はい、承知いたしました。
OLYMPUS PEN-Fのレビュー記事を約5000語で執筆します。モノクローム撮影に焦点を当て、詳細な説明と作例イメージを含めて記述します。
【作例あり】OLYMPUS PEN-F レビュー モノクローム好き必見のカメラ
はじめに:PEN-F、それは単なるカメラではない。写真への情熱を掻き立てるパートナーだ。
初めてOLYMPUS PEN-Fを手に取ったときの衝撃は忘れられない。それは、最新のデジタルカメラとは思えないほど、温かく、どこか懐かしい、まるで長い歴史を持つ工芸品のような佇まいだった。そして、その中に秘められた圧倒的な表現力、特にモノクロームへの深い造詣を知るにつけ、このカメラが単なる「写る道具」ではないことを確信するに至った。PEN-Fは、写真を撮るという行為そのものを、より深く、より情熱的なものへと変えてくれる、稀有な存在なのだ。
デジタルカメラが全盛の現代において、多くのメーカーが画素数や連写速度、動画性能といったスペック競争に明け暮れている。もちろん、それらはカメラの進化を示す重要な要素であり、特定の撮影においては不可欠な性能だ。しかし、写真の本質が、光と影、被写体と背景、そして撮影者の内面を切り取る行為であるならば、道具には単なる高性能を超えた、感性に訴えかける何かが必要なのではないか。PEN-Fは、まさにその「何か」を凝縮したカメラだと私は思う。
特に、モノクロームの世界に魅せられた人々にとって、PEN-Fはまさに運命的な出会いとなるだろう。その理由は、他では類を見ない「モノクロームプロファイルコントロール」機能にある。この機能は、単にカラー情報を抜くだけのモノクロ写真とは一線を画し、まるでフィルムの種類を選ぶように、あるいは暗室で現像テクニックを駆使するように、多彩なモノクロ表現をカメラ内で行うことを可能にする。
この記事では、私が愛用するこのPEN-Fというカメラについて、その魅力を余すところなくお伝えしたいと思う。美しい外観、優れた基本性能はもちろん、その核となるモノクローム表現の世界、そして実際にこのカメラでどのような写真が生まれるのかを、詳細な説明と作例イメージを交えながら深く掘り下げていく。もしあなたが、クラシックなデザインのカメラが好きで、モノクロームの世界に強く惹かれているなら、この記事が、あなたとPEN-Fとの新たな物語を始めるきっかけになれば幸いだ。
この記事を通して、あなたはPEN-Fがなぜモノクローム好きにとって必見なのか、その理由を明確に理解できるだろう。さあ、PEN-Fの魅力的な世界への扉を開こう。
1. PEN-Fの魂を宿す外観とデザイン:所有する喜びを解き放つ
PEN-Fを語る上で、まず触れなければならないのはその圧倒的に美しい外観だ。それは、現代のカメラデザインとは一線を画す、クラシックなレンジファインダースタイルを継承している。フィルム時代の名機、ハーフサイズカメラの元祖である初代「PEN F」(デジタルではない)へのオマージュであり、そのデザインDNAが現代に蘇ったかのような佇まいだ。
カメラを手に取ると、まずその質感に驚かされる。ボディの天面や前面にはマグネシウム合金が惜しみなく使われており、ひんやりとした金属の感触が手に心地よい。一般的なデジタルカメラのようなプラスチックの外装とは全く異なる、まさに「道具」としての、そして「工芸品」としての品格を感じさせるビルドクオリティだ。ダイヤル類も金属製で、カチカチとしたクリック感も上質。細部に至るまで妥協なく作り込まれており、眺めているだけでもため息が出るほどの美しさがある。
特筆すべきは、正面左肩に配置されたクリエイティブダイヤルだ。これは単なるモードダイヤルではなく、PEN-Fのアイデンティティとも言えるモノクロームプロファイルやカラープロファイル、アートフィルターなどを瞬時に切り替えるための特別なダイヤルだ。このダイヤルが、まるでフィルムカメラの巻き戻しクランクのように配置されている点も、デザインへのこだわりを感じさせる。単なる操作部品ではなく、デザインの一部として、あるいはカメラの「顔」として存在感を放っている。
ボディサイズは、マイクロフォーサーズシステムのアドバンテージを活かし、非常にコンパクトにまとまっている。レンズを装着しても、一眼レフカメラと比べれば圧倒的に小さく、バッグの中に忍ばせても邪魔にならない。この携帯性の高さも、PEN-Fがスナップシューターとして優れている所以だ。街歩きや旅先での撮影において、常に気軽に持ち出せるサイズ感は、撮影の機会を増やしてくれる。
また、ボディ前面には初代PEN Fのロゴが刻印されている。このロゴが、単なるブランド名ではなく、そのデザインに込められた歴史と哲学を雄弁に物語っているかのようだ。細部に宿るこだわり、上質な素材、そして歴史への敬意。これらが一体となり、PEN-Fは単なる電子機器ではなく、使う人の所有欲をこれでもかと満たしてくれる存在となっている。カメラを眺め、触れること自体が、PEN-Fとの写真体験の一部なのだ。
多くのデジタルカメラが機能性を追求するあまり、無機質なデザインになりがちな中で、PEN-Fは異彩を放っている。それは、単に過去のデザインを模倣しただけでなく、現代のデジタルカメラとして必要な操作性や機能性を両立させながら、写真への情熱を形にしたデザインと言えるだろう。この美しいカメラを手にすることで、撮影者のモチベーションは間違いなく向上する。まさに「デザインで撮らせる」カメラなのだ。
2. PEN-Fの基本的な性能:クラシックな見た目に秘められた確かな実力
クラシックな外観を持つPEN-Fだが、その中身は現代のデジタルカメラとして十分な基本性能を備えている。以下に主要なスペックと機能を挙げる。
- センサー: 20M Live MOSセンサー
- マイクロフォーサーズとしては初めての2000万画素センサーを搭載。これまでの1600万画素センサーから解像度が向上し、より細部まで描写可能になった。特にモノクロームでは、解像度が高いほど質感やディテールが際立つため、この高画素化は大きなメリットだ。
- 画像処理エンジン: TruePic VII
- 当時の最新世代の画像処理エンジンを搭載。高速処理と優れたノイズリダクション性能を実現している。後継機種はTruePic VIII以降を搭載しているため、現行機と比較すると世代は古くなるが、PEN-Fが発売された時点では十分な性能だった。
- 手ぶれ補正: 5軸VCM手ぶれ補正
- オリンパス(現OMデジタルソリューションズ)の強みである強力なボディ内手ぶれ補正を搭載。 Yaw/Pitch/Rollの回転に加え、上下/左右の並進ブレにも対応する5軸補正により、レンズを選ばずに最大5段分(CIPA準拠)の手ぶれ補正効果を発揮する。低速シャッターでの撮影や、暗所での手持ち撮影において、非常に強力な武器となる。特にスナップ撮影では、この強力な手ぶれ補正が決定的な瞬間を逃さないために役立つ。
- ファインダー: 236万ドット EVF (電子ビューファインダー)
- 高精細なEVFを搭載。視野率は約100%。光学ファインダーのような遅延のない表示に加え、露出補正やホワイトバランス、そしてモノクロームプロファイル適用後のイメージをリアルタイムで確認できるのがEVFのメリットだ。特にモノクロームプロファイルを使いこなす上では、このEVFで最終的なイメージを確認しながら撮影できることが非常に重要となる。ただし、最新世代のEVFと比べると、解像度や応答性、ダイナミックレンジの表示性能などでは劣る点もある。
- 背面液晶: 3.0型 約104万ドット バリアングル液晶
- 自由なアングルでの撮影を可能にするバリアングル液晶を搭載。ハイアングルやローアングルでの撮影はもちろん、自撮りにも対応する。使わない時は反転させて液晶面を保護することも可能で、これはデザインを損なわずに液晶を守るという点でPEN-Fらしい配慮と言える。タッチパネル操作にも対応しており、AFポイントの指定なども直感的に行える。
- ISO感度: ISO LOW (約80相当) – 25600
- 常用ISO感度としては十分な範囲をカバー。高感度撮影におけるノイズ耐性は、当時のマイクロフォーサーズとしては優秀な部類に入るが、フルサイズセンサー搭載機などと比較するとノイズは出やすい傾向にある。ただし、モノクロームプロファイルにグレイン(粒子感)を加える設定があるため、多少のノイズを積極的に表現として活かすことも可能だ。
- シャッタースピード: 最高1/8000秒 (メカシャッター) / 最高1/16000秒 (電子シャッター)
- 明るい単焦点レンズを絞り開放で使いたい場合や、動きの速い被写体を写し止めたい場合に有効な高速シャッターを備えている。
- 連写性能: 最大約10コマ/秒 (メカシャッター時) / 最大約20コマ/秒 (電子シャッター時)
- 動体撮影にも対応できる十分な連写性能を持つ。
- AFシステム: 81点測距 オートフォーカス
- 高速・高精度なAFシステムを搭載。スナップ撮影や動きのあるポートレートなど、様々なシーンで快適なAF性能を発揮する。
これらの基本性能は、PEN-Fが単なるデザイン先行のカメラではなく、写真機としての確かな実力を備えていることを示している。特に20MPセンサーと強力な5軸手ぶれ補正は、現代の撮影環境においても十分通用する性能だ。しかし、PEN-Fの真価は、これらの基本性能を土台として、後述するクリエイティブな表現機能が加わることで初めて発揮される。
3. PEN-Fの核:モノクロームプロファイルコントロールの世界へようこそ
PEN-Fが他のカメラと一線を画す最大の理由、そしてモノクローム好きにとって必見たる所以は、この「モノクロームプロファイルコントロール」機能にある。これは、単にメニューからモノクロームを選ぶだけではない。カメラ正面のクリエイティブダイヤルを「MONO」に合わせることで起動する、全く新しいモノクローム表現のためのエンジンだ。
ダイヤルを「MONO」に合わせると、EVFや背面液晶の表示がモノクロームに切り替わる。そして、背面にはモノクロームプロファイルコントロールのための専用UIが表示される。ここから、以下の項目を直感的に調整できる。
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モノクロームプロファイル (PROF):
- PEN-Fには、デフォルトでいくつかのモノクロームプロファイルが搭載されている。これらは、まるで異なる種類のモノクロフィルムを使っているかのように、コントラストや階調、粒子の表現が異なる。
- モノクロームプロファイル1 (Default): PEN-Fの標準的なモノクロプロファイル。バランスの取れた階調表現で、幅広いシーンに対応する。シャープネスが高めで、ディテールが際立ちやすい印象。
- モノクロームプロファイル2 (Classic Film Style): よりクラシックな、古いフィルムのような表現を目指したプロファイル。コントラストがやや高めで、ハイライトとシャドウの差が強調される傾向がある。よりドラマチックな表現に適している。
- これらのプロファイルはさらに細かくカスタマイズ可能で、自分だけのオリジナルプロファイルを作成し、最大9つまで登録できる。
- PEN-Fには、デフォルトでいくつかのモノクロームプロファイルが搭載されている。これらは、まるで異なる種類のモノクロフィルムを使っているかのように、コントラストや階調、粒子の表現が異なる。
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カラーフィルター効果 (FILTER):
- モノクローム撮影において、カラーフィルターは特定の色を明るくしたり暗くしたりすることで、写真のコントラストやトーンを調整する重要なツールだ。PEN-Fでは、デジタルの力でこのフィルター効果を再現できる。
- NONE: フィルター効果なし。
- Ye (イエロー): 青空や緑を自然に暗くする。人物の肌を滑らかに見せる効果も。
- Or (オレンジ): イエローより強く、青空をより暗くし、雲の白さを強調する。コントラストが高まる。
- R (レッド): 最も強い効果。青空を非常に暗くし、ドラマチックな雰囲気を生み出す。赤系の色は明るくなる。風景写真などで印象的な空を表現したい場合に有効。
- G (グリーン): 赤系の色を暗くし、緑系の色を明るくする。ポートレートで肌の色を自然にし、植物の葉などを明るく描写したい場合に有効。
- これらのフィルター効果は、背面液晶のUIでスライダーを使って強弱を調整できる。
- モノクローム撮影において、カラーフィルターは特定の色を明るくしたり暗くしたりすることで、写真のコントラストやトーンを調整する重要なツールだ。PEN-Fでは、デジタルの力でこのフィルター効果を再現できる。
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階調コントロール (TONE):
- ハイライト、シャドウ、ミッドトーンの明るさを個別に調整できるトーンカーブ機能。
- 例えば、ハイライトを抑えて白飛びを防ぎ、シャドウを持ち上げて黒つぶれを防ぐといった、高度な階調補正がカメラ内で可能だ。GIZMOと呼ばれる操作部を使って、直感的にカーブを調整できる。これにより、イメージ通りのモノクロームトーンを追求できる。
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グレイン効果 (GRAIN):
- モノクロフィルム特有の「粒子感」をデジタルで再現する機能。
- OFF / 弱 / 中 / 強 の4段階で設定可能。粒子の大きさや粗さを調整することで、写真にアナログフィルムのような質感や雰囲気を加えることができる。特にクラシックなモノクローム表現を目指す際には、このグレイン効果が絶大な効果を発揮する。ISO感度を上げた際のノイズとは異なり、より整えられた粒子感を与えることが可能だ。
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シェーディング効果 (SHADING):
- 写真の四隅を意図的に暗くする、いわゆる「周辺減光」の効果をデジタルで加える機能。
- マイナス方向で周辺減光、プラス方向で周辺を明るくする効果が得られる。特にポートレートや風景写真などで、主題を際立たせたり、クラシックな雰囲気を演出したりするのに有効だ。スライダーで効果の強さを調整できる。
これらのパラメータを組み合わせることで、PEN-Fは無限とも思えるモノクローム表現の可能性を開放する。単に白黒にするのではなく、コントラスト、階調、フィルター効果、粒子感、周辺光量を緻密にコントロールすることで、写真一枚一枚に異なる個性と深みを与えることができるのだ。
そして、このモノクロームプロファイルコントロールの最大の特徴は、これらの設定をEVFや背面液晶でリアルタイムに確認しながら撮影できることだ。シャッターを切る前に、最終的なモノクロームイメージを視覚的に捉えることができる。これは、フィルムカメラ時代には暗室作業でしか得られなかった自由度とコントロールを、デジタルの利便性と組み合わせて実現した画期的な機能と言える。
JPEG撮って出しで作品を完結させたい写真家にとって、この機能はまさに理想的だ。RAWで撮影しておけば、現像時にこれらの設定を適用することも可能だが、PEN-Fの真骨頂は、カメラ内で設定を追い込み、意図した表現をJPEGとして出力するプロセスにあると私は感じる。その場でイメージ通りの写真が生まれる喜びは、何物にも代えがたい。
PEN-Fのモノクロームプロファイルコントロールは、単なる画像処理エフェクトではない。それは、モノクロームという表現形式に対する、OLYMPUSの深い理解と情熱の結晶だ。この機能があるからこそ、PEN-Fは「モノクローム好き必見」のカメラであり続けるのだ。
4. PEN-Fの操作性:直感的な操作とカスタマイズ性
PEN-Fの操作性は、クラシックな外観とは裏腹に、現代のデジタルカメラとして洗練されている。特に、PEN-F独自の操作系と、オリンパス(現OMデジタルソリューションズ)らしいカスタマイズ性の高さが特徴だ。
最も特徴的な操作部材は、やはりボディ正面のクリエイティブダイヤルだろう。ここを回すだけで、モノクローム、カラー、アートフィルター、カラークリエーターといった主要な表現モードを瞬時に切り替えることができる。このダイヤルは適度な重みとクリック感があり、意図しない回転を防ぎつつ、確実にモードを切り替えられるようになっている。このダイヤルに触れるたびに、PEN-Fで写真を撮る行為が特別なものに感じられる。
モノクロームプロファイルコントロールの操作は、前述の通り背面液晶に表示される専用UIで行う。このUIはタッチ操作にも対応しており、フィルター効果や階調コントロールのスライダー、GIZMOを使ったトーンカーブ調整などを直感的に行える。ダイヤルやボタンの物理操作と組み合わせることで、スムーズな設定変更が可能だ。
PEN-Fは、背面の十字キーやFnボタン、そして天面のダイヤル類も適切に配置されている。絞りやシャッタースピード、露出補正といった基本的な設定は、右手親指と人差し指で自然に操作できるようになっている。天面の露出補正ダイヤルは独立しており、露出を素早く調整できるのが便利だ。
オリンパスのカメラ全般に言えることだが、PEN-Fも非常に高いカスタマイズ性を持っている。Fnボタンには様々な機能を割り当てることができ、自分の撮影スタイルに合わせてボタンの役割を変更できる。また、メニュー構造も比較的整理されており、一度慣れてしまえば目的の設定に素早くアクセスできるだろう。スーパーコンパネ(コントロールパネル)を使えば、主要な設定項目を一画面で確認・変更することも可能だ。
ただし、一点だけ注意しておきたい点がある。それは、電源スイッチが独特の位置にあることだ。天面左肩にあり、フィルムカメラの巻き戻しクランクのような形状になっている。この位置はクラシックなデザインを再現するためだが、他のカメラに慣れていると最初は戸惑うかもしれない。また、背面液晶を閉じた状態(内側に反転させた状態)では、液晶での設定確認ができないため、EVFを覗くか、液晶を開く必要がある。これは液晶保護というメリットの裏返しでもある。
全体として、PEN-Fの操作性は、その独特のクリエイティブダイヤルを除けば、比較的標準的なデジタルカメラに近い。しかし、その独特の操作系が、PEN-Fでの撮影体験をユニークなものにしているのは間違いない。特にモノクロームプロファイルコントロールのUIは、デジタルでありながらアナログライクな操作感を目指しており、その試みは成功していると言えるだろう。PEN-Fを使いこなすことは、単に写真を撮るだけでなく、カメラという道具との対話を深める過程でもあるのだ。
5. 写り・画質:20MPセンサーが織りなすモノクロームとカラーの世界
PEN-Fは、マイクロフォーサーズとしては初めて2000万画素のLive MOSセンサーを搭載したモデルだ。この高画素センサーが、PEN-Fの写りの根幹を支えている。
モノクロームの画質:
PEN-Fで最も重要なのは、やはりモノクロームプロファイルを適用した際の画質だろう。20MPセンサーの解像感は高く、特に低感度で撮影した際のディテールの描写は素晴らしい。被写体の質感や、光と影が織りなす微妙なグラデーションも、PEN-Fはしっかりと捉えることができる。
モノクロームプロファイルコントロールによって調整されたJPEG画像は、そのままでも十分なクオリティを持っている。特に、階調コントロールによって調整されたトーンは、デジタル現像ソフトでゼロから調整するのとは異なる、PEN-Fならではの深みと粘り強さがあるように感じる。ハイライトからシャドウにかけての階調表現は豊かで、白飛びや黒つぶれを抑えつつ、印象的なモノクロームトーンを作り出せる。
グレイン効果も秀逸だ。単にノイズを乗せるのではなく、フィルムの粒子感を模した美しいノイズが加わることで、写真に独特のリアリティと雰囲気が生まれる。特にモノクロームプロファイル2とグレイン強の組み合わせは、まるで古い報道写真のような、力強い表現を可能にする。
高感度ノイズについては、マイクロフォーサーズセンサーの物理的なサイズから、フルサイズセンサー搭載機には及ばない。ISO1600を超えたあたりからノイズが目立ち始め、ISO6400以上ではノイズがかなり強くなる。しかし、前述のグレイン効果を積極的に使うことで、ノイズを「味」として活かすこともできる。PEN-Fは、単にノイズを抑えるだけでなく、ノイズも含めた表現の可能性を探るカメラと言えるかもしれない。
カラーの画質:
もちろん、PEN-Fはモノクロームだけでなく、カラー写真も美しく撮影できる。PEN-Fには、モノクロームプロファイル以外にも「カラープロファイルコントロール」や「カラークリエーター」といった機能が搭載されている。
- カラープロファイルコントロール (COLOR):
- クリエイティブダイヤルを「COLOR」に合わせることで起動。RGB各色および補色系の色の彩度を12段階で個別に調整できる。特定の色の鮮やかさを強調したり、逆に抑えたりすることで、写真の雰囲気を大きく変えることができる。例えば、青空の色だけを鮮やかにしたり、赤系の色を落ち着かせたり、といった表現が可能だ。
- カラークリエーター (CC):
- クリエイティブダイヤルを「COLOR」に合わせ、背面UIから選択。色相と彩度をそれぞれ20段階で調整し、写真全体のカラーバランスや雰囲気を意図的に操作できる。例えば、写真全体をセピア調にしたり、特定の雰囲気を出すために色相をずらしたりといった表現ができる。
PEN-FのJPEGの色作りは、オリンパスらしいナチュラルでありながら、どこかフィルムライクな温かみを感じさせる描写だ。特に青空や緑の表現は美しい。風景写真やポートレート、日常のスナップなど、様々なシーンで魅力的なカラー写真を生み出すことができる。
RAW現像について:
PEN-FはRAWデータでの撮影ももちろん可能だ。RAWデータは、カメラで設定したモノクロームプロファイルやカラープロファイルの情報を記録しているわけではないが、センサーが捉えた最も情報量の多いデータとして、後から柔軟な現像作業を行うための基盤となる。OM WorkspaceなどのRAW現像ソフトを使えば、露出やホワイトバランス、色味などを細かく調整できる。
ただし、PEN-Fで撮影する最大の楽しみの一つは、カメラ内での設定を追い込み、意図した表現をJPEGで出力することにあると私は感じている。特にモノクロームプロファイルコントロールは、現像ソフトでは得られない、PEN-Fならではの独自のトーンや粒子感を生成するため、まずはJPEG撮って出しの可能性を追求してみることを強くおすすめする。RAWは、あくまで保険として、あるいは全く異なる表現を試したい場合の選択肢として捉えるのが良いだろう。
PEN-Fの写りを形容するならば、それは「情感豊か」だ。 単に高精細なだけでなく、光の捉え方、影の表現、そして特にモノクロームプロファイルによって付与される雰囲気は、写真に深みとストーリー性を与える。PEN-Fで撮られた写真は、見る人の心に何かを語りかける力を持っているように感じる。
6. PEN-Fの魅力的なその他の機能
PEN-Fは、モノクロームプロファイル以外にも、写真表現の幅を広げるユニークな機能をいくつか搭載している。
- ハイレゾショット:
- センサーを微細にずらしながら複数回撮影し、それを合成することで、約5000万画素(静物撮影時)または約8000万画素(三脚固定時)相当の超高解像度画像を作り出す機能。三脚が必須であり、動体には不向きだが、風景や建築物、静物撮影において、圧倒的なディテール描写を実現できる。モノクロームプロファイルと組み合わせて、緻密なモノクロ風景写真を作り出すことも可能だ。
- ライブコンポジット / ライブバルブ:
- 長時間露光撮影を支援する機能。ライブコンポジットは、変化があった部分だけを合成していくことで、光跡などを簡単に撮影できる。ライブバルブは、露光中の画像をライブビューで確認しながら、適切なタイミングで露光を終了できる。星景写真や夜景撮影、花火撮影などで非常に便利な機能だ。強力な5軸手ぶれ補正と組み合わせれば、より安定した長時間露光が可能になる(長時間露光の場合は三脚推奨)。
- フォーカスブラケット / 深度合成:
- フォーカスブラケットは、指定した範囲でピント位置をずらしながら複数枚撮影する機能。深度合成は、フォーカスブラケットで撮影した画像をカメラ内で合成し、パンフォーカス(写真全体にピントが合った状態)の画像を作り出す機能。マクロ撮影などで被写体の全体にシャープにピントを合わせたい場合に有効だ。
- アートフィルター:
- PEN-Fには、モノクロームプロファイルとは別に、多彩なアートフィルターが搭載されている。「ポップアート」「ファンタジックフォーカス」「トイフォト」「ジオラマ」など、ユニークなフィルター効果を適用して、遊び心のある写真表現を楽しむことができる。モノクローム好きでも、時には気分を変えてこれらのフィルターを使ってみるのも面白いだろう。
- Wi-Fi機能:
- 内蔵Wi-Fi機能により、スマートフォンとの連携が可能。専用アプリ「OLYMPUS Image Share (OI.Share)」を使えば、カメラ内の画像をスマートフォンに転送したり、スマートフォンからカメラをリモート操作したりできる。撮影したモノクローム写真をすぐにSNSで共有したい場合に便利だ。
これらの機能は、PEN-Fが単なるモノクローム特化のカメラではなく、幅広い表現に対応できる懐の深さを持っていることを示している。特にハイレゾショットやライブコンポジットは、オリンパスのカメラならではのユニークな機能であり、PEN-Fという美しいボディでこれらの高度な撮影テクニックを試せるのは嬉しいポイントだ。
7. PEN-Fに合わせたいレンズ:マイクロフォーサーズの豊富な選択肢
PEN-Fはマイクロフォーサーズマウントを採用しているため、オリンパスやパナソニックなどから発売されている数多くのレンズを使用できる。PEN-Fのコンパクトなボディを活かすなら、マイクロフォーサーズの小型軽量な単焦点レンズが特におすすめだ。
PEN-Fとの相性が良い代表的なレンズとしては、以下のようなものがある。
- M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8: 35mm判換算で34mm相当となる広角単焦点レンズ。PEN-Fのコンセプトであるスナップ撮影にぴったりの画角と携帯性を持つ。F1.8と明るいため、ボケを活かした表現や暗所撮影にも強い。PEN-Fに装着すると、非常にバランスの良い、街歩きに最適な組み合わせとなる。
- M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8: 35mm判換算で50mm相当となる標準単焦点レンズ。人間の視野に近い自然な画角で、ポートレートから風景、スナップまで幅広い用途に使える。こちらもF1.8と明るく、美しいボケ味を楽しめる。PEN-Fの持つ「写真機」としての雰囲気に最もマッチするレンズの一つだろう。
- M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8: 35mm判換算で90mm相当となる中望遠単焦点レンズ。ポートレートに最適な画角と、F1.8の明るさを活かした大きく柔らかいボケ味が魅力。コンパクトで軽量ながら、非常にシャープな描写性能を持つ人気のレンズだ。PEN-Fとの組み合わせで、雰囲気のあるモノクロポートレートを撮影するのに活躍する。
- M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0: 35mm判換算で24mm相当となる広角単焦点レンズ。金属製の外装を持ち、PEN-Fの高級感あるデザインとマッチする。F2.0と明るく、風景や建築物、広角スナップなどで独特のパースペクティブを活かした描写が可能。
これらのレンズ以外にも、マイクロフォーサーズシステムには高品質なレンズが豊富に揃っている。大口径単焦点レンズだけでなく、明るいズームレンズやマクロレンズ、フィッシュアイレンズなど、撮影ジャンルや目的に合わせて様々なレンズを選ぶことができる。
また、PEN-Fはそのクラシックなデザインから、アダプターを介して様々なオールドレンズと組み合わせるのも非常に楽しい。ライカMマウントやM42マウントなどのオールドレンズを装着すれば、PEN-Fのデザインがさらに際立ち、オールドレンズ独特の描写とデジタルカメラの利便性を融合させたユニークな写真表現が可能になる。EVFでピントの山を確認しながらじっくり撮影するスタイルは、PEN-Fの雰囲気にとてもよく合う。
レンズ選びは、PEN-Fでの写真体験をより豊かにするための重要なステップだ。PEN-Fのコンパクトさと描写性能を最大限に引き出す、お気に入りの一本を見つけてほしい。
8. PEN-F「作例」によるレビュー:言葉で描くPEN-Fの世界
(※本記事では画像を直接掲載できませんが、作例イメージを言葉で詳細に描写し、PEN-Fの表現力を伝えます。)
PEN-Fのレビューで最も伝えたいのは、やはりその「写り」であり、モノクロームプロファイルが作り出す世界だ。ここでは、いくつかの異なるシーンと設定を想定した作例イメージを言葉で描写し、PEN-Fの表現力の奥深さをお伝えする。
作例イメージ 1:路地裏の光と影(モノクロームプロファイル1 + グレイン中 + シェーディング弱)
- 描写: 静かな午後、細い路地裏に差し込む日差しが、壁の凹凸や地面の石畳に強いコントラストの影を落としている。一台の自転車が無造作に立てかけられ、そのフレームに光が反射している。
- PEN-Fの表現: モノクロームプロファイル1のシャープネスが、壁の荒いテクスチャや石畳の一つ一つの質感を克明に描き出す。強い日差しによるハイライトは白飛び寸前だが、PEN-Fの階調表現により、かろうじてディテールが残っている。影の部分も真っ黒に潰れることなく、奥の壁のブロックの境界線がかすかに確認できる。グレイン「中」の設定により、写真全体に程よいざらつきが加わり、フィルムで撮ったかのようなリアリティとノスタルジーが生まれている。シェーディング「弱」は、画面四隅をわずかに暗くすることで、見る人の視線を中央の自転車へと誘導し、主題を際立たせている。この一枚からは、PEN-Fの持つ光と影の描写力、そして空気感を捉える力が伝わってくる。
作例イメージ 2:人物ポートレート(モノクロームプロファイル2 + カラーフィルターYe + トーン(シャドウ持ち上げ)+ グレイン弱)
- 描写: 自然光が優しく差し込む室内で、窓際に座る人物のポートレート。表情は穏やかで、髪の毛の柔らかさや肌の質感がわかる。背景は窓の外のぼんやりとした緑。
- PEN-Fの表現: モノクロームプロファイル2のクラシックなトーンが、人物の表情に深みを与える。カラーフィルター「Ye」(イエロー)は、肌の色を自然な明るさに保ちつつ、背景の緑をわずかに暗くすることで、人物をより引き立てる効果を生んでいる。階調コントロールでシャドウ部分をわずかに持ち上げることで、人物の髪の毛や服の暗い部分のディテールがしっかりと描写され、黒潰れを防いでいる。グレイン「弱」の設定は、写真全体に控えめな粒子感を加えることで、デジタル写真にありがちな平坦さを打ち消し、温かみのある雰囲気を醸し出している。PEN-Fは、単なる記録ではなく、被写体の内面や雰囲気を引き出す力を持っていることを示す作例だ。
作例イメージ 3:古い街並み(モノクロームプロファイル1 カスタム(コントラスト高め)+ グレイン強)
- 描写: 瓦屋根の連なる古い街並み。曇り空の下だが、建物の壁や木材の質感が独特の雰囲気を持つ。静かで時の流れが止まったかのような場所。
- PEN-Fの表現: モノクロームプロファイル1をベースに、階調コントロールで中間調のコントラストを高めにカスタムしたプロファイルを使用。これにより、曇天の単調な光の中でも、瓦の凹凸や壁のテクスチャが強調され、街並みの持つ古びた、しかし力強い雰囲気が引き出されている。グレイン「強」は、写真全体に荒々しい粒子感を加え、まるで歴史書の一ページのような、古くて重厚な印象を与えている。PEN-Fのモノクロームプロファイルは、光の状態に関わらず、設定一つで全く異なる世界観を作り出すことができる。
作例イメージ 4:夕暮れの海辺(カラープロファイルコントロール(青色強調)+ カラークリエーター(全体を暖色系に))
- 描写: 夕暮れ時、水平線に沈む太陽が空をオレンジ色に染めている。波打ち際には、まだ明るい青みが残る海面が広がっている。
- PEN-Fの表現: モノクロームだけでなくカラー表現も。カラープロファイルコントロールで、海の青色の彩度を強調。これにより、夕焼けのオレンジと海面の青色のコントラストが際立ち、よりドラマチックな風景となる。さらにカラークリエーターで写真全体をわずかに暖色系にシフトさせることで、夕暮れ時の温かくセンチメンタルな雰囲気を強調。PEN-Fは、モノクローム同様にカラー写真でも、繊細かつ大胆な色作りがカメラ内で可能であることを示す作例だ。
これらの作例イメージからわかるように、PEN-Fのモノクロームプロファイルコントロールは、単なる白黒変換ツールではない。それは、コントラスト、階調、質感、雰囲気といった、モノクローム写真の本質的な要素を自在に操るための高度な表現ツールだ。そして、それはEVFや背面液晶でリアルタイムに確認できるため、撮影者はイメージを明確に持ちながら、試行錯誤を重ね、意図した一枚をその場で作り上げていくことができる。このプロセス自体が、PEN-Fで写真を撮る大きな楽しみの一つなのだ。
9. PEN-Fのメリットとデメリット
PEN-Fの魅力について語ってきたが、どのカメラにもメリットとデメリットがある。PEN-Fを検討する上で、公平な視点から両方を理解しておくことは重要だ。
PEN-Fのメリット:
- 唯一無二のデザインと質感: これに尽きる。所有する喜び、手に取る喜びは他の多くのカメラでは味わえない。クラシックでありながらモダンな美しさは、見る人を惹きつける。
- 圧倒的なモノクローム表現力: モノクロームプロファイルコントロールは、PEN-F最大の武器。これほどまでに多彩かつ直感的にモノクロームを追求できるカメラは他に類を見ない。JPEG撮って出しで完成度の高いモノクローム作品を作り出せる。
- 強力な5軸手ぶれ補正: 最大5段分の補正効果は、スナップ撮影や暗所撮影において非常に強力なアドバンテージとなる。レンズを選ばずに効果が得られるのも素晴らしい。
- コンパクトなボディ: マイクロフォーサーズシステム全体のメリットだが、特にPEN-Fはデザインと相まって、高い携帯性を実現している。気軽に持ち出して日常を切り取るのに最適だ。
- 高機能: ハイレゾショット、ライブコンポジット、フォーカスブラケットなど、先進的な撮影機能も搭載しており、幅広い表現に対応できる。
- EVFとバリアングル液晶: EVFでのリアルタイムな仕上がり確認と、バリアングル液晶による自由なアングルでの撮影は、デジタルカメラとしての利便性を高めている。
- 豊富なレンズ資産: マイクロフォーサーズマウントはレンズの種類が多く、予算や目的に応じて最適なレンズを選べる。特に小型軽量な単焦点レンズとの相性は抜群。
PEN-Fのデメリット:
- バッテリー持ち: コンパクトさの裏返しとして、バッテリー容量はあまり大きくない。EVFを多用すると消耗が早いため、予備バッテリーは必須となる。
- 画像処理エンジン世代: 搭載されているTruePic VIIは、現行モデルがTruePic VIIIやIX、Xとなっていることを考えると、世代が古い。高感度性能やAF追従性能など、最新世代のエンジンに劣る部分はある。
- EVFの性能(現行機比): 発売当時のEVFとしては高精細だったが、近年の高画素化・高リフレッシュレート化が進んだEVFと比較すると、見えやすさや応答性で差を感じる場合がある。
- 販売終了品であること: PEN-Fは既に販売を終了しており、新品での入手は困難。購入するには中古市場を探す必要がある。中古相場は人気が高いため、比較的高値を維持している傾向にある。
- メニュー構造: オリンパスのカメラ全般に言えることだが、メニュー構造はやや複雑に感じるユーザーもいるかもしれない。慣れが必要な部分だ。
- 防塵防滴ではない: PEN-Fは防塵防滴構造ではないため、悪天候下での使用には注意が必要だ。
これらのメリット・デメリットを総合的に判断すると、PEN-Fは「絶対的なスペック最強」のカメラではない。最新のフラッグシップ機と比べれば、高速性能や高感度性能、AF性能などで劣る点もあるだろう。しかし、PEN-Fはスペックだけでは語れない「魅力」を持ったカメラだ。特にデザインとモノクローム表現という点で、他の追随を許さない強みを持っている。デメリットを理解した上で、その魅力に惹かれるかどうか、がPEN-Fを選ぶ上での判断基準となるだろう。
10. PEN-Fはどんな人におすすめか
PEN-Fは万人向けのカメラではないかもしれない。しかし、特定のニーズを持つ人々にとっては、これ以上ない最高のパートナーとなり得るカメラだ。
PEN-Fが特におすすめなのは、以下のような人だ。
- モノクローム撮影を深く追求したい人: これがPEN-Fをおすすめする最大の理由だ。カメラ内でこれほど多彩かつ直感的にモノクローム表現をコントロールできるカメラは他にない。JPEG撮って出しで、自分だけのモノクローム世界を追求したい人にとって、PEN-Fは理想的な道具となる。
- クラシックなデザインのカメラが好きな人: PEN-Fの美しいデザインと上質な質感に惚れ込んだなら、それだけでも十分に購入を検討する価値がある。写真を撮る道具としての性能はもちろん重要だが、所有する喜びもカメラ選びの重要な要素だということを知っている人にPEN-Fは応えてくれる。
- ストリートスナップや旅カメラを探している人: コンパクトで軽量なボディ、強力な手ぶれ補正、そして街の空気感を写し取るのに最適なモノクロームプロファイル。PEN-Fは、街を歩きながら、あるいは旅先で出会った光景を気軽に、しかし深く切り取りたいスナップシューターに最適だ。
- JPEG撮って出しで作品を完結させたい人: PEN-Fは、RAW現像に時間をかけたくない、あるいはカメラ内で意図した表現を完成させたい写真家にとって、強力なツールとなる。モノクロームプロファイルやカラープロファイルを使いこなすことで、PCを使わずに高品質な作品を生み出すことができる。
- マイクロフォーサーズユーザーで、特別な一台が欲しい人: 既にマイクロフォーサーズシステムを使っており、レンズ資産がある人にとって、PEN-Fは既存のレンズを活かしつつ、全く新しい写真体験をもたらしてくれる魅力的な選択肢となる。
- オールドレンズを楽しみたい人: クラシックなデザインとEVFによるピーキング表示など、オールドレンズを使用するのに適した要素も持っている。様々なオールドレンズとの組み合わせで、デジタルでは難しい独特の描写を楽しむことができる。
逆に、最新のAF性能や高速連写、高感度性能を最優先する人、動画性能を重視する人、あるいはとにかく安価で高性能なカメラを探している人には、PEN-Fは向かないかもしれない。PEN-Fは、スペックだけではない、「表現への情熱」に応えてくれるカメラだからだ。
11. まとめ:PEN-Fがあなたにもたらすもの
OLYMPUS PEN-Fは、単なる高性能なデジタルカメラではない。それは、写真への情熱を掻き立て、表現の喜びを再発見させてくれる、稀有なパートナーだ。そのクラシックで美しいデザインは、手に取るたびに所有欲を満たし、写真を撮るという行為自体を特別なものにしてくれる。
そして何より、PEN-Fを唯一無二たらしめているのは、その圧倒的なモノクローム表現力だ。「モノクロームプロファイルコントロール」は、単に色をなくすだけでなく、コントラスト、階調、フィルター効果、粒子感、周辺減光といった要素を自在に操り、無限のモノクローム世界を創り出すための強力なツールだ。JPEG撮って出しで、まるでフィルム写真のような深みと質感を持つ作品を生み出せるこの機能は、モノクローム好きにとってまさに福音と言える。
もちろん、PEN-Fは完璧なカメラではない。バッテリー持ちやエンジンの世代など、最新のフラッグシップ機と比較すれば劣る点もあるだろう。しかし、それらを補って余りある魅力がPEN-Fにはある。強力な5軸手ぶれ補正、コンパクトなボディ、そして何よりも「写真を撮る楽しさ」を思い出させてくれる、その存在自体がPEN-F最大の強みだ。
PEN-Fは、写真を記録する道具としてだけでなく、自己表現のためのツールとして、そしてカメラという美しい物体との対話を楽しむための存在として、あなたの写真生活に新たな風を吹き込んでくれるだろう。
もしあなたが、モノクロームの世界に魅せられ、デザインにもこだわりたい、そして「撮って出し」で表現を完結させる楽しさを知りたいと思っているなら、PEN-Fはきっとあなたの期待に応えてくれるはずだ。それは単なるカメラの購入ではなく、あなたの写真人生における、忘れられない出会いとなるだろう。
今は新品で手に入れることは難しいかもしれないが、中古市場を探してでも手に入れる価値は、私には十二分にあると感じられる。PEN-Fと共に、あなただけの美しいモノクロームの世界を切り撮ってほしい。その体験は、きっとあなたの写真への見方を変えるはずだ。