【初心者向け】MCPサーバーとは?わかりやすく解説

はい、承知いたしました。Minecraftのマルチプレイサーバー(MCPサーバー)について、初心者の方にも分かりやすく、約5000語の詳細な記事を作成します。


【初心者向け】Minecraftマルチプレイの世界へようこそ!MCPサーバーとは何か?徹底解説ガイド

はじめに:Minecraftの無限の世界を仲間と共有しよう!

Minecraft(マインクラフト)は、ブロックを積み重ねて自由な世界を創造し、冒険を楽しむことができるサンドボックスゲームです。その魅力の一つに、仲間と一緒にプレイできる「マルチプレイ」があります。友達と協力して壮大な建築物を建てたり、共に危険なダンジョンを探索したり、あるいはPVP(プレイヤー対プレイヤー)で腕を競い合ったりと、マルチプレイにはシングルプレイにはない、計り知れない楽しさがあります。

しかし、「どうやって友達と遊べばいいの?」と感じる方もいるかもしれません。Minecraftのマルチプレイを実現する方法はいくつかありますが、その中でも「MCPサーバー」を自分で立てて運用することは、最も自由度が高く、奥深い選択肢の一つです。

「MCPサーバーって何?」「難しそう…」と感じる必要はありません。この記事では、Minecraftサーバー、通称「MCPサーバー」とは何か?という基本的な疑問から、その種類、準備、実際の構築手順、そして運用・管理、さらにはサーバーを拡張する楽しみまで、初心者の方にも分かりやすく、徹底的に解説していきます。

この記事を読み終える頃には、あなたは自分だけの、あるいは仲間との特別なMinecraftワールドをホストするための知識を身につけ、さらに一歩踏み込んだMinecraftライフを楽しむことができるようになっているでしょう。さあ、一緒にMinecraftマルチプレイの扉を開いていきましょう!


第1章:Minecraftマルチプレイの基礎知識

まずは、Minecraftのマルチプレイがどのように成り立っているのか、その基本的な概念から理解していきましょう。

1.1. シングルプレイとマルチプレイの違い

Minecraftを始めたばかりの頃、多くの人は一人で遊ぶ「シングルプレイ」からスタートします。シングルプレイでは、あなたのPC(またはゲーム機)がゲームの進行を管理し、ワールドデータもあなたのPC内に保存されます。つまり、あなたは「クライアント」(ゲームを操作する側)であり、「サーバー」(ゲームのルールやワールドを管理する側)でもあるわけです。

一方、「マルチプレイ」では、一人のプレイヤーが「サーバー」を立て、他のプレイヤーがそのサーバーに「クライアント」として接続することで、同じワールドを共有します。サーバーはワールドの状態、プレイヤーの位置、アイテムのインベントリ、敵の動きなど、ゲームのあらゆる要素を一元的に管理します。これにより、離れた場所にいるプレイヤー同士でも、同じ時間、同じ空間でMinecraftを楽しむことができるのです。

1.2. マルチプレイの種類

Minecraftでマルチプレイを楽しむ方法は、主に以下の3つがあります。

  1. LANプレイ(ローカルエリアネットワーク)

    • 概要: 同じWi-Fiネットワーク内や、物理的に近い場所にあるPC同士で遊ぶ方法です。ホストとなるPCがシングルプレイのワールドを「LANに公開」するだけで、他のPCからそのワールドが見えるようになります。
    • メリット: 設定が非常に簡単で、インターネット接続は必須ではありません。
    • デメリット: 同じネットワーク内にいる人しか参加できません。ホストのPCがゲームを終了すると、ワールドも終了してしまいます。
    • 向いている人: 家族や友達と自宅で手軽に遊びたい人。
  2. Minecraft Realms(公式レンタルサーバー)

    • 概要: Mojang Studios(Minecraftの開発元)が公式に提供する、サブスクリプション型のサーバーホスティングサービスです。月額料金を支払うことで、専用のサーバーをレンタルできます。
    • メリット: 設定が非常に簡単で、サーバーの管理をMojangに任せられるため、技術的な知識はほとんど不要です。サーバーは常にオンラインなので、ホストがオフラインでも参加者はいつでも遊べます。Modやプラグインには制限があるものの、一部のミニゲームやアドオンは利用可能です。
    • デメリット: 有料サービスです。カスタマイズの自由度が低く、大規模なModパックや多数のプラグインは利用できません。
    • 向いている人: 技術的な手間をかけずに、少人数の友達と気軽に遊びたい人。
  3. サードパーティサーバー(今回の主役:MCPサーバー)

    • 概要: プレイヤー自身が用意したPCや、専門のサーバーホスティングサービスを利用して、Minecraftサーバーソフトウェアを動かす方法です。これが本記事で解説する「MCPサーバー」の本体です。
    • メリット:
      • 究極の自由度: サーバー設定、利用できるModやプラグインの種類、プレイヤー数など、あらゆる面で究極のカスタマイズが可能です。
      • コスト効率: 自宅のPCを使えば、サーバー自体を動かす費用は電気代以外かかりません(ただし、PCの性能や電気代は考慮が必要です)。レンタルサーバーを利用する場合でも、Realmsより高性能なサーバーを安価に借りられる場合があります。
      • 大規模化: 数十人、数百人規模のプレイヤーが参加する大規模なコミュニティサーバーを構築することも可能です。
    • デメリット:
      • 技術的な知識が必要: サーバーのセットアップ、設定、管理には、ある程度の技術的な知識が求められます。
      • セキュリティリスク: 不適切な設定や管理は、サーバーへの不正アクセスや情報漏洩のリスクを高める可能性があります。
      • 運用コスト: 自宅PCの場合、電気代やPCの維持費がかかります。レンタルサーバーの場合、月額料金が発生します。
    • 向いている人:
      • Minecraftをもっと深く遊びたい、カスタマイズしたい人。
      • 友達と独自のルールやModを導入して遊びたい人。
      • サーバー管理に挑戦してみたい人。
      • 大規模なコミュニティサーバーを運営したい人。

本記事では、特にこの「サードパーティサーバー」を自分で構築・運用する方法に焦点を当てて解説していきます。

1.3. MCPサーバーの必要性:なぜ自分でサーバーを立てるのか?

なぜRealmsのような手軽な選択肢がある中で、わざわざ自分でサーバーを立てる必要があるのでしょうか?それは、前述の「究極の自由度」に尽きます。

  • 無制限のカスタマイズ: 導入できるプラグインやModの種類に制限がなく、ゲームルールを細かく設定したり、独自の経済システムを導入したり、ミニゲームサーバーを作ったりと、あなたの想像力次第でどんなサーバーでも作ることができます。
  • 安定した環境: サーバーのスペック(CPU、メモリ)を自由に選べるため、参加人数が増えても安定した動作を確保できます。専用のサーバーを用意すれば、メインのゲームPCのパフォーマンスに影響を与えることもありません。
  • 長期的な運用: サーバーを継続的に運用することで、参加者との間にコミュニティを形成し、長く楽しめる場所を提供することができます。
  • 学習の機会: サーバーを構築・運用する過程で、ITインフラ、ネットワーク、セキュリティなど、様々な技術的な知識を身につけることができます。これはゲーム以外の分野でも役立つスキルとなるでしょう。

自分でMCPサーバーを立てることは、単に友達と遊ぶためだけでなく、Minecraftをより深く探求し、技術的なスキルを磨くための素晴らしい機会となるのです。


第2章:MCPサーバーとは何か?その本質と種類

「MCPサーバー」と一口に言っても、実は様々な種類のソフトウェアが存在します。ここでは、それぞれのサーバーソフトウェアが持つ特徴と、どんな用途に向いているのかを解説します。

2.1. MCPサーバーの定義:Minecraftサーバーソフトウェア

MCPサーバーとは、「Minecraftサーバーを動作させるためのソフトウェア」のことです。このソフトウェアが、Minecraftの世界を生成・維持し、プレイヤーからの操作を受け付け、その結果を他のプレイヤーに送信する役割を担っています。クライアント側のMinecraftゲームは、このサーバーソフトウェアが生成する世界に接続して初めて、マルチプレイが可能になります。

2.2. 代表的なサーバーソフトウェア

一口に「Minecraftサーバーソフトウェア」と言っても、公式のものから派生したものまで、様々な種類があります。それぞれに特徴があり、作りたいサーバーのタイプによって最適なものが異なります。

2.2.1. Vanilla(バニラ)サーバー

  • 概要: Mojang Studiosが公式に提供している、最も基本的なMinecraftサーバーソフトウェアです。Modやプラグインといった拡張機能は一切導入できません。
  • 特徴:
    • 純粋なMinecraft体験: 公式のゲーム内容そのままの環境でマルチプレイを楽しめます。
    • 軽量性: 余計な機能がないため、比較的少ないリソースで動作します。
    • 安定性: 公式サポートがあるため、比較的安定しています。
    • 更新の速さ: Minecraftのアップデートに最も早く対応します。
  • メリット:
    • 設定が簡単で、初心者でも導入しやすい。
    • 余計な心配なく、素のMinecraftを遊びたい場合に最適。
  • デメリット:
    • 機能拡張が一切できないため、物足りなく感じる場合がある。
    • 大規模なサーバー運営には向かない(プレイヤー管理、荒らし対策が手動になるため)。
  • 推奨される用途:
    • ごく少人数の友達と、シンプルにMinecraftのワールドを共有したい場合。
    • Modやプラグインに興味がなく、純粋なサバイバルや建築を楽しみたい場合。

2.2.2. Spigot(スピゴット)/Paper(ペーパー)/Purpur(パーパー)

  • 概要: Bukkit(バキット)というAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)を実装した派生サーバーソフトウェア群です。Bukkit APIのおかげで、サーバーに様々な「プラグイン」を導入し、機能を追加・変更できるようになります。SpigotはBukkitの代表的な実装で、PaperはSpigotのパフォーマンスをさらに改善したものです。PurpurはPaperをさらに改良し、より高度なカスタマイズとパフォーマンス最適化を目指しています。
  • 特徴:
    • プラグイン対応: サーバーに様々な機能を追加できる「プラグイン」を導入できます。これにより、経済システム、権限管理、荒らし対策、ミニゲームなど、非常に多岐にわたるカスタマイズが可能です。
    • パフォーマンス向上: Vanillaサーバーよりも最適化されており、リソース消費が少ない傾向にあります。特にPaperは高パフォーマンスで知られています。
    • 安定性: Vanillaよりも複雑になりますが、適切に設定すれば安定した運用が可能です。
  • メリット:
    • サーバーのカスタマイズ性が非常に高い。
    • 大規模なサーバー運営にも対応しやすい(プラグインによる管理機能が充実しているため)。
    • 多くのコミュニティと情報があり、困ったときに解決策を見つけやすい。
  • デメリット:
    • Vanillaに比べて導入や設定が少し複雑になる。
    • プラグインの相性問題や、バージョンアップ時の互換性問題が発生することがある。
  • 推奨される用途:
    • プレイヤー間の経済、権限グループ、荒らし対策など、本格的なサーバー運営を目指す場合。
    • ミニゲームサーバーや、RPG要素のあるサーバーを作りたい場合。
    • ある程度の技術的な知識を学びながら、サーバーを深くカスタマイズしたい人。
    • Vanillaより高性能なサーバーを運用したい場合。

2.2.3. Forge(フォージ)/Fabric(ファブリック)

  • 概要: これらはサーバーソフトウェアというよりは、「Modローダー」と呼ばれるものです。Minecraftに「Mod(モッド)」と呼ばれる大規模な機能拡張を導入するために使用されます。クライアント側だけでなく、サーバー側にも同じModローダーとModを導入することで、Modが導入されたワールドでマルチプレイが可能になります。
  • 特徴:
    • Mod対応: テクスチャの変更、新しいアイテム、ブロック、MOB(モンスターや動物)、バイオーム、ゲームシステムの大幅な変更など、Minecraftの根幹を大きく変えるModを導入できます。
    • ゲーム体験の大幅な変化: サバイバル、建築、PVPなど、特定のジャンルに特化したModを導入することで、全く新しいゲームのように遊ぶことができます。
    • クライアントとサーバーの同期: サーバーに導入したModと同じModをクライアント側にも導入しないと接続できない場合が多いです(一部のサーバーサイドModを除く)。
  • メリット:
    • Minecraftの世界を根本から変え、遊びの幅を無限に広げられる。
    • 特定のテーマに特化したサーバーを構築できる。
  • デメリット:
    • 導入や設定が複雑になり、安定性の確保が難しい場合がある。
    • Mod同士の競合(コンフリクト)が発生しやすく、動作が不安定になったりクラッシュしたりするリスクがある。
    • 多数のModを導入すると、サーバーにもクライアントにも高いPCスペックが要求される。
    • Modのバージョンアップが遅れたり、開発が停止したりするリスクがある。
  • 推奨される用途:
    • 大型Modパックを友達とプレイしたい場合。
    • 全く新しいMinecraftのゲーム体験を共有したい場合。
    • 技術的なトラブルシューティングに抵抗がない、上級者向けの選択肢。

2.2.4. BungeeCord(バンジーコード)/Velocity(ベロシティ)

  • 概要: これらは、複数のMinecraftサーバーを連携させるための「プロキシサーバー」です。例えば、一つのBungeeCordサーバーのIPアドレスに接続するだけで、そこからロビーサーバー、サバイバルサーバー、ミニゲームサーバーなど、異なるワールドやゲームモードを持つ複数の下層サーバーに移動できるようになります。VelocityはBungeeCordのパフォーマンス改善版です。
  • 特徴:
    • 複数サーバー連携: 一つのネットワークで様々なゲーム体験を提供できる。
    • シームレスな移動: プレイヤーはサーバーを切り替えていることを意識せずに、異なるワールド間を移動できる。
    • 大規模化: 負荷分散や、より多くのプレイヤーに対応するための構造を構築できる。
  • メリット:
    • 大規模なコミュニティサーバーや、様々な種類のミニゲームを提供するサーバーを運営できる。
    • サーバーの負荷を分散させ、安定した動作を維持できる。
  • デメリット:
    • 非常に高度な設定と運用知識が必要。
    • 複数のサーバー(それぞれのSpigot/Paper/Forgeサーバー)とプロキシサーバーを同時に動かすため、高いハードウェアリソースと複雑なネットワーク設定が必要。
  • 推奨される用途:
    • サーバーネットワークを構築し、プロフェッショナルなサーバー運営を目指す場合。
    • Minecraftサーバー運営の最上級者向け。

2.2.5. Sponge(スポンジ)

  • 概要: ForgeとSpigot(Bukkit)の良いとこ取りを目指して開発されたサーバーソフトウェアです。ForgeのModと共存しながら、Bukkitのようなプラグイン(Spongeでは「プラグイン」ではなく「SpongeForge」または「SpongeVanilla」用の「Mod」として扱われる)を導入できることを目指しています。
  • 特徴:
    • Modとプラグインの共存: Forge環境下でサーバーを拡張する(Bukkit系とは異なるAPIの)プラグインを利用できる。
    • パフォーマンス: Vanillaや一部のBukkit系サーバーよりも軽量化されている場合がある。
  • メリット:
    • Modを導入しつつ、きめ細やかなサーバー管理(権限、保護など)もしたい場合に便利。
  • デメリット:
    • Bukkit/Spigot系のプラグインとは互換性がないため、Sponge専用のModを探す必要がある。
    • 他のソフトウェアに比べて情報が少ない場合がある。
  • 推奨される用途:
    • Modの導入を前提としつつ、サーバーの管理機能も充実させたい場合。

2.3. 各ソフトウェアの選択と推奨

サーバータイプ 特徴 複雑性 推奨サーバーソフトウェア
シンプルサバイバル 素のMinecraftを少人数で楽しむ Vanilla
高機能サバイバル/建築 プラグインで管理・拡張したい Paper/Spigot
大規模コミュニティ プラグインで管理、人数が多い 中〜高 Paper/Spigot
Mod入りサバイバル 新しいアイテムやシステムで遊びたい Forge/Fabric
Mod入り+管理機能 Modもプラグインも欲しい Sponge(Modと共存できるプラグイン)
サーバーネットワーク 複数のワールド・ゲームモードを繋ぎたい 最高 BungeeCord/Velocity + Paper/Spigot

初心者におすすめなのは、まずVanillaサーバーから始めてみることです。 慣れてきたら、機能拡張のためにPaper(またはSpigot)サーバーに挑戦し、プラグインを導入してみるのが一般的でスムーズなステップアップです。Modサーバーはさらに高度な知識とトラブルシューティング能力が必要になるため、ある程度サーバー運用に慣れてから挑戦することをおすすめします。

この記事では、最も普及しており、Vanillaからのステップアップとしても最適なPaper/Spigotサーバーを中心に、具体的な構築手順を解説していきます。Vanillaサーバーも基本的な手順は同じです。


第3章:MCPサーバーの構築準備

サーバーソフトウェアの種類を決めたら、次は実際にサーバーを動かすための準備を整えましょう。適切なハードウェアとソフトウェアの選択、そしてどこでサーバーを動かすのかを決めることが重要です。

3.1. サーバーを動かすための要件

Minecraftサーバーは、あなたのPCのリソース(CPU、メモリ、ストレージ、ネットワーク)を消費します。快適なマルチプレイを実現するためには、ある程度のスペックが必要です。

3.1.1. ハードウェア要件

  • CPU(中央演算処理装置):

    • Minecraftサーバーは、コア数よりもシングルコア性能が重要視されます。つまり、複数のコアがあっても、一つ一つのコアの処理速度が速い方が、サーバーのパフォーマンスは向上します。
    • 目安:
      • 少人数(〜5人程度): Intel Core i3相当以上、またはAMD Ryzen 3相当以上。
      • 中規模(〜20人程度): Intel Core i5/i7、またはAMD Ryzen 5/7のミドルレンジ〜ハイエンド。
      • 大規模(20人以上、Mod/プラグイン多数): Intel Core i7/i9、またはAMD Ryzen 7/9のハイエンド、またはサーバー向けCPU(Xeon/EPYC)。
    • 新しい世代のCPUほど、効率が良くパフォーマンスも高くなります。
  • RAM(メモリ):

    • サーバーのパフォーマンスに最も大きく影響する要素の一つです。プレイヤー数、ワールドの大きさ、導入するModやプラグインの数に比例して必要量が増えます。
    • 目安:
      • 少人数(Vanilla/Paper): 2GB〜4GB
      • 中規模(Paper/Spigot、プラグイン多数): 4GB〜8GB
      • 大規模/Modサーバー: 8GB〜16GB以上
    • 物理メモリが少ないと、サーバーが頻繁にディスクアクセス(スワップ)を行い、動作が極端に遅くなります。サーバー用に最低でも4GB、できれば8GB以上のメモリを割り当てることを推奨します。
  • ストレージ(記憶装置):

    • ワールドデータやサーバーログ、プラグイン・Modのファイルなどが保存されます。読み書き速度が速いほど、ワールドのロードやチャンク生成がスムーズになります。
    • 推奨: SSD(Solid State Drive)。HDD(Hard Disk Drive)に比べて圧倒的に高速で、快適なサーバー運用には必須と言っても過言ではありません。
    • 容量の目安:
      • 小規模〜中規模: 50GB〜100GB
      • 大規模: 数百GB以上
    • ワールドデータは時間とともに大きくなるため、余裕を持った容量を用意しましょう。
  • ネットワーク(インターネット回線):

    • サーバーとクライアント間の通信速度と安定性が重要です。特にアップロード速度が重要になります。
    • 目安:
      • 少人数(光回線): 上り(アップロード)速度 20Mbps以上
      • 中規模以上/Modサーバー: 上り(アップロード)速度 50Mbps〜100Mbps以上
    • 自宅サーバーの場合、家庭用回線はアップロード速度が遅い傾向にあるため注意が必要です。また、回線が不安定だと頻繁にラグが発生します。光回線が必須と言えるでしょう。

3.1.2. ソフトウェア要件

  • OS(オペレーティングシステム):
    • Windows、macOS、Linuxのいずれでも動作します。
    • サーバー用途としては、リソース消費が少なく、安定性に優れるLinux(Ubuntu Serverなど)が最も推奨されます。しかし、Windowsでも十分に運用可能ですし、初心者には使い慣れたWindowsがとっつきやすいでしょう。
  • Java Runtime Environment (JRE) または Java Development Kit (JDK):
    • MinecraftサーバーはJavaで記述されているため、Java実行環境が必要です。
    • Minecraftのバージョンによって要求されるJavaのバージョンが異なります。
      • Minecraft 1.17以降: Java 17以降
      • Minecraft 1.16.5まで: Java 8(JDK 8)
    • 一般的には、公式サイトやAdoptium (旧AdoptOpenJDK) から適切なバージョンのJDK(開発キットだがJREも含むため便利)をダウンロードしてインストールします。

3.2. サーバーの設置場所の選択

どこでサーバーを動かすかによって、初期費用、運用コスト、管理のしやすさが大きく変わります。

3.2.1. 自宅PCで建てる(ローカルサーバー)

  • 概要: あなたが普段使っているPCや、使っていない古いPCをサーバーとして利用する方法です。
  • メリット:
    • 費用が安い: サーバー本体の購入費用は不要(既存PCを利用する場合)。電気代のみ。
    • 物理的なアクセス: PCが手元にあるため、トラブル時に直接操作できる。
    • 学習の機会: 自宅ネットワークの知識(ポート開放など)が身につく。
  • デメリット:
    • 電気代: PCが常時稼働するため、電気代がかかる。
    • 騒音・発熱: PCのファンが常に回り、熱を発生させる。
    • 安定性: 家庭用PCはサーバー用途に設計されていないため、24時間365日の連続稼働には不向きな場合がある。OSアップデートや停電などでサーバーが停止するリスクも。
    • ネットワーク速度: 家庭用回線はアップロード速度が遅く、プロバイダによってはIPアドレスが頻繁に変わる(動的IPアドレス)場合がある。
    • セキュリティリスク: ポート開放はインターネットにサーバーを公開することになるため、不正アクセスなどのセキュリティリスクが高まる。
  • 向いている人:
    • ごく少人数の友達と気軽に遊びたい。
    • サーバー運用にあまり費用をかけたくない。
    • 技術的な挑戦を楽しめる。

3.2.2. 外部のレンタルサーバー(VPS/専用サーバー)

  • 概要: 専門のIDC(インターネットデータセンター)に設置されたサーバーを、月額料金を支払ってレンタルする方法です。主に「VPS(Virtual Private Server)」と「専用サーバー」があります。
    • VPS: 一つの物理サーバー上に、複数の仮想的なサーバー(VPS)を構築し、それぞれをユーザーに貸し出す形態。コストが安く、手軽に始められる。
    • 専用サーバー: 一つの物理サーバーを丸ごと一台、独占的にレンタルする形態。非常に高性能で自由度が高いが、費用も高額になる。
  • メリット:
    • 安定性: データセンターは常時稼働を前提としており、停電や回線トラブルのリスクが低い。
    • 高速なネットワーク: 専用の高速回線を使用するため、ラグが少ない。
    • セキュリティ: プロバイダが基本的なセキュリティ対策を行ってくれる。
    • 管理の手軽さ: マネージドサービスの場合、一部の管理を代行してくれる。
    • 固定IPアドレス: IPアドレスが変わる心配がない。
  • デメリット:
    • 費用: 月額料金が発生する。性能に比例して高くなる。
    • 技術的な知識: OSの選択から設定まで、ある程度のLinuxコマンドライン操作の知識が必要になる場合が多い。
    • 物理的なアクセス不可: トラブル時に直接操作できない。
  • 向いている人:
    • 安定したサーバーを24時間365日運用したい。
    • 自宅のPCをサーバーとして使いたくない。
    • 大規模なサーバーを運営したい。
    • 技術的な知識を身につけ、本格的にサーバー運用に挑戦したい。

3.2.3. Realms / サードパーティホスティングサービスとの比較

前述のRealmsは「Minecraft専用に最適化されたマネージドレンタルサーバー」と位置づけられます。自分でVPSなどを借りるよりもさらに手軽ですが、カスタマイズの自由度は低いです。

また、VPS/専用サーバーとは別に、Minecraftサーバーの運用に特化した「Minecraftサーバーホスティングサービス」もあります。これらは、VPSよりもさらにMinecraftサーバーの構築・運用を簡単にするための管理パネルや自動インストール機能を提供していることが多く、VPSほどの深い知識は不要で、Realmsよりも高い自由度と性能を提供します。費用はVPSより割高になる傾向がありますが、手間を考えると良い選択肢です。

初心者が自宅で始める場合: まずは自宅の余っているPC(または普段使いのPC)で、少人数向けにVanillaまたはPaperサーバーを立ててみるのが良いでしょう。これにより、サーバーの基本的な仕組みや運用方法を体験できます。

本格的に運用したい場合: ある程度の費用はかかりますが、VPSやMinecraftサーバーホスティングサービスを利用するのがおすすめです。特にVPSは、Linuxのコマンドライン操作を学ぶ良い機会にもなります。


第4章:MCPサーバーの構築手順(Vanilla/Spigot/Paperを例に)

ここからはいよいよ、実際にMinecraftサーバーを構築する具体的な手順を解説していきます。ここでは、最も基本的なVanillaサーバーと、機能拡張が可能なPaper(Spigot系)サーバーを例に説明します。

前提:
* Windows PCでサーバーを構築することを想定しています。
* インターネットに接続できる環境。
* 管理者権限のあるユーザーアカウントで作業を行います。

4.1. Javaのインストール

MinecraftサーバーはJavaで動作するため、適切なJava実行環境(JREまたはJDK)をインストールする必要があります。

  1. 必要なJavaのバージョンを確認する:

    • Minecraftのバージョンによって必要なJavaのバージョンが異なります。
      • Minecraft 1.17以降: Java 17以降 (例: Java 17, 21など)
      • Minecraft 1.16.5まで: Java 8
    • プレイしたいMinecraftのバージョンに対応したJavaをインストールしましょう。最新版のMinecraftを動かすならJava 17が一般的です。
  2. Javaをダウンロードする:

    • Javaの公式提供元はOracleですが、商用利用にはライセンス費用がかかる場合があります。個人利用であれば問題ないことが多いですが、無料かつオープンソースのディストリビューションである「Adoptium(旧AdoptOpenJDK)」の利用を推奨します。
    • Adoptiumのウェブサイト(https://adoptium.net/)にアクセスします。
    • 「Latest LTS Release」の欄で、先ほど確認したMinecraftのバージョンに対応するJavaのバージョンを選択します(例: Java 17 (LTS))。
    • 「Other platforms and versions」から、あなたのOS(Windows x64)とインストーラーの種類(MSIが簡単)を選択し、「Download JDK」をクリックします。
  3. Javaをインストールする:

    • ダウンロードしたMSIインストーラーを実行します。
    • 画面の指示に従ってインストールを進めます。特に設定を変更する必要はありませんが、「Path」に追加するかどうかの選択肢が出たら、追加する(またはデフォルトで追加される設定のままにする)ことを確認してください。これにより、コマンドプロンプトからJavaコマンドを直接実行できるようになります。
  4. Javaが正しくインストールされたか確認する:

    • Windowsのスタートメニューを右クリックし、「ファイル名を指定して実行」を選択、cmdと入力してEnterキーを押し、コマンドプロンプトを開きます。
    • 以下のコマンドを入力してEnterキーを押します。
      bash
      java -version
    • インストールしたJavaのバージョン情報(例: openjdk version "17.0.x" ...)が表示されれば成功です。もしエラーが表示される場合は、Javaのインストールがうまくいっていないか、Pathが正しく設定されていない可能性があります。

4.2. サーバーソフトウェアのダウンロード

次に、Minecraftサーバーのソフトウェア本体をダウンロードします。

  1. サーバーの保存場所を決める:

    • デスクトップなどではなく、専用のフォルダを作成することをおすすめします。例えば、C:\MinecraftServer\ のような場所が良いでしょう。後で管理しやすくなります。
  2. ダウンロードするソフトウェアを選択する:

    • Vanillaサーバーの場合:

      • Minecraftの公式サイト(https://www.minecraft.net/ja-jp/download/server)にアクセスします。
      • 「Java版Minecraftサーバーをセットアップする」セクションにある「minecraft_server.X.Y.Z.jarをダウンロード」リンクをクリックします(X.Y.Zは最新のバージョン番号)。
      • ダウンロードしたserver.jarファイルを、先ほど作成したサーバー用のフォルダに移動させます。
    • Paperサーバーの場合(推奨):

      • PaperMCの公式ウェブサイト(https://papermc.io/downloads)にアクセスします。
      • 最新のPaperビルド(通常は推奨バージョン)をダウンロードします。
      • ダウンロードした.jarファイルを、サーバー用のフォルダに移動させます。ファイル名はpaper-X.Y.Z-ABC.jarのような形式になっています。後で使いやすいように、server.jarにリネームしても構いません。
    • Spigotサーバーの場合:

      • Spigotの公式ウェブサイトから直接ダウンロードすることはできません。BuildToolsというツールを使って自分でビルドする必要があります。初心者には少し複雑なので、Paperの使用を強く推奨します。

4.3. サーバーファイルの配置と初回起動

ダウンロードしたサーバーソフトウェアを配置し、初めて起動します。

  1. サーバーフォルダの作成:

    • 例: C:\MinecraftServer\ フォルダを作成。
  2. server.jarファイルの配置:

    • ダウンロードしたVanillaまたはPaperの.jarファイルを、作成したサーバーフォルダの中に配置します。
  3. 初回起動用バッチファイル(Windows用)の作成:

    • サーバーフォルダ内で、右クリック → 「新規作成」 → 「テキスト ドキュメント」を選択します。
    • ファイル名を start.bat に変更します(拡張子も.txtから.batに変更)。
      • 拡張子が表示されていない場合は、エクスプローラーの「表示」タブ → 「ファイル名拡張子」にチェックを入れてください。
    • 作成した start.bat を右クリックし、「編集」を選択します。
    • メモ帳などのテキストエディタが開くので、以下の内容を貼り付けます。

      batch
      @echo off
      java -Xms1024M -Xmx2048M -jar server.jar nogui
      pause

      * @echo off: コマンドの実行結果がコマンドプロンプトに表示されるのを抑制します。
      * java: Javaプログラムを実行するコマンド。
      * -Xms1024M: サーバー起動時に割り当てるメモリの最小値(初期値)。ここでは1024MB = 1GB。
      * -Xmx2048M: サーバーに割り当てるメモリの最大値。ここでは2048MB = 2GB。この値は、あなたのPCの搭載メモリと、サーバーに割り当てたい量に合わせて調整してください。PCの総メモリの半分程度までが目安です。例えば、PCに8GBメモリがあるなら、-Xmx4096M(4GB)などにしても良いでしょう。
      * -jar server.jar: 実行するサーバーソフトウェアのファイル名。もしPaperのファイル名をリネームせずに使っている場合は、paper-X.Y.Z-ABC.jarのように正確なファイル名に書き換えてください。
      * nogui: GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)なしでサーバーを起動します。これにより、コマンドプロンプトで操作する形式になり、リソース消費が抑えられます。GUIが必要な場合はこの部分を削除してください。
      * pause: サーバーが停止した際に、コマンドプロンプトがすぐに閉じずに停止状態を保つようにします。エラーメッセージなどを確認しやすくなります。

    • ファイルを保存して閉じます。

  4. サーバーの初回起動:

    • 作成した start.bat をダブルクリックして実行します。
    • 初めて起動すると、サーバーは設定ファイルなどを自動生成しようとしますが、EULA(エンドユーザーライセンス契約)に同意していないため、途中で停止します。 コマンドプロンプトに You need to agree to the EULA in order to run the server. Go to eula.txt for more info. のようなメッセージが表示され、サーバーフォルダ内に eula.txt というファイルが生成されます。

4.4. EULAへの同意

Minecraftサーバーを動かすためには、Mojang Studiosが定めるEULAに同意する必要があります。

  1. eula.txtの編集:

    • サーバーフォルダ内に生成された eula.txt ファイルをメモ帳などのテキストエディタで開きます。
    • ファイル内に eula=false という行がありますので、これを eula=true に変更して保存します。
    • EULAの内容を一度読んでおくことをおすすめします。
  2. サーバーの再起動:

    • eula.txtを編集したら、再度 start.bat をダブルクリックして実行します。
    • 今度はサーバーが正常に起動し、ワールドファイルの生成などが始まります。コマンドプロンプトに Done! For help, type "help" のようなメッセージが表示されれば、サーバーの起動は成功です!

4.5. server.propertiesの主要設定項目解説

サーバーが正常に起動すると、サーバーフォルダ内に server.properties というファイルが生成されます。これはサーバーの基本的な設定を記述するファイルです。メモ帳などのテキストエディタで開いて編集できます。

主要な設定項目と解説は以下の通りです。

  • enable-query=false: Queryプロトコルを有効にするか。サーバー監視ツールで使用しますが、通常はfalseでOK。
  • motd=A Minecraft Server: サーバーリストに表示されるメッセージ。好きなメッセージに変更できます(例: motd=§aWelcome to my Server! カラーコードも使えます)。
  • gamemode=survival: 新規プレイヤーがスポーンするときのゲームモード。survival(サバイバル)、creative(クリエイティブ)、adventure(アドベンチャー)、spectator(スペクテイター)から選択。
  • enable-rcon=false: RCONを有効にするか。外部ツールでサーバーを遠隔操作する際に使用。セキュリティリスクがあるので、falseのままにしておくのが無難。
  • difficulty=easy: ゲームの難易度。peaceful(ピースフル)、easy(イージー)、normal(ノーマル)、hard(ハード)から選択。
  • network-compression-threshold=256: ネットワーク圧縮の閾値。ほとんどの場合デフォルトでOK。
  • require-resource-pack=false: リソースパックの強制適用。trueにすると、指定されたリソースパックがないと接続できなくなる。
  • max-players=20: サーバーに同時に接続できる最大プレイヤー数。PCのスペックや回線速度に合わせて調整。
  • online-mode=true: これが最も重要な設定の一つ。
    • true(推奨): Minecraft公式サイトから認証を受けた正規のMinecraftアカウントのみ接続を許可します。不正な(クラックされた)クライアントからの接続を防ぎます。
    • false: Minecraftアカウントの認証を行いません。誰でも接続できるようになります。セキュリティリスクが非常に高く、荒らしや不正アクセスに非常に脆弱になります。基本的にtrueに設定すべきです。 (どうしてもオフラインで遊びたい特別な理由がある場合のみfalseにしますが、その際は後述のホワイトリストなどを厳重に設定する必要があります。)
  • pvp=true: プレイヤー同士の攻撃(PvP)を許可するか。trueで有効、falseで無効。
  • allow-flight=false: サバイバルモードでの飛行を許可するか。trueにすると、飛行Hack対策が無効になり、飛行Hackが可能な状態になります。通常はfalseでOK。
  • level-name=world: ワールドデータが保存されるフォルダ名。デフォルトはworld。変更すると新しいワールドが生成されます。
  • view-distance=10: サーバーがプレイヤーに送信するチャンクの描画距離(チャンク数)。値を大きくすると景観が良くなりますが、サーバーの負荷が大幅に上がります。PCスペックやプレイヤー数に応じて調整(通常は6〜12程度)。
  • server-ip=: サーバーのIPアドレス。通常は空欄(自動検出)で問題ありません。複数のネットワークインターフェースがある場合などに特定のIPを指定します。
  • server-port=25565: サーバーが使用するポート番号。デフォルトは25565。特別な理由がない限り変更する必要はありません。
  • allow-nether=true: ネザーを有効にするか。
  • level-type=minecraft:normal: ワールドのタイプ。minecraft:normal(通常)、minecraft:flat(平坦)、minecraft:large_biomes(大きなバイオーム)など。
  • spawn-npcs=true: NPC(村人など)のスポーンを許可するか。
  • spawn-animals=true: 動物のスポーンを許可するか。
  • spawn-monsters=true: モンスターのスポーンを許可するか。
  • enable-command-block=false: コマンドブロックを有効にするか。trueにするとOP権限を持つプレイヤーがコマンドブロックを設置できるようになります。
  • resource-pack=: サーバーが推奨するリソースパックのダウンロードURL。
  • max-world-size=29999984: ワールドの最大サイズ(ブロック数)。
  • white-list=false: ホワイトリストを有効にするか。trueにすると、white-list.jsonに登録されているプレイヤーのみ接続できるようになります。不特定多数からの接続を制限したい場合に非常に有効なセキュリティ設定です。

設定を変更したら、必ずファイルを保存し、サーバーを再起動して変更を適用してください。サーバーコンソールでstopと入力してサーバーを停止し、再度start.batを実行します。

4.6. ポート開放の概念とリスク、設定方法

ここが自宅サーバー構築の最大の難関であり、セキュリティ上の重要なポイントです。
Minecraftサーバーに外部から接続するためには、ルーター(ネットワーク機器)が、インターネットからの通信をサーバーPCに正しく転送するように設定する必要があります。これを「ポート開放(ポートフォワーディング)」と呼びます。

4.6.1. ポート開放とは?

あなたの自宅ネットワークは、通常、ルーターを介してインターネットに接続されています。ルーターはセキュリティのために、インターネットからのほとんどの通信をブロックしています。Minecraftサーバーは、デフォルトでTCPポート25565を使用します。ポート開放とは、この25565番ポート宛てのインターネットからの通信を、ルーターがあなたのサーバーPCに転送するように設定することです。

例えるなら、ルーターはあなたの家の玄関で、扉(ポート)は全て閉まっています。Minecraftサーバーに友達が訪問できるように、特定の扉(25565番)を開けて、「この扉に来た人は、あの部屋(サーバーPC)に通してね」と玄関に指示するようなものです。

4.6.2. ポート開放のリスク

ポート開放は、サーバーをインターネットに公開することと同義です。これにより、以下のようなリスクが生じます。

  • 不正アクセス: 悪意のある第三者によってサーバーに侵入され、データが盗まれたり、改ざんされたりするリスク。
  • DDoS攻撃: サーバーに大量の通信を送りつけ、サーバーをダウンさせる攻撃。
  • 脆弱性の悪用: サーバーソフトウェアやOSの既知の脆弱性を悪用されるリスク。
  • 個人情報の流出: サーバーに保存されている情報(もしあれば)が漏洩するリスク。

これらのリスクを完全にゼロにすることはできませんが、オンラインモードをtrueにする、ホワイトリストを有効にする、サーバーやOSを常に最新の状態に保つ、強力なパスワードを設定するなどの対策を講じることで、リスクを大幅に低減できます。

4.6.3. ポート開放の設定方法

ポート開放の方法は、使用しているルーターのメーカーやモデルによって大きく異なります。一般的な手順は以下の通りです。

  1. サーバーPCのローカルIPアドレスを確認する:

    • サーバーPCでコマンドプロンプトを開き、ipconfigと入力してEnterキーを押します。
    • 「IPv4 アドレス」または「IPアドレス」と表示されているのが、あなたのサーバーPCのローカルIPアドレスです(例: 192.168.1.100)。このIPアドレスは、ルーターの設定で使用します。
    • 注意: DHCPによってIPアドレスが自動割り当てされている場合、PCを再起動したりするとIPアドレスが変わってしまうことがあります。IPアドレスが変わるとポート開放の設定も無効になってしまうため、サーバーPCのローカルIPアドレスを固定することをおすすめします。固定IPアドレスの設定方法はOSによって異なりますが、「Windows IPアドレス固定」などで検索してください。
  2. ルーターの設定画面にアクセスする:

    • Webブラウザを開き、ルーターの管理画面のURLを入力します。このURLは、通常、ルーターの底面や取扱説明書に記載されています(例: 192.168.1.1192.168.0.1http://router.asus.comなど)。
    • ユーザー名とパスワードを求められます。これもルーターの底面や取扱説明書に記載されています(例: ユーザー名admin、パスワードpassword)。
      • 注意: デフォルトのパスワードは非常に危険なので、設定画面に入ったらすぐに変更することをおすすめします。
  3. ポートフォワーディング(ポート開放)設定を見つける:

    • ルーターの設定画面で、「ポートフォワーディング」「ポートマッピング」「NAT設定」「仮想サーバー」などの項目を探します。場所や名称はルーターによって大きく異なります。
  4. ポートフォワーディングルールを追加する:

    • 新しいルールを追加します。設定する項目は以下の通りです。

      • サービス名/アプリケーション名: 任意(例: MinecraftServer
      • プロトコル: TCP(MinecraftサーバーはTCP通信を使用)
      • 外部ポート/開始ポート/WANポート: 25565
      • 内部ポート/終了ポート/LANポート: 25565
      • 内部IPアドレス/サーバーIPアドレス: 手順1で確認したサーバーPCのローカルIPアドレス(例: 192.168.1.100
      • 有効/Enable: チェックを入れる
    • 設定を保存し、ルーターを再起動する場合があります。

4.6.4. ポート開放ができない場合の対処法

  • 二重ルーター: マンションの共有回線などで、既に上位にルーターが存在し、その下にもう一台ルーターが接続されている「二重ルーター」の環境だと、ポート開放が非常に困難になります。この場合、上位ルーターの設定変更が必要になるか、UPnPやDMZなどの代替手段を検討する必要があります。
  • UPnP(Universal Plug and Play): 一部のルーターでは、UPnPという機能が有効になっていると、対応するアプリケーションが自動でポート開放を行ってくれることがあります。サーバーソフトによっては対応しているものもありますが、セキュリティ上の理由から推奨されないこともあります。
  • DMZ(DeMilitarized Zone): 特定のPCを外部からのアクセスに対して「非武装地帯」にする機能です。設定したPCの全てのポートがインターネットに公開されるため、セキュリティリスクが極めて高いです。 特段の理由がない限り、DMZは使用しないでください。
  • キャリアグレードNAT/IPv6: 一部のインターネットプロバイダでは、IPv4アドレスの枯渇対策として「キャリアグレードNAT」や「IPv6」が導入されています。この場合、通常のポート開放では外部から接続できないことがあります。プロバイダに問い合わせて、固定IPアドレスのオプションサービスを契約するか、IPv4 over IPv6などのサービスを利用する必要があるかもしれません。

4.7. ファイアウォールの設定

ポート開放だけでなく、サーバーPCのOSに搭載されているファイアウォールも設定する必要があります。Windows Defender ファイアウォールを例に説明します。

  1. Windows Defender ファイアウォールの設定を開く:

    • スタートメニューの検索バーに「ファイアウォール」と入力し、「Windows Defender ファイアウォールとセキュリティが強化されたWindows Defender ファイアウォール」を選択します。
    • 左側のメニューから「詳細設定」をクリックします。
  2. 受信の規則を追加する:

    • 左側のメニューで「受信の規則」を選択します。
    • 右側の「操作」パネルで「新しい規則」をクリックします。
    • 規則の種類: 「ポート」を選択し、「次へ」。
    • プロトコルおよびポート:
      • 「TCP」にチェック。
      • 「特定のローカルポート」にチェックを入れ、25565と入力し、「次へ」。
    • 操作: 「接続を許可する」を選択し、「次へ」。
    • プロファイル: 「ドメイン」「プライベート」「パブリック」の全てにチェックが入っていることを確認し、「次へ」。
    • 名前: 規則の識別のための名前を入力します(例: Minecraft Server TCP 25565)。任意で説明を追加し、「完了」。

これで、サーバーPCのファイアウォールが25565番ポートへのTCP接続を許可するようになります。

接続テスト

ルーターとファイアウォールの設定が完了したら、実際に外部からサーバーに接続できるかテストしましょう。

  1. あなたのグローバルIPアドレスを確認する:

    • サーバーPCから「whatismyipaddress.com」などのサイトにアクセスすると、あなたのグローバルIPアドレス(外部から見えるIPアドレス)が表示されます。このIPアドレスを友達に教えます。
    • 注意: 家庭用回線の場合、グローバルIPアドレスは時間とともに変わる(動的IPアドレス)ことがあります。IPアドレスが変わるたびに友達に新しいIPを教えるのは面倒なので、後述の「ダイナミックDNS」の利用を検討してください。
  2. 友達に接続してもらう:

    • 友達にMinecraftを起動してもらい、「マルチプレイ」→「サーバーを追加」を選択。
    • 「サーバーアドレス」の欄に、あなたのグローバルIPアドレス(例: XXX.YYY.AAA.BBB)を入力してもらい、「完了」。
    • サーバーリストにあなたのサーバーが表示され、接続できれば成功です!
    • 自分で自分のグローバルIPアドレスに接続しようとすると、ルーターのループバック機能によってはできない場合があります。必ず外部のPC(友人など)からテストしてもらいましょう。

第5章:MCPサーバーの運用と管理

サーバーを構築したら、次は安定して運用し、プレイヤーが快適に遊べるように管理していくことが重要です。

5.1. サーバーの起動と停止

  • 起動: 作成したstart.batファイルをダブルクリックするだけです。
  • 停止: サーバーコンソール(コマンドプロンプト)で stop と入力し、Enterキーを押します。これにより、ワールドデータが安全に保存され、サーバーがシャットダウンします。強制的にコマンドプロンプトを閉じたり、PCの電源を切ったりすると、ワールドデータが破損する可能性があるため、必ずstopコマンドを使用してください。

5.2. オペレーター(OP)権限の付与と管理

サーバー管理者には、「オペレーター(OP)」権限を付与することで、様々な管理コマンドが使用できるようになります。

  1. OP権限の付与:

    • サーバーが起動している状態で、サーバーコンソールに以下のコマンドを入力し、Enterキーを押します。
      op [プレイヤー名]
      例: op YourMinecraftName
    • これにより、指定したプレイヤーにOP権限が付与されます。
  2. OP権限の解除:

    • OP権限を解除したい場合は、以下のコマンドを使用します。
      deop [プレイヤー名]
  3. OP権限でできること:

    • ゲームモードの変更(/gamemode
    • 時刻の変更(/time set
    • 天候の変更(/weather
    • アイテムの付与(/give
    • テレポート(/tp
    • プレイヤーの追放・BAN(/kick/ban
    • その他のサーバー管理コマンド

5.3. コマンドの利用

サーバーコンソールや、OP権限を持つプレイヤーは、様々なコマンドを使用してサーバーを操作できます。

  • save-all: ワールドデータを強制的に保存します。定期的に実行することをおすすめします。
  • list: 現在接続しているプレイヤーの一覧を表示します。
  • say [メッセージ]: サーバー全体のプレイヤーにメッセージを送信します(例: say メンテナンスのため、30分後にサーバーを停止します。)。
  • kick [プレイヤー名] [理由]: 指定したプレイヤーをサーバーから一時的に追放します。
  • ban [プレイヤー名] [理由]: 指定したプレイヤーをサーバーから永久に追放します。ban-ip [IPアドレス]でIPアドレスでのBANも可能です。
  • pardon [プレイヤー名]: BANを解除します。
  • whitelist add [プレイヤー名]: ホワイトリストにプレイヤーを追加します(ホワイトリストが有効な場合)。
  • whitelist remove [プレイヤー名]: ホワイトリストからプレイヤーを削除します。
  • whitelist on/off: ホワイトリストの有効/無効を切り替えます。
  • reload: プラグインの設定変更などをリロードします。ただし、問題が発生する可能性があるため、基本的にサーバーの再起動を推奨します。

5.4. ホワイトリスト/ブラックリストの管理

  • ホワイトリスト(white-list.json):

    • server.propertieswhite-list=trueに設定すると有効になります。
    • このリストに登録されているプレイヤーのみがサーバーに接続できるようになります。不特定多数のアクセスを防ぎ、プライベートなサーバーではセキュリティ向上のため必ず有効にすることをおすすめします。
    • OP権限で/whitelist add [プレイヤー名]コマンドを使って追加・削除できます。
  • ブラックリスト(banned-players.json, banned-ips.json):

    • /banコマンドや/ban-ipコマンドでBANされたプレイヤーやIPアドレスが記録されます。
    • これらのリストに登録されているプレイヤーやIPアドレスからの接続は拒否されます。荒らし対策に利用します。

5.5. バックアップの重要性とその方法

サーバーのデータ(特にワールドデータ)は非常に重要です。予期せぬトラブル(データ破損、PC故障、誤操作など)に備え、定期的なバックアップを必ず行いましょう。

  • バックアップ対象:
    • サーバーフォルダ全体(特にworldフォルダ、pluginsフォルダ、server.propertieseula.txtなど)。
  • バックアップの頻度:
    • 毎日、または重要な建築や進捗があった後。
  • バックアップの方法:
    • 手動:
      1. サーバーをstopコマンドで停止します。
      2. サーバーフォルダ全体を別の安全な場所(外付けHDD、クラウドストレージなど)にコピーします。
      3. サーバーを再起動します。
    • 自動(プラグイン利用): Paper/Spigotサーバーの場合、プラグイン(例: Backupプラグインなど)を利用して、定期的に自動でバックアップを作成できます。サーバーを停止することなくバックアップできるものもあります。
    • 自動(スクリプト利用): バッチファイルやシェルスクリプトを作成し、タスクスケジューラなどで定期的に実行させる方法もあります。この場合も、バックアップ中はサーバーを停止するか、/save-allコマンドでデータを保存することを推奨します。

5.6. パフォーマンス監視と最適化のヒント

サーバーが重くなったり、ラグが発生したりするのは、リソースが不足しているか、設定が最適化されていないためです。

  • RAMの割り当て: start.bat-Xmxで設定したメモリが適切か確認しましょう。少なすぎると頻繁なガベージコレクション(GC)でサーバーが一時停止し、ラグの原因になります。多すぎても無駄になります。
  • view-distance: server.propertiesview-distanceは、サーバーの負荷に最も大きく影響する設定の一つです。値を小さくすることで、サーバーの負荷を大幅に軽減できます。通常、6〜8程度に設定することが多いです。
  • プラグイン/Modの影響: 多くのプラグインやModを導入すると、サーバーのリソース消費が増大します。不要なものは削除し、重いことが知られているもの(大規模なワールド生成系Modなど)は導入を慎重に検討しましょう。
  • 不要な機能の無効化: server.propertiesで、必要のない機能(例: スポーンしない動物やモンスター、ネザー、エンドなど)をfalseにすることで、わずかながら負荷を軽減できる場合があります。
  • Tick速度の監視: /tpsコマンド(Paper/Spigotの場合)で、サーバーのTick per second (TPS) を確認できます。20TPSが理想で、これより低いとラグが発生しています。
  • World Pre-generation: 広大なワールドを事前に生成しておくことで、プレイヤーが新しいチャンクに移動する際のサーバー負荷を軽減できます。Modやプラグイン(WorldBorderなど)でワールドを事前に生成できます。
  • アンロードチャンクの最適化: Paperなどの最適化されたサーバーソフトウェアは、プレイヤーが離れたチャンクを効率的にアンロードし、メモリ消費を抑える機能を持っています。設定ファイルで調整できる場合があります。

5.7. セキュリティ対策

サーバーを公開する以上、セキュリティは常に意識すべき重要事項です。

  • online-mode=trueの徹底: 何度も言いますが、これは最も基本的なセキュリティ対策です。クラック版Minecraftからの接続を防ぎます。
  • ホワイトリストの活用: プライベートなサーバーでは必ず有効にし、信頼できるプレイヤーのみを登録しましょう。
  • 強力なパスワード: ルーターの設定、VPSのSSH接続、サーバー管理パネルなどのパスワードは、複雑で推測されにくいものを設定しましょう。
  • OP権限の厳重な管理: OP権限はサーバーに対する絶大な権限を持ちます。信頼できる少数のプレイヤーにのみ付与し、不必要なOP権限は速やかに解除しましょう。
  • サーバーソフトウェア・OSの更新: Minecraftサーバーソフトウェア、Java、そしてサーバーを動かしているOS(Windows、Linuxなど)は、常に最新のバージョンに保ちましょう。脆弱性が修正されるため、セキュリティが向上します。
  • DDoS対策: 自宅サーバーではDDoS攻撃への対策は難しいですが、VPSなどのサービスではDDoS攻撃からの保護機能が提供されている場合があります。
  • ログの監視: サーバーのログファイル(latest.logなど)は、サーバー内で何が起こっているかを記録しています。エラーメッセージや不正なアクセス試行がないか、定期的に確認しましょう。
  • IPアドレスの非公開: サーバーのIPアドレスは、信頼できる人にだけ教え、SNSなどで公開しないようにしましょう。

第6章:プラグインとModの世界(サーバー拡張の楽しみ)

MCPサーバーの最大の魅力の一つは、プラグインやModを導入して、Minecraftのゲーム体験を大きく変えられることです。

6.1. プラグインとは?

プラグインは、主にSpigot/Paperサーバーで導入できる、サーバーの機能を追加・変更する小さなソフトウェアです。ゲームのコアファイルを変更するModとは異なり、サーバーのAPI(Spigot/Bukkit API)を利用して動作するため、サーバー側の管理機能やゲームルールを柔軟にカスタマイズできます。

6.1.1. Bukkit/Spigot/Paper用プラグインの導入方法

  1. プラグインのダウンロード:

    • 公式のプラグイン配布サイト「SpigotMC Resources」(https://www.spigotmc.org/resources/)などで、導入したいプラグインを検索し、ダウンロードします。ダウンロードする際は、サーバーのMinecraftバージョンに対応しているかを必ず確認してください。
    • ファイルは通常.jar形式です。
  2. プラグインの配置:

    • ダウンロードした.jarファイルを、サーバーフォルダ内のpluginsフォルダに配置します。pluginsフォルダは、サーバーの初回起動時に自動生成されます。
  3. サーバーの再起動:

    • プラグインを有効にするためには、サーバーを一度stopコマンドで停止し、再度start.batを実行して起動し直す必要があります。
  4. 設定ファイルの確認:

    • 多くのプラグインは、初回起動時にpluginsフォルダ内にそのプラグインの設定ファイル(通常は.yml形式)を生成します。これを編集することで、プラグインの動作を細かくカスタマイズできます。設定変更後は、プラグインが対応していれば/plugin_name reloadのようなコマンドでリロードできますが、確実なのはサーバーの再起動です。

6.1.2. 代表的なプラグインの紹介

  • EssentialX:
    • ほぼ全てのサーバーで導入されていると言っても過言ではない、必須級の多機能プラグイン。ホーム、ワープ、テレポート、チャット色付け、経済システム、権限グループなど、基本的な管理機能を網羅しています。
  • WorldEdit / WorldGuard:
    • WorldEdit: 大規模な建築や地形編集を効率的に行うためのコマンド群を提供します。広範囲のブロックを一括で置いたり、コピー&ペーストしたりできます。
    • WorldGuard: ワールド内の特定の領域を保護し、建築物の破壊やPvP、MOBのスポーンなどを制限できます。荒らし対策や、ルールのある区画分けに非常に役立ちます。
  • GriefPrevention:
    • プレイヤーが自分の建築物を簡単に保護できるようにするプラグイン。地面に棒を置くだけで自動的に保護領域が作成され、他のプレイヤーによる破壊を防ぎます。小規模サーバーで荒らし対策をしたい場合に便利です。
  • Vault:
    • 様々な経済プラグインや権限プラグインの「接着剤」となるAPIプラグイン。他のプラグインがVaultを介して経済システムや権限システムと連携できるようにします。単体では機能しませんが、多くの経済・権限系プラグインの前提となるため、導入が推奨されます。
  • LuckPerms:
    • 非常に強力で柔軟な権限管理プラグイン。プレイヤーやグループに細かく権限を割り当て、サーバー内のコマンドやプラグインの機能へのアクセスを制御できます。大規模サーバーでは必須級です。
  • Dynmap:
    • サーバーのワールドをウェブブラウザからリアルタイムで閲覧できるマップを生成するプラグイン。プレイヤーの位置や建築物をウェブ上で確認でき、コミュニティの活性化にも繋がります。

6.2. Modとは?

Mod(モッド)は「Modification」の略で、Minecraftのゲーム本体のコードを直接変更・拡張することで、新しいアイテム、ブロック、MOB、バイオーム、ゲームメカニクスなどを追加するものです。プラグインよりも根本的な変更が可能で、全く新しいゲームのように遊べるModパックも多数存在します。

6.2.1. Forge/FabricサーバーでのMod導入方法

Modサーバーを立てるには、ForgeまたはFabricというModローダーをサーバー側にも導入する必要があります。

  1. Modローダーサーバーの準備:

    • Forgeのウェブサイト(https://files.minecraftforge.net/)またはFabricのウェブサイト(https://fabricmc.net/use/server/)から、サーバー版のModローダーインストーラーをダウンロードします。
    • インストーラーを実行し、「Install server」を選択し、サーバーフォルダを指定してインストールします。これにより、Modローダーが組み込まれたサーバーの.jarファイルが生成されます(例: forge-X.Y.Z-universal.jar)。
    • start.batserver.jarの部分を、生成されたModローダーの.jarファイル名に書き換えます。
  2. Modのダウンロード:

    • Modは主に「CurseForge」(https://www.curseforge.com/minecraft/mc-mods)で配布されています。
    • 導入したいModを検索し、サーバーのMinecraftバージョンとModローダー(Forge版かFabric版か)に一致するものをダウンロードします。
    • ファイルは通常.jar形式です。
  3. Modの配置:

    • ダウンロードした.jarファイルを、サーバーフォルダ内のmodsフォルダに配置します。modsフォルダは、Modローダーサーバーの初回起動時に自動生成されます。
  4. クライアント側にもModを導入:

    • 重要: サーバーに導入したModと全く同じバージョンのModを、クライアント側のMinecraftにも導入する必要があります。Modローダー(Forge/Fabric)もクライアント側にインストールし、対応するプロファイルで起動します。
    • Modパックをプレイする場合、専用のランチャー(FTB App, CurseForge Appなど)を利用すると、クライアント側のMod導入が簡単になります。
  5. サーバーの再起動:

    • Modを有効にするには、サーバーを再起動する必要があります。

6.2.2. 代表的なModの種類

  • 技術系Mod:
    • Applied Energistics 2 (AE2): 大量のアイテムを効率的に管理・自動化するシステム。
    • Thermal Expansion: 発電機、精錬機、自動化装置などを追加。
    • IndustrialCraft 2 (IC2): 電力システムと機械を追加。
  • 魔法系Mod:
    • Thaumcraft: ルーンやポーション、ゴーレムを使った魔法システム。
    • Botania: 植物の力を使った魔法と自動化。
  • 探検・アドベンチャー系Mod:
    • Twilight Forest: 新しいディメンションとボスを追加。
    • Dungeons and Dragons Mod: ダンジョン、モンスター、装備などを追加。
  • バイオーム・地形生成系Mod:
    • Biomes O' Plenty: 多数の新しいバイオームと美しい地形を生成。
  • 便利系Mod (クライアント・サーバー両方にあると便利):
    • JEI (Just Enough Items): レシピを確認したり、アイテムを検索したりできる。
    • Journeymap: ミニマップやフルスクリーンマップを表示し、ウェイポイントを設定できる。

6.3. プラグインとModの選び方、導入時の注意点

  • バージョン互換性: 最も重要です。導入したいプラグインやModが、あなたのMinecraftサーバーのバージョン(例: 1.19.4)と、使用しているサーバーソフトウェア(Paper、Forgeなど)に対応しているか、必ず確認してください。
  • 依存関係: 一部のプラグインやModは、他の特定のプラグインやModが導入されていることを前提としています(「依存関係」)。必要な依存関係のファイルを全て導入しないと動作しません。
  • リソース消費: プラグインやModは、サーバーのリソース(CPU、メモリ)を消費します。特に大規模なModパックや多数のプラグインは、高性能なサーバーが必要になります。
  • コンフリクト(競合): 複数のプラグインやModが同じ機能を変更しようとしたり、互いに干渉したりして、正しく動作しなかったり、サーバーがクラッシュしたりすることがあります。
    • 特にModの場合、異なるMod同士の競合は頻繁に起こります。情報収集やログの確認が重要になります。
  • 情報収集: プラグインやModの導入前には、その開発元のページやWiki、コミュニティなどで導入方法、設定、既知のバグなどの情報を確認しましょう。
  • バックアップ: 新しいプラグインやModを導入する前には、必ずサーバーのバックアップを取っておきましょう。問題が発生した場合でも、以前の状態に戻すことができます。

6.4. サーバーのカスタマイズ例

プラグインやModを組み合わせることで、以下のような様々なタイプのサーバーを構築できます。

  • 経済サバイバルサーバー: プレイヤー間でアイテムを売買できるショップ、経済システム、土地保護、職業システムなどを導入。
  • RPGサーバー: 独自のクエスト、スキルシステム、ダンジョン、ボスMOB、カスタムアイテムなどを追加。
  • ミニゲームサーバー: SkyWars, BedWars, Parkourなど、様々なミニゲームを提供。
  • Towny/Factionsサーバー: プレイヤーが町や派閥を形成し、領域を保護したり、PvPを繰り広げたりできる。
  • Modパックサーバー: 特定のModパック(例: SevTech Ages, All the Modsなど)を導入し、全く新しい冒険や自動化の世界を楽しむ。

このように、MCPサーバーはあなたの想像力と技術力次第で、無限の可能性を秘めています。


第7章:MCPサーバー構築のトラブルシューティング

サーバー構築や運用中に、様々な問題に直面することがあります。ここでは、よくある問題とその解決策をいくつか紹介します。

7.1. よくある問題と解決策

7.1.1. サーバーが起動しない

  • EULAへの同意忘れ:
    • eula.txtを開いてeula=trueになっているか確認してください。
  • Javaのバージョンが古い/間違っている:
    • Minecraftのバージョンに対応したJava(1.17以降ならJava 17以降、1.16.5までならJava 8)がインストールされているか、java -versionで確認してください。
    • start.batが正しいjavaコマンドを見つけられているか、Pathが通っているか確認してください。フルパスでC:\Program Files\Java\jdk-17.0.x\bin\java.exeのように指定するのも手です。
  • server.jarのファイル名が間違っている:
    • start.bat-jarの後に指定されているファイル名が、サーバーフォルダ内の.jarファイル名と完全に一致しているか確認してください。
  • メモリ割り当てが多すぎる/少なすぎる:
    • -Xmxで指定したメモリが、PCの物理メモリを超えていないか確認してください。また、少なすぎると起動に失敗することもあります。
  • エラーログを確認する:
    • サーバーフォルダ内のlogsフォルダにあるlatest.logや、サーバーコンソールのエラーメッセージをよく読みましょう。エラーの原因が具体的に書かれていることが多いです。

7.1.2. プレイヤーが接続できない(”Can’t connect to server” など)

  • サーバーが起動しているか?:
    • 最も基本的な確認事項です。start.batを実行して、コンソールにDone!のメッセージが表示されているか確認してください。
  • 正しいIPアドレスを使っているか?:
    • 自宅サーバーの場合: 外部のプレイヤーはあなたのグローバルIPアドレスで接続する必要があります。内部のプレイヤーはlocalhostまたはあなたのローカルIPアドレスで接続できます。
    • レンタルサーバーの場合: プロバイダから提供されたIPアドレスを使用します。
  • ポート開放はできているか?:
    • 自宅サーバーの場合、ルーターのポートフォワーディング設定が正しく行われているか、再度確認してください。
    • cman.jp/network/support/go_port.cgi のようなポート開放確認ツールを使って、25565番ポートが開いているかチェックできます。
  • ファイアウォールは許可されているか?:
    • サーバーPCのWindows Defenderファイアウォール(または他のセキュリティソフト)で、25565番ポートのTCP通信が許可されているか確認してください。
  • online-mode=trueとクライアント:
    • server.propertiesonline-mode=trueに設定している場合、接続するプレイヤーは正規のMinecraftアカウントである必要があります。クラック版のMinecraftクライアントは接続できません。
  • サーバーのバージョンとクライアントのバージョンが一致しているか?:
    • サーバーのMinecraftバージョン(例: 1.20.1)と、クライアントのMinecraftバージョン(例: 1.20.1)が完全に一致しているか確認してください。異なるバージョンでは接続できません。Modサーバーの場合はModローダー(Forge/Fabric)とModのバージョンも一致させる必要があります。
  • ルーターの再起動:
    • ルーターの設定を変更した場合、設定を適用するためにルーターを再起動すると問題が解決することがあります。
  • ISP(インターネットサービスプロバイダ)の問題:
    • 一部のプロバイダでは、ポート開放ができない場合があります(キャリアグレードNATなど)。この場合、プロバイダに問い合わせるか、別のホスティング方法を検討する必要があります。

7.1.3. サーバーが重い、ラグい(TPSが低い)

  • メモリ不足:
    • start.bat-Xmxで割り当てているメモリを増やすことを検討してください。ただし、物理メモリの上限を超えないように。
  • CPU負荷が高い:
    • タスクマネージャー(Windows)やtopコマンド(Linux)で、サーバープロセスのCPU使用率を確認します。高い場合は、より高性能なCPUが必要か、後述の最適化を検討します。
  • view-distanceが高すぎる:
    • server.propertiesview-distanceの値を下げてみましょう。これはサーバーの負荷に最も大きく影響します。
  • プラグイン/Modが多すぎる、または重いプラグイン/Modがある:
    • 新しく導入したプラグインやModが原因かもしれません。一つずつ無効にして、原因を特定してみましょう。
    • Paper/Spigotサーバーの場合、timings reportコマンドで、サーバーの処理時間の内訳を確認できます。どのプラグインや処理が重いのかを特定するのに役立ちます。
  • ワールドデータが大きすぎる:
    • 長期間運用しているとワールドデータが巨大になり、読み込みに時間がかかったり、メモリを大量に消費したりすることがあります。不要なチャンクの削除などを検討します。
  • ネットワーク速度が不足している:
    • 特にアップロード速度が遅いと、プレイヤー数が増えた際にラグが発生しやすくなります。

7.1.4. ポート開放ができない

  • ルーターの設定ミス:
    • IPアドレス、ポート番号、プロトコル(TCP)が正しいか何度も確認しましょう。
  • サーバーPCのIPアドレスが変動している:
    • サーバーPCのローカルIPアドレスを固定に設定し直しましょう。
  • 二重ルーター環境:
    • ルーターが2台以上繋がっている場合、一番上位のルーターでポート開放が必要です。または、上位ルーターをブリッジモード(APモード)にするなどの設定変更を検討します。
  • キャリアグレードNAT:
    • プロバイダの提供する回線が、そもそも外部からのポート開放に対応していない場合があります。プロバイダに問い合わせるか、VPSなどの外部ホスティングサービスを利用するしかありません。
  • ファイアウォールの問題:
    • サーバーPCのOSのファイアウォール、あるいは別途インストールしているセキュリティソフトのファイアウォール設定を確認します。

7.2. エラーログの読み方

トラブルが発生した際、最も重要な情報源はサーバーフォルダ内のlogsフォルダに保存されているlatest.logファイルです。

  • エラーメッセージを探す: [ERROR], [WARN], Exception in thread などのキーワードでログを検索しましょう。
  • スタックトレース: at com.example.plugin.MyPlugin.someMethod(MyPlugin.java:123) のような行は、エラーが発生したコードの場所を示しています。プラグイン名やMod名が含まれていれば、そのプラグイン/Modが原因である可能性が高いです。
  • 検索: ログに出力されたエラーメッセージの具体的な内容(特に一番最初のCaused by:java.lang.で始まる行)をコピーして、Googleなどで検索すると、同じ問題に遭遇した人の解決策が見つかることが多いです。

トラブルシューティングは、問題の原因を特定し、一つずつ解決していく地道な作業ですが、この経験があなたのサーバー管理スキルを大きく向上させるでしょう。


第8章:より高度なMCPサーバー構築・運用へ

基本的なサーバー構築と運用に慣れてきたら、さらに高度なサーバーの形に挑戦してみましょう。

8.1. BungeeCord/Velocityによる複数サーバー連携

前述の通り、BungeeCordやVelocityは、複数のMinecraftサーバーを一つのネットワークとして接続するためのプロキシサーバーです。

  • 目的:
    • ロビーサーバー、サバイバルサーバー、クリエイティブサーバー、ミニゲームサーバーなど、異なるゲームモードやワールドをシームレスに切り替えることを可能にする。
    • プレイヤー数を分散させ、各サーバーの負荷を軽減する。
    • 大規模なサーバーネットワークを構築し、プロフェッショナルな体験を提供する。
  • 仕組み:
    • BungeeCord/Velocityサーバーが最前面に立ち、外部からの接続を受け付けます。
    • プレイヤーはBungeeCord/Velocityに接続した後、コマンド(例: /server survival)を使って、その下にある子サーバー(Paper/Spigot/Forgeなど)に移動します。
    • 子サーバーはonline-mode=falseに設定し、BungeeCord/Velocityからの接続のみを許可するように設定します。これにより、子サーバーに直接アクセスされるのを防ぎ、認証をBungeeCord/Velocityに任せます。

この仕組みを導入するには、個々のサーバーの設定に加え、BungeeCord/Velocityの設定、そして子サーバー側の特殊な設定(IP Fowardを有効にするなど)が必要になり、非常に複雑になります。しかし、これをマスターすれば、あなたのサーバーは一般的なコミュニティサーバーへと大きく飛躍するでしょう。

8.2. Dockerを利用したサーバー構築

Dockerは、アプリケーションとその実行に必要なもの全てを「コンテナ」と呼ばれる独立したパッケージにまとめる技術です。MinecraftサーバーをDockerコンテナとして構築・運用することで、以下のようなメリットがあります。

  • 環境の分離: サーバーに必要な依存関係(Javaなど)をOSから分離し、クリーンな環境を保てます。
  • 可搬性: コンテナはどのDocker環境でも同じように動作するため、サーバーを別のマシンに移行するのが容易になります。
  • 管理の容易さ: Docker Composeなどのツールを使えば、複数のMinecraftサーバーや関連サービス(データベースなど)を一元的に管理できます。
  • バージョン管理: 異なるバージョンのMinecraftサーバーを同じマシン上で共存させるのが容易になります。

Dockerを学ぶにはLinuxの基礎知識やコマンドライン操作が必要ですが、一度習得すれば、Minecraftサーバーだけでなく、他の様々なアプリケーションのデプロイにも役立つ、非常に強力なスキルとなります。

8.3. 専門のMinecraftサーバーホスティングサービス

自分でVPSを借りてOSから設定したり、自宅サーバーのポート開放に苦労したりする手間を省きたい場合、Minecraftサーバーに特化したホスティングサービスを利用するのも一つの手です。

  • メリット:
    • 専用の管理パネルがあり、サーバーの起動・停止、Mod/プラグインの導入、設定変更などが簡単に行える。
    • Minecraftサーバーのパフォーマンスに最適化された環境が提供される。
    • DDoS攻撃保護などのセキュリティ機能が充実している場合が多い。
    • カスタマーサポートが利用できる。
  • デメリット:
    • VPSを自分で借りるよりも費用が高くなる傾向がある。
    • 提供される機能やカスタマイズの自由度に制限がある場合がある。

代表的なサービスには、Aternos(無料だが機能制限あり)、Shockbyte, Apex Hosting, G-Portalなどがあります。手軽さとお金を天秤にかけて選択しましょう。

8.4. 大規模サーバー運営の課題と工夫

何十人、何百人ものプレイヤーが同時に接続するような大規模サーバーを運営するには、さらに多くの課題と工夫が必要です。

  • 負荷分散: BungeeCord/Velocityによる複数サーバー構成は必須。
  • データベースの利用: 多くのプラグインやシステム(経済、統計、ログインシステムなど)は、MySQLなどのデータベースにデータを保存します。
  • ストレージ最適化: ワールドデータのI/O速度がボトルネックになるため、NVMe SSDなどの高速ストレージが必須。
  • ネットワークインフラ: 専用の高速回線とDDoS対策。
  • 管理者チーム: プレイヤー管理、サポート、イベント企画など、一人では手に負えなくなるため、信頼できるチームメンバーが必要になります。
  • コミュニティ運営: Discordなどのコミュニケーションツールを活用し、ルールを明確にし、プレイヤー間のトラブルに対応する。
  • 自動化: 定期的なバックアップ、サーバー再起動、ログ分析などを自動化する。
  • 高度なセキュリティ: 不正ログイン対策、チート対策、荒らし対策など、より専門的なセキュリティプラグインやシステムが必要になります。

大規模サーバーの運営は、もはやゲームの域を超え、一つの小さなITサービスを運用するような感覚になりますが、多くのプレイヤーに楽しい場所を提供できるという大きなやりがいがあります。


結論:あなたのMinecraftライフはさらに広がる!

この記事では、Minecraftサーバー(MCPサーバー)とは何かという基本的な概念から、サーバーの種類、構築の準備、具体的なセットアップ手順、運用・管理、そしてプラグインやModによる拡張、さらには高度な運用方法まで、幅広く解説してきました。

MCPサーバーを自分で構築し、運用することは、確かに手間と技術的な知識を要する作業です。しかし、その過程で得られる知識やスキルは、単にゲームを遊ぶためだけでなく、IT全般に関する理解を深める上でも非常に役立つでしょう。そして何よりも、自分だけの、あるいは仲間たちとの理想のMinecraftワールドを創造し、運営できるという達成感は、何物にも代えがたいものです。

最初はVanillaサーバーから始めてみて、徐々にPaperサーバーに移行し、プラグインを導入して機能を拡張していくのが、最もスムーズなステップアップです。トラブルに直面しても、ログを読み、情報を検索し、試行錯誤することで、必ず解決策は見つかります。

Minecraftの世界は無限大です。そして、MCPサーバーの力を使えば、その無限の世界をさらに自分好みにカスタマイズし、多くの人々と共有することができます。さあ、この記事で得た知識を武器に、あなたもMinecraftマルチプレイの新たな扉を開き、唯一無二のサーバーを作り上げてみませんか?

あなたのMinecraftライフが、さらに豊かで創造的なものになることを願っています!


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