CentOSダウンロードは無料で!公式ソースからの正しい入手方法を紹介

はい、承知いたしました。「CentOSダウンロードは無料で!公式ソースからの正しい入手方法を紹介」というタイトルで、CentOSのダウンロード方法に関する約5000語の詳細な記事を作成します。


CentOSダウンロードは無料で!公式ソースからの正しい入手方法を紹介

サーバーOSや開発環境として、あるいは学習用として、Linuxディストリビューションの導入を検討されている方は多いでしょう。その中でも、「CentOS」という名前を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。かつてはエンタープライズ環境で広く使われ、安定性と信頼性に定評があったCentOSですが、現在はその位置づけが大きく変わっています。

しかし、CentOSの派生プロジェクトである「CentOS Stream」は、現在も無料でダウンロードして利用することが可能です。この記事では、CentOS、特に現在の主力であるCentOS Streamを公式ソースから安全に、そして正しく入手する方法について、詳しく解説していきます。初めてLinuxをインストールする方から、CentOSの現状について知りたい方まで、幅広く役立つ情報を提供します。

はじめに:CentOSとは? そして現在の状況

CentOSは、「Community Enterprise Operating System」の略称で、その名の通りコミュニティによって開発・メンテナンスされてきたLinuxディストリビューションです。大きな特長は、商用UNIXの代表格であるRed Hat Enterprise Linux (RHEL) の公開されているソースコードをもとに開発されていた点にあります。このため、RHELと非常に高い互換性を持ちながら、完全に無料で利用できるという大きな利点がありました。

この「RHELとの高い互換性」と「無料であること」という組み合わせが、特に中小規模の企業や、開発・検証環境、個人の学習環境などにおいてCentOSを非常に人気のある選択肢としました。エンタープライズグレードの安定性やセキュリティ対策を、コストをかけずに利用できるという点が魅力だったのです。

しかし、2020年末にCentOS Projectから発表された大きな方針転換により、従来のCentOS Linuxは事実上の開発終了となり、代わりに「CentOS Stream」という新しい位置づけのプロジェクトが推進されることになりました。この変更は多くのCentOSユーザーに影響を与え、コミュニティ内で大きな議論を呼びました。

本記事では、このCentOS Streamへの移行についても詳しく触れつつ、現在のCentOS Streamを公式かつ安全な方法でダウンロードし、利用を開始するための手順を、初心者の方にも分かりやすく解説します。

この記事で学べること:

  • CentOS (およびCentOS Stream) の基本的な情報と、その歴史的背景
  • 従来のCentOS LinuxとCentOS Streamの違い、そしてEOL (End Of Life) の影響
  • CentOS Streamが現在も無料でダウンロード・利用できる理由
  • 公式ウェブサイトからのダウンロード方法、適切なファイルの選び方
  • ダウンロードしたファイルが破損・改ざんされていないかを確認する検証方法(チェックサム、署名)
  • ダウンロードしたISOイメージファイルを実際に使えるインストールメディア(USBやDVD)にする方法
  • 仮想マシンでの利用方法

これらの情報を得ることで、あなたは自信を持ってCentOS Streamをダウンロードし、安全にインストールを開始できるようになるでしょう。

CentOSとは? その魅力と歴史

改めて、CentOSについてもう少し掘り下げてみましょう。

CentOSの基本的な説明:

CentOSは、フリーでオープンソースのLinuxディストリビューションです。最大のアイデンティティは、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) の再構築版であるという点でした。RHELは商用製品であり、利用にはライセンス料やサポート費用がかかりますが、そのソースコードはオープンソースライセンスに基づき公開されています。CentOSプロジェクトは、この公開されたRHELのソースコードを取得し、Red Hatの商標やロゴを取り除き、コミュニティの手によって再構築して提供していました。これにより、ユーザーはRHELと同等の機能、安定性、セキュリティパッチを、費用なしで利用できたのです。

なぜ人気があったのか:

  • 安定性と信頼性: RHELをベースとしているため、エンタープライズ環境での利用を想定した高い安定性と信頼性を持っていました。長期間にわたる厳格なテストを経てリリースされるRHELの恩恵を直接受けていたと言えます。
  • 長期サポート (LTS – Long Term Support): 従来のCentOS Linuxは、各バージョンに対して長期的なセキュリティアップデートやバグ修正が提供されました。これにより、一度導入すれば数年間は安心して運用できるというメリットがありました。
  • 無料: これは最大の魅力でした。ソフトウェア自体の利用料だけでなく、アップデートもコミュニティによって提供されるため、基本的に運用コストを抑えることが可能でした。
  • 豊富なドキュメントと情報: RHELのドキュメントやコミュニティリソースの多くがCentOSにも適用可能だったため、情報が見つけやすく、問題解決が比較的容易でした。
  • 企業での実績: 多くの企業でサーバーOSとして採用されていた実績があり、技術者にとって馴染み深い存在でした。

CentOSの歴史とCentOS Streamへの道のり:

CentOSは2004年に初めてリリースされました。以来、RHELの新しいバージョンがリリースされるたびに、それを追う形でCentOSの新しいバージョンが登場し、多くのユーザーに支持されてきました。バージョン5, 6, 7は特に広く利用され、多くの企業のシステムを支えました。

しかし、開発の効率化やRHEL自体の開発プロセス変更に伴い、提供元であるRed HatはCentOSプロジェクトとの関係性をより強固にし、その位置づけを変更する決定を下しました。それがCentOS Streamへの移行です。

CentOS Streamへの移行:何が変わったのか?

これが、現在のCentOSを理解する上で最も重要な点です。

CentOS Streamとは何か:

CentOS Streamは、従来のCentOS Linuxの後継というよりも、RHELの開発プロセスにおける公開された「開発ブランチ」という位置づけです。Red HatはRHELを開発する際に、いくつかの段階を経てソフトウェアを完成させます。CentOS Streamは、RHELの将来のバージョンに搭載される予定のパッケージや機能を、RHELのリリースよりも先行して公開し、コミュニティからのフィードバックやコントリビューション(貢献)を受け付けるためのプラットフォームです。

従来のCentOS Linuxとの決定的な違い:

  • 開発フロー:

    • CentOS Linux (従来): RHELの安定版がリリースされた後、そのソースコードを取得して再構築する。つまり、「RHELの下流(ダウンストリーム)」に位置する。RHELの安定版の「結果」を受け取る。
    • CentOS Stream (現在): RHELの安定版がリリースされる「前」に、将来のRHELのバージョンに含まれる予定のパッケージを提供する。つまり、「RHELの上流または中流(アップストリーム/ミドルストリーム)」に位置する。RHELの安定版の「開発過程」に参加する(見る、試す、フィードバックする)。
  • 安定性 vs 新規性:

    • CentOS Linux: 既に安定版としてリリースされたRHELを基盤とするため、非常に安定性が高い。新機能の搭載はRHELのメジャーアップデートまで待つ必要がある。
    • CentOS Stream: RHELの将来のバージョンに向けた開発が進んでいるため、CentOS Linuxに比べて新しいパッケージや機能が比較的早く取り込まれる可能性がある。しかし、その分、安定性はCentOS Linuxほど「固く」はない。RHELのような商用サポートなしで、開発中のパッケージが含まれる可能性があるシステムを使うことになる。
  • サポート期間とEOL:

    • CentOS Linux 8: 2021年末にEOL (End Of Life – サポート終了)を迎えました。これは当初予定されていた2029年から大幅な前倒しでした。
    • CentOS Linux 7: こちらは比較的長いサポート期間が維持され、2024年6月末にEOLを迎えます。この記事を読んでいる時期によっては、既にサポートが終了しているか、間もなく終了する状況かもしれません。
    • CentOS Stream: 特定のバージョンに対して、RHELの対応するメジャーバージョンに準じた期間、開発が継続されます。しかし、その性質上、常に「開発中」の状態に近いと言えます。長期的な固定された安定版を求める用途には、従来のCentOS Linuxほどは適していません。

CentOS Linuxユーザーへの影響:

従来のCentOS Linux 8ユーザーは、予定よりも早く代替OSへの移行を迫られました。CentOS Linux 7ユーザーも、2024年6月末以降は公式なセキュリティアップデートなどが提供されなくなるため、移行が必要です。

移行先の選択肢としては、主に以下のものが考えられます。

  1. CentOS Stream: CentOS Linuxの後継プロジェクトとして最も直接的な選択肢ですが、その性質の違い(安定性 vs 新規性)を理解する必要があります。
  2. Red Hat Enterprise Linux (RHEL): 商用製品ですが、開発者向けや小規模環境向けの無料枠(Red Hat Developer program, RHEL for Open Source Infrastructureなど)も提供されています。本格的な商用利用や手厚いサポートが必要な場合は有力な選択肢です。
  3. RHELクローン (AlmaLinux, Rocky Linuxなど): CentOS Linuxと同様に、RHELの公開ソースコードを基に、Red Hatとは別の独立したコミュニティが開発しているディストリビューションです。CentOS Linuxの代替として、RHELとの高い互換性と無料利用という特長を引き継いでいます。多くの元CentOSユーザーがこれらのディストリビューションに移行しています。

CentOS Streamを利用するメリット・デメリット:

  • メリット:
    • RHELの将来のバージョンに搭載される技術や機能を早期に試せる
    • RHELの開発プロセスにフィードバックを提供したり、貢献したりできる。
    • もちろん、無料で利用できる
    • 従来のCentOS Linuxと同様、RHEL系のエコシステムやドキュメントが適用可能。
  • デメリット:
    • 従来のCentOS Linuxほどの「固定された安定性」は期待できない。開発中のパッケージが含まれる可能性があるため、予期しない挙動やバグに遭遇するリスクが従来のCentOS Linuxより高い。
    • RHELのような有償の公式サポートは存在しない(コミュニティサポートのみ)。
    • クリティカルな本番環境、特に厳格な変更管理が求められるシステムにおいては、その性質から採用が難しい場合がある。

CentOS Streamは、RHELの開発に興味がある開発者、最新技術を試したいテスター、または個人用途で多少の不安定さを許容できるユーザーなどに向いています。一方で、ビジネスの基盤となるような、極めて高い安定性と予測可能性が求められる本番環境においては、従来のCentOS Linuxの代わりとして安易に採用すべきではありません。その場合は、RHEL本体やAlmaLinux、Rocky LinuxといったRHELクローンを検討する方が賢明です。

本記事では、CentOS Streamを「無料」でダウンロードし、試す方法に焦点を当てて解説しますが、その性質とEOLの状況は必ず理解しておいてください。特にCentOS Linux 7/8のダウンロードリンクがまだ残っている場合でも、これらは既にサポート終了または終了間近であることを強く認識する必要があります。新規インストールは、特段の理由がない限り、CentOS Stream、あるいはAlmaLinux/Rocky Linuxを推奨します。

CentOS (Stream) のダウンロードは無料!

これは非常に重要な点なので、改めて強調しておきます。

CentOS Streamを含め、CentOSプロジェクトが提供するOSイメージは、完全に無料でダウンロードして利用できます。

  • ダウンロード費用: 一切かかりません。
  • 利用料: 一切かかりません。インストールしたシステムをいくら使っても、追加料金は発生しません。
  • ライセンス: GPL (GNU General Public License) などのオープンソースライセンスに基づいて提供されており、商用・非商用問わず自由に利用、改変、再配布が可能です(ただし、再配布の際はライセンス条件に従う必要があります)。
  • サポート費用: 公式の有償サポートは存在しません。サポートはコミュニティによるフォーラムやメーリングリスト、Wikiなどを通じて提供されます(これも無料)。

なぜ無料で提供できるのでしょうか? それは、CentOSがオープンソースソフトウェアであり、Red HatによるRHELソースコードの公開と、世界中の開発者やテスター、ユーザーコミュニティによる貢献によって成り立っているからです。Red Hat自身も、オープンソースコミュニティへの貢献の一環として、CentOS Streamを開発・推進しています。

この無料であるという点は、特に個人ユーザーや、IT予算が限られている組織にとって、CentOS (Stream) を魅力的な選択肢たらしめています。ただし、無料であることと引き換えに、商用製品のようなベンダーからの直接的なサポートがない点は理解しておく必要があります。

公式ソースからの正しいダウンロード方法

それでは、いよいよCentOS StreamのISOイメージファイルを公式ソースからダウンロードする手順について解説します。安全かつ確実にファイルを入手するために、以下のステップを慎重に行ってください。

ステップ 1: CentOS Projectの公式サイトへアクセスする

最も重要かつ基本的なステップです。CentOS StreamのISOイメージは、必ずCentOS Projectの公式ウェブサイトからダウンロードしてください。

公式サイトのURLは以下の通りです。
https://www.centos.org/

このURLをブラウザのアドレスバーに直接入力するか、信頼できる検索エンジンで「CentOS Project」と検索して表示される公式サイトへのリンクをクリックしてください。不審なウェブサイトや、公式ではない第三者のダウンロードサイトからは絶対にダウンロードしないでください。 マルウェアが仕込まれていたり、ファイルが改ざんされている可能性があります。

公式サイトにアクセスすると、CentOS Projectに関する様々な情報が表示されます。CentOS Streamに関する情報やニュース、ドキュメント、コミュニティへの参加方法なども掲載されています。

ステップ 2: ダウンロードセクションを見つける

公式サイトのトップページやナビゲーションメニューの中に、「Download」またはそれに類するリンクがあるはずです。このリンクをクリックして、ダウンロードページへ移動します。

ダウンロードページでは、現在ダウンロード可能なCentOSに関連する各種イメージファイルが表示されます。ここでは、主に「CentOS Stream」のダウンロードリンクを探します。

ステップ 3: CentOS Streamのダウンロードリンクを選択する

ダウンロードページには、CentOS Streamの現行バージョンに関する情報が掲載されています。通常は、最も新しいバージョンが推奨されます。

例えば、「CentOS Stream 9」や「CentOS Stream 8」といったリンクが見つかるはずです。CentOS StreamはRHELのメジャーバージョンに対応しており、現在主に利用されているのはCentOS Stream 9 (RHEL 9系に相当) です。特に理由がなければ、最新版であるCentOS Stream 9を選択するのが良いでしょう。(記事執筆時点での最新版がCentOS Stream 9であると仮定して説明を進めますが、将来的にはより新しいバージョンが登場する可能性があります。その場合は、そちらを選択してください。)

ステップ 4: 適切なイメージファイルを選択する

CentOS Streamのダウンロードページに進むと、いくつかの種類のISOイメージファイルが提供されています。主なものを以下に示します。

  • DVD ISO (CentOS-Stream-*-x86_64-dvd1.iso): これが最も一般的なインストールイメージです。OSのインストールに必要な基本的なパッケージのほとんどが含まれています。インターネットに接続されていない環境でのインストールにも対応しやすいですが、ファイルサイズは大きくなります(通常、数GB)。
  • Boot ISO (CentOS-Stream-*-x86_64-boot.iso または minimal.iso): 必要最低限のファイルのみが含まれた小さなイメージです。インストール時には、ネットワーク経由で必要なパッケージをダウンロードする必要があります。インターネット接続が必須となりますが、ダウンロード時間は短縮できます。
  • Other Images (Cloud, Vagrantなど): 特定の環境(クラウドプラットフォーム、開発環境ツール)向けに最適化されたイメージです。一般的なサーバーやPCへのインストールには向きません。

初めてインストールする場合は、DVD ISO (dvd1.iso) を選択するのが最も簡単でおすすめです。ファイルサイズは大きいですが、インストール中にネットワーク接続が不安定になったり、リポジトリへのアクセスに問題が発生したりするリスクを軽減できます。

また、ダウンロードするイメージのアーキテクチャを選択する必要があります。一般的なPCやサーバーのほとんどは、x86_64 アーキテクチャです。通常、このx86_64と記載されたイメージを選択すれば間違いありません。他のアーキテクチャ(AArch64など)は、特定のハードウェア(ARMベースのサーバーなど)向けですので、通常のPC/サーバーでは選択しません。

したがって、多くのユーザーにとっては、CentOS-Stream-[バージョン]-x86_64-dvd1.iso のような名前のファイルを探してダウンロードすることになります。

ステップ 5: ミラーサイトを選択する

CentOS Projectは、世界中に分散された多数の「ミラーサイト」を通じてOSイメージを提供しています。ミラーサイトとは、公式サーバーの負荷を分散し、ユーザーが地理的に近い場所から高速にファイルをダウンロードできるようにするためのコピーサーバーです。

ダウンロードページでは、自動的に最適なミラーサイトにリダイレクトされることが多いですが、手動でミラーサイトのリストから選択できる場合もあります。リストが表示された場合は、以下を参考にミラーサイトを選んでください。

  • 地理的な近さ: 自分自身のいる場所から地理的に近い国や地域にあるミラーサイトを選ぶと、通常はダウンロード速度が最も速くなります。例えば日本国内からであれば、.jpドメインを持つサイトや、日本国内の大学・研究機関などが提供するミラーサイトが良い選択肢です。
  • 信頼性: 公開されているミラーサイトは基本的に信頼できますが、大学や大規模なインターネットサービスプロバイダーなどが提供するミラーサイトは、回線容量も大きく安定している傾向があります。

リストからミラーサイトのURLをクリックすると、ダウンロードが開始されるか、そのミラーサイト上のファイルリストページに移動します。ファイルリストページに移動した場合は、先ほど選択したファイル名(例: CentOS-Stream-9-x86_64-dvd1.iso)を探してクリックし、ダウンロードを開始してください。

ダウンロードが完了するまで、しばらく時間がかかります。特にDVD ISOは数GBあるため、安定したインターネット接続と、ダウンロードが完了するまで待つ時間が必要です。

ステップ 6: ダウンロードしたファイルを検証する(非常に重要!)

ダウンロードが完了したら、必ずファイルの検証を行ってください。 これは、ダウンロード中にファイルが破損していないか、あるいは悪意のある第三者によってファイルが改ざんされていないかを確認するための非常に重要なステップです。検証には、「チェックサム(ハッシュ値)」と「署名」の確認という二つの方法があります。

CentOS Projectは、各イメージファイルに対応するチェックサムファイル(例: SHA256SUMS)と署名ファイルを提供しています。これらのファイルも公式サイトのダウンロードページ、またはミラーサイトの同じディレクトリに置かれています。

チェックサム(ハッシュ値)検証:

チェックサムとは、元のデータから計算される短い固定長の文字列(ハッシュ値)のことです。元のデータが1ビットでも変わると、チェックサムは全く異なる値になります。したがって、ダウンロードしたファイルのチェックサムを、公式サイトで提供されているチェックサムファイルに記載されている値と比較することで、ファイルがダウンロード中に破損したり、改ざんされたりしていないかを確認できます。

CentOSでは、通常 SHA256 というハッシュアルゴリズムのチェックサムが提供されています。

検証手順:

  1. チェックサムファイル (SHA256SUMS) をダウンロードする: ダウンロードしたISOファイルと同じミラーサイトの同じディレクトリにあるSHA256SUMSという名前のファイルを探してダウンロードします。
  2. ダウンロードしたISOファイルのSHA256チェックサムを計算する: お使いのオペレーティングシステムに搭載されているコマンドやツールを使用して、ダウンロードしたISOファイルのSHA256値を計算します。
  3. 計算した値とダウンロードしたSHA256SUMSファイルに記載されている値を比較する: 両者が完全に一致すれば、ファイルは正しくダウンロードされています。

各OSでのチェックサム計算コマンド例:

  • Windows (PowerShell):
    Get-FileHash Path\To\Your\CentOS-Stream-*.iso -Algorithm SHA256
    例: Get-FileHash C:\Downloads\CentOS-Stream-9-x86_64-dvd1.iso -Algorithm SHA256
    実行すると、計算されたSHA256ハッシュ値が表示されます。

  • Windows (コマンドプロンプト – Windows 7以降):
    certutil -hashfile Path\To\Your\CentOS-Stream-*.iso SHA256
    例: certutil -hashfile C:\Downloads\CentOS-Stream-9-x86_64-dvd1.iso SHA256
    実行すると、計算されたSHA256ハッシュ値が表示されます。

  • macOS:
    shasum -a 256 /Path/To/Your/CentOS-Stream-*.iso
    例: shasum -a 256 /Users/YourUser/Downloads/CentOS-Stream-9-x86_64-dvd1.iso
    実行すると、「計算されたSHA256ハッシュ値 ファイル名」の形式で表示されます。

  • Linux:
    sha256sum /Path/To/Your/CentOS-Stream-*.iso
    例: sha256sum /home/youruser/Downloads/CentOS-Stream-9-x86_64-dvd1.iso
    実行すると、「計算されたSHA256ハッシュ値 ファイル名」の形式で表示されます。

これらのコマンドで計算されたハッシュ値を、ダウンロードしたSHA256SUMSファイルをテキストエディタなどで開いて確認し、該当するISOファイル名に対応するハッシュ値と見比べてください。

例として、SHA256SUMSファイルの中身は以下のようになっています(値は例です)。

abc123def456...ZYZ CentOS-Stream-9-x86_64-boot.iso
xyz789uvw012...ABC CentOS-Stream-9-x86_64-dvd1.iso
...

あなたの計算したCentOS-Stream-9-x86_64-dvd1.isoのハッシュ値が、このファイルに記載されているxyz789uvw012...ABCと完全に一致すればOKです。もし一致しない場合は、ファイルが破損しているか改ざんされている可能性があるため、そのファイルは使用せず、再度ダウンロードし直してください。

署名検証 (より高度なセキュリティチェック):

チェックサム検証はファイルの内容が変わっていないかを確認できますが、提供されているチェックサムファイル自体が改ざんされていないかまでは保証できません。より厳重に確認するためには、提供されているチェックサムファイルやISOイメージファイルに対するGPG署名を検証する方法があります。

CentOS Projectは、リリースされるファイルの正当性を証明するためにGPG署名を使用しています。この署名を検証するには、CentOS Projectの公開鍵を取得し、それを用いて署名ファイルを検証する必要があります。

この手順はチェックサム検証よりも少し複雑になりますが、高いセキュリティを求める場合には推奨されます。

署名検証手順 (Linux/macOSでの例):

  1. CentOS Projectの公開鍵を取得する: CentOS Projectの公式サイトまたは信頼できる鍵サーバーから公開鍵をダウンロードし、自分のGPG鍵ストアにインポートします。例えば、以下のような手順で行います。(鍵のIDや取得元はバージョンによって異なる可能性がありますので、公式サイトで確認してください。)
    curl -O https://www.centos.org/keys/RPM-GPG-KEY-CentOS-SIG-Cloud (例としてCloud SIGの鍵)
    gpg --import RPM-GPG-KEY-CentOS-SIG-Cloud

  2. ダウンロードしたチェックサムファイル (SHA256SUMS) に対応する署名ファイル (SHA256SUMS.asc) をダウンロードする: ダウンロードしたISOファイルと同じミラーサイトの同じディレクトリにある、拡張子が.ascとなっている署名ファイルを探してダウンロードします。

  3. 署名を検証する: ダウンロードしたSHA256SUMS.ascファイルに対して、以下のコマンドで署名を検証します。
    gpg --verify SHA256SUMS.asc SHA256SUMS
    SHA256SUMS.ascが署名ファイル、SHA256SUMSが署名の対象となるファイルです。)

検証が成功すると、「Good signature from “CentOS Stream (SIG CentOS Cloud) …”」のようなメッセージが表示されます。もし「Bad signature」や「No public key」のようなメッセージが表示された場合は、署名が不正であるか、鍵のインポートが正しく行われていないかのどちらかです。署名が不正な場合は、ファイルが改ざんされている可能性があるため、そのファイルは使用しないでください。

この署名検証を行うことで、ダウンロードしたチェックサムファイル自体が、CentOS Projectによって正式に署名されたものであることを確認できます。これにより、ISOファイルとチェックサムファイルの両方の信頼性が高まります。

CentOS Linuxのダウンロードについて(補足):

前述の通り、従来のCentOS Linux 7と8はEOLを迎えるか、既に迎えています。公式サイトのダウンロードページには、まだこれらのバージョンのダウンロードリンクが残されている場合もあります。しかし、新規でCentOS Linux 7または8をインストールすることは、セキュリティの観点から強く推奨されません。 EOLを迎えると、公式からのセキュリティアップデートやバグ修正が提供されなくなるため、脆弱性が放置されるリスクが高まります。

もし過去にCentOS Linux 7/8をダウンロードしたことがある場合でも、最新版のCentOS Streamや他のRHELクローンに移行することを検討してください。どうしてもEOL済みのバージョンが必要な特定の理由(例: 互換性の確認、非常に古いシステムの再現)がある場合でも、そのリスクを十分に理解し、インターネットから隔離された環境で使用するなどの対策が必要です。

ダウンロードしたISOイメージの活用方法

ISOイメージファイルをダウンロードし、その検証も無事に完了したら、次はそれを実際にOSのインストールに使えるようにするステップです。ISOファイルは、CD/DVDやUSBメモリのような物理メディアに書き込むか、仮想マシンの仮想ドライブにマウントして使用します。現代では、容量が大きく高速なUSBメモリを使う方法が最も一般的です。

ここでは、ISOファイルをブータブルなインストールメディアにする方法と、仮想マシンで利用する方法を解説します。

方法 1: USBブートメディアの作成

ダウンロードしたISOファイルをUSBメモリに書き込んで、コンピューターをUSBから起動してインストールする方法です。ほとんどのPCやサーバーがUSB起動に対応しており、CD/DVDドライブが不要であることから最も手軽な方法です。

準備するもの:

  • ダウンロード済みのCentOS StreamのISOファイル
  • インストールメディアとして使用するUSBメモリ(ISOファイルのサイズ以上の容量が必要。通常、DVD ISOの場合は8GB以上のものが推奨されます。書き込み済みのデータは全て消去されるので、空のものか、データを移行済みのものを使用してください。)
  • ISOファイルをUSBメモリに書き込むためのソフトウェア

ISOファイルをUSBメモリに書き込むソフトウェアの例:

Windows、macOS、Linuxなど、お使いのOSによって利用できるツールが異なります。いくつか代表的なものを紹介します。

  • Rufus (Windows): 高機能で広く使われている無料のツールです。ISOモードとDDモードがあり、CentOSのようなLinuxイメージの書き込みにも適しています。
  • balenaEtcher (Windows, macOS, Linux): シンプルで使いやすいGUIツールです。ISOイメージを選択し、書き込み先のドライブを選択するだけで簡単にブータブルメディアを作成できます。複数のOSで同じように使えるのが利点です。
  • Fedora Media Writer (Windows, macOS, Linux): Fedoraプロジェクトが提供するツールですが、汎用的なISOライターとしても機能します。
  • dd コマンド (Linux, macOS): コマンドラインツールですが、非常に強力です。正確なコマンドと対象デバイスを指定する必要がありますが、他のツールが使えない場合などに役立ちます。(ただし、誤ったデバイスを指定するとシステム上の全てのデータを消去する可能性があるため、使用には細心の注意が必要です!
  • Ventoy (Windows, Linux): USBメモリを一度だけVentoy対応にフォーマットすれば、以降はISOファイルをUSBメモリにコピーするだけでブータブルメディアとして認識させることができるユニークなツールです。複数のISOを一つのUSBメモリに入れておき、起動時に選択できます。

balenaEtcherを使ったUSBブートメディア作成手順 (例 – Windows, macOS, Linux共通でほぼ同じ操作):

  1. balenaEtcherを公式サイトからダウンロードし、インストールまたは実行します。
  2. Etcherを起動します。「Flash from file」ボタンをクリックし、ダウンロードしたCentOS StreamのISOファイルを選択します。
  3. 「Select target」ボタンをクリックし、ISOファイルを書き込みたいUSBメモリを選択します。(複数のUSBドライブが接続されている場合は、間違えないように注意してください。)
  4. 「Flash!」ボタンをクリックします。
  5. 操作を続行することの確認や、管理者権限の要求が表示される場合があります。許可して書き込みを開始します。
  6. 書き込みが完了するまで待ちます。書き込み完了後に検証が行われるオプションがあれば、チェックを入れておくとより確実です。
  7. 完了のメッセージが表示されたら、USBメモリを取り外して使用できます。

dd コマンドを使ったUSBブートメディア作成手順 (例 – Linux):

ddコマンドは強力ですが、使い方を間違えるとデータ損失の危険があります。必ず慎重に行ってください。

  1. ターミナルを開き、USBメモリのデバイス名を確認します。lsblkコマンドなどが利用できます。例えば、/dev/sdXXはアルファベット)のような名前で見つかります。絶対にシステムがインストールされているディスクなどを指定しないように注意してください。 サイズなどで判断できます。
    例: lsblk
    NAME MAJ:MIN RM SIZE RO MOUNTPOINT
    sda 8:0 0 238.5G 0 disk
    ├─sda1 8:1 0 500M 0 /boot
    ├─sda2 8:2 0 1K 0
    └─sda5 8:5 0 238G 0 /
    sdb 8:16 1 7.5G 0 <- これがUSBメモリかもしれない
    └─sdb1 8:17 1 7.5G 0 /media/user/USBDISK

    この例では、/dev/sdb がUSBメモリのデバイス名である可能性があります。確実に確認してください。 また、USBメモリがマウントされている場合は、先にアンマウントしてください(例: sudo umount /dev/sdb1)。
  2. 以下のコマンドを実行してISOファイルをUSBメモリに書き込みます。
    sudo dd status=progress if=/Path/To/Your/CentOS-Stream-*.iso of=/dev/sdX bs=4M

    • sudo: 管理者権限で実行します。パスワードの入力を求められます。
    • dd: コマンド名です。
    • status=progress: 書き込みの進捗状況を表示します(一部のddバージョンでサポート)。
    • if=/Path/To/Your/CentOS-Stream-*.iso: 入力ファイルとしてダウンロードしたISOファイルを指定します。
    • of=/dev/sdX: 出力先デバイスとしてUSBメモリのデバイス名を指定します。パーティション番号(例: /dev/sdb1)ではなく、デバイス全体(例: /dev/sdb)を指定するのが一般的です。 sdXの部分は、先ほど確認した正しいデバイス名に置き換えてください。ここを間違えると、内蔵ディスクのデータが消去されます!
    • bs=4M: ブロックサイズを指定します。書き込み速度が向上することがあります。
  3. コマンド実行後、何もメッセージが表示されない(progressがない場合)か、完了を示すメッセージが表示されるまで待ちます。
  4. 書き込み完了後、キャッシュがディスクに書き込まれるのを待ちます。syncコマンドを実行しておくと安全です。
    sync
  5. USBメモリを取り外して使用できます。

方法 2: DVDインストールメディアの作成

かつては一般的な方法でしたが、最近のPCやサーバーではDVDドライブが搭載されていないことも多いです。しかし、もしDVDドライブがあり、メディア作成が可能な環境であれば、この方法も利用できます。

準備するもの:

  • ダウンロード済みのCentOS StreamのISOファイル
  • 書き込み可能なDVDメディア(DVD-RやDVD+Rなど。DVD ISOは容量が大きいので、通常のCDではなくDVDが必要です。容量は4.7GB程度必要です。)
  • PCに搭載されたDVDライティング可能なドライブ
  • DVD書き込みソフトウェア(Windows標準機能、macOS標準機能、ImgBurn, Braseroなど)

ISOファイルをDVDに書き込む手順 (一般的な書き込みソフトの操作):

  1. DVD書き込みソフトウェアを起動します。
  2. 「ディスクイメージを書き込む」「ISOファイルを書き込む」などのオプションを選択します。
  3. 書き込みたいISOファイルとして、ダウンロードしたCentOS StreamのISOファイルを選択します。
  4. 書き込み先ドライブとして、DVDドライブを選択し、空のDVDメディアを挿入します。
  5. 書き込み速度などを設定し(通常はデフォルトで問題ありません)、書き込みを開始します。
  6. 書き込み完了後、エラーなく書き込まれたか確認するオプションがあれば利用します。
  7. 完了したら、DVDメディアを取り出して使用できます。

方法 3: 仮想マシンでの利用

物理的なハードウェアにインストールする前に、または学習用として気軽にCentOS Streamを試したい場合は、VirtualBoxやVMware Player/Workstation、KVM/QEMUといった仮想化ソフトウェア上で仮想マシンを作成し、そこにインストールするのが便利です。

この場合、ダウンロードしたISOファイルを物理メディアに書き込む必要はありません。仮想マシンの設定で、作成した仮想DVDドライブまたは仮想CD/DVDドライブにダウンロードしたISOファイルを指定して起動するだけで、物理マシンにメディアを挿入して起動するのと同じように、インストーラーが起動します。

仮想マシンでの利用手順 (一般的な手順):

  1. VirtualBoxなどの仮想化ソフトウェアをインストールします。
  2. 新しい仮想マシンを作成します。
  3. 仮想マシンの設定を行います。
    • OSタイプ: Linux、Red Hat (64-bit) などを選択します。
    • メモリ (RAM): OSと実行したいアプリケーションに必要なメモリを指定します。CentOS Streamの最小インストール要件は2GBですが、快適に使うためには4GB以上推奨です。
    • プロセッサ (CPU): 仮想マシンに割り当てるCPUコア数を指定します。
    • ストレージ: 仮想ハードディスクを作成します。インストールとデータ保存に必要な容量を指定します(20GB以上推奨)。ディスクイメージファイルの形式などを選択します。
    • ネットワーク: ブリッジアダプターやNATなど、必要に応じてネットワーク設定を行います。
  4. 作成した仮想マシンの設定画面で、ストレージまたはCD/DVDドライブの設定を開きます。
  5. 仮想光学ドライブに、ダウンロードしたCentOS StreamのISOイメージファイルを指定します。「仮想光学ドライブにディスクイメージファイルをマウントする」のような操作を行います。
  6. 仮想マシンを起動します。
  7. ISOイメージからブートが始まり、CentOS Streamのインストーラーが起動します。以降は、物理マシンへのインストールと同様の手順でインストールを進めます。

仮想マシンを使うことで、既存のシステムに影響を与えることなく、安全な環境でCentOS Streamを試したり、様々な設定を実験したりすることができます。

ダウンロード・インストール時の注意点

CentOS Streamのダウンロードからインストールメディア作成までを終えたら、実際にインストールする前にいくつかの注意点を確認しておきましょう。

  • インストール先の準備:
    • 十分なディスク容量: CentOS Streamをインストールするには、システムパーティションとデータ保存用のパーティションが必要です。最小インストールでも数GBが必要ですが、快適に利用し、後からソフトウェアを追加することを考えると、最低でも20GB、推奨としては50GB以上のディスク容量を割り当てるのが望ましいです。仮想マシンにインストールする場合は、仮想ハードディスクのサイズを適切に設定してください。物理マシンにインストールする場合は、インストール先のディスクやパーティションを間違えないように十分に注意してください。既存のデータが消去される可能性があります。
    • 重要なデータのバックアップ: 現在使用しているシステムにCentOS Streamをインストールする場合(デュアルブートを含む)や、インストール先のディスクに重要なデータが含まれている場合は、必ず事前に完全なバックアップを取ってください。インストールの失敗や誤操作によってデータが失われるリスクがあります。
  • システム要件の確認: インストール先のコンピューターが、CentOS Streamの最低システム要件を満たしているか確認します。一般的には、最近数年以内に製造された64ビットCPU搭載のPCやサーバーであれば問題ありませんが、古いハードウェアの場合は注意が必要です。最低メモリ要件は2GBですが、グラフィカルインターフェースを使用する場合や、様々なアプリケーションを動かす場合は、4GB以上のメモリが推奨されます。
  • インターネット接続: Boot ISOを使用する場合や、インストール中にAdditional Softwareなどの追加パッケージをインストールする場合、またはインストール後のシステムアップデートを行うためには、インターネット接続が必要です。インストールメディアから起動する前に、ネットワークケーブルが接続されているか、無線LANの設定方法を確認しておきましょう。
  • UEFI/BIOS設定: コンピューターをインストールメディア(USBメモリやDVD)から起動するためには、PCのUEFI (Unified Extensible Firmware Interface) またはBIOS (Basic Input/Output System) 設定を変更する必要がある場合があります。起動時に特定のキー(F2, F10, F12, Delキーなど)を押して設定画面に入り、ブート順序をUSBデバイスやDVDドライブが内蔵ハードディスクよりも優先されるように変更します。また、UEFI環境では「セキュアブート (Secure Boot)」が有効になっていると、CentOS Streamのインストーラーが起動できない場合があります。必要に応じてセキュアブートを無効にする必要があります。
  • 既存OSとの共存 (デュアルブート): Windowsなど、既存のOSとCentOS Streamを同じディスクに共存させる「デュアルブート」構成にする場合は、既存のOSの起動に影響を与えないように、パーティショニングやブートローダーの設定に十分な知識と注意が必要です。特に初めての場合は、仮想マシンにインストールするか、完全に空のディスクにインストールすることをおすすめします。

CentOS Streamを使い始める前に

ダウンロード、検証、そしてインストールメディアの作成を終え、いよいよCentOS Streamのインストールを開始できる状態になりました。しかし、その前に改めて、CentOS Streamの位置づけについて再確認しておきましょう。

CentOS Streamは、従来のCentOS Linuxのように「RHELのクローンとしての安定版」ではありません。RHELの将来のバージョンに向けた「開発版に近い」位置づけであることを理解しておくことが重要です。

  • 本番環境での利用: クリティカルな本番環境、特にビジネスの基盤となるようなシステムでCentOS Streamを利用する場合は、その性質を十分に理解し、予期しない変更やバグが発生するリスクを許容できるか、あるいはそのリスクを管理できる体制があるかを検討する必要があります。多くの場合、本番環境にはRHEL本体(開発者向け無料枠や有償契約)、またはAlmaLinuxやRocky LinuxといったRHELクローンを選択する方が適切かもしれません。
  • 学習や開発: 個人の学習、開発環境、テスト環境、CI/CDパイプラインの一部など、ある程度の変更や不安定さを許容できる用途であれば、CentOS Streamは非常に有用な選択肢となります。RHELのエコシステムに慣れるのに最適な環境と言えます。
  • 代替ディストリビューションの検討: もし従来のCentOS Linuxのような「RHEL互換の無料安定版」を求めているのであれば、CentOS Streamではなく、AlmaLinuxやRocky LinuxといったRHELクローンを検討することを強くお勧めします。これらのディストリビューションは、CentOS Linuxの精神を引き継ぎ、RHELとの高い互換性を維持しながら長期サポートを提供することを目指しています。

これらの点を踏まえ、CentOS Streamがあなたの目的やニーズに合っているかを確認してください。

最後に、CentOS Streamを利用する上で困ったことや分からないことがあれば、コミュニティのリソースを活用しましょう。CentOS Projectの公式サイトには、メーリングリスト、フォーラム、Wiki、IRCチャンネルなど、様々なコミュニティリソースへのリンクが掲載されています。世界中のユーザーや開発者が助け合いながら活動しています。積極的に参加することで、問題を解決できるだけでなく、CentOS Projectの発展に貢献することも可能です。

まとめ

この記事では、CentOS Projectが提供する現在の主力ディストリビューションであるCentOS Streamを、公式ソースから無料で安全に入手する方法について、詳細に解説しました。

CentOSは、かつてはRHELの安定版クローンとして広く利用されていましたが、現在はRHELの開発プロセスに統合された「CentOS Stream」へとその役割を変えています。従来のCentOS Linux 7/8はサポートが終了または終了間近であり、新規インストールには適していません。

しかし、CentOS Streamは現在も完全に無料でダウンロード・利用が可能です。公式サイト (centos.org) から、目的や環境に合ったISOイメージファイル(通常はDVD ISO)をダウンロードし、提供されているチェックサムや署名を用いてファイルが破損・改ざんされていないかを必ず検証することが、安全な利用の第一歩です。

ダウンロードしたISOファイルは、RufusやbalenaEtcher、あるいはddコマンドといったツールを使ってUSBメモリに書き込むか、DVDに書き込むことで、コンピューターにインストールするための起動メディアを作成できます。また、VirtualBoxなどの仮想化ソフトウェアを使えば、物理メディアなしで手軽に試すことも可能です。

CentOS StreamはRHELの将来のバージョンに向けた開発版に近い性質を持つため、クリティカルな本番環境での利用には注意が必要です。個人の学習や開発、テスト環境など、その性質を理解した上で利用することをお勧めします。もしRHEL互換の安定版を求めるのであれば、AlmaLinuxやRocky Linuxといった他の選択肢も検討に値します。

オープンソースコミュニティの貢献によって提供されているCentOS Streamは、Linuxの世界を探求するための素晴らしいツールです。本記事で解説した正しい手順でダウンロード・検証を行い、安全にCentOS Streamの世界を体験してみてください。そして、もし可能であれば、コミュニティ活動に参加して、あなた自身もプロジェクトに貢献してみるのも良い経験になるでしょう。

CentOSのダウンロードは無料です。この記事が、あなたがCentOS Streamを正しく理解し、安全に利用を開始するための一助となれば幸いです。


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