【Python】「list indices must be integers or slices, not str」エラーを徹底解説


Pythonエラー徹底解説:「list indices must be integers or slices, not str」

はじめに:Pythonプログラミングにおけるつまずきポイント

Pythonでのプログラミング学習や開発を進める上で、多くの人が一度は遭遇するであろうエラーメッセージの一つに、「TypeError: list indices must be integers or slices, not str」があります。このエラーは、リストの要素にアクセスしようとした際に、期待されるインデックスの型が違っていることを示しています。

初めてこのメッセージを見たときは、少し戸惑うかもしれません。「インデックス?」「整数?」「スライス?」「文字列?」「なんで文字列じゃダメなの?」といった疑問が頭を巡るでしょう。しかし、安心してください。このエラーはPythonの基本的なデータ構造であるリストの扱いや、異なるデータ型の混同によって引き起こされることがほとんどであり、その原因と解決方法は比較的理解しやすいものです。

この記事では、「list indices must be integers or slices, not str」エラーについて、そのエラーメッセージが何を意味するのか、なぜ発生するのか、どのような状況で遭遇しやすいのか、そしてどのように解決すれば良いのかを、初心者の方にも分かりやすく徹底的に解説します。さらに、関連するPythonのデータ構造や概念、エラーを未然に防ぐためのコーディング習慣についても詳しく掘り下げていきます。この記事を読み終える頃には、このエラーに自信を持って対処できるようになっているはずです。

さあ、Pythonのエラーメッセージを味方につけ、よりスムーズなプログラミングへの一歩を踏み出しましょう。

エラーメッセージを読み解く:「list indices must be integers or slices, not str」

エラーメッセージは、私たちプログラマーにとって非常に重要な情報源です。ただのエラー表示としてやり過ごすのではなく、メッセージに含まれる単語一つ一つの意味を理解することが、迅速な原因特定と解決につながります。まずは、「list indices must be integers or slices, not str」というメッセージを分解して考えてみましょう。

TypeError:
これはエラーの種類を示しています。「TypeError」は、操作や関数が特定の型のオブジェクトに対して実行されたときに、その型が適切でない場合に発生します。今回のエラーは、リストのインデックスとして不適切な型の値(ここでは文字列)が使われたために発生した、型に関するエラーであることがわかります。

list indices:
これはエラーが発生している対象を示しています。「list indices」は「リストのインデックス」という意味です。インデックスとは、リストのようなシーケンス型データにおいて、特定の要素が格納されている位置を示す番号のことです。Pythonのリストでは、最初の要素のインデックスは0、次の要素は1、といった具合に、ゼロから始まる整数が使われます。例えば、my_list = ['a', 'b', 'c']というリストがあった場合、my_list[0]'a'を、my_list[1]'b'を指します。

must be integers or slices:
これは、リストのインデックスとして「何が許されるか」を示しています。「must be integers or slices」は、「整数またはスライスである必要があります」という意味です。
* 整数 (integers): これは最も基本的なインデックスの形式です。0, 1, 2, … のように、リスト内の特定の要素を指し示すために使われる数値です。負の整数もインデックスとして有効で、my_list[-1]はリストの最後の要素を、my_list[-2]は最後から2番目の要素を指します。
* スライス (slices): スライスは、リストから複数の要素(部分リスト)を取り出すための仕組みです。[start:stop:step]という形式で指定します。startは開始インデックス(含む)、stopは終了インデックス(含まない)、stepは要素を飛び飛びで取得する際の間隔を指定します。例えば、my_list[1:3]はインデックス1と2の要素('b''c')を含む新しいリストを返します。スライスもリストのインデックス操作の一種として扱われますが、結果は単一の要素ではなくリストになります。

not str:
これは、「何が許されないか」を示しています。「not str」は、「文字列ではありません」という意味です。この部分がエラーの核心です。つまり、リストの要素にアクセスする際のインデックスとして、あなたが文字列を使おうとしたことが、このエラーの原因であることを明確に伝えています。

まとめると、エラーメッセージ「TypeError: list indices must be integers or slices, not str」は、「リストの要素にアクセスしようとしましたが、指定されたインデックスが文字列でした。リストのインデックスは整数かスライスである必要があります。」という意味になります。

なぜリストのインデックスには整数やスライスが必要で、文字列ではいけないのでしょうか?これは、Pythonにおけるリストの実装と、インデックスアクセスの仕組みに関係しています。リストは内部的には、要素が連続したメモリ領域に格納されているイメージに近い構造(正確にはオブジェクトへの参照の配列)を持っています。特定のインデックス(例: インデックスi)の要素にアクセスする場合、Pythonはリストの先頭アドレスからi番目の要素が格納されているメモリ位置を計算します。この計算には、要素のサイズとインデックスの数値が必要です。文字列は単なる「ラベル」や「名前」であり、要素がメモリ上のどこにあるかを示す位置情報(オフセット)としては機能しません。そのため、リストは文字列をインデックスとして直接受け付けるようには設計されていないのです。

このエラーメッセージは、あなたがPythonのリストの基本的な使い方に関するルールを破ってしまったことを教えてくれています。

エラーが発生する典型的なシナリオ

では、具体的にどのような状況で「list indices must be integers or slices, not str」エラーは発生しやすいのでしょうか?主なシナリオをいくつか見ていきましょう。

1. 変数名の混同:文字列と整数インデックスの取り違え

これは非常に一般的なケースです。リストのインデックスとして使いたい整数値を格納している変数と、別の目的で使っている文字列変数、あるいは単なる文字列リテラルを混同してしまうことで発生します。

エラーコード例:

“`python
my_list = [‘apple’, ‘banana’, ‘cherry’]
index_str = ‘1’ # インデックスとして使いたいのに、文字列になっている!
index_int = 1 # 正しい整数のインデックス

間違い:文字列変数でリストにアクセスしようとする

print(my_list[index_str]) # ここで TypeError が発生する
“`

解説:
この例では、リストの2番目の要素('banana'、インデックスは1)にアクセスしたいと考えています。しかし、インデックスを格納するために作った変数index_strには、数値としての1ではなく、文字としての'1'という文字列が代入されています。リストのインデックスとして文字列'1'を指定することはできないため、エラーが発生します。

対照的に、変数index_intには正しく整数値の1が代入されており、my_list[index_int]は正常に動作します。

この間違いは、特に変数の名前が曖昧だったり、多くの変数を扱っていたりする場合に起こりやすいです。「index」という名前の変数でも、それが整数なのか文字列なのかを常に意識する必要があります。

2. 辞書(dict)のキーアクセスとリストのインデックスアクセスの混同

Pythonにはリストとよく似た、しかし根本的に異なるデータ構造として「辞書(dict)」があります。辞書は「キー」と「値」のペアを保持する構造で、値にアクセスする際にはキーを使用します。そして、辞書のキーとして文字列が使われることは非常に一般的です。

エラーの原因として多いのが、リストを扱っているつもりなのに、辞書のように文字列をキーとして要素にアクセスしようとしてしまうケースです。

エラーコード例:

“`python

これはリストです

my_data_list = [‘value1’, ‘value2’, ‘value3’]

間違い:リストに対して、辞書のキーのように文字列でアクセスしようとする

print(my_data_list[‘value1’]) # ここで TypeError が発生する
“`

解説:
上記のコードでは、my_data_listリストです。リストの要素には、その要素の値('value1'など)を使って直接アクセスすることはできません。リストへのアクセスは、必ずインデックス(0, 1, 2, …)で行う必要があります。

my_data_list['value1']という書き方は、もしmy_data_list辞書であり、'value1'というキーが存在する場合に有効な記述です。

“`python

これは辞書です

my_data_dict = {‘key1’: ‘value1’, ‘key2’: ‘value2’}

正しい:辞書に対して、キー(文字列)でアクセスする

print(my_data_dict[‘key1′]) # これは正常に動作し、’value1’ を出力する
“`

このように、自分が扱っているデータ構造が「リスト」なのか「辞書」なのかを明確に理解していないと、リストに対して辞書のようなアクセス方法を試みてしまい、このエラーが発生します。

3. ファイル読み込みや外部入力で得られた文字列を直接インデックスに使おうとした場合

ファイルから読み込んだデータや、ユーザーからの入力、あるいはWebスクレイピングで取得したデータなどは、基本的に文字列として扱われます。これらの文字列データの中にインデックスとして使いたい数値が含まれていたとしても、そのままではリストのインデックスとして使えません。明示的に整数型に変換する必要があります。

エラーコード例:

“`python

仮に、ファイルから読み込んだ行が ‘2’ という文字列だったとする

index_from_file = ‘2’ # これは文字列!

my_list = [‘a’, ‘b’, ‘c’, ‘d’, ‘e’]

間違い:読み込んだ文字列をそのままインデックスに使う

print(my_list[index_from_file]) # ここで TypeError が発生する
“`

解説:
ファイルから読み込まれた変数index_from_fileの値は'2'という文字列です。リストmy_listの要素にアクセスするためには、これを整数型の2に変換する必要があります。

修正コード例:

“`python
index_from_file = ‘2’ # 文字列
my_list = [‘a’, ‘b’, ‘c’, ‘d’, ‘e’]

修正:文字列を整数に変換してからインデックスに使う

try:
index_int = int(index_from_file) # int() 関数で整数に変換
print(my_list[index_int]) # これは正常に動作する
except ValueError:
print(“エラー:ファイルから読み込んだ値が整数に変換できませんでした。”)
except IndexError:
print(“エラー:ファイルから読み込んだ値がリストの有効なインデックス範囲外でした。”)
“`

このように、外部から取得したデータを使う際には、そのデータのを常に意識し、必要に応じて適切な型に変換する処理を挟むことが重要です。int()関数での変換時には、変換できない場合にValueErrorが発生する可能性もあるため、エラーハンドリング(try...exceptブロック)を検討することも推奨されます。また、変換後の整数がリストの有効なインデックス範囲外である場合はIndexErrorが発生します。

4. ループ処理におけるインデックスの型変換忘れ

リストを処理する際に、インデックスを使って要素にアクセスするループを書くことがあります。特に、C言語やJavaなどの他の言語のループ構文に慣れていると、インデックス変数を使ってループを回す書き方になりがちです。このとき、インデックスとして使っているつもりの変数が、実は文字列として扱われてしまっている場合があります。

エラーコード例:

“`python
my_list = [‘item1’, ‘item2’, ‘item3’]

間違い:文字列リストの要素をインデックスに使おうとする (よくある誤解)

for item in my_list:
# ここで item はリストの要素(例: ‘item1’, ‘item2’)であり、これらは文字列
print(my_list[item]) # ここで TypeError が発生する
“`

解説:
このfor item in my_list:というループは、リストmy_listから要素を一つずつ取り出し、それを変数itemに代入しています。したがって、itemの中身はループの各回で'item1''item2''item3'という文字列になります。そして、その文字列をmy_listのインデックスとして使おうとしているため、エラーが発生します。

Pythonでは、リストの要素を順番に処理したいだけなら、インデックスを使う必要はありません。上記の例のように、要素を直接取得するループが最もシンプルでPythonicな方法です。

修正コード例 (インデックスを使わない場合):

“`python
my_list = [‘item1’, ‘item2’, ‘item3’]

修正:要素を直接取得するループ

for item in my_list:
print(item) # 要素そのものを処理
“`

修正コード例 (インデックスと要素の両方が必要な場合):

もし、どうしてもインデックスも一緒に使いたい場合は、range()関数とlen()関数を組み合わせるか、よりPythonicなenumerate()関数を使用します。

“`python
my_list = [‘item1’, ‘item2’, ‘item3’]

修正:range()とlen()を使ってインデックスを生成する

for i in range(len(my_list)):
# i は 0, 1, 2 という整数になる
print(f”Index: {i}, Value: {my_list[i]}”) # i は整数のインデックスなので正常に動作

修正:enumerate() を使ってインデックスと要素を同時に取得する

for index, value in enumerate(my_list):
# index は 0, 1, 2 という整数になり、value は ‘item1’, ‘item2’ などになる
print(f”Index: {index}, Value: {value}”) # index は整数のインデックスなので正常に動作
“`

enumerate()を使う方法は、インデックスと要素の両方が必要な場合に最も推奨される方法です。range(len(my_list))を使う方法では、リストにアクセスする際にmy_list[i]と書く必要があり、冗長になりがちです。

5. ネストされたリストにおけるエラー

リストの中にさらにリストが含まれるような「ネストされたリスト」を扱う場合、インデックスの指定が複雑になり、間違った型を使ってしまうことがあります。

エラーコード例:

“`python
nested_list = [ [‘a’, ‘b’], [‘c’, ‘d’], [‘e’, ‘f’] ]

間違い:内側のリストの要素にアクセスする際に、外側のインデックスを文字列で指定する

print(nested_list[‘0’][0]) # ここで TypeError が発生する
“`

解説:
nested_listは、3つのリストを要素として持つリストです。nested_list[0]は内側のリスト['a', 'b']を返します。この内側のリストの最初の要素('a')にアクセスするためには、さらにインデックス[0]を指定してnested_list[0][0]と書く必要があります。

しかし、エラーコード例では最初のインデックスを'0'という文字列で指定しています。外側のリストnested_listにアクセスする時点ですでにエラーが発生し、内側のリストにたどり着くことすらできません。

修正コード例:

“`python
nested_list = [ [‘a’, ‘b’], [‘c’, ‘d’], [‘e’, ‘f’] ]

修正:ネストされたリストの各レベルで正しい型のインデックスを使用する

print(nested_list[0][0]) # 外側、内側ともに整数のインデックスを使用
“`

ネストの深さが増すほど、インデックスの指定ミスが起こりやすくなります。どのインデックスがどのリストレベルに対応しているのか、そしてそのインデックスが必ず整数であることを確認する必要があります。

エラーの具体的な解決方法

list indices must be integers or slices, not str」エラーに遭遇した場合、慌てず以下のステップで原因を特定し、修正を進めましょう。

1. Traceback(トレースバック)を読み解く

エラーメッセージが表示された際に、Pythonは「Traceback」と呼ばれるエラーが発生するまでの関数の呼び出し履歴を表示します。このTracebackは、エラーが発生したファイル名、行番号、そしてエラーの種類とメッセージを示してくれるため、原因特定のために最も重要な情報です。

Traceback (most recent call last):
File "/path/to/your/script.py", line 5, in <module>
print(my_list[index_str])
TypeError: list indices must be integers or slices, not str

上記の例では、
* エラーが発生したのは/path/to/your/script.pyというファイルです。
* エラーが発生した行はline 5です。
* エラーが発生したコードはprint(my_list[index_str])です。
* エラーの種類はTypeErrorで、メッセージは「list indices must be integers or slices, not str」です。

Tracebackの最後の部分、特にエラーが発生した行番号その行のコードを確認することで、エラーの発生源を特定できます。今回のエラーの場合、リストにアクセスしている[...]の部分を見つけ、その角括弧の中に指定されている値が何かを確認するのが第一歩です。

2. エラーが発生している場所の変数を確認する

Tracebackでエラー行を特定したら、その行でリストのインデックスとして使われている変数(上記の例ではindex_str)やリテラルが何であるかを確認します。

もしそれが変数であれば、その変数がどこで定義され、どのような値が代入されているかを遡って確認します。

3. 変数の型をチェックする (type() 関数)

原因が特定できない場合や、変数の値が意図した型になっているか不安な場合は、Pythonの組み込み関数type()を使って、その変数の型を調べることができます。エラーが発生する直前や、その変数が定義された直後にprint(type(variable_name))というコードを挿入してみましょう。

デバッグコード例:

“`python
my_list = [‘apple’, ‘banana’, ‘cherry’]
index_variable = ‘1’ # またはファイルから読み込んだ値など

print(f”index_variable の値: {index_variable}”)
print(f”index_variable の型: {type(index_variable)}”) # これで型を確認!

リストへのアクセス (ここでエラーが発生すると予想される)

print(my_list[index_variable])
“`

このデバッグ出力によって、index_variableが確かにstr(文字列)であることが確認できれば、原因が明確になります。

4. 意図したデータ構造を確認する

エラーが発生しているオブジェクトが、本当にあなたがインデックスアクセスしようとしている「リスト」であるかどうかも確認しましょう。先述の辞書との混同の例のように、本来は辞書や別の型のオブジェクトだったという可能性もゼロではありません。これもtype()関数で確認できます。

デバッグコード例:

“`python

例:実はリストではなく辞書だった場合

my_container = {‘0’: ‘apple’, ‘1’: ‘banana’} # これは辞書!

print(f”my_container の型: {type(my_container)}”) # これで型を確認!

リストとして扱おうとする (TypeErrorが発生)

print(my_container[0]) # dictはキーに整数も使えるが、このキーは文字列なのでアクセスできない。
# そしてもしmy_containerがリストなら0は正しいが、dictなので…
# より典型的なエラーは my_container[‘0’] と書いた場合。
# もしmy_containerがリストなら KeyError でなくTypeError。
# もしmy_containerが辞書なら ‘0’ はキーとして有効なので KeyError にならない。
# この例だと、listだと思って[0]と書いたが、実際はdictでありキー’0’がないため、より正確にはKeyErrorになるかもしれない。
# しかし、dictのキーは通常文字列で、リストのインデックスは整数という対比が重要。

ListとDictのTypeError/KeyErrorの違いに注意が必要。

Listにstrでアクセス => TypeError: list indices must be integers or slices, not str

Dictに存在しないキーでアクセス => KeyError: ‘some_key’

Dictに存在しない整数のキーでアクセス => KeyError: 0

今回のテーマは「リストに文字列インデックス」なので、以下のケースを想定:

my_list_or_dict = [‘a’, ‘b’, ‘c’] # 本当はリストなのに…
index_key = ‘0’

print(f”my_list_or_dict の型: {type(my_list_or_dict)}”) # これで型を確認!
print(my_list_or_dict[index_key]) # Listにstrでアクセス => TypeError
“`

このように、オブジェクトの型を確認することは、問題を切り分ける上で非常に有効です。

5. 文字列インデックスを適切な型に変換する

原因が「文字列をインデックスとして使っている」ことだと判明したら、解決策はシンプルです。インデックスとして使いたい文字列を、適切な整数またはスライスに変換する必要があります。

最も一般的なのは、インデックスとして使いたい文字列が数値を表している場合に、それを整数に変換することです。

修正方法:int() 関数で文字列を整数に変換する

“`python
my_list = [‘apple’, ‘banana’, ‘cherry’]
index_str = ‘1’ # 文字列の ‘1’

修正:int() 関数で文字列を整数に変換

try:
index_int = int(index_str) # 文字列 ‘1’ を整数 1 に変換
print(my_list[index_int]) # 変換後の整数インデックスでアクセス
except ValueError:
print(f”エラー: ‘{index_str}’ は有効な整数に変換できません。”)
“`

int(string)関数は、引数として渡された文字列を整数に変換しようとします。文字列が有効な整数表現でない場合(例: 'abc''1.5'など)、ValueError例外が発生します。したがって、特に外部から得られた文字列を変換する場合は、try...except ValueErrorブロックでエラーハンドリングを行うことが推奨されます。

また、変換後の整数がリストの有効なインデックス範囲外である場合(例: リストの長さが3なのにインデックス10を指定)、IndexErrorが発生します。こちらも必要に応じてエラーハンドリングを検討しましょう。

“`python
my_list = [‘a’, ‘b’, ‘c’]
index_str = ‘5’ # 存在しないインデックスを文字列で指定

try:
index_int = int(index_str)
print(my_list[index_int]) # ここで IndexError が発生する可能性がある
except ValueError:
print(f”エラー: ‘{index_str}’ は有効な整数に変換できません。”)
except IndexError:
print(f”エラー: インデックス {index_int} はリストの範囲外です (リストの長さは {len(my_list)})。”)

修正例:変換だけでなく、範囲チェックも行う

index_str = ‘1’ # 有効なインデックスを文字列で指定
try:
index_int = int(index_str)
if 0 <= index_int < len(my_list): # インデックスが有効範囲内かチェック
print(my_list[index_int])
else:
print(f”エラー: インデックス {index_int} はリストの範囲外です (リストの長さは {len(my_list)})。”)
except ValueError:
print(f”エラー: ‘{index_str}’ は有効な整数に変換できません。”)

``
インデックスが負の値の場合も考慮するなら、範囲チェックは
0 <= index_int < len(my_list)**または**-len(my_list) <= index_int < 0のように複雑になりますが、通常は非負のインデックスを扱うことが多いでしょう。最もシンプルなのは、素直にアクセスしてみてIndexError`をキャッチする方法です。

6. 目的が辞書へのアクセスだった場合はコードを修正する

もし、あなたがリストだと思ってアクセスしようとしていたオブジェクトが、実は辞書だった場合は、リストとして扱うコード自体が間違っています。その場合は、インデックスを整数に変換するのではなく、辞書のキーを使ってアクセスするようにコードを修正する必要があります。

“`python

間違いコード(リストだと思ってアクセス)

my_data_dict = {‘name’: ‘Alice’, ‘age’: 30}

print(my_data_dict[0]) # KeyError or type confusion

修正コード(辞書としてアクセス)

print(my_data_dict[‘name’]) # キーを使ってアクセス
print(my_data_dict[‘age’])
“`

7. ループ処理を見直す

前述の「ループ処理におけるインデックスの型変換忘れ」のシナリオのように、ループの書き方自体がエラーの原因となっている場合もあります。その場合は、range(len(...))enumerate()といった、Pythonにおけるリストの効率的で安全なループ方法に修正することを検討しましょう。

“`python
my_list = [‘a’, ‘b’, ‘c’]

間違いコード (itemが文字列になる)

for item in my_list:

print(my_list[item]) # TypeError

修正コード例1 (インデックスのみ必要)

for i in range(len(my_list)):
print(f”Index {i}”)

修正コード例2 (要素のみ必要)

for item in my_list:
print(item)

修正コード例3 (インデックスと要素の両方が必要)

for i, item in enumerate(my_list):
print(f”Index {i}, Value {item}”)
“`

どの書き方が最適かは、ループの中でインデックスが必要か、要素が必要か、あるいはその両方が必要かによって判断します。要素だけが必要なら、インデックスを使わない書き方が最もシンプルでエラーも起きにくいです。

8. スライスを使用する場合の注意

エラーメッセージでは「integers or slices」と示されています。スライスはリストから部分リストを取り出す強力な機能ですが、スライスの構文([start:stop:step])内で指定する値は、数値(またはNone)である必要があります。ここでも文字列を指定すると同様のTypeErrorが発生します。

“`python
my_list = [10, 20, 30, 40, 50]

間違い:スライスの範囲を文字列で指定

print(my_list[‘1′:’3’]) # TypeError

修正:スライスの範囲を数値または None で指定

print(my_list[1:3]) # 正常に動作し、[20, 30] を出力
print(my_list[2:]) # 正常に動作し、[30, 40, 50] を出力
print(my_list[:3]) # 正常に動作し、[10, 20, 30] を出力
print(my_list[::2]) # 正常に動作し、[10, 30, 50] を出力
“`

スライスの構文自体は文字列ですが、コロンで区切られたstart, stop, stepの部分に入るべきは数値やそれらを省略したNoneである点を理解しておきましょう。

関連するPythonの概念の理解を深める

list indices must be integers or slices, not str」エラーは、Pythonの基本的なデータ構造やアクセスの仕組みに関する理解が不十分な場合に発生しやすいです。この機会に、関連するPythonの概念について理解を深めておきましょう。

シーケンス型(Sequence Types):リスト、タプル、文字列

Pythonには「シーケンス型」と呼ばれるデータ型があります。これは、要素が順序を持って並んでおり、インデックスを使って個々の要素や部分シーケンス(スライス)にアクセスできる型の総称です。代表的なシーケンス型には、リスト (list)タプル (tuple)、そして文字列 (str) があります。

これらのシーケンス型は、インデックスを使って要素にアクセスする際に整数またはスライスを要求するという共通の性質を持っています。

“`python
my_list = [10, 20, 30]
my_tuple = (100, 200, 300)
my_string = “abc”

print(my_list[0]) # 10
print(my_tuple[1]) # 200
print(my_string[2]) # ‘c’

print(my_list[1:3]) # [20, 30]
print(my_tuple[0:2]) # (100, 200)
print(my_string[1:3]) # ‘bc’

いずれも文字列インデックスは不可

print(my_list[‘0’]) # TypeError

print(my_tuple[‘1’]) # TypeError

print(my_string[‘2’]) # TypeError

“`

list indices must be integers or slices, not str」というエラーメッセージはリストに特化していますが、同様の理由でタプルや文字列に対しても文字列をインデックスとして使うことはできません。タプルの場合は「tuple indices must be integers or slices, not str」、文字列の場合は「string indices must be integers or slices, not str」というエラーメッセージが表示されます。エラーメッセージは異なりますが、原因と解決策はほぼ同じです。

ミュータブル(Mutable)とイミュータブル(Immutable)

シーケンス型には、要素の変更が可能かどうかによって「ミュータブル」な型と「イミュータブル」な型があります。

  • ミュータブル: 作成後に要素を変更したり、追加・削除したりできる型。リスト (list) が代表例です。
    python
    my_list = [1, 2, 3]
    my_list[0] = 100 # 要素の変更が可能
    print(my_list) # [100, 2, 3]
  • イミュータブル: 作成後に要素を変更したり、追加・削除したりできない型。タプル (tuple)文字列 (str) が代表例です。
    “`python
    my_tuple = (1, 2, 3)
    # my_tuple[0] = 100 # エラー: TypeError: ‘tuple’ object does not support item assignment

    my_string = “abc”

    my_string[0] = ‘x’ # エラー: TypeError: ‘str’ object does not support item assignment

    “`

この違いは、インデックスを使って要素にアクセスする際には直接関係ありませんが、インデックスを使って要素の「代入」(変更)を行おうとする場合には重要になります。今回のエラーメッセージはインデックスの「型」に関するものですが、ミュータブル/イミュータブルの概念もシーケンス型の操作において基本的な部分なので、併せて理解しておくと良いでしょう。

辞書 (dict):キーによるアクセスとの比較

先述のシナリオでも触れましたが、辞書 (dict) はリストと混同されやすいデータ構造です。辞書は「キー (key)」と「値 (value)」のペアの集まりであり、値にアクセスする際にはキーを使用します。

リストが要素の位置(インデックス)でアクセスするのに対し、辞書は要素に付けられた名前(キー)でアクセスする、と考えると違いが分かりやすいでしょう。

“`python
my_dict = {‘name’: ‘Alice’, ‘age’: 30, ‘city’: ‘Tokyo’}

辞書はキーを使ってアクセスする

print(my_dict[‘name’]) # ‘Alice’
print(my_dict[‘age’]) # 30

辞書のキーとしては、文字列が非常によく使われる。

ただし、文字列以外(整数、タプルなど、ハッシュ可能なオブジェクトなら)もキーになりうる。

another_dict = {1: ‘one’, 2: ‘two’, ‘three’: 3}
print(another_dict[1]) # ‘one’ (整数キーでアクセス)
print(another_dict[‘three’]) # 3 (文字列キーでアクセス)

存在しないキーでアクセスすると KeyError になる

print(my_dict[‘country’]) # KeyError: ‘country’

“`

辞書へのアクセスでは、角括弧[]の中に指定するのは「インデックス」ではなく「キー」です。辞書のキーは、リストのインデックスのように整数やスライスに限定されず、ハッシュ可能であれば様々な型のオブジェクトが使えます。文字列がキーとしてよく使われるため、リストと辞書を混同してリストに文字列インデックスを指定してしまう間違いが頻繁に発生するのです。

今回のエラー「list indices must be integers or slices, not str」は、あなたがアクセスしようとしたオブジェクトがリストであり、それに対して文字列でアクセスしようとしたことを明確に示しています。もしアクセスしようとしたオブジェクトが辞書で、存在しないキーでアクセスしようとした場合は、KeyErrorになります。エラーメッセージの種類によって、問題の原因がリストのインデックスの使い方にあるのか、辞書のキーの使い方にあるのかを区別することができます。

イテラブル(Iterable):forループによる要素アクセス

Pythonにおける多くのコンテナ型(リスト、タプル、文字列、辞書、セットなど)は「イテラブル」です。イテラブルとは、forループを使って要素を一つずつ順番に取り出すことができるオブジェクトのことです。

リストの場合、イテラブルであるという性質を利用すると、インデックスを一切使わずにリストの全要素を簡単に処理できます。

“`python
my_list = [‘apple’, ‘banana’, ‘cherry’]

インデックスを使わない for ループ(要素を直接取得)

for fruit in my_list:
print(f”今日のフルーツは {fruit} です。”)
“`

この書き方は、要素の値だけが必要な場合に最もシンプルで安全な方法です。インデックス計算や型変換のミスを避けることができます。要素とインデックスの両方が必要な場合でも、前述のenumerate()を使う方法が推奨されます。

今回のエラーは、リストのインデックスアクセス(my_list[...])に関するものですが、多くの場合、ループ処理の中で発生します。インデックスアクセスに固執せず、イテラブルとしてのリストの性質を活かしたループ処理(要素を直接取得する、またはenumerate()を使う)を心がけることで、この種のエラーの発生頻度を大幅に減らすことができます。

エラーを未然に防ぐためのコーディングプラクティス

list indices must be integers or slices, not str」エラーは、主に型に関する誤解や混同によって発生します。これらのエラーを減らすためには、日頃から以下のコーディング習慣を意識することが重要です。

  1. 変数の命名規則を明確にする: 変数名を見ただけで、それがどのような型(整数、文字列、リストなど)を保持しているかある程度推測できるように命名しましょう。例えば、インデックスに使う変数ならindexiidxなど、文字列ならname_strinput_textなど、リストならitem_listdata_rowsなどです。
  2. コードにコメントやドキュメンテーションを書く: 特に複雑な処理や、外部からデータを受け取る部分では、変数の期待される型やデータ構造についてコメントを書いておくと、後で見返したときに混同を防げます。
  3. type()isinstance() を活用する: 不安な変数や外部から取得したデータの型を、積極的にtype()関数で確認したり、isinstance(variable, some_type)を使って特定の型であるかチェックしたりする習慣をつけましょう。これにより、早期に型の不一致に気づくことができます。
  4. データ構造の選択を適切に行う: アクセスしたいのが位置(順序)に基づいて要素を取り出すことなのか、それとも特定のラベルや名前(キー)に基づいて要素を取り出すことなのかによって、リストを使うべきか辞書を使うべきかを適切に判断しましょう。目的と異なるデータ構造を使うと、意図しないエラーにつながりやすくなります。
  5. Pythonicなループ処理を優先する: リストの全要素を処理したい場合、インデックスを使ってfor i in range(len(my_list)): ... my_list[i] ...と書くよりも、for item in my_list: ... item ...for i, item in enumerate(my_list): ... my_list[i] ...(または... item ...)という書き方を検討しましょう。インデックスアクセスが必要ない場面でインデックスを使うのを避けることで、エラーの可能性を減らせます。
  6. 外部入力やファイル読み込みのデータ型に注意する: ユーザー入力やファイルから読み込まれたデータは、常に文字列として扱われるという基本を忘れないでください。数値を期待する場合は、必ずint()float()などで明示的に型変換を行うプロセスを含めましょう。変換できない場合のValueErrorや、範囲外のインデックスによるIndexErrorに対するエラーハンドリングも重要です。
  7. テストコードを書く: 自分のコードが意図した通りに動作するか、様々な入力データに対して正しい型が扱われているかなどを検証するテストコードを書く習慣をつけることで、エラーの早期発見につながります。

これらの習慣を身につけることで、「list indices must be integers or slices, not str」のような型に関するエラーだけでなく、他の様々なエラーの発生リスクを減らし、より堅牢で読みやすいコードを書くことができるようになります。

よくある間違いと追加のヒント

  • ユーザー入力: input()関数でユーザーから入力を受け取ると、常にその結果は文字列になります。例えば、ユーザーにリストのインデックスを入力させて、それをそのままリストアクセスに使うとこのエラーが発生します。必ずint()で変換してください。
    “`python
    # 間違い
    # index_input = input(“インデックスを入力してください: “) # 結果は文字列
    # my_list = [10, 20, 30]
    # print(my_list[index_input]) # TypeError

    修正

    index_input_str = input(“インデックスを入力してください: “)
    try:
    index_int = int(index_input_str)
    my_list = [10, 20, 30]
    print(my_list[index_int])
    except ValueError:
    print(“入力は整数である必要があります。”)
    except IndexError:
    print(“入力されたインデックスはリストの範囲外です。”)
    ``
    * **NumPy配列やPandas Series/DataFrameのインデックス**: 科学技術計算でよく使われるNumPyやPandasライブラリでは、リストとは異なるインデックスの仕組みを持つことがあります。特にPandasのSeriesやDataFrameは、ラベル(文字列など)によるインデックスアクセス(
    .loc[])や、位置によるインデックスアクセス(.iloc[])など、複数のアクセス方法を提供しています。これらのライブラリを使う際は、それぞれのインデックスアクセスのルールを確認してください。混同すると、リストとは異なるエラーや予期しない動作につながることがあります。ただし、Python標準のリストに関しては、今回解説したルール(整数またはスライス)が厳格に適用されます。
    * **エラーメッセージの完全一致**: エラーメッセージは環境やPythonのバージョンによって微妙に異なることがありますが、「
    list indices must be integers or slices, not str」というメッセージ自体は非常に特徴的で、原因特定はしやすい部類に入ります。重要なのは「list indices」「integers or slices」「not str」といったキーワードがメッセージに含まれていることです。
    * **デバッグツール**: 単純な
    print()デバッグだけでなく、Pythonに標準で付属するpdb`(Python Debugger)のようなデバッガーを使うと、プログラムの実行を一時停止させ、その時点での変数の値や型を詳細に調べることができます。より複雑な状況でエラーの原因を特定するのに役立ちます。

まとめ:エラー克服は成長の糧

この記事では、Pythonでよく遭遇する「TypeError: list indices must be integers or slices, not str」エラーについて、その意味、発生原因、具体的な解決方法、関連概念、そして予防策に至るまで、網羅的に解説しました。

このエラーは、リストの基本的な使い方や、異なるデータ構造・型の混同によって引き起こされることがほとんどです。エラーメッセージに含まれる「list indices」「integers or slices」「not str」といったキーワードを理解し、Tracebackを使ってエラー発生箇所を特定できれば、原因の特定は比較的容易です。

解決策としては、リストのインデックスには必ず整数またはスライスを使用するというルールを守ることが基本です。文字列をインデックスとして使ってしまっている箇所を見つけたら、それをint()などで適切な型に変換するか、あるいはそもそもアクセス方法や使用しているデータ構造が適切かを見直す必要があります。辞書との混同や、外部入力の型変換忘れ、ループ処理の不適切な書き方などが典型的な原因です。

エラーに遭遇することは、決して悪いことではありません。それはプログラムがあなたの意図した通りに動いていないことを教えてくれる貴重な情報です。エラーメッセージを恐れず、そこに込められた情報を丁寧に読み解き、原因を特定し、解決策を適用するプロセスを通じて、あなたはPythonプログラミングの理解をより一層深めることができます。

list indices must be integers or slices, not str」エラーは、Pythonの基本的な型システムとデータ構造の扱いの重要性を教えてくれるエラーです。この記事が、あなたがこのエラーを克服し、さらに自信を持ってPythonプログラミングを進めていくための一助となれば幸いです。

もし、この記事でカバーされていないケースや、さらに疑問点があれば、Pythonの公式ドキュメントを参照したり、オンラインコミュニティで質問したりすることも有効です。

エラーを恐れず、一つ一つ着実に解決していきましょう!


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