【Windows/Mac対応】Pythonのインストール手順を徹底ガイド


【Windows/Mac対応】Pythonインストール完全ガイド:初心者から始めるプログラミング第一歩

はじめに

プログラミングの世界へようこそ!数あるプログラミング言語の中でも、今、世界中で最も注目を集めている言語の一つが「Python」です。Google、Meta、Netflixといった巨大テック企業が基幹システムに採用しているだけでなく、Web開発、データサイエンス、人工知能(AI)、機械学習、業務自動化など、その活躍の場はとどまるところを知りません。

Pythonがこれほどまでに人気なのは、その「シンプルで読みやすい」文法にあります。人間が自然に読む文章に近い形でコードを書けるため、プログラミング未経験者にとって、最初の言語として最適だと言われています。豊富なライブラリ(便利な機能をまとめた部品集)を使えば、複雑な処理も短いコードで実現できてしまうのです。

しかし、その素晴らしいPythonの世界に足を踏み入れるためには、まず最初の関門を突破しなければなりません。それが「Pythonのインストール」です。一見、簡単な作業に思えるかもしれませんが、OSの違い、バージョンの違い、環境設定など、初心者がつまずきやすいポイントがいくつか存在します。

この記事は、そんなプログラミングの第一歩であなたが道に迷わないための、徹底的なガイドブックです。Windowsユーザーも、Macユーザーも、この記事を上から順に読み進めていけば、誰でも確実にPythonを自分のコンピューターに導入し、最初のプログラムを動かすところまで到達できます。

この記事を通じて、あなたは以下のことを達成できるでしょう。

  • Pythonをインストールする前に知っておくべき基礎知識を理解する。
  • お使いのPC(Windows/Mac)に最適な方法でPythonをインストールする。
  • インストールが成功したかを確認し、簡単なコマンドを実行できるようになる。
  • プログラミング学習の次の一歩を踏み出す準備を整える。

さあ、準備はよろしいでしょうか。あなたのPCを、強力な開発マシンに変身させる旅を始めましょう。

第1章: Pythonインストールの前に知っておくべきこと

急いでインストールを始める前に、少しだけ立ち止まって、Pythonに関する基本的な知識を整理しておきましょう。ここでの理解が、今後の学習をスムーズに進めるための土台となります。

1. Pythonとは? なぜ学ぶべきか?

Pythonは、1991年にオランダのプログラマー、グイド・ヴァン・ロッサムによって開発されたプログラミング言語です。彼の設計思想は「There should be one– and preferably only one –obvious way to do it.(やる方法は一つ、そしてできれば、明白な方法が一つだけあるべきだ)」という言葉に集約されており、これがPythonのシンプルさと読みやすさに繋がっています。

Pythonでできることは、実に多岐にわたります。

  • Webアプリケーション開発: InstagramやYouTubeの一部はPython(のフレームワークであるDjangoやFlask)で作られています。
  • データサイエンス・機械学習・AI: Pandas、NumPy、Scikit-learn、TensorFlow、PyTorchといった強力なライブラリが揃っており、この分野ではデファクトスタンダード(事実上の標準)となっています。
  • 業務自動化(スクレイピング・RPA): Webサイトから情報を自動収集したり、Excelファイルの操作を自動化したりと、日々の面倒な作業をプログラムに任せることができます。
  • 科学技術計算: 研究分野でのシミュレーションやデータ解析にも広く利用されています。
  • 組み込みシステム: Raspberry Piなどの小型コンピューターを制御するのにも使われます。

このように、Python一つを学ぶだけで、非常に幅広い分野への扉が開かれます。これが、世界中の開発者から愛され、初心者におすすめされる最大の理由です。

2. Pythonのバージョンについて

ソフトウェアには「バージョン」というものがあり、Pythonも例外ではありません。バージョンを理解することは、適切なインストールを行う上で非常に重要です。

  • Python 2 vs Python 3:
    Pythonには、かつて大きな分岐点がありました。それがPython 2とPython 3です。両者には互換性のない変更が含まれており、Python 2で書かれたコードはPython 3では動かないことがあります。重要なのは、Python 2は2020年1月1日に公式サポートが終了しているという事実です。セキュリティの脆弱性も修正されず、新しい機能も追加されません。したがって、これからPythonを学ぶあなたは、迷わずPython 3を選んでください。 この記事で解説するのも、すべてPython 3のインストール手順です。

  • バージョンの読み方 (例: 3.12.3):
    Pythonのバージョン番号は、通常「メジャーバージョン.マイナーバージョン.パッチバージョン」という形式で表されます。

    • メジャーバージョン (3): 大きな変更があった場合に上がります。Python 3であることを示します。
    • マイナーバージョン (12): 新機能の追加や比較的大きな変更があった場合に上がります。
    • パッチバージョン (3): バグ修正や細かい改善があった場合に上がります。

    基本的に、インストールするのは最新の安定版(Latest Stable Release)がおすすめです。この記事を執筆している時点での最新安定版は3.12系ですが、あなたが読む頃には3.13や3.14になっているかもしれません。公式サイトにアクセスすれば、常に最新の安定版がわかるので、それをダウンロードすれば問題ありません。

3. インストール方法の選択肢

PythonをPCに導入する方法は、実は一つではありません。ここでは主な方法とその特徴を紹介します。

  • 公式インストーラー(本記事で解説):
    Pythonの公式サイト(python.org)からダウンロードする方法です。

    • メリット: 最も標準的で、公式が提供しているため信頼性が高い。手順がシンプルで初心者向け。
    • デメリット: 複数の異なるバージョンのPython(例: 3.10と3.12)を切り替えて使いたい場合、管理が少し面倒になります。
  • パッケージマネージャー:
    macOSのHomebrewや、WindowsのChocolatey、Scoopといったツールを使ってインストールする方法です。

    • メリット: コマンド一つでインストールやアップデートができ、他の開発ツールと一元管理しやすい。
    • デメリット: 別途パッケージマネージャー自体のインストールと、コマンドライン操作への慣れが必要です。
  • バージョン管理ツール:
    pyenvやAnaconda(特にデータサイエンス分野で人気)といった、より高度なツールです。

    • メリット: プロジェクトごとにPythonのバージョンを簡単に切り替えることができます。複数のプロジェクトを並行して進める開発者には必須とも言えるツールです。
    • デメリット: 設定が複雑になりがちで、初心者には少し敷居が高いかもしれません。

【本記事の方針】
この記事では、プログラミングが初めての方でも迷わず、かつ最も確実な方法である「公式インストーラー」を使った手順を、WindowsとMacそれぞれで徹底的に解説します。まずはこの方法でPythonに慣れ、将来的に複数のバージョン管理が必要になったときに、他のツールを検討するのが良いでしょう。

4. 自分のPCの情報を確認しよう

インストーラーを選ぶ際に、自分のPCのスペックを知っておく必要があります。特にOSのビット数(Windows)やCPUの種類(Mac)が重要です。

  • 【Windowsの場合】

    1. OSのバージョンとビット数を確認:
      • スタートボタンを右クリックし、「システム」を選択します。
      • 「バージョン情報」の画面が表示されます。「デバイスの仕様」という項目を見てください。
      • 「システムの種類」に「64ビット オペレーティングシステム、x64ベース プロセッサ」と書かれていることを確認します。最近のPCはほぼすべて64ビットですが、万が一32ビットと表示された場合は、インストーラーの選択が変わります。
  • 【Macの場合】

    1. OSのバージョンとCPUの種類を確認:
      • 画面左上のアップルメニュー(リンゴのマーク)をクリックし、「このMacについて」を選択します。
      • 開いたウィンドウに、macOSのバージョン(例: macOS Sonoma)と、CPUの情報が表示されます。
      • 「プロセッサ」または「チップ」の項目を見てください。ここに「Apple M1」「Apple M2」のように書かれていればApple Siliconです。「Intel Core i5」のように書かれていればIntelです。この違いは、ダウンロードするインストーラーの種類に関わってきます。

さあ、準備は整いました。次の章から、いよいよ実際のインストール作業に入ります。まずはWindows編から解説します。Macユーザーの方は、第3章まで読み飛ばしてください。


第2章: 【Windows編】Pythonのインストール手順

この章では、Windows 10およびWindows 11をお使いの方向けに、Pythonのインストール手順をスクリーンショットの代わりに言葉で丁寧に解説していきます。

1. Python公式サイトへアクセス

まずは、すべての始まりであるPythonの公式サイトにアクセスします。

  1. Webブラウザ(Google Chrome, Microsoft Edgeなど)を開きます。
  2. アドレスバーに python.org と入力し、Enterキーを押します。

Python Software Foundationが運営する公式ページが表示されます。英語のサイトですが、心配は無用です。目的の場所はすぐに見つかります。

2. インストーラーのダウンロード

公式サイトのトップページには、主要なメニューが並んでいます。

  1. ページ上部にあるメニューバーから「Downloads」にマウスカーソルを合わせます。
  2. ドロップダウンメニューが表示され、「Download for Windows」というセクションの下に「Python 3.x.x」という黄色いボタンが見つかるはずです。(x.xの部分は最新のバージョン番号です)
  3. この黄色いボタンをクリックします。これだけで、あなたのPC(64ビット版)に最適なインストーラーのダウンロードが自動的に始まります。

もし32ビット版のPCをお使いの場合や、特定のバージョンを選びたい場合は、「Downloads」メニューから「All releases」を選択し、一覧から目的のバージョンの「Download」ボタンをクリックします。次のページで「Files」というセクションまでスクロールし、「Windows installer (32-bit)」または「Windows installer (64-bit)」を選んでください。しかし、ほとんどの方は最初の黄色いボタンで問題ありません。

ダウンロードが完了すると、通常は「ダウンロード」フォルダに python-3.x.x-amd64.exe のような名前のファイルが保存されます。この .exe ファイルがPythonのインストーラー本体です。

3. インストーラーの実行と設定

ここがWindowsでのインストールにおける最も重要なステップです。慎重に進めましょう。

  1. ダウンロードした .exe ファイルをダブルクリックして実行します。
  2. 「ユーザーアカウント制御」のウィンドウが表示されたら、「はい」をクリックして許可します。
  3. Pythonのインストール画面が表示されます。ここには2つの非常に重要な選択肢があります。

【最重要ポイント】”Add python.exe to PATH” にチェックを入れる

インストール画面の一番下に、Install launcher for all users (recommended)Add python.exe to PATH という2つのチェックボックスがあります。上の Install launcher はデフォルトでチェックが入っていますが、下の Add python.exe to PATH には必ずチェックを入れてください。

  • なぜPATHを通す必要があるのか?
    「PATHを通す」とは、OSに対して「pythonというコマンドを実行したいとき、この場所にあるプログラムを使ってね」と教えてあげる作業です。この設定をしておかないと、コマンドプロンプトやPowerShellで python と入力しても、「そんなコマンドは知らないよ」というエラーが出てしまいます。このチェックボックスにチェックを入れるだけで、この面倒な設定をインストーラーが自動で行ってくれるのです。プログラミングの第一歩でつまずかないために、絶対に忘れないでください。

“Install Now” を選択する

チェックボックスの設定が終わったら、画面中央の選択肢を見ます。

  • Install Now (推奨):
    初心者の方はこちらを選択してください。Python本体に加えて、pip(後述するパッケージ管理ツール)やIDLE(公式の簡易開発環境)など、必要なものがすべて適切な場所にインストールされます。インストール先はユーザーフォルダ内の少し深い階層になりますが、通常は気にする必要はありません。

  • Customize installation:
    インストールするコンポーネントを自分で選んだり、インストール先を C:\Python312 のような分かりやすい場所に変更したい上級者向けのオプションです。特に理由がなければ、Install Now を選びましょう。

Add python.exe to PATH にチェックを入れたことを確認し、Install Now をクリックします。

インストールが始まります。プログレスバーが進んでいくのを待ちましょう。数分で完了します。

最後に「Setup was successful」というメッセージが表示されたら、インストールは成功です!「Close」ボタンを押してインストーラーを閉じてください。

4. インストール後の確認

本当に正しくインストールされたか、PCに命令して確認してみましょう。この確認作業には「コマンドプロンプト」または「PowerShell」というツールを使います。これらは、マウスではなく文字(コマンド)でPCを操作するための画面です。

  1. コマンドプロンプト(またはPowerShell)を開く:

    • スタートボタンをクリックします。
    • キーボードで cmd と入力します。「コマンド プロンプト」というアプリが表示されるので、それをクリックします。
    • (または、powershell と入力して「Windows PowerShell」を起動しても同じことができます。)
  2. 黒い(または青い)背景のウィンドウが開きます。これがコマンドラインインターフェース(CUI)です。

  3. バージョンの確認:
    カーソルが点滅しているところに、以下のコマンドを半角で入力し、Enterキーを押します。

    python --version
    (または python -V でもOKです)

    正しくインストールされていれば、以下のようにインストールしたバージョン番号が表示されます。
    Python 3.12.3

    【トラブルシューティング】
    * エラー①: 「’python’ は、内部コマンドまたは外部コマンド、…として認識されていません。」
    このエラーが出た場合、ほぼ間違いなくインストール時に「Add python.exe to PATH」にチェックを入れ忘れています。一度Pythonをアンインストール(「設定」→「アプリ」から)して、再度インストール手順をやり直すのが最も確実な解決策です。
    * エラー②: Microsoft Storeが起動してしまう
    これはWindowsの「アプリ実行エイリアス」という機能が原因です。python.exe という偽のコマンドが用意されており、それがMicrosoft Storeに誘導するようになっています。
    * 解決策: スタートボタン → 設定アプリアプリの詳細設定(またはアプリ実行エイリアス)を開きます。一覧の中に python.exepython3.exe があるので、両方のスイッチを「オフ」にしてください。その後、再度コマンドプロンプトで python --version を試してみてください。

  4. 対話モードの起動:
    次に、Pythonを実際に動かしてみましょう。コマンドプロンプトで以下のコマンドを入力し、Enterキーを押します。

    python

    Pythonのバージョン情報に続いて、>>> という3つの大なり記号(プロンプト)が表示されれば成功です。これは「Python対話モード」と呼ばれ、入力したコードをその場で実行してくれます。

    “`
    Python 3.12.3 (tags/v3.12.3:…, …
    Type “help”, “copyright”, “credits” or “license” for more information.

    “`

    試しに簡単な計算をしてみましょう。
    “`

    1 + 1
    ``
    Enterキーを押すと、すぐに
    2` という答えが返ってくるはずです。

    対話モードを終了するには、以下のいずれかの方法を使います。
    * exit() と入力してEnterキーを押す。
    * Ctrlキーを押しながらZキーを押し、その後Enterキーを押す。

5. pipの確認

最後に、pip という非常に重要なツールがインストールされているかを確認します。pipは、世界中の開発者が作成した便利なPythonライブラリを、コマンド一つで簡単にインストールするためのパッケージ管理システムです。

コマンドプロンプトで、以下のコマンドを入力してください。

pip --version

以下のように、pipのバージョンと、それがどのPythonインストールに属しているかが表示されればOKです。

pip 24.0 from c:\users\your_name\appdata\local\programs\python\python312\lib\site-packages\pip (python 3.12)

今後、pip自体を最新版に保つことも重要です。以下のコマンドでアップグレードできます。

python -m pip install --upgrade pip

お疲れ様でした!これであなたのWindows PCは、Python開発の準備が万全に整いました。


第3章: 【Mac編】Pythonのインストール手順

この章では、macOSをお使いの方向けに、Pythonのインストール手順を詳細に解説します。Windows編とは異なる、Mac特有の注意点がありますので、しっかり確認しながら進めましょう。

1. MacにプリインストールされているPythonについて

実は、多くのMacには最初からPythonがインストールされています。しかし、これには注意が必要です。

  • 古いmacOSのPython 2: 以前のバージョンのmacOS(Mojave以前)には、python というコマンドで実行できるPython 2がプリインストールされていました。前述の通り、Python 2はサポートが終了しているため、これを使って開発を始めるべきではありません。
  • 現在のmacOSとXcode Command Line Tools: 最近のmacOSでは、python コマンドは存在しません。代わりに python3 というコマンドをターミナルで実行すると、「コマンドライン・デベロッパ・ツールをインストールしますか?」というポップアップが表示されます。これをインストールすると、Appleが提供するバージョンのPython 3が使えるようになります。

では、なぜわざわざ公式サイトからインストールするのか?
Appleが提供するPythonは、OSのアップデートに依存していたり、バージョンが最新でなかったりすることがあります。また、パッケージ管理の観点からも、自分で管理できる「素の」Pythonを公式サイトからインストールするのが、最もクリーンで標準的な方法とされています。

したがって、本記事では公式サイトのインストーラーを使って、システムとは独立した最新のPython環境を構築することを目指します。

2. Python公式サイトへアクセス

Windows編と同様に、まずは公式サイトにアクセスします。

  1. Webブラウザ(Safari, Google Chromeなど)を開きます。
  2. アドレスバーに python.org と入力し、Enterキーを押します。

3. インストーラーのダウンロード

  1. ページ上部にあるメニューバーから「Downloads」にマウスカーソルを合わせます。
  2. ドロップダウンメニューが表示され、「Download for macOS」というセクションの下に「Python 3.x.x」という黄色いボタンが見つかるはずです。
  3. この黄色いボタンをクリックします。

ここでダウンロードされるインストーラーは「macOS 64-bit universal2 installer」というものです。この “universal2” というのがポイントで、あなたのMacがApple Silicon (M1/M2/M3など)でも、Intel CPUでも、両方に対応している賢いインストーラーです。したがって、第1章で確認したCPUの種類を気にすることなく、このボタンをクリックすればOKです。

ダウンロードが完了すると、「ダウンロード」フォルダに python-3.x.x-macos11.pkg のような名前のファイルが保存されます。この .pkg ファイルがMac用のインストーラーです。

4. インストーラーの実行と設定

ダウンロードしたインストーラーを使って、PythonをMacに導入します。

  1. ダウンロードした .pkg ファイルをダブルクリックして実行します。
  2. 「このパッケージは、ソフトウェアをインストールできるかどうかを判断するプログラムを実行します。」というメッセージが表示されたら、「続ける」をクリックします。
  3. インストーラーのウィザードが起動します。画面の指示に従って、順にボタンをクリックしていくだけです。
    • はじめに: 「続ける」をクリック。
    • 大切な情報 (Read Me): 内容に目を通し、「続ける」をクリック。
    • 使用許諾契約: 内容を確認し、「続ける」→「同意する」をクリック。
    • インストール先の選択: 通常は変更する必要はありません。メインのハードディスクが選択されていることを確認し、「続ける」をクリック。
    • インストールの種類: 「インストール」ボタンをクリックします。
  4. ここで、Macのログインパスワード(またはTouch ID)を求められます。入力して「ソフトウェアをインストール」をクリックします。
  5. インストールが始まります。ファイルの書き込みが完了するまで数分待ちます。
  6. インストールが完了しました。」という画面が表示されれば成功です。このとき、Finderウィンドウが自動で開き、Python 3.12(バージョンによる)というフォルダが表示されるはずです。この中には IDLEPython Launcher といったアプリケーションが含まれています。
  7. 最後にインストーラー自体は不要なので、「インストーラをゴミ箱に入れる」を選択して閉じて構いません。

5. インストール後の確認

Windowsと同様に、Macでも「ターミナル」というコマンドラインツールを使って、インストールが成功したかを確認します。

  1. ターミナルを開く:

    • Launchpad(ロケットのアイコン)を開き、検索バーに terminal と入力して「ターミナル」を起動します。
    • または、Finder を開き、「アプリケーション」フォルダの中の「ユーティリティ」フォルダ内にある「ターミナル.app」をダブルクリックします。
  2. 白い背景のウィンドウが開きます。これがMacのターミナルです。

  3. バージョンの確認:
    カーソルが点滅しているところに、以下のコマンドを半角で入力し、Enterキーを押します。Macでは python ではなく python3 を使うのが作法です。

    python3 --version
    python3 -V でもOKです)

    正しくインストールされていれば、インストールしたバージョン番号が表示されます。
    Python 3.12.3
    もし古いバージョンが表示されたり、エラーが出たりする場合は、PATHの設定がうまくいっていない可能性があります(後述)。

  4. PATHの設定確認(シェルの設定):
    公式インストーラーは、通常、PATHの設定を自動で行ってくれます。具体的には、シェルの設定ファイル(macOS Catalina以降のデフォルトであるzshでは .zshrc)に、必要な設定を書き込んでくれます。

    念のため、どの python3 が使われているか確認してみましょう。ターミナルで以下のコマンドを実行します。
    which python3
    以下のようなパスが表示されれば、公式サイトからインストールしたPythonが正しく認識されています。
    /Library/Frameworks/Python.framework/Versions/3.12/bin/python3
    もし /usr/bin/python3 などが表示される場合は、システムのPythonが優先されています。この場合、インストーラーが最後に実行したスクリプトが正しく動作しなかった可能性があります。ターミナルを一度完全に終了(Command + Q)してから再度起動すると、設定が反映されて解決することが多いです。

  5. 対話モードの起動:
    Pythonを動かしてみましょう。ターミナルで以下のコマンドを入力します。

    python3

    Windows編と同様に、>>> プロンプトが表示されれば、対話モードの起動は成功です。
    “`
    Python 3.12.3 …

    試しに簡単な計算を。
    2 * 3
    ``6` と表示されればOKです。

    対話モードを終了するには、以下のいずれかの方法を使います。
    * exit() と入力してEnterキーを押す。
    * Ctrlキーを押しながらDキーを押す。

6. pipの確認

Macでも、パッケージ管理システム pip の確認は必須です。python3 に合わせて、コマンドも pip3 を使います。

ターミナルで、以下のコマンドを入力してください。

pip3 --version

バージョンとパスが表示されればOKです。
pip 24.0 from /Library/Frameworks/Python.framework/Versions/3.12/lib/python3.12/site-packages/pip (python 3.12)

pip3 も、以下のコマンドで最新版に保つことができます。

python3 -m pip install --upgrade pip

お疲れ様でした!これであなたのMacにも、最新でクリーンなPython開発環境が整いました。


第4章: インストール後の次のステップ

Pythonのインストールという大きな山を越えましたが、旅はまだ始まったばかりです。せっかく手に入れたPythonを使って、プログラミングの世界を体感してみましょう。ここでは、インストール後の「次の一歩」をガイドします。

1. “Hello, World!” を書いてみよう

プログラミング学習における伝統的な最初のプログラム、”Hello, World!” を作成し、実行してみます。これを通じて、プログラムを作成してから実行するまでの一連の流れを掴みましょう。

  • テキストエディタの準備:
    プログラムのコードは、専用の「テキストエディタ」や「統合開発環境(IDE)」に書くのが一般的です。メモ帳やテキストエディット.appでも書けますが、プログラミング用に設計されたエディタは、コードを色付けしてくれたり、入力候補を補完してくれたりと、非常に便利です。

    数あるエディタの中でも、現在の世界標準と言えるのが「Visual Studio Code(VS Code)」です。Microsoftが開発した無料の高機能エディタで、初心者からプロまで幅広く使われています。
    1. Webサイト code.visualstudio.com にアクセスし、お使いのOS(Windows/Mac)用のインストーラーをダウンロードしてインストールしてください。
    2. VS Codeを起動したら、左側のアクティビティバー(四角が積み重なったようなアイコン)から「拡張機能」を開きます。
    3. 検索バーに Python と入力し、Microsoftが提供している公式のPython拡張機能をインストールします。これにより、VS Codeが強力なPython開発ツールに変わります。

  • Pythonファイルの作成:

    1. VS Codeで、「ファイル」メニューから「新しいテキストファイル」を選択します。
    2. 空のファイルが開いたら、以下の1行を記述します。print は画面に文字を表示するための命令(関数)です。

    python
    print("Hello, World!")

    3. 「ファイル」メニューから「保存」を選択します。ファイル名を hello.py とし、デスクトップなど分かりやすい場所に保存します。Pythonのプログラムファイルには、慣習として .py という拡張子をつけます。

  • ターミナルから実行:
    いよいよ、作成したプログラムを実行します。インストール確認で使ったコマンドプロンプト(Windows)またはターミナル(Mac)を使います。VS Codeには内蔵ターミナルがあるので、それを使うとさらに便利です(「ターミナル」メニュー → 「新しいターミナル」)。

    1. まず、cd (change directory) コマンドを使って、hello.py を保存した場所に移動します。デスクトップに保存した場合、以下のようになります。

      “`bash

      Windows/Mac共通

      cd Desktop
      2. そして、Pythonコマンドでファイルを実行します。
      * **Windowsの場合:**
      bash
      python hello.py
      * **Macの場合:**bash
      python3 hello.py
      “`

    2. Enterキーを押すと、ターミナルに Hello, World! と表示されるはずです。

    おめでとうございます!あなたは今、プログラマーとして最初の仕事を成し遂げました。

2. IDLEを使ってみる

Pythonをインストールすると、IDLE という公式の簡易的な統合開発環境も一緒にインストールされます。VS Codeをインストールする前に、手軽に試してみたい場合に便利です。

  • 起動方法:
    • Windows: スタートメニュー → Python 3.x フォルダ → IDLE (Python 3.x ...-bit) をクリック。
    • Mac: FinderアプリケーションPython 3.x フォルダ → IDLE.app をダブルクリック。
  • 使い方:
    • 起動すると、まず対話モードのシェルウィンドウが開きます。これはコマンドプロンプトやターミナルで python (または python3) と入力したときと同じものです。
    • 「File」メニューから「New File」を選択すると、エディタウィンドウが開きます。ここに print("Hello, IDLE!") のようにコードを書き、「File」→「Save」で保存(.py拡張子で)します。
    • エディタウィンドウで「Run」メニュー → 「Run Module」(または F5 キー)を押すと、シェルウィンドウの方に実行結果が表示されます。

IDLEはシンプルで学習には十分ですが、本格的な開発にはVS Codeなどの高機能なエディタの方が効率的です。

3. これからの学習に向けて

Pythonの環境構築は完了しました。ここからは、あなたの好奇心と探求心が道しるべとなります。

  • 基礎文法の学習: まずは、変数、データ型(数値、文字列、リストなど)、条件分岐(if文)、繰り返し(for文、while文)、関数といった、プログラミングの基本的な「文法」を学びましょう。これらはどの分野に進むにしても必須の知識です。
  • 学習リソース:
    • オンラインチュートリアル: Python公式サイトのチュートリアル、Progate、ドットインストールなど、無料で始められる優れたサイトがたくさんあります。
    • 書籍: 『独習Python』『スッキリわかるPython入門』など、初心者向けの定評ある書籍も良いでしょう。一冊手元にあると、体系的に学べて安心です。
    • コミュニティ: QiitaやZenn、Stack Overflowなどで他の開発者のコードを読んだり、質問したりするのも非常に勉強になります。

そして何より大切なのは、エラーを恐れない心構えです。プログラミングにエラーはつきものです。エラーメッセージは敵ではなく、プログラムが「どこがおかしいのか」を教えてくれる親切なヒントです。メッセージをよく読み、検索して解決する。このプロセスこそが、あなたを成長させてくれます。

おわりに

長い道のり、お疲れ様でした。もし、あなたがこの記事の手順を最後までやり遂げ、ターミナルに「Hello, World!」と表示させることができたなら、それはプログラミングの世界への大きな、そして最も重要な一歩を踏み出した証です。

Pythonのインストールは、単なるソフトウェアの導入作業ではありません。それは、あなたのコンピューターに「思考する力」と「創造する力」を授ける儀式のようなものです。今日手に入れたこの環境は、あなたのアイデアを形にし、面倒な作業を自動化し、まだ見ぬ未来のテクノロジーを創り出すための、強力な武器となります。

もちろん、これから学ぶべきことはたくさんあります。時には難しい概念に直面したり、解決できないエラーに悩んだりすることもあるでしょう。しかし、今日のこの成功体験を思い出してください。あなたは自らの力で、プログラミングを始めるための環境を構築できたのです。その力があれば、どんな困難も乗り越えていけるはずです。

この記事が、あなたの輝かしいプログラミングジャーニーの、信頼できる出発点となったことを心から願っています。さあ、Pythonと共に、創造の冒険へ出発しましょう!

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