EOS M5の評価は?ユーザーの声と作例で徹底検証

はい、承知いたしました。キヤノンのミラーレス一眼カメラ「EOS M5」に関する、約5000語の詳細なレビュー記事を作成します。ユーザーの声や想定される作例を含め、徹底的に検証する形式で記述します。


EOS M5の評価は?ユーザーの声と作例で徹底検証

はじめに:キヤノン初の本格ミラーレス、EOS M5が登場した背景

デジタル一眼レフカメラ市場で長年その地位を確立してきたキヤノンが、ミラーレス一眼カメラ市場に本格的に参入したのが、2012年に登場したEOS Mシリーズです。初代EOS Mは、コンパクトさを追求しつつ、エントリーモデルとしての性格が強い機種でした。しかし、ミラーレス市場が成熟し、より高性能で操作性に優れたモデルが求められるようになる中で、キヤノンは新たな方向性を打ち出します。

それが、2016年11月に発売された「EOS M5」です。EOS M5は、「快速・快適・高画質」をコンセプトに、一眼レフライクな操作性とミラーレスならではのコンパクトさを両立させた、EOS Mシリーズにおける初の本格的な上位機種として登場しました。それまでのEOS Mシリーズは、どちらかというと初心者やカジュアルユーザー向けの色合いが濃かったのに対し、EOS M5は写真撮影をより深く楽しみたい、一眼レフからのステップアップや買い替えを検討しているユーザー層を強く意識して開発されました。

背面EVF(電子ビューファインダー)を内蔵し、デュアルピクセルCMOS AFによる高速・高精度なオートフォーカス、そして最新の映像エンジンDIGIC 7の搭載など、当時のキヤノンの最新技術を結集した意欲作でした。EOS M5は、キヤノンがミラーレス市場で本格的にソニーや富士フイルムといった先行メーカーに対抗するための、重要な戦略モデルだったと言えるでしょう。

この記事では、このEOS M5を徹底的に掘り下げ、その基本性能から実際の使い勝手、そしてユーザーがどのように評価しているのかを検証していきます。スペックだけでは見えてこない、実際の「写り」や「操作感」を、想定されるユーザーの声や作例を交えながら詳しく解説することで、EOS M5がどのようなカメラなのか、そして現在(記事執筆時点)においてどのような価値を持つのかを明らかにしていきます。中古市場でも手頃な価格で入手可能になったEOS M5は、今なお魅力的な選択肢となり得るのか、じっくりと見ていきましょう。

EOS M5の基本スペックと技術的特徴:当時キヤノンが投入した「本格」の力

EOS M5が「本格ミラーレス」と呼ばれる所以は、その搭載された技術と基本スペックにあります。ここでは、M5の中核をなす要素を詳しく見ていきます。

1. センサー:APS-Cサイズ 約2420万画素 CMOSセンサー

センサーは、カメラの画質を決定づける最も重要な要素の一つです。EOS M5は、有効画素数約2420万画素のAPS-CサイズCMOSセンサーを搭載しています。これは当時のキヤノンの最新APS-C一眼レフ、例えばEOS 80DやEOS Kiss X8i(M5発売時点では後継機のKiss X9i/9000Dが登場)に匹敵する、あるいはそれらをベースとした高画素センサーです。

APS-Cサイズセンサーは、コンパクトデジタルカメラやスマートフォンのセンサーに比べて面積が大きく、より多くの光を取り込めます。これにより、豊かな階調表現、高感度時でもノイズの少ないクリアな描写、そして美しいボケ味を実現します。約2420万画素という画素数は、細部のディテールまで精細に描写するのに十分であり、大判プリントにも耐えうる解像度を持っています。風景写真の遠景描写や、ポートレートにおける肌の質感表現などにおいて、その性能を発揮します。

2. 映像エンジン:DIGIC 7

センサーが取り込んだ光情報を画像データに処理するのが映像エンジンです。EOS M5には、当時最新世代だった映像エンジン「DIGIC 7」が搭載されています。DIGIC 7は、旧世代のエンジンに比べて処理能力が大幅に向上しており、これがEOS M5の性能向上に大きく貢献しています。

DIGIC 7の主な役割は以下の通りです。
* 高感度ノイズ処理の向上: 高感度撮影時(ISO感度を上げて暗い場所で撮影する際)に発生するノイズを効果的に抑制し、クリアな画像を生成します。これにより、室内や夜景など、光量の少ないシーンでも積極的に撮影できるようになります。
* 解像感の向上: 画像の細部をよりシャープに、ディテール豊かに描写するための処理を行います。
* 色再現性の向上: キヤノンらしい自然で美しい色合いを実現します。特に肌色の再現性には定評があります。
* 高速処理: オートフォーカスや連写、起動時間、メニュー操作といったカメラ全体のレスポンス向上に貢献します。
* 回折補正: 小絞り(絞り値を大きくしてパンフォーカスで撮る際など)で発生する回折現象による解像感の低下を補正し、シャープさを維持します。
* 被写体追尾性能の向上: AFシステムと連携し、動く被写体への追従性能を高めます。

センサーと映像エンジンの組み合わせは、カメラの画質とレスポンスを左右する心臓部です。EOS M5はこの組み合わせにより、当時のEOS Mシリーズとしては最高レベルの画質と処理速度を実現しました。

3. AFシステム:デュアルピクセルCMOS AF

EOS M5の最大の特徴の一つであり、キヤノンのアドバンテージとも言えるのが「デュアルピクセルCMOS AF」です。これは、イメージセンサー上の全画素を撮像と位相差AFの両方に利用するキヤノン独自の技術です。

これにより、以下のメリットが得られます。
* 高速・高精度なAF: センサー面上の広い範囲(画面の縦横約80%)で位相差AFが可能になるため、ピント合わせが非常に高速かつ正確です。特に動いている被写体に対しても、粘り強く追従します。
* 滑らかな動画AF: 動画撮影中も、まるでビデオカメラのような滑らかで自然なピント合わせを実現します。被写体が動いたり、構図が変わったりしても、スムーズにピントが追従します。
* 高い追従性能: DIGIC 7との連携により、一度捉えた被写体(特に人物の顔など)を追従し続ける性能が高いです。
* 暗い場所でのAF性能: 位相差AFが可能なため、コントラストAFに比べて暗い場所でもピントを合わせやすいという利点があります。

EOS M5は、このデュアルピクセルCMOS AFをミラーレスカメラで本格的に搭載した機種であり、特に動画撮影時におけるAF性能の高さは、当時のミラーレスカメラの中でもトップクラスでした。静止画撮影においても、一眼レフの光学ファインダー像面位相差AFに匹敵する、あるいはそれ以上の速度と精度を発揮する場面もあり、従来のEOS Mシリーズからの大きな進化点と言えます。

4. 連写性能:最高約9コマ/秒(AF追従時 約7コマ/秒)

動体撮影や決定的な瞬間を捉える上で重要なのが連写性能です。EOS M5は、AF固定であれば最高約9コマ/秒、AF追従(AIサーボAF)時でも最高約7コマ/秒の高速連写が可能です。

約7コマ/秒という速度は、スポーツや乗り物、動物といった動く被写体を撮影する際に非常に有効です。連続的にシャッターを切ることで、被写体の様々な動きの瞬間を捉え、その中からベストショットを選ぶことができます。当時のミドルクラス一眼レフにも匹敵する連写性能は、EOS M5が単なるスナップカメラではなく、よりアクティブな撮影にも対応できることを示しています。

ただし、RAW+JPEGでの連写や、古いSDカードを使用している場合、連続撮影できる枚数(バッファメモリの容量)には限界があり、連写速度が低下したり、撮影後に書き込み待ち時間が発生したりすることがあります。快適な連写には、高性能なSDカードの使用が推奨されます。

5. ISO感度:常用ISO 100~25600

ISO感度は、センサーが光を取り込む際の感度を示す指標です。感度を上げるほど、暗い場所でも速いシャッター速度で撮影できるようになりますが、同時にノイズも増えやすくなります。EOS M5は、常用ISO感度として100から25600まで設定可能です。

DIGIC 7の高いノイズ処理能力により、ISO 6400や12800といった高感度でも、実用的な画質を維持することができます。これにより、フラッシュを使いたくない室内や、手持ちでの夜景撮影など、幅広いシーンで撮影の自由度が高まります。ISO 25600は緊急用といった位置づけになりますが、記録としての撮影であれば十分使用可能です。

6. ファインダー:約236万ドット 有機EL EVF内蔵

EOS Mシリーズで初めて背面EVFを内蔵したのがEOS M5です。約236万ドットの高精細な有機ELパネルを採用しています。

EVFのメリットは以下の通りです。
* 実際の写りを事前に確認: ホワイトバランスや露出補正、ピクチャースタイルなどの設定が反映された画像がリアルタイムで表示されるため、撮影前に仕上がりを正確にイメージできます。
* 暗い場所でも見やすい: 光学ファインダーに比べて、暗い場所でも被写体や構図を確認しやすいです。
* 各種情報の表示: シャッター速度、絞り値、ISO感度、ヒストグラム、水準器など、様々な撮影情報をファインダー内に表示できます。
* ファインダー撮影に集中: 周囲の光を遮断して撮影に集中でき、ブレを抑えやすいです。

約236万ドットという解像度は、当時のEVFとしては標準的で、十分に高精細と言えます。有機ELパネルは、高コントラストで発色が鮮やかなため、見え味は良好です。ただし、EVF特有のわずかな遅延や、光学ファインダーとは異なる見え方(白飛び・黒つぶれしやすいなど)はあります。

7. 液晶モニター:3.2型 約162万ドット チルト式(下方向180°)タッチパネル

背面には、大型で高精細な3.2型約162万ドットの液晶モニターを搭載しています。このモニターはチルト式となっており、上方向約85度、下方向約180度に角度を変えることができます。

チルト式のメリットは以下の通りです。
* ローアングル・ハイアングル撮影: 地面すれすれの低い位置や、人垣の上からといった高い位置からの撮影が楽に行えます。
* 自撮り・動画ブログ撮影: 下方向180度に回転するため、自分自身を写しながらの撮影(自撮りやVlogなど)が可能です。

また、この液晶モニターはタッチパネルに対応しています。メニュー操作や設定変更はもちろん、画面をタッチするだけでピント合わせとシャッターを切る「タッチシャッター」、画面上の被写体を指でなぞるだけで追従AFを開始する「タッチ&ドラッグAF」(EVF使用時)、そして画像の拡大・縮小や送りができる再生時の操作など、スマートフォンのように直感的な操作が可能です。特にタッチ&ドラッグAFは、EVFを覗きながら背面モニターを指で操作してAFポイントを移動できる機能で、M5の操作性を大きく向上させています。

8. デザイン・操作性:一眼レフライクなボタン配置とグリップ

EOS M5の大きな特徴の一つが、そのデザインと操作性です。これまでのEOS Mシリーズがシンプルさを重視していたのに対し、M5は一眼レフユーザーが違和感なく使えるような操作系を目指しました。

  • ダイヤル類: 軍艦部(カメラ上面)には、モードダイヤル、露出補正ダイヤル、メインダイヤル、サブダイヤルといった複数のダイヤルが配置されています。これにより、絞りやシャッター速度、露出補正などの設定を直感的かつ素早く変更できます。特に、サブダイヤルと露出補正ダイヤルを重ねたような配置はユニークで、素早い設定変更に貢献します。
  • ボタン配置: 背面には、EOS一眼レフに近いボタン配置が採用されており、各種機能へのアクセス性が考慮されています。
  • グリップ: しっかりと握れる大型のグリップが備わっており、ホールド性が高いです。特に望遠レンズやアダプターを介してEFレンズを装着した際でも、安定して構えることができます。
  • カスタマイズ: 各ボタンやダイヤルには、比較的自由なカスタマイズが可能で、自分の使いやすいように設定を割り当てることができます。

これらの操作系は、一眼レフユーザーがM5に移行した際に、操作方法に戸惑うことなくスムーズに使い始められるように配慮されています。また、ミラーレス機からステップアップするユーザーにとっても、本格的なカメラ操作を学ぶのに適した配置と言えます。

9. 動画性能:Full HD 60p対応

EOS M5は、Full HD(1920×1080)画質で、最大60fps(フレーム/秒)での動画撮影に対応しています。4K動画には対応していませんが、Full HD 60pは滑らかな動きを記録するのに十分な性能です。

特筆すべきは、静止画と同様にデュアルピクセルCMOS AFが動画撮影時にも利用できる点です。これにより、被写体にスムーズにピントを合わせ続けることができ、プロフェッショナルな印象の映像を簡単に撮影できます。また、電子式手ブレ補正(デジタルIS)とレンズ側の光学式手ブレ補正を組み合わせることで、歩きながらの撮影やズーム時などでも効果的な手ブレ補正を実現します(コンビネーションIS)。

10. 通信機能:Wi-Fi, Bluetooth, NFC

スマートフォンやタブレットとの連携を強化するため、Wi-Fi、Bluetooth、NFCといった通信機能を搭載しています。

  • Wi-Fi: スマートフォンに専用アプリ「Canon Camera Connect」をインストールすることで、カメラ内の画像をスマートフォンに転送したり、スマートフォンからカメラをリモート操作したりすることができます。
  • Bluetooth: 低消費電力でスマートフォンと常時接続しておくことが可能です。これにより、Wi-Fi接続の際に再接続の手間を省いたり、スマートフォンのGPS情報を使って画像に位置情報を付加したりすることができます。
  • NFC: 対応するAndroidスマートフォンなどとカメラを近づけるだけで、簡単にWi-Fi接続を確立できます。

これらの機能により、撮影した写真をすぐにSNSにアップロードしたり、旅行先で家族や友人と共有したりすることが容易になります。

11. サイズ・重量:一眼レフよりコンパクト、Mシリーズとしては大きめ

EOS M5のボディサイズは約115.6(幅)×89.2(高さ)×60.6(奥行)mm、バッテリーおよびSDカード込みの重量は約427gです。

同じAPS-Cセンサーを搭載した一眼レフカメラ(例:EOS Kiss X9iは約532g)に比べれば軽量・コンパクトですが、当時の他のEOS Mシリーズ(例:EOS M3は約366g)や、他社製ミラーレスカメラ(例:ソニーα6300は約404g、富士フイルムX-T20は約383g)と比較すると、EVFの内蔵や充実した操作系のためにやや大きめ・重めです。しかし、本格的な操作性と引き換えと考えれば、十分許容範囲内のサイズと言えるでしょう。標準ズームレンズ(EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STMなど)と組み合わせても、一般的な一眼レフよりも携帯性に優れています。

12. 対応マウント:EF-Mマウント

EOS M5は、キヤノン独自のミラーレス用レンズマウント「EF-Mマウント」を採用しています。EF-Mレンズは、ミラーレスカメラの短いフランジバック(レンズマウント面からセンサー面までの距離)に合わせて設計されており、コンパクトで軽量なレンズが多いのが特徴です。

記事執筆時点では、EF-Mレンズのラインナップは一眼レフ用のEF/EF-Sレンズに比べると限定的ですが、標準ズーム、広角ズーム、望遠ズーム、単焦点レンズなどが一通り揃っており、一般的な撮影には対応できます。

また、キヤノン純正の「マウントアダプター EF-EOS M」を使用することで、豊富なラインナップを誇るEF/EF-Sレンズを装着することも可能です。このアダプターを使用しても、デュアルピクセルCMOS AFによる高速AFや、IS(手ブレ補正)機能などが利用できるため、既にキヤノンの一眼レフシステムを持っているユーザーにとっては、レンズ資産をそのまま活用できる大きなメリットとなります。ただし、EF/EF-Sレンズは一眼レフに合わせて設計されているため、ボディとのバランスが悪くなったり、システム全体が大きくなったりするという側面もあります。

13. 発表時期・当時の価格帯

EOS M5は2016年9月に発表され、同年11月に発売されました。当時の価格帯は、ボディ単体で11万円前後、標準ズームレンズキットで12万円台後半、ダブルズームキットで15万円台後半でした。これは、当時のAPS-Cミラーレス機としては比較的高めの価格設定であり、キヤノンがM5をエントリー機ではなく、ミドルクラス以上の位置づけで投入したことが伺えます。

以上が、EOS M5の主な基本スペックと技術的特徴です。これらの要素がどのように組み合わさり、実際の撮影体験に結びつくのかを、次に掘り下げていきます。

EOS M5の「徹底検証」 – 各機能の評価

EOS M5の基本スペックを踏まえ、実際の使用感や性能について、主要な評価ポイントごとに検証していきます。

1. 画質:キヤノンらしい写りと描写性能

約2420万画素のAPS-CセンサーとDIGIC 7の組み合わせによる画質は、多くのユーザーから高い評価を得ています。

  • 解像度・ディテール: 2420万画素センサーは、十分な解像度を持ち、風景写真の細部や人物の髪の毛なども精細に描写します。EF-Mレンズはコンパクトながらも描写性能が高く、特にEF-M 22mm F2 STMのような単焦点レンズと組み合わせることで、センサーの解像度を最大限に引き出すことができます。
  • ノイズ耐性: DIGIC 7によるノイズ処理は効果的で、常用ISO感度内であれば、ノイズを気にすることなく積極的に使用できます。ISO 3200や6400でも、粒子が細かくカラーノイズも抑えられており、ウェブやL版プリント程度であれば十分実用的です。ISO 12800や25600になるとさすがにノイズが増えますが、記録としてなら許容できるレベルです。
  • 色再現性: キヤノン伝統の「見た目に近い、記憶色」とも表現される自然で美しい色再現は、M5でも健在です。特に人物の肌色は健康的で滑らかに描写され、ポートレート撮影で人気が高い理由の一つです。風景撮影では、青空や緑の色合いが鮮やかかつ自然に再現されます。このキヤノン独特の色味を好むユーザーは多いです。
  • ダイナミックレンジ: センサーのダイナミックレンジ(一度に記録できる明暗の幅)は、最新のセンサーに比べるとやや狭いという意見も見られます。特に明暗差の大きなシーンでは、白飛びや黒つぶれが発生しやすい傾向があります。ただし、適切な露出設定やRAW現像でのリカバリー、あるいはHDR撮影機能などを活用することで、ある程度対応可能です。
  • レンズとの組み合わせ: EF-Mレンズは小型軽量で光学性能も比較的高いですが、ラインナップが限られています。マウントアダプターを介してEF/EF-Sレンズを使用する場合、高性能なLレンズなどを使えばM5のセンサー性能を最大限に引き出すことができますが、システムとしては大きくなり、レンズの性能によってはセンサーの解像度に追いつかない場合もあります。

想定されるユーザーの声(画質について):
* 「さすがキヤノン、期待通りの美しい写り。特に人物撮りが楽しい。」
* 「高感度ノイズが少なくて、暗い場所でも安心してシャッターが切れるようになった。」
* 「キットレンズでも結構写りが良くて驚いた。」
* 「EFレンズをアダプターで付けてみたら、すごい解像感だった!」
* 「夕焼けとか、明るい部分と暗い部分があるシーンだと、ちょっと白飛びしやすいかな。」

2. AF性能:デュアルピクセルCMOS AFの実力

EOS M5のAF性能は、それまでのEOS Mシリーズから劇的に進化しました。デュアルピクセルCMOS AFの搭載は、M5の評価を大きく引き上げた要因の一つです。

  • 静止画AF: ライブビュー撮影におけるAF速度は、当時のAPS-C機としては非常に高速で、特に一度被写体を捉えれば素早く正確にピントを合わせます。ワンショットAFであれば、ストレスなく軽快に撮影できます。画面の広い範囲でAFが可能なので、構図の自由度が高いのもメリットです。
  • 動体追従AF(AIサーボAF): デュアルピクセルCMOS AFとDIGIC 7の連携により、動く被写体への追従性能も向上しました。人物の顔や動く子供、ペットなどにある程度追従し、連写と組み合わせることで決定的な瞬間を捉えることができます。ただし、プロ用の高性能一眼レフや最新のミラーレス機(特に瞳AFなど)に比べると、食いつきや粘り強さでは劣る場面もあります。特に不規則な動きや、高速で向かってくる被写体には苦手な場合もあります。
  • タッチAF/タッチ&ドラッグAF: タッチ操作によるAFは直感的で非常に便利です。特にEVFを覗きながら背面モニターを指でなぞってAFポイントを移動できるタッチ&ドラッグAFは、M5の操作性を特徴づける機能であり、快適なピント合わせに貢献します。
  • 低照度AF: 位相差AFが可能なため、暗い場所でも比較的スムーズにピントを合わせることができます。F2.8までのレンズであれば、暗い環境でもAFが動作します。

想定されるユーザーの声(AFについて):
* 「AFがすごく速くなって、ストレスなく撮れる!」
* 「動画のピント合わせが滑らかで驚いた。まるでビデオカメラみたい。」
* 「タッチAFが便利すぎる。スマホみたいに簡単に撮れる。」
* 「EVF見ながら指でAFポイント動かせるのが最高!」
* 「動き回る子供にはたまに追いつかないときがあるけど、前のカメラより全然良い。」

3. 操作性・エルゴノミクス:一眼レフからのスムーズな移行

EOS M5は、一眼レフユーザーを意識した操作性が特徴です。

  • ダイヤル操作: 複数のダイヤルによる直感的な操作は、絞りやシャッター速度を頻繁に変更するような撮影スタイルに適しています。特に露出補正ダイヤルが独立しているのは便利です。ダイヤルの配置も、一眼レフに近い感覚で操作できます。
  • グリップ: しっかりとしたグリップはホールド感を高め、特に望遠レンズ使用時や片手での撮影時などに安定感をもたらします。
  • EVF: 背面に内蔵されたEVFは、日差しの強い場所での撮影や、撮影に集中したい場合に重宝します。約236万ドットの解像度は十分に見やすく、表示される情報も豊富です。ただし、電源オンからEVFが使えるようになるまでの起動時間や、僅かな遅延は光学ファインダーにはない点です。
  • 液晶モニター: チルト式モニターは、ローアングルやハイアングル撮影で活躍します。下方向180度チルトは自撮りにも便利ですが、大型の三脚を使用した場合などに干渉することがあります。タッチパネルは非常にレスポンスが良く、設定変更や再生時の操作をスムーズに行えます。
  • ボタン配置: 一眼レフに近いボタン配置は、既存のキヤノンユーザーには馴染みやすいでしょう。ただし、カメラのサイズがコンパクトな分、ボタンがやや小さく、操作に慣れが必要な場合もあります。

想定されるユーザーの声(操作性について):
* 「一眼レフから乗り換えたけど、操作に迷うことなくすぐに使えた。」
* 「ダイヤルがたくさんあって、設定変更がすごく楽。」
* 「グリップがあるから、しっかり持てて安心感がある。」
* 「EVFが付いてて良かった。晴れた日の屋外撮影が断然楽になった。」
* 「液晶が下向きにチルトするから、自撮りとか低い位置から撮るのが便利。」
* 「ボタンがちょっと小さくて、たまに押し間違えることがある。」
* 「EVFの反応がたまに遅く感じる。」

4. 機動性・携帯性:ミラーレスとしてのメリット

EOS M5は、一眼レフと比較した場合、携帯性に優れています。

  • サイズ・重量: ボディ単体ではもちろん、標準ズームレンズなどを装着した状態でも、同クラスの一眼レフよりも小型軽量です。旅行や日常のスナップ撮影など、気軽に持ち運びたい場面でそのメリットを発揮します。
  • システム全体のコンパクトさ: EF-Mレンズは小型設計されているため、システム全体としてコンパクトにまとまります。特にパンケーキレンズのEF-M 22mm F2 STMなどを装着すると、非常に薄型になり、コートのポケットなどにも収まるほどです。
  • EFレンズ装着時のバランス: マウントアダプターを介してEF/EF-Sレンズを装着すると、レンズがボディに対して大きく重くなるため、バランスが悪くなることがあります。特に大口径レンズや望遠レンズでは顕著で、この場合は一眼レフの方が安定して構えられる場合が多いでしょう。

想定されるユーザーの声(機動性について):
* 「旅行に持っていくのに、一眼レフより断然軽くて助かる。」
* 「毎日バッグに入れて持ち運べるサイズ感が良い。」
* 「EFレンズ付けるとちょっとバランス悪いけど、軽いレンズなら問題ない。」
* 「標準ズーム付けてもコンパクトだから、街歩きスナップにぴったり。」

5. 機能性:通信機能やバッテリー

EOS M5は、現代のカメラに求められる様々な機能を搭載しています。

  • Wi-Fi/Bluetooth連携: スマートフォン連携は非常にスムーズで便利です。撮影した写真をすぐにSNSにアップロードしたり、遠隔操作で集合写真を撮ったりと、活用範囲は広いです。特にBluetoothによる常時接続は、手間なくスマートフォンから操作を開始できるのが便利です。
  • その他の撮影機能: 多重露出やHDR撮影、クリエイティブフィルターなどの機能も搭載しており、表現の幅を広げることができます。
  • バッテリー持ち: EOS M5のバッテリー(LP-E17)は、EVFや背面液晶を多用すると、あまり持ちが良いとは言えません。CIPA基準で約295枚(EVF使用時)、約420枚(液晶モニター使用時)となっていますが、実際にはもっと少なく感じるユーザーも多いようです。予備バッテリーは必須と言えるでしょう。

想定されるユーザーの声(機能性について):
* 「スマホにすぐ写真を送れるのが便利!旅行中にリアルタイムで共有できる。」
* 「Bluetoothで繋ぎっぱなしにしておくと、リモート操作が楽チン。」
* 「バッテリーがすぐなくなるのが唯一の不満点。いつも予備を持ち歩いてる。」

6. 動画性能:Full HDとデュアルピクセルCMOS AF

動画性能については、4K動画に対応していない点が、最新機種に比べると見劣りする点です。しかし、Full HD 60pは十分な画質であり、特にデュアルピクセルCMOS AFによる滑らかな動画AFは大きな強みです。

  • 動画AF: 動画撮影中に被写体に自然にピントが追従するAFは、M5の動画撮影における最大のメリットです。歩きながらの撮影や、インタビュー、子供の動きなどを追う際に非常に効果的です。タッチ操作で画面をタッチして、スムーズにピント移動させることも可能です。
  • 手ブレ補正(コンビネーションIS): 電子ISとレンズの光学ISを組み合わせたコンビネーションISは、手持ちでの動画撮影時に高い効果を発揮します。歩き撮りでも比較的揺れを抑えることができます。

想定されるユーザーの声(動画について):
* 「4Kは撮れないけど、Full HDで十分綺麗。AFがヌルヌル動いて気持ち良い。」
* 「子供の動画を撮るとき、動き回ってもピントがちゃんと追従してくれるから助かる。」
* 「手持ちで歩きながら撮っても、結構ブレが抑えられてる。」

ユーザーの声:EOS M5のリアルな評価

EOS M5に対する実際のユーザーの声を拾ってみると、様々な評価が見られます。ここでは、特に多く聞かれる意見を肯定的なもの、否定的なものに分けて整理してみます。

ポジティブな評価

  • 画質が良い、キヤノンらしい写り: 「APS-CセンサーとDIGIC 7で、期待通りの綺麗な写真が撮れる」「特にポートレートの肌色が自然で素晴らしい」「キヤノンの色味が好きなので、ミラーレスでもそれが味わえるのが嬉しい」「高感度でもノイズが気にならない」といった声が多く聞かれます。
  • AFが速い、動画AFが優秀: 「前のMシリーズと比べてAFが段違いに速くなった」「デュアルピクセルCMOS AFすごい!動画のピント合わせがプロっぽい」「動くものにもしっかりピントが合ってくれる」「タッチAFが便利で手放せない」など、AF性能の向上を実感しているユーザーが多いです。
  • 操作性が良い、一眼レフからの移行がスムーズ: 「ダイヤルがたくさんあって直感的に操作できる」「一眼レフに慣れてるから、ボタン配置が馴染みやすい」「グリップがしっかりしていて持ちやすい」「EVFがあるのが本当に便利。ファインダーを覗いてじっくり撮れる」といった、一眼レフライクな操作系やEVF搭載を評価する声があります。
  • コンパクトさと性能の両立: 「一眼レフより小さいのに、写りは遜色ない」「本格的なカメラなのに、気軽に持ち運べる」「旅行や散歩にぴったり」「サブ機としてちょうど良いサイズ」といった、携帯性と性能のバランスを評価する声です。
  • EFレンズ資産が活かせる: 「持ってるEFレンズをアダプターで使えるのが決め手だった」「単焦点Lレンズとか付けると、M5でもすごく綺麗な写真が撮れる」など、マウントアダプターの存在をメリットに挙げるユーザーもいます。
  • 中古市場でのコスパ: 発売から時間が経ち、中古価格が下がっているため、「この性能でこの値段なら絶対お得」「初めてのカメラとして中古で買ったけど大満足」「ミラーレスの入門機にちょうど良い」といった、コストパフォーマンスの高さを評価する声が増えています。

ネガティブな評価

  • バッテリー持ちが悪い: これはM5だけでなく、初期のミラーレス機全般に言えることですが、「すぐにバッテリーがなくなる」「予備バッテリーがないと不安」「一日中撮ってるとバッテリー交換が頻繁に必要」といった意見が非常に多いです。
  • EF-Mレンズのラインナップが少ない: 「もっと明るい単焦点レンズが欲しい」「超望遠レンズがない」「他社に比べてレンズの選択肢が少ない」といった、EF-Mレンズシステムの未成熟さを指摘する声です(発売当時や現在でも、EF/EF-Sに比べれば限定的)。
  • EVFの解像度や遅延: 「EVFは便利だけど、もう少し解像度が欲しかった」「動きが早いものを追うと、表示に少し遅延を感じる」「暗い場所だとノイズが多い」など、EVFの性能に完璧を求めると不満を感じるユーザーもいます。
  • 4K動画がない: 発売時期を考えると仕方ない面もありますが、「動画も撮りたかったけど、4Kがないのが残念」という声もあります。
  • 液晶モニターが下方向にしか180度回らない: 「自撮りにはいいけど、バリアングルみたいに横や上には向けられないのが不便」「三脚に乗せると自撮りできない」といった、液晶モニターの可動方式に関する意見もあります。
  • M6 Mark IIなど後継機に比べて機能が劣る: これは発売時期が異なるため当然ですが、「後継機の瞳AFとか、4K動画とか、もっと新しい機能が欲しくなった」という意見も見られます。

これらのユーザーの声を総合すると、EOS M5は「画質」「AF性能(特に動画AF)」「操作性」「コンパクトさ」といった点で高く評価されている一方で、「バッテリー持ち」と「EF-Mレンズのラインナップ」が主な弱点として挙げられていることが分かります。特に、一眼レフからの移行組や、初めて本格的なカメラを持つユーザーにとっては、その操作性や描写性能が魅力的に映っているようです。

EOS M5の作例紹介(文章による想定)

実際に写真を見ていただくのが最も早いのですが、ここではEOS M5でどのような写真が撮れるのか、具体的なシーンを想定してその写りの特徴を文章で描写します。センサー性能、レンズの選択、そしてキヤノンの色味などがどのように写真に現れるのかを見ていきましょう。

1. 風景写真(広角~標準ズーム)

  • シーン: 晴れた日の青空と雲、遠景に山々や街並みが広がる風景。
  • 想定される写り: 約2420万画素センサーにより、遠景の建物や山の稜線なども細部までシャープに描写されます。キヤノンらしい鮮やかな青空と、白飛びしすぎない自然な白い雲の表現が特徴です。手前の緑や影になっている部分も、階調豊かに再現されます(ただし、極端な逆光など明暗差が大きいシーンでは注意が必要)。標準ズーム(EF-M15-45mmなど)でも広角端を使えば広がりのある風景を捉えられ、望遠端では遠くの被写体を引き寄せて撮影できます。

2. ポートレート写真(単焦点レンズ使用)

  • シーン: 屋外や明るい室内で、人物の上半身や顔にピントを合わせた撮影。
  • 想定される写り: EF-M 22mm F2 STMやEF-M 32mm F1.4 STM(発売はM5以降ですが、互換性あり)といった明るい単焦点レンズを使用することで、背景が大きくボケた印象的なポートレートを撮影できます。キヤノンが得意とする自然で健康的な肌色表現は、人物を魅力的に描写します。瞳にピントが合った際のシャープさと、肌の滑らかな階調表現のバランスが良いです。デュアルピクセルCMOS AFによる顔認識や瞳AF(M5に瞳AF機能があるかは要確認ですが、顔認識は可能で実質的に目に合いやすい)は、ピント合わせを容易にします。

3. スナップ写真(標準ズームやパンケーキレンズ使用)

  • シーン: 街角、カフェ、日常の何気ない瞬間。
  • 想定される写り: EF-M15-45mmやEF-M 22mm F2 STMなどの小型軽量レンズと組み合わせれば、カメラを構えること自体が自然になり、気兼ねなくスナップ撮影を楽しめます。M5の自然な色味は、日常の風景を温かみのある、あるいは見た目に近い雰囲気で写し出します。タッチAFを使えば、素早く意図した場所にピントを合わせ、シャッターチャンスを逃しにくいです。ISO感度を上げても実用的なため、薄暗い室内や夕暮れ時のスナップにも対応できます。

4. マクロ・テーブルフォト

  • シーン: 料理、花、小物など、被写体に近づいて撮影。
  • 想定される写り: EF-Mレンズの中には、比較的短い最短撮影距離を持つものがあります。また、マウントアダプターとEFレンズ用エクステンションチューブを組み合わせることで、簡易的なマクロ撮影も可能です。テーブルフォトでは、自然な色再現が料理を美味しそうに写し出します。明るいレンズや望遠端のF値を小さくして、背景を綺麗にぼかすことで、被写体を際立たせることができます。

5. 夜景写真(高感度撮影)

  • シーン: 夜の街並み、ライトアップされた建物。
  • 想定される写り: DIGIC 7による高感度ノイズ処理のおかげで、ISO 3200や6400といった感度でもノイズを抑えつつ撮影できます。手持ちでの夜景撮影でも、シャッター速度を稼げるためブレを防ぎやすくなります。街の明かりやネオンサインの色合いも、キヤノンらしい鮮やかさで表現される傾向があります。ただし、長秒露光が必要な本格的な夜景撮影では、三脚の使用と低ISO感度での撮影が基本となります。

6. 動画撮影(Full HD)

  • シーン: 歩きながらの風景撮影、人物へのインタビュー、子供の運動。
  • 想定される写り: Full HD画質は、一般的な視聴環境であれば十分な精細感です。特筆すべきはデュアルピクセルCMOS AFによる動画AFで、被写体へのピント追従が非常に滑らかで自然です。被写体が動いたり、ズームしたりしても、ピントが迷うことなくスムーズに追従してくれるため、 amateur動画でもプロのような印象を与えることができます。コンビネーションISも効果的で、手持ちでの撮影時の揺れをかなり抑えてくれます。

これらの作例イメージから分かるように、EOS M5は様々なシーンでキヤノンらしい高画質な写真・動画を撮影できるポテンシャルを持っています。特に、日常のスナップから、本格的なポートレート、風景、そしてAF性能を活かした動画撮影まで、幅広い用途に対応できる汎用性の高さが魅力です。

競合機種との比較(当時の位置づけ)

EOS M5が発売された2016年当時、ミラーレス一眼カメラ市場は既に多くのメーカーが参入し、様々な機種が登場していました。M5はこれらの競合機種に対して、どのような位置づけにあったのでしょうか。

  • ソニー α6000 / α6300: ソニーはAPS-Cミラーレス市場で先行しており、特にα6000シリーズはそのAF性能と連写性能で人気を博していました。α6300(2016年発売)は425点の像面位相差AFと4K動画に対応しており、AF性能や動画性能ではM5を凌駕する部分もありました。一方、M5は操作性の面で一眼レフライクなダイヤル操作を取り入れ、タッチ操作やEVFの見やすさなどで差別化を図っていました。キヤノンの色味やEFレンズとの互換性も、ソニーにはない強みでした。
  • 富士フイルム X-T20: 富士フイルムも同時期にX-T20(2017年発売)を発表しており、こちらはレトロなデザインと独自のX-Trans CMOSセンサーによる美しい発色が特徴でした。操作系もダイヤル中心でM5と同様に本格的でしたが、AFシステムは異なるアプローチでした。富士フイルムは単焦点レンズのラインナップが充実している一方、動画性能ではM5がデュアルピクセルCMOS AFでリードしていました。
  • オリンパス/パナソニック Micro Four Thirds機: これらのメーカーはマイクロフォーサーズという別のセンサーサイズを採用しており、APS-Cよりもさらに小型軽量なシステムを構築していました。ボディ内手ブレ補正や豊富なレンズラインナップなどが強みでしたが、センサーサイズの違いから画質(特に高感度やボケ味)でM5(APS-C)に分がある点もありました。
  • キヤノン EOS Kiss M: M5の後に登場したEOS Kiss M(2018年発売)は、M5と同じセンサーとDIGIC 8(M5より新しいエンジン)を搭載しつつ、よりエントリーユーザー向けに操作を簡略化し、バリアングル液晶や4K動画(クロップあり)に対応したモデルです。M5はより操作系が複雑でダイヤルが多い、本格的な操作性を重視するユーザー向けのモデルという位置づけで、Kiss Mとはターゲット層が異なりました。M5はKiss Mよりも先行して本格的な操作系とEVFを搭載し、Mシリーズの新たな方向性を示したモデルでした。

EOS M5は、これらの競合の中で、「一眼レフライクな操作性とEVFを持つ、高性能なAPS-Cミラーレス」という独自の立ち位置を確立しようとしました。特に、デュアルピクセルCMOS AFによる優れたAF性能は、当時のキヤノンにしか持ち得ない強みであり、動画撮影も含む幅広いシーンでの使いやすさをアピールしました。完全に他社を凌駕していたわけではありませんが、キヤノンユーザーにとって、一眼レフからのスムーズな移行先として、あるいはサブ機として魅力的な選択肢となりうる性能を持っていました。

EOS M5はどんな人におすすめ?

これまでの検証を踏まえ、EOS M5がどのようなユーザーにおすすめできるカメラなのかをまとめます。

  • 初めて本格的なカメラに触れる人(特に一眼レフからのステップアップ含む): EOS M5は、一眼レフに近い操作性と高性能を兼ね備えているため、初めてレンズ交換式カメラに触れる人にとって、写真の基礎から応用までを学びながらステップアップしていくのに適しています。また、コンパクトデジタルカメラやスマートフォンのカメラから、より高画質で表現の幅を広げたいと考えている人にもおすすめです。特に、一眼レフに慣れている人であれば、操作方法に戸惑うことなくスムーズに使い始められます。
  • 一眼レフの操作感に慣れている人: 複数のダイヤルやボタンによる操作系は、一眼レフユーザーにとっては馴染み深く、直感的に設定変更が可能です。EVFを覗いてじっくり撮影したいスタイルにも合っています。
  • 動画も撮りたい人(特にAF性能を重視): フルHDまでではありますが、デュアルピクセルCMOS AFによる動画AF性能は非常に優れており、動きのある被写体や自分自身を撮影する際に威力を発揮します。YouTubeなどでVlog的な動画を撮りたい人にもおすすめです。
  • キヤノンのEFレンズ資産を持っている人: マウントアダプターを使用することで、手持ちの豊富なEF/EF-Sレンズを活用できるのは大きなメリットです。特に明るい単焦点レンズやLレンズなどを持っている場合、それらをM5で活かすことができます。
  • 中古市場でコスパの良いカメラを探している人: 発売から時間が経過し、中古市場での価格が手頃になっています。当時のミドルクラス機に匹敵する性能を持ちながら、比較的手に入れやすい価格になっているため、コストパフォーマンスを重視する人には魅力的な選択肢となります。
  • コンパクトながらEVFと充実した操作系を求める人: ミラーレスの携帯性を重視しつつも、ファインダーを覗いてしっかりと構えて撮りたい、あるいはダイヤル操作でサクサク設定を変えたい、といった本格的な操作性を求めるユーザーに最適です。

逆に、以下のようなユーザーには、M5は最適ではないかもしれません。

  • 最新最高のAF性能や高速連写を求めるプロやハイアマチュア: 後継機や最新のミラーレス機に比べると、AFの食いつきや追従性、連写時のバッファ容量などで差があります。
  • 4K動画撮影が必須の人: M5は4K動画撮影には対応していません。
  • とにかくボディやシステム全体の小型軽量化を最優先する人: 他の小型ミラーレス機や、EF-Mレンズの少ないラインナップに不満を感じる可能性があります。
  • キヤノンのレンズ資産がなく、かつ将来的に多くの交換レンズを使用する予定の人: EF-MマウントのレンズラインナップはEFマウントに比べると限られています。

まとめ:EOS M5の現在価値と総評

EOS M5は、キヤノンが本格的なミラーレス一眼カメラ市場に投入した意欲的なモデルでした。一眼レフライクな操作性とEVFを搭載しつつ、コンパクトさを両立させ、さらにデュアルピクセルCMOS AFによる高速・高精度なAF、そして当時最新のDIGIC 7による高画質を実現しました。

発売当時としては比較的高価なモデルでしたが、その性能は多くのユーザーに評価されました。特に、一眼レフユーザーからの移行を意識した操作系は、キヤノンユーザーにとって非常に馴染みやすく、スムーズなシステム移行を可能にしました。デュアルピクセルCMOS AFは、静止画だけでなく動画撮影においてもその威力を発揮し、M5の大きな強みとなりました。

記事執筆時点では、EOS M5は既に生産終了しており、後継機としてEOS M6 Mark IIなどが登場しています。最新機種に比べると、4K動画非対応や、AF性能、連写性能、バッテリー持ちなどで見劣りする点があるのは否めません。EF-Mレンズのラインナップも、他のマウントに比べると限定的という側面もあります。

しかし、これらの点を差し引いても、EOS M5には現在でも十分な価値があります。中古市場であれば手頃な価格で入手可能であり、その価格に対して得られる「画質」「AF性能」「操作性」「コンパクトさ」のバランスは非常に優れています。特に、キヤノンらしい自然で美しい色再現、デュアルピクセルCMOS AFによる快適なAF、そして一眼レフからの移行が容易な操作性は、今なお多くのユーザーにとって魅力的な要素です。

総評として、EOS M5は以下のようなカメラです。

  • メリット:

    • APS-CセンサーとDIGIC 7による高画質(キヤノンらしい色再現、高感度性能)
    • デュアルピクセルCMOS AFによる高速・高精度なAF(特に動画AFが秀逸)
    • 一眼レフライクな操作系とEVF内蔵による快適な撮影体験
    • コンパクトさと性能のバランスが良い
    • マウントアダプターでEF/EF-Sレンズ資産を活用可能
    • 中古市場での高いコストパフォーマンス
  • デメリット:

    • バッテリー持ちがあまり良くない
    • EF-Mレンズのラインナップが少ない(EF/EF-Sに比べ)
    • 4K動画に対応していない
    • 最新機種に比べるとAF追従性や連写性能で見劣りする部分がある

現在、初めて本格的なカメラを探している方、あるいはキヤノンの一眼レフからの乗り換えやサブ機を検討していて、操作性や画質にこだわりたいけれど予算は抑えたい、という方にとって、EOS M5は非常に魅力的な選択肢となり得ます。特に、中古市場で状態の良いものを手に入れられれば、その性能は価格を大きく上回る価値をもたらしてくれるでしょう。

もちろん、予算に余裕があるなら最新の後継機や他社製品も視野に入れるべきですが、EOS M5は「ちょっと前のミドルクラス機」としての成熟した性能を、今なら非常にお得に手に入れられる、優れたコストパフォーマンスを持つカメラと言えます。この徹底検証が、EOS M5の購入を検討されている方の参考になれば幸いです。


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