プラグイン不要!WordPressのPHPバージョンを確認する手順を解説


プラグイン不要!WordPressのPHPバージョンを確認する手順を完全解説【2024年最新版】

WordPressサイトを運営しているあなたへ。

「最近サイトの表示が遅い気がする…」
「ダッシュボードに『PHPの更新を推奨』という通知が表示されているけど、どうすればいいの?」
「セキュリティを強化したいけど、何から手をつければいいか分からない」

このような悩みを抱えていませんか?実は、これらの問題の多くは、WordPressが動作しているPHPのバージョンが古いことに起因している可能性があります。

PHPは、WordPressを動かすための心臓部とも言える重要なプログラム言語です。このPHPのバージョンを適切に管理し、最新の状態に保つことは、サイトのパフォーマンス向上、セキュリティ強化、そして安定運用のために不可欠です。

しかし、「PHPバージョンの確認」と聞くと、なんだか専門的で難しそうに感じるかもしれません。「プラグインを入れないと確認できないのでは?」と思う方も多いでしょう。

ご安心ください。プラグインを追加することなく、誰でも簡単に、そして安全にPHPのバージョンを確認する方法が存在します。

この記事では、WordPress初心者から中級者の方を対象に、プラグイン不要でPHPバージョンを確認する3つの具体的な方法を、豊富なスクリーンショット(イメージ)と丁寧な解説付きで徹底的にガイドします。さらに、バージョンが古かった場合のアップグレード手順や、それに伴う注意点、よくある質問まで、網羅的に解説していきます。

この記事を最後まで読めば、あなたは以下のことができるようになります。

  • PHPバージョンがWordPressにとってなぜ重要なのかを深く理解できる
  • プラグインを使わずに、現在のPHPバージョンを3つの方法で正確に確認できる
  • 自身のスキルレベルや状況に合った最適な確認方法を選択できる
  • PHPバージョンが古い場合に、安全にアップグレードするための準備と手順を学べる
  • PHPに関する不安を解消し、自信を持ってWordPressサイトを管理できるようになる

さあ、あなたのWordPressサイトをより速く、より安全にするための第一歩を、一緒に踏み出しましょう。

第1章: なぜPHPバージョンが重要なのか?WordPressとPHPの深い関係

具体的な確認手順に入る前に、まずは「なぜPHPバージョンがこれほどまでに重要なのか」を理解しておきましょう。理由が分かれば、今後のサイト運営において、より高い意識でPHPの管理に取り組めるようになります。

1-1. PHPとは?WordPressの動力源

PHP(正式名称: PHP: Hypertext Preprocessor)は、WebサイトやWebアプリケーションを開発するためによく使われる「サーバーサイド・スクリプト言語」の一種です。

少し難しい言葉が出てきましたが、簡単に言うと「Webサーバー側で動いて、動的なWebページを生成するためのプログラム言語」です。

例えば、あなたがWordPressの投稿記事を表示するとき、サーバーは以下のような処理を行っています。

  1. データベースから記事のタイトルや本文、投稿日などのデータを取得する
  2. PHPプログラムがそのデータを元に、テーマ(デザインのテンプレート)に情報をはめ込む
  3. 最終的に完成したHTMLコードをあなたのブラウザに送信する

この一連の流れの中心で活躍しているのがPHPです。WordPressの本体(コアシステム)はもちろん、あなたが使っているテーマやプラグインの大部分もPHPで書かれています。つまり、WordPressはPHPなしでは動作しない、切っても切れない関係なのです。PHPは、まさにWordPressサイトを動かすための「エンジン」や「動力源」と言えるでしょう。

1-2. PHPバージョンを最新に保つべき3つの理由

車のエンジンが年々進化して燃費や性能が向上するように、PHPもまた、世界中の開発者によって日々進化を続けています。新しいバージョンがリリースされるたびに、様々な改良が加えられています。PHPのバージョンを最新に保つことは、主に以下の3つの大きなメリットをもたらします。

理由1:圧倒的なパフォーマンス向上

サイト運営者にとって、Webサイトの表示速度は非常に重要な要素です。表示が遅いサイトはユーザーにストレスを与え、離脱率を高めるだけでなく、Googleの検索順位(SEO)にも悪影響を及ぼす可能性があります。

PHPのバージョンアップは、この表示速度を劇的に改善する最も効果的な手段の一つです。特に、かつて広く使われていたPHP 5.x系からPHP 7.x系へのバージョンアップでは、処理速度が2倍以上になったというデータが数多く報告されています。そして、現在の主流であるPHP 8.x系では、さらにパフォーマンスが向上しています。

ポイント
古いPHPバージョンを使い続けることは、まるで一昔前の低燃費なエンジンで走り続けているようなものです。最新のPHPにアップグレードするだけで、特別なチューニングをせずとも、サイトの応答速度が大幅に向上し、ユーザー体験とSEOの両面で恩恵を受けられるのです。

理由2:鉄壁のセキュリティ強化

Webサイトを運営する上で、セキュリティ対策は最優先事項です。WordPressは世界で最も利用されているCMS(コンテンツ管理システム)であるため、常に悪意のある攻撃者の標的となっています。

PHPもプログラムである以上、古いバージョンには未知の脆弱性(セキュリティ上の欠陥)が含まれている可能性があります。PHPの開発チームは、脆弱性が発見されると速やかに修正版(セキュリティアップデート)をリリースしますが、サポートが終了した古いバージョン(EOL: End of Life)に対しては、この修正版が提供されません。

つまり、サポート切れのPHPバージョンを使い続けることは、鍵のかかっていない家に住んでいるのと同じくらい危険な状態です。ハッキングやサイト改ざん、情報漏洩といった深刻な被害に遭うリスクが非常に高くなります。

WordPress公式サイトでも、常にサポートされている最新のPHPバージョンを利用することを強く推奨しています。

理由3:優れた互換性と将来性

WordPressのコアシステム、そして日々開発される新しいテーマやプラグインは、最新のPHPバージョンが提供する新しい機能や文法を前提に作られています。

古いPHPバージョンを使い続けていると、以下のような問題が発生する可能性があります。

  • WordPress本体のメジャーアップデートが適用できない
  • 使いたいテーマやプラグインがインストールできない、またはエラーで動作しない
  • サイト上に「Parse error」や「Fatal error」といったPHPのエラーメッセージが表示される

PHPを最新の状態に保つことで、これらの互換性の問題を未然に防ぎ、WordPressの豊富なエコシステム(テーマやプラグイン)を最大限に活用することができます。また、PHPの新しい機能を活用して、より高機能で洗練されたサイトを構築していくための「将来性」を確保することにも繋がります。


第2章: プラグイン不要!PHPバージョンを確認する3つの方法

PHPの重要性をご理解いただけたところで、いよいよ本題の「PHPバージョンの確認方法」を見ていきましょう。ここでは、プラグインを一切使わずに確認できる、代表的な3つの方法をご紹介します。

それぞれの方法にはメリット・デメリットがありますので、ご自身の状況に合わせて最適なものを選んでください。

確認方法 メリット デメリット こんな人におすすめ
① WordPress管理画面「サイトヘルス」 最も簡単で安全。WordPressにログインできれば誰でも確認できる。 WordPressのバージョンが古い(5.2未満)と表示されない場合がある。 すべてのWordPressユーザー(特に初心者の方)
② レンタルサーバーのコントロールパネル サーバーで実際に動作しているバージョンを確実に確認できる。PHPの変更も同じ画面でできることが多い。 サーバー会社によって画面や手順が異なる。 契約しているレンタルサーバーの管理画面にログインできる方
phpinfo() ファイルの作成 PHPに関する最も詳細な情報を取得できる。 セキュリティリスクが伴う。作業後にファイルの削除が必須。 Web開発者や、サーバー設定を詳しく知りたい上級者

基本的には、まず「方法① WordPress管理画面」で確認するのが最も手軽で安全なのでおすすめです。 もし何らかの理由で管理画面にログインできない場合や、より確実な情報を知りたい場合に「方法② レンタルサーバーのコントロールパネル」を試してみてください。「方法③ phpinfo() ファイル」は強力ですがリスクも伴うため、上級者向けの方法と位置づけています。

それでは、各方法をステップ・バイ・ステップで詳しく見ていきましょう。


第3章: 【方法1】WordPress管理画面「サイトヘルス」で確認する(最も簡単・推奨)

WordPressバージョン5.2から追加された「サイトヘルス」機能を使えば、驚くほど簡単にPHPバージョンを確認できます。特別な知識は一切不要です。

ステップ1:WordPressダッシュボードにログインする

まずは、いつも通りお使いのWordPressサイトの管理画面(ダッシュボード)にログインしてください。

ステップ2:「ツール」→「サイトヘルス」に移動する

ダッシュボードの左側にあるメニューから「ツール」にマウスカーソルを合わせ、表示されたサブメニューの中から「サイトヘルス」をクリックします。

(画像はイメージです。左メニューの「ツール」→「サイトヘルス」を選択)

ステップ3:「情報」タブをクリックする

サイトヘルスの画面が開いたら、「ステータス」と「情報」という2つのタブがあります。ここで「情報」タブをクリックしてください。

(画像はイメージです。「情報」タブを選択した状態)

ステップ4:「サーバー」セクションを展開する

「情報」タブには、あなたのWordPressサイトに関する様々な技術情報がカテゴリー分けされています。「サーバー」という項目を探し、その右側にある▼(下向きの矢印)をクリックして詳細情報を展開します。

(画像はイメージです。「サーバー」項目をクリックして開く)

ステップ5:「PHPバージョン」を確認する

展開されたサーバー情報の中に、「PHPバージョン」という項目があります。ここに表示されている数字が、あなたのWordPressサイトで現在使用されているPHPのバージョンです。

(画像はイメージです。「PHPバージョン」の項目と、そこに表示されているバージョン番号(例:8.1.23))

この例では、「8.1.23」であることが確認できました。バージョン番号の後ろに「(64bit)」といったアーキテクチャ情報が付記されていることもあります。

たったこれだけです。非常に簡単だったのではないでしょうか?

サイトヘルスのその他の情報
サイトヘルスの「情報」タブでは、PHPバージョン以外にも、WordPressバージョン、データベースの種類とバージョン(MySQLやMariaDB)、PHPのメモリ上限(`memory_limit`)など、サイトの健康状態をチェックするための重要な情報が満載です。何か問題が起きた際のトラブルシューティングにも役立つので、どのような情報が見られるのか一度目を通しておくことをおすすめします。

第4章: 【方法2】レンタルサーバーのコントロールパネルで確認する

契約しているレンタルサーバーの管理画面(コントロールパネル)からも、PHPバージョンを確認・変更することができます。この方法は、WordPressの管理画面に何らかの理由でログインできない場合や、サーバー側で設定されているバージョンを直接確認したい場合に有効です。

ここでは、国内で人気の主要なレンタルサーバーを例に、具体的な手順を解説します。ご自身が契約しているサーバーの項目を参考にしてください。

(※サーバー会社の仕様変更により、メニュー名や画面構成が変わる可能性があります。最新の情報は各社の公式マニュアルをご確認ください。)

4-1. エックスサーバー (Xserver) の場合

  1. サーバーパネルにログイン: エックスサーバーの公式サイトから「サーバーパネル」にログインします。
  2. 「PHP Ver.切替」を選択: サーバーパネルのトップページにある「PHP」カテゴリの中から、「PHP Ver.切替」をクリックします。
  3. ドメインを選択: 対象となるサイトのドメイン名を選択し、「選択する」ボタンをクリックします。
  4. バージョンを確認: 画面が切り替わり、「現在のバージョン」の欄に表示されているのが、現在そのドメインで有効になっているPHPバージョンです。この画面から、新しいバージョンへの切り替えも可能です。

(画像はイメージです。エックスサーバーのPHP Ver.切替画面)

4-2. さくらのレンタルサーバ の場合

  1. サーバーコントロールパネルにログイン: さくらのレンタルサーバの会員メニューから「サーバーコントロールパネル」にログインします。
  2. 「PHPのバージョン選択」を選択: 左側のメニューにある「スクリプト設定」カテゴリの中から、「PHPのバージョン選択」をクリックします。
  3. ドメインを選択してバージョンを確認: 対象ドメインの「選択」ボタンをクリックすると、現在設定されているPHPのバージョンが表示されます。バージョンを変更する場合は、プルダウンから希望のバージョンを選んで「変更する」をクリックします。

(画像はイメージです。さくらのレンタルサーバのPHPバージョン選択画面)

4-3. ロリポップ! の場合

  1. ユーザー専用ページにログイン: ロリポップ!の公式サイトから「ユーザー専用ページ」にログインします。
  2. 「PHP設定」を選択: 左側のメニュー「サーバーの管理・設定」の中にある「PHP設定」をクリックします。
  3. バージョンを確認: 対象ドメインの「PHPバージョン」の欄に、現在設定されているバージョンが表示されます。ロリポップ!では、高速な「モジュール版」と互換性の高い「CGI版」が選べますが、通常は「モジュール版」が推奨されています。

(画像はイメージです。ロリポップ!のPHP設定画面)

4-4. ConoHa WING の場合

  1. ConoHaコントロールパネルにログイン: ConoHaのコントロールパネルにログインし、上部メニューで「WING」を選択します。
  2. 「サイト管理」→「サイト設定」へ移動: 左側メニューから「サイト管理」→「サイト設定」の順にクリックします。
  3. 「応用設定」→「PHP設定」: 対象のドメイン名の左にあるプルダウン(▼)をクリックして展開し、「応用設定」タブを選択します。その中にある「PHP設定」をクリックします。
  4. バージョンを確認: 「PHPバージョン」の項目で、現在利用中のバージョンが選択されています。ここからバージョンの切り替えも行えます。

(画像はイメージです。ConoHa WINGのPHP設定画面)

このように、多くのレンタルサーバーでは、専用の管理画面から簡単にPHPバージョンを確認・変更できるようになっています。ご自身の契約サーバーのマニュアルも併せてご確認ください。


第5章: 【方法3】phpinfo() ファイルを作成して確認する(上級者向け・要注意)

この方法は、サーバー上で動作しているPHPの構成情報を詳細に表示させるためのものです。バージョン番号だけでなく、有効になっている拡張機能、各種設定値(メモリ上限など)まで、ありとあらゆる情報を確認できます。

ただし、この方法は非常に強力であると同時に、大きなセキュリティリスクを伴います。 表示される情報には、サーバーの内部構成に関する機密情報が含まれるため、第三者に知られると攻撃の足がかりを与えてしまう可能性があります。

この方法を試す場合は、以下の注意点を必ず守ってください。

【最重要】phpinfo() を使う際の絶対的なルール

  1. ファイル名は、check_php_ver_(今日の日付).php のように、第三者から推測されにくい名前にする。(phpinfo.phpinfo.php は絶対に避ける)
  2. 情報の確認が終わったら、直ちに、そして必ずサーバーからファイルを削除する。

この2点を守れない場合は、この方法を実行しないでください。

上記のリスクを理解した上で、手順を進めましょう。

ステップ1:phpinfo() ファイルを作成する

  1. お使いのPCでテキストエディタ(Windowsの「メモ帳」、macOSの「テキストエディット」、またはVSCodeなどの高機能エディタ)を開きます。
  2. 以下の1行だけのコードをコピーして貼り付けます。

    php
    <?php phpinfo(); ?>

  3. このファイルを、推測されにくい名前で保存します。ここでは例として check_server_status_20240515.php という名前にします。文字コードは「UTF-8」で保存するのが一般的です。

ステップ2:ファイルをサーバーにアップロードする

次に、作成したファイルをWordPressがインストールされている場所にアップロードします。アップロードには、FTPクライアントソフト(FileZillaなど)を使うか、レンタルサーバーが提供している「ファイルマネージャー」機能を使います。

アップロード先は、WordPressのルートディレクトリです。wp-config.phpwp-includes, wp-content といったフォルダと同じ階層にアップロードしてください。

ステップ3:ブラウザでファイルにアクセスする

アップロードが完了したら、Webブラウザを開き、以下のアドレスにアクセスします。

https://あなたのドメイン.com/アップロードしたファイル名.php

今回の例では、以下のようになります。

https://example.com/check_server_status_20240515.php

ステップ4:PHPバージョンと詳細情報を確認する

正しくアクセスできると、PHPのロゴと共に、サーバーのPHP情報がずらりと表示されたページが現れます。

ページの最上部に大きく「PHP Version 8.x.x」のようにバージョンが表示されています。これが、探していたPHPのバージョンです。

phpinfo()
の表示画面
(画像はイメージです。phpinfo()の実行結果画面。最上部にバージョンが表示されている)

この画面をスクロールすると、他にも memory_limit (スクリプトが使用できるメモリの最大量)や upload_max_filesize (アップロードできるファイルの最大サイズ)など、サーバーの様々な設定値を確認することができます。

ステップ5:【最重要】ファイルを必ず削除する!

情報の確認が終わったら、この作業の中で最も重要なステップに移ります。

FTPクライアントまたはファイルマネージャーを使い、サーバーにアップロードした phpinfo() ファイル(この例では check_server_status_20240515.php)を、ただちに削除してください。

このファイルをサーバー上に残しておくことは、自宅の設計図を玄関先に貼り出しておくようなものです。絶対に忘れないでください。


第6章: PHPバージョンが古い場合の対処法:安全なアップグレード手順

さて、ここまでの手順でご自身のPHPバージョンを確認できたかと思います。もし、バージョンが古かった場合(例えば、サポートが終了しているPHP 7.4以前だった場合)、速やかにアップグレードを検討しましょう。

ここでは、安全にPHPバージョンをアップグレードするための手順を解説します。焦って作業するとサイトが表示されなくなるなどのトラブルに繋がりかねませんので、慎重に進めましょう。

ステップ0:【最重要】サイトの完全なバックアップを取得する

PHPのバージョンアップ作業を行う前に、必ずサイトの完全なバックアップを取得してください。 これは、万が一の事態に備えるための「保険」です。

バックアップには「ファイル」と「データベース」の2種類が必要です。両方が揃っていないと、完全な復元はできません。

  • 簡単な方法: 「UpdraftPlus」や「All-in-One WP Migration」といったバックアップ用プラグインを利用する。
  • 確実な方法: 契約しているレンタルサーバーが提供するバックアップ機能を利用する。(エックスサーバーの「自動バックアップ」など)

どちらかの方法で、作業直前の状態の完全なバックアップを必ず確保してください。

ステップ1:ステージング環境で互換性をテストする(推奨)

より安全を期すなら、「ステージング環境」で事前にテストを行うことを強く推奨します。

ステージング環境とは、公開している本番サイトとは別に、そっくりそのまま複製したテスト用のサイト環境のことです。このテスト環境で先にPHPのバージョンアップを試し、サイトの表示や機能に問題がないかを確認します。

エックスサーバーやConoHa WINGなど、多くのレンタルサーバーでは、ボタン一つで簡単にステージング環境を作成できる機能が提供されています。

ステージング環境でのテスト手順:

  1. レンタルサーバーの機能でステージング環境を作成する。
  2. ステージング環境のWordPressダッシュボードにログインする。(URLやログイン情報が本番と異なる場合があるので注意)
  3. レンタルサーバーのコントロールパネルで、ステージング環境のPHPバージョンのみを新しいものに変更する。
  4. ステージングサイトの表示(トップページ、投稿ページ、固定ページなど)や、管理画面の動作、問い合わせフォームなどの主要な機能が正常に動くかを入念にチェックする。

ここで問題がなければ、本番環境でも同様のアップグレードを行って問題ない可能性が非常に高いです。もし問題が発生した場合は、原因を特定する必要があります(多くは古いテーマやプラグインとの互換性問題です)。

ステップ2:レンタルサーバーのコントロールパネルでPHPバージョンを切り替える

事前の準備とテストが完了したら、いよいよ本番環境のPHPバージョンをアップグレードします。

手順は、本記事の「第4章: 【方法2】レンタルサーバーのコントロールパネルで確認する」で解説した内容とほぼ同じです。各サーバーのPHPバージョン設定画面にアクセスし、現在設定されているバージョンから、推奨されている新しいバージョン(例:PHP 8.1や8.2など)を選択して「変更」や「保存」ボタンをクリックします。

通常、変更は数分以内にサーバーに反映されます。

ステップ3:アップグレード後の動作確認

PHPバージョンの切り替えが完了したら、すぐにサイトの動作確認を行います。

  • サイトの表側(フロントエンド):
    • トップページは正しく表示されるか?
    • 投稿記事や固定ページは正しく表示されるか?
    • メニューやウィジェット、フッターは崩れていないか?
  • サイトの裏側(バックエンド):
    • WordPressの管理画面に正常にログインできるか?
    • 記事の新規投稿や編集は問題なく行えるか?
  • 主要な機能:
    • お問い合わせフォームは正常に送信できるか?
    • ECサイトの場合は、カート機能や決済機能は動作するか?
    • その他、あなたのサイトにとって重要な機能がすべて正常に動作するかを確認します。

ステップ4:問題が発生した場合の対処法(切り戻し)

万が一、PHPのバージョンを上げたことでサイトが真っ白になったり(500 Internal Server Error)、デザインが崩れたり、何らかのエラーメッセージが表示された場合は、慌てずに、まずは元のPHPバージョンに切り戻しましょう。

サーバーのコントロールパネルで、先ほどと同じ手順で変更前のPHPバージョンを選択し直してください。ほとんどの場合、これでサイトは元の状態に復旧します。

問題の原因は、ほぼ100%、使用しているテーマやプラグインのいずれかが、新しいPHPバージョンに対応していないことです。

原因の特定方法:

  1. すべてのプラグインを一旦無効化してみる。これでサイトが正常に表示されれば、原因はプラグインのいずれかです。一つずつ有効化していき、問題が再発するプラグインを特定します。
  2. プラグインに問題がない場合、テーマをWordPressのデフォルトテーマ(例: Twenty Twenty-Four)に切り替えてみる。これで正常に表示されれば、原因は使用中のテーマです。

原因が特定できたら、そのテーマやプラグインの代替を探すか、開発者に問い合わせてPHPの対応状況を確認する必要があります。


第7章: PHPバージョンに関するよくある質問(FAQ)

最後に、PHPバージョンの確認やアップグレードに関してよく寄せられる質問をまとめました。

Q1: WordPressが推奨する最新のPHPバージョンはどこで確認できますか?

A1: WordPress公式サイトの「Requirements」ページで常に最新の情報が公開されています。一般的には、PHPの「Active support(積極的サポート)」期間中にあるバージョンを利用することが強く推奨されます。PHP自体のサポート期間は「PHP: Supported Versions」で確認できます。

Q2: PHPをアップグレードしたらサイトが真っ白になりました。どうすればいいですか?

A2: いわゆる「死の真っ白画面」ですね。まずは慌てずに、本記事の「ステップ4:問題が発生した場合の対処法(切り戻し)」で解説した通り、サーバーのコントロールパネルでPHPのバージョンを元に戻してください。 これでサイトは復旧するはずです。その後、原因となっているテーマやプラグインの特定作業を行ってください。

Q3: 使っているテーマやプラグインが新しいPHPバージョンに対応しているか、事前に確認する方法はありますか?

A3: 確実な方法は、各テーマ・プラグインの公式サイトや配布ページ(WordPress.orgのディレクトリなど)で、対応PHPバージョンに関する記載(”Requirements”や”Technical Details”など)を確認することです。記載がない場合は、開発者のサポートフォーラムで質問してみるのも良いでしょう。また、「PHP Compatibility Checker」といったプラグインを使って簡易的にチェックする方法もありますが、100%正確とは限りません。最も確実なのは、やはりステージング環境でのテストです。

Q4: WordPressダッシュボードに「PHPの更新を推奨」という通知がずっと出ています。無視しても大丈夫ですか?

A4: 無視するのは大変危険です。 その通知は、あなたのサイトがセキュリティやパフォーマンス上のリスクを抱えていることを示しています。本記事で解説した手順に従って、できるだけ速やかにPHPのバージョンアップを計画・実行してください。

Q5: 自分でサーバーを管理しているVPSやクラウドサーバーの場合、どうやってPHPをアップグレードすればいいですか?

A5: VPSや専用サーバーの場合は、OSのパッケージ管理システム(Ubuntu/Debianならapt、CentOS/AlmaLinuxならdnfyum)を使って、コマンドラインでPHPをアップグレードする必要があります。これは高度なサーバー管理知識を要するため、本記事の範囲外となります。手順を誤るとサーバー全体に影響が及ぶ可能性があるため、専門の技術資料を参照するか、サーバー管理の専門家に相談することをおすすめします。


まとめ:定期的なPHPバージョンの確認で、健全なサイト運営を

今回は、プラグインを使わずにWordPressのPHPバージョンを確認する3つの方法と、バージョンアップの具体的な手順について、詳しく解説しました。

  • 最も簡単なのは、WordPress管理画面の「サイトヘルス」機能
  • サーバー側で直接確認・変更するなら「レンタルサーバーのコントロールパネル」
  • 詳細情報が必要な上級者は、リスクを理解した上で「phpinfo() ファイル」

どの方法も、手順さえ分かれば決して難しいものではありません。

PHPは、あなたのWordPressサイトを支える縁の下の力持ちです。その存在を普段意識することは少ないかもしれませんが、定期的にバージョンを確認し、計画的にメンテナンスを行うことは、サイトの表示速度を上げ、セキュリティを固め、将来にわたって安定的に運営していくために不可欠な作業です。

この記事が、あなたのPHPに対する理解を深め、自信を持ってサイト管理に取り組むための一助となれば幸いです。まずはご自身のサイトのPHPバージョンを確認することから始めてみてください。その小さな一歩が、あなたのサイトをより良いものへと導く大きな力となるはずです。

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