初めてのFedora!インストール方法を画像付きで分かりやすく解説


初めてのFedora!インストール方法を画像付きで分かりやすく解説

はじめに:Fedoraの世界へようこそ!

「Linuxを使ってみたいけど、種類が多すぎてどれを選べばいいかわからない…」
「開発者向けのOSに挑戦してみたい!」
「最新の技術に触れながら、安定したデスクトップ環境が欲しい」

もしあなたがそう考えているなら、Fedoraは最高の選択肢の一つです。

Fedora(フェドラ)は、商用Linuxディストリビューションで絶大なシェアを誇るRed Hat社が支援する、コミュニティベースで開発されているオペレーティングシステム(OS)です。約半年に一度のメジャーアップデートで常に最新の技術やソフトウェアを取り入れつつ、Red Hat社の厳しいテスト基準に裏打ちされた高い安定性を両立しているのが最大の特徴です。

なぜFedoraを選ぶのか?

  • 先進性: 最新のLinuxカーネル、最新版のGNOMEデスクトップ環境など、常にオープンソースの世界の最先端を体験できます。
  • 安定性: Red Hat Enterprise Linux (RHEL) の「試験場」としての役割も担っており、エンタープライズレベルの品質がフィードバックされています。
  • 開発者フレンドリー: 開発に必要なツールが豊富に揃っており、プログラマーやシステムエンジニアから絶大な支持を得ています。
  • 強力なセキュリティ: SELinux(Security-Enhanced Linux)などの強力なセキュリティ機能が標準で有効になっており、安心して利用できます。
  • 美しいデスクトップ: デフォルトのGNOMEデスクトップ環境は、洗練されたデザインと直感的な操作性を提供します。

この記事は、WindowsやmacOSしか使ったことがないというLinux完全初心者の方でも、迷うことなくご自身のPCにFedoraをインストールし、使い始められるようになることを目的としています。専門用語はできるだけ避け、必要な場合は丁寧に解説を挟みながら、スクリーンショットを多用して一歩一歩進めていきます。

この記事を読み終える頃には、あなたのPCは最新のFedora Workstationが動作するパワフルなマシンに生まれ変わっていることでしょう。さあ、一緒にLinuxの世界への扉を開きましょう!

インストールに必要なもの

  1. インストール対象のPC:
    • 64bit対応のCPU
    • 最低2GBのメモリ(4GB以上を強く推奨)
    • 最低20GBのディスク空き容量(快適に使うなら50GB以上あると安心)
    • ※今回はPCのデータをすべて消去する「クリーンインストール」を前提とします。必要なデータは必ず事前にバックアップしてください。
  2. USBメモリ:
    • 容量8GB以上のもの。中のデータはすべて消去されます。
  3. インターネット接続:
    • Fedoraのイメージファイルをダウンロードしたり、インストール後のアップデートに必要です。

準備はよろしいですか?それでは、早速始めましょう!


第1章: 準備編 – インストール前に知っておくべきこと

PCにOSをインストールすると聞くと、少し難しく感じるかもしれません。しかし、ご安心ください。現在のFedoraのインストールプロセスは非常によくできており、手順通りに進めれば誰でも簡単に行えます。この章では、インストール作業を始める前の「準備」を万全に整えます。

1. Fedora WorkstationのISOイメージをダウンロードする

まず、Fedoraをインストールするための元となる「設計図」を手に入れます。この設計図のことをISOイメージファイルと呼びます。

手順:

  1. WebブラウザでFedoraの公式サイトにアクセスします。

  2. トップページに大きく表示されている「Fedora Workstation」の下にある「今すぐダウンロード」ボタンをクリックします。

    [画像: Fedora公式サイトのトップページ。Fedora Workstationのダウンロードボタンがハイライトされている]

  3. ダウンロードページに移動します。いくつか選択肢がありますが、通常は一番上に表示されている「For Intel and AMD x86_64 systems」の項目にある「Download」ボタンをクリックします。これにより、Fedora-Workstation-Live-x86_64-xx-x.x.iso という名前のファイル(xxの部分はバージョン番号)のダウンロードが開始されます。ファイルサイズは2GB以上あるため、通信環境によっては少し時間がかかります。

    [画像: Fedora Workstationのダウンロードページ。「x86_64」版のISOイメージのダウンロードボタンを指し示している]

【少し詳しく】ISOイメージとは?
ISOイメージは、CDやDVD、USBメモリの中身を丸ごと一つのファイルにまとめたものです。このファイルを特別な方法でUSBメモリに書き込むことで、PCを起動できる「インストールメディア」を作成することができます。

【重要】チェックサムでファイルの信頼性を確認する

ダウンロードしたファイルが、途中で壊れたり、悪意のある第三者によって改ざんされたりしていないかを確認するために、「チェックサム」という作業を行うことを強く推奨します。これは、ファイルの「指紋」のようなものであるハッシュ値を計算し、公式サイトで公開されている正しいハッシュ値と一致するかを照合する作業です。

  1. 先ほどのダウンロードページで、ダウンロードボタンの隣にある「Verify your download」をクリックします。
  2. 表示された「CHECKSUM」ファイルのリンクをクリックして、テキストファイルをダウンロード(または表示)します。中には、SHA256 (Fedora-Workstation-Live-x86_64-xx-x.x.iso) = ... のように、ハッシュ値が記載されています。

    [画像: CHECKSUMファイルの内容。ダウンロードしたISOファイル名と対応するSHA256ハッシュ値が記載されている]

  3. お使いのOSのターミナル(コマンドプロンプトやPowerShell)で、ダウンロードしたISOファイルがあるディレクトリに移動し、以下のコマンドを実行してハッシュ値を計算します。

    • Windows (PowerShell):
      powershell
      Get-FileHash .\Fedora-Workstation-Live-x86_64-xx-x.x.iso
    • macOS:
      bash
      shasum -a 256 Fedora-Workstation-Live-x86_64-xx-x.x.iso
    • Linux:
      bash
      sha256sum Fedora-Workstation-Live-x86_64-xx-x.x.iso
  4. コマンドを実行して表示されたハッシュ値と、公式サイトで確認したハッシュ値が完全に一致すれば、ファイルは正常です。もし異なっていた場合は、ファイルが破損している可能性があるので、再度ダウンロードしてください。

2. ブータブルUSBメモリを作成する

ダウンロードしたISOイメージファイルを、PCが起動ディスクとして認識できる形式でUSBメモリに書き込みます。この特別なUSBメモリをブータブルUSBメモリと呼びます。

この作業には専用のツールを使います。Fedora公式が推奨している「Fedora Media Writer」を使うのが最も簡単で確実です。

手順 (Fedora Media Writerを使用):

  1. 先ほどのFedora Workstationのダウンロードページを少し下にスクロールすると、「Fedora Media Writer」のセクションがあります。お使いのOS(WindowsまたはmacOS)のアイコンをクリックして、インストーラーをダウンロードします。

    [画像: Fedora Media Writerのダウンロードセクション。WindowsとmacOSのアイコンが示されている]

  2. ダウンロードしたインストーラーを実行し、画面の指示に従ってFedora Media Writerをインストールします。

  3. インストールが完了したら、Fedora Media Writerを起動します。

  4. メイン画面で「Fedora Workstation xx」が選択されていることを確認し、「Create Live USB」ボタンをクリックします。

    • もし、先ほど手動でダウンロードしたISOファイルを使いたい場合は、「Select .iso file」を選んでファイルを選択することもできます。

    [画像: Fedora Media Writerのメイン画面。「Create Live USB」ボタンがハイライトされている]

  5. 次の画面で、書き込み先のUSBメモリをドロップダウンメニューから選択します。この時、間違ったドライブを選択しないように細心の注意を払ってください。選択したUSBメモリの中身は完全に消去されます。

  6. Write」ボタンをクリックします。書き込みには数分かかります。プログレスバーが100%になり、「Finished!」と表示されれば、ブータブルUSBメモリの完成です!

    [画像: Fedora Media WriterがUSBメモリに書き込み中の画面。プログレスバーが表示されている]

【代替ツール】BalenaEtcher
もしFedora Media Writerでうまくいかない場合は、「BalenaEtcher」というツールも非常に人気があり、使い方も直感的です。
1. 公式サイトからダウンロードしてインストールします。
2. 「Flash from file」でダウンロードしたISOファイルを選択します。
3. 「Select target」で書き込みたいUSBメモリを選択します。
4. 「Flash!」をクリックして書き込みを開始します。

3. PCのBIOS/UEFI設定を変更する

最後の準備です。PCは通常、内蔵のハードディスクやSSDからOSを起動するように設定されています。今回は作成したUSBメモリから起動したいので、その起動順序を変更する必要があります。この設定は、BIOSまたはUEFIと呼ばれる、PCの最も基本的な制御プログラムの画面で行います。

手順:

  1. まず、PCを完全にシャットダウンします。Windowsの場合は、「Shift」キーを押しながら「シャットダウン」をクリックすると完全シャットダウンができます。

  2. 作成したブータブルUSBメモリをPCに接続します。

  3. PCの電源を入れ、すぐに特定のキーを連打します。このキーはPCのメーカーやモデルによって異なりますが、一般的には以下のいずれかです。

    • F2, F10, F12, Delete (Del), Escape (Esc)
    • PCの起動画面に「Press [Key] to enter setup」のようなメッセージが一瞬表示されることが多いので、それを参考にしてください。わからない場合は、「(お使いのPCのメーカー名) BIOS 起動方法」などで検索してみてください。
  4. 無事にBIOS/UEFI設定画面に入れたら、「Boot」や「起動」といったメニューを探します。

    [画像: 一般的なUEFI設定画面の例。Boot、Security、Mainなどのタブが表示されている]

  5. 起動順序 (Boot Order / Boot Priority) の変更:

    • 起動デバイスのリストが表示されているはずです。矢印キーやマウスを使って、先ほど接続したUSBメモリ(「USB HDD」や「UEFI: (USBメモリのブランド名)」などと表示されていることが多い)を一番上の、つまり最優先に移動させます。操作方法は画面の下部や右側に説明が表示されているはずです。

    [画像: 起動順序の変更画面。USBドライブをリストの一番上に移動させている様子]

  6. セキュアブート (Secure Boot) について:

    • 「Security」や「Boot」タブの中に「Secure Boot」という項目がある場合があります。これは、未承認のOSが起動するのを防ぐセキュリティ機能です。Fedoraはセキュアブートに対応していますが、稀にトラブルの原因になることがあります。もしインストールがうまくいかない場合は、一度ここに戻ってきてSecure Bootを「Disabled (無効)」に設定してみてください。今回はまず有効のままで進めて問題ありません。
  7. 設定が完了したら、「Save and Exit」や「Exit Saving Changes」(多くは F10 キーが割り当てられています)を選択して、設定を保存し、再起動します。

PCが再起動し、BIOS/UEFIの設定が正しくできていれば、内蔵ディスクからではなく、USBメモリからFedoraが起動し始めるはずです。これで、いよいよインストール本番です!


第2章: インストール編 – FedoraをPCに導入しよう

準備が整い、USBメモリからPCを起動すると、いよいよFedoraのインストールが始まります。ここからは画面の指示に従って進めていくだけですが、いくつか重要な選択肢があります。一つずつ丁寧に見ていきましょう。

1. ライブ環境の起動

USBメモリから正常に起動すると、まず黒い背景に白い文字のメニュー画面(GRUBブートローダー)が表示されます。

[画像: FedoraのGRUBブートメニュー。「Start Fedora-Workstation-Live xx」が選択されている]

  1. 一番上の「Start Fedora-Workstation-Live xx」が選択されている状態で、キーボードの Enter キーを押します。(数秒待てば自動的に選択されます)
  2. 画面にたくさんのログ(文字列)が流れた後、Fedoraのロゴが表示され、デスクトップ環境が起動します。これには1〜2分かかる場合があります。

この状態をライブ環境と呼びます。これは、PCに何もインストールすることなく、USBメモリ上だけでFedoraを「お試し」で動かしている状態です。ここでWi-Fiの接続を試したり、ブラウザを開いてみたり、自分のPCでFedoraが問題なく動作するかを確認できます。

2. インストーラーの起動と初期設定

ライブ環境のデスクトップが表示されると、最初に「Fedoraを試す」か「ハードドライブにインストール」かを選択する小さなウィンドウが表示されることがあります。

[画像: Fedoraライブ環境の初期ウィンドウ。「Try Fedora」と「Install to Hard Drive」の選択肢]

または、デスクトップ上に「ハードディスクにインストール (Install to Hard Drive)」というアイコンが表示されています。

  1. ハードディスクにインストール」をクリックして、インストーラー(Anacondaと呼ばれます)を起動します。

  2. 最初に表示されるのは、言語選択画面です。

    • 左側のリストをスクロールして「日本語」を探し、クリックします。
    • 右側で「日本語(日本)」が選択されていることを確認し、「続行」ボタンをクリックします。

    [画像: インストーラーの言語選択画面。「日本語」が選択されている]

3. インストールの概要 (Installation Summary)

次に表示されるのが、インストールの設定項目をまとめた「インストールの概要」画面です。ここが設定の司令塔になります。

[画像: インストールの概要画面。キーボード、時刻と日付、インストール先などの項目が並んでいる]

各項目を見ていきましょう。ほとんどは自動で適切に設定されていますが、「インストール先」だけはユーザーが明示的に設定する必要があります。感嘆符 (!) の警告アイコンが付いている項目は、設定が完了していないことを示しています。この警告がすべて消えるまで、「インストールの開始」ボタンは押せません。

4. キーボードレイアウトの設定

「キーボード」をクリックします。
前の画面で「日本語」を選択していれば、ここは自動的に「日本語」レイアウトが選択されているはずです。もしお使いのキーボードが英語配列(US)などの場合は、+ ボタンで追加し、不要なレイアウトを - ボタンで削除してください。通常は何も変更する必要はありません。
確認したら、左上の「完了」ボタンをクリックして概要画面に戻ります。

[画像: キーボードレイアウト設定画面。「日本語」が選択されている状態]

5. 時刻と日付の設定

「時刻と日付」をクリックします。
インターネットに接続されていれば、地図上の地域は「アジア/東京」に自動で設定されているはずです。もし違っている場合は、地図をクリックして正しい場所を選択してください。
右上の「ネットワーク時刻」がオンになっていることも確認しましょう。これにより、常に正確な時刻が保たれます。
確認したら、「完了」をクリックします。

[画像: 時刻と日付の設定画面。地図で日本が選択され、ネットワーク時刻がオンになっている]

6. インストール先の設定 (最重要!)

ここがインストールプロセスで最も重要で、注意が必要なステップです。 ここでの操作は、PCのディスク(ハードディスクやSSD)のデータを直接変更します。

「インストール先」をクリックしてください。

[画像: インストール先の設定画面。ローカルの標準ディスクが表示されている]

手順:

  1. デバイスの選択:

    • 「ローカルの標準ディスク」のセクションに、PCに搭載されているディスクが表示されます。ほとんどの場合、ディスクは一つだけでしょう。そのディスクをクリックして、チェックマークが付いた状態にします。PCに複数のディスクがある場合は、OSをインストールしたいディスクを間違えずに選択してください。
  2. ストレージ設定:

    • 次に、ディスクをどのように使うか(パーティション分割)を設定します。初心者の方には「自動構成」を強く、強く推奨します。
    • 「ストレージ設定」セクションで、「自動構成」が選択されていることを確認します。これで、インストーラーがFedoraに最適なパーティション構成を自動で作成してくれます。

    • 【上級者向け】カスタム構成とは?
      「カスタム」を選択すると、パーティションのサイズや種類(ファイルシステム)を手動で細かく設定できます。例えば、/ (ルート), /home (ユーザーデータ), swap (メモリ退避領域) を別々のパーティションに分けたい場合などに使用しますが、Linuxのファイルシステムに詳しい知識が必要です。初心者は絶対に「自動構成」を選んでください。

  3. ディスクの空き領域の確保 (デュアルブート向け)

    • もし、既存のWindowsなどを残したままFedoraをインストール(デュアルブート)したい場合は、「空き領域を確保する」にチェックを入れます。これにより、既存のOSのパーティションを縮小してFedora用のスペースを作ることができます。ただし、デュアルブートの構築は複雑で、予期せぬトラブルが発生する可能性もあります。この記事では、PCの全データを消去してFedoraのみをインストールする「クリーンインストール」を前提に進めます。
  4. データの暗号化 (推奨)

    • PCの紛失や盗難に備え、ディスク全体を暗号化することを強く推奨します。
    • データを暗号化」のチェックボックスにチェックを入れます。
    • これにチェックを入れると、後で暗号化を解除するための「パスフレーズ」(パスワード)を設定する画面が表示されます。このパスフレーズはPCを起動するたびに毎回入力する必要があります。忘れると二度とデータにアクセスできなくなるため、絶対に忘れない、かつ強固なものを設定してください。
  5. 設定の完了:

    • ディスクを選択し、「自動構成」を確認し、「データを暗号化」にチェックを入れたら、左上の「完了」ボタンをクリックします。
  6. ディスク領域の再利用:

    • クリーンインストールの場合、「完了」を押すと、ディスク上のデータをどうするか尋ねるウィンドウが表示されます。
    • ディスク領域の再利用」ボタンをクリックします。
    • 次の画面で、「すべて削除」を選択し、右下の「ディスク領域を再利用」ボタンを再度クリックします。これで、ディスクを完全にフォーマットしてFedora用に使う、という最終確認が完了します。

    [画像: 「ディスク領域の再利用」の確認ウィンドウ。「すべて削除」が選択されている]

概要画面に戻り、「インストール先」の項目から警告アイコンが消えていることを確認してください。

7. ネットワークとホスト名

この項目は通常、設定不要です。有線LANなら自動で接続され、Wi-Fiもライブ環境起動時に接続設定が可能です。ホスト名(ネットワーク上でのPCの名前)もそのままで問題ありません。

8. インストールの開始

さあ、いよいよ最後のステップです。
「インストールの概要」画面ですべての項目から (!) の警告アイコンが消え、「インストールの開始」ボタンが青くクリック可能になっていることを確認してください。

[画像: インストールの概要画面。すべての項目が設定済みで、「インストールの開始」ボタンがクリック可能になっている]

準備ができたら、「インストールの開始」ボタンをクリックします!

ディスクの暗号化を選択した場合は、このタイミングでパスフレーズの設定画面が表示されます。
1. パスフレーズを2回入力します。
2. 「パスフレーズを保存」をクリックします。忘れないように、どこか安全な場所にメモしておきましょう。

[画像: ディスク暗号化のパスフレーズ設定画面]

あとは、インストールが完了するのを待つだけです。プログレスバーが表示され、ファイルのコピーや設定が行われます。PCのスペックにもよりますが、通常10分から30分程度で完了します。コーヒーでも淹れて、一息つきましょう。

[画像: インストール進行中の画面。プログレスバーが表示されている]

9. インストールの完了と再起動

完了しました!」というメッセージが表示されたら、インストールは成功です!

[画像: 「インストールが完了しました!」というメッセージが表示された画面]

  1. 右下の「インストールの完了」ボタンをクリックします。
  2. 自動的にライブ環境のデスクトップに戻ります。右上の電源メニューから「電源オフ/ログアウト」→「再起動」を選択して、PCを再起動します。
  3. 【重要】 再起動が始まったら、画面の指示に従ってUSBメモリをPCから抜いてください。抜かないと、再びUSBメモリからインストーラーが起動してしまいます。
  4. BIOS/UEFIで起動順序を元に戻す必要はありません。USBメモリがなければ、PCは自動的に新しくインストールされた内蔵ディスクのFedoraを探して起動します。

おめでとうございます!あなたのPCに、Fedoraが正常にインストールされました。


第3章: 初期設定編 – Fedoraを使い始めよう

無事にインストールが完了し、PCを再起動すると、いよいよ新しいFedoraとの対面です。最初にいくつかの簡単な設定を行うことで、より快適にFedoraを使い始めることができます。

1. 初回起動とウェルカムセットアップ

再起動後、ディスクの暗号化を設定した場合は、まずパスフレーズの入力が求められます。設定したパスフレーズを入力して Enter キーを押してください。

すると、美しいウェルカム画面が表示されます。「ようこそ」のメッセージと共に、初期セットアップが始まります。

[画像: Fedoraのウェルカム画面。「セットアップを開始します」と表示されている]

  1. セットアップを開始します」ボタンをクリックして進みましょう。

2. プライバシー設定

次に、プライバシーに関する設定です。

  • 位置情報サービス: アプリケーションがあなたの現在地情報を使うことを許可するかどうか。地図アプリなどを使う場合はオンにすると便利です。
  • 問題の自動報告: システムでエラーが発生した際に、開発者に匿名でレポートを自動送信するかどうか。Fedoraの品質向上のために協力したい場合はオンにしましょう。

どちらも後から変更可能です。お好みで選択し、「次へ」をクリックします。

[画像: プライバシー設定画面。位置情報サービスと問題の自動報告のオン/オフスイッチがある]

3. オンラインアカウントの接続 (任意)

Google、Nextcloud、MicrosoftなどのオンラインアカウントをFedoraに連携させることができます。連携させると、カレンダーや連絡先、ファイルなどが自動で同期されて便利です。

これは後から「設定」アプリでいつでも追加できるので、ここでは「スキップ」をクリックして先に進んでも全く問題ありません。

[画像: オンラインアカウントの接続画面。Google、Nextcloudなどの選択肢と「スキップ」ボタンがある]

4. ユーザーアカウントの作成 (重要)

次に、このPCを日常的に使うためのあなたのユーザーアカウントを作成します。

  • 氏名: あなたの名前を入力します(日本語でもOK)。
  • ユーザー名: ログイン時やコマンドラインで使う、あなたのIDです。自動で氏名から推測されますが、半角の英数字とハイフンのみで、シンプルな名前にしておくことを強く推奨します(例: taro-yamadat-yamada など)。

入力したら「次へ」をクリックします。

[画像: ユーザーアカウント作成画面。氏名とユーザー名の入力欄がある]

5. パスワードの設定 (最重要!)

作成したユーザーのパスワードを設定します。このパスワードは、

  • PCへのログイン
  • ソフトウェアのインストールやシステム設定の変更(sudoコマンド実行時)
  • ロック画面の解除

など、様々な場面で必要になる非常に重要なものです。忘れない、かつ推測されにくい、強力なパスワードを設定してください。

パスワードを2回入力し、「次へ」をクリックします。

[画像: パスワード設定画面。パスワードを2回入力する欄がある]

6. セットアップ完了!

これで準備は完了です」というメッセージが表示されれば、すべての初期セットアップは終わりです。

Fedoraを使い始める」ボタンをクリックしてください。

[画像: セットアップ完了画面。「Fedoraを使い始める」ボタンが表示されている]

すると、ついにFedoraのデスクトップ画面が表示されます!ようこそ、GNOMEデスクトップへ!

7. GNOMEツアーと基本操作

初回起動時には、GNOMEデスクトップの基本的な使い方を案内してくれる「ツアー」が表示されることがあります。ぜひ一度見ておきましょう。

  • アクティビティ画面: 画面左上の「アクティビティ」をクリックするか、Superキー(Windowsキー)を押すと、この画面に切り替わります。開いているウィンドウの一覧、仮想デスクトップ(ワークスペース)、検索バー、お気に入りのアプリ(Dock)が表示される、GNOME操作の中心です。
  • アプリケーションの起動: アクティビティ画面で右下のグリッドアイコン(点々が9つ並んだアイコン)をクリックすると、インストールされているアプリの一覧が表示されます。
  • 検索: アクティビティ画面でキーボードを打ちはじめると、即座にアプリやファイル、設定などを検索できます。これが非常に高速で便利です。

[画像: GNOMEのアクティビティ画面。ウィンドウ、ワークスペース、検索バー、Dockが表示されている]

8. システムのフルアップデート (必須!)

インストールしたばかりのFedoraは、ISOイメージが作成された時点でのソフトウェアパッケージが入っています。セキュリティの脆弱性修正やバグ修正が含まれている最新の状態にするため、何よりも先にシステムのフルアップデートを行いましょう。

アップデート方法は2通りあります。好きな方を選んでください。

方法A: GUI(ソフトウェアアプリ)を使う方法

  1. アクティビティ画面を開き、「ソフトウェア」と検索して「ソフトウェア」アプリを起動します。
  2. アプリが起動したら、下部のナビゲーションバーにある「アップデート」タブをクリックします。
  3. 利用可能なアップデートの一覧が表示されます。左上にある「すべてをアップデート」ボタンをクリックします。
  4. パスワードを求められたら、ログインパスワードを入力します。
  5. ダウンロードとインストールが自動的に行われます。完了後、再起動を促されたら、再起動してください。

[画像: 「ソフトウェア」アプリのアップデート画面。「すべてをアップデート」ボタンがハイライトされている]

方法B: CUI(ターミナル)を使う方法 (おすすめ)

Linuxのパワーを実感できるのが、このコマンドラインでの操作です。慣れるとこちらの方が断然早く、確実です。

  1. アクティビティ画面を開き、「terminal」や「端末」と検索して「端末」を起動します。
  2. 黒い画面が表示されたら、以下のコマンドを入力して Enter キーを押します。

    bash
    sudo dnf update

    • sudo: “Super User Do”の略。管理者権限でコマンドを実行するという意味です。システムに変更を加える際に必要です。
    • dnf: Fedoraで使われているパッケージ管理ツールの名前です。ソフトウェアのインストール、アップデート、削除などを行います。
    • update: パッケージを最新の状態に更新するという指示です。
  3. [sudo] password for (あなたのユーザー名): と表示されたら、ログインパスワードを入力します。(注意: 入力しても画面には何も表示されませんが、ちゃんと入力されています)。入力し終えたら Enter キーを押します。

  4. アップデートされるパッケージの一覧が表示され、「Is this ok [y/N]:」と尋ねられます。キーボードで y を入力し、Enter キーを押します。
  5. アップデートが完了するまで待ちます。完了したら、念のためPCを再起動しましょう。

    bash
    reboot

[画像: 端末でsudo dnf updateを実行している様子。パッケージリストが表示され、[y/N]の確認メッセージが出ている]

9. 日本語入力(Mozc)の設定

Fedoraはデフォルトで日本語入力(IBus-KKC)が可能ですが、より多くの人にとって使いやすい「Mozc」(Google日本語入力のオープンソース版)をインストールして設定しましょう。

  1. 「端末」を起動します。
  2. 以下のコマンドでMozcをインストールします。

    bash
    sudo dnf install ibus-mozc

    途中で [y/N] と聞かれたら y を入力して Enter を押します。

  3. インストールが完了したら、PCを一度再起動するか、ログアウトして再度ログインします。これにより、新しい入力メソッドがシステムに認識されます。

  4. 再ログイン後、画面右上のメニューをクリックし、一番下の「設定」を開きます。

  5. 左のメニューから「キーボード」を選択します。
  6. 「入力ソース」のセクションにある + ボタンをクリックします。
  7. 日本語」を選択します。
  8. すると、「日本語 (Mozc)」という選択肢が表示されるので、これを選んで「追加」ボタンをクリックします。

    [画像: 入力ソースの追加画面。「日本語 (Mozc)」が選択されている]

  9. これでMozcが使えるようになりました。不要であれば、元からあった「日本語(かな漢字)」は、選択してゴミ箱アイコンで削除しても構いません。

  10. 入力メソッドの切り替えは、デフォルトで Super + Space キーで行えます。

10. さらに快適にするための初期設定

これで基本的な設定は完了ですが、最後にもう一歩踏み込んで、Fedoraをさらに強力で便利なものにしましょう。

1. RPM Fusion リポジトリの追加

Fedoraの公式リポジトリ(ソフトウェアの倉庫)には、ライセンスの都合上、一部のソフトウェア(動画再生に必要なコーデック、NVIDIAのプロプライエタリドライバなど)が含まれていません。これらを利用可能にするため、「RPM Fusion」というサードパーティ製のリポジトリを追加します。

端末で以下のコマンドをコピー&ペーストして実行してください。(一行で入力します)

bash
sudo dnf install https://mirrors.rpmfusion.org/free/fedora/rpmfusion-free-release-$(rpm -E %fedora).noarch.rpm https://mirrors.rpmfusion.org/nonfree/fedora/rpmfusion-nonfree-release-$(rpm -E %fedora).noarch.rpm

[y/N]と聞かれたらyで進めます。

2. マルチメディアコーデックのインストール

RPM Fusionを追加したら、Web上の様々な動画などを再生できるように、マルチメディアコーデックを一括でインストールしましょう。

bash
sudo dnf groupupdate multimedia --setop="install_weak_deps=False" --exclude=PackageKit-gstreamer-plugin
sudo dnf groupupdate sound-and-video

3. GNOME Tweaksのインストール

GNOMEデスクトップをさらに細かくカスタマイズできる便利なツール「GNOME Tweaks」をインストールします。フォントの変更、ウィンドウのタイトルバーに最小化・最大化ボタンを表示する、拡張機能の管理などが可能になります。

bash
sudo dnf install gnome-tweaks

インストール後、アクティビティから「Tweaks」や「Gnome Tweaks」で検索して起動してみてください。

[画像: GNOME Tweaksの画面。フォントやウィンドウタイトルバーのカスタマイズ項目が表示されている]

4. 便利なソフトウェアのインストール

「ソフトウェア」アプリやdnfコマンドを使って、必要なアプリをどんどんインストールしていきましょう。いくつか定番のものを紹介します。

  • VLC Media Player (鉄板メディアプレイヤー):
    bash
    sudo dnf install vlc
  • GIMP (高機能画像編集ソフト):
    bash
    sudo dnf install gimp
  • Visual Studio Code (人気のコードエディタ):
    こちらは公式サイトから.rpmファイルをダウンロードしてインストールするのが簡単です。

まとめ:新しい冒険の始まり

お疲れ様でした!
ISOイメージのダウンロードから始まり、ブータブルUSBの作成、BIOS/UEFIの設定、そしてFedoraのインストールと初期設定まで、長い道のりでしたが、無事に完了しました。あなたの目の前には、最新かつパワフル、そして美しいFedoraのデスクトップが広がっているはずです。

ここまでの手順を振り返ってみましょう:

  1. 準備: FedoraのISOイメージをダウンロードし、ブータブルUSBを作成。PCの起動順序を変更しました。
  2. インストール: ライブ環境からインストーラーを起動し、言語、キーボード、時刻を設定。最も重要なインストール先を(暗号化を有効にして)自動構成で設定し、インストールを実行しました。
  3. 初期設定: 初回起動時のセットアップを行い、ユーザーアカウントを作成。何よりも先にシステムをフルアップデートし、日本語入力環境(Mozc)を整えました。最後に、RPM Fusionや便利なツールを追加して、Fedoraをより使いやすくカスタマイズしました。

これで、あなたはFedoraユーザーとしての第一歩を力強く踏み出しました。
最初は戸惑うこともあるかもしれませんが、アクティビティ画面からの高速な検索や、ターミナルを使った効率的な作業に、きっとすぐに魅了されることでしょう。わからないことがあれば、Fedoraの公式ドキュメントや、活発なオンラインコミュニティのフォーラムで質問すれば、親切なユーザーが助けてくれるはずです。

Fedoraは、あなたにコンピューティングの新しい楽しさと可能性を教えてくれます。プログラミング、デザイン、日々のブラウジングやドキュメント作成まで、あらゆる作業を快適にこなせる最高のパートナーです。

ようこそ、Linuxの世界へ!そして、ようこそFedoraへ!
あなたの新しい冒険が、実り多きものになることを心から願っています。

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