ONI(Oxygen Not Included)ゲーム紹介:面白い?難しい?魅力に迫る


ONI(Oxygen Not Included)ゲーム紹介:面白い?難しい?魅力に迫る

広大な宇宙の片隅、忘れ去られた小惑星の地下深くに、彼らは誕生する。プカプカと浮かぶ装置から射出される、どこか頼りなげで、しかし希望に満ちた小さな生命体たち。彼らこそ、この物語の主人公であり、あなたの分身となる「複製人間(Duplicant)」です。彼らの指揮官であるあなたは、この過酷な地下世界で、彼らが生き延び、繁栄するためのコロニーをゼロから築き上げなければなりません。

今回ご紹介するのは、カナダのゲーム開発会社Klei Entertainmentが手掛けた、超本格派コロニーシミュレーション&サバイバルゲーム、『Oxygen Not Included』、通称「ONI」です。可愛いキャラクターデザインと、地下世界を探検するワクワク感とは裏腹に、その中身は恐ろしく複雑で、そして底なしに面白いゲームです。

「ONIって面白い?」「難しいって聞くけど、どれくらい?」「一体どんな魅力があるの?」

この記事では、そんな疑問にお答えすべく、ONIのゲームシステムから、多くのプレイヤーが熱狂する面白さ、そして時にはコントローラーを投げつけたくなるほどの難しさ、そしてそれらを全てひっくるめた唯一無二の魅力まで、徹底的に深掘りしていきます。ONIの世界への扉を開ける覚悟はできましたか?

第1章:ONIとは? 地下世界サバイバルの幕開け

1.1 舞台は小惑星の地下、目的は「生き延びること」

ONIの舞台は、荒廃した小惑星の地下深くに広がっています。あなたは、この閉鎖された環境に、たった数体の複製人間と共に降り立ちます。初期物資はごくわずか。彼らが呼吸するための酸素は、初期エリアにある藻を消費して作り出すしかありません。食料も、わずかなレーションパックを食べつくしたら、自分たちで生産する必要があります。水も、電力も、何もかもがゼロからのスタートです。

ゲームの究極的な目的は、明確には示されていません。ですが、当面の、そして最も重要な目的は「複製人間たちを飢えさせず、凍えさせず、病気にさせず、酸素欠乏にさせず、ストレスで発狂させず、生き延びさせること」です。彼らが活動し、コロニーを維持・発展させていくためには、衣食住、そして精神的なケアまで、全てをあなたの管理下で行う必要があるのです。

1.2 コロニーシミュレーション+サバイバル+物理演算パズル

ONIは、一口に「コロニーシミュレーション」や「サバイバル」と分類されますが、その内容は非常に独特です。

  • コロニーシミュレーション: 複製人間を管理し、資源を採掘・加工し、様々な施設を建設してコロニーを発展させていきます。仕事の割り当て、スキルの育成、士気の管理など、一般的なコロニーシムの要素を含んでいます。
  • サバイバル: 酸素、食料、水、温度、ストレス、病気など、複製人間たちの生存を脅かす様々な要素が存在します。これらの問題を継続的に解決し続けなければ、あっという間にコロニーは崩壊します。
  • 物理演算パズル: これがONIをONIたらしめている最も重要な要素かもしれません。ONIの世界では、気体は気圧に従って移動し、液体は重力に従って流れます。熱は温度の高い場所から低い場所へ伝わり、物質は温度によって状態変化します(固体⇔液体⇔気体)。これらの物理法則が、ゲームシステムの中核として非常にリアルに再現されており、プレイヤーはこれらの法則を理解し、利用して、コロニーを設計・運用する必要があります。

1.3 基本的なゲームサイクル

ONIの基本的なゲームサイクルは、以下の繰り返しです。

  1. 掘る(Dig): 未知の地下を掘り進め、新たな空間を開放し、資源(鉱石、水、汚染水、石油など)を入手します。
  2. 建てる(Build): 採掘した資源を使って、酸素生成器、食料生産施設、電力システム、研究施設、娯楽施設など、様々な施設を建設します。
  3. 管理する(Manage): 複製人間の仕事、スキル、健康、ストレス、そしてコロニー全体の温度、気圧、資源量などを常に監視・調整します。
  4. 探索する(Explore): 地下深く、あるいは宇宙空間へと進出し、新たなバイオーム、間欠泉、遺跡、脅威を発見します。

このサイクルの中で、様々な問題が発生し、それを解決するために新たな技術を開発し、より効率的なシステムを構築していくことになります。

第2章:ONIの「面白さ」を深掘り – 終わりのない問題解決と最適化の喜び

ONIの面白さは、その複雑なシステムが織りなす「終わりのない問題解決」と、理想のシステムを構築できた時の「最適化の喜び」に集約されます。可愛い見た目に反して、非常にロジカルでエンジニアリング的な思考が求められるゲームなのです。

2.1 息づく物理シミュレーションが生むリアルな課題と解決策

ONIの最大の面白さの一つは、その徹底した物理シミュレーションにあります。ゲーム内のあらゆる物質、気体、液体、熱が、現実世界に近い法則に従って振る舞います。これが、プレイヤーに常に新たな課題を突きつけ、同時に巧妙な解決策を生み出す余地を与えます。

  • 流体(液体・気体)の挙動:

    • 気体には比重があり、軽い気体(水素)は上に、重い気体(二酸化炭素)は下に溜まります。酸素は中間に位置します。これにより、コロニー内に気体の層ができ、酸素が必要な場所に届かなかったり、有害なガスが溜まったりします。プレイヤーは、気圧ポンプや気体フィルター、あるいは気体の比重を利用した部屋の設計で、これを制御する必要があります。
    • 液体は重力に従って流れます。高所から低所へ流れ落ち、窪みに溜まります。これが排水処理や水供給システムの設計に影響します。また、液体にも圧力があり、高すぎる水圧はパイプを破損させることがあります。
    • 液体と気体は混合したり、互いの領域を押し合ったりします。汚染された気体がクリーンな空気を汚染したり、汚染水が真水を汚染したりするリアルさがあります。
  • 熱伝導と温度管理:

    • ONIの世界では、熱は非常に重要な要素です。機械は稼働すると熱を発生させます。複製人間も体温を持っています。この熱が周囲の物質や気体に伝わり、コロニー全体の温度を上昇させます。
    • 特定の作物は適切な温度範囲でしか育ちません。複製人間も快適な温度でないとストレスを感じます。水や汚染水、そして多くの液体・気体も温度によって状態変化します(凍結、沸騰)。
    • 熱問題は、ゲーム序盤から終盤まで常にプレイヤーを悩ませます。電解槽で酸素を作る際、水が分解されるだけでなく、大量の熱が発生します。汚染水を浄化する施設も熱を出します。何も対策しないと、あっという間にコロニーは高温になり、作物は枯れ、水は沸騰し、複製人間は熱中症で倒れます。
    • この熱問題を解決するために、プレイヤーは様々な手段を講じます。断熱性の高いタイルで熱源を隔離する、低温の物質(冷たい間欠泉からの水など)を利用する、熱交換器を使って熱を移動させる、蒸気タービンと熱電冷却器を組み合わせた高度な冷却システムを構築する、などです。物理法則を理解し、どのように熱を管理・排出・利用するかが、コロニーの成否を分けます。
  • 物質の状態変化:

    • 水が凍って氷になったり、沸騰して蒸気になったりします。蒸気は冷えると水に戻ります。汚染水は蒸発すると汚染酸素になり、冷えると汚染水に戻ります。
    • これらの状態変化は、時に問題を引き起こしますが(例:パイプ内の水が凍結して破損)、逆に巧みに利用することもできます。例えば、高温の汚染水を蒸発させてから冷やして真水に戻すといったクリーンな水のリサイクルシステムや、高温の蒸気を利用した発電システムなどです。

これらの物理シミュレーション要素が、単なるリソース管理ゲームではない、ONI独自の奥深さを生み出しています。「なぜ酸素がここに届かない?」「なぜこんなに暑いんだ?」「どうすればこの汚染ガスを排除できる?」といった物理的な問題を、試行錯誤しながら解決していく過程が、ONIの最大の醍醐味の一つです。

2.2 複雑なサプライチェーンと自動化の追求

コロニーが拡大し、複製人間の数が増えるにつれて、必要な物資の種類と量は爆発的に増加します。食料、水、酸素、電力、資材、そして廃棄物の処理。これら全てが連鎖し、複雑なサプライチェーンを形成します。

  • 生産ラインの構築: 例えば、食料を作るだけでも、種を栽培し、水を供給し、適切な温度と雰囲気ガスを保ち、収穫し、調理場に運び、電力を使って調理し、食料庫に保管し、食堂に運び、複製人間が食べる、という一連の流れが必要です。さらに、栽培には土やリン鉱石が必要だったり、調理には特定の副材料が必要だったりします。
  • 資源のリサイクル: 汚染水から真水を作り、その際に発生する汚染土を別の用途に使い、二酸化炭素をスクラバーで除去して水に戻す…といったように、ONIでは様々な資源をリサイクルする技術が存在します。これらのシステムを構築することで、限られた資源を有効活用し、持続可能なコロニーを目指すことができます。
  • 電力ネットワーク: 発電機、バッテリー、電線、変圧器といった要素を組み合わせて、必要な場所に電力を供給する必要があります。発電方法も石炭、水素、天然ガス、石油、蒸気、太陽光など多岐にわたり、それぞれにメリット・デメリットがあります。効率的な配線計画や、負荷分散の工夫が求められます。
  • 自動化による効率化: ONIには、センサー(温度、気圧、流量、貯蔵量など)や自動化ワイヤー、論理回路(AND, OR, NOT, タイマーなど)といった自動化ツールが豊富に用意されています。これらを活用することで、手動では管理しきれない複雑なシステムを自動化できます。
    • 例:気圧センサーを使って、部屋の酸素レベルが一定以下になったら酸素生成器を動かす。温度センサーを使って、特定の部屋が暑くなったら冷却システムを稼働させる。貯蔵センサーを使って、特定の資源が減ったら自動的に生産を開始する。
    • さらに複雑な例:複数の発電機を、バッテリー残量に応じて優先順位をつけて稼働させる。間欠泉の活動周期に合わせて、蒸気タービンを最適なタイミングで動かす。

これらのサプライチェーンと自動化システムを設計・構築する過程は、まるでプログラマーやエンジニアになったような感覚です。自分の組んだ複雑なシステムが意図通りに動き、コロニーが効率的に運営されていく様子を見るのは、筆舌に尽くしがたい喜びがあります。無駄をなくし、ボトルネックを解消し、より洗練されたシステムへと改善していく過程は、まさにパズルのようで中毒性があります。

2.3 問題解決のプロセスと達成感

ONIをプレイしている間、あなたは常に何らかの問題に直面することになります。「酸素が足りない!」「食べ物が腐ってる!」「ここの温度が高すぎる!」「複製人間たちが病気だ!」「電力が追いつかない!」など、次から次へと新たな課題が発生します。

これらの問題を解決するためには、まず原因を特定する必要があります。温度が高いのはなぜか? 熱源はどこか? その熱はどう伝わっているのか? 食料が腐るのはなぜか? 貯蔵庫の温度が高いのか? 運搬が遅いのか?

原因が分かったら、対策を考えます。熱源を隔離するか? 冷却システムを作るか? 冷蔵庫を設置するか? 運搬の優先順位を上げるか?

そして、対策を実行するために、新たな施設を建設し、パイプや電線を繋ぎ、自動化を設定します。しかし、多くの場合、最初の対策は完璧ではありません。予期せぬ副作用が生じたり、別の問題を引き起こしたりします。例えば、冷却システムを作ったら、冷えすぎて作物が育たなくなったり、冷却剤が凍結したりするかもしれません。

そのため、プレイヤーは常に試行錯誤を繰り返し、システムを改善していくことになります。失敗から学び、より良い設計を追求する。この、問題発生→原因究明→対策立案→実行→評価→改善、というサイクルこそが、ONIのプレイ体験の中核を成しています。

そして、長い試行錯誤の末、複雑なシステムが完璧に機能し、長年の課題だった問題が見事に解決された時の達成感は格別です。「やったぞ!これでコロニーは安泰だ!」と、心の中で叫ぶ瞬間が何度も訪れるでしょう。この達成感が、ONIの難しさを乗り越える最大のモチベーションとなります。

2.4 探索と発見によるゲーム世界の広がり

最初の狭いエリアから、地下を掘り進めることで、ゲーム世界はどんどん広がっていきます。様々なバイオーム(生態系)が存在し、それぞれに独自の気候、資源、生物、そして間欠泉(Geyser)があります。

  • 多様なバイオーム: 凍土、沼地、油田、火山地帯、宇宙空間など、環境が劇的に異なるエリアが存在します。それぞれに固有の資源(藻、粘土、石油、アビスライトなど)や、固有の生物(ハッチ、スウィートリーフ、プークなど)がいます。これらの新たな資源や生物は、コロニーの発展に欠かせませんが、同時に新たな脅威(高温、有害ガス、病原菌)をもたらします。
  • 間欠泉(Geyser): ONIの世界には、特定の物質(水、汚染水、蒸気、天然ガス、塩素ガス、水素など)を周期的に噴出する間欠泉が点在しています。これらは貴重な資源供給源となりますが、噴出中は非常に高温だったり、有害なガスを出したりします。間欠泉の種類を見つけ、その性質を理解し、いかに安全かつ効率的に資源を利用するか、という新たな問題解決が生まれます。
  • 遺跡と宇宙: 地下深くには古代の遺跡が眠っており、貴重なアーティファクトや情報が見つかることがあります。さらにゲームが進行すると、小惑星の外、宇宙空間へと進出するためのロケット開発が可能になります。宇宙は真空で極低温という過酷な環境ですが、希少な資源や新たな研究要素が待っています。

未知の世界を探索し、新たな資源や技術を発見する過程は、プレイヤーに常に新鮮な驚きと探求心を与えてくれます。マップ構造はプレイごとにランダム生成されるため、同じプレイスタイルでも常に新しい発見があります。

2.5 個性豊かな複製人間たちとの絆(?)

ONIの主人公は、あなた自身ではなく、あなたが管理する複製人間たちです。彼らはそれぞれ異なる「特性(Traits)」を持っています。足が速い、力持ち、臆病、きれい好き、ゲップをする(二酸化炭素を出す!)、嘔吐する(汚染水を出す!)、夜型、朝型、特定の仕事が得意/苦手、特定の食べ物が好き/嫌い…その特性は多岐にわたり、時には非常にユニークで困ったものもあります。

これらの特性は、彼らの行動や能力に大きく影響します。仕事の適性を見極め、得意な仕事に割り当てることで効率が上がります。しかし、特定の特性がコロニーに問題を引き起こすこともあります(例えば、汚染嘔吐をする複製人間がいると、あっという間に汚染水と病原菌が広がります)。

複製人間たちは、それぞれに「士気(Morale)」があります。これは、彼らの幸福度を示す指標で、食事の質、睡眠環境、娯楽施設の有無、ストレスのレベルなどによって変動します。士気が低いとストレスが溜まりやすくなり、最終的には病気になったり、施設を破壊したり、働くのを拒否したりします。彼らの士気を高く保つためには、様々な施設を建設し、彼らのニーズを満たす必要があります。

ゲームを進めるにつれて、あなたは特定の複製人間に愛着を持つようになるかもしれません。「この子は掘削が得意だから、どんどん掘ってもらおう」「あの子は料理が上手だから、シェフに育てよう」といったように、彼らの個性に合わせて役割を与え、彼らがコロニーに貢献する様子を見るのは、シミュレーションゲームならではの楽しさです。時には問題児に頭を悩ませることもありますが、それもまたONIの味わい深い要素の一つと言えるでしょう。

第3章:ONIの「難しさ」を分析 – 容赦ない物理法則と情報の波

ONIは面白いゲームですが、同時に多くのプレイヤーが挫折を経験するほど「難しい」ゲームでもあります。その難易度は、主に以下の要素に起因します。

3.1 物理法則の厳しさと容赦なさ

前述の物理シミュレーションは、ONIの面白さの根源であると同時に、難しさの最大の要因でもあります。現実世界と同じように、物理法則はプレイヤーに一切容赦しません。

  • 熱暴走: ONIで最も頻繁にプレイヤーを破滅に導くのが熱問題です。電解槽やその他の熱源からの熱は、対策しないと際限なくコロニーに蓄積されていきます。一度高温になり始めると、それを冷やすのは非常に困難です。冷却システム自体も熱を出すこともあります。冷やそうとして逆に熱をばらまいてしまったり、冷やしすぎて別の問題(パイプ凍結など)を引き起こしたりと、熱管理は常に高度な知識と計画性を要求されます。
  • 気体・液体の制御: 気体や液体は、プレイヤーの意図しない場所に勝手に広がっていきます。少しの隙間から有害なガスが入り込んだり、汚染水が重要な貯水槽に漏れ出したりします。理想的な気圧と温度の環境を作り出すのは非常に難しく、しばしば試行錯誤が必要です。パイプシステムも複雑で、詰まりや破損といった問題が発生しやすいです。
  • 状態変化の予期せぬ影響: パイプ内の水が凍結してパイプが壊れる、貯水槽の水が沸騰して蒸気になり施設が壊れる、といった状態変化による事故はONIの日常です。これらは、プレイヤーが温度管理を怠ったり、物質の性質を理解していなかったりすると発生します。

ONIの難しさは、「ボタン一つで全てが解決する」というようなものではありません。問題を解決するためには、その物理的なメカニズムを理解し、物理法則に逆らうのではなく、それを「利用」する形でシステムを構築する必要があります。これが、プレイヤーに深い知識と学習を要求します。

3.2 情報の洪水と複雑なシステム間の相互作用

ONIは非常に多くの情報をプレイヤーに提示します。温度、気圧、各物質の量と種類、病原菌の種類と数、複製人間の各種ステータス(健康、ストレス、士気、疲労、空腹、膀胱など)、各施設の稼働状況、電力消費量、生産量…これら全てをリアルタイムで把握し、状況判断を下す必要があります。

さらに、ONIのシステムは非常に複雑に相互作用しています。

  • 汚染水を浄化する→熱が発生する→部屋の温度が上がる→作物が育たない/複製人間がストレスを感じる→食料不足/士気低下に繋がる。
  • 電解槽で酸素を作る→熱が発生する/水素が発生する→熱問題/気体分離問題が発生する。
  • 複製人間のストレスが高い→嘔吐する→汚染水と病原菌が発生する→病気が蔓延する→働く効率が下がる→さらにストレスが溜まる…といった負の連鎖。

一つの問題を解決するために行った変更が、別の場所で予期せぬ問題を引き起こすことが日常茶飯事です。全ての要素が複雑に絡み合っているため、全体像を把握し、長期的な影響を考慮した上で計画を立てる必要があります。

ゲーム内のチュートリアルは基本的な操作を教えてくれますが、複雑なシステムや物理法則の応用についてはほとんど説明してくれません。プレイヤーは、ゲームをプレイしながら、あるいはWikiや攻略サイト、他のプレイヤーの動画などを参照しながら、膨大な知識を自ら習得していく必要があります。この学習コストの高さが、多くの初心者にとって最初の大きな壁となります。

3.3 常に時間経過するゲーム世界と計画性の重要性

ONIの世界は、あなたが一時停止ボタンを押さない限り、常に時間が流れています。複製人間は働き続け、資源は消費され、熱は伝わり、ガスは移動します。つまり、問題は常に進行しており、悠長に構えている時間はありません。

短期的な問題解決に追われているうちに、より深刻な長期的な問題(例:主要資源の枯渇、コロニー全体の温度上昇)が手遅れなレベルまで進行してしまうことがあります。目先の課題に囚われず、常に数サイクル、数十サイクル先の状況を予測し、計画的に行動することが重要です。

例えば、新しい施設を建設する際も、単に「ここに建てよう」ではなく、「ここに建てると熱はどう伝わるか?」「必要な資源や電力はどう供給するか?」「発生する廃棄物やガスはどう処理するか?」といった長期的な視点での検討が必要です。しかし、初心者のうちはそこまで見通すのが難しく、場当たり的な対応になりがちです。

3.4 予期せぬイベントと危機管理能力

ゲームを進めると、間欠泉の噴出サイクル、小惑星の落下、特定の病原菌の蔓延、施設の故障など、様々な予期せぬイベントが発生します。これらのイベントは、既存のシステムに大きな影響を与え、新たな危機をもたらす可能性があります。

例えば、高温の間欠泉が突然噴出し、近くの施設が熱で壊滅したり、冷たい間欠泉が噴出し、周囲が凍結したりします。病原菌が蔓延すると、複製人間が次々に病に倒れ、コロニーの機能が麻痺します。

プレイヤーは、常にこれらのリスクを意識し、万が一に備えたシステム(例:予備の酸素供給システム、隔離施設、自動シャットダウン機構)を構築しておいたり、危機が発生した際に迅速かつ適切に対応できる判断力や準備をしておく必要があります。危機管理能力が問われるゲームです。

3.5 失敗からの学び、そしてコロニーの崩壊

ONIは、失敗から学ぶことが非常に多いゲームです。初めて熱暴走を経験し、コロニーが灼熱地獄になる。初めて水処理システムが破綻し、全ての水が汚染される。初めて病気が蔓延し、複製人間がバタバタ倒れる。これらの壮絶な失敗を経験することで、プレイヤーはONIの世界の厳しさを理解し、次に活かすべき知識を得ます。

しかし、ONIでの失敗は、時には「コロニーの崩壊」を意味します。酸素が完全に枯渇すれば、複製人間は窒息死します。食料が尽きれば、餓死します。ストレスが高まりすぎれば、士気が崩壊してゲームオーバーに繋がります。一度崩壊の連鎖が始まると、それを止めるのは非常に困難な場合があります。

そのため、一つの大きな失敗が、それまでの数十時間、数百時間のプレイを無駄にしてしまう可能性があります。この厳しさが、ONIを難しく、しかし同時に成功した時の達成感をより大きなものにしています。

第4章:ONIの「魅力」とは何か? – 挑戦の先に待つ、唯一無二のゲーム体験

ONIの難しさを乗り越え、その奥深さに触れたプレイヤーは、このゲームの虜になります。一体何がそこまで人々を惹きつけるのでしょうか?

4.1 圧倒的な達成感と、止められない中毒性

ONIの最も大きな魅力の一つは、その難しさを乗り越えた時に得られる、圧倒的な達成感です。複雑に絡み合った問題を解決し、試行錯誤の末に理想的なシステムが完成し、コロニーが安定的に稼働し始めた時の喜びは、他のゲームではなかなか味わえません。

「あの熱問題、どうにもならなかったのに、完璧な冷却システムを組んで解決できた!」「ずっと悩まされていた汚染水問題が、全自動のリサイクルシステムで解決した!」「これで複製人間たちは安全に暮らせる!」

自分が設計・構築したシステムが、まるで生きているかのように機能し、コロニーが発展していく様子を見るのは、プレイヤーにとって最高の報酬です。そして、この達成感は「もっと効率化できるんじゃないか?」「次はあの間欠泉を利用してみよう」「もっと高度な自動化に挑戦してみよう」といった新たな目標を生み出し、プレイヤーをさらなる探求へと駆り立てます。

「あと少しだけ」「このシステムだけ完成させてから寝よう」…ONIは、気づけば数時間、数十時間が溶けている、典型的な「時間泥棒」ゲームです。この止められない中毒性こそが、多くのプレイヤーがONIに夢中になる理由です。

4.2 創造性とエンジニアリング精神を刺激する自由度

ONIは、基本的なルールと目的はありますが、それをどう達成するかはプレイヤーの自由です。様々な施設、パイプ、電線、自動化ツールをどのように組み合わせてシステムを構築するかは、プレイヤーの創造性とエンジニアリング的な発想に委ねられています。

  • 無限の設計パターン: 酸素供給システム一つとっても、藻を利用するか、水と電解槽を使うか、水素を利用するか、あるいはそれらを組み合わせるか。冷却システムも、熱交換器だけを使うか、液体を利用するか、蒸気タービンを使うかなど、無数の設計パターンが考えられます。プレイヤーは、自分の知識とアイデアを駆使して、独自の効率的で美しい(?)コロニーレイアウトやシステムを追求できます。
  • 自動化による高度な制御: 自動化ツールは、プレイヤーのアイデア次第で、非常に複雑で巧妙なシステムを実現できます。特定の条件が満たされた時だけ作動する発電機、資源の残量に応じて生産を調整する工場、気圧や温度を常に一定に保つ部屋…物理法則を理解し、論理回路を組み合わせることで、まるで機械設計者のように緻密なシステムを構築する楽しさがあります。
  • 「こうしたらどうなる?」の探求: ONIの世界では、「もしこの液体をここに流したら?」「もしこの部屋の温度を極端に上げたら/下げたら?」といった、現実世界では試せないような物理法則の実験を気軽に行うことができます(そして、しばしば壮絶な失敗をします)。この「こうしたらどうなるんだろう?」という探求心が、新たな発見やアイデアに繋がります。

ONIは、単に決められた手順をこなすゲームではなく、プレイヤー自身が問題を定義し、解決策を考案し、それを形にするプロセスを楽しむゲームです。自分の頭の中で描いたシステムが、ゲーム内で見事に機能した時の喜びは格別です。

4.3 可愛らしい見た目とシュールなユーモアが生む独特の世界観

ONIの複製人間たちは、丸っこい体に大きな頭、そして表情豊かな可愛らしいキャラクターデザインです。彼らのアニメーションも非常にコミカルで、一生懸命働く姿や、ストレスで奇妙な行動を取る姿は、見ていて飽きません。

ゲーム全体を通して、独特のシュールなユーモアが散りばめられています。複製人間が発する「ゲップ」や「汚染嘔吐」といった困った生理現象、奇妙な生物たちの生態、施設のユニークな説明文など、シビアなサバイバル状況とのギャップが、ONI独自の魅力を生み出しています。

この可愛らしい見た目とユーモアが、ゲームの高い難易度とのバランスを取り、プレイヤーに親しみやすさを与えています。残酷な宇宙のサバイバル状況下でも、どこか憎めない複製人間たちと共に奮闘する、という独特の世界観が多くのファンを魅了しています。

4.4 無限のリプレイ性と広がるコミュニティ

マップ構造がランダム生成されること、多様な間欠泉の種類があること、そして様々な技術やシステムを構築できる自由度により、ONIは非常に高いリプレイ性を持っています。新しいマップでプレイするたびに異なる環境に直面し、前回とは違う戦略やシステムを構築する必要が出てきます。また、特定の縛りプレイに挑戦したり、究極的に効率化されたコロニーを目指したりと、プレイヤー自身で新たな目標を設定して楽しむこともできます。

さらに、ONIには熱心なコミュニティが存在します。プレイヤーは、自分の構築した複雑なシステムを披露したり、「この問題はどう解決すればいい?」と助けを求めたり、他のプレイヤーの攻略法やアイデアを参考にしたりします。Wikiには膨大な情報が集約されており、ゲームの理解を深める上で非常に役立ちます。

また、Steamワークショップには、有志が作成した様々なMODが公開されています。ゲームのインターフェースを改善するものから、新たな施設や生物を追加するものまで、MODを導入することでゲーム体験をさらに拡張し、長く楽しむことができます。コミュニティとの交流やMODの導入も、ONIの魅力の一部と言えるでしょう。

第5章:ONIはどんな人におすすめ?

ここまでONIの面白さ、難しさ、魅力について語ってきましたが、ではこのゲームは一体どんな人におすすめなのでしょうか?

  • シミュレーションゲーム、サバイバルゲームが好きで、骨太な体験を求めている人: ストレスなくサクサク進めたい人には向きませんが、歯ごたえのあるシミュレーションとサバイバルに挑戦したい人にはうってつけです。
  • 論理的思考、問題解決、最適化が好きな人: パズルを解くように問題を解決し、システムを効率化していく過程を楽しめる人にとって、ONIは最高の遊び場となるでしょう。プログラミングやエンジニアリング的な思考回路を持っている人は、特にハマりやすいかもしれません。
  • 物理や科学に興味がある人: 熱力学、流体力学といった物理法則がゲームシステムに深く組み込まれているため、これらの分野に興味がある人、あるいはゲームを通じてそれらの面白さに触れてみたい人にとって、ONIは学びと発見に満ちたゲームとなり得ます。
  • 試行錯誤や学習を楽しめる人: 最初から完璧に進めることは不可能です。失敗から学び、粘り強く挑戦し続ける根気が必要です。このプロセスを楽しめる人には、ONIは非常にやりがいのあるゲームとなるでしょう。
  • 可愛いキャラクターが好きだが、ゲーム内容はハードコアなものが良い人: 見た目と内容のギャップが好きな人には、たまらないゲーム体験が待っています。
  • 時間があっという間に溶ける体験をしたい人: 中毒性が高いゲームを探しているなら、ONIは有力な候補となるでしょう。

逆に、以下のような人にはONIはあまり向かないかもしれません。

  • 複雑なシステムを理解するのが苦手な人
  • チュートリアルが手厚いゲームが好きな人
  • 失敗するのが嫌いな人
  • 可愛いキャラクターが出てくるゲームは癒やされたい人(ONIは可愛いですが、内容は厳しいです)
  • じっくり腰を据えて取り組むより、短時間でサクッと遊びたい人

第6章:ONIを始める前に知っておきたいこと

もしONIをプレイしてみようかな、と思ったなら、いくつか事前に知っておくと良いことがあります。

  1. 最初は失敗することを恐れない: 必ず失敗します。熱暴走、酸素枯渇、全滅…様々な形でコロニーは崩壊するでしょう。それはONIの通過儀礼のようなものです。失敗から学び、次のプレイに活かすことが重要です。最初から完璧を目指す必要はありません。
  2. 一つずつ問題を解決していく: 一度に全ての完璧なシステムを構築しようとせず、目の前の問題を一つずつ解決していく姿勢が大切です。酸素が足りないならまず酸素システム、食料が足りないなら食料システム、というように優先順位をつけて取り組みましょう。
  3. 外部の情報が非常に役立つ: ゲーム内の情報だけでは、複雑なシステムを理解したり、効率的なシステムを構築したりするのは困難です。ONI WikiやYouTubeの攻略動画、コミュニティの情報を積極的に参照することをおすすめします。特にWikiは、各物質の性質や施設の詳細な情報が網羅されており、ONI攻略のバイブルとも言える存在です。
  4. 計画性が重要: 長期的な視点での計画が非常に重要になります。将来必要になるであろう資源や技術、発生するであろう問題(特に熱問題!)を予測し、それを見越したレイアウトやシステム構築を心がけましょう。
  5. 時間泥棒であることに注意: プレイし始めると時間を忘れて没頭してしまう可能性が高いです。プレイする際は、時間に余裕がある時に始めましょう。

これらの点を踏まえておけば、ONIの世界への第一歩を踏み出しやすくなるでしょう。最初のうちは難しさばかりが目につくかもしれませんが、少しずつシステムを理解し、小さな成功体験を積み重ねていくうちに、ONIの本当の面白さが見えてくるはずです。

第7章:まとめ – ONIが提供する唯一無二のゲーム体験

Oxygen Not Included(ONI)は、可愛らしいビジュアルとは裏腹に、非常に複雑で奥深く、そして容赦なく難しいゲームです。しかし、その難しさこそが、ONIを唯一無二の存在にしています。

リアルな物理シミュレーションが織りなす予測不能な課題、複雑に絡み合うシステム間の相互作用、常に進行する時間との戦い…これら全てが、プレイヤーに絶え間ない問題解決と最適化を要求します。時には挫折しそうになるかもしれません。しかし、その厳しい試練を乗り越え、自分の頭脳と工夫でコロニーの危機を救い、理想的なシステムを構築できた時の達成感は、何物にも代えがたい喜びです。

ONIは、プレイヤーの創造性、論理的思考力、そして粘り強さを刺激します。失敗から学び、試行錯誤を繰り返し、少しずつ自分のコロニーを洗練させていく過程は、まるで自分自身がエンジニアや科学者になったかのようです。可愛らしい複製人間たちと共に、過酷な地下世界を生き抜く物語は、ユーモアとドラマに満ちています。

ONIは、万人におすすめできるゲームではありません。しかし、もしあなたが、難易度の高い挑戦を厭わず、複雑なシステムを解き明かすことに喜びを感じ、そして何よりも自分自身の頭で考え、問題を解決していく過程を楽しめるのであれば、Oxygen Not Includedはあなたのゲームライブラリに間違いなく加えられるべき傑作です。

この小惑星の地下世界で、複製人間たちの、そしてあなたの壮大な物語を始めてみませんか? そこには、苦難と共に、きっと底なしの面白さと、唯一無二の達成感が待っています。


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール