はい、承知いたしました。
「【初心者向け】PyCharmのダウンロードとインストール方法を徹底解説」というテーマで、約5000語の詳細な記事を作成します。以下、記事本文です。
【初心者向け】PyCharmのダウンロードとインストール方法を徹底解説
「Pythonでプログラミングを始めてみたい!」
「もっと効率的にコードを書きたい!」
そう思っているあなたに、最強の相棒となるツールをご紹介します。その名もPyCharm(パイチャーム)です。
PyCharmは、Pythonというプログラミング言語に特化した「統合開発環境(IDE)」です。料理人が使いやすい調理器具を揃えるように、プログラマーも開発を快適に進めるための道具を使います。PyCharmは、その中でも世界中の多くのPython開発者から絶大な支持を得ている、まさに「プロの道具」なのです。
しかし、「プロの道具」と聞くと、なんだか難しそうに感じてしまうかもしれません。ご安心ください。PyCharmは初心者にとっても非常に親切な設計になっており、むしろプログラミング学習の初期段階で導入することで、多くのつまずきを解消し、学習をスムーズに進めてくれます。
この記事では、プログラミング経験がまったくない初心者の方でも迷うことなくPyCharmを自分のパソコンに導入できるよう、以下の内容をどこよりも詳しく、スクリーンショット付きのイメージで徹底的に解説していきます。
- PyCharmとは何か?なぜ必要なのか?
- 無料版と有料版、どちらを選べばいいの?
- インストール前のPC環境チェックリスト
- Windows / macOS それぞれのダウンロード&インストール手順
- 最初の起動時に行うべき初期設定
- 記念すべき最初のプログラムを作成して動かすまで
この記事を最後まで読み終える頃には、あなたのパソコンにはPyCharmがインストールされ、簡単なPythonプログラムを実行できるようになっているはずです。さあ、一緒にPythonプログラミングの世界への第一歩を踏み出しましょう!
1. PyCharmって何? なぜ初心者にこそおすすめなの?
まずは、PyCharmが一体どのようなツールなのか、そしてなぜプログラミング初心者にこそ使ってほしいのか、その理由からご説明します。
1.1. 統合開発環境(IDE)とは?
PyCharmは「統合開発環境(IDE: Integrated Development Environment)」と呼ばれるソフトウェアの一種です。
プログラミングは、極端な話、Windowsの「メモ帳」やMacの「テキストエディット」のようなシンプルなテキストエディタでも可能です。しかし、それはまるで、地図もコンパスも持たずに広大な森に足を踏み入れるようなもの。道に迷ったり、思わぬミスを犯したりする可能性が高くなります。
統合開発環境(IDE)は、プログラミングという冒険を安全で快適な旅にするための、多機能なナビゲーションシステムのようなものです。具体的には、以下のような機能が一つにまとめられています。
- コードエディタ: コードを記述するための高機能なテキストエディタ。
- デバッガ: コードの間違い(バグ)を見つけて修正するのを助けてくれるツール。
- コンパイラ/インタプリタ: 人間が書いたコードをコンピュータが理解できる言葉に翻訳する機能。
- 自動補完機能: コードの入力を予測して候補を表示してくれる機能。
- バージョン管理システム連携: Gitなどを使ってコードの変更履歴を管理する機能。
これらの機能が「統合」されているため、あちこちのツールを切り替えることなく、一つの画面で開発作業を完結させることができるのです。
1.2. PyCharmを使う5つのメリット
数あるIDEの中でも、なぜPyCharmがPython開発において特に優れているのでしょうか。初心者にとって嬉しいメリットを5つご紹介します。
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強力なコード補完とエラーチェック
PyCharmは、あなたがコードを書いている最中から、次に入力すべきコードの候補を賢く提示してくれます(コード補完)。これにより、タイプミスを防ぎ、関数の名前などを正確に覚えなくてもスムーズにコーディングできます。また、文法的な間違いや明らかなバグになりそうな箇所をリアルタイムで指摘してくれるため、エラーを早期に発見し、修正する手助けをしてくれます。これは、独学でつまずきがちな初心者にとって、まるで隣に経験豊富なメンターがいるかのような安心感を与えてくれます。 -
分かりやすいデバッグ機能
プログラムが思った通りに動かない時、「デバッグ」という作業が必要になります。これはプログラムの虫(バグ)を取り除く作業です。PyCharmのデバッガは、プログラムを一行ずつ実行したり、途中の変数の値を確認したりすることが視覚的に行えます。なぜエラーが起きているのか、その原因を突き止める作業が格段に楽になります。 -
プロジェクト管理が簡単
複数のPythonファイルや関連ファイルを一つの「プロジェクト」としてまとめて管理できます。これにより、ファイル構成が整理され、どこに何があるのかが一目瞭然になります。初心者のうちは数個のファイルで済みますが、学習が進むにつれて扱うファイルが増えても、混乱することなく開発を続けられます。 -
仮想環境の構築をサポート
「仮想環境」という言葉を初めて聞く方も多いでしょう。これは、プロジェクトごとに独立したPythonの実行環境を作る仕組みのことです。例えば、AというプロジェクトではライブラリXのバージョン1.0を使い、Bというプロジェクトではバージョン2.0を使いたい、といった場合に役立ちます。PyCharmは、この仮想環境の作成を半自動的に行ってくれるため、初心者が混乱しがちな環境構築の手間を大幅に削減してくれます。 -
豊富なプラグインで拡張可能
PyCharmは、プラグインを追加することで機能を拡張できます。例えば、エディタの見た目を好きなデザインに変えたり、特定のフレームワーク(Webアプリを作るための骨組みなど)の開発を支援するツールを追加したりできます。学習の進捗に合わせて、自分好みにカスタマイズしていく楽しみもあります。
これらのメリットにより、PyCharmはプログラミング学習の強力なサポーターとなり、あなたの成長を加速させてくれるでしょう。
2. エディション選び:無料のCommunity vs 有料のProfessional
PyCharmには、「Community(コミュニティ)」と「Professional(プロフェッショナル)」という2つのエディションがあります。どちらを選べば良いか、それぞれの特徴を見ていきましょう。
項目 | Community Edition | Professional Edition |
---|---|---|
価格 | 無料 | 有料(サブスクリプション) |
対象 | Python学習者、個人開発、オープンソース開発 | プロの開発者、企業、科学技術計算、Web開発 |
主な機能 | ・インテリジェントなコードエディタ ・コード補完、エラーチェック ・グラフィカルなデバッガ ・単体テストの実行 ・バージョン管理(Gitなど) |
Community版の全機能に加えて… ・Webフレームワーク対応(Django, Flaskなど) ・データベースツール ・科学計算ツール(Jupyter Notebook連携など) ・リモート開発機能 ・プロファイラ(パフォーマンス分析) |
商用利用 | 可能 | 可能 |
結論:初心者は「Community Edition」で全く問題なし!
結論から言うと、これからPythonを学び始める初心者の方は、迷わず無料の「Community Edition」を選びましょう。
Community Editionには、Pythonプログラミングの基本を学び、小規模なアプリケーションを開発するために必要な機能がすべて含まれています。この記事で紹介したようなコード補完、デバッグ機能、プロジェクト管理といった核心的な機能は、すべて無料で利用できます。
Professional Editionは、Webアプリケーション開発、データサイエンス、機械学習といった、より専門的で高度な分野に進んだ際に必要となる機能が追加された、まさにプロ向けのバージョンです。
まずはCommunity EditionでPyCharmの操作に慣れ、Pythonの基礎をしっかりと身につけましょう。そして、将来的にWeb開発やデータサイエンスに挑戦したくなった時に、Professional Editionへのアップグレードを検討すれば十分です。
この記事でも、Community Editionのインストール方法を前提として解説を進めていきます。
3. 【STEP 1】インストール前の準備:PC環境の確認
料理を始める前に調理器具や食材を準備するように、PyCharmをインストールする前にも、いくつか確認しておくべきことがあります。このステップをしっかり行うことで、後のインストール作業がスムーズに進みます。
3.1. PyCharmのシステム要件を確認しよう
PyCharmは比較的高機能なソフトウェアなので、快適に動作させるためには、お使いのパソコンが一定のスペック(性能)を満たしている必要があります。
公式サイト(JetBrains)が提示している最新のシステム要件を確認するのが最も確実ですが、2024年時点での一般的な目安は以下の通りです。
- OS:
- Windows 10/11 (64-bit)
- macOS 10.15 (Catalina) 以降
- Linux (主要な64-bitディストリビューション)
- RAM (メモリ): 最低 8 GB、16 GB以上を推奨
- ディスク空き容量: 最低 5 GB の空き容量 (SSD推奨)
- モニター解像度: 最低 1024×768
特にRAM(メモリ)は重要です。8GBでも動作しますが、Webブラウザで調べ物をしながらPyCharmを使うといった一般的な使い方をすると、動作が重く感じられることがあります。可能であれば16GB以上のメモリが搭載されたPCだと、ストレスなく快適に作業できます。
3.2. 自分のPCのスペック確認方法
【Windowsの場合】
- スタートボタンを右クリックし、「システム」を選択します。(または、スタートメニューから「設定」→「システム」→「詳細情報」)
- 表示された画面で、「デバイスの仕様」という項目を確認します。
- プロセッサ: CPUの情報
- 実装RAM: 搭載されているメモリ容量
- システムの種類: 「64ビット オペレーティングシステム」となっているか確認
- 「Windowsの仕様」でOSのバージョン(Windows 11 Homeなど)が確認できます。
- ディスクの空き容量は、エクスプローラーを開き、「PC」を選択すると、Cドライブなどの空き領域が確認できます。
【macOSの場合】
- 画面左上のアップルメニュー(りんごのマーク)をクリックし、「このMacについて」を選択します。
- 表示されたウィンドウの「概要」タブで、以下の情報を確認できます。
- macOSのバージョン(例: macOS Sonoma)
- プロセッサ(例: Apple M2, Intel Core i7)
- メモリ
- 「ストレージ」タブに切り替えると、ディスクの空き容量が確認できます。
システム要件を満たしていることが確認できたら、次のステップに進みましょう。
3.3. 最重要:Python本体を先にインストールしておこう!
これは初心者が非常によく勘違いするポイントです。
PyCharmは、あくまでPythonコードを書くための「エディタ(開発環境)」であり、Pythonプログラムを動かすための「Python本体(インタプリタ)」は含まれていません。
包丁(PyCharm)だけあっても、切るべき食材(Python本体)がなければ料理ができないのと同じです。
そのため、PyCharmをインストールする前に、必ずPython本体をあなたのパソコンにインストールしておく必要があります。
【Pythonのインストール方法】
- Python公式サイトのダウンロードページにアクセスします。
https://www.python.org/downloads/ - トップに表示されている「Download Python [最新バージョン番号]」というボタンをクリックして、インストーラーをダウンロードします。
- ダウンロードしたインストーラーを実行します。
- 【Windowsユーザーは特に注意!】 インストーラーの最初の画面で、必ず「Add Python.exe to PATH」または「Add python.org to PATH」というチェックボックスにチェックを入れてください。 これを忘れると、後でPyCharmがPythonを見つけられずに困ることになります。
- 「Install Now」をクリックして、インストールを進めます。
すでにPythonをインストール済みの方は、この手順は不要です。もしインストールしたかどうかわからない場合は、コマンドプロンプト(Windows)やターミナル(macOS)を開いて、python --version
または python3 --version
と入力してみてください。バージョン番号が表示されればインストールされています。
さあ、これで下準備は万端です!いよいよPyCharmのダウンロードとインストールに進みましょう。
4. 【STEP 2】PyCharm Community Edition のダウンロード
ここからは、実際の画面をイメージしながら、ダウンロード手順を解説します。
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JetBrains公式サイトにアクセス
まずは、PyCharmを開発しているJetBrains(ジェットブレインズ)社の公式サイトにアクセスします。
https://www.jetbrains.com/ja-jp/pycharm/ -
ダウンロードページへ移動
サイトの中央にある「ダウンロード」ボタンをクリックします。
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OSとエディションを選択
ダウンロードページに移動すると、あなたのPCのOS(Windows, macOS, Linux)が自動的に選択されているはずです。もし違うOSが選択されていたら、正しいものをクリックしてください。次に、画面に「Professional」と「Community」の2つの選択肢が表示されます。私たちは無料版を使いたいので、「Community」の方に表示されている「ダウンロード」ボタンをクリックします。
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ダウンロードの開始
ボタンをクリックすると、インストーラーファイルのダウンロードが始まります。「pycharm-community-xxxx.x.x.exe」(Windowsの場合)や「pycharm-community-xxxx.x.x.dmg」(macOSの場合)といった名前のファイルです。
ファイルサイズが数百MBと大きいので、ネットワーク環境によっては少し時間がかかります。焦らずに完了を待ちましょう。 -
ダウンロード完了の確認
ダウンロードが完了したら、ブラウザのダウンロードフォルダや、指定した保存先にインストーラーファイルがあることを確認してください。
これで、インストールのための「材料」が手に入りました。次のステップで、この材料を使ってPyCharmをPCに「組み立て」ていきます。
5. 【STEP 3-A】PyCharmのインストール手順 (Windows編)
Windowsユーザーの方は、こちらの手順に沿ってインストールを進めてください。各ステップで表示される画面の意味も詳しく解説するので、安心してついてきてください。
-
インストーラーの起動
ダウンロードした.exe
ファイル(例:pycharm-community-2024.1.exe
)をダブルクリックして実行します。
「ユーザーアカウント制御」のウィンドウが表示された場合は、「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」と聞かれるので、「はい」をクリックします。 -
Welcome画面
「Welcome to PyCharm Community Edition Setup」というウィンドウが表示されます。これはセットアップウィザードの開始画面です。「Next >」をクリックして次に進みます。
-
インストール先の選択
「Choose Install Location」という画面が表示されます。これは、PyCharmをPCのどこにインストールするかを決める画面です。
特別な理由がない限り、初期設定(デフォルト)の場所のままで問題ありません。「Next >」をクリックします。 -
インストールオプションの設定 (★最重要ポイント★)
「Installation Options」という画面が表示されます。ここでは、PyCharmをより便利に使うための設定を行います。初心者がつまずかないよう、各項目の意味とおすすめの設定を解説します。
* **Create Desktop Shortcut**
* **意味**: デスクトップにPyCharmを起動するためのショートカットアイコンを作成します。
* **おすすめ**: **チェックを入れることを強く推奨します。** これにチェックを入れておけば、いつでもデスクトップから簡単にPyCharmを起動できます。
* **Update PATH variable (requires restart)**
* **意味**: コマンドプロンプトなどから直接PyCharmを起動できるように、システムの「PATH」という設定にPyCharmの場所を追加します。
* **おすすめ**: **チェックを入れることを推奨します。** 今すぐには使わないかもしれませんが、将来的にコマンドラインツールと連携させる際に便利になります。このオプションを有効にするには、インストール後にPCの再起動が必要になります。
* **Update context menu (Add "Open Folder as Project")**
* **意味**: フォルダを右クリックしたときのメニューに「Open Folder as PyCharm Project」という項目を追加します。
* **おすすめ**: **チェックを入れることを強く推奨します。** これにより、既存のフォルダを素早くPyCharmプロジェクトとして開けるようになり、非常に便利です。
* **Create Associations (.py)**
* **意味**: 拡張子が `.py` のファイル(Pythonのソースコードファイル)を、PyCharmに関連付けます。これにより、`.py` ファイルをダブルクリックすると自動的にPyCharmで開かれるようになります。
* **おすすめ**: **チェックを入れることを強く推奨します。** Pythonファイルを扱うのが格段に楽になります。
**【初心者向けのおすすめ設定まとめ】**
基本的に、**表示されているすべてのチェックボックスにチェックを入れてしまって問題ありません。** これで最も便利に使える状態になります。
設定が終わったら、「Next >」をクリックします。
-
スタートメニューフォルダの選択
「Choose Start Menu Folder」画面が表示されます。スタートメニューに作成されるフォルダの名前を決める画面です。これもデフォルトの「JetBrains」のままでOKです。「Install」をクリックします。 -
インストール開始
いよいよインストールが始まります。緑色のプログレスバーが進んでいくので、完了するまでしばらく待ちましょう。 -
インストール完了
「Completing PyCharm Community Edition Setup」という画面が表示されたら、インストールは無事完了です!
ここで、再起動を促されます。
* `Reboot now`: 今すぐ再起動する
* `I want to manually reboot later`: 後で手動で再起動する
先ほどのインストールオプションで「Update PATH variable」にチェックを入れた場合、その設定を有効にするために再起動が必要です。急ぎの作業がなければ「Reboot now」を選択して「Finish」をクリックし、PCを再起動しましょう。
お疲れ様でした!これであなたのWindows PCにPyCharmがインストールされました。
6. 【STEP 3-B】PyCharmのインストール手順 (macOS編)
macOSユーザーの方は、こちらの手順で進めてください。Macのアプリインストールは非常にシンプルです。
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インストーラーのマウント
ダウンロードした.dmg
ファイル(例:pycharm-community-2024.1.dmg
)をダブルクリックします。すると、中身が展開され、新しいウィンドウが表示されます。 -
アプリケーションフォルダへの移動
表示されたウィンドウには、PyCharmのアイコンと、「Applications」フォルダのエイリアス(ショートカット)が表示されているはずです。
PyCharmのアイコンを、マウスでドラッグ&ドロップして、「Applications」フォルダのアイコンの上に重ねて離します。
ファイルのコピーが始まり、プログレスバーが表示されます。コピーが完了すれば、インストール作業は完了です。とても簡単ですね!
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後片付け
インストールが終わったら、デスクトップに表示されているPyCharmのディスクイメージ(インストーラーのアイコン)は不要です。右クリックして「”PyCharm CE”を取り出す」を選択するか、ゴミ箱にドラッグして片付けておきましょう。 -
初回起動時の確認
LaunchpadまたはFinderの「アプリケーション」フォルダから、インストールしたPyCharmをダブルクリックして起動します。初回起動時には、macOSのセキュリティ機能により、以下のような警告ダイアログが表示されることがあります。
「”PyCharm CE.app”はインターネットからダウンロードされたアプリケーションです。開いてもよろしいですか?」
これは不正なアプリではないことを確認するためのものです。PyCharmは信頼できる開発元(JetBrains)のアプリなので、安心して「開く」をクリックしてください。
※お使いのMacがApple Silicon(M1, M2, M3など)の場合、Intelベースのソフトウェアを動かすための互換レイヤー「Rosetta 2」のインストールを促されることがあります。その場合は、画面の指示に従ってインストールを許可してください。
お疲れ様でした!これであなたのMacにPyCharmがインストールされました。
7. 【STEP 4】PyCharmの初期設定
インストールが完了したら、次は初回起動時の初期設定です。Windows、macOS共通の手順となります。いくつかの質問に答えるだけで、すぐに完了します。
- 設定のインポート
初めてPyCharmを起動すると、「Import PyCharm Settings」というダイアログが表示されます。
これは、以前のバージョンのPyCharmを使っていた場合に、その設定を引き継ぐかどうかを尋ねるものです。私たちは初めてインストールしたので、「Do not import settings」を選択した状態で「OK」をクリックします。
-
利用規約への同意
次に、JetBrainsの利用規約が表示されます。内容を一読し、画面下部にあるチェックボックスにチェックを入れて同意します。その後、「Continue」ボタンをクリックします。 -
データ共有の確認
「Data Sharing」という画面が表示されます。これは、製品改善のために、匿名の利用統計データをJetBrainsに送信するかどうかを尋ねるものです。Send Anonymous Statistics
: 匿名データを送信して協力するDon't Send
: 送信しない
どちらを選んでもPyCharmの機能に違いはありませんので、お好きな方を選択してください。プライバシーが気になる方は「Don’t Send」で問題ありません。
これで、すべての初期設定が完了しました!
上のような「Welcome to PyCharm」という画面が表示されれば成功です。この画面が、これから始まるあなたのPython開発のスタート地点となります。
8. 【STEP 5】最初のプロジェクトを作成して、”Hello, World!” を実行しよう!
さあ、いよいよ最後のステップです!
PyCharmを使って、記念すべき最初のPythonプロジェクトを作成し、定番の「Hello, World!」プログラムを動かしてみましょう。この手順を通じて、PyCharmの基本的な使い方を体験できます。
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新規プロジェクトの作成
「Welcome to PyCharm」画面の中央にある「New Project」ボタンをクリックします。 -
プロジェクト設定画面 (★重要ポイント★)
「New Project」という設定画面が表示されます。ここでの設定は非常に重要なので、一つずつ丁寧に見ていきましょう。
* **Location (場所)**:
* **意味**: これから作成するプロジェクトのファイル一式を、PCのどこに保存するかを指定します。
* **設定**: パスの最後の部分(デフォルトでは `pythonProject`)がプロジェクト名になります。このままでも良いですが、分かりやすいように `HelloWorld` や `MyFirstProject` など、好きな名前に変更することをおすすめします。
* **New environment using (Pythonインタプリタの設定)**:
* **意味**: このプロジェクトで使うPythonの実行環境を設定します。デフォルトでは「Virtualenv」が選択されているはずです。
* **仮想環境(Virtualenv)とは?**: プロジェクトごとにPythonの環境を隔離するための仕組みです。これにより、他のプロジェクトで使っているライブラリ(追加機能)とバージョンが混ざってしまう「環境汚染」を防ぐことができます。**初心者のうちから仮想環境を使う習慣をつけておくことは、非常に重要です。**
* **設定**: 基本的には、**デフォルトの「Virtualenv」のままでOK**です。
* **Base interpreter**: PCにインストールされているPython本体(STEP 1でインストールしたもの)を指定します。通常、PyCharmが自動で検出してくれるはずです。もし空欄になっていたり、違うバージョンが表示されていたりする場合は、右側の「...」ボタンから正しいPythonの実行ファイル(`python.exe`など)を選択してください。
* **Create a main.py welcome script**:
* **意味**: このチェックボックスにチェックを入れると、プロジェクト作成時に `main.py` という名前のファイルが自動で作成され、簡単なサンプルコードが記述された状態になります。
* **設定**: **チェックを入れたままにしておくことを強く推奨します。** これにより、すぐにコードを書き始め、実行を試すことができます。
すべての設定を確認したら、右下の「Create」ボタンをクリックします。
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プロジェクトの読み込み
「Create」をクリックすると、PyCharmのメイン画面が開きます。
初回は、プロジェクトの準備(仮想環境の構築やファイルのインデックス作成など)のために、画面下部でプログレスバーが動きます。すべての処理が終わるまで、数秒~数分ほど待ちましょう。このインデックス作成は、後でコード補完などを高速に行うための重要な準備作業です。 -
PyCharmの画面に慣れよう
準備が終わると、コーディングができる状態になります。簡単に画面構成を説明します。
* **① プロジェクト・ツール・ウィンドウ (左側)**: プロジェクト内のファイルやフォルダが一覧表示されます。`HelloWorld` というプロジェクトフォルダの中に、`venv` (仮想環境)フォルダと `main.py` ファイルがあるのが分かります。
* **② エディタ (中央)**: コードを実際に書いたり、編集したりするメインの場所です。`main.py` の中身が表示されています。
* **③ ツールバー (上部)**: ファイルの保存や、プログラムの実行・デバッグを行うためのボタンが並んでいます。緑色の三角(▶)が「実行」ボタンです。
* **④ 実行/ターミナル・ウィンドウ (下部)**: プログラムを実行した結果や、エラーメッセージなどが表示される場所です。
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サンプルコードの実行
main.py
には、すでにサンプルコードが書かれています。まずはこれを動かしてみましょう。
画面右上にある緑色の三角(▶)ボタンをクリックしてください。すると、画面下部のウィンドウに、実行結果として以下のように表示されるはずです。
Hi, PyCharm
プログラムが正しく実行された証拠です! -
自分でコードを書いてみよう!
最後に、サンプルコードを書き換えて、プログラミング学習の伝統である「Hello, World!」を表示させてみましょう。エディタに書かれているコードをすべて削除し、代わりに以下の1行を入力してみてください。
python
print("Hello, World!")
pr
と入力した時点でprint
が候補として表示されたり、(
を入力すると自動で)
が補完されたりする、PyCharmの便利な機能を体感できるはずです。コードを書き換えたら、再度、右上の緑色の三角(▶)ボタンをクリックして実行します。
今度は、画面下部の実行結果が以下のように変わっているはずです。
Hello, World!
おめでとうございます!
あなたはPyCharmを無事にインストールし、自分自身で書いたPythonコードを実行することに成功しました。これは、プログラミングの世界における、記念すべき、そして非常に大きな一歩です。
9. まとめと次のステップ
この記事では、Python開発の最強の相棒であるPyCharmについて、その魅力から、エディション選び、ダウンロード、Windows/macOSそれぞれのインストール手順、そして最初のプロジェクトを作成してプログラムを実行するまでを、徹底的に解説しました。
もう一度、今回達成したことを振り返ってみましょう。
- PyCharmがなぜ便利なのかを理解した。
- 自分に合ったCommunity Editionを選択できた。
- PCの環境を確認し、Python本体を準備した。
- OSに合わせた手順で、迷うことなくPyCharmをインストールできた。
- PyCharmを起動し、最初のプロジェクトを作成した。
- “Hello, World!” を自分の手で実行できた。
もしあなたがプログラミング初心者であれば、この一連の作業は決して簡単なものではなかったかもしれません。しかし、あなたはそれをやり遂げました。この経験は、これからあなたが遭遇するであろう、より複雑なプログラミングの課題に立ち向かうための、大きな自信となるはずです。
PyCharmは、今回使ったコード実行機能以外にも、あなたの学習を助ける多くの強力な機能を秘めています。
- デバッガを使ったエラーの原因究明
- Gitと連携したバージョン管理
- 便利なショートカットキーを使った高速コーディング
- ライブラリの簡単なインストールと管理
ぜひ、これらの機能も少しずつ試しながら、PyCharmを自分だけの最強の武器に育てていってください。
プログラミング学習の旅は、始まったばかりです。PyCharmという頼もしいナビゲーションシステムを手に入れたあなたは、もう道に迷うことはありません。自信を持って、次のステップへと進んでいきましょう。
あなたのこれからの学習が、実り多きものになることを心から応援しています!