0

Rectangle {
width: 200
height: 100
color: “lightblue”

Shadow {
    anchors.fill: parent
    blurRadius: 10
    distance: 5
    color: "black"
    opacity: 0.5
}

Text {
    anchors.centerIn: parent
    text: "Shadow Example"
    color: "white"
}

}
“`

この例では、Rectangleの背面に影が生成されます。blurRadiusは影のぼかし具合、distanceは影のオフセット、colorは影の色、opacityは影の透明度をそれぞれ制御します。

2.2 Glow

Glowエフェクトは、オブジェクトの周囲に光彩を生成します。

“`qml
import QtQuick 2.0
import QtQuick.Controls 2.0
import QtQuick.Effects 1.0

Rectangle {
width: 200
height: 100
color: “darkblue”

Glow {
    anchors.fill: parent
    blurRadius: 20
    samples: 17
    color: "lightskyblue"
    opacity: 0.8
}

Text {
    anchors.centerIn: parent
    text: "Glow Example"
    color: "white"
}

}
“`

この例では、Rectangleの周囲に青色の光彩が生成されます。blurRadiusは光彩のぼかし具合、samplesは光彩のサンプル数（多いほど高品質）、colorは光彩の色、opacityは光彩の透明度をそれぞれ制御します。

2.3 Blur

Blurエフェクトは、オブジェクトをぼかします。

“`qml
import QtQuick 2.0
import QtQuick.Controls 2.0
import QtQuick.Effects 1.0

Image {
width: 200
height: 200
source: “image.png” // 画像ファイルを指定

Blur {
    anchors.fill: parent
    radius: 10
}

}
“`

この例では、Imageに表示される画像がぼかされます。radiusはぼかしの強度を制御します。

2.4 Colorize

Colorizeエフェクトは、オブジェクトの色を調整します。

“`qml
import QtQuick 2.0
import QtQuick.Controls 2.0
import QtQuick.Effects 1.0

Rectangle {
width: 200
height: 100
color: “white”

Colorize {
    anchors.fill: parent
    hue: 180  // 色相
    saturation: 0.5 // 彩度
    lightness: 0.2 // 明度
}

Text {
    anchors.centerIn: parent
    text: "Colorize Example"
    color: "black"
}

}
“`

この例では、Rectangleの色が調整されます。hueは色相、saturationは彩度、lightnessは明度をそれぞれ制御します。

2.5 OpacityMask

OpacityMaskエフェクトは、オブジェクトの透明度を、別のイメージやアイテムに基づいて制御します。

“`qml
import QtQuick 2.0
import QtQuick.Controls 2.0
import QtQuick.Effects 1.0

Rectangle {
width: 200
height: 200
color: “red”

OpacityMask {
    anchors.fill: parent
    source: Image { source: "mask.png" } // マスク画像を指定
}

}
“`

この例では、Rectangleの透明度が、mask.png画像の輝度値に基づいて制御されます。画像の明るい部分は不透明になり、暗い部分は透明になります。sourceプロパティには、Imageだけでなく、任意のItemを指定できます。

2.6 InnerShadow

InnerShadowエフェクトは、オブジェクトの内側に影を生成します。

“`qml
import QtQuick 2.0
import QtQuick.Controls 2.0
import QtQuick.Effects 1.0

Rectangle {
width: 200
height: 100
color: “lightblue”

InnerShadow {
    anchors.fill: parent
    blurRadius: 10
    distance: 5
    color: "black"
    opacity: 0.5
}

Text {
    anchors.centerIn: parent
    text: "InnerShadow Example"
    color: "white"
}

}
“`

この例では、Rectangleの内側に影が生成されます。blurRadiusは影のぼかし具合、distanceは影のオフセット、colorは影の色、opacityは影の透明度をそれぞれ制御します。

3. エフェクトのプロパティとバインディング

3.1 プロパティの動的な変更

エフェクトのプロパティは、QMLのプロパティバインディングやJavaScriptコードを使用して動的に変更できます。これにより、ユーザーの操作に応じてエフェクトを変化させたり、アニメーションを作成したりすることができます。

“`qml
import QtQuick 2.0
import QtQuick.Controls 2.0
import QtQuick.Effects 1.0

Rectangle {
width: 200
height: 100
color: “lightblue”

property real blurValue: 0

Blur {
    anchors.fill: parent
    radius: blurValue
}

Slider {
    width: 200
    anchors.bottom: parent.bottom
    value: blurValue
    onValueChanged: blurValue = value
}

Text {
    anchors.centerIn: parent
    text: "Blur Value: " + blurValue.toFixed(1)
    color: "white"
}

}
“`

この例では、Sliderの値を変更することで、Blurエフェクトのradiusプロパティが動的に変化します。

3.2 バインディングによる自動更新

プロパティバインディングを使用すると、エフェクトのプロパティを他のアイテムのプロパティに自動的に同期させることができます。

“`qml
import QtQuick 2.0
import QtQuick.Controls 2.0
import QtQuick.Effects 1.0

Rectangle {
width: 200
height: 100
color: “lightblue”

property real opacityValue: 0.5

Shadow {
    anchors.fill: parent
    blurRadius: 10
    distance: 5
    color: "black"
    opacity: opacityValue
}

Button {
    anchors.bottom: parent.bottom
    text: "Toggle Opacity"
    onClicked: opacityValue = (opacityValue === 0.5) ? 1.0 : 0.5
}

Text {
    anchors.centerIn: parent
    text: "Opacity: " + opacityValue
    color: "white"
}

}
“`

この例では、Buttonをクリックすることで、ShadowエフェクトのopacityプロパティがopacityValueプロパティに基づいて自動的に更新されます。

3.3 エフェクトの有効/無効の切り替え

enabledプロパティを使用すると、エフェクトの有効/無効を簡単に切り替えることができます。

“`qml
import QtQuick 2.0
import QtQuick.Controls 2.0
import QtQuick.Effects 1.0

Rectangle {
width: 200
height: 100
color: “lightblue”

property bool blurEnabled: true

Blur {
    anchors.fill: parent
    radius: 10
    enabled: blurEnabled
}

Button {
    anchors.bottom: parent.bottom
    text: "Toggle Blur"
    onClicked: blurEnabled = !blurEnabled
}

Text {
    anchors.centerIn: parent
    text: "Blur Enabled: " + blurEnabled
    color: "white"
}

}
“`

この例では、Buttonをクリックすることで、Blurエフェクトのenabledプロパティが切り替わり、ぼかし効果の有効/無効が切り替わります。

4. パフォーマンス最適化

Qt QEを使用する際には、パフォーマンスに注意する必要があります。特に、複雑なエフェクトや複数のエフェクトを重ねて使用する場合は、パフォーマンスが低下する可能性があります。以下の方法でパフォーマンスを最適化することができます。

4.1 効果範囲の絞り込み

エフェクトの適用範囲を可能な限り絞り込むことで、処理負荷を軽減できます。例えば、影を適用する範囲を、オブジェクト全体ではなく、必要な部分だけに限定することができます。anchorsプロパティを使用して、エフェクトのサイズと位置を調整します。

4.2 エフェクトのキャッシュの利用

cache: trueプロパティを設定すると、エフェクトの結果がキャッシュされるため、再描画時に同じ処理を繰り返す必要がなくなります。ただし、キャッシュされた内容は変更されないため、動的に変化するエフェクトには適していません。

qml
Blur {
anchors.fill: parent
radius: 10
cache: true // エフェクトの結果をキャッシュする
}

4.3 必要最小限のエフェクトの使用

必要なエフェクトのみを使用し、不要なエフェクトは削除することで、処理負荷を軽減できます。また、エフェクトのプロパティ値を適切に設定し、過剰な品質設定を避けることも重要です。例えば、blurRadiusを必要以上に大きく設定しないようにします。

4.4 ハードウェアアクセラレーションの確認

Qt Quickは、デフォルトでハードウェアアクセラレーションを利用しますが、環境によっては無効になっている場合があります。Qt Quickのシーングラフがハードウェアアクセラレーションを使用しているかどうかを確認するには、環境変数QSG_RENDERER_DEBUG=1を設定してアプリケーションを実行し、コンソール出力を確認します。ハードウェアアクセラレーションが無効になっている場合は、グラフィックドライバを更新するか、Qtの設定を見直す必要があります。

5. カスタムエフェクトの作成

Qt QEに用意されているエフェクトだけでは実現できない特殊な視覚効果が必要な場合は、Qt Shader Effectsを使用してカスタムエフェクトを作成することができます。

5.1 Qt Shader Effectsの概要

Qt Shader Effectsは、OpenGL Shading Language (GLSL) を使用してカスタムエフェクトを作成するためのフレームワークです。これにより、ピクセル単位の高度なグラフィックス処理を実装することができます。カスタムエフェクトは、QMLコードからQt QEのエフェクトと同様に使用することができます。

5.2 シェーダ言語 (GLSL) の基礎

GLSLは、OpenGLで使用されるシェーダプログラムを記述するための言語です。シェーダプログラムは、グラフィックスパイプラインの特定の段階で実行され、頂点やピクセルを処理します。カスタムエフェクトを作成するには、少なくともフラグメントシェーダ（ピクセルシェーダ）の基本的な知識が必要です。

フラグメントシェーダは、各ピクセルの色を決定するために実行されます。フラグメントシェーダの基本的な構造は以下の通りです。

“`glsl

version 330 core // GLSLのバージョン

in vec2 qt_TexCoord0; // テクスチャ座標
uniform sampler2D source; // 入力テクスチャ
out vec4 fragColor; // 出力色

void main() {
vec4 color = texture(source, qt_TexCoord0); // テクスチャから色を取得
fragColor = color; // 出力色を設定
}
“`

このシェーダは、入力テクスチャから色を取得し、そのまま出力色として設定します。つまり、何もエフェクトを適用していません。

5.3 カスタムエフェクトの実装例

5.3.1 セピア調エフェクト

セピア調エフェクトは、画像をセピア色に変換するエフェクトです。以下のGLSLコードを使用して実装できます。

“`glsl

version 330 core

in vec2 qt_TexCoord0;
uniform sampler2D source;
out vec4 fragColor;

void main() {
vec4 color = texture(source, qt_TexCoord0);
float gray = dot(color.rgb, vec3(0.299, 0.587, 0.114));
vec4 sepiaColor = vec4(gray * 0.8, gray * 0.6, gray * 0.4, color.a);
fragColor = sepiaColor;
}
“`

このシェーダは、まず入力色の輝度値を計算し、その輝度値に基づいてセピア色を生成します。

QMLコードでこのシェーダを使用するには、ShaderEffectアイテムを使用します。

“`qml
import QtQuick 2.0
import QtQuick.Controls 2.0
import QtQuick.Effects 1.0
import QtGraphicalEffects 1.0

Image {
width: 200
height: 200
source: “image.png”

ShaderEffect {
    anchors.fill: parent
    fragmentShader: "
        #version 330 core

        in vec2 qt_TexCoord0;
        uniform sampler2D source;
        out vec4 fragColor;

        void main() {
            vec4 color = texture(source, qt_TexCoord0);
            float gray = dot(color.rgb, vec3(0.299, 0.587, 0.114));
            vec4 sepiaColor = vec4(gray * 0.8, gray * 0.6, gray * 0.4, color.a);
            fragColor = sepiaColor;
        }
    "
}

}
“`

5.3.2 輪郭抽出エフェクト

輪郭抽出エフェクトは、画像の輪郭を強調するエフェクトです。以下のGLSLコードを使用して実装できます。

“`glsl

version 330 core

in vec2 qt_TexCoord0;
uniform sampler2D source;
uniform float pixelSize;
out vec4 fragColor;

void main() {
vec4 centerColor = texture(source, qt_TexCoord0);
vec4 offsetX = texture(source, qt_TexCoord0 + vec2(pixelSize, 0.0));
vec4 offsetY = texture(source, qt_TexCoord0 + vec2(0.0, pixelSize));

float diffX = length(centerColor.rgb - offsetX.rgb);
float diffY = length(centerColor.rgb - offsetY.rgb);

float edge = diffX + diffY;

fragColor = vec4(edge, edge, edge, 1.0);

}
“`

このシェーダは、現在のピクセルとその隣接するピクセルの色の差を計算し、その差が大きい場合に輪郭と判定します。pixelSizeuniformは、隣接するピクセルの距離を制御します。

QMLコードは以下のようになります。

“`qml
import QtQuick 2.0
import QtQuick.Controls 2.0
import QtQuick.Effects 1.0
import QtGraphicalEffects 1.0

Image {
width: 200
height: 200
source: “image.png”

ShaderEffect {
    anchors.fill: parent
    property real pixelSize: 1.0 / 200.0 // 画像サイズに合わせて調整
    fragmentShader: "
        #version 330 core

        in vec2 qt_TexCoord0;
        uniform sampler2D source;
        uniform float pixelSize;
        out vec4 fragColor;

        void main() {
            vec4 centerColor = texture(source, qt_TexCoord0);
            vec4 offsetX = texture(source, qt_TexCoord0 + vec2(pixelSize, 0.0));
            vec4 offsetY = texture(source, qt_TexCoord0 + vec2(0.0, pixelSize));

            float diffX = length(centerColor.rgb - offsetX.rgb);
            float diffY = length(centerColor.rgb - offsetY.rgb);

            float edge = diffX + diffY;

            fragColor = vec4(edge, edge, edge, 1.0);
        }
    "
}

}
“`

5.3.3 モザイクエフェクト

モザイクエフェクトは、画像をモザイク状に分割するエフェクトです。以下のGLSLコードを使用して実装できます。

“`glsl

version 330 core

in vec2 qt_TexCoord0;
uniform sampler2D source;
uniform float mosaicSize;
out vec4 fragColor;

void main() {
vec2 mosaicCoord = floor(qt_TexCoord0 / mosaicSize) * mosaicSize;
fragColor = texture(source, mosaicCoord + mosaicSize / 2.0);
}
“`

このシェーダは、現在のピクセル座標をモザイクサイズで割り、その結果を切り捨てることで、モザイクの中心座標を計算します。そして、その中心座標の色を現在のピクセルの色として設定します。mosaicSizeuniformは、モザイクのサイズを制御します。

QMLコードは以下のようになります。

“`qml
import QtQuick 2.0
import QtQuick.Controls 2.0
import QtQuick.Effects 1.0
import QtGraphicalEffects 1.0

Image {
width: 200
height: 200
source: “image.png”

ShaderEffect {
    anchors.fill: parent
    property real mosaicSize: 0.05 // モザイクサイズを調整
    fragmentShader: "
        #version 330 core

        in vec2 qt_TexCoord0;
        uniform sampler2D source;
        uniform float mosaicSize;
        out vec4 fragColor;

        void main() {
            vec2 mosaicCoord = floor(qt_TexCoord0 / mosaicSize) * mosaicSize;
            fragColor = texture(source, mosaicCoord + mosaicSize / 2.0);
        }
    "
}

}
“`

これらの例は、カスタムエフェクト作成のほんの一例です。GLSLを理解し、様々なテクニックを組み合わせることで、より複雑で高度なエフェクトを作成することができます。

6. アニメーションとの連携

Qt QEのエフェクトは、アニメーションと組み合わせることで、よりダイナミックでインタラクティブなUIを実現できます。

6.1 PropertyAnimationによる簡単なアニメーション

PropertyAnimationを使用すると、エフェクトのプロパティを時間経過とともに変化させることができます。

“`qml
import QtQuick 2.0
import QtQuick.Controls 2.0
import QtQuick.Effects 1.0

Rectangle {
width: 200
height: 100
color: “lightblue”

Blur {
    id: blurEffect
    anchors.fill: parent
    radius: 0
}

MouseArea {
    anchors.fill: parent
    onClicked: {
        blurAnimation.start()
    }
}

PropertyAnimation {
    id: blurAnimation
    target: blurEffect
    property: "radius"
    from: 0
    to: 20
    duration: 1000
}

Text {
    anchors.centerIn: parent
    text: "Click to Blur"
    color: "white"
}

}
“`

この例では、Rectangleをクリックすると、Blurエフェクトのradiusプロパティが0から20まで1秒かけてアニメーションします。

6.2 AnimationControllerによる複雑なアニメーション制御

AnimationControllerを使用すると、複数のアニメーションを組み合わせて、より複雑なアニメーションシーケンスを作成できます。

“`qml
import QtQuick 2.0
import QtQuick.Controls 2.0
import QtQuick.Effects 1.0

Rectangle {
width: 200
height: 100
color: “lightblue”

Shadow {
    id: shadowEffect
    anchors.fill: parent
    blurRadius: 0
    distance: 0
}

AnimationController {
    id: animationController
    running: true
    SequentialAnimation {
        NumberAnimation { target: shadowEffect; property: "blurRadius"; to: 10; duration: 500 }
        NumberAnimation { target: shadowEffect; property: "distance"; to: 5; duration: 500 }
        PauseAnimation { duration: 500 }
        NumberAnimation { target: shadowEffect; property: "blurRadius"; to: 0; duration: 500 }
        NumberAnimation { target: shadowEffect; property: "distance"; to: 0; duration: 500 }
        PauseAnimation { duration: 500 }
        loops: Animation.Infinite
    }
}

Text {
    anchors.centerIn: parent
    text: "Animating Shadow"
    color: "white"
}

}
“`

この例では、ShadowエフェクトのblurRadiusとdistanceプロパティが、AnimationControllerによって制御されるアニメーションシーケンスに従って変化します。

6.3 Transitionによる画面遷移エフェクト

Transitionを使用すると、画面遷移時にエフェクトを適用することができます。

“`qml
import QtQuick 2.0
import QtQuick.Controls 2.0
import QtQuick.Effects 1.0

StackView {
id: stackView
anchors.fill: parent

initialItem: Page {
    title: "Page 1"
    Button {
        text: "Go to Page 2"
        onClicked: stackView.push(page2)
    }
}

Component {
    id: page2
    Page {
        title: "Page 2"
    }
}

transitions: Transition {
    NumberAnimation { property: "opacity"; from: 0; to: 1; duration: 500 }
}

}

Component {
id: Page
Item {
width: stackView.width
height: stackView.height
property string title
Rectangle {
anchors.fill: parent
color: “lightgray”
Text {
anchors.centerIn: parent
text: title
font.pixelSize: 24
}
}
}
}
“`

この例では、StackViewで画面遷移を行う際に、新しいページのopacityプロパティが0から1まで0.5秒かけてアニメーションします。

6.4 Stateによる状態変化とエフェクトの連携

Stateを使用すると、アプリケーションの状態に応じてエフェクトを変化させることができます。

“`qml
import QtQuick 2.0
import QtQuick.Controls 2.0
import QtQuick.Effects 1.0

Rectangle {
width: 200
height: 100
color: “lightblue”

Blur {
    id: blurEffect
    anchors.fill: parent
    radius: 0
}

MouseArea {
    anchors.fill: parent
    hoverEnabled: true
    onEntered: state = "hovered"
    onExited: state = ""
}

states: [
    State {
        name: "hovered"
        PropertyChanges { target: blurEffect; radius: 10 }
    }
]

Text {
    anchors.centerIn: parent
    text: "Hover Me"
    color: "white"
}

}
“`

この例では、Rectangleにマウスカーソルがホバーすると、Blurエフェクトのradiusプロパティが10に変化します。

7. 高度なテクニック

7.1 エフェクトの組み合わせ

複数のエフェクトを組み合わせることで、より複雑でユニークな視覚効果を作成できます。

“`qml
import QtQuick 2.0
import QtQuick.Controls 2.0
import QtQuick.Effects 1.0

Rectangle {
width: 200
height: 100
color: “lightblue”

Shadow {
    anchors.fill: parent
    blurRadius: 10
    distance: 5
    color: "black"
    opacity: 0.5

    Glow {
        anchors.fill: parent
        blurRadius: 20
        samples: 17
        color: "lightskyblue"
        opacity: 0.8
    }
}

Text {
    anchors.centerIn: parent
    text: "Combined Effects"
    color: "white"
}

}
“`

この例では、ShadowエフェクトとGlowエフェクトを組み合わせることで、より立体的な影と光彩を表現しています。

7.2 マスクを利用したエフェクトの適用範囲限定

OpacityMaskエフェクトを使用すると、別のアイテムをマスクとして使用して、エフェクトの適用範囲を限定することができます。

“`qml
import QtQuick 2.0
import QtQuick.Controls 2.0
import QtQuick.Effects 1.0

Rectangle {
width: 200
height: 200
color: “red”

OpacityMask {
    anchors.fill: parent
    source: Text {
        text: "Mask"
        font.pixelSize: 48
        color: "white"
        anchors.centerIn: parent
    }

    Blur {
        anchors.fill: parent
        radius: 10
    }
}

}
“`

この例では、Textアイテムをマスクとして使用して、BlurエフェクトがTextの形状にのみ適用されます。

7.3 複数のアイテムに対する同一エフェクトの適用

RepeaterやListViewなどのアイテムを使用して複数のアイテムを生成する場合、それぞれのアイテムに同じエフェクトを適用することができます。

“`qml
import QtQuick 2.0
import QtQuick.Controls 2.0
import QtQuick.Effects 1.0

ListView {
width: 200
height: 200
model: [“Item 1”, “Item 2”, “Item 3”]
delegate: Rectangle {
width: 200
height: 50
color: “white”

    Shadow {
        anchors.fill: parent
        blurRadius: 5
        distance: 2
        color: "black"
        opacity: 0.3
    }

    Text {
        anchors.centerIn: parent
        text: modelData
    }
}

}
“`

この例では、ListViewの各アイテムにShadowエフェクトが適用されます。

7.4 JavaScriptとの連携

JavaScriptを使用して、エフェクトのプロパティを動的に変更したり、複雑なアニメーションを制御したりすることができます。

“`qml
import QtQuick 2.0
import QtQuick.Controls 2.0
import QtQuick.Effects 1.0

Rectangle {
width: 200
height: 100
color: “lightblue”

property real blurValue: 0

Blur {
    id: blurEffect
    anchors.fill: parent
    radius: blurValue
}

Button {
    anchors.bottom: parent.bottom
    text: "Animate Blur"
    onClicked: {
        animateBlur(20, 1000); // JavaScript関数を呼び出す
    }
}

function animateBlur(targetValue, duration) {
    Qt.createQmlObject('
        PropertyAnimation {
            target: blurEffect;
            property: "radius";
            to: ' + targetValue + ';
            duration: ' + duration + ';
            onStopped: destroy(); // アニメーション終了後にオブジェクトを破棄
        }
    ', parent).start();
}

Text {
    anchors.centerIn: parent
    text: "Blur Value: " + blurValue.toFixed(1)
    color: "white"
}

}
“`

この例では、animateBlurというJavaScript関数を定義し、Buttonのクリック時にその関数を呼び出して、Blurエフェクトのradiusプロパティをアニメーションさせています。Qt.createQmlObjectを使用することで、JavaScriptから動的にQMLオブジェクトを作成することができます。

8. トラブルシューティング

8.1 エフェクトが表示されない場合の対処法

  • モジュールが正しくインポートされているか確認: QMLファイルでimport QtQuick.Effects 1.0が記述されているか確認してください。
  • エフェクトのプロパティ値が適切か確認: radiusやopacityなどのプロパティが適切な値に設定されているか確認してください。
  • ハードウェアアクセラレーションが有効になっているか確認: 環境変数QSG_RENDERER_DEBUG=1を設定してアプリケーションを実行し、コンソール

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