はい、承知いたしました。
ゲームのFPS表示に必須のツール「RTSS (RivaTuner Statistics Server)」の使い方に焦点を当て、詳細な説明を含む約5000字の記事を作成します。記事の内容を直接以下に記述します。
ゲームのFPS表示に必須!RTSS (RivaTuner Statistics Server) の詳細解説と使い方 完全ガイド
PCゲーマーにとって、ゲームのパフォーマンスを把握することは非常に重要です。特に「フレームレート」(Frames Per Second、FPS)は、ゲームがどれだけ滑らかに動作しているかを示す最も基本的な指標です。FPSが低いとカクつきや遅延が発生し、ゲーム体験が著しく損なわれます。逆に、高いFPSを安定して維持できていれば、より快適で反応性の高いプレイが可能になります。
しかし、ゲーム中にリアルタイムでFPSを確認するにはどうすれば良いのでしょうか?多くのゲームには内蔵のFPSカウンターがありますが、表示が限定的だったり、そもそも表示機能がなかったりします。また、GPUドライバーに付属するオーバーレイ機能(Nvidia GeForce ExperienceやAMD Radeon Adrenalin)やSteamなどのプラットフォーム機能でもFPSを表示できますが、表示される情報やカスタマイズ性に限界がある場合が多いです。
そこで登場するのが、RivaTuner Statistics Server (RTSS) です。RTSSは単なるFPSカウンターを超えた、強力なオーバーレイ表示(On-Screen Display、OSD)およびフレームレート制御ツールです。特に、後述するMSI Afterburnerのようなハードウェア監視ツールと連携することで、FPSだけでなく、GPUやCPUの使用率、温度、RAM使用量など、様々なパフォーマンス情報をゲーム画面上にリアルタイムで表示できます。
本記事では、PCゲーマーにとってほぼ必須とも言えるツール、RTSSに焦点を当て、そのインストール方法から基本的な使い方、詳細な設定方法、そして知っておくと便利な応用テクニックやトラブルシューティングまで、約5000字にわたって徹底的に解説します。これを読めば、あなたもRTSSをマスターし、ゲーム環境のモニタリングと最適化を次のレベルに進めることができるでしょう。
RTSS (RivaTuner Statistics Server) とは? その役割と重要性
まず、RTSSとは具体的にどのようなツールなのでしょうか。その名前の通り、「RivaTuner」というかつて存在した有名なGPUチューニングツールの開発者であるAlexey Nicolaychuk氏(通称Unwinder)によって開発された統計サーバーです。
RTSSの主な機能は以下の通りです。
- On-Screen Display (OSD) / オーバーレイ表示: これが多くのユーザーにとって最も重要な機能です。ゲームやアプリケーションの画面上に、様々な情報をリアルタイムで重ねて表示できます。最も一般的な用途がFPS表示ですが、後述するMSI Afterburnerなどの外部ツールから提供されるGPU温度、使用率、CPU温度、RAM使用量、ファン回転数、フレームタイム(フレーム表示にかかる時間)など、あらゆる情報を表示可能です。
- Framerate Limiting / フレームレート制限: 指定した目標フレームレートに上限を設定し、それ以上のFPSが出ないように制御する機能です。これは単にFPSを抑えるだけでなく、フレーム間の表示間隔を均一化し、より滑らかな表示(フレームペーシングの改善)を実現したり、GPUの無駄な処理を減らして発熱や消費電力を抑えたりする効果があります。
- Custom 3D API Support / カスタム3D APIサポート: 特定のゲームやアプリケーションでOSDがうまく表示されない場合に、互換性モードなどを調整する機能です。
RTSSがPCゲーマーにとって重要である理由は、その高い互換性、安定性、そして豊富なカスタマイズ性にあります。多くのゲームや3Dアプリケーションと高い互換性を持ち、ゲームの種類や使用しているAPI(DirectX, OpenGL, Vulkanなど)に関わらず、安定してOSDを表示できます。また、表示する情報の種類、フォント、サイズ、色、位置などを細かくカスタマイズできるため、自分にとって最も見やすく、必要な情報だけを表示する環境を構築できます。
特に、RTSSは単体でデータを収集するわけではなく、MSI Afterburner(GPUオーバークロック・監視ツール)やHWiNFO(詳細なハードウェア情報ツール)といった別のツールと連携して使用することが一般的です。これらのツールが収集した膨大なハードウェア情報を、RTSSが受け取ってゲーム画面上に表示するという役割分担になっています。事実上、RTSSはOSD表示とフレームレート制限に特化した「表示エンジン」であり、その性能と安定性が高く評価されています。
MSI Afterburnerをインストールすると、通常はRTSSも同時にインストールされるようになっています。これは、Afterburnerで収集したハードウェア情報をゲーム中に表示するためにRTSSが必要だからです。そのため、「MSI AfterburnerとRTSSはセットで使うもの」という認識で間違いありません。
なぜゲーム中にFPSを表示する必要があるのか?
RTSSを使ってFPSやその他のパフォーマンス情報を表示することがなぜ重要なのか、具体的に考えてみましょう。
- 現在のパフォーマンスの把握: プレイ中のゲームが、現在のPCスペックでどれくらいの快適さで動作しているかをリアルタイムで把握できます。「今、何FPS出ているのか?」を常に確認することで、快適な動作基準(例: 60 FPS以上)を満たしているか、あるいはそれを大きく超えているかを判断できます。
- 設定変更の効果測定: グラフィック設定(テクスチャ品質、影の解像度、アンチエイリアシングなど)を変更した際に、それがFPSにどの程度影響するかを即座に確認できます。「この設定を上げると、FPSがどれくらい下がるのか?」「この設定は下げてもFPSはほとんど変わらないな」といった判断ができ、画質とパフォーマンスのバランスを最適化するのに役立ちます。
- ボトルネックの特定: FPSが低い場合に、何が原因になっているのかを特定する手がかりになります。例えば、FPSが低い時にGPU使用率が低いままならCPUがボトルネックになっている可能性があり、GPU使用率が高いならGPU性能が足りていない可能性が高いです。RTSSと連携ツール(Afterburnerなど)でGPU/CPU使用率、温度などを同時に表示することで、より正確な原因究明が可能になります。
- 動作の安定性確認: 平均FPSだけでなく、最小FPS(1% Lowsや0.1% Lowsといった指標)を確認することで、ゲーム中の瞬間的なカクつきやスタッターが発生していないかを確認できます。RTSSはフレームタイムのグラフ表示も可能で、フレームタイムの変動を見ることで、より詳細な動作の安定性を分析できます。
- ベンチマークと比較: 同じゲームやシーンで、異なる設定やドライバーバージョン、ハードウェア構成でのパフォーマンスを比較する際に、RTSSの表示は客観的な指標となります。
- 単なる好奇心: シンプルに、自分のPCがどれだけ頑張っているのか、ゲームがどれだけスムーズに動いているのかを知りたいという理由ももちろんあります。
これらの理由から、FPSやその他のハードウェア情報をリアルタイムでモニタリングできるRTSSは、PCゲーマーにとって非常に価値の高いツールと言えます。
RTSSの入手とインストール
RTSSは通常、MSI Afterburnerのインストーラーにバンドルされています。MSI AfterburnerはMSIのウェブサイトやGuru3D.comなどの信頼できるサイトからダウンロードできます。最新版を入手するのが常に推奨されます。
ダウンロード手順(MSI Afterburner経由が一般的):
- MSI公式ウェブサイトまたはGuru3D.comのMSI Afterburnerダウンロードページにアクセスします。
- 最新版のMSI Afterburnerのインストーラーをダウンロードします。
- ダウンロードしたファイル(通常はzip形式)を解凍します。
インストール手順:
- 解凍したフォルダーにあるインストーラー(例:
MSIAfterburnerSetup[バージョン].exe)を実行します。 - 使用許諾契約に同意します。
- コンポーネントの選択画面で、「RivaTuner Statistics Server」に必ずチェックが入っていることを確認します。 通常、デフォルトでチェックが入っています。MSI Afterburnerも使用する場合は、こちらもチェックを外さないでください。
- インストール先フォルダーを選択します。通常はデフォルトのままで問題ありません。
- インストールが開始されます。
- MSI Afterburnerのインストールが終わると、続いてRivaTuner Statistics Serverのインストールが開始される場合があります。こちらも指示に従ってインストールを進めます。別途使用許諾契約への同意などを求められることがあります。
- インストールが完了すると、コンピューターの再起動を求められることがあります。安定した動作のため、再起動を行うことを推奨します。
これでRTSSのインストールは完了です。PC起動時にRTSSが自動的に起動するように設定されているのが一般的です(後述の設定で変更可能)。
RTSSの起動と基本的な使い方
RTSSはバックグラウンドで動作するタイプのアプリケーションです。インストール後、PCを再起動すると、タスクバーの通知領域(システムトレイ)にRTSSのアイコンが表示されているはずです。
- アイコンの見方: アイコンは通常、コンピューターモニターの形をしています。色がアクティブな状態(通常は緑色)または非アクティブな状態(通常は灰色)を示します。
- メインウィンドウの表示: RTSSのアイコンをダブルクリックするか、右クリックして「Show RivaTuner Statistics Server」を選択すると、RTSSのメインウィンドウが表示されます。
- 終了: アイコンを右クリックして「Quit」を選択すると、RTSSを終了できます。ただし、RTSSを終了するとOSD表示やフレームレート制限などの機能が利用できなくなります。
RTSSメインウィンドウの概要
メインウィンドウには、RTSSの主要な設定項目が集約されています。
- Global Settings: RTSS全体のグローバル設定を行うタブです。特別なアプリケーションプロファイルが設定されていない場合、この設定が適用されます。
- Application List: RTSSが認識した、あるいは手動で追加したアプリケーション(主にゲーム)のリストです。ここでアプリケーションごとに個別の設定(プロファイル)を作成・管理できます。
- Framerate Limit: グローバルまたは選択したアプリケーションプロファイルに対して、目標とする最大フレームレートを設定するスライダーです。
- Show On-Screen Display: OSD表示を有効/無効にするための切り替えボタンです。
- Stealth Mode: 特定のゲーム、特にオンラインゲームでアンチチートソフトウェアとの競合を避けるための互換性オプションです。通常は無効で問題ありませんが、問題が発生した場合に有効にします。
- Setup (歯車アイコン): RTSSの詳細設定を開くボタンです。OSDの見た目、ホットキー、起動設定など、多岐にわたる設定項目があります。
OSD (On-Screen Display) の設定と表示方法
RTSSの最も重要な機能であるOSD表示について詳しく見ていきましょう。ここでRTSSとMSI Afterburner(または他のデータソースツール)の連携が鍵となります。
連携の仕組み:
- MSI AfterburnerなどがハードウェアセンサーからGPU温度、CPU使用率、RAM使用量などのデータを収集します。
- Afterburnerの設定で、収集したデータの中からどの情報をOSDに表示するかを選択します。
- Afterburnerは、選択されたデータをRTSSに送信します。
- RTSSは、Afterburnerから受け取ったデータをゲーム画面上に重ねて表示します。
つまり、「何を」「どんな書式で」表示するかは主にAfterburner側で設定し、「どこに」「どんなフォント・色・サイズで」表示するかはRTSS側で設定する、という分担になります。
手順1:MSI Afterburnerで表示したい項目を選択する
※この手順はMSI Afterburnerの基本的な操作を含みますが、RTSSでOSDを表示するために必須なので説明します。
- MSI Afterburnerを起動します。
- 設定ウィンドウ(歯車アイコン)を開きます。
- 「モニタリング」タブを選択します。
- 「アクティブなハードウェアモニタリンググラフ」のリストが表示されます。ここで、表示したい項目(例: GPU 使用率, GPU 温度, コア クロック, メモリ クロック, CPU 使用率, CPU 温度, RAM 使用量, フレームレート, 1% Lows, 0.1% Lows, フレームタイムなど)を探します。
- 表示したい項目のチェックボックスにチェックを入れます。
- その項目のリストの右側にある「Show in On-Screen Display」のチェックボックスにチェックを入れます。 これがRTSSにその情報を送るための設定です。
- リストの下にある「OSDでのグループ表示モード」で、情報の表示方法(Text, Graph, Group)を選択します。通常は「Text」で問題ありませんが、時間的な変化を見たい場合は「Graph」も便利です。「Group」は複数の関連情報をまとめて表示するのに使います。
- 各項目ごとに色や表示名をカスタマイズすることも可能です。
- 設定を保存してAfterburnerの設定ウィンドウを閉じます。
これで、Afterburnerが選択した情報をRTSSに送信する準備ができました。
手順2:RTSSでOSDの見た目と位置を設定する
次に、RTSSを起動し、OSDの表示設定を行います。
- RTSSのメインウィンドウを開きます。
- 「Show On-Screen Display」ボタンが有効(緑色)になっていることを確認します。 無効(灰色)の場合はクリックして有効にします。
- OSDの見た目を設定するために、右側の設定エリア(通常は「Global」プロファイルが選択されている状態)を確認します。
- On-Screen Display Zoom: OSD全体のサイズを調整します。スライダーを右に動かすと大きく、左に動かすと小さくなります。
- On-Screen Display Coordinates: OSDが表示される画面上の位置をX座標とY座標で指定します。
- Alignmentボタン: 画面の左上、右上、左下、右下、中央上、中央下などにOSDを簡単に配置するためのボタンです。これらのボタンをクリックすると、Coordinatesが自動的に調整されます。
- On-Screen Display Palette: OSDの色を設定します。Afterburner側で設定した項目の色分けは、このパレットの色に対応します。例えば、Afterburnerで「Group #1 Color」に設定した項目は、RTSSのパレットの1番目の色で表示されます。パレットの色をクリックして自由に変更できます。
- On-Screen Display Shadow: OSDの文字に影をつけるかどうか。有効にすると視認性が向上します。
- On-Screen Display Fill: OSDの背景を塗りつぶすかどうか。塗りつぶし色や透明度も設定できます。有効にすると、背景がごちゃごちゃしている場所でもOSDが見やすくなります。
- On-Screen Display Outline: OSDの文字に輪郭線をつけるかどうか。影と同様に視認性向上に役立ちます。
- On-Screen Display Font: OSDに使用するフォントを選択します。「Raster 3D」モードの場合は、選択できるフォントに制限がある場合があります。より自由なフォント選択やクリアな表示を求める場合は、「Vector 3D」モードを試すこともできます(後述)。
On-Screen Display Rendering Mode (重要):
OSDの表示方法を決定する重要な設定です。特定のゲームでOSDがうまく表示されない、点滅する、位置がずれるなどの問題が発生した場合に調整します。
- Raster 3D: 最も一般的で互換性の高いモードです。OSDをピクセル単位で描画するため、比較的多くのゲームAPI(DirectX 9, 10, 11, 12, OpenGL, Vulkanなど)で安定して動作します。フォントはビットマップベースになることが多いです。
- Vector 3D: OSDをベクターグラフィックとして描画します。よりクリアで滑らかなテキスト表示が可能ですが、互換性はRaster 3Dより低い場合があります。一部のゲームやAPIではうまく動作しないことがあります。
- Rasterizer 2D: デスクトップ上でのOSD表示(ゲーム以外のウィンドウに重ねて表示)に使用されます。ゲーム中には通常使いません。
- Vector 2D: 同上、デスクトップ用です。
通常は「Raster 3D」のままにしておき、問題が発生した場合に他のモードを試すのが良いでしょう。 特にDirectX 12やVulkanを使用する最新のゲームでは、Raster 3Dが推奨されることが多いです。
OSDの位置調整のコツ:
Coordinatesを直接入力するよりも、まずはAlignmentボタンで大まかな位置(例: 右上)を決め、その後プレビュー(RTSSウィンドウ左上にある「Rendering window preview」)を見ながらCoordinatesを微調整するのが効率的です。プレビューには、Afterburnerから送信されている情報のサンプルが表示されます。このプレビュー上でOSDをドラッグして位置を調整することも可能です。
手順3:ゲームを起動して確認する
AfterburnerとRTSSの設定が完了したら、ゲームを起動してみましょう。設定通りにOSDが表示されているか確認してください。
- もし表示されない場合は、RTSSとAfterburnerが両方とも起動しているか、RTSSの「Show On-Screen Display」が有効になっているか、Afterburnerの「モニタリング」タブで表示したい項目の「Show in On-Screen Display」にチェックが入っているかを再度確認してください。
- 特定のゲームでのみ表示されない場合は、そのゲームのプロファイルを作成して個別に設定する必要があるかもしれません(後述)。
- アンチチートソフトウェアとの競合の可能性も考慮し、「Stealth Mode」を試すことも検討します。
アプリケーションプロファイルの管理
RTSSでは、アプリケーションごとに個別の設定(プロファイル)を作成・管理できます。これは、特定のゲームでOSDの設定を変えたい場合や、ゲームによってはフレームレート制限を適用したい場合などに非常に便利です。
プロファイルの作成と管理:
- RTSSのメインウィンドウで「Application list」を確認します。RTSSが起動中に実行されたアプリケーションがリストに表示されます。
- リストに目的のゲームが表示されていない場合は、左下の「Add」ボタンをクリックし、ゲームの実行ファイル(通常はゲームがインストールされているフォルダー内の
.exeファイル)を指定して手動で追加します。 - リストから設定したいゲームを選択します。選択すると、右側の設定エリアがそのゲームのプロファイル設定に切り替わります。最初は「< Global > settings」が適用されていると表示されるはずです。
- 設定エリアのプルダウンメニューで「Create new profile for <ゲーム名>.exe」のような項目を選択すると、グローバル設定をコピーした新しいプロファイルが作成されます。
- このプロファイルを選択した状態で変更した設定は、そのゲームを実行した時にのみ適用されます。例えば、特定のゲームではOSDを表示したくない場合は、「Show On-Screen Display」を無効にします。別のゲームではフレームレートを60 FPSに制限したい場合は、Framerate Limitを60に設定します。
プロファイル固有の設定項目:
アプリケーションプロファイルで設定できる項目は、グローバル設定とほぼ同じですが、主に以下の設定をアプリケーションごとにオーバーライドすることが多いです。
- Framerate Limit: そのゲームでの最大フレームレート。
- Show On-Screen Display: そのゲームでOSDを表示するかどうか。
- Stealth mode: そのゲームでのみステルスモードを有効にするか。
- Custom 3D support: そのゲームでのみカスタム3Dサポート設定を有効にするか。
- On-Screen Display Rendering Mode: そのゲームでのみOSDのレンダリングモードを変更するか。
グローバル設定はあくまで「何の設定もしていないアプリケーション」に対するデフォルト設定です。よくプレイするゲームや、特定の互換性問題があるゲームについては、個別のプロファイルを作成して管理することをおすすめします。
フレームレート制限 (Framerate Limiting) の使い方
RTSSのもう一つの重要な機能がフレームレート制限です。ゲーム内でFPSがモニタのリフレッシュレートを大きく超えてしまう場合や、GPUが常にフル稼働して温度が高くなりすぎる場合などに有効です。
設定方法:
- グローバル設定または特定のアプリケーションプロファイルを選択します。
- 「Framerate limit」のスライダーを目的のフレームレート値に合わせます。例えば、60Hzのモニターを使っている場合や、安定した60 FPSを目指したい場合は「60」に設定します。
- 手動で値を入力したい場合は、スライダーの横にある数値を直接クリックして編集することもできます。
- 設定は即座に反映されます。
フレームレート制限の効果:
- 滑らかな表示 (フレームペーシング): RTSSのフレームレート制限は、フレーム間の表示間隔を均一に保つのが得意です。これにより、たとえ平均FPSが高くても発生しうる不規則なカクつき(スタッター)を減らし、より滑らかな視覚体験をもたらすことがあります。V-syncよりも入力遅延が少ないという利点も指摘されています。
- GPU負荷と発熱の抑制: 必要以上に高いフレームレートを出さないようにすることで、GPUの処理負荷が減り、結果的に消費電力や発熱を抑えることができます。これにより、GPUの寿命延長や静音化にも繋がります。
- ティアリングの軽減: V-syncを使用せずにフレームレートをモニターのリフレッシュレート以下(例: 60Hzモニターなら59 FPS以下)に制限することで、ある程度のティアリング(画面の分断)を抑える効果が期待できます。
注意点:
- フレームレートを制限すると、当然ながらそれ以上のFPSは出なくなります。
- ゲームによっては、RTSSによる外部からのフレームレート制限よりも、ゲーム内の設定やGPUドライバーの設定による制限の方が相性が良い場合もあります。
- フレームレート制限を有効にしても、OSDのFPS表示自体は制限後の正確な値を示します。
詳細設定と便利な機能
RTSSのSetupウィンドウ(歯車アイコン)には、さらに多くの詳細設定項目があります。いくつか重要なものを紹介します。
- General:
- Start with Windows: Windows起動時にRTSSを自動的に起動するかどうか。通常は有効にしておきます。
- Start minimized: 起動時にメインウィンドウを表示せず、システムトレイに最小化しておくか。通常は有効にしておくと邪魔になりません。
- On-Screen Display:
- ここでOSDの表示設定(フォント、サイズ、色、位置など)のデフォルト値を設定できます。メインウィンドウの右側の設定エリアとほぼ同じ内容です。
- On-Screen Display Hotkey: OSD表示のオン/オフを切り替えるホットキーを設定できます。ゲーム中に一時的にOSDを非表示にしたい場合に便利です。デフォルトでは割り当てられていないので、好みのキーを設定しましょう(例: Ctrl+Shift+O)。
- Framerate Limit Hotkey: フレームレート制限のオン/オフを切り替えるホットキーを設定できます。
- Compatibility:
- Custom 3D support: 特定のAPIを使用するゲームでOSDがうまく動作しない場合の互換性オプションです。通常は「Default」で問題ありませんが、問題があれば他のオプション(On, Off, Force Offなど)を試します。
- Application detection level: RTSSがアプリケーションを検出する感度を設定します。デフォルトの「Low」でほとんどのゲームを検出できますが、検出されない場合は「Medium」や「High」を試すこともできます。
- Stealth mode: ステルスモードに関する詳細設定です。インジェクションのタイミングなどを調整できますが、通常はメインウィンドウのボタンでオン/オフするだけで十分です。
これらの詳細設定は、特定の環境や問題に対応するために用意されています。まずは基本的な設定で使ってみて、必要に応じてこれらの詳細設定を調整するのが良いでしょう。
トラブルシューティング:よくある問題と解決策
RTSSは非常に安定していますが、環境やゲームによっては問題が発生することもあります。ここでは、よくある問題とその解決策を紹介します。
問題1:ゲーム中にOSD(FPS表示など)が表示されない
- RTSSが起動しているか確認: タスクバーの通知領域にRTSSのアイコンがあるか確認します。なければRTSSを起動します。
- RTSSでOSDが有効になっているか確認: RTSSメインウィンドウの「Show On-Screen Display」ボタンが緑色になっているか確認します。
- MSI Afterburner(またはデータソースツール)が起動しているか確認: Afterburnerが起動しており、RTSSと連携できる状態になっているか確認します。
- Afterburnerで表示したい項目がOSDに設定されているか確認: Afterburnerの「モニタリング」タブで、表示したい項目の「Show in On-Screen Display」にチェックが入っているか再度確認します。
- ゲームのプロファイル設定を確認: 特定のゲームでのみ表示されない場合、そのゲームのプロファイルで「Show On-Screen Display」が無効になっていないか確認します。
- RTSSのOSDレンダリングモードを変更してみる: RTSSのグローバル設定またはゲームのプロファイル設定で、「On-Screen Display Rendering Mode」を別のモード(例: Raster 3D -> Vector 3D)に変更して試します。特定のゲームAPIとの相性問題である可能性があります。
- Stealth Modeを有効にしてみる: オンラインゲームなどでアンチチートソフトウェアがRTSSのインジェクションを妨害している可能性があります。Stealth Modeを有効にして試してください。
- RTSSとAfterburnerを管理者権限で実行してみる: 一部のゲームやWindowsの設定により、管理者権限が必要な場合があります。
- RTSSとAfterburnerを最新バージョンにアップデートする: 古いバージョンには既知の不具合が含まれていることがあります。
- ゲームを再起動する: 設定変更後にゲームを再起動しないと反映されない場合があります。
問題2:OSDが表示されるが、データ(数値)が表示されない、または「N/A」と表示される
- MSI Afterburnerが起動しているか確認: RTSSは自分でデータを収集しないため、Afterburnerなどのデータソースが必要です。
- AfterburnerとRTSSの連携が正常に行われているか確認: 両方のツールを再起動してみる。
- Afterburnerで該当項目の「Show in On-Screen Display」にチェックが入っているか確認: 再度モニタリング設定を確認します。
- データソース(GPU, CPUなど)が正常に動作しているか確認: Afterburnerのモニタリンググラフで、データが正しく表示されているか確認します。
問題3:OSDが点滅したり、位置がずれたり、一部が欠けたりする
- OSDレンダリングモードを変更してみる: 特定のゲームAPIとの相性問題の可能性が高いです。「On-Screen Display Rendering Mode」を別のモードに変更して試します。
- ゲーム内のオーバーレイ機能と競合していないか確認: ゲーム自体に内蔵されているFPSカウンターや、Steam、GeForce Experience、AMD Adrenalinなどのオーバーレイ機能を無効にして、RTSSのみで表示させてみます。
- 全画面モード/ウィンドウモードの切り替え: ゲームの表示モードを変更すると安定する場合があります。
- 最新のグラフィックドライバーをインストールする: ドライバーの不具合がOSD表示に影響を与えることがあります。
問題4:RTSSまたはゲームがクラッシュする
- Stealth Modeを有効にする: アンチチートソフトウェアとの競合が原因の場合に有効です。
- RTSSとAfterburnerを最新バージョンにアップデートする: 不安定性が改善されていることがあります。
- OSDレンダリングモードを変更する: 特定のモードがゲームと致命的に競合している可能性があります。
- オーバークロック設定を無効にしてみる: Afterburnerでオーバークロックしている場合、それが不安定性の原因になっている可能性もゼロではありません。
- ゲームのプロファイルを削除してみる: 特定のゲームプロファイルの設定が壊れている場合があります。
問題5:フレームレート制限がうまく機能しない
- 制限値が正しく設定されているか確認: グローバルまたはゲームのプロファイルで正しい数値になっているか確認します。
- 別のフレームレート制限方法と競合していないか確認: ゲーム内の設定、GPUドライバーの設定(垂直同期やフレームレート制限)、あるいは他のアプリケーションでフレームレート制限が有効になっていないか確認します。RTSSの制限と他の制限が同時に有効になっていると、予期しない動作になることがあります。
- 特定のゲームとの相性: 一部のゲームでは、外部からのフレームレート制限がうまく機能しない場合があります。
これらの解決策を試しても問題が解決しない場合は、使用しているゲームのタイトル名やPC環境(OSバージョン、GPU、CPUなど)を明記して、PC関連のフォーラムやコミュニティで質問してみることをお勧めします。RTSSは広く使われているツールなので、同様の問題に遭遇し、解決策を見つけたユーザーがいる可能性が高いです。
RTSSと他のOSDツールの比較
PCでパフォーマンスモニタリングを行うためのツールはRTSSだけではありません。GPUドライバーに付属するものや、ゲームプラットフォームに内蔵されたものなど、いくつかの選択肢があります。なぜRTSSが多くのユーザーに選ばれるのでしょうか?
- 高精度なフレームレート制限: RTSSのフレームレート制限機能は、他のツールと比較してフレームペーシングが優れており、入力遅延が少ないという評価が高いです。
- 詳細な情報表示: MSI Afterburnerなどと連携することで、FPSだけでなく、GPU、CPU、RAMなど、非常に多岐にわたる詳細なハードウェア情報を一度に表示できます。ドライバー付属のOSDは表示できる項目が限られていることが多いです。
- 高いカスタマイズ性: OSDのフォント、サイズ、色、位置、背景、影などを細かく調整できます。視認性の高い、自分好みの表示環境を構築できます。
- 幅広い互換性: 多くのゲームAPI(DirectX, OpenGL, Vulkan)に対応しており、様々なゲームで安定して動作します。
- 低負荷: RTSS自体は非常に軽量に設計されており、ゲームのパフォーマンスに与える影響が最小限です。
- フレームタイムグラフ: フレームレートだけでなく、フレームタイムのグラフをOSDで表示できるため、動作の安定性(カクつき)をより詳細に分析できます。
もちろん、GeForce ExperienceやAMD Adrenalinのような純正ツールも非常に便利で、録画機能やゲーム設定の自動最適化など、RTSSにはない機能も持っています。単にFPSだけを見たい、録画や配信もまとめてやりたいという場合は、純正ツールの方が手軽かもしれません。
しかし、ゲームのパフォーマンスを徹底的にモニタリング・分析したい、画質設定とパフォーマンスのバランスを最適化したい、より優れたフレームレート制限機能を使いたいといったヘビーユーザーやエンスージアストにとっては、RTSS(とAfterburner)が事実上の標準ツールとなっています。
まとめ:RTSSで快適なゲーミングライフを!
RivaTuner Statistics Server (RTSS) は、PCゲーマーにとって非常に強力で便利なツールです。特に、MSI Afterburnerなどのハードウェア監視ツールと連携することで、ゲーム中にリアルタイムでFPSや様々なハードウェア情報をオーバーレイ表示し、ゲームのパフォーマンスを正確に把握することを可能にします。
本記事では、RTSSの役割、インストール方法、MSI Afterburnerとの連携によるOSD表示設定、フレームレート制限機能、アプリケーションプロファイルの管理、詳細設定、そしてトラブルシューティングについて詳しく解説しました。
RTSSを使いこなすことで、あなたは以下のことができるようになります。
- ゲームの現在のパフォーマンス(特にFPS)を常に把握する。
- グラフィック設定の変更がパフォーマンスに与える影響を正確に測定する。
- PCのボトルネック(GPUかCPUかなど)を特定する手がかりを得る。
- ゲーム中のカクつきやスタッターの原因を分析する(フレームタイム表示)。
- 必要に応じてフレームレートを制限し、表示の滑らかさを向上させたり、ハードウェアの負荷を軽減したりする。
- 自分にとって最も見やすい、カスタマイズされたOSD表示環境を構築する。
最初は設定項目が多くて難しく感じるかもしれませんが、基本はAfterburnerで「何を」表示するか選び、RTSSで「どう」表示するかを決める、というシンプルな流れです。慣れてくれば、ゲームごとに最適な設定を素早く適用できるようになります。
RTSSは長年にわたって開発・改善されてきた実績のあるツールであり、多くのプロゲーマーやPCレビューサイトでもパフォーマンス測定の標準ツールとして利用されています。
ぜひ本記事を参考に、RTSSを導入・活用して、あなたのPCゲーミングライフをより快適で、より理解度の高いものにしてください。適切なモニタリングと最適化は、限られたハードウェア性能から最大のゲーム体験を引き出すための重要なステップです。
免責事項: RTSSは強力なツールですが、ゲームのプロセスに介入するため、特にオンラインゲームにおいてはアンチチートソフトウェアとの相性問題が発生する可能性があります。通常は問題なく使用できますが、万が一、ゲームアカウント停止などの不利益を被った場合でも、本記事の著者および公開者は一切の責任を負いません。ご自身の責任において使用してください。多くの場合、最新版のRTSSを使用し、必要に応じてStealth Modeを試すことで問題を回避できます。