EOS R6 Mark II vs R6 (初代) 比較|性能向上ポイントと違いを徹底解説


EOS R6 Mark II vs EOS R6 (初代) 比較|性能向上ポイントと違いを徹底解説

キヤノンが展開するフルサイズミラーレス一眼システム、EOS Rシステムは、発売以来多くの写真愛好家やプロフェッショナルから支持を集めてきました。その中でも、高感度性能と高速連写、優れたAF性能をバランス良く備え、幅広い撮影シーンに対応できるモデルとして人気を博したのが「EOS R6 (初代)」です。そして、2022年12月、その正統な後継機として「EOS R6 Mark II」が登場しました。

EOS R6 Mark IIは、初代のコンセプトを引き継ぎながらも、多くの点で性能が向上しています。しかし、初代EOS R6もまだまだ現役で活躍できる高性能機です。これからフルサイズミラーレスの導入を検討している方、あるいは初代R6からの買い替えを考えている方にとって、どちらのモデルを選ぶべきかは悩ましい問題でしょう。

本記事では、EOS R6 Mark IIとEOS R6 (初代) の両モデルについて、スペック上の違いはもちろん、それが実際の撮影においてどのような差となって現れるのかを徹底的に比較解説します。撮像素子、AF性能、連写性能、動画性能、操作性、その他新機能に至るまで、あらゆる角度から掘り下げていきます。この記事を読めば、それぞれのモデルの強みと弱みが明確になり、あなたの最適なカメラ選びの一助となるはずです。

それでは、両モデルの詳細な比較を見ていきましょう。

1. はじめに:EOS R6シリーズの立ち位置と Mark IIへの期待

EOS R6シリーズは、キヤノンのフルサイズミラーレスラインアップにおいて、フラッグシップモデルであるEOS R3や高解像度モデルのEOS R5と比べて、より幅広いユーザー層をターゲットにしたモデルです。特に、静止画と動画の両方において高いバランス性能を持ち、報道、スポーツ、ポートレート、風景、さらにはブライダルやVlog撮影など、多岐にわたるジャンルで活用できる汎用性の高さが魅力です。

初代EOS R6は、EOS-1D X Mark IIIと同じ有効約2010万画素のセンサーを搭載し、圧倒的な高感度性能と高速連写、そして動物検出AFなど、当時の最新技術を惜しみなく投入したモデルとして登場しました。そのAF性能や手ブレ補正性能は高く評価され、特に動体撮影や低照度下での撮影において、その実力を遺憾なく発揮しました。

後継機であるEOS R6 Mark IIは、初代の高い評価を受けつつ、さらにユーザーからのフィードバックを反映し、時代のニーズに応える形で進化を遂げました。特に、有効画素数の向上、AF性能のさらなる進化、連写速度の強化、動画機能の拡充、そして新機能の追加などが注目されています。

果たして、Mark IIは初代からどれほど「進化」したのでしょうか? そして、その進化は具体的にどのようなメリットをもたらすのでしょうか? ここから、両モデルの具体的な比較に入っていきます。

2. 外観・デザインの比較:使い勝手に影響する変更点

カメラを選ぶ上で、手に馴染むか、操作しやすいかといった外観やデザインも重要な要素です。EOS R6 Mark IIとEOS R6 (初代) は、全体的なフォルムやサイズ感は非常に似ていますが、いくつか重要な変更点があります。

サイズ・重量:
両モデルのボディサイズは、幅約138.4mm、高さ約98.4mmという点ではほぼ同じです。しかし、奥行きに関してはMark IIが約88.4mmなのに対し、初代は84.6mmと若干初代の方が薄くなっています。この差は約3.8mmですが、実際に手に持った際のグリップ感やホールド性にはほとんど影響しないレベルです。
重量に関しても、バッテリー・カード込みでMark IIが約670g、初代が約680gと、Mark IIの方がわずかに軽量化されています。この10gの差も体感できるほどではありませんが、長時間の撮影では積み重なる可能性はあります。

ボタン配置の変更点:
最も注目すべき変更点は、電源スイッチ静止画/動画撮影モード切り替えレバーの配置です。

  • EOS R6 (初代): 電源スイッチは左肩にあり、モードダイヤルとは独立しています。静止画/動画モード切り替えは、モードダイヤル内にあるボタンを押しながら回転させる方式です。
  • EOS R6 Mark II: 電源スイッチが右肩、親指AFボタンの横に移動しました。そして、左肩の電源スイッチがあった場所には、静止画/動画撮影モード切り替えレバーが新設されました。

この変更は、撮影スタイルによって評価が分かれる点です。初代の方式は、不用意なモード切り替えを防ぐ意図があったと思われますが、素早く静止画と動画を切り替えたい場合には一手間かかりました。Mark IIの方式は、右手で電源をオンにしつつ、左手で素早く静止画/動画モードを切り替えられるため、ハイブリッドシューターにとっては非常に理にかなった配置変更と言えます。特に、動画撮影を頻繁に行うユーザーにとっては、このレバーの存在は大きなメリットとなるでしょう。一方で、右手親指AFボタン周辺に電源スイッチが来たことで、誤操作を懸念する声もありますが、実際には適度なクリック感があり、誤って触れてしまう可能性は低い設計になっています。

また、左肩にはMark IIで新設された静止画/動画切り替えレバーの下に、初代ではモードダイヤル内にあった「INFO.」ボタンが移動しています。これにより、撮影情報表示の切り替えがよりアクセスしやすくなりました。

ファインダー・モニター:
電子ビューファインダー(EVF)と背面液晶モニターの仕様は、両モデルともほぼ同じです。
* EVF: 約369万ドット、0.76倍
* 背面モニター: 3.0型、約162万ドット、バリアングル式タッチパネル

スペック上の違いはありませんが、映像エンジンの処理能力向上により、ファインダーやモニターの表示遅延が低減されている可能性があります。特にMark IIでは、電子シャッター時の表示速度や追従性が向上しているとされており、高速で動く被写体を追う際に有利になる可能性があります。背面モニターの解像度は据え置きですが、バリアングル式タッチパネルはローアングルやハイアングル撮影、動画撮影、メニュー操作など、あらゆるシーンでその利便性を発揮します。

バッテリー・メディアスロット:
バッテリーは両モデルとも「LP-E6NH」「LP-E6N」「LP-E6」が使用可能です。バッテリー室の形状や位置に変更はありません。
メディアスロットも両モデルともSD/SDHC/SDXCカード(UHS-II対応)のデュアルスロットを採用しています。初代ではSDカードの書き込み速度が連写性能のボトルネックになることがありましたが、Mark IIでは電子シャッター40コマ/秒という高速連写に対応するため、より高速なカードの使用が推奨されます。

マルチアクセサリーシュー:
EOS R6 Mark IIは、EOS R3やR7に採用されたマルチアクセサリーシューを搭載しています。これにより、従来のストロボやマイクに加え、デジタル音声入力対応のアクセサリー(指向性ステレオマイクロホン DM-ED1など)や、スマートフォンリンクアダプター AD-P1など、新たなアクセサリーとの連携が可能になりました。初代R6の通常アクセサリーシューは、これらの新しいデジタル通信アクセサリーには対応していません。これもMark IIの大きな進化点の一つです。

外観・デザイン比較まとめ:
全体的な印象は似ていますが、Mark IIは静止画/動画切り替えレバーの新設と電源スイッチの移動により、操作性が大きく変化しています。特にハイブリッドシューターにとっては、Mark IIの操作系の方が使いやすいと感じる可能性が高いでしょう。また、マルチアクセサリーシューの搭載は、対応アクセサリーを使いたいユーザーにとっては見逃せないポイントです。

3. 基本性能の比較:画質と処理能力の核心

カメラの心臓部とも言える撮像素子と映像エンジンは、画質や処理速度といった基本性能を決定づける重要な要素です。EOS R6 Mark IIは、この点において初代から明確な進化を遂げています。

撮像素子:
* EOS R6 (初代): 有効画素数 約2010万画素 35mmフルサイズCMOSセンサー
* EOS R6 Mark II: 有効画素数 約2420万画素 35mmフルサイズCMOSセンサー

最も分かりやすい違いは、有効画素数の増加です。初代R6の2010万画素は、EOS-1D X Mark IIIと同じセンサーをベースにしており、特に高感度性能に優れていました。画素数が少ない分、一つ一つの画素が大きく光を多く取り込めるため、ノイズが少なくクリアな描写が得られるというメリットがあります。
一方、Mark IIの2420万画素は、EOS RやRPの2620万画素センサーとは異なり、R3やR7で培われた技術を応用した、読み出し速度の高速化が図られた新型センサーです。この画素数増加は、初代よりも約20%解像度が高くなることを意味し、より精細な描写や、トリミング耐性の向上に繋がります。特に風景撮影やポートレートなど、ディテールを重視する撮影においては、この画素数アップは歓迎すべき点です。

画素数が増えると一般的に高感度性能が低下する傾向がありますが、Mark IIの新型センサーはノイズ処理能力も向上しており、常用ISO感度範囲は初代と同じISO 100~102400(拡張:ISO 50、ISO 204800)を維持しています。実際のテスト画像を見る限り、Mark IIは画素数が増えたにも関わらず、初代と同等、あるいはそれ以上の高感度性能を発揮しているという評価もあります。これは、センサー技術と映像エンジンの進化の賜物と言えるでしょう。

読み出し速度の高速化は、電子シャッター時の歪み(ローリングシャッター歪み)の抑制や、連写性能、動画性能の向上にも寄与しています。

映像エンジン:
両モデルともキヤノンの最新映像エンジン「DIGIC X」を搭載しています。しかし、Mark IIに搭載されているDIGIC Xは、初代からさらに最適化・強化されていると考えられます。映像エンジンは、センサーから送られてくる情報を画像データに処理するだけでなく、AF制御、連写時のバッファ処理、動画エンコード、各種機能の演算など、カメラのあらゆる動作を司る重要な部分です。

Mark IIが初代を上回るAF性能、連写速度(電子シャッター)、動画性能、そして新機能を実現できているのは、このDIGIC Xの処理能力向上によるところが大きいです。特に、複雑な被写体検出アルゴリズムの実行や、4K/60p動画の6Kオーバーサンプリング処理、40コマ/秒の電子連写時の画像処理など、初代では難しかった処理をMark IIはスムーズに行うことができます。

画質への影響:
有効画素数の増加により、Mark IIは初代よりも高い解像感を得られます。同じ被写体を撮影した場合、Mark IIの方がより細かいディテールまで描写できるでしょう。特に大判プリントをする場合や、画像を大きくトリミングする可能性がある場合には、2420万画素のメリットが生きてきます。
高感度性能については、スペック上は同じですが、Mark IIは新型センサーと進化した映像エンジンの組み合わせにより、実質的なノイズ処理能力が向上している可能性があります。より高感度でも実用的な画質を維持できる、あるいは同じ感度でもよりクリアな画像が得られるかもしれません。

ダイナミックレンジについても、新型センサーとDIGIC Xの組み合わせにより、わずかに改善が見られる可能性があります。シャドウ部やハイライト部の粘り強さが増し、より階調豊かな表現が可能になるかもしれません。

基本性能まとめ:
EOS R6 Mark IIは、有効画素数を増やしつつも、高感度性能を維持・向上させた新型センサーと、処理能力が強化されたDIGIC X映像エンジンを搭載しています。これにより、解像感の向上、トリミング耐性の強化、そしてカメラ全体のレスポンスや処理速度の向上が図られています。基本的な「写り」に関わる部分で、Mark IIは初代から着実に進化していると言えます。

4. AF性能の比較:動体撮影の決定力に差

EOS R6 (初代) の最も評価された点の一つが、その優れたAF性能でした。EOS-1D X Mark III譲りの高性能なAFシステムを搭載し、人物や動物の瞳検出・追尾AFは、それまでのカメラとは一線を画すものでした。しかし、EOS R6 Mark IIは、その高いAF性能をさらに進化させています。

測距エリア・測距点数:
測距エリアは両モデルとも撮像面の最大約100%×100%の範囲をカバーし、AF測距点数は最大1053点(自動選択時)、任意選択時は最大4897点(静止画時)と、スペック上の数値は同じです。広範囲かつ高密度なAFエリアは、画面の端に被写体がいても高精度にピント合わせできるメリットがあります。

被写体検出機能の進化:
Mark IIのAFにおける最大の進化点は、被写体検出機能のアルゴリズムと検出できる被写体の種類の増加です。

  • EOS R6 (初代): 人物(瞳/顔/頭部/胴体)、動物(犬/猫/鳥)
  • EOS R6 Mark II: 人物(瞳/顔/頭部/胴体)、動物(犬/猫/鳥/馬)、乗り物(モータースポーツ車/バイク、列車、飛行機)

Mark IIでは、初代が検出できた被写体に加え、馬、列車、飛行機といった新しい被写体に対応しました。特に、モータースポーツ車/バイクは、初代の乗り物AFが対応していなかったため、大きな進化点です。これらの被写体に対して、瞳や顔、あるいは乗り物の特定の場所(モータースポーツ車ならヘルメットやコックピットなど)を優先的に検出して追尾します。

さらに、Mark IIでは被写体検出アルゴリズム自体が進化しています。これは、キヤノンの最新技術(おそらくEOS R3やR7で培われたAI技術を応用)によるもので、以下のような点が向上しています。

  • 検出精度の向上: 複雑な背景や、被写体が小さい、あるいは一部が隠れているような難しい状況でも、初代より高精度に被写体を認識し、追尾を継続できます。逆光や低照度下での検出能力も向上しています。
  • 追尾の粘り強さ: 一度捉えた被写体をロストしにくくなり、被写体がフレームアウトしそうになっても粘り強く追尾を続けます。
  • 瞳検出の強化: 横顔や振り向きざま、遠方の被写体でも瞳を検出しやすくなりました。人物以外の動物や鳥などでも、より的確に瞳を捉えることが可能になっています。
  • 被写体の切り替わりに対する応答性: 複数の被写体が混在するシーンで、意図した被写体を素早く選択し、追尾を開始する際の応答性が向上しています。

低輝度限界:
AFの低輝度限界は、スペック上は両モデルとも-6.5EV(RF50mm F1.2L USM使用時)と変化はありません。しかし、新型センサーとアルゴリズムの進化により、実際の低照度環境下でのAFの安定性や合焦速度は、Mark IIの方が優れている可能性があります。暗いシーンでのポートレートやイベント撮影などにおいて、より信頼性の高いAFが期待できます。

AIを活用したアルゴリズム:
Mark IIのAF性能の根幹にあるのは、AI技術を活用した深度学習アルゴリズムです。これにより、カメラは様々な種類の被写体を認識し、その動きを予測して高精度な追尾を行うことができます。初代も優れたアルゴリズムを持っていましたが、Mark IIではさらに多くのデータと高度な学習により、より賢く、より正確なAFを実現しています。

ゾーンAF、全体追尾AFなどの操作性:
AFエリアの選択や追尾開始操作など、基本的なAF操作のインターフェースは両モデルとも類似しています。しかし、Mark IIではメニュー設定項目が増えたり、被写体検出の設定がより細かく行えるようになっています。例えば、乗り物AFで「被写体追尾の優先」設定(総合/運転席優先/車体優先など)が追加されているなど、特定の被写体撮影に特化した設定が可能になり、より柔軟なAF制御が行えます。

AF性能比較まとめ:
EOS R6 Mark IIのAF性能は、初代の優れた性能をベースに、被写体検出の種類を大幅に増やし、アルゴリズム自体も大きく進化しています。特に、動きが予測しにくい動物や、高速で移動する乗り物など、動体撮影における決定力が初代よりも向上しています。複雑なシーンや低照度下でも高い精度で被写体を捉え続ける能力は、Mark IIを選ぶ大きな理由の一つとなるでしょう。

5. 連写性能の比較:高速連写と新機能

スポーツ、野鳥、鉄道、航空機など、決定的な瞬間を捉えるためには、カメラの連写性能が非常に重要になります。EOS R6 Mark IIは、連写性能においても初代から大幅な進化を遂げています。

メカシャッター:
* EOS R6 (初代): 最高約12コマ/秒 (AF/AE追従)
* EOS R6 Mark II: 最高約12コマ/秒 (AF/AE追従)

メカシャッターでの連写速度は、両モデルとも最高約12コマ/秒で変わりありません。これは、一般的な動体撮影においては十分実用的な速度と言えます。メカシャッターは、電子シャッターと比較してローリングシャッター歪みが発生しにくい、フリッカー(照明の点滅による露出ムラ)の影響を受けにくい、といったメリットがあります。

電子シャッター:
* EOS R6 (初代): 最高約20コマ/秒 (AF/AE追従)
* EOS R6 Mark II: 最高約40コマ/秒 (AF/AE追従)

電子シャッターでの連写速度は、Mark IIが初代の約2倍となる最高約40コマ/秒に大幅に高速化されました。これは、EOS Rシステムの中でもEOS R3に次ぐ高速性能であり、瞬間的な被写体の動きを捉える上で非常に強力な武器となります。例えば、鳥が飛び立つ瞬間や、スポーツ選手のわずかな表情の変化など、肉眼では捉えられない一瞬を切り取ることが可能になります。

電子シャッターは無音で撮影できるというメリットもありますが、読み出し速度が追いつかない場合にローリングシャッター歪みが発生しやすいというデメリットがあります。Mark IIの新型センサーは読み出し速度が高速化されているため、初代よりも電子シャッター時の歪みが抑制されていると考えられますが、それでも完全にゼロになるわけではありません。特に、高速で横切る被写体を至近距離で撮影するようなシーンでは、歪みが発生する可能性があります。

RAWバーストモード:
EOS R6 Mark IIの大きな新機能として、RAWバーストモードが搭載されました。これは、電子シャッターを使用して最高約30コマ/秒で、クロップなしの14bit RAW画像を連続撮影できるモードです。さらに、このモードではプリ撮影機能が利用可能です。プリ撮影機能とは、シャッターボタンを全押しする最大約0.5秒前から記録を開始する機能です。

例えば、動物や鳥が飛び立つ瞬間を狙う際、シャッターチャンスと思って全押しした時には既に飛び立ってしまっている、といった経験はありませんか? プリ撮影機能を使えば、シャッターチャンスの少し前の画像も記録されているため、決定的瞬間を逃すリスクを大幅に減らすことができます。

RAWバーストモードで記録されたファイルは、カメラ内またはDigital Photo Professional(キヤノンのRAW現像ソフト)で個別のRAW画像として切り出すことができます。約30コマ/秒でプリ撮影最大0.5秒を含めると、シャッター全押し時の約1秒間に約30コマのRAW画像を撮影できる計算になります。これは、まさに「瞬間を遡って捉える」ことができる革新的な機能と言えるでしょう。初代R6にはこの機能はありません。

バッファ深度:
連写可能な枚数(バッファ深度)は、使用するメディアカードの書き込み速度や、撮影する画像形式(RAW, JPEG, HEIF)によって大きく変動します。Mark IIは有効画素数が向上したため、1枚あたりのデータサイズが増加します。そのため、同じバッファ容量であっても、連写できる枚数が初代よりも少なくなる可能性があります。

しかし、Mark IIの映像エンジンDIGIC Xの処理能力向上と、対応するメディアの高速化(UHS-II対応カードの高性能化)により、実質的な連続撮影可能枚数は初代と同等か、あるいは撮影条件によってはそれ以上になる可能性もあります。特に40コマ/秒という超高速連写では、バッファは瞬時に埋まってしまいますが、それでも短い時間で圧倒的な枚数を記録できるというメリットがあります。

具体的なバッファ深度の比較は、キヤノンの公式スペックシートやレビューサイトで確認する必要がありますが、一般的にMark IIは高速連写を多用する場合、UHS-IIのV90など、書き込み速度が非常に速いメディアカードの使用が強く推奨されます。

連写時のAF/AE追従性能:
両モデルとも、メカシャッター12コマ/秒、電子シャッター初代20コマ/秒、Mark II 40コマ/秒の全ての連写速度で、AF/AE追従が可能です。 Mark IIは、進化したAFアルゴリズムと高速読み出しセンサー、DIGIC Xの処理能力により、特に高速で不規則に動く被写体に対する連写時のAF追従性能が、初代よりもさらに向上しています。高い合焦精度を維持しながら、狙った被写体を連続的に捉え続ける能力は、決定的な瞬間を歩留まり良く撮影するために不可欠です。

連写性能比較まとめ:
EOS R6 Mark IIは、電子シャッターの最高速度が40コマ/秒に倍増したことが最大の進化点です。これにより、初代では難しかった超高速の動きを捉えることが可能になりました。さらに、RAWバーストモードとプリ撮影機能の搭載は、シャッターチャンスを逃したくないユーザーにとって非常に強力なアドバンテージとなります。スポーツや野生動物など、一瞬を争う撮影が多いユーザーにとって、Mark IIの連写性能は圧倒的に魅力的です。

6. 動画性能の比較:高画質化と機能拡充

近年、カメラにおいて動画撮影機能の重要性が増しています。EOS R6シリーズは、静止画だけでなく動画性能にも優れており、多くのクリエイターに選ばれています。EOS R6 Mark IIは、動画機能においても初代から大幅な強化が図られています。

最大記録画質・フレームレート:
* EOS R6 (初代):
* 4K (3840×2160) 60p/50p(クロップあり、約1.07倍) – 5.1Kオーバーサンプリング
* 4K (3840×2160) 30p/25p/24p(クロップなし) – 5.1Kオーバーサンプリング
* Full HD (1920×1080) 120p/100p/60p/50p/30p/25p/24p
* RAW動画:外部レコーダー(Atomos Ninja V)経由で5.1K RAW記録可能

  • EOS R6 Mark II:
    • 4K (3840×2160) 60p/50p(クロップなし) – 6Kオーバーサンプリング
    • 4K (3840×2160) 60p/50p(クロップあり)
    • 4K (3840×2160) 30p/25p/24p(クロップなし) – 6Kオーバーサンプリング
    • Full HD (1920×1080) 180p/150p/120p/100p/60p/50p/30p/25p/24p
    • RAW動画:外部レコーダー(Atomos Ninja V+)経由で6K RAW記録可能

Mark IIの動画機能の最も大きな進化点は、4K/60pをクロップなしで記録できるようになったことです。初代R6は4K/60p時に約1.07倍のクロップがかかっていましたが、Mark IIはセンサーの全画素読み出しにより、広角レンズの画角をそのまま活かした4K/60p撮影が可能です。さらに、初代が5.1Kオーバーサンプリングだったのに対し、Mark IIは6Kオーバーサンプリングによる4K記録に対応しています。これにより、より豊富な情報から生成されるため、解像感が高く、モアレや偽色の少ない高画質な4K映像が得られます。

Full HDにおいても、Mark IIは最高180p/150pのハイスピード撮影に対応しました。初代の120pからさらに高速なフレームレートで記録できるため、より滑らかなスローモーション表現が可能になります。

RAW動画記録については、両モデルとも外部レコーダーが必要ですが、Mark IIは6K RAWに対応し、より高解像度でのRAW記録が可能になりました。

動画記録時間制限:
* EOS R6 (初代): 29分59秒(熱制限による停止はあり得る)
* EOS R6 Mark II: 実質無制限(熱制限による停止はあり得る)

初代R6は一般的なデジタルカメラと同様に、1回の動画撮影の最大記録時間が29分59秒という制限がありました。一方、Mark IIはこの制限が撤廃され、ファイルの最大容量やメディアの容量、バッテリーが持続する限り、1回の撮影で連続して記録が可能になりました。ただし、長時間の撮影ではカメラ内部の温度上昇による熱停止の可能性は両モデルともあり得ます。Mark IIでは熱対策も初代から改善されているとされていますが、過酷な条件下での長回しには注意が必要です。しかし、記録時間の制限がなくなることで、インタビューやイベントの記録、ライブ配信など、長時間の連続撮影が必要なシーンでの利便性が飛躍的に向上しました。

動画撮影中のAF性能:
Mark IIは、静止画と同様に動画撮影中のAF性能も進化しています。新しい被写体検出アルゴリズムは動画撮影時にも有効で、人物、動物、乗り物など様々な被写体を高精度に認識し、滑らかに追尾し続けることができます。特に、初代では難しかった遠距離での被写体追尾や、被写体が小さく映っている場合でも、Mark IIは粘り強く追尾を継続する能力が向上しています。動画撮影におけるAFの信頼性は、特に一人で撮影を行うVloggerやクリエイターにとって非常に重要であり、Mark IIはこの点で大きなアドバンテージを持っています。

動画用機能の追加・改善:
Mark IIでは、動画撮影をより快適に行うための機能も追加・改善されています。

  • 動画記録開始の視覚的確認: 録画開始時に画面の縁が赤く光る機能が追加され、録画中であることが一目で分かりやすくなりました。
  • 誤操作防止機能: 動画撮影中に誤ってボタンを押してしまうことを防ぐための設定などが追加されています。
  • HDR PQ動画: より広いダイナミックレンジを持つHDR PQ形式での動画記録に対応しています。
  • Canon Log 3: プロフェッショナルなカラーグレーディングに対応したCanon Log 3での記録が可能です(両モデルとも対応)。

また、Mark IIはUSB-CポートからのUSB PD給電に対応しており、外部バッテリーや電源アダプターから給電しながら撮影を行うことができます。これにより、長時間の動画撮影でもバッテリー切れの心配を軽減できます(初代は給電しながらの撮影は不可、充電のみ対応)。

動画性能比較まとめ:
EOS R6 Mark IIの動画性能は、初代から大幅に強化されています。特に、4K/60pのクロップなし記録と6Kオーバーサンプリングによる高画質化、Full HD 180pのハイスピード撮影、そして最大の進化点である記録時間制限の撤廃は、動画クリエイターにとって非常に魅力的です。さらに、強化されたAF性能とUSB PD給電対応により、より高度で長時間の動画撮影にも対応できる万能な動画機へと進化しました。動画撮影を重視するユーザーにとっては、Mark IIは初代を大きく上回る選択肢となります。

7. 手ブレ補正性能の比較:変わらない高精度補正

EOS R6 (初代) の手ブレ補正性能は、ボディ内手ブレ補正(IBIS)とレンズ側ISの協調制御により、静止画で最大8.0段という驚異的な効果を発揮し、多くのユーザーから高く評価されました。これは、低速シャッターでの手持ち撮影や、動画撮影時の手ブレ抑制に絶大な効果をもたらします。

EOS R6 Mark IIも、初代と同じくボディ内手ブレ補正(IBIS)を搭載しており、レンズ側ISとの協調制御により最大8.0段の手ブレ補正効果を実現しています。スペック上の最大補正段数は両モデルで変化ありません。

手ブレ補正のメカニズムや性能は初代から引き継がれており、静止画・動画問わず、強力な手ブレ抑制効果を発揮します。特に低照度下でシャッタースピードを稼げない状況や、望遠レンズを使用して手ブレが起こりやすい状況での手持ち撮影において、その恩恵は非常に大きいです。

動画撮影時には、ボディ内IS、レンズ側IS、そして動画電子ISを組み合わせることで、さらに強力な手ブレ補正が得られます。動画電子ISは、画面をわずかにクロップすることで、電子的にブレを補正する機能です。Mark IIでもこの機能は搭載されており、初代と同様に強力な補正が可能ですが、電子ISを「入」にすると多少画角が狭くなる点は注意が必要です。

Mark IIの手ブレ補正は、スペック上は初代と同じですが、新型センサーの揺れ検出精度向上や、DIGIC Xの処理能力向上により、ごくわずかに補正精度が向上している可能性は否定できません。しかし、カタログスペックとして大きな差はなく、実写での体感的な違いも小さいと考えられます。初代R6が既に非常に優れた手ブレ補正を持っていたため、Mark IIもその高いレベルを維持していると言えます。

手ブレ補正性能比較まとめ:
手ブレ補正性能については、EOS R6 Mark IIとEOS R6 (初代) の間に大きなスペック上の違いはありません。どちらのモデルも、クラス最高レベルの強力な手ブレ補正機能を搭載しており、幅広い撮影シーンで手ブレを気にせずに撮影に集中できます。

8. 操作性・インターフェースの比較:使い勝手の進化

前述の外観・デザインの比較でも触れましたが、EOS R6 Mark IIは操作性に関わる部分でいくつか重要な変更点があります。

電源スイッチ/静止画・動画切替レバー:
これは最も顕著な変更点です。初代の左肩電源スイッチ/モードダイヤル内モード切替から、Mark IIの右肩電源スイッチ/左肩レバー式モード切替への変更は、操作のしやすさに直結します。特に動画撮影を頻繁に行うユーザーにとっては、レバー一つで素早く切り替えられるMark IIの操作系は大きなメリットです。

モードダイヤル:
EOS R6 (初代) のモードダイヤルには、「P」「Tv」「Av」「M」「B」「C1/C2/C3」「Fv」「動画」といったモードが配置されていました。
EOS R6 Mark IIのモードダイヤルは、新たに「SCN(スペシャルシーン)」と「CR(クリエイティブフィルター)」が追加されました。
SCNモードには、ポートレート、風景、クローズアップ、スポーツなど、様々な撮影シーンに合わせた設定がプリセットされており、初心者でも簡単に最適な設定で撮影できます。CRモードは、魚眼風、ジオラマ風、トイカメラ風など、個性的なフィルター効果を適用して撮影できるモードです。これらのモード追加により、Mark IIはより幅広いユーザー層に対応できるカメラになったと言えます。プロユーザーにとってはあまり使わないかもしれませんが、ファミリーユースや旅行など、様々なシーンで気軽に撮影を楽しみたい場合には便利な機能です。

カスタムボタン:
両モデルとも、豊富なカスタムボタンを搭載しており、ユーザーの好みに合わせて機能を割り当てることができます。これにより、頻繁に使う機能を素早く呼び出すことができ、撮影効率が向上します。カスタム設定(C1/C2/C3)も両モデルとも搭載しており、よく使う撮影設定を登録しておくことで、瞬時に切り替えることができます。

メニューシステム:
キヤノンEOSのメニューシステムは、初代R6、Mark IIともに基本的に同じ構造です。タブ分けされたメニュー項目は非常に分かりやすく、タッチ操作にも対応しているため、直感的に設定を変更できます。Mark IIでは新機能が追加されたことに伴い、メニュー項目も増えていますが、全体的な構成は初代から大きな変更はありません。

タッチパネル操作:
背面モニターは両モデルともタッチパネルに対応しており、メニュー操作、設定変更、AF位置の指定、撮影後の画像再生時の拡大・縮小など、様々な操作を直感的に行うことができます。バリアングル式モニターと組み合わせることで、より自由な撮影スタイルに対応できます。

操作性・インターフェース比較まとめ:
EOS R6 Mark IIは、静止画/動画切替レバーの新設や電源スイッチの移動、モードダイヤルへのSCN/CRモード追加など、初代からいくつかの重要な操作系の変更が加えられています。これらの変更は、特にハイブリッドシューターや初心者、気軽に様々な表現を楽しみたいユーザーにとって、使い勝手の向上に繋がっています。一方で、長年キヤノンEOSシリーズを使ってきたユーザーの中には、電源スイッチの位置変更に慣れが必要な場合もあるかもしれません。

9. その他の機能・性能の比較:隠れた進化点

基本性能や主要機能以外にも、EOS R6 Mark IIは初代から様々な点で改善や新機能の追加が行われています。

ファインダー・モニターの表示:
スペック上は同じですが、Mark IIは映像エンジンの処理能力向上により、EVFや背面モニターの表示遅延が初代よりも抑制されている可能性があります。特に電子シャッター40コマ/秒のような高速連写時や、高速で動く被写体を追尾する際、より滑らかでリアルタイムに近い表示が得られることで、フレーミングやピント合わせがしやすくなります。

バッテリー・スタミナ:
使用バッテリーは同じですが、Mark IIは省電力設計が進んでおり、バッテリーの持ちが初代よりも向上しています。CIPA規格準拠の撮影可能枚数は、EVF使用時で初代約380枚→Mark II約450枚、液晶モニター使用時で初代約510枚→Mark II約760枚と、Mark IIで大きく改善されています。特に液晶モニター使用時で約1.5倍に増えており、長時間の撮影や旅行などでも予備バッテリーの心配が軽減されます。

通信機能:
Wi-Fi、Bluetooth機能は両モデルとも搭載しており、スマートフォンアプリ「Camera Connect」と連携して画像の転送やリモート撮影が可能です。Mark IIでは、より安定した高速通信に対応している可能性や、スマートフォンとの接続設定がより簡単になっている可能性も考えられます。

ホットシュー:
既に述べましたが、Mark IIはマルチアクセサリーシューを搭載しており、デジタル対応のアクセサリーが使用可能です。これは初代R6にはない大きな特徴です。

USB PD給電・充電:
EOS R6 Mark IIは、USB Power Delivery (PD) に対応した外部電源から、カメラを使用しながら給電が可能です。これにより、長時間の動画撮影やタイムラプス撮影、スタジオ撮影などでバッテリー切れを気にせずに撮影を続けられます。初代R6はUSB PDによる充電には対応していましたが、給電しながらの撮影はできませんでした。これも動画ユーザーや長時間撮影を行うユーザーにとって重要な進化点です。

高周波フリッカーレス撮影:
Mark IIは、LED照明などによる高周波フリッカーの点滅周期を検出し、その影響を抑えて撮影できる「高周波フリッカーレス撮影」に対応しました。これは初代にはない機能です。ライブハウスや体育館など、LED照明が使用されている場所での撮影で、露出ムラを防ぎ、安定した露出で撮影することが可能になります。

深度合成 (フォーカスブラケット + 深度合成):
Mark IIは、フォーカスブラケット撮影機能を使って手前から奥までピント位置をずらした画像を複数枚撮影し、カメラ内で自動的に合成してパンフォーカス画像を作成する深度合成機能を搭載しました。これは初代にはない機能です。風景撮影で手前の花から遠景まで全てにピントを合わせたい場合や、マクロ撮影で被写体の全体にピントを合わせたい場合に非常に便利な機能です。

パノラマ撮影:
Mark IIは、カメラを振るだけで自動的に複数枚の画像を撮影し、カメラ内で合成してパノラマ画像を生成するパノラマ撮影機能を搭載しました。これは初代にはない機能です。風景や広い建築物などを手軽に撮影したい場合に便利です。

HDR撮影:
両モデルともHDR撮影に対応していますが、Mark IIはさらに「動体優先」HDR撮影モードが追加されました。これは、HDR撮影時に起こりがちな動体ブレを抑制するためのモードです。

その他の細かい改善:
他にも、ファインダー表示のカスタマイズ性向上、メニュー項目の並べ替え機能、撮影モードごとの設定保存機能の強化、カメラ内RAW現像機能の進化など、細かい点でもMark IIは初代から使い勝手が改善されています。

その他の機能・性能比較まとめ:
EOS R6 Mark IIは、マルチアクセサリーシュー、USB PD給電、高周波フリッカーレス撮影、深度合成、パノラマ撮影、動体優先HDRなど、初代にはない様々な新機能が追加されています。また、バッテリーライフの向上や表示遅延の抑制など、既存機能の地味ながらも重要な改善点も多数あります。これらの追加機能は、特定の撮影シーンや用途において、Mark IIの利便性や表現の幅を大きく広げるものです。

10. 価格帯の比較:コストパフォーマンスの検討

カメラ選びにおいて、価格は非常に重要な要素です。EOS R6 Mark IIは後継機であり、性能が向上している分、初代EOS R6よりも高価になります。

  • EOS R6 (初代): 発売当初のボディ単体の実売価格は、約33万円前後でした。発売から時間が経過し、Mark IIが登場した現在では、新品の価格は約23万円前後まで下がっており、中古市場ではさらに安価に入手可能です。
  • EOS R6 Mark II: 発売当初のボディ単体の実売価格は、約39万円前後です。初代の発売当初よりも高めの価格設定となっています。

価格差は約15万円程度(新品実売価格で比較)あります。この価格差が大きいと感じるか、Mark IIの性能向上に見合うと考えるかは、個々の予算や求める性能によります。

初代R6は、Mark IIが登場したことで価格が落ち着き、非常に魅力的なコストパフォーマンスを持つようになりました。特に、Mark IIの最新機能(40コマ/秒連写、RAWバースト、クロップなし4K/60p、被写体検出の増加など)にそれほど魅力を感じない、あるいは予算を抑えたいというユーザーにとっては、初代R6は依然として非常に優れた選択肢です。

一方、Mark IIは最新の技術と機能が盛り込まれているため、初期投資は高くなります。しかし、その高性能、特にAF、連写、動画機能の進化や新機能の追加は、プロフェッショナルな用途や、最新の表現手法を取り入れたいユーザーにとっては、価格差に見合う、あるいはそれ以上の価値があると感じられるかもしれません。

価格帯比較まとめ:
EOS R6 (初代) は、性能を抑えつつも優れたフルサイズミラーレスを手に入れたいユーザーにとって、現在非常にお買い得な価格帯となっています。EOS R6 Mark IIは、最新・最高の性能を求めるユーザー向けの価格帯ですが、その性能向上を考慮すれば妥当な価格と言えるでしょう。予算と必要な機能を比較検討し、最適なモデルを選ぶことが重要です。

11. それぞれのモデルがおすすめなユーザー層

これまでの比較を踏まえ、EOS R6 (初代) と EOS R6 Mark II、それぞれどのようなユーザーにおすすめできるかをまとめます。

EOS R6 (初代) がおすすめな人:

  • フルサイズミラーレスの高性能機をリーズナブルに入手したい: Mark II登場により価格が下がり、非常に優れたコストパフォーマンスを誇ります。基本的なAF性能、高感度性能、手ブレ補正、連写性能(メカ12コマ/秒、電子20コマ/秒)は十分プロの要求にも応えられるレベルです。
  • 主に静止画撮影が中心: 動画機能の制限(記録時間、4K/60pクロップなど)があまり気にならない場合。
  • Mark IIの追加機能に特別な魅力を感じない: 40コマ/秒連写、RAWバースト、深度合成、パノラマ、マルチアクセサリーシューなどが不要な場合。
  • 予算を抑えて高性能なEOS Rシステムを構築したい: ボディにかける費用を抑え、レンズに予算を回したい場合。
  • 動体撮影はするが、20コマ/秒で十分と感じる: 野鳥の飛翔、スポーツなど、20コマ/秒でも十分捉えられるシーンが多い場合。

初代R6は、登場から時間が経ちましたが、その基本性能は非常に高く、多くの撮影シーンで活躍できます。特に、高感度性能やAF追従性能は現在の基準から見ても優れており、価格を考えると非常に魅力的な選択肢と言えます。

EOS R6 Mark II がおすすめな人:

  • 最新・最高のAF性能を求める: 進化した被写体検出(馬、列車、飛行機対応、アルゴリズム強化)により、様々な動体を高精度に捉えたい場合。
  • 超高速連写(特に電子40コマ/秒)が必要: 野鳥の飛び出しなど、予測不能な一瞬を確実に捉えたい、あるいは大量のカットの中からベストショットを選びたい場合。
  • RAWバーストモードとプリ撮影機能を使いたい: シャッターチャンスを逃したくない、決定的な瞬間を逃すリスクを最小限に抑えたい場合。
  • 動画撮影を重視するハイブリッドシューター: 4K/60pクロップなし、Full HD 180p、そして何より記録時間制限のない動画撮影を求めている場合。USB PD給電しながらの長時間撮影を行いたい場合。
  • 高画素化によるメリットを享受したい: 2420万画素による解像感向上やトリミング耐性の強化が必要な場合。
  • 新機能(深度合成、パノラマ、高周波フリッカーレス、動体優先HDRなど)を活用したい: これらの機能が自身の撮影スタイルや表現の幅を広げる場合。
  • マルチアクセサリーシュー対応のアクセサリーを使用したい: デジタルマイクなどをスマートに装着・使用したい場合。
  • バッテリーライフが長い方が良い: 旅行などで長時間の撮影が多い場合。
  • 将来性や最新技術を重視する: 新しい技術が搭載されているモデルを選びたい場合。

Mark IIは、静止画・動画の両面において初代から大きく進化しており、特に動体撮影、動画撮影、そして利便性を高める新機能が充実しています。これらの進化が必要なユーザーにとっては、価格差に見合う、あるいはそれ以上の価値があると言えるでしょう。

12. 結論:どちらを選ぶべきか?

EOS R6 Mark IIとEOS R6 (初代) は、どちらもキヤノンEOS Rシステムの優れたフルサイズミラーレス一眼カメラです。しかし、本記事で詳細に比較してきたように、特にAF性能、連写性能、動画性能、そして追加機能において、Mark IIは初代から明確な性能向上を果たしています。

初代EOS R6は、発売から数年が経過し価格も手頃になった現在、非常に優れたコストパフォーマンスを誇るモデルです。基本的な静止画・動画撮影性能は高く、特に高感度性能や手ブレ補正は現行機と比べても遜色ありません。Mark IIの超高速連写や強化された動画機能、追加機能に特別なこだわりがなければ、初代R6は依然として賢明な選択肢と言えます。幅広いジャンルの撮影に対応できる、バランスの取れた高性能機を探しているが、予算は抑えたいという方におすすめです。

一方、EOS R6 Mark IIは、まさに「弱点を補強し、強みをさらに伸ばした」正統進化モデルです。特に、AFの被写体検出能力と粘り強さ電子シャッター40コマ/秒という圧倒的な連写速度、そして記録時間無制限かつ高画質化された動画機能は、初代を大きく凌駕します。RAWバースト/プリ撮影機能、深度合成、パノラマなど、撮影の幅を広げる新機能も多数搭載されています。動体撮影を極めたい、本格的な動画撮影も行いたい、最新の技術を駆使して表現の可能性を広げたいというユーザーにとって、Mark IIは間違いなく最良の選択肢です。価格は高めですが、その分得られる性能と機能は非常に多岐にわたります。

最終的な選択は、あなたの主な撮影ジャンル、求める性能、そして予算によって決まるでしょう。

  • 静止画中心で、予算を抑えたい、あるいは20MPで十分な方: EOS R6 (初代)
  • 静止画・動画両方で妥協したくない、動体撮影が多い、最新機能を活用したい方: EOS R6 Mark II

どちらのモデルを選んだとしても、キヤノンが誇る豊富なRFレンズ群と優れた描写性能を存分に楽しむことができるはずです。ぜひ、ご自身の撮影スタイルに最適な一台を見つけてください。

この記事が、あなたのカメラ選びの参考になれば幸いです。


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