【初心者向け】品詞とは?10種類を一覧でわかりやすく解説
「国語の文法って、なんだか難しそう…」
「品詞って言葉は聞いたことあるけど、一体何のこと?」
「文章を正しく、そして美しく書けるようになりたい!」
もしあなたがこのように感じているなら、この記事はきっとお役に立てるはずです。日本語の文章を組み立てるための「部品」とも言える品詞。その基本を理解することは、日本語をより深く、そして正確に使いこなすための第一歩です。
この記事では、日本語の初心者の方や、学生時代に文法でつまずいてしまったという方に向けて、品詞の基本から10種類の品詞一つひとつの役割まで、できるだけ専門用語を使わずに、たくさんの具体例を交えながら「世界一わかりやすく」解説することを目指します。
この記事を読み終える頃には、あなたはきっとこう感じているはずです。
「なるほど、品詞ってそういうことだったのか!」
「文章の構造が前よりクリアに見えるようになった!」
品詞を学ぶと、どんないいことがあるのでしょうか?
- 文章の構造が理解できる: 誰が(主語)、何をした(述語)のかが明確になり、読解力が飛躍的にアップします。
- 正確で美しい日本語が使える: 「てにをは」などの助詞を正しく使い分けたり、言葉のつながりを自然にしたりできます。
- 作文力・表現力が向上する: 自分の考えを的確に、そして豊かに表現するための土台ができます。
- 外国語学習にも役立つ: 日本語の品詞を理解していると、英語などの他の言語の文法構造も理解しやすくなります。
さあ、難しそうという先入観は一旦横に置いて、言葉の世界の面白いルールを探る冒険に出かけましょう!
第1章: 品詞って、そもそも何?
まず、「品詞」そのものが何なのか、という基本のキからお話しします。
品詞とは「言葉の役割・ポジション」のこと
品詞とは、簡単に言うと、単語をその文法的な性質や文中での働きによって分類したグループのことです。
…と言われても、まだピンとこないかもしれませんね。
もっと身近なものに例えてみましょう。
例えば、サッカーチームを思い浮かべてください。チームには、点を取るのが得意な「フォワード」、攻守のつなぎ役である「ミッドフィルダー」、ゴールを守る「ディフェンダー」、そして最後の砦「ゴールキーパー」といったポジション(役割)がありますよね。
日本語の文章も、これとよく似ています。
文章というチームの中で、それぞれの単語が「モノやコトの名前を表す」「動きを表す」「様子を詳しく説明する」といった、決まった役割を持っています。この、単語の役割やポジションこそが「品詞」なのです。
例えば、「かわいい犬がゆっくり走る。」という短い文を見てみましょう。
かわいい
→ 犬の様子を表していますね。犬
→ モノの名前です。が
→ 「犬」が主役(主語)であることを示しています。ゆっくり
→ どんな風に走るのか、動きを詳しく説明しています。走る
→ 動きそのものを表しています。
このように、それぞれの単語が異なる役割を担って、一つの文が成り立っています。この単語ごとの役割を分類したものが「品詞」であり、日本語には大きく分けて10種類の品詞があるとされています。
品詞を理解するための2つの「ものさし」
10種類の品詞を一つひとつ見ていく前に、品詞を大きく分類するための便利な「ものさし」を2つご紹介します。これを知っておくと、品詞全体の地図が頭に入り、理解がぐっと深まります。
ものさし①:自立語か、付属語か?
単語はまず、それだけで意味が通じるかどうかで、2つのグループに分けられます。
-
自立語(じりつご)
- 意味: それ一つだけで意味が分かり、文節(※)を作ることができる単語。
- 特徴: 文章の主役や中心になれる、いわばチームの「選手」たちです。
- 例: 「空」「走る」「美しい」「とても」「この」など。
- 該当する品詞: 動詞、形容詞、形容動詞、名詞、副詞、連体詞、接続詞、感動詞 (8種類)
-
付属語(ふぞくご)
- 意味: それだけでは意味が分かりにくく、必ず自立語にくっついて意味を添える単語。
- 特徴: 主役の選手をサポートする、いわば「サポーター」や「道具」のような存在です。
- 例: 「が」「を」「に」「は」「だ」「ます」など。
- 該当する品詞: 助動詞、助詞 (2種類)
(※文節とは、「ネ」を入れて区切れる、意味のまとまりのことです。「私がネ、昨日ネ、赤いネ、本をネ、買ったヨ。」のように区切れる一つひとつが文節です。)
ものさし②:活用するか、しないか?
もう一つのものさしは、文中での使われ方によって形が変わるかどうかです。
-
活用する語(活用がある語)
- 意味: 後ろに続く言葉によって、単語の形が変化するもの。
- 特徴: 「走る」が「走ります」「走れば」「走らない」のように形を変える現象を「活用」と言います。
- 例: 「書く(書き、書け)」「美しい(美しく、美しけれ)」「静かだ(静かで、静かなら)」
- 該当する品詞: 動詞、形容詞、形容動詞、助動詞 (4種類)
-
活用しない語(活用がない語)
- 意味: どんな言葉が続いても、単語の形が絶対に変わらないもの。
- 例: 「山」「学校」「とても」「しかし」「が」「を」
- 該当する品詞: 名詞、副詞、連体詞、接続詞、感動詞、助詞 (6種類)
この2つの「ものさし」を組み合わせると、10品詞は以下のように整理できます。この表は非常に重要なので、ぜひ頭の片隅に置いておいてください。
自立語 | 付属語 | |
---|---|---|
活用する | ①動詞 ②形容詞 ③形容動詞 |
⑨助動詞 |
活用しない | ④名詞 ⑤副詞 ⑥連体詞 ⑦接続詞 ⑧感動詞 |
⑩助詞 |
それでは、いよいよ本題です。この10種類の品詞たちを、一人ひとり(一つひとつ)詳しく見ていきましょう!
第2章: 日本語の10品詞を徹底解説!
ここからは、10種類の品詞の役割、特徴、見分け方を、豊富な例文とともに解説していきます。
【活用する自立語グループ】
まずは、文章の骨格となることが多く、形が変化する「活用する自立語」の3兄弟、動詞・形容詞・形容動詞です。
① 動詞 (どうし)
一言でいうと…
「動き」や「存在」を表す、文の主役!
詳しい解説
動詞は、人やモノの動作・作用・存在などを表す品詞です。文の最後に置かれて「〜する」「〜だ」という文の締めくくり(述語)になることが最も多い、まさに文の中心的存在です。
- 動作: 走る、食べる、書く、話す
- 作用: 咲く、壊れる、増える
- 存在: ある、いる
特徴と見分け方
動詞の最大の特徴は、言い切りの形(辞書に載っている形)が必ず「ウ段」の音で終わることです。「かく」「はなす」「たべる」「くる」「する」など、すべて「u」の母音で終わっていますね。これが動詞を見分けるための最大のヒントです。
そして、前述の通り「活用」をします。
- 例:動詞「歩く」の活用
- 歩かない (否定)
- 歩きます (丁寧)
- 歩くとき (連体)
- 歩けば (仮定)
- 歩け! (命令)
例文で見てみよう!
* 鳥が空を飛ぶ。
* 私は毎日、本を読みます。
* 公園にたくさんの人がいる。
* 昨日は一日中、家で勉強した。(「勉強する」という動詞の過去形)
* 早く起きなさい。(「起きる」という動詞の命令形)
② 形容詞 (けいようし)
一言でいうと…
「〜い」で終わる、様子や気持ちを表す言葉!
詳しい解説
形容詞は、モノやコトの性質や状態、あるいは人の感情などを表す品詞です。動詞と同じく活用があり、文の述語になることもできます。
- 性質・状態: 大きい、小さい、赤い、明るい
- 感情: 嬉しい、悲しい、楽しい、悔しい
特徴と見分け方
形容詞の最大の特徴は、言い切りの形が必ず「い」で終わることです。「うつくしい」「たのしい」など、すべて「i」の音で終わります。これが形容詞を見分けるための鉄則です。
もちろん、形容詞も活用します。
- 例:形容詞「寒い」の活用
- 寒くない (否定)
- 寒かった (過去)
- 寒ければ (仮定)
- 寒いとき (連体)
- 寒くて震える (接続)
例文で見てみよう!
* このリンゴはとても甘い。
* 彼の話はいつも面白い。
* 今日は昨日よりも涼しいですね。
* あの山はなんて高いのだろう。
* 道に美しい花が咲いていた。(「咲いていた」を詳しく説明)
③ 形容動詞 (けいようどうし)
一言でいうと…
「〜だ」で終わり「〜な」にもなる、様子を表す言葉!
詳しい解説
形容動詞も、形容詞と同じようにモノやコトの性質や状態を表す品詞です。役割は形容詞とそっくりですが、形が少し違います。
- 性質・状態: 静かだ、きれいだ、元気だ、親切だ、便利だ
特徴と見分け方
形容動詞の最大の特徴は、言い切りの形が「だ」(丁寧な形では「です」)で終わることです。そして、名詞を修飾(説明)するときには「な」の形になる、という大きな特徴があります。
- 言い切りの形 → 静かだ。
- 名詞を修飾する形 → 静かな場所。
この「だ」で終わり、「な」にも変化するというのが、形容動詞を見分けるための最強の合言葉です。活用も見てみましょう。
- 例:形容動詞「穏やかだ」の活用
- 穏やかではない (否定)
- 穏やかだった (過去)
- 穏やかならば (仮定)
- 穏やかな海 (連体)
- 穏やかに話す (連用)
例文で見てみよう!
* この図書館はとても静かだ。
* 彼女は本当に親切な人です。
* 私の祖母は今年で80歳ですが、とても元気です。
* 彼はどんな時でも冷静だった。
* もっと具体的に説明してください。(「具体的に」は「具体的だ」の活用形)
【コラム】形容詞と形容動詞、どう違うの?
役割が似ているので混乱しがちですが、見分け方は簡単です。
- 形容詞 → 言い切りが「い」。「大きい」「美しい」
- 形容動詞 → 言い切りが「だ」。名詞を修飾するとき「な」になる。「静かだ」「きれいだ」→「静かな」「きれいな」
「きれいい」とは言わないし、「大きだ」とも言いませんね。この語尾の違いをしっかり押さえましょう。
【活用しない自立語グループ】
次に、形は変わらないけれど、それぞれが重要な役割を持つ「活用しない自立語」の5人衆です。
④ 名詞 (めいし)
一言でいうと…
「モノ・コト・ヒトの名前」を表す言葉!
詳しい解説
名詞は、人、モノ、場所、事柄など、あらゆる「名前」を表す品詞です。文の中で主語(「〜は」「〜が」がつく言葉)になることが最も多い、基本的な単語です。
名詞はさらに細かく分類できますが、まずは「名前を表す言葉は名詞」と覚えておけばOKです。
- 普通名詞: 一般的なモノや事柄の名前(例:犬, 机, 夢, 勉強)
- 固有名詞: 特定の個人や地名などの名前(例:田中, 日本, 東京タワー)
- 数詞: 数や量を表す(例:一つ, 二人, 100円)
- 代名詞: 人やモノの代わりに使う(例:私, あなた, これ, そこ)
特徴と見分け方
名詞は活用しません。そして、助詞の「が」や「は」をつけて主語になれるのが最大の特徴です。
「これって名詞かな?」と迷ったら、「〜が」「〜は」を付けてみて、自然な文になるか試してみましょう。
- 「猫がいる。」→ OK! 「猫」は名詞。
- 「走るがいる。」→ NG! 「走る」は名詞ではない(動詞)。
例文で見てみよう!
* 私の趣味は映画を観ることです。(私、趣味、映画、こと → すべて名詞)
* 田中さんが公園で息子さんと遊んでいる。
* これは何ですか?
* 努力は必ず報われる。
⑤ 副詞 (ふくし)
一言でいうと…
動詞や形容詞などを「詳しく」飾る言葉!
詳しい解説
副詞は、主に用言(動詞・形容詞・形容動詞)を修飾(詳しく説明)するための品詞です。「どのように」「どのくらい」「いつ」といった情報を付け加える働きをします。
- 状態を表す副詞: どんなふうに? → ゆっくり、しっかり、こっそり、ニコニコ
- 程度を表す副詞: どのくらい? → とても、かなり、もっと、少し、ぜんぜん
- 呼応(こおう)の副詞: 特定の言葉とセットで使われる → もし〜なら、けっして〜ない、たぶん〜だろう
特徴と見分け方
活用はしません。そして、主に何を修飾しているかに注目するのが見分けるコツです。
- 「とても大きい。」(形容詞「大きい」を修飾)
- 「ゆっくり歩く。」(動詞「歩く」を修飾)
- 「もっと静かにしなさい。」(形容動詞「静かだ」の連用形「静かに」を修飾)
このように、後ろに続く動詞や形容詞などの様子を詳しくしている言葉が副詞です。
例文で見てみよう!
* カメがゆっくりと歩いている。
* このケーキはとてもおいしい。
* 明日はきっと晴れるだろう。
* 彼の日本語はますます上手になった。
* なぜあなたはここに来たのですか?
⑥ 連体詞 (れんたいし)
一言でいうと…
名詞「だけ」を専門に飾る言葉!
詳しい解説
連体詞は、その名の通り「体言(=名詞)に連なる」品詞です。つまり、名詞だけを修飾(詳しく説明)するという、専門職のような役割を持っています。
特徴と見分け方
活用はせず、後ろには必ず名詞が来ます。これが絶対的なルールです。
代表的な連体詞は数が限られているので、覚えてしまうのが早道です。
- 「こ・そ・あ・ど」系: この、その、あの、どの
- 「〜な」系: 大きな、小さな、おかしな
- 「〜る」系: ある、あらゆる、いわゆる、きたる
- その他: 我が
例文で見てみよう!
* この本は面白い。
* ある日、森の中で熊さんに出会った。
* あらゆる可能性を考える。
* 我が社のモットーは顧客第一です。
【コラム】副詞・形容動詞・連体詞の「ややこしい関係」を整理!
- 副詞「静かに」 → 動詞を修飾。「静かに歩く。」
- 形容動詞「静かな」 → 名詞を修飾。「静かな場所。」(もとは「静かだ」で、活用している)
- 連体詞「大きな」 → 名詞を修飾。「大きな木。」(もとは「大きい」という形容詞だが、「大きな」は活用せず、この形でしか使えない特別な言葉=連体詞)
特に「大きな」と形容詞「大きい」は混同しがちです。
* 「大きな木」→ OK
* 「木が大きな」→ NG(「木が大きい」が正しい)
このように、文末の述語になれないのが連体詞「大きな」の特徴です。
⑦ 接続詞 (せつぞくし)
一言でいうと…
文と文、語と語をつなぐ「橋わたし」の言葉!
詳しい解説
接続詞は、単語と単語、文節と文節、文と文をつなぎ、それらの関係性を示す品詞です。文の冒頭に置かれることが多いです。
- 順接: 前の内容が原因・理由になる(だから、それで、すると)
- 逆接: 前の内容と反対の結果になる(しかし、でも、だが、けれども)
- 並立・添加: 並べたり、付け加えたりする(そして、また、ならびに、かつ)
- 選択: どちらかを選ぶ(または、あるいは、もしくは)
- 転換: 話題を変える(さて、ところで、では)
特徴と見分け方
活用せず、文と文の間に立って論理的な関係を示しているのが接続詞です。それ自体が主語や述語になることはありません。
例文で見てみよう!
* 今日は雨が降っている。だから、傘を持っていこう。
* 一生懸命勉強した。しかし、試験には合格できなかった。
* まず宿題を終わらせなさい。そして、ゲームをしなさい。
* コーヒーにしますか。または、紅茶にしますか。
* さて、次の問題に移りましょう。
⑧ 感動詞 (かんどうし)
一言でいうと…
感動・呼びかけ・応答を表す、独立した言葉!
詳しい解説
感動詞は、書き手や話し手の感動、驚き、呼びかけ、応答などを直接的に表す品詞です。文の他の成分とは直接的な関係を持たず、独立して使われるのが大きな特徴です。
- 感動: ああ、まあ、おや、わあ
- 呼びかけ: もしもし、おい、ねえ、こら
- 応答: はい、いいえ、ええ
特徴と見分け方
活用せず、文頭に置かれて読点(、)で区切られることが多いです。それだけで一つの感情やメッセージが完結するのが感動詞です。
例文で見てみよう!
* ああ、なんて美しい夕日なんだろう。
* もしもし、田中さんのご自宅でしょうか。
* 「宿題は終わったの?」「はい、終わりました。」
* おっと、危ないところだった。
【付属語グループ】
最後に、常に自立語にくっついて働く、縁の下の力持ち「付属語」の2種類です。
⑨ 助動詞 (じょどうし)
一言でいうと…
意味をプラスする、変幻自在のサポーター!
詳しい解説
助動詞は、その名の通り「動詞などを助ける」品詞です。主に用言(動詞、形容詞、形容動詞)や一部の助動詞にくっついて、様々な意味を付け加える働きをします。付属語ですが、活用があるのが最大の特徴です。
付け加える意味には、たくさんの種類があります。
- 受け身・可能・自発・尊敬: れる、られる
- 使役: せる、させる
- 否定: ない、ぬ(ん)
- 過去・完了: た、だ
- 推量・意志: う、よう、まい
- 断定: だ、です
- 願望: たい、たがる
- 丁寧: ます
特徴と見分け方
自立語にくっついていて、なおかつそれ自体が活用する(形が変わる)のが助動詞です。
例えば、「書く」という動詞に色々な助動詞がくっつきます。
- 書かれる(受け身)
- 書かせる(使役)
- 書かない(否定)
- 書いた(過去)
- 書こう(推量・意志)
- 書きたい(願望)
- 書きます(丁寧)
例文で見てみよう!
* 弟にケーキを食べられた。(受け身)
* もっと野菜を食べなさい。(「なさる」の命令形)
* 明日は早く起きよう。(意志)
* 私も旅行に行きたいなあ。(願望)
* その話は嘘だ。(断定)
【コラム】要注意!「ない」の3つの顔
「ない」という言葉には、形容詞、動詞「ある」の否定形、助動詞の3種類があり、初心者を悩ませます。
- 形容詞の「ない」:「お金がない」「時間がない」「自信がない」
- 意味:「存在しない」という意味。
- 見分け方:「ある」に置き換えられる(お金がある、時間がある)。
- 助動詞の「ない」:「行かない」「食べない」「美しくない」
- 意味:動詞や形容詞の意味を打ち消す。
- 見分け方:上の言葉が動詞や形容詞。
- 形容詞の一部「〜ない」:「情けない」「つまらない」「危ない」
- これらは「情ける」「つまる」を否定しているのではなく、「〜ない」まで含めて一つの形容詞です。
⑩ 助詞 (じょし)
一言でいうと…
言葉と言葉の「関係」を示す、万能つなぎ役!
詳しい解説
助詞は、主に自立語にくっついて、その言葉が文の中でどんな役割を果たすのかを示したり、様々な意味を付け加えたりする品詞です。日本語の「てにをは」と呼ばれる部分で、文のニュアンスを決定づける非常に重要な役割を持っています。付属語であり、活用はしません。
助詞は働きによって、主に4種類に分けられます。
- 格助詞: 言葉の「格(文の成分としての資格)」を示す。
- 例:が、の、を、に、へ、と、から、より、で
- 「私が(主格)」「パンを(目的格)」「学校へ(方向格)」
- 副助詞: 様々な言葉にくっついて、特別な意味を付け加える。
- 例:は、も、こそ、さえ、でも、しか、など
- 「私は学生だ」「私も行く」「これこそ本物だ」
- 接続助詞: 文と文をつなぐ。
- 例:ば、と、ても、のに、ので、から、が、て
- 「読めばわかる」「寒いのに外で遊ぶ」「雨だから中止だ」
- 終助詞: 文末にくっついて、疑問・禁止・感動・念押しなどの気持ちを表す。
- 例:か、な、よ、ね、わ、ぞ
- 「これでいいですか」「きれいだな」「行くぞ」
特徴と見分け方
自立語にくっついていて、活用しない言葉は助詞です。単独では意味をなさず、必ず何かの後につきます。
例文で見てみよう!
* 私は昨日、図書館で本を借りたよ。
* は → 副助詞
* で → 格助詞
* を → 格助詞
* よ → 終助詞
* 時間がないから、急ごう。
* が → 格助詞
* から → 接続助詞
* 君さえいれば、何もいらない。
* さえ → 副助詞
* ば → 接続助詞
第3章: 品詞をマスターするための練習問題
さて、10種類の品詞について学んできました。知識を定着させるために、実際に文章を品詞分解してみましょう!
文を単語に区切り(これを「単語に分ける」または「分かち書き」と言います)、それぞれの品詞が何かを考えてみてください。
練習問題1
「青い空に白い雲がゆっくりと浮かんでいるね。」
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【解答と解説】
青い / 空 / に / 白い / 雲 / が / ゆっくり / と / 浮かん / で / いる / ね。
- 青い → 形容詞。「い」で終わり、モノ(空)の様子を表しています。
- 空 → 名詞。モノの名前です。「空が」のように主語になれます。
- に → 助詞(格助詞)。場所を示し、活用しません。
- 白い → 形容詞。「い」で終わり、モノ(雲)の様子を表しています。
- 雲 → 名詞。モノの名前です。「雲が」のように主語になっています。
- が → 助詞(格助詞)。主語を示し、活用しません。
- ゆっくり → 副詞。後の動詞「浮かんで」を「どのように」と詳しく説明しています。
- と → 助詞(格助詞)。ここでは「ゆっくり」という状態を表す副詞に付く特殊な使い方です。
- 浮かん → 動詞。「浮かぶ」という動詞の活用形(連用形)です。
- で → 助詞(接続助詞)。「浮かんで(いる)」のように、補助的な動詞につなげています。
- いる → 動詞。ここでは「浮かぶ」を補助する補助動詞ですが、品詞は動詞です。
- ね → 助詞(終助詞)。文末で同意や念押しを求めています。
練習問題2
「もし明日晴れたら、あの新しい公園へ行こうよ。」
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【解答と解説】
もし / 明日 / 晴れ / たら / 、 / あの / 新しい / 公園 / へ / 行こ / う / よ / 。
- もし → 副詞。「もし〜たら」の形で使われる「呼応の副詞」です。
- 明日 → 名詞。時を表す名前です。「明日が」のように主語にもなれます。
- 晴れ → 動詞。「晴れる」という動詞の活用形(連用形)です。
- たら → 助動詞。過去・完了の助動詞「た」の仮定形です。(※接続助詞とする説もありますが、学校文法では助動詞の一部として扱います)
- あの → 連体詞。後ろの名詞「公園」だけを修飾し、活用しません。
- 新しい → 形容詞。「い」で終わり、モノ(公園)の様子を表しています。
- 公園 → 名詞。場所の名前です。
- へ → 助詞(格助詞)。方向を示し、活用しません。
- 行こ → 動詞。「行く」という動詞の活用形(未然形)です。
- う → 助動詞。意志や勧誘を表します。「行こう」でセットですね。
- よ → 助詞(終助詞)。文末で呼びかけや主張を強めています。
どうでしたか?最初は難しくても、一つひとつの単語の役割をじっくり考えれば、必ず答えにたどり着けます。
まとめ: 品詞は日本語の羅針盤
今回は、日本語の「品詞」について、その基本から10種類の役割までを詳しく解説してきました。
最後に、もう一度10品詞の役割を一覧でおさらいしましょう。
品詞名 | 役割の一言解説 | 分類 |
---|---|---|
動詞 | 「動き」や「存在」を表す言葉。「ウ段」で終わる。 | 活用する自立語 |
形容詞 | 「様子」や「感情」を表す言葉。「い」で終わる。 | 活用する自立語 |
形容動詞 | 「様子」や「状態」を表す言葉。「だ」で終わり「な」にもなる。 | 活用する自立語 |
名詞 | 「モノ・コト・ヒトの名前」を表す言葉。主語になる。 | 活用しない自立語 |
副詞 | 主に「動詞・形容詞など」を詳しく飾る言葉。 | 活用しない自立語 |
連体詞 | 「名詞だけ」を専門に飾る言葉。 | 活用しない自立語 |
接続詞 | 「文と文」をつなぐ橋渡しの言葉。 | 活用しない自立語 |
感動詞 | 「感動・呼びかけ・応答」を表す独立した言葉。 | 活用しない自立語 |
助動詞 | 自立語に付き「意味をプラス」する言葉。活用する。 | 活用する付属語 |
助詞 | 自立語に付き「関係を示す」言葉。「てにをは」。活用しない。 | 活用しない付属語 |
品詞の理解は、外国語を学ぶ人がまず単語帳と文法書を手にするのと同じで、母国語である日本語を深く理解し、使いこなすための最強の土台となります。
最初は、すべての単語を完璧に分類できなくても全く問題ありません。大切なのは、文章に触れるたびに「この言葉はどんな働きをしているんだろう?」と少しだけ意識してみることです。その小さな好奇心が、あなたの日本語の世界をどこまでも豊かに広げてくれるはずです。
この記事が、あなたの日本語学習の「羅針盤」となれば、これほど嬉しいことはありません。焦らず、楽しみながら、言葉の海を冒険していきましょう!