【初心者向け】SaaSとは?導入のメリット・デメリットを徹底解説
近年、ビジネスシーンでよく耳にするようになった「SaaS(サース)」という言葉。クラウドサービスの一種であることは知っていても、具体的な内容や導入によるメリット・デメリットまで詳しく理解している人は、まだ少ないかもしれません。
この記事では、SaaSについて初心者の方にもわかりやすく解説します。SaaSの基本的な概念から、導入のメリット・デメリット、具体的な事例、選定ポイント、そして未来の展望まで、SaaSに関するあらゆる情報を網羅的に解説します。この記事を読めば、SaaSの全体像を把握し、自社への導入を検討する際の判断材料として役立てていただけるでしょう。
目次
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SaaSとは?基本的な概念を理解する
- 1.1 SaaSの定義と仕組み
- 1.2 クラウドサービスの種類:IaaS、PaaSとの違い
- 1.3 オンプレミスとの比較:SaaSを選ぶ理由
- 1.4 SaaSの利用形態:サブスクリプションモデルとは?
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SaaS導入のメリット:ビジネスを加速させる力
- 2.1 コスト削減:初期費用・運用コストの抑制
- 2.2 スピード:迅速な導入と利用開始
- 2.3 スケーラビリティ:柔軟な拡張性
- 2.4 アクセシビリティ:場所と時間を選ばない利用
- 2.5 アップデート:常に最新バージョンを利用可能
- 2.6 コラボレーション:チームワークの向上
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SaaS導入のデメリット:注意すべき点
- 3.1 セキュリティ:情報漏洩のリスク
- 3.2 カスタマイズ性:自由度の制約
- 3.3 依存性:ベンダーロックインのリスク
- 3.4 ネットワーク環境:インターネット接続の必要性
- 3.5 データ管理:データ所有権と管理体制
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SaaSの具体的な事例:多様な活用シーン
- 4.1 CRM(顧客関係管理):Salesforce、Zoho CRM
- 4.2 SFA(営業支援システム):Salesforce Sales Cloud、Senses
- 4.3 MA(マーケティングオートメーション):Marketo、HubSpot
- 4.4 ERP(基幹業務システム):NetSuite、freee ERP
- 4.5 グループウェア:Microsoft 365、Google Workspace
- 4.6 コミュニケーションツール:Slack、Microsoft Teams
- 4.7 人事・労務管理:SmartHR、人事労務freee
- 4.8 会計ソフト:freee会計、MFクラウド会計
- 4.9 その他:プロジェクト管理、コンテンツ管理など
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SaaS選定のポイント:最適なサービスを見つけるために
- 5.1 目的の明確化:導入目的と要件定義
- 5.2 機能:必要な機能の洗い出しと比較検討
- 5.3 セキュリティ:セキュリティ対策の確認
- 5.4 費用:料金体系と総コストの把握
- 5.5 サポート:ベンダーのサポート体制
- 5.6 導入実績:導入事例と評判の確認
- 5.7 無料トライアル:実際に試して使用感を確認
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SaaS導入のステップ:スムーズな導入のために
- 6.1 計画:導入計画の策定
- 6.2 準備:データ移行と初期設定
- 6.3 実行:導入とテスト
- 6.4 運用:利用開始と効果測定
- 6.5 改善:継続的な改善と最適化
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SaaSの未来:進化し続けるクラウドサービス
- 7.1 AIとの連携:より高度な自動化と予測分析
- 7.2 ローコード/ノーコード:開発の民主化
- 7.3 エッジコンピューティング:リアルタイム処理の実現
- 7.4 セキュリティ強化:ゼロトラストモデルの普及
- 7.5 バーティカルSaaS:特定業界に特化したSaaSの増加
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まとめ:SaaS導入を成功させるために
1. SaaSとは?基本的な概念を理解する
SaaS(Software as a Service)は、インターネットを通じてソフトウェアを提供するクラウドサービスの一種です。従来のソフトウェアの利用方法とは異なり、ユーザーはソフトウェアを自身のコンピューターにインストールする必要がなく、インターネットに接続できる環境があれば、どこからでもソフトウェアを利用できます。
1.1 SaaSの定義と仕組み
SaaSは、ソフトウェアをサービスとして提供する形態であり、ユーザーは必要な時に必要な分だけソフトウェアを利用できます。プロバイダー(SaaSベンダー)がソフトウェアのインフラ、プラットフォーム、アプリケーションをすべて管理・運用するため、ユーザーはソフトウェアのメンテナンスやアップデートの手間を省くことができます。
SaaSの仕組みは、簡単に言うと、プロバイダーが用意したサーバー上にソフトウェアを設置し、ユーザーがインターネット経由でそのソフトウェアにアクセスして利用するというものです。ユーザーは、Webブラウザや専用のアプリケーションを通じてソフトウェアを利用し、プロバイダーがサーバーの管理、セキュリティ対策、アップデートなどをすべて行います。
1.2 クラウドサービスの種類:IaaS、PaaSとの違い
SaaSはクラウドサービスの一種ですが、IaaS(Infrastructure as a Service)やPaaS(Platform as a Service)といった他のクラウドサービスとは異なります。それぞれの違いを理解することで、自社のニーズに最適なクラウドサービスを選択することができます。
- IaaS(Infrastructure as a Service): 仮想サーバー、ストレージ、ネットワークなどのインフラを提供するサービスです。ユーザーはインフラを自由に構築・管理できますが、OSやミドルウェア、アプリケーションなどは自身で管理する必要があります。代表的なIaaSとして、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)などがあります。
- PaaS(Platform as a Service): アプリケーション開発に必要なプラットフォーム(OS、ミドルウェア、データベースなど)を提供するサービスです。ユーザーはアプリケーションの開発・実行に集中できますが、プラットフォームの管理はプロバイダーが行います。代表的なPaaSとして、Google App Engine、Herokuなどがあります。
- SaaS(Software as a Service): ソフトウェアそのものを提供するサービスです。ユーザーはソフトウェアを利用することに集中でき、インフラやプラットフォーム、アプリケーションの管理はプロバイダーが行います。代表的なSaaSとして、Salesforce、Microsoft 365、Google Workspaceなどがあります。
これらのクラウドサービスの違いを図で表すと以下のようになります。
項目 | IaaS | PaaS | SaaS |
---|---|---|---|
提供範囲 | インフラ (サーバー、ストレージなど) | プラットフォーム (OS、ミドルウェアなど) | ソフトウェア (アプリケーション) |
管理責任 | ユーザー (一部プロバイダー) | ユーザー (一部プロバイダー) | プロバイダー |
自由度 | 高い | 中程度 | 低い |
利用例 | 仮想サーバー構築、データバックアップなど | アプリケーション開発、Webアプリケーション実行 | 顧客管理システム、メールサービス、グループウェア |
1.3 オンプレミスとの比較:SaaSを選ぶ理由
従来のソフトウェアの利用形態であるオンプレミスとは、ソフトウェアを自社のサーバーにインストールして利用する方法です。SaaSと比較して、オンプレミスには以下のような特徴があります。
- 導入コスト: 高額な初期費用(ソフトウェアライセンス購入費用、サーバー構築費用など)が必要
- 運用コスト: サーバーのメンテナンス費用、アップデート費用、セキュリティ対策費用などが継続的に発生
- 導入期間: ソフトウェアのインストールや設定に時間がかかる
- 拡張性: サーバーの増強が必要なため、柔軟な拡張が難しい
- 場所: 自社オフィス内でのみ利用可能
- アップデート: ユーザー自身でアップデートを行う必要あり
SaaSを選ぶ主な理由は、オンプレミスと比較してコスト削減、導入スピード、スケーラビリティ、アクセシビリティ、アップデートの容易さなど、多くのメリットがあるためです。特に中小企業やスタートアップ企業にとっては、初期費用を抑え、迅速にビジネスを開始できるSaaSのメリットは大きいと言えるでしょう。
1.4 SaaSの利用形態:サブスクリプションモデルとは?
SaaSの多くは、サブスクリプションモデルと呼ばれる料金体系を採用しています。サブスクリプションモデルとは、一定期間(月額、年額など)ごとに料金を支払うことで、ソフトウェアを利用できるというものです。
サブスクリプションモデルのメリットは、初期費用を抑えることができる点、必要な期間だけ利用できる点、常に最新バージョンを利用できる点などです。また、利用状況に応じてプランを変更できる場合が多く、柔軟な料金体系となっています。
従来のソフトウェアライセンス購入と比較して、サブスクリプションモデルは、利用期間や利用規模に応じて料金を調整できるため、コスト効率が良いと言えるでしょう。
2. SaaS導入のメリット:ビジネスを加速させる力
SaaS導入は、企業に多くのメリットをもたらし、ビジネスを加速させる力となります。主なメリットを詳しく見ていきましょう。
2.1 コスト削減:初期費用・運用コストの抑制
SaaS導入の最大のメリットの一つは、コスト削減です。オンプレミスと比較して、初期費用を大幅に抑えることができます。ソフトウェアライセンス購入費用、サーバー構築費用、インフラ構築費用などが不要になるためです。
また、運用コストも削減できます。サーバーのメンテナンス費用、アップデート費用、セキュリティ対策費用などはプロバイダーが負担するため、自社でのIT部門の負担を軽減できます。
2.2 スピード:迅速な導入と利用開始
SaaSは、インターネット経由でソフトウェアにアクセスできるため、迅速な導入が可能です。オンプレミスのようにソフトウェアのインストールや設定に時間をかける必要がなく、契約後すぐに利用を開始できます。
これにより、ビジネスチャンスを逃さず、迅速に新しいサービスや機能を提供することができます。特に競争の激しい現代ビジネスにおいて、スピードは重要な要素となります。
2.3 スケーラビリティ:柔軟な拡張性
SaaSは、利用状況に応じて柔軟に拡張できるというメリットがあります。ユーザー数や利用機能の増減に合わせて、プランを変更したり、必要な機能を追加したりすることができます。
オンプレミスのように、サーバーの増強やソフトウェアの再インストールなどの手間はかかりません。ビジネスの成長に合わせて、柔軟にスケールアップ・スケールダウンできることは、SaaSの大きな魅力です。
2.4 アクセシビリティ:場所と時間を選ばない利用
SaaSは、インターネットに接続できる環境があれば、どこからでもソフトウェアを利用できます。オフィスだけでなく、自宅や外出先からでもアクセスできるため、場所や時間にとらわれない働き方を実現できます。
これにより、従業員のワークライフバランスを向上させ、生産性を高めることができます。また、海外拠点や支店との連携も容易になります。
2.5 アップデート:常に最新バージョンを利用可能
SaaSは、プロバイダーが自動的にソフトウェアをアップデートするため、常に最新バージョンを利用できます。オンプレミスのように、ユーザー自身でアップデートを行う必要はありません。
これにより、常に最新の機能を利用できるだけでなく、セキュリティ脆弱性への対応も迅速に行われます。
2.6 コラボレーション:チームワークの向上
SaaSは、クラウド上でデータを共有し、リアルタイムで共同作業を行うことができるため、チームワークの向上に貢献します。ドキュメントの共有、プロジェクトの進捗管理、コミュニケーションなどを円滑に行うことができます。
これにより、チーム全体の生産性を高め、より効率的な働き方を実現できます。
3. SaaS導入のデメリット:注意すべき点
SaaS導入には多くのメリットがある一方で、注意すべき点もいくつか存在します。デメリットを理解した上で、自社にとって最適な導入方法を検討する必要があります。
3.1 セキュリティ:情報漏洩のリスク
SaaSは、データをクラウド上に保存するため、情報漏洩のリスクが懸念されます。プロバイダーのセキュリティ対策が不十分な場合や、ユーザー側のセキュリティ意識が低い場合、情報漏洩のリスクが高まります。
そのため、SaaSを選定する際には、プロバイダーのセキュリティ対策(暗号化、アクセス制御、監査ログなど)を十分に確認し、自社のセキュリティポリシーに合致しているかを確認する必要があります。また、従業員へのセキュリティ教育を徹底し、不正アクセスやマルウェア感染のリスクを低減する必要があります。
3.2 カスタマイズ性:自由度の制約
SaaSは、標準機能を利用することを前提としているため、オンプレミスと比較してカスタマイズ性が低いというデメリットがあります。自社の業務プロセスに合わせてソフトウェアを細かくカスタマイズしたい場合には、SaaSでは対応できない場合があります。
そのため、SaaSを選定する際には、自社の業務要件を洗い出し、SaaSの標準機能で対応できる範囲を確認する必要があります。また、API連携などの機能を利用することで、他のシステムとの連携を強化し、カスタマイズ性を補完することも可能です。
3.3 依存性:ベンダーロックインのリスク
SaaSは、プロバイダーのサービスに依存するため、ベンダーロックインのリスクが懸念されます。プロバイダーのサービスが停止した場合や、料金が大幅に値上げされた場合、ビジネスに大きな影響が出る可能性があります。
そのため、SaaSを選定する際には、プロバイダーの信頼性(実績、財務状況、サポート体制など)を十分に確認する必要があります。また、契約内容をしっかりと確認し、解約条件やデータ移行に関する条項を明確にしておくことが重要です。
3.4 ネットワーク環境:インターネット接続の必要性
SaaSは、インターネット経由でソフトウェアを利用するため、ネットワーク環境が必須となります。インターネット接続が不安定な場合や、通信速度が遅い場合、ソフトウェアの動作が遅延したり、利用できなくなる可能性があります。
そのため、SaaSを導入する際には、安定したインターネット回線を確保し、通信速度を確認する必要があります。また、オフライン環境でも利用できるSaaSを選択することも、リスクを軽減する一つの方法です。
3.5 データ管理:データ所有権と管理体制
SaaSは、データをプロバイダーのサーバーに保存するため、データ所有権や管理体制に関する懸念が生じる場合があります。データのバックアップやリカバリー、災害対策などがプロバイダーに依存するため、自社でデータを管理したい場合には不向きです。
そのため、SaaSを選定する際には、プロバイダーのデータ管理体制(バックアップポリシー、リカバリー手順、災害対策など)を十分に確認する必要があります。また、データの所有権に関する契約条項を明確にしておくことが重要です。
4. SaaSの具体的な事例:多様な活用シーン
SaaSは、様々な業種・業態で活用されており、多様なビジネスシーンで役立っています。具体的な事例を見ていきましょう。
4.1 CRM(顧客関係管理):Salesforce、Zoho CRM
CRM(Customer Relationship Management)は、顧客との関係を構築・維持するためのシステムです。顧客情報の一元管理、営業活動の支援、マーケティング活動の支援など、様々な機能を提供します。代表的なSaaS CRMとして、Salesforce、Zoho CRMなどがあります。
4.2 SFA(営業支援システム):Salesforce Sales Cloud、Senses
SFA(Sales Force Automation)は、営業活動を効率化するためのシステムです。顧客管理、商談管理、案件管理、売上予測など、営業担当者の業務を支援する機能を提供します。代表的なSaaS SFAとして、Salesforce Sales Cloud、Sensesなどがあります。
4.3 MA(マーケティングオートメーション):Marketo、HubSpot
MA(Marketing Automation)は、マーケティング活動を自動化するためのシステムです。メールマーケティング、リードナーチャリング、Webサイト分析など、マーケティング担当者の業務を支援する機能を提供します。代表的なSaaS MAとして、Marketo、HubSpotなどがあります。
4.4 ERP(基幹業務システム):NetSuite、freee ERP
ERP(Enterprise Resource Planning)は、企業の基幹業務(会計、人事、生産管理、販売管理など)を統合的に管理するシステムです。企業全体の業務効率化、経営判断の迅速化、内部統制の強化などに貢献します。代表的なSaaS ERPとして、NetSuite、freee ERPなどがあります。
4.5 グループウェア:Microsoft 365、Google Workspace
グループウェアは、チームでの情報共有やコミュニケーションを円滑にするためのシステムです。メール、スケジュール管理、ファイル共有、チャットなど、様々な機能を提供します。代表的なSaaSグループウェアとして、Microsoft 365、Google Workspaceなどがあります。
4.6 コミュニケーションツール:Slack、Microsoft Teams
コミュニケーションツールは、チーム内でのコミュニケーションを円滑にするためのシステムです。チャット、ビデオ会議、ファイル共有など、様々な機能を提供します。代表的なSaaSコミュニケーションツールとして、Slack、Microsoft Teamsなどがあります。
4.7 人事・労務管理:SmartHR、人事労務freee
人事・労務管理システムは、人事・労務に関する業務を効率化するためのシステムです。従業員情報管理、給与計算、社会保険手続きなど、人事・労務担当者の業務を支援する機能を提供します。代表的なSaaS人事・労務管理システムとして、SmartHR、人事労務freeeなどがあります。
4.8 会計ソフト:freee会計、MFクラウド会計
会計ソフトは、会計業務を効率化するためのシステムです。仕訳入力、帳簿作成、決算書作成など、会計担当者の業務を支援する機能を提供します。代表的なSaaS会計ソフトとして、freee会計、MFクラウド会計などがあります。
4.9 その他:プロジェクト管理、コンテンツ管理など
上記以外にも、プロジェクト管理、コンテンツ管理、Web会議、eラーニングなど、様々なSaaSが存在します。自社のニーズに合わせて、最適なSaaSを選択することができます。
5. SaaS選定のポイント:最適なサービスを見つけるために
数多くのSaaSの中から、自社にとって最適なサービスを見つけるためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
5.1 目的の明確化:導入目的と要件定義
SaaS選定の最初のステップは、導入目的を明確にすることです。どのような課題を解決したいのか、どのような効果を期待するのかを具体的に定義することで、必要な機能や要件が見えてきます。
例えば、「営業活動の効率化を図りたい」という目的であれば、SFA(営業支援システム)が候補となります。その上で、「顧客管理、商談管理、案件管理、売上予測などの機能が必要である」といった具体的な要件を定義します。
5.2 機能:必要な機能の洗い出しと比較検討
導入目的と要件定義に基づいて、必要な機能を洗い出します。そして、複数のSaaSの機能比較を行い、自社の要件に最も合致するSaaSを選定します。
機能比較を行う際には、単に機能の有無だけでなく、使いやすさや操作性、拡張性なども考慮する必要があります。
5.3 セキュリティ:セキュリティ対策の確認
SaaSは、データをクラウド上に保存するため、セキュリティ対策が非常に重要です。SaaSを選定する際には、プロバイダーのセキュリティ対策(暗号化、アクセス制御、監査ログなど)を十分に確認し、自社のセキュリティポリシーに合致しているかを確認する必要があります。
セキュリティに関する認証取得状況(ISO27001、SOC2など)や、過去のセキュリティ事故の有無なども確認しておくと良いでしょう。
5.4 費用:料金体系と総コストの把握
SaaSの料金体系は、月額料金制、従量課金制など、様々な種類があります。自社の利用状況を予測し、最もコスト効率の良い料金体系を選択する必要があります。
また、初期費用、月額料金、サポート費用、データ移行費用など、総コストを把握することも重要です。
5.5 サポート:ベンダーのサポート体制
SaaSを導入・運用する上で、ベンダーのサポート体制は非常に重要です。導入時のサポート、運用時のサポート、トラブル発生時のサポートなど、どのようなサポートが提供されるのかを確認する必要があります。
サポート体制だけでなく、サポート品質(対応時間、対応言語、サポート方法など)も確認しておくと良いでしょう。
5.6 導入実績:導入事例と評判の確認
SaaSの導入実績は、サービスの信頼性を判断する上で重要な指標となります。導入事例を確認することで、実際にSaaSを利用している企業の声を聞き、導入効果や課題などを把握することができます。
また、口コミサイトやレビューサイトなどを活用して、SaaSの評判を確認することも有効です。
5.7 無料トライアル:実際に試して使用感を確認
多くのSaaSは、無料トライアルを提供しています。実際にSaaSを試用することで、使いやすさや操作性、機能の適合性などを確認することができます。
無料トライアル期間中に、実際に業務で利用してみることで、SaaS導入後のイメージを具体的に掴むことができます。
6. SaaS導入のステップ:スムーズな導入のために
SaaS導入を成功させるためには、計画的な導入ステップを踏むことが重要です。
6.1 計画:導入計画の策定
まず、SaaS導入の目的、範囲、スケジュール、予算などを明確にした導入計画を策定します。導入計画には、関係者の役割分担、データ移行計画、トレーニング計画なども含める必要があります。
6.2 準備:データ移行と初期設定
既存システムからのデータ移行は、SaaS導入の重要なステップです。データ移行計画に基づいて、データの抽出、変換、投入を行います。
また、SaaSの初期設定(ユーザー設定、権限設定、システム連携設定など)も行います。
6.3 実行:導入とテスト
SaaSを本番環境に導入し、実際に利用を開始します。導入後には、SaaSの動作確認、データ整合性確認、機能テストなどを行います。
6.4 運用:利用開始と効果測定
SaaSの利用を開始し、効果測定を行います。導入目的が達成されているか、KPI(重要業績評価指標)をモニタリングし、効果を検証します。
6.5 改善:継続的な改善と最適化
SaaSの利用状況を分析し、継続的な改善と最適化を行います。SaaSの機能改善、業務プロセスの見直し、トレーニングの実施など、様々な改善策を実施します。
7. SaaSの未来:進化し続けるクラウドサービス
SaaSは、技術の進化とともに、常に進化し続けています。SaaSの未来について見ていきましょう。
7.1 AIとの連携:より高度な自動化と予測分析
AI(人工知能)との連携により、SaaSはより高度な自動化と予測分析を実現します。例えば、CRMでは、AIが顧客データを分析し、最適な営業戦略を提案したり、マーケティングオートメーションでは、AIが顧客の行動を予測し、パーソナライズされたコンテンツを配信したりすることが可能になります。
7.2 ローコード/ノーコード:開発の民主化
ローコード/ノーコードプラットフォームの普及により、SaaSのカスタマイズ性が向上します。プログラミングの知識がなくても、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)上で簡単にSaaSをカスタマイズしたり、新しい機能を追加したりすることができます。
7.3 エッジコンピューティング:リアルタイム処理の実現
エッジコンピューティングとは、データセンターではなく、デバイスの近くでデータ処理を行う技術です。エッジコンピューティングとSaaSを組み合わせることで、リアルタイム処理が必要なアプリケーション(IoT、自動運転など)を実現することができます。
7.4 セキュリティ強化:ゼロトラストモデルの普及
ゼロトラストモデルとは、すべてのアクセスを信頼せず、常に検証するというセキュリティの考え方です。ゼロトラストモデルの普及により、SaaSのセキュリティがさらに強化されます。
7.5 バーティカルSaaS:特定業界に特化したSaaSの増加
特定の業界(医療、教育、建設など)に特化したSaaS(バーティカルSaaS)が増加しています。バーティカルSaaSは、特定の業界のニーズに合わせて開発されているため、汎用的なSaaSよりも高い効果を発揮することが期待できます。
8. まとめ:SaaS導入を成功させるために
SaaSは、企業にとって多くのメリットをもたらす強力なツールです。しかし、SaaS導入を成功させるためには、導入目的の明確化、最適なSaaSの選定、計画的な導入ステップ、継続的な改善など、様々な要素を考慮する必要があります。
この記事で解説した内容を参考に、自社にとって最適なSaaSを導入し、ビジネスの成長を加速させてください。