【レビュー】Daemon X Machina は面白い?評価とどんなゲームか解説

【レビュー】Daemon X Machina は面白い?評価とどんなゲームか徹底解説 – カスタマイズ・高速戦闘・巨大ボス!魅力と改善点を深掘り

メカ、それは男の子(あるいはかつて男の子だった人)の浪漫であり、人類の夢だ。鋼鉄の巨人が飛び交い、ビームとミサイルが乱れ飛ぶ世界。そんな世界観を、圧倒的なスピード感と自由度の高いカスタマイズで実現したゲームが「DAEMON X MACHINA(デモンエクスマキナ)」です。

2019年にNintendo Switch向けに発売され、後にPC(Steam)でも展開された本作は、ロボットアクションファンから熱い注目を集めました。しかし、その評価は「神ゲー!」と絶賛する声がある一方で、「ちょっと期待外れかも…」といった厳しい意見も耳にする、賛否が分かれるタイトルでもあります。

この記事では、そんなDaemon X Machinaが「面白いのか?」という疑問に答えるべく、どんなゲームなのか、その魅力、そして惜しい点まで、約5000語というボリュームで徹底的に掘り下げて解説していきます。メカが好きなら、アクションが好きなら、この記事を読めばきっとDaemon X Machinaの全てが理解できるはずです。


第1部: Daemon X Machinaとはどんなゲームか? – 月が落ちた世界で、傭兵はメカを駆る

まずは、Daemon X Machinaがどんなゲームなのか、その基本的な情報から見ていきましょう。

ジャンルと基本的なゲームサイクル

Daemon X Machinaは、一言で言えば「高速メカアクション」です。プレイヤーは巨大な人型兵器「アーセナル」を操り、広大なフィールドを縦横無尽に駆け巡り、敵と戦います。

ゲームの基本的な流れは、以下のサイクルで進行します。

  1. 拠点(ハンガー)での準備:
    • ミッションを受注する。
    • 機体「アーセナル」のカスタマイズを行う(パーツ交換、武器装備、カラーリングなど)。
    • パイロット「アウター」の身体改造や装備変更を行う。
    • ストーリーに関する情報収集や、他のキャラクターとの交流。
  2. ミッションへの出撃:
    • 選択したミッションのフィールドに出撃。
    • 与えられた目標(敵機撃破、ターゲット防衛、アイテム回収など)を達成する。
    • 敵機を破壊し、装備や素材を収集する。
    • 巨大なボス敵(コロッサル)や、他のアーセナルを操る敵(アウター)との戦闘。
  3. 拠点への帰還:
    • ミッションクリアによる報酬(お金、アイテム、装備)を獲得。
    • 収集した装備を鑑定・売却・換装。
    • ストーリーが進行し、新たなミッションが解放される。

このサイクルを繰り返しながら、プレイヤーは自身のアーセナルを強化し、より難易度の高いミッションに挑んでいくことになります。いわゆるハック&スラッシュ(ハクスラ)的な要素も含まれており、強力な装備を求めて何度もミッションに挑戦する中毒性があります。

世界観と舞台設定

ゲームの舞台は、近未来。人類が月面に設置したAI兵器が暴走し、巨大な月が崩壊、その欠片が地表に降り注ぐという未曽有の大災害に見舞われた世界です。この災害により、人類の大部分は命を落とし、文明は大きく後退しました。

さらに、月と共に落下してきた物質から発生した未知の粒子「フェムト粒子」は、地球上のAI(インモータル)を暴走させ、人類に敵対する存在へと変えてしまいました。大地は汚染され、かつての都市は廃墟と化しています。

生き残った人類は、AIに抗うために「アーセナル」と呼ばれる巨大な人型兵器を開発しました。そして、フェムト粒子の影響を受け、超常的な能力を持つに至った人々が「アウター」と呼ばれ、アーセナルを操縦する唯一の存在となります。

プレイヤーは、名もなき一人の「アウター」として、独立傭兵集団「レイヴンズ」の一員となります。様々な組織や個人からの依頼(オーダー)を受け、暴走したAI(インモータル)や、時には他のアウターを相手に、危険なミッションを遂行していきます。

この世界観は、どこか退廃的で、しかしメカと超能力が混在する独特の雰囲気を醸し出しています。瓦礫と化した都市、砂漠化した大地、異形のAI兵器、そして個性豊かな傭兵たち。ポストアポカリプス的なSF設定が好きな人には、非常に魅力的に映るでしょう。

重要なキーワード解説

Daemon X Machinaの世界を理解する上で、いくつか押さえておきたいキーワードがあります。

  • アーセナル (Arsenal): プレイヤーが操縦する巨大な人型機動兵器。頭部、胴体、腕部、脚部などのパーツで構成され、多彩な武器を装備できる。フェムト粒子を動力源の一部としている。
  • アウター (Outer): フェムト粒子の影響を受け、超常的な能力(飛行、光学迷彩、身体能力強化など)を持つようになった人間。アーセナルを操縦できる唯一の存在。
  • インモータル (Immortal): 月の崩壊とフェムト粒子の影響で暴走し、人類に敵対するようになったAI兵器の総称。様々な形態が存在する。
  • フェムト粒子 (Femto Particle): 月と共に飛来した未知の粒子。アウターの能力の源であり、アーセナルの動力源の一部でもある。インモータル暴走の原因でもある、世界の根幹に関わる存在。
  • オーダー (Order): プレイヤーが受注するミッションのこと。様々な依頼主から様々な内容のオーダーが舞い込んでくる。
  • クレスト (Crest): 世界最大の企業複合体であり、多くの傭兵(アウター)を束ねる巨大組織。オーダーの主要な依頼主の一つ。
  • コロニー (Colony): 月のAIが建造した、巨大なAI兵器の総称。各コロニーは独自の形態と強力な戦闘力を持つ巨大ボス。

これらの要素が絡み合い、Daemon X Machinaの独特な世界が構築されています。プレイヤーは一介の傭兵として、この苛酷な世界で生き残り、戦い続けることになります。


第2部: Daemon X Machinaの核となるゲームプレイ – 鋼鉄の傭兵を駆る!

Daemon X Machinaの面白さの核心は、その「高速メカアクション」と「圧倒的な機体カスタマイズ」にあります。ここでは、ゲームプレイの具体的な要素を深掘りしていきます。

高速メカアクション – 縦横無尽に戦場を駆け巡る!

Daemon X Machinaの戦闘は、そのスピード感が最大の特徴です。アーセナルは地上を高速で移動できるだけでなく、ブーストジャンプや飛行によって立体的な機動が可能です。

  • 立体的な移動: フィールド内を自由に飛び回り、建物の上や敵の頭上など、様々な位置取りから攻撃を仕掛けられます。敵の攻撃を避けながら、あるいは有利なポジションを取るために、常に移動し続けることが重要です。
  • ブーストとドッジ: 短距離を高速で移動するブースト移動や、敵の攻撃を瞬時に回避するドッジ(緊急回避)は、戦闘において非常に重要なアクションです。これらのアクションを使いこなすことで、敵の攻撃を効果的に避け、自身の生存率を高めることができます。
  • ロックオンシステム: 複数の敵が入り乱れる戦場でも、ロックオン機能を使えばターゲットを固定し、正確な射撃が可能です。ロックオンしたまま高速移動する、という独特の操作感は、慣れるまで少し戸惑うかもしれませんが、慣れると非常に快適です。
  • 武器の瞬時切り替え: アーセナルは左右の腕、左右の肩に合計4つの武器を同時に装備でき、さらに予備として左右に2つずつ(合計4つ)持ち運ぶことができます。これらの武器はボタン一つで瞬時に切り替えることが可能。ライフルで牽制しつつ、接近してきた敵にブレードで斬りかかる、遠距離の敵にはミサイルを、といったように、状況に応じて多彩な武器を使い分ける戦術が楽しめます。
  • 操作感の「癖」と「慣れ」: Daemon X Machinaの操作感は、他のロボットゲームやアクションゲームとは一線を画す独特なものです。特に、ロックオンしながらの移動や、ブースト・ドッジを駆使した立体機動は、最初は思い通りに動かせず、難しく感じるかもしれません。しかし、練習を重ねて操作に慣れてくると、アーセナルがまるで手足のように動き、戦場を自由に駆け巡る爽快感は他のゲームでは味わえないものです。この「慣れるまでの壁」を越えられるかどうかが、本作を楽しめるかどうかの大きな分かれ道になるでしょう。

機体カスタマイズ(アーセナル) – 自分だけの最強の相棒を作り出す!

Daemon X Machinaのもう一つの大きな魅力は、その尋常ではないカスタマイズの自由度です。アーセナルは、頭部、胴体、腕部、脚部といった主要パーツから、装備する武器、補助装備、そしてカラーリングやデカールに至るまで、細部にわたって自分好みにカスタマイズできます。

  • パーツ変更による性能変化:
    • 頭部: 主にロックオン性能、レーダー性能、システム系の性能に影響。
    • 胴体: 主に防御力、積載量、出力(エネルギー容量)に影響。
    • 腕部: 主に射撃精度、近接攻撃力に影響。
    • 脚部: 主に移動速度、ブースト速度、旋回性能、積載量に影響。
      各パーツには様々な種類があり、例えば防御力は高いが積載量が低い胴体や、高速移動できるが防御力が低い脚部など、それぞれに異なる特徴があります。これらのパーツを組み合わせることで、機体の基本性能が大きく変化し、自身のプレイスタイルに合った機体を作り上げることができます。
  • 豊富な武器の種類:
    アーセナルが装備できる武器は非常に多彩です。

    • 射撃武器: アサルトライフル、スナイパーライフル、ショットガン、ガトリングガン、レーザーライフル、プラズマキャノン、バズーカ、グレネードランチャーなど。
    • ミサイル武器: 多様なホーミングミサイル、レーザー誘導ミサイル、クラスターミサイルなど。
    • 近接武器: ブレード、チェーンソー、ハンマー、シールドなど。
    • 特殊武器: 各種シールド、回復キット、デコイなど。
      これらの武器にはそれぞれ異なる性能(攻撃力、射程、弾速、連射速度、リロード速度、衝撃力など)があり、さらに同じ種類の武器でもメーカーやレアリティによって性能が異なります。どの武器を左右の腕、左右の肩に装備し、予備として持ち込むか、その組み合わせは無限大です。
  • 補助装備とリグ:
    肩部に装備する補助装備や、機体に装着するリグは、特殊な能力を付与します。例えば、ターゲットを自動追尾するサポートドローン、一定時間攻撃力を上げるブースト、シールドを生成するフィールドなど、戦術の幅を広げる重要な要素です。
  • カラーリング、エンブレム、デカール:
    性能だけでなく、見た目も徹底的にカスタマイズ可能です。機体の各パーツの色を自由に設定したり、オリジナルのエンブレムを作成して貼り付けたり、デカールで装飾したりと、文字通り「自分だけの」アーセナルを作り上げることができます。この見た目のカスタマイズの楽しさは、多くのプレイヤーが夢中になる要素です。
  • 剥奪(プルバック)システム:
    敵のアーセナルを破壊した際、その敵が装備していた武器やパーツを即座に奪って使用できるシステムです。ミッション中に弾切れになったり、強力な敵から奪った武器を試したりと、緊急時や戦術的な選択肢として活用できます。奪った装備はミッションクリア後に持ち帰ることも可能です。

これらのカスタマイズ要素は非常に深く、単にパーツを付け替えるだけでなく、機体の「積載量」や「出力」といったパラメータを考慮しながら、武器や装備の組み合わせを考える必要があります。重すぎるパーツや武器を装備すると機動力が落ちたり、エネルギーがすぐに枯渇したりします。逆に軽すぎると防御力が不安になります。自身のプレイスタイルや挑むミッションに合わせて、最適なビルドを試行錯誤する楽しさは、Daemon X Machinaの最大の醍醐味と言えるでしょう。

パイロット強化(アウター) – 人間を超えた能力を持つ傭兵

プレイヤーキャラクターであるアウターも、カスタマイズ要素があります。

  • 身体改造(サイバネティクス): ゲームを進行させると、アウターの身体を改造し、能力を強化できるようになります。腕の筋力強化による近接攻撃力アップ、脚部の強化による地上移動速度アップ、視覚センサー強化によるロックオン性能アップ、さらには腕をビーム砲に変形させる、一定時間光学迷彩で姿を消す、高速飛行能力を得るなど、人間離れした特殊能力を獲得することも可能です。
  • 外観カスタマイズ: 改造によってアウターの見た目が変化する(機械の腕が生える、目が光るなど)だけでなく、髪型、顔のパーツ、服装などを自由にカスタマイズできます。拠点ではアーセナルから降りたアウターの姿で行動するため、こちらにも愛着が湧きます。

このアウターの身体改造は、アーセナルの性能を補完したり、あるいはアウター自身の能力でピンチを切り抜けたりと、戦闘における新たな選択肢を与えてくれます。アーセナルとアウター、二重のカスタマイズによって、より自分らしいプレイスタイルを追求できます。

ミッションの種類と巨大ボス戦(コロッサル)

ゲームの進行は、基本的に様々なミッション(オーダー)を受注し、クリアしていく形で行われます。ミッションには以下のような種類があります。

  • 戦闘ミッション: 特定の敵インモータル部隊を殲滅する、指定されたターゲット(施設や敵の指揮官機など)を破壊するといった、最も基本的なミッション。
  • 防衛ミッション: 特定の施設や目標地点を、敵インモータルから守り抜くミッション。
  • 調査・収集ミッション: 特定のエリアを探索し、情報を収集したり、アイテムを回収したりするミッション。
  • 対アウター戦: 他の傭兵(敵対するアウター)や、ストーリー上で因縁のあるキャラクターとの戦闘。プレイヤーと同等かそれ以上のアーセナルを操るため、一対一の緊張感あるバトルが楽しめます。
  • 巨大ボス戦(コロッサル): 各チャプターのクライマックスなどに登場する、画面を埋め尽くすほどの巨大なインモータル兵器との戦闘。コロッサルは通常のインモータルとは比較にならないほどの耐久力と強力な攻撃を持ち、その巨体ならではの迫力ある戦闘が楽しめます。特定の部位を破壊して弱点を露出させたり、機動力を活かして懐に潜り込んだりと、戦略的な立ち回りが必要です。

これらのミッションをこなしていくことで、ストーリーが進行し、新たなエリアや強力な敵、そしてより高性能なパーツや武器が解放されていきます。特に巨大ボス戦は、そのスケール感と強敵感でプレイヤーの意欲を刺激します。

マルチプレイ

Daemon X Machinaはオンラインマルチプレイにも対応しています。

  • 協力プレイ: ストーリーミッションや、マルチプレイ専用のミッションを、最大4人のプレイヤーで協力して攻略できます。強敵や難易度の高いミッションも、仲間と役割分担して挑めばクリアしやすくなります。
  • 対戦プレイ: 最大4人のプレイヤーで、アーセナル同士のバトルを楽しめます。自分のカスタマイズしたアーセナルの性能や、自身の操縦スキルを他のプレイヤーと競い合うことができます。

ソロプレイでストーリーを進めるのも楽しいですが、仲間と一緒に強敵に挑んだり、他のプレイヤーと腕前を競ったりと、マルチプレイによってゲームの楽しみ方がさらに広がります。


第3部: Daemon X Machinaの評価ポイント – ここが面白い!中毒性のある魅力

さて、これまでの説明を踏まえて、Daemon X Machinaの多くのプレイヤーが「面白い!」と感じる、特に評価の高いポイントを深掘りしていきます。

圧倒的なカスタマイズ性 – ロマンを形にする喜び

これは間違いなくDaemon X Machina最大の魅力です。メカ好きにとって、自分だけのオリジナル機体を組み立てるという行為は、何物にも代えがたい喜びがあります。

  • 性能ビルドの奥深さ: 「この武器をメインに使うなら、積載量に余裕があって、腕部の精度が高いパーツが良いかな」「もっと接近戦を挑みたいから、防御力が高い胴体と、ブースト性能が高い脚部を選ぼう」「アウターの身体改造で飛行能力をつけたから、エネルギー効率の良い胴体がいいか」といったように、自身の戦術やプレイスタイルに合わせて、頭部、胴体、腕部、脚部、武器、補助装備、リグ、アウター能力といった多層的な要素を組み合わせてビルドを考えるのは非常に楽しい作業です。ミッションクリアで新しいパーツや武器を手に入れるたびに、「これを組み込んだらどうなるだろう?」とワクワクし、すぐにハンガーに戻って試したくなります。
  • 見た目カスタマイズの自由度: 性能だけでなく、見た目にも徹底的にこだわれる点が素晴らしいです。パーツの形状はもちろんのこと、全身のあらゆる箇所の色を細かく設定できます。ミリタリー風のリアルな配色から、アニメロボットのような派手なカラーリング、あるいは自分の好きな色で統一したりと、本当に自由自在です。さらに、オリジナルのエンブレムをデザインして貼り付けたり、デカールで模様をつけたりと、唯一無二のアーセナルを作り上げられます。「カッコいい」や「可愛い」だけでなく、「ネタに走る」ことも可能です。この見た目カスタマイズに何時間でも費やしてしまうプレイヤーも少なくありません。
  • 試行錯誤の楽しさ: 新しいビルドを組んでミッションに挑み、上手くいかなかったらハンガーに戻って調整する、この試行錯誤のサイクルが中毒性があります。特定の敵に苦戦したら、「この敵にはこの武器が有効らしいから、それを装備できるビルドに組み替えよう」と考えたり、「もっと機動力を上げて攻撃を避けやすくしよう」とパーツを変更したりと、常に改善の余地があり、その過程自体がゲームプレイの楽しみとなります。

自分自身が設計者となり、パイロットとしてそれを操る。この一体感が、Daemon X Machinaのカスタマイズの面白さを際立たせています。手に入れたパーツが、単なる数字の羅列ではなく、愛着のある「相棒」を形作る一部となるのです。

爽快な高速戦闘 – 戦場を舞う鋼鉄の鷹

カスタマイズで作り上げたアーセナルを操る戦闘は、慣れが必要な操作をマスターした先にある、格別の爽快感があります。

  • 立体機動の自由さ: 地上を滑るように移動しつつ、必要に応じて瞬時に空中に舞い上がり、敵を見下ろしながら射撃する。敵の攻撃が来たらブーストやドッジで素早く回避し、別の角度から反撃する。この縦横無尽な動きは、他のゲームではなかなか味わえません。特に複数の敵に囲まれた状況で、高速移動とドッジを駆使して攻撃を捌きながら反撃できた時の気持ちよさは格別です。
  • 武器切り替えとコンボ: 左右の腕と肩に装備した合計4つの武器を瞬時に切り替えながら攻撃する戦闘スタイルは、非常にスピーディーで戦術的です。例えば、遠距離からミサイルを連射してシールドを破壊し、ブレードで接近して連続攻撃、敵がダウンしたらバズーカを叩き込む、といったコンボのような戦術を即興で組み立てられます。プレイヤーの判断力と操作スキルがダイレクトに戦闘に反映されるため、やりがいがあります。
  • 敵機を破壊する手応え: 敵のアーセナルやインモータルを破壊した時の爆発エフェクトや、パーツが吹き飛ぶ演出は派手で爽快です。特に、強力な武器で敵を一撃で粉砕できた時や、精密射撃で敵の弱点を的確に狙い撃ちできた時には、大きな達成感があります。

この高速でアクロバティックなアクションは、Mechwarriorシリーズのようなシミュレーション寄りのメカゲームとも、Armored Coreシリーズのようなリアル寄りのアクションとも異なる、Daemon X Machina独自の魅力です。アニメロボットのようなケレン味のある動きと、それをプレイヤー自身が実現できる操作感が、多くのプレイヤーを惹きつけます。

豊富な武器と戦術の幅広さ – 同じミッションでも遊び方は色々

前述のカスタマイズにも関連しますが、使用できる武器の種類が非常に豊富なため、一つのミッションに対しても様々なアプローチで挑むことができます。

  • ビルドによる戦術の変化:
    • 近接特化型: 高速移動と近接武器で敵に張り付き、一気に仕留めるスタイル。
    • 遠距離砲撃型: スナイパーライフルやバズーカ、ミサイルなどで遠距離から安全に攻撃するスタイル。
    • オールラウンダー型: ライフルと近接武器、ミサイルなどをバランス良く装備し、あらゆる状況に対応できるスタイル。
    • 特殊戦術型: シールドや回復装備、デコイなどを駆使して、支援や生存に特化したスタイル。
      どのビルドでミッションに挑むかで、戦闘の展開は全く変わってきます。あるミッションで近接特化型で苦戦したけれど、遠距離砲撃型に切り替えたらあっさりクリアできた、といった経験もよくあります。
  • 敵や状況に合わせた武器選択: 敵の装甲が硬いなら徹甲弾を持つライフル、シールドが強力ならそれを貫通するレーザー兵器、動きが速い敵にはホーミングミサイル、集団で襲ってくる敵には広範囲攻撃ができるバズーカやグレネードランチャーなど、敵の種類や戦場の状況に応じて最適な武器を選択し、瞬時に切り替える判断力が求められます。
  • アウター能力との組み合わせ: アウターの身体改造で得られる特殊能力も戦術に影響を与えます。光学迷彩で敵の目を欺きつつ接近する、飛行能力で空中から一方的に攻撃する、といったアウターならではの戦術も加わることで、さらに戦術の幅が広がります。

このように、プレイヤーの工夫次第で多彩な戦術を生み出せる点が、Daemon X Machinaの戦闘システムを奥深くしています。強力な装備を集めるだけでなく、それをどう組み合わせ、どう運用するかを考えることが、攻略において非常に重要になります。

魅力的な世界観とキャラクター – 傭兵たちの生き様

ポストアポカリプス、巨大ロボット、特殊能力を持つ人間たちといった要素が絡み合った世界観は、ロボットアニメやSF作品が好きな人にはたまらない魅力があります。

  • 個性豊かな傭兵たち: 主人公が所属するレイヴンズ以外にも、様々な傭兵団が登場します。それぞれの傭兵たちは、過去に様々な事情を抱えていたり、ユニークな性格をしていたりと、非常に個性的です。彼らとの出会いや、時には協力し、時には敵対するといったドラマが、物語を彩ります。
  • 独特のアニメ調グラフィック: キャラクターデザインはコザキユースケ氏(ファイアーエムブレム覚醒/ifなど)が担当しており、メカデザインは河森正治氏(マクロスシリーズなど)が監修しています。この豪華布陣が生み出す、メカとキャラクターのアニメ調グラフィックは、ゲームの世界観とマッチしており、独特の雰囲気を作り出しています。特に、アーセナルやキャラクターの質感表現は丁寧で、魅力的です。
  • BGM: 拠点での落ち着いた曲、ミッション中の緊迫感のある戦闘曲、巨大ボス戦での盛り上がる曲など、BGMもゲームの世界観を盛り上げる重要な要素です。特に戦闘中のBGMは、ハイスピードなアクションと相まって、プレイヤーのテンションを高めてくれます。

ストーリーは少し断片的な語り口ではありますが、謎に包まれた世界の真実や、個性的なキャラクターたちの思惑が少しずつ明らかになっていく過程は、プレイヤーの好奇心を刺激します。


第4部: 惜しい点・改善を期待したい点 – 全てのプレイヤーが楽しめるわけではない?

多くの魅力を持つDaemon X Machinaですが、人によっては気になるであろう、あるいは改善を期待したい点もいくつか存在します。これらの点が、評価の分かれる要因となっている可能性が高いです。

ストーリーの評価の分かれ目 – 世界観は良いのに…

前述の通り、世界観や登場キャラクターは魅力的です。しかし、ストーリーの展開や語り口に関しては、プレイヤーによって評価が分かれる傾向があります。

  • 断片的な語り口: ストーリーは、ミッション開始前のブリーフィングや、ミッション中、ミッションクリア後の短い会話シーンなどで語られることが多いです。情報の提示が断片的で、全体の流れやキャラクターの心情が掴みにくいと感じるプレイヤーもいます。物語に没入するには、プレイヤー側である程度想像力を働かせる必要があるかもしれません。
  • キャラクター描写の偏り: 個性的なキャラクターは多数登場するものの、一部の主要キャラクター以外は、深く掘り下げられることが少ないです。魅力的なビジュアルや設定を持つキャラクターでも、ゲーム中での出番が少なく、感情移入しにくい場合があります。
  • 盛り上がりに欠ける部分: ストーリーの序盤や中盤では、単調なミッションが続くことがあり、物語の大きな動きが少なく感じられるかもしれません。後半になるにつれて盛り上がりは増しますが、そこまでたどり着く前に飽きてしまう人もいるかもしれません。

「アーマードコア」シリーズのような、プレイヤーが世界の歯車として働くというスタンスや、情報が全ては語られないというスタイルが好きな人には受け入れられやすいかもしれませんが、ストーリーでグイグイ引っ張ってほしいタイプのプレイヤーには、物足りなさを感じる可能性があります。

ミッションの繰り返し感 – 作業に感じてしまうことも

ゲームサイクル上、何度もミッションをクリアして装備を集めることが求められます。しかし、ミッションの種類がそこまで豊富ではなく、特に序盤から中盤にかけては、同じような内容の戦闘ミッションを繰り返し行うことが多くなります。

  • 基本的な構造の単調さ: 「指定された敵を全て倒す」「目的地まで移動してターゲットを破壊する」といった基本的なミッション構造が多いため、フィールドの景観や敵の種類が変わっても、やっていることは同じように感じてしまうことがあります。
  • ハクスラ要素との兼ね合い: 強力な装備を手に入れるためには、特定のミッションを周回する必要が出てきます。これが「装備集めの楽しさ」と感じられるか、「単なる作業」と感じてしまうかは、プレイヤーのハクスラゲームに対する耐性によるところが大きいでしょう。

後半になるにつれて、巨大ボス戦や複雑な構造のミッションも増えてきますが、それまでは少し我慢が必要かもしれません。

巨大ボス戦の戦略性 – 見た目の迫力はあるけれど…

巨大ボス「コロッサル」は、その圧倒的なスケールと迫力でプレイヤーを魅了します。しかし、戦闘システムに関しては、少し単調に感じてしまうプレイヤーもいます。

  • 攻撃パターンの読みやすさ: コロッサルの攻撃パターンは比較的読みやすく、一度動きを把握してしまえば、回避や攻撃のタイミングを掴みやすくなります。そのため、戦闘がパターン化しやすく、「巨大な的を攻撃しているだけ」のように感じてしまうことがあります。
  • 弱点部位の狙いやすさ: 多くの場合、特定の弱点部位を集中攻撃することで効率的にダメージを与えられます。これにより戦略性が生まれる一方で、弱点を露出させるプロセスが単純だったり、弱点部位を破壊した後は単にHPを削るだけの作業になってしまったりする場合があります。

見た目のインパクトは絶大で、初めて巨大ボスに遭遇した時の感動は大きいですが、何度も戦うことになるボスに関しては、もう少し複雑なギミックや、プレイヤーの機動力を最大限に活かせるような戦闘システムがあっても良かったかもしれません。

UI・操作性の癖 – 初見殺し?

前述の通り、Daemon X Machinaの操作感は独特で、慣れるまでに時間がかかります。これは慣れれば面白さに繋がる部分ですが、最初のハードルとして立ちはだかります。

  • 独特のボタン配置: 特にコントローラーでの操作は、他のゲームではあまり見られないボタン配置や、複数のボタンを組み合わせる操作が多いです。チュートリアルはありますが、スムーズに動かせるようになるには、かなりの練習が必要です。
  • メニュー画面の分かりにくさ: ハンガーでのカスタマイズメニューなども、最初はどこに何があるのか分かりにくく、目的の項目にたどり着くまでに手間取る場合があります。特に膨大なパーツや武器の中から目的のものを探すのは、慣れるまで時間がかかるかもしれません。

これらのUIや操作性の癖は、ゲームの導入部分での印象を悪くしてしまう可能性があります。体験版などで事前に操作感を試しておくことを強くおすすめします。

グラフィック – アニメ調は良いが、技術的な粗も

アニメ調のグラフィックは世界観とマッチしており、独特の魅力があります。しかし、最新のAAAタイトルなどと比較すると、グラフィックの技術的な部分で見劣りする点も指摘できます。

  • テクスチャやモデリングの粗さ: 特に背景の建物や地面など、一部のオブジェクトのテクスチャやモデリングが簡素に感じられる部分があります。
  • エフェクトの派手さ vs 細かさ: 爆発やビームのエフェクトは派手で迫力がありますが、細かい質感やライティングの表現などは、もう少し頑張ってほしかったという声もあります。

これらの点は、ゲーム全体の雰囲気を損なうほどではありませんが、より高いグラフィック品質を求めるプレイヤーにとっては、少し残念に感じるかもしれません。ただし、Nintendo Switchというプラットフォームの制約もあったことを考慮する必要があります(PC版では多少改善されています)。


第5部: どんな人におすすめ? – あなたは鋼鉄の傭兵に向いているか?

これまでの解説を踏まえて、Daemon X Machinaがどんな人に特におすすめできるゲームなのかを見ていきましょう。

  • メカゲーム、ロボットアニメが好きな人: これは最も重要な条件です。アーセナルという巨大ロボットを操縦する、パーツを組み替えて自分だけの機体を作り出す、といったメカならではの要素に魅力を感じる人なら、間違いなく楽しめる可能性が高いです。
  • 機体カスタマイズにこだわりたい人: 性能や見た目など、細部にわたって機体をカスタマイズするのが好きな人にとっては、Daemon X Machinaはまさに天国のようなゲームです。無限とも思える組み合わせの中から、最高のビルドを考えるのが楽しいと感じる人におすすめです。
  • 高速で飛び回るアクションが好きな人: 地上を滑るように移動し、空中を自由に飛び回り、敵の攻撃を高速回避で避けながら戦う、この独特のスピード感と立体的なアクションに惹かれる人におすすめです。操作に慣れるまでのハードルはありますが、その先に待つ爽快感は格別です。
  • ハクスラ的な要素(装備集め)が好きな人: 強い装備やレアなパーツを求めてミッションを周回するのが苦にならない、むしろそういった作業に中毒性を感じるタイプのプレイヤーにおすすめです。強力な敵から思わぬ強力な装備が手に入ることもあり、その時の喜びは大きいです。
  • 独特の世界観に惹かれる人: ポストアポカリプス、AIの反乱、超能力を持つ人間、そして巨大ロボット。これらの要素が混じり合った、少しダークで独特な世界観に魅力を感じる人におすすめです。
  • 多少の難しさや癖を楽しめる人: 操作の癖や、一部のミッション・ボスの難易度など、完璧ではない部分も受け入れ、それを乗り越える過程を楽しめるプレイヤーに向いています。完璧なゲームバランスやスムーズなUIを求める人には、少しストレスになるかもしれません。

逆に、以下のような人には、もしかすると合わない可能性があります。

  • リアルなロボットシミュレーションを求める人: Daemon X Machinaは、シミュレーションよりもアクション性と爽快感を重視したゲームです。重量感のあるリアルなロボット挙動を期待する人には、軽快すぎる動きに違和感を覚えるかもしれません。
  • ストーリー重視で、濃厚な物語を求める人: ストーリーが完全に悪いわけではありませんが、語り口が断片的で、キャラクター描写も深掘りされない部分があるため、物語への没入感を最優先する人には物足りなく感じる可能性があります。
  • 簡単な操作でサクサク進めたい人: 操作に慣れるまでに時間がかかるため、複雑な操作が苦手な人や、すぐに爽快なアクションを楽しみたい人には、序盤で挫折してしまう可能性があります。

第6部: 購入を検討している人へ – 買うべきか?

Daemon X Machinaは、非常に尖った魅力を持つゲームです。その魅力が刺さる人にはとことん刺さり、中毒的に楽しめる一方で、合わない人には全く響かない、といった「人を選ぶゲーム」と言えます。

もしあなたが、

  • 「メカを自由にカスタマイズしてみたい!」
  • 「高速で飛び回って敵を撃破したい!」
  • 「多少操作が難しくても、慣れた時の爽快感を味わいたい!」
  • 「装備集めに没頭するのが好きだ!」

といった要素に強く惹かれるのであれば、Daemon X Machinaは「買い」の候補に強く入るでしょう。特に、かつて「アーマードコア」シリーズに熱中した経験がある人や、ロボットアニメを見て「自分もあんなロボットを動かしたい!」と思ったことがある人には、ぜひ一度体験してほしいタイトルです。

しかし、もしあなたが、

  • 「難しい操作は苦手だ…」
  • 「ストーリーが浅いゲームは嫌だ…」
  • 「同じようなミッションの繰り返しは飽きてしまう…」

と感じるのであれば、購入は慎重に検討した方が良いかもしれません。

購入を迷っているなら、まずは体験版をプレイすることを強くおすすめします。 特にNintendo Switch版には、製品版に引き継ぎ可能な無料体験版が配信されています(記事執筆時点)。この体験版をプレイすることで、Daemon X Machinaの核となる「高速メカアクション」と「カスタマイズ」の雰囲気を掴むことができます。操作感が自分に合うか、アクションが面白いと感じるか、カスタマイズの楽しさが理解できるか、といった点を確認するのに最適です。

また、発売から時間が経っているため、セール価格になる機会も多くあります。もしフルプライスでの購入に躊躇するのであれば、セール時期を狙うのも賢い選択肢です。

さらに、本作には続編である「DAEMON X MACHINA: TITANFALL」(Steam/Epic Gamesストア)が発表されています。前作の要素を引き継ぎつつ、様々な点がパワーアップしていると期待されています。もし本作をプレイして気に入ったのであれば、続編の情報もチェックしてみると良いでしょう。


第7部: 総評・まとめ – 鋼鉄の浪漫、ここにあり

Daemon X Machinaは、万人受けするタイプのゲームではありません。ストーリーやミッション構成に粗が見られる点、操作に独特の癖がある点など、改善の余地がある部分も確かに存在します。

しかし、それらの欠点を補って余りあるほどの、強烈な「尖った魅力」を持ったゲームです。

「圧倒的な機体カスタマイズ」と「慣れると病みつきになる高速メカアクション」。 この二つの要素が、Daemon X Machinaを他のメカゲームとは一線を画す存在にしています。自分だけのデザインと性能を持つアーセナルを作り上げ、それを意のままに操り、戦場を駆け巡る爽快感は、このゲームでしか味わえない特別な体験です。

メカが好き、カスタマイズが好き、高速アクションが好き。これらの要素に一つでもピンとくるものがあれば、Daemon X Machinaはあなたのゲーマー魂を強く揺さぶる可能性を秘めています。

「面白いかどうか」の答えは、最終的にはあなたの好みによります。しかし、この記事で解説した魅力に共感できたのであれば、ぜひ一度、この鋼鉄の浪漫が詰まった世界に飛び込んでみてください。きっと、忘れられない戦場体験があなたを待っているはずです。そして、このシリーズがこれからどのように進化していくのか、続編への期待も込めて、Daemon X Machinaのレビューを締めくくりたいと思います。

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